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衆議院議員(
金子與重郎君) 非常に適切な御意見でありますので、その点を申上げますが、先ず最初のこうした特殊立法を出さなくても、現行の
土地改良法の中でできるのじやないか。それをなぜこういうものを、複雑なものを出して来るかということに対する御疑念と、又一面お叱りを受けるじやないかということは重々
考えてお
つたのでありますが、実はこの畑地の農業の改良ということは、従来の地域立法とは幾分性格を異にしておりまして、この畑地改良の法律の内容が、地域指定ということから計画を立てることにな
つておりますので、地域ということは書いてはありますけれども、実際上畑地の問題は、その地域の利益ということよりも、日本農業の
一つの革新的な方法といたしまして、従前の日本農業は水田というものと畑というものと確立しておりまして、水田は水を使うもの、畑は使わないものと
はつきり割切
つた形で今日までや
つて参
つたのでありまして、これは世界農業の中でも珍らしいのであ
つて、やはり世界的に見れば、畑地の生産力を増すということは命やはり水を人工的に使うということが非常に農業技術の上からも革新を生むのじやないか、又一番端的に増産を得る方法じやないか、こういう点が畑地の
土地改良として特に重要性を
考えたわけであります。それからその次に、この法律を出したゆえんは、今の
土地改良で、参議院でも恐らくそうだと思いますが、
土地改良という基準になりまして、
土地改良に対する助成というものは大蔵省が非常にやかましいことを言いますので、
農林省の力ではどうしてもあの補助対象の面積というものは、一応五十町歩だということで固執しておるわけであります。そこで特例を認めても二十町歩だということで、併しながら今の
農村の実情から参りまして、五十町歩以上の団地でなければ助成しないということは、これは非常に
農村に不適当なことでありまして、大蔵省の言分に基きますと、監督が不行届きになるからということでありますけれども、実際申上げますならば、小規模のもので、その区域の農家がみずから自覚して労力
奉仕までするというような形のものこそ、端的に増産ができるのであ
つて、大規模の五ヵ年計画、八ヵ年計画というものは、
土地を荒したまま、却
つて減産さえ来たしておる実情なんです。これを打開するのには、畑地灌漑のような、或いは地下水を使うとか、或いはもつと小さな用水を使うという小規模のものを特質とする。それから
一つ打出して、そうしてこれに対しては少なくとも一団地五町歩くらいから補助の対象にしようということから、この法律から一歩崩して行こうじやないか、こういうような実は
考え方を衆議院では持
つたわけであります。
従つて法律には書けませんので、これに対しては附帯決議をして、この法律を施行するのには五町歩単位にしよう、五町歩
程度を最低として単位を下せということを附帯決議に付けたのも、そういう理由があるわけでありまして、そういうような点が特に特殊立法がたくさんできておる中にも、この法律をやはり出さなくちやならんのじやないかということが、第一の今の
質問の理由であります。それから第二の問題といたしましては、今までの特殊立法というものは、予算を獲得するために、
一つのその特色ということを
はつきりそこへ出して、特異性というものを
はつきり出して、予算を獲得しようというような
意図に出たものが多いのでありますが、この畑地の問題につきましては、出発が少々違うのでありまして、最前申上げたように、畑地の改良という、いわゆる畑地に対して、水を使
つた肥培管理をする方式を立てるということは、日本の農業の革新的な
方向をとるべきものだという大きな問題であるにもかかわらず、今年度の当初予算を見ますると、た
つた二千万円しか、とれてない。そのほかにこの前法律で通しました砂丘地域の分の六千万円として、合計八千万円、一億足らずの予算しかと
つていない。これでは
意味ないというので、
曾つての予算修正の場合に、十億円の
土地増産費の中から、二億二千万円を畑地改良として特に取上げまして、そうして予算の裏付をしたわけであります。さあ、そうな
つて参りますというと、その予算を今のように五十町歩というような単位で機械的に大蔵省で抑えてしま
つたら、これはまあ折角の予算というものが死んでしまうという点からも、この法律を出したのであります。その予算の裏付に対しては、そういう
事情にな
つておるわけであります。どうぞ御了承願いたいと思います。