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国務大臣(
大達茂雄君)
子供を大人の世界に引入れるということはどういう
意味かわかりませんが、そういうことを
言つておるのではありません。ここに通牒に出したものがありますからこれを申上げて、その辺は
はつきりと御理解を願いたい。
教育制度の
基本として、
教育の中立性は最も厳重に保持せられなければならない、最近山口県における小学生日記、中学生日記の例に見るごとく、ややもすれば特定
政党の
政治的主張を移して、児童生徒の脳裡に印しようとするごとき事例なしとしないのは甚だ遺憾とするものであ
つて云々、こういうのであります。
子供を大人の世界に引入れるとかいうことは、どういう
意味かわかりませんが、そういう
意味ではないので、ここに書いてあります
通りの
意味であります。それから成るほどこういうことは或いは共産党だけじやないのかも知れない。
社会党でもそういう主張があるかも知れません。併しながら私が申上げるのは共産党だけ、ほかの
政党は皆別の
意見、或いは
社会党だけがそういうことを言う、ほかの
政党は全部そうではない、こういう
意味で特定
政党云云と
言つておるのではないのであります。
政党政派おのおのその主張を異にして論争が行われておる場合に、そのいずれか一方、これが
社会党と共産党は同じ主張をしておるかも知れない、そういう場合でも、これは偏つた
政治的主張を児童に印しようとするものではない、こういうふうに
考えておるのであります。これを
国民の声であるからというようなことを言われるけれ
ども、これはちよつとどういう
意味か、私には受取りかねるのでありますが、成るほど
国民の声には違いない。
国民のうちにやはりこういうことを
考えればこそ、これは外国の
政党じやない、
日本の
政党がこれを取上げているのでありますから、これが
国民の声であることは間違いありません。併しそれは
国民全部の声であると即断されて、どういう根拠からおつしやるか知らないが、幾らかの
子供にそういうことを言うて、
子供ですらもなんていうことを言われるのは、これは実におかしな話だと思う。(「その
通り」と呼ぶ者あり)それがあるから
国民全部の声である、こういうことを言われても、そういうことは私はどうしても同意ができない、例えば
国民の生活は安定しなければいかん、
国民生活の安定に努力しなければいかん、こういうことを一つの
政党が主張する、その場合にいずれの
政党もこれに反対するものはない、どの
政党も同じことを言う、その場合に
学校で
国民生活の安定を図らなければならん、これを教えても私は差支えないと思うのであります。ただ
政治上の問題がそれをめぐ
つて各党各派
意見を異にしておる場合に、どつちかの肩を持つたことを言つちやいかん、こういうのです。