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1953-07-15 第16回国会 参議院 農林委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十五日(水曜日)    午後二時二十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君            小林 亦治君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            戸叶  武君            鈴木 強平君   政府委員    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農林経済    局農業協同組合    部長      谷垣 專一君    運輸省自動車局    長       中村  豊君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○小委員会設置の件 ○農林漁業組合連合会整備促進法案  (内閣送付) ○農林政策に関する調査の件  (道路運送法の一部を改正する法律  案に関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から委員会を開会いたします。  先ず農業災害補償法の一部を改正する法律案議題にいたします。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは速記を開始して下さい。  本法律案についてなお御質疑がありますれば御発言を願います……。別に御発言がなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら、修正案文及びその修正理由討論中にお述べを願います。
  5. 森田豊壽

    森田豊壽君 農業災害補償法の一部を改正する法律案修正に関する動議提出いたします。私は提案者を代表いたしまして、本法案修正に関する動議を提案いたします。修正案は印刷にしてお手許に配付しておきましたが、一応朗読いたします。   農業災害補償法の一部を改正する法律案に対する修正案  農業災害補償法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第三十二条の改正規定の次に次のように加える。  第三十二条の次に次の一条を加える。第三十二条の二役員は、法令法令に基いてする行政庁の処分、定款及び総会議決を遵守し、組合のため忠実にその職務を遂行しなければならない。   役員がその任務を怠つたときは、その役員は、組合に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。   役員がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があつたときは、その役員は、第三者に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。重要な事項につき、第四十条第一項に掲げる書類に虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも、また同様とする。  第五十九条第一項及び第七十五条の改正規定の次に次のように加える。  第八十条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同条第一項の次に次の二項を加える。   農業共済団体前項命令に違反したときは、行政庁は、当該団体に対し、期間を指定して、その役員の全部又は一部の改選を命ずることができる。  農業共済団体前項命令に違反したときは、行政庁は、同項の命令に係る役員を解任することができる。   第百十条の改正規定の次に次のように加える。   第百十一条に次の一項を加える。    前項議決については、第四十三条第二項の規定を準用する。  次に修正理由を簡単に申上げます。政府は今回農業災害補償法改正を企図して今国会農業災害補償法の一部を改正する法律案を提案いたしたのであります。而うし改正事項一つといたしまして、農業共済団体の運営について農業災害補償制度の一環としての特殊な性格に鑑み、公益的見地より適正な監督を行い得ることとし、又役員責任を明確ならしめるようにしたいとの趣旨を以て、これに必要な規定を新たに設けることとしたのであります。然るにかかる改正に対して、衆議院においては農業災害補償法については抜本的改正を行う必要かあるのであつて、この際小規模な改正は見送るべきであるとの趣旨を以て、かかる役員責任明確化に関する規定を削除修正して議決し、本院に送付して来たのであります。而うし衆議院のいわゆる抜本的改正は今国会においては実現がむずかしいようであります。政府はこの際新らしく規定を設けて、共済団体役員責任明確化する必要を認めているのに、これらの規定を削除し、而も抜本的改正が直ちに間に合わないとすれば、その間の期間を空白にして置くことは誠に不合理且つ無責任と言わなければならないと考えます。しかのみならず、農民の間には共済団体及びその役員のあり方についてとかくの批判を耳にするのでありまして、かかる状況の下において、たとえ抜本的改正のときまでと言つても、国会政府原案から共済団体役員責任明確化に関する規定を削除するときは、農民の間に誤解を招く虞れが多分にあると思われます。かような次第でありますから、この際衆議院修正を改めて、農業共済団体役員責任明確化に関しまして政府原案通り規定すべきであると思われるのが、本修正案を提案いたしましたる理由であります。なお役員責任明確化及び監督の強化につきましては、これを更に強化する必要があるのでありまするが、これが具体的なことは更に検討の上他日に譲ることといたしまして、今回は最小限度政府案によることといたしたのであります。  なお引続きまして附帯決議動議提出いたします。    附帯決議   現行農業災害補償制度について、政府は、衆議院附帯決議趣旨に従い、速かに根本的改廃措置を講ずること。   右決議する。  以上であります。
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御発言はございませんか。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 私は森田委員から提出修正部分を含めて本案賛成するものであります。但しこの機会に一言附加えておきますが、今の附帯決議にもありますように、又かねて衆議院附帯決議趣旨にもありますように、どこまでも現行農業共済保険制度というものは我々は否定するものであり季す。特に今回の九州の水害等と照し合わせまして、本制度が如何に実情に副わないか、災害に対して完全なる対処する機関として機能を発揮することができないかということは、非常に我々は現実に目の前に見せつけられておる状態であります。従いまして過日本委員会において農林経済局長からの言明本ありました通り農林省といたしましても、速かに、ということは、来るべき国会農業共済制度についての抜本的な改正案を以て本議会に臨むということは十分心されまして、今回の本委員会決議を単なるお座なりの決議というようなことで受取ることなく、真の意味の両院を通じての権威ある決議として十分尊重され、そうして繰返して申しますが、来たるべき国会に必らず代案を以て臨まれんことを私は特に希望いたしまして本案賛成いたします。
  8. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は只今森田委員修正に対しましては賛成であります。ただ農業災害補償制度をますます発達助長せしめて、現在農民の犠牲において国家再建の礎になつておりまする現状から、即ち米価におきましても、パリテイ計算による低米価政策によつて今日まで生産費を下廻つておるような現状米価において、農民は甘んじて営々として食糧増産に邁進しておるわけであります。そのような現在における農家の、政府如何ようにしてこの農民の将来の食糧増産農業政策の面から保護すべきかということは、こういうような制度によつてむしろ私はこの制度をより以上に前進せしめて、そうして農家の生活安定の資に、又再生産に資するような方策をして頂きたいと考えるのであります。その見地からいたしまして、この原案に、いわゆる政府原案に復帰したわけでありますが、この現状の市町村における共済組合役員というものは耕地の極めて細分化されました貧農状況にありまするところから、役員として選ばれて出て来ておる現状は、個々農業経営のかたわら役員をやつておるという現状であります。従いまして役員は名ばかりの役員であつて、各町村の役員に対する報酬というようなものも極めて低率でございます。そういうような関係からして、名前だけ役員であつてはんこは盲判で職員に任しておくというようなのが現状であります。これでは本制度が折角十分なる活動をしないことも明らかであります。然るにかかわらず、この政府原案によりましては、その役員組合に対して連帯責任を負わなければならんということは、これは総会等におけるいろいろな紛糾もいたしまして、恐らく将来非常に大きな問題になるであろうと私は予想いたしておりますが、いずれにいたしましても、監督をして政府が十分にこの農業災害補償制度を躍進せしめるような方向に行くべきであると考えます。この意味におきまして、私は希望を申上げまして修正案賛成するものであります。
  9. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御意見もないようでありまするから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。  先ず森田委員討論中にありました森田君の修正案議題に供します。森田提出修正案賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  11. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて森田提出修正案は可決されました。  次に、只今採決されました森田君の修正にかかる部分を除いて、内閣提出衆議院送付にかかる農業災害補償法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  12. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致と認めます。よつて本案全会一致を以て修正議決されました。  次に討論中にありました森田君の附帯決議について採決をいたします。森田提出附帯決議を附することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  13. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて附帯決議を附することに決定いたしました。なお本会議における委員長口頭報告内容など事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に本案を可とするかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     森田 豊壽  宮本 邦彦     白井  勇  雨森 常夫     川口爲之助  佐藤清一郎     重政 庸徳  関根 久藏     北 勝太郎  河野 謙三     河合 義一  清澤 俊英     戸叶  武   —————————————
  15. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、農業災害補償法改廃について根本的な検討をする意味の小委員会設置についてお諮りをいたします。この件につきましては、先ほどの懇談会衆議院と同様に小委員会設置することはどうかというような御意見がありましたが、これを設置することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。その小委員の数及び委員の指名は委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。   —————————————
  18. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、農林漁業組合連合会整備促進法案議題にいたします。  本法案については、先ず六月三十日提案理由説明を聞きましたが、本日は法案内容その他参考事項につきまして政府当局から補足的な説明を聞きたいと存じます。なお関係官農林省農林経済局長農林経済局農業協同組部長農林経済局金融課長等が見えております。
  19. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今委員長のお話によりまして、農林漁業組合連合会整備促進法につきまして提案理由に附加えまして補足的な御説明をいたしたいと思います。  第一は、この整備促進法対象といたしまする協同組合等団体範囲でございまするが、これは第二条に示しております一番大きな枠と考えられまするのは、現在施行されておりまする農林漁業組合再建整備法がございまするが、再建整備法で先ず取上げられておる、或いは取上げらるべき団体ということが第一の枠であります。第二点は、再建整備法では単位組合が入つてございまするが、この整備促進法では連合会に限るということに相成つておるのであります。  次に、整備計画の作り方でございまするが、再建整備法と比較しましての違いを申上げますると、再建整備におきましては、法制上の建前といたしましては関係団体は勿論ございまするけれども、主として官庁のほうが再建整備計画樹立又はその実施についての指導をするという建前に相成つておりましたのでありまするが、今回の整備促進法におきましては、若干その点の観点を変えまして、系統金融機関がこの整備促進について大きな役割を果すということを制度上明記いたしておる点であります。  第三といたしまして、整備計画内容でございまするが、これは一般的に申しますると、再建整備と別段狙いは変らんということでもありまするけれども、特に違う点を申上げますると、一つ固定した債務の全部を整理する、もう一つ欠損金の全部を補填する、この二つ再建整備では必ずしも明瞭な目標になつておりませんでしかのですが、整備促進法案におきましては、この二つを大きな目標にいたしておるわけであります。その期間はほぼ十年ということにいたしております。  次は第四点といたしまして変つておるという点は、整備促進審議会という審議会を作りまして、関係団体のかたなどの学識経験者、それから関係庁職員を以ちまして委員といたしまして九人以内の委員会を作りまして、この委員会におきまして個々連合会についての整備計画を審議するということであります。再建整備法におきましては、かような審議機関がなかつたのであります。このことから伺われまするように、再建整備法はどちらかと申しますると、連合会関係を通じて全面的、と言うと語弊がございまするが、いわば画一的な推進の仕方でございましたが、今回は対象連合会のみに限つておりまするし、而も連合会となりますると、事業分量、又その影響も大でございまするので、一つ一つ連合会につきまして、この審査会審査をする。連合会から出て参りました整備計画が果して十分実施できるものであるかどうか、又実施計画樹立の仕方が妥当であるかどうかといつた点を個別に審査をするという建前にいたしております。  それから助成方法でありますが、再建整備におきましては、増資奨励金或いは固定化資産流動化のための利子補給、こういつた点に助成措置があつたのでありまするが、今回は助成措置信連等金融機関を通じてする、その場合にその考え方金融機関連合会に対して債権を持つておりまするが、整備計画を立て、それを実施いたしまする場合には、この債権について条件緩和をするとか、或いは減免をする、こういつた措置が非常に必要になつて参るわけでありまするが、さような意味金融機関債権利子減免したとき、その減免範囲内で政府助成金を出す、かような考え方であります。その助成再建整備を立てる指定日から十年以内でございまして、その補給の額は債権残高に対する五分以内の率でございます。なお法人税特例ということもございまするが、これはほぼ再建整備法に準じておるのでありまして、細かい点は省略さして頂きます。  現在この整備促進法が制定されまして、一応対象となる連合会について申上げまするというと、農業協同組合連合会ではほぼ九十一でございます。それから森連では三十九でございます。それから水産関係漁業協同組合連合会で三十五、合せまして百六十五、一応これは枠としての対象でございまして、これ全部が果してこの整備促進によつて処理するが妥当かどうか、可能性があるかどうか、或いはもうすでに整備ができておりまして、これによる整備は必要がないかどうかという点につきましては、審議会個々検討をしてやつて行くということになりさするので、全部が全部必ずしもこの法律による対象となるということではございませんが、一応の枠として考えられますのはさようであります。それから計数でありまするが、これも個々連合会整備計画を見まして、それによつて資料を作らなければ正確な資料が得られませんけれども、一応再建整備をいたしております関係上、私どもの資料、又この法案を作成する過程におきましてできました資料でございますので、概略の推定も入つておりまするが、このような数字を申上げますと、協同組合連合会におきましては、固定化債務は約百二十六億であります。森連におきましては十二億でございます。それから漁業関係におきましては十六億というふうなものが固定化債務となつておりまして、これが系統金融機関を主とする金融機関に対する固定債務金融機関から見れば固定化した債権、これを流動化するということがこの法案一つ狙いで嵐ります。なお欠損金でございますが、欠損金連合会のほうが七十七億、森連のほうが十九億、漁業のほうが五億です。森連のほうは一億九千万円の間違いでありまして、一億九千万円。水産のほうが五億、合せまして八十四億ということであります。欠損金は実は問題がございまして、これは甚だこういう席上では申上げにくいのでありますが、再建整備をいたします場合には、欠損金というものが適正に計上されてそれが対象になつて再建整備が進められるべきものなんでございますが、その後の事情等もありまして、若干の含み損がそのほかにあると考えられるのであります。従いまして整備計画を進めて参ります場合には、只今申しました八十四億以上の欠損金が出て参るのじやないか、こういうふうに想像されるのであります。簡単でございますが以上です。  それからちよつと訂正をさせて頂きたいと思いますのは、先ほど固定化債務のほうで森連の十二億五千万円と申しましたが、桁を間違えておりまして一億二千万円であります。
  20. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではこれから質疑に入ります。
  21. 森田豊壽

    森田豊壽君 この一番主な点は、固定した債務の問題、欠損金の問題で、その全部の整備、全部の補填という問題でありますが、この問題は、固定したる債務とは一体その範囲はどういうものでありましようか。例えば欠損金は勿論これは固定債務、無論マイナスは債務になつていると思います。又固定いたしましたる資産或いは固定財源不良財源不良在庫のごときもこれに関連あると思いますが、そういう点につきまして、文書で見ると固定債務というのはいろいろのものが入つているので誠に工合いがいいのですが、実際的にはどういうものを考えられるか。それを先ず第一点にお伺いしたい。それから第二番目に、この審議会の議を経て大蔵大臣協議しなければいかんという問題ですが、金の問題でありますから、こういうことになつたのでしようが、これは予算の上でも大蔵大臣の又了解を得なければならないということでありますが、いやしくも審議会が至当であるかどうかということを決定し、農林大臣がこれを決定すれば大蔵大臣は勿論承認したことになると思うのでありますが、この点はどうでありましようか、こういう点も一つ伺いたい。それから第三番目に、第十二条に「省令で定めるところにより、毎年、予算範囲内において、当該金融機関に対して補助金を交付することができる。」、こう書いてあります。これは慣用語とは申しながら、「予算範囲内」というと、予算が足りなければやれないということに第十二条にありますが、これはあとには「五分以内」と書いてありますが、これ本質問しなければなりませんが、例えば指定日によつて整備計画が成立ちまして、これが審議会にかかつて決定いたしました場合におきましては、金額も定まるわけでありますが、この「予算範囲内」ということが私にはどうも了解ができない。この点はどういう考えでやられたのですか。慣用語とは申しながら、重ねて申上げますが、この点はどういうことですか。はつきりと一つお答え願いたい。それから次の十三条の終いのほうにありまする「元本借権の残高に年五分以内の率を乗じて得た額とする。一、券だくと聞いておりますが、平均五分の意味でなくいたしまして、以内とやられてしまいますると、先ほどの予算関係がありまして、或いは一分しかやらないと言われても、これはやむを得ないものでありましようが、この点をはつきり一つして頂く必要があるのではないか、これで行きますというと、最高五分ということに解釈するよりほかに方法がないのであります。最高が五分だということになりますれば非常に不安が起きるのであります。なお括弧して「(法人税法特例)」というやつをやつておりまするが、これは信連が或いは補助する場合等がありました場合に贈与税等の問題はどういうことになりまするか、この点も併せてお伺いしたいと思うわけであります。ちよつと私の取りあえず法案を見たところで考えついてわからないところ、考えられなかつたところが以上でありまするが、これを詳細に一つ説明を願いたい。
  22. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 最初の固定化債権の点でございまするが、これは再建整備法によりまする経営権もございまするので、ほぼそういう線で考えたいと思います。勿論具体的な問題になりまするというと、この債権について国が固定をしていいかという認定はむずかしい問題があることは御指摘通りでありまするけれども、このたびの法律案対象としておりまする数も、先ほど申上げました通りたくさんはございませんので、そこは適正な解決が付くのではないか、かように存じます。それから大蔵大臣との協議の問題でございまするが、これは御承知の通り、この法案に基きまする予算措置は実は現在できておらないのであります。できておらないと申しまするのは、或る枠をきめまして、それでやるということよりも、連合会の内実をよく探りまして必要な措置はできるだけしたい、かような意味におきまして、予算措置はこの整備計画ができ、それによつてどの程度予算措置を講じたらいいかということがわかりました上で講ずるということにも関係がございまするので、大蔵大臣協議をするという建前、立て方にいたしておるのでございます。それに関連しまして、利子補給予算範囲内という問題でありまするが、これは御指摘のように、予算とこの法律関係からいたしまして、一種の例文的な意味合というふうに御勘考を願いたいと思います。それから五分以内の問題でありまするが、これは御指摘通り最高五分以内であります。従いまして、この五分にいたすのが妥当か、或いは四分にするのが妥当かということは、連合会を一律に考えるというよりも、個々連合会整備促進可能性、どの程度助成を必要とするかといつたような点を睨み合せてきめる。但し最高は五分である、こういう意味合でございます。それでは五分以上必要とするような連合会整備促進が困難ではないかということになりまするが、これは御指摘通りであります。個々連合会につきまして、全体を洗つてどういう措置を講ずれば全体的に再建促進ができるかということにつきまして確信がございませんので、取りあえず五分ということの範囲内でできる程度はどの程度だろうかということをいたしまして、それ以上助成をしなければ、この整備計画樹立も、促進もできないというふうな連合会があり得ると思いまするが、そういう連合会についてはこの法案では回答が与えられていない、別途の措置が必要である、かようなことに相成るのであります。なお金融機関等が再建のために助成をしたといつたような場合の税金の問題でございまするが、これは税法上の取扱上税金のかからんような措置をするように大蔵省に申入れておりまして、大体御了解を得ておるのであります。
  23. 森田豊壽

    森田豊壽君 これは突つくというとまずいと思いますから、この辺にしておきますが、大体呑み込めましたので、御苦心のところもあると思いますが、これ以上は申しませんが、対象とする範囲というのは、一番最初に御説明がありました九十六の連合会が皆対象になるのではないのでしようが、郡連や単協というものが除外されているのはどういうわけか、郡連というものが御承知の通りあるわけです。大農協の再建整備中の中にありまして、勿論再建の字は謳つてありませんが、整備促進法である以上はそれに関連があるわけでありますけれども、その対象が如何なる場合にも連合会だけで、あと、それ以下は対象にせずという御説明でありましたが、これに対しては何か考え方がほかにあるのでありましようか、全然そういうものは対象にせんということでやつたのでありましようがいろいろ大蔵省との折衝の過程もあるかも知れませんが、詳細に一つ説明を願います。
  24. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 整備促進法対象についての問題でありまするが、現在再建整備法でいたしておりまする対象と比べまして、この場合は甚た範囲が限られておるのであります。一応再建整備法対象を問題にするわけでありまするけれども、その範囲で特定の連合会を選んでおるという工合になつておるのであります。この趣旨はどういうところにあるかと申しますると、再建整備が五カ年で以て進行しておりまして、現在までの経過を見まするというと、単協等におきましては、比較的計画が順調に進んでおるように認られるのであります。これは末端の組合といたしまして、農民にじかに接触をしておるということから、農民の支持もあり、比較的に計画が順調に進み得る基盤がございまするが、連合会となりますると、農民から言えば単協を経ましての間接になりまして、そういう点と同時に連合会となりまするというと事業の範囲も拡大しておりまするし、規模も比較にならんほどでありまするので、なかなか計画が思うように行かない。ところがこのことが延いては単協乃至郡連の整備計画にも又響いて参る、或いは更には金融機関のほうは信連系統のほうの運営の問題にも影響して参るということでございまして、ここで重点的に県単位の連合会整備を促進するということによりまして、間接に系統金融のほうの資金の疏通を図ることができはしないか、又単協の再建整備につきましても間接的に好影響を与え得るのではないかということで、この法案では特に県単位の連合会に重点を置いて、十年計画を以ちまして整備を促進する、かような建前にいたしておるのでありまして、余りこの範囲を拡げますということは、ここで画一的な指導といつたようなことが行われやすく却つて実効が挙らない、全般的には再建整備法であり、重点的に整備促進で以てそこに活を入れる、かような趣旨でこの法案ができておるのであります。
  25. 関根久藏

    関根久藏君 只今森下委員からも御質問があつたんですが、郡連合会を含めた全部の連合会に適用するというふうに、まあ法律の表面的の解釈はされるのですが、郡連合会に適用しないというのは、結局再建整備連合会にのみそれを当てはめる、こういうふうなお考えなんですか。
  26. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 再建整備法には勿論単協、郡連、県連、全国連が入つておるわけでありまするが、先ほども申上げました通り再建整備の経過から見まして県連の運営が特別の重要性を持つておる。而も再建整備によりまする計画が比較的に申しまするというとなかなかなか困難な実情にあるというのも主として県連の問題であるのであります。従いまして今回はこの再建整備法対象の中から特別のものを選びまして、それに整備の促進を図つて参る、かようなことで郡連は農業協同組合の場合におきましては除いておるのであります。
  27. 関根久藏

    関根久藏君 その除くという考え方が、再建整備法の適用の組合そのものに限定をしてやるというふうな基本的なお考えなんですか。
  28. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 再建整備法との関係を申上げまするというと、一応大枠としましては、再建整備法対象がこの法律対象団体になるわけでありまするが、その中で特別にこの連合会を選んで、その連合会も県単位の連合会漁業協同組合の場合には違つておりまするけれども、これは漁業協同組合農業協同組合との違いからなつておるのでありまするが、そういう意味合におきまして、今回の措置は県の連合会に限つておるのであります。その限つております理由を先ほどの説明に附加えて申上げまするというと、今回の整備促進法一つ狙いは、再建整備法と若干異りまして、組合金融特に信連の資金の疏通を円滑にするということが非常に重要な間接的な目標になつておるわけであります。ところでこの信連固定化債権というものを考えて見まするというと、これが殆んど大部分今申上げましたような県の単位のこの連合会、特に経済連等に集中しておるのであります。従いまして、この県の経済連、こういうものの再建整備を更に促進するということが系統金融機関の資金の円滑を期するということでございまして、ただ再建整備に更に輪をかけてただ助成をするということだけではなくて、今申上げましたような新たな目標がここに加わつておるのでありまして、その目標から行きまする場合に選びまする連合会というのは、県単位に重点的にやつたほうがよいのではないか、かように考えるのであります。更にもう一つ理由として申上げられますのは、先ほど申上げましたように、今回は個々組合連合会につきまして、一つ一つにつまして審議会で審議をお願いする。全体で、例えば相当数の数が出て参つて、それを一つお座なりに一回審議会にかけるということじやなくて一つ一つ連合会につきまして審議会にかけて、その審議を経るという建前にいたしておりまして、審議会の事務上の能力から申しましても、恐らくそういうたくさんの組合対象にするというわけにはこれは参らないように考えられたのでありまして、さような趣旨を以ちまして、対象を以上のようにいたしたのであります。
  29. 関根久藏

    関根久藏君 今のお話の系統金融機関固定化債権流動化、これが第一の狙いたろうと、こういうお話なんでありますが、郡連がやはり系統機関固定化債権を持つておるものも相当あると思うのです。その趣旨から行けば、やはり郡連もこの適用範囲に入れてもよくはないか。
  30. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 勿論郡連にも固定化債務を持つておられるものがございますが、これは総体から見ますというと、非常にウエートが少いのであります。と申しましても、それを放置しておいてよろしいというのではなくて、大部分を占めておるところのこの県の連合会についての措置ができますれば、おのずから信連といたしましてもそこに余力が出て来て、これは国の助成を待つまでもなく、信連自身が自分の力を以て、或いは他の友誼的な団体が力を合せて盛上げることができることを期待できる。かような趣旨もございまして除外をいたしておるのであります。
  31. 関根久藏

    関根久藏君 ウエートが非常に小さいから、従つてまあこれができれば信連としては余力を生じて面倒が見られるであろう、こういうふうなお話のようでありますが、ウエートが低いから、それはどうでもいいのだというふうなことは余りにそれは理論的でないと思います。
  32. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 郡連の固定化債権がどの程度ありますかと申しますと、先ほどの数字に比べまして約三億足らずでございます。全国で百億を超えておるのでございますが、この固定化債務の三億を問題にするために非常に事務が繁忙になる。特にこの整備計画になりますというと、十年の計画でございますし、個々連合会の事業計画について信頼し、場合によれば現地に行つて役員のかたとも篤と懇談しなければならんということでございまして、たくさんの組合対象とするということは、こういう整備促進のやり方では実はなかなか困難であり、むずかしいことと存ずるのであります。ウエートが少いと申しまするのは、郡連の活動的な仕事のウエートということじやなくて、組合金融系統で持つておりまする固定化債権の中におきましての額から申しまして、その固定化債権の額がウエートが少いということを申上げたのでございまして、大部分のものが活動化するということになりますれば、郡連等につきましては、県連或いは県の信連なりが国の助成を待たないで整備促進に活を入れることができるようになるということを実は期待をいたしておるのであります。
  33. 河野謙三

    河野謙三君 私はこの法案は極めて重大であるので、これからたつぷりと一月でも二月でもかけて質問することがたくさんあるのですが、ただこの際基本的に私は一言伺つておきたいのは、農協が現在のような赤字をどうして背負つたかという原因についての認識を私は欠いておると思う。これは金の問題じやない、勿論金の問題も一部ありますけれども、統制撤廃その他の情勢の変化によつて、又その他の事情によつて農協の事業分量が減つて来た、激つて来たことによつて農協が焦せる、焦せることによつてだんだん組合員から農協が信頼を失つて来た。そういうことなんですよ。私はそう思う。そこで私はそういう認識に立つておるのですが、曾つて赤字補填をやられました、整備促進をやられましたが、そのやつた実績は現在まで好結果を生んでおりますか。私はこういうことをやつたつて、今の農民が農協に対して十分な認識を持つて立上らない限りは、これは費の河原に石を積むようなものですよ。私はそう思う。そこでそういう議論は別にして、過去において再建整備その他でいろいろ赤字補填をやられましたが、その結果息を吹き返しましたか。それは例外的には息を吹き返したものがあつたかも知れないが、大体金をやつたときにはちよつと喉が潤おつた、又一年か、二年たつて又元の木阿彌だ、私はこういうことだと思う。私は過去の実績が物語つておるという点においてそういう認識を持つておるが、過去の再建整備において適切なる措置であつて、少くとも再建整備をやつたところは息を吹返したという御認識ならよいが、私はそういう御認識であればここにその実例を示してもらいたい、少し議論をして見たいと思います。
  34. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 先ほど申上げましたように、現在進行中なんでございますが、その現在におきまして極く最近までの取引市場につきましては、ここにお配りいたしました農林漁業組合連合会整備促進法案関係資料というものの中にございます。(「もう少しはつきり」「成るべく大きな声で言つてもらいたい」と呼ぶ者あり)この法案関係資料の一頁から二頁に全国的な集計がございまするが、それが載つております。それからこの欠損金を生じたと申しまするか、協同組合がいろいろの条件を以まして不振を極めておるものが相当ある。その原因についての御質問でございます。これは従来いろいろあろうか患います。どの部分がどういう理由で生じたかという分析は、これはいたしかねますけれども、例えて申しますれば、農業会が協同組合に改組されたときに農業会の資産の引受によりまして生じたもの、或いは戦後のインフレからデフレに移るときの問題によつて生じたもの、或いは御指摘のような統制が撤廃されたようなことに伴つて事業分量の縮小といつたような問題、或いは役職員がその経営能力に欠けるところがあつて生じたといつたような問題、このような理由は甚だ広汎でございまして、いろいろ理由がございます。今度の法案が狙つておりまするところは、さような問題について財政的な補給で以て対処し得るということでは実はないのでありまして、さような再建整備にかかわりませず、なお困難な事態を生じておる現状に照しまして、むしろ連合会のほうが自主的に再検討して整備計画をここで練り直そうという意欲が昨年あたりから生じて参つたのであります。その意欲にただ国が若干の助成をするということによりまして、この意欲が更に実践となつて現われて来るということであれば、これは甚だ望ましく、又結構なことでございまするので、その点を考えた措置でございまして、利子補給というようなこと、或いは利子の軽減というようなことによりますのみで、整備促進がこれはできるということは、夢々考えられないのでございまして、そういうことを一つの契機として再建整備をここでもう一度検討いたしまして、自主的な盛上る整備の意欲を助長したい、かような意図に出ておるものであります。
  35. 河野謙三

    河野謙三君 経済局長は私どもと同じ認識を持つておられるようで安心するのですが、ただこの金融措置だけで農協の再建はできない。むしろ根本的な問題は事業分量を殖やすとか、その他一般農民の農協精神をもつと徹底せしめるように努力しなければならないということは認識が一致しておりますが、然らば、これは私は悪いとは言わない、併しこれだけやつて、もつと大きな根本問題を同時に並行してやらないと、過去においてあなたがたでやられた赤字補填の措置と同じようにこれほ行つて来ないですよ。結局それは二、三年の間に何のために再建整備をやつたか、何のために財政補助をやつたかわからない無駄な金になる。そこでこの法案と並行して今の農協再建のための根本措置、つまり購買事業、販売事業に対してどうするとか、税金についてどうするとか、そういうような具体的な何は私どもまだお目にかかつておらんですが、本国会に出されますか。今あなたの御認識通りだつたら私はおかしいと思う。死金を使うようなものだから、こういう点について伺いたいと思います。
  36. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) お尋ねの点につきましては、これは私どもの局の関係の仕事だけにとどまりませんで、広く農林省全般の施策が実は協同組合の運営にかかつておるのでございます。私どもの関係から申上げまするというと、今回すつと提案いたしておりまする協同組合法の一部改正によりまして、協同組合企業体というふうに構想が出ておりまするのも、組合経営の指導ということに大きな重点を実は置いておるように考えておるのであります。なお政府で準備をいたしておりますが、これは政府提案になるのか、議会にお願いいたしまして議員提案になるのか、私ども最終結論を聞いておりませんが、農産物の価格安定というような法案におきましても、系統組織による自主的な、そして統制と申しますか、監督ということで助成する、援助をする、こういつた趣旨規定も含まれておりまして、こういう措置でありますとか、或いはこの補給金、信連といつたような問題も、事業面に対する関係も大きな力を持つておりまするので、そういう点で今後の組合金融につきましての制度の画につきましても、組合全体がよくなるような措置が考えられるべきではないか。現在も制度だけでは必ずしも十分ではないというふうなことも検討を加えております。さようないろいろな措置が総合されまして、初めて協同組合連合会のみならず、協同組合全体が発展する基盤が与えられるというふうに考えておるのであります。
  37. 河野謙三

    河野謙三君 私は質問は次回に譲りますが、この機会にちよつと申上げておきますが、今の農協の実態というものは極めて不健全ですよ。例えば各単協の決算を見て御覧なさい、表面と裏面とは非常に違う。大体金融事業で一単協が、又組合規模によつて違いますけれども、二、三千万円の預金を持つておる単協が、金融事業で黒字にして販売、購買事業の赤字を埋めて、漸やく単協は決算をしておるというのが大体の実態です。これが年をとるに従つて金融事業への依存度はひどくなつている、そういうことなんですよ。そういう認識に立つてお考えになつたときに、私は先ほど申上げましたように、こういうようなことをやつて、それで農協の再建ができるなんということを考えたら、とんでもない間違いです。私は農産物価格安定法の問題を取上げましたが、これはいずれこの法案にお目にかかつて申上げますが、農政局はもつとしつかりしなければならない。ああいうものを食糧庁なんかがやるというのは僣越です。むしろ協同組合部長農業経済局長が、ああいうものは今の農協の再建整備に照して、販売なり購買なり協同組合に今の事業は政府が委託したらいい。そうすることによつて農産物の価格の安定というものは目的を達するし、同時に農協の再建にもなる、そういうことを私はなぜやらないか、そういう問題は食糧庁の縄張りか何か知らんけれども僣越至極に、食糧庁が「なたね」とか、澱粉の価格安定をやるという僣越なことを考えたり、そうしてあなたたちが省議に望んで、経済局長は結構です、私は言われないと思う、反対しておられると思う。これはもつと積極的に、ああいうふうな価格安定法というのは賛成ですが、それならその趣旨をどこをどうしてやるかというと、農林省がやるのじやなくて農協がやる。それらによつて私は農村の再建にもなると同時に、農民の私は農産物価格安定の目的を達することになると思う。話が少し先に走りましたが、そういう意味で私はこの問題に関しては、改めて一条々々につきましては又本当に私はゆつくりと御質問申上げますが、一つ根本問題が少し私はどうも納得行かん。併し幸いにして農村の実態については、あなたたちと認識が同じですから、認識が同じところに立つならば結論は同じでなければならない、そこで私は疑問があつたから、例のお喋べりに又口を出して、一言申上げたのです。
  38. 森田豊壽

    森田豊壽君 促進法の狙いは今まで大体質疑は出たのでありますが、第一番に利子補給をするということは、促進法の大蔵省からの金の取り方としては一つ方法かも知れませんが、促進法としては余り有難くない、而も五分以下だ、五分以上の補給をやらなければ再建整備ができない組合もあるし、或いは五分あるか、ないところは幾らか我慢してもらう、協同組合の総体の精神から行きましても、そういうことはやむを得ないのではないかというふうに考えられるのでありますが、先ず第一番に百二十六億、即ち我々が日頃言つておりました百三十億の融資をしてもらいたいというのが一番先の狙いであつたと私は考えておるのであります。その融資を低利にやつて頂く、つまり五分以下でやつてもらいたい、これこそ五分以下でやつてもらわなければならんということでありまして、これを補給の形で以てやつて行く、利子補給の恰好でやつて行くという考え方は、先ほど河野委員の言われるような、何となく彌縫策のように考えられるのでありますが、併し農林省の苦心されたところは十分認めるわけでありまして、これでもないよりもいいことは明らかなのでありますが、ともかくその問題を金融機関に、その考え方が百三十億くらいの金が貸付けられないということは、やり方によりまして、又考え方によりましては、できないと必ずしも言えないと思うのであります。併しながら、この考え方が恐らく農林省が、農協というものは金融機関があるのだから、兄弟があるのだから、或いは親があるのだから、農林中金というものがあるわけだから、あそこらに相当金があり、信連にもたくさん金が余つておるから、あれを貸しておいて、そうしてそれを補給するのが一番いいんだというような、国の金を出さないでおいて、その余で以て貸付けておいて、利子補給しようということが、この法案に現われた考え方ではなかろうか、こう思うのですが、この点は百三十債貸付けるということで以て低利に貸付ける、即ち長期低利の資金を借りたいというのが、これが農民又それを考えておるのでありまして、余裕金ありとは言いながら、その金を長期に貸されるということは、到底一方では余裕金があります以上はできないのでありますから、長期低利な金を貸してやるということは金融機関も助かりまするし、又事業をやつております事業連も助かりまするし、その事業連から購買連にいたしましても、肥料を買いました人も長期に亙つて借りることができる、事業資金を借りることができるということになつて行くと思うのであります。これを利子補給でやる考え方そのものに対しまして、政府は、農林省はとにかく初めの考え方は私の言うようなことでありましたか、それともこの方法が一番いい、こういう考えでやつたのでありましようか、この点も一応聞いておきたいと思います。
  39. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 御説のように、当初この県の連合会におきまする整備促進についてのやり方の問題といたしまして、その有力な手段としては低利の長期資金を相当多額に融資をするということにあるということが叫ばれておつたのであります。私どもそういう御要望の原因のよつて来たるところの原因を究めると同時に、これがやはり信連の問題でなくて結局経済連の問題である、まあ要望の問題であるということも認識いたしまするというと、ただ政府資金を低利に長期に貸付けるということだけでは、信連の命廻りは勿論よくなりますし、従いまして経済連にも非常な経済的な好影響を与えることは言うまでもございませんけれども、おのずからそこに経済連等におかれて経営が安易にむしろ流れる虞れがありはしないかということが一つであります。もう一つは、御説明になりましたように組合金融全体を考えて見ました場合に、特に資金枯渇によつて経済連が不況に立つということでは必ずしもなくて、むしろ信連によつて理由が違いまするが、組合金融を全体として見まするというと、そこに金繰りが非常に窮屈であつて、経済連に貸したい金もないということが、一般的には言えないのではないかという点が第二点でございます。さような点を考慮いたしまして、信連に応分の援助を経済連に対してお願いし、その信連に対して国が助成をするという方法が資金疏通と経済連の再建と両方を達するよい方法ではないかということで、そういう趣旨で大蔵省とも折衝いたしまして、初期のような法案を作成することができましたのでありまして、当初百二十億の財政資金を低利に長期に貸せという要求をいたしまして、利子補給ということに落着いたというわけでは必ずしもないわけであります。こういう方法によりまして、併しながら全般の連合会が再建できるかどうかということになりますると、これは私どもも自信がございません。財政当局もその点はこれでやつてもらえということを申しているのではないのであります。一応の枠として、考え方としまして、ここでやつて見て、ここで一、二年やつて見て、なお且つこれに載らない連合会については、例えばお話のように五分をもつと上げるとか、或いはもつと特殊な措置が必要になつて来るということでございまして、これは個々連合会について一つ一つ当つた上で検討を加えよう、こういうことになつておるのであります。
  40. 戸叶武

    戸叶武君 私この再建整備の問題に対しては農林省考え方は逆じやないかと思うのです。これは頓服を飲ませて、そうしてまあ何とかやつて行こうというのならばよろしいのですが、この再建整備に当つての何が原因として再建が生れたか、経済局長が簡単に一応述べられましたが、やはり農協自体の中から自己批判が生れ、農林省自身もそれに対する分析をして、その実態を追及しなければならない。私は河野氏が言われたように、農協自体のいろいろな欠陥もありまするけれども、終戦、戦時中から戦後にかけての経済的な変動期におけるところの必然的に生れた不可抗力と思われるものもあつたと思うのです。そういうものを全部検討して、そうしてどういう原因によつてこういう結果が生れたかということを、基本的なものを追及して、それと同時に数字の線まで追及して実態を把握して、これに対してはどうやつて行くかということが打ち出されなければならないのじやないかと思うのです。今この再建整備の問題にいたしましても、やはり利子補給という点から、中金なり信連というものの比重が徒らに重くて、これに引ずり廻されるような形になつておると思うのです。これが農業協同組合再建の上において私は癌だと思います。河野氏が前に若干指摘いたしましたように、農業会の時代に農業会自体の構成にいろいろな矛盾があつたとしても、信連によつて作り上げた黒字がこの事業連の赤字をカバーして、そこに一つ農業会のやりくりというものができていたと思うのです。事業連と信連とがばらばらに分離されたのちにおける各県連における信連の態度を御覧なさい、どこへ行つたつて信連の連中は毎日々々飲んで暮していると言つては極端でありますが、農業協同組合から逸脱しております。信連だけが健全であつて、あとの事業連というものは喘いでおる姿です。青森県におけるあの更生連の指摘された問題にいたしましても、分離したときに一億円以上の赤字を背負つて、そうして毎日四万近くの金を中金に払わなければならない、そういう状態でとにかく職員の人たちが苦しんでおる姿を見つめたときに、私の友人が昨日青森を訪ねて、やはり協同組合の評論家ですが、全く気の毒になつてしまつた。片方は県営事業に携わつておる者は貴族であつて、片方は奴隷である、こんなちんばな一つ農業協同組合のあり方があるかといつて非難しておりましたが、これは私は本当に冷静に検討して行かなければならないと思います。非常に政治力を強く持つた人たちが信連を把握し、或いは事業連を把握して、そうしてやつておるものは比較的よく行つておりますが、信連の下に赤字で喘いでおる事業連というものは融資をも受けることができず、無理に無理を重ねて瀕死の状態にあるのが不健全なる各農協連だと思うのです。それなのに、ただこの金融機関を中心にだけ考えて利子補給という形で金融機関の危険性を一応補填して行くような結果になつて、根本的に農協の建直しというものができるでありましようか、これは極めて重大だと思います。これに対して一つ意見を承わりたいと思います。私はこの農林省の考える点は枝葉末節の点から本質的なものに対する追究を回避しておると思うのです。もつと農協を本当に健全に建直そうとするならば、基本的な問題に取組んで、それからこうこういう当面の問題に対してはこう対処しなければならんという結論が出て来るのでなければ、こんなものは河野氏が言つたように同じようにやつたつて、その場限りの問題でつまらん結果を招くだけのものだと思うのです。
  41. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 今回の整備促進の手段としてとりました債権の利息等の軽減、それによる国の助成ということにつきまする御批判でございまするが、経済連の欠損金が多額に上つているということは、一つには過去の原因を突きつめますれば多種多様でございまするが、現状において考えますれば、結局信連等に対しまする固定した債権か累積しておりまして、その利払いに非常に苦しんでおる、こういうのが最も大きな再建整備を妨げている原因だというように認められるのであります。又そのことが一つには信連の金繰りの利息を或る程度負けたり、或いは利息すらも或る程度つて来ない、こういつた状況で、元金も返つて来ないということで、信連の金融の疏通を欠いておるということに相成つておるのでありまして、その固定化した債権流動化するということがこの法案の最本大きな一つ狙いでございます。その手段としての利子補給でございまして、利子補給という点から見ますれば一種の呼び水的なものでございまするが、狙つておりますようなものは以上のような趣旨でございます。なお御指摘の根本問題といたしまして、系統金融機関と系統の事業機関におきまするこの協力と申しますか、その間における協力の仕方につきましては御指摘のような点もあり、又そういう地方もあろうかと存じます。併しながらこの整備促進法実施いたして参りますために、信連は単なる金貸しであるといつたような気分態度では事業連の整備もうまく行かないことは言うまでもないことでございまするので、そういう点については、この法案においても整備促進計画樹立実施について全面的に信連等が協力するということが一つの条件になつておるのであります。なお政府といたしまして、その間の関係をどういうふうに持つて行くかということにつきましては、なお今後十分検討を加えたいというふうに考えております。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろお伺いしたいことがありますが、あとにしますが、大体欠損の額を承わりました。それから固定債務の額も承わりました。それで大体こういう欠損や債務が抽象的に見て大体どういうものから出たかということがわかつておりましたならば、一つそれを資料として頂戴したいと、こう思います。大体何によつてこれが生じたかというようなものが区分してありましたら、それを一つ次回までに資料として頂戴しておきたいと、こう思います。
  43. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今の御質問全く御尤もでございますが、実はこの法案を作成したのは今年でございまするけれども、昨年あたりから、いろいろ準備をしておつたのであります。このときにも私どももさようなことを準備する必要があるということで、関係機関等にも協力を依頼しておつたのでございまするが、原因別の欠損金状況、或いは原因別の固定債務というものについての資料は、実は現在に至るまでとじていない状況でございまして、資料として実は整備しておらないのであります。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は実はそういうことをお伺いするのは、只今河野さんや戸叶さんによつて指摘されましたような根本的な原因とはちよつと違いまして、いわゆる農業会自体の国家機関としての非常な権力を持つた時代から、民主的な農業会としての協同組合として突き離されたその間におけるいろいろのスキヤンダルが固まつたのがこれが大部分じやないか、こういう考え方を持つておるのでありまして、従つてそれが根本を辿つて見ますならば、この法案でそれを直すということと、今根本的なこれからの農協のあり方という問題は議論の立て方は別になると思いますので、私はどうしてもそれが或る程度明らかでなければ、この法案を進めるに非常に骨が折れる。果して戸叶さんの言われるような通りの、或いは河野さんが言われる通りの現在の状況でこれだけの穴が出たとするならば、これ又考えは別になる、そういうものでない、河野さんもちよつと触れられた切替時におけると言われると、その切替えが国家機関の権力を以て軍の統制の代表機関としてああいう横暴を遑ましうしたその間に、私は自分の例を、一、二の例を持つておる、そういうものが全国的にあるのかないのか、こういうことは非常に重要性がある。そういう固定のものがあるならば、森田さんの言われるように、それ自身は過ぎたことです。そんなことがあつたかどうか知りませんが、過ぎたことは過ぎたこととして片付く、そういうことにしなければならんと思う。これは紛糾があつたらなかなか片付かん問題と思いますが、できましたならば、大体の目安すぐらいのものを次の機会までにお知らせ願いたいと思います。資料として頂かなくても、一つ目安すぐらいをお聞かせ願いたい。
  45. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) この農業会から協同組合が引継いだ分の財産がどの程度あつたか、それによつて固定化された債務がどの程度であるかということはほぼわかつております。それから組合の経費について二、三の不注意と申しますか、或いは悪意というようなものによりましての欠損金といつたようなことにつきましては、検査を通じて個々組合についての事例的なものについては、これはお話し得ることができると思います。先ほど申上げましたような数字の全体につきまして、統計表的に原因別にあれを示せと言われますと、ちよつとむずかしい、こういうことを申上げておきます。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 それじや、そういう結果になると思いますが、大体の傾向でもよろしうございますから、一つお知らせ願いたい。次回まででよろしうございます。成るべくわかりやすいように……。
  47. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本件についてはまだ質疑がたくさんあると思いまするが、次の案件もございますので、次回以降に譲りまして、本件は本日はこの程度質疑は打切りたいと思います。御了承願います。   —————————————
  48. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 続きまして道路運送法の一部を改正する法律案議題といたします。この件につきまして鈴木強平委員から発言を求められております。
  49. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 今回道路運送の法律改正される際に当りまして、會つては凍霜害で中国、東北で三十一府県の災害がございました。又今回の豪雨によりまする災害は北九州から近畿に及びまして、この災害も二十数県に及んでおります。かような状態でありまするものですから、一般物資の輸送に際しましては非常に国民から関心が高まつております。特に農産物資の輸送に当りましては、その関心が特に高いと員なければならんと思います。こういう際におきまして、今回の楢道法の改正に際しまして、今までの間に農協連、農業協同組合連合会から農村物資の輸送に対しまして、特に運輸当局に対して、その後組合連合会から要望なり、請願なり、或いは陳情があつたろうと思いますが、これらについてどのような陳情があつたか、又これらについてはどのような話合が連合会と運輸当局との間に行われたか、先ずお尋ねいたします。
  50. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 道路運送法の運用又は改正に関して、農業協同組合連合会或いは個々組合からたびたび陳情を受けております。その趣意は大体大同小異でございまして、現在農協が一般区域貨物自動車運送事業の免許を受けておりますがそれほ現在限定免許と称して内容に制限が付いておるわけですが、それを運送の需要者、運送する貨物その他業務の範囲を限定せず、農業協同組合法に基く事業並びに公共性を有する事業が完全に遂行できる免許内容とするようにという陳情でございます。この件に関しましては、前の特定免許の時代からのいきさつもいろいろあるものでございますから、実は慎重に検討していたわけでございます。又組合のかたがたともいろいろ意のあるところを承わつていたのでありますが、未だに改正と言いますか、陳情の趣旨を取上げる措置がとられてないことは、いろいろまあ事情を検計し、その理由を審議しているために時間がかかつたからであります。又道路運送法改正のことにも意外に時間がとられたために、この問題を具体的に取上げるに至らなかつたわけでございます。
  51. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 とにかく先ほども農協の再建整備法ではあまた意見が出ております。かような際に農林省の担当当局はどのようこ運輸当局と連絡をとつておられるか。経済局長からの弁明を求めます。
  52. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今の問題につきましては、私どもの局におきましても、運輸局といろいろ話合いを進めて、農業協同組合のトラツク輸送につきまして、協同組合の本旨によつて運営ができるような要望の筋をお伝えして協力を求めておるところであります。
  53. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 農林運輸関係においては、この問題について現存何か話合はございませんですか。この善処方についてまだ農林運輸当局において話合はございませんか。
  54. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 農林省の担当のかたから御要望があるので、まだ具体的な話合には入つていませんが、研究しておるわけでございます。いずれにしろ、この問題はもうそろそろ解決しなければいけない時期に来ておると私は思つております。
  55. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 併しながら農協の輸送を相当に拡大することは、一般営業関係からも何かの意見が出ておると思うのですが、この際その意見も参考にしたいと思いますので、何か関係一般営業トラツク業者から特に意見が出ておりますか、出ていないですか、運輸当局にお尋ねいたします。
  56. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 農協の業務内容を拡張するという陳情に対しましては、一般営業トラツク関係からは非常な反対が出ております。その理由とするところは、トラツク営業は自分らに任してくれ、現在輸送力が余つて車が遊んでおるので、決して迷惑はかけないから自分らに任してもらえば十分に運ぶことができる、又荷物が足りないために業態が非常に不振であるから、是非業績を救うためにも自分らに任してもらいたい、そのような意味から農業協同組合がトラツク事業の一般に進出することは絶対反対であるという要望が強く出ております。
  57. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 それについての局長意見ちよつとお尋ねしておきたいのです。
  58. 中村豊

    政府委員(中村豊君) それも一つ意見でございます。又農協方面からの業務の範囲を農協の目的とするところを達成するために拡げてもらいたいという御希望ももな意見と思うのであります。そこで行政の担当者としては、各方面のいろいろの意見を聞いて公正な判断をして適切な線を引くということが一番重要なことだろうと思いますので、彼此勘案して実はいろいろ考慮しておるようなわけでございます。決して一方に偏して一方を抑えるという意思は毛頭ございません。
  59. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 先ほどの再建整備法でも、農協の事業分量を殖やして行かなければ、金を貸しても、或いは金融措置をしても駄目じやないですか。健全なる発達を望むならば事業の健全なる発達をさせなければならないという意見が出ております。併しながら農協では員外利用二〇%ということで農協には事業共同施設ができることになつておる。特に最も山間僻地における重大なるトラツク輸送問題については、トラツクが特免とか、限定とかいう措置を受けておりながらも、数年の間にこの台数が三倍になつておる。さように必要に迫られておる状態において、特に今次のような災害が起りますと、農協関係は特に活躍しなければならん。又我々農林委員会だからといつて、農協或いは農村の問題を主にするのじやないと思つております。我々は持論といたしましては、農村におきまする農地を開放した以上は、如何なる政党が組閣しても、そう農村問題については大差ない、大きな大道を歩んでおると考えております。そういう見地から見ますと、農村の連中に農協精神を与えよということを先ほども河野氏から発言されましたが、農村の人々が本当に欣然と立上るには、我々が今のうちから手を打たなければならんと思います。やつてくれと言われてから手を打つのでは我々は政治ではないと思います。飽くまでも農民の要望に一歩先んじてやらなければ決して日本の農村は立上らないと思います。電気のごとき蓄積のできないものすらもストライキに入りました。農村はそのストもできない。朝から晩まであの通り働いても権利を持つことができない。若し農村に働くことが嫌な空気が出たら大変だと思います。この際農協に許されたる農協の法律に則つたところは全面的に面倒を見なければならん。然るに事業共同施設を謳つておきながら、トラツクは買つたが、それを使うことができない、組合で使うことができないということは、これはちよつと筋が通らないと思うのですが、併しながら一面におきましては、日本の運輸関係、公益の立場から見ても、これは免許制をとるのは当然だろうと思うのです。併しながら、この際いろいろ問題が山積しておりますが、特に農協に関する……、この際におきまして道路の運送法を改正するならば、農協関係は少くとも員外二〇%しか利用できないのだから、組合が物を運べなかつたら仕方ないと思います。今出ておりますのは農協連、単位農協、それの取扱いにかかるものとか、或いはそれらの重要物資以外は扱えないことになつておる。これであつて農業協同組合法の法律を変えなければならんと思う。これについてもはや時期が来ておると思うので、我々はここで論議する必要はないくらいに思つておりますので、端的に局長は、どういう方法を以て具体的にこれこれをこうして行きたい、善処するならば、これこれの具体案を以て行きたいということを、本委員会にお漏らしがあれば非常に幸いと思います。
  60. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 御趣旨の点もよくわかるのでございますが、ただトラツク事業としましては、一般営業者は一般的な普遍性を持つておりますのに対して、農協は何と言つても農協本来の使命を達成するという範囲に限定される特殊なものであることは、これは当然だろうと思うわけでございます。そこでそのような一般と特殊との調整をどうするかということが問題になるわけでございますので、具体的にいろいろと要望が出ております項目について、今直ちにここでここの程度までは結構であるという時期に達していないのを甚だ遺憾に思うのでございますが、成るべく早く結論を出したいと、かように思つております。なお先ほどの、災害のときのような問題は、これはまあ緊急事態でございますから、農協に限らず、如何なる輸送機関でも、自家用自動車でも利用できる、一般貨物を運ぶことはこれはできるわけでございますが、それ以外の普通の場合でも、一般トラツク業者だけにすべての仕事をやらすということでは、まあ実情にそぐわないと思いますので、至急対策を考えて見たいと思つております。
  61. 森田豊壽

    森田豊壽君 只今自動車局長から、トラツク業者のほうから大分やかましく陳情されておるというお話でありますが、これは農協の持つておりまするこの自動車も、先ほど来お話のありまするように、この限定というものに対する考え方が違うと思う。農協法で規定してありまするその範囲内において農民のものとしてこれを利用するのでありまして、農協が持つておるという考え方ではいかんのです。組合員たる農民の持つているものでありまして、これはそのまま、或いは公共のために或る程度までこれを利用するということに対しましては、当然やつてやらなければならん問題だと思つております。限定することがおかしいと思うのです。この点を業者と農協とを同一のものとして考えて、二つを平等的に考えるということは、これは初めから根本が間違つている。この問題は少くとも農協の、農民の意思によつて自動車も買い、又やつておるのであります。従いまして、これを利用するということに対しましては、これは利用設備であるわけであります。営利を目的としておるものではないのであります。自動車が如何に余つておるか知りませんが、農協の台数約七千台と称しておる。七万台に対しては或いは一割であるかどうかわかりませんが、その範囲のものは、これは自分の村における或いは供出米、或いはその他の物を運搬し、又物の運搬をするというようなことは、けだし当然なことだと思います。農協は買つたと、委託されたと言いますけれども、車のごときは農民のものであります。この物を運ぶのに対しまして、早く言うならば、或いはとかいうようなものの下請をしておるというような状態です。これは何と申しましてもおかしいのではないか。むしろこの農協の自動車は、下請業の自動車であるとしなければならん。下請業、限定業、こういうような考え方は、これは下請せざるを得ないのであります。それだけのものを持つておりまして、それを利用せずにおりますことは、一朝事があつた場合に農協の仕事の上において非常な差支えがあるのであります。従いまして、こういうものを利用させるということ、この限定を、法以外の問題は別といたしまして、農協法に規定してありまする利用事業としてこれをやつて行く上におきましては、何ら業者に対してどうこうという問題ではない。又業者を、いわゆる排他的運動として農協が主張しておるのではない。みずからの立場から行きまして、みずからの権利を確保する上におきまして、けだし当然な処置であると思います。その考え方を自動車局長は、今までの車挽きや馬力挽きが自動車屋になつたという、悪く言うのは嫌でありますが、端的に言えば、そういう業者が自動車をやつておるのがこの貨物業者の一般であると思うのであります。そういう業者の意見を余り聞き過ぎて、最も肝心なる農民を主体とするところの、農民の持つておりまするところの自動車に制限を加えるということにつきましては、これはよほど考えて頂きまして、当然これは直すべき問題であります。今更これが両方から陳情があつて、いずれか両方の状態をよく勘案してやらなければならんという問題ではない。今日までこのままおいたことは……、今日の自由経済界におきまする処理といたしましては、これこそ直ちにお考えを願いまして、これは農協の諸君の主張しておりますところは、これは農民の心を心とした主張でありますから、その点を援用的に考えて、引合う引合わんということではなくて、最も農民に利用価値あらしめるためには、或いはふだん員外利用も場合によつてはできるというようなこともこれは必要じやないかと私は思うのです。どうかその点を十分お考え下さいまして、実情をお調べ下さいまして、業者と別にこれを扱うということをやめて頂きたいということをお願いするわけでありますが、これに対しまして、なお自動車局長は業者と同じようにこれを扱うべきだとお考えになつておりましようか、これに対するお答えを伺いたいと思います。
  62. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 農協が農協自身のものを運ぶのは、これは自家用運送でございますから何ら問題はございません。ただ問題は、まあ法律形式的になりまするけれども、農協の所有にかかるもの以外を扱う場合には、これは法律的には他人の物を運ぶわけですから、運送事業に該当するので免許を受けるというわけでございます。そこでその免許の範囲只今限定しておるのでありまするが、トラツク事業者を優先的に考えて農協を第二義的に考えるというふうに分け隔てをするわけではないのでございまするが、その農村なら農村においてすでにトラツク事業者がある。又農協が特定免許を最初とられたときにも、その前からトラツク事業者がその農村にあつたはずでございます。これは戦前からそういう事業者があつたわけでございますが、そうすると、そこに新らしくトラツク運送事業をやろうとする申請人が出て来た場合に、それを免許するかしないかは道路運送法の免許基準に従つて、需要供給の関係を十分に見るわけでございます。需要と申しますのは、輸送要請量、どれだけ運ぶべきものがあるかという数量であります。供給は供給輸送量、つまりトラツクの輸送力がどれだけあるかということでございまして、その双方を比較して、輸送力のほうが余つておればもう免許はしなくてよろしいと、つまり十分に運び切れるのだから、それでよいという建前道路運送法は最初の時代からとつていたわけでございます。その趣旨は、免許制度から出て来ますところの権利を与えると同時に、十分な義務、責任を尽さすと、そのためには事業の安定を図り、安んじて事業経営に対して所要の設備を投入させる、こういう趣旨で一連の考えがあるわけであります。そのような考えでこの問題を見る場合に、すでに戦争前からその地区に仮にトラツク事業者があつて、輸送力が十分であつたとしたならば、農協が出て来ましても、或いは一般トラツク事業をやろうという申請人が出て来ましても、これは自家用でない、一般営業をやる範囲においては、需要供給の関係から審査されて、新らしく免許されることは非常に困難である、こういうことになるわけでございます。その場合に農協の特殊性をどこまで考えるかということが問題になるわけでございます。農協自体のものを運ぶ自家用運送は論外でありまするが、それ以外に更に所属する組合員のものを運ぶのをどの程度に認めるかということが今問題になる点であろうと思うわけであります。員外利用になりますると、だんだんと範囲が広くなりまして、これはなかなかその境、分界点が困難になろうと思いますので、その辺はいろいろ問題のあるところではないかと思うわけでございます。
  63. 森田豊壽

    森田豊壽君 要するに特異性は認めると、こういうわけですね。
  64. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 特異性と申しますか、農協本来の使命が遂行できるように十分考えなければいけないというのでございます。
  65. 森田豊壽

    森田豊壽君 只今使命を果しておらないことは御承知の通りでありまするから、その使命を達成するということは、もうこれで認めているという考え方ですね。
  66. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 使命を果しているかどうかについては、まだ我々素人でございますから、農林省のほうともよく御相談して、よく実情を教わつた上で対処いたしたいと思います。
  67. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 時間の関係で具体的にこの問題を論議して見たいと思いますが、只今自動車局長からもお話がございましたが、農協組合の共同利用施設であるから、組合員のものを運ぶことは考えられるというお話でございますが、只今では組合のものは運べるが、組合員のものは運べないことになつておるが、これらはやはり運べるようにしなければうまくないと思つておりますが、局長としての単なる意見で結構ですが、ちよつと片鱗を申されておりますが、組合員のものを輸送することは差支えないと思いますが、如何でございますか。
  68. 中村豊

    政府委員(中村豊君) まだ運輸省としての固まつた意見がございませんから、まあ個人の意見ぱ述べさして頂くのを遠慮したいと思います。成るべく早くきめるつもりでおります。
  69. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 これはまあ変な言い方ですが、局長として、すでにこの問題は先ほど聞きますと、再三陳情なり請願も受けておるので、相当研究なさつておられると思う。従つていろいろ道路法の改正の問題に関しました意見もありましようが、局長自身としては意見はないはずはないと思う。我々もここで意見を出しておるのであつて、それは何らそう責任を追及されるものじやないと思いますがね。その組合員に対する利用施設は差支えないと思うが、重ねて意見を伺いたいと思います。同時に、又曾ては特免のときには政府関係或いは公団関係のものは運べたが、今回になつて政府関係、米なら農業倉庫に入つたものは運べない、葉煙草ならやはり倉庫に入つたものはもう運べない、いわゆる政府とか、公社に帰属したものは運べないことになつておるが、これは少しく行過ぎじやないかと思うのです。これは先には特免のときには運べたのだが、今度は殆んど限定のような形で、許可されたもの以外は運べないことになつておるが、これは恐らく許可された当庁において間違つたのではないか。このいきさつもついでにお尋ねしておきます。
  70. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 切替えのときに、曾て特免時代に運べたものが運べないようになつたといういきさつがあつたようでございます。それは特免時代にあの範囲をお許ししたことが、範囲が広過ぎたというふうな議論が起りまして、切替えのときにその点を割愛したのではないかと思いますけれども、当事の事情をよく存じておりませんし、いろいろ事情を伺うと、そういうふうに切替えの時期に割愛さして頂いたようでありますから、その復帰というようなお気持もわからないわけでもありませんから、その点は十分研究いたして、善処いたします。それから組合員自身のものについての問題は、これはまあ公式の席でございますから、個人の意見は差控えさして頂きたいと思います。
  71. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 私今不思議に思うのだが、前にやり過ぎたような意見もあつたのじやないかと言われますが、この諮問委員会もあるし、審議会もあるし、立場々々の人があつて特免で許可したものが行過ぎであるということは考えられない。この間ルーズヴエルト夫人がお見えになつたときも、国会議員もお話したが、あの先進国である米国の婦人が何と言つたか。与えられたものは取上げられない、それは民主主義の原則である、だから与えるときに気を付けろと言つておられます。まして特免で与えたものが行過ぎになつたということであれば、当時これらを許可するに当つて関係した人々は責任をとらなければならない。恐ら当時の政府の政策の行き違いにおいて聞違いであつたと、私はかように確信します。言換えれば、例えば主要食糧も統制がはずれるのではないか、従つて、公団もなくなるのだからよろしいのではないかということで、さように取計らつたのではないかと思います。今後この問題については特に善処して頂きたいと思います。なお一つ問題になつておりますのは、農村におきまする、何と申しましても山村僻地でございますから、町村役場なり、学校なり、農道を作るなり、その他の公共施設の場合に、農協の車が要請せられて動く場合があろうかと思うのです。要請された場合に動く場合においては、これらはやはり認めて行つて、村造りのお手伝いをすることはよいと私は思つておるのでありますが、これについて、今まで禁ぜられておるのは、どういう理由で禁ぜられておるか、又これについては将来どういうようにやつて行つたらよいかということについての意見を伺いたいと思う。
  72. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その一般物資を扱う場合でございますか。
  73. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 今言つた学校とか或いは農道に物を運ぶとかいう場合ですね。
  74. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 公共機関からの需要に対しての問題は、これは農協としては本来の仕事ではないのではないかと思います。それからその現地において農協以外に事業者もないし、運ぶべきものもないようなことが多いから、そういう公共的なものを相手にする場合に認めろと、こういう御趣旨たと思うので、農協本来の問題ではないと思うわけであります。そうなると、そこにトラツク業者があるかないかによつて決定する一般論で行くべきではないかと思います。
  75. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 だから、補足しなければわからないが、そうした場合恐らく学校とか、町村役場が要請する場合、言換えればトラツク業者は遅いとか、或いは距離があるという場合がありますから、要請のある場合にやつてもよいのではないか。要請された場合、そういう条件付の場合の意見を承わりたい。
  76. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 要請と言いましても、ほかに然るべきものがあつて、それに要請しても用が達する場合には、その一般のものを利用して頂きたい。
  77. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 それ以外の場合は……。
  78. 中村豊

    政府委員(中村豊君) それ以外ということは、そこに要請に応ずべきものがない場合でございますから、その場合には考えなければならん問題だと思います。
  79. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 考えられていいんですね。
  80. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 具体的な事例によつて解決しなければいかんことだと思います。
  81. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 只今のような場合、前以て業者の運送を管理する場所へ出て事前に話合をすれば許されることを聞いておるのです。従つてかような問題は、今度の道路運送法の一部改正のように、行政措置の簡素化を第一とするならば、これらは許されても弊害はないと思うのです。いわゆるそうした公共団体の要請による場合に限るということであれば、別に弊害はないと思うのです。私は今三点を挙げて局長にお尋ねいたしました。組合員の利用の場合或いは政府とか公団の場合も考えてもらわなければならん。変な話をするようですが、昔水戸光圀が米の上に腰をかけて殴られて頭をかかえて逃げた、あの封建時代の光圀でさえ米の上に腰をかけて悪いと思つて逃げた。百姓はお役所に売渡したものも自分のものだと思つておる。政府に売渡しても自分のものだと思つておる。だから一旦災害があれば米を担ぎ出す。売つた先々まであの米を私が作つたんだというところに農村精神があると思うのです。政府に売つたんだから、これは運んじやいけないということであつては、農村から農村精神を奪い取ることであると思う。私は農村魂を奪い取ることだと思う。だから政府とか、公社のような公のところに売つたものは喜んで運ぶようにしなければならんと、私は積極的に考えて見たいと思う。従つてかような立場から遠慮なく意見を申上げましたが、勿論我々の申上げることは農林当局からこれは運輸当局に話しておかなければいけない。法律ばかり作るのが農林省じやないと思いますが、恐らく十分な連絡がまだ局長に行つていないと思いますが、この際局長が腹を割つて、日本の農村が立上るにはどうしたらいいか。又苦情はいろいろと出ておりますが、その苦情を抑えられるという立場に立つて一つあなたが善処されるか、善処されるとすればいつ頃善処されるか。この際お話を願いたいと思います。
  82. 中村豊

    政府委員(中村豊君) できるだけ早い機会にこの問題を解決したいと思つております。
  83. 河野謙三

    河野謙三君 委員長に、私は次の機会にこの問題で食糧庁長官を呼んで頂きたい。それは今の食糧庁の米麦の輸送は日通の元請になつております。従つて今問題の米麦の輸送というのは、仮に農協がやる場合に全部日通の下請でありますから、この米麦の政府輸送に対する日通の元請契約について質したいと思います。同時に、自動車局長が見えておりますが、この米麦の輸送について、若し食糧庁が従来の日通の元請を廃して、例えば農村から政府倉庫までの輸送を農業団体に任す、こういうふうになつた場合には、これは勿論契約でありますから、この輸送について農協の連合会なり、又農協の連合会の指示に従つてどんどん車が順次輸送するということについては差支えないのでしようか。
  84. 中村豊

    政府委員(中村豊君) それは政府がどこで買付けるか、所有権の移転がどこで行われるかによつて法律的には変つて来るわけであります。政府の買付が、私はよく存じませんが、農村の庭先で行われるわけでございますが、その場合に政府の米になると今の規定ではできないわけであります。併し先ほど鈴木委員からのお話がありましたように、前の特免時代にそういうものまでも範囲が広くあつたとずれば、その点は善処しなければいけないと思います。
  85. 河野謙三

    河野謙三君 当然それは政府の買付場所が農村の庭先です。それから政府倉庫までの輸送を輸送機関をきめて、この機関は日通の元請にあらずして、日通の元請から外して農業団体にこの輸送を一括して元請してもらいたい、こういうような契約ができた場合にどういうことになるか、これは契約でありますから差支えないと思いますが。
  86. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その契約ができた場合に、それをやることが、合法的にするにはその免許の範囲をそこまで拡げなければいけないわけでございます。
  87. 河野謙三

    河野謙三君 その免許の範囲を拡げることについては特例によつてこれは可能でありますか。
  88. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その点が先ほど鈴木委員がお話になつた、前にはそれが認められてあつたはずだから、今後どうするかという御質問に関係するわけでございますが、それについてはよくいきさつを考えて善処いたします。
  89. 河野謙三

    河野謙三君 善処の材料として私はちよつと認識してもらいたいことがある。今の食糧庁の厖大な経理の中で、日通の元請によつて運送実績というものは出ないのです、何年やつても……。で、つかみで駅からの小運送というものを製粉会社の場合には平均何キロであるとか、精麦会社の場合は平均何キロであるとか、政府倉庫まで平均何キロであるという、いわゆる小運搬をつかみでやつて、このつかみが私の想像では大体日通の本当に運んでいる実績よりも五割から七割ばかり距離が延びている。これはどうしてもつかめない。ところが少くともそれは全体はつかめませんけれども、米や麦を農村の庭先から政府倉庫まで農業団体にやらしめれば、このつかみがはつきり出て来る。はつきり出て来れば、今申上げますように、そこで政府の食管の輸送距離というものが実績ができれば運賃はいわゆる中間経費として出て来る。運賃というものは非常に圧縮されるわけです。そういうような効果もありますので、ただこれは日通がやるとか、農協の車がやるというだけの問題ではなくて、政府の負担、又延いては食糧の中間経費の軽減によつて消費者の負担も軽減されるわけであります。そういうような大きな意味をその蔭には含んでおるということをよく御認識頂いて、この問題を考えて頂きたい、こう思うのです。それから根本問題として申上げたいのですが、どうも自動車局長が要輸送量に対して、それにマツチするように輸送量をだんだん殖やして行きたいと、こうおつしやいますけれども、ところが現在は事志と違つていやしませんか。というのは、そういう理想に基いてやつて来られたけれども、実際はもう要輸送量に対して輸送量が非常に厖大になつて方々でトラツク業者が引合わなくなつて来た。それでせめて運輸省では、今まで運輸省の責任において許可したのであるから、この責任上、今まで許可した運送会社だけは何とかして庇つて行かなければならん、こういうことだと思う。これは余り固くならんほうがいいですよ、(笑声)ほかの役所にもあるのですから……。例えば農林省の場合でも、農林省が過去において食糧統制をした時代において、精麦会社、製粉会社は皆企業許可によつて許可を与えて来た。ところが現在麦の統制撤廃になつたら、地方の群小の製粉、精麦会社というものは皆人資本の前に屈服しちやつて倒れておるにこれは中小企業から見れば、曾つて農林省からどんどん責任を以て太鼓判を押して、お前のところは精麦業を許可してやる、こういうことで安心して政府に縋つて事業をやつて来た。ところが時代が変つて今のような食糧事情になつて麦の統制撤廃になると、これらの会社はどんどん潰れて、そうして日清製粉とか、日本製粉とかいう大資本の前にどかどかと倒れて行く。これは時代のこういうような激変の下では起り得ることなんです。勿論これは社会政策的に救つてやらなければいかんけれども、それらを救うためには国全体の国民に高い食糧を食わすことはいけないというのであえてやつておるのです。これらのことは自動車の場合でも同じです。つまりあなたのほうでは許可したのです。ところがこんなになつてみんなおつぽり出されたのは、これを許可した立場の運輸省に責任がある。併しながら、そういうあなたのほうのとられたことによつて一般の輸送を委託するものが徒らなる一向い運賃を払わなければいかんと、こういうことになる。そこで私は先ほど申上げたように、どうもあなたの理想はいいけれども、事志と違つて、現在の実態はあなたの理想とはほど遠い、こういうふうに思う。それで私お喋べりはかりしてはいけませんが、この段階まで来たらどうです、そういうような今までの許可とか、認可というふうなことはやめちやつて、もう一切御破算にしちやつて、やりたいものはやれと、こういうような時期に来てやしませんか。その要輸送量に対しで輸送量々勘案すると言いましても、何も計画輸送をやつておるわけでもないし、厳格な運賃の をやつておるわけじやないし、決してガソリンの節約にはなつておりません。だからもうここまで来たならば、私はもう近い将来において、運輸省では今までのものを御破算にして、もう自由にするというようなことは、そこに何か御意見があるかどうか。若し現在御意見がなければ、それこそは今鈴木委員のお話じやありませんが、自動車局長個人の意見でありますけれども、今のだぶついておる輸送の実態に徴して、何らかここで抜本的な方途を講ずるというようなお考えがあるか、専門家としての自動車局長意見を伺いたいと思います。
  90. 中村豊

    政府委員(中村豊君) いろいろ事情を教えて頂いて有難うございました。この免許制度の問題につきましては、私個人の意見ではなくして、運輸省の確定した意見として免許制度は是非存続するということになつております。それでその趣旨を明らかにするために、この国会道路運送法一部改正法案を出しておるわけであります。その内容においても、免許制度はトラツクにおいても存続して、その場合に免許の審査に当つては需要と供給の関係を十分に審査勘案するということにしておるのでございまして、まあそこに結論を置きましたいきさつはいろいろあるのでございますけれども、その点もいろいろお話すると長くなりますが一極く簡単に申上げますと、要するにトラツク事業、その他タクシー、ハイヤー或いはバス事業、いろいろ自動車によつて旅客、貨物を運送する事業ほ、貴重な他人の生命財産を安全、正確、迅速、且つ低廉に運ぶという使命を持つておるわけですから、交通事業は公益性の極めて高いものである。従つてこれは自由営業にせずに、国家の統制下において事業開始には必ず運輸大臣又は地方陸運局長の免許状を要する仕事にする。その意味では或る程度国が特権を附与するという形になるわけでございます。それだけの恩典を、権利を与えるわけでございますので、半面これに対して厳重な監督をし、責任を要求し、義務をかち取るわけでございます。その義務はたくさん道路運送法に書き上げてあるわけでございまして、最も重要な運賃についても認可制度をとつて、闇運賃はいけないし、妥当な運賃でなければいけないことに厳重にしておるわけでございます。まあ地方によつては一時輸送力が逼迫したために闇の運賃が出たこともあつたようでございますが、これはまあ当時の事情としてやむを得なかつたこともありましようし、我々の監督が不十分な点があつたことも率直に認めるのでございますが、最近は運賃で高いものをぼるようなことはもう起つていずに、むしろお互いに競争し合つて安い運賃、安い運賃で一種のダンピング状態が出ておるほどでございますので、それほど運賃面で利用者のかたに不便なり不満をかけておることはないように聞いておるわけでございます。その他の車輌の設備その他についても十分に整備し、内容を充実して行くためには安心して事業に資本を投下できるようにすべきである。その意味で免許制度というものを是非堅持して行きたいと思つておるわけでございます。まあ農林省の製粉事業のお話もいろいろありましたが、そちらのほうの事情はよく存じませんが、交通事業に関してはその自動車に限らず、鉄道はもとより、或いはまあ最近の航空機事業、或いは国内の海上運送事業、こういうものは皆免許制度になつておりますのは、まあ口幅つたいようでございますが、世界各国全部かような状態でございまして、むしろ昔は自由であつたのが、だんだんとそのような国家による法規制が強化されておるような傾向にある次第でございまして、我が国でも昭和六年からそのような体制をとつておるので、決して戦争中の統制の遺物、残滓ではないわけでございます。そのようなことをいろいろ考えまして、折角のお話でございましたが、まあ免許制度は存続するということに、これは私個人じやなしに、運輸省として方針がきまつておるようなものでございます。
  91. 河野謙三

    河野謙三君 非常に誤解があるのですが、要するに私は科学的なあなたたちの指導というものは否定しませんよ。例えば運転手の免許の問題であるとか、機械の整備監督の問題、これはあれですが、ただ営業許可の問題ですよ。自動車が五台以上でなければいかんとか、一台じや駄目だとか、それから事務所がなければいかんとか、そういう私は今段階じやないだろう、こういうふうに言つたのです。それであなたは非常に専門家だから、私はあなたの前に負けるかも知れないけれども、私は田舎で毎日暮しておつて、とにかく今あなたのほうで如何に指導行政をうまくやられたと言つても、これは今自動車の需給関係が合つておるなんということは全然違いますよ。非常に供給過剰であります。そこで今価格が非常に闇がなくなつた、これは供給過剰だから価格の闇がなくなつた、そこでこの段階まで来たならば、私は今言うような科学的な指導、許可、認可、これは勿論特殊な技術の問題でありますから結構でありますけれども、その面でも、あなたのほうで余り画一的に五台以上、十台以上でなければならん、事務所を持たなければならん、それでちよつと会社を作るということになると、むしろ自動車の運転手というのは、個人営業で一台、二台持つておる人のほうが責任を持つし、却つて間違いない。私東海道を自動車で往復していますが、ごろごろく引つくり返つている自動車はみんな会社経営ですよ。個人営業自動車は事故は起しません。そういうことで私専門家に向つて専門外のことをとやこう言いませんけれども、事あなたの志と違つて、現在需給関係を見合つて許可したと言うけれども、知らない間に供給過剰になつた。これだけは私ども認識が間違いないことは、そういう形においてもう少し行政面においてお考えを私は変えられる御意思がないかどうかと言つているのですが、併しこれは私は一応ほかの委員のかたから非常に御意見があるようでありますから、ただ、今申上げたようなことで、余り現実が先に行つておるのだから、今までこうやつた、こういうことにとらわれないで、一つお考え願いたいということです。
  92. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 御説の通り供給過剰でございますので、この農協の問題なんかにも、既存の一般業者から反対が盛んに出て来ておる状態でございます。免許制度も是非堅持いたしたいのですけれども、必ずしも株式会社を要求するとか、五台、十台でなければいけないということは要らないのだ。その運用については十分実情に即するようにやつて行くのだということは、はつきり申上げてよろしうございます。現にもうそのようにしておるのでございまして、運輸委員会その他においても、そのような御質問に対して、そのような、もうすでに実情に即して小さい事業者も認めておるという数字までお示ししておるわけでございます。その点はお説の通り小さくても差支えございません。それからもう一点申上げておきたいのは、運転手の免許、それから車の検査制度と、それから営業の免許と、この三本建を是非必要たと思つておるのでございまして、運転の免許、車輌の検査は勿論やつておりますが、その他営業の免許制も是非存続したいと思うわけでございます。
  93. 森田豊壽

    森田豊壽君 最後に一つ局長にもう一度駄目を押しておきたい。私の質問に対しまして、農協の本来の使命に鑑みまして、運輸省は農林省協議して速かに善処するというお話が先ほどありました。これはそういうふうに速かにやつて頂けますか。農協の本来の使命に鑑みまして、それをよく使命を御納得下さいまして、運輸省は農林省と速かに協議して決定するということをやつて下さいますね。
  94. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その通りいたします。農協の本来の使命がどうであるか、我々素人でございますので、その点農林省によく意見を伺わなければならないと思います。
  95. 森田豊壽

    森田豊壽君 十分研究してですね。
  96. 中村豊

    政府委員(中村豊君) はあ。
  97. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 先ほどの御説明で、自家用ということはわかつたのですが、他の方面では農協でやつておるのは多く限定の免許を受けておるように思われるのですが、そこで限定というのは、今頃お伺いするのは変ですが、ちよつと伺えんのですが、私はわからないのです。限定の内容が……。いわゆる大体において協同組合に与えている限定の免許というのはどういう趣旨のものであるかということを一つ説明伺いたいと思います。
  98. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 現在農協に与えております免許の限定の内容は、第一は、農業協同組合又は同連合会の取扱いにかかる農産物資、養蚕物資、畜産物資、林産物資、これは薪炭に限る、それから水産物資及びそれらの加工品、それから第二が、農業協同組合又は同連合会が荷送人若しくは荷受人となる肥料、飼料、農機具、種苗、農薬、農業施設改良資材、包装資材及びその他の購買物資、こういうようにたくさん羅列してあるのですが、これが大体典型的なものでございます。
  99. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そこの御説明のうちでちよつと私わからない点が出て来るわけでありますが、結局それは組合自身のほうでなければいかんというお考えなんですか。或いは組合員の生産をする食糧とか、或いは組合員に配給する肥料とか、そういうものは限定の中に除かれておりますか、どうか。
  100. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 組合自体のものはこれは自家用でございますから差支えないので、それ以外のものをこのように羅列してあるわけであります。
  101. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そこで先ほどのお話のあつたように、いわゆる農協本来の使命に属するものはいいという予想ができるというお話ですね。それは農協本来のものというお考えか。結局農協の自家用のものだということに帰着するのであつて、農協本来の使命というのは決してそんなものではない。そこで先ほど森田さんの言われたように、一つ農林当局と農協の法律的本来の使命をよく調べて頂くと、それはおのずからわかつて来るのだ、こういうふうに思うので、その間の御研究をお願いしたい。
  102. 上林忠次

    ○上林忠次君 一つこの際これは懇談にして頂いて、関係当局にお願いがあるのですが。
  103. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと私委員長として先ほどの質疑を聞いておつて、実はまだはつきりせん点を最後にお尋ねしたいと思うのですが、先ほどの説明で行きますると、農業協同組合が直接の構成員が使う場合は、これけ共同自家用であるから、むしろこれほ免許は要らないのだ。ところが連合今が例えばトラツクを持つている場合においては、連合会の所属組合のこれほ共同自家用であるが、その所属組合組合員のものはこれはいかんのだ、こういう御説明でありましたが、これは先ず農林当局にお聞きしたいのは、恐らくこれは定款の認可が当然あるわけでありますが、私の知る範囲においては、連合会の場合においても所属組合の物を運ぶのは勿論ですが、所属組合に所属する組合員の物を運ぶという趣旨で事業認可があると思うのです。そうなつて来れば、農協の組織からすれば、所属組合の更に組合員もこれは直接連合会の設備を利用できるのであつて、これは例えば連合農業倉庫でもはつきりそうなつておる。従つて私は連合会の場合においては、所属組合が売つたり買つたりする物資は勿論でありますが、その次の所属組合に属する各個の組合員のものも、これは私は法律的には当然共同自家用という範疇に入つてよろしいのではないかという実は疑問を持つておつたのです。これは先ず農林当局から農業協同組合法の改正がそういうふうになるのかどうか。これは私は非常にキーポイントだと思うのでありまして、先ず農林当局から先ほどの御質問に関連して率直な解釈をお聞きしたい。
  104. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これは協同組合法の解釈問題になつて来るのでありまして、御指摘の県連がその組合員、会員でありまする単協或いはその所属しておりまする組合員個人々々の問題のところまで共同自家用施設が果して使用できるかどうかという問題でありますが、法文の解釈といたしまして、それはできるということに解釈いたしております。これは自明のことかと思うのでありまするが、各地に厚生連なるものが病院を経営いたしております。これは会員たる単協が病気になるということはないのでございまして、これは誠に明瞭なことと思つております。
  105. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) まあ私も大体そういう解釈だと思うのであつて、そうなつて来ると、先ほど運輸省の局長の御答弁によると、直接の構成員のものはこれは共同自家用だから問題はない。ところが今農林省農業協同組合法を所管する農林省の言う見解によれば、その直接構成員の更に構成員のものも直接これは利用関係が発生することになれば、当然私はその疑問はその辺からも解消するようになるのではないかと思うわけです。私はさつきそういう御質問が出ましたから、法律的にそういう関係を明らかにしただけで、あとは一2両省間で御折衝願いたい。
  106. 上林忠次

    ○上林忠次君 それについては問題があるのです。だから初めに県単位の連合に許可をしないで、所属団体、言換えれば組合までということも一つ意見が出る。ですから今日の話をもつと強く言えば、単位農協が持つているものまでこれを限定にしろということであれば、組合員が理窟なしに応じます。県単位の経済連に持つているために、その組合だけがということに一応の解釈ができる。併しそれは解釈しようであつて、この点については私は農林当局はどうしてもつと強くぶつかつて行かなかつたか。農協法を制定しておきながら怠慢だと思う、これについて運輸当局に話をしなかつたということは……。運輸当局も考えれば無理はない。一部において営業関係があるし、先ほど河野委員から突つ込まれましたが、ともかく統制しているからまだまだ保つている。統制がなかつたら随分ひどいところまで入つていると思う。多少の役はしている、或いはもつと役をしていると思う。併しながら現在の問題としては、もはや何と言いますか、その解釈は経済連の認可でなくて、若し問題がないなら私は単位農協に直ちに限定の認可をしてもらえばこの問題がなくなる。それでは取締当局は困るだろう、単位が多くなつて……。そこで経済連に只今我々の要望したことが結論が出ると思う。そこでどうでしようか、懇談会でもつと打明けたところで話してもらいたいと思う。でなければ我々は農林委員会で強い決議でも出さなければ……。強い決議を出さずに話合をすることはいいと思うのですが。
  107. 森田豊壽

    森田豊壽君 この問題は先ほど言つたように、運輸省が使命を一つ研究してもらつて農林省とも話合えばよくわかるでしようから、わかつて頂いて、その結果どうなつたということによりまして、農林委員会がこれに対してどうするかということをきめて……、今懇談したところで、その使命もわからないで懇談してもしようがない。わかつてからのほうがよくはないか。
  108. 上林忠次

    ○上林忠次君 懇談しないと、個人の意見が述べられないと言うから、懇談すると……。
  109. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記をとめて。    〔速記中止
  110. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。それではいろいろ御質疑がありまして、大体当局の法律解釈なり、今日までの処置については判明したと思うのであります。成るべく早く両省間で話を進められまして、当委員会に結果を報告願いたい。日を限定いたしますか……。それでは今週中に少くとも結論が付けば結論、結論が付かなければ、それまでの経過報告を願いたいと、そういうことで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 来週の月曜にいたします。来週の月曜に当局の一応の御答弁を願います。  残余の議事は後日に譲りまして、本日の委員会はこれで散会いたします。次回は明日午前十時から開会いたします。    午後五時一分散会