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政府委員(
岡原昌男君) 今回の
改正の根本的な考えを申述べると、大体先ほど申しました
通り、
訴訟法が新らしくな
つて四年、去年で勘定しますと三年
余りということで、まだ
只今御質問の
通り根本的な問題についてこれをどうするという
段階ではなかろうというふうなことは、
基本的な
態度の
一つでございます。ただ、これを三年半乃至今度は四年も
運用してみますと、その
基本的な枠はそのままに取りあえずいたすにいたしましても、その
内容が部分的にいろいろと問題が出ておる。これをそのままの形でいつまでも置くということは、
訴訟を公正、適当、妥当に進行せしむるゆえんではない。さような
観点がら比較的細かい点についての
改正をしようとする趣旨でございます。
只今お話の
控訴審における事実取調べの範囲の拡張の問題でございますが、その点に関しまして、いわゆる
控訴審の
構造に関する
意見というものは、実にいろいろたくさん出ました。で、前の
訴訟法におけるごとく、
覆審にしたほうがよかろう、或いはこれを続審的な
程度にとどめたがよかろうというふうな
意見もございましたし、又中には現在の
事後審の
建前は絶対に崩すべきでないというふうな
意見も勿論出たわけでございます。そこで
事後審の
訴訟構造を一応そのままにしてことを考えるということでなければ、これは単に
控訴審の
構造が若干の影響を受けるというにとどまらずして、一審そのもののやり方、それから上告のやり方等まで全部影響を持
つて来るわけでございます。これは
訴訟法の全体の流れというものが、
訴訟の全体の進行というものが決してその
一つのところだけでとどまらない。必ずその前後に影響が及ぶという原則から来るのでございますが、さような観点からこれを根本的に
覆審的なものにする、或いはこれを続審的なものにするということは、到底短日月になし得ないことにな
つたわけでございます。
従つて今回の
改正は、
あとでいずれ三百八十二条以下の
改正条文の際にその点がはつきりして来ると思うのでございますが、決して現在の
制度を根本的に動かしたものではなく、又根本的な点に触れて来るのではなくて、ただ現在の
訴訟のやり方で
控訴審ではこういう点が著しく不便である。或いは人民の権利を保護するゆえんではないとい
つたような点を修正しようというのがこの
改正でございます。又
アレインメントの
制度にいたしましても、
只今御指摘のように、英米法をそのままには採用いたしておりません。で、
アレインメントの
制度が
証拠法に
関係を持
つて来ることも又御
承知の
通りでございます。ただ、私どもといたしましては、
証拠法の全体をこの際動かす、或いは
証拠法の
基本的な
条文にこの
アレインメントが影響を持
つて来るということは、これはこの
法案の
法律の修正を根本的になすときでなければなし得ないというふうな観点から、主として当面と
つておる
証拠法の原則はこれを採用いたしつつ、それについての若干の修正をする、さような
建前によ
つたものでございます。つまり自白をいたしましても、いろいろな証拠調べはこれをすることができる。ただその証拠調べのやり方、証拠能力等についての
条文に若干の修正を施す、かような
考え方の下に立案されたものでございます。