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一松定吉君 今あなたの御
意見はただ
理窟ですわ、それは……。実際そういうことがないということは言えないのみならず、今のように公務員が上司の
意見を聞かずして、そうして
自分の顔を通そうという実例はあなた、日に日に我々の見聞するところでありまして、例えば
裁判所の書記官あたりでも、
自分の待遇を改善して、給与を上げてもらいたいということのために、
監督官の部屋に入り込んで行
つて、そうしてそこにあぐらをかいて
要求をして、室内から退去を命ぜられても応じないということがあるじやありませんか。殊に文教の府にある文部省あたりでもすでにそういうことがある。あらゆるこの権利義務を主張するような
裁判所とか検察庁とかいうようなところには常にそういうことが現に行われつつある。ですからしてこの
委員が、
法務大臣の、これは不適任だなと思うような
人間を
推薦して来ないということは言えない。故意にそういうものを
推薦しないとしても、
推薦して来たうちで、これはどうも不適任だなと思
つたときには、不適任だと思
つても、その
推薦に拘束されるならばこれは異論はない。
法務大臣からその
推薦を取替えてくれんかということはできないことになるのだが……。それは十五条の法文から見て直ちに
推薦に拘束されると思わないからして、この
考査委員は不適任だからと言うて
推薦を変えてもらう。よろしうございますとい
つてすぐ変えれば問題はないが、いや、あなたの言うことには応じませんと言うて
推薦者を変えない。そうして変えないで
法務大臣はそれに拘束されるということであれば、
法務大臣の意思は尊重されないし、
推薦は変えないということになると、そこで両方とも三すくみになれば、
司法試験は行われないということになる。当然あり得べきことですよ。あなたの言うようにこれは慎重に、こういう人選をしたのだから云々とおつしやるけれども、それはいわゆる旧憲法の天皇制のときならば官吏は上司の命令に従わなければならんとか、従わなか
つたらそれを懲戒に付するとかいうようなことがどんどん行われるけれども、今日はそれが行われないのだから、そこでこれを法文に設けてそういうような弊害を除去するように完全にしておく必要がないかということを心配して私は
質問したのですが、併し今政務次官の御答弁なり、あなたの御答弁によ
つて、今私のような心配をしていることもあり得べきことであるから、更に適当な時期まで考慮するということであれば、これ以上私は
質問を継続いたしませんから、希望として述べておきますが、どうぞ成るべく急速に、もう今年はすでに完全にその人が
任命されてその
試験の準備にかか
つておるようですから今年は問題はないが、来年、再来年の将来の問題が心配になりますから、成るべく早く適当な機会においてこの欠点を補正するような方法を講ぜられんことを特に
要求いたしまして
質問を打切ります。