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1953-07-10 第16回国会 参議院 文部委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十日(金曜日)    午前十一時四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事            木村 守江君            高木 正夫君            荒木正三郎君    委員            大谷 贇雄君            剱木 亨弘君            吉田 萬次君            杉山 昌作君            高橋 道男君            安部キミ子君            相馬 助治君            深川タマヱ君            長谷部ひろ君            須藤 五郎君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   政府委員    文部大臣官房会    計課長     小林 行雄君    文部省初等中等    教育局長    田中 義雄君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (文部行政基本方針に関する件)   —————————————
  2. 川村松助

    委員長川村松助君) これより文部委員会を開会いたします。  それでは文部大臣説明に対する質疑を行います。順次御発言を願います。
  3. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 過日大臣から文教に関しまする御方針説明がございまして、経済自立をするにも道義の振興が極めて肝要である。従つて学校道徳教育振興をせしめたい、こういう御意見でございまして、私も全く同感でございます。そこで道徳教育の、このうちお話を承わつておりまするといろいろな徳目について研究なり、又不日答申があるから、それについて方針を決定をしたい、こういうお話でございますが、私は道徳教育根抵として国民全体の宗教的な情操陶冶ということが極めて大事であると存じておるのであります。従つて無論学校におきましては宗教教育はできざることは当然でありまするけれども、その情操涵養陶冶をするという点につきましては、これは憲法、教育基本法等の精神からも差支えのないことであり、又積極的に奨励をすべきだと思いますが、それに関しての大臣の御意向を承わりたいと思います。
  4. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) お答え申上げます。お話になりましたように、学校教育の面におきましては特定宗教教育の内容に盛り込むということはできないのでありますが、宗教はそれぞれの民族の道徳観念と申しますか、倫理生活に従来非常に密接な関係を持つてつたことは、これは申上げるまでもないことであります。その意味から宗教社会生活におけるさような地位につきましては、全般の教育としてこれを無論尊重して行かなければならんと考えております。
  5. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 只今のお話宗教の社会的な価値、並びに貢献については無論学校教育でも尊重しなければならんと、こういう御意見でありますが、それは無論当然のことでありまするけれども、宗教的に情操陶冶をするということは、私は今日の青少年のみならず、一般社会においても極めて肝要であると存ずるのであります。これはすでに安藤正純氏が文部次官でございましに時分に、昭和十年だと覚えておりますが、宗教的情操涵養に関しての訓分を詳細に亘つて出しておられます。又その後に、終戦後におきましても、これは生きておるという点につきまして、重ねて文部省からこの点に関しての表明があつたと思います。更に終戦後の本国会におきまして、これは本会議の席上、一般社会国民宗教情操陶治決議案が出されておるのであります。更に又教育刷新審議会答申におきましても、学校教育社会教育、又家庭教育における宗教的情操陶冶の尊重すべき、又奨励すべき点についても答申がなされておるのでございます。その点について承りたいのであります。
  6. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) お答えいたしますが、宗教的な情操涵養するということは、国民のそれぞれの人格の完成という点から言えば極めて重大でありますので尊重しなければならないと、こう考えておりますが、これは勿論宗教的な活動というものはそれぞれの宗教団体においてそれに当つておられるのでありまして文部省といたしましては勿論特定宗教というものに偏つた態度をとることは許されないことであります。一般的に見て宗教的な情操涵養するということが大切であるということは異論のないことでありますが、従つて文部省といたしましては、いわゆる宗教団体民間宗教活動せられることに遺憾のないように期したい、こういうふうに考えておりまして特定宗教に偏ることは勿論許されないと思います。その辺が宗教的情操涵養と申しましても極めて漠然としたことであつて、空想になりやすいという点があると思われます。これらの点は今後なお実際問題としてさような制約の下に宗教的情操涵養するということに努めて参りたいと、こう思います。
  7. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 大臣お話一般宗教団体のする宗教活動宗教的情操陶冶ということの区別がはつきりしておらんと思います。人間にとつて宗教的情操涵養ということは当然なことであり、従来文部省におきましても先ほど来申しまするように各界の意見等を採択いたしましてそうして学校教育におきましても無論特定宗教を教えるというようなことは、これはフランスの例にならいましても明らかに禁止をすべきことでありますけれども、道徳教育根抵として神仏を敬う、更に敬虔な心持を持つて行くという宗教的な情操涵養ということは当然必要なことだと思いますので、そういう点について大臣が深い関心をお持ち下さることを御要望申上げたいと思うのであります。なお従つて大臣宗教活動学校でいかんということは当然なここであります。宗教活動自体のことを私は申しておるのでなしに、青少年道徳教育の重大の要素としての宗教的ば情操涵養するということについての御意見を承わりたい、かように申しておるわけであります。
  8. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 仰せになりよすように、私は道徳教育の一環として宗教的情操涵養するということは極めて大切なことであると信じております。これはどういうふうに具体的に現われますか、それらの点につきましては今後とも努力をして行きたいと思います。
  9. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 なおその問題につきましては更にお尋ねを申上げたいと思いますが、今日は午前中だそうで、なお他のかたからも御質問があると思いますので、この程度にいたしておきまして、その他一、二お伺いいたしたいと思いますが、大臣、この頃のお話では社会教育振興をいたす、こういう御方針仰せになつて私どもといたし