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1953-08-06 第16回国会 参議院 農林委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月六日(木曜日)    午後二時五十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木 強平君   衆議院議員            金子與重郎君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   政府委員    農林省農地局長 平川  守君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農地局建    設部かんがい排    水課長     小川  孝君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (農地問題及び農政問題に関する  件)  (農林中央金庫の運営問題に関する  件)  (調査報告書に関する件) ○継続調査要求の件 ○畑地農業改良促進法案衆議院提  出)   —————————————
  2. 森田豊壽

    理事森田豊壽君) 只今から委員会を開きます。  先ず農地問題の件を議題といたします。この件につきましては、かねて松浦委員から農林大臣質問要求せられていたところ、本日漸やく出席が得られましたので、これを問題とすることにいたしたいと思います。
  3. 松浦定義

    松浦定義君 私はこの際農地問題に関連いたしまして、二、三の点について農林大臣並びに農地局長に御質問いたしたいと思います。  先ず第一には、昭和二十一年十一月二十三日を現在といたしまして、我が国農地改革が行われました。従つてその後におきまする農地改革についてどうなつておるか。或いは又政府は現在どういうふうにこれに対して進めようというお考えかというような点についてお伺いいたす次第であります。只今申上げましたように、昭和二十一年十一月二十三日現在を以ちまして、つまり占領政策の一環としてこれが行われたのでありまして、この問題は農村民主化と、特に耕作者地位の安定、而して農業生産力発展を基調として打ち立てました、俗に当時呼称されました農村における無血革命であるとさえ称せられた重大なる問題であつたと、かように承知いたしておるのであります。従つて政府といたしましても、更に又直接関係いたしました都道府県並びに市町村の農地委員会委員諸君は、私利私欲或いは情実等にとらわれることなく、一切を犠牲の上にこの法を遵奉いたしまして、そうしてこれが農村民主化のために一応の画期的な成果を果し得たと私は考えるのでありまするが、そのために小作者であつた耕作農民は、現在におきましても一方的に押付けられました米価の決定でありましても、曾つて奴隷的小作より解放されたという非常に高い気持から、旧地主に対する感謝の意味も含めまして、今日なお食糧増産にいそしんでおるという事実は、私は大臣としても十分御承知だと思つておるのでありまするが、この問題につきまして現在各都道府県下におきまして、いろいろの動きがある。つまり私が指摘申上げようとするところは、即ち当時の地主である、現在から見ますれば旧地主と呼称される一部のかた、これは私は全体とは申上げませんが、一部のかたによつて各地各様名称ではありまするけれども、その目的とするところは私は一貫しておると思うのです。従つてその旧地主が一応組織いたしております団体名称等はそれぞれ府県により異つた名称を付しておりまするが、何としてもこの目的とするところは、この占領政策によつて行われた農地改革というものは、全く旧地主といたしましては非常に不満があるという意味合から、現在それに対しまして損害の要求、即ち不当に買収された土地の返還とか、或いは買収地代金追加払要求する。まあ買収された農地、即ち北海道を指摘いたしますると、三十年或いは七、八十年前に開墾をした、その開墾に要した労働賃金要求すると、こういつたような問題によつて各地にその動きがあるのでありまするが、私はそういう動きを現在政府承知いたしておられるか、或いは若しこういうことが起るとするならば、どういうところからこれが起るのであるか、更に事実これが起つておるとするならば、どういうふうに善処する用意があるか、まあ大体この点から一つお伺いいたしたいと思います。
  4. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 農地改革我が国民主化の最も重要な根幹的な施策として断行せられました。申すまでもなく松浦さんのお話のように、農村民主化、延いては我が国全体の民主化、而うして耕作農家の安定という大きな目標の下にこれはもう全く大変革が行われたわけでございますが、その結果は今日見るがごとき状態でございまして、私は両目的と共に、やや農地改革の目指していた目的を果していると考えておるわけでございます。それだけにお話のように、旧地主地位に大変動を来たしまして、    〔理事森田豊壽君退席、委員長着席〕  或いはそういうかたの中に非常な経済的に困窮な立場にその結果立つて来られているかたも、これは否定し得ないと存じます。従つて最近のすべての問題で、この民主主義時代一つの傾向として輿論を形成し、そして苦しいから何とかしろというふうな方向に行くということは、これは否みがたいことであろうし、それが松浦さんのお話のように、いろいろの名称わ以て動きが始められんとしているというような状態にあるのではないかと存じますが、政府といたしましては、経済事情変動によつていろいろ理窟は付くと思いますけれども、当時の農地買収の値段は当時の物価体系からいたしまして、物価体系を基礎として、そうして又自作農としてやつて行かれるその採算価格を算定して買収したのでございますから、適正な措置によつて農地買収をいたしているという考えの上に立つて措置をいたして来ているのでございますから、従つてその面から、例えばお話のように追加払をするというような必要は毛頭認めていないわけでございます。そういう旧地主経済的地位変動上つて生活上の問題を引き起すということは、それは別個の方途から考えらるべきであつて農地改革の跡始末という形においては私は取上げることは困難である。こういうふうに考えております。
  5. 松浦定義

    松浦定義君 只今大臣お話を承わりますと、私が考え通りの御回答で私は非常に満足をしておるのであります。併し大臣只今そういうふうに申されまするけれども、実際の動き大臣考えておられるようなものでない。若し大臣が今必らずそうであると言明されるならば、以下私がお尋ねすることにつきまして、これは政府責任であるか、或いは個人責任であるとか、或いは党の責任であるとか、こういう点を実ははつきりして頂きたい、かように考えるのであります。私は最近この問題につきまして現地で調査をいたしましたし、あらゆる方面からいろいろな資料の提供を受けまして、或いは全然資料そのものを私は実地に見ておりませんものもややありますので、全部が全部この通りだとは申上げませんが、少くとも今私が申し上げまする点の中には、何らかこの点は否定しがたいものがあるのではないか、こういうようなお考え方から、次に考慮をするとか、或いは善処をして見たいとか、何とかいうものでなしに、今申上げました三点、即ち政府責任か、個人責任か、或いは党の責任かというような点について、私ははつきり回答を願いたいということを先ず申上げておきます。ほかのほうの府県、即ち北海道から九州、鹿児島に至るまで、これは各地で起つております。これは起るのが私は当然だと思います。併し当然であるとするならば、当然政府としては取上げられないということは、今大臣が申された通りでありますので、今私が申上げましたように、北海道の問題につきまして、事実私は二十六、七年前に内地から二男として北海道に移住して来まして、当時の事情もよくわかつております。当時の政府がどういう考え方耕作者に対して土地を与えたかという実情もよく知つておりますので、そういう意味合から北海道の問題を率直に申上げますれば、現在の動きは果して政府考えておる通りであるかどうかということがわかると思いますので、北海道の極く最近、まだ現在燃えつつあるこの問題についてお尋ね申上げたいと思います。北海道におきましては、大体この農地改革が行われました当時から、すでにそういう問題は起きつつあつたのでありまするが、何といたしましても、三、四ヵ年の問はこうした問題を取上げることは、少くとも進駐軍の占領下にある限り、どうしてもこれが表面化せられないというので、内部的には多少の胎動がありましても、表面化いたして参りましたのは大体昭和二十六年の三月頃からです。当時北海道におきましては、名称北海道開拓者連合会或いは失地回復期成同盟と、こうしたようなものでありますが、現在は北海道開拓者連合会という一本になつております。私はこれから申上げたいと思うような問題はこうなると思うのですが、昭和二十六年三月結成されました当時から、この問題の連合会或いは期成同盟というような、そうした趣旨、目的を同じとするものの会長が、即ち自由党選出の元農林政務次官伊藤郷一氏が当つておる。先ずこの問題から私は入つて行けば問題は明白になると思うのであります。従つて私はその当時のメンバーを大体聞いて見ますると、やはり当然これは順序立てた組織になつておりまして、これには顧問がずつと並べてあります。その顧問には、やはりこれは全国的な問題と考えて出されたと思うのですが、これは私は敬称け附しませんが、植原悦二郎小笠原八十美苫米地英俊宇野秀次郎小川原政信玉置信一と、これは現北海道開発庁政務次官であります。佐々木秀世、これけ前の運輸政務次官である。松田鐵藏川村善八郎冨永格五郎篠円農林政務次官、こうした連中が全部名前を連ねてこの促進に同調しておる。私は更に驚くべきことは、最近におきまして北海道道議会は御承知通りに九十三名が定員です。北海道が一番こうした問題に禍を巻かれるということは、非常に開拓が遅い、内地府県はもう何百年、何千年という歴史を持つておりますから、なかなかそういう抬頭をしようと思つてもやはり抑えられておる面がありましてできないのですが、北海道はその面は非常に自由左立場から動くのでありまして、現在の九十三名の道議会議員、そのうち六十八名がこれに対して賛成署名捺印をしておるのです。そこでその関係者は、まあそれに機を得たと申しましようか、極く最近に至り、今国会の再開、休会明け衆参議員に対しましては、少くとも北海道道議会の六十八名がこれに署名捺印をしておるから、お前たちは道の選良でないかというような形において、半強制的に衆参議員署名捺印を強制して廻つておる。私は先般帰りまして、この事情調査して帰つて来ました。とたんに私は部屋へ参りまして強引に要求をされておる。私は気持はわかるのです。ところが私は納得できませんので、その点については或る程度了承を留保……、十分聞けない限り問題の中心に渦巻かれるということは私はよろしくない。前段申上げましたように、二十数年から前、私はみずから当時自治庁土地を下付願うべく、一ヵ月願書を持つて廻つてもくれない。ところがその当時ですら、まだ五百町、三百町或いは千町といつたような大口のものはやはり願書一つで特定な人に幾らでも払下をしておつたような時代なんです。そういうところから考えますと、少くとも三十年、五十年前には恐るべき私はその処置が講ぜられたと思いまして、中間的な、私の二十何年の体験からいたしまして、現在のこうした動きに対しては、これは少くとも国家としてやつた限りにおいては、軽々しく国会議員として扱うべきではないと思つて私は拒否いたしたのです。そのときの一つの引例として、君は我々の代表でないかということから入つて来まして、現在その旧恩給復活すらやつておるときにどうかと言う者がいましたから、この恩給復活について私は生命を保障する、つまりその家族を保障する意味のものであつて、たとえ如何に農民生命に代えがたい農地であつても、これは物質と生命というものはてんで問題にならないという意味合から、その意図について私は非常に疑問がありましたので、事の次第がはつきりしない限り私はこれに対して賛成をしがたいということを実は申し上げてこれに対しては辞退をいたしておるのでありますが、こういう事実がある限りにおきますると、先ほど農林大臣が申されましたこととは私は全然違うのである。少くとも農林政務次官たるものがこれに署名した限りにおきましては、この署名を受けた団体、即ち北海道開拓者連合会というものは、私は今、日本においてこうした問題を解決するに、あらゆる点から考えまして、そう簡単にこれを引込めようとするような人でない人がこの衝に当つておる。少くとも一回この署名捺印した限りにおきましては、政府はあらゆる処置を講じましても、なかなか通り一遍の言葉では私は抹殺することができないような陰の力のある、隠れた人がこれの責任にあるという意味合から私は必配をするのでありますが、少くとも今私が聞きました点につきましては、こういう点について農林大臣はどういうふうに措置をされようといたしまするのか。
  6. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 利害を等しうせられておられる方々が相寄られて一つ団体的な運動と言いますか、行動と言いますか、これはもうどういう面においても否定し得ない、これをも束縛することは、これはなすべきことでもないと思う。今お話北海道開拓者連合会にいろいろのかたが名も連ねておられる。これは今松浦委員お話のように、問題の性質をよく究明されて、そしてそれに賛成をして署名せられたものであるか、我々日常社会におけるお附合ということで署名をされたものか、いわんや私のほうの関係のことになりますが、篠田政務次官農林省政務次官というような立場において署名調印をせられたものとは私は考え得られんのでございます。従つて政務次官であるとか、或いは何々議員というようなことでなしに、ただ署名を求められて、まあお附合ということで署名をせられ、それが併し利用せられている面は確かにあるだろうと存じます。非常に私はこれはどこまでもその御当人の御意見を聞いて見ないとわかりませんけれども、私の想像するところでは、これはもう純然たる個人の資格において、若し署名をされているならば署名をされていると存ずるわけです。旧軍人恩給の問題と関連して御議論も出て来ると思いますけれども、御承知のごとく旧軍人恩給は、あれは果してその恩給権が、あの司令部の覚書によつて権利を消滅せしめたものであるか、或いは占領政策遂行期間停止をするものであるか、これは非常に疑義がありましたわけです。最終的に総司令部見解としては、これが要するに権利停止であるということが確認せられましたために、従つて独立をいたしますれば、旧恩給権というもの、恩給法というものはそのまま復活をして参るという性質のものでございます。従つて当然この経済的代償を、合理的な代価を払つて改革を行なつて来ましたこの農地関係とは、もう全然これは違うというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  7. 松浦定義

    松浦定義君 私は今、後段の恩給云々ということについては、私はその通り反対だと言つていたので、むしろそれはなお更、例えば私が指摘しております農林政務次官である篠田氏が、若し個人であつても、或いは党人であつても、そういうことをわからないでやつておること自体で、なお更私は問題が深くなるので、そういう点はむしろ余り何しなかつたほうがいいと思うのです。そこで今政務次官としては、むしろそれはそうだと思います。併し個人としてでも、少くとも議員としては署名捺印をしておる。それは無論内容を知らなかつたという人も二、三ありましよう。ありましようけれども、少くとも農地問題に限つて農林政務次官が一応の、それはまあ請願書なり、陳情書なり持つて来て目を通し、私たちのようなものすら全部目を通さなくてもその意図がわかるのであります。従つて私は如何に農林政務次官でない立場であつても、個人的な考え方を持つておるものが、少くとも今大臣が言われたような、農地改革後の処理をしようと考えておる。政務次官としてはすでに私は適材の地位でないというようなところまで私は申上げたいと思うのであります。併しまあ今そんなことを申上げる時期でないのですから、事態さえはつきりすれば私はいいのです。もう大体これで結論は出たと思います。従つて私は今農林大臣はこうした動きに対しては全然反対であるというような意味合からお聞きしておる事能については、これはもう当然善処しなければならんと思いますし、従つて今私が申上げましたような政府責任か、或いは個人か、党かということがはつきりしていないので、それはこちらで然るべく善処されたほうがいいと思います。こういう問題がやはり個人考えによつても動いておることに対しましては、現在の小作者というものは非常に不安なんです。従つて地主或いはそれに同調する議員があつて、こういう運動促進させる意味におきましては、やはり現在の小作者はこれと呼応いたしまして運動を展開しない限り、これはこの問題につきましては、やはり黙つておる小作者が負けになるわけなんです。そういうときに我々は困つてしまうのです。実際問題としてそういう大きな問題にならないうちに、今農林大臣方針がそうであるならば、次官通牒でも何ででもいいですから、政府方針はこういうものに対してはこうであるということを、はつきり私はその責任が今の御答弁の中からは当然生まれて来るのではないか。私は要請いたしません。若しそういうことが起れば、必ず現在の北海道におきましては、この八月大会というものが、小作者農民大会が開かれまして、この問題を取上げようとしておる。そういうときに、今申上げました連なつた諸君がどういう回答をするか、やはり大臣のような回答をするかも知れません。そういたしますと、やはり議員としての態度にまで及んで参りまして、私は非常な重大な問題だと思いますので、この点をはつきりして頂きたい。それからもう一つ附加えて申上げたいのは、これは一部ではありまするけれども、現在終戦後八ヵ年になりまする今日におきまして、例えば農業協同組合或いは農業委員会法の改正を目途として、今政府考えておること、それと関連いたしまして、旧地主がそれらの団体上層部にやはり割当てられておりますならば、或る程度地位を獲得しようというようなことまで出ておる地帯がある。これは或る一部分かも知れません。というのは、政府がこういうようなことについて、はつきりせしめないからこうなつて来るのであつて、こういう点も私ははつきりしていないと、今のような農業団体再編成が中央だけで議論になりましても、末端の小作農民というものは、これに対してはつきり自分たち作つた組合であるとか、我々の選んだ代表の立ててくれたこの制度であるというようなことについて納得行かない。非常に私は関連が大きいので、こういう問題につきましての、私は政府があらゆる角度から十分なる手を一つつて頂きたい。こういう点につきまして、どのような見解を持つておられるか、この点についてはこれを以て私の質問を終りたいと思つておるのであります。
  8. 北勝太郎

    北勝太郎君 今の問題は、実はこの間食堂で一人の北海道の人が来まして、こういう意味陳情をするのだから陳情書一つ署名してくれというお話でした。私は署名はしなかつたけれども、私の名前を書いておいてくれと言いましたが、これは陳情書であるのだから、国民の声が議会に反映することは何も差支えないという意味でそういうことを任したのでありますが、そいつをものに仕上げるために連盟に加盟したのでは断じてないのでありまして、どうもそういうことは間違えられて、或いは今度の大会で多分北もこれには賛成したのだろうなどと言われますと大変困るのでありますが、私の聞き及んだ点では単なる陳情書だというから、それははんこも何も持つておらん、鉛筆も持つておらんが、おれの名前だけ連ねて頂きたいと、こういうことに過ぎないのでありまして、そういう深い意味にはとつておらんのでありますから、そういう点をこの際一身上の弁明になりまして大変都合が悪いのですが、一言申上げておきたいと思います。
  9. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほども申上げましたように、いろいろな政府と異なる見解を持たれて、そうして政府考え違つた方向運動をされたり、或いは行動を起されたりする。それを抑えて行くということはなすべきことではないと私は申上げておりますが、結局いたしますところ、これは甚だお返しするようになりますが、最終的にはやはり国権の最高機関たる国会の良識が私はこの問題を措置して行くものだと考えておりますが、その関連において政府としてはこういう考えを持つておりますということを申上げているわけでございます。なおいろいろの農村団体農村団体の役員とか、旧地主のかたが列せられるということが、何か問題をあやふやにして行く虞れがあるのじやないか、一応御尤ものようでもありますけれども、併し農村経済的発展ということが私は農村団体協同組合等の健全な発達に待たなければならない。従つてそこにこの組合がどういう制度的に組織ができ上りましても、これを運営せられて行くところの人に人を得なければ、今日現出いたしておりますような事態を将来とも繰返して行くという虞れは、これは否みがたいことと思います。従いましてそういう見地からその農村内において真に農村全体のために奉仕をされるかたは、これは旧地主であつたからどうだとか、或いは小作者であつたからどうだとかいうような考えを以て選んで行くべきものではなく、結局村民の信望を集められるかたが村民奉仕をするということでその団体の運営に当つて頂く、そのほうが地主さんであつたか、なかつたかということは私はこれはもう全然問題にすべきものではないというように考えております。
  10. 松浦定義

    松浦定義君 私は今の公団の役職員に対する云々大臣と全然同感です。私はそれはほんの一例として申上げただけで、むしろ私はもつと前の点をもう少しはつきりしてもらいたいというふうに考えておるのでありますが、この際その点で若しはつきりできないとすれば、大体政府方針というものは私の考え通りである。併しまあまあ自由に国民として或いは議会陳情し、請願して、それに基いて賛意を表する云々ということについては、それぞれの立場からの常識で解決すべきものである。こういうふうな意味だと了解して、これ以上私はお願いすることは、本当に大臣の手のまま、足の動くままに、少くとも個人的な行動につきましても、農林政務次官或いは又自由党の幹部の諸君に対しましては、まあお茶飲み話の中でも、こういうことがあつたというくらいのことを一つお伝え願つて、今後は善処するように一つお願いしたい、こういうことを附加えておきます。もう一つ、これは今申上げたことは、これは七十年、八十年前の古い開拓者連台会の問題でありますが、今度は最も新らしい、少くとも現農林大臣が直接担当された責任者であつた時代もあると思いますので、現在終戦後或いは戦前におきまして、強制疎開或いは又引揚その他によつて入地されまして、それぞれ狭い土地食糧増産にいそしんでおられる開拓者諸君全国各地におられますが、いつも北海道のことで申訳ありませんが、北海道は特に北海道総合開発という見地から、現在の四百万を八百万にする、一千万にしようという意味合で、むしろ内地の次、三男は適材ではあるけれども、やはりそういう人ばかりではいけないというので、あらゆる階層のかたがたが北海道へ当時強制或いは半強制的な疎開をされておる。これは古い人は八、九年になつておりまして、特に樺太の引揚者等のごときは東京の味を知らないので、現在でもここよりほかないのだというふうに一生懸命やつておられるが、東京都あたりを中心としました引揚者の人の大部分は、もう橋の下に寝ていても東京はいいのだと、どんどん東京に引揚てしまつて、あとを全然顧みなかつたと言つて、この開拓行政に対しては非常に既存農民の非難をこうむつておる。貴重な農地を残して、先ほど私が申しましたように、二十何年前ですらも如何に不合理がありましても払下が願えなかつたものが、終戦のああした混乱の中から、特に犠牲になつたという意味から、非常にいい土地を払下げたにかかわらず、ただ立木だけ売つて引揚げてしまつた者があるという意味合で、非常に既存農民の非難をこうむつておる。従つて私の申上げたいのは、そうした引揚げた者でなく、なおその中に厳然として何とかして政府方針通りつて行きたいと言つて現在残つておる開拓者諸君は、適正面積というのを満たしておる人は幾ばくもない。従つて私は政府としては適正面積、八町歩なら八町歩、三町歩なら三町歩という適正面積に対しても増反を早急に実施する意思があるかどうか、こういう点を伺いたいと思います。これは恐らく農地局長のほうがおわかりになつておるのじやないかと思いますから……。
  11. 平川守

    政府委員(平川守君) この数年前から新らしい入植をさせますにつきましては、それぞれの土地について厳密な適地調査を行いまして、開拓、入植、営農の計画をはつきりと技術的に立てて入れておりますので、こういう現象は最近においてはないのでありますけれども、終戦後大量に入植しました場合、特に北海道に入植しました場合に、いわゆる過剰入植、つまり適正規模の面積を持たずに人のほうが余計入つてしまつたという現象があるわけであります。これは到底営農が落着かないわけでありますから、できるだけ速かに適正規模の面積を与えたいと考えております。ただその当該の土地においてそれだけの余裕のない場合もございますので、その場合においては、その一部を間引きいたしまして他の適地に移すというようなことも併せて考えておるわけであります。
  12. 松浦定義

    松浦定義君 大変御親切な御回答で私は了承いたしましたが、今当該附属地にそういうものがない場合についてまで御配慮になつておるのですが、若し隣接地にそういうものがあつた場合には直ちに増反に編入するということをはつきり確約して頂けると承知して差支えありませんか。
  13. 平川守

    政府委員(平川守君) それはその適地を取得する上においていろいろ制約がございますけれども、実際問題として適地であり、又取得が可能であるならば、農地法の規定によつて取得をいたしまして、早速適正規模に拡充するようにいたしたいと考えております。
  14. 松浦定義

    松浦定義君 只今のような方針で進められます場合に、例えば林野整備法によつて払下を要する土地の場合、開拓者が例えばこれに対して払下をしてもらいたい、こういうふうな申入があつた場合には払下後といえども、町村といたしまして、その払下価格以内においてでも開拓者に払渡しをせしめる。或いは又その場合立木の処分等につきましては、開墾に支障のないよう現地開拓者の意向を十分取入れるといつたような問題については、どういうようなお考えを持つておられますか。
  15. 平川守

    政府委員(平川守君) この林野整備によりまして、例えば市町村が譲受けておりますものにつきましても、これが開拓適地であり、又開拓者が適正規模の農耕地を得るために必要であるという場合においては、更に町村との話合或いは農地法によりまして、これを取得するということは可能なわけであります。
  16. 松浦定義

    松浦定義君 これはなかなか私どもいろいろの疑問を多少は持つておりますが、例えば開墾費の支払い等に関する件ですが、そういう問題でも適正面積に満たない場合においてでは、やはりその適正面積を基準とした支払方法等はお考えになることはできないかどうか、そういう点について一つお伺いいたしたいと思います。
  17. 平川守

    政府委員(平川守君) この開墾の助成金につきましては、実際に開墾をいたします面積に対して、何割までは六割の補助、何割までは三割の補助といつた補助規則になつておるわけであります。只今お話の点は適正規模の面積を持つていない場合において、適正規模の開墾をした場合を想定して、それに対する一定の比率の助成をできるかという御趣旨のように伺うのでありますが、これはちよつとむずかしいかと思います。現実に開墾をいたしませんと、例えば現在三町歩なら三町歩開墾をした、併し適正規模は五町歩である。その五町歩に対する何割かの開墾助成を出すということは、ちよつと架空のことにもなりますので問題があるかと思うのであります。そういう農家に対しては、先ほど申しましたように、先ず五町歩を与える、こういうことが先決であると思うのであります。先ず五町歩を与えまして、そうすれば当然これに応じた開墾助成金ができると思います。
  18. 松浦定義

    松浦定義君 私は農地局長の御答弁の通りだと思います。前段申上げましたように、適正面積を与えないで、苦しい生活をしておつて、別な方法を講じなかつた場合において、やはり適正面積というものは与えるものと、併し暫定的に今国の考え方で与えられないが、生活だけはさせなければならん。従つてその方法として適正面積を与える、与えるためにそういう方法を政府がやはりとることが私はできるのじやないかという立場から、いろいろ疑問が残ると思いまするので、こういう点につきましても、一つ十分御検討願いまして、前段御質問申上げました通りに、一日も早く適正面積を与えて、そうして今本当に残つておる開拓者に対しては、不安なからしめるようにすると同時に、私はこの際、先ほど申上げましたように、如何に開拓者であろうとも、中には非常に農家の気分を壊しておるような人もたまにはある。そういう人につきましても、開拓者行政というものを全面的に一つ十分御検討願いたいということを附加えてお願いを申上げておきます。
  19. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 松浦委員に申上げますが、肥料関係法案も当委員会で審議しておりませんし、それから農地改良促進法案もこれは審議に入つておりませんし、大臣に対する質疑は山ほどあると思いますので、会期末でありますので、ちよつともう一点農林大臣に対する御質問だけに限定いたしまして成るべく簡潔にお願いいたしたいと思います。
  20. 松浦定義

    松浦定義君 これは私は農地とは関係ありませんが、非常に農山漁村が待望しておりまする農山漁村に対する電化の問題であります。この電気は昨年法案が通りまして、非常に農山漁村には暗い生活の中から非常に希望を持つておるのですが、率直に申上げますると、本年の予算は農林省要求は十九億という要求をした。これは融資の関係です。ところが決定しましたのは、これは九億であつて、その九億では実際全国から集まつた六十億には、全然もうその方針には当らないというような意味合から、各地においては非常に暗い考え方に対して困つておるのですが、率直に申上げますれば、融資でありますので、農林省内におけるあらゆる面から、一つ何とかこれを御考慮を願いたい。先般も農林中金等では、三百億からどうでも……、受入態勢さえとつてくれればというような非常に含みのあるものも一部には与えておきながら、十九億の予算を農林省が出しておきながら、九億しか政府ではこれを認めない。而して全国からは六十億の要求がある。これでは五年、三年と計画で立派な法案を通しても、何らその価値はない。ただここで結論から申しますと、昨年は自由党がこの問題についておれがやつたと言つて、この法案を振りまわしておつただけで、結果的に見ては私は農村に対して政府が十分な考え方を持つていないという証拠が、こういうところにも現われるのじやないかと思いますので、この際何とか農林省原案通り、十億円だけは農林中金その他あらゆる面から何とか出して来る方法はないだろうか、これは導入施設資金の現況等から見ますと、農林漁業資金におきましては二百四十億からのものが大体配分されておりますが、その間ただ電気関係におきましては九億しか枠がないということになりますので、こういう点も一つ十分御考慮を願いまして、何とかこの二十九年度の要求一つ入れて頂くというような方法にならないものかと、かように考えまして率直な御回答を願いたいと思います。
  21. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは全体の資金計画の問題でございますが、どちらにいたしましても、そういう施設が必要であることは申上げるまでもございませんわけでございますから、御趣意の点は十分一つ尊重して参りたいと考えております。
  22. 川口爲之助

    川口爲之助君 私は肥料対策の一面について一つお伺いいたしたいと思います。農業生産の方途、つまり食糧の増産、これはどうすればよいかという問題であります。これは生産に必要なあらゆる条件が総合的に組合せられて、その上に土壌の根本的の改良が必要であると思うのであります。そこで土壌の肥沃化を図るために要すべき肥料がその中で一番大きな役目を持つものであろうと思うのであります。ところが今日のごとく化学肥料一辺倒、化学肥料にのみ依存しておる場合におきまして、土地の恒久的な肥沃化ということは望まれないと思うのであります。長い間化学肥料にのみ依存する場合は、土壌というものは次第に酸性となりまして非常に地方が減耗して行くということを言われております。或る権威者の発表するところによりますと、その地方の減耗によつて年々歳々米の減収が百万石を超えるということであります。ところで今我が国が世界一大量の、そうして又世界一高価な化学肥料を使つておる、農業経営のいわゆる全収入の四〇%というものが化学肥料のために支払われる。このようにして農業経営というものが漸次圧縮されて行く、この変態的というか、異常農家経営の方式というものを、この際何とかして変えて行かなければならないというふうに私どもは考えておるのであります。その肥料対策についての何か御意見がありますならば一つお示しを願いたいと思います。つまり化学肥料一辺倒の農業経営では駄目だ、何とかして肥料対策を転換しなければならん、こういう意味なのであります。
  23. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私も素人でございまして、実はその点は非常な疑問といたしておるところでございますが、いろいろのかたの御意見を聞きまする中に、世界一の硫安消費をして、ために年々地方の減耗を来たし、最近の著しい秋落等に見る現象はその弊害の現われである。従つて化学肥料を少し使い過ぎておりはせんかという私も個人として疑問を持つて、いろいろのかたの御意見を伺つておりますが、この地方の減耗を防いで参りますためには、どうしても有機質の肥料を持たなければならん。特に自給肥料に大きく期待をしなければならない。それには一面から有畜営農という理想的な形態を実現するということが一番大事なようでございますし、畜産の面から併せてこの地方の減退を防いで行くと、併し又堆肥等の自給肥料を多く投じ、且つその上に又化学肥料を多く投ずれば、より又一層大きい効果を挙げる。化学肥料一辺倒では非常に危険であるけれども、それに伴うに自給肥料の増産を図つて参らなければ、本当の地方の培養と、その上に立つ食糧増産ということが期待できない。そういう上から自給肥料の増産につきましては、いろいろの困難もあるようでございますけれども、特に力を入れて行きたい、こういうふうにまあ考えておるわけでございます。
  24. 川口爲之助

    川口爲之助君 私の知る範囲でも、今大臣のお説の通りで、されば如何にしてこの動物質の肥料を土地に使用するかという問題になるのであります。そこで山林養成について別な角度からちよつとお願いをして見たいと思つております。我が国は一番多く木材を消費する国であります。先に世界一という言葉を使いましたが、木材、薪炭については、やはり世界一の大消費国であるということであります。一人当りの年間の消費量は二・五石ということを申されております。それによりますと、八千万人口にかけますと、大体二億石以上というのが我が国における年間の木材、薪炭の消費量であります。それにもかかわりませず、年間の木材の消費量は大体九千万石から一億石ということであります。そういたしますと、差引き一億石というものが不足しておるのであります。この大きな矛盾をどうするか。今治山治水が急激に叫ばれておりまするけれども、この矛盾を直すということが最良の方法であろうと存じます。併し我々は地方におりまして、実際山林の状態を見ておりまするけれども、必要なもの、又足らないものは、法規によつて制限されておるにもかかわらず、どしどしと伐られておる。でありまするからして、この不足を何とかして補ろ方法を講じなければならんというふうに思います。それには先ず外材を輸入するということが考えられるけれども、なかなか今日の経済状態から見ましても、その他船腹、いろいろな角度から検討しまして、これはなかなか困難と思います。次は奥地林の開発であります。これは政府が五カヵ年乃至十ヵ年の計画を立てて奥地林の開発に大分お力を注がれておる。又県においては山間林道も相当やつておりますけれども、結局これは相当の年所を要するのであります。更に木材の合理的使用、木材に対する復興というものができまして、その面の補いはしておるようでありますけれども、木材のいわゆる合理的使用というようなことについて一歩を進めて考えて頂かなければならんと、かように考えます。そこでこれらの問題は大体消極的な政策でありまして、やはり山林を復興するためには、何と申しましても木を植えるということであります。何人も木を植えることは知つておるのでありまするけれども、さて実行という段取りになりますというと、そうなかなかうまくは行かん。何となれば今次第に零細化して行く農家経済、そのうちにありまして、下刈りその他多額な費用を費して、而も三十年、五十年の将来をおもんぱかつての植林、山林事業というものはなかなか困難でありまして、思うように行かんというのが現状であろうと思います。そこでこれを、つまり森林を随時育成して行く、木を植えようということは、やはり現段階においては森林法の力を徹底し、励行するということにあるだろうと思います。森林法は御承知のごとく、植伐の均衡、植伐の調整を図ると同時に、市町村における森林組合の強化育成ということにその使命があるようでありまするけれども、その目的を達するためには、現在のいわゆる行政運営機構と申しますか、行政機構を以ていたしましては、なかなかうまく行かん。それはつまり末端の森林行政を預る者は、いわゆる経営指導員であります。その経営指導員が大体一県当り三十名内外ということになつておる。そこでどれぐらいの山林面積を負担をしておるかと申しますと、少くとも五千町歩以上七千町歩ぐらいの山林面積を一人で担当し、一人で指導するということであります。これでは到底森林法の精神を徹底するということはできない。でありますからして、これは是非ともこの経営指導員の増員をして頂きたい。と同時に、市町村の単位組合に対しましても、必ず一名の技術員を置き、その技術員と経営指導員と互いに相連絡をとりまして、法の精神の徹底に努力する、よつて植林政策というものを遂行して行くという面に努力をして頂きたい。これを一つ是非お願いしたいと思います。そこで山林行政というものを確立するということは、いわゆる土地の肥沃化に最も必要な堆肥、緑肥、多量にこれらの有機質肥料を提供するということになるのであります。今有畜農家の創設或いは共済保険の設定等によりまして、農業の畜産への転換が漸次考えられておるのでありまするが、つまり山林行政の確立と、それから畜産行政の確立と相待つて農業生産に効果あらしめる、そうして化学肥料一辺倒のいわゆる地方減耗の弊害を幾分でも緩和して行くという方向に行つて頂きたいと、こういうまあ希望を持つておるわけであります。
  25. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 全くその通りだと存じまして、私ども二千五百万町歩からの山林原野の面積を持ちながら、二億足らずの需要に応じ切れないという現状は、実際これは大きい声では申上げられないような情ない実情だと思います。私どもといたしましては、もう少し国土計画と言いますか、全体の狭い国土を経済的に、効率的に、経済的効果を挙げて参りまする国土の大計画というものが必要じやないかと、私はそういうふうに考えておりますが、差向きといたしましては、相当の荒廃地を出しましたのは、戦争その他戦後のいろいろの事情がございまして、こういう特異な現象を呈しておると思うわけでございます。昭和二十四、五年頃から本格的に造植林の計画も実施せられまして、今日では戦時中、戦後の荒廃地の半分ぐらいは大体造植の目的を達して来ておるようであります。先ず今日では荒廃地をできるだけ早く復旧して造植林を励行して参る、そして一面からいたしますれば、山林原野のもう少し大きい点から計画を見直すべきではないか、差向きはこの森林法の運営に期待をいたしつつ、計画それ自体に対して大きい検討を加えなければならんかと、こういうふうにまあ考えておりますが、御趣旨につきましては、私ども全然同感でおりますから、できるだけそういう線で努力して行きたいと思います。
  26. 川口爲之助

    川口爲之助君 それでは私の質問はこれで打切ります。
  27. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 先ほど申上げましたように、議案が大分山積をしております。会期も大分切迫しておりますので、成るべく一つ大臣に対する質問を……。
  28. 河野謙三

    ○河野謙三君 私も実は今の川口さんのように、農林行政に造詣の深い大臣に久し振りでお目にかかつたのでありますから、農林行政について大臣の抱負を伺いたいのですが、何分にも会期を一日余すだけで、時間がありませんから、そういうことは後日大臣一つゆつくりとお目にかかる機会を作つて頂いて、取りあえず本日只今の問題について大臣に一、二伺つておきたい。この間安定法が通りましたが、この運用はすぐにというわけに行かんでしようが、併し安定法の中に織込まれておる「いも」の問題ですが、すでに「さつまいも」は出荷が始まつております。従つて澱粉工場等は、早いところはもうそろそろ原料の買入を始めます。ところが政府はこの安定法によつて本年の「さつまいも」を一体幾らのところに支持価格を持つて行こうとするのか、これを私は至急に大臣にきめてもらわなきやいかんと思う。今までのように、生「いも」で二十八円、澱粉にして一貫匁八十五円ですか、こういう支持価格をこの秋も続けて行くのか、それとも麦や米は上るけれども、「さつまいも」は特殊の経済事情というので、今年は二十二円にするのか、二十三円にするのか。これはもう只今の問題です。これを一つ早くきめて頂きたいと思いますが、なお同時に、具体的に二十三円とか、二十八円とかいう指示が得られなければ、大体基本的にはどういう御構想がおありになるか、先ず本日はそういう御構想を伺つて、なお具体的の問題は一両日中におきめ願わなければならん、すでに先ほど申上げましたように、「さつまいも」はもう出始めておりますから、これを先ず第一に伺いたいと思います。
  29. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 安定法の制定が行われまして、その安定法の運用につきましては、制定の趣意に従いまして価格支持の目的を達して参りたいという考えの下に、実は今日も食糧長官を督励しておりまして、「いも」の関係もあり、「なたね」の関係もあり、そういう対象物資の価格決定のきめ方を早くするように、事務当局でも同様の考えを持つて、今大蔵省とも、これも農林省でこうだというだけでは行かないことは御承知通りでございますが、大蔵省と今折衝をいたしております。できるだけこれはもうお話のように早く時機を失しないようにきめたいと、こういうふうに考えております。
  30. 河野謙三

    ○河野謙三君 ここで二十四円とか、五円とか、そういう具体的のことは私は無理だと思います。ただ大臣方針として従来の二十八円なら八円の生「いも」、即ち昨年の価格を本年も踏襲して行こうとされるのか。併しこれは麦や米の価格とは別途に、これは上つておるけれども、「さつまいも」は一般の需要面等からも考えて昨年の二十八円よりも少くとも、幾ら値下になるか知らんけれども、多少本年は下げて、二十四円なり、二十五円にしなければならんというのか。まあ結論を申しますと、昨年同様の価格を踏襲して安定法を運用して行かれるという大臣の御意向なのか、それとも他の経済事情を勘案して、幾らか「さつまいも」の値下りはやむを得ないと、こういうお考え方なのか、考え方の基本だけは私は伺わないと、実は先ほど申上げますように、若しこれが昨年同様に運用して行くんだということになりますと、現在出廻つておる「いも」は昨年よりも幾らか安くなつております。只今早掘甘藷にしても昨年より安い。従つてこれから「さつまいも」の出廻り期になれば、当然昨年の……、今のこれで行けば二十七、八円というものは、これは通りません。そこで早く出した人が結局損をして、遅く出した人が儲けるようになるというようなことになるので、政府の政策如何によつてつて来るわけです。そこでその基本的なお考えだけでも一つ、これは決して大臣の言質をとるとか何とかいう問題じやありません。そういう点だけを一つお話して頂けませんか。
  31. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは甚だどうもお叱りを受けると思いますけれども、「いも」の問題は先ほど申した点でしか私は今日では申上げ得ませんので、甚だ遺憾と存じますけれども、折角今大蔵当局と折衝しておる最中でございますから、一両目とは申上げ得ないかも知れませんけれども、できるだけ速かに決定するつもりであります。
  32. 河野謙三

    ○河野謙三君 それではできるだけ一つ早く御方針を御決定願うことに強く私はお願いしまして、その次に、これも只今急を要する問題ですが、これは肥料の問題ですが、今川口さんから化学肥料を作り過ぎるとか、肥料云々のいろいろな大きな抱負はお聞きしておりましたが、こういう問題もあると思いますが、そうでなく、私は一つの問題として、最近化成肥料という、いわゆる農林省みずから一割五分乃至二割割高と言われるものが、単なる宣伝によつて、農家の無知につけ込んで非常な勢いでこれは売れておる。この肥料の政策というものは豊富にして良質なものが、而も低廉に供給されるということが農林大臣の肥料の理想であり、通産大臣の理想でなければならんと思う。ところが最近は豊富にはだんだんなつて来ましたが、質の問題、価格の問題については殆んど政府はその手を染めていない。そこで質の問題につきまして、私は肥料行政が二元化されておりましても、質の問題について農林省大臣の監督下にある改良局の技術員により、こういう肥料がいいんだ、こういう肥料を作つてもらいたいと、ここから意見が出る以外に出て来ないと思う。ところがこれらの意見というものは全然無視されて生産行政をやつておるというだけのことで、通産省が改良局、農林省のほうの技術陣の裏付のないものを勝手気儘に作つて、儲かりさえすれば何でも作るんだということに肥料行政が進んでおる事実がある。同時に少しも安くする行政をやらないで、徒らに過去の能力が何とかということで、非能率の工場も能率の高い工場も同じように、電気や燐鉱石の配分をして、むしろ通産省は肥料を安く作ることにあらずして、如何に高くして作るかということに汲々としておる。これは決して言い過ぎではありません。この事実はお示し申上げてもいいんですが、それは大臣もお忙しいので別の機会に譲りますが、少くとも大臣にもう少し肥料の問題について、農林省責任を持つておるところの、如何なる質の肥料を通産省を鞭撻して作らしめるか、而うして如何にして安く作らせるかということについて、これは私は農林省がもつと積極的に私はやつてもらわなければいかん。具体的に申上げては時間がありませんから何ですが、そういう点が欠けておると思うのです。でありますから、私の要望するところは、化成肥料なら化成肥料というものは、単肥の配合と同じであつて、これは少しも優秀性がない。而もそれが二割、三割、四割高く売られております。こういうものは農林省の意思によつて、通産省を通じて生産者に、これらの生産を抑制せしめるということをやつていいはずです。同時に過燐酸は三百万トン生産能力がある。而も国内には百六十万トンあればいいのだ。従つてこれらの配合をするところの過燐酸工場の能力に、二一天作の五で同時に両方に平等に燐鉱石を配分しておれば、どうしても工場の稼動力は半分しかいかん、若しくは四十何パーセントしかいかん。こういうものは相当に原価が高くなる。こういうことによつてだんだんに優秀な工場に燐鉱石というものを集中して、漸次少い資材の下に非常に能率を上げるということをこれはやらなければならない。それを通産省はやつていない。やつていないというだけでなくて、これは農林省責任があると思います。これらについて今隣りに経済局長もおられますが、私はもう少し積極的に大臣はこれらの面に目を開いて、もつと安い肥料、而ももつと良質の肥料をもつと供給されるということをやつてもらいたいと思いますが、これは私の根本的な考え方について大臣はどういうふうな御所見を持つておりますか。
  33. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 効率の高い肥料をできるだけ廉価に供給するということは、私は農林省のみならず、これは政府責任だと思います。そういう点において今のお話は私は全然同感でございます。必要がこれは実際あると思いますから、私自身一つ責任をとつてつて見たいと思います。
  34. 河野謙三

    ○河野謙三君 時間の関係上私は一々具体的に大臣の目の前に問題は提供いたしませんが、そういう面は農林省の内部でも改良局長なり、経済局長はよく承知いたしているはずでありますから、従つてこれらの事務当局の力の足らん点は、大臣責任においてできるだけ十分通産省を鞭撻して、これらの問題は片付けてやる。そうして行きませんと、今度又重要な肥料の二法案が出ておりますが、これは法案だけでは事足りない。この法案を裏付けるには、今の質のいいもの、而も安いものを出さなければならない。それについて魂が抜けておりますから、これは大臣は、具体的なことは局長から聞いて、大臣責任を持つてつてもらいたい。
  35. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 承知しました。
  36. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 大臣に対する御質疑はまだあると思いますが、ほかの議案もありまするから、これで打切りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    午後四時八分速記中止   —————————————    午後四時二十三分速記開始
  38. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) それでは速記を始めて下さい。  次に調査報告の件を議題といたします。農林政策に関する調査につきまして、この際お諮りいたします。本件につきましては、今国会調査を続けて参りましたが、その内容は広汎多岐な諸問題に亙り、未だ調査を完了するに至つておりませんので、調査未了報告書を提出いたすことになつておりますから、これを提出いたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認め、それではさよう決定いたします。  調査未了報告書の内容については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。  次に委員長の提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので、順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     白井 勇   河野 謙三     横川 信夫  河合 義一     上林 忠次  戸叶 武     松浦 定義  佐藤 清一郎     雨森 常夫  森田 豊壽   —————————————
  41. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 次に継続調査要求の件を議題といたします。本院規則第五十三条によりまして、本調査の閉会中の継続調査要求書を提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。なお農業災害補償制度小委員会はこのまま継続いたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお要求書の案文等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  45. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 次に議員派遣の件を議題といたします。速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  46. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。議員派遣の件については、只今御懇談申上げたように決定いたしたいと思います。   —————————————
  47. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 次に、畑地農改良促進法案を議題といたします。法律案については、七月三十日提案理由の説明を聞きましたから、本日は直ちに質疑に入りたいと思います。
  48. 河野謙三

    ○河野謙三君 私も白井さんと同じように資料が審議に先だつてなくちやいかんと思う。ところが資料廻つて来なくて、今廻つたのです。だからそこで……、提案者の金子さんなら、資料を横に、斜にすつと読めばわかるでしようけれども、我々は縦にずつと読んで行かなければわからんのです。その点は今後は一つそういうふうな提案者、又は政府のほうの御注意を願いたい。さればと言つて、会期を控えて、もう二日か三日資料を握つてよく勉強しなきやいかんという意味じやありませんから、その点はどうぞよく……。そこで私はちよつと白井さんの御発言を途中でとつて相済みませんけれども、私は十分資料を読んでおりませんけれども、伺いたいのは、土地改良によつて僕は十分目的が達し得られるのじやないかと思うのだが、それを特にこの措置を必要とされた根拠如何。もう一つは、議員提案にはとかく予算の裏付がないのだが、この提案に対する予算の裏付はどうなつておりますか。これを一つお聞きしたい。
  49. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 非常に適切な御意見でありますので、その点を申上げますが、先ず最初のこうした特殊立法を出さなくても、現行の土地改良法の中でできるのじやないか。それをなぜこういうものを、複雑なものを出して来るかということに対する御疑念と、又一面お叱りを受けるじやないかということは重々考えておつたのでありますが、実はこの畑地の農業の改良ということは、従来の地域立法とは幾分性格を異にしておりまして、この畑地改良の法律の内容が、地域指定ということから計画を立てることになつておりますので、地域ということは書いてはありますけれども、実際上畑地の問題は、その地域の利益ということよりも、日本農業の一つの革新的な方法といたしまして、従前の日本農業は水田というものと畑というものと確立しておりまして、水田は水を使うもの、畑は使わないものとはつきり割切つた形で今日までやつてつたのでありまして、これは世界農業の中でも珍らしいのであつて、やはり世界的に見れば、畑地の生産力を増すということは命やはり水を人工的に使うということが非常に農業技術の上からも革新を生むのじやないか、又一番端的に増産を得る方法じやないか、こういう点が畑地の土地改良として特に重要性を考えたわけであります。それからその次に、この法律を出したゆえんは、今の土地改良で、参議院でも恐らくそうだと思いますが、土地改良という基準になりまして、土地改良に対する助成というものは大蔵省が非常にやかましいことを言いますので、農林省の力ではどうしてもあの補助対象の面積というものは、一応五十町歩だということで固執しておるわけであります。そこで特例を認めても二十町歩だということで、併しながら今の農村の実情から参りまして、五十町歩以上の団地でなければ助成しないということは、これは非常に農村に不適当なことでありまして、大蔵省の言分に基きますと、監督が不行届きになるからということでありますけれども、実際申上げますならば、小規模のもので、その区域の農家がみずから自覚して労力奉仕までするというような形のものこそ、端的に増産ができるのであつて、大規模の五ヵ年計画、八ヵ年計画というものは、土地を荒したまま、却つて減産さえ来たしておる実情なんです。これを打開するのには、畑地灌漑のような、或いは地下水を使うとか、或いはもつと小さな用水を使うという小規模のものを特質とする。それから一つ打出して、そうしてこれに対しては少なくとも一団地五町歩くらいから補助の対象にしようということから、この法律から一歩崩して行こうじやないか、こういうような実は考え方を衆議院では持つたわけであります。従つて法律には書けませんので、これに対しては附帯決議をして、この法律を施行するのには五町歩単位にしよう、五町歩程度を最低として単位を下せということを附帯決議に付けたのも、そういう理由があるわけでありまして、そういうような点が特に特殊立法がたくさんできておる中にも、この法律をやはり出さなくちやならんのじやないかということが、第一の今の質問の理由であります。それから第二の問題といたしましては、今までの特殊立法というものは、予算を獲得するために、一つのその特色ということをはつきりそこへ出して、特異性というものをはつきり出して、予算を獲得しようというような意図に出たものが多いのでありますが、この畑地の問題につきましては、出発が少々違うのでありまして、最前申上げたように、畑地の改良という、いわゆる畑地に対して、水を使つた肥培管理をする方式を立てるということは、日本の農業の革新的な方向をとるべきものだという大きな問題であるにもかかわらず、今年度の当初予算を見ますると、たつた二千万円しか、とれてない。そのほかにこの前法律で通しました砂丘地域の分の六千万円として、合計八千万円、一億足らずの予算しかとつていない。これでは意味ないというので、曾つての予算修正の場合に、十億円の土地増産費の中から、二億二千万円を畑地改良として特に取上げまして、そうして予算の裏付をしたわけであります。さあ、そうなつて参りますというと、その予算を今のように五十町歩というような単位で機械的に大蔵省で抑えてしまつたら、これはまあ折角の予算というものが死んでしまうという点からも、この法律を出したのであります。その予算の裏付に対しては、そういう事情になつておるわけであります。どうぞ御了承願いたいと思います。
  50. 河野謙三

    ○河野謙三君 そこで私は農林省に伺いたいのですがね。まあその五町歩程度を基準にしてこの畑地灌漑を進める、私は大賛成です、併しこの予算の面に至りますと、先には砂地のいろいろな対策の問題が出ております。急傾斜の地帯の問題が出ております。特殊土壌の問題も出ているのであります。そういうものがすでに法案となつて、これを予算化さなきやならん問題がたくさんありますね。これを皆同様なウエートで扱つたならば、結局限られた予算を僅かずつほうぼうに顔を立てて分けるということになつて、私は却つてこの必要なところへ必要な金が行かないということになると思いますが、今までこの種の土地改良に属する法案がたくさん出ておりますね。今申上げたような砂地地帯であるとか、湿田地帯であるとか、急傾斜であるとか、こういうものを全部含めまして、一体どういう順位に農林省はお考えになつているか。私は少くとも今回一番あとから提案されたこの畑地の灌漑の問題あたりは、経済効果の面から言いましても、又この僅かな予算で非常に能率が上る点から言いましても、これらに最も私はウエートを置くべきではないか。この点で私はこの提案者の金子先生もはつきりつた。併し今まで通つたこの種の法案に対して、どういう順位でこのウエートを考えておられるか、これを私は伺いたいと思いますが。
  51. 小川孝

    説明員(小川孝君) お話の、従来ございました、従来すでに積雪寒冷単作地帯、急傾斜地帯、特殊土壌地帯、湿田地帯、海岸砂地地帯等の法律が通りまして以来、御承知のように、比較的小規模の事業がこの法律によつて施行されるようになつて参りましたわけでございます。畑地の地帯につきましては、予算措置といたしましては、極く僅かばかりの地区を、而も県営で施行するというものに限つてだけ若干の予算措置ができて参つたのでありますが、併し小規模のものにつきましては、殆んど施行いたしまして、それに対して国が助成をする途がなかつたわけでございます。この法律によつて小規模のものの施行ができるように努力をいたしたいと思います。なお地帯別について特にどれに重きをおくか、こういうことでございますが、私どもといたしましては、各地帯とも同じようなスピードで仕事を完成いたしたい、こういうような気持で予算案その他を作成しておるわけでございます。
  52. 河野謙三

    ○河野謙三君 我々もそれはもうみんな一緒に揃つて、日本のいわゆる土地改良ができることなら一番いいのでございますけれども、それは常に農地局でも毎年々々御苦労を願つておるように、財政面から言つてなかなか行かないのですよ。できないことを言つたつてしようがないので、どれを兄貴分に扱つてどれを弟分に扱つて行くか、そういうことについてそれは大体課長のほうで、専門家の腹の中にあると思うのですがね。いわゆる悪平等であつては私はいかんと思う。私がそれを申上げるのは非常にこれは賛意を表している。ところがやはり今までのものと同じように扱われてやはり二一天作の五で予算を分けるというようなことであるならば、これは目的はいいけれども、なかなか彼岸到達までに何年かかるかわからない。大体この対象になる畑地というものは全部でどのくらいありますか。
  53. 小川孝

    説明員(小川孝君) 御承知通り本日お配りいたしました資料でございますと、終いから二頁目でございます。先日お配りいたしました参考資料でございますと、多分一番終いに長い表がございます。それに府県別の畑地面積がございます。これは二十七年三月に農地局におきまして畑地の実態調査をいたしましたものでございますが、この表で御覧になりますように、畑地面積総体二百二十七万町歩ございますが、それに対して灌漑可能の畑地地帯、これが二十三万五千町歩でございます。そこでこの畑地の灌漑として考えられますものは、二十三万五千町歩から、先に海岸砂丘地帯としての法案の中におよそ含まれるであろうと思われる四万五千町歩ほどを引きまして、十九万町歩がこの対象になる地帯とほぼ推定できると思います。
  54. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、一応財政当局の言い分は別にして、この十九万町歩を農林省なり、提案者のほうでは何ヵ年でこの十九万町歩の対象畑地に対して灌漑施設を完成しよう。こういう御計画でありますか。同時にその十九万町歩の畑地を灌漑するための予算は今の物価から言つてどのくらいの予算を要しますか。    〔委員長退席、理事宮本邦彦君着席〕
  55. 小川孝

    説明員(小川孝君) 先ず事業量から申しますと、本日お手許に差上げてあります資料の四枚目でございます。四枚目にございますように総体が十九万町歩ございまして、一応反当り二万五千円程度かかる。こういう見当を付けておりまする二万五千円と申しますのは、現に仕事をやつております大規模の地区約十地区ほどの平均値と、更に小規模のもののモデル・ケースを考えまして、その標準設計と申しますか、こういうものをやつて見まして、両方からの平均値として二万五千円を出したわけでございます。
  56. 河野謙三

    ○河野謙三君 一応何ヵ年計画ですか、資料にあるかも知れませんが、私はまだ資料を読んでおりませんので……。
  57. 小川孝

    説明員(小川孝君) 私どもといたしましては、一応これを十ヵ年間に計画をいたしたい。従いまして私どものほうの、これは農地局で現在計画しております食糧増産五ヵ年計画というものもございますが、この約半数の五ヵ年間で完成をいたしたい。こういう計画と申しますか、希望を持つております。
  58. 白井勇

    ○白井勇君 関連しますが、そうしますと、法律で三十四年三月三十一日というのはどういうことを言つているのですか。附則の……。
  59. 小川孝

    説明員(小川孝君) 五ヵ年の問題は、従来先に出ております特殊法との関係で、すでに出ておりますものは五ヵ年の時限法ということで、それに倣つたと申しますか、そういうことでございます。
  60. 白井勇

    ○白井勇君 先ほど申上げましたように、同じことを繰返すようですけれども、やつぱり事業計画なりをお話願えませんと、早く進まないと思いますよ。
  61. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) そのことで五ヵ年にしたということは、御承知のように政府では十ヵ年の予定で食糧増産計画を立てておる。そういうものを立てているけれども、予算は少しも進まない、そういうことの矛盾と、大体今の日本の食糧事情で十ヵ年間なんと言つて夢みたいなようなことを言つてもしようがない。そこのところはこれだけ変化の多い社会においては、三ヵ年計画くらいを本当はやりたい。そうしてそれには十ヵ年計画を立てるよりも、五ヵ年くらいに一応切つて見たらどうか。提案者のほうといたしましては、一応政府立場にありませんから、一応計画で幾らとるということはできませんが、今度純粋の畑地灌漑の予算としては二千万円しかなかつた。それと最前申上げましたような、砂丘地帯に約六千万円と併せて合計八千万円しか畑地灌漑のものはない。而も県営の事業である。そういうようになつたときに食糧増産は達せられないというのて、この法律のできる前に、予算として十億のうちから特に二億二千万円を別に取上げたわけであります。その取上げた予算を今の法律の通り五十町歩なんという基準で使われちやしようがない、取りあえずこの立法をやつて、これを橋頭堡にして、もう少し土地改良に対して規模の小さい、実際に効力のすぐ上るものからやらせるという方向に改めさせようじやないか、こういうふうな政策的な意図が多分に含まれておるわけでございます。どうぞその点御了承願いたいと思います。
  62. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、これは結局あれでございますか。取りあえず五ヵ年間で幾ら金を使つて、幾ら増産になるということなんですか。
  63. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) そこでですね、増産計画を総体において五ヵ年の間に、十九万町歩なら十九万町歩終つて、そうしてそれを幾らの予算で完成できる、そうして純増産分が幾らある、こういうふうな計画を立てて行くのが建前である。だけれども、そういうふうな計画で、たつた今の政府のやつている十ヵ年間なんというふうなことじやこれは駄目だ。だからそういうふうなペーパー・プランよりも、先ず現実に増産の一番できる部面に対して予算を本年度使つて行こう、だから提案者のほうの気持といたしましては、政府でありませんものですから、最初こういう計画して行つて、そして何年で終るということも勿論考えなくちやならんが、差当りここの二億二千万円というこの重点をとつたこの予算を、どう有効に使わせるかということが重大で、実は出発したわけであります。
  64. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、大体わかつたのですが、ここにいろいろ言葉がありますが、私ちよつと疑問に思つてお尋ねしたいと思いますが、総合的計画に基いてという言葉がありますが、この総合的計画というのはどういうことを言つておりますか。それからもう一は、「生産の急速な増進を図る」ということがあるのですが、これはどういうことを意味しておりますか。その点……。
  65. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) ちよつと、総合的な問題と、もう一つは……。
  66. 白井勇

    ○白井勇君 それからもう一つは、急速増進でございます。それから強力な施策ということがございますね。それは非常に何か端的な効果を挙げるように私たちには見えるのですが、そこらちよつと御説明願いたいと思います。
  67. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 総合的なということは、こういうことを意味しておるわけであります。例えば、畑地灌漑なら畑地灌漑ということをやりますが、この畑地潅漑をやるときにますが、事業の形式的には当然区画整理も付いて来るかも知れない。或いは耕地整理も付いて来るかも知れない。或いは大規模の総合計画と結び付いて用排水の問題が出て来る。そういうことを総合的に、事業的には総合しなくちやいけないということが一つ、もう一つは畑地灌漑をやりました過去の経験を見ますと、農村の人たちが水をかければいいのだということで、農業技術を無視して、水さえかければいいのだということで失敗しておる例もありますから、常に技術指導ということで、いわゆる肥培管理と関連性を持つて行かなければいけない。そういうことと一緒にしなければこの事業は有効にならないということを考えておるわけであります。それから急速なというのは、御承知通り今までの土地改良事業というものが、急速な増産というものに対しては僅かしか効果を上げなかつた。例えば大規模の事業ですから、三年計画で始めましても、或いは五年計画で始めても、二ヵ年になつたら予算を切られてしまつた。これじや実際増産はできて来ないというものが非常に多くなつて、そのために問題を起しておるところもたくさんあるのです。それに対してこういうような小規模なる畑地灌漑のものは、農家が納得ずくでやりましたら、それだけ増産ができなければやらないということになります。一番確実に、今年水をかければ来年のおかぼの早魃というものは直接防げる、こういうような効果の問題を急速にという……。
  68. 白井勇

    ○白井勇君 それから強力な施策というのは……。
  69. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 強力な施策というものは、今までの考え方が畑地灌漑の重要性というものを一般農民も要望しているにかかわらず、政府は十ヵ年計画とか何とか、数字の中でたつた二千万円しかとつておらん。だから、予算措置を強力にやれという考え……。    〔理事宮本邦彦君退席、委員長着席
  70. 白井勇

    ○白井勇君 私はですな、これは先ほど提案者が一番最初にお話になつたように、大体今こういう地帯の畑地はこういうふうに改良すればいいのだとか、灌漑すればいいのだということは、大体政府でもわかつておると思います。そういうことだけ取上げて、そこを重点にやつて行くのだ。ですから県から一様に書面か、或いは希望が出て参りましても、そういうものは取捨選択をいたしまして、五ヵ年間なら五ヵ年間に最も増産の可能性のある、而も経費の要らない、そういう所を重点的にやつて頂きたい。一つもつと何と言いますか、計画的な、政府の力の入つたやり方をやつて行かなければならない、私はそう考える。そういつたことはやらないのですか。
  71. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 御説御尤もでございます。その点十分考えております。従つて一応の計画というものがありませんと、どれだけ事業費が要るかという予算的な面から、一応の計画は立てますけれども、実施する面になると、どこから実施するかどうかということになりますと、一番経済的効果が早く上ります事業計画の中からやつて行くのが一番妥当ではないかということを考えております。
  72. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、今のお話のように極端なことを言いますと、県から一様に書面が参りましても、そのうちの特に重点的のものを政府によつて選択することがあるということですね。そういうふうに書いているわけですね。
  73. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 重点的というか、経済的効果が速かに上るということですな。
  74. 白井勇

    ○白井勇君 もう一点伺つてみたい。第九条に、「農業改良計画は、左に掲げる事項を含むものとする。」ということになつておるわけでありますが、そうしまするというと、この場合の農業改良計画というものは、このほかにもつと元になるものがあるわけですが、元になるものは何だかという問題と、それからその二の、「必要な農業技術の改良」と言いまするが、これは主にどういうようなことを指しておりまするか。ちよつと……。
  75. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) これは私が申上げるよりも政府委員が申上げたほうがよろしいのじやないかと思いますが、今まで例えば農業改良普及員のようなものを置きましても、従前の農耕に対する指導を行うこととしておつてこういうふうな新らしく出発した農業に対する農業改良普及員なら改良普及員に対する示唆なり、或いは研修なり、研究というものが行われておらないわけであります。従つてそういう面にも総合的に考えたいというのがあなたの最後の点です。
  76. 白井勇

    ○白井勇君 前の点はどうです。
  77. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 前の点は何ですか。
  78. 白井勇

    ○白井勇君 「事項を含むもの」という、含ませる元があるわけですな。それは何ですか。
  79. 金子與重郎

    ○衆議院巌員(金子與重郎君) これは事務的なことなので、こういうことだそうであります。「農業改良計画は、左に掲げる事項を含む」という、要するに町村が農業改良計画を立てるときに、要するにおれの村ではこれだけの町歩があるという計画を立てるときに、そのときに畑地灌漑その他の土地改良、要するに畑地灌漑だけでなく、それに相当する土地改良の問題も、一応の条件の中に含むということで、そういう意味で「前号の事業の実施に伴い必要な農業技術の改良その他農業生産に関する事項」、こういうふうにやつて、それに附随して土地改良はこういうふうにするとか、或いはそれについて技術指導はこういうふうにするのだということを、計画の中に入れろと、こういう意味だそうです。
  80. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、政府におきまして農業改良計画というような、日本の農業改良計画というものは別に立つておるわけですか。そういう意味でない、ただ通称的の、これは通例語になつておるわけですか、この場合……。
  81. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 通例語であります。
  82. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私はこの案には全幅の支持をいたすものでありますが、遅きに失する憂いがある。今の日本の主食の状態で、今初めてこの畑地灌漑が食糧増産の大きな一翼として浮び上つたのでありますが、併し今のお話をじつと聞いておれば、この法案は二億五千万円の予算を合理的に使うためにというような言葉があつたのだ。私はそういう狭い考えではどうかと思う。この法律は今申上げましたように、食糧の増産の本当の大きな片腕となる法律であるので、農林大臣質問しても、とにかく食糧増産計画に対しては明確な答弁をしてくれんのでありますが、提案者もそういう小さい考えではなしに、私はもう少し大きく、単に今提案しているこの法律による食糧増産のみならず、総体的な食糧計画というものを私は根本的に樹立しなければいかんだろうと思う。農林省が今五年計画とか、十年計画とか、一年たてばすぐ十年に又戻る、これは国の計画でも何でもなく、これはほんの試案である。総理大臣も施政演説には食糧増産を強調しておる。私は衆議院としても提案者が中心となつて、もう少し日本としての計画というものを早急に樹立して頂かねばならんと思うのでありますが、提案者がただ単にこの法律を、今畑地に関する二億五千万円の予算を合理的に使用するためと、こう言明せられるのですか、どうですか。
  83. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今の御意見全く提案者も同感でありまして、今度は五年計画、今度は十年計画というようなぺ一パー・プランのおもちやでは増産できない。而も畑地灌漑のような重要な問題に対して原案が二千万円しかとつていない。これでは話にならんというので、予算措置に対してそういうことを努力したわけでありますが、ただ私どもはこの予算を有効に使うために、差当りこれを出さなければならなかつたということは今申上げましたが、それで足りているという意味ではなしに、ただ私は政府でありませんので、私どもは議員として努力したいが、私が政府立場でないから、来年もこれを継続してこういうふうに予算をとりますと、こういうふうには私ども申上げられなかつたので、ただ議員立法でありますから、提案者の立場としては是非これは必要だ、併しこの基準を折角大きく盛り上げたものを将来、又来年はペしやつと又二千万円台に下ろすようなことのないように努力して、この線を大きく生かして、お説のように努力して行きたいと思います。
  84. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私は議員提出としてこういう重要な大切な法律を提案せられる皆さんでありますから、来年においてこの法律の精神を生かす予算において、そう自信のないようなことを言われては非常に心細いのでありますが、これは一つそういう心細いことを言わずに、提案の責任責任と言うても少しきつ過ぎるかも知れませんが、その熱意を以て一つ来年は何でもやれるというようにやつてもらいたいのですが、そのくらいな熱意がおありになるかどうか。
  85. 金子與重郎

    ○衆議院厳員(金子與重郎君) 十分熱意を以てやつておるつもりでありますので、お説のように努力いたします。ただはつたりでなしに率直に、私が政府でないものですから、皆さんに嘘を申上げることは、嘘の結果になつてしまうと申訳ないですから、一旦獲得したものから、又来年はこうなることは絶対にさせないという腹構えを持つておりますが、全くその点は同感でありますが、私は責任者でないから、来年は断固取りますよということは遠慮して申上げなかつたのでありまして、覚悟は全くあなたと同感であります。
  86. 北勝太郎

    北勝太郎君 畑地灌漑を要する多くは傾斜地であろうと思つております。そこで傾斜地で畑地灌漑を有効にするにはテラス耕作をやらなければならない。その一反歩二万五千円という中にはいわゆるテラス耕作をやらすだけの費用を含んでおるのかどうか。テラス耕作というのは水田のような平地にする、階段状にして行くという耕作です。そうでなければ効果がない。
  87. 小川孝

    説明員(小川孝君) 先ほど申しました二万五千円というものの中には、今のお話のような土地をならすという、そういう費用は含んでおりません。ただそういうものは別途に耕地整理と申しますか、或いはならす別の費用を考えなければならないものと考えております。
  88. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 附加えますが、そこで今のこの法律の中に幾つも出ておるように、ほかの土地改良と常に組んで行かなければできない、こういうことを表示してあるわけであります。
  89. 北勝太郎

    北勝太郎君 テラス耕作を含まずにやるということになると、水は非常に不経済になる。従つてこの畑地灌漑事業というものは採算割れをすることになる、こういう工合に考える。そうして又その効果が非常に薄い。どうしてもこれは両方伴わなければならんものだと思うのでありますが、別の方法と言つても、土地改良等でそういう仕事もやらせるお見込であるのでありますか。
  90. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) そういうことであります。組ましてやるということであります。
  91. 北勝太郎

    北勝太郎君 資金がなければできないのでありますが、その資金の問題に対してどうですか。
  92. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) それは今の融資が一般土地改良のほうにありますので、融資で行きたいと思つております。
  93. 北勝太郎

    北勝太郎君 このテラス耕作をやるにはどうしても農具が伴わなければできない。かなり大きな動力の農具が要るのでありますが、そういうことに対して何か御用意がありますか。
  94. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 大規模な水平耕作をやりますということにつきまして、大事業的に機械までを考えるということは差当り提案者としては考えておりませんが、差当りの問題としましては、その地ならし工事というものが、そう大規模でなくとも僅かな工事費でもできる地帯もたくさんありますので、差当りはそういうふうな最も安易なところから始めるよりほかないのじやないかという程度のことで今考えております。
  95. 北勝太郎

    北勝太郎君 実は土地をならすということは実に大きな力が要る。たつた一坪の土地をならそうと思つても、我々はそんなものは朝行きまして晩までに片付けるぞというような考えで行きましても、実は十日もかかるというほど労力が余計要るものなのでありまして、どうしても機械を伴わなければできない、こう思うのでありまして、この仕事は大変根本的には賛成でありますが、中途半端でなしに徹底的に、又科学的に一つ効果のあるような金の使い方をさしてもらうことが極めて必要であろう、又増産の上にも必要であろうと、こう考えますので、一つもつと広く考えて構想をおいてもらいたい、こういうことを希望しておきます。
  96. 松浦定義

    松浦定義君 議事進行。大体本法案はいろいろ各委員の御質問を聞いておりますと、遅きに失したというような御意見もあるように、従つて政府におかれましては本法案実施はもう重要な農業政策として取上げなければならん問題で、幸い議員提出で出されたことにつきましては、非常に政府も一抹の責任はあると思うのです。従つて委員長が先ほどから、今明日中の各法案の審議等、いろいろの面から相当時間的のあれもあるように思われますので、特別な委員のかたの御質問のない限り、大体もう質疑は打切つて、討論、採決というふうにお進めになられるならば非常に結構でないかと、こう考えますので、お諮りを願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  97. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 只今松浦委員から大体御質疑もないようでございますので、質疑を打切りまして、直ちに討論採決に入つてはどうかという動議の提出がありましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、質疑はこれで打切ります。  質疑は尽きたわけでありますので、討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを頂きます。
  99. 白井勇

    ○白井勇君 私は本案に賛意を表します。ただこれにつきましては、先ほど提案者が確認しておられましたように、最も急速に而も少い経費を以て効果的にこの増産の目的を達上得るような運用を必ずやるというお話でありますので、それに期待をいたしまして賛意を表するわけであります。
  100. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 私もこの法案には大賛成であります。併しながら先ほど農林当局の御説明によりますと、畑地潅漑をやるべき土地が全国で約二十万町歩ある、二万五千円かかるとすれば、経費が五百億になるはずであります。併しながら現在の予算を承わりますと、二億五千万円というようなことを承わりましたが、大変な僅かなものであつて、これを全部をなし遂げるのには相当年数がかかる。然るにこの法案を見ますというと、三十四年に大体効力を失うことになつておりますので、この法案が成立いたしました暁には、農林当局は是非この予算のほうの裏付を十分御考慮になることを希望いたしまして、本法案に賛成いたします。
  101. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 他に御発言もありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。畑地農業改良促進法案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  104. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等諸般の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  次に本案を可とされたかたは逐次御署名を願います。   多数意見者署名     森田 豊壽  宮本 邦彦     白井 勇   雨森 常夫     佐藤 清一郎 関根 久藏     重政 庸徳  横川 信夫     上林 忠次  北 勝太郎     河合 義一  戸叶 武     松浦 定義   —————————————
  106. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  107. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。議題に追加いたしまして、かねてから委員各位から御依頼のありました農林中央金庫の件を議題といたします。もう今日大分時間も過ぎておりますが、先ず農林中央金庫当局から総括的の説明をお聞き願います。なお速記は止めたほうが却つて円滑な話ができると思いまするから速記を止めまして懇談の形でお願いいたします。これより懇談会に移ります。    午後五時三十一分懇談会に移る    —————・—————    午後六時三十四分懇談会を終る
  108. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) これにて懇談会を閉じます。本日の委員会はこれで散会いたします。    午後六時三十五分散会