運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-07-30 第16回国会 参議院 農林委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三十日(木曜日)    午前十一時三十四分開会   ―――――――――――――   委員の異動 七月二十九日委員野溝勝君辞任につ き、その補欠として河合義一君を議長 において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君            小林 亦治君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            清澤 俊英君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木  一君            鈴木 強平君   衆議院議員            金子與重郎君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   政府委員    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農林経済    局農業協同組合    部長      谷垣 專一君    農林省畜産局長 大坪 藤市君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   参考人    農林中央金庫理    事長      湯河 元威君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○畑地農業改良促進法案衆議院提  出) ○臨時硫安需給安定法案内閣送付) ○農林漁業組合連合会整備促進法案  (内閣提出衆議院送付) ○有畜農家創設特別措置法案内閣提  出、衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から委員会を開きます。  先づお諮りをいたしますが、昨日農林中央金庫江沢理事長の発言中、金庫経理の機密に属する点について、同君の希望により、速記録から削除せられたいという申出があり、削除個所委員長に一任するという希望がありましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではさよう取計らいます。
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、畑地農業改良促進法案議題といたします。本法律案は七月二十八日衆議院議員金子與重郎君ほか二十四名発議、予備審査ため提出され、去る二十九日衆議院原案通り通過、同日本委員会へ本付託となつております。先ず提案理由の説明を求めます。
  5. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今議題と相成りました畑地農業改良促進法律案提案理由を御説明申上げます。  御承知ごとく、我が国耕地面積約五百万町歩のうち、畑地面積は二百余万町歩にも及び、水田面積にも匹敵する面積として広く全国に分布しているのであります。然るに、従来は畑地農業につきましては、一般的に灌漑施設がなく自然の降雨によつて灌漑行つている状態でありまして、栽培技術及び栽培品種も固定化し、又その豊凶は専ら自然的な降雨条件によつて左右せられる結果ともなり、農業生産力は一般的に低いと言えるのであります。そこでこれらの畑地のうち、河川若しくは溜池又は地下水により灌漑し得る可能な畑地に対し、農業改良計画によつて灌漑施設設置その他の土地改良及び農業技術普及改善を行うことにより、土地利用高度化を図るならば、比較的短期間のうちに飛躍的な増産効果を発揮し得ることば全く疑う余地がないのであります。又これらの地域における農民は、今まで食糧生産に貢献して参りましたが、今後強力な施策によつて米穀その他の農産物生産の増強に精進するのは勿論、農業経営の安定を得て健実なる農村の創成を見ることは明らかであると申さなければなりません。  この問題の解決に資しまするために、ここに本法律案提出いたした次第でありますが、以下その内容の主なる点について申述べることといたします。第一条は、本法律案目的を規定いたしております。即ち畑地地域に対しまして総合的な計画に基き事業実施して、灌漑施設設置すると共に区画整理客土等土地改良事業を施行し、耕種改善等農業技術高度化を図ることによりまして、急速に生産効果を挙げ、食糧その他農産物増産に寄与することを目的といたしております。第二条は、この法律で言う畑地地域内容を謳つたものでありまして、畑地の土じよう即ち砂土、砂じよう土及び火山灰土、それから地下水位その他の事項は、政令で基準を示し、且これらの畑地が集団的に存在しなければならないこととしました。第三条から第十二条までの各条は、湿田単作地域農業改良促進法に準拠し、第三条に農林大臣地域指定を、第四条に都道府都知事の区域指定を、第五条、第六条、第七条、それぞれ市町村長都道府県知事農林大臣の定める農業改良計画を、第八条に事業実施に必要な経費を、第九条に農業改良計画内容を、第十条に農業改良計画実施を掲げております。それから第十一条及び第十二条に畑地農業改良促進対策審議会設置及び権限並びに審議会の組織を規定した次第であります。  以上簡単に御説明申上げましたが、何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことを切望いたします。
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本法案審議は後日に譲りたいと思います。    〔委員長退席理事宮本邦彦委員長席に着く〕
  7. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 速記を止めて。    〔速記中止
  8. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 速記始めて。次に、臨時硫安需給安定法案議題といたします。本法律案は七月二十五日予備審査ため内閣から提出、本委員会に付託されました。先ず提案理由を聞くことにいたします。
  9. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今議題となりました臨時硫安需給安定法案提案理由を御説明いたします。  硫安化学肥料の大宗として我が国農業の最も主要な生産資材でありますことは申すまでもないところであり、その需給調整価格の安定を図りますことは農業経営の安定と農業生産力の発展にとりまして欠くことのできない事柄であることは申すまでもありません。ここにおいて政府におきましては、御承知のように肥料対策委員会を設けてその対策審議して頂いたのでありますが、その答申に基きまして別途に本国会に提案されまする硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案による合理化促進による生産費の引下及び輸出の振興の措置に対応いたしまして、国内需要量の確保と国内価格の適正な水準による安定を図りますため措置を講じたいと考え、この法案提出した次第であります。  次に、本法案内容概略を御説明いたします。先ず、政府硫安生産業者生産費権限を以て調査いたし、生産費基準として農産物価格その他の経済事情を考慮して適正な水準でその販売価格を公定することにより、いわゆる出血輸出による国内消費者えの転嫁を防止しようとするのであります。次に、輸出に当りましては、国内需要を十分に確保することを前提といたしまして、国内消費見込量のおおむね一割を調整用として保留することとし、これを適当な団体に買上げ保管させると共に、なお輸出に向けられる硫安の数量を、政府の承認にかけて内需の増加に備えると共に、季節的調整輸出円滑化に資することにしたのであります。第三に、これらの措置の適正且つ円滑な運用を期しまするため硫安審議会設置いたしまして、硫安需給調整並びに価格の安定に関する重要事項につきましては、関係大臣の諮問に応じて調査審議して頂くことといたしております。  以上がこの法案提出理由並びに内容概略であります。何とぞ慎重御審議上速かに可決されることをお願いする次第であります。
  10. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 本法律案審査は後日に譲りたいと思います。休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩    ―――――・―――――    午後二時七分開会
  11. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 午前に引続きまして委員会を再開いたします。  他の議案がありまするが、先ほどの理事会で大体決定したことを御報告しまして御了承を願いたいと思いますが、本日の大体の予定は、農林漁業組合連合会整備促進法案質疑を続行して討論採決に入たい。続いて有畜農家創設特別措置法案、これも質疑がまだ残つておるようでありまするが、これも質疑を続行して、できれば採決に入りたい。なお本会議報告の都合もありますので、最後に陳情請願について御審議を願いたい。大体そういうような理事会の決定になつておりますので、御了承願いたいと思います。  なお、明日はまだたくさんの法案が残つておりまするが、併し会期延長関係も全然まだわかりませんが、明日は残つた問題をできるだけ審議をして、その後の処理方策につきましては、又明日御相談をいたしたいというふうに考えておりますので、御了承願いたいと思います。  それでは農林漁業組合連合会整備促進法案議題といたします。  本法案に関して今日まで多方面に亘る質疑がなされ、大体出尽したようでありまするが、残されておる問題は、連合会整備促進に対する金融機関援助の問題について御質疑が残つておるようであります。今日までの政府の答弁によりますると、整備計画の作成に当つて、又審議会における審議の際に、金融機関援助計画は個々の場合ごとに具体的に明らかにされると述べられておりまするが、この点につきましては、本日は、昨日御了解を得ましたように、農林中金当局から理事長出席をされておりますので、先ず農林中央金庫当局に御質疑を願いたいと思います。
  12. 北勝太郎

    北勝太郎君 農林漁業組合連合会失敗は、勿論連合会自身経営にも大きな欠陥があるのでありますが、併しこの失敗単協又大いに反省しなければならんものがあると、こういう工合に考えるのであります。単協整備促進は一応できたのでありますが、それが今なお実は単協には大穴をあけだのがたくさん出まして、我々のほうでも実にびつくりしておるようなのがたくさん出ておるのであります。僅か五、六百月の組合で七千万円或いは八千万円というような大きな赤字を出して、もう手にもおえんというようなことになつておるのでありますが、私は実は追放関係暫らく連合会にも、協同組合にも関係がなかつたのですが、今度いよいよ役員になつて……、連合会役員ではありませんが、単協役員になつて、そしていろいろ組合状況幾らかわかるようになつて来たのでありますが、そこでいろいろ調べて見ますというと、実は相当いい組合だとして表彰されておるような、立派な組合と言われておる某組合でありますが、それでなお且つ組合が月に亘万円ずつの人件費を使つておる。月に百万円でありますから年に一千二百万円、六百戸で一千二百万円になると、平均して実は単協人件費負担農民に二万円ずつかかつておる、こういう実情であることがわかつたのであります。それに更に、或いは共済事業負担金だとか、或いは家畜共済、又火災共済から、組合生命共済、いわゆる生命保険でありますとか、それから土地改良負担、或いは健康保険負担、こういうようなものを集めますと、実に農民負担は大きいのでありまして、農民がよく、折角農地の改革をしてもらつたけれども、転落者がぼつぼつできておるというのは、私はやはりそういうところに原因があるように思われるのであります。そこで、さつき申上げましだ人件費が月百万円かかつておるという組合でありますが、それが百万円かかつておるため組合事業のあらゆるところに無理がかかつておる、利子も高くとる、肥料も、実は儲けられるもので儲けなければいかんというので、実にそれは人がわからんところで大きに儲けておる、こういうような結果が出て来ておるのでありますが、そんな工合にしておつて、実は北海道ごときは、各組合組合長は殆んど上級組合役員になつておる、まあ殆んどというか、半数以上はなつておる。いわゆる連合会縦割りなつために、たくさんの役員が各組合ごとに出ておる、こういうような関係組合長は余り常勤できない、自分の組合に常勤できない、こういうようなこともありまして、頗る能率が上つておらん行き方をしておるのであります。私ども実は今まで中間搾取を排除しなければならんというので組合を作つたことを覚えておるのでありますが、今はむしろ組合人件費に追われるため中間搾取をむしろ組合がやつておるような形で、個人経営でありますと、店屋のごときは朝早くから夜遅くまで勤めておるのでありますが、組合労働基準法関係で八時間しか働かない、こういうような関係等も手伝いまして、随分大きな人件費がかかつておる、こういう状況になつておるのでありまして、経済問題では農村あたりではすでにもう戦いは最初から負けておる、こういう気持がするのであります。こういうような状況で、いわゆる各方面に、まあとれるものでとれというので、各方面に非常な無理がかかるというようになつておるのであります。そこで組合側で思い付いて二、三年前からやつておることはどういうことかというと、たつた一つぱ指導事業を例にとつて見たいと思うのでありますが、その組合では実は指導事業で百万円農家から金をとる、いわゆる非経済事業ですか、非経済事業という負担金を分担させる、それが百万円丁度とることにしておつたのでありますが、その百万円をとるためにどんなことをしたかというと、実は町村勧業費を全部引いて、経済事業の予算のところをみんな持つて来てそのままある、そうして百万円とる、そうすると、百万円とるのはどういうことかというと、組合赤字をそういう方面において負担させる、上手に負担させる、そういう行き方をしておる現状を見たのであります。これではどうもいかんがというので何したのですが、私は思い切つて指導事業というものを組合がやめたらいいと言つて指導事業をやめて、その代りの方法を講じてやつたのでありますが、百万円の負担はかけないということにした。ところが全農民は非常に喜んで、双手を挙げて、そんなうまい方法があるかというぐらいに非常に喜んで附いて来てくれたのであります。そういうような状況でありまして、実は人の知らないところで利益をとつてでも組合赤字を埋める、それから成るべく組合が経済問題に専念して、いろいろな人件費節約をするとか、或いは安く物を仕入れるとか、或いは金利を安く農家に貸すとかいうようなことは第二にして、そうして経営のやすきを狙う、いわゆる財源がありさえすれば楽な経営ができる、赤字が出たらこれを組合員に分担させるというような途を講じておるのであります。これはちよつと内部を知らんかたは書類で見られても私はわからんと思う。政府で若しそういう計画書内容等を御覧になりましても、恐らくあの書類ならばわからない。町村事業がそのまま載つておるのだから、町村勧業費が仮に二百万円あるというと二百万円をそこに載せますからして、如何にもそういう事業をやつておるようにして金をとる、こういう無理なことまでやらなければならんというようになつておるのであります。そういう結果は、実は組合に集まるべき金が集まらないで……。
  13. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと北委員に申上げますが、農林中金の御質問に差当り一つ限定してやつて頂きたいと思います。
  14. 北勝太郎

    北勝太郎君 先にまあ政府に申上げて、あと農林中金に意見を聞きたいと思う。そこで、そんな工合にしまして、組合員は実は金がある者は組合に余り寄りつかないようなことになつておる。私はいろいろ考えて見るのですが、恐らく農村の金が銀行と、或いは近頃は郵便局、或いは又何と申しますか、個人金貸業というようなところに発展して行つてつて組合に金が寄らんというようなことになつて来ているのではなかろうか。こういう工合に考えるのであります。そこで、是非一つ組合人件費を節減する。どういう工合にしたならば合理的な経営ができて、これだけの人間でできるのだというようなことを考えてやることが、いわゆる協同組合が健全に発展して行けるゆえんである、今日のごとく、どんどん官庁のように人をたくさん並べれば、部下をたくさん並べれば組合長は偉い者になつたような気持でやつたり、又役人の真似をして盲判を押しているようなことでは到底いかんのでありまして、経済事業というものは、そんなものではいかんのでありまして、そういう方面について何か考えて、いわゆる基礎組合である単協が堅実なものになるように考えてやらなければならんと、こう思うのでありますが、こういう問題につきまして、何か当局のほうで、実際は全国的にそういう傾向があるとか、それはもうほんの北海道の一部だけの話だというようなことでありますならば、その関係を知りたいと同時に、今全国的に組合人件費が一組合員当り幾らくらい平均してかかつておるか、そういうことも概算でいいからおわかりになつたら聞かして頃きたいと思います。
  15. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 人件費が非常に経営費の部門におきまして過大になつておる、これは確かに一つの現在におきます協同組合の悪い特徴であろうかと思います。この点は一例を申上げますと、今のお話単協でございましたけれども、県連の事業連段階等を見まするというと、極く大ざつぱに申しまして、再建整備を始めました当時以前の人間の数と現在におきまする人間の数、そこに働いておりまする人の数とは、数の上から申しますと、平均的に申せば、大体三分の一近いところにまで実は人の節約ができておるというような状況になつております。それは逆を申しますれば、非常にその間に再建整備等指導を通じまして、過大な人というものが漸次整理をされまして、本来の形に直りつつあるということが言えるかと思うのであります。このことは単協におきましても、そういうことが言えるかと思うのでありまして、勿論御指摘のように、いろいろと現在の人の整理等はむずかしい事情がございまするけれども、とにかく前に統制的な事をやつておつたりいたしておりました当時に比較いたしまして、よほど経営の面に力を注いで行かなければならないという点につきましては、事あるたびに注意を促しておるような次第であります。これに対しての対策と申しましては一いろいろあるのでありますが、今御指摘のような単協は、恐らくこれは単協としましても、信用事業も営んでおる大きな組合だろうと思うのでありますが、これは御存じのように、毎年一回ずつ定例の検査をいたしておる状況でございます。御指摘のように、なかなか思うような、極く内部の微細な点に入りましてまでの検査に対しましては十分これからも研究をいたさなければなりませんけれども、併し引続いてやつておりまする検査の結果から見ましても、かなり人件費等に関しましての平常の経理よりも過剰になつておるようなものにつきましては、その都度実は指摘をいたし、これの改善を窓通しておるような次第であります。又経理基準等を示しまして、そういうものが一つ目度となつて動いて行くようなことをやりまして、これを指導しておるというように、又ときどき経営の任に当つておりまする役職員諸君等にお集まり願いまして、いろいろそういう経営面につきましての再講習と申しますか、集まりましての講習等を開きまして、その都度注意を促がしておるような次第でございます。今後ともに御指摘のような経営における改善ということは十分やつて行きたいと、かように考えております。
  16. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 重ねて申上げますが、できるだけ農林中金関係の問題を……。
  17. 北勝太郎

    北勝太郎君 ええ、関係があるから申上げておるわけです。次に承わりたいことは、今の信用事業を預かつておるところは年に一回の監査をしておるというお話でありますが、実は年に一回ぐらいの監査組合内容は一々煩にしてわかるものじやないと僕は思う。先ほども申しますように、例えば指導事業に、如何にも指導事業をみずからがやつておるかのごとく、町の勧業費をそのままそこに移してやつてつても、書類の上で審査する上において恐らく当り前のものだと思うから、そこで私どもの目から見ると、非常に困つたことをやつておると思うが、それが最近表彰されておる、二回も表彰されておる、こんな点を見ますと、監査ということぽ、そう簡単に目が届くものじやないのだという工合に考えられるのでありまして、こういう点につきましては、もつとしつかりした監査技能を持つておる人に一つ調べてもらうことが必要じやないか、こういう工合に考えますが、更に私はもう一つ人件費を減ずる方法としては、実は官庁指導中金等の金を貸す条件、こういうようなものについても、余りにも繁文縛礼で人が要るようになつておるのじやないか、こういうような憂えがあるのであります。例えば金を借りようとするならば、実は五枚も七枚も書類を作り出して行かなければならない、農村にはそう書類の作り方や何かで上手な人がおるわけじやない、従つてそういうもののために無用な人間を養つて行かなければならないというようなことがあります。又これは小さいことのようですけれども、中金あたり、或いは政府資金等を流す場合におきましても、今長期資金を貸すときには政府保証があるにかかわらず、組合役員全部の判をとつておる、これはまあ連合会等におきましては、北海道は随分広い地域でありますが、その役員の全部の、二十人も三十人もおる役員の全部の判をとつてもらうためにどれだけの経費がかかるか、どれだけの人がかかるかというようなことも一つこれは考えてもらわなければならん。而も長期資金においては二年や三年の役員の任期の人に十年も十五年もの保証を負わせるということは、これは実に無理な話だ、役員終つて十年もしてから、実はあの借金の返済がうまく行かなかつたから、そこで親交の代のことを子供の代へ行つて、その弁償をせよというようなことをやられても、これは大変でありますし、又そういうことは言うだけであつてできない。そういうような、ちよつと気を付ければ組合人件費を少くして行くことができるにかかわらず、さつき言うような、ちよつと不合理のような、二年や三年の役員にそれに十五年分もの保証をさせる、全部連帯責任印鑑証明をとつて来なければならんというような行き方、これはただ一例に過ぎませんが、こういうようなことは、政府保証しているのでもあるし、貸すほうではそんなに心配せんでも差支えないのじやなかろうか、だからまあ用心の上から言えば、それに越したことはないかも知れませんが、それがために非常な単協人件費を余計使う、又連合会にしてもそうだと思います。こういうような人件費余計便うということになつて、そして人件費が膨脹するゆえんになる。だから人件費を少くするためには繁文縟礼を避けて、簡素な方法一つ事務をやらすことを根本に考えてもらわなければ、今後の地方の農業協同組合というものは立つて行けんのじやないか、人件費において到底立つて行けない、もう戦わずして最初から負けだということになつておる。若しそうだとすれば、幾ら私は整備促進で金を出しても、又単協のかたまつておるところの連合会整備促進で金を出しても、これはもう焼石に水というようなことになるのじやないかと考えられるのであります。政府当局として、もつと組合事務を簡素にして、又中金等において金を貸されるにも、そういうような下のほうではそんな非常な不都合があるのだ、而もそれがため人件費がたくさんかかつておるというようなことに思いをいたして頂きまするというと、これはこの点はこういうところまで簡素にしていいのじやないかということが起り得るのじやないかと考えます。先ず人件費節減ために、そういうことを考えてやつてもらわなければならんと思います。そういうことができるかどうか、又私はそんなことは言うけれども、それは実際金を貸す上において、そんな貸し方をしたら駄目なんだというような理由等がありますならば承わつておきたい。
  18. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 非常に大きな欠損を出しておるところを表彰したというようなお話がありましたが、どういう事情でありまするか、そういう点で十分な監査ができていないようなものがありましたならば、これは甚だ恐縮すべきことなんで、今後も十分に監査の能力を増して行きたいと思います。それにつきまして、これは役所の監査能力のみでは、全国に非常にたくさんの数のございまする協同組合経営内容一つ一つ調べるのは実は大変な大仕事であろうかと思うのであります。むしろ組合自体におきまして、組合内部におきまして一種の自己監査と申しまするか、そういうような意味の監査能力を持つて頂く、これは組合にはすべて監事がございます。監事は当然に今のようなことに至るまで監査をして頂くべき筋のものであろうかと思います。それが十分に行われていないということであろうかと思いまする炉、これは問題は組合自体の一つ問題として取扱つて頂く部門もかなり多かろうと思うのであります。又行政庁のほうでいたしまする監査以外に、例えばこのたび御審議を願うように予定いたしておりまする協同組合中央会等の組織を通じまして監査の特別の能力を殖やし、又監査指導を十分にやつて行きたいというふうにお願いをいたしておるわけでありまするが、ああいうようなものも、これから活躍をして行くようなことを考えて行く必要があろうかと思つております。それから人件費節約に関しましては、勿論いろいろな形においてこれは考究すべき問題があろうかと思いますので、こちらのほうといたしましても、今後ともに研究を重ねて行き、一つ一つ改善をいたしたいと思うのでありますが、御指摘のように、併し悪い組合のみではないのでありまして、非常に単協といたしましてもよくやつておるところが実はあるわけであります。そこらの例も一つ組合同士の間で勘案いたして頂き、又私たちのほうもそういうような資料等をお示しするようなことによりまして、向うのいいところをとつて頂くということがありまするならば、これは組合内部のやり方といたしましても、私は十分にやつて行ける余地がまだまだ多かろうと思うのであります。勿論融資その他、融資だけにとどまらんと思うのでありますが、いろいろな報告を求めたりするようなことがいろいろございましようと思いますが、それらの点につきまして十分に研究をし、又一つ一つそういう問題が大きな経営上の負担にならないようにやつて行きたいと考えております。
  19. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 只今北委員からお尋ねのございました借入についての厄介な手続等があつて、そして人手がたくさんかかつて面白くない、こういう御指摘でございまして、さようなことは我々としても極力排除すべきことだと存じております。御指摘の中に一つ長期の借入をするのに保証人が全員要求されておるが、それを判をとつて廻るのもえらいことだ、又代る役員保証をもらつたつてしようがないじやないか、こういうような御指摘もありましたので、一面さようなお気持になられるのは御尤もかと存じますが、何と申しましても、国民の租税その他から出て参りまする農林漁業金融公庫の資金を、私どものほうで公庫のために御委託を受けまして御融通をしますにつきましては、公庫との間に業務方法書というものでやり方をおきめ頂いておるのであります。もとより業務方法書はよく御相談をして悪いところは直せるものではございます。ございますけれども、今日の段階におきまして、やはり長期の資金を御融通いたします場合には、よほど将来のために安全にしておかなければならないというので、或いは担保をしつかりとるように、或いは保証人をとるように、或いはそのどつちかを、担保もとれないときにはせめて保証人をとるようにというようなお指図がございますのであります。この点お借りになるかたのほ、から言うと随分御厄介なことかとは思いまするけれども、又お扱いするほうから申しますると、保証人の判をおつき頂きますと、そのかたは本気になつてそのお仕事のために尋来長くいろいろと御注意を頂ける、我々はもとより本当に行き詰りましたときには、保証人にどうこうして頂くということはこれはもう担保と同じく必要なことだとは存じまするが、それももとよりでございまするが、日頃十分お気を付け頂くという意味も込めまして、役員のかた等に責任を感じて頂くということでお願いをいたしておりまするので、普通の金融常識から申しますると、長期のものはよほど確実にしておかなければ危ない。ましてこれは政府の公庫にお渡しになつだ資金をお扱いしておりますので、その点を気を付けておるのでございます。併しこれらの点につきまして、大丈夫のときまで、その必要がないときまで、無理に形ばかりを追いまして御迷惑なことをすることは、これは事業方法書にも、必要があればそれは外すことができることになつております。それらの点もよく心得まして、御指摘のような事態を極力回避するように努力したいと考えております。
  20. 北勝太郎

    北勝太郎君 短期資金であれば全員から判をとるということも、これはその金の使い方を責任を以て使わすために必要かも知れませんが、十年、十五年の長い、長期資金を貸す場合において、一年か二年か、もう残任期一年か二年しかない人の判をとつたところで何にも合理性がないと思う、保証をするため合理性がないと思うのであります。一つ将来よくお考えを願つて改善を加えられるところまで改善をして頂いて、そうして単協或いは連合会等が無用の経費を使わないようにさぜるようにお願いをしておきたい。それから次にお伺いして見たいことは、これは私の疑問なんでありまして、皆さんからお笑いを受けるかも知れませんが、実はこの間からのこの委員会でいろいろお話があつたのですが、いわゆる協同組合指導事業まですることがこれは理想だと、こういう工合に言われておるのでありまするが、勿論それは理想かも知れません、併しながら事業の性質から言いまして、これは単協の経済的基礎を危くするものだ、私はこう思う。いわゆる経済事業という純然たるそろばんに載る仕事と、それから指導事業というものはこれはどうしても補助助成というようなことを伴わなければできない。そこで補助助成を伴うというそろばんに合わない仕事をやつて行かなければならない。ところが組合の総会等におきまして、これはまあ丁度議会が随分いろいろな……そう言うと議会から叱られるかも知れませんが、いろいろな法律案を作つて政府或いはほかに随分無理な御注文をしておるようでありますが、それ以上に組合の総会等におきましては、組合の力があるだけは持つて帰る、いわゆるむしり取りをしようというような傾きが指導事業の補助助成というようなものにつきまとつておる。私はまあ三十年も協同組合をやり、或いは同じく三十年間農会長もやつたのでありますが、そういうことをやりながら、いろいろ組合の総会等にそういう問題があると、指導事業というような仕事までは大きな意味における指導、これは経済的指導、精神的指導、これは組合が当然やらなければならんけれども、小さい技術上の指導までこれは協同組合でやるべきじやない。むしろ農会という別の会計のところでこれはやらすべきものである。又そういうことには町村の補助或いぱ地方費の補助等も関係するのでありますから、従つてそういうところでやらすべきものだ、若し諸君の言うごとく、そんなところまでやつたならば、組合の基礎はみんなむしり取られて堅くならないという心配があるということを申上げて、今までそのほうは別のほうにやつてもらつておつたのであります。そういうような関係等を考えて見まするというと、これは実は指導事業をやるのは一概にただ理想だと言つて行くべきものではないのではないか、いわゆる指導事業までやる頭の人と経済事業、徴密な経済事業ということに頭を入れて行く人とは人の質が違うのじやないかというふうに考えるのでありまして、単協指導事業までやらすことは単協の基礎を危くする心配がある。そこで指導事業経済事業との間にはどんな関係があるか、識者のうちには随分日本全体的の統計等も出ておるだろうし、いろいろな観察もしておる、学者の説もあるだろう、こういう工合に考えるのでありますが、例えばこの春北海道で或る連合会が、これは名前を申上げてもいいのですが、酪農販売組合連合会というのがある。これは指導事業と一緒に兼ねてやつたために実は大赤字を出した、立つてから僅か二、三年たつた連合会でありまするけれども、これは驚くなかれ実は表面に出たのは三千七百万円の赤字でありますが、僅か一千万円の組合で三千七百万円の損を総会に出したのであります。それを実質的に調べて見るというと、信連が金を貸しておる、信連の専務が来て、実はここに出ておるのはこれだけであるけれども、こんな数ではない、少くともこの三倍あるのだと言われた。大勢に言われたわけじやないが、私にそういう工合に言われたことがあるのであります。その金は信連が損をする、信連が損をすると同時に、それは中金の損にも又なつて来るはずであります。で、或いはこれは政治的に指導方面に金を出した関係であるかも知らんが、これは私は由々上い問題であつて指導事業協同組合がやるのは理想だと言つて、この純然たる経済事業のものに、そういうような政治的意味を含めたものまでやることは、実はこれは組合の基礎を危くするものだというふうに私自身としては考えておるのであります。何かそういうことに対して定説があるか、或いは統計的に見ても、そういうことをやつたところがうまくなかつたというようなことがありましようか、ありませんか。一つ政府当局からこの問題について遠慮のないところを聞かして頂きたい、いわゆる単協の病気の因をなくすることを考えなければいけないそうでなければこれは幾ら整備促進を何回やつても同じことを繰返す、こういう工合に思うのであります。何かその指導事業経済事業との間に関連して、どういう問題があるかということを一つ聞かしてもらいたい。
  21. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 只今指導事業についてのお尋ねでございまするが、御承知通り、或いは御指摘通り指導事業にもいろいろ種類がございまして、又それについての考え方ということについても、いろいろ諸説粉粉としておるというふうに我々も承知しております。ただ農林省といたしまして、協同組合指導事業ということについて考えておるところを極く概略申上げまして御参考に供したいと思います。第一は、指導事業と申しましても、いわゆる指導事業経済事業と分けた場合の指導事業と言いました場合にも、経済事業に必然的に関連して必要となつて来る指導事業という部面が当然あるわけであります。殊に日本の農家のような場合におきましては、純粋な経済事業指導事業とを全く区分して、別の制度、別の団体が取扱うということについては、必ずしも簡単に割り切れないものがあるのではないかと思うのであります。それから純粋な指導事業と申しまする例えば技術指導という面につきましては、農林省の考え方といたしましては、これはむしろ生産技術の指導ということについては、国或いは府県なりその他の公共団体が財政支出を持つて行うべきものであるという考え方であります。ただ実質的に、協同組合に限りませんが、現在は主として協同組合程度でございますが、実質的に指導事業をおやりになるということについては、これは非常に結構なことでございまする上、政府といたしましても、技術上その他可及的な援助は当然なすべきものである、かような考え方をいたしております。当然農民の団体である団体が、みずからの経費負担において役所が、或いは政府においてやるべきことを当然やらせるという考え方でなくて、実質的な範囲において可能なる限りは当然それに期待し、又それについて必要な技術的な援助はなさるべきである、こういう考え方であります。それから、それに附加えましてのお尋ねでございまするが、指導事業をやりました結果、非常にその経営がマイナスになつたというような実例があるかどうかというお尋ねでございまするが、これは統計的なそういう点から見た資料は持つておりませんけれども、御指摘のような組合も恐らくあろうかと思いまするが、他方又指導事業を十分にやるということによりまして、組合経営全体が非常に立派に行つておるという例もこれは相当あると思います4簡単でございますが、以上を以てお答えといたします。
  22. 北勝太郎

    北勝太郎君 これは結局その負担能力の問題だと思うのであります。協同組合がやる場合におきましては、実は町村等から随分大きな勧業費等が出ますけれども、それはむしろ協同組合がやるというと、実は純農村でないものが多いのですから、従つてその勧業費予算をとるのに非常に骨が折れる、町村会でなかなかうんと言つてくれないというような関係がありまして、むしろ負担能力さえあれば自分がやるのがいいかも知らんけれども、先ほど申しましたように、農家は非常に負担能力がないので困つておるのだ、こういうような場合におきまして、負担能力がないものみずからがそういうようなことをやりますと、これは迷惑をするのは農家ばかりだ。それで技術指導ごときは、実は技術指導とは申しますけれども、普及員がおるのでありまして、普及員が大体指導をする、そこで何をするかというと、あと町村における単協の技術員というものは、その上から流じて来たものを下に流すに過ぎないのでありまして、そう熟練したいい技術員がおるはずがない、そういうような関係から、実はそういうことを言うと技術員に叱られるかも知れませんが、そう技術員の力に大きな信頼をしておるような農家はない、こういうふうな状況なのであります。少しむずかしい問題になれば普及員に聞けばいいというようなことになつておるのでありまして、結局どうなるかというと、その指導員は実は組合指導をするのにあらずして、いわゆる組合の雑多な事務に使われているというようなことになつて、いわゆる組合の経済は頗る赤字だから、結局そういうような方面に使われてしまうというようなことになつて行くのであつて、決して農家はそう有難がつておらんという事実があると思うのでありますが、これはどういう工合に、町村の技術員ですか、或いは町村単協の技術員というようなものは、どれぐらいの信頼度で農民が自分がみずから金を出してもよろしい、この人は置かなければならんというのはあるのかないのか。私はむしろこんなことは国家の費用或いは町村の費用で、或いは地方費の費用でやるべきもので、余り有難がつておらんのを押付けるのだから、そこで金がそういうほうから出て来なければうまく行かん、こういう工合に考えるのでありますが、その点につきまして御見解を承わりたいと思います。
  23. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 北委員に申上げますが、まだ大分御質問がございますか。
  24. 北勝太郎

    北勝太郎君 これで終りました。
  25. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そうですか。ちよつと皆さんに申上げますが、冒頭に申上げましたように、農林中央金庫当局に先ず質問を限定しておやりを願いたいと思います。今日は時間は限定しておりませんが、大体昨日の例もございますので、成るべく簡潔に……。
  26. 河野謙三

    ○河野謙三君 経済局長北委員に対する答弁に対して私は関連の質問がありますが、若し今の北さんの御質問に重ねて御答弁があれば御答弁を伺つた上で関連の質問をします。お答えありませんか。
  27. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 協同組合の技術員と申しまするか、技術指導者とその他特に改良普及員の能力といつたものの比較についての御疑問或いは御質問と承わりましたが、上からどうこうということは少くとも協同組合についてはこれはございません。役所としましても、どこの組合には何人置けといつたような指導はいたしておりませんので、今の組合がほぼ自主的な判断において農民のサービスのために喜ばれるという範囲において、これは設置されておりますもので、役所或いはその系統団体が高圧的に設置しておるということはなかろうと存じております。特に農業会から協同組合になりましたそのときには、これは大きく数えれば、これは三、四万にもなるような、恐らく技術員がおつたと思うのでありますが、現在は恐らく一万人を切るような数ではないかと思います。従いまして現在までなお存続しておる技術員はむしろ組合から一般的には喜ばれておる、こういうふうに判断するほうが或いは妥当ではないかと思います。学歴等について若干の組合について調べたものもございまするが、普及員と比しまして特段に見劣りがするということはないように思つております。勿論これは多くの組合のことでございまするから、中には技術員というのは名のみで、ほかの職員と変らんといつたような者も、これはあり得るかとも思いまするけれども、それが大勢でないことはこれは間違いないと存ずるのであります。
  28. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は何もここで北さんと討論する機会じやありませんから、北さんのいろいろ御意見を反駁するのじやありませんが、ただ局長はここではつきりしておかなければいけないのは、今の協同組合法の第何条ですか、どういうふうに書いてあつたか記憶しておりませんが、協同組合生産指導することがはつきり誰つてある。そしてその生産指導の附随事業として購買販売の事業を行うというのが協同組合の精神ですよ、私はそうじやなければならんと思う、そこ、違いますか。今ちよつとあなたは話をぽかされましたが、これは大事なことですよ。はつきりしておかなければならないので、ここで一つ私は伺いたいと思う。
  29. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 協同組合法の建前からいたしまして、事業の種類といたしましては多数列挙してございます。それのおのずからどこに重点があるかということは、これはなかなか私どもでどうこうということには、これは参りません。御指摘のような生産協同組合といつたような考え方を中心において、そこに重点を考えるべきだという指導方針もございましようし、或いは重点をむしろ信用或いは販売購買といつたような経済事業に置いてやるべきだという方針も、これはあり得ると思います。只今農林省といたしまして考えておりまする点は、この点につきまして、特に単協につきましてどれに特別の重点がなくてはならんというふうには考えておりません。ほぼ列挙された全部とは申しませんが、法律に列挙されておる大部分の仕事がバランスがとれて、全体として農家にサービスができるような運営が最も望ましいものである、かように考えておるのであります。
  30. 河野謙三

    ○河野謙三君 協同組合の購買販売事業の要するに経済行為の目標というものは、生産指導をやらなければ出て来ないんでしよう。ただ商人と同じように、何でもそこらにあるものを売ればいいのだ、何でも儲かるものを売ればいいのだというようなことで現在来ているから、農協の今度の非常な不振の問題が私は起つて来ていると思います。その点において一番はつきりしているのは最近の全購連ですよ。あなたの曽つておられた改良局で化成肥料というものを認めていないのですよ。そうでしよう。そういうものを商人が儲かるからやつている、そのあとを食つ付いて全購連がやつている、これは協同組合について上から下にまで生産指導というものの精神がないからですよ。これがもつと極端に末端の組合に行きますと、餌でも、肥料でも、販売事業にしても、何でもかんでも商人と何にも変るところがなくて、ただ儲かることが目的であつて、そのために手段を選ばないということになつている。そこに協同組合の不振が起つて来ている。そこに協同組合に対する農民の信頼というものが失われて来ている、今日はお忙しいところを中金の理事長見えましたから、中金に対する質問ですけれども、ここは大事なことですから、私は特に経済局長に、特にあなたは農林省きつてのその方面じや権威者でありますから、はつきりして頂きたい。忌憚のないあなたの縞蓄を傾けたところを発表してもらいたいと思います。
  31. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 私その方面の特別の権威者でもございませんので、そういう意味でお答えすることはむずかしいと思いますが、河野委員の御指摘のように、純粋に経済主義に徹底するということになりますと、日本の農民事情或いは農家経済事情から申しまして、農家にサービスすべき機関が逆に搾取機関に転化しているというようなことが多分にある。又現にそういう組合があるということを農民指摘しておるのを、多少の出張の際にも聞く折がありますが、それではいかんので、その点についての御指摘については私ども全く同感でございまして、それは農家生産と言いまするか、経済全体の指導、殊に経済が重点でございましようが、そういうことが裏腹にはつきり並行してやられなければ、全機能を結果的に果すことはこれは非常に困難である。協同組合生産指導或いは農家の経済の指導につきまして十分な指導ができるような態勢を作ることが重要である、かように考えております。
  32. 河野謙三

    ○河野謙三君 気持の上において完全に私は経済局長と一致点を見出しましだから、この問題はこれ以上質疑をする何ものもありません。続いて中金に対して御質問申上げてもいいですか。
  33. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) どうぞ。
  34. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は中金に対して特に今日は尊敬する湯河さんもお見えになつたのだから、忌憚なく一つ御質問申上げたいと思います。私は冗談でなく、米価審議会等でもしばしば湯河理事長とは同席しておりますし、その言動についても詳細承知しております。この人格、湯河さんが抱く農村に対する考え方、一々私は共鳴しております。併し如何に共鳴しておりましても、組織が大きいせいか、中金の運営が湯河さんの人格、湯河さんの識見、湯河さんの思想そのものでないということを私は非常に遺憾に思います。そこで具体的に一つ申上げますが、今回この農協の再建整備促進法案が我々の手許に廻つて参りましたが、こういうような農協が不振に不振を重ねて、二、三年前の赤字補填を更に又重ねてやらなければならんという事態に対しましては、これは私は農業団体の中枢におられる中金としても十分私は責任をとらなければいかん。何も私は役員をやめるというのじやありませんよ。十分責任を感じなければいかんと私は思います。どういうふうに責任を感じておられるか、これをお伺いしておきたいと思います。
  35. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 只今の御質問は誠にお答えしにくいものがございます。我々併し責任を感じているかということの御質問につきましては、我々金融面を通しまして、協同組合に対していろいろとお仕事をしております者から見ますれば、今日の事態誠に責任を感ずる者であります。我々も終戦後農業協同組合ができましたとき以来、いろいろと至らんなりに気の付きましたこと等につきましては、或いは政府にも進言をし、或いは協同組合の御関係のかたにもいろいろと申上げたのでございます。我々の努力の足りませんこと等も多分にあつたのだろうと思います。今日の事態になりましたことを誠に我々も中央におります者としては相済まないと考えております。
  36. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はそこでですね。農業団体内部の中に、これは一つの不始末、こういうものが起りまして、その不始末の尻を政府なり、国民全般に持つて行く、こういうような結果になつて、この法案が出ますまでには、少なくも農業団体の内部において、中央金庫が中心になつて、この不始末に対しましてあらゆる私は善処をされたことと思います。例えば中金の場合には、赤字関係連合会に対して金利を下げるとか、又元本を幾らか削除するとか、こういうことは私はあらゆる手を打たれた結果、なおそれでも再建に見込が持てない、こういう場合に私はこの法案となつて現われたことだと思うのでありますが、今までこれらの赤字団体に対し、どういうふうな私は救済の手を具体的になされたか、これを私は伺いたいと思います。
  37. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) その点につきましては、農林中金の取引が只今非常に難局に立つておられまする事業連に対しまして、直接のお取引のある部分は比較的少ないのであります。全国団体等は我々のほうでこれは直接お世話をいたしてお取引をいたしておりますが、府県団体等につきましては、一部の地方を除きましては、大体信連がお取引を持つていらつしやるのでございます。我々のほうは信連との関係において金融上のお世話をいたしておりますような次第でございます。我々のほうで直接お取引を持つておりまするのは、どちらかと申しますと、一部地方で信連が十分に事業連のお取引のおできにならないところにつきましては、例外的に中金がお取引を持つておりますのであります。さような形態におきまして、金融機関たる信連が中途に入つております地方に対しましては、これは中金が直接どうということもなかなかしにくいのでございます。そういう事情を一応前提として御理解頂きたいと思うのであります。再建整備、又その前の農協のいろいろ苦難な時期におきまして、我々は何とかして、これは連合会ばかりじやありません、全体の農協活動がよくなりますようにと思いまして、いろいろ経営上のご相談なり、或いは若干は御指導等をいたすべく、中央の各方面の農業団体の関係者と一緒に経営対策協議会というものを作りまして、我々はその中におきまして何かとお世話もいたしましたのでございます。それらの活動の費用等は間接にお役に立つたかと思いますが、相当部分忠金が負担をいたしておりまして、どういう措置とつたかということにつきましては、我々といたしましては金融取引を通しましてお世話をする。それはいろいろ例えばこういうふうにお取引をお直しになつたらどうですか。それに必要な資金は御融資をいたしましよう。それから非常に切羽詰つておられるときては、少し長目に延ばして差上げるというふうなこともいたします。又よくよく御詰りになつたときには金利をお負けしましよう、延滞しておられるものをお負けしましようというふうな措置とつたのであります。更にまあ先ほどのことと似たようなものでございますが、暫らく棚上げしましようというふうな措置をとりまして、何か再建のお役に立つようにということもいたしたことがございます。それでそれらの措置は、それは個々の事業連のお立場を考えまして、いろいろと我々のほうから差でがましいことになるのは如何かと思いますが、やはり事業連のほうにおかれまして、真にこれは立直らにやならん、今までのことはどうにか直そうということにつきましての御相談がございますときに、又その御熱意等も我々がよくわかりますときに、こういうことをせめて金融機関がすればお役に立ちますと思いますというような措置は、これはとつて参りました。河野さんも御承知かも知れませんが、例えば全購連とか、全賑連とかいうような団体に対しては随分御無理なことも申上げましたけれども、併し又一面全購連、全賑連寺全国団体におかれまして、それぞれ内部におかれまして、本当にこれまでのやり方を変えで行こうということがお話がお付きになります等のときに、快々としては、我々のほうのできまする限度におきましての御協力を申上げて来たわけであります。で、私といたしましては、これは金融機関の健全性をまで犠牲にしてというわけにも参りませんので、例えば元本を切るというふうなことについては、これはよほど大事な問題でございます。そういうことはできませんのです。まあ相手にとつては暫らく棚上げにしておけば、いずれはお払ホになるということにでもなれば、或いは短期のものを長期にしておけばその間はまあお楽になる、その間にせつせとお直しになるというようなことをなさつて頂くということは、金融機関としてはできることだ又若干の金利をそういうふうなケースにおいては切捨てるというようなこともできることだ、かように考えておりす。河野謙三君 私はこの金融機関の性格上、不健全な金融までして面倒を見というようなことは決して申してもりませんし、私はそんなことを考えいないのですが、ただ我々の目に触る現象を見ても、この間も本委員会言つたのですが、日本全国どこの県行きましても、極端に言えば、事業が長靴で歩いて、信連が最新の五十、三年の自動車で飛んで歩くというでしよう。これは理事長お認めになと思います。これは単なる自動車と長靴の話じやないのです。これを今度は裏から見ますど、余りこの金融機関的の性格を発揮し過ぎたために、事業資金を徒らに絞り上げて、そうして事業連の資金を枯渇させて、手も足も出なくして、そうして極端に言えば事業連が全く仕舞屋式になつてしまつて、何もやる仕事がないという形に、今日までの過去五年なり、七年は来ておると思う、一番いい例が二、三年前の赤字補填の結果がどうなつたか、何も所期した目的は達していない。むしろあれからだんだん悪くなつている。孟は信用事業によつて事業連が潰された、私はこう表現しても余。極端でないと思うぐらいに思つております。それを今度は再びここで赤字融資のことをやらうという段階には、もう少し根本に遡つて、私は信用事業をやつている信連なり、又中金と事業連との関係において、今までと全く違つた私は態度で中金初め信連というものは事業連に臨んでもらわなければ、私は再建なんかできないと思います。先ほどから伺いますと、ちよつと私聞き違つたかも知れませんが、今度の措置によつて赤字組合、いわゆる対象組合になるととろには中金としては余り貸付がないということですが、何か私聞き違つたかも知れませんけれども……。
  38. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) お答えします。先ほど申上げましたことは、一部地方で信連が相当しつかりしておりますところは、事業連のお世話を信連がやつていらつしやる。そこで中金は信畑の後である。直接事業連との取引がはい、こういうことを申上げました。直接金融取引のないところで金融操作上事業連援助するということが非常にやりにくい。つまりお取引はあれば金利を負けるとか、延ばすとかいうことがございますが、その間に信連が入つておる。信連は健全な金融機関である信連が事業連のお世話をしておる。中金はその親銀行であるという関係におきまして、事業連に対して直接我々は手が出しにくいということが、そういう場合におきまして、若しも金融機関が何か措置いたしますと、それは寄附金か何かの形になる、かように存じております。そこで私のほうで直接取引のあるところにつきましては、先ほて、我々のほうとしても何とか事業連がお立直りになるようにというような、あの関係を以ちまして、御協力はささやかでもして参しましたということを申上げたのであります。それから只今の御質問の中心になりました問題は、私は全然御同感でございます。これは少し手前味噌になつて恐れ入りますが、金融機関というものは、私はやはりお金を貸すのが本当だと思います。それで金を貸せば儲かるのですから、儲かるといつて収益が上るのですから、お金を貸すのが本当だと思つております。それでむしろまあ河野さんも仰せのように無茶な貸し方はできない。それから相手が健全でなければ貸せない、こういうふうな事情がございます。そこでどうも従来のこの今日の行詰りが、金融機関が貸さないから行き詰つたのだ、それから行き詰つたから貸さないのだ、これはまあ本当に見るかたがたによつての御見解たと思います。私どもは、だから先ほども申上げますように、我々の立場は何とかお貸しできますような事業連におなりになりますようにといういろいろの勧告なり、御注意等をいたして参つたのでございます。で、結局それが本当だと思うのであります。我々は連合会にお貸しできないから、そのままにしておくというわけには参らないと思います。何とかしてお貸しできるようになつて頂きたいという念願でございます。で、実は再建整備の段階ですね、少し申上げ過ぎるかも知れませんけれども、お許し頂きたいと思います。再建整備の段階におきまして、あの法律を国会で御審議の裏に私は当時申上げたのでございますが、政府のほうに申上げました。金融機関がやはり再建整備ということについて、もつと熱心になりますようにということを申上げたのです。当時再建巽雄注は政府が御指導になりました。補助金を交付になりまして、事業連或いは単協との間に再建整備計画をお立てになりますと、それを政府が御承認になつて補助金をお渡しになる。併しそういつては失礼でございますが、何せあの当時数干の組合及び連合会が一度に再建整備をなさらういうのでございますから、なかなか目がお届きにならなかつたことも無理がないと思います。そういつては失礼ですが、一律一体の整備計画ができたんだろうと思います。その当時我々もそういうことを、金融機関関係したならばということを申上げましたのは、何も出しやはりまして、お邪魔をしようというつもりじやございませんので、金融機関が責任を持つと申しますか、一部の責任を持ちましていろいろそれに関係いたしましてやかましいことを申すばかりじやございません。当然御協力申上げて必要なる御融資をする。或いは若し条件緩和が絶対必要であれば、金融機関の安全を害さないということで条件緩和を進んでするというふう出たかつたのでございます。併し当時はその必要を、まあなしという御決定で、我々金融機関といたしましては、信連、中金はあの再建整備には、まあいろいろ間接的の御相談を受けましたが、実質的に本当にどうこうということはございませんです。で、それはまあそう言つちや何でございますが、私どもの念願は、只今河野委員の仰せのように事業連が困つていらつしやる、過去はいろいろ御批評もございましようが、この状況を見ましたらば、事業連のお立て直しですね。これを我々はもう他人事に思えませんのでございます。立直つて下されば御融資がで送る、お立て直しにならん前に御融資をしろというと両方ともすくんでしまう。そういう関係において金融機関は出しやばるのじやなくていろいろ事業連が今後建整備計画をお立てになりますにつきまして御相談を頂きたい。信連と御相談頂きたい。又中金に御相談を頂くことになりましようが、そのときに我々としては貸せる事業連になつて頂きたいと思います。又その計画をお立てになるときに資金が要つたり、金融機関とのいろいろ条件をお変えになつたりすることの御必要があるのでございますから、補助金をおもらいになるだけのことならば、言い過ぎかも知れませんが、申請書をお書きになればいいのですけれども、金融機関となれば御相談でございます。その御相談をして頂くことは金融機関としてはもう当然覚悟しておりますのです。その御相談を受ければ、自然今度法律でそういうふうに御規定になれば我々としては義務としてでも御相談に乗ります。そのときにはこれはいい、悪いと言つてはねるわけには行かないのでございますね。それは表面的にはさようでございますが、金融機関の金融人の感じから申しますと、とにかく自分の大事なお得意なんですね事業連……は。この事業連に金が貸せないということは今の信連の悩みだと思います。信連は預金をどんどん吸収なさいます。その預金をどこに御融通になりますか、単協にお廻しになることもございましようけれども、産業組合時代、農業会時代からそれは事業部に行つていますね。いわゆる内部融資というものができております。それは信連が独立なさいましても、そういう形だと存じます。中金はやはり全購、全販、全国団体に内部融資じやございません、金融しております。これか貸せませんときには、信連としては勢い中金にそれをお預けになる必要になるかと思うのでございます。そうすると、お預けになるのと貸すのとでは――)れはよほど利廻りが悪いのでございますね。そういう意味から申しましても、信連がお仕事をなさろうとするためには事業連がしつかりしていなければならない、その御相談を、事業埋が本当に再建整備促進法で整備計画をお立てになりますときに御相談を受ければ有難いと思つて金融機関の者は御相談に乗るべき筋だと思います。これが従来の金融機関が自動車に乗つて、長靴を穿いている事業連のかれを相手にするというところから、傲然と構えてお相手をするならば、これは全く相済まんことだと思つております。我々といたしましては、まあ御指摘のような点も我々の目で見ております。苦々しいことだと思つておりますが、まあどつもかと言えば事業連が自動車に乗るようになつて頂きたいと思います。ここは本当に謙虚な気持を持ちまして、そうして御相談をして、そうして我々は基礎を危うくしない限りにおいては御協力するということを是非やりたい。これは又信連のかたがたにはいろいろ御意見もおありだろうと思いますから、私はさようなことを信連にお願いをしたいと思つております。又信連がそれをなさいますにつ遂まして、いろいろ御事情がおありになるとすれば、信連こそ我々とのお取引がございます。我々は我々と信連とのお取引を通してでも、信連をそういうような御処置のとれまするように御協力を尽したい、かように考えております。
  39. 河野謙三

    ○河野謙三君 理事長としてのお気持はよくわかりましたが、くどいようで、が、重ねて申しますが、今までの中立、特に信連の場合、一般の市中銀行と少しも態度が変らないのです。それ仏ですね、傾きかけた会社に対して債権を追及するという場合に、少なくとも市中銀行とこの中金初め信連の特殊の金融機関とは違うはずだと思います。片一方は潰れても何でも金を取りつぱぐれなく、元本は勿論金利までも全部取上げればいいということで一般の銀行は行きますね。そこに情愛、又その他の目的とかいうものは何もありませんわ。そういうことで行くか、大低市中銀行の場合は会社は潰れてしまつても金だけは全部取つちやうという形でやつてますよ、大きく言つて……。ところがそれと同じように、中金なり信連が私は大体やつたと思います。それが今日の事業連の不振というものを私はもたらしたと思います。これは少し極端ですけれども、これでは特殊金融機関としての性格は何もない。やはり私は中金初め信連というものは、村で貧乏人ができたらあとの者は皆で無尽をかけて、そうして五年でも、十年でも、二十年でも、無尽でその家を一つ再建させてやろうということで行く、この無尽の精神と同じことで、私はあなたの幕下の人は勿論のこと、信連に至るまでその気持で私は運営して行かなければ、こんなものは要らないことになつてしまう、農民から見れば……、その点について非常に抽象論になるかも知れませんけれども、お気持はどうでございます。
  40. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 大体河野委員と同じ気持でございます。無尽というものもよく具体的にやつておりませんのでわかりませんのですが、銀行の場合でも、今ここで御審議になつていらつしやる整備促進のような動きが真にあるのでございますね。それは今御指摘になりましたのはむごい場合のことでございますが、大事な機関になりますと、その影響が大きいときには銀行も相手を潰しません。それは河野委員も御承知と思いますが、一昨年でございますか、去年の春でございますか、大阪あたりにあのいろいろパニツクが起りましたときに潰れたものもございますが、銀行が揃つて手を出しまして、そのあとには日本銀行が控えていて、そうして倒れちや大変だというところを救つております。営利金融機関でもやはりそれは潰れれば自分のマイナスになりますのみならず、将来の取引先を失うということになります。それのみならず、やはり一般に対する影響が大きい、こういうことになりますと、その一般に対する影響が大きいものに対しては、今おつしやつたようなむごいことはできません。それで協同組合の場合も私は同様だろうと思います。特に事業連ですね、こういうふうに県なり、全体に亘るものを潰していいとか、何とか言いますが、事業を停止されちやつてもいい、そういうようなことはその金融的な、金融だけの見地から言いますと、そういうことが若し望まれたとしても許されんことだと存じております。この点は私は今度の再建整備促進に表面上は別に出ておりませんようでございますが、事業連と申しますものは、これはもうその地方経済の中心機関でございます。農林業漁業の中心経済機関でございます。これが立つか倒れるかということは、その地方経済の大問題だと思つておりますので、我々はもとよりできますだけのことはお尽ししたいと存じております。労力的にも、その知恵を絞つてでも、それから金融的な操作の許す限りにおいてやりたいとは思つておりますが、それ以上にやはり地方経済の大問題として、地方の知事等は深い関心を持つてもらわなければならん、かように考えております。従来の信連や中金の行き方を、今河野さんがおつしやつたように高利貸のような態度じやないかというような御指摘でございますけれども、少なくとも組合金融と申しますものは、いわゆる指導金融でやかましいことは申上げます。やかましいことを申上げるのは、これは本筋はお貸ししなければならんと思つておりますから、やかましいことを申上げるのでございますが、潰れてもいいとは思つておりません。それで、ただこういうことだけはございます。一律一体に戦後無茶苦茶にできました協同組合の中には、本当にこれが潰れてもいい、大した影響はない、むしろ或いは統合等があつたほうがいい、これはとても駄目だ、そういうものはところそれにあるかも知れません。そういうものはむしろ合理化の意味を以て潰すということはあるかと思います。自分の信用事業だけの身を守るためこ相手を見殺しにするということは許すべからざることだと思います。若しも何か具体的な事情においてそういうことがあつたとすれば、お詫びをしなければならんと思います。将来はそういうことを私たちはしないつもりでおります。信連もなさらないと思います。
  41. 河野謙三

    ○河野謙三君 それは冒頭に申上げましたように、私がいろいろ過去において、この本委員会において中金に非難を浴せたことも、これから又お伺いすることも、理事長のお考えにあらざる中金全体の尨大な組織の中に理事長の意思に反した行動が行われていると、こう私は思つております。今理事長いろいろ言われまするけれども、私はこう思うのですよ。こういう赤字の補填の問題、何だかあなたのほうの機関は、貸すほうは厳重にやつてつて引つかからないようにやつてつて、そうして事業連のほうは金がやかまし亡い、ちつとも出て来ない、手も足も出なくなつてだんだん萎靡衰退しちやう、なに、その頃には又政府が何か面倒を見てくれるだろう、これは一番あなたのほうにすれば御都合のいい案だが、これは国家なり、議会は迷惑千万ですよ。これは少なくとも過去四、五年の間私はそういう経過になつていると思います。こんな尻を我々がこの暑いのに、どうやらこうやらやつているのは迷惑千万だと思います。それはあなたの気持じやないけれども、現実に私は理事長御否定はできないと思います。例えば今日議題になつております有畜農家の維持創設の問題にしても、家畜導入資金の問題にしても、而もあれは農業共済の関係であつて、あれは殆んど間違いない金ですよ。それすらもあなたのほうもどうだこうだと言うし、今度は信連のほうに行くと、もつとそれに輪をかけて、高利貸のような気分を出してやかましいことを言うし、畜産局の意思はちつとも農民には徹底しない、こういうことになつておる。それは農林省のいろいろな施策によつて発然融資さるべきものを、そこに必要以上に厳格なるあなたの査定のためにこれは少しも金は廻らない。農民も困る、事業連も困る、こういうことを繰返されているわけです。そこで私はあなたの気持はわかりましたから、もうそのお気持通りに、一つあなたの全組織を、かりそめにも理事長の意思に反するような行動をするものは断固として処罰するぐらいでやつてもらわなければ困ると思います。そこで私は一つ理事長に御質問申上げるにつきまして、食糧庁のほうにいろいろ資料の要求をしておきましたが、これは糧庁自体からも出して頂く資料、それから中金の側からも出して頂く資料、これは要求しましたが、何か手許に届いておりませんけれども……。
  42. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、昨年度におきまする政府資金の前渡しの問題についてのお話かと存じます。この点につきましては、の前も申上げましたように、実は我々といたしましては、例えば麦につきましては或る程度の買入見込数量を以てやるわけでございますが、統制撤廃後の関係上、見込の違いがございまして、その計画通り行つていないという事実もございますし、又米の場合におきましては、御承知のように、昨年度におきまして予想以上に出たというような事情もありまして、必らずしも計画通りには行つておらないわけでございます。で、今手許に資料は持ちませんが、御要求の何につきましては調べまして御報告いたしたいと思います。
  43. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はそこで、それじや一つこの機会に重ねて理事長から御答弁をお願いいたします。私は昨日、食管から中央金庫に政府資金が預託された場合に、その目的以外にその預託された金が使われた事実はありませんかということを聞いたのでございます。例えば具体的に言うならば、昨年の麦の買入資金について預託を受けた、ところが麦が予定よりも非常に政府への売渡しが少なかつた、そこに資金が非常に余つて来たという場合に、その資金は当然私は他にも使われていると思うし、私は使うことが必らずしも悪いとは思つておりません。使つていることが悪いというのじやありません。そういう事実がありますか、どうですかといつたところが、あなたのほうの副理事長は、私があたかもデマでも飛ばしているように、そういう事実はありませんと、はつきりここで言いましたが、そういうような事実はございませんか。
  44. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 昨日江沢が出ましてお答え申上げましたことで、よく江沢と話をいたしませんと、私の申上げることが又混乱を起してはいけないと思いますが、只今承わりました食糧代金を政府農林中金に前渡しなさる、その前渡した資金が食糧供出の計画に見合つて政府は前渡しなさいますのでございますが、それが狂うことがございます。出ると思つていらしたものが出ない、そのときには金は残ります。残つた金は我々のほうでは遊ばしておくわけには行きませんのでございますが、それを当然に貸す、ほかに貸すというようなことは、やはりこうさらさら出て来る米の供出、麦の供出のその日その日の問題でございます故に、我々のほうの遊金にはなります。併し政府からまとまつた金をもらつて、我我はそれを運用するというふうなことは事実できませんのでございます。併しそのさらさら流れて来る間においてのその出入りがございます。例えば今日百万石出ると思つたところが八十万石しか出なかつた、明日は追つつけ百二十万石出るわけであります。その一日、二日というふうなものは、溜り溜ることはございます。それを我々のほうでは遊ばしておきませんで運用はしておりますので、これは河野委員の仰せのように、実は運用すべきものでございますが、さればといつて、それをどこかへまとめて貸してしまおうというようなことは、それはあとからあとから出て来るものについてでありますし、政府のほうは毎日々々前渡しなさるわけには行きません。財政上のお手続もございますので、或いは確か一週間か、十日でございます。大体その見通しをお持ちになつてお渡しになるわけでございます。そういうことは技術的には、財政と、それから我々のほうの米代金を払うまでのそのギヤツプというものはございますのでありますけれども、それは逆のこともございます。政府のほうでこれだけで払えといつてお渡しになる、それを中金のほうじや、それ以上米が来たからといつて政府に金がないから払えないとは申せないのでございます。それは我々のほうでお立替をするというような関係で、結局できるだけそういうことのないように、予定通り政府のほうからお渡し頂いて、私のほうも。プラスマイナスないようにして行くのが本当でございます。それは混乱時代にはなかなか思うように行きませんでしたが、この頃は大分両方とも、政府のほうも特に見通しをお立てになりましてお寄越しになりますから、そうロスというものはないと思います。
  45. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は先ほど申上げましたように、それが悪いのじやないのですよ。ただそういう事実があるかないかこういうことを聞いているんです。金融機関として当然だと思います。今お話のように、それがないというから私はおかしいというのです。同時に何と申しましたところで、中金と食糧庁というものはこれは一つの鍋ですよ、これはどうおつしやつたつて融通するのが当り前です。又足りたいときには、あなたのほうが融通するのが当り前ですし、又食管のほうで少し都合付けば、又少しあなたのほうでいや食管のほうで五十億といつたところで、まあ都合が付くならば、おれのほうの手許も都合があるから、まあ七十億でやつてくれと言えばいいだろうということで、そんな私は野暮なことを言つているのじやない、ただそういうことがあるかないか一応聞いているのに、ないというから……、これは副理事長そういつたのですよ。そこで私は何故そういうことを聞いているのかというと、あつてもいいのですよ。あつてもいいのだけれども、そういうような多少うまみがあるだろうから、例えば一銭六厘なら六厘、預託の金をたとえ短期の一ヶ月にしろ、とにかく或る程度これは政府から預託になつたものが多少融通が付くのだから、金庫の中に寝ているのではないから、そこであなたのほうでも多少はいい思いをするのだから、私のほうはあなたのほうの財布に手を突つ込んでどうこうとは申しませんけれども、自発的に農業団体がここに困つて政府の手まで借りたいといつているときですから、中金のほうでも少しは何かそういうものも浚つて見れば、結構あつちこつち集めて見れば、いい加減まとまつた金になるのではないか、私はそれが言いたかつたのであります。私はそういうものを、お指図はしませんけれども、それはあなたのほうがそういうものはよくわかつている。そういうものは心付いて今までも及ばずながらやつている。今後もそういうものは年々歳々米と麦だけでも相当出て来るのだ、それは年間を通じて大体幾らぐらいある。その分は一つ政府と一緒になつて農村の振興のために大いにやろう。系統外に貸せというのじやないのですよ。私は餌会社とか、材木会社とか、北海道の酪農会社に貸せとか言つているのじやない、もうあんなところには貸さないほうがいいのです。だからそういうふうな筋の通つたところに、そういうものを施なたのほうの計算外に出て来る金を使つてもらつたらいいのじやないか、これが私の昨日お尋ねした質問の要旨です。それから理事長ね、副理事長が昨日言つたのは誤まりモすね、副理事長がそういうことはないと言つたのは、如何にも私がデマを飛ばしたようです。これははつきりしておかなければいけないですよ。
  46. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 只今の点は、政府の前渡金が来て、それで政府の予定された計画と違いますから、そこに若干まあ……、併しそれは翌日すぐ米が出て参りますれば、それはもう二日の違いだけでございます。米は出れば、そのときに我々のほうは預金になつてしまうというものでございます。その間の遊んでいる時間がないか、あるかという御指摘だと思います。遊んでいるときは、運用されているという意味においては遊んでいる時間は計画の狂いによつては出る、同時にマイナスも出る、足りないときもあるという意味においてはそうだということを申上げます。それからもう一つ、併しそういうものを当てにしてどうこうということになりますと、まあ非常に苦しいのでありますが、これは我々としては、中金は相当先ほど来御指摘のように尨大な仕組を持つておりますので、我々としてはいろいろ尽すべき手を尽しまして、預金を集めるのにも随分金がかかるのでございます。又組織を運営して行くにも金は要るのでございますが、そういう点も十分我々は節するところは節しまして、そうして先ほど来申しましたように、政府にも、国家にもこれだけの御負担を願うこのお仕事に対しまして、先ほど申上げましたように、我々としてはできるだけの努力を申上げたい。
  47. 河野謙三

    ○河野謙三君 先ほど申上げましたように、有畜農家の維持創設の案ですが、今度は政府並びに県が三割の損失補償をする、そうして積極的に家畜の導入をやろう、こういうことなんで、これは御承知通りなんでございます。そこでこれは今まですでに中金から出して頂いた家畜導入資金でも、そう私は間違つていないと思います。いわゆる回収において間違ないの起る危険はないと思います。特に農業共済の保険の関係もありますから、更にその上に三割の損失補償までしてやろう、こういうことでますますこの金融というものは、金融機関から見れば健全なる私は融資だと思うのであります。ところがこの融資に当つて、従来は年一割ですか、一割一分だかの利息になつておるそうですが、これは私は事の性質上少し高過ぎると思いますが、今回この損失三割補償という、こういうふうな制度に切替えられましたこの機会に、この二銭七厘何ぼですか、その金利についてこれは理事長にお尋ねするのは事が少し小さいかも知りませんが、借りるほうの農民から見れば大きな問題ですから、この機会に一つこの金利について御返事を願いたいと思います。
  48. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 私まだ誠に相済みませんが、金利をどうするかという相談を十分受けておりませんので、その点十分お答えできませんが、三割の損失補償を出されているということは、恐らく従来それがなければ救えないようなところも救うようにということだと思います。我々は損失補償を頂きませんでも、是非損失補償を付けてということでなくてもいいのじやないかとも思われる。まあ有畜農家創設の問題を河野委員は大体言つているんじやないかという仰せでございますが、実際私どもが心配しておりますのは、乳価の変動或いは乳製品等のいろいろの措置等は、あの有畜農家創設資金でお借りになつ農家のお立場はどうかということが非常に案ぜられるので、そういうことからいたしまして、目先我々も裸で融資いたしましたが、いつ不測の事態が起らんとも限らん、こういうふうな場合、そのときに金融機関のやつがぐずぐず言わんで貸すようにというのがあの損失補償だろうと思います。でありますから、我々のほうとしては、損失補償をして頂けばそれだけ資金は確実になります。そのことは通ると存じますけれども、それが直ぐ危険負担料として割引かれるということにつきましては、我々としては考えなければいかんように考えられます。併しそういうことだけでなく、私は今次の国会におかれまして、殊に農林関係の金融の金利問題をいろいろと御指摘を頂きまして非常に感じが深いのであります。実は国全体に亘つては金利の……産業負担の問題が出ております。我々といたしましては、金融機関の者といたしましては、決して晏如としておるべきものではないというふうに考えておるのであります。こういう負担は成るべく少いほうがいいことはよくわかつておりますのでございますが、併し例えば今の有畜農家の場合で申しましても、只今までの金融は農林中金だけではございませんで、単協、信連等もそれぞれ自己資金を運用してやる、我々はその足らないところの特別の事情のあるところに対する融資をいたしております。若し中金が今の金利を動かしますことは、それらの金融事業に影響があると思う。ここは我々としてよほど今後は研究して見なければならんと考えておりますが、只今ここでちよつと御即答を申上げかねると思います。
  49. 河野謙三

    ○河野謙三君 実は今度の三割の損失補償について誤解されておると思うのですが、今あなたがおつしやるその誤解は私も持つておつた。今度損失補償をするから、今まで危いと思つたところまで突込んで貸すというような内容と思つておつたところが、貸し方は今までと同じなんです。貸し方は三割の補償もやはり単位農協を対象としての三割の損失補償だ。貸し方は今までと同じなんです。だからこの点を我々今この法案審議に当つて問題にしておるのでありますけれども、政府の原案というものは、何も危いところへ入り込むのだから三割補償をするという内容にはなつておらない。でありますから、そういう意味合でも二銭五厘くらいにしたらどうです。二銭七厘とつておかなくてはならないという根拠が見当りません。これを二銭七厘、一割とか、一割五分とかにすることは、先ほど来の湯河理事長の農林金融政策についての思想と少し私は違うと思うので、十分御検討を願つて、私は具体的に即答を求めたわけではございませんが、併しさらばと言つて今日明日中に具体的な回答を得たいと思います。他の委員のかたも御質問が非常に多いようでございますから私はこの辺で終ります。
  50. 戸叶武

    戸叶武君 この中金と農協の関係を詳しく話して頂いて、農協が健全にならざる限り、中金がこれとのスムースな協力は困難であることを我々了解することができたのでありますけれども、併し今日の現状を見ておりますと、中金及び信連系統の存在というものは、協同組合運動における王様のような生活をしている。それに反して農業協同組合における事業連というものは、まさに奴隷か、ルンペンのように喘いでいる姿が日本の不健全農協運動の姿だと思うのです。これは明らかに日本の農業協同組合運動の当初から見まして、イギリスや、フランスよりもドイツ流の信用組合運動を中心とした三組運動から、戦時中農業会の運動に至るまで、信連関係のプラス、事業連関係のマイナスとが相和して、そこに日本の農業協同組合運動が推進されたのでありますが、これは偽りというか、何かおのおの分裂をいたしまして、結局このマイナスと赤字を背負つて事業連は転落の一途を辿り、中金なり信連はあたかも市中銀行、それ以上の特権を以て、そうしてその豊かな一つの立場を保つて来た今日、それは進駐軍の圧力の下においてそういうことをされたんだから仕方がないという形で放任されて来たようでありますが、この間にあつて農林当局も怠慢極まるし、中金といたしましては薄情でありまして、結局この事業連の転落の姿をそのまま冷然として今日までみつめて来ておつたのが事実であります。今初めて病膏肓に入つた瀕死の状態の農協に対して再建整備促進ということがやられておりますが、まあこういうことも大事でしよう。併しこのときにおいて我々は日本の農協運動の健全性を取り戻すには、第一に中金と信連に焼きを入れなければならんという声が事実上において農民の一般の声です。今まで中金なり、信連が黒字を作り上げたのは、その人々自身の力というよりは、時勢の変転から作り上げたところの出来事であつて、むしろこの際中金なり、信連なういうものは、相当の犠牲を払つても日本のこの瀕死の状態にある農業協同組合の建直しのために犠牲的な、奉仕的な立場をとつて行かなければならない。そういうことを我々は待望しておるのですが、今までのいろいろな農業政策の個々の農民層から出て来るセクシヨナリズム的なこの農政のあり方を見ていると、すべての人たちが何か農林省は中金の番頭にいつ転落したかと言われるほど、中金の安全を保つことのみに汲んとしているような卑屈なる農業政策の上に立つているのです。で、私たちはこの際、今の中金が謙虚なる形において具体的にどういう線で日本の事業連を中心としたところの農業協同組合運動の建直しに協力態勢を持つて行くか、その点について先ずお尋ねいたします。
  51. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 少し申上げたいと存じますが、信連、中金が黒字を出しておる、事業連が非常に苦しいお立場であるのに、我々はこれを安穏として見ているつもりはありませんので、先ほど申上げましたように、事業連がしつかりしていなければ信連も困るのモすが、何となしに事業連と信連の間が疎隔している、或いは中金と全国連合会が疎隔しているということは、これは金融機関に対して或いはあきたらない点もあつたかと思います。併し事業連においても、ともそれの御尽力を頂いて、共々にやつて行くよりほかないと思います。私は金融機関のものといたしまして、信連のかたの御意向は一々は申上げられないと思いますが、事実におきまして、事業連経営というものは必らずしも経済機関として経営の健全性を維持していたかというと、無論統制経済以来、実はいろいろ楽な仕事をして来られた経験のあるかたぐ、又或いは過去の三組運動の御苦心等をしみそれと御体験になつたかたがた、又その以外のかたがたが経営になつていらして、あのインフレーシヨンからディス・インフレ、あの変転した過程において、うまくやつて頂けるということはそうそうは期待できなかつたと思うのであります。金融機関のものといたしましては、さような期間におきまして、ああせい、こうせいと申すことがどうか、気付きの限りは申上げるといたしましても、金融機関がそう指図がましいことを言うべきかどうか。事業連というものは独立した機関としてやつている。事業連が今日非常に苦しい立場に立つていることは承知しておりますが、金融機関としては冷然として見ていたか。冷然として見ていたから、こういうことになつたのだというふうには、私はそれだけではないと思う、こういう感じもございます。そこで再建整備問題から整備促進の問題に、こういうふうに進んでいらつしやいます事業連のかたがたにおかれましては、我々も御相談があれば幾重にも打割つたお話を申上げて御相談して参りたいと思いますが、やはり事業連経営それ自身において直すべき点がある、それを直して頂く。それでそれについて若し金融機関のものが気付きがあれば申上げもいたしますが、申上げるということは、同時に過去におけるところの、或いは先ほど河野委員の仰せの通り、どつちつちと思うような場合がございます。今後の問題として、うるさいことばかり言つて見放すのだというようなことのないように、これはどうしても組合金融としては、事業連に整備して頂いた以上は貸込むのだという感じ、これを以て事業連がもう赤字は作らない、仕事を多くして行くことによつて赤字は殖やさない、そうして仕事を多く持つて行つて、それからいろいろの措置によつて健全化して行くのだ、仕事がだんだんと伸びて行くのでなければ、整備促進が単に赤字を抱いたままで、バランスしてないという状態ではいけない、かように感じております。
  52. 戸叶武

    戸叶武君 事業連が弱体であるということは、私たちもとつくに調査して知つております。特に戦後においては理事者が地方のボスばかりであつて、いわゆるやり手派の連中が自分の私腹を肥すために、協同組合の理念を忘れてこれを悪用した点が多々あり、又職員というものも、商人と拮抗して行くだけの訓練、経験を何もしていないままに、ますます以て協同組合運動の筋金が入らなかつた点がある。併しながら今下部におけるところの農民が、かねてこの信連や農協を通じて金を借りている途や何かを、ずつと私は自分の大学の学生にアルバイトに調べさしておりますが、非常に高い、大分やられております。而もそれは単協が信連に行けば、信連の幹部というものは年中料理屋にひたつているような姿でおりますが、信連の幹部ほど堕落したところの幹部はないです。これは料理屋を洗つて見ればわかります。県庁の役人と信連のこの理事者と土建屋、土建屋はこの頃は不景気になりましたが、この連中が地方の花柳界を大体賄つていると言つてもいい、こういう状態であります。而も又地方の信連が中金から金をなかなか貸してもらえない。すねに傷を持つている点があるかも知れませんが、七重の膝を八重に折つて、もみ手の恰好で借りて来る。それよりもつと単協はひどい。こういう形で、そこにはどこにも協同組合運動のお互いに助け合う精神が微塵もない。私は今この事業連関係単協の建直しということが急務でありますけれども、中金というものが絶対な力を持つていながら、もつと謙虚で愛情を持ち、本当に農業協同組合運動に、自分たちが建直しに協力をして行くというこの気持に変えて行かなければ、私は中金に対する非難というものは、安全帯にいると思うかも知れないけれども、私は全国的に燃え上つて来ると思う。すでにもう地方の信連や事業連あたりでも、何とかして機会があれば中金よりも円滑な形において金融機関を我々の手で作り上げたいというような自主的な動き方すら底流に起つている。この動きを私は中金は無視すべきでないと思いますが、中金に関連して私は農林省に言います。それは中金からいろいろ文句が言えないというかも知れないが、いろいろな資料が中金に集まつているはずだ。農林省にも集まつているはずだ。今まで外的力によつて分割されたから止むを得ないというのではなくて、少くとも農政に携わつている農林省が、あのみじめな姿に事業連が転落するまで、なぜもつと早く幾多の治療を加えなかつたか。農林省からその理由をお聞きします。中金問題と関連して……。
  53. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 御指摘の点も尤もな点があると思います。終戦後協同組合という現在の制度ができました時分に、非常に自主性ということが尊とばれまして、自主性がいわば自由放任でよい、役人が何らタッチしない。指導も加えてはいけないというような一種の行政方針がとられましたことは、大きな間違いであつたと私どもは今顧り見まして責任を感じておるのであります。ただ官庁或いは金融機関等が指導するということになりますると、そこにやはり官僚的な独善性が生れて来るという弊害もありますので、その辺のかね合はむずかしい問題と思いますけれども、自主性を尊重しながら適宜な指導或いは助成を加えて行くということが私どもの方針でなければならないと、かように考えております。今後若し再建整備法に引続きまして整備促進法が制定されますならば、いわば国の最高権威としての方針も、そういうところにおのずからきまるというようなことにもなりますので、私どももさような方針で今後参りたい、かように存じております。
  54. 戸叶武

    戸叶武君 最後的にお願いしますが、この間からもお願いしておつたのですが、中金から各信連なり単協なりに出て行つた金の金利、それから信連から単協に出て行つた金、その単協から農民に渡つたもの、その金利の動きに対する統計が農林省か中金にありますか。
  55. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) お尋ねのような御趣旨に十分合致するかどうか必ずしも明確でございませんが、御趣旨のような資料がございますから提出したいと思います。
  56. 戸叶武

    戸叶武君 是非御提出願います。
  57. 松浦定義

    ○松浦定義君 私は今理事長お話につきましては、大体了承ができるのですが、ただもつと突つ込んで、農民の金融に対する唯一のサービス機関である金融機関としての中金は、今のお話でありますと、末端に対するのは府県の信連に扱わせているというようなお言葉があつたようでありますが、少くともこの連合会の構成組織の中核をなしているものは単協であるのでありまして、少くともこの単協の実態というものを十分御認識にならないというと、私は非常に全体から非難をされるような点になつて来ると思いますので、この問題の焦点について私の考えております点を一、二申上げまして、今後もう少し本当に幅のあるところのお考えを出して頂きたい。と申しますのは、先ほど、とにかく事業連等がその受入態勢を作つて来れば幾らでも貸してやるのだ、貸せば儲かるというようなお話があつて、先ほども理事長お話では、すでに三百億も余つているから、いつでも申入に応ずるというようなお話ですが、我々末端の農民といたしましては、今年くらい金融に困つ、いることはない。困つているにかかわらず、こちらに参りますと、その金は余つている。従つてその金を余したものは誰かと言えば、或いは又同じ農村の中の余裕のある、つまり俗に言う富裕農家かも知れない。従つて政府が融資している面がそういう富裕農家のほうに、或いは富裕組合のほうに行つているために逆にそれが廻つているのかも知れない、その点で信連が例えば単協を対象とする場合にも今と同じような話をしている。我々の体験としては、金はあるけれども、そういうような損をすることはできないから、損をすればほかの組合或いは政府に迷惑をかけるからと言つている。従つてその態勢を整える力がないからお願いするのであつて、そういう点を整えと言いましても、今日すぐには参らんし、その整える時期の段階として、現在行われている融資の対象というものは、やはり富裕組合である。先ほむ北委員が申しましたように、五百戸の農家ですでに一千万の赤字を出している組合もある。自分の県にもそういう事実がある。従つてそういう面から考えて見ますと、余裕のない組合はやはりその組合における生産事業としては非常に不振である。併し努力をすることにおいては余裕のある組合より努力している。農民は……。例えば簡単に申しますれば、米を、一反から八議とれるところと、三俵しかとれないところとでは、むしろ三俵のほうが一生懸命稼いでおる。併し八俵のところは楽で以て余裕があるから、その組合が何も大した不信用を買うような運営にはなつていない。併しその余裕金は市中銀行に集まつて、そのほかに又借りられる機関から借りて、どんどん借りて別のほうの又仕事をしているというようなのが実態である。そうすると、その点はよく御調査願えればわかると思いますが、もつとこの問題を掘り下げてお考え願つて、やはり一つの線で以て貸付けろというようなことでなしに、表面は一定であつても、内部的にはそういうような実態をよく把握しないと、今いろいろと問題になつている事柄は年年歳々繰返されて来る。そういう意味で今後信連にいたしましても、末端の意向もそういう意味からよく一つ注意願いたい。それと先ほど北委員が申しておりましたが、やはり生産事業というものを行う場合には、国がその指導事業を行う場合には国がやつたほうがいいのだというお考え、これは非常に間違つたお考えでないかと、この思うのです。例えばたとえ今私が申上げましたようなことを充実する場合には、末端の指導者という者は非常に苦しんでいるわけなんです。そういう場合に、国が若しこれをやるという場合には、例えば現在の教員の問題でもやはり通り一遍な法案によつてやられたり、或いはそうしたものによりますと、山間僻地には先生が行かないのです。それと同じように、国が一律でやつた場合にはそういう恵まれない農村に対しては、国からそうした金が行かないという。従つてそういう面から行くと、やはり折角国からやつてもらつても、やはり非常に富裕町村に対しましては、いろいろな形でそういうものを優遇すればだんだんよくなつて来るから、先ほど申上げましたような逆な、又表彰されるのもそういうところであるし、金の融資もそういうところは受けられる。又いろいろな附帯的な事業も、工業も起るということになつて、飽くまでそういう点については、私はそういう恵まれない町村に対しては、いつまで経つてもいたちごつこになつてしまう。そういう意味で一つこの指導面に対する技術の面は、又別な機会がありますれども、今申上げましたような実態をよくお考えになつて、本当に困つたところのまあ単協に対しては、もう少し親切な考え方に立つて頂きたい、かように考えておりますので、これは別にまあ御意見を承わる気持はないのでありますけれども、あらかじめ全国的にはそういう問題が今日まであつたと思いますが、今お話のように、金が余つてつて整備ができればいつでも貸すというような、こういうまあ実態であるならば、やはり多少そういう面を見て頂きたい。本当に先ほどの理事長のお考え通りに、運営が適正化されると思いますので、希望意見として一つお願いしておきたいと思います。
  58. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 只今注意頂きました点は我々も今後十分気を付けて参るべきところと思うのでございますけれども、実は県内の単協の信用取引はできるだけ信連に責任を持つて頂きたいという考え方は、申上げますれば話は長いのでございますけれども、実は私もう確信をいたしまして、そうお話をいたしておりますので、さればといつて信連にお願いしておりますし、いつ何どき中金が、信連の御要請によりましては金を出さなければならんわけでありますので、我々としては、やはり地方のそれぞれの末端の御事情は十分に注意しなければならんと思つております。我々のほうでも御注意の点等は十分気を付けますし、なお信連に対しましても、よく気を付けてもらうようにいたします。又昨日副理事長が参りまして、大変金が余つているというような話もしたようでありますが、そう金が余つているわけじやないのでございまして、実は日本銀行から借りる力があるというわけでございます。
  59. 松浦定義

    ○松浦定義君 これは又大変なことをお伺いをするようで、日本銀行からそんな三百億くらいの程度を借りるのじや足りないのです。これはもう今の水害とか、いろいろな問題等をずつと考えて参りますと、その程度のものくらいじやなかなか納得できないので、今三百億余つているというやつは、私はまあ昨日言われなくても別なほうから聞いているので、これは私も昨日はつきりしたと思つて喜んでおつたわけですが、どうも今の理事長のお考えと大変食い違いがあるようですから、若しそういうなら、その点をはつきりして頂かないと、相当私どもは先日の御意見で大分これは、もうここだけではどうにもならないようなあれになつていると思いますから、その点一つはつきりして頂きたいと思います。
  60. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) はつきり申上げておきます。我々は必要な資金を調達し得るということを申上げるのであります。ですからそう金が、例えば今度の災害等においていろいろ必要な資金がいるわけでございます。というのは、我々の今の力を以てすれば御用立てできる、こういうことでございます。決してだぶだぶ金が遊んでいるというわけじやございません。
  61. 松浦定義

    ○松浦定義君 その災害に三百億というのは付けたりに言つただけで、実際残つている三百億というのははつきり言われておりますから、この点は今如何に理事長がそういうようなふうに上手にまあ答弁をされましても私どもは了承することはできません。
  62. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 副理事長も三百億の適格担保があるという趣旨で以て申上げたのであります。それはそれでいいのでございます。災害の資金ばかりでございませんで、農業上いろいろ必要な、殊に協同組合関係の資金の需要が起りますれば我々はそれを御融通する力がある。何も現金を持つていなくても、それをすぐ例えば農業手形のごときは、今のところ日本銀行にすぐ担保に入れて金を借りられるものが中金の手許に残つております。これは必要に応じてすぐ資金化できるものであります。
  63. 松浦定義

    ○松浦定義君 例えば百歩譲りまして、今理事長の言われるように解釈するとしても、昨日言われた副理事長の三百億あると、こう考えてよろしうございますか。
  64. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 結果は同様になると思うのです。ですけれども、それは非常に誤解を起すと思うのです。金が遊んでいるのではございませんで、我々は農業手形のごときものはこれは日本銀行に担保に入れる。その他日本銀行に担保し得るものがあつて、必要な資金の、つまり金融市場において、経済市場において必要とされる資金を中金はその担保を活用して調達できるという事実は、外から御覧になれば、それは中金にそれだけの金があると御覧になつてもよろしうございます。
  65. 松浦定義

    ○松浦定義君 これはそういう細かい含みのあるお言葉でなしに、ずばりと甲されましたのでそういうふうに解したのですが、又速記も残つていることでありましようから若しそうでないような速記録の結果が、今理事長のようなお考えでしたら、委員長はその点を適当にまあお取計らい願つておいたほうがいいと思いますから、委員長にお任せいたします。
  66. 河野謙三

    ○河野謙三君 理事長、こういうことですよ。今の御答弁は、結局地方から金を貸してくれと言つても、金がない、金がないとちつとも貸さんじやないか、こういう話をしたところが、幾らでもお貸ししますと、中金は今三百億の余つた金があるから……、そういう意味なんです。まあ今日は本物の理事長がお見えになつたから、昨日のは嘘になるかも知れませんが、それでいいですよ。
  67. 鈴木一

    鈴木一君 私たち、はなから見ていると或いは違つているかも知れませんが、金庫には金庫なりの業務の運営の方針があると思うのです。県とか、各県の出張所、支所というものは中間経費は省くという意味でやめて、県の信連にそういうものを委託する。そういう点から余つた経費というものは指導連の事業に融通するとか、銀行の金利を年末には、期末には負けてやるとか、そういうわけに行かないものでしようか。
  68. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 農林中央金庫の地方機構の問題でございますが、先ほどお話のございましたように、我々東京にだけおりまして地方の情勢も暗うございまして、峯際いろいろの取引上において間違いも起るとも思います。それから我々のほうの負担で地方に事務所を置きますと、その地方のかたはそこで直接お取引ができますので御便宜かと思いまして、地方機構を作つておりますのでございます。これはやはり日本銀行が本店を東京に持ちながら、各所に支店を持つているのと同じく、市中銀行、日本銀行の関係と似ているのでありますので、我々は信連との関係におきましては、農信連との関係におきまして、いろいろ信連にやつて頂いて済むお仕事等につきましては、信連と話合をいたしまして、信連にやつて頂くように御相談中でございまして、我々はそれは結構なことだと思つておりますので、併し農林中金といたしましては、実は日本銀行との取引等は、今日の段階におきましては組合金融の関係は中金がやつておりますので、これはやはり日本銀行の出先もございますが、一々東京との取引でなくて、その地方で片付くという便利もございます。又農業だけでなくして、森林、水産その他の農林漁業に関する金融は信連では扱いにくい点もございます。それから又農林漁業金融公庫の長期の資金を中金が代理して委託を受けまして、お取計らいをやつております仕事のごときも、実際申しまして随分山の奥や、海岸辺に亘りますので、どうも中金が東京にいたのでは困るような事情がございます。さればといつて信連に全部委託するということは信連の負担が余り重過ぎるので、今日の段階におきましては、あえて地方事務所を持つております。併し御指摘ごとくに、これを簡素化することによりまして、地方機構ばかりではありません。中央機構を簡素化することによりまして、幾分でもお役に立つように今後十分気を付けて参りたいと思います。
  69. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 一般的事項は、農林中金のは再びおやり願う機会がありますが、この法案と直結してやりますれば……。
  70. 河野謙三

    ○河野謙三君 中金の場合ですね。例えば今度のような農産物価格安定法の措置による問題、又は有畜農家創設特別措置法、その他政府の施策によつて、あなたのほうの資金の扱い量が殖えましても、一般の銀行の場合には預金を吸収するために莫大な営業費を使つて預金の吸収をして、そうして扱う資金量を殖やしております。これには併しそれに比例していわゆる営業費というものがかかつて来る。ところが中金の場合は、この場合一般の市中銀行とは違つて政府の政策によつて、その結果出て来る扱う資金量というものも増が出て参りますね。この金融について用語がまずいかも知れませんが、そういうふうに性格が違うので、あなたのほうの、いわゆる極端に言いますと、労せずして入つて来る預金、又労せずして健全な貸付、この量が殖えて参つていると思うのです。そういう場合には、そういう特殊な施策の結果として出て来る預金、この貸付の場合には、その貸付に要するあなたのほうの営業費的なものを、これは別に扱つて幾らか安く、いわゆる利鞘というものを市中の銀行並に全部これを一つのものにプールして、何でも預金と貸付の間の利鞘というものを五厘とか、三厘とか、こういうことにきめちやつているわけですか。
  71. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) これはなかなか複雑な問題でございまして、簡単に申上げるといけないかも知れませんですが、先ほど河野委員政府のこのいろいろ制度施策をお立てになるにおいて中金の資金が殖える部面があるような御指摘もございましたが、又一面に仕事が殖えるのじやないか、仕事が殖えればその仕事を賄う資金はどうするかという問題、そうすると、それは紐付預託とか、前渡金とかいうような、まさにこれは政府の資金なんです。我々労せずしてそれだけの資金を以て仕事をするわけですね。併し政府がおきめになつた仕事、その仕事というものは必要なことはわかりますが、危ないかどうかということについては、これはこちらに独自の考え方があるわ等す。それをしろしろとおつしやいますからしますです。ですけれども余にもやはり資金のコストがかかる。そこで先ほどからちよつとお話の出ました紐付的な資金で、特別に管理しているものにつきましては計算は別といたしまして、そうでなければ、我々はいろいろの源泉から金を集めておりますし、それを一般プールしております。例えば預金、農林債券、それから例えば政府の指定預金、一般指定預金、こういうものは一応我々のほうの公庫預金として全部プールしております。それでこつちの仕事の挙る利益と見合つておりますのでございます。又その仕事をいたしますに必要ないろいろな経費を見合つております。ですから別になつているものは極く例外でございます。
  72. 河野謙三

    ○河野謙三君 私の今お尋ねしたのは指定預金に類するものですね。政府の預託したもの、こういうものに対する資金コストというのですか、これは一般のあなたのほうの資金とは別個になるわけですね。例えば自己資金によつて連合会に貸付ける、こういうふうな場合にその預金貸出しとの利鞘、これを五分なら五分見る。今までのような指定預金の場合には、一般に五分であるけれども、この場合は二分であるとか、一分五厘であるとかいうふうに区別されているんですか。
  73. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) それは例えば今の御指摘のように、或る者に貸す、貸している間ちやんと紐付であればいいんですが今までは政府から指定預金でも、政府はどのように引揚げたいというときに、中金は自分で自分の自己資金で賄わなければならんというふうなものですね。そうでないものもあるんですね。そのそうでないものも、我々はとやかく申しませんが、いつ引揚げられるかわからない資金ですね。それはたまたま政府のほうから、つまり財政引揚超過が多くて、それを民間に戻すというのは用途として指定なさずにお渡しになる資金は、これは我々は別になると思います。
  74. 河野謙三

    ○河野謙三君 だから貸出しから始まつて回収に至るまで全部自己資金によつて賄えないで、ただ取次の金融業務をやつた、こういう種類のものにはおのずと別の建前をとつているわけですね。その場合は一体どのくらいで、これは一般の金利体系を棄すとか、何とかいう問題にならん特殊のケースですから、こういう場合は一体どういうふうに……。
  75. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 結局観念的には恐らく危険負担というものは或いは少なくなるかも知れませんね。危険負担というものが……、或いはそういうときに自分の利益というものを殆んどとりません。営利的に考えないのでございますね。実費的な額を計上する、こういうつもりでございます。
  76. 河野謙三

    ○河野謙三君 具体的に例えば経済局のほうから肥料資金というものを紐付で来る預託があつた。そういう場合、これを全購連に貸した、こういう場合には一体どのくらいな何になるんですか。
  77. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 肥料資金とおつしやいますのは、恐らく肥料需給安定のあの施策の資金だろうと思いますが、そういうものにつきまして、只今想定しましたような関係ができるかどうかわかりませんが、私どもとしては、さつき申しましたように、普通の金利でもマージンさえあれば当然遠慮すべきだと思つております。どの程度ということは、それは場合々々によつてやらなければならん。極く最近、確か共済金の例はこれは全く政府が当然お出しになるべきでありまして、仮に私どものところへお出しになりましても、これは極力減らしております。
  78. 河野謙三

    ○河野謙三君 大分委員長議事進行で気にしておられるようですから、話はまだ大分あるんですけれども、折角理事長見えておられるんだけれども、この辺でやめますから余り気にしないで下さい。最後に、今ここで議題になつている再建整備促進につきまして、私は従来から、この金を貸すだけではもう本当のこれは再建整備にはならないということを主張しているんですが、農業界の権威として、理事長はこの措置だけによつて農協が息を吹き返すと思つていますか、或いはそうでなくて、いろいろ理事長は今日は公聴会でなく、参考人でお招きしたというような意味合で、只今そういう意味合で一つ農協の再建について、あなたの意見は非常に尊い意見だと思いますから、一つ何か御意見を最後に伺つて私はあとは質問しませんから……。
  79. 湯河元威

    参考人(湯河元威君) 私自分のほうのお願い等を述べて見たいと思います。私はこの法案の御構想は、これは一番当初に河野さんがおつしやつたように、お前済まんと思わんか、私は済まんと思います。これをやるといたしましたら、我々は先ほど来申上げましたように、金融機関としてもベストを尽して見たいと思つておりますが、今日の事業連或いは農林漁業組合連合会が悩んでおりますのは、こういう利子補給と、それから金融機関の協力だけで建直るかという点につきましては、私はそうでないと思つております。これは全面的な努力が要るのであつて、それは先ず事業連のかたが本当にしつかりなさらなければいかん、それは先ほどもどなたかの仰せのように、妙なボスみたような人がいて食い物にされちやかないませんでございます。それから役員ばかりじやごいません。職員がしつかりしていなければかないませんです。そこいらにつきましては、本当に我々は第一にメスを入れなければいかん、メスを入れるといつちや恐れ入りますが、お考えを願わなければならん。それから仕事のやり方でございます。これにつきましては全購連、全販連等が非常に苦心をなさいまして、今日系統の仕事のやり方を御指導になつて我々も陰ながらお世話になつております。あの組合らしいやり方を、これを徹底しなければ駄目だと思います。それは併し反撃が強いのでございます。強いのでございますが、漸次それの共鳴者が殖えて来ておりますので、我々は希望を持つておるわけであります。それから会員のかたがたですね、会員のかたがた、単協のかたがたによく御理解頂かないと、これはできないと思います。結局迂廻出資という忌わしい言葉も出ておりますが、さようなことは本当によくないことでございまするが故に、一つこの際とつくりお話合をして、難きを忍んで常道に返して頂くように、又どうしたら返し得るかということもお互いによく研究しませんと、利子補給や金融だけでは立直りませんと思つております。私はそういうようにいたしまして組合の力を結集し、系統の横縦の力を結集することと、そうしてもとより系統外の債権者等に対しては、これは総力を挙げて条件緩和その他の折衝をする。そうしてそれから先ほどもちよつと申上げましたように、これは現下経済の大問題でございます故に、県のほうのかたも県の財政の一部を割いて、この再建に政府からもこれだけの御援助があるのだからやつて下さい。それから県知事は監督権がございませんけれども、実質上県内の大問題として非常に注意深くいろいろと気を付けてもらいたい、そういうふうにあらゆる方向、方面からこれに協力して頂きまして、そうしてその上で政府がこの十年、五分の利子補給をなさつたならば建直るだろうという見通しのあるものだけが今度は個別に拾われて行くと思います。一年かかるか、二年かかるか、拾い上げるまでには相当かかると思いますが、私はその努力が大事なんでありまして、やつて見ないうちは、なかなかもうこのくらいのことでは駄目だと言うことは早い。併しやつてこれだけのことで全部建て直るということは、今ここで太鼓判を押すことも早い。これは一、二年かかりますが、血みどろになつてつて見て、我々としては本当に再建整備再建整備で二度も三度もお世話頂くことは恐れ入りますので、これを最後にしたいという気持でございますが、これも我々だけが如何にやつてもいけませんので、皆様方のいろいろの御指導なり御鞭撻も頂きましてやつて行きたいと思つております。
  80. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 如何でしようか、本会議の記名投票がすぐ近いようでありますが、大体これで質疑を終了いたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは農林中金に対する質疑はこれで終結をいたします。  なお本会議の都合もありまするが、農林当局への質問がありますと思いまするが、これで暫時休憩をいたします。    午後四時二十六分休憩    ―――――・―――――    午後六時四十三分開会
  82. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは委員会を再開いたします。  農林漁業組合連合会整備促進法案につきましては、質疑は大体尽きたものと認めますので、これで打切りまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  84. 白井勇

    ○白井勇君 私は元来農業協同組合運動に対しましては非常な関心を持ち、将来の日本の農村経済の発展のために非常なる期待を私は持つておるのでございます。今回出ました再建整備促進法案につきまして、今の段階におきましては、これもやむを得ない法案であろうかということで私は賛成をせざるを得ないのであります。ただこの際私は強く政府に要望を申上げておきたいと思うのでありまするが、政府におきましては、農林省の設置法或いは又組織令を見ましても、農業協同組合指導監督という仕事がはつきりと調われておるのであります。この間協同組合の部長さんにいろいろと政府の御方針なりを承わつたのでありまするが、御抱負のありまするざつくばらんなお話を聞き得なかつたので、私としましては胸を打たれるような点がなかつたのでありまするが、こういう再建整備というものだけで農業組合運動が救われるというようなことは到底私は考えられません。この委員会の席上におきましても、河野委員は、二十六年におきまして再建整備が行われました場合、それによつて農協が立上るのだというふうにだまされたというお話でありまするが、私はこういうような今回出ましたような法案では只今申しましたように、だまされるまでもなしに、再建整備は一部の助成にはなるかも知れませんけれども、とても達成はされません。勿論、やはり農業協同組合運動それ自体の事業指導監督というものを私は徹底しなければならんのじやないか、こう考えるのであります。麦の統制撤廃が実施をされました場合におきましても、農業協同組合といたしましては、この自主的の統制の一団体といたしまして非常なる転換期にあつたわけでありますが、その場合こおきましても、私ども知つておる限りにおきましては、食糧庁は別としまして、協同組合運動自体の指導監督につき責任のありまする政府当局におきまして、これを積極的に応援したと私は考えておりません。本日参議院を通過いたしました農産物価格安定法案、あれは私は極言をいたしまするならば、農産物価格安定という一つの大きい政策を掲げましてありまするけれども、この内容を見まするならば、端的に申しまするならば、全販の再建整備である、私はこう考えております。ああいう一つ法案を出してもらいまして、全販が事業活動によりまして再建整備ができないような恰好になりまするならば、これは全販の将来を決定するものでありましようし、若しうまく行かなければ、ただそれのみならず、又將来の農産物価格安定政策にも非常なる悪影響を及ぼすであろうということを考えますときに、先ずその方面に対しまして政府は十分なる指導監督というものを、これを加えなければならない、こう考えるものであります。更に又今回この委員会におきまして、終始問題になつておりまする中金なり、その他の金融団体におきまする資金の融通に関連しての問題でございますが、例えて見ますならば、開拓融資法におきましても、当初は日歩二銭五、六厘の金利しか融通できない、こういうお話でありましたが、そこにおきまして河野委員がああいう御発言をされまして、結局二銭二厘まで下つておる。更に又価格安定法の場合におきましても、やはり政府が一銭六厘で融資をいたしますと言いながら、結果は、二銭以内で融資をするというような結果になつたわけでありまするが、そういうようなことが、この委員会におきまして河野委員が若し発言をしなかつたといたしますならば、やはり従来通り二銭五、六厘の金利で末端に流れておつたんではなかろうかと思うのであります。開拓融資の場合のことを考えて見ましても、二十億の融資がされまして、農民が十二億返還すればいいということであれば非常に意味があろと思いますが、損失補償約八億でありますから、そういうものは運用如何によりましては、やはり中間にあります金融機関の一種の救済農林の整理に充てるような運用もできないこともないと私は考えます。よほどこの金融機関に対しまする指導監督というものを十分に徹底いたしませんというと、これはここで非常に問題になりましたような結果を更に加えるようなことになるのじやなかろうかと考えます。特に本案の運用につきまして、併せまして私は農業協同組合運動の事業指導監督という方面に十分なる御努力をいたされますことを政府に特に御要望申上げまして、賛意を表するものであります。
  85. 鈴木一

    鈴木一君 この法案が、金融機関の固定しました債権の回収にばかり終つてしまいまして、真にこの法案目的であるところの事業機関の整備促進ためにならないという決議がありますので、附帯決議を附けて賛成するものであります。    農林漁業組合連合会整備促進法    案附帯決議(案)   農林漁業組合連合会の整備を促進しその振興を期するため政府は本法の実施と併せて次の措置を講ずべきである。  一、本法によるような単なる利子補給ばかりでは呼び水的な効果を期待し得るに過ぎないのであつて連合会の振興は根本的にはその事業の伸暢に待たなければならない。ここに鑑み、政府連合会事業伸暢のため低利な資金の融通及び斡旋或いは事業運営の推進等各般の事項に亘つて積極的な措置を講ずること。  二、連合会における固定化債務の整理に関しては、本法による国からの利子補給に呼応して金融機関においても従来よりとかく非難を受けておる諸点を深く反省し、真に協同組合金融機関としての使命を自覚し、これが固定化の原因及びその内容等を勘案して適当な手段によつて積極的な協力を惜しまぬよう、政府において適当な措置を講ずること。   右決議する。  以上であります。
  86. 清澤俊英

    清澤俊英君 只今白井さんからいろいろ賛成に対する御意見が展開せられました。鈴木さんから附帯決議が今出されました。私も本案には賛成します。この附帯決議について決して反対はしません。附帯決議も賛成はしておきますが、ただ少しばかりこれを附帯一決議とするにはちとどうか畠心い享が、附帯決議には触れません。それで問題は、私質問がまだ残つておると申しましたことは、実を申せば焦付きになつ一つ一つ、欠損を来たした一つ一つ、この実態が全く解消しておられません。だからと言つて、その整備をやるなというのでありませんから、まあ反対はしないで賛成をして、一日も早く正常な農業協同組合、漁業協同組合等の発達を望むものでありますから、賛成はして参りますが、そこで私その欠損等を来たしました原因等を、甚だしいものを見まするならば、単協等が生産工場等を作りまして、若しくは旧来の農協、いわゆるボスと言われる人たち等が集まりまして、農協の農産品の加工工場等を作つて行く、これが行き詰りましたとき、救済的に県連合会等が買上げて、それが焦げ付きになつて、につちも、さつちも行かない等の例はほうそれで見ているのであります。こういうようなことが続けられておりましたならば、これはなかなか再建整備も面倒なことが出て来ると思いますので、そういうものに対して、附帯決議として具体的にもつと政府はそういうものに対して監視せいという意味合も付けたいと思いますが、ここには付けませんが、附帯決議に対上まする、同時に本案の賛成に対しまする一つの重要項目として、白井さんの賛成の御意見のあとへ一つ加えてもらいたい。こう思います。
  87. 戸叶武

    戸叶武君 この附帯決議で尽きているから、多くのことは言う必要はないと思いますが、問題は過去におけるところの尻拭いだ。或る意味においては尻拭いですが、やはり過去の問題を或るところまでは究明して、とにかく失敗し、間違つていた点がどういう点であるかをよく吟味してもらうことが必要でありまして、よい組合と悪い組合とを一緒くたにするようなことのないように、やはりその功罪というものを明らかにすることが必要であると思いますが、それ以上に問題は、今後過去と同じようなことを繰返させないように、やはり針を打つておく必要があると思うのです。私も長い間側面から農業協同組合を見つめながら、協同組合運動に呼応して参りましたが、日本の農協運動というものがゆがんでしまつたのは、おおむね、特に戦後派におけるところの理事者というものが、一割か二割は相当な人もおりますが、極めて劣悪でありまして、この人たちが極めて自己本位の、或いは投機的な動きをやつて、職員自身をも悩まして失敗を招いた点が多々あると思うのであります。そういう意味において、理事者の責任というものを、もつと厳しくやはり追及して行くことと同時に、農業協同組合が健全である限りにおいては、職員の中においては、経験を通じ、又その見識を通じて相当の意見というものが出ているのでありますが故に、理事者の下に圧殺せられて、この職員の正しい意見なり活動ができないような、ゆがんだ姿をやはり建て直して行かなければいけないと思うのでありまして、そういう点を考えながら、やはり農林省あたりは、農業協同組合の私は過去の失敗を徒らに追及することよりも、今後再び過去の間違いの轍を踏まないような形において補導して行かれることをお願いしまして、そしてこの案に賛成いたします。
  88. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 本案につきましては全面的に賛成するものであります。併しながらこの整備促進法を完成せしむるためには、先ほど戸叶君の言われたような点は非常に主な点だと私も考えるのであります。而してこれを勇敢に立ち直らさせるためには、この委員会におきまして、いろいろと金融問題或いは事業の問題を、ただ金融だけをして、それで立ち直るものではない、又利子を補給することによつて立ち直るものではない。これには事業的な分量が相当の量を占めて立直るのでなければ真の自発的と申しますか、自主的な立直りとは言えないという議論もあつたのであります。その通りでありまして、これをせしめるためには金融業者に勇敢に、今までの固定債務に対する融資のみならず、今後の事業資金を大いに融資することをさせなければなりません。これがためには政府当局におきまして、農林省におきまして、少くともこの裏付といたしましては、今後の問題といたしまして、これの補償をすることが必要だ。固定債務に対しまする金融業者の融資に対しまする場合、又今後の事業を推進する上におきまして、固定債務の融資だけではいけないのでありまして、今後の事業に対する融資に対しまして監督を十分にすると同時に、ここに政府が補償することをしなければ、この促進法は必ずしも過去の例から見まして成功するとは考えられない。この点に対しまして、政府は大いに一つ今後におきまして考えて頂きまして、第二段におきまして、融資に対する補償をすることをお考え願いたいことを希望として申上げまして、本案に全面的に賛意を表する次第であります。
  89. 鈴木強平

    鈴木強平君 本法案は、昨年末農林漁業の経済連から一致して、固定した債務についての利子を補給してほしい、さようにして下さるならば、立上りができるというような要望に則つて三月まで何回か会議を開いた結果、政府に強く要望した結果がこの法案になつて現われたと思います。経済連におきましては、農林漁業の生産財の確保に当つて本当に努力したと思うのです。併しながら二十三年、四年のドツジ・ラインによるところのデフレ政策によつて大きな損害を招いております。同僚曹からもいろいろ言われておりますが、必ずしも農業協同組合関係役員の不始末から出ているとは言えないと思います。良心的にはそのかたがたの努力は認めていいと思つております。私はこの本法案については何らの非難をせずに盛り上げてやらなければならんと考えております。従いまして只今鈴木委員から読み上げられました二つの問題については、これは批判せずして事業を促進してやろうという意味から、そういう意味で附帯条件を付けて賛成いたします。
  90. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は本案並びに附帯決議に賛成するものであります。併しこの際に提案看たる政府にも十分私は反省して頂きたいと思います。それは農協が今日まで不振に不振を続けている原因はどこにあるか、私はその核心に触れてないと思う。一口に言えば農協の不振というものは、組合員たる農民に信を買うことはできなくなつたということであります。組合員が本当に組織的に農協運動に努めて、そうして農協のために動く、組合員が農協に信頼を持つということになれば、十億や二十億の借金は何でもありません。そうではなしに、幾ら赤字の補填をしたところで、その日から農民というものは決して農協に対しての信頼を厚くして行くものではない。この措置によつて農民が農協に明日から信頼を持つということならいいのでありますが、そういうことになつていない。従つて私はこの附帯決議にありますように、これは単なる一時的の疲労恢復に過ぎない、こういうことは農林省でも十分御承知のはずです。又御承知のはずならば農林省初め農業団体はもう少し責任を持たなければいけません。由来農業の不振は私は今申上げた理由のほかに、農業団体の役員ぐらい責任を回避するものはありません。もう少しほかの地方の組織というものは、役員というものは責任をもつと持つものであります。こういう二度も三度も国家に不始末の結果負担をかけておりながら、どういう責任を一体持つたか、持ちやしないでしよう。今日も中金の理事長が来て、これは責任があるので責任を痛感しています。責任を痛感するなら痛感するように中金初め全購連なり、全販連なり、何故もつと今責任を痛感している具体的な事例を我々の目の前に現わさなかつたか。そういうものは一つもない。そういう意味において私は忌憚なく申しますと、今までの農協というものは、農民農民の手で農民を撲つているというのが今までの農協であります。農民農民の手で農民を愛さなければいけません。然るに商業資本と全く同じようになつて、如何にして儲けるか、如何にしてごまかすか、そういうことに汲々として農協が黒字になつても何にもなりません。それは一時的の黒字であつて、その蔭には日に日に農協に対して組合員は離反しております。そういうような意味で私は本法案にはやむを得ず賛成するものでありますが、少なくとも再びこの赤字補填等の措置によつて政府の手によらねば農協が再建できないというような、こういう不始末の起らんことを特に私は政府に厳重に要請をいだしまして本案に賛成いたします。
  91. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。農林漁業組合連合会整備促進法案について採決をいたします。農林漁業組合連合会整備促進法案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  93. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて法案は全会一致を以て可決すべきものと決定をいたしました。  次に、討論中にありました鈴木一君提出の附帯決議について採決をいたします。鈴木一君提出の附帯決議を含むことに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  94. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて附帯決議を附することに決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  次に本法案を可とされたかたは例により順次御署名を願います。  多数意見者署名    河野 謙三  清澤 俊英    白井  勇  鈴木 強平    重政 庸徳  鈴木  一    佐藤清一郎  上林 忠次    関根 久藏  雨森 常夫    森田 豊壽  宮本 邦彦    戸叶  武  松浦 定義   ―――――――――――――
  96. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に有畜農家創設特別措置法案議題といたします。御質問のあるかたは御発言を願います。
  97. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は昨日畜産局長質疑の際に申上げたのでありますが、今回の三割の損失補償という措置をとるに当りましては、少くとも従来よりはもう少し危険と思われる範囲まで入り込んで融資をして、積極的に家畜導入をやろうということだと思うのですが、そうであるならば、この損失補償の単位が原案のように単位農協ごとに三割の損失補償ということでは、私は従来の貸付と何も方法が変らないので、この点から考えますと、少しも積極面がないと思うのですが、少くともこれを県単位にプールして三割の損失補償、こういうことまで行つて初めて、私はこの三割の損失補償も積極策と表裏一体となる、そこに初めて効果が挙つて来ると、こう思うのですが、この点につきまして、もう一度御再考願えませんか。
  98. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 有畜農家創設特別措置法案は、只今御意見がありました通り金融機関等が融資をなし得ますのをできるだけ阻止と申しますか、そういうことのないように、安心をいたしまして金融機関が貸出すことができるように損失補償を付ける、こういう意味合から出発いたしたのであります。従つて然らばどういう損失補償をするかという問題につきまして、いろいろと検討いたしたのでありまするが、只今お話のありました通り、府県をプールいたしまして融資いたしますとか、補償いたしまするということが、一番融資にとりましては手厚い施策であるということはお話通りであります。ところがこの融資は御承知のように凍霜害或いは風水害等によりまする救済的な融資と違いまして、産業的な融資であるということが一つ従つて理論的に申しますれば、産業的な融資でありまするために融資の対象に対しまして補償をするということでありまして、それをプールするということは理論的におかしいということが一つ。もう一つは御承知のように、家畜につきまして、この措置によりまして導入いたしました家畜は家畜共済の対象に必ずするという条件が付いておるのでありまするので、少くとも三割程度補償いたしますれば、それ以上の手厚い保護をいたしませんでも十分ではないか。こういう二つの理由からいたしまして、大体単位農協を対象といたしまして補償をするということに相成つたのでありまして、十分とまでは行きませんが、この措置をとることによリまして、従来金融機関等が出し渋つしおりましたこの障害に対しましては相当程度緩和し得るのじやなかろうか、かように存じておる次第でありま
  99. 河野謙三

    ○河野謙三君 又これ中金の問題になるけれども、なかなかそんなことで緩和するような中金では私はないと思う。但しこれは議論になりますから……。それではどうです。この一年間実績を見て、そうしてその経過において若し私が言うように、従来と同様になかなか中金が出し渋つて、この法案の趣旨に副つて来ないということであるならば、その際にもう一度お考え直しを願つて、私が申上げるような県を単位にしてのこのプールによる損失補償、こういうようなことに一年間の実績によつて考慮する。こういうことは畜産局長としてこの際できますか。
  100. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 本案が成立いたしますといたしますと、損失補償もできることになりまするので、私どもといたしましては、全力を挙げまして府県の県庁又団体、こういうようなものにこの趣旨を徹底させまして、いやしくも金融機関が出し渋るというようなことのないように、お互いに連絡をとりましてやつてもらいたいと、かように存ずるのであります。只今のようなお話のように、私は少くとも現在のところでは、この措置をとりますれば出し渋るというようなことは起つて来ないのじやないかと思うのでありまするが、若し現実の問題として、只今御意見の通り出し渋るというようなことがありました場合には、これは相当研究して行かなければならんのじやないか、かように存ずるのでありますが、一年ということにつきまして期限を御指定になりましたが、一年ということの御意見につきましては、ここで即答をいたしかねまするが、実績を見ました上で、若しこの措置をとりましてもなお不十分であるということになりますれば、その場合には只今御意見のようなことにつきましても考えまして、府県プールというような組織に変えてかかるということも必要じやないか、かように考えております。
  101. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は何もあえて一年というのを固執するわけじやありませんけれども、実は私今日上げろということでありますから賛成はいたしますけれども、今まで私が資料を要求して、その資料を頂いておりませんが、過去二ケ年ですか、その間においてその家畜導入の融資をいたしまして、それの利子等も私は滞りなく入つておると思われる。従つて大体この融資の分が、危険が殆んどないというふうになつておると思う。そういう意味合からして私はもう一年でも見て頂けば、この一年間において今後の措置によつて大体残余の二年の見通しというものが私は付くと思うのです。そういうような意味合から申上げたんであります。それからもう一つ、今朝ほど中金の理事長にいろいろ質しましたところ、二銭七厘幾らというものは非常に大きく危険負担というものを金融機関は織込んでおるようだ。危険負担を織込んでの二銭七厘幾らのようでありますが、これは今度の法案措置によりまして、これだけ安全性をとつてあれば私は危険負担というものを考慮に入れたところの二銭七厘というものは不当だと思う。そういうような意味合から、この金利につきましても、実はこれは明日中金とよく具体的に御相談を願つて、御返事を願う約束でありましたが、これも御返事が頂けないということになりますが、これは私は中金と畜産局長との御協議の結果、これが相当大幅にその金利が引下げ得られるということを私は前提にいたしまして本案に賛成いたしたいと思いますが、この金利の点につきまして、中金とは別に畜産局長としての御意見があれば伺つておきたい。それもあなたが中金の理事者と同じように、これは非常に大きな中金に危険負担をさせた、こういう前提でおいでになりますか。本案提案者のあなたとしては、そういう点万々中金だけにそういうような危険負担を負わせない、それが故に三割までの負担を織込んであると、こういうことでありますから、これは大分中金がこれに対して、危険負担が付いて来ると、こういうようなお考えであなたとは大分違うと思うのですが、従つてその見解が違えば、金利に対する見解も、農林省と中金の間に協議の結果相当の懸隔があると思うのですが、その意見の違いをどういうように調整されるか。それを一つつておきたいと思います。
  102. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農業経営を安定させますため、又総合食糧を確保いたしまするために、無畜農家を解消することにいたしまして本法を提案いたしておりまするが、従つてその結果政府といたしまして利子も一部保証する、又同時に損失についても三割のものを補償をする、こういう手厚い保護を加えておるということに相成りまするので、できるだけ金融面におきましても、金利自体についてできるだけ低い金利ということが望ましいわけであります。従いまして、これは金利一般の傾向とも関連がありますが、今後中金当局と十分打合せいたしまして、できる限り安い金利で廻して頂くというようなふうに措置して参りたい、かように思うのであります。
  103. 河野謙三

    ○河野謙三君 それはできるだけ安い金利というのは、従来の二銭七厘一毛ですか、これよりも相当量、この措置によつて行う金融については金利を引下げるというふうに今あなたの御決意は解釈していいんですか。私はそういう意味合において賛成したいと思うのです。若しこの問題が従来同様に二銭七厘幾らということであるならば、私はほかの委員のかたはどうであるか知りませんけれども、私はこの点一点だけでも中金を呼んで更に具体的に答弁を伺わねばならんと思います。
  104. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 本資金は中金自体の自己資金でありまするので、政府資金というわけには参りませんので、中金自体のいろいろ計算があることだろうと思うのであります。従いまして中金といたしましても、勿論限度があろと思うのでありまするが、それらの点につきまして、中金当局に私どものほうからいろいろと御折衝申上げる、その態度といたしましては、できるだけ安い金利を廻して頂くように折衝申上げる、かようなことに相成ります。
  105. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう一遍。私も自己資金は承知しておりまするが、自己資金でも、中金でも二銭七厘幾らというのは私の承知する範囲ではないんです、こういう高い金利は、これは長期には亘りますけれども、一面政府保証等がありまして非常に安全なんです。ですから長期であると同時に政府保証において安全性と長期で帳消しになつている。それだけ考えても自己資金を一般に金融している二銭五厘が当然だ、私は二銭五厘に満足しているんではないのでありまして、併し二銭五厘ならば今でも私はいいと思う。それ以下のことについてなお私たちは希望を持つておるのでありまするが、自己資金なるが故に二銭七厘幾らということは私は妥当でない、その理由なしと思つているんであつて、その点もくれぐれもお含みの上私は御交渉願つて、我我が意図しておる結論で行くように願いたいと思います。(「交渉すると言うんだから仕方がないよ」「本人じやないんだから」と呼ぶ者あり)
  106. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その点につきましては、只今御意見の通り、そういう趣旨を以ちまして、そういう方針の下に交渉いたしたい、かように考えます。
  107. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ほかに………(「意見なし」「採決」と呼ぶ者あり)他に御質疑はございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御発言もないようでありまするから、質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。(「言い尽したんだからいいじやないか」と呼ぶ者あり)
  110. 清澤俊英

    清澤俊英君 附帯決議を一つやりたいと思いますので、(「採決しろよ」「簡単に」と呼ぶ者あり)わかりました。(「たくさんやつてくれ」「簡単に長く」と呼ぶ者あり)附帯決議を付けたいと思いまして文句を読みます。   有畜農家創設特別措置法案附帯決議(案)  本法案の施行に当り特に留意すべき点は家畜増殖の前提として、家畜及び畜産物の価格の維持安定が第一要件である。これなくして相場が常に変動し時に欠損を招来するがごとき事態の消滅せざる限り本法も効果を失いこれが目的の徹底も期しがたい。  政府はこの点に鑑み速かに家畜及び畜産物の流通機構の整備並びに価格維持に対し十分な措置を講ずべきである。  右決議する。  簡単に御説明申上げますと、これは昨日の質疑の中に、大体森田さんの指摘せられた闇取引をせられる問題である、或いは戸叶さんによつて指摘せられた明治、森永の独占的な形態によりまする価格操作というようなものを中心にいたしまして、今まで政府におきましても、いろいろ畜産の語奨励はあつたのでありまするが、昨日も私が申上げましだ通り、実際農民といたしましては、農林省が家畜の奨励をして参られますると、眉唾だと、こう言うのであります。ということは、狸を飼えと言われれば、悪いから狸を飼えば、皮算用で身上を壊してしまうし、狐を飼えと言われますので狐を飼えば、ばかされて、これも身上を壊す、豚を飼えと言われるので、隣りから隣りへ飼いますと、値下りになつて、骨もしやぶれないような状態になつてしまう、牛乳なんかもやはり、酪農に対しましてさような状態が現れている。又牛などを飼つて見ましても、そういう問題が家畜市場等の操作によつて常に起きているのであります。農民が一頭の乳牛を飼いますることは、これは家を建てると同じくらいで、三年も四年も考えて投資してやるのでありまして、それが一旦多大の損害をこうむりましたとしまするならば、これは再び家畜を飼うという意慾を失つてしまう状態にあるのでありまして、この家畜の価格の維持と、従つて目的としまするところの畜産品の価格を維持して、これに安心を与えることがなかつたならば、決して如何なる方策を以ても、ただでくれてもなかなか飼わんという実情があると、こう思いますので、従つてかような附帯決議を付けましたのでありまするから、これだけ申上げますれば、賢明な、(「異議なし」と呼ぶ者あり)殊に農民事情をよく御存じのかたはよくおわかりのことと思いますから、本附帯決議を一つ御賛成頂きたいと、こう思います。
  111. 戸叶武

    戸叶武君 私もそれに賛成をいたします。多くを述べる必要がありませんけれども、畜産局でしつかりやつてもらいたいのは、日本の食糧政策を政府はきめまするときに、これをば米より麦というようなことを言つておりまするが、小麦を輸入する点も、そういう点に変つて来ているようですけれども、麦を主として食べているところの諸民族は、大体が牧畜民族でありまして、麦には副食物が必要であるのです。日本において特にこの食糧関係からも、栄養関係からも大きな革命が到来するとするならば、畜産に重点を入れることだと思うのであります。然るに今まで日本の農政というものは、どちらかと言えば米と麦とに片寄つておりまして、「なたね」なんかも大分力瘤を入れられているようでありますが、その割合に畜産というものが取上げられていないと思うのであります。本年度至つていろいろな形で畜産に対して力が注がれているようでありますけれども、是非これをやる際におきまして、資金の問題と関連して、あと飼料の問題、或いは牛乳等をこの農家から買上げる値段を叩かれないようにするやり方、そういうようなことまで考慮して、そうしてこの法案の成果を挙げて頂かれんことをお願いいたしまして、賛成いたします。
  112. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 清澤先生、この附帯決議案に対しましての説明が、大分家畜取引市場の問題もこれに含まれているような御説明でありましたが、この文書で言うと、私の質問、今までいたしましたことは、畜産品に対しましては煉乳会社、まあ森永、明治とかいう会社がたくさん家畜を導入することによりまして、牛乳がたくさんできるということによつてこれを安くする。まあ安く買ういい動機ができたということで、そういう資本家の擁護になつてしまう。それがため農家は持て余して困るという問題がありますが、家畜の売買、取引というものに対しては、これは取引を公正ならしめるために、どこまでも各県に一つぐらいの取引所を設けて公正なる取引を、青物市場と同じように、農民の見ておる前で取引ができるような取引市場を作つてもらいたいという点が附帯決議の最も重要な点だと考えている。これが直ちにいろいろな面でやれないというならば、これこそ速かに政府はやるべきだということを附帯決議にすることが、本法案を通過せしめることについての一番重要な条件だと私は考えておる。先ほど森田委員はそういうことを言つたということで、それも含まれているようなお話でありますが、それでは甚だどうもそこが不明朗でありまして、若しこれが……本案を通過させるのに遅くなりまするから、若し提案者がその説明をはつきりするならば、又これを訂正する意思があるならば取消されだい。そうでないならば、これを速記録にしつかり残しておいて、局長の答弁を、将来それをやる意思があるかどうかということをはつきりしておくことが必要だ。これが重大な問題であるということを確認して頂ければ附帯決議も結構だと思います。
  113. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと今討論ですから……。
  114. 清澤俊英

    清澤俊英君 いや議論はいたしませんから……。森田君の心配するそういう議論が出ると思いますが、家畜市場もあります。従つてその家畜市場であなたが言われるような闇取引がやはり行われておるというようなことを……、だから私は家畜市場等の整備ですかな。そういう意味合で申上げたので、結局生体検というものを付けて、ちやんと農民の前で目方が幾ら幾らであるというようなものがはつきりして参りますならば、だんだんとそういうものは解決で送ると思うのでありますが、そういうものもなしに、旧来の博労だけが寄りまして、そうして挟の中であなたが言われるような方法をする。そういう家畜市場のようなものも整備することを含んで、あなたが言われたようにと、こういう意味合で、家畜市場を作つて堂々と公正取引ので色るということは最も賛成しているのでありますから、どうか御懸念なく……。
  115. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  116. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。他に御意見ございませんか。
  117. 上林忠次

    ○上林忠次君 日本で家畜の増殖が遅れている点は、まあ国土が狭い。食糧増産にだけでも汲々としているというような状態で、家畜を飼いたくても飼料がないという点で特に大家畜の繁殖が遅れているのだと思います。それでこの今回の措置によりまして増殖されるにつきましては、大家畜を飼養し得る地域、又小家畜に適当な地域をしつかりきめて頂きまして、増産によつて乳製品が高くなる、生乳が高くなる。結局増産の結果が農家の経済に役に立たなかつたというようなことのないように適地を選んで頂きたい。そして日本の食糧、今の食糧政策が米ばかりに偏しております今の日本の食糧が麦のほうに向きまして、麦の副食物として家畜が役立つて行く、大きな食糧政策にマッチしたような家畜の増殖を願いたいと思うのでありますが、先ほども申しますように、飼料が一番の問題ということになりますと、この飼料の解決のために、牛を飼うなら一頭に対して側反歩の麦畑はこれは課税標準から省というようなところまで、飼料に対する政府の御処置を将来願いたいと私ほ考えるのです。そこまで行かないと、家畜の増産もむずかしいのではないか、そういうような点を政府に要望いたしまして、私この法案に大賛成であります。
  118. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したもりと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。有畜農家創設特別措置法案について採決いたします。有畜農家創設特別措置法案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中にありました清澤俊英君提出の附帯決議について採決いたします。清澤俊英君提出の附帯決議を附することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  121. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて附帯決議を附することに決定をいたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  次に本案を可とされました方は例により順次御署名を願います。  多数意見者署名    鈴木 強平  河野 謙三    清澤 俊英  白井  勇    川口爲之助  重政 庸徳    雨森 常夫  森田 豊壽    鈴木  一  戸叶  武    松浦 定義  宮本 邦彦
  123. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次いで陳情、請願をやる予定でありましたが、時間も本日は大分過ぎて参りましたので、明日午前十時から開きまして、冒頭に陳情、請願の御処理を審議願いたいと思います。委員長のところで大体予備審査をしておりまするから、それにつきまして御審議を願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。