○
説明員(
近藤直人君) それではお手許に差上げました資料によりまして
災害関係につきまして御説明申上げたいと思います。先ず昭和二十八年六月から九月に至る
文教災害関係被害報告というものを
御覧願いと思います。第一ページをお開き願いたいと思います。昭和二十八年六月七月大
水害に伴う
文教関係被害総額及び
査定額調というのがございます。今次の
被害は非常に異常でございまして、各地に
学校施設その他につきまして非常な
被害を生じておりますので、それにつきまして、私どもといたしましては成るべく早くこれを
復旧したいと、かように考えまして、それぞれ
予算措置をして来たのでございます。先ず
公立学校施設の
被害報告額でございますが、総額が四十三億千八百十二万二千円、これは
西日本水害と
和歌山水害の分でございます。それから
私立学校の
施設の
被害は二億二千七百十一万九千円、それから
公立社会教育施設は五億千三百八十八万二千円、次に
文化財関係でございますが、
史跡名勝天然記念物が五千百十三万二千円、それから最後に
学校給食用の物資でございます。これは
学校給食用の物資、つまり
小麦粉及び
脱脂ミルクを地方へ発送いたしまして、その分が
水害に会いまして亡失した或いは傷んだというようなものでございますが、八百六十七万円。それから一番最後の欄に
国立学校の
施設の
被害でございますが、これが十億三千百七十九万八千円。全部合せまして六十一億五千七十二万三千円ということになつております。第一頁は
被害額を載せてございます。
それから次に第二頁を
御覧願いたいと思います。昭和二十八年十三
号台風災害に伴う
文教関係被害総額調でございます。これはお手許に差上げてございますが、一枚紙とお取替願いたいと思います。計数が多少その後集まりましたものもございますので、一枚紙とお取替願いまして御説明申上げます。十三
号台風におきましては
公立学校施設は二十一億千六百四十九万円でございます。それから
私立学校はまだ報告が全部まとまつておりませんのでここに計上してございませんが、目下盛んに報告を集めております。それから次に
公立社会教育施設でございますが、これが一億二百四十万四千円。それから
文化財関係で
史跡名勝天然記念物一億二千五百九十四万九千円。それから
学校給食物資が若干ございまして四百三十二万二千円。それから最後に
国立学校施設が一億三千二百九十二万六千円。合計いたしまして二十四億八千二百九万一千円というふうになつております。
被害額につきましては、いわゆる
西日本の大
水害に対しまして約三分の一ちよつとでございます。大体そういうような
被害であつたと思います。
こういう
被害額に対しまして然らばどういう
措置をとつたかと申しますと、それはその次の頁をお
めくりを願いたいと思います。
西日本及び
畿南水害に対する
応急措置。あらかじめ申上げておきますが、この
水害対策につきましては、御承知のように
衆参両院で
水害対策の
特別委員会もございまして、私もずつと関係いたしまして今日までいろいろ対策を
練つて参つたのでございます。ここに皆様に御説明申上げます資料はすべてこれは
水害委員会に御報告を申上げ御了承を得たものでございますので、あらかじめ御承知置き願います。それでは
西日本及び
畿南水害に対する
応急措置といたしまして、先ず
罹災児童等に対する
教科書学用品対策、これにつきましては、
教科書、
学用品を流し、
学校を
失つた学童たちの
学業継続に対する不安は何ものにもまして大きいので、これらの者に対しまして早急に
教科書、
学用品を確保して速かに学業を再開させたいというのでそれぞれ
措置をとつたわけでございます。まず第一に
小中学校の生徒の
教科書につきましては
無償支給の
措置を講ずることにいたしまして、従来これは
災害救助法によりまして
小中学校生徒一人当り二百七十五円しか僅か計上されておりませんでしたが、今回この
基準額を
引上げまして、
小学校児童一人当り五百円、
中学校生徒一人当り千百円、これはいずれも全壊、流失の場合でございますが、さように
引上げたのでございます。以上は
学用品でございますが、
教科書はどれだけ然らば配布いたしたかと申しますと、その下にございますように二十八万一千九百二十六冊、これを全部送つてございます。ほぼこれによ
つて応急の
措置はとられたものと考えられます。
概略学用品、
教科書につきましてはそのような
措置をとりまして急場を凌いだのでございます。次に
学校給食に対しましては、これは
水害発生直後係官を現地に派遣いたしまして
被害の実情を調査させると共に、
被害各
県教育委員会の
給食主管課長会議を現地で開きまして、
学校給食の中絶を防止してその継続を図るために、とりあえず非
災地区の在庫の
脱脂ミルク三十六トンを放出いたしまして、又この
学校給食物資が流失したり或いは埋没して損害を被りましたので、これに対しましては
特別立法ができましてその
損失額を補償する
措置をとりました。更にこれは
国際連合の
国際児童緊急基金、つまり
ユニセフに要請いたしまして、
罹災地域の
罹災児童、これは
小中学校入れまして約四十万人分の
脱脂ミルクの
無償配付を願いまして、これは幸いに国連の
ユニセフ当局の認めるところとなりまして、
話合いがつきまして、目下
文部省所管の
ミルクを立換えまして現に
無償配付をいたしております。
話合いつきました数量は
脱脂ミルク二千四百三十四トンの寄贈でございます。これは週六回、九月から翌年の七月までの見込をもつて実施する予定でございます。なおこれに関連いたしましてその後十三
号台風が発生いたしましたので、この十三
号台風の
被害地域に対しましても
ユニセフの
無償ミルクの配付を再び
ユニセフの当局に要請いたしまして、現地の係官は大体了承を得まして、
目下ニューヨークの本部に対しましてその交渉をしておるところでございます。これも今日までの
話合いの模様では恐らく
追加分が可能ではないか、かように考えております。その数量は約八百トンでございます。
ミルクに対しましては以上のような
措置をとりました。
それから
罹災学生、生徒に対する
援護措置でございますが、
罹災家庭出身の学生、生徒の
経済的負担を軽減し、その生活を擁護し、学業の継続を図りますために
生活援護資金の貸与が必要となりましたので、これらに対しまして
予算折衝をいたしましたところ、当初は
文部省の
外郭団体でございます
学徒援護会からこの
措置をするはずでございましたが、その後計画が変りまして、
日本育英会からこの
措置をとるようになりまして、これは金額は僅かでございますが、
育英会の資金を合せままして約千四、五百万をもちまして
罹災学生の援助を開始することに見込がつきました。それから
授業料の減免でございますが、これにつきましては現
在学校長の裁量によりまして
授業料収入の五%までは
授業料の減免が可能でございますが、今回非常な
水害によりまして相当困難な学生も発生いたしておりますので、この五%をオーバーして
授業料の減免をいたしてもらうようにこれも
措置を済んでおります。
それから
罹災教職員に対しましては、御案内の
教職員の
共済組合がございまして、それによ
つて見舞金を出し或いは臨時の
貸付金を出す
措置を講じまして手続は全部完了いたしております。
それから
学校の建物につきましては、
公立学校施設費国庫負担法の
一般法もございますが、今回の異常な
水害に対しまして特に
特別立法をいたしまして、
一般法におきましては、
学校の
施設の
復旧につきましては、通常三分の二の
補助でございますが、今回はこれを四分の三に
引上げまして、そういう
特別措置法を作りまして、
目下政令その他につきまして交渉中でございます。
それから同時に、
社会教育施設につきましても、
一般法では全然
補助規程はございませんが、今回
特別立法におきまして、
社会教育施設につきましては三分の二の
補助をいたすことになつております。
学校の
施設、
社会教育施設につきましては以上の
特別措置がとられたのでございますが、更に
私立学校の
施設の
復旧につきましては、これも
特別立法をいたしまして、これは国から二分の一の
補助をいたしまして、その残りの
事業費につきましては、更に御承知の
私学振興会から二分の一の
貸付金をするという
特別措置によりましてこれも
復旧を速かにいたすつもりでございます。
以上大体御説明申上げましたのが今回
文部省でとりました
西日本並びに畿南の
水害復旧に対する
措置でございます。
それから台風十三
号被害地域に対しましては、これは御承知と思いまするが、
衆参両院の
水害委員会におきましても、
西日本と同様な
措置をするというふうに決定されておりますので、恐らくはこの
特別措置法を改正の上、この台風十三
号被害地域にこれを適用することになろうかと考えます。我々といたしましてもそのつもりで
予算の
積算等におきましては、高率の
補助の下に積算をいたしております。これらにつきましては今後
水害委員会におきまして、恐らくはつきりした方向が決定されるものと考えております。
それから最後に
予算要求事項といたしまして、全部で三十三億八千二百四十三万二千円を
予算要求いたしております。そのほかに
歳入減が九百二十万五千円でございます。これについて御説明申上げますと、第一に
罹災学生生徒補助に要する経費といたしまして挙げてございまするが、そのうちabcdefghまでございますが、先ずaにつきましては、
罹災学生生活援護に必要な経費一億四千八百五万八千円でございますが、これにつきましては、大体第一次補正によりまして約四百万が認められました。金額は極く僅かでございますが、これは
育英会の手持ちの資金が約千万円ございますので、それと併せまして、約千四、五百万の経費をもちまして
学徒援護の
貸付金といたしたい、かように考えております。
それから
旅客運賃の後払
措置でございますが、これは
罹災学生が
緊急郷里に帰らなければならん、それには
汽車賃を只にしてやりたいという
水害委員会の要望によりまして、さように考えましてこれは要求いたしたのでございまますが、その後時間が大分経ちまして、ちよつとこの件については実現が困難になつだのでございます。この点につきましては私どもといたしまして、運輸省とも折角交渉したのでございますが、なかなかこれは
話合いがうまく行きませんので、又そのうち時間が経過いたしまして、この点につきましては今日まで
話合いができておりません。
それからcの
罹災国立大学生授業料減免に必要な経費でございますが、これが
歳入減になるわけでございます。一応九百二十万五千円見込んでおりますが、これにつきましても目下調査いたしておりますので、果して九百余万上りますか或いはこれ以上に上りますか、まだその点確定いたしておりませんが、ともかくこの
授業料減免の
措置をやることにつきましては、
大蔵当局との了解を付けております。
それから
罹災高等学校生徒の
教科書支給でございますが、この点につきましては、これはその下の
被害学校学習指導要領等配布に必要な点につきましては、
大蔵省との
話合いがうまく行きませんので、
義務制学校を主とする関係上、金額は僅かでございますが、
大蔵省当局の了承を得るところに至りませんのでございます。
それからfの、
水害による
学校給食用小麦粉等の
損失補償に要する経費でございますが、これは
ミルクに併せまして
小麦粉によるパンを給食するわけでございますが、この点につきましても、
小麦粉は現在二分の一の
補助をいたしておりますが、どうしても二分の一程度以上にはこれを拡張するわけにはいかんということになりまして、これも
全額補償という精神でございますが、甚だこの点につきましては了解を得るわけには参りませんでした。それから
ユニセフ寄贈の
ミルクによる……失礼いたしました、訂正いたします。前の
水害による
学校給食用小麦粉等の
損失補償に要する経費でございますが、これは
水害地にあります
学校が保管しておりまする
ミルク或いは
小麦粉などが
水害によつていたんだ、或いは流失したものでございますが、この点につきましては、
予備費を以て査定する
話合いがついております。
予備費の査定はまだ済んでおりませんが、
予備費を以てこれは金額を見ることになつております。
それからその次に
ユニセフ寄贈ミルクによる
完全給食実施に伴う
小麦粉に要する経費でございますが、これを私先ほど間違えて申上げましたが、
ミルクと共に支給するパンを
全額国がみるという案でございますが、二分の一程度で、それ以上は
話合いがつきません。
それから最後の
ユニセフの
水害地寄贈ミルクに必要な経費、これは
ユニセフの
ミルクがこちらに送られて参りまして、現地まで
汽車輸送並びに倉庫に保管までの経費でございますが、この点につきましては、
予備費を以てみることになつております。
それから
文教施設災害復旧に必要な経費でございますが、そのうち
国立学校施設復旧に必要な経費は、これは九千九百万でございます。そのほかに
国立学校の
設備といたしまして、
予備費を以ちまして六千二百万というものが認められてございます。それから
公立文教施設復旧に必要な経費は、これは十二億九千万、約十三億でございます。それから
私立学校施設復旧に必要な経費は約四千百万でございます。
それから最後に
文化財関係復旧に必要な経費は、これは約千九百万でございます。
以上、只今まで第一次
補正予算できまりました金額を申上げましたが、なお先ほど申上げましたように、このほかに
学校給食関係は
予備費でみるということになつておりますので、その
予備金がきまりますれば総額が確定いたすわけでございますが、
予備費につきましては目下
大蔵省といろいろ交渉中でございます。これは間もなくきまることと考えております。
以上申上げましたのは
西日本の
水害関係でございます。このほかに十三
号台風の分がございます。この点につきましてはまだ
現地査定も済んでおりませんので、全く見込みの計数になりますが、一応枠といたしまして決定されておりますので、その枠の
配分数字を申上げますると、十三
号台風につきましては
公立学校施設復旧につきまして約六億、それから
国立学校施設の
復旧につきましては約五千万、それから
社会教育施設の
復旧につきましては約三千万、それから
私立学校の
施設の
復旧につきましては約千五百万、それから
文化財関係の
復旧につきましては約二千五百万、それから
国立学校の
設備関係といたしまして二千万、合計いたしまして七億五千万というものが一応枠の配分として決定いたしております。何分これは早々の間にいたしましたもので、まだ
現地査定も十分済んでおりませんので
相当出入りがあろうかと思いますが、それらの点につきましては足らん分につきましては
予備費を以てみるというような
話合いになつております。
以上
水害関係につきまして
予算を御説明申上げました。繰返して申上げますると
水害関係の
予算は
西日本関係といたしまして約十六億、それから十三
号台風関係といたしまして約七億五千万というのが大体の数字でございます。
なお詳細につきましては確定いたしましてからお手許に資料を御配付申上げたいと
思つております。
それから
特別措置法を先ほど申上げたのでございますが、その
特別措置法関係の
政令を概略申上げたいと思います。これはお手許に差上げました資料を
御覧願いたいと思いますが、その先ず
特別措置法といたしましては三本ございます。一本は
公立学校の
災害復旧に関する
特別措置法でございます。これに対する
政令はお手許に差上げてございます昭和二十八年六月及び七月の大
水害による
公立教育施設の
災害復旧事業についての国の
費用負担及び
補助に関する
特別措置法施行令、この
政令につきましてはまだ最終的な決定をみておりませんが、問題は第一条の
災害地域の問題でございます。この点につきましては
衆参両院の
水害委員会で御決議下さいました
地域の指定の
基準がございます。
災害復旧費がその県の
標準税収入を超過する場合にはその県を指定するというのが第一。
第二は、同じく
災害復旧費が
当該市町村の
標準税収入を超過する場合にはその
市町村を指定するというのが第二でございますが、そういつた
基準が決定されておりますので、その
基準に倣いましてこの第一条に
地域を書くのでございますが、或いはここに県の名前を書きまするか、或いは
基準を書きまするか、その点につきましてはまだ
話合いがついておりませんが、これは日ならずして決定されるものと考えております。私どもといたしましては
大蔵省のほうと折角交渉中でございます。
それから
政令で問題になりますのは、その次に一番おしまいについております別表でございます。別表第一第二、第三、第四とございますが、これは
設備の
基準でございます。この
設備の
基準は
政令を以て定めるということになつておりますので、その
設備の
基準でございますが、幼稚園の場合には児童一人当りの
基準額は四千円、
小学校の場合は五千五百円、
中学校の場合は七千五百円というふうに
児童数を掛けましたものを
設備の
基準として金額を出すわけでございますが、この点につきましては
少数学級の場合にはこれの
補正増をしなければならん。それから学級の多い場合には
補正減をするということは当然考えなければなりませんので、それは別表第二によりまして、例えば
小学校の五十人以下の場合には、五十人に一・九五を掛けて
補正増をするというようなわけで、この別表第二は補正の計数でございます。
それから別表第三は、建物の破損の程度の区分によりまして
設備費の
基準額に要すべき割合を出しております。例えば建物が流失した場合には
設備費の
基準額に十分の十を掛けて全部見る、それから例えば各階について、床上二メートル以上浸水した場合には
設備費の
基準額に乗ずるのは十分の八だというように、これは
逓減率でございますが、これを別表第三に規定してございます。
それから別表第四は
社会教育施設の建物一坪当りの
基準額でございます。公民館は三千五百円、図書館で都道府県が設置するものは二万五千円というふうに
社会教育施設の一坪当りの
基準額でございます。この
設備の金額につきましてもほぼ
大蔵省と
話合いが済んでおりますが、まだ
最終決定という段階には参つておりません。これも間もなくきまることと考えております。
公立学校施設の
災害の
復旧事業に関する国の負担及び
補助に関する
政令につきましては、以上の
地域の指定の問題と
設備費の
基準がまだ懸案でございます。
それから次に昭和二十八年六月及び七月の大
水害による
私立学校施設の
災害の
復旧に関する
政令案を
御覧願いたいと思います。この
私立学校につきましては
公立学校と全く同じ
基準をもつておりますので、従いまして
政令案につきましても
災害の
地域の問題が第一条にございますが、これは
公立学校の場合と同様に、やはり問題は
災害地域の指定の問題と、それからやはり
設備の
基準の問題でございます。この二点がまだ懸案になつております。
それから最後に
学校給食用の
小麦粉等の
損失補償に関する
特別措置法によりまする
政令でございますが、昭和二十八年六月及び七月の大
水害により
被害を受けた
学校給食用の
小麦粉等の
損失補償に関する
特別措置法施行令でございます。これにつきましてはやはり第一条の
災害地域の指定の問題がござ、います。原案といたしましては九州の五県と
和歌山県、山口県を指定いたしたいと、こういう希望でございますが、この
地域の指定につきましてはまだ
大蔵省と
話合いが済んでおりません。要するに我々は県を以て指定することが最も都合がよろしいのでございますが、これに対しまして
市町村を単位として指定するという意見がございまして、その点がまだ
十分話合いが済んでおらないわけでございます。
以上三つの法律に伴います三つの
政令案につきましてその問題となつております点を概略申上げたのでございます。この
政令につきましても、そうそう長く放置を許されませんので、恐らく今週中にはこれを規定いたしたい、かように考えております。
以上大体
水害関係につきまして申上げましたが、まだ十三
号台風につきましてもいろいろ懸案の問題がございますので、それぞれ
実地査定をいたしたり或いは資料を集めたりいたしまして、いろいろ準備をいたしておりますが、最終的に全部成るべく早い機会に決定いたしたいと考えております。甚だ簡単でございますが、概略御説明申上げました。