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1953-07-29 第16回国会 参議院 農林委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十九日(水曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            清澤 俊英君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木  一君            鈴木 強平君   委員外議員    島村 軍次君   衆議院議員    足立 篤郎君   政府委員    農林省畜産局長 大坪 藤市君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   参考人    農林中央金庫副    理事長     江澤 省三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○農産物価格安定法案衆議院提出) ○農林政策に関する調査の件(昭和二  十八年台風第二号による被害農家及  び被害漁家に対する資金融通に関  する特別措置法案に関する件) ○有畜農家創設特別措置法案内閣提  出、衆議院送付) ○参考人の出頭に関する件   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から農林委員会を開きます。  最初にお諮りいたしますが、臨時硫安需給安定法につきまして、通商産業委員会から連合委員の申入れがありましたが、これを受けることにいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河野謙三

    河野謙三君 それは何ですか、勿論連合審査機会を与えなければいけないけれども委員長において重要な法楽でありますから、質問者質問時間等については制限を加えないように特に委員長から申込んで頂きたいと思います。
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 質問時間に制限を加えないことにするのですか。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 ええ。
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そのつもりで私も考えております。それではこれを受けることについて御異議ありませんか
  7. 森田豊壽

    森田豊壽君 これを受けることによつてほかの法案はこれを制限しないでやつたらどうなりますか。その進捗の関係考えねばなりません。あの法案両方から申込があつたからといつて両方制限にやるようなことでやつておりますと、他の法案審議上……、或る程度まで無制限ということでなくきまりを付けてやらないと困る、そうしておいて合同委員会を開くなら開くとしないと……。
  8. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それは何日にどういうふうにやるかは、これは向うと連絡をとりたいと思つております。すでにこちらからの申出は好意を以て受諾しておりますので、それとの均衡上から向うのを蹴るというのも妥当でないと思いますので、やはりこれは連合審査をしたほうが適当と思いますから、御異議ありませんか。
  9. 森田豊壽

    森田豊壽君 併し無制限にやるということは……。
  10. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。   —————————————
  12. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、農産物価格安定法案を議題といたします。本日は昨日の各委員の御希望によりまして、参考人といたしまして農林中央金庫江澤理事長及び更科理事が出席されております。昨日の話合によりまして、本法運用上、生産者団体自治調整に必要な融資金利の問題に限定いたしまして御質問いたしたいと思います。なお時間は昨日のお打合せの通り三十分以内といたしますので、できるだけ一つその範囲で御履行願いたいと思います。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 中金運営につきましては、運営の万般に亘つて我々非常に疑義を持つものでありまして、これにつきましては改めての機会に本委員会において十分質疑をさして頂くということになつておりますから、本日は委員長からお話通り限定された範囲においてお尋ねいたします。今日は時間の励行ということでありますから、私先ず時間を厳守する関係上、私のお尋ねすることはすでに農林省食糧庁から、昨日、本日に亘つて十分本委員会の尋ねたいということについては、中金理事者当局にお伝えができておるはずであります。従いまして私は一条一条これをここでお尋ねする煩を省きまして、従つて農林省を通じて本委員会の御答弁を求めんとするところにつきまして、逐一具体的に御答弁を頂きます。なおお断わりしますが、時間の制限がありますので結論を率直に言つて頂きたい。と申しますのは、過日の開拓者融資の問題をめぐりましても、我々非常に遺憾に思うのは、本委員会をまるでバナナ展のように考えて、叩いて幾らかでも出そう、二銭六厘を二銭五厘、それを二銭四厘、最後には二銭二厘だ、そうして徒らに中金の態度が本委員会バナナ屋のような扱いにするために審議を滞らした、その責任中金であります。従いまして今後本委員会に提示される法案というものは、いずれも中金関係のないものは一つもありません。そういう意味合で会期も切迫しておりますから、どうぞ中金責任において審議が遅延しないように、率直に、簡明に、具体的に私は御答弁頂きたいと思います。
  14. 江澤省三

    参考人江澤省三君) それでは私河野さんの今のお話につきまして御説明申上げておきます。平素農林金融のことにつきまして非常に御高配に与つておりまして、この席上を借りまして厚くお礼を申上げます。お蔭で中金も何とか一人立ちできることになりまして、たまたま再建整備その他組合関係の重大なる問題も起きております。こういう問題についてできるだけの力を尽して行きたい。こういうふうに考える次第であります。今安定法に基いて中金融資につきまして御質問があつたわけでございますが、これについては、私ども先ほど食糧庁長官及び金融課長から概略御質問要点をお伺いいたしました。この資金については、先ず第一に中金自己資金でやる場合、それから政府預託を受けてやる場合、それから両方組合せてやるという場合、こう考えられると思うのであります。自己資金でやります場合、これは従来そういう方面に融資しておりまする基準の金利従つてやるということになろうかと思うのでありますが、政府預託を受けてやるという場合には、それに中金として若干の経費、これを加算したところでできると、こういうふうに存ずるのであります。共済資金開拓資金、こういうものにつきまし、いろいろ資金が出ておりますので、非常にまぎらわしいように思うのですが、共済資金につきましては、先ほど政府のほうから御説明もあつたと存じまするが、私どものほうの自己資金でやる場合、それから完全な紐付の形で預託を受けてやる場合、この二つが混同いたしましたために、いろいろな疑義が生じたというようなことがあつたと存じます。併しながら今度の件につきましては、そういうことをあらかじめ御説明申上げまして、自己資金でやる場合、政府預託金融資をする場合、それから第三に、先ほど申上げたような混合してやる場合とありましたが、混合してやる場合ににおいては、実際は技術的になかなか面倒なことが起きやせんかと思うのです。これについても御質問があれば御返事申上げたいと思いますが、この共済資金のように、政府の完全な繋ぎ資金だ、そして出したならば十月には必らず戻るという短期のもの、それについては中金といたしましては特別に見て扱うということが簡単に考えられるわけです。今度の全販連に対する融資につきましては、全販連が手持ちして政府のために措置したいから、自分で保管するという関係資金でありまして、例えば水害等の場合においては、これは流されるというような場合においては、全販連責任を以て所持しなければならんというようなことになるような性格のものであろうと思います。同一には論ずることはできないと思うのでありますが、中金といたしましては、こういう際にできるだけのことをすることが必要である。共済資金に対する融資等参考といたしまして、何とか金利の低率ということについて考慮して参りたい、こういうふうに存ずる次第であります。なお細かい点について御質問がありましたならば、それに応じて御説明を申上げます。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 農林省からお聞きでしようけれども、本案は大体各委員とも賛成のように聞いておるのですが、併し特に本日まで延ばしましたのは、中金当局を呼んで、もつと具体的に幾らで貸すのだということを我々は説明を求めるために一日延ばした。それは農林省からお聞きのはずであります。今のような御答弁で、我々が満足するならば、何も昨日から今日までこの暑いのに延ばす必要はない。私は質問の時間がないから、特に農林省から我々の意思を伝えられたであろうから、それに対して具体的な返事をして頂きたいと、こう言つておる。要するに政府預託金使つた場合には、一体預託金金利というものはわかつておるのであるから、それについてあなたのほうは利鞘は幾らとつたらあなたのほうの営業は成り立つのだ、自己資金の場合はどうなるのだ、それをプールする場合は、プールした場合のことは、只今予定ができなければそれは今伺わなくてもいいが、そういうことを簡明に御答弁願いたい。実は過去においてもそういうケースにおいて、あなたがたはそういう政府預託金に類するものを使われて二銭六厘で来られた。その理由如何ということを併せて私は昨日お尋ねしている。そういうことも併せて御答弁願いたい。
  16. 江澤省三

    参考人江澤省三君) それでは今の河野さんのお話について、やや私どものほうの立場を具体的に御説明申上げたいと思います。それについては今朝ほど私ども政府の御意向を受けまして、いろいろの点から研究を進めたわけであります。それで私どものほうの、実は経費率等を申上げなくちやならん。資金コスト、こういうような点にも触れて来るわけであります。実は金融機関といたしましては、そういう点を一般に公表することは甚だつらいのであります。それで実は抽象的にお答え申上げたのでございまするが、若し速記をとめて頂きまして、極く委員のかただけでお聞取り頂きますならば、そういうような細かい数字に立至つても御説明はできると思います。それで結論を申上げますると、政府の私のほうに廻して頂く資金レート日歩一銭六厘ということに仮定いたしまして、私どものほうで今朝研究いたしまして、できる限りの努力をして行きたいということになつたわけでありますが、資金経費率だけ実は申上げないと、その説明がつかんと思いますが、経費率は、昨年度の平均残高について私のほうで算出したところが市中銀行とこれを比較して見ますると、市中銀行金利が非常に安いのであります。コストが七分五厘くらい。そのうち二分五厘ぐらいが金利、五分ぐらいが物件費人件費、税金などとなつております。私どものほうは、殆んどその逆になつておるわけであります。これは割合に取扱う数字が大きく、そうしてまとまつてつて来るというようなことに原因しておるわけであります。取扱う人数が割合に少くてやれるということでありますが、経費率市中銀行に対して非常に低いわけであります。併しそれでも日歩にいたしますと、五厘内外、こういうようなことになります。これは余りよそに実は漏らして頂きなくない数字であります。そのおつもりでお聞き願いたいと思います。一般平均で申上げますとそういうことになります。併しこれについては、私ども河野委員お話もあり、又その他の関係を考慮しまして、大体成るべく二銭以下で何とか使いたい、こういうような希望を持つております。ただこれについて、政府からこれに使えという目的を指示された預金があつた場合に問題になるわけであります。この場合はそれに普通の私ども中金貸出レートは二銭五厘なんでございますが、その差額だけは全販連のほうに割戻しをするという形で、政府預託があるに従つてそれだけ戻す、こういうふうな形でやつて行けばいいのではないかと、こういうふうに考えております。なお尽さない点が多いと思いまするが、お話によりまして……。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 二銭以内というやや具体的な御回答を頂きましたので、まあ更にその以内というのはどういうようなことかというように問い質したいのですが、時間もありませんから、私はこれ以上にこの際質問いたしません。あとのその他の中金運営全般につきましては、委員長に十分なる質疑の時間を今国会中に与えて頂くことを私はここに希望を付しまして、私の質問はこれで打切ります。
  18. 森田豊壽

    森田豊壽君 本法案に対しまする融資の問題につきまして、河野委員から中金当局に対しまして皆が聞かんとするところの要点を伺つたわけでありますが、只今二銭以内というお話がありましたが、二銭以内という問題につきましては、できるだけ以内で中金はおやりになるという考えであるのか。二銭でやつてしまうという考えでなく、できるだけ二銭以内ということは、ここに十分なる含みがあると思うのです。この点はできるだけ一つつて頂くという御意思でありましようか、その点を一つ
  19. 江澤省三

    参考人江澤省三君) 今のお話につきましては、私ども朝から実は検討検討を重ねたわけであります。それで二銭ではともかくも余りひどい。コスト割れにならんでやれという、こういう意見が出たわけであります。実は私ども経理全般について又御説明する機会があると思いますが、中金経理といたしましては、資金の非常に足りない場合におきましては、農業手形という制度がございまして、これが農村金融を賄つている。それは中金で二銭で割引きまして、日本銀行にすぐ持つて行つて一銭八厘の割合、初めは一銭七厘というようなことで、三厘の差でやつておるという事実がございます。併し最近におきましては農林債券の発行が非常に増加して参りました。現在は残高は二百億になつている。そのために資金繰りを非常に緩和いたしましたが、資金コストは非常に高くなつている。預金も相当殖えて参りましたが、これ又一年以上の定期預金、これは奨励金その他を入れますと八分七厘くらい、八分五厘以上に相当する高利のものが多いのでございます。そういうものを資金源としてやりました場合に、なかなか収支採算の点において苦しい点が出て来るわけであります。二銭以内ということは、二銭まではぎりぎり私どものほうでやれる数字であるというふうに今までに結論を得たのであります。それも先ほどの普通の経費を含めますと、ちよつとあれでございますが、これは一般経費でございますので、そこは含まないでもいいじやないかということで、なお努力いたしますが、その辺のところは今後の検討にお任せ願いたい、こういうふうに思います。
  20. 鈴木一

    鈴木一君 只今お話は、今後こういうふうな政府預託資金があつた場合は、こういうふうな運用をしたいというふうなことだと思いますが、今までの分についてこれと同じようなケースがあつた場合には遡及して全販にお返しになるのか、その点をお伺いしたい。
  21. 江澤省三

    参考人江澤省三君) 今まではこういう関係についての政府預託はございません。昨年もむしろそのための金は要りましたが、こういうものの用途を指定した預託金というものは入つてないわけであります。
  22. 戸叶武

    ○戸叶武君 今度二銭以内ということになつたそうですが、この前の二銭六厘とはひどく差ができたわけですけれども、それに対する質問はすでになされたと思いますが、この前と今度の変化の基礎はどういうところにあるのですか。
  23. 江澤省三

    参考人江澤省三君) お答えいたします。先ほどの二銭六厘というのは二銭五厘と思いますが、二銭五厘は自己資金融資いたします場合の金利、今御説明申上げておりますのは、政府が一銭六厘で預託をしている場合、金庫として貸し得る金利をもつと安くして行く、こういうふうなことであります。
  24. 上林忠次

    上林忠次君 問題は小さいのですが、二銭六厘というやつがあるのじやないですか。
  25. 江澤省三

    参考人江澤省三君) 全販連については現在は二銭五厘、二銭六厘というのは、系統末端において信連と私どものほうの貸出と競合しないという意味におきまして信連に二銭四厘で出しております。信連はそれを二厘の手数料をとつて末端に二銭六厘で出すというようなことが多いのでありまして、これに対して、私どものほうでそれより安いレートを出しますと、信連のほうに行かない、中金のほうに借りに来るというような事態が生ずる。どうもそれでは全体の系統として面白くない現象が起きる虞れがありますので、末端についてはそういうふうな金利をとつております。但し私どものほうでじかに扱つている分は殆んどないくらい、極く僅かであります。それから全国団体についてはそういう心配がございませんので、二銭五厘というふうなことでやつております。
  26. 河野謙三

    河野謙三君 時間がありますから、時間一ぱい一つ。あなたのほうの自己資金による貸付で、員外貸付系統機関への貸付と区別しているのはどういうわけですか。特に我々が常識で、我々は素人でありますから、素人常識でどうしても納得行かないのは、員外貸付のほうが金利が安いというのは  一体どういうわけですか。
  27. 江澤省三

    参考人江澤省三君) 最初員外貸付員内貸付とはどういうわけか、こういう……。
  28. 河野謙三

    河野謙三君 いや、こういう二つ貸付があります。員外系統と。そこで我々の常識では個々の系統機関への貸付のほうが、金利は特別中金は勉強されるのは当り前だと思います。ところが他人様の員外のほうへ安く貸して、そうして系統機関のほうが金利が高いという区別を現にされておりますね、この理由を一つ伺いたい。
  29. 江澤省三

    参考人江澤省三君) それでは続いて御説明申上げますが、系統内貸付系統外貸付とは非常に説明いたしますと長い時間かかりますが、系統外貨付は私どもは原則としてやらないのでございます。系統内にできるだけ資金を使うのが私ども根本方針であります。どうしても系統内からどんどん金が集まつて来る、一つには秋になりますと米の収穫代金系統に入りまして、これは系統内部ではなかなか消化し切れない。殊に短期の場合それは運用し切れないというのが私どもの方へどんどん上つて来るわけでございます。これが預金で上つて来まして昨年は五百億以上に達したわけであります。これを系統内部に勿論その需要があれば廻す。ただ需要がない、預金が集まるばかりであるという状態にこれを戻すというわけには行かないと思います。これはできるだけ系統外或いは主として銀行保証というような形で出しまして、系統内部に比較的有利な預金利子なり、或いは貸出金利をして行こうというような趣旨でやつております。さような事情の金でありますから、内部と違いまして、外部に対しては、一どきに金が集まる、これを本当に有利に運用するということは非常に困難な仕事であります。私ども極力高く運用することに努力しているわけであります。併しながら五百億から一どきに集まつて来た金はどんな人間でもこれを普通のレート運用しろということは困難であります。それでやむを得ない場合にはコールに出しております。それから融通手形と申しまして、市中でぶらぶらしている手形、これもやつておりました。これは極めて安いのであります。コールの無条件ものですと一銭九厘五毛、市中に出ている貿易手形ですと一銭二厘というようなものであります。併しながらこれは短期に貸す、而も銀行その他の或いは有価証券等の間違いのない保証があるものでなければならんというような取扱いをしておりますので、これは性格から言つて違つた資金でございます。その辺は御了承願いたいと思います。但しよそに出す場合もでき得る限り私どものほうは高い金利で出したい。二銭五厘が普通のレートになります。系統内部に出します場合は信連に出します場合が多いのでございます。それは二銭四厘、それから全販、全購連関係に出しますのが二銭五厘で出しておりますが、期末におきまして相当の戻しをするという関係で、系統のほうは系統外より悪くなつているということはないと思つております。
  30. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、私が伺つているのは、員外貸付の場合、いろいろ頭金の貸付等の条件もあるようですけれども員外貸付は特に系統貸付よりも金利を安くしているということを知りませんか。私はあるように聞いております。そういうことは感情上よくないのですよ。同時に何か今系統貸付ではもう金の借手はない、それが非常にだぶついて来ている、それだからよそに頼んで借りてもらう、そういうように私は今の御答弁伺つたのですが、系統貸付に金を融通して借手はないというのは、それどころの騒ぎではなくて、系統機関がこれが中金が金を貸してくれなくて困つているというのは全部です。私はそれを尋ねたい。
  31. 江澤省三

    参考人江澤省三君) それではお答えいたしますが、先ほど御説明申上げたのは、秋の収穫期を主として例にとつて申上げた。このときは私どものほうはじかに貸すよりも、むしろ地方地方信用組合連合会、これを中心に資金農村につぎ込んで行きたい、こういう気持でおるのであります。このほうからは預金が上つて来るだけでございまして、貸出を要求して来るというのはないのでありまして、これが上つて来ますのは年が変りまして三月、四月という頃になつてからであります。それから農業手形関係も申上げましたが、これも信連を通じてやるのでございますが、これはピークにおいては約二百五十億上るわけであります。これを全部中金で賄つておる。まあそういうわけで、中金に若し申込があれば中金としては幾らでも今余力はございます。何度でもお貸し申上げていいと、こういうふうに存じております。現在の状況を申上げると、それは或いは誤解を招く虞れもございまするが、担保余力といたしましては約三百億くらいのものがあるわけです。ですから系統関係に健全な要求がありました場合には、躊躇なくこれに応じ得る体制は十分にできておる、こう申上げていいかと思います。
  32. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) あと五分ばかりですから、どうぞ……。
  33. 戸叶武

    ○戸叶武君 昨日の政府側説明によると、たしか昨年度においては二銭六厘であるが、本年度から二銭五厘にはなるだろうというようなお話でした。勿論自己資金と今度の政府資金との差異があるのでしようが、この点は河野氏が衝かれてから致府側でも考え方を少し変えたようでありますが、今までの金融機関の操作を通じて一般の人には割合にわからなくなつているので、この間におけるからくりというものが非常に今の政府の下においてはなされておる危険性が感ぜられるのです。特にまあ中金の問題は、幅を拡げないでくれというので、中金に対する非難はごうごうとしておるので、総合的な再検討あとで加えますが、この問題に関連いたしましても、農協や何かが実際必要なときに、金を借りるとき相当な工作をしなければ中金からは金が引出せないというのが大体もう通念になつておるのです。今の農林中金のあり方というものは、これを見ても非常に不健全になつておるのじやないか。地方信連でもそうです。末端農協あたりで借りている金なんというものは相当市中銀行から借りたのよりも高いような利子で借りております。この全部の統計を今私は下部からとつて歩いておりますけれども、これは総まくりにまくつて、とにかく検討しなければ、日本協同組合を腐蝕するものは、こういうところから起つて来るのだと思つておるのでありまするけれども、昨年は二銭六厘、本年は二銭五厘と政府は声明しましたが、農林省側中金の側で昨日までのその意見のそういう考え方はどこから出ておるのですか。
  34. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、先に農業経済局長が申しましたのは、昨年の十一月までにおきましては二銭六厘ということになつてつたのでございます。御承知のように、全体的な金利の傾向から見まして、昨年十一月以降におきまして二銭五厘にした、こういうわけでございます。
  35. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 大体時間も参りましたがよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) なお清澤委員から昨日御質問の申出がありましたが、これを御撤回になつたそうでありまするから、これで質疑は尽きたものと認めて御質議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  37. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  38. 河野謙三

    河野謙三君 本案につきましては、過日来数日に亘つて慎重審議して参つたのでありますが、その審議の過程におきまして、法案の各所に遺憾ながら不備の点を認めざるを得ないのであります。つきましては、本案に附帯決議を付しまして本案に賛成の意思を表明したいと、かように考えます。つきましては附帯決議の案を朗読いたします。    農産物価格安定法案に関する附帯決議   本制度が農業生産及び農家経済は勿論国民生活及び国家経済に影響するところ極めて大なるものがあるにかんがみ、政府はこれが運用に遺憾なからしめ、特に次の事項に関して万全を期すべきである。  一、本制度実施の前提として速かに綜合的な食糧増産計画を樹立すること。    なお、本制度の運用に当り、対象農作物の高度な増産を刺戟して他作物の生産を不当に抑制する等経済の均衡に失調を招くことのないよう注意すること。  二、本制度が所期する成果を達成するためこれが実行上必要な予算的措置を確立すること。    なお、この場合、情勢に応じ買入限度数量の増加に備えて予備費の増額等弾力性ある措置を講ずること。  三、政府の買入価格の決定に当つては、生産者団体意見を尊重すると共に、広く有識者の意見をも徴し、特に慎重を期すること。  四、買入農産物等の売渡に万全を期すると共に、買入農産物等の需要の増進に対して適当な措置を講ずること。  五、今後農業生産の推移と経済事情の変遷に応じて対象農作物特に大豆を追加すること。  六、本制度は現在食糧管理特別会計を利用することになつているが、将来これを切離し独立の会計を設けて操作すること。  七、本制度の運用に当つては生産者の利益を旨とし、農林中央金庫及び系統農業協同組合関係機関に勧奨して低利な資金融通或は中間経費の節減等その協力に遺憾なからしめること。   右決議する。  以上であります。
  39. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  40. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは速記を始めて下さい。
  41. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私はこの農産物価格安定法というような法律は、農民の面から至極適当なものであると考えます。併しながら要は運用にあると思うのです。如何なる法律も、規定も、その運用如何によらなければ到底これはよくできないと思うのです。従いまして私はこの案には賛成でございまするが、希望を述べまして、十分なる生産者の推護をする法律にして頂きたいと思います。それと同時に、先ほど農林中央金庫に対しましては根本的に検討を加えることになつておりまするが、この農林中央金庫運用が、農民の利益を擁護する立場にあるにかかわらず、ややもするといわゆる業者のために利用されるような結果にもなりやすいのでありまするから、是非とも政府におきましては、これが運用につきましては万全の策を以ちまして、生産者の利益になるように運用してもらうことを希望いたしまして賛成いたします。
  42. 松浦定義

    ○松浦定義君 私は本法案は農民の多年の念願でありまして、今日これが提出されたということはなお遅きに失したという感がありますが、ただ私がここで、本法案には賛成でありますが、遺憾な点は、なぜ今日まで政府がみずからこういう法案を提出しなかつたかというこの一点にかかつておるのであります。終戦後の農地解放によりまして、小作農民は自作になつたその感激の中に不足な食糧事情を満たすべく最善の努力をいたしておるが、ただ非常に農民が苦しい経済の中から増産の一つの方法としては、やはり機械その他を購入する面まで償うところの農産物の価格で安いというところから非常に苦しんでおつたのでありますが、幸いにいたしまして、こうした法案ができますることによりまして、農民は今後恐らく国の要請するところの食糧増産に協力できるであろうということを考えまして、非常に喜んでおるのでありまするが、ただ先ほど申上げましたように、議員提出である関係、特に提案者の御意見を承わりますと、非常に急を要したという関係から、内容において不備な点ということはみずから申されておりまするが、この問題について根本的に考えるべきであるという各派の御意見は私は全く同感であるのでありますが、将来この法案を最も有効適切ならしめるためには、政府は思い切つてこれらに対して十二分な施策を講ずべきであるというような意味合から、先ほど河野委員から御説明になりましたところの七項に亘るこの附帯決議は、どうしても本法を本当に本法の意図するところを適切に遂行させるためには、この七項目の決議案が政府において実行されない限りは、本当に提案者が申されましたように遺憾な点の多い法案になつてしまうのではないか、こう予想されますので、昨日の農林大臣には私はお話をいたしたことでありまするが、衆議院においても決議案をやつておる。参議院におきましても内容は多少違いまするけれども、目的としては同様な考え方に立ち得るような決議案をいたしておりまするので、本法を通すと共に、この七項目に亘るところの決議案を飽くまで政府に実行せしめるという強い意見を付しまして私は賛成をいたす次第であります。
  43. 戸叶武

    ○戸叶武君 この農産物価格安定法の趣旨はどなたも不賛成な人はないと思うのです。併しどなたもこの法案ほど不完全なものはないというのが定論でございまして、我々が不完全なものであつても、一応とにかく農産物の価格安定法という形には反対できな一いので、忍びがたきを忍んで、総合計画経済の一環としてこの法案を我々は承認せざるを得なくなつておるのでありホすが、このときに際して、私たちはやはり松浦委員からも述べられましたけれども、当然政府提案とすべきにかかわらず、農林大臣の説明によると、大蔵省との折衝中においてそのほうまで手が廻らないうちに議員立法で出されたという、何だか議員立法が抜けがけでやつたような印象を与えるような説明をされましたが、これは今日の予算委員会において、やはり電信電話の値上問題の修正に対して二十五億の問題に関連しての質問と、それからほかの修正予算の問題と関連して政府が議員立法或いは修正予算というものに対してどれほどの責任を持つか、持つと言つて見たり、持たんと言つて見たりあいまいな態度なんで、これは非常に議員立法に対して、或いは修正予算案に対して、そういうものに対しての我々の審議の場合において、内閣のあり方、国会のあり方を明確にしなければ真に民主憲法の運営というものの原則は作り上げられないと思うので、法制局長官を呼んで、そこで論戦が展開されることになつておりまするから、農林大臣の言は過去において二、三重要な食い違いがありますので、それは別なところにおいて理論闘争を展開することにいたします。現実の問題といたしまして、米麦に次ぐ澱粉、「いも」の切干、或は「なたね」という問題が取上げられたのですが、この「なたね」の問題に関連して問題になつているのは、一つは大豆生産地の人たちから大豆ということを強く打出したという点と、もう一つはやはりこの大豆関係の業者の中から、いわゆる「なたね」というだけにおいて大豆輸入というものをせき止めるというのでは困るという危惧心が露骨に出ておると思うのであります。確かに我が国が終戦後においてアメリカから、満洲大豆と比較して日本において利用価値が低いところのアメリカ大豆を大変押付けられたという点においては、厚意やら迷惑やらを受けた点が多々あるし、その過程において批判されなければならないものも随分あると思うのであります。併しながら日本における将来の昧層、醤油というような点、我々の生活必需品から考えましても、朝鮮休戦以後において当然中共の貿易に関運して満洲大豆の輸入ということも考慮されると思うのであります。そういうようなときに、ただ単にこの「なたね」が増産せられたから、満洲大豆の輸入はやるなというような形にこれがされるような一つの政治的な謀略の意図によつてなされたというような懸念も起きて来るのでありまして、我々が農産物の価格安定に対して常に総合的な形でその農産物の価格安定に対する施策を進めろというのは、そういうところにあるのでありまして、こういう点を十分考慮して、そうして慎重にこの法案運営に当られんことをお願いする次第であります。特にこの委員会において強調をられたのは、価格決定の際における最低価格とか、或いはこうなることが正常なる価格と言われましたが、価格決定に対しては極めて慎重なる態度でなされてほしい。而もそれに対して農林省が今までのような責任を忌避する態度でなくて、真向から自分の責任においてそういうようなことに対しておさおさ怠らないだけの態度をとられないと、どこに責任を追及をしていいのかわからなくなりますから、この問題に対しては農林省が折角御検討なされたのだから、十分な責任を果されんことをお願いします。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はこの法案が農民の生産の増加と農家経済の安定を目的にして作られた法案であると言いますが、その実際の目的を達し得ないで、いろいろ松浦さんや、戸叶さんから言われておりますように、政府責任において本当の農産物価格安定法ができ上らなければならない、それがたまたま臨時便法的な建前をとつて衆議院で議員立法せられましたことでありますために、最も不備な法案であるということは、立法者の代表として数日御検討頂きました足立さんによつて審議の過程によつてよく述べられておるのであります。従つてその点につきましては、審議の際にもう言い尽されているのでありますから、ここでは重ねては申上げませんが、結局結論的に申上げますれば、この法案を農産物価格安定法として名前を付けますことは実は私個人としては反対で、名前を変えて見たいと思うくらいでありまして、従つて甘藷、馬鈴薯、澱粉、「なたね」等の価格調整臨時措置法くらいな名前でやつたほうがいいといつたような法案であると考えるのでありまして、それほど不備でありますから、従つて只今河野さんから約七項目に亘り、衆議院からは同じく数項目に亘る附帯決議を付けてこの法案の完全なる遂行をやるように、こういうようなものまで付いて来るわけでありまして、従つてこれらの附帯決議は私も賛成でございまして、どうしてもこれは政府において施行上我々のこの附帯決議にあります意味をよく御了承して頂いて、施行に当つては、この附帯決議の持ちまする重要な意義を生かして、本法案の不備な点を心得てやつて頂きたい。冗長になるかも知れませんが、結局すれば先般足立さんが言われたのでありますが、この法案を提出して参りますることは結局権兵衛が種播いて、そうして本当の意味合で農民の納得し得る、農政上これでよろしいという完全な農産物価格安定法を作る基礎として一石を投じたのである、こうおつしやつているのでありますが、従つてこれを発足して将来に持つて参りまするとき、私はたまたま足立さんから、この次に仕上げまする法案が自由経済、今日の資本主義経済そのものの中で、そういうものを作り上げようというまだ考え方でありますならば、これは到底及びもつかないことであつて、結局これだけの法案を生かしますには、もつと角度の違つたところから見て法案の作り替えが将来に残されている、こう私は考えますので、その点を議論しておりましても、なかなか議論は尽きませんのでその点は申上げませんが、そういうまだ多難な一歩を踏み出している法案でありますことを思いますならば、恐らく当局といえども、我々がこの附帯決議を付けて見ましても、自由党の議員それ自身がどういう考えであり、殊に先般の農林大臣の御答弁等を聞いておりますと、なかなか上手にお答えになつているが、本当にこの価格安定法の本質を生かそうというところに努力が欠けているように考えまするので、従つて事務当局としては誠に困難な道をお歩みになることだろうと思いますが、我々も我々の附帯決議を遂行するためには、恐らく本案を直して、この附帯決議を通された全員が、自由党といえとも、改進党といえども、緑風会といえども、我々は勿論、第二控室の社会党といえども、これを遂行するためにやぶさかでないということを申上げまして、憂国一番、一つ完全な目的を達するように御努力をお願いしまして賛成いたしておきます。併し私の賛成は、だから結論的に言いますと、この法案には実際は賛成ということを言いますより、反対するということが妙になりますので、反対しない範囲の賛成を申し上げるわけであります。
  45. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ほかに御意見はございませんか。    〔「採決」と呼ぶ者あり〕
  46. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。農産物価格安定法案について採決をいたします。農産物価格安定法案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  48. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて法案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中にありました河野謙三君提出の附帯決議の採決をいたします。河野謙三君提出の附帯決議を附することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  49. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて附帯決議を附することに決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  次に、本法案を可とされましたかたは例により順次御署名を願います。  多数意見者署名     森田 豊壽  宮本 邦彦     白井  勇  雨森 常夫     川口爲之助  佐藤清一郎     重政 庸徳  関根 久藏     上林 忠次  北 勝太郎     河野 謙三  清澤 俊英     戸叶  武  松浦 定義     鈴木  一  鈴木 強平
  51. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 本日大臣が出席いたしまして御挨拶申上げるはずでございますが、ほかの委員会に出ておりますので、本法案の可決に当りまして附けられました附帯決議につきましては、十分大臣に御趣旨のほどをお伝えいたしたいと思います。なお我々この施行に当る者といたしましては、法案の趣旨を十分尊重いたし、又附帯決議の御趣旨も十分尊重いたしまして、運営に当りましては適正慎重に当りたいと存ずる次第でございます。
  52. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  53. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。それでは議題に追加をいたしまして、水害対策の結果を御相談を頂きたいと思います。本件につきまして、水害地緊急対策特別委員会農林水産小委員長島村軍次君から発言を求められております。
  54. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 農林関係法案、その他今回の水害に伴う対策につきましては、参議院の本会議において特別委員会が第二台風及び九州地方の災害、和歌山地方の災害を扱うことになつておりましたので、特別委員会を開催いたし、小委員会の設置を見まして、ここに衆議院との間の連絡をとりました結果、大よそ成案を得ましたので、特に本委員会におきましても御了承を得て御賛成を頂きたい。中間の報告を申上げると同時にお願い申上げる次第であります。時間の関係もありまするので、現在まとまらんとしておりまする案について御報告を申上げたいと存じます。  去る七月二十一日に水害特別委員会におきまして特殊災害復旧のための臨時措置に関する法律を作る必要を認めまして、その要綱と政府に対する申入事項とを決定いたしたのでありますが、その結果に基きまして、法律要綱に予定をいたしておりまするものが現在農林関係で五件あるのであります。第一が、第二台風の霜害対策の例によりまする資金措置に関する法律でありまして、これは霜害の際の例と同様でありますから説明を省略いたしたいと思います。引続いてこの六月、七月の水害による特別措置の法律といたしまして、大体霜害及び今回提案せんとする第二台風の資金措置と同様な内容を持つているのでありまするが、それが一つと、それから補助率に関して従来の農林施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律案の一部を改正をいたしまして、補助率の引上をやりたいというのがその二であります。それから食管に関係のある被害農家の保有米を、被害の状況に考えてこの際買入価格同様な価格で払下をせんとする単独立法がその三であります。それから熊本県における阿蘇山から白川の沿岸に至る泥土の農地の埋没による措置を講ずるために土地改良法の一部を改正する法律案、これが四であります。それから先ほど申上げました第二台風に関係のある資金融通に関する法律案であります。その内容は、資金融通に関する特別措置におきましては、経営資金と施設復旧資金と事業資金とに分ちまして、償還年限五年とし、利率を従来の例より下げて三分五厘にいたすこと、それから貸付の限度を町村長の認定によりまして、いわゆる経営資金、営農資金については十五万円以下にとどめたこと、施設復旧事業及び事業資金については一千万円の範囲に定めたこと、資金総額を約百億円といたしたこと、それから利子補給、損失補償については従来の制度と同じであります。特にこの法律案で他と違いまする点は、地辷りによる、知事が地辷り等の場合の損害を救済する意味におきまして、家屋の移転新築の費用は事業資金とみなして交付する、こういう措置であります。それから災害補助の暫定措置に関する法律案におきましては、従来の補助率を一律に引上げまして一括百分の九にいたしたい。それから問題になつておりました十万円以下の控除については、五万円以上十万円未満のものは県においてこれを施行せしめて、国はその県に対して全額の補助をする、こういうことであります。特に附加えて説明を申上げたいことは、この従来の農業用施設中に開拓地の住宅用宿舎及び共同施設を加えること、並びに農地の開拓のうちに水産養殖場等を含めること、これが特別立法で変つている点であります。それから土地改良法の一部を改正する法律案におきましては、土地改良法中の第二条に、農地その他の災害復旧を国で行う場合の規定がありますが、その場合におきましては、九十条第一項の規定によりまして、国は地方に対して負担金を課するという規定になつておりますものを、この際は負担金を課さないという立法措置を講じたいと思うのであります。それから食管の食糧に関係のある法律案におきましては、二十八年六月及び七月の大水害により、被害農家に対する米麦の売渡しの特例に関する法律といたしまして、売渡価格は県を対象として町村長の認定によつて、米については七千五百円、即ち買入価格、大麦、裸麦等におきましては、政府の買入価格同一の程度を以て売渡しをする、その損失は一般会計から繰入れるという法律案を出したいということであります。  それから第二台風については七億五千万円の予備費が決定をいたしまして、すでに関係省においてそれぞれ措置が講ぜられていると考えますが、それに対する法律案は委員長に御相談を申上げまして、水害対策委員会において取扱うということにいたしまして、内容は先ほど申上げた通り凍霜害の場合と同様であります。なお法律案の措置といたしましては、地域について相当問題があると思うのでありますが、この法律案におきましては、六月、七月という時期を挙げると同時に、その地域は政令で指定するということにいたしております。現在特別委員会において考えられておりますることは大要以上の通りでありまするので、特に御関係のある農林関係の皆さん方に御報告申上げると共に、どうぞ御協力をお願い申上げたいと思います。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 今日の新聞を見ますと、水害に対する特別の法律は出さないことになつておる。その点はどうなんでしようか。
  56. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 新聞の報道はどうありましようとも、対策委員会としては提案することで本日まで進んで参つておりますが、ただ予算措置に関する問題については、大よその概算は作つておりまするけれども政府との折衝はこれから後の問題になると思います。
  57. 清澤俊英

    清澤俊英君 これから後になるかも知れませんけれども、今朝か昨晩かの新聞と思いますが、衆議院のほうの案が百七十億、参議院で百十億になるので、政府はこれを呑めないから、この法案は出さないという記事でありますが、大体どれくらいでありますが、百十億というものは間違いですか。
  58. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 一応全部を通じて、建設、厚生、通産、運輸、文部、大蔵等の関係のものを対策委員会で当初計算をいたしました数字によりますというと、普通の、法律改正をやらずして行う場合に比しましては、国の負担は約二百億程度の負担が増額するものだと、こういう計算になつております。それから農林関係においては約八十億、それから融資に伴う金額は百億といたしますれば、約七分として、農林関係としては七億円、その他の点についてはまだ私も十分数字的なことは承知いたしておりませんが、一応最初計算をいたしました当時の計算から申しますというと、融資総額約三百億、現行法による融資の場合は約百八十億、その差額が融資額において増額し、且つ利子補給等による国庫負担に属するものは前段申上げました国の負担以外に要するもの、併し農林関係においては只今申上げた通り二億程度、こういうことになります。
  59. 上林忠次

    上林忠次君 今の御説明になつておりますのは、これは県はどの辺までの範囲で計算されておりますか、被害県につきましては……。
  60. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 九州、山口及び和歌山、奈良の一部と、こういうことになつております。数字的の計算の基礎は……、そこで特別委員会におきましては、島根、鳥取、京都、兵庫等、いわゆる七月の初旬に起つた災害地については政令の際にはつきりしてもらいたい、特別委員会としては、今申上げましたように調査の対象にはなつておりますが、従来まで扱つた、今日まで扱つた範囲から一応除外して第二段階に考えるということで進行いたしております。
  61. 上林忠次

    上林忠次君 今の数字には財源関係からは、今おつしやるような以外の県のやつは入つておりませんか、この融資数字或いは補償の数字ですな。この金額の中に先ほどおつしやたような県以外の、七月に入つてから被害の県は入つていないというのですか。
  62. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) その通りです。
  63. 河野謙三

    河野謙三君 今の立法措置ですね。これはこの国会に提案するということなんですか。
  64. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 本国会中に是非提案するつもりでおります。
  65. 河野謙三

    河野謙三君 会期切迫しておる現在、それが間に合いかねると私は思うのだけれども、間に合いかねる場合に起る支障というものは何かありますか。
  66. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) それは資金融通ですね。凍霜害なんかと同じように資金融通に直ちに影響があります。それからなお繋ぎ資金関係も補助率もその意味で額が違つて来ますから、非常な大きな影響があると思います。そこで資金の問題についてだけは早くする。なお附加えて申上げておきますが、一般の凍霜害及び第二台風等に対してきめられた農作物の被害に対する補償等については、これは切離して別途に法律案等は御提出願いたいと、こういうことで進んでおります。
  67. 河野謙三

    河野謙三君 それは政府提案ですか、議員提案で出るのですか。それと若しこれが本国会の議決に間に合わなかつた場合に、いろいろの支障、これについては、若しこの法案が通らなかつた場合はどうするというようなことも併せて特別委員会では御相談をしたのですか。
  68. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 三十一日までに是非やつてもらいたいということでおりますが、継続審議の御承認を得たいと、こういうことは予定いたしております。まあ甘い考えかも知れませんが、資金融通と法律は条文としては大分書き上げておりますけれども、前例のあることでありますから、只今申上げました通りに、利子補給の率と補助率の増加ということだけが問題になるのじやないか、そういう意味で我々は進行して参つております。
  69. 河野謙三

    河野謙三君 それから、実は私も水害対策委員で、農林委員会のほうが忙がしくてさつぱり行かないので、ここで島村対策委員長に伺うのもどうかと思うのだが、災害の被害調査について、今回のような大規模の被害があつた場合に、被害調査についての特別の機関と申しますか、特別の組織を持たなければいかんという議論はございませんか。
  70. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 併せてそれに関連がありますから申上げますが、新聞で御覧の通りに、被害地に関する決議案が提案されることになつております。政府のお考えはどうか知りませんが、参議院において目下決議案の案を練つておりまするのは、対策機関として総合的なものを作つてもらいたい。従つてそれには町村を勿論含むこと、こういうふうに考えております。
  71. 河野謙三

    河野謙三君 実は私たち今回の被害地は直接関係がないのですが、それだけに冷静に批判しまして、実は冷淡な意味ではなくて、冷静な批判を加えた場合、非常に被害地から出て来る数字というものは、特に府県から出す被害数字というものは非常に私は厖大なものだと思うのですよ。これは一番いい例が、この聞の凍霜害のときに、これは我々のほうに責任があるのだが、現にあのきまつた金が県へ行つて、県ではもう腰を抜かしてびつくりして、こんなたくさんな金をどこに一体分けるのかというのが各県の実情です。こういうことは国会の権威の上からいつて、もう少し慎重にやらなければならん。特に慎重を期する。冷静に而も正確な数字を出すということは、特に参議院にその使命があると思う。この間のは凍霜害だから、間違つてももともとの金が小さいから十倍になつても大したことはないが、今度の災害地のやつは、仮に二倍、三倍に間違つたら大変なことですよ。そういう点について私は特に今被害調査について別の機関がなければいかんと思うのだが、そういう立法措置が私は必要だと思うのだが、今治山治水の何とか総合的の云々という話がありましたが、農林省関係つてこれは私は何かなくちやいかんと思うのだが、それは農林関係の小委員会に御議論は出ませんでしたか。
  72. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) お話のような点は出ておりません。
  73. 河野謙三

    河野謙三君 出ていないのですか。これは一つ島村先生、特にこの点は御苦労ついでに将来の被害に備えて、何か筋の通つた被害調査機関というものを、今できている例えば統計調査なら統計調査をもう少し出し直して、それに当てはめるように作るか、さもなければ別の機関を作るか、何か各県の選挙運動の具に供されて徒らに国費を濫費するというような、要するに被害があるたびに火事場泥棒が出て来ることのないように、これは特に一つ農林小委員会において、せめて農林小委員会農林省関係だけでも、そういうことで一つ検討願いたい。特に希望しておきます。
  74. 上林忠次

    上林忠次君 今のたばこに関する金融措置ですな、これは特別にこちらから立法提案をしておりますが、これも一つ御披露願つておいたらどうですかな。
  75. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) まあ直接に関係がないからと思いまして説明を省略いたしたのでありますが、併し農業関係には相違ないので、本日の委員会におきまして私から発言いたしまして、これを委員会の発議として出すことにして、その発議は衆議院から廻つて来たときには審議すると、こういうことで提案いたしておきました。
  76. 森田豊壽

    森田豊壽君 ちよつと伺いますが、大分今日は……、途中で私いなかつたが、報告ですね、御報告は書面を以て成るたけ御報告を願いまして、そしてそれによつて所要の説明をして頂くぐらいにして頂いたらと思うのですが、どうでしよう。そうでないと、これにばかり時間をとつて、ほかの審議ができなくなつてしまうようになつてはいけませんから、これはそういうようにやつてもらわなければ困る。
  77. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 何分にもどうも毎日に追われまして、書類を作つておる者も代つておりますし、我々も十分な書類を皆さんにお目にかける準備をいたすところまで参つておりませんのですが、できるだけ書類は整えたいと考えますが、以上の経過を頭に入れて頂けば、書類と申しましても極めて簡単なもので、皆さん御研究になつた凍霜害の資金措置と同じ法律案になりますし、それから補助は率を上げるというだけですから、賢明なる森田委員のごときは、御説明をお聞きになれば、その資料は御覧ならんでも直ちに御了解行くと、こう私は思つております。
  78. 森田豊壽

    森田豊壽君 こればかり割のいいことにしないように、総体的に災害対策としてはやつて頂くようにお考え願わんと、これはいかんと思う。そういう御意見だど、何もかも同じようにやつて頂かないと、だんだんあとがよくなつて行くということは、どうも前の烏が工合が悪くなつてしまつてあとの烏が先に立つ、これは一つ成るたけ、勿論政治的には平等に行わなければいかんですが、これは一つそういうふうにやつて頂きたい。ほかのほうもお願いします。
  79. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 一つさつきお話の中で七千五百円の買入原価のことですがね。これは食糧管理法の考えと何があると思うのですが、米価など法律になつておらん、行政措置で買入価格も売却価格もきまつているわけですが、そういう点から法律にすると言つて一つの問題の点があるのですが、私はこれは意見でありますが、食糧管理のような事業会計をあんまり救済会計に、一般会計から繰寄せるという御説明があつたのですけれども、これをやり出すと、非常に今森田さんの言われたような不均衡議論が……今までの凍霜害のこと、或いは第二次台風の被害地との均衡論が出て来るので、米価の特別の法律というやつは、よほどこれは慎重に御審議願いたいと思います。あまり実は個人としては賛成いたしかねるというような気がするのですが、これはやはり党議ですか。
  80. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 私個人も実は委員長と同一の意見で以て来て、今日も小委員会及び親委員会に協議したのですが、その限界は先ず第一に農家の、非常な流された農家に対するこれまでないような場合を救うということには疑義がないが、その認定はなかなか困難だ。それが一つ。それから価格の点についてはお話通りでありまして、これも問題があると思うのでありまして、むしろ行政措置でやつたらという相当強い意見も出たわけでありますが、まあ特別の災害地であるからということで、参議院の委員会においてに法案の提案には賛成だということになりました。衆議院においても勿論同様でありまして、さような経過を辿つておりますことをお話申上げます。それから単行法で、只今申上げましたような被害農家に対する米麦の売渡しの特例に関する法律、こういうことで最後に食管特別会計に属する損失は一般会計に繰入れる、こういうを明記した法律でありまして、これらも疑問はあると思うのでありますが、只今御心配の食管の会計上の問題については、これは一般会計から出す額なり、方法なりについては又問題があろうと思いますが、それについては大体これで御了承を得たい、こういうことであります。
  81. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 一般会計からというと、予備金から出すわけに行かんし、来たるべき補正予算の際においてこれを実現するわけですか。
  82. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) その通りであります。
  83. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これは如何にいたしますか。時間があれば連合審査ものだと思うのですが、ここの段階で、ちよつと連合審査まで行く時間的余裕がないと、こう思うのですが、如何いたしますか。これは随時連絡を特に密にして頂いて、或いはかような機会を今後もできるだけ小委員に来て頂いて、経過報告或いはこちらから意見を申上げるということで、連合審査は時間の余裕がないと思いますが、そんなようなことでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではそういうことで今後なお一つ適宜に経過の報告を伺い、又御意見を申上げたいと思います。
  85. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 資料はお話のありましたように、できるだけお届けいたします。   —————————————
  86. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、有畜農家創設特別措置法案を議題にいたします。本法案は七月三日内閣から予備審査のため提出、七月十三日に提案理由の説明を聞きました。二十五日に衆議院を原案の通り通過いたしまして、本院に送付され、当委員会に付託された次第であります。本日はこの法案につきまして御質疑を願いたいと思います。
  87. 白井勇

    ○白井勇君 私先ず局長がいらつしやいましたから、今の政府の畜産行政というものに関連して、日ごろ私たちが不思議に思つておりますので、ちよつとお尋ねして見たいのですが、いろいろ政府におきましては、有畜農家創設要綱とか、いろいろ対案立つておられるようでありますが、この有畜農業によりまして、農業経営にいろいろの意味におきまして、費用その他の面はさておきまして、畜産加工費、端的に申しますと、例えばバターをとつて見ました場合に、今私たちの市販のバターというのは外国から見ますと倍も高い、二倍くらいしているというふうに聞いておりますが、そういうものを取上げて見ました場合に、いろいろやつていらつしやいますことによつて、私たちが外国並のバターを一体いつになつたら食えるのであるか。これが併しいろいろな隘路があつて困難であるといたしますならば、どういうところに隘路があるのかということを端的に一つ先ず伺つて見たいと思います。
  88. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今の御質問にお答えいたします。御存じかと思いますが、諸外国におきましては、先ず第一番に、乳牛で例をとりますと、非常に乳牛の飼養密度が高いわけであります。日本はその意味におきまして、乳牛におきましては現在のところ非常に飼養密度が薄い。従いまして、これを集乳いたしましますのに相当な経費がかかる。或いはこれを処理加工いたしますにつきましても、数量が割合に少いのでありますから、加工過程、配給過程におきましても、いろいろな諸経費が嵩む、この点を先ず改善することが一番大きな問題ではないか、かように存じております。
  89. 白井勇

    ○白井勇君 そういたしまするというと、例えば確か昭和二十八年かまで四百九十万家畜単位か何かの増産計画があつたかと思いますが、ああいう計画が仮りにその通り実現いたしましても、今例を引きましたバターならバターというような、外国並に行かなくても、もう少し安いものが来年になつたら入るとか、或いは今年の冬になれば、これくらいのものが入り得る見通しであるというような、そういう具体的な政策等はないのでありますか。
  90. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 畜産局といたしましては、一応いわゆる畜産振興十カ年計画という長期計画を立てまして、乳牛につきましては、十カ年の最後には約百万頭ということを目途といたしまして計画を立てつつあるのであります。併しながら、この百万頭計画も従前のように、ただ単に全国的にばらまくということでは意味が少ないのでありまして、適地にこれを集約的に導入してやる、そうしていろいろ経営の改善を図りまして、何かその他のコストを切下げる、こういう措置をとりまして、できるだけ外国の商品に近い形に持つて行きたい、かように考えて計画を立てているわけであります。
  91. 白井勇

    ○白井勇君 そういたしますと、価格のことは抜きといたしまして、量から言いますと、今の計画が達成されまするというと、一人当りにしまして、現在よりもどのくらい殖えるという計算になるわけでございますか。
  92. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 私どもが大体立てております現在の計画を施行いたします暁におきましては、大体現在の十倍程度でございます。現在は大体換算しまして二升か、三升見当が一年間におきまする国民一人当りの消費量でありますが、それが十カ年後には大体十倍の見当になる、かような計画を似て進んでいるわけであります。
  93. 白井勇

    ○白井勇君 それからもう一つ私いつも考えているのですが、いろいろな家畜の対策を立てられるわけでありますから、政府には試験場等のいろいろ施設もあるわけでありますし、そこでもつと優秀な家畜というものを増産をいたしまして、そうしてそれを直接適当な農家に交付すると申しますか、そういうような面にもつと積極的にいろいろ組合を通ずるとか、何とか方法があると思いますが、もつと直接国の試験場あたりから農家に、実際飼育しているものに行くというようなことを重点的に考えて見ますると、もつと効果が上りはせんかというふうに考えるのですが、そういうことはどんなものでしようか。
  94. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その点につきましては、経費との関係もありますが、政府といたしましては、種畜につきまして、できるだけたくさん外国から種畜を購入して来る、又内地に優秀な種畜がありました場合には、これをできるだけ多く買上げることにいたしまして、これを系統的な組織の下に都道府県或いは組合、そういうようなものに貸与いたしまして種畜の改良を図つている、こういうような状態でございます。
  95. 白井勇

    ○白井勇君 私のお聞きしたいと思いますることは、要しまするに資金融通したり何かいたしまして、いろいろな手はあると思いまするが、もつと資金上それ自体において適当な家畜そのものを、種畜とか、何とかは勿論取上げますが、それ以上にそのものを殖して行つて、それをすぐ末端にやるような措置ができないものだろうかというような途も考えております。それはそれとしまして、もう一つ考えておりますことは、この方面の泰斗の話を聞きまするというと、いろいろこれは家畜の奨励上対策はあるわけでありますが、日本としましても、やはり考えておりますことは、家族が家畜に馴れるということが一番大切だということであります。そういう、いわゆる家畜に農家を馴らすというようなことにつきまして、農林省としましてどういう対策をとつておられまするか、具体的の何か施策があつたらお伺いいたしたいと思います。
  96. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今お説の通り、動物、殊に大動物になりまするというと、非常にいろいろ手数がかかるのであります。特に乳牛のごときは毎日相当時間労力を加えなければ飼育ができないのでありまして、その意味からいたしまして、家族全体が家畜の飼育に従事する、こういうような体制に持つて行かなければ、一層円滑に農家に家畜を導入するということが困難でありますので、その点については農業改良普及員その他の関係職員に、できるだけそういうような思想を徹底さすように指導いたしておるような次第であります。
  97. 白井勇

    ○白井勇君 学校の、何と言いますか、農林関係のいわゆる昔で言いますれば、実業関係の上級の学校というようなところに、政府から家畜を交付しまして、そこで飼育をさして一般の学徒に馴らせるというような措置はないのですか。
  98. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 現在国としてそういうような施設は施しておりません。
  99. 白井勇

    ○白井勇君 府県ではございませんか。
  100. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 府県では或いはあるかと思いますが、相当一応大がかりに取上げておるというような、そういう話は承わつておりません。
  101. 白井勇

    ○白井勇君 それから政府におきましては、これは一部の指導員かも知れませんが、日本には田の畦が非常に多い、あんなものに大豆を植えておくよりも、むしろあれを全部牧草栽培をいたしまして、そうして家畜の飼育をやりますれば、いわゆる準農家にも乳牛というか、種畜の普及が早い、こういうような積極的な指導をやつていらつしやるように聞いたのでありますが、これはやはり蛋白給源を大豆に得るということや何かを総合的に考えましても、やはりそのほうが日本の農家経営上いいという結論ですか。
  102. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 畦畔、畦道というものをどういうように利用して参るかと、こういうような問題に関連して参ると思いますが、すでに畦畔、畦道におきまして大豆を完全に植えておるところ、こういうようなことにつきましては話は別問題と思いますが、我が国の農地の畦畔、畦道はまだ相当放置の状態にあるわけであります。そういう放置されておる状態にありまする畦畔、畦道に、できるだけ有利な、而も収量の多い牧草を植えまして、それによつて乳牛を飼育して行くということは、これは誠にいい施策と思うのでございまして、ただ、今申上げましたように、すでに大豆を植えておる畦道を、そういうような牧草に転換したほうがいいかどうかにつきましては、今後なお研究を要する問題だと思います。
  103. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 ここに配付されました有畜農家創設要綱の第一の目的のところですが、これは農業経営を合理化させるのが目的のように書いてあるのでありますが、これは実は着眼が余り低過ぎると思うのです。実は牛乳が、或いは豚の肉というようなものが結局、特に牛乳が完全食であるということについては、もう申すまでもないのです。そこでこの目的が実は食糧問題の解決ということに繋がらなければいかん。今度の議会の最初における総理の施政方針の演説の中にも、実はそういう意味の有畜農業をやるということが食糧問題の解決の一端にもなるのだということを述べられたと思うのでありますが、そこでどうしてもこれは目的ははつきり私は掴まなければいけない、だた農家経営を合理化さして増産をさせるというだけではないのだ、少くとも食糧問題の解決をしようということが第一目的に来なければいかんと思うのでありますが、その点について御意見を承わりたい。
  104. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 有畜農家を創設いたしまする根本の目的は、農業経営を安定させるということが一つと、もう一つは総合的食糧増産の一環とすると、こういう二つの大きな目的がその二大眼目をなしておるわけであります。従いまして本法の裏には、農業経営を合理化することによつて総合生産力を増し、その結果食糧増産ができると、こういうようなことを一つの思想として全体に含めておるということに相成つておるわけであります。
  105. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そうしますと、ここの目的にあります第一の目的というところが少し変つて来なければいかん、ただ増産であるのか、或いは食糧全体の増産であるというのも含まれておりましようけれども、実は牛乳或いは牛肉そのものが食糧問題の解決に、日本の今の食生活の上から言つて非常にその題間の解決に重大な関係がある。そこで是非一つ今までのように炭水化物本位でなしに、余分のものが皆すたつてしまつておる、いわゆる最初は量ということばかり考えて余分なものがすたつてしまつている、即ち炭水化物はあんなに余計食うけれども、蛋白質に左右されてしまうのであつて、食物全体の関係から行くと非常に日本人は損をしておる。そこで牛乳そのものによつて食糧問題を合理化するということが根本目的でなくちやならん、こういう工合に私は思うのでありますが、その点如何でありますか。
  106. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農業経営を合理化しまして、そうして家畜を導入する、そのことは即ち国の食糧全体としての、食糧を計画的に増産をする、こういうことと表裏一体をなしておるのでありまするから、当然本条の目的は、そういう総合食糧の増産というこを法の本質的な目的にする、かように考えておるのであります。
  107. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 ちよつと考えると違うのでありますが、次の問題についてお尋ねして見たいと思うのですが、この法案は一言にして申しますれば農家に融資をする、即ち金を貸してそうして牛を飼わす。まあ早い話をすればそうなんです。勿論有畜といえば牛ばかりじやないと思うのですが、主として牛だ。こういう工合に考えるのでありますが、そこでどんな農家を選んで、又どういう地方、先ほど牛の密度のお話があつたのでありますが、どういう地方を主体としておやりになるというお考えか。これをちよつと一つつておきたい。
  108. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 一応局といたしましては、兼営農家でありますとか、極めて零細なる特殊な農家を除きまして、農業経営に見合つて家畜を導入せしめて行く、で、その基準というものを一応作つておるのであります。お手許に配付いたしてありまする有畜農家創設基準というものを作りまして、そうして特殊の農家を除く以外の農家には、全部漏れなくその経営に見合つた家畜を、その地方々々の実情に応じまして導入して参りたい、かように存じております。
  109. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 今の御方針で行きますと、実は今日のような安い乳価で行つて到底引合うものじやない。いわゆる農業経営を合理化さして、農家を安定させようというお考えでやられることが、実は不安定な酪農家を作るということに落着いてしまいはしないか、こういう工合に思うのです。私は実は随分古い牛飼いでして、もう始めてから四十五年にもなります。それだけ古い歴史を持ち、又いい牛を持つて、そうしてやつておりながら、今の乳価ではとてもそろばんが合わない。こういう状況になつておるので、まあ釈迦に説法になりますけれども、乳をとるためには実はよいサイロ、それからよい乾草を十分に牛に食わせなければならん。そのほかに牛乳一升について、一升についてというと目方にならんけれども、牛乳を仮に一貫目とします。牛乳一貫目をとるためにはどんなことをしても四百匁以上の濃厚飼料を与えなければならない。特に粗飼料、悪いところにおきましては、その濃厚飼料の量は五百匁或いは六百匁というような多くの濃厚飼料を与えなければならん、こういうたちのものだ。牛を飼つたことのない人は、牛を飼えばそろばんが合うという工合にすぐに考えるのでありますが、決してそろばんが合うわけじやなく、私どもはやり方が下手ではあるけれども、併し四十幾年の歴史を持つてつていてさえ、実はそろばんが合わない。そこで今のような乳価では、これを農家にどんどん若し牛を今のように飼わして行つて、十年後には今の乳量の十倍にもするというお考えでやられたならば、これは牛乳は余つてしまつて、行きどころがなくなる。牛乳の余つたほど迷惑なものはない。曾つては一時北海道で煉乳会社が事業の関係で牛乳を買わない、今日から牛乳を買いませんと言われたときに農家は非常に困つて、例の酪農組合連合会というようなものができた、牛乳が余つたら捨てるよりほかはないのなありますから、実に迷惑千万なことになるのでありましで、どうしてもこれは有畜農業の奨励と同時に牛乳の奨励ていうことには大いに力を入れて、両両相待つて行くのでなければ、ただ牛だけを農家に飼え飼えと言つて飼わして行かれますと、成るほど乳量は多くなるかも知れんが、その犠牲を受けるものは全く農家であります。いつも食糧問題の犠牲になるのは農家だというような考え方を持つ人が多いようでありますけれども、そんなみじめな、可哀そうなことをしてはいかん。そこで増産をすると同時に、将来に関してどういう方針でやるかということを承わらなければならんと思うのであります。この点について将来の御方針を承わりたい。
  110. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今御指摘の点は私ども最もその点に意を注いでおる点であるのであります。現在までのところ、一応数量といたしましては消費が旺盛でございまして、数量そのものが売れなくて困るというような状態は現出いたしておりませんので、併しながら今後は相当な勢いを以て家畜を導入して参ります場合には、当然に価格の問題と、それから只今お話のように、需給の問題が大きな問題となつて来ると思うのであります。この点につきまして、いろいろ検討いたしておるのでありまして、できるだけそういうような問題につきまして、確固たる方針と確固たる施策を早く打立てまして、できることならば、それを法制化することによりまして、決して農家が生産をした牛乳が売れないことのないように、又売れても非常は生産費を償わないような価格に下落することのないように措置して参りたい、かように考えております。
  111. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そこで私はこの奨励と同時に牛乳の食糧化、私は先ほど食糧問題を申上げたのはそこですが、牛乳の食糧化に対してどういう方法で行こうというお考えがあるだろうかということです。実はこの牛乳を満足にはかすようにするためには、どうしてもこれを、いわゆる外国人が牛乳を是非人間の必要な栄養としてとつておるように、国民にそういう工合にとらせなくちやならんと思う。牛乳の一番簡単な消化の方法としては、生乳で出すこと、これは一番手数がかからないと、こう思う。仮に今東京の乳は一日千二百石乃至千五百石あるということを聞きますが、これを食糧化して三倍、四倍、十倍にすることはそうむずかしくない。こう私は思う。そこでどうしてもそういう方法を講じてもらわなければならん。牛乳の消化の一番簡単なのは食糧化、それから先ほどの乳製品の問題等もいろいろありましたけれども、これはなかなか今の状況では外国とは競争できないのです、実際は……。そこで競争できるものは何かと言えば生乳で出すということでありますが、そういう点につきまして、どういう施策をお考えになつておるか。
  112. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今意見がありましたように、乳は生の状態で消費したのが一番効率的であるということは、もう只今御指摘の通りであります。これをできるだけ市民にも、又農民自身にも飲ませるというようなことが一番大切じやないかと思うのでありますが、市民にそれを飲ませて大きく需要を喚起いたしまするためには、どうしても市民一般が購買して差支えないような低廉な価格でなくちやならないということが、消費を増大せしめる大きな太い線じやないか、かように存ずるのであります。ところが我が国の乳牛の飼育状態その他は、遺憾ながらそういうように非常に経営密度が薄くありまして、生産の合理化或いは飼料の自給化というような点が非常に不十分であるのでありまして、これらの生産面への努力を一面続け、同時に中間過程におきまするいろいろな経費の合理化を図つて行く、この二つを並行的に措置をして参りまして、生産者にはその飼育に見合うような価格で取引ができ、消費者は他の食物より割に低い価格で消費できる、こういうような価格を創設して参りたい、こういう考えの下に施策を目下実施をし、又今後もそういうことから考えて参りたい、かように存じております。
  113. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 大体牛乳の一番手取早い利用の方法は生乳のままで利用することだろうということに意見が一致したようでありますが、然らばそういうように牛乳を食糧化するために、今のお話があつたように市乳をもつと安くしなければならん、農家にはそろばんが合うようにしなければならん、こういう問題が起ると思うのでありますが、それをするためには、実はどういう施策をしなければならんかということであります。今のところでは牛乳はここにそう寄つて来ない。東京だけではない、各都市について私は申上げておるのですが、東京を一例にしたに過ぎないのですが、ところが牛乳は、それじやないのかというと実はある。牛乳はあるけれども、この間の霜害問題で群馬県まで行きましたが、僅か東京から二時間か三時間の範囲のところに、あそこに煉乳会社がある。これは実に怠慢だと、政府の僕は怠慢だという工合にさえ思うのですね。なぜあれを東京の市乳に持つて来て、そうして安く供給するようにしないか、いわゆる牛乳を市乳化するということに御尽力なさらんか、これは極く簡単じやないか。これだけ交通の便利のいい、道路のいいところでありますから、いわゆる三、四石ぐらいのタンクの一つもあれば、これは牛乳を持つて来る距離が非常に遠くまで伸びる。長野県あたりまでは私は今の道路の発達した状況から言えば持つて来られる。勿論二重びんのタンクでなくちやならんのですけれども、外国でやつていることは、まあ映画などを見まして、これは日本でもこうやるべきものだという工合に思うのでありますが、そういう点について実は何にも施設を政府考えておらない。今までは牛乳というものは、まあ病人に飲ますとか、高級の人が飲むことだけに考えて、これを食糧として普及して、成るべく安い値段で都市に供給する、それから農家には或る程度そろばんの引合うようにしてやるというには、そういう方法よりほかにないのです。こんな近い所に煉乳会社を起す必要はない、こう思うのでありますが、政府一つ食糧問題の解決の上に、いわゆる牛乳を生で市民に飲ますためには今後そういう施策に出なければいかんのだ、こういう工合に思うのですが、まあそれとは限りません。あなたがたはそれ以上の智慧を持つておられるかたでありますから、どういう施策をやるかという点がありましたら承わつておきたい。
  114. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 東京の近辺に煉乳工場があるというお話でありますが、お話通りであります。御承知のように日本の牛乳の年間の使用が季節別に非常な差異があるわけであります。夏分は非常に需要が増加いたしまするし、冬分はそれが減ると、これはまだ只今お話のありましたように、最初は病人の食糧だと、かような考え方が一部に抜け切つていないという点からも来るのじやないかと思うのでありますが、これが年間通じて、そういうような消費が継続してもらえるということが一番必要ではないかと思うのでございます。併しながら当面の問題といたしましては、そういうような傾向がありますので、過剰乳の対策といたしましては、どうしてもそこに冬分その他の過剰になひました時期に対応する措置といたしまして、煉乳工場なり、粉乳工場なりを乳牛の飼育地帯には設けて行かなくちやならん、こういうような問題になるのじやないかと思うのであります。今後増加いたしました場合におきましても、相当関東近県にたくさんの牛乳が飼育されるということになりますと、それに応じて冬分の対策も立てて行かなくちやならないのじやないか、かように存ずる次第であります。
  115. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 それは結局値段が高いということと、牛乳の食糧としての普遍化した国民の知識まで持たして行けない、仮にこれが安くなりますと、これは米を食うよりも、何を食うよりも得だ、体も丈夫になるということになれば、それは夏、冬の需要が差ができるはずがないくらい需要が大きいことになる。そこでどうしても一つ政府はその事業をやる以上は、一つ牛乳の市乳化ということに全力を注ぐべきである、こういう工合に思うのであります。そういう工合にすれば、決して夏、冬の間に差ができないと、こう考える。それからいま一つは、実は牛乳が旧態依然とした配給組織なんです。いわゆる薬びんのような一合びんくらいで、そうして各需要家に牛乳配達が持つて歩く、ああいう程度では、これは運搬費が高くかかり過ぎるのです。実は農家から我々のところへは、まあこれは市乳になつておる。我々のところの市乳地帯におきましても、せいぜい四十円か、四十五円で乳を買つている。それで売るところでは十二円ぐらいで売つておる。勿論そのびんの破損等もあるそうですから、費用がかかると思いますが、主として配給組織が完全なものになつていない。又例えば東京におきましては、各職場、各工場というところでどんどん配給組織がうまくなつて行きますと、配達する必要がない。自分自身で皆持つて帰るというようなことになるのであります。そこで初めて安く供給できる。私らは実は農家の乳を高くすることも目的ですけれども、実際のところ、うんと牛乳を安く供給することを政府考えなければこれは駄目なんです。そういう工合に考えておるのでありまして、町の配給機構等についてもよほど考えなければならいない。小学校はもつと進んだ行き方をしている。例えば一合びんでやるものを二合五勺か、三合の容器でやりさえすれば配達費は三分一で済む。一番高くかかつてもその配達費は少く済むというようなことに着眼して、そうして安く供給するということを考えない限りは、これは牛乳の食糧化はできない。そこで一つこの食糧問題として、農林省が実はこの有畜農業というものを奨励して行くという考えが根本にならなければ私はいかんと、こう思うのです。そういう工合になりさえすれば、そこに自然に方法が出て来ると、こう思うのでありますが、何かそういう案がないのですか。
  116. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今御指摘の通りであるのでございまして、例えば東京に例をとりまするというと、一合の配達費が極く概算いたしまして五円見当になつておるような次第でありまして、全体の価格の約三分の一を占めている、こういうようなまあ大体の実情になつておるわけであります。で、これらを如何にすればそれをぐつと引下げ得るか、今のような配給形態で、配給数量で、ああいう単位でやつている限りにおいては、今の生話水準と申しまするか、日本の実情ではなかなか一本当りの配給経費を切詰めるということは困難じやないかと思うのでありまして、どうしても或る程度根本から変えて行かなくちやならん、併しこれにはいろいろな関係があるのでございまするからして、どうすればいいかという点につきまして目下研究いたしておる次第であります。
  117. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) まだありますか。
  118. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 もう二、三ですが、次にお伺いしたいことは、実はこれは有畜農業も或る限度があります。東京でどんどん売れるからといつて、東京附近ばかりにやらしても困るということは、人聞の食糧と競合することが困ることなんです、食糧問題解決の上に或る限度以上になるというと、人間の食糧と競合して困つて来るという問題が起るのであります。そこでどういう工合になるかというと、次に行くのは、やはりこれは何としても穀物の作れない、或いは土地で言えば荒朽地だとか、或いは北海道の広い原野とか、そういうような荒朽地、不毛地というものをこれは酪農地帯化して行く、そうそうところに行きさえすれば、実は非常に厄介ものになつている土地が全部この日本の食糧問題に貢献して行くことができる。又たくさんの人をそういう方面に移植することもできるということになるのだと思うのでありますが、先ほどもお話のありましたように、その点では実はその密度が、牛を飼うところの密度が非常に荒つぽくなつている。いわゆる運搬費が余計要る。僕は一昨年実はネツスルの工場のあの持込費、ああいう全体の持込費用を調べて見たのですが、実は全体で一升について一円五十銭しかかかつていない。ところが北海道では一升について九円かかる。九円かかつているのはどういうわけかというと、いわゆる密度が足らないからです。そこでそれじや飼養管理のほうに金がかからんかというと、先ほど言うように濃厚飼料も相当用いなければならんものであるから、到底そろばんが合わないという問題が出て来るわけなんであります。そこで非常にそういう悪い土地を利用するがためには、集乳費が非常にかかることも食糧問題の解決の上に実は基本をおいておれば、その集乳費がかかるために牛を飼えなくなるというような問題は、これは実は政府の助成その他の方法によつて、これは相当私は安い価額になし得るのではないか、こういりふうに考えるのですが、北海道の牛をここまで持つて来るというわけには行かんですから、そこでああいう地帯ほ乳製品工業をやらなくちやならんということになろうかと思うのであります。ところが今の日本の乳製品工場の施設というものは非常に老朽化して、百やつたそのままの、人ばかりうようよ寄つてたかつてつて一つも能率はさつぱり上らない、それがいわゆる非常に高い乳製品を国民に使わしておる大きな原因になつておるのであります。それで向うのほうでは二百石、三百石の工場が、僅か二人か三人の人で仕上げておる、ところがこちらのほうでは五十石の乳をはかすためには一工場に少くとも百人かかる、こういうふうに人件費が非常に高い、非常にそういう老朽化した工場で、外国の全部機械化された、近代化された工場に到底及びもつかないということになるのであります。そこで是非そういうような地帯に対しましては、工場の近代化を図つて、乳製品が安くなるようにしなければならん、これは非常に緊急なことだと思います。昨年ですか、濠洲のバターが安いからといつてつて来られたのでありますが、濠洲のバターが安いのは決してただ安いのではなくて、日本と同じ状況で安いのではなく、向うの工場が非常に近代化されておる、それに対してこちらのほうでは非常に老朽化したものでやつておる、こういう関係から来るのでありまして、是非一つ政府は食糧問題解決のためにやるのならば、そこまで近い将来におきまして、市場に近いところに対しては転送の施設をしてやる、それから市場の遠いところには、どうしても乳製品を生かさなければならんというふうに、今の行き方では原子爆弾に竹槍では到底及ばないのでありますから、これは是非やはり外国と釣合のとれる近代化したものにして行く、それからなお競争に堪えないときには、国家がいろいろな関税で保護するとか、或いは助成をするということになつて来なければならんのでありますが、その点について近い将来にそういうことをやられる考えがないかということを承わりたい。
  119. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 市乳を中心とした飼育或いは原料乳を中心としました飼育、いずれにいたしましても、乳牛の飼育密度を濃くするということが生産費を安くする第一の前提であるのであります。只今お話は、主として原料乳地帯についての施策であるのであります。現に系統機関の経営いたしております工場等につきましては、これが改善のための資金につきましては、金融公庫の資金融通いたすことになつておるのであります。系統機関以外の工場につきましても、できるだけ生産費を低めますために、工場の近代化を図りますことが必要でありますので、これらの点につきましては、今後開発銀行資金融通斡旋その他を大いに努めまして、できるだけ近代化に即応するように努めて参りたいと考えております。
  120. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 今の工場近代化に対して中央金庫その他で金が出る、融資ができるようになつておると言いますけれども、一工場を完全に近代化するためには、どのくらいの金が要るとお考えになりますか。
  121. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 勿論それは規模にもよると思うのでありまするが、少くとも一千万を下らない金が、或る程度の設備を持つている工場にはかかるのじやないか、かように考えております。
  122. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 一千万円ぐらいの金じやないのです、実は……。併しその点はその点にしまして、次にもう一つお尋ねして私の質問を終りますが、今度の計画の中にはゼルシイ種かなんかを特別のものを入れて来るという案があるように承わつたのであります。これは学者の間でも随分議論のある問題であります。私ども長い間の酪農をやつて来た経験から言いますと、これは恐らく失敗なんであります。学者の議論は何か知らんけれども、恐らく失敗なんであります。それはどういうわけかというと、乳量が少いというと、いわゆる養畜の趣味がなくなるということが一つ、乳量が非常に少い。今の改良された牛は実は特別のものは百石も出ますけれども、少くとも六十石以上のものでなければ種牛にしないというくらいに日本の乳業も進んでいる、その場合において十石や十五石、せいぜい如何に進んだものになつても二十石に達しない、こういうもの、それから脂肪が一方多いからと言いますけれども、ホルスタインのほうにおきましては、随分死亡の多いものがだんだん改良されて来ている。そこでどうしても皆が嫌がつて飼わない。昔学校を出た当時に道庁に行つて、道庁の有名な畜産技師と議論をしたことがある、青二才のときに議論をしたことがあるのであります。私はホルスタイン雑種を入れるという相談に行つた、ところがそれは生意気だ、南部種を入れる、どこまでも南部種を入れろ、こういう説なんです。それはもう話にならん、あなた方の考えは話にならん、あの人たちは牛を飼わして肥しさえとればいいという、それじやとてもそろばんが合わない、肥しをとることなら人口堆肥で何ぼでもできるのだ、これから先の農家は私は牛を飼わすくらいにして行かないといけないといつて、どうしても聞かなかつたのでありますが、しようがないから、やむを得ず根室に行つてアシヤの牛を買つて来たのであります。アシヤだつて一日六升や七升出ていたのですが、とても六升や七升では何としても誰も買手がない、とうとう皆肉になつてしまつた。又そればかりでなしに、実は月寒の牧場でブラウンスイス種の牛を入れて、或いはゲルンジを入れるというような行き方をされましたけれども、皆これは三十年ぐらい前のことですけれども、大きな牛舎を建てて立派な施設をしてやられたけれども、皆売れなくて肉になつてしまつたという経験があるようであります。そこで私は、学者としていろいろ説のあるところであろうと思うが、とにかく日本の乳牛がこれだけ進んで来たのだから、目的はこれ一つでやつて行くべきだ、そうでないと、牛飼いというのは牛乳だけ売ればそれでいいのじやない、子牛を上手に売らなければならない、子牛を育てなければならん、子牛が三才ぐらいになつて孕んだときが牛の値打ちが一番高い、この一番高いときに売らなければならんのだが、日本の牛乳は先ほども言いましたように市乳本位で行かなければならんのでありまするから、従つて牛は都市附近に流れて来ない、都市附近に買手がない、そこでどこか農村の奥のほうへ行つてつてもらいたいと言つているけれども需要がない、子牛を飼つて実は手を余しておるのであります。結局は日本のような生乳本位にして行かなければならないというようなところにおきましては、実はホルスタインというような乳用種の進んだものにだんだん変えて見るということでなければならん。殊に脂肪率等も必ずしもジヤージイに劣らん、近いようなものまでだんだん進化させて行くという方法に持つて行かなければならん。徒らにこれは農家を迷わして、そして幾年か後になつて、どうも学者の説が御尤もだと思つてやつたが、誰も買い手がなくなつたということになろうと、こう思うので、勿論それは地帯を選んでやられると思いますが、併し本当に需要が、国民に生乳本位に売るということに大いに目を付けて行かなければならん点から行きますと、これは全然失敗に終るものである。過去の自分の狭い経験でありますが、狭い経験から申上げることができる。そこでそういうような二兎を追うことなしに、迷うことなしに、ずつとホルスタインが日本へこれまで残つて来たということは、それには相当理由がある。曾つて学者が、今新らしく考えた、又外国の例を見て来て外国通りのことをやろうとしたところで、それはいかない。そういうような一つの理由があつてホルスタインとなつている、こういうふうに思うのでありまして、こういう点についてどういうお考えを持つておられるのか、私は承りたいと思います。
  123. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) お話の点は、本年度から初めて政府といたしまして導入をして参りますジヤージイのお請じやないかと思いますが、今までの我が国の乳牛の飼育経過と申しまするか、生産の状態を眺めて参りますと、只今御指摘の通りのようであります。従いまして今後導入して参りまするジヤージイを、無計画に而も地帯を選ぶことなく導入いたしました場合には、経済の自然としてそういうようなふうに相成るのではないか、かように思うのであります。そこで政府といたしましてはジヤージイにも御承知のようにいろいろいい特徴があるのであります。併しながら半面、只今御指摘のありましたように、絶対量としての泌乳量が少い、こういう結果があるのでございますが、幸いそれは相当部分はいはゆる脂肪分で補い得るわけであります。従つて両方の特質とかれこれ勘案いたしまして、ジヤージイはジヤージイに適する地帯を選ぶ、これが一番問題じやないかと思うのであります。同時にその選んだ地帯に集団的にそれを散らばらせない、まばらにいたしますというと、牛乳の取引なんかにつきましても、ジヤージイとしての特質を発揮できないようになるわけであります。できるだけ一カ所に集めまして脂肪取引というものを採用して参る。農家の手取が必ずホルスタインよりも少くならないようなふうに措置をして参る。而も購入をいたしまして貸付けましたジヤージイにつきましては、小牛を又政府として返して頂きまして、これを他の農家に貸付けて参る、こういう循環論法をとつて参りまして、農家が生産の意欲を失うようなことのないように措置をして参る、かように存じておるわけであります。放任するんじやなしに、ずつとその後面倒を見て参りまして、一地帯、一地帯を特別に地点を選びまして、集中的に導入をするようにいたしまして、その後ずつとそれに即応した指導をして参る。こういうようなことで今までジヤージイとホルスタインと同時に飼つて、ホルスタインだけが残り、ジヤージイが駆逐されるというような結果にならないようにいたしたい。勿論それには地域の選定、どういうところに導入したほうが一番ジヤージイの特質に見合うか、こういう地点の選定が一番大きな問題じやないか、かように存じておるわけであります。
  124. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 今どういう地点という、具体的に一つ例を挙げて頂きたいと思います。
  125. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 地帯につきましては、種牛はなかなか持つて行きにくい、北海道、差当り八岳山麓の山梨県、長野県、岩手山麓、こういう地点を選ぶのでありますが、ここは市乳としては必ずしも適地じやない。而もジヤージイの特質であります粗飼料に堪えるということは、あの地点は非常に草資源が豊富でありまして、殆んど草資源で飼育ができるというような立地条件の地帯であるのであります。こういうような地点だけに限つて参りたいと、かように存じておるわけであります。
  126. 森田豊壽

    森田豊壽君 専門家の北委員から、私の質問せんとするところを詳細に質問されましたが、私は簡単に有畜農家創設特別措置法の狙は、第一に牛を以ていたしますれば、とかく乳価の騰落は一つにかかつて煉乳会社と申しましようか、或いは森永、明治その他と申しましようか、そういう会社の買上方針によりまして左右されるという過去における実情があるのであります。殊に静岡県におきまして、酪農地帯と称しておりまするところの田方郡方面におきましては、過去においてそういつた方面の非常な打撃をこうむつてつたのであります。この法案は農民のために、又食糧増産の上から行きまして、誠に結構な法案であると私は思うのでございますが、あれがむしろ多くの導入をいたしまして、乳価を下げることによりまして、国民の食糧に充当されるようなことにのみ使われるならば結構でありますけれども、それが往々にしまして私設会社の利益のために、この多くの家畜を導入いたしましたことによりまして、その結果がなるというような場合におきましては、非常に由々しい問題が起きると思うのであります。この点に対しまして、この政府の提案いたしましたる有畜農家創設特別措置法の精神が、若し精神がそうでありましても、そういう場合におきましては如何なる措置を講ずるか、先ほど来御質問もありましたが、その御確答を願いたい。もう一つは、とにかく乳価を安くいたしまして、我国の食糧需給の関係から行きまして、これを利用せんとするならば、先ず以て飼料を安くしなければならない。餌を安くすることが家畜導入の要件でなければならん。この飼料の需給安定法があるとは申しながら、この飼料を安価に導入することが、飼料を配給することが完成することによりまして、この家畜農家の生産を償うことになるのであります。従いまして、これに対しまする考え方が、あの需給安定法によりましてのみ頼つておりました程度では到底安い飼料を買うことができない。これが若しも現在の状況からいたしまして、この予定によりまして導入した場合においては、相当飼料が高くなることを予想しなければならないと私は思うのであります。従いまして外国からでも安い飼料がどんどん入る場合は別といたしまして、今次の段階ではやはりその点を十分考えなければならんと思うのでありますが、この問題がはつきりしないというと、これは非常にいい法案でありまするけれども、その点に対しまする考え方をはつきりしておきませんというと、導入した暁に起るところの、いろいろ餌の配分の混乱或いは高騰等によりまして、農家経済に及ぼす影響が実に重大結果を招来いたしまして、家畜の奨励をこじらせることがなしとは言えないのでありまして、この二点につきまして根本的な政府考え方、殊に局長さんは専門家でありますから、局長の御返答を承わりたいと思います。
  127. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 第一点の家畜を導入いたしました場合に、乳価についてどういう施策を持つておるか、こういうような御質問でないかと思います。
  128. 森田豊壽

    森田豊壽君 一つだけ……。家畜の仲買人と申しましようか、馬喰と申しましようか、そういう者に対する取締りも十分でないがために、たくさん家畜を導入した場合におきまして、とかくそういう業者のいいようにされまして、農家自体が適正なる価格で売買ができないような場合があるのでありまして、市場の取引が公正になつた場合には別でありますけれども、この取引というものが非常に不円滑で、早く言うならば挟の中で手を握り合つて取引をするというような取引であると思うのでありまして、こういう点につきまして、家畜を導入いたしましたときに、その取引の公正を期する上において農家が中間に搾取されないような方法について何かお考えがあるか。これも一つついでに伺いたい。
  129. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 第一点の質問でありまするが、家畜、特に乳牛を導入いたしました場合にその乳価に対しまする措置の問題でございまするが、生産者がいやしくも、中間業者と申しまするか、製造業者と申しまするか、そういうような機関から搾取されるようなことになりますというと非常に問題でありまするので、これを如何なる方法で保証するか。こういう問題につきまして、いろいろ検討をいたしておるのであります。或いは協議会と申しまするか、府県を単位とし、或いは郡を単位とし、或いは集乳区域を単位といたしまして審議会みたようなものを作つて、そうしてその審議会の機構を運用することによつて適正な規格を決定して参るというようなこともどうであろうか、こういうような点につきまして、いろいろ考案いたしておるのでありまして、できるだけ早い機会にそれらの点につきまして具体的な案を作りまして、必要があるということになれば法律的な措置をいたしたい。かように考えておる次第であります。第二点の一般家畜の取引の問題でありまするが、これも牛乳の取引と同じように現在畜産部門といたしまして一番遅れている問題であるのでありまして、この取引をどうすれば最も合理的に且つ公正に、農家の面からいたしましても、それを取扱う業者の面からいたしましても、いずれも誠に公平であり、且つ明朗である、こういうような取引にどうすれば進めて行けるか、こういうような点をいろいろ検討をいたしておるのであります。これも検討が進みますれば、又必要があるといたしますれば、法的な措置を講じて参りたい。かように存じておる次第であります。第三点の飼料の問題でありまするが、できるだけこれは有畜農家を奨励して参りますためには、自給飼料の問題が一番大きな問題であるのであります。これにつきましては自給飼料の増産のために草資源を大いに活用する、家畜飼育の八割乃至九割くらいは自給をして足らない部分を濃厚飼料で賄う。これくらいに一般の水準を持つて参りたい。かように考えておるのであります。濃厚飼料につきましては、御承知のように本年の三月十五日から飼料需給安定法が施行されまして、政府におきまして本年度は二十七万トン、「とうもろこし」、マニトバ五号或いは「ふすま」、そういう外国産の飼料を購入いたすことにしまして、予算も食糧管理特別会計に計上されておるわけでございます。まだ施行数カ月でありまするが、現在のところ価格につきましても或る程度安定の状態を得ておるのでありまして、今後とも飼料の需給並びに価格の安定につきましては、できるだけの措置をして参りまして、いやしくも導入いたしました農家が濃厚飼料のために非常に困るというような状態の起らないように措置をして参りたい。こう思つております。
  130. 森田豊壽

    森田豊壽君 途中から質問いたしました家畜の取引の問題であります。私は農業に携わつて長いことになつておりまするが、家畜の取引ほど不明朗なものは先ずないと、今おつしやつた通りであります。この取引を映の中で手を握ると申しましようか、握つて取引をするようなことでは頗る不明朗な取引であることは言うまでもないのであります。近頃家畜の売買が非常に盛んでございまして、品評会なんかのときには、家畜の品評会があるたびごとに必ずそのあとで取引が行われているというのが現状であります。又現地の実情はそうであります。そういう場合の取引は、まだまだあれが優書をとつたからと言つて高く売れるので結構でありますが、役牛の問題につきましては、これは非常に不明確でありまして、こういう問題に対しましては、農林省が家畜を導入するに先立ちまして、この問題を根本的に農民として安心するようにしておくことが最も必要だ。農産物の生産をさせる上におきましては、その価格の安定が必要であり、而も取引が公正であらねばならないものでありましよう。畜産の場合、食糧の上から行きまして重要なものとお考えになつているという、先ほど来の質問に対しての御答弁であるので、この問題に対してはその取引を公正にさせるために、少くとも各府県に一カ所ぐらいはこの取引所を設けまして、公正なるいわゆる分けの取引所をすつかり作つてもらいまして、各県には畜産課長或いはその他重要な人材がたくさんいるし、試験場もあるわけであります。従いまして、そういうかたがその方法を監督すると言いましようか、それに立会いましてやらせるような方法を何とか致府におきましてとらないと、そのままにしてこの法案をやらせることにいたしましても、結論といたしましては、取引のところへ行つてどうにもしようがないということで、中間のために導入したということに結論がなるということになりまして、豚屋、役牛屋、そういうものが利益をとるのでありまして、農家が利益をとるのではないということになりましては、この奨励の意味がなくなるのであります。この際に、牛のごときは特別のものでありまするが、我々といたしまして、豚のごときは殊に豚屋に対しまして、こういう問題に対しましての相当な監督をこれになさらなければ、こういうふうな導入の方針等は画餅に帰する虞れなしとは言えないと思うのであります。この点は先に一つ根本的にやつて頂く、導入してからあとで又必要があれば考えるというような御答弁でありましたが、私は先にこれを一つ考えて、まあ今でなくても、直ぐにこれは考えるつもりだということを御回答願いたいと思いますが、その点は如何です。
  131. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今の家畜取引の問題につきましての御意見でありまするが、これにつきましては、一般的に前提といたしまして、どういうふうな機構を考えて行くかということにつきましては、できるだけ早い機会に問題の根本を取組みまして適切な措置を講じて参りたい、又必要がありますれば、只今の御意見のありましたように、各府県に家畜市場あたりを創設するということも必要となるのじやないか、かように思いまするが、少くとも有畜農家創設によりまして家畜を導入いたしまする場合に、中間の業者の搾取を受けることにならないように、政府といたしましては、できるだけ系統機間を利用する、単位組合を単位といたしまして、それによつて取引をさせる。又できることであれば、この措置によりまする家畜の導入は県連でまとめまして、県連一本で購入して行くというような措置を講じて参りたい、かように存じておるわけであります。
  132. 河野謙三

    河野謙三君 直接提案されました法案について二、三の疑義を伺いたいと思いますが、先ず対象家畜が乳牛と役牛と馬と緬羊になつておりますが、これに豚を入れなかつた理由は何かありますか。大体昔と違いまして、今はもう家畜といえば牛と豚というくらいになつてつて、馬というのはずつとウエートが下つておる。まあこのほかに鶏というのがありますけれども、これは性質上対象にはならんと思つております。豚は私は対象にすべきだと思いますが、特にこの豚を外した理由を一つ伺いたい。
  133. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 有畜農家創設要綱というものを昨年の六月に次官通牒として各府県に通知を出しておりまするが、その場合に豚につきましては有畜農家創設の対象になるといたしまして、大いに農家に奨励をして参るという対象の中に入つているのであります。ただ本法によりまして資金融通いたしまする場合に、利子の助成をし、且つ損失補償契約を締結する対象としての家畜といたしましては金額が少額であるということと、他の大家畜に比較いたしまして回転率が非常に早い、こういうような二つの理由で、利子補給並びに損失補償の対象から省いておるのでありまするが、導入につきましては、できるだけ政府といたしまして資金の斡旋をして参りたい、かように存じておる次第であります。
  134. 河野謙三

    河野謙三君 私は対象になる農家の経済力から見て、むしろ牛や緬羊を導入できるような農家はまだ豚を飼つておる農家よりも恵まれた農家です、これは比較の問題です。従つて金額が少いとか、手数がかかるとかいうことによつて、私はこの豚を利子補給の対象から外すことは、これは政府が助成するという精神、弱い農家を助けるという精神、これからいつて私は少し納得が行かないんでありますが、これは何ですか、金融機関が豚まで入れられては手数がかかつてやり切れないからやめてくれと、こういうところに案外理由があるんではないですか、そいつを私は伺いたいと思います。
  135. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 手数がかかるということよりも、中金融資の対象といたしまして余りに資金の回転率その他が早いのでありまするから、据置きの関係、そういうようないろいろ金融機関の操作上、まあ豚までは対象としては非常にむずかしいというような事情でこれは省いておるというわけであります。
  136. 河野謙三

    河野謙三君 これは私はどうも納得行かんですがね、回転率も早いですけれども、とにかく先ほど申上げたように、豚を飼つている農家のほうは零細農でしよう、だから貧困なる農家を助けるというのが、これが農業政策のすべての場合に起つて来る。そういう富めるか貧しいかということによつて、有畜農家の中でも豚を飼つている農家のほうが貧しい農家です、大体一口に言えば……。従つてそれに対して国家の保護、助成、政治の恩恵というものは私は優先して届けられなければならない。そういう点においてこれは大きな考え方の基本の問題で、私はどうも政府のやることが……、尤も今自由党内閣で金持を擁護すればいいということであるかも知らんけれども、私はそういうことではいかんと思う。それは議論になりますから別のときに譲りまして、次に三割の損失補償ですね、三割の損失補償というのは単位農協単位に三割を補償するというのか、郡単位に三割というのか、県単位に三割というのか、ここを一つ明確にしてもらいたいと思います。
  137. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 金融機関別に、対象別にプールするというシステムじやありませんので、金融機関別に補償するということに相成るわけであります。
  138. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、これは行政地区というものは関係ないわけですね。例えば中金なら中金というものの扱いの総量の中で三割、こういうことですか。
  139. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 普通の場合、単位農協ということに相成ると思うのであります。
  140. 河野謙三

    河野謙三君 それは私はこの案を出された御趣旨に副わないと思うのですがね。できるだけこの家畜導入を促進しようということです。促進するに当つて一番ネツクになつているのは、あとで私は御質問しようと思つてつたのだが、中金が貸したくても貸せないというのには、系統機関の中で非常に弱体な農協があつた、こういうことですね、ところがその弱体な農協であつても、個々の有畜農家にすれば優秀なのがたくさんある、ところがたまたま農協自体が、その村の農協が弱体のために、その村の住民としての有畜農家というものは政府の恩恵に与かることができなかつた、こういう問題ですね、而も私はそういうケースが非常に多いので、こういう場合にその危険負担もなお乗り越えて、これらの家畜導入の意慾に燃えている農家には資金を届けてやり、同時に利子を補給してやるということは、これが私は農家に対する三割補償だと思うのでありますから、一単位農協にしたらば、これはちつとも、全然効果がないとは言わないけれども、大した前進じやありません。少なくとも一県単位、東京都なら東京都、埼玉県なら埼玉県単位に全部の中の三割、茨城県なら茨城県の三割ということにしなければ、本当にこの改正案の趣旨というものは生きて来ないと思うのですが、それは今お考えの単位農協であるならば、これを前進して、県単位に考え直される御意思はありませんか。
  141. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その点につきましては、いろいろ検討いたしたのでありますが、産業資金でありまするし、又農業協同組合というものの経営の内容というものにつきましては、できるだけ指導をいたしまして、その内容をいいものにして行く必要があるわけでありまして、県といたしましては、損失額の三割を県が補償いたすということでございますれば、金融機関としても相当現在のところ、或る程度経営内容が悪くても、まあ三割も補償すればやれるのじやなかろうか、こういうふうな考え方から、まあ三割ということにいたしている次第であります。
  142. 河野謙三

    河野謙三君 各県で損失補償の半分を持つわけですね、でありますから、県が二分の一を補償するのでありますから、従つてこの措置は県単位に私は考えて間違いないと思います。又そうすることによつて、この折角の措置の利用の範囲というものは非常に進むと、こういうふうに思うのですが、この点につきまして、いろいろ御議論もあつたと思うのですが、どういう計算をされましたか、農協単位の三割補償ということを、私が主張しますように県単位の三割補償ということにした場合の試みの計算において、損失補償の予算額はどのくらいの差がありますか。
  143. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 損失補償契約をいたしました場合にどの程度の損失が出るか。それは県単位にいたしましても、或いは個々の農協単位にいたしましても、どの程度のものが出るかという点につきましては、これは予想が極めて困難であるのであります。私どもといたしましては、できるだけ損失補償契約をいたしましても、損失が出ないように指導して参るということが前提だと思うのでありまして、どの程度出るかというその程度の問題につきましては、実は想像いたしかねておるような次第であるのであります。
  144. 河野謙三

    河野謙三君 そうであれば、私は実は県単位になし得なかつたことは、県単位にした場合の試算をして見て、意外に損失補償の額が計算上多く出て来る。ついてはこれは政府のほうの財政負担の面から反対の意見政府部内にあつた。そういうことで私はそこまで行き得なかつたのじやないかと思つたんですが、今伺えば、そういうような問題ではないようでありまして、そうだとすれば私は畜産局としては進んで県単位に単位を変更すべきじやないか、こう思います。これは私は単に私の疑問の点を質しているのではなく、て、私はこの案の精神を生かすために、何としてもこれは私は他の委員の各位にも諮つて、この単位は変更して政府原案を変えなければならないと思つそおります。これは又後日に譲らして頂きます。次に先ほどの北先生のお話に関連しますが、すでに酪農関係の会社ですね、これに開発銀行の金、又中金の金、特に開発銀行の金が相当今まで融資されたのですが、これは要するにこの国家資金に準ずる性質の金を廻すことによつて、狙いは酪農製品の価格を下げて、そして牛乳の消費を殖やし、そして間接的には有畜農家に利益をもたらせる。こういうことから出発して特にこういうような金融措置がとられたと思うのですが、すでにこういう金融措置がとられておるにかかわらず、これはただ森永なり、明治がそういう安い金を使つただけであつて、森永や明治が儲けただけであつて、これによつて酪農の製品のコストが下つて従つて市価が下つて有畜農家が恵まれた事実に何ら私はぶつかつておらないのじやないかと思うのでありますが、何かこの種の金融をするに当りましては、何か条件を付してあるのですか。而もこういうような金融というものが今までどのくらいどの会社に融資されておるか。これも私は只今じやなくてよろしうございます。一応明日でも資料を頂きたいと思いますが、取りあえず資料は別として、何かこういうふうな、いずれこれは畜産局斡旋によるところの融資だと思いますが、何かこの融資に当つて条件が付してありますか。
  145. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 畜産局としては価格その他いろいろ配給の点については特に条件は付しておりません。
  146. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、安い金を使い放しで、結局それらの業者が借り得だ、儲け得だ、こういうことになると思いますが、これはまあ問題が残ると思いますけれども、時間がありませんから次の問題に移ります。飼料の安定法の問題ですが、これは私はかねがね安定法の問題については非常に関心を持つておるのでありますが、未だに私は遺憾に思いますのは、現在の安定法に対して遺憾に思います点は、政府が補給金の付いた輸入の小麦を製粉会社に払下げておりながら、その小麦から発生するところの粉については一応消費者価格というものについて政府は一応責任をとつております。然るに同時に出る「ふすま」についてはこの価格について責任をとらないで、自由販売になつておるということは、私は非常にこれは補給金が付いてる麦から発生する粉であり、「ふすま」である以上は、粉に対して政府が最終消費者価格の責任を持つと同時に、「ふすま」に対しても消費者価格に対して責任を持たなければならん。こう私は思うのです。従つてこの外麦から発生する「ふすま」につきましては、政府が当然最終価格について責任を持つ、もつと具体的に言うならば、これは政府の何らかの管理の下にこの「ふすま」というものは配給さるべきである。配給という言葉は通用しなければ、販売さるべきだ、こういうように思いますが、この点は如何でございましようか。
  147. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 外麦による「ふすま」の製品、これの全体の問題についてどうするかということにつきましては、私といたしまして甚だ答弁いたしかねる次第でありまするが、内地の飼料の需給価格が著しく逼迫いたしました場合におきましては、飼料需給安定法によりまして、政府所有小麦を売渡す場合においてこれは非常に慎重を要しましので、特に飼料需給安定審議会の議決を経た場合においては、政府が売渡しました小麦からできた「ふすま」の配給価格というものにつきまして、一定の条件を附することができるということに相成つております。現在のところ法的な措置といたしましては、外麦につきましてそれだけの問題でありまするが、一般的な問題につきましては、今後いろいろと研究をいたすべき余地があるのじやないか、かように存じております。
  148. 河野謙三

    河野謙三君 今食糧庁は外麦から発生する「ふすま」は三十キロ幾らに計算しておりますか。これは畜産局でおわかりのはずです。そうすると、これは補給金を弾き出す場合に、その前提として加工賃、人件費、粉の代金、「ふすま」の代金、こういう製粉会社の収入支出というものを細かく計算いたしまして、そこに初めて現在予算に盛られて来るわけです。補給金が出て来るわけです。従つて「ふすま」は一体販売される予定額は幾らということ、これは出て来るはずでありますが、この予定額は幾らになつておりますか。
  149. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) これは私はちよつと時期につきましては記憶いたしておりませんが、一応これは八月一日からだつたか、七月一日からだつたか、或いは九月一日からであるか、その点につきましては正確を欠いておりまするが、一応「ふすま」につきましての織込採算価格は工場裸渡し、裸と仮定いたしまして五百五十円ということになつております。
  150. 河野謙三

    河野謙三君 それは改めて食糧庁と打合の上、今度の補給金を計算いたします場合の「ふすま」の販売価格というものを一つお調べ願いだい。それからいろいろ飛び飛びになりますが、これも北さんから先ほどお話があつたのですが、何と申しましても牛乳の値段を安くしなければ、これは消費が殖えません。ところが土地によつて違うかも知れませんが、或いは北海道に次いで県別には一番の牛乳の生産地である神奈川県の者でありますが、神奈川県の場合を聞いて見ますと、農家の庭先渡し値段プラス同額が運賃、プラス同額が加工賃、こういうことになつておる。従つて消費者の手へ渡るのは大体三倍になつております。この運賃が農家の庭先渡しと同額であり、同時に加工賃が同額であるという、こういう計算の下に今の市場価格というものは形式されておるものでありますが、これは如何にも不合理である。特に運賃のごときは、同じ街道を農村から都会へ向つて、四つも五つもの牛乳会社のトラツクが中途半端の荷物を積んで牛乳を町へ運んでおる。こういうところには非常な無駄があります。農家のほうから見れば、なぜ農民が作つたものを農民が自主的に販売しないんだ、こう言いますけれども、長年の因緑と申しますか、森永や明治や、その他の会社との因緑において農家が森永の組合であるとか、明治の組合であるとかいうものを作つて、これらに引きずり廻されておる、こういう形です。どうしてもこれはこの段階まで来ますと、農林省が有畜農家についての何らかの組織というものに私は入つて行かなければいけないと思う。これらについて畜産は畜産としての何か組織をお考えになつておりますか、今度団体再編成の問題も提案されておるようでありますが、我々まだその審議に入つておりませんけれども、我々は現在まで承知した範囲では、この団体再編成と畜産というものとの関係もどうもはつきりしておりません。これはどこまでも団体再編成とは別個に、畜産は畜産、養蚕は養蚕で行くのか、それとも今度の団体再編成の中に、畜産局の意思というものは十分織込まれておるのか、この取引の合理化の点につきましては、私はどうしても有畜農民の組織の問題に入つて来ると思いますが、これらの点についての畜産局長の一つ御抱負を伺いたいと思います。
  151. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 有畜農業を盛んにし、而も乳牛の場合におきましては、その生産されました乳或いは製品、こういうようなものの価格の合理的な水準を維持して参りまする場合に、できるだけ団体的に、飼育農業者が集まつた力を以てやつて行くということが一番必要なわけだと思うのであります。ただいろいろ団体の問題につきまして、論議されておりまするが、現在農業協同組合法によりまして、相当数の畜産特殊農協と申しまするか、そういうような団体が生れておるのであります。で、この中に乳牛を目的といたしました畜産の単協も全国には相当数あるわけであります。只今お話のように別な法制で、別建ての組合について何か考えておるが、そういうような問題かと思いまするが、別な法制で別な組合を新たに作るという問題につきましては、既存の協同の農業者の団体、或いは今まで長い間団体問題につきましていろいろ論議され、又各府県におきまして、各地方におきまして問題になりましたいろいろな問題がございますから、新たに或る法制を作る、或るシステムを考えるかどうかというような問題につきましては、各般の事情を慎重に検討した上でないと、軽々にそういうようなものを作るということにつきましては相当考慮すべき点があるんじやなかろうか、併しながら畜産を奨励して参りまするには、筋の通りました団体を考えて行くということも一つの行き方でありますが、いろいろな問題がありまするし、これは一つ慎重に検討し、考慮する必要があるんじやなかろうか、そういうふうに考えておるわけであります。
  152. 河野謙三

    河野謙三君 ちよつと畜産局長、私のお尋ねしたことが誤解があると思う。私は何も別に根拠法規を以て、例えば畜産組合法を作つてどうとか、そういうふうなことを言つているんじやない。私は今のばらばらの姿のものを何かこれをまとめなければいかんということについての御構想があるかどうか、例えば現実に今各村、各字と、酪農組合というものはあります。折角そこまで行つておるから、今できておるものを何とかまとめたいというようなことで、これはちよつと手をかければできる。そういうふうなことでもいいし、又根本的に今根拠法規を作つてやるというのも一つの方法です。いずれにしても今のままではいかんということはよくおわかりなんだから、さらばといつて廣川農林大臣式にいつでも、案を練つておりますじやいけない。菓子屋じやあるまいし、いつまでも「あん」ばかり練つてつてはいかんと思う。だからそろそろ具体的な何か一つ御構想がないかということを伺つておるので、この点私は何も根拠法規を作れということを主張しておるわけではありません。ただ併し現状においては、先ほど申上げますたように牛乳がなぜ高いか、なぜ消費者の品へ高く入るかということにつきましては、これはどうしても今の組織の問題へ入つて行かなければならないから、これはそこまで入つて行きませんと、先ほどの北先生の趣旨に副つて行けない。私は北海道なんかは知りませんが、この近県のばらばらの組織を直さなければならない。同時に非常に困ることだと思うのでありますが、これは畜産局長の一番嫌な役だと思うのであります。畜産団体といつても、いわゆる馬喰うの親方というかボスの親方じやありませんよ。私ははつきり誰がどうだということは言いませんが、中途半端な畜産団体がたくさんあつて、それで農民自身は何も知らん。それであなたのほうに行つて餌の話か何かして、団体の経費のピンをはねて行く。そうして足のない頭だけの幽霊の団体というものが畜産団体だ。これは今のうちに整理しなければいけませんよ。まじめに地方では小さいながらも部落単位にできているのでありますから、これは政府のほのでちよつと手を加えれば盛上るのであります。こういうものを放つて置いて、そうして足や手のないところの幽霊のような畜産団体を、こういうものばかりからかつている。そういうところに畜産の進歩というものが私は阻害されていると思うのです。これは畜産局長大いに威を振つて、あなたの豪放な性格をよく知つているから大いにやつてもらわなければいかん。私は馬喰うの代理というものではいけないと思う。畜産団体のボスなんというものは絶対にいけませんよ。我々は及ばずながら畜産ボスを取つ払うことについては私は勇気を以て応援する。そこまで入らなければどうもいけません。ここで私が幾らいい気になつて演説してもしようがないから、次に私は例の、あなたに昨日もお聞きしたのでありますが、中金の問題を伺いたい。今度はこの措置によつて中金は一体幾らで金を貸してくれるのですか。その補助率はきまつております。中金の貸し金は一体幾らになるのですか。その資金源はどこにあるか。同時に今までの例によりますと、政府が家畜購入資金ということで非常に慎重にお考えになつても、実際はこの中金の今までの何と言いますか、融資不能理由というようなところで出ておりますように、ここにそれらしく書いておりますが、中金がネツクになつて金の廻らないのが非常に多いのであります。ネツクがここにあるというならば、そのネツクを乗越えるためにどういう措置をとつたか。例えば不良な農協があつたためにいけなかつたとか、或いは貸付範囲が少なかつた、もつとひどいのになると、中金がその措置について十分理解していないためにいけない。こういうこともありますが、こういう面も併せて中金幾らで貸し、どういう資金源を使うか、同時に中金が今まで貸し得なかつたネツクというものは、今度はどういうような対策を以てこのネツクを解消して行くかということを御説明願いたい。若しあなた自身で御説明を煩わすことが困るならば、私は委員長から中金のかたを一つ呼んで頂き、直接私がお尋ねしたいと思うわけであります。
  153. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 昨年度と申しまするか、昭和二十七年度、本資金を二十一億ほど融資いたしました場合に、中金はそのうち約十三億ほど融資いたしておりますが、その場合の貸付金利は、中金が直接単協に貸付けいたします場合には一割一分であります。県連を通しまして、そうして単協に融資いたしまする場合には、県連の保証料と申しまするか、取扱料を一部見ておりまするので、その場合には一割と、こういうようなことに相成るわけであります。
  154. 河野謙三

    河野謙三君 一割……。
  155. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) はあ、一割。で、この資金源中金の手持資金でありまして、特に政府資金とか、そういうようなものにつきましての関連はありませんのであります。全く中金の手持資金であります。
  156. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、これは一割とか、一割一分とかいうと三銭以上になりますね。日歩にしますと三銭幾らかになりますね。
  157. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 二銭七厘。
  158. 河野謙三

    河野謙三君 いや、もつと高いでしよう。
  159. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 中金信連に貸与いたしまする場合の一割というのを日歩に直しますると、二銭七厘三毛ほどになります。
  160. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、これはまあ畜産局長に聞いても御迷惑かも知らんけれども、ここで又中金の別なケースが出て来たわけだ。大体自己資金でやる場合には貸付の条件もありますよ。ありますけれども、大体二銭五厘とか二銭六厘、今度又ここで二銭七厘何毛というのが出て来た。こういうことについては何か畜産局から、これはまああなたの場合でなく、前任者の場合だつたと思いますけれども、何かこの金利について中金と交渉された経過がありますか。これは高いから何かもう少し安くしろ、普通並にしろというような経過がありますか。
  161. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 最近におきまして、そういうような交渉をいたしたことはありません。
  162. 河野謙三

    河野謙三君 いや、最近はないでしようけれども、この措置をとるに当つて二銭七厘幾らでなきやどうしてもならなかつた、やむを得なかつたというような何か経過がありますか。
  163. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その点につきましては、農林経済局と私どものぼう、又大蔵関係もあつたと思うのでごまざいするが、いろいろ慎重に研究をいたしまして、結局は一割、日歩二銭七厘三毛と、こういうような恰好に落着いたと、こういう経過を私は承わつております。
  164. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、まあ前のことはこれは改めて伺うことにしますが、まあ大分あなたの御新任後経過しておりますけれども、大坪畜産局長としても、これは従来の金利はこのままあなたは呑んでこの制度に適用されて行く、こういうつもりでおりますか。これについては少し高いから改めて中金と交渉し直す、自分の責任において交渉するという今御決意がありますか。
  165. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 問題になりました資金というものはどういう性質のものであるか、直接には存じませんが、恐らく短期資金じやなかろうかと思うわけであります。これはいわゆる一年間据置の三年年賦償還或いは四年償還でありまして、いわゆる中期資金に該当いたしまするから、短期資金よりも或る程度金利が高いということはこれはまあやむを得ないじやなかろうか。併し漸次金利は下向きの傾向にありまするので、そのベースが相当違うということになりますれば、これは又いろいろと関係方面に折衝しなくちやならんと思いまするが、中期資金でありますので、一応今のところはこの程度はやむを得ないじやなかろうかと、まあ考えておりまするが、今後の問題といたしまして検討して参りたいと、かように存じております。
  166. 河野謙三

    河野謙三君 これは明日中金が本委員会に見えるそうですから、改めて伺いますけれども、ただ畜産局として承知しておいてもらわんことには、私は金融業に経験ありませんけれども金融業というものは短期と長期の差別もありますけれども、もつと大きな差別は相手が信用できるかできないか、危険負担の問題でしよう。そこで私は資料として頂きたいのだが、今まで家畜導入の措置をとつて今まで中金で出したもので、まだ期日は来ておりませんけれども、危険に属する部分のものがあるかないか。特に今回の場合は損失補償を三割するのでしよう。これはもう絶対に中金はこれより安全な貸付はないと言つていいくらいなものでしよう。そういうものに対して、これは畜産局長もこのくらいはやむを得ないというようなことは、ちよつと私は甘過ぎやしないかと思うのだが、私たちは私たちとして議員の立場において中金に大いに質疑はやりますけれども、畜産局としても、十分この金利の適正化ということについては、これが妥当であるかないかということについては、十分私は検討を願つて委員会に改めて臨んで頂きたい、こう思います。残余の質問は他の委員の各位もおられますから、一応……。
  167. 松浦定義

    ○松浦定義君 この法律は農家としても非常に期待しておるものだと思いますが、私は第一条の目的の中に「当分の間、」ということを謳つてあるのですが、これは当分の間でやれるという考え方かどうか。更にそういうことでないというような裏付のためにか、創設要綱の中には、大体現在無畜農家が三百三十五万戸ある、そこで百二十七万戸だけを押えてこれを十カ年にやる、従つて今度の計画としては二十七、二十八、二十九と三カ年に五十万戸を有畜化するというのですが、この「当分の間、」ということとこことは非常に差があると、こう思うのですが、こういう点についてちよつとお伺いしたいと思います。
  168. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今の御質問でありまするが、無畜農家を解消いたしまするためには相当の年限がかかる、すべての無畜農家を有畜化いたしまするために、私どもといたしましては十カ年程度でこれをやりたい、かように存じておるのであります。今のところ大体十カ年計画くらいのところで一応無畜農家を解消して参りたいと考えておりまするので、恒久的な立法というわけでもないし、又一、二年で終る臨時的なものでもありませんし、従つてまあ法律の形といたしましては、いわゆる当分の間が、こういう無畜農家を解消いたしまするまでに必要な期間、かように大体考えておるわけであります。
  169. 松浦定義

    ○松浦定義君 その意味はわかるのですが、そうしますと、大体十カ年の間に百二十七万戸の無畜農家を解消するということに対して、大体この表を見ますと、三カ年の間に四十九万八千戸である。従つて今の乳牛の頭数が総体において約九十五万頭になると思うのです。そうしますと、一戸当りが二頭弱になるわけですが、一戸二頭弱というもので以て、今政府がこの法案を出して十カ年に無畜農家を解消するという趣意に合致すると思つてこれを出されておるのかとうか、一つお伺いしたい。
  170. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今のお尋ねの点でありまするが、お配りいたしました資料の有畜農家創設要綱の二頁目を御覧になつての御疑問かと思いますが、実はほかのほうは全部この有畜農家創設要綱の通りでありまするが計画はこの分だけを一応十カ年計画に振り直しておるわけであります。従つて只今のようなお話が出て参るのではないかと思うのでありますが、それは別にお手許に配付いたしておりまする配付資料の四の有畜農家創設計画と所要家畜頭数、このところに現われて来るのでありまして、大体十カ年計画を以ちまして百五十五万戸の有畜農家を創設して参りたい、で、そのうち本法律を運用することによりまして導入して参りますのが百十九万戸、大体全体の七五%程度のものを資金融通斡旋と利子補給の伴つたこの法律を運用することによりまして創設して参りたい、こういうような計画になつておるわけであります。
  171. 松浦定義

    ○松浦定義君 そうしますと、大体その計画通りに進めれば、所定の有畜農家というものは本法に照合して完全なものになるというようなお考えであるかどうか、ちよつと伺いたいと思います。
  172. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 特殊の零細農家、或いは非常に零細な農家、或いは特殊の兼業的な農家、こういう農家を除きまして、いわゆる農業を経営して行くということを主としてやつておられる農家につきましては、その経営規模に見合いました家畜というものを同時に飼育して参る、こういうことが農業の発展のためでもあり、又農家経営の安定のためでもありますし、又延いては総合食糧の増産ということになりまするので、是非そういうような措置をして参りまして、すべての農家に家畜を導入して参る、参らせる、こういうふうにいたしたいと実は考えておる次第であります。
  173. 松浦定義

    ○松浦定義君 そうしますと、大体私の大ざつぱにお専ねしたのは戸数に対して頭数を割当てた平均という意味から申上げたのですが、実際問題としてその農家の経営規模等から考えますと、必らずしもこの平均頭数でなくつて希望等がありますので、その農家の希望によつては、現在有畜農家として大体その地帯において基準農家であるといつたような規模にまで希望があれば、それに対して貸付の対象となるというようなことをお考えになつておるかどうか。
  174. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) お手許に配付をいたしておりまする有畜農家創設基準、そのところで大体どういう経営を、どのくらいの面積の経営をしておるところには、どういう家畜をどの単位という一応の基準を件つておるわけであります。従いまして、その限度でありますれば、すでに家畜を飼育いたしておりまする農家にも新たに導入いたしまする場合には資金を廻してやる、こういうようなことが考えられるのでありまするが。現在のところはすでに資金の総量にも限度がありまするので、できるだけ大動物なり、或いは中動物に対しましても相当単位まとまつた数量を以て、すでに飼育している農家には本資金を廻さないで、全然そういうもののない農家を優先さして参りたい、かように存じておるわけであります。
  175. 戸叶武

    ○戸叶武君 この有畜農家創設に関連して、私たちが一番心配するのは一つには資金の問題、一つには飼料の問題、もう一つは乳牛の場合なんかは乳の問題でありますが、今の日本の現状においては森永、明治の独占資本の横暴によつて殆んど農家というものは食潰されておるのでありまして、先ほども質問がありましたようでありまするが、私たちの田舎なんかは一合四円二十銭まで叩かれております。この間千葉におけるところのこの畜産農家における明治、森永への抗争において五円二、三十銭になつたかと思いますけれども、市販に出るのが十五円であり、而もそれにはチーズやバターをとられて、而も三倍くらい水をうめられているというのが常識になつている程度で、薬九層倍と申しますけれども、少くとも非常な暴利をやつているのですが、この現実を追及すればはつきりして来るにもかかわらず、それに対する取締りはどこでやつておるのでしようか、畜産局のほうにはその問題には何らお係合いはないのでございましようか。
  176. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 直接取締るような根拠規定もございませんし、いろいろそういう点につきまして指導し、或いは協議をいたしておりまするが、監督的に取締るというような点につきましては現在できないような次第であります。
  177. 戸叶武

    ○戸叶武君 私は今まで自分で宇都宮大学の教鞭をとつていた関係上、学生の夏休みのアルバイトとして農村の実態調査を今やらしておりますけれども、至るところ畜産組合のボスというものに、大体森永、明治の手が行き渡つておりまして、五円のものを四円二十銭ぐらいまでに叩いてしまう。これについてはその間のコンミツシヨンなり、何なりを便宜を供給したそういうボスたちに対して、森永なり明治から然るべき手当が行つているようであります。こういうような形において、畜産関係においては殆んどボスにおいて食い尽されております。而も片方において有畜農家創設要綱というようなものが提唱せられて、こういつたことを政府の非常に御立派な趣旨の下において法案が促進されようとしておりまするが、我々はこの法案ができることに賛成すると同時に、日本の畜産界の今日の現状に対してつぶさに検討する必要があるのでありまして、今日でき得る限りにおいて乳牛の農家からの買入値段、或いは畜産に必要なるところの飼料の農家における買入値段というようなものを詳細に知らせてもらわないと困ると思うのでありまして、それらの資料は是非頂きたい。特に農家においては有畜農家になつたはいいが、飼料が高いために食い潰されてしまうというような悲鳴を多く聞くのでありますし、又乳牛に対しましては、森永、明治の資本閥によつてボスは抱き込まれ、そうして単価は叩かれ、ひどい目に合うのでありまして、森永、明治みたいなものだけをふとらせる目的ならば別でありますが、この有畜農家創設に対して前途に横たわる癌を打ち砕いて行かなければならないので、この点に関する参考資料を、できるだけ農林省は今手許にあるのを集めてもらいたいと思います。どの程度の資料が集まるか、その点。
  178. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 乳牛関係の資料といたしまして、いろいろ生産者の庭先価格、或いは工場渡価格、或いは消費者の小売価格、こういうような面につきましては、各地の価格関係につきまして調査しましたような資料がある予定でありまするから、これを御配付いたしたいと思います。
  179. 戸叶武

    ○戸叶武君 是非お願いいたします。
  180. 清澤俊英

    清澤俊英君 我々あれですが、丁度今戸叶さん、河野さん、北さんの御質問と大体同じかと思います。実は私ども地方では、農林省が牛や豚という畜類を飼えと言いますと、気を付けないといけない、こういうことを言う。どういうわけかと言いますと、狸を飼えと言われれば皮算用で損をする、狐を飼えばばかされて身上をなくしてしまう、豚を飼えば骨だけになつてしまりし、(笑声)牛を飼えば乳が売れなくて損して売らなければならない、こういう懸念を持つ。然らばといつて、こういう御考慮にする有畜農家の創設というようなもので金を貸してもらうというようなことができれば、又これも非常に喜んでいるのでありますが、結局こういう問題が、只今申上げましたような、農民が一方におきましては畜産をやつて自家経営を楽にしたいという希望に燃えている、燃えているが、やつて見ますと、結局が只今申しましたような予期に反したものができ上る。ということは、取りも直さず、一応政府等でこういう大がかりの御奨励をなされると乳牛も殖えるでありましようし、或いは緬羊も殖えて参りまするが、さて採算ということになりますると、それを安定さして頂く処置がないで、それだけ進みますると失望を数十年来繰返している。甚だしき地区に至りましては、そのために絶対飼わない、こういうふうに潰されて二遍も三遍も身上をなくして蔵もなくしたから、或る非常に有力な酪農地帯がもう飼わん、こういう地帯までできているのであります。従つて先ほど来河野さんもおつしやるし、戸叶さんもおつしやるし、北さんもおつしやる。いずれもその結論としては、折角飼うが、それが売れない、従つてそれがために損する、この連繋を何かの方法で整備して頂かなかつたならば、私は畜産局におきまして、政府において非常な御努力をして頂いて、この法案全体のものができ上る近間まで行つて、五年ぐらい行きましたならば、非常に農林省は怨まれるんじやないか、こういう心配を持ちまして、過去がそうでありまして、少し品物が余つて来れば役牛などの場合は馬喰の、先ほど森田さんが言われる通り、馬喰の市場操作によつて何かわからない方法によりまして、生体牛一つ持たないで相場を下げて行つている。農林省では全部役牛を飼つたならば、それは耕作に使うんだと、こうお思いになつているけれども、そういう農民ばかりでなく、牛を飼つて子をとつて、それで何とかして行こうという相当の農家もおるので、耕作だけに五反や七反のものが牛を一匹ぐらい持つているということはなかなか容易でないので、いろいろな含みを持つてつている。それを相場がどんどん下つて参りまするから、急いで売る、又相場がどんどん下る、こういうことになつて地方が元も子もなくしてしまつて、その次に又家畜を入れるということに政府が大骨を折らねばならん、こういうことが始終繰返されているのでありまするかから、従つてこういう法案を出して、有畜農家を作つて、而も五カ年、十カ年計画によつて厖大な頭数を持たせるとするならば、その前提条件に対する製品並びに飼いましたる家畜の価格維持という問題に対して如何なる御方策をお持ちになつているのか、それを一つ明確にお伺いしたいと思うのであります。
  181. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今具体的な例をお挙げになりまして、極めて含蓄のある御意見を承わつたのでありますが、例えば乳牛にいたしましても、飼育密度が薄い場合におきましては、収入費よりも余計に経費がかかる。従つてその線に見合う分だけ農家の手取りが少なくなる。又加工賃にいたしましても、加工する数量が少なくなりまするというと、工場のほうにおきましても、単位当りの経費が嵩む、これも或る程度のものは当然生産者のほうに跳ね返つて来る、これが悪循環の形になりまして、まずまず飼育密度が薄くなりまして、結局は当初スタートいたしましたことが、逆に全くそこでは滅亡してしまつた、こういうようなことも例を引いて御意見があつたのでありますが、この点は誠に今後警戒をすべき問題であると思うのであります。従つてどもといたしましては、この有畜農家創設特別措置法によりまして導入しまする家畜、特に乳牛等につきましては、できるだけ適地を選定いたしまして、そこに集中的に導入して参る、そういたしまするというと、生産者の力を集結いたしまする上からも、いろいろな経費を少なくしますためからも、或いは指導徹底させる意味からも、或いは草資源の問題を解決するというような、こういうような問題からいたしましても、何としても特定の自然的な条件を、有利な条件を備えているところを選定いたしまして、こういうようなところに重点的に施設をしてやつて只今意見のありましたような、逆の結果が起きて来るようなことのないように措置して参りたいと、かように考えております。
  182. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろ御親切な御筆弁を伺いまして有難うございました。市乳の問題、その市乳を一つつて参りますには、どれくらいの頭数の牛があつたらよかろう、或いはそれの距離というようなものまで最近の農民は考えて市乳をやる、或いは農協を中心にしてやりましたり、或いは特別の会社を作つてつて見ます。併しそのできましたものを販売いたしますときには、大体市乳としては、府県の小都市では需要限度がきまつているのであります。従つて余りますれば、バターとか、チーズとか、若しくはミルクとかいうような加工品として出す設備までして、相当の資本を以て、東京あたりまで持つて来て売ります。かような場合非常に困難をして市場へ出して、相当の諸方面に販売網をやつと獲得したと思う、そうすると、そこへ向つて、明治とか、森永とかがダンピングではたいてしまう、ダンピングで一遍はたかれて、そこで赤字を出す、それが三月か四日続きましたならば、牛乳代が払えないという問題が出て来る、払わないでぶらぶらしておりますと、いよいよ乳の値が下つた。或いはうちの工場は、或いはうちのほうということは、農協などがやつております場合には、農協のほうからは金が入らないのだから、これはもう大変だというので牛をどんどん売出す、非常な困難をして、漸く売出した乳は結局減つて来る。困難な中を回復して又やりますと、同じことを繰返しているのが現実の情勢である。従つてもう最後には明治か、森永のいずれかに特約販売をして、それで明治と森永の息がかからなかつたら、そういう工場は、東京の附近ならば別でありますが、少し離れた地方では成立しないと思う。こういう状態にありまするときに、今も河野さんが言うておられたようでありますか、地方の畜産家などと言われます人たちは、そういう面に対しては至つて私は冷淡だと思う。そうして最近は露骨にそういう問題は出ておりませんか、過去にありました実績を我々が見るならば、大体日本の国を県別にし、駅内を地方別にして、明治、森永の区域というものがあつたかに考えておつたのでありますが、そういう伝統がまだどうしても残つておるのじやないかというような我々は疑惑を持つ、こういうものが残つてつて、これだけの有畜農家を創設して頭数を殖して参りますることは、結論的に河野さんが言われておる明治、森永に奉仕することである、こういうことを言うておられるのは、私はその事情を河野さんは言うておられるのだと思うが、本当に私は有畜農家を創設して参られるならば、我々はもう近頃は酪農大会などを開く決意をしている。一応国家が我々の作つた酪農、乳を買上げて、これを児童のほうに配給してやる、相当の価格で買つて、そうしてここ十年くらい安定してもらうならば、政府の言われるだけの確かな乳牛頭数は殖えるであろう。今までの状態で以てどんなことをしてもこれは殖えていかん。飼えないところの限度に来たならば、もう明治や森永にめちやめちやにやられる。こういうふうに考えておるのでありますが、その点に対してどういうふうに御覧になつておりますか。これは重大な問題であります。
  183. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 今後家畜、特に乳牛は非常な勢いを以て増加して参りました場合に、当然大きな問題として取引の問題、特に価格の問題が一番大きな問題として登場して来るのじやなかろうかと思うのであります。政府として相当の資金を斡旋をし、又それに対しまして利子の補給をし、なお同時に損失補償もするという相当手厚い保護をいたしまして導入いたしまするからして、その結果導入されました乳牛の、特に乳の取引価格というものが生産者の経費を償わないような価格になるというような問題になりますと大変な問題でありますので、絶対にそういうことのないように措置をして参らなければならん、かように存ずるの塗あります。従つて然らば如何にしてそれを防止するかという問題になつて来ると思うのでありますが、これは目下鋭意検討いたしておりまして、場合によりましては、先ほど申上げましたように、いろいろ審議会等を設けまして、そしてこれの運用によりまして公正な価格を出して参る。こういうようなことも検討いたしておるわけであります。結論といたしましては、とにかくそういうことのないように早急に措置をして参らなければならん大きな問題である、かように考えております。
  184. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで河野君がさつき言いました法律的な畜産に対する中央にまで通ずる組合が入用だ。こういうことを言うのは、僕は河野君はそれを言うておるのではないかと思う。そしてその組織の上に国家が思い切つた施策をしつつ、そうしてこれが明治や森永と対抗するものを作つてやらなかつたら、この有畜農家というものは問題にならないと思う。これは緬羊の場合でも同じです。今では野放しですから、ちよつとへたしたらばたばたと、一万円以上で買いました緬羊が、羊毛の値段がちよつと下つたということになりますれば、もう一万円で買つたものが三千円だの、二千円だのというように一年たらずで下つてしまう。これでは私は如何にあなた方に骨を折つて頂いても、有畜農家の創設などというものは無理だと思う。従つてその前に価格の安定をして、安んじて飼えるようにしてもらえばこんなものは要らないと思う。人手をかけて飼つておる農民はそれだけ要求しております。私は確信を持つて申上げておるのです。これで幾ら飼え飼えと言いましても、それをしなかつたら必ず農林省をお恨みいたす結果が私は生ずると考えますが、この問題は別として、只今私の申上げました問題は、日本の畜産という問題を解決する根底的な重要問題だということは私ばかりじやないと思う。少くとも酪農で少し苦労した者だつたら、もうひとしくこれは申上げることであつて、どうか一つそういう点においていま一度、折角これを出して頂いたのでありまするから、一つ明日とは言いませんが、少くとも今年くらいで価格安定ができる法案をお練り下さるようにお願いしたいと思います。
  185. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 非常に御熱心な質疑が続けられておりまするが、本日は委員が全部出席されておりませんので、この問題は明日更に質疑を続行することにいたします。この問題は本日はこの程度にとどめたいと思います。  なお最後にお諮りをしておきたいのでありますが、請願陳情の処理の問題でありますが、本件につきましては、前例によりまして委員長の手許におきまして予備審査を行いまして、その結果について各委員の了解を求めまして、当委員会の決定といたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、さように取計らいます。なお明日は午前十時から開会いたしまするが、午後の農林漁業組合連合会整備促進法と、或いは只今審議をしておりまする有畜農家創設特別措置法との関係も或いは出て来るかと思いまするが、差当り整備促進法の関係農林中央金庫当局者を参考人として出席を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。なお明日はできるだけ中金理事長の出席を特に求めております。  残余の議題は明日に譲りまして本日はこれで散会いたします。    午後五時三十九分散会