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1953-07-09 第16回国会 参議院 法務委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十八年七月九日(木曜日) 午前十時三十一分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
郡
祐一
君 理事
宮城タマヨ
君 亀田 得治君
委員
小野 義夫君 楠見
義男
君
中山
福藏
君 赤松 常子君 棚橋 小虎君
一松
定吉
君
政府委員
法務政務次官
三浦寅之助
君
法務大臣官房調
査課長
位野木益雄
君
運輸省航空局監
理部長
粟沢
一男
君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
常任委員人専門
員 堀 真道君
説明員
法務事務官
(
法務省民事局
付) 村岡 二郎君
運輸大臣官房文
書課長
谷
伍平
君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
司法試験法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
・
衆議院送付
) ○
航空機抵当法案
(
内閣提出
・
衆議院
送付
)
—————————————
郡祐一
1
○
委員長
(
郡祐一
君) 只今から本日の
委員会
を開きます。 先ず
司法試験法
の一部を
改正
する
法律案
についてさきに
政府
の
提案理由
を聞きましたが、御
質疑
のあるかたから順次御
質疑
を願います。
楠見義男
2
○楠見
義男
君
ちよ
つと
参考
のために伺いたいのですが、今度
手数料
が第二次
試験
において五百円が千円になりますね。
提案理由
を拝見しますと、ほかのほうの
試験
が
物価事情等
に対応して五百円乃至千円とな
つて
いる、こういうふうに書いてあるのですが、具体的にどの
試験
が五百円、どの
試験
が千円というお調べがあ
つた
らお知らせ頂きたいのですが……。
位野木益雄
3
○
政府委員
(
位野木益雄
君) これはお
手許
に多分参
つて
いると思いますが、
法律案
の
参考資料
がございますが、それの九ページにあると思います。これを御覧願えば主なことはおわかり願えると思います。念のために申上げますと、
公認会計士試験
、これが五百円と千円、
弁理士試験
五百円、税理士五百円、
医師国家試験
三百円、四百五十円、八百円、それから
歯科医師国家試験
これが四百五十円、それから三百円、これは特別の場合です、二千五百円の三つの
種類
があります。
試験
の
種類
によ
つて
違うわけです。
薬剤師試験
これが五百円と千円というふうにな
つて
おります。
楠見義男
4
○楠見
義男
君 これは例えば
歯科医師試験
とか、それから或いは
薬剤師試験
とか、こういうようなものは
試験
に供するいろいろの材料だとか、そういう特別の国のほうの
出費
がかかるので、
従つて
そういうような事柄を
考え
て、多少ほかの
試験
に比べて
手数料
を高くするということはこれはあり得ると思うのです。根本の
考え方
は、
国家試験
は、できるだけひやかしの
受験者
の整理という意味もありましようが、併し根本的にはできるだけ
手数料
というものを安くするのが
受験者
のためにはとるべき
方法
であろうと思う。そこで今申上げるように、特別に
実地試験
とか或いは
試験
のために特別の
出費
が多く要るというような場合には、これは考慮していいと思うのですが、それでなければ、特にそういうものがなければできるだけ下げたほうがいいと思うのですが、
試験
について何か
特別会計式
にそれで以て償うとか、そういうことは私は恐らくないと思うのですが、もう少し深い値上の
理由
がありましようか。
位野木益雄
5
○
政府委員
(
位野木益雄
君) 誠に御尤もなことだと思います。できるだけ
受験者
の
負担
を軽くするということは
我我
としても非常に希望いたしておるところであります。ただ
費用
は、これは今申上げましたように特別の設備というほどのものは勿論要らないのでありますが、それにも十分匹敵し得る
程度
の
費用
がほかの点でかかるのであります。それは御
承知
のように
司法試験
は非常に綿密な
試験
をいたしますので、
筆記試験
が御
承知
のように一週間続けて行われます。それから
口述試験
が約十日間行われるわけです。この
筆記試験
のほうでありますが、
受験者
が二次
試験
に例をとりますと、約六千人あるわけです。これの答案を見るのに、仮に一日に三百通
試験委員
が見るといたしましても、二十日間はかかるというかうなわけであります。それから
口述試験
の場合も、その間は
試験委員
は連日丸一日を費して頂かなければならないのであります。而もこの
試験委員
は御
承知
の
通り一流
の学者或いは
専門家
のかたで、それだけの労力を煩わしておきながら、報酬は予算の
関係
もありまして極く僅かです。昨年の例をとりますと、一番多く差上げたかたで五万円ということにな
つて
いる。而も現在の
手数料
はその
試験
に要する実費の
半額程度
しか及ばないのであります。
手数料
による収入は……。そういうような
関係
から非常にこの
試験
が経費を要するにもかかわらず、
手数料
が安か
つた
ということが言えるのであります。
楠見義男
6
○楠見
義男
君 それから今度の
附則
の四項の
改正
で、
行政科試験
に
通つた者
は
司法試験
を受ける場合の
試験科目
として四
科目
ありますね。五項のほうの従来の
高等科司法試験
に
通つた者
についてはこの
法律
による
司法試験
に合格した者とみなすという
規定
は変らない。
従つて
すでに
一つ
の
科目
について合格した者は、
改正法
による
試験
でも合格したものとみなされるのに、同じ
高等試験
で
行政科
のほうは、例えば
憲法
なら
憲法
というようなものを受けて、それで合格しておる者が、今度は改めて又四
科目
受け直すというのはどういう
理由
なんでしようか。
位野木益雄
7
○
政府委員
(
位野木益雄
君) その点は、この
司法試験
が制定される場合に問題に
なつ
たのですが、
従前
の
高等試験
の
行政科
に合格した人に対する取扱をどういうふうにするかということについては、いろいろ
議論
があ
つた
のでありますが、その中で今御指摘のような
従前
すでに
憲法
を受験しておるものは、そういうものは、今度の場合も免除するというようなことにしたらどうかという
議論
も出たのであります。併しながらまあこの新
憲法
後は、
法律
も変
つて
おりますしするので、これはやはりもう一度
最小限度
、まあ
附則
に掲げた
程度
のものは、受験させることにすべきじやないかということで、こういうふうに
なつ
たと
承知
しております。というのはこれはこの
附則
は国会の修正で入れられたものであります。その
趣旨
はそういうふうな
趣旨
ではないかと思います。
楠見義男
8
○楠見
義男
君 いや私の申すのは、それと同時に、現在の
附則
で、例えば
憲法
、並びに
民法
及び
刑法
のうち一
科目
と、こうな
つて
おりまして、
憲法
、それから
民法
と
刑法
のうちの例えば
民法
ですね……、こういうものはその
試験
を免除される、これは一遍
試験
を受けておるからだろうと思うのですが、今度はその
民法
及び
刑法
は、
商法
が入りまして、そのうちの
一つ
は必らず受けなければならん。
従つて
前は
刑法
を受けなくてもいいものが、今度は必ず
刑法
を受けなければならんので、
負担
が重くなるわけですね。同じ
国家試験
を受けてお
つた人間
で、合格した
人間
がその
負担
がこの
経過規定
によ
つて
重くなるのですが、その
理由
はどういう
理由
かと、こういうのです。
位野木益雄
9
○
政府委員
(
位野木益雄
君) これは今までの
附則
の四項の
科目
の問題でありますが、まあ今までその
科目
を受けてお
つた
から、この
程度
でいいということも或る
程度
あるかと思いますが、この受けてないものも勿論入
つて
おるわけであります。例えば
刑法
なんかは受けない人が多いかと思いますが、今まで
行政科
は必須ではないわけでありますが、併しそれは受けなくても、
民法
を受けられればそれでいいというふうなことにな
つて
おりまして、必ずしもそれのみによ
つた
ものとも
考え
られないのであります。で
最小限度
併しこの
程度
のものが必要である、改めてなお受けさせてみる必要があるのじやないかというふうな
考え方
でできたのではないかと思うのであります。で
負担
がこれによ
つて行政科
のために重くなる、
行政科受験
、この
合格者
に多くなる、こういう点でありますが、この点は昨日……、一昨日でありましたか、
衆議院
のほうでは、むしろ逆の御
質問
があ
つた
のでありまして、
行政科
の
合格者
が余りに
負担
が軽過ぎやしないかというふうな御
質問
があ
つた
のでありまして、そういう
見方
もできるのであります。結局今まで
高等試験
の
司法科試験
に合格した人は
合格者
とみなすというふうな点との比較になりますが、これはやはり
従前
の
司法科試験
に代るものであるとしてできた以上は、これについて改めて受けさせるということまでやることはどうかというふうに
考え
られますので、それを比較いたしますと、そういう感じも受けられるかも知れませんが、それを離れて
考え
ますと、必ずしもそのために、今度の
改正
によ
つて行政科
の
合格者
に対する
負担
が
従前
より多く
なつ
た、余りに
負担
が重過ぎやしないかという
見方
は、必ずしもそういうふうにも参らないではないかというふうに、
考え
をいたすのであります。で、この
高等試験
の時代には、たしか
行政科
に合格した者は、
行政科
について合格した
科目
について免除するというふうにな
つて
お
つた
と思いまするが、そういう立て方には必ずしもよ
つて
いないという
考え
もあ
つた
かと思います。
楠見義男
10
○楠見
義男
君 これは私
意見
に亘りますからこれ以上申しませんが、要するに
司法科試験
と
行政科試験
の
試験
が狙うところ、例えば
訴訟法
とか、そういうもの、或いは従来
行政科
では
選択科目
であ
つた
けれども、
司法科
では
必須科目
として是非履修して行かなければならない。そういうようなものについての
試験
、これは特別に
性格
が違うのですから、
試験
の
目的
が違うのですから、それは受けて然るべきだと思うのですが、併しそうでないものについては、
行政科試験
も
国家試験
なんだから、
従つて一つ
の
行政科
のほうの
試験
に合格したものは、その
科目
は、当然他の
国家試験
と同じ
科目
のものは免除するというのが、
国家試験
というものの
性格
からい
つて
、私は当然じやないかと思うのですが、併しこれは
意見
に亙りますから、これで打切ります。、
郡祐一
11
○
委員長
(
郡祐一
君)
ちよ
つと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
郡祐一
12
○
委員長
(
郡祐一
君)
速記
を始めて。
一松定吉
13
○
一松定吉
君
司法試験
の
司法試験管理委員会
の
委員
というのは三人だ。そうしてその三人のうちの二人は
法務事務次官
と、
最高裁判所事務総長
、いま一人は
法務大臣
が
弁護士連合会
のうちから
推薦
された者を任命する。これが
司法試験管理委員会
の
委員
三人であるが、この
司法試験
の直接衝に当る
司法試験官
、これは何名でどういう人を任命するわけですか。
位野木益雄
14
○
政府委員
(
位野木益雄
君) その直接
試験
に当る
委員
は、
司法試験考査委員
と申しまして、この
法律
の第十五条に
規定
してございます。
試験ごと
に
法務大臣
が
司法試験管理委員会
の
推薦
に基いて任命するものでありまして、
試験科目
一
科目
につき四人以内ということにな
つて
おります。四人全部
普通科目
について任命することにな
つて
おりますので、この
憲法
、
民法
、
刑法
、
民事訴訟法
、
刑事訴訟法
、
商法
これにつきましては、四人ずつ二十四人、そのほかの
選択科目
につきましては四人乃至二人ということにな
つて
おりまして、三十人
程度
の
委員
で二次
試験
のほうは
試験
を行うことにな
つて
おります。一次
試験
のほうはこれはやや
試験
の
やり方
が変
つて
おりますので、十数名ということにな
つて
おります。
一松定吉
15
○
一松定吉
君 そうすると十五条によ
つて司法試験管理委員会
の
推薦
に基いて
法務大臣
が
試験考査委員
を命ずるということにな
つて
おるのですが、そうすると
司法試験管理委員会
の
推薦
した人に対して
不適任者
があ
つた
というようなときには、
法務大臣
はそれは採用せんでもいいんですか。
位野木益雄
16
○
政府委員
(
位野木益雄
君) これは十五条の
法文
の解釈問題にな
つて
参りますが、「
司法試験管理委員会
の
推薦
に基き、」とありますから、これは
推薦
がなければいけない……。
一松定吉
17
○
一松定吉
君 なければいけないが、その
推薦
した人に
不適任者
がある。例えば
試験考査委員
が十五人なら十五人
推薦
して来た。そのうち三人は
不適任者
があるというときには、この三人は不適任だからもう一遍三人を
推薦
し直せということができるのかどうか。その三人を
推薦
し直して来たときに、又二人
不適任者
があればこれをし直せということができるのかどうかということと、
法務大臣
はそれは
不適任者
であるからと言うて行
なつ
たにかかわらず、
司法試験管理委員会
が
法務大臣
の命に従わずして、ほかの者を
推薦
しなか
つた
というときにはどうなるか、そういうことを聞きたい。
位野木益雄
18
○
政府委員
(
位野木益雄
君) その点でありますが、まだ
従前
そういうふうな事態が起
つた
ことはございませんので、確定的な見解というものは今までできておりませんですが、ここで私見を申上げますと、
推薦
が不適任であればこれは任命する必要はなかろうかと思います。
一松定吉
19
○
一松定吉
君 そのときに
推薦
が不適任だからとい
つて
法務大臣
がその
推薦
通り
しないときには、これこれの人は不適任だから
推薦
し直せということの
意思表示
をして、それでし直せばいいが、し直さなか
つた
ときはどうするのか、又そういうことを、不適任だからとい
つて
その
推薦
した者を拒否することができるか。拒否したならば、その拒否に応じて新たに
推薦
しなければならんが、
推薦
しなか
つた
ときはどうするか、こういうことを伺
つて
いるのです。
位野木益雄
20
○
政府委員
(
位野木益雄
君)
推薦
がない者は任命できないのであります。
一松定吉
21
○
一松定吉
君 ここで言
つて
いるのは、
推薦
して来た者の中に
不適任者
があ
つた
ときに、これは不適任だから、
適任者
を更に
推薦
して来なさいとい
つた
ときに、そういうことを
法務大臣
が
試験委員
に命ずることかできるかということが
一つ
。それはできん、然らばそのときに
推薦
に応じなか
つた
らどうするかということが
一つ
。そういうときの取扱い方がこの十五条だけでは充実していないから聞くのだ。そこをどうするかということ、それは必ずしもないとは限りませんよ。次官と
事務総長
と、それと
弁護士連合会
から
推薦
した人の三人でこの
管理委員会
をこしらえる。その三人で、
司法試験管理委員会
が今度
試験
の
考査委員
を
推薦
して来る。この
推薦
して来た人のうちに
不適任者
かあるというときに、これは不適任だから、更にこれこれの
人間
だけは
一つ推薦
を取消して新たにしてくれということを命ずることができるか。できるならばその命じたときに
管理委員会
がその命に
従つて
推薦
してくれれば問題がないが、
推薦
して来ないときはどうするか。そのときはその
司法試験管理委員会
のうちの三人が言うことを聞かないならしようがないと、そういうときはどうするか、こういう問題だ。この
法文
にないから、その欠陥をどう補うのかというのです。
位野木益雄
22
○
政府委員
(
位野木益雄
君) これはいたし方ないというふうに
考え
ます。ですからその点は
法律
的に若しそういう心配も起り得るということが相当予想されるならば、何らかの手当をいたしたいと思います。
一松定吉
23
○
一松定吉
君 それで仕方がないからということにな
つて
来ると、結局
法務大臣
は不適任だとして
推薦
をやり直せと命令することができるのですか。
位野木益雄
24
○
政府委員
(
位野木益雄
君) それはできると思います。
一松定吉
25
○
一松定吉
君 できる……。できたときに
管理委員会
が、よろしうございますと承服してくれればよろしいが、
推薦
しなか
つた
ときは仕方がありませんじや、二進も三進も行けないが、それはどうするのですか、何かここにそういうときのことを
法律
に書いておかなければならん。これが抜けておるから聞く。
位野木益雄
26
○
政府委員
(
位野木益雄
君) 今そういうふうに
考え
ておりますが、なおこの点については研究さして頂きまして……。
一松定吉
27
○
一松定吉
君 それを
一つ
あなたのほうで更に御相談の上で、それが必要だということになると、この
法文
のどこかに、そういうときに処すべき法をこさえて来なければいかんから……。
質問
はこの
程度
にとどめておきましよう、更にお
考え
を願いたい。
楠見義男
28
○楠見
義男
君 今の
一松
さんの御
質問
に関連しているのですが、
推薦
する場合に、例えば
刑法
なら
刑法
で、三人なら三人の
試験考査委員
を
法務大臣
が任命しようとする場合に、三人だけ
推薦
させるんですか。それとも五名とか、その定数以上の人を
推薦
させるんですか、その点はどうなんでしようか。
位野木益雄
29
○
政府委員
(
位野木益雄
君) これは非常にこの間の仕事がスムースに参
つて
おりますので、四人の場合は四人そのまま
推薦
して、そのまま任命するということにや
つて
行きます。
楠見義男
30
○楠見
義男
君 それは
速記
にとどめるほどの問題じやないんですから……。
郡祐一
31
○
委員長
(
郡祐一
君) ではとめましよう。
速記
をとめて……。 〔
速記中止
〕
郡祐一
32
○
委員長
(
郡祐一
君)
速記
を始めて下さい。
司法試験法
の一部を
改正
する
法律案
については、なお一、二の
質疑
が残
つて
おりますが、都合によ
つて航空機抵当法案
の
質疑
に入ることにいたします。御
質疑
のあるかたの御発言を願います。 なお
前回
の
航空機抵当法
についての
質疑
中にありました
資料
を
運輸省
から提出いたして参りましたので、これについて
運輸省側
に
説明
することがありましたらこの際に御
説明
を願います。
粟沢一男
33
○
政府委員
(
粟沢一男
君) 先日
航空機
の
償却耐用年限
につきまして御
質問
がございましたので、調べて参りましたことを申上げたいと思います。 お
手許
にお配りいたしました一枚紙のほうが
耐用年数
の表でございます。御覧になりますように
DC
四型は七年の
耐用年数
といたしております。
DC
六につきましては恐らく八年以上というふうに
考え
ます。大体
航空機
の大小によりまして差をつけております。従いまして、例えばその次の
ビーチクラフト
、これは大体六人ぐらい乗込むもので四年にな
つて
おります。又デハビランドダブ、これは十人乗ぐらいになりますが、六年、最近東京の上空で
宣伝飛行
などいたしております
セスナ級
になりますと三年という
程度
に
耐用年数
をいたしております。
谷伍平
34
○
説明員
(
谷伍平
君)
前回
の御
質問
によりまして、
法律
によりまして
最高裁判所規則
に譲
つて
おりますところの
競売
の
手続
の大体の要旨を示せという
お話
がございましたので、かねて研究いたしておりましたところのアウト・ラインをまとめまして、お
手許
に
航空機競売手続要領
という題名の書類がお配りしてございますが、これにつきまして簡単に御
説明
申上げたいと存じます。なおこの
法案
の
附則
によりまして
改正
されます
航空法
によりまして、
最高裁判所
の
規則
に譲りますものは
競売規則
のほかに
強制執行
についても譲
つて
おりますので、
強制執行
についてももう
一つ規則
が別個に制定されることになるわけでありますが、これにつきましては大体同
内容
でありますので、一先ず
競売手続要領
のみをお
手許
にお配りしたわけでございます。
強制執行
の
規則
の大体
内容
と予想されますものにつきましては、明日印刷をいたしましてお配りできると思いますが、大体この
内容
と似通よ
つて
おりますので、これによ
つて
申上げたいと思います。 第一番に
競売
の
管轄裁判所
はどこか。これは
法律
によりまして
地方裁判所
がやるということが
規定
されておりますが、
土地管轄
はどういうふうになるかということが
一つ
でございます。これは船舶の
競売
の場合と同様に
差押
の当時に停留する場所、つまり
現在地
を以て
現在地
を管轄する
地方裁判所
を以て
管轄裁判所
としたわけでございます。自動車におきましては軽快な
機動性
を有します点から
登録地主義
を採用いたしておりますが、船舶同様の
程度
に
目的物
の捕捉が可能であるという
考え方
を以ちまして、
現在地主義
をと
つた
わけでございます。 第二に、
競売手続
の
開始決定
の
規定
について、
規定
を設ける必要があるのでございますが、
競売手続
につきましては
裁判所
が
債権者
のために
航空機
を
差押
える旨を宣言いたしまして、なお且つ
航空機
を
債権者
の委任した
執行吏
に
製品
を引渡すべき旨を命ずる、この
二つ
のつまり観念的な
命令行為
とそれから
製品
を実際に
執行吏
が
確保
する、こういう
二つ
の
手続
を以て
競売
の
開始決定
が行われる。その
差押
の
効力
は、
開始決定
を
債務者
に送達したときに
効力
が生ずるわけでございまして、
開始決定
があ
つた
ということは、
登録原簿
上にこれを表示して公示する必要がありますので、その第三項に書いてありますように
手続
の
開始決定
があ
つた
ときは、
競売
の
申立て
があ
つた
旨を
登録原簿
に記入することを
運輸大臣
に
嘱託
するわけでございます。この
嘱託
を受けました
運輸大臣
はこれは
政令
に
規定
するわけでございますが、
嘱託
を受けた場合の
登記
の
方法
は
政令
で
規定
いたしまして、
原簿
に表示するわけでございます。 第三に
監守保存処分
、ここに書いてございますが、これは
競売
の
申立
があ
つて
から
開始決定
を行うまでに若干の時間がありますので、その間に
航空機
について早くその現在の状態を
確保
したいという必要があ
つた
ときには、
債権者
の
申立
によりまして、
裁判所
は
監守保存
のために必要な
処分
をすることができる
規定
の必要があるわけでございます。これは
開始決定
の送達前であ
つて
も
差押
の
効力
を生じまして、
債務者
の自由な
処分
を禁ずるわけでございます。この場合におきましても、第二に
規定
したような
開始決定
前ではありますけれども、
登録原簿
に表示して第三者に広く公示する必要がありますので、同じく
嘱託登記
の
規定
を設ける必要があるわけでございます。 それから第四を御覧頂きたいのでありますが、
執行吏
がこの
債務者
から
航空機
の引渡を受けるわけでありますが、これは引続いて
執行吏
がこれを
占有
する、
占有
の
方法
はいろいろ
考え
られると思いますが、
占有
をするということによりまして
目的物
を
執行
が確実に行われるように
占有
をするわけでございます。併しながらこの
航空機
の
債務者
が非常に確実な
債務者
であり、且つ
航空機
をいろいろ公益上の必要からなお運行させるという必要がある場合もありますので、その点についての
規定
を置く必要があるわけであります。それは今申上げたのは第四の第三項の
規定
でございますが、それからなお第二項を
ちよ
つと落しましたので、
執行吏
は
自分
が
占有
するのが原則でありますが、
債務者
その他のものに
目的物
の
確保
ができるという確信がある場合には、その他の者に保管させることができる
規定
を設けて、実情に副
つた目的物
の
確保
の仕方を
規定
する必要があるわけでございます。 第五は
競売期日
の公告でございますが、
裁判所
が
競売期日
を公告するわけであります。これは
裁判所
の掲示に標示するだけでなく、三項に書いてありますように、
日刊新聞
に掲載して広く周知させることが適当であると認めた場合には、その
方法
をとることができるわけでございます。 最後に、以上は極く概略でございまして、このほかにもなお細密の
規定
を設ける必要がありますのでありますが、大体の
考え方
としましては、
規定
上
競売法
の不動産の
競売
に関する
規定
のところにいろいろございますが、それらの
規定
を準用して洩れのないようにして行く必要があると
考え
るのでございます。
強制執行
の
手続
の
要領
につきましては、大体用語は
競売
と異りますが、
やり方
としましては大体これと同様でありまして、先ほど申上げましたようにこれにつきましては明日お配り申上げるつもりでおるわけでございます。以上を以ちまして簡単でございますが、
資料
の
説明
を終らせて頂きます。
中山福藏
35
○
中山福藏
君
お話
はよくわかりました。大体こういうものであろうと私も想像してお
つた
のです。ところがこの
飛行機
の場合
考え
て頂かなければならんことは、例えば動産の
差押
の場合にはいろいろの問題が起きて、
一つ
の
制裁規定
が設けられて
不法行為
というものを禁ずるようにな
つて
おりますが、これは
競売
の
申立
をする、その
申立書
を提出する前に
債務者
がそれを、その
申立
があるということをさと
つて自分
の
飛行機
を外地に飛ばしたときには、
執達吏
の
占有保管
ということはできんことになるのですね。これは私が一番お尋ねしたい要点なんです。成るほど
公簿
上これは
申立
があ
つて
、それが記録された、そうして
債権者
は自己の
債権
の保全というものか即担保された
債権
が、その
債権
の対象となるべきものによ
つて
、
自分
の
執行
の
目的物
というものを完全に
執達吏
が
占有
管理しておるであろうと
思つて
お
つて
も、これは事実
上先
に飛んで
行つて
、
占有保管
に移されないときには
執行
できないのです。そこで私はこの場合に
限つて
これはやはり
一つ
の
制裁規定
というものを
単行法
で臨時措置的に制定する必要があるのではないか、これは特殊の場合です。動産とか日本にある不動産の場合にはこれはあなたがたのいわゆる
債権
保全というものは担保物件を
競売
することによ
つて
、
債権者
は満足を得るのですけれども、この場合は満足できないのです。いわゆる机上作戦を練
つて
おるだけということになるのではないでしようか。
競売
の
申立
の登録はされた、
執達吏
が
行つて
占有保管
する、この
占有保管
ができんときはどうなるか。悪意に
飛行機
を途方もないところへ飛ばしたという場合にはどうするかということも、一応
考え
なければならんと思うのです。船の場合よりかもう少しむずかしいのじやないかと思うのですがね。そういうことを私はお聞きしたいので、この
資料
を提供なさるように御請求申上げたのでありますが、そういう点についてはどういう処置をとられるお
考え
でしようか。これは一番大事なところだと思うのですね。
谷伍平
36
○
説明員
(
谷伍平
君) 今
お話
のような事例が絶無であるということを申上げるわけには行かないと思いますが、
航空機
につきましては
前回
も
お話
申上げましたように、これを単に
債権
の抵当権の
執行
を免れる
目的
を以
つて
飛行機
を国外に持出すということにつきましては、そこにいろいろの障害が
考え
られるわけでございます。先ず日本の
航空機
として日の丸をつけた、つまり日本の国籍を取得した
航空機
でございますので、それを外国に持
つて
行きました場合に、外国の登録を受けられるというわけには参りませんので、相変らず日本の国籍を持
つた
ままである。外国の国籍を持
つた
飛行機
の運行につきましては、各国とも民間航空条約によりまして非常に限定された運行のみしかできないことにきめられておりますので、これを何か経済
目的
に使うということは殆んど不可能なわけでございます。のみならず乗員もこれは旅券の問題その他ございますから、単に
執行
を免れる
目的
だけでどこかの国へ移したということは一時的にはやれましても、そういう
航空機
のような高価な財産を外国においてみだりに使用できないので寝かすという結果になりますので、普通のケースにおいては殆んど
考え
られないところではないかと
考え
る次第でございます。 な
お話
が相当技術的にな
つて
参りまして、私ども
運輸省
の役人ではいささか正鵠を欠く答弁を申上げても如何かと思いますので、
委員長
のお許しがございましたら民事局のほうから村岡事務官がここへ来ておられますので、答弁して頂いたらどうでしよう、よろしうございますか。
中山福藏
37
○
中山福藏
君 私は民事局のかたが答弁なさる前に
ちよ
つと言
つて
おきたいのです。只今おつしや
つた
のは航空条約、或いは国家相互間の場合を想定しての御
議論
であ
つた
と
考え
られます。それで航空条約の締結されていない国がたくさんあるということを頭に入れておかなければならない。而も喉から手が出るように
航空機
を欲しが
つて
おる国もあるわけなんです。それで
法律
制定の
目的
から行けばあなたのおつしやることはよくわかる、私も又よくわかるわけです。併し今日の世界情勢はそういう簡単な
考え
ではいかんのじやないか。やはり
債務者
のやる行動を規制できる
一つ
の措置をこの場合に
限つて
は、
考え
ておかなければならん問題じやないかと実は思いまして、念を押しておるわけなんです。例えば破産の場合にも詐欺破産のような問題があるように、これはまあ余り役には立
つて
おりませんけれども、併しないよりもましなんです。詐欺破産という問題があるということはそういうような按配で
一つ
の何かここに不当不法な行為をやる
債務者
の立場を規制する
一つ
の
規定
というものが必要にな
つて
来るのじやないかという点をお尋ねしておるわけです。それで航空条約のあるところでは、あなたの今おつしや
つた
通り
で、比較的にこれで満足もできるでしようが、今はそういうわけには行かんのです。例えば中共やソ連の領内に
飛行機
が飛んで行くという場合には、先方は喜んでこれを購入するのじやないかと思う。例えば日の丸がついてお
つて
も樺太とか何とか近いところは相当ありますからそんな航空した場合においては殆んど手のつけようがないのです。だからこの
法律
で
債務者
のふらちな行為を、或る
方法
で制限しておく必要があるのじやないかとお尋ねしておるわけです。
郡祐一
38
○
委員長
(
郡祐一
君) 民事局の村岡事務官に
説明
させますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村岡二郎
39
○
説明員
(村岡二郎君) 只今動産の場合と比較して
お話
があ
つた
のでございますが、つまり
要領
にも記載してありますように、
競売手続
開始決定
の
申立
がありますと、決定前におきましても
監守保存
のために必要な
処分
をすることができるとな
つて
おりますので、この
規定
によりまして
執行吏
が
飛行機
に
差押
の標示封印等をすることはできるのであります。
従つて
それを例えば昇降口の扉等に
差押
の標示をいたします。それを外した場合には
刑法
の九十六条の
規定
によりまして処罰される。この点は動産の
差押
の場合と同様であると解しております。ただこういう実際に
執行吏
等によりまして、
目的物
を把握する前に
執行
を免れるために逃げたというふうなときには、これはどうも抵当権の制度といたしましては止むを得ないのではないか、質権と違いまして
債務者
の
占有
利用ということを許しつつ担保に供するという制度を認めます以上は、それは制度といたしましては止むを得ないものではないかというふうに
考え
ております。
中山福藏
40
○
中山福藏
君 止むを得ないということで片付けられれば、これはもう
質疑
応答をする余地はございません。これ以上何も申上げることはない。
谷伍平
41
○
説明員
(
谷伍平
君) いささか司法上の問題と離れる答弁になるかとも思いますが、今の御説示のような例におきまして、まあ日本の日の丸をつけた
飛行機
が外国へ前触れなしに飛んで行くということになりますと、これは申すまでもなく不法入国になるわけでございます。その際も
債権
、抵当権の実行は非常に至難な恰好になるわけでございますが、併しこれは不法入国して飛んで行きました
飛行機
につきまして、外交上の手段によ
つて
これを返還する、請求の交渉をするというようなこともできないわけではないと思いますし、それから国籍を持たない
飛行機
がその国に前触れなしに飛んで行くということになりますと、相当これは
航空機
自体の保安上極めて危険な状態で飛んで行くわけでございます。又乗員につきましてもその生命財産の保障がないというようなことからしまして、まあ丁度そういうふうなことが全然ないかということの御
質問
に対してはないと言い切れませんが、非常に稀有な状態でありますので、それを前提におきまして何かこの
法律
で措置をするということは非常に困難じやないかというふうに
考え
る次第でございます。でございますから普通の近代的な金融機関に、こういう
航空機
を使用する事業なり、或いは団体なりというものをよく事前に調査をいたしまして融資をするわけでございますので、その点は先ず当事者間の融資契約が結ばれる過程の、その基礎になる調査というようなものを信頼して、この
法律
を制定するほかはないのじやなかろうかと、まあそう
考え
る次第でございます。その
程度
で
一つ
御勘弁を頂きたいと思います。
中山福藏
42
○
中山福藏
君
ちよ
つと一言附加えておきますが、あなたは私の年の半分しかないから、世の中の実情というものを余り御存じない。
法律
研究の面では私よりえらいかも知れませんが、世の中の生きた動きというものを御存じないと私は見ております。なかなか世の中はそう甘いものじやないのですよ、今は……。相手方の不法入国とか何とかおつしやいますけれども、これもあなたがたの書物を読んでお
考え
になる事柄なんです。そんな甘いものじやないのですから、私のような年寄りの言うことは一応よくお
考え
にな
つて
吟味されないと困るのですがね。まあ併しそれだけ私は申上げておきます。
小野義夫
43
○小野義夫君 今
中山
委員
の言われておるのは、つまり抵当権というものはいわゆる
債権者
を保護するという
法律
的措置であ
つて
、普通の金銭貸借及び信用経済の面から少し法的にな
つて
おる。
従つて
法の欠缺というものはこれは法で以て補うよりほかないのであるから、例えば破産法の中の一条に入れるとか、どこかに
制裁規定
を、かかることをや
つた
場合にはかような措置があるということを書き加えることは、
法律
の完璧を期する上から言
つて
、法理の観念の意味において、そういう
我我
が
考え
ても当然抜け穴があるというような、さようなことは事実上は今のようなどんな
法律
を作
つて
も空を飛んで行く場合は仕方がないが、これに何らの制裁がないというのが、この抵当権を設定する意呼が若し果して今までの御答弁のように信用でやるのならば、もともと信用があるならば、お互いさまで、これを抵当に取るということは、一に信用のないことから起る、信用があるのに何で抵当権が要りますか。失礼ながら……。金銭貸借のときは信用ある者は抵当をあえて出さなくてもよろしい。信用がないから抵当を取る。その抵当権を行使するということが抵当権なんです。その行使の上に障害があるというならば、どこかに
法律
に穴があるのだから、その穴を塞ぐというのが当然な理論的なこれは御要求でないかと、私は
中山
委員
の発言に対して、同じような
考え
を持つのであるが、御当局はさような穴を知
つて
塞ぐ意思はないのかどうか、
一つ
御答弁を願いたい。
谷伍平
44
○
説明員
(
谷伍平
君) 今
ちよ
つと私の申上げようが悪
つた
ので、まるで抵当が要らないような
議論
に若し聞こえましたら申訳ないと存じますが、これは罰則につきましては、
一つ
法務省の刑事局の
意見
もお伺いしたいと思うのでありますが、なかなか技術的に非常に困難ではないかというふうに
考え
るわけであります。又船舶につきましては、すでに現行法の体系が大体そういう罰則がなくて実行を
確保
しているような状態でありますので、まあスピードの差は勿論ございますけれども、移動の難易という点から言いますと、私どもは船舶と
航空機
と比べて見て、それほど
航空機
が
機動性
がこの
法律
的な意味において大きいというふうに
考え
ておりませんので、大体船舶についても同様な疑念があると、而も現行の状態を見ますと、船が中共の港へ、これは船と申しましても、やはり中共なり、韓国なり、北鮮なりは欲しが
つて
いるものでございますが、そういう事例も余りございませんので、大体船と同様に
考え
て立法したわけでございまして、まあ船とは違う。もう少し研究しろという
お話
でございましたら、なお法務省の
意見
をも聞きまして又御返事申上げたいと思います。
小野義夫
45
○小野義夫君 いや、それはね、あなたが研究して、できるだけその点を補うという言葉ならいいんですけれども、今申されるような理窟を言うと船舶と
飛行機
は非常に違うんです。船舶は海を離れて陸の不定のところへ行くということはできないのです。これは短時間に如何なるところでも、降りられるところでありさえすれば相当不明のところへ行けるという点が非常に違うんです。それから迅速の点からも……。それから抵当権の
目的
を阻害するような行為に対して、何か格段な
飛行機
抵当に関連してやる意思はないかどうかということをお伺いしているので、よく
一つ
上司とも御研究の上、その点だけをこの
委員会
に明らかにして頂ければいいのであ
つて
、今いろいろここで御
説明
を承わ
つて
も大分違うと思うんです。船舶はこうであるから
飛行機
はそれと同じだというようなことは、これは機動力その他についても同様に
考え
られない。
楠見義男
46
○楠見
義男
君
ちよ
つとそれに関連しまして、日本よりもむしろ外国のほうが、そういう今小野さんや、
中山
さんの言われた心配の事例は余計あると思うんですがね。外国の立法例はどうな
つて
いますか。
谷伍平
47
○
説明員
(
谷伍平
君) 今の立法例はあれでございますか。抵当権についての……。
楠見義男
48
○楠見
義男
君
航空機
抵当ですね。
谷伍平
49
○
説明員
(
谷伍平
君) 抵当法の立法例については、はつきりと
航空機
プロパーの抵当権について
規定
しておりますのは私どもの調べましたところでは、フランスの
航空法
が唯一のものであるように、今までの調べではそうな
つて
おります。フランスの
航空法
の抵当権の
規定
は非常に簡単な条文でございまして、全部船舶抵当権を準用しているわけでございます。フランスの
航空法
の十四条に「
航空機
は抵当権の
目的
とすることができる。抵当権は登録簿に記載するものとする。船舶登録及び船舶抵当に関する
法律
は
航空機
の抵当に準用する。」、御
承知
の
通り
、大陸法系は、抵当権につきまして制限物権の形態をと
つて
おりますので、まあ大体
内容
的に我が国の抵当権と根本的にはそれほど違わないというふうに
考え
ております。まあこれだけの簡単な言葉でフランスでは抵当制度をや
つて
いるわけでございまして、なお英米法につきましては、御
承知
のように、モーゲージの形態でありますが、これは我が国で申せば譲渡担保、つまり権利移転の形式をと
つて
いるようでございまして、
航空機
だけについてのモーゲージの
規定
は特に見当りませんが、ただアメリカの民間
航空法
の五百三条、五百四条に、五百三条は抵当権登録の記録制度を
規定
しておりまして、五百四条は名義上の所有者、ネーム・オーナー、名義上の所有者は
航空機
による損害賠償の責任を負わない。オペレーテイング・オーナーが即ち実際本当の所有者であ
つて
、
航空機
を運用している者がいろいろな損害賠償の責任を負うのだと思います。そんな簡単な
規定
だけでございまして、抵当権の実体につきましては、
内容
その他につきましては、州法等で
規定
している州もございますし、そういうものはなくて一般的にモーゲージで
行つて
いるようでございます。
中山福藏
50
○
中山福藏
君
一つ
私は特にお願いするのですがね。例えば不動産の抵当権を実行せられる場合に当りまして、今日あの
競売手続
でも穴があるのです。例えば紀尾井町の一番地上に立
つて
おる建物に対して、
競売
の
申立て
をする場合に、
債務者
がどういうふうにするかというと、紀尾井町の一番地に家を建てて後に、地番一を一番地の一、二というふうに
公簿
上分筆すれば、その上に建
つた
ものが
二つ
あることになる。そうするとこの家はおれの物だ、これはおれのものだと言
つて
、甲というものと乙というものと同一建物を争うために、今所有権確認の訴えが頻々として全国至るところに起
つて
おる。これはあなたのほうの論法から言えば、そういう実例はないのですがね。そういうふうにちやんと
法律
ができ上
つて
いるのですから、
債務者
というものが、一番地というものを
二つ
に分けて来ると、どつちに建
つて
おるかわからん。
一つ
の建物でさえそういう抜け道があ
つて
、金を貸した人は非常に弱
つて
おるのです。これは
一つ
の実例です。だから今まで抵当権実行の
方法
なんかから
考え
てみて、
航空機
の場合は、なお更至難の問題が起きて来るのじやないかと思うのですね。そういう事態でありまするから、やはりこういう
航空機
のようなものに抵当権を付けるということにつきましては、やはり完璧を期するということが何よりも必要ではないか。そうしないと空飛ぶ鳥を、距離の遠いのを、幾ら鉄砲で打
つて
も届かんということにな
つて
しまうと実は
考え
ますから、あなたがたの名誉のために特にこれは
意見
として申上げ、もう少しその点を御研究にな
つて
おかないと、飛んでもないことになるのじやないかと思いますがね。僅か九台のヘリコプターだけでも十九億幾らというふうに、大変値段の高いものですし、殊に
飛行機
はそれより高価なものと見ておる。そんな大きな問題でありますから、やはりこれは十分に慎重に御検討願いたいと思います。
谷伍平
51
○
説明員
(
谷伍平
君) 今のいろいろ先刻からの
お話
の
趣旨
よくわかりましたので、一応帰りまして法務省と打合せをしたいと思うのであります。こういうふうに
考え
ております。
郡祐一
52
○
委員長
(
郡祐一
君)
速記
をとめて下さい。 〔
速記中止
〕
郡祐一
53
○
委員長
(
郡祐一
君)
速記
を始めて下さい。本日はこの
程度
を以て散会いたします。次回は明十日午後一時から開会いたします。 午前十一時四十八分散会