運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-06-30 第16回国会 参議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月三十日(火曜日)    午前十時三十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十五号   昭和二十八年六月三十日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  第二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案趣旨説明)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣演説に関する件、(第三日)  昨日の質疑に引続き、これより順次発言を許します。堀木鎌三君。    〔堀木鎌三君登壇拍手
  4. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 MSAに関し、日米両国間に交換せられました往復文書について、改進党を代表いたしまして、二、三の重要なる問題について質疑を試みんとするものであります。  事は日本の将来の自衛自由世界の安全の維持増進に関する重大なる問題であります。わずか与えられました時間が十五分に限られておりますので、到底委曲を尽すことは不可能でありますが、時間に制限のない政府こそは、十分にその見解所信国会を通じて開陳せられんことを望みます。(「巧いぞ」と呼ぶ者あり)  質問の第一点は、アメリカ側が「自衛のため以外に日本治安維持の部隊を使用することを要求しているものでない」ということに関してであります。実は、国民の大多数が自衛の必要を認めておりますことは、最近諸新聞に出た国民投票の結果から見ましても明らかであり、又その傾向は漸次高まりつつあるやに見受けられるのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)併しながら、国民最大関心事は、東亜において民族が相戦う愚を再び繰返したくないということであります。過去において、日本膨脹時代に、幾多の戦争を通じまして、人命財産犠牲にし、今回の敗戦の結果は、又過去の戦争にまで遡りまして、戦争は決して国民として得するものでないとして、その犠牲者はそのまま顧みられずにおるわけであります。又朝鮮事変において東亜民族が相戦うの惨状を身近かに経験いたしておりまする我々として、この感情は誠に無理からぬものと思うのであります。この際、国民最大関心事は、公文がこの点について明らかにしておるものとは言いがたい点であります。即ち自衛のため以外に使用することを要求しないと言つておるのでありますが、このことについて見解二つに分れております。或る者は、海外派兵等自衛以外の目的防衛力の使用が要請せられることがないことが明らかになつたと解釈するのであります。又この点につきましては、六月十二日、アリソン大使日米協会主催歓迎会において、アイゼンハワー大統領の言として、「日本兵朝鮮で戦わせるということほど、私やアメリカ政府考えから遠く隔つたものはない」と言つておるのであります。吉田総理も又、本国会において、しばしばみずから海外に派遣することはないと言つておられます。併しながら他面、自衛なる言葉が頗る広義に解釈せられ、又自衛なる名の下に海外派兵の事実を経験いたし、その事例を眼のあたりに見ておる国民として、なお疑惑を持つ者のあるのも又当然と言わねばなりません。この問題こそ現在国民の最も関心を寄せております点でありますので、他の同僚議員もしばしばこの点について質疑を重ねておるところでありますが、本日は総理大臣も特に御出席になつておりますので、次の三点についてお尋ねいたしたいと思います。  その一つは、日本側において常に防衛なる言葉を使用しておるのに対し、アメリカ側自衛なる言葉を使用しておるのであります。特にアメリカ側回答において平和条約五条(C)項を援用しておる点からも、その辺の真意が窺われるのでありますが、この点について両国間に食い違いがございませんでしようかどうか。  なお、政府はしばしば海外派遣はしないと言つておられますが、ただ独断的に首相の感じとしておつしやるだけでなしに、そこに何らかの理論的根拠がありましようか。殊に最近の世界の趨勢は集団防衛を本位といたしておりますし、又我が国国連加入を申込みましたことから見ましても、この点について国民疑いを持つのも又止むを得ないのでなかろうかと思うのであります。  その三は、昨日加藤議員質問に対して緒方副総理から答弁がありましたが、このMSAを受けるに当りまして、海外派遣の請求を受けることがないとすることについて、何らかの公けの形において保証を受けることができるお考えでありましようか。  第二の点は、相互安全保障法に基く軍事的義務履行についてであります。例えばアメリカ側は、日米安全保障条約の下にすでに引受けておる義務履行を以て足れりとしておるようでありますが、併しながら、と同時に、明らかにアメリカ平和条約五条(C)項を援用いたしまして、「自発的又は集団的の固有の権利を一層有効に行使することを可能ならしめることを必要とし」ておる点、及びMSA五百十一条Aの(4)を援用して、「自国の政治的経済的安定と両立し、且つ自国の人力、資源、施設及び一般的経済条件が許す限り」という条件付きではありますが、ともかくも「自国自衛力及び自由世界防衛力増進維持のために全面的に寄与する」という要件を必要としておるのであります。又、同法五百十一条Aの(5)において、自己の防衛力を増大させるために必要な一切の合理的措置をとることを義務とするといつておるのであります。ここにおいて従来の安保条約において締結されました直接間接侵略に対し自衛力漸増期待するというようなものよりは、更に進んで、はつきりとした義務を負うものと断ぜざるを得ないと思うのであります。およそ援助を新たに受けながら、従来と変りありませんという態度は、私は、もはや許されないと思うのであります。それが、ただ保安隊警備隊に従来国防省予算の下に事実上貸与されておりましたものだけが、アメリカ側の都合によつて国務省予算に変り、そうしてその手続が変つて来ただけではなく、今回は新たなる援助態勢に入ることは明らかであります。従つて、ここに私は二つの問題があると思うのであります。その一つは、保安庁目的についてであります。従来、保安隊警備隊について、保安庁法第四条にいう「我が国の平和と秩序維持し、人命及び財産を保護するため、」のものとして、専ら国内の平和と秩序維持に当るものであるということを木村保安庁長官は常に繰返して来られたわけであります。併しながら今や明らかに直接侵略に対する防衛責任が生じたものであると断ぜざるを得ないと思うのでありますが、如何考えになりましようか。その二は、自衛力漸増は、安保条約における字句とつ て、単に期待であつて義務でないとする従来の考え方も、又到底許さるべき でないと思うのであります。以上二点について、政府見解、特に首相外相保安庁長官見解を要求いたします。  第三の点は、協定内容であります。MSA五百十一条の(C)の(一)は、相互安全保障は、米国援助を受ける国が、自由世界目的達成のため、みずからを助け、且つ被援助国相互間で協力し、又米国と協力するため最善の努力をするその程度においてのみ実現されるものであると言つておるのであります。この点については、アイゼンハワー就任演説並びに国会に対する一般教書においても援用されております。一例を挙げますれば、安全保障は 効果的な相互間の合作を意味する。各国が共同の任務について応分の割当を真剣に果そうとするその限度に応じて、我々が他の各国援助を与えるものであると言つておるのであります。今回アメリカ政府MSAに基く援助額を算定するに当りまして、日本国自衛力漸増計画がなくては、金額を算定する基礎がないのみならず、アメリカ側からすれば、自国防衛について何ら具体的の計画をも持たないとすれば、日本政府真意奈辺にありやと疑わざるを得ないと思うのであります。又、日本側からいたしますれば、MSAを受けると、事実上ずるずるとアメリカ軍事力の増大を強いられて国民生活の安定を阻害するのみならず、アメリカ属国的存在と化するのでなかろうかという疑いの念を持つものもあります。又これを唆かし助長しようとする者がある事実に鑑みましても、こり際、却つて我が国独立国としてり自主性に立つて、堂々とその限度を明らかにし、而も往年の軍閥再現の弊を絶つべく、今から遠く慮かるべきものがなくてはならないのであります。かくて初めて国際信義に応え、国民の安心と、その向うところを示す内閣責任を果すものと言わねばなりません。私は、国際情勢を無視し、おりれの力量を測らずして、徒らに民族的感情に走ることが、国を破るもとであると共に、安易に他国の援助頼つて日本が当面しておる困難を避け、これを克服するの勇気と気魂とのないところ、又亡国の途を迫るものと言わねばならないと思うのであります。共に民族独立自衛を全与するゆえんではないのであります。私は、木村長官が旅行のとき何と言つたかということよりも、この具体的方策の樹立こそ我が国当面の責任であり、安保条約をみずから結ばれ、今又、安保条約に基いてMSAを受けんとする吉田首相その人の責任でもあります。よろしく従来の行きがかりに囚われず、長期に亘る防衛計画を具体的に立つると共に、これに即応した防衛生産の規模を他の生産と均衡をとりつつ民生安定に資する考え方こそ、台閣が目下立てるべき一番緊要の施策であると思うのであり、この点に関し、総理大臣保安庁長官所信を承わりたいのであります。  最後に、切に吉田内閣に希望いたしまするところは、吉田首相を初め各関係閣僚が、日本防衛に関し、いやしくも責任を、回避することなく、遁辞を設けることなく、率直に大胆に、真実を語り、所信を吐露して、国民の批判を請い、その愛国心に訴えられんことであります。かくてこそ初めて敗戦の悲惨と労苦のうちより国民愛国心は湧き上り、真の独立と平和への途は開かれると思うのであります。(拍手)最近、列国の指導者たちは、世界平和と民族独立のために、親しく海を越えて語り合つている現状であります。彼らは、平和への道を開かんと、現状打開のために心身を削つているのであります。我が国も又これに応え、自由世界への貢献と民族独立への道を開かねばならないと思うのであります。  以上を以て私の質問といたします。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  5. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  第一の御質問は、自衛防衛とどこが違うかという御質問であると思いますが、自衛独立に伴う当然の行為でありまして、この自衛一つの現われとして、或いは自力防衛といいますか、治安維持のために保安隊を持つというようなことは、自衛権一つの現われである。或いは条約締結も又自衛権一つの現われとも言うべきものであつて、私の解釈では、自衛は一般的の広い意味で、防衛はその一つの現われであると解するのが至当ではないかと思います。  而して現在の防衛計画以上に何か計画を立つべきではないかという御質問でありますが、現在の日本国力とししは、現在以上に防衛力を増すといいますか、或いは再軍備というようなことを考えるのは、これは日本の現在の国力に副わないゆえんであり、今日は国力の培養を以て最も我々としては努めなければならんことであると考えるのであります。故に、先ず国力を充実すれば、ここにおいてか自然防衛力も増すというふうに持つて行くのが、自然であると思うのであります。  然らば期待という字を何と考えるかという御質問のようでありますが、米国政府としては、しばしば申す通り、成るべく日本から軍隊は引揚げたい、日本みずからをして守らしめたいという考えであり、故に日本のいわゆる期待という字がここにおいて出て来たのであります。これは義務ではありませんが、その期待に背かざるように我々は努むべきであり国力増進と共に自衛力計画は立つべきでありますが、独立後僅かに一、二年にして、急に防衛計画を立てるとか、或いは再軍備をいたすとかいうようなことは、これは国情に副わないから、私はいたしたくない。併しながら(「今やつているじやないか」と呼ぶ者あり)将来においてどうするかということは、これから国力増進と共に考えはいたしますが、今直ちにこういう計画を立てて、そして何年かの後にこうするというような計画は立てにくい。日本国力がどれだけ進むか、或いは一進一退と申してもいいかと思うのであります。わずか、に特需によつて経済を立てておるという国が、今日において永久的計画を立てるということは米国政府期待いたしますまいし、但し我々は、国力の増加と共に、防衛計画なり自衛力増進せしめ、これがアメリカ期待に背かざるようにするのが条約上の義務考えております。  その他は主管大臣からお答えいたします。(拍手)、    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  6. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) アメリカ回答とこちらの質問との間に、防衛自衛という意味食い違いがあるのじやないかというお話でありまするが、これはどうも、アメリカ側回答アメリカ政府が独自の見解でいたすのでありまするから、多少の食い違いがあつても、これはどうも止むを得ないことであります。但しその防衛自衛という意味内容につきましては、只今総理からお話のあつた通りであります。  なお、国連にすでに加盟を申込んでいる日本としては、その関係から言つても、軍備とか或いは海外派兵というようなことが起るのじやないかという御質問のようでありますが、御承知のように国連には軍備を持つていない国も加盟しておるのでありまして、論理的に言えば、必ずしも国連加盟条件軍備でもないし、又海外派兵というようなことでもないと考えております。  なお、海外派兵等がないように公けの形で何か保証を取り付けるべきではないかというお話でありまするが、これは、お話の点は十分に考慮はいたしまするが、只今私の一応の考えといたしましては、海外派兵などということは、これは日本政府が自分の考えできめる問題でありまして、アメリカ側との協定においてそういうことはないでしようというような保証を取り付けるというのは、どうもおかしいように思つておるのであります。「逃げた逃げたと呼ぶ者あり)政府考えは、いつも申上げる通り、そういうことはしないつもりでおりまするから、これで十分じやないかと考えております。  なお、先方の法律の中に、みずからを助け、又お互いに助け合い、且つアメリカとの間にも十分助け合うことの趣旨があるがどうだというお話でありますが、これは我々としてもこの趣旨には賛成なんでありまして、自由主義諸国が提携を強化して、これを以て世界の平和を維持するという趣旨で我々はやつておるのでありまするから、このお互いに助け合うということについては、何ら我々としても異存はないのでありまして、ただ助け合う限度におきましては、やはりこれは、日本国内経済上、政治上、その他いろいろの条件の下に可能な範囲で助け合う、こういうことになるのでありまして、その意味から言えば一向差支えない限度の、これは互助といいますか、お互いに助け合う方針であろうと考えております。  それから、この平和条約五条を引いておる点についての御質問でありますが、これはお話のところにもありましたように、「自発的に」という字句がありますので、日本政府がきめること如何にかかわつておるのでありますから、この平和条約五条を引かれることは一向差支えないと思います。  それから、直接侵略に対する防衛責任を、今後MSA協定を結べば、保安隊がとるのじやないか、こういう御質問でありまするが、これは日米安全保障条約におきまして直接侵略に対する防衛アメリカ側がすることになつておりまするから、この条約の面から申しましても、保安隊は依然として国内防衛、これに専念することが至当であろうと考えております。(拍手)    〔国務大臣木村篤太郎登壇拍手
  7. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。  我々は飽くまでも平和を愛するのであります。かるが故に、我々は、如何にして国内の平和と秩序維持して行くべきかということについて日夜苦心しておるのであります。そこで申上げたいのは、独立国家として将来立つて行く上においては、飽くまでもみずからの手によつてみずからの国を守るという建前をとらなくちやならんのであります。併しながら現在の段階におきましては、日本国情といたしましてかような体制を早急にとることはできないことは御承知通りであります。そこで止むを得ず、直接侵略に対してはアメリカ駐留軍の手によつて国内の平和と治安については保安隊がこれに当る、両々相待つて日本秩序を、平和を保つて行こうとすることになつておるのであります。  そこで、MSA援助を受けることになつて、将来日本自衛体制をどう持つて行くか、これについては我々は、やはり日本国情、殊に財政の面、技術の面、この面を十分に睨み合せて、そうして日本保安隊質的向上を我々は図つて行きたい、而して日本の平和と秩序をどこまでも維持して行きたいということであるのであります。飽くまでも日本独自の見解に基いてどうして行くかということを将来研究いたしたい、こう考えておる次第で、あります。(拍手)     —————————————
  8. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 木村禧八郎君。    〔木村禧八郎登壇拍手
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はMSA援助日本運命に対して重大な影響を及ぼすものであるという観点に立つて質問をいたします。  この日本運命にとつて重大なる影響をもたらすMSAの問題に対して、質疑をする時間が僅かに十分であり、而も総理が十一時までここにおられるという議院運営委員会約束にもかかわらず退席しておられる。こういう状態の下において日本運命を決するようなこの重大なMSA問題について我々は質疑することを、甚だ遺憾に感じます。又痛憤に堪えない、私は……。四点に亘つて私は要約して、時間がございませんから質問いたします。  第一は、日本はなぜこのMSA援助を受けなければならないか、その必要性について具体的に一般国民がわかるように説明して頂きたい。今日まで、MSAのうち、軍事援助及び防衛支持援助を受けている国は、二十五ヵ国に上つております。すでに二十五カ国はMSA援助の経験を持つている。その結果どういうことが現われているか。三つの重大なる悪い影響が現われておる。その第は、財政負担が非常に殖えていること。なんと、北大西洋条約機構加盟国財政負担は、MSA援助を受けてから、一九五〇年の四十億ドルから九五年には九十億ドルに殖えており、一九五二年には実に百四十億ドルに軍事財政負担が殖えておるのであります。MSA援助を受ける結果、こういう国防負担が殖える、こういう影響が現われ、すでにイギリスは、あのバトラー蔵相の下において、この軍事負担に堪えない、そうして軍事予算の削減を行なつている状態であります。如何にしてイギリスはこのMSA援助から脱却しようかと、今イギリスは焦つておる状態。第二の影響は何であるか。これはMSA受諾条件としてのバトル法影響であります。ケム修正案のときには、国連戦争をしている間は中共及びソ連戦略物資を送つてはいけない。送つた場合はMSA援助を停止するということであつたけれども、バトル法になつてからは、国連戦争していてもいなくてもこの適用を受けて、ソ連戦略物資を送つたならば経済援助は停止されるという紐付き援助になつておる。その結果、東西貿易が遮断されました現在、いわゆる世界貿易は縮減している。そうして不景気になつておる。これはMSA影響であります。第三の影響は、内政干渉であります。今度のイタリア選挙に当りまして、イタリア駐在のルース・アメリカ大使は、ミラノの商工会議所において、若し今度イタリア政府選挙で敗北し、野党が勝つたならば、MSA援助を停止するであろうということを、選挙前に演説しているではありませんか。そうして、いわゆるこういう内政干渉を行なつている。ビルマはMSAのうちで最も紐付きの少いTCAさえも拒否したのも、それが重大なる内政干渉になるからである。  こういう三つの重大なる悪影響がすでに現われている。それだのに、わぎわざなぜ日本政府MSA援助を受けようとしているのか。世界各国MSA援助を受けて困つている。如何にしてこの状態から脱却しようかとしているのです。今、日本特需をやめて自立経済をやつて行こうとしている。それだのにMSA援助を受ければ矛盾するではありませんか。私はこの点、十分、国民に説明して頂きたい。  第二の質問は、MSA援助我が国が受けた場合、我が国にどういう影響が現われるか。これはそれぞれの各大臣から御答弁を承わりたい。  第一は防衛計画。これは保安庁長官に伺いたい。このMSA援助を受ける詰果日本防衛力は私は強化せざるを得なくなると思います。それは、今度の日本政府アメリカとのMSAに関する文書交換によりましても、アメリカ側は、最小限の費用及び最小限の遅滞を以て最大の効果を発揮するように、この自衛力を増強することを期待している。従つて私は、防衛計画にこれは重大な影響が来るかと思いますから、木村保安庁長官に伺いたい。  第二は財政面に対する影響河野主計局長は、ヨーロッパを廻つて来まして、アメリカ当路者会つて、そうして、こういうことを言つております。装備強化のためにより多く財政資金を割くことも増強になると説明して来たと、こう言つております。MSA援助を受ける結果、財政膨脹軍事費膨脹、こういうことは私は必至だと思う。これは大蔵大臣から答弁して頂きたい。  それから貿易面における影響。これはバトル法影響を受けます。又MSA援助域外買付を引受ければ、正常貿易軍需産業は競合しまして、輸出貿易が困難になる。この貿易上に対する影響。  又労働政策に対する影響イタリアにおいては昨年の夏アメリカ発注がありましたが、精密機械工場において多くの共産主義者がいたというので発注を取消した、こういう実例があるのです。而も又このMSA援助の結果、出血発注になります、条件が悪くなる。臨時工の問題、労働条件の悪化、こういう問題も起つて来ます。労働大臣からこれに対する影響を伺いたい。  それから、これは犬養法務大臣に伺いたい。MSA援助を受ける結果、機密保持に関する問題が起つて来ます。すでに政府機密保全に関する内規を省令として出しております。従つてこれが実現すれば、軍機保護法みたいなものが出て来ます。そうして、これが更に進んでは、ニユース統制言論統制、こういう方面に進んで行きますが、この点について伺いたい。、  文教政策についても、私は文部大臣、に伺いたいのは、この結果だんだんやはり軍国主義的教育が私は発展して来ると思う。そういう危険があると思う。この点について伺いたい。木村保安庁長官大蔵大臣岡野通産大臣、それから労働大臣法務大臣文部大臣に伺う。  第三の問題は、MSA軍事義務の問題、ミリタリー・オプリゲーシヨンの問題であります。この日本政府アメリカとの交換公文、これによりますと、政府のほうは、この日米安全保障条約におけるあの前文の、日本防衛力漸増期待というものをすでに義務と解してアメリカ側質問しております。アメリカは又このミリタリ・オプリゲーシヨンに対しては義務言つておる。昨年三月七日、参議院の予算委員会において私が岡崎外務大臣質問申上げたときに、この期待ということは私は約束であると解して岡崎外務大臣質問したところが、岡崎外相は、これは約束ではない、期待であるのだと、こう言われておりました。政府は、あの日米安全保障条約前文のうち、日本防衛力漸増に関する期待を、いつこれをミリタリー・オブリゲーシヨンと変えたのでありますか。(「行政協定で変えちやつた」と呼ぶ者あり)それはミリタリー・オプリゲーシヨンじやありません。それだのに、政府アメリカに対する質問アメリカ回答義務言つておる。オブリケーシヨン……、若しそうだとすれば重大な問題です。この点に対する食い違い安全保障条約前文の解釈について、私は明快なる答弁を承わりたい。  それから第四に問題になりますのは、このMSA援助の性格についてであります。政府アメリカ側に対する質問は、このMSA援助が、あたかも経済援助が優先して、軍事援助は従属的であるがごとき質問を発している。とこりがアメリカ側回答はそうではない。アメリカ回答はそうでない。軍事援助が主であつて経済援助は従であるという回答になつております。よく御覧になれば当然のことなんです。MSA援助の歴史を見れば当り前です。アメリカの対外援助政策は、最初はいわゆる救済制度、アンラの政策から、一九四八年の対外援助法、いわゆるマーシャル計画、あれは純経済的援助であつたわけです。ところが一九四九年にいわゆる相互防衛援助法が制定さました。これによつてアメリカの対外援助政策は、軍事、経済両建、二本建となつたことは周知の通り。一九四八年相互防衛援助法の下では、経済、軍事両建であるけれども、まだ経済が優先していることはこの条文に書いてある。従つて政府の解釈は一九四九年のこれは相互防衛援助法に基いた解釈です。この解釈の仕方は、経済と軍事の両建であつて、而も経済が優先するのであります。こういうアメリカ援助政策の解釈に基いて政府質問している。ところが朝鮮動乱が起つて一九五一年のこのMSAが制定されるに至つて、はつきりと、これは軍事が優先して、経済援助は従となつているのです。はつきりと、そうなつておる。アメリカ予算を見たつてそうなつております。経済援助が激減して軍事援助は激増しているのです。従つて、一九五一年のMSA、この安全保障法から、はつきりとこれは、軍事的援助が優先する、経済援助が従属する、こういう建前になつておるのです。にもかかわらず、政府はあたかも、MSA援助は、経済的日本の安定というものが先決条件である、こう解釈するがどうかと質問している。ところが、アメリカのほうは、このMSA援助は、経済安定は自衛のための一つ条件である。——逆じやありませんか。——こう回答しておる。この認識の相違はこれは重大であります。従つて、この食い違いについて私は明快なる御答弁をお願いいたします。  時間がありませんから、これで私の質問を終ります。    〔国務大臣緒方竹虎君登壇拍手
  10. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 木村君にお答えをいたします。  MSA援助を何故この際受ける必要があるか、それを明らかにされたいという御質問でありましたが、MSA援助は、これが我が国自衛力増強のために有益であり、又国民の経済面に寄与するものであれば、これを受諾して差支えないではないかというのが政府見解でありまして、ただ、今も御指摘ありましたように、事が極めて重大でありまするので、六月二十四日の公文を発する前にも、政府におきましてあらゆる角度からこの援助の性質を検討いたしまして、その検討の結果、二十四日の公文となつてアメリカ側に疑点を質しました。アメリカから受けました回答によつて、こちらで疑点としておりましたところもはつきりいたし、この援助の結果、何か日本にできない相談があるかどうかを検討いたしました結果、そういう心配がないという結論に達しましたので、この交渉を進めるようなことになつた次第で、これが日本自衛力の増強のために有益であり、又経済面に寄与するものであるという見解に立つたのでございます。(「それも具体的に言わなければ駄目だよ」と呼ぶ者あり)  それから、MSA援助の性格は何と解しておるかという御質問であります。MSA援助は、相互安全保障法の規定によりますれば、援助を与えることによつて自由世界安全保障並びに個別的及び集団的な防衛を強化し、友好国の安全保障及び独立維持することを目的としておるのでありまして、日本の場合は、米国からの回答文書では、国内治安維持し、且つ平和条約五条(C)項において保証されておりまする個別的又は集団的自衛の固有の権利を一層有効に行使するために与えられると述べておりまするので、その通り政府としては解しておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  11. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 第一は、MSAを受けると日本財政的負担が増すであろうという御質問でありますが、我々はそういうところについては、この質問書及び回答にありますように、国内の経済上政治上の安定とか、或いは資源設備等の許容する範囲内でということでありまして、特にこれによつて財政上の負担を大いに増すというようなことは必要ない、こう思つております。  なお、これを受けるとバトル法の適用を生じて困難するのじやないかというお話でありまするが、すでにMSA援助は西欧の諸国も受けておるのでありまして、現にそして、日本と西欧諸国との間では中共貿易において日本のほうが制限がひどくて、西欧のほうが多いじやないか、楽にやつておるじやないかという御疑問が始終あるくらいでありまして、MSAを受けましても、中共貿易等につきましての幅は相当広いのでありまして、特にこれによつて日本が困難をするということは私は考えておりません。  なお、MSAを受ければ内政干渉になるのじやないか——これはまあ理窟でありまして、私から言わせれば、日本政府なり国民なりがしつかりしておれば、内政干渉というような問題は生じないと思いまするが、例えばイギリスにおいてもフランスにおいても、別に内政干渉というような議論は私はないと思つております。(「嘘をつけ、フランスでは外務大臣が抗議したじやないか」と呼ぶ者あり)そうして、殊に木村君のお話では、イギリスもフランスもMSAを脱却するのに大いに苦心をしておる、(「その通り」と呼ぶ者あり)こういうお話でありまするが、私の解釈するところでは、MSAを受けても、いやならば断わることに何ら問題はないのでありまして、脱却するのに苦心をしておるというようなことは、とても私には考えられないのであります。  なお、MSA軍事援助が主で経済援助が従である。然るに日本側質問はおかしいじやないかということでありまするが、我々の質問はそういう趣旨じやないのであります。我々の質問しておるところは、防衛力を増強する等の問題を考えるときに、経済上の安定を考慮することが先決問題であつて、経済上の安定を無視してまで防衛力を増強するというようなことがないのが当然である、こういう意味質問をいたしておりまして、先方でもこれに対して、その通りだと言つておるのであります。別に経済援助が主だとか軍事援助が従だとか、そういう意味質問をしておるのじやないのであります。なお、安全保障条約前文にある自衛カの漸増ということの期待を、いつ日本政府は軍事的の義務として先方に話しておるかという話でありますが、我々はそんなことを言つておりません。質問書にもそんなことは書いてありません。要するに、安全保障条約におきまする条約上の義務として規定されておりますのは、第一条、第二条にありますることであつて、例えば日本国内アメリカ駐留軍を置くといううこと、或いは第三国に軍事基地等を許与しないということ、これが消極的ではありまするが安全保障条約上において日本の負つておる義務であります。で、すでにこの義務履行しておるのでありまして、我々の、この義務で、MSAのいわゆる軍事的義務というものはカバーされると思うがどうだという質問に対して、先方はその通りだというのでありまして、前文における……、全体、条約前文において義務を規定するということは殆んどないのでありますが、前文漸増期待はやはり期待でありまして、これに対しては、只今総理お話しましたように、期待に副うべく政府としては努力するのは、これは当然であります。併しこれは義務というべきものではないことは又明らかであります。(拍手)    〔国務大臣木村篤太郎登壇拍手
  12. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) MSA援助を受くるにいたしましても、将来、日本自衛体制如何に立つべきかということについては日本独自の見解によつてこれを処置すべきであろうと私は考えております。従つて、仮に万一アメリカから何らかの要請があるにいたしましても、必ずしもこれに対しては私は服するの義務はなかろうかと考えております。(拍手)    〔国務大臣大達茂雄君登壇拍手
  13. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) MSA援助を受けた場合、我が国の教育が軍国主義化すると思うがどうかというお尋ねであります。(「準備しているじやないか」と呼ぶ者あり)政府はさように考えません。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  14. 小坂善太郎

    国務大臣(小坂善太郎君) MSAを受諾することによりまして労働関係如何なる影響が及ぼされるか、特に出血受注等によつて労働条件の切下げが行われるのではないかという御質問でございます。お答え申上げますが、MSAを受諾する場合は「これを如何なる条件において受諾するかということは今後の問題でありまして、条件が不確定でありまするから、従いまして、如何なる影響が生ずるかということも現在予想の限りでございませんが、MSAを受諾することになるといたしましても、これが関連企業には当然国内の労働法が適用されるのでありまして、労働者の労働条件が不当に切下げられるというようなことは生じないと思います。なお国内の労働法が当然適用されるのでありまするから、労働組合活動を阻害するということはないと考えます。(拍手)    〔政府委員古池信三君登壇拍手
  15. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 大臣に代りまして木村さんの御質問にお答えいたします。  第一の、バトル法関係につきましては、先ほど外務大臣からお答えがありましたごとく、今後MSA援助を受けるといたしましても従来同様と考えております。  次に、軍需生産関係から日本正常貿易を阻害しやせんかという御心配は、誠に御尤もな点があると存じます。我々といたしましては、今後正常貿易を振興して日本の繁栄を図つて行かなければならないという点においては、全く御見解通りでありまするから、たといMSA援助を受けることになりましても、その際、軍需生産の規模の決定に当りまして我が国正常貿易を阻害しないように、十分その間の調整を図つて参りたいと考えております。(拍手
  16. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 大蔵大臣法務大臣は、後刻出席の上で答弁するという趣きであります。須藤五郎君。     —————————————    〔須藤五郎君登壇
  17. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、MSA援助問題に対して一言政府質問いたします。  第一点は、政府MSA援助に関し、アメリカ大使との質疑応答の文書を発表し、これがMSA援助条件を規定したものであるかのごとく国民を欺こうとしておりますが、いわゆるMSA援助なるものは、元来、相互安全保障法によるアメリカ防衛目的とするものであつて、その援助内容、方法等に関する実際上の権限はアメリカ議会が持つのであつて政府にあるわけではありません。いわんや大使の手紙のごときは、議会の方針の前には三文の価値もありません。これがアメリカの政治方式であります。政府は、この手紙が、アメリカの議会権限を代表し、且つこれを拘束するものであると明言することができるかどうか、はつきりと答えてもらいたいと思います。  第二点は、MSA援助は、保障法によつて援助国が軍事的義務を果すこと、自国防衛力を発展させるに必要な一切の措置を講ずることを規定しておるのであります。この根本規定は一片の手紙などによつて変更されるものではありません。政府は、援助を受けても永久に日本軍事的義務を果す責任がないということを確言することができるか。これは絶対にできないはずであります。  第三点は、この援助には、保安隊の指揮権と軍需生産の監督権を必ず握られるところの軍事顧問団の派遣、又、共産圏への輸出制限の強化、更に労働組合の国際自由労連への加盟の強要、その他の紐が付くのであります。たつた一億ドル余り、即ち三百六十億円くらいの目腐れ金を拝借して、これだけの軍事義務を背負い、再軍備を強要され、中国貿易の禁輸を強化され、労働運動の自由な発達を弾圧することを約束するような、反民族的、反祖国的なことを平気でやつてのけて、恥かしいとは思わないのか。私はこの点で内閣総理大臣に対し日本人らしい答弁を要求いたします。  第四点として、私はこの際、政府に確かめておきますが、政府は本国会の休会を待つて、勝手な協定なり取極なりを秘密やつてのけ、一つ一つ既成事実を作り上げ、国民にこれを強要する腹がまえではないか。そうでないと言うかも知れないが、現に今度の文書交換をこの手でやつたではないか。又、曾つて日米安全保障条約に伴う行政協定をこの手でやつたではないか。これは世界各国における売国政権の常套手段であります。吉田内閣は、今日新らしく条約を結ばず、例のごとく行政協定によつて事を済ませ、国民の追及を逃れようとしておるのではないか。政府の明確な答弁を求めるものであります。  第五点として、具体的な問題について一つだけ質問をしておきたいと思います。即ち、いわゆる見返資金はMSA援助によつて軍事的目的以外には使われないことになつております。そのことは安全保障法第五百三十九条に明らかに規定するところであります。政府は、たつた一億ドルの見せ金で、七千億円の国民の血税にすつかり紐を付けられて、国民に対して申訳があると思うのか。現にイギリス、フランスにおいても、援助額の数倍或いは数十倍の血税を軍事費に使用することを強要されて、国家財政は破綻し、国民経済は危機に瀕しておるのであります。それ故にこそ、西欧においては、現に「援助よりも貿易を」という世論が膨湃として巻き起り、これが政治を決定する段階になつておるのであります。後進国と言われるビルマにおいてさえ、バーモウ博士は「祖国を戦争の大鍋に投げ込む人食人種のよろなMSA」と叫んでおるのであります。政府はかかる明らかな既成の事実を前にして、今日なお毒饅頭のごとき援助を哀願し、日本の経済と生活の一切を戦争屋に売渡そうとしておるのであります。我々が、反吉田、反再軍備政府樹立を訴えているのはこのためであります。政府は速やかにこの点を反省し、罪を国民の前に陳謝すべきであります。政府にこれだけの国民的良心があるかどうか。  私は、以上の点に関して、日本共産党を代表し、我が党を直接支持した百万の有権者を代表し、更に祖国を愛する全国民の意思を代表して、明確なる答弁政府当局に要求するものであります。    〔国務大臣緒方竹虎君登壇拍手
  18. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 須藤君にお答えいたします。  政府と米大使館の間の質疑応答の文書は三文の価値もないのではないかといろ御質問でありまするが、米国民の選んだ大統領の政府によつて派遣されておりまする在京米大使館の公文でありますので、あの公文は当然米国の正式の意思表示であると政府では解釈しております。公文の中に合衆国政府の訓令に基くということもはつきり書いてございます。  それから、MSA援助は、被援助国が軍事的義務を果すこと、自国防衛力を発展させる一切の措置を講ずることを定めたもので、この根本規定は一片の手紙などで変更されるものではないという御質問でありますが、米国側からの回答にありますように、MSA援助受諾に伴う日本のいわゆる軍事的義務といたしましては、安全保障条約に定められた義務で足りることになつているのであります。  それから、MSA受諾の結果として、再軍備の強要「労働運動弾圧というようなこと、又従来以上に中国貿易の制限がありやしないかという御質問でありまするが、そういうことはないと考えております。その他は外務大臣から答弁いたします。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  19. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 政府MSA援助によつて日本軍事的義務を果す必要がないと確言できるかというようなお話でありますが、政府は、MSA援助を受けるに当りましては、軍事的義務を果すつもりでおるのであります。ただ、その軍事的義務というのは、今すでに負つておりまする日米安全保障条約に基く義務である、こう申すのであります。  それから、政府はこの協定を秘密裡に結ぶのではないかという御質問でありますが、これはしばしば言明しておりますように、締結に当つて国会の承認を得るつもりでおります。  なお、僅か億米ドルの援助で七千億に上る国民の血税に紐を付けられるので、国民に申訳が立つかというお話でありますが、私はその意味がよくわかりません。要するに我々は、一億ドルか何億ドルかわかりません。これはこれから交渉しなければわかりませんが、国の治安防衛を確保するために、ほかの条件が許すならば、MSA援助を受けることが適当であろうと考えております。  なお、MSA援助について各国では反対しておる、何か日本の経済を戦争屋に売渡すというような表現でありますが、私どもはそういうふうには全然考えておりません。飽くまでも自由主義諸国と提携を強化し、日本防衛力を強めるために、これを受けるのであつて戦争屋などとは関係がないのであります。(拍手
  20. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 なお、時間が少し残つておるはずでございますから、再質問いたします。
  21. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) よろしうございます。    〔須藤五郎君登壇
  22. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 政府答弁はいつもそうでありますが、(「君の言うこともいつも同じだ」と呼ぶ者あり)今回の答弁を見ましても、ごまかしに過ぎない。第一、私が申しましたのは、MSAのことに関しましてはアメリカの議会がはつきり決定しておる。ところがその議会の決定と違つたような方針をアメリカの大使が回答しておる。そこに問題があると思うのです。だから、アメリカ大使の手紙が実際に議会の決定を覆えすだけの効力を持つておるのか。力を持つておるのかどうか。アメリカの議会政治の性質として、この議会の決定が一番強力な力を持つておるのだ。そういう点を私は申上げたのです。だから、アメリカの議会の決定に反したような大使の一片の手紙が、本当に効力を持つておるのか、カを持つておるのかどうか、持つていないのではないかということを私は尋ねた。その点に対して、はつきり答えていないと思うのです。政府は、今や溺れる者とは藁をもつかむという諺がありますが、今や政府の政策がすべて破綻を来たして、日本はどうしていいかわからない。だから、MSAであろうが何であろうが、とにかく藁をつかみたいというところから、MSAに対しましても、すがり付こうとしておるようでありますが、政府は、日本のこの溺れて行こうとする日本を救う、即ち溺れる水を排除することを少しも考えていない。先ず自分が溺れようとする水を排除することを第一に考えるべきだ。それではその水は何だ。その水とは何だ。これは世界全国と講和を結ぶことです。全面講和を結ぶこと、これがみずからの溺れることを防ぐ第一の要件であります。先ずソヴィエトや中国、あらゆる国と平和条約を結ぶことです。これをしようとしないで、殊更にMSAごときものを受けて、この国々と殊更に障壁を築いて、侵略戦争計画しようというような方向に、日本の政治を持つて行こうとしておる。そこに問題があるのです。自衛とか防衛とか、いろいろなことを言つておりますが、私は、親善関係こそ最大防衛であり最大自衛だと思うのです。政府は、この最大防衛であり自衛であるところの親善関係を、ソヴイエトや中国と如何に結ぼうとして努力しておるか、どれだけのことをやつたか、はつきりと、ここで答弁を求めたい。私はこれを要求します。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  23. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) お答えをいたします。  アメリカ政府の組織は三権分立いたしておりまして、法律等は、勿論、議会がきめますが、対外交渉等は一切、行政府がやることになつておりまして、その行政府の正式の見解が表明される以上は、これはアメリカの国の意思であると私は信じております。又議会の決定と違うじやないか、違う意味を伝えておるじやないかと言われまするが、法律の解釈等は米国側におきまして有権的になされるのであつて、須藤君の解釈が有権的なものではないと思います。従つて米国政府が公式にその解釈を表明して来れば、それはアメリカの正式の解釈であると当然とるべきものであると思つております。(「間違いを起すもとだ」と呼ぶ者あり)  なお、日本MSAを受ければ、むしろ戦争のほうに傾くので、それよりも又ソヴイエトや中国との間に国交を開く努力をしたらよかろうじやないか、こういうお話でありますが、MSAを受けるから、それがむずかしくなるとは、私は考えておりません。MSAを与えておるアメリカといえども、又MSAを受けておるイギリスやフランスといえども、ソヴイエトと国交を開いておるのであつて、一向これは差支えないことと思います。なお、政府はしばしばソヴイエトにおいても桑港条約を受諾するならば平和関係に入りたいということは表明しておるのでありまして、問題は桑港条約を受諾するかどうかということにかかつておるのであります。(拍手
  24. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。国務大臣演説に対する質疑は終了したものと認めます。      —————・—————
  25. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第二、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、(趣旨説明)  本案につきましては、特に本会議において内閣より趣旨説明を聴取する必要がある旨の議院運営委員会の決定が、ございました。これより緒方国務大臣趣旨説明を求めます。緒方国務大臣。    〔国務大臣緒方竹虎君登壇拍手
  26. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 只今上程されました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を説明いたします。  昭和二十二年七月に独占禁止法が施行されましてから、早くも約六カ年を経過いたしたのでありますが、その施行の経験に徴しまして、本法の諸規定を、我が国経済の特質と実態に、よりよく即応するものにする必要が感ぜられたのであります。もとより、国民経済の民主的で健全な発達を促進するため、私企業による市場独占のもたらす諸弊害を除去し、公正且つ自由な競争を促進しようとする独占禁止法の根本精神は、飽くまで尊重すべきものでありますが、この際、内外諸情勢の推移に鑑みまして、独占禁止法に適当な調整を加える必要があると考え、前国会にこれが改正を提案いたしましたが、成立を見るに至りませんでしたので、今回改めて本法律案を提出するに至つた次第であります。  本法案は、前国会に提出いたしました法案とその内容がほぼ同一でありまして、その改正の項目は多岐に亘つておりますが、主要なものは、特定の場合、即ち、不況に対処するため必要がある場合、及び合理化の遂行上特に必要がある場合における事業者の共同行為を、一定の条件の下に認容したこと、株式の保有、役員の兼任等の制限を緩和したこと、不公正競争方法に関する現行法の規定を整備したこと、不当廉売、おとり販売等の不当な競争を防止するための再販売価格維持契約、いわゆる定価拘束制度を認めたこと、事業者団体法を廃止して必要な事項を独占禁止法中に収めたこと等であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。(拍手
  27. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 議事の都合により、暫時休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩      —————・—————    午後三時八分開議
  28. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  休憩前の日程第二の趣旨説明に対し、質疑の通告がございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。  参事に報告いたさせます。    〔参事朗読〕      —————・—————
  30. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、郵便法の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。郵政委員長池田宇右衞門君。    〔池田宇右衞門君登壇拍手
  32. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 只今議題となりました郵便法の一部を改正する法律案の郵政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  この法律案は、本年一月十五日から改正されました鉄道小荷物運賃との調整等を図る目的で、小包郵便物の料金を改正すると共に、航空郵便制度を速達郵便制度に統合してこれを合理化する等、若干の制度改善をいたそうとするものであります。  改正の要点を簡単に御説明申上げますと、第一は小包郵便料金の改正であります。小包郵便物は、比較的重量容積の軽小なるものを主とし、鉄道小荷物は重量容積が多大なるものを主とするのが、本来の姿と認められること、並びに、従来近距離は郵便のほうが高く、遠距離となるに従つて郵便のほうが非常に安くなつていて、均衡を失している点等を勘案して、重量、容積の軽小なるもの及び比較的近距離宛てのものの値上げはできるだけ低率にし、一面、重量、容積が多大なるものや遠距離宛てのものの値上率は比較的高率とすることとし、これらの総平均約一割の値上率にとどめるように改正したものであります。第二は、現行の航空郵便制度を廃止して、これを速達郵便制度に統合しようとするものであります。従来の航空郵便制度は、単に郵便物の運送だけを航空便によるということでありまして、必ずしも郵便物速達の効果を挙げ得ない憾みもありましたので、これを速達郵便制度に統合いたしまして、速達とした第一種及び第二種郵便物については、航空路によつて運送するほうが速達すると認められる場合は、特に航空運送のための料金を徴収せずに、すべて航空路により運送することといたそうとするものであります。その他、速達郵便物の配達地域を実情に即するように郵政大臣が定め得ることとすること、又書留とした郵便物を転送又は還付する場合、受取人又は差出人が納付する書留料を引下げる等の点を改正せんとするものであります。  委員会におきましては、今回の郵便物の値上げにより年間大体どのくらいの収入増となるかとの間に対し、政府より、大体三億四千万円ぐらいの増収となるとの答弁があり、又航空郵便を速達郵便制度に統合する点については収支にどのような影響があるかとの問に対しては、年間約二千万円の収入減となるが、他面、速達郵便物数の増加によりカバーせられるものと思うから、結局サービスの改善となるとの答弁がありました。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、中川委員より、施行期日を五日間遅らせ、七月五日とする旨の修正動議が提出せられました。かくて討論を終り、採決の結果、中川委員の修正案は全会一致を以て可決せられ、次いで修正部分を除く原案についても全会一致を以て可決せられ、ここに本案の修正議決を見た次第であります。  右御報告を申上げます。(拍手
  33. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  34. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      —————・—————
  35. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、  皇室経済法の一部を改正する法律案、  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員会理事竹下豐次君。    〔竹下豐次君登壇拍手
  37. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 只今議題となりました皇室経済法の一部を改正する法律案内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本法律案内容を御紹介いたします。本法律案における改正の第一点は、第一条の皇室用財産に関する規定でありますが、この第一条の規定の内容は、本法制定の後、国有財産法等にも同趣旨の規定ができましたため、現在においてはこの条文を存置する必要がないものと認めて、第一条を削除いたすことといたしておるのであります。第二点は、皇室がなす財産の授受の制限に関する点でありますが、皇室がなす財産の授受のうち、外国との交際のための儀礼上の贈答に係る場合及び公共のためになす遺贈又は遺産の賜与に係る場合は、その趣旨に副うためには授受が時期を失しないことが必要であり、且つその性格も極めて明僚でありますので、この二つの場合の財産の授受は、授受の制限から除外することに改正いたしておるのであります。第三点は、年額による皇族費のうち、独立の生計を営まれる親王妃に対するものに関する点であります。この額は、現行法においては定額の二分の一となつておりますが、夫たる親王が死去せられ、親王妃が独立の生計を営まれるようになつたときは、その妃の社会的地位に鑑み、少きに失すると考えられますので、その場合には、独立の生計を営まれることにつき、皇室経済会議の認定を経た上、定額相当額を支出するよう改正いたしておるのであります。内閣委員会は、予算審査を合せて委員会を三回開きまして、慎重審議の結果、全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。  次に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本法律案内容を説明いたします。皇室諸般の費用は、日本国憲法第八十八条及び皇室経済法の規定により、毎年国庫から支出することになつております。皇室経済法施行法第七条及び第八条は、内廷費及び皇族費の定額に関する規定でありますが、現在の定額は昭和二十七年度当初において定められたものでありまして、内廷費は三千万円、皇族費年額の基準額は百四十万円となつておりますが、諸般の関係から、本法律案におきましてはこれを改訂いたしまして、それぞれ三千八百万円及び百九十万円といたしておるのであります。  内閣委員会は、予備審査と合せ、委員会を三回開きまして、慎重審議の結果、全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。1  以上御報告申上げます。(拍手
  38. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  39. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  40. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、お諮りして決定いたしたいことがございます。今回の九州その他の地方の豪雨による被害並びに過般の西日本一帯の水害を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十五名からなる水害地緊急対策特別委員会を設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて委員二十五名からなる水害地緊急対策特別委員会を設置することに決定しました。本院規則第三十条により、議長が選定いたしました特別委員の氏名を参事に朗読いたさせます。    〔参事朗読〕  水害地緊急対策特別委員    秋山俊一郎君  小野 義夫君    剱木 亨弘君  西郷吉之助君    重政 庸徳君  高野 一夫君    谷口弥三郎君  藤野 繁雄君    松岡 平市君  河野 謙三君    島村 軍次君  野田 俊作君    林   了君  三浦 辰雄君    阿具根 登君  安部キミ子君    矢嶋 三義君  吉田 法晴君    小松 正雄君  松浦 清一君    山下 義信君  寺本 広作君    松浦 定義君  加瀬  完君    鈴木 強平君
  42. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 議事の都合によリ、これにて暫時休憩いたします。    午後三時二十三分休憩      —————・—————    午後九時六分開議
  43. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。一松定吉君から、裁判官弾劾裁判所裁判員を辞任いたしたい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。      —————・—————
  45. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) つきましては、この際、日程に追加して、裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
  47. 石村幸作

    ○石村幸作君 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  48. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私は只今の石村幸作君の動議に賛成いたします。
  49. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 石村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に堀木鎌三君を指名いたします。      —————・—————
  51. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 参事に報告いたさせます。    〔参事朗読〕 本日衆議院から左の内閣提出案を受領した。よつて議長は即日これを大蔵委員会に付託した。  国際復興開発銀行等からの外資の受  入に関する特別措置に関する法律案本日委員長から左の報告書を提出した。  国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案可決報告書  昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)可決報告書  昭和二十八年度特別会計暫定予算補正(特第2号)可決報告書  昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第2号)可決報告書      —————・—————
  52. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。    〔大矢半次郎君登壇拍手
  54. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 只今議題となりました国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  最近、外貨資金の導入につきましては、電力設備合理化のための資金の借入が期待せられるに至りましたので、本案は、国際復興開発銀行等からの外資の受入を促進するために関係法律の特例規定を設けようとするものであります。  次に、その内容を申上げますと、第一に、国際復興開発銀行又は外国政府金融機関から外資を受入れようとする場合に、当該貸付を受けようとする者が主務大臣の認可を受けたときは、その認可を以て外資に関する法律の規定による認可を受けたものとみなし、国際復興開発銀行等に対する元利金の支払の場合における外貨送金を保証しようとするものであります。第二に、政府日本開発銀行又は日本輸出入銀行の国際復興開発銀行等からの資金の借入契約に基く外貨債務について、予算に定めるところにより保証契約をすることができることとしようとするものであります。第三に、日本開発銀行又は日本輸出入銀行が国際復興開発銀行等からの外貨資金の借入契約に基き債券を引渡す必要があるときは、当該借入額を限度として債券を発行することができることとしようとするものであります。  本案の審議に当りましては、日本開発銀行の小林総裁及び中山理事並びに日本輸出入銀行の山際副総裁の三君を参考人として出席を求め、最近における日本開発銀行及び日本輸出入銀行の業務内容及び国際復興開発銀行よりの外資導入の交渉経過等について実情を聴取する等、慎重に審議いたしたのでありますが、そのうち質疑の主なるものを申上げますと、現在、世界銀行との交渉を行なつている具体的内容についての質問に対しては、中部、関西、九州の三電力会社が使用する火力発電設備資金として四千九十余万ドルの借入れが近く実現される見込であるとの答弁がありました。又、水力発電設備資金一億二千余万ドルの導入の見通しについての質問に対しては、現在折衝中であるが、今後極力努力して融資の実現を図るつもりであるとの答弁がありました。又、外資の導入が実現した暁には、政府はこれに応じて国内開発資金を中小企業及び農林漁業方面にも廻すべきではないかとの質疑に対しては、政府より、でき得る限りその方針で努力するとの答弁がありました、その他の詳細は速記録によつて承知願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、野溝委員より、「外資導入資金が兵器生産に使われるのではないかと見る向きもあるが、政府の説明によつてその懸念がないことが明らかとなつたのはよろしいが、なお大企業のみに偏することなく、農林漁業並びに中小企業に対する融資を強化する必要がある。而して政府より将来その趣旨に副うて努力する旨の答弁があつたので、これを期待して本案に賛成する」との意見が述べられ、次いで小林委員より、「外資導入に対する政府保証の必要はかねてより自分の主張したところである。而して本案は、将来の外資ポジションの正常化の道を開くと共に、なかんずく安い金利の外貨を利用する長所があるのであるから、政府においては電力料金の引下げに努力すべきである」との希望を付して賛成意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。
  55. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  56. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  57. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、  昭和二十八年度一般会計暫定予算補  正、(第2号)  昭和二十八年度特別会計暫定予算補  正、(特第2号)  昭和二十八年度政府関係機関暫定予  算補正、(機第2号)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。予算委員長青木一男君。    〔青木一男君登壇拍手
  59. 青木一男

    ○青木一男君 只今議題となりました昭和二十八年度一般会計暫定予算補正、(第2号)昭和二十八年度特別会計暫定予算補正(特第2号)及び昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第2号)の予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  本件は、去る十三日、本国会に提出せられ、目下衆議院において審議中の昭和二十八年度本予算が成立いたしますまでの暫定措置として、七月分に必要なる経費を、今までの暫定予算には追加いたしまして、暫定予算補正第2号として提出されたものでございます。この七月分暫定予算は、昭和二十八年度本予算を基礎として編成されたものでありまして、四月乃至六月分の暫定予算とは、やや趣を異にしておる次第であります。即ち、暫定予算の性質上、新規事業のうち後年度に相当な財政負担を及ぼすような大規模な事業に対する経費は計上を見合せてありますけれども、その他の経営的経費につきましては、本予算計上額の月割一カ月分を計上し、又、本予算において七月分より実施を予定しております新規事業及び単価の改訂につきましても、原則としてこれを織り込むこととしているのであります。要するに、暫定予算の域を脱しない限度を目途としつつ、而もでき得る限り本予算趣旨を織り込むという方針の下に編成されたものであります。かくて七月分の暫定予算一般会計において、歳入一千四億五千八百余万円、歳出九百六十七億八千四百余万円でありまして、その内容につきましては、只今申上げましたように、歳出は原則として本予算計上額の月割一カ月分を計上いたしておるのでありますが、公共事業費、食糧増産対策費、住宅対策費等で、従来より継続の事業費につきましては、事業施行の時期的関係を考慮して、その促進を確保するに必要な額を計上すると共に、新規事業についても、急施を要するもの又は時期的の関係あるもの等は七月中に必要とする金額を計上しておる点が、従来と異なる特徴となつておるのであります。特別会計及び政府関係機関につきましても、一般会計と同様、二十八年度本予算を基礎として七月分の所要額を計上いたしておるのであります。  さて、本案の審査に当りましては、六月二十三日に予備審査を開始したのでありますが、政府側の出席の都合を考慮し、衆議院よりの送付を待つて、二十九日及び三十日の両日、総理大臣並びに関係大臣の出席を求めて審査を行なつたのであります。委員会における質疑応答は国政全般に亘つておりますが、ここにはそのうち特に重要と思われる若干の問題について、その要旨を御報告することにとどめたいと思います。  先ず第一は外交関係であります。即ち、「フイリピン政府の今回我が戦犯者に対しとられた措置について政府として何らか謝意を表すべきであると思うがどうか。朝鮮休戦によるアジアの平和復興は世界の望むところであると思うが、日本は、いつまでもアメリカの外交方針に追随することをせず、朝鮮和平の急速なる成立について、更に進んで諸国軍隊のアジアからの撤兵や中共の国連加入促進について、政府の意図を表明する意思はないか」との質疑に対しましては、「フイリピン政府の今回の措置には政府は深く感謝しておるが、国会でも十分に謝意を披瀝してもらいたい。朝鮮における和平の成立につき、我が国が強くこれを希望しておることは世界もよく承知しておるので、特に声明する必要は認めない。中共の国連加入問題は関係国間で検討され、目下微妙な関係にあるし、日本自体が未だ国連加入を許されておらぬので、日本として促進の手段がない」旨の答弁がありました。又、「東南アジアの貿易や東南アジアとの経済協力が強調されているが、中共との貿易を拡大することなしにはアジア貿易考えられないこと、東南アジア各国における華僑の動向を正しくつかむことが、この方面の貿易拡大に重要な関係があると思わないか。経済外交には、在来の外交官のみでなく、民間経済人や技術者を起用したり、経済アタツシエを置くつもりはないが」との質疑に対し、「東南アジアとの提携については、経済侵略の印象を与えないよう慎重なる注意を払う。又、経済外交の方法については種々努力している」との答弁がありました。、  「安保条約に基く自衛力漸増計画に」ついては、今まで国民に何ら具体的な案が示されていなかつたのであるが、過般、木村保安庁長官によつて具体案が用意されている事実が明らかとなつた。政府は速やかにこれを発表する考えはないか。又、MSA援助について、政府アメリカ側と折衝をしていないと言つていたが、非公式に交渉をしているではないか」との質疑に対し、政府側から、「保安庁長官が所管事務について研究をし、意見を述べることがあるのは当然であるが、それは閣議の決定を経ない限り政府の政策ではない。自衛力漸増について政府如何なる計画を持つているかは、予算に現われている通りである。又、MSAについては、外務省としては従来研究はしておつたが、交渉をしたことはない」との答弁がありました。  次に経済問題について、「最近の経済情勢の悪化、特に本邦品の割高による輸出不振に対処する政府の施策については、三百六十円の円為替レートを以て果して輸出競争に堪えるかどうか。輸出増進政策が国内で物価を吊り上げ、海外にダンピングを行なつたり、労働者の犠牲の上に行われるのではないか」との質疑がありましたが、政府は、「朝鮮事変の勃発により我が国の産業がなすべき産業合理化を怠つていたので、これが促進に努め、電源その他の資源開発を行い、経済基盤の強化とコストの引下げに努力している。輸出はポンド圏貿易が後半からややよくなる予定であること、輸出促進を勤労者の犠牲の上に行うつもりはない」という答弁がありました。更に、今回の暫定算総則に盛られている世界銀行よりの借款に関連して、「発電機械や土木機械のごとき、国内でも生産可能のものを強いて外債により購入するのは、経済自立を図るという政府の根本政策と矛盾しないか。なお、このような重大な政策的意味のあるものを何故暫定予算に入れねばならないか」という質疑がありましたに対し、「日本開発銀行が世界銀行から借入さる外債の政府元利保証については、別に法律案国会に提出しており、この交渉が七月中に成立する見通しであること、世界銀行からの外債による分は、日本生産したことのない高性能の発電機械であり、二十五年という長期資金で、日本経済の自立に役立つと思われる」旨の答弁がありました。  次に農業問題でありますが、「最近における闇米高騰の原因並びに対策はどうか。早場米奨励金を打切るという噂が流布されているが真相はどうか。今回の麦価決定は、事実上、麦の二重価格制を認めたことであり、政策上の大転換を行なつたものと思うが、政府の所見はどうか」等の質疑に対しまして、政府側より、「闇米高騰の原因については目下調査中である。対策として繰上げ配給については只今のところ考えていないが、ただ精麦は必要に応じ適当な措置をとりたい。早場米奨励金は統制を継続する限りこれを打切る考えはない。今回の麦価については、見方によつては二重価格制と言うかも知れないが、麦には統制がなく、その価格は自由になつているので、いわゆる二重価格ではない」という答弁がありました。  又、「今回の西日本の大水害についの政府の対策並びにその予算措置はどうなつているか」という質疑に対しまして、政府側から、「取りあえず実情を調査し、適当な対策を立てるため、大野国務相を現地に派遣し、現地で応急措置のできるものは速やかに実行に移す考えである。災害対策予備費は、今回の七月分暫定予算に計上した十五億円を含めると、未使用残額が二十五億円ほどあり、差当り直轄河川の決壊堤防せきとめのため六億円を支出してもなお十八、九億円の残りがある。二十八年度本予算には、暫定予算に計上済みの三十億円を含め百億円の災害対策予備費が計上されているので、一応は賄い得ると思う。」なお、「このような当面の応急な対策とは別に、根本対策については如何考えているか。災害が未処理のまま累積され、その復旧が遅々として進まない現状に鑑み、災害を未然に防止するため、たとえ防衛費をあと廻しにしても、災害防除、国土保全のための経費を増額すべきではないか」との質疑に対し、政府側から、「二十八年度予算に計上した公共事業費は今までに曾つてない巨額のもので、これで十分とは言えないとしても、資金の効率的使用の面からすればこのくらいが適当と思う。又、保安庁経費等はこれ以上削減の余地はない」という答弁がありました。  最後に森委員から、公務員の夏季手当増額の問題につきまして、人事院勧告が十分に採用されていないことや、号俸区分が均衡を失しているので是正すべしとする我々の要請が不問に付されていることや、最近の一般的な経済事情及び民間給与との関連等から見て、何らかの考慮が必要と思う。大蔵大臣は、六月分暫定予算の際は篤と考慮すると答弁され、昨日は本当に考慮すると答弁されているが、察するに、昨日の答弁は、最近の機会において増額支給するように取計らうの意味と理解するが、重ねて大臣の所見を明確にいたしておきたいとの質疑に対し、大蔵大臣から、重ねての質疑の御趣旨もあるので善処することといたしますという答弁がありました。なお、湯山、松澤両委員からも関連質問がありまして、大蔵大臣から右と同様の答弁がありました。又、緒方国務大臣からも大蔵大臣と同趣旨答弁がありました。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、先ず、小林委員から日本社会党第四控室を代表して、防衛関係費が計上されておること、凍霜害並びに風水害対策経費が不十分であること、公務員の夏季手当増額を織り込んでいないこと等を理由として反対、高橋委員から自由党を代表して、各項目ともいずれも緊急止むを得ない経費のみであるとして賛成、加藤委員から日本社会党第二控室を代表して、本予算には、西日本災害対策費、夏季手当増額等、緊急な経費の計上に何ら見るべきものがない半面、再軍備的性格を持つておるとの理由で反対、森委員から緑風会を代表して、予算執行に当り災害応急対策の実を速やかに挙げるべく最善の努力を払うよう希望を付して賛成、無所属クラブの木村委員から、本暫定予算は二十八年度予算の一部であるから、本予算と切り離してこれだけを承認することはできない、世界銀行からの外資導入は、その性質上暫定予算に織り込むべきではない、夏季手当については篤と考慮するとの言明があつたのにもかかわらず、誠意が認められない等の理由で反対、堀木委員から改進党を代表して、おおむね妥当な暫定予算と認められるので、将来に対する我が党の態度を拘束するものではないとの留保を付して賛成、最後に、純無所属クラブの三浦委員から、現在の国政運用上必要なる最小限度のものであるとの理由で賛成の旨を述べられました。  かくて討倫を終局し、採決の結果、予算委員会に付託せられました昭和二十八年度暫定予算補正第2号三案は、多数を以て可決すべきものと決定いたしました。詳細は速記録によつて承知を願います。  以上御報告を申上げます。(拍手
  60. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  61. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて三案は可決せられました。(拍手)  次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時三十一分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  一、日程第二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案趣旨説明)  一、郵便法の一部改正する法律案  一、皇室経済法の一部を改正する法律案  一、皇室経済法施工法の一部を改正する法律案  一、特別委員会設置の件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員辞任の件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙  一、国際復興開発銀行からの外資受入に関する法律案  一、昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)  一、昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(特第2号)  一、昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第2号)