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1953-10-26 第16回国会 参議院 文部委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月二十六日(月曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————   委員の異動 八月十日委員成瀬幡治君及び剱木亨弘辞任につき、その補欠として高田な ほ子君及び榊原亨君を議長において指 名した。 八月十二日委員瀧井治三郎君及び榊原 亨君辞任につき、その補欠として山縣 勝見君及び剱木亨弘君を議長において 指名した。 八月二十六日委員安部キミ子辞任に つき、その補欠として湯山勇君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事            荒木正三郎君            八木 秀次君    委員            大谷 贇雄君            木村 守江君            剱木 亨弘君            吉田 萬次君            高田なほ子君            湯山  勇君            深川タマヱ君            長谷部ひろ君            三好 英之君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部大臣官房会    計課長     内藤誉三郎君    文部省管理局長 近藤 直人君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育、文化及び学術に関する一般調  査の件(風水害による被害文教施設  の復旧に関する件)   —————————————
  2. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。このたび三日間文部委員会を開催することに決定いたしましたが、この三日間の間には主として災害水害に対するところの当局説明を承わろうではないか、又それに対する処置等について伺いたい。更に文教政策についての御所見もお伺いしたい。補正予算のことについても質してみたいというような考え方から御案内申上げました。本日から取りあえず三日間の予定を以ちまして、以上のようなことについて御審議を願いたいと思います。  最初当局から災害水害に対する文部関係説明を承わりたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 近藤直人

    説明員近藤直人君) それではお手許に差上げました資料によりまして災害関係につきまして御説明申上げたいと思います。先ず昭和二十八年六月から九月に至る文教災害関係被害報告というものを御覧願いと思います。第一ページをお開き願いたいと思います。昭和二十八年六月七月大水害に伴う文教関係被害総額及び査定額調というのがございます。今次の被害は非常に異常でございまして、各地に学校施設その他につきまして非常な被害を生じておりますので、それにつきまして、私どもといたしましては成るべく早くこれを復旧したいと、かように考えまして、それぞれ予算措置をして来たのでございます。先ず公立学校施設被害報告額でございますが、総額が四十三億千八百十二万二千円、これは西日本水害和歌山水害の分でございます。それから私立学校施設被害は二億二千七百十一万九千円、それから公立社会教育施設は五億千三百八十八万二千円、次に文化財関係でございますが、史跡名勝天然記念物が五千百十三万二千円、それから最後に学校給食用の物資でございます。これは学校給食用の物資、つまり小麦粉及び脱脂ミルクを地方へ発送いたしまして、その分が水害に会いまして亡失した或いは傷んだというようなものでございますが、八百六十七万円。それから一番最後の欄に国立学校施設被害でございますが、これが十億三千百七十九万八千円。全部合せまして六十一億五千七十二万三千円ということになつております。第一頁は被害額を載せてございます。  それから次に第二頁を御覧願いたいと思います。昭和二十八年十三号台風災害に伴う文教関係被害総額調でございます。これはお手許に差上げてございますが、一枚紙とお取替願いたいと思います。計数が多少その後集まりましたものもございますので、一枚紙とお取替願いまして御説明申上げます。十三号台風におきましては公立学校施設は二十一億千六百四十九万円でございます。それから私立学校はまだ報告が全部まとまつておりませんのでここに計上してございませんが、目下盛んに報告を集めております。それから次に公立社会教育施設でございますが、これが一億二百四十万四千円。それから文化財関係史跡名勝天然記念物一億二千五百九十四万九千円。それから学校給食物資が若干ございまして四百三十二万二千円。それから最後に国立学校施設が一億三千二百九十二万六千円。合計いたしまして二十四億八千二百九万一千円というふうになつております。被害額につきましては、いわゆる西日本の大水害に対しまして約三分の一ちよつとでございます。大体そういうような被害であつたと思います。  こういう被害額に対しまして然らばどういう措置をとつたかと申しますと、それはその次の頁をおめくりを願いたいと思います。西日本及び畿南水害に対する応急措置。あらかじめ申上げておきますが、この水害対策につきましては、御承知のように衆参両院水害対策特別委員会もございまして、私もずつと関係いたしまして今日までいろいろ対策を練つて参つたのでございます。ここに皆様に御説明申上げます資料はすべてこれは水害委員会に御報告を申上げ御了承を得たものでございますので、あらかじめ御承知置き願います。それでは西日本及び畿南水害に対する応急措置といたしまして、先ず罹災児童等に対する教科書学用品対策、これにつきましては、教科書学用品を流し、学校失つた学童たち学業継続に対する不安は何ものにもまして大きいので、これらの者に対しまして早急に教科書学用品を確保して速かに学業を再開させたいというのでそれぞれ措置をとつたわけでございます。まず第一に小中学校の生徒の教科書につきましては無償支給措置を講ずることにいたしまして、従来これは災害救助法によりまして小中学校生徒一人当り二百七十五円しか僅か計上されておりませんでしたが、今回この基準額引上げまして、小学校児童一人当り五百円、中学校生徒一人当り千百円、これはいずれも全壊、流失の場合でございますが、さように引上げたのでございます。以上は学用品でございますが、教科書はどれだけ然らば配布いたしたかと申しますと、その下にございますように二十八万一千九百二十六冊、これを全部送つてございます。ほぼこれによつて応急措置はとられたものと考えられます。概略学用品教科書につきましてはそのような措置をとりまして急場を凌いだのでございます。次に学校給食に対しましては、これは水害発生直後係官を現地に派遣いたしまして被害の実情を調査させると共に、被害県教育委員会給食主管課長会議を現地で開きまして、学校給食の中絶を防止してその継続を図るために、とりあえず非災地区の在庫の脱脂ミルク三十六トンを放出いたしまして、又この学校給食物資が流失したり或いは埋没して損害を被りましたので、これに対しましては特別立法ができましてその損失額を補償する措置をとりました。更にこれは国際連合国際児童緊急基金、つまりユニセフに要請いたしまして、罹災地域罹災児童、これは小中学校入れまして約四十万人分の脱脂ミルク無償配付を願いまして、これは幸いに国連のユニセフ当局の認めるところとなりまして、話合いがつきまして、目下文部省所管ミルクを立換えまして現に無償配付をいたしております。話合いつきました数量は脱脂ミルク二千四百三十四トンの寄贈でございます。これは週六回、九月から翌年の七月までの見込をもつて実施する予定でございます。なおこれに関連いたしましてその後十三号台風が発生いたしましたので、この十三号台風被害地域に対しましてもユニセフ無償ミルクの配付を再びユニセフの当局に要請いたしまして、現地の係官は大体了承を得まして、目下ニューヨークの本部に対しましてその交渉をしておるところでございます。これも今日までの話合いの模様では恐らく追加分が可能ではないか、かように考えております。その数量は約八百トンでございます。ミルクに対しましては以上のような措置をとりました。  それから罹災学生、生徒に対する援護措置でございますが、罹災家庭出身の学生、生徒の経済的負担を軽減し、その生活を擁護し、学業の継続を図りますために生活援護資金の貸与が必要となりましたので、これらに対しまして予算折衝をいたしましたところ、当初は文部省外郭団体でございます学徒援護会からこの措置をするはずでございましたが、その後計画が変りまして、日本育英会からこの措置をとるようになりまして、これは金額は僅かでございますが、育英会の資金を合せままして約千四、五百万をもちまして罹災学生の援助を開始することに見込がつきました。それから授業料の減免でございますが、これにつきましては現在学校長の裁量によりまして授業料収入の五%までは授業料の減免が可能でございますが、今回非常な水害によりまして相当困難な学生も発生いたしておりますので、この五%をオーバーして授業料の減免をいたしてもらうようにこれも措置を済んでおります。  それから罹災教職員に対しましては、御案内の教職員共済組合がございまして、それによつて見舞金を出し或いは臨時の貸付金を出す措置を講じまして手続は全部完了いたしております。  それから学校の建物につきましては、公立学校施設費国庫負担法一般法もございますが、今回の異常な水害に対しまして特に特別立法をいたしまして、一般法におきましては、学校施設復旧につきましては、通常三分の二の補助でございますが、今回はこれを四分の三に引上げまして、そういう特別措置法を作りまして、目下政令その他につきまして交渉中でございます。  それから同時に、社会教育施設につきましても、一般法では全然補助規程はございませんが、今回特別立法におきまして、社会教育施設につきましては三分の二の補助をいたすことになつております。学校施設社会教育施設につきましては以上の特別措置がとられたのでございますが、更に私立学校施設復旧につきましては、これも特別立法をいたしまして、これは国から二分の一の補助をいたしまして、その残りの事業費につきましては、更に御承知の私学振興会から二分の一の貸付金をするという特別措置によりましてこれも復旧を速かにいたすつもりでございます。  以上大体御説明申上げましたのが今回文部省でとりました西日本並びに畿南の水害復旧に対する措置でございます。  それから台風十三号被害地域に対しましては、これは御承知と思いまするが、衆参両院水害委員会におきましても、西日本と同様な措置をするというふうに決定されておりますので、恐らくはこの特別措置法を改正の上、この台風十三号被害地域にこれを適用することになろうかと考えます。我々といたしましてもそのつもりで予算積算等におきましては、高率の補助の下に積算をいたしております。これらにつきましては今後水害委員会におきまして、恐らくはつきりした方向が決定されるものと考えております。  それから最後に予算要求事項といたしまして、全部で三十三億八千二百四十三万二千円を予算要求いたしております。そのほかに歳入減が九百二十万五千円でございます。これについて御説明申上げますと、第一に罹災学生生徒補助に要する経費といたしまして挙げてございまするが、そのうちabcdefghまでございますが、先ずaにつきましては、罹災学生生活援護に必要な経費一億四千八百五万八千円でございますが、これにつきましては、大体第一次補正によりまして約四百万が認められました。金額は極く僅かでございますが、これは育英会の手持ちの資金が約千万円ございますので、それと併せまして、約千四、五百万の経費をもちまして学徒援護貸付金といたしたい、かように考えております。  それから旅客運賃の後払措置でございますが、これは罹災学生緊急郷里に帰らなければならん、それには汽車賃を只にしてやりたいという水害委員会の要望によりまして、さように考えましてこれは要求いたしたのでございまますが、その後時間が大分経ちまして、ちよつとこの件については実現が困難になつだのでございます。この点につきましては私どもといたしまして、運輸省とも折角交渉したのでございますが、なかなかこれは話合いがうまく行きませんので、又そのうち時間が経過いたしまして、この点につきましては今日まで話合いができておりません。  それからcの罹災国立大学生授業料減免に必要な経費でございますが、これが歳入減になるわけでございます。一応九百二十万五千円見込んでおりますが、これにつきましても目下調査いたしておりますので、果して九百余万上りますか或いはこれ以上に上りますか、まだその点確定いたしておりませんが、ともかくこの授業料減免措置をやることにつきましては、大蔵当局との了解を付けております。  それから罹災高等学校生徒教科書支給でございますが、この点につきましては、これはその下の被害学校学習指導要領等配布に必要な点につきましては、大蔵省との話合いがうまく行きませんので、義務制学校を主とする関係上、金額は僅かでございますが、大蔵省当局の了承を得るところに至りませんのでございます。  それからfの、水害による学校給食用小麦粉等損失補償に要する経費でございますが、これはミルクに併せまして小麦粉によるパンを給食するわけでございますが、この点につきましても、小麦粉は現在二分の一の補助をいたしておりますが、どうしても二分の一程度以上にはこれを拡張するわけにはいかんということになりまして、これも全額補償という精神でございますが、甚だこの点につきましては了解を得るわけには参りませんでした。それからユニセフ寄贈ミルクによる……失礼いたしました、訂正いたします。前の水害による学校給食用小麦粉等損失補償に要する経費でございますが、これは水害地にあります学校が保管しておりまするミルク或いは小麦粉などが水害によつていたんだ、或いは流失したものでございますが、この点につきましては、予備費を以て査定する話合いがついております。予備費の査定はまだ済んでおりませんが、予備費を以てこれは金額を見ることになつております。  それからその次にユニセフ寄贈ミルクによる完全給食実施に伴う小麦粉に要する経費でございますが、これを私先ほど間違えて申上げましたが、ミルクと共に支給するパンを全額国がみるという案でございますが、二分の一程度で、それ以上は話合いがつきません。  それから最後のユニセフ水害地寄贈ミルクに必要な経費、これはユニセフミルクがこちらに送られて参りまして、現地まで汽車輸送並びに倉庫に保管までの経費でございますが、この点につきましては、予備費を以てみることになつております。  それから文教施設災害復旧に必要な経費でございますが、そのうち国立学校施設復旧に必要な経費は、これは九千九百万でございます。そのほかに国立学校設備といたしまして、予備費を以ちまして六千二百万というものが認められてございます。それから公立文教施設復旧に必要な経費は、これは十二億九千万、約十三億でございます。それから私立学校施設復旧に必要な経費は約四千百万でございます。  それから最後に文化財関係復旧に必要な経費は、これは約千九百万でございます。  以上、只今まで第一次補正予算できまりました金額を申上げましたが、なお先ほど申上げましたように、このほかに学校給食関係予備費でみるということになつておりますので、その予備金がきまりますれば総額が確定いたすわけでございますが、予備費につきましては目下大蔵省といろいろ交渉中でございます。これは間もなくきまることと考えております。  以上申上げましたのは西日本水害関係でございます。このほかに十三号台風の分がございます。この点につきましてはまだ現地査定も済んでおりませんので、全く見込みの計数になりますが、一応枠といたしまして決定されておりますので、その枠の配分数字を申上げますると、十三号台風につきましては公立学校施設復旧につきまして約六億、それから国立学校施設復旧につきましては約五千万、それから社会教育施設復旧につきましては約三千万、それから私立学校施設復旧につきましては約千五百万、それから文化財関係復旧につきましては約二千五百万、それから国立学校設備関係といたしまして二千万、合計いたしまして七億五千万というものが一応枠の配分として決定いたしております。何分これは早々の間にいたしましたもので、まだ現地査定も十分済んでおりませんので相当出入りがあろうかと思いますが、それらの点につきましては足らん分につきましては予備費を以てみるというような話合いになつております。  以上水害関係につきまして予算を御説明申上げました。繰返して申上げますると水害関係予算西日本関係といたしまして約十六億、それから十三号台風関係といたしまして約七億五千万というのが大体の数字でございます。  なお詳細につきましては確定いたしましてからお手許に資料を御配付申上げたいと思つております。  それから特別措置法を先ほど申上げたのでございますが、その特別措置法関係政令を概略申上げたいと思います。これはお手許に差上げました資料を御覧願いたいと思いますが、その先ず特別措置法といたしましては三本ございます。一本は公立学校災害復旧に関する特別措置法でございます。これに対する政令はお手許に差上げてございます昭和二十八年六月及び七月の大水害による公立教育施設災害復旧事業についての国の費用負担及び補助に関する特別措置法施行令、この政令につきましてはまだ最終的な決定をみておりませんが、問題は第一条の災害地域の問題でございます。この点につきましては衆参両院水害委員会で御決議下さいました地域の指定の基準がございます。災害復旧費がその県の標準税収入を超過する場合にはその県を指定するというのが第一。  第二は、同じく災害復旧費当該市町村標準税収入を超過する場合にはその市町村を指定するというのが第二でございますが、そういつた基準が決定されておりますので、その基準に倣いましてこの第一条に地域を書くのでございますが、或いはここに県の名前を書きまするか、或いは基準を書きまするか、その点につきましてはまだ話合いがついておりませんが、これは日ならずして決定されるものと考えております。私どもといたしましては大蔵省のほうと折角交渉中でございます。  それから政令で問題になりますのは、その次に一番おしまいについております別表でございます。別表第一第二、第三、第四とございますが、これは設備基準でございます。この設備基準政令を以て定めるということになつておりますので、その設備基準でございますが、幼稚園の場合には児童一人当りの基準額は四千円、小学校の場合は五千五百円、中学校の場合は七千五百円というふうに児童数を掛けましたものを設備基準として金額を出すわけでございますが、この点につきましては少数学級の場合にはこれの補正増をしなければならん。それから学級の多い場合には補正減をするということは当然考えなければなりませんので、それは別表第二によりまして、例えば小学校の五十人以下の場合には、五十人に一・九五を掛けて補正増をするというようなわけで、この別表第二は補正の計数でございます。  それから別表第三は、建物の破損の程度の区分によりまして設備費基準額に要すべき割合を出しております。例えば建物が流失した場合には設備費基準額に十分の十を掛けて全部見る、それから例えば各階について、床上二メートル以上浸水した場合には設備費基準額に乗ずるのは十分の八だというように、これは逓減率でございますが、これを別表第三に規定してございます。  それから別表第四は社会教育施設の建物一坪当りの基準額でございます。公民館は三千五百円、図書館で都道府県が設置するものは二万五千円というふうに社会教育施設の一坪当りの基準額でございます。この設備の金額につきましてもほぼ大蔵省話合いが済んでおりますが、まだ最終決定という段階には参つておりません。これも間もなくきまることと考えております。公立学校施設災害復旧事業に関する国の負担及び補助に関する政令につきましては、以上の地域の指定の問題と設備費基準がまだ懸案でございます。  それから次に昭和二十八年六月及び七月の大水害による私立学校施設災害復旧に関する政令案御覧願いたいと思います。この私立学校につきましては公立学校と全く同じ基準をもつておりますので、従いまして政令案につきましても災害地域の問題が第一条にございますが、これは公立学校の場合と同様に、やはり問題は災害地域の指定の問題と、それからやはり設備基準の問題でございます。この二点がまだ懸案になつております。  それから最後に学校給食用小麦粉等損失補償に関する特別措置法によりまする政令でございますが、昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた学校給食用小麦粉等損失補償に関する特別措置法施行令でございます。これにつきましてはやはり第一条の災害地域の指定の問題がござ、います。原案といたしましては九州の五県と和歌山県、山口県を指定いたしたいと、こういう希望でございますが、この地域の指定につきましてはまだ大蔵省話合いが済んでおりません。要するに我々は県を以て指定することが最も都合がよろしいのでございますが、これに対しまして市町村を単位として指定するという意見がございまして、その点がまだ十分話合いが済んでおらないわけでございます。  以上三つの法律に伴います三つの政令案につきましてその問題となつております点を概略申上げたのでございます。この政令につきましても、そうそう長く放置を許されませんので、恐らく今週中にはこれを規定いたしたい、かように考えております。  以上大体水害関係につきまして申上げましたが、まだ十三号台風につきましてもいろいろ懸案の問題がございますので、それぞれ実地査定をいたしたり或いは資料を集めたりいたしまして、いろいろ準備をいたしておりますが、最終的に全部成るべく早い機会に決定いたしたいと考えております。甚だ簡単でございますが、概略御説明申上げました。
  4. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 文部大臣が見えておりますので、十三号台風、これを昭和二十八年の六月及び七月の大水害による臨時措置法の中に含めるようなお考えであるかどうか、水害対策特別委員会では、今度は決議として政府に要望する、こういう態度をとつておりますが、従つて政府のほうでこれは処理される問題じやないか、政府所見を伺つておきたいと思います。
  5. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私のほうではやはり六月、七月の水害と同じ扱いをしたいと思つてつて、先ほどもちよつと御説明を申上げましたが、同じ基準で今大蔵省話合いをしております。それによつて、先ほど申上げましたように、数字はまだ実はすつかりまとまつていないのですけれども、大体七億五千万円という話合いができております。その一部は予備費として計上するかも知れませんが七億五千万円、これは数字がまとまつていないものですから多少出入があるかも知れないと思いますが、若しそれが足りないということであれば予備費で出す、こういうつもりで大体大蔵省とも話合いがついております。
  6. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうしますと、十三号台風特別措置法と同様な扱いを受ける、こういうふうに了承して大体間違いございませんか。
  7. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) ええ。
  8. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それから予算の問題ですが、今度の第一次補正予算では三百億という、あれは十三号台風を含んでおると思うのですが、三百億の風水害予算が組まれておるのですが、その中で文教関係は先ほどの説明によると、合せると八十何億だつたと思いますが。
  9. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 三百億の中で。
  10. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いや、三百億の中では非常に額が先ほどの説明では少いのですが、十六億と七億五千万円ですから、三百億の中では二十三億五千万円のものが文教関係の費用になつている、ところが文教関係のいわゆる六、七月の災害、十三号台風の損害を併せますと約九十億になつております。九十億のうち二十三億認められたのです。こういうことになるわけですが、そうすると二割に足りない額になるのじやないかと思いますが、どういう割合になつておりますか。
  11. 近藤直人

    説明員近藤直人君) それは先ほど申上げました数字被害復旧額でございまして、それに対して国の負担額ですから、公立文教のほうについては、四分の三を負担する、その負担額は先ほど申上げたように二十三億になりましたが、社会教育施設については三分の二、ですから復旧額即全額国がみることになりますから、復旧額は即国の負担額になりますので、三分の二とか……。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私のお尋ねしておるのは初年度に割当てられた復旧費が少な過ぎるのじやないかということをお尋ねしておるのです。初年度に災害総額の何パーセントくらいになつておりますか。
  13. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 大体文教政策については六割、四割という考えを持つております。普通の公共土木災害につきましては御承知の三割、五割、二割ですか、三年計画で。それが一割五分とかいろいろ変つてつておるようでありますが、文教につきましては是非これを二カ年でやる、而も特別措置法にも要望がありますので、六割、四割ということで。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 初年度において六割を取る、こういうことですか。
  15. 近藤直人

    説明員近藤直人君) そうです。
  16. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは非常に結構なことだと思いますが、それだけの金が計上されていないと思いますが、これはどういうことになるのですか。
  17. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私間違つておつたら説明員のほうで訂正いたしますが、これはこの表にありますように六、七月の大水害に伴う被害総額が、報告によると六十一億五千万円、それから文部省査定した金額が五十一億五千三百万円、これが西日本水害被害総額になるわけでございます。文部省査定五十一億五千万円に対して予算が十六億と、こういうふうになつております。その十六億というのは、これを六割、四割の割で二カ年度で分ける、これはやはり大蔵省としても現地査定をしておりますし、大蔵省査定と、それから今管理局長が申されましたように、こつちの五十億は被害総額ですから、十六億というのは国で負担する金額ということになります。それから十三号台風の分は、これは六割七割ということになりますか。
  18. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 五割、五割。
  19. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 五割、五割ぐらいですか、これはまだ数字がはつきりしないものですから、初年度に余り余計出せない関係であります。大蔵省査定が相当きつかつたということも言えるのでありますが、大体この程度話合いができておるようであります。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大体数字の出た理由はわかりました。そうすると文部省査定では、西日本災害で五十一億、それから十三号台風はまだ正確でないという段階ですな。大体二十何億ですか、そのうち結局国として負担するものは、西日本において十六億、それから十三号台風において七億五千万円、こういうことに大体決定をみておると。
  21. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 大体そうであります。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それが三百億の中に含まれておる。
  23. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) いや、三百億じやないですね。来年度に支出される分の両方含めて二十三億です。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、大分この災害の実態と国の出される予算との間に開きがありますね。大体特別措置法によれば四分の三補助ということですからね。ですから五十一億の大体四分の三に近い額が認められておれば私は災害に応じた復旧ができるのじやないかと思うのです。併し十六億しか組まれていないということになると復旧が相当困難になるのじやないかというふうに思われます。
  25. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) これはいずれ補正予算の御説明のときによく数字をお示し申上げたいと思つておりますが、今回は財務局と文部省との現地査定をいたしました結果、建物、土地、耕作物、設備等につきましてそれぞれ現地査定が相当きびしかつたでございまして、その結果によつておるわけでございます。ですからそれが一つと、いま一つは四分の三とおつしやいますけれども、四分の三は政令指定県、指定町村でありますから、指定外のものがございます。そういう点で数字が変わつて来るわけでございます。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 併し指定以外でも大体において三分の二は補助しなければならないということになつておりますからね。それに比べても余りにもこの額が少いのじやないかと思うのですね。五十一億の三分の二であれば十六億よりは相当多いだろうと思うのですがね。
  27. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 数字をこの次の委員会に、国会の始まりますまでには整備いたしますが、例えば建物については現地査定は七割七分二厘、或いは耕作物については幾らとか、或いは設備については二割三分、こういうふうに現地被害坪数、或いは被害額に対する査定率が、現地査定でございますので、その査定率を基礎にいたしますとこういう結果になるので、今お話のように余り開きがあるとおつしやいますけれども査定いたしますと、そういうことになつたわけでございます。
  28. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は単に文部だけの問題じやないと思うのですが、災害予算全体として相当額が少な過ぎるという意向は各方面に相当強いわけです。従つて文部委員会としてもやはりこの間の数字的な実情というのは十分私は調査研究する必要はあると思うのです。災害の実態と今度の三百億の中に組まれている文教予算との関係ですね、これは十分検討をして、そうして少なければ当文部委員会としてもその増額を要求するというふうにしなければならん性質の問題であると思う。これは補正予算の際に、もう少し数字を具体的に説明するということであれば、その際に譲つても私はいいと思う。併しこれはここで打切ることのできない問題だということだけを申上げて置きます。
  29. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 丁度大臣がおいでになりますからお尋ねしたいと思います。それは思想問題でありますが、私ども西日本風水害の当時にも、さほどにこの思想問題について関心を持つておりませんでした。併しながら今度の十三号台風によつて最も災害のひどいと言われる愛知県に住んでおる関係上、この問題について初めて気がつき、又将来に対する相当文教の府に当るかたがたの御考慮を願いたいということは、丁度ときたまたまあの高教組の問題で県庁の前に坐り込みなんかせられた問題がありました。併しながらこれは幸いに高教組の一部の人の敗退、敗退と申しますか、とにかく問題はあらかじめ解決をしました。併しながら幸いにこれが解決をするような方針になつたということは、十三号台風が来たからだと思いますけれども、十三号台風の結果愛知県ではまだ海岸線の方面で完全な措置が講ぜられておらん関係上、水がどんどん高潮によつてつて来る、高潮でなくても入つて来るというときに当つて、地方の民心というものは非常に尖鋭化しておるというふうなことについての民心というものは動揺と、それから恐怖の念に、非常ないろいろな宣伝に対して左右せられるようになります。これはその地方における実情から見て非常に将来憂慮すべきものだと思います。殊に共産思想、或いはその他の過激な思想というもの、或いはそれを司つておる諸君の態度、すべての方面から勘案しまして、思想上に対して非常な憂慮すべき現象が起るきざしがあり、又起りつつあるように聞いております。これに対する、ただ予算というものにおいて計数的な問題のみを考慮せず、文教の府に当るかたがたの非常な御考慮が願いたい。そうしてかような方面に対する児童の影響、或いは一般民衆に対する社会教育上重大なる関心というものを私は初めて知つたようなわけでありまして、これは相当長く続くと思います。この問題について大臣はどういう意向を持つておられるかということについてお聞きしたいと思います。
  30. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 愛知県の十三号台風関係が一般の人心、或いは思想の上にどういう影響を及ぼしておるかということは、実は私詳しく存じません。ただ高等学校の校長の進退等に関連して坐り込みの事件があつたということは承知しておりますが、実は甚だ申訳ないのでありますが、文部省ではそういう点について詳細な情報というか、報告と申しますか、そういうことが、実は非常に不十分な実情でありまして、詳しいことはわからないのであります。ただ水害、こういう大災厄に当つて、それが人心に大きい影響を及ぼすということは、これは常にあることであるし、殊にこの頃のように何となしに世相が混乱しておる際でありますから、特にそういうものはあり得るとは思います。ただ文部省といたしましては社会教育の面におきましても思想の指導と申しますか、そういう思想の動きについてかれこれどうしたほうがいいとか、こうしたほうが好ましいとかいうような指導をするということは、すべき立場でもなし、又そうする考えは持つておりません。ただ学校教育として、そういう思想の動きというものがすぐ学校教育の、殊に年少の子供を扱つておる小学校、或いは中学校等において、そういう思想の動きがすぐ教育の上に反映するとか、或いはその影響を受けるというような点につきましては、これは私どもとしてはそういうことがあつてはならないと考えておるのでありますから、十分注意はしたいと思うのでありますが、先ほど申上げますように、実は打明けたところを申上げますと、学校教育の実情というものに対する文部省の何と申しますか、はつきり正確な事情を掴むことが非常に不十分でありまして、これは私どもとしては非常に遺憾に思つております。今後もできるだけ地方の教育責任者である教育委員会のほうと連絡を緊密にして、少くとも学校教育の実情についてはそれをどうするこうするということは別問題といたしまして、文部省の責任上学校教育の実情だけは、はつきり知り得るような状態にありたい、かように考えまして、地方との連絡につきまして、なおまあ、できれば予算的にもそういうふうな措置を講じたい、こういうふうに思つております。
  31. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 もう一つついでに承わつておきますが、先ほど六大都市の教育委員会から陳情がありましたが、その節荒木さんからのお話もあつたんですが、六大都市或いは六大府県というものについて、非常に今日の実情或いは予算の上において困窮しております際に当つて、義務教育の半額国庫補助というものが打切られるような窮地にあるというようなことでしたならば、今から考慮して講じて頂かなければならんと思いますから、義務教育の半額国庫補助というものに対する見通しについて、大臣どうお考えになつておるのでありますか、ちよつと。
  32. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 御承知の通り前国会におきましては、結局特例法に関する決議がなかつた。従つて法律による義務支出でありますから、当然いわゆる富裕府県に対しても二分の一国庫負担ということは行わなければならんということでありますが、ただ八月以降の金額に対しましても四十八億円という相当な数字に上つております。当然この第一次補正でやつても第二次補正でやつてもかまわんのですけれども、その四十八億円というものはこのままで行けば計上されなければならん性質にある。いや応なしに計上されなければならん性質のものでありまして、大蔵省としては非常に財政の逼迫しております際でありますから、先ほど荒木さんからのお話のように、これだけの大災害を受けて文教の復旧施設というものが二十数億という程度まで圧縮されるような実情でありますから、それほど実は大蔵省としては、まあ予算の編成に非常に苦労しておる。そこでまあ何と申しますか、四十八億そのまま出すということはどうもむずかしいというか、諦め切れんところがあるようであります。文部省としては勿論それを是非特例法を通して出さないことにしたいという立場は当然これはあり得ないのでありますが、併し政府全体としますというと、今のように非常に財政逼迫しておる際で、特に補正予算の財源に非常に難儀をしておりますから、何とかあれを、もう一度特例法を一つ出してもらつて、まあその後八、九、十ですか、三月経つておりますから、このほうはどうしても、もう出さなければならんから、一カ月六億として十八億です。で、あとの四十八億のうちの十一月以降の分、三十億だけでも一つ何とか特例法をもう一遍審議をお願いをして出さんでも済むようにしたい、こういう考えのようであります。ただ問題は、果して成立するものか、可決せられるものか、その点わかりませんから、私どもとしてそれも大いにやろうというわけには行かんのでありますが、実情は、打明けたところを申上げるとそういう実情であります。或いは大蔵省がどうしても予算を組むのに困るということになれば又特例法を出して審議をお願いするというようなことにならんとも限らんような実情であります。今のところでは別にどつちとも言えません。私のほうは別に出さなければならんとは思つておらんのですが、まあそんな模様であります。
  33. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 さつき十三号台風の問題につきまして、六、七月の中に同じに取扱うと、こういう言明でありましたが、ただまだ十分調査ができておらんから、初年度には予算が少かろうということですが、これは御承知の通り十三号台風は非常な実は被害でございまして、無論九州、近畿の状態もひどかつたわけですが、私どもの見聞によればまあ大変な惨害でありまして、これは一つ急速に御処置を願いまして、早く予算措置をお願いしたいと思うのですが、大体この愛知県などはもう今月の初めに四億何千万という損害状況が出ておりますが、ほかの県も大体出ておると思いますが、総額どのくらいな十三号台風による文教施設被害があつたか。この点一つお聞かせを願いたいと思います。  それから第二はさつき御説明がありました私立学校関係のこの災害に対する特別措置でありますが、この十二条を見ますというと、私立学校振興会が現在持つておる費用の中から出すんだというようなふうにも解釈されますが、まさかそういうふうなことはなかろう、当然これが災害を受けたのですから別に予算をお取りになつ私学振興会へお出しになるものだと解釈しますが、その点は如何でしようか。今義務教育費国庫負担法の打明け話が大臣からありましたが、これは一つ大臣としては飽くまで文教立国という建前において、これは閣議でどうあろうと文部大臣のお立場としては義務教育完成の立場から是非とも一つ強く御主張願いたいと思いますが、さつきのお話を聞いておるというと、どうも全体の様子を眺めて妥協なさるようなお気持もあるようですが、これは一つ文部大臣御信念を持つて強く一つ御主張願いたいと思いますが、その点に関してもう一度明確に一つお話願いたいと思います。
  34. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 公立学校施設資料御覧願いますと二十一億一千六百四十九万円というのが報告されております。
  35. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 十三号台風ですか。
  36. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 十三号台風であります。先ほど申上げましたようにまだこれから私ども現地に参りまして大蔵省の財務局と共同査定をいたしますので、その手続がまだ済んでおりません。従つてこの被害額が或いはこれより上廻るか或いはこれより減りましようか、その点がまだ確定いたしません。これは急速にやりたいと思つております。  それから第二点の私立学校施設に対する復旧費でありますが、これは法律によりまして二分の一補助でございます。残りの事業費の二分の一につきましては私立学校振興会から貸付けをするということになつております。その貸付けの財源の問題でございますが、これにつきましては勿論新らしく予算要求をいたしまして、政府出資を願いまして、これに充当するのが筋でございます。併しながら金額がさほどかさばりませんものですから、取りあえずは私立学校振興会が手許に持つておりまする資金から融通いたしまして、早急これを査定いたしまして、この分につきましては二十九年度の政府出資のときに合せて要求するという方針でございます。そういうことで、水害委員会におきましてもお答え申上げて参つております。
  37. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 御尤もなお話でありますが、実はまあ前国会における審議の経過と申しますか、実は審議といつても不審議で、殆んど審議されなかつた実情でありますから、まあ少くとも私は大蔵省なり財政方面に協力する意味で法律案の提案の役を引受けるにいたしましても、国会が通らなければ実は意味を持たないので、常識から言うと、国会でそれが通過する見通しを待たずに特例法を出して、又同じことになつても、随分おかしな話だと思つております。ただ大蔵省の考えでは、どうも出さんでも済む金だから、まあ国会の意向の如何にかかわらず、何遍でも出したい、こういうことを実は言つておるのであります。これはまあ普通に考えると、通過の見込みのないものを出すというのも随分妙な話だと思うのでありますけれども、これは私の付度でありまして、或いは外へ洩れて、大蔵省あたりから文句が出るかも知れませんが、大蔵省の口吻から私が察しますと、目前の予算編成に財源がなくて非常に困つている。それで今度の予算の編成に当りましても、御承知のように、前国会において成立した予算金額を一部減額修正をして、そしてそれを財源に充てようと、それほど苦しいときでありますから、なかなかこの四十八億をそのまま出すということは非常に困るだろうと思うのです。それで結局今度の補正予算からこれを落して、そうして特例法を提出すると、そうして特例法がやはり可決に至らない場合には、これはどうしても出さなければならん性質の金でありますから、第二次補正で出すか、或いは来年度の予算でその足らず分を計上するか、何こかしなければならんことは明瞭なんです。そこで今目前の財源に困つている金の上の辻褄を合わせるために、その困難を先へ先へと廻して行くというような苦しい立場があるのじやないかと想像するのです。ですから、まあ今のところはわかりませんけれども、どうしても予算がそれで編成できないようなことであれば、結局同じことなんですけれども、今出さなければ、来年度の予算に出さなければならんし、それから来年度の通常予算でそれが出ないということになれば、又通過しないということになれば、今度は来年度の補正予算で出さなければならんと、順繰り順繰り先ヘ送つて行くようなことになるのではないかと思うのです。そういう実情でありまして、まあ私としては、そういう国会で通過するかしないか、つまり国会の意思に副わないような法律案を、同じものを何遍も何遍も出すということは、随分おかしな話だと思つておりますが、まあ実情だけを申上げて御了承願いたいと思います。
  38. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 大体伺つたのでございますけれども、私、今度風水害がございましたために、折角自然成立いたしていたような形になつていた六大都市の教育予算が早速対象として取上げられるということ、それ自体が即ちやはり昨年でしたか、平衡交付金から特に教育予算というものを別項目にして新らしい法律案を作つた理由だと思うのです。こんなことになるから、一般の平衡交付金の中に教育予算を入れておきますと、性格が弱いものだから土木事業などにどうしてもとられやすいからというので、第二国民を養成するためにたとえどんな事態が起つて教育予算だけはちやんと厳然として確保しておきたいというのがもともとの性格であつたと思いますのに、今年二回ばかり風水害が起つたからといつて早速六大都市のこの半額の教育予算が将来永久に取上げられてしまうなんということは、随分教育ということを軽視しているようにさえ考えられます。さすがにやはり大達文相は文教の府の長官でいらつしやいますだけに、大臣自身はそんなことを考えていらつしやらないのであつたことはせめてもよかつたことで、大臣に敬意を表するのでございますけれども、この上ともに、大蔵省がそういうことをおつしやいましても、一つ大臣としてはよく頑張つて頂きたいと思います。通過しない法律案を何遍も何遍も国会の意思に反してでも飽くまで出そうと、又出す必要がないものだというところに非常に問題があると思うのですね。これは私たち前回も何遍も申上げましたように、事教育に関する以上は、都会の子供と農村の子供と差別扱いをする理由はどこにもございませんので、各六大都市は非常に富裕県だと言われておりますけれども、私東京都出身でございますので、この夏も随分調査いたしましたけれども、なすべき仕事をいたしませんで、たまたま予算が均衡状態保つておるという理由で富裕県だと言われておることはどうも納得が行きませんので、それなら赤字を出してもなすべき仕事をどんどんやらして行きますならば納得できるようなことになるのではないかと思つたりいたしますが、これは一つやはり大臣の格別なるお力添えを得たいと思います。大臣は元東京都長官であつた経験もおありになるので、私が申上げるまでもなく十分御認識だと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 荒木さんの御質問にちよつと関連して伺いたいのですが、五十一億の文部省査定額はぎりぎり精一ぱいというところですか、それから聞きたいのです。
  40. 近藤直人

    説明員近藤直人君) これは文部省だけでやりました査定でございます。併しながら、これは全部現地へ行きまして査定したものではございませんので、一部類推もございます。必ずしもこれがぎりぎりというわけのものではないと考えます。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 さつき大臣の御発言の中に、地方自治庁の調査では六十一億ということをおつしやつたようでしたが、私の聞き違いでしようか。
  42. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 六十一億と申しますのは、これは現地からの報告そのまま生のものでございます。従いまして、その査定基準もございませんので、現地ではいろいろまあ報告をまとめて来ておりますので、その点が如何かと思いますので、それで私のほうから参りましたものと一部類推を合せまして五十一億とそれを査定したわけでございます。その後更に私のほうと大蔵省の財務局と共同いたしまして査定いたしたのでございます。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 地方自治庁の査定は、これは実態に即した査定で、かなり被害の実情を復旧し得る地についた査定であるというように一応考えられるわけです。大蔵省のほうの査定文部省査定とぎりぎり合せて先ほどの西日本災害に十六億、台風十三号に七億という予算を組まれて、それを六割と四割に分けて二年計画でこれを復旧させるというような御計画でありますが、出て来た数字は、とてもこの二年計画で、できないということは、これは素人でもわかるわけですね。それで先ほどから政府側の御説明予備金を充てて、それの災害復旧させたいという希望意見が述べられておるわけでございますが、私は大臣にお伺いしたいのは、その予備金というものが一体どれくらい実情に即して災害に対して割当てられるかという見通しの問題です。非常に財源が不足して困つた困つたとおつしやつておりますから、予備金という希望を持つておられても、これはその希望が容れられないのではないかということを心配するのです。それで予備金が一体どのくらい割当てられて来るのかという見通しと、若しそう割当てられない場合に、勿論第二次補正という問題が出て来ると思いますが、そこらの兼合いで災害復旧の大まかな見通しを大臣にお伺いしたいと思います。
  44. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この六十一億という数字は先ほど御説明を申上げましたように、これは自治庁が取りまとめたとか或いは自治庁が査定したという数字じやありませんで、各府県からその被害額として報告のありましたものをそのまま集計した数字であります。従つてやはり時日が経過し、或いは人が迭つてみれば相当査定の余地のある数字だと思います。  それから今の予備費の問題でありますが、この文教施設復旧等につきましては予備費の問題はありません。西日本水害に約十六億、これは施設関係ではもつと下廻つておると思いますが、大体十六億、それから十三号台風で七億五千万円ですが、この七億五千万円の数字のうちの一部を予備費で出したらどうかということになつておるのですが、これは大体大蔵省とも話合いがついて、予備費補正予算の出る数字と合せて七億五千万円、こういうふうに考えております。この災害復旧復旧関係のものにつきましては、西日本の十六億という数字以上に別に予備費が出るべきじやないか……。
  45. 近藤直人

    説明員近藤直人君) ちよつと補足説明をいたします。先ほど大臣のお話の中で、ただ学校給食関係のものにつきましてはこれは予備費でみる。例えて申しますれば、水害によつて学校給食用物資が流れたとか、いたんだとか、その損失補償、これは予備費であります。これはユニセフから寄贈してもらいましたミルクの輸送費、保管料、これは予備費であります、というふうに学校給食関係が大体予備費と考えております。  それからもう一つは学生会館の問題でございまして、これは水害でいたみましたので、この復旧費につきましては予備費ということだけでございます。
  46. 高田なほ子

    高田なほ子君 予備金学校給食関係だけで、あとは予備金のことについてはもう全然見通しがないということになりますね。そうすると六十一億のこの被害は、確かに被害実体であるということを大臣も言つておられるし、そうすると五十一億の文部省査定額に上廻ること十億の被害を受けているわけです。その十億の被害はそうすると誰が負担するかということになります、それを復旧させるには。
  47. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 公立学校につきましては、原則といたしまして市町村がこれを復旧する建前でございます。それに対して国が四分の三の補助をやる、残りは起債で賄うという建前になつております。私立学校につきましては、これは学校法人がこれを復旧するというのが原則であります。それに対して国が二分の一補助いたしまして、残りの分につきましては私学振興会から貸付けてもらうという建前でございます。社会教育施設につきましては、国が三分の二を補助する、残りにつきましてはこれは市町村立でございますので市町村負担する、勿論起債は二分の一でございます、そういう原則でございます。
  48. 高田なほ子

    高田なほ子君 原則は原則でございましようけれども、この災害を受けた市町村の財政難というものは、もう申上げるまでもないことでありますから、建前はそうであつても、実際に受けた被害をそのままにしておくことができないために、各市町村ではやはり一般の父兄がこの被害を建直すために相当の負担をいたしておるというのが現実です。又しなければならないということになつて参りますと、国民が非常にその災害を受けて苦しんでいるのに、又施設のために非常な負担を負わされなければならないということに結果としてはなつて来るのです。    〔委員長退席、理事荒木正三郎君着席〕 そういうことでは私は甚だまずいのじやないかと思うので、問題はこの第二次補正はどういうふうにして一体この実体の災害費をお組みになるかということを私はお伺いしたがつた。それに対して大臣からまだお答えがないわけなんです。
  49. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは只今申上げましたように、査定によりまして、この査定の当否はこれは現地について実際見なければ実はわからんことでありますが、併しまあ他の予算の場合でも同じように、文部省といたしましても、又更に大蔵省といたしましても、要求額に対して、或いは補助の対象になる金額については査定をすることは御承知の通りであります。ただこの査定が非常に辛くて、実際の災害復旧の役に立たないかどうかということは、これは何とも申上げられないのでありますが、まあ他の施設についても同様でありまして、無論これで十分間違いないということは簡単に言い切れないと思います。思いますけれども、そうかと言つてなかなか或いはそのところによつてはこれで余るものがあるかも知れない、これは妙なことを申上げるのでありますが、この間も大蔵省あたりで現地に行きまして、実際に実地について調査をし、査定のために調査をしてみるというと、非常に全然損害の皆無のものを損害を申立つているとか、或いは実際の被害額の十倍以上の被害報告を出しているとか、これはもう極端な例でありますが、大蔵省あたりの例を聞きますと、或いはこの間新聞にも出ておつたのですが、随分水増しというか、掛値を吹つかけたような報告を出している向きも相当あるという、そこでまあ実地調査をいたしまして、大蔵省の財政難の折から金を出す立場でありますから、その査定に相当辛い点はあるかも知れませんが、とにかく実地に当つてなにして、まあぎりぎりこれだけしか金が出せんと、こういうことで実は私のほうも止むを得ずとして話合いがついたわけです。決してこれで十分だとは言いませんけれども、併しこの六十一億の数字と比べてそれじやとてもお話にならんというものでも実際はないのじやないか、実はそう思つております。
  50. 高田なほ子

    高田なほ子君 実際の損害よりも十倍にして、水増しにして出しておくというようなところもあるかも知れませんけれども、それは大蔵省査定がいつでもその実態と離れて、まるで雀の涙のようなものをくれてごまかすからそういうことになるのです。そういう水増しの資料を提出した側に罪があるのではなくて、それはやはり国自体にそういうことをさせる責任があるので、大臣に私がどうしてもこれははつきりして頂きたいことは、この五十一億の文部省査定額は必らずこの六割四割の二年計画として完璧に実施し得るという確信をお持ちになつておるかどうかということなんです。実際これはいつでもごまかすのですからね。そういうことを言つてごまかしている。計画通りやつたことはないのです。
  51. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この五十一億という査定は、これは文部省が一応六十一億という報告について、先ずこれくらいでよかろうという一応の数字文部省で立てた。それは被害総額ですが、そのうちには四分の三負担する性質のものもあれば二分の一負担するものもあるし三分の二の負担で済むものもある、こういうふうでまちまちでありますから数字的にどうなりますか、この十六億という数字は国が復旧のために負担する、若しくは補助をするという金額が十六億で、この六十億五十億というのは被害総額数字なのであります、ですから、これに大蔵省がこの五十億というものを更に査定してそれに今度は計算をしてきめて行く、これから今の四分の三とか三分の二という従来になかつた高率補助、つまり特別立法によつてそうなつたものも大蔵省で、先ほど管理局長から申上げましたようにこの第一条の区域の指定というものが非常にやかましくなり始めておる、この区域のきめ方によりましては、今度の水害でこの六十億なら六十億という被害総額という報告の中に入つておるものでも高率補助はもらえないものができて来るわけであります。この特別な指定をする区域だけがこの四分の三、三分の二を適用することができる。ですから十六億という数字はもつと精密に調べてみなければわかりませんが、この五十億、六十億という数字に比べて、ちよつと見て、いや三分の一に過ぎんではないか。或いは四分の一に過ぎんじやないかというふうにも一概に言えないのではないかと、こう思います。
  52. 高田なほ子

    高田なほ子君 それで問題はそこなんですよ。この災害地域の問題なんですが、今は大連文相は誠に盲点をついた御答弁をしていらつしやるのですが、これは市町村を単位として指定とすることのほうが私は被害の実態に即した財源措置がとれるのではないかと思う。文相はそれをこれは県単位に書いてあるのですがね。まだきまつたというものではないのですか。文相はどういうふうにそれをお考えになつておるのですか。
  53. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは文部省としましては被害県はこういうふうに同県々々と並べて、こういうのが初めの考えだつたのです。そうするとその県で起つた被害はみな入つてしまう。全部特別立法の恩典に浴してしまう。大蔵省では国庫負担だから高率の負担をするについては、補助を受けるほうの側の財力と言いますか、予算力という問題と睨み合せてすべきものであつて、その点で大蔵省としては大蔵省としての案を持つております。勿論これは文教関係だけではなくて、河川道路、それから農林関係一切合切の全部をひつくるめての共通の問題でありますが、それがなかなか大蔵省との間に話合いがつかぬという点が一つある。  それからもう一つは水害対策委員会というものが休会中ではありますが頻繁に開会されておりまして、そこでもこの問題が非常にやかましく取上げられる。そこでまあ金額まで実はきまつていないというのが実情であります。で、この被害額がその県の標準税収入、つまり財政力と睨み合せてでなければ高率補助は出さない、こういうのが大蔵省の立場であります。
  54. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは非常に研究しなければなりませんね。標準税収入を上廻る災害でなければ出さない。そうすると実際の被害は受けても、もらえないと、そういうときは一体どうするのですか。
  55. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 衆参両院の水実委員会のときは、県を指定する場合は、災害復旧費総額標準税収入をオーバーした場合、同様に市町村当該市町村標準税収入をオーバーした場合にその市町村として受ける、この二本であります。ですから先ほど大臣がお話のように、県を指定すれば県全体になりますが、先生のお話はちよつとそれと逆です。私はそのほうが有利だと思うのです。大蔵省市町村単位を考えている。そこに話合いのつかない問題があると思います。    〔理事荒木正三郎君退席、委員長退席〕
  56. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではもう一点だけ伺いたいのですが、学童給食の問題ですが、学校給食用の小麦等の損失補償に関する特別措置法施行、これは流失小麦粉、それからミルク、そういうものに対する損失補償ですが、実際非常な風水害を受けたとところの食糧事情というものは、本年度の凶作と相加えまして非常に困難な状況を呈しておるように、私このところ少し旅行して実際の姿を見で来たわけなんですが、これだけで以て、この法律だけで現在の児童の窮状を救い上げ得るというお見通しを持つておるのか、或いは又それらに対する特別な対策文部省としてお考えになつていらつしやるのか、この点お話頂きたいと思います。
  57. 近藤直人

    説明員近藤直人君) お話は凶作地帯に対してどういう措置をとるかというお話かと思いますが、学校給食につきましては話の順序といたしまして水害地から申上げます。  西日本につきましては特別措置法が施行いたされまして、特別損失補償を適用いたしまして全額補償する。それから十三号台風被害地域につきましては、これもこの法律を適用いたしまして同様に全額補償いたしたい、こう考えております。  それから問題は冷害でございますが、冷害地域につきましては、これはまだ私の存じております範囲におきましては、どうするかという根本方針がまだ確定していないと私は承知しております。従つてその方針の如何によりまして決定されるわけでございますが、併しながらその方針如何にかかわらず、冷害につきまして、学童給食に対して何らか手を打たなければいかんというふうに考えております。これにつきましは是非ミルク水害地と同様に無償で出しだいという気持を持つておりまして、今その話を丁度進めておる次第でございます。
  58. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変いいお考えですが、凶作に対する無償学童給食の実施でありますが、それは大体いつ頃から実施されるような見通しでおりますか。
  59. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 十二月からなるのではないかというふうに考えております。
  60. 高田なほ子

    高田なほ子君 十二月から実施する予定ですか、これは一週に何度。
  61. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 普通は五日でございますが、できれば六日、土曜日もやりたいと思つております。西日本は全部土曜日もやつております。
  62. 高田なほ子

    高田なほ子君 この特別措置法では、流失等なんかで受けた損失を補償するだけであつて、それより枠を拡げるための予算が組んでいないのでしよう。
  63. 近藤直人

    説明員近藤直人君) だから予算要求をしたのでございますが、幸いにユニセフから無償のミルクが参りましたので、それをそちらへ廻します。
  64. 高田なほ子

    高田なほ子君 先ほどの御説明のがそうですが。
  65. 近藤直人

    説明員近藤直人君) そうでございます。二千四百トン参りますので、それを西日本に廻すということでございます。  それから更に十三号台風地域に対しましては、ユニセフ本部に別途追加分を目下要求中でございます。これは間もなく向うから返事が参るはずでございます。その追加分約八百トン予期しておりますが、これが若し参りますればそれを十三号台風被害地に廻す。問題は冷害地でございますが、これにつきましては更にユニセフ本部にお願いするつもりでおりますが、それが若しうまく行きませんければ別途予算措置によりましてやりたいと、かように考えております。
  66. 木村守江

    ○木村守江君 ちよつと文部大臣にお伺いしておきたいのですが、御承知のように、二十九日から開かれる国会は救農国会というようなことを言われております。予算の内容から見ましても災害と冷害との問題を取上げておることは私から申上げる必要がないと思うのでありますが、この国会に際しまして文部省関係予算として災害に関するものは計上されておるようでありまするが、冷害に対する文部省関係予算を計上しておられるかどうか。又この救農国会に対する文部省の肚構えとして冷害を取上げなくていいものかどうか、ちよつとお聞かせ願いたい。
  67. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 冷害については文部省関係から今度の臨時国会に出す予算の中には何も入つておりません。まあ大体水害の場合でも主なものは御覧の通り学校が流れたとか、壊されたとかいうような復旧費でありまして、冷害関係については只今話が出ましたが、学校給食を見てやるとか、まあ困難ですから、というような程度以上には文部省としては実は関係がないといつてはおかしいのですけれども、まあそういう筋合いになるのではないかと思つております。今の非常に困難で食糧の得難いような事情に追込まれている地方に対しては、学校給食の面だけでも手伝いをするというようなことにできればしたい、これはやることになりますれば。今度の予算にはそういうことですが、冷害についてはちよつと何も出ていません。
  68. 木村守江

    ○木村守江君 災害に関する文部省関係予算として大体施設費に重きを置かれるというようなことはよくわかるのですが、丁度災害は考えてみると、表面に現われた非常にはなばなしい、はなばなしいといつては変ですが、(笑声)表面に現われて誰が見てもわかるような状態が災害ではないかと思うのです。ところが冷害の実態はこれは本当にじり貧で、病気ならば内科の病気でこれはだんだんだんだん困つて来るのが実際の状態ではないかと思うのです。私がかように申上げるのはなぜかと申しますと、東北における冷害の実態は最近非常に欠食児童を出しております。(「そうだ」と呼ぶ者あり)それはどういう状態かと申しますと、東北の農民の実態は大体秋の彼岸から、これは新らしい米をとつてそしてそれで食いつなぎをするというのがならわしであります。然るに今年の稲作は御承知のように七月の末までが非常に天候に恵まれたために、稲作が非常によくなつて、この状態では昨年よりも或いはよいのではないか、昨年と同等の稲作になるのではないかというようなことから手持米を全部まあ超過供出をしたというような実態です。ところが八月の半ばから非常な冷害がつきまして、予期に反しまして自分の手持米をなくしたりそして食べる物がない。而も秋の彼岸になつても刈入れができないというような実態になりまして、私の県で調査をいたしました実際の状態におきましては、大体四万八千人であります。これは小学校生徒数の大体一割に近い数字が今学校に弁当を持つて来ない、そのために学校を早帰りする、或いは学校を休むというような状態を私は見ておるのであります。こういうような状態を見ますと、これは学校施設というものがやはり非常に大事だと同じように、教育の実態は本当に学校に通わして学校で勉強のできるような状態を作つてやることが大事だということを考えますと、学校施設と同時にこれは学校にとらわれるような考え方を文部当局としてはとるべきではないかというように考えるのでありますが、今大臣のお話では、予備費で給食をやりたい、やりたいという非常なあいまいと言つては変ですが、あんまり頼りにならないようなお話がありましたが、私はこの際どうしても東北の冷害の実態をよくお考え下さいまして、そうして予備費でできることでしたらどうしてもこれは、特に私たちの考えることは開拓地ですね。終戦後山に入りまして開拓しております開拓地の連中です。これには身寄りもありません。親戚も何もありません。而も開拓地は殆んど収穫皆無の状態です。こういう所ではどうしても学校にやりたくても弁当を持たせたくてもできない。そうして小さい子供をほかに出してしまわなくてはいけないというような実態が方々に見られるのでありまして、こういう点に対しましてこれは予備費で賄いたいと思うのだというようなお答えでなくして、これは予備費で賄つてやるのだというような力強い御意思の発表をお願いしたいと思うのですが、如何ですか。
  69. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) お話にできるだけ副いたいと思います。
  70. 木村守江

    ○木村守江君 もう一つ、それから学校施設の問題ですがね、これはまあ地方でも老朽校舎としてこれはどうしても到底回復しなければいけない。今文部省査定によりましてもこれは使用禁止の学校というような学校なんです。而も文部省からこれはもう改築しなければいけないのだというように建築の枠をもらいましても、建築の枠が三分の一、それに起債額は殆んどそれと同等かそれよりも少いというような状態で、あとの三分の一は地元負担だというような状態でありますと、到底これは地元負担はでき得ない状態です。そうすると実際問題で、危険校舎で使用に耐えない、誰も見ておるのが、今年の冷害のために学校建築ができないという状態になつて参ります。こういうことを申上げますと、それならば来年造ればいいのじやないかと申されましようけれども、来年まで待ち得ない状態が実際の状態です。私のほうの県で今一つありますが、これはどんなに補助の枠をもらつて学校はできませんと言つて返上して来た村があります。こういういう状態が今後頻発するのではないかということを考えますときに、これは来年造ればいい、造れるときに造れと、こんなことであつたならば、大蔵省文部省に枠をくれないからという考え方は政治じやないと思うのです。本当にそういうような実態をよく御勘案下さいまして、これは補助の枠を殖すことはできないでしようが、この老朽校舎の回復のために起債の枠でも殖すとか、或いは文部省のほうから強力に自治庁のほうに申上げ下さいまして、平衡交付金の枠を殖すとか何かそういうような文部省として打たなければならん手があるのではないかと思いますが、これに対して如何お考えでありますか。
  71. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 危険校舎或いは老朽校舎の問題はもう前々非常に議論になつておるのでありまして、これは無論そのまま放置すべき筋合いのものではないのでありますが、何分にも国家の補助の金というものが僅かでありまして、御承知の通り前国会に提出された予算が十二億、それに十億円増額修正になりまして、その点非常な御鞭撻なり御協力を頂いておるわけでありますが、無論二十二億の予算というものも極めて全体の老朽校舎の建築費ということから行くと非常に少い。できるだけ文部省といたしましては危険の程度の放置し得ない状態のものから先順位にできるだけそういう建前で予算配付しておるのでありますが、何分これは何と申しますか、今のお話のように非常に貧弱な団体におきましてはもらつても改築ができない。起債の枠が十分とれない関係で手持の資金がないという実情にあるところもあると思いますが、これは実に困つたことでありますが、結局私どもとしては一日も早くこの地方の財政の基本的な方策が講ぜられて、各地方団体それぞれが自分の必要とする経費の最小限度は賄い得るような財政的な強化というものが講ぜられなければ、これはなかなか実は容易でない問題であります。現状では只今お話申上げるように現在できるだけの範囲内でやつて行く。御承知のように老朽校舎といたしましては国で補助予算を出したのはこの二十八年度予算が初めてであります。その前には全然補助というものは出さない。それが十二億円計上され、更に十億増額をした。それから更に御協力によりまして法律で補助の率もはつきりした。こういうふうに現状では一足飛びにはなかなか行かない困難がある。これはよく御了承願いたいと思いますが、できるだけ一歩々々でも解決をして行きたい、こう考えておるのであります。それ以上はなかなか実情のいろいろお話を伺うと、実は非常につらいのでありまして、どうも放つてはおけないという気がするのでありますが、実情がさようなわけでありますから今後もできるだけ努力して行きたい、こう申上げる次第であります。
  72. 木村守江

    ○木村守江君 只今の御答弁で大体考え方はわかつたのですが、御承知のようにこの危険老朽校舎の問題は、これはもう戦時中からずつと続いておりまして、これは非常に大きな問題としてとり上げられて来たのでありますが、今回大臣が就任と同時に危険校舎に対する補助を初めて計上したということは我々教育関係する者ばかりでなく、これは国家国民がひとしく非常な喜びを持つておる次第であります。そういうような非常な喜びを以て危険校舎の補助を初めて今年からとり入れた。そうして何年か前から学校の改築をしなければならないといつて漸く改築をしようと思つた矢先に本年度のような冷害に会つて、どうしても改築しなければいけないのだが改築できない町村が多いというような実態に対して、今大臣の言うように財政制度の改革でもして町村の財政をしつかりさして行かなければならないといつたようなことでは、こはこそいつになつたらできるかわからないというのが私は実際の状態ではないかと思う。そういう点からいつてこういう際に教育施設を本当によくして行く、而も危険校舎に対する補助が今年初めてできた。この立派な法案を活かして行くためになお一段の努力をして政府当局に折衝して起債の枠でも拡げてもらう誠意がないか、重ねてお尋ねいたします。
  73. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 十分努力いたします。
  74. 長谷部ひろ

    長谷部ひろ君 十三号台風につきましては先ほど吉田委員、大谷委員からお話かございましたが、私もそれに関連いたしまして、文部大臣に申上げたいと思うのですが、この十三号台風というものは、私は恐らく西日本水害よりも非常にひどいものじやなかつたかと思うのでございます。ですけれども、それについて余り皆の関心がなかつたり同情がなかつたりというのは、何かそういつたような水害が次々起つて参りまして、十三号は第三番目だつたと思つておりますが、本当に予想以上にひどいものでございました。丁度それが九月の二十五日でお彼岸の満潮、大潮と申しますか、丁度二十五日ですから秋分の大潮のときに当り、而もそれが満潮時に当つていたわけなんです。それですから、とてもひどかつた。そこで私なんかもずつとあちらのほうを見て参りましたけれども、それから二十日ぐらい経つて行つたときにさえも、まだ水が満潮時になりますと、さして来るわけなんでございます。西日本のほうですと水が引いて行けばそれきりなんですけれども、十三号の場合はそうじやなくて、満潮時になりますと、いつも水がずつと押寄せて参りまして、その日から二十日くらい経つたときに私が行つた場合にでも、これは幡豆郡の一色方面でありますが、そこに船で又行つたような状態なんです。それでなかなか堤防というものを整備することができない現状です。而もそのときには稲の稔りの寸前なんです。だから船でずつと渡つたけれども、行くときに下を眺めますと、それが本当に稔つた稲が皆水の底にうねりを見せているわけで、さつき木村先生のおつしやいましたようにそういう東北の災害西日本災害と、そういつたようなものをまとめて受けたのが十三号における愛知県だつたのです。それで愛知県では被害額が四億五千六百七十四万三千円という数字が出ておりますが、その数字教育施設被害総額なんです。それに対して全体の被害に対して七億五千万円というのは少し少いと思うのです。少しどころでなくて、とても少いと思う。これは当然西日本における水害特別措置法に準じて頂くということをさつきおつしやつたのですけれども、それじやとても私は駄目だと思うのです。それで誠に済みませんけれども、どうぞその水害の状況を一遍見て頂きたいと思います。大連文相を初め、それから委員長さん初め皆さん委員の方見て頂いたら、どんなにこれが困つているかということがおわかりになつて頂けると思います。そこで私は愛知県のほうの惨状の写真ですけれども、せめて写真でも見て頂きたいと思つてつて来ました、どうぞあとで見て頂きたいと思います。お願いいたします。
  75. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大分時間が経つたようですが、一つだけお尋ねしておきたいと思いますが、十万円以下の災害に対する復旧補助、これは災害地では非常に問題になつておる。一つの被害が十万円以下であつても一つの市町村ではかなりの額になる、特に学校関係では。これが補助の途がないということで非常に困つておる。これは特別措置法によると十万円以下は補助の対象としないのであります。もう一つは公立学校災害補助についてはそういう金額をきめないで政令できめることになつております。そうするとこの政令金額も或いは十万円ということになるのではないかと思うのでありますが、併し十万円以下の災害に対する援助はどうしてもしなければならん問題じやないかと思います。これについて文部省の考えを伺いたいと思います。
  76. 近藤直人

    説明員近藤直人君) お話のように特別措置法におきましては一つの学校、又は一つの社会教育に関する施設当り災害による被害の額が十万円に達しない場合はこれに対して法律を適用しないということになつておりますので、従いまして特別措置法に関する限りにおきましては十万円以下は全く拾えないということになるわけであります。それからお話の一般法、即ち公立学校施設費国庫負担法のほうにおきましては、これはお話の通り政令を以て限度を定められておる。大体政令の限度は只今腹案といたしましては府県の単位一本につきましては十五万以下は拾わない。市町村工事につきましては十万以下は拾わないというのが一応の線でございます。特別の措置法と附則を合わせて一応さように考えております。確かに十万円以下につきまして何とか措置をして欲しいという声は私は承知しております。併しながら法律でそうなつておりますので、これは法律を改正せざる限りにおきましては拾えないというふうにお答え申上げます。
  77. 高田なほ子

    高田なほ子君 それに関連して、それでいろいろ地方で費用が足りないために義務教育国庫負担法の教材費がその施設のほうに流用されがちであるということを私は北海道へ行つてしみじみ承わつて来たのでありますが、教材費というのはほかへ流用してもいいのですか。いけないのじやないのですか。教材費の役に立たないようになつておりますよ。
  78. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 教材費は設備に使うものですから、それ以外に流用することはいけないと思つております。
  79. 高田なほ子

    高田なほ子君 教材費というのは設備費ですか。
  80. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 教材、教具ですから、当然教授用の設備、それからもう少し詳しく申しますと機械器具、図書、標本の類、そういう関係にしか使えませんので、それが建物のほうに廻るということはこれはいけないと思います。
  81. 高田なほ子

    高田なほ子君 何かそのほかのものに使つていいとか悪いとかいうのは、そういう内輪の規定のようなものはあるのでしようか。学校の先生方の教卓やら、それから机やらのほうに廻されることが非常に多い。それは私は教材じやないと思う。ですから教材の範囲というものを一応明確にして、それ以外のところにやたらに施設に流用しないような方法が講じられるべきだと思うのでありますが、何かそういうことがございますか。
  82. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 御指摘の通りでございますので、それについての文部省からの通達がすでに出たと記憶しておりますが、若し足らない分がありましたら補足するように、もう一度連絡をとりたいと思います。
  83. 高田なほ子

    高田なほ子君 是非お願いいたします。
  84. 川村松助

    委員長川村松助君) 別に御異議なければ本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 川村松助

    委員長川村松助君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後零時五十六分散会