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委員外議員(
野溝勝君)
提案者に申上げるのですが、日本の
農産物価格を安定せんとするならば、何としても私は英国における一九四七年後における五カ年
計画、この農業安定法、
農産物価格安定法、この
法律を十分吟味して頂かないと、
農産物価格安定法などの
法案をうつかり出す
ものではないと思います。私は先ほど言
つた通り、その名もよろしいし、その
考え方もよろしいと思うのです。要はこれが
実施に当りまして不覚をとりまするというと、それこそ
農民の信頼を落すどころか、永久に
農産物等の諸
法案、諸制度に対しましては
農民がもう信頼をしなくなる。こういう点を恐れる。あなたも御承知のごとく、
農民がもう一回信頼を落ずというと、
農民の信用回復という
ものは容易にできる
ものじやないのです。これは
農民運動をや
つておられるかたがたなら皆さんおわかりなんですが、
農民の
気持というのはそのくらい素朴なんです。そこで先ほど
提案者は
河野、
戸叶両
議員の
質問に対しての
お答えの中に、昨年度に対する澱粉の買入れ失敗の例を挙げられてこの
法案がますます必要にな
つて来たというごとき御
意見を吐かれております。昨年度の澱粉の買付け失敗はどこに原因があるかというならば、私は
提案者の
考えておるようなことだけではこの問題は解決しないと思います。昭和二十七年度の一体澱粉に対しまして、御承知のごとく生産者はこの買付を思うようにされなか
つたために非常に迷惑をかけたことは事実でございます。特に澱粉工場の作業は一カ月も遅れたし、酒精の工場は二週間も遅れたために、一貫目二十円を割
つたような澱粉の値でございます。こういう点は、これはもう実際まあ
農民の
気持としては堪えがたい。そこで農林中金にいろいろと資金と斡旋などを申入れたのでございますが、農林中金な
どもまあそつぽを向いていい返事をしなか
つた。こういう
状態なんです。特に
農民はこの二十円を割
つたような澱粉の値では到底採算がとれない。その当時における支出の
関係ですが、検査規定料とい
つて一俵二円、受検組合費とい
つて一俵一円、そういうふうにとられておりました。これは
農民といたしましては、どうしてもとられる金なんです。二十円を割
つたようなところから一儀についてニ円、それから検定組合一円、三円もとられる。十五、六円にな
つてしまう。これで一体
農民がや
つて行けるかや
つて行けないかということは、まあわかるわけです。そこでこういうことを
裏付けるために、この
農産物価格安定法を設定しなければならないというのはわかるのですが、
財政の
裏付がなくてかようなことが一体できるか、との点についてはもう同僚が
質問したから省略します。更に一体この
提案をするに当
つて、ただいいという思い付きから出されたとするならば甚だ迷惑なんです。一体若しこの
法案をどうしても我々に納得させ、又は通過させなければならんという御意思ならば、一体これに対する納得のできる資料という
ものは添付してもらわなければならない。
提案者の不まじめという意味じやないですよ。私はこれに対して、例えば
馬鈴薯なら
馬鈴薯、或いは「いも」なら「いも」、「なたね」なら「なたね」、或いは
大豆なら
大豆、こういう
ものはどのくらい一体生産をされ、現在どのくらい作付をされ、どのくらいどういうふうな値で動いておるかということ、更にはこれは食糧問題でございますが、同時にやはり飼料と肥料と
関係を持
つておる点にもこれは論及されなければならない。そうして参ると、結局総合食糧
政策としてどういうふうに
考えておるか、更には、例えば飼料の問題をどういうふうに一体
考えて行かなければならんか、こういうような点について総合的な
一つの指針という
ものが示されておらないのです。こういう点では、ただ
衆議院を一応附帯決議で可決されたからいいというような
気持では、参議院は、これはまあその
法案に対する、特に
立法府といたしましても、真剣にこの
法案、制度という
ものを慎重に審議しなければならん一院なんで、私
どもといたしましては、そう簡単にこれを了承するというわけにも行かんのでございます。そういう点について
提案者は資料その他十分納得のできるような総合的食糧
政策、農政等に対する見解を
一つ、私は詳しく言えということは言いませんから、骨子だけでも述べてもらいたい。