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河野謙三君 善処の材料として私は
ちよつと認識してもらいたいことがある。今の食糧庁の厖大な経理の中で、日通の元請によ
つて運送実績というものは出ないのです、何年や
つても……。で、つかみで駅からの小運送というものを製粉会社の場合には平均何キロであるとか、精麦会社の場合は平均何キロであるとか、
政府倉庫まで平均何キロであるという、いわゆる小運搬をつかみでや
つて、このつかみが私の想像では大体日通の本当に運んでいる実績よりも五割から七割ばかり距離が延びている。これはどうしてもつかめない。ところが少くともそれは全体
はつかめませんけれども、米や麦を農村の庭先から
政府倉庫まで
農業団体にやらしめれば、このつかみが
はつきり出て来る。
はつきり出て来れば、今申上げますように、そこで
政府の食管の輸送距離というものが実績ができれば運賃はいわゆる中間経費として出て来る。運賃というものは非常に圧縮されるわけです。そういうような効果もありますので、ただこれは日通がやるとか、農協の車がやるというだけの問題ではなくて、
政府の負担、又延いては食糧の中間経費の軽減によ
つて消費者の負担も軽減されるわけであります。そういうような大きな
意味をその蔭には含んでおるということをよく御認識頂いて、この問題を考えて頂きたい、こう思うのです。それから根本問題として申上げたいのですが、どうも自動車
局長が要輸送量に対して、それにマツチするように輸送量をだんだん殖やして行きたいと、こうおつしやいますけれども、ところが現在は事志と違
つていやしませんか。というのは、そういう理想に基いてや
つて来られたけれども、実際はもう要輸送量に対して輸送量が非常に厖大にな
つて方々でトラツク業者が引合わなくな
つて来た。それでせめて運輸省では、今まで運輸省の
責任において許可したのであるから、この
責任上、今まで許可した運送会社だけは何とかして庇
つて行かなければならん、こういうことだと思う。これは余り固くならんほうがいいですよ、(笑声)ほかの役所にもあるのですから……。例えば
農林省の場合でも、
農林省が過去において食糧統制をした時代において、精麦会社、製粉会社は皆企業許可によ
つて許可を与えて来た。ところが現在麦の統制撤廃に
なつたら、地方の群小の製粉、精麦会社というものは皆人資本の前に屈服しちや
つて倒れておるにこれは中小企業から見れば、曾
つて農林省からどんどん
責任を以て太鼓判を押して、お前のところは精麦業を許可してやる、こういうことで安心して
政府に縋
つて事業をや
つて来た。ところが時代が変
つて今のような食糧事情にな
つて麦の統制撤廃になると、これらの会社はどんどん潰れて、そうして日清製粉とか、日本製粉とかいう大資本の前にどかどかと倒れて行く。これは時代のこういうような激変の下では起り得ることなんです。勿論これは社会政策的に救
つてやらなければいかんけれども、それらを救うためには国全体の国民に高い食糧を食わすことはいけないというのであえてや
つておるのです。これらのことは自動車の場合でも同じです。つまりあなたのほうでは許可したのです。ところがこんなにな
つてみんなおつぽり出されたのは、これを許可した立場の運輸省に
責任がある。併しながら、そういうあなたのほうのとられたことによ
つて一般の輸送を委託するものが徒らなる一向い運賃を払わなければいかんと、こういうことになる。そこで私は先ほど申上げたように、どうもあなたの理想はいいけれども、事志と違
つて、現在の実態はあなたの理想とはほど遠い、こういうふうに思う。それで私お喋べりはかりしてはいけませんが、この段階まで来たらどうです、そういうような今までの許可とか、認可というふうなことはやめちや
つて、もう一切御破算にしちや
つて、やりたいものはやれと、こういうような時期に来てやしませんか。その要輸送量に対しで輸送量々勘案すると言いましても、何も
計画輸送をや
つておるわけでもないし、厳格な運賃の をや
つておるわけじやないし、決してガソリンの節約にはな
つておりません。だからもうここまで来たならば、私はもう近い将来において、運輸省では今までのものを御破算にして、もう自由にするというようなことは、そこに何か御
意見があるかどうか。若し現在御
意見がなければ、それこそは今鈴木
委員のお話じやありませんが、自動車
局長個人の
意見でありますけれども、今のだぶついておる輸送の実態に徴して、何らかここで抜本的な方途を講ずるというようなお考えがあるか、専門家としての自動車
局長の
意見を伺いたいと思います。