運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-07-08 第16回国会 参議院 本会議 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月八日(水曜日)    午前十時二十四分開議     —————————————  議事日程 第十八号   昭和二十八年七月八日    午前十時開議  第一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案趣旨説明)(前会の続)  第二 農産物検査法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第三 食品衛生法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第四 と畜場法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 民生委員法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 国土調査法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)     —————————————
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。     —————————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
  4. 重盛壽治

    重盛壽治君 私はこの際、ストライキに対する政府見解に関する緊急質問動議を提出いたします。
  5. 相馬助治

    相馬助治君 私は、只今重盛君の動議に賛成いたします。
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 重盛君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて発言を許します。重盛壽治君。    〔重盛壽治登壇拍手
  8. 重盛壽治

    重盛壽治君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、七日の日に労働大臣から発表せられましたいわゆるスト規制法反対ストライキに関する談話に対する質問をいたします。総理がおいで願つておるので、この問題に関連いたしまして、先に総理大臣所見をお伺いしたい。又、同僚の皆様方にも一応お聞きを願いたいと存ずる次第であります。  総理大臣は今の日本国内外の情勢をどのようにお考えになつておられるか。これは私は、非常に微妙な国際情勢にあるために、知つておりながらわからんふりをしておるのじやないか、そうでなければ占領中の慣習がまだ抜け切れずにおるのではないかというように考えるであります。私が今更言うまでもなく、先般来、問題となりましたところの内灘問題、浅間、妙義等の基地の問題等、あれだけ地方の全部の人たち反対をした。反対をした人たちは、労働組合や、そして地元の人たち、一部の限られた人たちではなかつた。いわゆる超党派であり、日本の全国民が一人残らず反対をしておる。それにもかかわらず遂にあの試射場を許可しなければならなかつた。これは一体何に原因するか。あのような反対意見が容れられずに強硬に試射場を作つて行かなければならんということは、総理並びに外務大臣のMSA問題或いは対米債権に関する問題等と同様に、秘密外交をやつてつた、或いは軟弱外交の結果であつたということを言わなければならんのであります。(拍手)同時に又、甚だ遺憾ながら、我が国の置かれたる実態吉田内閣の担任しておる日本現状の力であるということも遺憾ながら言わなければならないでありましよう。私はあえて申上げる。朝鮮戦線の終結も、吉田内閣が好むと好まざるとにかかわらず、終戦が実現せられるでありましよう。このときは、果して、日本産業実態が、従来吉田内閣のとつて来たような特需に依志して行く、そうして資本主義経済の中で一部の日本国民だけが生きて行けばよいという姿に立つところの産業方向によつて、果して八千万国民の生活の安定が期し得られるかどうか。これを考えますならば、断じて従来の方法によつて日本産業発展は図り得ない。基本的なる産業の完全な切替が必要である。高度な技術国家として、科学国家としての再編成をいたさなければ、日本産業発展は期し得ない。このときに、全労働階級協力なくして、法律によつて労働階級を拘束して行くのだというような従来の感覚によつて経営者だけによるところの産業発達というものは、断じてあり得ないということを私は申上げなければならないと思うのでちります。(拍手)こういう点に対して、このように追い込まれた段階に立つて総理大臣並びに労働大臣はどのような考え方を持つておられるのか。この実態を冒頭申上げるように知らん振りをしているのか。そうして、そうでなければ、行きがかりの実態に即応して行く便乗主義的政治をとらんとするのか。  更に私は言うなれば、九州地方を初めとするところの西日本の大災害は、申上げるまでもなく急速なる救援を必要とする。然るに政付は、現地と東京に、大物を中心といたしまして対策委員会は持つた。けれども、この対策委員会によつて九州の本当の災害は救われているであろうか。関門トンネル完通さえまだできておらん。三千台の貨車が滞つている。何たることでありましよう。単なるアドバルーンを揚げただけでは災害救援には絶対になりません。急速なる処置は勿論、根本的なる再建方途を一日も早く講じなければならない段階であります。而も八十炭鉱に余るところの炭鉱復旧を図らなければならん。これこそ日本産業の根幹となるべき重大事業である。この復旧炭鉱労働者協力なくして行い得ると労働大臣首相はお考えになつているのかどうか。  国内の実際の現実、そうして外部からの圧力、これらの現実を本当に把握して吉田首相がおられるとするならば、この国会には、国内問題、いわんや産業発展阻害を来たす、いわゆる公共福祉阻害を来たすごとき問題、労使双方を対立せしむるごとき悪法は提出すべき段階でないということを言わなければならないのであります。(拍手)かように申上げますならば、私ども参議院議員は、単なるこの問題に拘泥することなく、今度の国会二院制意味合いを十分に発揮させて頂きまして、急速なるものを取上げて審議して行くという方向をとらなければならないのではなかろうか。かくのごとき見地から、私どもは先ず当面の予算審議に重点を置かなければならんでありましよう。地方平衡交付金等の速やかなる交付ができ得ざる限りにおきましては、寒冷地などにおける仕事は、私が申上げるまでもなく停滞をいたすでありましよう。否、できなくなるでありましよう。又、秋の台風の予防が完璧を期し得るでありましようか。一、ニカ月のうちにこの完全対策をやらなければ、もう九州は一遍来たからあとは来ないということを、誰が保証できますか。関東地方はどういたしますか。私は、政府は、もはや今日のごとき段階に至りますならば、政府の面子にこだわることなく、緊急止むを得ざるもののみを審議するという立場をとり、緊急にあらず、而も紛糾をかもす、そうして労使の間を阻害せしめて、公共福祉阻害するというような法律は、直ちに取下げなければならん段階であるということを申上げたいのであります。(拍手)  労働大臣は、総評が決定した、あの政府の、あなた自身の無理解極まる態度に対する抗議のためのストライキの声明に対して、憲法第二十八条を逸脱するものである、こういうことを言つておられます。一体憲法二十八条にどこが逸脱しておるのか。「労働者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」立派に保障せられておるところの団体行動をする権利である。その枠内で労働組合がやる権利、そうして行動の自由を保障せられたところに、いつ枠がはめられたのか、どこから逸脱しておるのか。この点は私は明確にお聞きをしたい。或いは政治ストだと抗弁せられるかも知れません。けれども、およそ日本現状において政治と婆がらない経済がありますか。経済闘争政治闘争並行線でないものが若しあるならば、政治を切離した経済闘争が若しあるならば、明確に答弁をして頂きたいのであります。(拍手)更に、ストライキ労働法上の不当労働行為である、或いは刑事民事上の免責等に関する保護は受けられないことになると言わざるを得ないと言つているが、それならば、当然の権利としてやるストライキに対してどのような処分を労働大臣考えておるか。昨年の夏の総評ストに対して、どこの組合が、或いは誰が、どのような民事上の、刑事上の責任を問われたか、お伺いをしておきたいのであります。  かような表現は、労働大臣就任早々、否、就任以前から、労働省のあり方を御研究なさつてつたことと存じまするが、間違つて研究せられたのではなかろうかと考える。労働省設置法の三条には、労働者基本的人権を守つて行く、労働者を育成助長せしめて行く、そのすべてが、労働者をして立派な日本国民として仕上げる、これに協力して行くという建前が労働省のとるべき態度でなければならない。いつの間に労働大臣経営者立場に立たなければならなくなつたのか。今まで申しましたように、少くとも日本現状は、労働組合資本家が相剋摩擦するというような中において日本産業は絶対に発展しない。そうであるとするならば、労働大臣は、せめて、この経営者労働者の中間に入つて潤滑油役割を果して、そうして日本産業発展に寄与することこそが労働大臣の使命ではなかろうかと私は考えるのであります。それにもかかわらず、あんな表現をする、そうして総評幹部を、談話を発表してから呼び付けているというようなことは、まさに威嚇であり、弾圧であり、公共福祉阻害するものは、労働者ではなくて、労働大臣みずからの感覚である(拍手)ということを言わなければならんのである。  又、私は、今度の労働大臣が取上げておるところの炭鉱、電産の経営者諸君態度について一言触れてみたい。炭鉱経営者人たち電気経営者人たち、特に電気経営者諸君は、終戦以来、常に電産がストライキをやつて来て、そうして国民もこれを認め、法的にも認められてやつて来たんだが、このストライキがない前に団体交渉をしたことがあるか。誠意を以て解決を付けたことがあるか。いつでも、ストライキが始まる、いつ幾日からストライキが始まるのだからといつて、始まつて紛議をかもしてから常に解決を付けて行くというやり方が、電気産業経営者諸君やり方である。まさに、公共福祉阻害するものは労働大臣であり、これらの経営者諸君の無理解極まる態度こそが、(拍手)この公共福祉阻害するのであるということを言わなければならない。私は、かような意味から言いますならば、今日の段階においては、冒頭来申しますように、不急不速のもの、而も出すことによつて労使間の紛議をより拡大せしめて、日本産業発展阻害せしむるがごとき悪法は直ちに取下げて、参議院二院制としての立場を明確にせしめ、そして日本産業発展のために寄与することこそが、労働大臣並びに首相の今日とるべき態度ではなかろうかということを申上げまして、私の質問を終りたいと存ずる次第であります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  9. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  内灘その他の問題は、これは安全保障条約等による施設を提供することは条約上の義務であります。故に、この条約上の義務従つてこの問題を取上げておるのでありますが、同時に、これによつて損害を受ける関係者に対しては相当の補償なりを与えるということの方針で着々進んでおります。  又、朝鮮問題は、休戦の成立することは誠に結構なことであつて、東洋の一角において戦争のやむということは、我々は飽くまでも希望もし、これに援助を与えたいと考えております。併しながら、日本貿易特需によつて成り立たせるという考えを持つていたしておるのではないのであります。日本貿易産業に対する経済政策は、特需でなくして平常なる貿易によつて維持せんといたしておりますことは、予算その他で以て御承知通りであります。  又、水害問題は、九州水害は誠に九州関係県民諸君のために同情すべきことでありまして、政府も極力これの救援をいたしております。又内外の同情も、九州水害に対する同情は誠に熾烈なるものがあつて義指金その他が各方面からして集まり来たりつつあることは御承知通りであります。政府はこれに対して成るべく迅速にその分配或いは救援等に全力を尽しております。漸次秩序は回復いたしつつあるのであります。  その他は主管大臣からお答えいたします。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎登壇拍手
  10. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答えをいたします。  政府スト規制法案を提出し、更に昨日私が総評幹部に対してストライキに対する警告を発したが、これらはいずれも労使関係に不当に介入し、労働者弾圧するものであるという御所見でありましたが、(「その通り」と呼ぶ者あり)これに対して私の見解お答え申上げます。(「僣越だよ」と呼ぶ者あり)いわゆるスト規制法案は、たびたび申上げております通り、昨年の二大争議の苦い経験に鑑みまして争議行為方法のうち、従来とも社会通念上不当又は妥当ならざるものとして来たものについて、この際その範囲を明確にして、以て公共福祉争議権との調和を図ろうとするものでありまして、昨日の私の談話は、いわゆる政治ストライキ憲法第二十八条に保障された団体行動権範囲を逸脱するものであるという当然のことを明らかにいたしまして、注意を喚起した次第であります。(拍手)何ら労使関係に不当に介入したり労働者弾圧するものではない、こういうことを御了解願いたいと思います。(拍手)      —————・—————
  11. 田畑金光

    田畑金光君 私はこの際、今次ストに対するいわゆる政府警告に対する緊急質問動議を提出いたします。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は只今田畑君の動議に賛成いたします。
  13. 河井彌八

    議長河井彌八君) 田畑君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。田畑金光君。    〔田畑金光登壇拍手
  15. 田畑金光

    田畑金光君 私はこの際、吉田内閣総理大臣並びに小坂労相に対しまして、昨日発表されました労働大臣談話中心といたしまして、政府労働政策に対する所信のほどを伺つておきたいと思います。  昨七日、労働大臣は突如としていわゆるスト規制法案反対ストライキに関する談話を発表し、労政局長名を以て全国各都道府県の知事に依命通牒を発したのであります。目下本法案衆議院に上程せられ、同労働委員会におきましては慎重審議のさ中にあり、而も本案重要性に鑑み、国民ひとしく注視し、なかんずく直接の利害関係を持つ組織労働大衆が異常な関心を集中しつつありまするときに、労相談話発表は、その意図けだし奈辺にあるかの判断に苦しむのであります。恐らく、公正な輿論の批判を恐れ、民主的労働組合中心とする国民的抗議運動の澎湃たる盛り上りを未前に阻止しようとする、吉田反動内閣固有の、力を以てすべてを処理せんとする権力政治具体化以外の何ものでもないと私は考えるのであります。(拍手一体政府は、このような反動立法憲法民主主義の名誉にかけて、撤回するか、或いは当該産業社会化乃至経営民主化のため具体的措置をとることにより、労働組合協力を得る努力を忘れて、ひたすら労働者弾圧汲々とし、一片通牒を発することによつて労働階級の納得と協力が期待できるものと考えて、本通牒を発したのであるかどうか。本通牒は、昨年第十三回国会に、破防法、労働法改悪法案が上程せられ、全国民的輿論の反搬をこうむり、政府が苦境に陥つた当時、労働第三波ストを目前にして、労政局長名当該ストに対する政府見解全国都道府県知事に通達せしめたのであるが、該通牒と共通の考え方に立つておるものと考えるのであります。然るに、昨年の通牒は五項目に分れ、詳細な内容に触れておるのに反し、今回の談話発表は、より抽象的であり、一般的な規定に終つておるのであります。それだけずるく、あらかじめ抜け道を用意したのが、この談話の形式となつて現われているのであります。総評スト規制法案反対ストを行うべきことを決定したと聞いただけで、直ちにかくのごとき恫喝的談話を発表しているのであります。一体当該組合ストライキを行うのか否か、或いはいわゆる純然たる政治ストを行うのかどうか、或いは又、季末手当、ベース・アツプ闘争労働協約闘争等純然たる経済闘争労働条件改善に関するストライキであるのかどうか、或いは又、経済目的を主たる目標にし、たまたま政治的要素が加味されたストライキであるのかどうか、具体的事実認定に至らずして、かくのごとき、労働組合注意喚起に名を借る労相発言というものは、明らかに国家権力による労働組合運動不当干渉であり、労働組合運動の自由に対する弾圧にほかならないと私は考えるのであります。労働大臣は、本談話を発表されるに至つた経緯が、確実なる事実認定の上に立つておやりになつたのか。単なる予測の上に立つておやりになつたのか。予測とすれば重大なる組合干渉であろうと思うのでありまするが、この談話は正式の政府見解として発表されたのであると思うのでありまするが、吉田首相は如何にこの談話についてお考えになるか。この際、所信を承わつておきたいと思うのであります。  政府は、立法反対闘争乃至は立法反対するストライキは、ストライキの事実分析の上に立たずして、直ちに政治ストライキと断定し、政治スト憲法の保障と労働法保護の外にあるものとの見解をとつておるのであります。政治スト合法性、当不当の問題は、具体的事実に即して判断すべきであり、究極的には裁判所の判定に待たなければならんと考えます。政府見解は単なる行政解釈に過ぎず、従つて何ら法律的拘束力を持つものでもなく、せいぜい労働者に対する啓蒙、否、威嚇的役割と、経営者陣営に対する鼓舞激励の根拠を与えておるものに過ぎません。かくては労働大衆の感情を刺激し、一層、内攻的な悪質な闘争に追いやる危険性を持つものと考えざるを得ません。勿論、労働組合が議会を無視し、純然たる政治ストによつて法案の撤回、立法の阻止を図る限り、労働法上正当な争議行為として民事免責の利益を受けるかどうかについては、いささか疑問もあるのでありまするが、併しこのことは、労働組合団結力を利用し政治活動一般制限禁止される意味では毛頭ないのであります。又刑事上の免責については、単に政治ストに参加したというだけで刑罰を課し得ないことは勿論、具体的事実に即して判断すべき七あり、同時に又一概に不当労働行為保護を受け得ないとするものではなく、これ又具体的事実に基いて検討されねばならんと考えるのであります。政府見解は、当然裁判に待たねばならぬ労働行為に関し、行政解釈によりまして一方的見解を下しておりまするが、これこそ政府の暗黙における労働組合の圧迫であり、骨抜きであると考えるのでありますが、この点について政府所信のほどを伺つておきたいと思うのであります。  更に、本通牒は、談話の形式をとりながら、政治権力を背景にする労働組合への警告的措置考えられるが、問題は、政府自体警告を発しなければならぬほど、本法案労働者基本的権利を一方的に制限禁止する反動立法の頂点に立つものとして、全国組織労働者の反抗と怒りを買つておるということを、政府みずから実証するものにほかならないと考えるのであります。政府は、公共福祉基本的人権の上に君臨するものとして、公共福祉の名において、国民の自由と権利労働者基本的権利も制約することができるという観点に立つておるのであります。若しそういうことになつて参りまするならば、憲法の保障する永久の不可侵権としての基本的人権は、時の政治権力者の一方的判断と解釈により常に制約を受ける危険性があるのであります。  政府は、昨年の電産、炭労スト経験に鑑み、電気事業及び石炭鉱業特殊性及び重要性並びに労使関係現状に鑑みまして、争議権と公益の調和を図り、以て公共福祉を擁護するため、両産業における争議行為方法について必要なる規制をなすため本法を制定するに至つたと言つておりますが、本案致命的欠陥は、労働争議の原因は、およそ、すべていずれの場合においても、労働者側労働組合側にのみあるとして、労働基本権を一方的に制限することに汲々としておるということであります。本法は、明らかに、電気石炭事業における最も露骨な営利追求の私企業の財産権の下に、労働基本権を一方的に制約し、而も労働者に対しては何らの救済措置がとられないでおるところに重大な問題があるのであります。政府国民という言葉をよく使いまするが、この言葉は誠に魔術でありまして、この国民とは、吉田政府に繋がる少数の炭鉱電気事業資本家を言うものであつて、これらの少数者利潤追求の便益のために今回の立法が図られておるに過ぎないのであります。(拍手)まさに、公共の名の下に、福祉の名の下に、労働者の基本的な権利を蹂躙する、この行き方こそは、権力の濫用であり、吉田内閣フアツシヨ政治の現われ以外の何ものでもないということを申上げたいのであります。(「もう少し研究して来い」「お前こそ勉強して来い」と呼ぶ者あり)本案が実施されるとするならば、この両産業における争議行為は致命的な制限を受け、憲法並びに労働法の保障する労使対等の原則は事実上崩壊いたしまして、そうして労使対等原則破壊の下に、労働関係の調整というものは誠に不可能に陥り、悪質な方向に走ることも事実であります。我々は、従来、憲法の保障する基本的人権制限に対し、例えば公務員の争議権剥奪に対し人事院の勧告制度を取入れ、或いは公共企業体職員に対し仲裁制度を取入れた経緯に鑑み、吉田内閣は勿論、法軽視の観念にとらわれて、これらの諸制度を事実上骨抜きにはしておるけれども、とにかく労働者基本的権利制限に対し、一方においては救済措置を講じて来たのであるが、今回の反動立法を制定するに当つて一片進歩的施策をとることなく、かかる談話発表により、労働者反抗意識を和らげ得ると政府解釈しておるのであるかどうか。この点について政府所見を承わつておきたいと思います。  政府の本法案提出根本目的は、内にあつては、少数独占資本家利潤追求のために多くの労働者大衆を犠牲にせんとする反動立法の最たるものであります。外にあつては、駐留軍労務者労務基本契約は、昨年七月以降、契約更新期にありながら更新されずに、一方的人事条項により、我が国労働三法は何ら適用されず、アメリカ国内法が優先しておるのであります。日米行政協定によつて辛くも保障された最小限の労働者権利すらも完全に抹殺されておるのであります。政府労働政策は、アメリカのために奉仕するのか。日本人の労働者を対象にするのか。殊に、内にあつて反動立法制定を強く政府に要求して来たその根源の力は、日経連を中心とする経済団体であることを考えましたときに、政府労働政策資本家のためにのみ奉仕する政策であるのかどうか。政府のよく好んで使う、国民の名において、国民の九割以上を占める勤労者大衆のための政治、一千万に上る労働者のための労働政策を断行する意思がないかどうか。権力に屈せず、富貴に淫せず、以て清節を全うすべきが吉田内閣の今日の政治のとるべき方向であると考えるのでありまするが、吉田首相はどういう所信を持つて今後の労働政策に対処されんとするかを承わつておきたいと思うのであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  16. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  政府労働政策は、単に圧迫のみを考えておるわけでもなければ、資本家擁護のみを考えておるわけでもないのであります。(「嘘を言え」と呼ぶ者あり)常に申します通り労使の間の円満なる協調に上つて産業の健全なる発達を期したいと考えておるのであります。又、労働大臣作目談話もこの趣意にほかならないのであります。委細は労働大臣からお答えをいたします。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎登壇拍手
  17. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答えをいたします。  労働大臣談話は、先ほども申上げましたごとくに、国会における立法反対するストライキ、いわゆる政治ストライキについて、法律上当然の解釈を明らかにしたものでありまして(「勝手に断定しておる」と呼ぶ者あり)この解釈は従来からも政府のとつて来たところであります。(「それが間違いだ」「勝手なことを言うな」「その通り」と呼ぶ者あり)なお、この法案は言うまでもなく争議権の剥奪を考えるものではなくて(「剥奪じやないか」と呼ぶ者あり)公共福祉争議権調和を図らんとするものでありまして、社会通念上従来とも不当であり或いは非であると考えられておるものの確認でありまして、そういう剥奪というような意図は毛頭ないのであります。  なお、国民ということをよく申しますのは、国民大衆でありまして(「労働者が大部分だ」と呼ぶ者あり)この法案は、去る二月に行われました公聴会におきまして、消費者代表においてはことごとく全員賛成でありまして、一日も早くこの法案の成立を望んでおつたという点を附け加えさしで頂きます。(拍手)      —————・—————
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、(趣旨説明)(前回の続)  去る六月三十日の緒方国務大臣趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。岡田宗司君。    〔岡田宗司君登壇拍手
  19. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案は、我が国経済の特質と実態に即応するために提案されたものであるとの説明でありますが、この改正は、日本経済のあり方にとつて、又将来の発展にとつて、重大な意義を持つ改正であると言わなければならないのであります。戦前我が国には、カルテルやトラストを禁止する法律もなければ、持株会社を禁止し、三井、三菱、住友その他のいわゆる財閥の形式を阻止する法律もなかつたのであります。そうして、カルテル、トラスト、持株会社、コンツエルン等が、なに憚るところなく組織され、大手を振つて自由に活動し、その強大な経済力を用いて競争者を抑え、これを倒し、或いは吸収し、又消費者に対しても意のままに振舞い、その利益を蹂躙して自己の手に莫大な独占利潤を収め、経済界を支配しておつたのであります。この独占資本財閥は、当時、軍閥と結んで、満州、中国等への経済的侵略のお先棒を担ぎ、ファシズム、帝国主義戦争の推進に甚だ大きな役割を演じたのであります。それ故、戦後、占領当局は、再び日本が軍国主義化して侵略を行うことのないようにするために、又、日本の民主化を実現するために、軍閥と結んで大東亜戦争の推進力でありました財閥、独占資本を解体せしめたのであります。そうして、再びこれらが発生することを阻止するために、昭和二十二年にいわゆる私的独占禁止法が制定されるに至つたのであります。この法律はかような理由によつて制定されたのでありますが、それと共に、その制定にはもう一つの理由があつたのであります。即ち、資本主義経済組織の下におきましては、企業の競争の結果、弱肉強食が行われ、強大な経済力を持つ大企業の経済支配が打ち立てられて行つたのでありますが、これらの大企業は、その支配を一層強化し恒久化するために、カルテル、トラストを形成し、又、持株会社による支配形態、即ちコンツニルンや財閥を生んだのであります。これらは、独占の威力を発揮し、不正競争を行いまして、これに屈服しない企業、協力しない企業を痛めりけ、なぎ倒し、又生産制限や価格吊り上げを行いまして、消費者や中小企業を苦しめ、暴威を揮つたのであります。かかる独占企業の激しい私利追求は、社会全体の利益に著しく反するがために、カルテル、トラスト、コンツエルン、財閥の存在とその活動に対しまして、社会に強い反対運動が起り、社会的糾弾が行われ、重大な社会問題と化したのであります。そこで各国政府は、止むを得ず、カルテル、トラスト等の禁止、その活動制限等を行わなければならぬことになり、そのために法律が制定されるに至つたのであります。即ち、これは独占資本の横暴を抑制し、公正なる取引を確保し、以て中小企業、一般消費者の経済的利益を擁護せんとするものでありまして、経済民主化のための方策の一つと言うことができるのであります。戦後、日本におきましても私的独占禁止法が制定されたのも、一つにはこれによつて経済民主化を図るという意味があつたのであります。勿論この法律だけで独占資本の形成とその反社会的活動を完全に封鎖することもできないし、又吉田内閣のごとき独占資本の擁護者は、この法律の適用を厳重に行うことをしないので、威力は発揮されないのでありますが、この私的独占禁止法は、独占資本の反社会的行為をチェックするものとして、経済民主化のための一本の柱として、たとえ占領軍当局の指示で制定されたものでありましても、やはり存置しておくべきものなのであります。然るに、占領が解除されてからのち、占領前と同じように勝手に振舞い、強大な権力を掌握して、国民政治経済的に支配しようと欲する者たちは、占領時代の行き過ぎの是正であるとか、日本の実情に副わない占領時代の法律政策を、日本の実情に即するように改めるとか、こういうような口実の下に、占領時代に制定された自分たちに都合の悪い法律を全面的に改廃せんと欲しているのであります。而して吉田内閣並びに自由党は、忽ちにこの資本家側の要求を容れまして、かかる法律の改廃に着手し、民主主義発展に逆行し、これを阻害する政策を行いつつあるのであります。ここに改正案として提出されている私的独占禁止法の緩和も、又そういう逆コースの一環でありまして、政府は、この法律によりまして、独占利潤の確保と自己の経済支配の野望を阻まれている大企業の経営者たちの要求、又その結合体である経団連等の資本家団体の要求に副うために、法律改正を企てようとしていると言つても過言ではないのであります。(拍手)自由なるカルテル行為を欲している、又ひそかにそれを行なつている企業や経営者団体から、自由党に莫大な政治献金がなされているという事実は、(「その通り」と呼ぶ者あり)かような関係を暴露したものにほかならないのであります。(拍手)  そこで私は吉田首相にお尋ねしたいのであります。政府が独禁法改正を提案した根本精神は、この法律を緩和することによりまして、カルテル、トラストの公然たる復活の道を開き、独占資本による経済支配、即ち独占資本主義の確立と強化を促進することにあるかどうかという点であります。カルテル、トラストの形成と、その活動の復活は、消費者や中小企業者等の利益を害し、一般国民に迷惑をかけることになるのではないかどうか。首相見解をお尋ねいたしたいのであります。  次にお尋ねしたいことは、提案理由に語われておる「我が国経済の特質と実態に即応するように」という点であります。これは先日の本会議における提案理由の説明の際にも何ら具体的に明らかにされておりませんし、前国会における説明、質問に対する答弁におきましても説明されておらないのであります。本改正案の審議に当りましては、この点が明らかにされなければ、なぜ緩和がどうしても必要であるかということが納得できないのであります。「我が国経済の特質と実態に即応するように」ということが理由であります以上、現行法がその特質と実態に即応していないということになるのであります。然らばどういう点が我が国経済の特質であるのか、又、現行法はどういう点でこの特質に即応していないのか、この点を詳細に具体的に御説明を願いたいのであります。次に、実態に即応しないから現行法を改めるというのだが、実態とは具体的に何を指すのか、現行法がそれに即応しないというのはどういう点か。これ又通産大臣から具体的に御説明願いたい。社会においては、法律に規定されていない新らしい事柄が生じたり、又、法律の枠を超えて生じた変化のために、往々あとから法律を作つた法律を改正することが生ずるのであります。ここに「実態に即応するように」と言われているのは、日本経済の面におきまして、この法律ではどうにもならない変化がすでに起つているので、これを既成事実と認めて、これに即応するように法律を改正しようというのか。その意味であるのかどうか。もつと具体的に言えば、現行法による禁止にもかかわらず、現在すでにいろいろな名目におきましてカルテルができて、半ば公然とカルテル行為を行なつており、又、株式の保有、役員の兼任、合併等が行われまして、私的独占が形成されておるが、もはや現行法では取締りたくても取締ることができないようになつてしまつたので、「実態に即応するように」法律を改正する必要があると考えられて提案されたのかどうか。それとも、カルテルの組織と活動を法律で認めたほうが、積極的に日本経済のために利益であると考えられて改正を加えられたのかどうか。これらの点に対しまして岡野通産大臣並びに横田公取委員長にその見解をお伺いしたいのであります。  第三にお伺いいたしたい点は、この法律改正によつて、いわゆる不況カルテル、合理化カルテルが公認されることになるのであります。不況カルテルにおきましては、設備、生産数量の制限、価格協定が、たとえ制限付きではあれ、認められることになります。又、合理化カルテルの場合には、技術若しくは生産品種の制限、屑若しくは廃物の購入、即ち鉄鋼業の場合には、その重要原料である屑鉄の購入等につきましても、共同行為、カルテル行為を行うことを容認しておるのであります。かようにいたしまして、たとえ法律制限が付いておりましようとも、あらゆる種類のカルテル活動の道を開いておるのであります。一旦これらが法律で容認されるや、やがてはこれを突破口として、強力な企業者団体が、この改正法律案に規定されている制限を無視いたしまして或いはごまかしまして、一般的なカルテル活動を行うであろうということは、現行法でカルテル活動が禁止されておるにもかかわりませず、これをくぐつてつておる者の多いというやり方から見まして、必至であろうと思われるのであります、不況の際に、生産過剰が生じ、又価格が下落いたしまして企業が損失をこうむることは、資本主義経済機構の下におきましては必然的に起る事柄であります。これに対処する方法といたしましては、各企業が普段からかかる場合に備えて技術の進歩を図り、又経営を合理化して行かなければならんのであります。好況の際には、価格をぐんぐんと吊り上げて、巨利を博し、高率の配当を行い、浪費をしてしまいながら、不況になると、あわてて通産大臣の認可を得てカルテルを作つて、生産制限を行い、価格を人為的に吊り上げておいて、安易に自己の独占的利益を維持して行こうとするのであります。このために価格が当然落ちつくところに落ちつかず、かかろカルテル行為のために、関連産業や中小企業、消費者等は、非常な不利益をこうむらざるを得ないのでありますが、かかる場合でも通産大臣は、大企業が不況カルテルを形成して他を犠牲にすることを認可するつもりであるかどうか。この点をお伺いしたい。  朝鮮休戦が成立いたしまして、世界の緊張が緩和されて参りますならば、各国の軍拡のスロー・ダウンによりまして世界的に不況が襲来するであろうことは予想されるのであります。その際に日本も又これに巻き込まれる見込が大でありますが、かかる場合に、改正されました法律の下におきまして、不況に名を借り、合理化に名を借り、続々とカルテルが生れるものと予想されるのでありますが、一体政府はこの場合を予想して、この現行法を改正しておこうとするのであるかどうか。そして、その場合に、折々カルテル形成の申請がありました場合、これを通産大臣はどんどん認可するつもりであるかどうか。その心がまえをお伺いしたいのであります。  一旦カルテルが形成されると、たとえ不況が去つて経済が上向きになり出しましても、このカルテルを作つた事業者たちは、みずから進んでカルテルを解体いたしまして再び競争に戻るということをしないことは、火を見るより明らかであります。主務大臣、公取委員会は、かかる場合に、如何にこれに対処するつもりか。速やかにこれを解体させ、共同行動を禁ずる処置をとることができるかどうか。又そういう処置をとる意思を持つておるのかどうか。できた以上は既成事実として、黙認し、放つておくのかどうか。そういうような点についてお伺いしたい。  又カルテルが一旦形成されると、それは、自己の活動を有効ならしめるために、参加企業に対しまして強い拘束力を加えるでありましようし、アウトサイダーに対しましては不正競争やその他のあらゆる手段で圧迫を加えることは明らかであります。政府はこのアウトサイダー或いは関連産業に対する圧迫に対しまして、如何なる方法によつて、アウトサイダー、関連産業保護するつもりであるかどうか。これをお伺いしたいのであります。  次に、今日硫安工業界を見ますのに、国内の需給の点からすれば、供給過剰の傾向にあり、当然硫安価格は低落せざるを得ないのであります。然るに硫安業者は国内の農民に売るよりも遙かに安い価格で海外にこれを販売し、いずれの会社も欠損をしないどころか、相当高い利益を推持しておるのであります。これは明らかに農民の利益を犠牲にしてその利潤を確保せんとする不当なカルテル行為でありますが、政府はこれを公正な取引であり消費者の利益を犠牲にしないものと考えておるかどうか。若しこの法律改正が行われれば、いわゆる不況カルテルが続々と認可され、これに類似した現象が起るであろうということが推定されるのでありますが、政府は硫安の問題につきまして如何なる措置を講ずるつもりであるか。通産大臣にお伺いしたいし、又、保利農林大臣には、この硫安会社の行為によりまして農民の利益が不当に害されていないかどうか、これは又是認されるべきものとお考えになつているのかどうか、農林大臣としてこの問題につきましてどういう方針をとられるのか、お伺いしたいのであります。  又、今度の改正法律案によりますれば、合理化カルテルが認められることになり、そのうち鉄鋼業につきましては、屑鉄の購入につき鉄鋼会社が公然と恒久的にカルテル行為を行うことができる。現在すでに鉄鋼会社は法を無視いたしまして、海外からの屑鉄の輸入価格に比しまして遥かに安い価格を以て国内の屑鉄の購入をすることを取極め、実際に集荷する末端の集荷業者を泣かせておるのであります。而も公取はこれに対しまして何らの調査もやつておらないで、放つたらかしておるのであります。合理化カルテルの名の下に今後かかることが続々と起り、合理化カルテルも又、真の合理化の促進とはならずに、その名に隠れまして、独占利潤の増大と、その維持を図る手段となつてしまうでありましよう。公取はこの点をどう考えておるか、お伺いしたいのであります。  次に、株式の保有、役員の兼任等の規定の緩和についてお伺いしたい。今日のように株式所有者が分散いたしまして少額の株式所有者の多い場合には、何も五一%の株式を所有しないで、二〇%だつて、時には一五%の株主だつて、他の会社を支配することができるのであります。こういうときに、株式の保有、役員の兼任等の緩和をすることは、非常に他企業の支配力を強めることになるのであります。現在の法律の下においてさえ、いろいろな形で、株式の保有、役員の兼任等による他企業の支配が事実上行われておるのであります。これを緩和すれば、必ず他企業の支配、競争の制限等がより有効に行われることは必至でありますが、そういう点につきまして、一体どういうふうにお考えになつておるか。これは公取の委員長並びに通産大臣の両者からお伺いしたいのであります。  次にお伺いしたい点は、現行法第三章の不当な事業能力の較差」の全条、第二条第五項の同規定の削除等についてであります。これは、巨大な資本を有する大企業がその独占的な経済力を利用いたしまして他の企業を圧迫することを排除し、公正なる取引競争の行われることを目的としたものであります。然るにこれが今ここに全部削除されるということは、法的に大企業がその強大な経済力を以て他の企業を圧倒することの自由を許すということにほかならぬのであります。現在この条章は事実上適用されていないかも知れません。併し、今なぜ、これを改めて廃止することによりまして、大企業の独占的活動の自由を許すのであるか。これは明らかに経団連等の圧力に屈しまして、政府がこれを削除することに同意し、大企業の他企業に対する強圧を自由にして、独占資本の支配の促進を図るものと言わなければならないのでありますが、公取委員長並びに通産大臣はこの点をどうお考えになつておるか。又、公取委員長は、これが削除されるに至りましたいきさつについて詳しく御説明願いたいのであります。  次にお伺いしたい点は、カルテル行為の認可が、本改正案におきましては、公取委員会によつてではなくて、主務大臣によつてなされる、即ち通産大臣によつてなされると規定されておる点であります。私どもはカルテルそのものに反対なのでありますが、仮に一歩を譲りまして、この改正案に記されている不況カルテル、合理化カルテルの認可の場合でも、当然この法律の全体の趣旨から考えまして、公取委員会において行わるべきものであると考えるのであります。然るにこの認可の点だけ突拍子もないように主務大臣とされたのはどういうわけであるか。たとえ公取の認定を条件とするとはいえ、通産大臣に認可権を認めることは、法体系をみだり、又、法律上幾多の疑義を生ずるものであります。この点、立案者側でも知らぬはずはない。然るにこういうふうにいたしましたのは、むしろカルテルを原則的に認めようとする態度をとる通産省側が、この問題につきましては、カルテルをむしろ取締るという機能を持つておる公取側に任せることができないという考え方から、強引に突張つて割り込ませたものではないかと思われるのであります。何の必要がありまして通産大臣の認可ということをこの改正案に入れるに至つたのか、その理由を通産大臣からお伺いしたい。又、公取委員長は、この改正案の草案の作成に当りまして、この認可は公取委員会がなすのが当然という立場をとつていたと思うのでありますが、なぜ通産大臣の認可ということを認めたのか。この点につきましていろいろないきさつがあると思うのでありますが、公取委員長はこの際そのいきさつを説明して頂きたいのであります。又、このほうがよいのか、公取委員会一本のほうがよいのか、この点について率直な意見を述べてもらいたいのであります。  まだいろいろとお伺いしたい点がたくさんあるのでありますが、詳細は委員会の審議に譲ることにいたしまして、私がこの改正法律委の提委理由の説明を聞きまして率直に感じますことは、この改正案を出す理由がいろいろな点から見て薄弱だということであります。この法律の緩和によりまして、公然と、カルテル、トラストの組織活動の行われる突破口を開き、これによつて独占資本の支配の確立を強力に促進することになると思うのでありますが、逆に、資本力の弱い中小企業、消費者の利益は圧迫され、蹂躙されることは必至であります。これこそ経済民主化に逆行すること甚だしいと言わなければなりませんが、この改正案を提出いたしましたことは、この吉田内閣が独占資本の代弁者であるという性格をはつきりと露呈したものと言わなければなりません。(拍手政府は本改正案の提案に当り、私的独占禁止法の根本精神を尊重すると言つておりますが、これは私の見解では大嘘である。若し本当に尊重するというならば、この改正法律案の提案を撤回いたしまして、根本精神に副うように再検討すべきであると思うのであります。  以上で私の質問を終りますが、各大臣並びに公正取引委員長は具体的に詳しく御答弁を願いたいと存ずる次第であります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  20. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。  独占禁止法制定の当時は、戦争直後でもありましたものでありますから、日本に対する敵愾心というか、誤解も相当あつたろうと思います。又、当時立法した人の考えの中には、アメリカの独占禁止法、或いはカルテル、或いはトラスト等を考えに入れて、同じような事態が日本にも存在するという誤解もあつたろうと思いますが、いずれにしても日本経済組織がそのために根本的に覆えされたことは事実として考えなければならないのであります。このために日本経済的競争力も力弱められたという、この事実も、これは現実の事実であります。故に私は占領中に行われた法律の行き過ぎを是正しなければならんということを考えておりまして、絶えずこの点について研究を進めておりましたが、その行き過ぎの一つは独占禁止法であります。決して単に独占資本の確立強化を目的といたしてこの法律を提案いたしたわけではありません。又経済の健全たる発達をいたしますためには、或る一部の私するような考えで以て提案いたしたならば、たとえその趣意がよくあつてもこれは行われないのが当然であります。即ち、この法律は、一に現在の日本の国情から考えてみて、日本の現在の薄弱なる経済の基礎から考えてみて、これを強化するためにはこのくらいの法律の改正をいたさなければ日本の国情に適しない。日本の国情に適応せしむるためには、この程度の改正は必要と考えて提案いたしたのでありまして、独占資本のためにのみ考えたことでは毛頭ないのであります。この点はよく御了承を願いたいのであります。(「結果は同じことだ」と呼ぶ者あり)  仔細は関係大臣から御答弁いたします。(拍手)    〔国務大臣岡野清豪君登壇拍手
  21. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  第一の点といたしましては、日本経済の特質と実態はどうかというようなお話でありますが、これは一言にして申上げますれば、御承知通りに、日本経済は非常に底が浅うございまして、僅かの波にでもすぐ覆つてしまうというような実態でございます。そういたしまして、又もう一つは、設備なんかもやはり近代化しておりません。そういう意味におきまして、我々といたしましては、波が来てもすぐ覆らないようにしたいのは山々でありますけれども、これを、若し波が来たときには、こういうカルテルでも或る程度許しまして、そうしてそれを防いで行こうと、又近代的の合理化をして行くためには、我々といたしまして努力して行きたいと、こういう考えで実は作つて来たわけであります。  それから、不況カルテルにいたしましても、合理化カルテルにいたしましても、これを認めます場合には、もう前提条件として非常に厳格に定められた条件がございます。主務大臣の認可も、不況の克服ということ、それから合理化の達成ということに、必要最小限度にとどめる考えでございます。又、一旦認可をいたしましても、若しこの不況の状態がなくなりましたということがわかりますれば、即座にこれの取消を命じまして、そうして弊害の出ないように運用して行きたい、こう考えております。  それからアウトサイダーの問題でございますが、これは私の考えでございますというと、有力なるアウトサイダーというものがあつては効果が挙らんだろうというような御趣旨であろうかとも存じます。併し私は、そういうような事業者がやはりその不況カルテルのときに加わるからできるものでございまして、むしろ私どもといたしましては、その自由自在に脱退し又加入することができるという条項によりまして、一般的に見ましてそういうことのないようにやつて行きたい、こう考えております。  それから不当な事業能力の較差の排除の規定をやめたのでございますが、私ども考え方といたしましては、非常に有力なる企業があるという形だけを禁止するとか、そういうようなことをいやがるということは、私は余りに形式的に行き過ぎたものではないかと思います。若し、非常に力のつく企業になりたいために、不公正な取引をするとか不当な圧迫手段をとつてそういうふうになつて行くということは、それは絶対にやめさせなければならん。これはほかの方面に規定してございますから、今、形の上において事実上相当大きな企業があるから、その企業はけしからんということは、私はとりたくないと、こう考えます。  それから認可権の問題でございますが、これは御承知通りに、日本産業政策全般の責任は、やはり通産大臣が持つておるのでありまして、不況になつたり、又合理化を促進しなければならんというようなことは、やはり一国経済の自立のためには、通産大臣は全責任を以てこれに当らなければならん。そういう場合におきましては、やはり我々がその判断を下さなければならん。又十分なる慎重なる研究もしなければなりません。それで私どもといたしましては、この通産大臣の責任上、一体、不況カルテルを作つていいのかどうか、又合理化カルテルをやつていいのかどうかということは、最も産業の内容に通暁しております通産大臣が認可をする、併し、一方、公取委員会におきましては、いわゆる法の根本精神というものを、これを十分守らなければならん。それが責務でございますから、その意味におきまして、我々が一方的にするのじやなくて、公取委員会は、そういう法の精神を守るという意味から、慎重にこれを研究する。そこで我々といたしまして、認定がなければ認可はできません。その点におきまして、両々相待つて、この不況カルテル、合理化カルテルを慎重にやる。同時に、国益に副うし、法律も又守つて行きたいと、こう考えておりますから、御了承を願いたいと思います。  それからもう一つ、硫安の価格の問題にちよつとお触れになりましたのでございますが、私どもはこう考えております。只今自由採算制でやつておりますが、御承知通り肥料対策委員会で十分検討を続けておりまして、その結果を待たなければ私は何とも結論は出しませんのです。併しながら、只今農家が高い硫安を買つておるということは、私は輸出をしたために高いものを転嫁されておるとは考えません。御承知通りに価格と申しますのは、生産数量が多量になればなるほど安くなる。若しこれを輸出をやめてしまいまして、そうして国内だけの需要に応ずるだけの生産にしましたら、只今の物価よりよほど高くなると私は考えております。ただ問題は、国内における価格と、それから最近ちよつと例になりました外国へ出血輸出をいたしましたのと比べますと、その点がお説のような疑いがお起きになる点もないことはないとは存じますが、併しこれは概括論で申しますれば、多量にできるから、即ち出血輸出をしましても、あれだけ作つておるから、只今の程度で国内の供給ができると、こう考えております。(拍手)    〔国務大臣保利茂君登壇拍手
  22. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 大体通産大臣から只今お答えいたしましたところによつて尽きると思います。要しますのに、昨年来のいわゆる出血輸出の損失が内地農民のほうに転嫁せられておるのじやないかと、そういう価格上の農民から言えば疑念がある。それに対してどうやつて行くのだという話は、御尤もだと思います。従いまして、肥料対策委員会の答申もほぼまとまりましたが、その中でも、私は、そういう適正な安定価格政策を強くとつて行きますためにも、どうしても最小限、生産コストの調査ができますように、今国会中に法的措置を講じたいという考えでおります。(拍手)    〔政府委員横田正俊君登壇拍手
  23. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 只今数点の御質疑がございましたが、最初に、カルテルを認めると、それが突破口になつて独占禁止法が骨抜きになるのではないかという御質疑がございましたが、今回の改正案によつて認められまするカルテルの範囲は極めて狭いのでございまして、財界の一部からは、もうと大幅に緩和して欲しいというような要望もございましたが、それとは甚だ違つた線で、このカルテルの運用が認められております。その意味におきまして、これが突破口となりましてカルテルがあちらにもこちらにもできるというようなことは絶対にないと考えております。  なお、一旦認可した後にいろいろ弊害が生じた場合にどうするかというようなお話でございますが、この点は、認可をいたしまする際にも、アウトサイダー、関連業者或いは消費者の利益を害しないように、十分な法律上の要件が規定してございまして、先ずその点で不必要なカルテルができないようにいたしますると同時に、許しましたる後におきましても、いろいろな弊害が出て参りますれば、その場合には、通産大臣も、又公正取引委員会からも、この取消の手続ができるというようなふうになつております。要は、法律はそういうふうにできておつても、現実法律通りに行われるかどうかという点にかかると思います。その点につきましては、この法案が若し成立いたしました場合には、我々といたしまして十分の注意をして参りたいと考えております。  なお、屑鉄の購入問題につきまして御言及がございましたが、今回の合理化カルテルの一部といたしまして、屑鉄の購入に関しまして或る程度のカルテルを結ぶことのできることが予定されておりますが、現にこの屑鉄の購入に関しましていろいろ問題がございまして、公正取引委員会におきましてはすでにその問題を取上げまして、いろいろ調査をいたしております。改正法におきましても、屑鉄の購入を無条件に認めるわけではないのでございますので、十分に調査をいたしまして、改正法の結果と晩入合せまして適当な処置をいたしたいと考えております。  次に、株式保有、役員兼任に関して非常な緩和をした結果、いろいろな弊害がありはしないかというお話でありますが、この点も、今までの我々の実務上の感覚かもいたしまして、この改正案程度の緩和をいたしましても差支えないというふうに考えまして、あの程度の緩和をいたした次第でございます。この点も、今後届出制度等を十分に活用いたしまして、弊害の起ちぬようにいたしたいと思つております。  不当な事業能力の較差の排除の規定を削りましたのは、先ほど通産大臣から申しましたように、これはアメリカにも実はないところの規定でございます。アメリカの判例によりましても、事業の大きいことそのものを違法とすることはできないということになつておるわけでございます。結局その大きいことが独占に繋がつて参るし、或いはその大きいが故に他の産業圧迫して行くという危険性があるわけでございまするが、その大きいことそのものを取上げるということをやめましで、今回の改正によりましては、結局、独占に行きますればそちらの第三条によつて処理いたしまするし、なお今回の改正の中には、経済力を濫用いたしまして他の事業を圧迫する事柄に対しましては、「不公正な取引方法」の中において特に考慮をいたしまして、只今較差の規定を取りましたことにより生ずる或る面の手当をいたしたわけでございます。  最後に、カルテルの認可の問題でございますが、これは最初公正取引委員会が作りました案は、すでに御承知通りに、所管大臣の意見を尊重して公取みずからが認可をいたすということになつてつたのでございますが、先ほど申されるような通産省のほうの意見もございまして、結局最後に政府の最高首脳部のところでこの改正案のような形になつたわけでございます。公正取引委員会といたしましては、通産大臣の認可の前提といたしまして公取の認定というものを絶対の要件といたしておりまするし、或いはカルテルの変更を命じ或いは取消を命じます場合も、すべて公正取引委員会の認定を前提といたしておりますので、我々の立場よりいたしますカルテルによる弊害の除去には、これで十分だと考えております。(拍手)    〔岡田宗司君発言の許可を求む〕
  24. 河井彌八

    議長河井彌八君) 岡田宗司君。    〔岡田宗司君登壇拍手
  25. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 吉田総理大臣にお伺いしたいのでありますが、只今の御答弁によりますというと、先に占領時代に独占禁止法が制定されまして、これによつて日本経済組織が根本的に覆えされた、非常な行き過ぎだからこれを直すのだ、こういう御説明であつたのであります。日本の戦前の経済組織、特に戦争中のなに等を見でおりますというと、日本におきましては御承知のように、三井、三菱そのほかの大財閥がある。そうして又通産大臣の言われる、底の浅い経済であつたにもかかわりませず、巨大なカルテル、トラスト、コンツエルンが支配しておりましたことは、紛れもない事実であります。これが日本経済組織であつたのであります。これが根本的に覆えされた、それが悪い、だからこの法律を直すのだ、こういうことになりますというと、やはり根本精神は、財閥、カルテル、トラストの支配を許す、これを基礎にしたところの日本経済組織に復元するのだということを意味しているのだ。(拍手首相はそういうお考えでこの改正案を出されたのかどうかということを第一点にお伺いしたい。  それから、只今公取委員長のお話を聞いておりますというと、公取委員会のほうで作りました最初の案は、やはりカルテルの認可の問題につきましては、これは公取委員会でやるというふうなお話だつた。ところが、上のほうへ行つて、閣議か何かで、急にどうも主務大臣の認可ということになつたのは、法体系を乱すも甚だしい。一体何のためにそういうふうに通産大臣に認可権を与えるようにきめられたか。この閣議におきましてそういうふうにきめられました理論的根拠、法的根拠をお示し願いたいのであります。  以上二点をお伺いいたします。    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  26. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  私の申します独占禁止法の観念或いは由来と申しますか、の精神のうちには、日本の軍、兵力、戦争、戦力の回復というよりは、むしろ戦後における日本経済競争を恐れる向きが相当あつたのであります。独占禁止法等も、禁止法制定者のうちには、戦後における日本経済回復若しくは国際貿易上の競争というようなことを考えに入れておつた人もあろうと考えます。現にそのために、日本経済……そのためにとばかりは言えませんが、戦後日本経済力は誠に薄弱な、基礎の脆弱なものであつたことは、これは事実であり、又、現在日本貿易における将来についても御懸念がある通り日本貿易の前途に対しては幾多憂うべきこともありますが、その一つは、日本経済力が強固でない、或いは又、日本の競争力が幾多の支障を戦後において生じておつたというその原因の一つも又、独占禁止法等による日本経済の破壊、と申しては悪いかも知れませんが、戦前のごとき有力な力でなかつた。力がない、基礎がないということは、事実として認めなければならんのであります。故にそのために独占資本を復活せしめようという趣旨ではないのであります。即ち独占禁止法の行き過ぎを是正するというだけの話で、そのために独占資本を復活せしめようということは、政府考えておらないところであります。    〔国務大臣岡野清豪君登壇拍手
  27. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  この前の法案では通産大臣に認可権がなかつたのを、今回の改正案におきましては認可権を通産大臣が持つということになつた、これについてどういうふうな経緯かというようなお尋ねでございますが、(「違う違う」と呼ぶ者あり)これは先ほど私が申上げましたように、日本産業経済の全責任は私が持つておりますが、公正取引委員会というものは、法律的に独占禁止ということをいたしまして、そうしてこれを日本経済が独占化しないようにやつて行こうという、法律を守つて、これでやつて行こう。そうしますと、我々といたしましては先ず第一に、経済の不況であるとか、合理化しなければならんというようなことの判断から、又、していいか悪いかということは、どうしても私の責任でやらなければならない。この意味におきまして私は認可権を持つべきであると思います。又同時に、そういうことを今公正取引委員会のスタッフにおいて、一体、通産省と同じようなことができるかと言いますと、これはできないと思います。併しながら、通産省は認可権を持つたけれども、これこそ独占して認可権を持つわけではありません。(「狂人に刃物だ」と呼ぶ者あり)公正取引委員会が十分なる法的根拠から見まして認定をしてくれなければできない次第でありますから、私は両方相待つて国の産業が進んで行くと、こう考えてやる次第であります。    〔岡田宗司君発言の許可を求む〕
  28. 河井彌八

    議長河井彌八君) 岡田宗司君。    〔岡田宗司君登壇拍手
  29. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 只今の吉田総理は大変御立腹のようですが、私がお伺いしたことはよく御了解になつたかどうかが疑わしい。御答弁の中におきまして、やはり繰返して言われることは何かと言いまするならば、私の先ほどの質問に対してお答えなつたことと同じなんです。つまり戦前には日本は、財閥や、カルテルや、トラストのとうな強大な資本があつて、それで日本経済が強かつた日本経済を強めるためには、やはりそういう組織を作らなければならん、こういうことがあなたの根本の考えにある。どうしてもあなたのお考え方は、この巨大なる資本力を持つところの会社が日本経済を支配するということが、日本経済力を強め、貿易の力を強める第一だとお考えになつておる。それこそあらゆる巨大なる資本が経済の支配者であるということをお認めになつておることにほかならないじやありませんか。あなたが二度繰返してそうおつしやつておるのは、明らかにあなたがそういうことをお認めになつておることだと思うが、その点もう一度お尋ねしたいのであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  30. 吉田茂

    ○国君大臣(吉田茂君) お答えをいたします。  同じ人間でありますから、答弁はやはり同じようなことを申しますが、繰返して申しますが、独占資本強化のためを目的といたしておるのではないのであります。(拍手)     —————————————
  31. 河井彌八

    議長河井彌八君) 永井純一郎君。    〔永井純一郎君登壇拍手
  32. 永井純一郎

    ○永井純一郎君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして総理以下各関係大臣にお尋ねをいたします。  なお、我が党は本改正案に対しましては、先国会において、不況カルテル、合理化カルテル、アウトサイダー等の点につきまして、具体的な質問をいたしております。又、同僚岡田君から只今質問があつた点、これらの点を重複を避けまして質疑をいたして参りたい、こういうふうに考えます。  私は先ず総理にお伺いをいたしますが、去る五月の半ばに発表されました経団連の基本経済政策に関する意見書、これに類するその他の意見書もありまするが、これらを見まするに、実に勝手極まることを並べ立てているのでありまして、一口にこれを申上げますと、第一に、法人税等を初めとして、資本の蓄積を名としてなし得る各種の免税措置を、自分たちのためにもつと広汎に徹底的に行えということである。第二には、今日のコスト高を補いまするために、国庫の補給金、補助金政策をとり、国家財政、国民大衆の犠牲において、その負担によつて今日の危機を切抜けようとするものである。第三には、ここに提案されておりまする独占禁止法の改正を行えということであります。即ち恐慌の負担をいよいよ消費者大衆に転嫁せんとするものである。第四には、防衛生産、軍需生産を行えということであります。総理はこの意見書を御覧になつていると思いますが、これを要するに、以上の諸施策を通じて、国内購買力の圧迫特需の出血受注による今日の危機を乗切ると共に、資本家の手による資本の蓄積を強行し、併せて計画的軍需生産の増大を図つて、実質的再軍備を促進せんとするものであります。而してこの経団連の意見書はすでに政府に提出済みであります。即ち、木村保安庁長官の警備五カ年計画を初め、減税案、独禁法の改正、スト規制法案等等、すべてこの財界の意見書に忠実に副つたものであると考えられるのであります。我が国におきましては到底両立し得ざるところの資本の蓄積と再軍備を無理やりに両立せしめんとする結果は、結局、一面において国民生活の向上を阻んでこれを犠牲とし、他面、結局、他国の、特に米国のMSA等の軍事的援助に結び付かざるを得ない羽目に立ち至るのは、私は必定のことと言わなければならんと考えます。  吉田内閣は、その第一次の当初より、国民経済の民主的で健全な発達を図ることを窮極の目標とし、そのために障害となる各般の不当な協定等を排除し、又、独占的企業集中体の発生することを防止しなければならないと言い、私的独占、不当な取引制限等を排除して、経済の民主化を図ることが極めて緊要であると、品では今日まで主張し続けて来ております。この改正案の提案理由にも再び同じことを言つておりながら、政府は今日までにもすでに財界の要望に応えて、独禁法の大幅改正によつて日本経済民主化の基本と言われた独禁法を実質的に骨抜きとして、財閥、コンツェルン等の生れる余地を作り、その後、今日まで独占体の発展を放任して来ましたが、ここに又再び財界の要望に応えまして、むしろ今度は積極的にこれを助長せんとしているが、ここに総理は、今日はもはや、先ほどの岡田君に対する答弁によつても、総理考えはほぼわかるのでありまするが、私は半面からそれではお尋ねをいたしまするが、もはや経済の民主化は今日は不必要であると、こういうふうに認められておるのかどうか、これを伺いたいのであります。若し幸いにして、そうでなく、経済の民主化は必要であるというのであれば、それでは現政府経済民主化のための如何なる政策を有しておられるのであるか。これをここに明らかに示されたいのであります。  次に第二に、公正取引委員会委員長及び通産大臣に同時にお尋ねをいたしますが、今日我が国におきましては、現実には資本の集中は著しく進行いたしております。今日の独禁法下においてもどんどん進行いたしております。公取委員会の調査によりますと、資本の集中度は日本のほうが例えば米国等よりも遙かに高く、例えば自動車においては、米国では三社で生産の八〇%を占めておるのに対しまして、日本では実に九八・八%である。製鉄関係では、米国が三社で五九%を占めるに対し、日本は九〇%に達しており、アルミニウムにおきましては、米日共に三社で一〇〇%を占め、又、紡績等におきましても日本のほうが集中度が遙かに高いし、硫安工業等においても十社で九〇%を占めておるのが我が国の実情であります。で、今後この法の改正が行われまするならば、これら各種の部門に亘つてその集中度が更に急速に高まつて行くことは明らかなところであり、即ち、今日独禁法緩和を背景としまして、すでに産業界においては企業体系が再編成されつつあります。三菱系の四貿易会社の大合同計画を初めとして、多くの産業部門にこれが見られると同時に、特に注目すべきことは、銀行と産業との結び付きが種々の形態においてどしどしと強化され、旧財閥銀行の旧財閥産業への融資の集中化が行われて、再びここに独占的金融資本化への傾向の著しいものが見られるのでございます。従いまして、今般の独禁法の改正に対する中小企業者の反対は非常なものであります。政府はこれを一体どう見ておるのであるか。中小企業は、この恐慌下におきまして、操短によつて自分たちの苦境が救われると考えて、中小企業安定臨時措置法を推進いたして来ましたが、同法によつて実際に操短を行なつているものは、僅かに希出絹人絹織物とマッチの二つぐらいであると思いまするが、又たとえ操短をやつたとしましても、実際にはその利益は紡績等の大資本に帰してしまつて、結局中小企業は高い原料を押付けられるだけとなり、いわゆる原料高、製品安に悩まざるを得ないということを、身を以て知つたからでございます。従つて、中小企業者を初め農民や消費者大衆は、独禁法を改正するどころではなくて、むしろ逆に、現在の紡績、化繊の操短、鉄鍋の建値制度、石炭、化学肥料、砂糖、セメント、紙等における独占資本の独禁法違反の事実に目をつぶつているところの公取委員会の微温的な態度を激しく非難いたし、且つ現実に独禁法を蹂躙している大企業、及びこれとなれ合つて、むしろそのお先棒を担いでいるところの現政府に対して、猛烈なる反感を持つてこれを非難している有様でありまするが、今日この公正取引委員会は独禁法の違反の実情を一体何と見ているのでありますか。これら特定産業の独占化の方向というものを今日の独禁法下においてすでに容認しているのかということを私は先ずお聞きしたい。容認しているとは言えないはずである、法が厳存する以上。若し公取委員会なり通産大臣が容認をしていないと言うのでありまするならば、今日のこの独禁法の違反の諸事件に対して具体的に一体どう措置をするつもりであるか。これを私は先ずはつきりと法の審議に入る前に伺わなければならない。公取委員長と通産大臣から同時にこれは一つお伺いをしたい、こう考えます。  特に公取委員会の横田委員長に私は申上げたいと思いまするが、これは質問ではなくて、念のため申上げるのでありまするが、今日、公取委員会は、或る種の産業の大手筋が、あなたのほうが提出を要求した資料、数字を経団連を通じて拒否した事実があると仄聞いたす。時の権力をバツクにしたそういう勢力に屈しないで、司法的特別の性格を持つた公取委員会が断固としてみずからの強制調査権に基いて仕事をすべきである。権力に屈してはならない。そのための特別の機関であります。私は二の点を特に申上げる。明日からでも積極的に活動して頂きたい。特にこの点につきましては、中小企業者、肥料における農民、消費者大衆が、公取の断固たる態度に出んことを待つているのです。これらが公取委員会の正しい権利の行使に双手を挙げて支援をいたします。あなたは徹底的に明日から一つ活動して頂きたい。こういうことを、私は質問ではなしに、あなたに申上げたい。こう考える。  次には通産大臣にお伺いをいたしまするが、政府は、一方において日本産業の高コストを低下させると称し、企業合理化を促進させると称して、税制、金融等の面において多種多様の優遇策を大企業に対してとりながら、他方においては操短を公然と認めて、価格の吊り上げをなそうとしているのは、重大なる矛盾であります。公然たる或いは隠然たる操短実施の結果は、国際市場価格の低落にもかかわらず、日本商品は、綿糸、人絹、スフ糸、鉄鋼、アルミ、硫安等、順次相場は高騰し、このため従来世界的に割安であつた繊維製品の幅は大きく縮小され、重化学工業製品の割高の幅は更に大きくなりつつあります。かくのごとくして、比較的割安のものであつた綿糸布、人絹糸等においても、国際競争に敗るるに至つております。三、四カ月前であつたと思いまするが行われた台湾における綿糸の国際入札においては、日本が五二・五セント、イタリアが四二セント、香港が四四セントで、日本品を著しく下廻りましたし、又インド向け人絹糸輸出においても、イタリア人絹糸は日本の輸出価格をポンド当り一〇セント以上も下廻る価格で引合いを出し、日本は敗北しておる実例があります。而してこの傾向は順次顕著になりつつあると見られるのであります。ここに政府はこれらの国際競争の現状に対しまして、独禁法を改正することによつて一体どう対処しようというのであるか。具体的に一つこれを承わりたいのであります。即ち、硫安のごとく、海外にはダンピングをやつて、その償いをいろいろ理窟を付けてみても、結局、国内価格の吊り上げによつて消費者大衆に負担を転嫁せんとするものと思われるのでありまするが、その点を明瞭にお伺いいたしておきたいと考えます。  次に第四は、日本における独禁法の大幅改正が行わるるに当つては、日本のガツト加入がいよいよ困難になるという点についてであります。日本のガツト加入については、なかなか円滑に進んでおらず、今後なお一年くらいを要するであろうと見られておりまするが、特にイギリス等を初めとする諸国は、日本における独禁法改正の経過を静かに注目し、若し大幅改正を行えば、これを口実に日本の加入を阻止せんとしていると見られておりまするが、この点に関する政府見解を、これは通産大臣から承わりたいと存じます。  第五番目に、私は、政府がどうしてもこの独禁法を改正せんとするならば、同時に的確な中小企業対策というものがなければならんはずと思うのであります。今日、中小企業者や農民、消費者大衆が、衣類や、肥料や、砂糖や、その他の物資を通じて考えておりますることは、政府は独占資本と馴れ合つて、今日の独禁法下におけるおびただしい且つ重大なる違反事件を黙過して、政治的に力の弱い公取委員会に圧力を加え、このまま手を着けずに済まして、ここで独禁法を大幅に改正して骨抜きにしてしまい、只今の黙過している違反事件をすべて合法化せんとしているものである、こう見ておる。目先の利潤を追つてやまないところの企業家、財界人の執拗な強要に屈して、この改正案を再び提出して参つたと見ております。若し、そうでない、独占資本との馴れ合いで出したのではないと言われるならば、私はここに、同時に、少くとも的確なる中小企業対策だけは提案されて参るべきものである。即ちカルテルが行われる場合には、それはどうしても基礎部門に独占ができ上ることになつて、それが加工業者特に中小企業者を圧迫するに至ることは見やすいところでありますし、現に今日でもすでに、前述いたしました通り、その圧迫を受けて困窮をいたしておるのでございます。政府がここにあえてこの改正案を通そうというのであるならば、同時に、如何なる中小企業対策を有するものであるか、お伺いをいたすものでございます。  最後に簡単にお伺いをいたしまするが、経済審議庁長官にお伺いをいたします。御承知のごとく、独占利潤を伴わない、或いは独占利潤を目標としない、単なる合理化、組織化のための独占資本というものは、私はあり得ないと考えます。そこで、独占の持つ合理的な面、即ち組織化された力によつて能率を上げ、労働生産性を高めて行くところの、この合理的な面は、勿論我々も認むるものでございますが、それが独占利潤を伴つて、ために公共福祉国民経済の総合的円滑なる運行を妨げることに至る矛盾を見逃すことはできません。従いまして、この間の矛盾を避けて、独占の持つ合理的な面と公共の福紙とを両立せしめるためには、一歩進んだ新らしい経営の組織が必要となつて来るのでありますが……
  33. 河井彌八

    議長河井彌八君) 永井君、時間が切れました。
  34. 永井純一郎

    ○永井純一郎君(続) それは即ち、産業社会化によるよりほか、好むと好まざるとにかかわらず、他に途がない、こう考えるのでありますが、この点から考えまして、政府の今度の改正案は私は逆行である、こう考えておりまするが、……
  35. 河井彌八

    議長河井彌八君) 永井君……。
  36. 永井純一郎

    ○永井純一郎君(純) この点を審議庁長官からお伺いをしたいと思います。  時間が超過をして恐縮でございましたが、これで質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  37. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  経団連の意見書なるものは政府は必ずしも賛成をいたすものではないのであります。即ち補助金政策政府のとらざるところであります。再軍備は政府反対いたしておることはしばしば申す通りであります。資本の蓄積は結構でありますが、兵器生産に関する意見については、政府は直ちにこれを採用することはできません。そこで、独禁法の根本精神である経済の民主化、この民主化に原側に対しては、政府は決してこれを否定いたすものではないのであります。先ほども申した通り、独占禁止法の行き過ぎを是正するにとどまつて、その原則を蹂躙せんとする、或いは無視するとか、或いは否定せんとするものでないことは、しばしば私が申した通りであります。(拍手)    〔国務大臣岡野清豪君登壇拍手
  38. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  資本の集中が非常にできつつあつて、そして又、昔の財閥が出て来るような情勢にあると、こういうような御説でございますが、どうも、私、経済実態から申しますと、そういう判断がつかないのでございます。実は私は通商産業大臣といたしまして、ただ日本の自立経済を確立して行くには、何が一番必要かと申しますれば、貿易、特に輸出の振興ということが一番大事だと思つてつております。ところが、これに対していろいろな欠点もございますから直さなければならんこともございまして、これを改善して行きたいと思います。その重要なる一つに、日本の商社並びに生産者が弱体である、こういうことが浮び上つて来るのであります。外国貿易と申しますれば、外国と相撲をとるわけでありまして、外国の生産者並びに商人と太刀打ちのできるようなものになつて欲しいということが、私の考えでございますから、その点、私は独占資本という言葉がどうかと思いますけれども、そういうようなことじやなくて、正々堂々と実力が増加して行くということは最も望ましいことではないかと、こう考えております。これは私の意見でございます。  それから、今何か独禁法で今でさえ骨抜きになつておる、いろいろ脱法行為があるというようなことでありますが、私の聞いております範囲におきましては、何か公取委員会で只今審議中であるとか、或いは化繊の問題があるそうでございます。併し、ほかにはこの独禁法がそんなに脱法されて行われておるとは私は考えておりません。又実情はそうであろうと思います。  それじや今度独禁法をこういうふうに緩和して中小企業が非常に困るのじやないか、こういうようなお話でございますが、これは私は、今度の不況カルテル、合理化カルテルというようなものにつきまして見ましては、中小企業並びに一般の消費者を加えまして、もうこれで立つて行かないというような不況が来たときには、やはりこれを救う途は今回提案しましたような改正案で行くよりほかに方法がないのじやないかと思います。それから一面、私どもは、中小企業に対しましては十分政府といたしましても心を用いてやつておることでございまして、従来まで金融の円滑化とか又安定化、合理化、組織化というような、いろいろな諸般の施策を進めておる次第でございまして、その意味におきまして私は今後とも中小企業に対しては細心の注意と十分な援助をして行きたいと思います。なお、この独禁法が改正されますにつきまして中小企業安定法も強化して行きたい。この改正案は何か議員提出になつて出て来るそうでございます。我々としても御協力申上げておる次第でございます。  それから綿糸布というお話でございましたが、日本産業で、コスト高、コスト高と外国と太刀打ちができないということの一般的の考えが出ておりますときに、やはり綿糸布、即ち繊維工業というものはまだ国際競争力が残つておる。なぜこれが進展しないかという原因は、結局相手方が輸入制限をやつておるということなんです。これは輸入制限をやつておるためであつて、そうして国際競争力がないということじやないのでございますから、この点は私は見解を異にいたします。そのために、いろいろ外交交渉を通じまして、できるだけ向うの扉を開いてもらおう、こういうことに努力しておる次第でございます。  それからガツトの加入の問題でございますが、これは私の見解では、イギリスも無論日本経済情勢を注視しておることも事実でございましよう。併し、この程度の独禁法の改正というものにつきまして、ガットに加入させる、させぬというような、大きな条件になる問題じやない、こう考えております。ガツトの加入が遅れておりますのは、米国の関税政策というものはどうなつて行くかということが、まあ唯一の原因のように私は考えております。  それから合理化の点につきまして、独占資本がますます大きくなつて行くのではないか、こういうようなお話でございますが、今回の改正によりまして合理化いたしますところの方法としましては、むしろこれは資本独占、いわゆる企業が集中するのではなくて、むしろお互いに協調して、お互いの機械設備とか何とかいうようなものを直して行きたい。例えて申しますれば、A、B、C、Dが皆一貫作業をやつておりましても、それではばかばかしいから、一つAの会社はこういうものを造ることになり、Bの会社はこれを運ぶとか何とかいうようなことにして分けてやる、即ち大きな意味の合理化でございますから、これによつて独占資本が強化されて行くとか何とかいうことは私は当らないと、こう考えております。  これを以て私の答弁といたします。(拍手)    〔政府委員横田正俊君登壇拍手
  39. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 最近の各業界におきまする独占禁止法違反、或いはその疑いがある問題に対して、公正取引委員会が一向働かないではないかというような御質疑でございましたが、この点につきましては、いずれ委員会におきまして、現在公正取引委員会が調査いたしておりまする問題を詳細に御報告申上げたいと思つております。綿紡、化学繊維、自動車タイヤ、過燐酸石灰、苛性曹連、薄板、綿材、硫安、石油、砂糖等の各業種につきまして着々調査を進めておりまして、このうちで或いはすでに石油、スフ、自動車タイヤ等につきましては、正式の事件として取上げておりまするし、或いは綿紡、鉄の関係、硫安、砂糖等につきましては、御承知のように警告という形式で一応の処置をいたしております。今後もこの調査を続けまして今回の改正法の成立と睨み合せまして、(「睨み合わす必要はない」と呼ぶ者あり)適当の処置をとりたいと考えております。(拍手)     —————————————
  40. 河井彌八

    議長河井彌八君) 八木幸吉君。    〔八木幸吉君登壇拍手
  41. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は、只今議題となりました独禁法改正案に対し、改進党を代表いたしまして若干の質疑を試みんとするものであります。  御承知通り、この法律は、我が国が連合国によつて管理されておりました昭和二十三年三月、連合国司令部の指令によつて成立いたしたものでありまして、昭和二十三年七月公布されました事業者団体法と共に、いわゆる経済民主化を目的とする対日管理政策の一環をなしたものであります。併しながらこの法律は、六十数年の経過を辿りましたアメリカのアンチ・トラスト法を基とし、更にこれを体系化し、或る部分はむしろこれを強化したものでありますから、アメリカに比較して遙かに経済的基盤の脆弱な敗戦後の我が国の実情に副わないのも又当然の帰結でありまして、却つて我が国産業発展阻害するものとして、各方面の批評の対象となり、遂に今回の政府の改正案となつて現われましたのも、自然の成行きと申さなければならんと思います。反トラスト法の効果につきましては、多年の歴史を有するアメリカにおいてさえなお疑問を持つ学者もあるくらいでありますが、我が国においてはこの独禁法の根本的改廃等を論議すべき時期ではありませんが故に、現在の段階においては、その実際に適合せざる部分を改正し、これを育成するという立場に立つて質問を進めんとするものであります  私の第一にお伺い申上げたいのは、この法律案の根本観念は何であるかということであります。この法律によつて取締らんとするところは、企業の共同行為であるのか、又は公共の利益に反する行為であるのか、いずれかということであります。この法律の目的は、私的独占を禁止し、不当な取引を制限して、公正且つ自由なる競争を促進し、以て国民経済発展を期せんとするのであります。この目的として掲ぐるところの前段は、取りも直さず、自由競争原理の上に立つて、公正且つ自由なる競争の制限は、ずべて社会的罪悪なりとなし、独占や競争を制限する行為の形そのものを取締の対象として、その行為の内容や結果には触れず、その行為が社会に与える効果、即ちそれが公共の利益に反するや否やは問わない建前になつてつたのであります。然るに今回の改正案におきましてま、一定条件の下に不況カルテル合理化カルテル等を認め、更に再販売価格の維持契約をも認むることとなつておりまするから、独占禁止法の基本線は後退を余儀なくせられ、その性格の上に一つの大なる変化を生じたと認めざるを得ないのであります。  ここにおいて私は、本法の基本観念を、イギリスの独占及び制限慣行法のごとく、公共の利益に反するか否かを取締の基準となすことに統一して、この観念の下に一貫した法律の体系を立てることが妥当ではないかと信ずるのでありますが、これに対する主管大臣の御所見を承わりたいのであります。  第二点は、私の只今申上げました公共の利益に反するか否かを取締の基準とするか、或いは独占又は競争の制限等の行為そのものを取締の対象とするかということは、暫らく別問題といたしまして、公共の利益とは一体何であるか、その意義を法文の上で明確にする必要があると思うのであります。公共の利益と言えば、社会の通念に従いまして、一見極めて明瞭のように考えられまするが、事実は必ずしもさようではないのであります。本案においては、消費者の利益が直ちに公共の利益と考えでいるかのごとき感がありまするけれども公共の利益とは、単に一時的の消費者の利益だけではなくして、長い目で見た国民経済全体の観点、即ち、消費者は勿論、生産者も流通部門その他の者も包含した社会全般の利益ということでなければならんと思うのであります。又その国の現在置かれておる情勢従つて、その内容は必ずしも一定不変のものであると申すことはできません。経済的に高度に発達しておるアメリカにおいて取締の対象となつておるものが、経済発展の程度の低いヨーロッパにおいては取締の対象とならないことは、アメリカの反トラスト法とイギリスの独占並びに制限慣行法の内容の差異から見ましても、極めて明白な事柄であります。従いまして、再建途上にある日本現状において、公共の利益とは如何なる内容を持つべきであるか、条文の上に明確に定義する必要があると思うのであります。この点に関し御所見を承わりたいと思います。  第三に私のお伺い申上げたいのは、本法においては不況カルテルと合理化カルテルとを認めておるのでありますが、これら特定の場合における企業者の共同行為は公正取引委員会に対する届出制度となし、その他の不特定の場合の共同行為についても、公正取引委員会が一般に公共の利益に反せずと認めた場合においては事前認可事項として認むることが、我が国経済の実情に適合するという主張がありますが、これに対する御意見を承わりたいのであります。  第四点は、企業の共同行為を認むる範囲に関する問題であります。本法案によれば、協定の認められる業種は生産業者のみに限られておるのでありまして、販売部門に関しては何らの考慮が払われておらないのであります。従つて不況対策上万全を期することができません。これを綿糸布、スフ、絹、人絹等の織物業者に例をとつて申しまするならば、戦前は、販売部門、特に卸売段階が金融的に充実していたがために、相場の不当なる暴騰暴落を抑制して、極めて弾力性ある市況を保持し得たのでありますが、戦後はこの段階が資力的に脆弱化いたしましたがために、実勢以上に市況を刺激する場合が少くなく、且つ手形の取引を主体といたしておりまするがために、不況時において最も深刻なる打撃を受け、これが中小企業にしわ寄せせられまして、又一面、卸売部門の投売、倒産等は、逆に生産部門にまで波及することとなつたのであります。従いまして、国民経済上効果ある不況対策を樹立するためには、ひとり生産業者のみならず、販売業者にもその共同行為を認むる必要を痛感せざるを得ないのであります。政府はこれに対して如何なるお考えであるか承わりたいのであります。  第五点は、国際カルテルの問題でありますが、改正案第六条の規定は、国際カルテル加入の当否については極めて明確を欠くのでありますが、我が国経済発展に役立つ場合には国際カルテルに加入し得る規定を追加する必要はないか、お伺いする次第であります。  第六点は、公正取引委員会の構成に関する問題でありますが、現在はその構成は単に法律家のみに限つておりますが、産業及び経済の実情に通暁する者並びに経済官庁の責任者等も参加せしめるの必要はないか、お伺いをする次第であります。  第七点は、貿易振興問題と本法との関連についてでありますが、本法案は、貿易カルナルの問題については、その詳細の規定を輸出取引法に譲つておりまするが、企業の共同行為の必要なことは、単に輸出貿易のみならず輸入業者にもひとしくこれを認むるの必要があるのではないか。これに関する立法措置を政府はお考えになつておるかをお尋ねいたしたいのであります。  第八点は、本法の改正と中小企業の安定に関する問題であります。本法の緩和は、大企業を助長し、中小企業に圧迫を加え、その安定を脅かすものとして、中小企業者の常に憂慮するところでありますが、政府はこれに対して如何なる対策をお持ちでありますか。現在の特定中小企業の安定に関する臨時措置法を恒久立法として、且つこれを、手続の簡素化、運営の円滑化等により、業界の実情に適合するように強力に改正するの御意思はないかどうか、お尋ね申上げたいのであります。  これを要するに、本法案は、独禁法をして我が国経済界の実情に即応せしめんとするものでありますが、ひとり大企業の活動に便ならしめるのみならず、商業部門、中小企業者に関する対策の万全を期し、以て経済界全般としてのバランスのとれた振興に資するものたらしめんことを強く要望をいたしまして私の質問を終りたいと思うのであります。岡野国務大臣より御答弁あらんことをお願い申上げます。(拍手)    〔国務大臣岡野清豪君登壇拍手
  42. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  先ず第一に、カルテルのこれを届出制にしたらいいじやないかというようなお説をちよつと伺いましたが、我々もそういうことも考えないではなかつたのでありますが、併し何と申しましても、やはりこれは独禁法の本当の例外であつて日本国民経済全体に影響がある場合に、あれで若し日本経済を潰すというようなことがあつては困るというので、この不況カルテルと合理化カルテルとだけを取上げてやつたものであります。そういたしますと、これは独禁法の趣旨によりまして、本当に国民経済上必要であるかどうかということを十分慎重に考えてやらなければなりませんので、それを勝手にやらせておいて、あとで弊害があつたからこれを取締るということは、私は独禁法の精神から言つてどうも承知ができないという考えで、今回改正案のような趣旨で直したわけでございます。それで申上げておきますが、やはり根本精神といたしまして、どうしても独禁法というものは、公正なる取引をして国民経済全般にいい影響を与えるという、こういうことがいいものだと思います。  それから、この不況カルテルでございますが、これは生産と有効需要が不均衡であつて生産過剰から来るものでありまして、非常にその来かたが大きくなりますと、財界を潰す、即ち財界を潰すために、消費者を含めた社会一般の経済状況に非常な打撃を与えるとか、困難を与えるということがある。それを救うためのものでありますから、まだ我々といたしましては、卸売や小売が、即ち価格の点をやらすということは行き過ぎじやないかと、こう考えて、私は当面は必要がないものと、こう考えております。  それから輸入業者の協定を認める必要がないかというようなお話でございますが、これはお説と全く御同感でございまして、海外競争につきましては、輸入価格を非常に吊り上げて日本人同士が競争して、日本人同士が損をしておる。延いては国民経済に非常な不利益を与えておる。こういうことがありますので、これは貿易上どうしても何とかしなければならん。国会に出しておりましたか、これから出すのかと思いますが、輸出入取引法案というもので、このお説のような趣旨に副いまして、輸入業者の協定を認めようと考えております。  それから中小企業につきましても、これはもう至極御同感でございまして、中小企業がまあ心理的にも今度の独禁法改正につきましては非常に心配をされておる。又同時に、中小企業に影響を与えちやいかんということを我我も心配をいたしておりますので、これは恒久法にすることにし、同時に内容も相当改善して行きたい。これは議員提出でお考えになつておるようでございますから、我々といたしましては、それに御援助申上げましてやつて行きたいと、こう考えております。  それから国際カルテルに加入したらどうかというお話がございますが、併し私は只今段階ではそういうところまで考えておりません。  大体そういうようなわけでございます。(拍手)     —————————————
  43. 河井彌八

    議長河井彌八君) 木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇拍手
  44. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は、三月四日にこの問題について一度質問いたしました。そのときには、私は質問をしつ放し、総理初め各大臣は答弁のしつ放しで、要領を得ませんでしたから、重ねて質問いたしたいと思います。  私は、この前、私的独占禁止法は経済の民主化の基本法であつて経済憲法とも言うべきものであるから、この改正については、いわゆる憲法改正と同じくらいの慎重さを以て行わなければならない。ところが今度の改正法案を見ると、総理の言われる占領行政の行き過ぎの是正を更に逸脱して、この法案の一番基本精神であるところの経済の民主化を逆行せしめ、そうして経済憲法に違反すると、こういうところまで来ておる。その観点から、一体総理経済民主化ということをどういうようにお考えになつているかということを私は質問したのであります。ところが総理は、経済民主化とは、自由な私企業の創意と工夫を尊重して、その間の公正な競争を確保することによつて国民経済の健全なる発展を期待する、そういうことが経済民主化の基本観念である、こう答えられておるのであります。これは一応総理としてのお考えであつて、私も一応その立場は尊重いたします。で、私の経済民主化の考えは、この私企業の独占の排除と封建的な土地所有関係の排除、それから一般消費者の利益を考えて生産を行うべきであつて、資本の利潤を中心とした生産を行うべきじやない。これが私の経済民主化の基本観念でありますが、一応、総理の、自由な私企業の創意と工夫を尊重して、そうして公正取引を確保することによつて国民経済の健全な発展を期待すると、そういう規定の仕方に基きましても、現実においてすでに独禁法の違反が広汎に行われておる。これまで各議員の質問に対して通産大臣は、そういう事実がない、こう言いながら、公正取引委員長は、目下広汎にいろんな各種業種に亘つて違反の嫌疑があるので、調査中である、こう言われておるんです。現実において、この自由な私企業の創意と工夫がすでに阻害されておる。非常な広汎なカルテルの結成或いは又独占企業の支配、こういうものがだんだん進んで来て、自由な私企業の創意と工夫は阻害されておるんです。現実にそうなんだ。この点、総理はどういうふうにお考えになつておるか。総理の民主化の基本観念と現実はもうすでに乖離しておるんです。そこのところは矛盾を来たしている。この点、総理に重ねて伺いたい。  更に又、私は、岡野通産大臣は非常に無責任な答弁をされておると思います。現実に独禁法違反の疑いがないと、そういうことはないと言われながら、これは「金融財政事情」という通信の六月九日号でありますが、公取委員会の事務当局の奥山という審査第二課長がこういうことを書いておるんです。「このようなカルテル的行為禁止規定違反被疑事件の実質的増加と、現実の違反事件の激減という相矛盾した現象は、自由競争原理を基調とする経済秩序の維持乃至促進を最高理念とする独禁法の内容の余りにも甚だしい変化を示すものというべきではなかろうか」、こう書いている。ですから、今の現実はもうすでに独禁法では賄えない状態にある。丁度今の憲法九条では、自由党の総理の言われる、再軍備が賄えない状態にだんだんあると同じように、今の現実の事態は、誰が見たつて独禁法に違反してないということは、常識上考えつて言えないのです。明らかに違反しているのです。この点、私は、公取委員長も、国会の答弁がそれで済めばいいという考えではなく、又岡野通産大臣もそういう無責任な私は答弁をさるべきではない。更に又、企業の合理化の点についても、先ほど、これによつて中小企業が被害をこうむるのじやないと言いますが、政府の今の合理化の基本観念は優秀企業を中心として整理して行こうというのじやありませんか。いわゆる生産費、ハルク・ラインを引上げて、低生産費企業に集中して行こう、これが合理化の精神である。ですから中小企業を整理するということが前提になつている。この独禁法改正はそれに対する一つの基礎を与えるものである。こういう観点から、この独禁法改正はこれは非常に重大な問題があると思うのですが、この点について私は、通産大臣、それから総理に対して、現実はすでにもう総理の言われる経済民主化の観念を、根本精神を覆えしている、この点についての総理の御見解を伺いたい。  更に、今度の改正案によりますると、一層これが助長され、第九条或いは第十条の改正によつて一層これはこの企業の独占的支配が非常に強化される。それから更に総理に対して、この前、独禁法の改正の根本精神について伺いましたが、総理は、独禁法制定当時の内外の経済事情と今日の経済事情とは相当違つているので、我が国産業を国際市場の現状に対応せしめるように改正したのだ。——ところが、現在は御承知のように国際市場の現状に即応せしめるためには、むしろ独禁法を緩和してはいけないのであつて、独禁法緩和によつて独占価格の吊り上げが行われれば、岡野通産大臣は、今政府経済政策の根本は輸出増進で行つておる、それにはコストを下げなければならないと言われるが、ところが緩和すると逆になるのです。コスト高になつて、輸出がますます困難になつて、結局、出血輸出、そうしてその犠牲を国内の独占価格の引上げによつてカバーする、いわゆる飢餓輸出の犠牲を独占価格の吊り上げによつてカバーする事態が起るのであつて、私はこの点はいわゆる自立経済政策を矛盾している。この点、私は総理にもお伺いしたい。今、自由党内閣の一番重要な自立経済政策と矛盾する。この点、総理は矛盾しないとお考えかどうか。  次に通産大臣に伺いたいのですが、この前の法律案を出して来たときと、今度出して来たときと、その改正の緩和の程度が更に拡大されているのです。これは一体どういうわけか。例えば再販売価格維持契約、いわゆる定価売り、これが今度は強制になつて来ている。それから不況カルテルについても、前は共同行為程度であつたが、今度は合理化カルテルについて生産分野協定を認める。前の改正案よりも更に緩和の程度が拡大している。これはどういうわけでそういうふうに拡大するようになつたか。これは私は、一層合理化を促進せしめる、つまり中小企業の整理を前提とする優秀企業中心の合理化を一層促進せしめるために、こういう前の改正案よりも更に緩和の程度を拡げた改正を出して来たと思うのですが、この点について伺いたい。  それから次にMSA五百十六条との関係を伺いたい。MSA五百十六条によると、いわゆる自由企業を前提としておるのであつて、カルテルその他をこれは認められないことが前提になつております。そこで、MSAを受けたときにアメリカからの域外調達によるそういうものはこれから除外されるのか。除外されるとなると、そういうアメリカからの兵器生産は除外されて、その他の企業について、カルテル、独占価格の引上げが認められると、非常に高い原料を使つてアメリカの域外買付は非常に安く作らされる。いわゆる出血受注がそこにはつきり出て来るのです。このMSA五百十六条との関係、それから今度の通商航海条約との関係、この点について伺いた  それから最後に大蔵大臣に伺いたいのですが、金融会社の持株可能限度を五%から一〇%に引上げ、更に認可があれば更に余計持つてもいいということになつておりますが、これは金融の独占支配をますます強化するものと思うのですが、この点について大蔵省側から伺いたいのと、もう一つ、政府はこれまで特需というものは輸出である、輸出であると言つていた。輸出であると言うならば、特需が輸出であるならば、どうしていわゆる輸出取引法に上るところのカルテルの結成ができないか。通産省ではこれは輸出ではないと言つておる。
  45. 河井彌八

    議長河井彌八君) 木村君、もう時間がありません。
  46. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君(続) もうこれで終ります。輸出であるとしますと、これは輸出取引法によつてカルテル結成ができる。ところが輸出でないと、こう言つておる。そこのところに矛盾がある。その点について最後に伺いたい。  時間を超過して恐縮でございましたが、これを以て終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  47. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  このたびの改正は日本の現在の実際に副うように改正をいたしたいと考えるのでありますから、この改正によつて日本の自立経済の達成せられることは当然であると私は思うのであります。又独禁法の原則である経済の民主化という原則については、先ほども申す通り動かす考えはないのであります。その行き過ぎを是正するという点にあるのでありまして、基本原則である経済の民主化という原則を動かす考えはないということはしばしば申上げた通りであります。(拍手)    〔国務大臣岡野清豪君登壇拍手
  48. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  今度のカルテルの例外を設けましたことについて、これが独占化に役立つのではないかというふうにちよつと伺つたのですが、これは私は、生産過剰というものによつて業者がばたばた倒れて行きやせんか、こういうことが心配で、あの不況カルテルを作つたものでありまして、何も彼も独占になつて来るというようには私は考えません。  それから通商航海条約と矛盾するのではないかというようなお考えでございますが、成るほど日米通商航海条約を見ますというと、公正な競争原理を尊重しなければならん、こう書いてございます。併し世界の情勢を見ますというと、現在独占禁止法の行われております国は、米国が一番強いのでございましようが、日本、西独、英国、カナダなど少数の国でございまして、特に日本は、経済力の微弱なるにかかわらず非常に強大なる、米国の反トラスト法と同じような、或いはもつと厳格なものではないかと、こういうように考えられますので、日本経済の実情から見まして、少し行き過ぎておる。その点におきまして、イギリスの独占規制法とか、カナダの企業結合査察法とか、西独の競争制限防止法というようなものも、日本の現行独占禁止法に比べて非常に寛大であります。そこで今度国民経済の全体の面から見まして、不況カルテル、それから合理化カルテルという面を改正したわけでございます。無論、精神といたしましては、公正な競争を促進するところの独禁法の精神は、これは十分尊重して、そうしてただ一方に一本の経済の運行に役立つようにやつて行くというわけでございますから、航海条約におきましても、公正な競争の趣旨には反するものではないと私は考えております。  又MSAの問題でございますが、相互安全保障法の中に、御説のように、被援助国の自由競争を促進させるような方法で援助しなければならん、こう書いてあります。併しこの点におきましても、日米航海条約の場合と同じような見地から、MSA援助を仮に受けるといたしましても何ら矛盾を来たすものではないと、こう私は考えております。  それから先ほど私が違反が余りないじやないかと、ちよつと、こういうようなこともあると、こう申上げましたところが、公取委員長のほうでいろいろお調べになつていることがあるとお話になりましたので、私の答弁が無責任だと、こういうようなお話でございますが、私は被告をそのまま罪人と認めるということは、法治国である以上は、認めるのではなくて、公取が審判して、そうして如何にもそうであるというのが数たくさん出て来た場合には、違反があるということを判定いたしますけれども、嫌疑で公取でお調べになつている間は、私はないと考えております。(拍手)    〔政府委員愛知揆一君登壇拍手
  49. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 先ず特需と輸出の関係でございますが、国際収支上の問題といたしましては特需も輸出と相違はないという点につきましては、私どもも御指摘の通り考えます。ただ併しながら、輸出取引法の目的といたしておりまするところは、同法の第一条にありまするごとく、正常な輸出の場合における取引の秩序を確立いたしまして、これを通じて安定した海外市場の確保と発展とを図ることを目標といたしているのであります。これに反して、特需の場合におきましては、日本に駐留いたしまする米国軍という極めて限られた特需の発注者を相手方とする取引でございまするし、多くの場合その受渡しは日本国内で完了し、輸出取引法の目的とする正常なる輸出貿易とはおのずからその趣きを私は異にしていると考えるわけでございます。従つて、輸出取引法第五条の価格その他の取引条件についての協定を認める規定が特需については適用せられませんことも、同法の目的とするところから言いまして、私は当然のことかと考える次第でございます。  なお、金融機関の持株の制限の比率が五%から一〇%に上げられてございまするが、この程度のことでございまするならば、御懸念のような金融資本が産業を支配するというようなことはないと私は考えるわけでございます。(拍手
  50. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて質疑通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      —————・—————
  51. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、農産物検査法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。良林委員長片柳眞吉君。    〔片柳眞吉君登壇拍手
  52. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 只今議題となりました農産物検査法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会におきまする審査の経過及び結果を御報告申上げます。  本法律案は、農産物の検査を農産物取引の実態に即応せしめ、特に昨年六月麦類の統制廃止後において、麦類の取引事情に格段の変化を見、麦類は国の検査を受けなければならないことになつているにかかわらず、一部には未検査のままの取引が行なわれておりますので、かような事態に対処いたしまするだめと、更に今次の雨水害対策の一環といたしまして、麦類検査の規格の緩和を図り、政府において可及的に買入れしようとする趣旨から提出されたのでありまして、これが骨子は大要次の四点であります。  第一は、現行法におきましては、大麦、はだか麦又は小麦等、麦類の生産石は、その生産した麦類を売渡し又売渡しを委託する場合にのみ国の検査を受けなければならないことになつておりますが、これを改めまして、麦類の加工を委託する場合においても、自家用に供するもの以外はその委託前に国り検査を受けなければならないことといたした点であります。  第二は、現行法におきましては、検査は生産者のみを対象にしておりまするが、これを改めまして、米麦又は精米の売買取引又は加工を業とする者も、国の検査を受けなければならない米麦又は精米で未検査のものをその生産者から買受け、或いは売渡し又は加工の委託を受けてはならないこととして、検査の対象を流通又は加工業者にも及ぼすことといたした点であります。  第三は、現行法におきましては、農林大臣は検査の規格を設定し、変更し、又は廃止しようとするときは、その施行期日を定め、その期日の三十日前までにこれを公示しなければならないことになつておりまするが、併し過般の雨水害等、災害その他止むを得ない事情によつて農林大臣が必要があるこ認めるときは、公示の日から施行期日までの期間を短縮することができることとなし、災害実態に即応せんと下るものであります。  第四は、検査の目的の達成に資するため、農林大臣は関係者から報告を徴し又は立入調査を行うことができることといたそうとするものであります。  委員会におきましては、提案者代表及び政府当局との間に、未検査のまま取引された麦類の数量、未検査取引が行われるに至つた原因、公示期間短縮の実施方法、本年の雨害及び水害による罹災麦類の規格及び政府買上げ、或いはこれが救済策、麦類の検査手数料とその予算的措置、或いは寒冷単作地帯における農家その他零細な麦作農家に対して一律に強制検査を行うことの当否等、諸般の問題について質疑が行われたのでありまして、これが詳細については会議録に譲ることを御了承願いたいのでありまするが、併しその主要なる点についてこれが概要を申述べますると、「農産物検査は、その趣旨とするところは、農産物の生産者及び消費者に対するサービスにあるものと考えられる、従つて現行法にある生産者に対する罰則についてもすでに問題があるところであるが、今回の改正によつて、更に売買取引業者及び加工業者に対しても罰則を以て処置せんとしているもので、真に必要があればこれも止むを得ないことであり、又従来のように、生産者だけを処罰するやり方には不公平があるのであるが、これに関連して未検査麦の取引が増大するに至つた原因はどこにあるか」との質問に対しまして、「検査手数料の高かつたこと、或いは検査場所が限定されていたことにも由来するが、更に、麦の産地においては製粉会社或いは精麦会社が多く設けられておりまして、これが政府の買入価格を上廻つて麦の買入を行い、遂には未検査のものでも買入れをするという安易な取引が行われ、或いは生産者が仲介人の甘言に惑わされて、又農業協同組合に出荷すれば麦の代金は農業手形の借入金と相殺される等のため、農業協同組合に対する出荷を渋ることとなり、大局的見地からは不利とはなりまするが、併し一時的な利益を追つて未検査麦の取引が行われるに至り、昨年産麦は、取引数量二千万俵のうち、その二〇%、約四百万俵が未検査のまま取引せられたと推定され、今回検査手数料を引下げる等の対策を講ずると共に法制的措置をもとることとした」旨の答弁があり、又「麦類の検査手数料は、従来一俵当り二十円でありましたが、最近これを十円に引下げた」との説明に対して、検査費の収支関係及びこれが予算的措置が質されまして、これに対して、「一俵当りの検査手数料は半減されましたが、一方未検査のものの防止等のため検査数量が増加することとなり、結局において一億二、三千万円の歳入減となると思われ、これは食糧管理特別会計全体の問題として処理したい」旨の答弁があり、これに対しまして、農産物検査の費用のごときは一般会計を以て負担し、検査機構の縮小を来たすがごときことのないよう強く主張せられました。又雨水害の被災麦の検査及び政府の買上措置が究明せられ、これが救済について遺憾なからしめるよう要望されました。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、別に発言もなく、続いて採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  53. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  54. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  55. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第三、食品衛生法の一部を改正する法律案、(内閣提出)  日程第四、と畜場法案、  日程第五、民生委員法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長堂森芳夫君。    〔堂森芳夫君登壇拍手
  57. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 只今上程されました食品衛生法の一部を改正する法律案、と蓄場法案及び民生委員法の一部を改正する法律案に関しまして、厚生委員会における審議の経過並びにその結果について御報告申上げます。  先ず食品衛生法の一部を改正する法律案について申上げますならば、本案は本院先議でありまして、その提案理由及び内容は次の通りであります。今回の改正は輸入食品による危害を防止するため、衛生上有害の虞れのある食品の輸入を禁止し、食肉については、相手国政府発行の証明書の貼付されたものでなければ転入してはならないこととし、これらに違反して輸入された食品につき必要な行政処分を行うことができるようにしようとするものであります。即ち、戦後食糧需給の逼迫した際に輸入されました食品中には、衛生上如何わしいものがかなりあり、このため多くの中毒その他の事故の発出を見たのでありますが、食糧需給のほぼ平常化したと考えられまする今日におきましても、なお相当量の衛生上不良な食品が転入されている現状であります。この輸入食品による事故を防止いたしますためには、それを流通消費の段階において監視することも必要でありましようが、輸入食品は、もともと国内産の食品と異なり、製造、加工などの段階において我が国の監視を受けていないものでありますから、これだけでは不十分であります。どうしてもその輸入時に十分注意をして、衛生上不良な食品を輸入しないようにすると共に、万一衛生上不良な食品が絵入されました場合には直ちに適当な措置をとることが必要であり、且つ能率的であると考えるのであります。又食肉等は人畜共通の疫病の感染源となる危険性が強いものでありますので、国内においてはすべて屠場におきまして厳重な検査を経ておりますが、輸入食肉等につきましては、我が国においてのような検査を行うことができませんので、同様な検査の結果、安全であることを相手国に保証してもらう必要があると考えるのであります。  以上が提案理由並びに改正点でありますが、委員会におきましては、去る三日提案理由の説明を聽取し、七日の委員会におきまして慎重審議を重ねたのでありますが、その質疑応答の主なる点を申上げますと、輸入相手国及び輸人食品の取締の状況について如何との質問に対し、「昭和二十七年度において輸入されたものは原麦で総量五百万トンであり、主たる輸入相手国は、米はビルマ、タイ等の南方諸国であり、麦はカナダ、砂糖は北米、肉類は極め、少いが最近は沖縄から入つている。取締の状況については、輸入食品による危害を防止するために食品衛生監視員によつて抜取り検査を行なつておりますが、総検査数にして二千七百件、そのうちの一〇%、即ち約二百件が処分に付せられている状況である。昭和二十七年度主食については、米七件約五千トン、麦十八件約一万七千七百トン、乳製品十四件約三千トン、その他五件二万三千トンが処分を受けており、昭和二十八年度におきましては、今日までの輸入食品検査の結果は成績がよく、麦は処分を受けた例はなく、米について五件約二千二百トンが処分されている状況である」との答弁がありました。又絵入食品の検査に当る食品衛生監視員の配置はどのようになつているか、又現在の定員で現状は十分であるかとの質問に対し、「主要港七カ所に食品衛生監視員が配置され、抜取り検査をし、簡単なるものはその場所において行い、複雑なものは国立衛生試験所のある東京、大阪、門司において検査をしている。食品衛生監視員は現在三十七名でありますが「輸入食品の件数は厖大でありますので、全部を検査するわけには参りませんが、昭和二十七年度では総数二千七百件のうち一〇%を抜取り検査を行なつたのであるが、これで十分とは言えないが、総輸入件数の五〇%くらいは抜取り検査をいたしたい監視員の増員等も必要であるが、国家財政の面もあるので現状のままで行つて万全を期している」との答弁がありましだ。その他詳細なる質疑応答は速記録御覧願いたいと存じます。  かくて質疑を打切り、討論を省略して、採決に入り、全会一致を以て原案を可決すべきもと決定いたしました次第であります。  次にと畜場法案につきまして、審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず本法案の提出理由並びにその内容を御説明いたします。屠畜場は食用に供するための獣畜の処理が行われる施設でありますので、食肉の衛生を確保いたしますためには、屠畜場に対しまして十分な衛生面の監督が必要でありますと共に、一方、環境衛生の見地からも屠畜場の経営が衛生的に行われることが必要であります。このような意味におきまして、屠畜場及び食用の目的で行う獣畜の処理に関しましては、明治三十九年に制定されました屠畜場法によりまして今日まで必要な規制をして参つたのでありますが、この間、屠場法の部分的な改正はありましたが、本質的な改正を見ておりませんので、今日の社会情勢に適合しない点が存するのであります。例えば最近の農村の家畜の増産に伴いまして、屠畜場の適正な普及を図ることが必要と考えられるのであります。従いまして、今回現行の屠場法を廃止いたしまして、新たにと畜場法を制定しようとするものであります。現行の屠場法におきましては、屠畜場は公営の大屠畜場を原則的なものと考えておつたのでありますが、新たに簡易と畜場の制度を設けますと共に、従来の公営主義の考え方を改めまして、衛生上支障のない限り屠畜場の設置の途をできるだけ広くしたのであります。次に屠畜場以外の場所で食用の目的で獣畜を処理することができます場合を法律で明定いたしますと共に、この場合におきましても都道府県知事が公衆衛生上必要な指示を与えることができるようにしまして、獣畜の処理が衛生上適正に行われるようにしたものであります。更に屠畜場において行われます屠畜検査員の検査を受けていない食肉等を販売の目的で譲り受けることを禁止しまして、食肉の安全を図つたのであります。その他、屠畜場の監督に関する規定の整備を図る等、所要の改正を行なつたのであります。以上が本法案の大要であります。  厚生委員会におきましては、本法案について前後二回に亘り慎重に審議を重ねたのであります。その間、質疑におきまして論点となりました問題は、屠畜場以外の屠殺、即ち主として自己及びその同居者の食用に供する目的で、豚類の小動物を屠殺する場合の、地方末端におけるこれが解釈上の紛争を解決する点にありましたが、これに関しましては厚生省と農林省との次のごとき申合せ事項を了承いたしました。  屠畜場外屠殺は、実際に屠殺を行う者が主として自己及びその同居者の食用に供することを目的とする場合に限られるが、その場合数名の者が共同して屠殺を行う場合の、その共同した数名の者がそれぞれ主として自己及びその同居者の食用に供する目的で行う場合を含むものと解釈する。但しその数名の人数の範囲は、社会通念上、一頭の獣畜を共同して屠殺するのに通常予想される程度の人数であるべきことは当然であり、又これが運用上は、屠畜場が近距離にない場における止むを得ぬ場合の方法であつ、できる限り自家用の屠殺も屠畜場を利用するように指導する趣旨であることも又当然のことと解釈する、というのであります。  なお、本法の施行に当りましては、これが衛生上の取扱と、屠殺、解体の検査について十分吟味の上規定すべきことが要望されました。  かくして質疑を打切り、討論を省略し、直ちに採決に入りましたが、全会一致を以て衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  次に民生委員法の一部を改正する法律案について申上げます。  今回改正の第一点は、民生委員の職務につきまして、福祉事務所、その他の関係行政機関に対する協力関係を明確にしたことであります。即ち、昭和二十五年の生活保護法の改正によりまして、民生委員は、同法の実施について補助機関から協力機関に変更されたのでありますが、現行の民生委員法におきましてはこの点が不明確でありますので、今回、民生委員が福祉事務所その他の関係行政機関の業務に協力することについて特に明文の規定を設けまして、両者の職務内容と責任分野との明確化を図ることにいたしてあるのであります。又これと関連して、生活保護法第二十二条に規定する「求められたとき」の字句が、社会奉仕者としての立場から進んで保護指導の実施に当つております民生委員の積極的意欲を冷却する慮れがある現状に鑑みまして、今回これらの字句を削除し、民生委員が自発的に協力できるようにすることによつて、生活保護事務の円滑適正な実施に遺憾なきを期することにいたしてあるのであります。改正の第二点は、民生委員推薦会の組織を改めたことであります。即ち、民生委員推薦会は、従来、市町村の議会の議員、社会事業の実施に関係のある者、その他学識経験者を以て構成されていたのでありますが、今回これを改正して、推薦委員会の委員は、広く社会福祉全般の代表者の中から委嘱できるように、その範囲を具体的に明示すると共に、その定数を各分野についてそれぞれ二名以内とすることにいたしてあるのであります。第三点は、民生委員協議会の任務中に、福祉事務所その他の関係行政機関との連絡に当ることを附加すると共に、市町村の区域を単位とする社会福祉関係団体、即ち市町村社会福祉協議会の組織に加わることができることとし、以て民生委員協議会が地域社会における社会福祉の積極的増進に広い視野に立つて活動することができることといたしてあるのであります。第四点は、常務委員及び常務委員協議会に関する規定を法律上削除し、すべて民生委員協議会の自主的運営に委ねることにいたしたのであります。最後に、民生委員事務所を廃止することにいたし、なお、このほか民生委員の改選が全国一斉に行われるようにするため、補欠による民生委員の任期は前任者の残任期間とすることに改めると共に、現在の民生委員の任期は本年十一月末日に終るものとする経過措置を講じてあるのであります。  以上がこの改正法律案の提案理由並びに改正の要点であります。  厚生委員会におきましては、政府当局より法案の提案理由並びに内容につきまして詳細なる説明を聽取いたしまして後、慎重審議をいたし、熱心なる質疑応答が交わされたのでありまするが、その詳細は速記録によりまして御承知願いたいと存じます。  かくて質疑を打切り、討論省略の上、採決いたしました結果、全会一致を以ちまして原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  58. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  59. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  60. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第六、国土 調査法の一部を改正する法律案、(内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。経済安定委員長早川愼一君。    〔早川愼一君登壇拍手
  61. 早川愼一

    ○早川愼一君 只今議題となりました国土調査法の一部を改正する法律案につきまして、経済安定委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  国土調査法は、国土の開発、保全に貧するため一国土の実態を科学的且つ総合的に調査することを目的とし、昭和二十六年六月一日から施行されましたが、爾来、関係機構、特に地方公共団体等の本事業に対する積極的熱意は次第に高まり、又昨年度補正予算に国土調査の補助金が計上せられます等、各般の態勢が整備されて参つたのであります。然るに、本事業の進展に伴い、且つ過去一年半の実績に鑑みまして、補助金の交付及び国土調査の実施手続に関し、現行の規定を改める必要が生したのであります。  改正要点の第一は、補助金交付に関する規定でありまして、現行法におきましては、国土調査の補助金が交付されるものは、国土調査を行う者のみでありましたのを、国土調査を行与者に対して補助金を交付する都道府県に対してし交付することができるようにいんしました。これによつて、国と地方公共団体等とが協力して太事業の完遂を図ることができるようにいたすとともに、併せてこのような間接交付方法によつて事務手続簡素化の一助にいたそうとしたものであります。改正点の第二は、都道府県の行う国土調査の実施計画及び作業規程についての調査審議は、現行法におきましては、中央に設置されている国土総合開発審議会において行われることに定められておりますが、これを都府県総合開発審議会において行われるよ、に改めました。これによつて国土の開発、保全等の事業と、国土調査との関係は、一層緊密になるばかりでなく、関係官民による国土調査の審議は一層容易に且つ実態に即するものと期待し得るのであります。改正点の第三は、国土調査の成果の閲覧の場所について、実際上の便宜に即するように改正いたしたのであります。  委員会におきましては、各委員より適切な質疑が行われ、慎重に審議いたしたのでありますが、その詳細は速記録によつて御了承願いたいと存じます。  次いで討論に入りまして、別に御発言もございませんでしたので、これを終結し、本法律案につきまして採決いたしましたところ、全会一致を以て、これを可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  62. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  63. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十六分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、ストライキに対する政府見解に関する緊急質問  一、今次ストに対するいわゆる政府警告に対する緊急質問  一、日程第一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に観する法律の一部を改正する法律案趣旨説明)(前会の続)  一、日程第二 農産物検査法の一部を改正する法律案  一、日程第三 食品衛生法の一部を改正する法律案  一、日程第四 と畜場法案  一、日程第五 民生委員会一部を改正する法律案  一、日程第六 国土調査法の一部を改正する法律案