○
説明員(
久宗高君) 本日は
経済局長が伺いましてその後の
審議の
経過につきまして御
説明する
予定であ
つたのでありますが、
会合がずれまして、ちよつと遅れて参りますので、
担当課長のほうからその後の
作業の
経過につきまして一応御
説明申上げたいと思います。
この前の
会合の際に、
農林省といたしまして
保険制度の各項目に亘りましていろいろ各方面で御議論のありました点を一応整理いたしまして、
現状とその
個々の対策についての可否を整理したものを御
説明申上げたわけでございます。その
あとの
お話合の際に、
分析だけではなしに、何か結論的なものについて話せという
お話があ
つたわけでございます。私
どもこの
検討を進めて参りました
過程におきまして、なおまだ決定的な案と申しますか、
考え方を割切れないでいるわけでございます。非常に問題がむずかしいことと、他の
保険制度だけではないほかの
条件も絡み合いますので、実はまだここで
幾つかの案にまとめまして御
批判を頂くようなところまで
作業が進まなか
つたわけでございます。そこで、この前の
作業を御
説明いたしました際に、その前提といたしまして、
農業災害の
特殊性なり、
農家経済との
関連につきまして詳細に
局長から申上げましたのと同時に、本
制度が
昭和二十二年以来辿
つて参りました
過程につきまして、現在根本本問題が出ておりますことと
関連いたしまして、いろいろ
事務上の改正に整わなか
つた点でございますとか、
法律の趣旨がそのまま実行できなか
つた事情を申上げたのでございます。その後
委員会におきまして、二、三の
委員のかたから御
意見の開陳があ
つたわけでございます。ただ率直に申しまして、私
ども作業いたしますにつきまして、もう少し広
範囲に各
委員かお
考えの点をお漏らし願いまして、それも織込みながら
検討して参りたいと実は
考えてお
つたわけでございますが、その機会を得ないままに今日に至
つたわけでございます。そこで、本日は先ほど申上げましたように、この前の
分析に基きまして、それの
幾つかの案にまとめたものを決定的に提示することはできないのでございますが、ただその間私
どもが
事務的に問題を整理しました
過程で
幾つかの新らしい問題が出ておりますので、それを御
説明申しまして、そういう
考え方について又御
批判を得たい、それによりまして更に
検討を進めて参りたいと思うわけでございます。
担当者といたしまして率直に申上げますと、できますならば
現行制度の全般的な御
説明を体系的にいたしたいと思うのでございますが、実は本
委員会でも取上げられております問題はそういうことではなくて、
現行制度がその
通りに実行されていない、結論として
農家が必ずしも満足していないし、そのような事態をこのまま放置しておくことはできない、従
つて根本的に
検討する必要があるという
お話だと思います。そこで、私
どももそういう御
意見を拝聴いたしまして、私
どもがいたしました
分析をもう一回詳細に読み直して、又その後
公述人のかたから
お話のありました点その他も
検討いたしまして、二、三気の付いた問題があるわけでございます。又その方向によ
つて今実は
作業を進めておりますので、そういう点を更に附加えて御
説明して御
批判を頂きたいと思います。この前私
どもが御
説明いたしましたものは、
制度全体の問題の組立てができませんでしたので、その
個々につきまして、例えば引受についてはどう、
損害評価についてはどうということで
分析した
お話をしたのでありますが、
あとでよく
考えてみますと、非常に大事な点が抜けてお
つたように思うわけでございます。又その点を直ちに
委員のほうから御
指摘のあ
つたように思うのでございます。その主な点を拾
つて考えますと、この
制度自体が
強制的な
方法で行われている、そこに非常に大きな問題があるという点、これはいろんな
意味を含んでおると思うのでありますが、そういう点と、又別の面から非常に複雑過ぎてよくない、もつと
簡素化した単純な形において、
農民がわかるような形でやる必要があるという点。それから第三の点といたしましては、そういうもの或いは複合した結果かも知れないのでありますが、それを運用しております機構につきまして、
団体なり或いは
行政官庁の
監督なりにつきまして非常に欠けるところがある。そういう三点に問題が絞られるように思うわけでございます。
そこで、そういう点から振返
つてみますと、第一に気が付きました点は、この
制度が他の
補助金と違いまして、
個々の
農民が
権利として
災害の
補償を受けられる、つまり
個々の
農民に直結しておるというのがこの
制度の一番強みであり、又いいところであるはずでありますが、突込んで
現状を
分析してみますと、そこが欠けておる、ここに一番問題があるように思うわけでございます。そこでその点を更に突き進めて
考えたわけでございますが、この前
現行制度の
個々の問題について
お話しましたときに、或いは一部触れたのでありますが、ぎりぎりにつめてみまして、どういうところから
農家の
不満が出て来るかという点を絞
つてみますと、結局
現行制度が
法律上
考えておりますことを事実その
通りや
つておらなか
つたというところに非常に大きな問題があると思うのであります。具体的に申しますと、第一に、
共済金額の問題でございます。この前
現行制度について若干申上げた際に、
共済金額、つまり
自分が
災害を受けました際にどれだけもらえるのか、その点につきましては、現在のところは
村単位にとどま
つておるわけでございます。或る村がございますと、その村全体が、例えば二石以上の収量のある村と限定いたしまして、その村におきましては、その中のどういうかたも皆一律に
共済金額はきま
つて来るわけでございます。
あとは経営の規模の大きさによるところの違いがそこに出て来るわけであります。
従つて個々の
農民のかたの要求とか、そうい
つたものが
村単位にくくられてしま
つておるというわけでございます。そこで実際問題としては一
個々の
農民と直接的な繋りが村の
段階で切れておるわけであります。これは
掛金の率につきましても同様でございまして、
村単位までの
危険率の算定によりまして、その村の
掛金率もきま
つておりますが、
個々のかたの
掛金というところまでは個別化できていない、ここに問題があるように思うのでございます。これはこの
制度におきましては、
法律を御覧にな
つて頂きますとわかりますように、本来の立て方は最高と最低をきめておりまして、その中で
個々の
農家のかたが自由に
選択できるのが
法律の本来の建前にな
つておるわけでございますが、実際問題としては、そういうふうに運用しておらなか
つたわけでございます。この点
最初に
局長から申上げましたように、本
制度が
最初に
スタートいたしました際に、
昭和二十二年でございますが、夏頃からいろいろ
準備を進めておりまして、
司令部とのいろんな交渉の結果、それが長引きまして、実際に施行されましたのは
昭和二十二年十二月でございます。すでに
災害が発生してきま
つておりますものを、
あとから遡
つて適用しなければならんという
事情になりましたために、ここで
共済金額を自由に選ばすということをいたしましたときには逆
選択と申しますか、被害がきま
つてから、それから選ぶということになりますので、そういう問題が
一つ。もう
一つは、これもこの前申上げましたように、非常に厖大な
制度でございますにもかかわらず、
末端の
組合の
事務組織というような点について十分な人が得られませんで、
末端の
組合についてはただ一名の
職員だけが置かれるとい
つたような
事情下で
スタートを切
つたわけでございます。従いましまして、やむを得ず、いわば平均的にその
程度の
事務でこなせるということと、今の逆
選択を一応防止して遜
つて適用して行くとい
つたようなことで、いわば
個々の
農家のかたが具体的な
自分の
危険率なり、経営
能力なり、
負担能力というものでお
考えになるのではなくて、平均的にその村の
共済金額は
幾ら、村の
掛金は
幾らというような形で、村の
段階ではしよ
つて、いわば平均的なところで押えて一応その
事務に乗せて
行つたということをや
つてしまつたのであります。これは今から
考えてみますと、この
制度の
スタートとしては非常にまずい
スタートでございまして、突つ込んで申しますならば、一年休んでも十分な
態勢を整えて、本来あるべき形を打出すべきであ
つたと思うのでありますが、この点が欠けましたので、その後も必ずしも
事務態勢が整わないままにこの
共済金額を
個々に選ばせるという
方法がとれずに参りました点、つい最近になりまして、
昭和二十八年度におきまして、やつと村の
危険率に応じまして或る
程度の
選択制をそこに加えたというような
方法をと
つたわけでございます。そこで今申しましたような、一番大事な
個々の
農家の具体的な要求なり、危険度合なり、
負担能力とい
つたものがそこで村の
段階で切れてしま
つて、実質的に
個々の
農民との繋りが付いていないというところに、この
制度が本来民主的な運用ということを言いながら、実際問題としては全部上からきま
つて来るという形で下へ下へと下りて参りまして、結局村の
段階でとま
つてしまう、
個々の
農家のかたが結局
自分が
幾ら掛けて
幾らもらえるのかとい
つたような点についてお
考えになる
余地のない形で運用され、而も結果におきましては、
掛金その他につきましても、なかなかそういうことで御納得が得られないために十分なる徴収ができない、
従つて保険期が参ります場合に
相殺というような形で運用せざるを得なくなる、この点はこの前三重の
課長から一部の
実情を申上げましたような点で、相当広
範囲に
相殺とい
つたような形をとられざるを得ない形で運用されて参
つたわけでございます。従いまして実際本
制度の一番大事な点が或る
意味では従来までの
過程におきましては現われていない、そこに
個々の
農家のかたがこの
制度について何と申しますか、直接に
関連して密接な
利害関係というものをお
感じにならなという問題が出て参
つたと思うのであります。そこでそういうようなことから、結局
個々の
農家のかたが
組合とそういう
意味で実質的な繋りが切れてしまう、
従つて制度全体との
結び付きも形の上では付いておりますが、本当の
意味の実質的な繋りが付いておらなか
つたように思うわけでございます。この点が更に
組合と離れます結果、
組合の
運営その他につきましても
事業をいたします
団体が
農民から浮き上るような
要素がそこに出て参
つたと思いますし、そういうことがたび重なるにつれて全体の
業務の
運営も正常でない
行き方をと
つて来る、又そこにいろいろな、問題になりましたような不正の問題も起り得る
余地ができて参
つたというように
考えられるわけでございます。この
段階で
考えますと、私
どもといたしましては、やはり
個々の
農家のかたが
不満を持
つておられるという点を、単に
掛金の率とか、そういうことだけではなくして、一番具体的に
農家のかたが最終的に
幾ら掛けて
幾らもらえるのだということが
はつきりわかるような形で運用されることにいたしますと、この
制度の
行き方というものは非常に変
つて来る
可能性があるという点に、今申しました
強制の中におきまして
任意の
要素を強く織込むベき問題があるだろう、そこから問題が初めて具体的に出て来るというふうに
考えておるわけでございます。つまり
組合が
強制加入させておるということ
自体が相当問題なんでございますが、全体の大きな金の
見通しを立てる設計の必要がございますので、一応
組合に入る形におきましては、
強制ということがとられましても、実際に
組合員のかたの
個々の
利害関係が自由に
組合員の意思に従
つて運用できるような
内容を盛込むことが必要なんじやないか、つまり加入の形よりも、むしろ加入された場合の
農家のかたの実際的な
利害関係が
個々の
農家のかたの必要に応じてきめられるような
運営、こういうことを
はつきりとるべきであろうというふうに思うわけでございます。この点が欠けておりましたので、よく御
批判が出ますように、例えば
組合で総会をいたしましても殆んど問題が出ない、私
どもも二、三立会
つてみたわけでございますが、上からきま
つて来ることだからということで簡単に済んでしまう、結局その場合に
個々の
農家のかたが
自分の必要に
従つた選択ができない、形は
自主的にな
つておりますが、そこで何か
自主的に決定をするような
意味が実質上ないような形で運用されてお
つたところに、本
制度が
農民から浮き上る、その結果
農家の
不満が出て来るというふうに
考えられるわけでございます。それと
関連いたしましてもう
一つの
お話は、非常に複雑であ
つてわかりにくい、これをもつと徹底的に
簡素化すべきであるという
お話が出たわけであります。この点もそういう
角度から
検討してみますと、やはり一応のこういうような
災害をとらえまして、或る
計画で金を動かさなければならんのでございますから、必ずしも
保険方式にとらわれるわけではございませんが、やはり相当複雑なものにならざるを得ないと思うのであります。そこで他の
行政といろいろ比較してみたわけでございます。例えば
金融なら
金融というものをとりました場合に、現在の複雑な
金融組織から申しますと、勿論
保険ほどの複雑でないといたしましても、
個々の
農家のかたの
金融なり、上から下までの機構なり、
運営を詳細に御
説明いたしました場合に、やはり非常にわかりにくいという問題はあると思うのであります。ただ比較的そこで問題が起りませんのは、最終的な形が
個々の
農家のかたに結び付いており、
自分が
幾ら出して
幾らの
利子負担をしているかということが
個々の
農家のかたの
能力なり、必要に従
つてきめられるという形をと
つておりますので、そういう
意味で機構なり、
仕組なりが複雑でありましても、
最後の
農民との
結び付きのところが極めて簡単に、みずからの
権利義務の
関係が明らかにな
つておるからというふうに思われるわけであります。そういう点から申しますと、先ほど申しましたこの
保険におきましては、
末端の最終的な
個人との
結び付きのところが非常にぼやけておりまして、
村段階でいろいろなことがきま
つてしまいます結果、討議をしてもその
通り実行できないということで
組合に
余り興味を持たない、そこに
不満だけが出て来るというふうに
考えられるわけであります。そういう
意味から申しまして、
国庫負担、
農家負担を
計画的にきめます場合に、現在のいろいろの
保険そのものが複雑でございますが、若しあれを、最終的な
農家との
結び付きのところを明確に、
個々の
農家のかたが
自分は
補償を受けたいが、この
程度受けたい、掛けるのはこの
程度にしたいということを自由に選べるような形をとりますれば、
保険そのものの
複雑性は相当ありましても、今のような形で複雑さということが
業務全体の
運営の支障にはならないのじやないだろうか。結局要するに最終的な
個人との、
個々の
農家との
結び付きのところを
村単位ではしよ
つてしま
つている、ここに非常に問題があるのじやないかというふうに
考えたわけであります。そういう
意味から申しまして、
現行制度にとらわれるわけではありませんが、いわば率直に申しますと、
現行制度そのものが実行できていない、その実行できていない結果をただ繰返しますと、今日のような問題が起
つて来ると思いますので、この一番大事な
制度の一点を貫きまして、
保険の設定につきまして、今のような
個々の
農家のかたが
選択するということになりますと、
事務的には却
つて厄介な問題が起ります。この一点をはずすと、この
制度の本来の
意味がなくな
つてしまう、つまり
災害が起りました場合に、一定の
計画に基いて
個々の
農家のかたに直接に金が行くとかいう一番大事な点を貫くのが大事でございます。その点を貫くことによ
つて、他の問題もおのずから解消して来る
可能性があるのじやないか、そういうふうに
考えまして、現在一番その問題を徹底的に突こうと
考えておるわけであります。
なお第三の問題といたしましては、この前三重の
課長からつぶさに
実情を申上げましたように、実際の
末端の
事務がこなせておらないのです。これはいろいろな
事情もあると思うのでありますが、この
制度を打出しました場合に、
制度の骨格のほうに非常に
重点が置かれまして、
現実に
末端で
農家に接しますところの一番
最後のぎりぎりのところの
職員の
能力を、
運営の
能力というたところを十分
検討しておらなか
つたわけであります。そういうところへ持
つて来まして、今申しましたような
共済金額、その他の
選択の問題とか、大事な点をはし
つておりまして結果、
個々の
農家との
結び付きが付かない、結局
掛金も集まらないとい
つたような形で、
最後の二名の
職員のところに全部の矛盾が集中いたしまして、そこで問題が
空廻りをしてお
つたというふうに
考えられるわけであります。こういうような点も
行政の実際といたしましては非常に問題でございまして、私
ども常々この点につきましては何とかしたいと
考えながら、結局上からはこの
制度の規定に従いまして、こうやれ、ああやれということを流しながら、
末端では実行が恐らくできないだろうという
感じを持ちながら
運営して参
つたわけでございまして、まさにその
通り事務は下で停滞してしまいまして、
末端の
組合のところでとま
つてしま
つているというのが
実情でございます。こういうような点も、このまま繰返しておりましたのでは悪循環になることは明確でございますので、今申しましたような点に
重点を置きまして、
現実に下でこなし得る
事務、これに
内容をもつと
はつきり絞
つてみる必要があるのじやないか、結局二名の
職員が何もかもやるということが誠にこれはできにくい問題でございますので、これはやはり
団体の系統的な体系から申しまして、
末端の
組合で必ずしもやらなければならない
事務が全部であるとは言えないのでございますから、
末端でこなせる
事務と、もつと
上級団体で統一的に処理すべきような問題、こうい
つたような
事務的な観点におきましては、多々整理すべき問題があると
考えますので、そういう面を追及してみたいと
考えておるわけでございます。
最後にそうい
つた問題全体を
運営しております
団体の問題でございますが、今申しましたように、本来
自主的な
組織だということと、
団体の
自主性とい
つたようなことを必ずしも明確に
仕分けをいたしませんで
運営して来たように思うわけでございます。その結果、この前にも申上げましたように、本来
共済なり、
保険なりの
事業主体としての
団体の
性格という点と、
農民のほうの利益の代表という点が混同いたしまして、それが
損害評価の面或いは
事業運営の面で非常にあいまいなものを残して来たと思うのであります。そういう点から申しまして、やはりこの
事業の
性格から見まして、本来
農民が
自主的に
災害に対応する
仕組であるといたしましても、その
団体の
共済責任者或いは
保険責任者としての
団体の
性格ということを
考えますと、これにもつと明確なる法的な
性格を
はつきり
行政的にもとる必要があるだろう、そのことは決して
農民の
自主性或いは
団体の
自主という問題と本質的に相反するものではないというふうに
考えるわけでございます。この点の
仕分けが
制度の上においても
はつきり付いておりませんのでありまして、我々が
行政上
指導監督いたします点におきましても、この点があいまいであ
つたと思いますし、又
従つて団体の
関係者におきましても、この点が非常に明確を欠いてお
つたというふうに思うのであります。そうい
つた点から、
事業運営上のいろいろな
難点が出て来たように思いますので、今申しました
農民の
自主性という点につきましては、
団体の単なる
自主性ということではなくて、やはりこの
制度の一番大事などのような
補償を受けるか、そのためにどのくらいの
掛金をかけてこれはやるのかという点を、
個々の
農家のかたが或る幅の中で自由に選べるという点を、その一番大事な点を貫くことが、本
制度の
自主性というものを、いわば本質的に貫く形でもありましようし、そういうことによ
つて個々の
農家の具体的な関心がこの
制度に盛上げられました場合に、
団体の
運営につきましても、おのずからその
自主性と、又その
責任の
範囲ということもきま
つて来るだろう、こういうふうに
考えたわけでございます。
以上
お話しました点は、この前ここで御
指摘を受けました点をもう一度
現行制度の
実情に鑑みまして
検討いたしました結果でございまして、要約して申しますと、いろいろな
事務上の
準備の不足なり、或いは
条件の揃わなか
つた欠陥もございますが、一番本
制度として貫くべき
個々の
農家との
結び付きという点をいわば平均的な
数字或いは村の
段階ということで絞
つてしまつた、ここに問題があ
つたわけでございますので、ここまでや
つて参りますと、もう一度相当大胆に、この一番本
制度で狙
つております
個々の
農家のかたの
自主的な参加ということを、それができますように運用してみたいということなんでございます。それとの
関連におきまして、
事業をどの
程度簡素化し得るか、又
強制の中にいわゆる
任意という問題をどの
程度自主的に織込み得るか、又それとの
関連におきまして、
事務の
簡素化、又
団体の
性格というものを明らかにして参りまして、その総括といたしまして
行政官庁の
指導監督のあり方というものを徹底的に
考え直してみたいというふうに思うわけでございます。非常に
現行制度にとらわれた
考え方でございますかも知れませんが、
実務者といたしまして、いろろ
検討いたして参りますと、確かに今申しましたような点が非常に大きく欠けております。この点一度この問題を根本的にお
考えになる
委員会におきまして、
実情をもう一度詳しく申上げたいと思いまして特に申上げた点でございます。ただ、今申しましたのは、そういうことで
現行制度のいわば一番基本的な
難点というものを、この前の
説明ではやや省略しておりましたので、くどいようでございますが、申上げたわけでございます。
更にこれに
関連いたしまして、別の
意味から
検討しております問題が
一つでございます。それは、
一つは
損害評価の問題でござまして、いろいろ申しましても、この
損害評価の客観的な
見通しということが別の
意味で非常な重要な問題となるわけでございます。その
行き方としまして、現在のようなやり方で、一筆の
損害評価というものを或るほかの客観的な
数字で査定して行くということが現在とられておるわけでございますが、これに若し現在
行政的な限界があるといたしますと、別の
角度から
個々の
農家との
関係は一応そこで切りまして、例えば
行政的に可能な
市町村単位の
一つの
減収率というものを見極める、これは客観的な
数字で出得るといたしましても、それに対しまして、国が或る
補償をして行きまして、それと
個々の
農家との
結び付きを、それに繋がる
任意の
組織の
共済によりまして補
つて行こうという
考え方であります。こういう
考え方をとりますと、
損害の絶対額を
行政的に
責任の負える
範囲で食いとめ得るという問題はあるのでありますが、いろいろ
検討してみますと、これはなかなか、例えば
村単位に一割の
減収、二割の
減収と申しましても、その
個々の
農家のかたとの
結び付きが必ずしも一定しておりません。そういうことから、どうもまだ十分それで踏み切れるかどうかの問題が残
つておるわけであります。今
数字的にその点を
検討しておりますが、
村単位の客観的な
数字と
個々のかたの被害というものを結び付けるところに非常に技術的な
難点があるように
考えらそるのであります。ただ、これと
関連いたしまして、多数の
委員のかたが或いは誤解を生じておられるのではないかという点をちよつと申上げておきますと、これは私
どものほうの言葉が不十分でございまして、例えば通常の被害とか、異常の被害とか、超異常の被害ということを申し上げておるわけでございます。どうも
委員のかたのいろいろな御発言を見ました場合に、それが
個々の、例えば私が田を耕しておるといたしますと、九割、十割の被害を受けたと、こういうものは勿論私自身にと
つては超異常の
災害でございまして、非常に甚大な
災害を受けたわけでございますが、現在の私のほうの
保険制度でや
つております超異常或いは異常と申しますのは、そういう
個々のかたのものが集計されまして、例えば県単位に見て或る
予定した
数字をオーバーする、従
つてこれは異常である、超異常であるというふうにな
つておるわけでございます。従いまして具体的な例を申上げますと、或る県で或る一部のかたが非常な
災害を受けた。そこは十割被害を受けられたという場合でも、県単位に出て参ります
数字は通常であるということもあるわけでありまして、そういう
意味で通常、異常、超異常ということを、むしろ
保険者の立場から見まして計算をしておるわけであります。そういう
行き方がいいかどうかという問題が、今申しました
市町村単位に
数字を見るとい
つたようなこととも
関連すると思うのであります。そういうことではなくて、やはり
個々の
災害の
内容によりまして、非常に
個々の
農家にと
つてひどい
災害については国が見る、或いは中間的なものについては別途な措置をとりまして、通常の
災害は成るべく
自分たちで片付ける、こういうふうな若し
考え方をいたしますというと、今の体系は全部変るわけでございます、つまり今のは主として
保険者というような立場から集計したものについて、異常、超異常、通常というふうに分けまして、それについての
農家負担、
国庫負担というようなことを
考えておりますが、そういうことではなくて、
個々の
農家について、これは非常に大きな
災害で、その
農家が
自分では絶対に見られないものについて国が直接見るというふうな立て方にいたしますれば、この
災害の
内容によりましては、これは国が見る、これは県が見る、これは
農家が
自分でやるというような、こういうような立て方になるわけでございますし、そういうような
考え方もありまして、そういう立て方に直すということも研究はいたしておりますが、併しこれは
損害評価を非常にもつと詳細な分類をいたしませんと、そういう負担のきめ方なり、払い方なりができませんので、機構はもつと非常な複雑なものにならざるを得ないのではないかというふうに思うわけでございます。
それから第三の問題といたしましては、この前ここでも
お話が出ましたし、又
公述人のほうからの
お話も出ましたが、社会保障
制度的なる
行き方をとるべきではないか、つまりもつと
農家所得とい
つたような
考え方をと
つて、
個々の農作物の面から見ないような行き行で行く
方法はないか、そういう点の御
指摘がございました。特にそれは最近のように、同じ
農家と申しましても、非常に階層が分れまして、非常に富裕な
農家から全く零細な
農家に至りますので、各
段階ができております場合には、地域的にも又階層別にも、それぞれの経済
内容が違いますので、そういう点から申しますと、もつといわゆる社会保障
制度的な
考え方で
農家所得をカバーするような
行き方はとれんかという
お話でございます。これは確かに
現行制度が農作物というものの面からだけ見ておりますので、各階層の利害に必らずしも一致しないという点がございますので、非常に新らしい研究問題だと
考えるわけでございます。私
ども今まで
検討しました
段階におきましては、
農家所得というものが捕捉できませんので、この点が非常な技術上の
難点になろうと思います。そういう点で、アイデアとしては非常に面白いと思いますし、更に
検討を続けたいと思いますが、現在まで
検討しました結果から見ますと、やはり
農家所得というものの掴み方のところで行き詰るのではないだろうか、そういう点で若干技術的に相当大きな
難点があるのではないかというふうに
考えております。
以上申上げました点で、本来ならば、本日あたりには一応の案にまとめまして
幾つかの案を御
批判願うべき筋合だと思うのでありますが、非常に問題がむつかしくて、全体系にまとめ上げるところまでようやり切れませんで、中途半端な話にな
つたのでありますが、
最初に申上げました
通り、即ち
現行制度につきまして、我々もこれに勿論とらわれる気持はないのでございます。正直に申して、一番
最初のときから大き
なつまずきをいたしまして、そのために
現行制度もあるべき形というものを貫いていなか
つたという点、これは
関係者といたしましても非常に残念なところでございますし、又
制度としては、
法律上もそれができるようにな
つておりながら、いろいろ諸般の
準備が整わないためにそれができなか
つた。而もそれが非常に現在に至りまして大きなひずみにな
つておりますので、できるならば、その点を相当大胆に割切りまして、やはり
個々の
農家のかたが積極的に
個々の利害を直接反映できるような形をとることによりまして、これ
関連いたしますいろいろな
難点が相当大幅に直せるのではないか、そうして或る
意味では、いろいろ抽象的に問題になりますこの
制度が要るとか要らんとか、或いは
不満であるというような点が相当具体的に出て来るだろう、いわば今
強制的な
方法をと
つておりますのでわかりませんが、
農家の需要でございます。この
保険に対する需要の強力性というものを一回大胆に弾いてみる必要があるだろう、それが浮び上りますと、おのずから次に打つ手が
はつきり浮び出て来るのではないかというふうに
考えますので、全体の
業務の
運営の公正と申しますか、適正化という点とも
関連いたしまして、そういう点をもう一回突つ込んで
検討いたしたい。現在はそこまでのところを
考えておるわけでございます。
以上申上げましたところまでしか実はできておりませんので、そうい
つた考え方につきまして、更にいろいろ御教示を得られれば幸いだと思うわけであります。