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1953-10-23 第16回国会 参議院 農林委員会 閉会後第10号 公式Web版

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  1. 農林政策に関する調査の件 (会議録情報)

    昭和二十八年十月二十三日(金曜日)    午後二時三分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            清澤 俊英君            戸叶  武君            松浦 定義君            野本 品吉君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農地局長 平川  守君    食糧庁総務部長 新沢  寧君   参考人    農林中央金庫理    事       小野 三郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (冷害対策に関する件)   ―――――――――――――
  2. 委員長(片柳眞吉君)(片柳眞吉)

    委員長片柳眞吉君) これから委員会を開きます。  昨日に引続きまして冷害対策の件を議題にいたします。本日は、先ず農地局長が見えておられますから、今回の冷害対策についての農地局関係説明を求めまして質疑に入りたいと思います。
  3. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) お手許にお配りしました資料が、冷害対策のうちの大きな部門を占めますところの救農土木事業農地関係農林省からの要求でございます。大体の考え方といたしましては、冷害地帯に対しまして、従来の本予算で認められておりますところの土地改良開拓等事業費に対しまして、大体三割何分というような程度の増額を図るということに考えておるのであります。それによりまして、金額にいたしますと、ここにありますように補正要求額として三十八億五千万円余りの要求をいたしております。この費用によりまして、大体冷害地における労力、労賃を落すのが、大体千百万人程度の延人員を使うことができるだろうというふうに考えております。その内訳は、ここにありますように改良関係で約三十億、それから開拓関係で約八億等でございますが、狙いといたしましては、成るべく各村々に仕事が分配されまするように小規模のものに相当狙いを、重点を置く、但し県営事業等におきましても、水路等労力を主として使うような事業で、これによつて同時に工事が完成するとか、或いは相当効果が上るようなものも合せて行いたい。その細目につきましては、この裏に、二枚目のところに土地改良事業県営或いは団体営灌漑排水小規模土地改良等々につきまして詳細書いてございます。即ち県営事業におきましては、約六億五千万円、それから団体営においては六億一千万円、その他小規模土地改良として十一億九千万円というふうに、大体小さいものに重点を置いて考えているわけでございます。これに対しまして、只今大蔵省といろいろ折衝またしておりまするが、閣議のほうにおきましては、農業関係公共事業総額において四十億ということになつておるのであります。なお由落しましたが、これだけを予算に附加えまして、これに関連して農林金融公庫のほうの資金も合わせて要求いたしております。これが大体二十億見当要求いたしておるのであります。閣議決定のほうでは、公共事業関係全体といたしまして、林業或いは漁港等も入れて、全部で四十億という粋の決定になつておりますので、恐らくその資金関係もやはり一般会計から繰入れる分につきましては、この中に含めて考えておられるというふうに思われるのであります。従いまして我々のほうの要求といたしましては、農地関係だけでこの三十八億の一般会計補助金と、それから二十億くらいの資金と両方を要求しておるのでありますが、これが両方合せて、そのほかに林業関係或いは漁業関係、これは僅かだと思いますが、若干加えて四十億程度に圧縮を見る、こういう情勢只今のところあるわけでございます。それからなお大蔵省のほうといたしましては、この中に我々の考えております新らしい事業を起すという以外に、従来の過年度災害冷害地帯に残つておる復旧事業相当額ございます。それを或る程度この事業の中に見込んだらどうかということを申しておるのであります。これも村によりましては、或いはその事業が最も適切であるということであれば、これも一つ対象にはなろうかと思うのであります。そういうことを大蔵省では申しておるのであります。極く概略でございますが、これが公共事業関係冷害対策要求と、それに対する只今のととろの情勢でございます。  そのほかに我々のほうといたしましては、冷害対策一環として農地自作農創設特別会計による買上げ、これを相当額行うことが非常に有効ではなかろうかということを考えまして、案といたしましては、総額三十億、十億を一般会計から繰入れ、二十億を預金部資金等に頼るということに考えまして、三十億程度自作農創設特別会計から農地買上げる形式による融資ということを考えておるのでございますが、これに対しましては大蔵省は非常に難色を示しております。一方農林省といたしましては、営農資金要求というものを百九十億ほどの大きな要求をいたしておるのでありまして、これに対しては利子補給をするという考え方営農資金要求をいたしております。自作農創設関係のほうは、営農資金で賄えるものは賄つて、そのほかにそれでどうしても借り受けられないという場合も想定せられまするので、そういうものに対して、生活資金というような意味において土地担保金融を行いたいというふうに考えておるのであります。大蔵省としては、どうも営農資金をもう少し圧縮して認めて、農地担保関係は認めないというような空気のように伺つておるのであります。これについては目下折衝をいたしております。  それからなお開拓者に対する特別の関係といたしまして、種子に対する助成金を計上いたしております。これは改良局関係種籾その他の部類を一緒にいたしまして、そのうちの開拓者に対する関係としては種籾が七百七十万円、それから雑穀の補助金三千五百万円、それから種馬鈴薯補助金八千二百万円、合計約一億二千五百万円ほどの種子に対する購入補助金、これは大体三分の二補助考え方で、一般農家よりは手厚く、一般農家は大体二分の一補助でありますが、三分の二補助にしたいということで要求をいたしております。  それからなお冬季間の副業といたしまして製炭を行う、これは林野庁のほうで製炭のためのかまどの構築助成金を組んでおりますが、その一環といたしまして、開拓者に対しても補助をしたいというので、約三千百万円ほどのかまどの構築に対する助成金要求いたしております。これらに対しては大蔵省はいずれも極めて難色を示しておりまして、目下のところの情勢では種籾代一部分を見ようというような程度で、その他は認めないというような情勢にあるように聞いているのであります。  冷害関係といたしまして、農地局関係要求いたしておりますのは、大体そういう状況でございます。
  4. 北勝太郎君(北勝太郎)

    北勝太郎君 冷害地の至る所で、土地改良の小規模というよりは、むしろ各自が自分の土地改良するのに費用を出してもらいたい、補助金を出してもらいたいという要求は至る所にあつたのでありますが、こつちは何かそういう取計らいの方法はないものですか。まあ一人々々にすると僅かだけれども、それを皆集めれば何町歩ということになるかと思います。現在の団地三十町歩というのは第一困る。極く小さい規模のものを、まあ個人、一番望むところは個人々々の土地改良できるように、その範囲を拡めてもらいたいという要求が多かつたのです。何とか方法がないものでしようか。
  5. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) その点につきましては、かねてから一般の場合にも非常に御要望がありましたのでありますが、一般論としては、大蔵省の話もなかなか簡単に付きませんので、少くともこの冷害に対する特別の措置ということにして、我々としてはまあ三町歩程度まで認めてもらいたいということで、只今説明しました金額につきましては三町歩までを対象に認めるということで要求をいたしているのであります。併しこれは予想いたしましたように、大蔵省としても非常に難色を示しておりまして、或る程度仕分けをして、冷害に対する特別な一定の金額積つて、この程度存は小さいものを認める、あと一般団体営県営に当るものは一般限度を守る。そのほかに例外的にこの四十億の枠内を一部分をそういうものに充てようというような考えのようであります。
  6. 北勝太郎君(北勝太郎)

    北勝太郎君 その次は自作農創設維持資金が非常に少いですね。あれじやどうにもならんので、その金額をもつと大きくしてもらいたいということができないかどうか、こういう要求を各所で聞いたのですが、とても借金をして一時に貸すわけに行かんのだから、先ず一応自作農維持資金を借りる、まあ別に区切つてしまおう、こういう方法で行きたいという希望があつたのです。今のお話ではどうも余りそのほうに金が出んということですが、将来のためにも現存量金額ではどうにもならん。帯に短かしたすきに長しということなのですが、将来に当つて一つこの金額を大幅に増額して、真に自作農維持の目的を達成するようにさしてやる必要があろうと思うのであります。そういうような御意思があるかどうかということを一つ……。
  7. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) 只今ちよつと御説明申上げましたように、今回の災害対策として、三十億ほどの資金を新たに入れたいということを要求いたしております。これについてはちよつと御訂正申上げなければならんのでありますが、三十億と申しますのは一応水害地も含めて考えておりまして、冷害地の分に割当てますと、これは単に計算の問題でございますが、損害額で割当ててみますと冷害地が十七億ぐらい、それから水害地が十三億ぐらい、こういうことになるかと思いますが、ともかくも三十億ほどの資金をお出ししたいということで要求をいたしているのであります。ただこれは御承知通り、従来の建前自作農創設特別会計の年々入つて参ります土地代収入と、その限度において賄うという建前に従来なつております。その建前から申しまして、本年は約八億五千万円くらいという予算になつているのでありまして、これはそれだけ必要だから八億五千万組んだというのではなくして、財源がそれくらいあるからそれだけの予算にしたという考え方であります。従つて災害に対して到底その需を賄うことはできないとは思つております。併しああいう特別会計でありますが、私どものほうとしては、この際真に新らしい途を開いて、単に一般会計から入れるというだけでなしに、預金部等からの資金繰入れということも併せて考えていいのじやなかろうか。金利関係から申しますと、只今まで会計ではまるまるこの金利が入つて来るという関係になつておりますので、これを一部分預金部等から入れますと、資金に対するまあ利子補給ではありませんけれども、それを計算上入れますと相当安い金利で貸しましても、バランスがとれるということになりますので、必ずしも全部一般会計でなくていいのじやないかということで、要求をいたしているのであります。これは何らかの形で実現したいと思いますが、そういうふうに制度が変りますだけに、大蔵省としても慎重な態度をとつているという状況であります。
  8. 北勝太郎君(北勝太郎)

    北勝太郎君 ちよつと伺いますが、この自作農維持資金を借りて政府土地を売れば固定資産税等はかからないのじやないでしようか。これは若し果してかからんとすれば今年度の冷害の痛手を長年の間に取返すのには大変いい方法一つである。金額は少くても政府に売上げてということも一つ方法じやないかと思うのであります。果してどういうものですか。
  9. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) この固定資産税関係は、只今政府に一遍売りますけれども、すぐ又その個人払下をいたしまして、そして年賦償還で金を出すという恰好にいたしておるのでありまして、やはり農民としても手離すことよりはそのほうが希望のようでございます。政府買上げまして、すぐ又払下をしまして、そうして年賦償還にするというのです。
  10. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 ちよつとお尋ねしたいのですが、これは例えば四十億くらいの金が流れます場合、これは実際問題としまして府県から、冷害地帯から希望がありますと、それに按分しました金が末端に流れて行く、こういう恰好になるのですか。
  11. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) これは大体各県の被害程度等を勘案いたしまして各県に配るということであります。従つて勿論各事業主体でありまするその県のほうから事業計画が出て参ります。併しその事業は到底恐らく四十億では賄えんものが出て参ります。それを査定いたしますのは、やはり被害程度というものを相当重く見ておるのであります。かように見ております。
  12. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 その被害程度ということになりますと、冷害ですから、冷害によつて農家収入がどのくらい減つたと、こういう被害程度なんですか。
  13. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) それを十分考えなければいかんと思つております。
  14. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 そのほかは何に入るわけですか。
  15. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) それはやはり事業でしますから、事業のどうもない所へは金を注ぎ込むことはないと思います。例えば非常に山の手のほうで山林関係のほうの収入に何があるという場合に山林のほうに資金相当出ます。そういうようなところは比較的或いは金が廻るということもあり得るかも知れません。これは具体的に見ないとわかりません。そういうことでやはり事業そのものがなければこれは問題ではない。併し同じような事業が並んでおる場合においては、収入現金収入をできるだけ上げなければいかんというその面から来ております。こういうことであります。
  16. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 そうしますと、その現金収入を与えるということと、それからその四十億を使つて、それでここにありまするように、土地改良やいろいろの工事が行われるわけでありますが、それによつて少くとも農産物がプラスに増産されるというような面と、ですから従来まあ各県からいろいろの農地改良計画がありましようから、そういうものと、金を流します場合にはつきり結び付きをするものには、ただ被害程度に応じまして取りあえずの金を出すんだと、こういうような考え方が主になつているのですが、それが果して来年の増産に間に合うか、或いは再来年の増産に間に合うかという、そういうことを余り考えないというようなことですか。その辺はどうなんですか。
  17. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) これはもとより増産のために必要な土地改良等事業対象にいたすわけでありますから、そういう効果のないものにただ金を落すためにやるということではございません。ただ勿論恐らく各村とも例えば客土をやるとか、或いは排水工事をやるとか、区画整理をやる、そういう仕事が恐らくない村はないと思う。大体それによつて相当増産効果を挙げるという余地が大部分の村においてあるわけだと思つておるわけであります。若しそういうことが全然済んでしまつて、何もないという所に無理に金を落すことはいたしません。而もこういう金額が非常に少うございますし、その程度仕事を有効に、増産効果を挙げるような仕事であり、且つ村としての賃金収入から見ても必要であるというような程度仕事は、この程度金額においては決して賄うのに困らないというくらいあると思います。
  18. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 それに関連してお尋ねしたいのですが、普通のこういう冷害だけでなしに、農業土木関係で言いますと、こういうものに経費が使われます場合には、大体まあその経費事業計画というようなものを見て行つて、その上にただ按分されて流れて行くと、こういうような恰好になるのですか、普通のこういう冷害に対して普通の事業費ですね、
  19. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) これは普通の場合でありますと、かなり厳格でございまして、各地区別の具体的なその工事計画、それによる増産効果というようなものを詳細に設計いたしましたところの計画書を各県から農地事務局に出しておりまして、県営以上でありますと、本省で直接それを見まして、そうしてその計画を認めて参るわけであります。団体の小さい仕事につきましては、これは農地事務局に任しておく、而も農地事務局のほうで技術官がおりまして、その一つ一つ計画の当否を査定して、それによつて認めて参るわけであります。
  20. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 そうしますと、それは農林省あたりで言われております増産五カ年計画とか、十カ年計画とかいうようなものと、そういう仕事を現にやつておりますものと、かつきり結び付いておりますかどうかということなんですけれども、と申しますのは、最近新聞なんかを見ますと、公共土木事業既定経費節約できるものがたくさんある。これを何と言いますか、完全に使われている面がないのだ、その面が一番節約になるのだというような財界あたりも見方をしているわけですね。それは一体どういうところに根拠があるのですか。私は了解に苦しむのです。少くともそういう計画に結び付いて効果的な計画を以て流されておるものでありますれば、或いはそういうことはそう論議の的となるようなことは考えられん筋合のものじやないかと私は思うのですが、どういうことなんでしようか。
  21. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) その点はしばしば問題になりますのでありますが、恐らく只今申しましたような非常に厳重な査定を経ておりますので、それが全部五カ年計画一環をなしておる。これについては私は少くともその金が不正不当に使われておるということはもう絶対にないと、これは会計検査院等の話をみてもそういうことはございません。ただ比較的会計検査等の場合で批難を受けますのは、災害復旧関係が非常に多いわけでございます。災害復旧は御承知のように突発的に非常に大量に出て参るわけでありまして、これに対して技術官はそうたくさんおるわけじやありませんから、査定の場合にも本省農地事務局から現場査定しますのは、大体地区の二割程度しか見ないわけであります。而も復旧に急を要するのに金が非常に出ないという関係で、只今つておりますやり方は或る程度まとまつた大きな所の現場査定をして見て廻る。それが大体二割見当の所を見て廻る。そうしてあとの八割は県から出て参りましたものを、その二割で県の要求査定との比率をかけまして、そうして県の要求を推定して出すというような形でやつております。これはどうもその事柄の性質上、或るときには非常に突発的に多く出て参るというようなことから、これに即応する人間を備えておる。而も事柄は非常に急を要する問題で、改良工事を施し、丹念にその査定調査を検討する余裕がないということのために、時としてその査定がルーズになりまして、現実にはそれだけの地元が負担すべきものを負担しておらない、或いは工事自体が簡略にされておる。こういう弊害があるやに聞いております。それから今一つ改良方面で、これは私どもも非常な欠点だと思つておりますのは、予算というものが毎年々々の予算だ。一つの非常な大きな工事に対しまして、一体何年間に総額の金が使われるかということはきまつておらない。而も一方毎年新らしい地区を採用することについては各地から非常に猛烈な要求が出ているわけです。これを全部無下に断わるわけにも行かないといつたような実情もありまして、予算が実際に採択している地区にうまくマッチしていない。そのために工事そのものは正確に行われておりますけれども非常に非能率である。金の使い方から見ますと、中には十年も十五年もかかつて電源開発等であれば三年ぐらいでやつておる仕事を十年も十五年もかかつておる。予算がないからやむを得ずやつておる。場合によつて工事の途中で災害が起るとか、いろいろ起る。それからんにしましても、資金そのものは非常に非能率である。それから例えば請負にいたしましても、一体金がいつ、幾ら来るかということがわからないから、或る程度安全を見なければといつたようなこともあろうかと思います。そういうような予算の付け方も、民間の事業のように全体の資金というものをちやんと用意しておらんというところから来る非能率ということについては相当非難があるようであります。この点につきましては、私どももそれはその通りだと思いますので、これに対しては大蔵省に対しても、或る程度事業に対しては継続費としてちやんと何年に幾らという金を付けるということで、継続費ちやんと付けてもらようにしてもらいたい。そうしますれば、当初からその全体のものが三年なら三年、四年なら四年ということで終るということになりますと、只今申しましたような非能率の点が防げると思います。そのほかに工事そのものに関しましては、少くとも改良方面についてはそう非難すべき事柄はないのじやないかと、かように思つておる次第であります。
  22. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 細かい点ですが、私はこれがわからないからお尋ねしたのですが、殊に地方行つて見て参りますと、悪いところばかり見せられるせいか、やつぱり取りあえず暗渠排水とか、或いは客土によりまして、今までの二割乃至三割はすぐ増産できる、そういう仕事でありますれば、冬でもできるというような簡易なことで案外すぐ来年の増産になるような地帯をよく見せられるのですが、今頂きました資料のうちでも、府県営灌漑排水或いは団体灌漑排水というものの中には、これらにはやはりああいう暗渠排水なり、客土というようなものまでも含まれておりますのですが、ただ小規模土地改良暗渠排水客土というものは非常に金額が少いわけです。
  23. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) これは府県営灌漑排水の中には客土とか、そういうものは入つておりません。これは小規模土地改良の中に入つておるわけであります。併し御覧のように、この小規模土地改良は全体の中の十一億ほど占めておるわけであります。今回の災害対策としては特に小規模のものに重点を置いておるという考え方にいたしておるわけであります。
  24. 宮本邦彦君(宮本邦彦)

    宮本邦彦君 この間官房長説明があつたのですが、既定経費天引一割して、そしてまあ節約をした。それを一部分こちらに向けてやるという話があつたのですが、既定経費天引一割、これは農地局のほうでは地域的にはどんなふうに考えておりますか。地域的或いは事業種類別、細かいことは別です。
  25. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) 経費節約につきましては、実は私どものほうとしてはもとより反対をいたしておるのでありまして、現在まだ大蔵省と争つておるわけであります。大蔵省のほうでは一割ということを言つておりますが、私のほうはそうはとてもできないということでまだ争つておるわけでありまして、全体として政府として何がしかの節約をするというのであるならば、これは或る程度応ぜざるを得ないと思いますが、一割ということはとてもということで今折衝いたしておるわけであります。従つてそういう状態でありますので、まだ地区別とか、事業別にどうするかというところまで考えておりません。実はこれはその節約をしても支障がないというようなところは実はないわけであります。各係が集まつて相談をいたしますけれども、とにかくこの分は節約いたしていいというところは出て来ないわけです。結局はどうも無理やりに押し付けられれば、無理やりに押し付けて按分的に節約するより仕方がないのじやないか。ただ若干冷害地のようなものについては考慮を要するかと思いますが、併し今年のごときは実は各県とも何かの災害を受けておるのであります。どこの地方を削つて、どこの地方を削らないということもなかなかやりにくい状態だというふうに考えております。
  26. 宮本邦彦君(宮本邦彦)

    宮本邦彦君 これは局長あたりは実際問題として、皆各課があり、課長が相当主張するのでむずかしいと思います。思いますけれども凶作対策費と言いますか、冷害地対策費が今の模様じやそんなに余計出ておりません。従つて局長のところでは筋の通る立場で以て正確を持たせなかつたならば、一割天引きということが無意味になるのじやないか。私はそういうふうに考えております。そこでお尋ねしたいのですが、先ほど局長の御説明に、各府県から先ず希望をとつてというようなお話があつたのですが、私はもう今年事業希望をとるとか、事業計画書を出させるとかいう時期は過ぎているのじやないか、今更そんなことをやつておいでになるのでは結局凶作対策にならなかつた。取りあえずの凶作対策ということの問題のほうが私はむしろ重大じやないかというふうに考えられるので、凶作対策にはならなかつたというような土木事業では困るのじやないか。むしろ昭和の初め頃やられたような時局匡救事業ですか、ああいうような形で以て凶作地帯にはやはりやらせるべきだ、急速にやらせるのだというような態勢をとられる必要があるのじやないか。従つて農林省のほうは統計調査部もおありなんだし、先ほど局長の御説明のように小規模土地改良程度のものならば、全国至るところの農村に行つて事業がなくて困るというようなことは恐らくないのじやないか。それならば或る程度の要綱見たようなものを御決定になり、そうして予算のきまり次第すぐ使わせるような御準備が私必要じやないか。そのほうが本当の凶作対策じやないかというように私ども現地を視察して参つた結果考えられるわけです。まあその点は意見になりますが、一応だけ申上げて、局長のあとは御裁量にお任かせいたします。  それからもう一つ、これは官房長から、今度の資金はまだ大蔵省と事務的には何らの折衝もしていないというようなお話でございますけれども、私は今白井委員からもお話があつたように、土地改良事業なんかにえらい世間で言うような不正だとか、或いはそういうことは私ないと信じております。まあ個々のものにはたまにはあるでしようけれども、全体的に見て、私はそういうものはないのじやないか。むしろ恐れることははつきり申上げますけれども、ふだんでも農村は現金支出による地元負担というものはこれは非常に農村は嫌つております。実際できません。ところが融資の面で今まで八割は出すと、こういうことを実は聞いておつたのですが、現地へ行つて参りますと、実際は八割出ていないのです。これはもう中金あたりから来て査定して、ぎりぎり地元負担分の半分も出ていればいいほうでもつてあと地方で現金負担をせいというようなことがどうも大部分のようでございます。従いまして農民はそのあとの地元負担分の半分というものを出せないものだから、それを非常にルーズな形で以て、労力で以て提供したとか、場合によればそれが一面不正になるのじやないか。請負関係で以てそれだけは作つたというようなこともままあつた。今度の場合は凶作なんだから、特に私はこの融資の面だけは至急農林省としても対策を立てられ、そうしてむしろ賦役のような形で以て地元の労力を出すというような形をとらないで、大体において融資で賄うのだというような形を今回だけはとる必要があるのじやないか。それに対しては私は従来よりももつと経理の監査と言いますか、それと技術の監督と、経理の監督と、この二つを厳重にやつて頂いたほうがいいのじやないか、何かそういう点で局長お考えになつていることがおありだろうか。承わりたいと思います。
  27. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) この仕事が凶作の対策に間に合わないというようなことについては実は私どもも非常に心配をいたしておるのでありまして、今回の措置については特に迅速に或る程度の目度で各県に金を配つて行くようなことにいたしたいというふうに考えております。それから資金の問題につきましては、これも殊に今回は凶作地帯対象にいたしておりますので、従来の資金よりも手厚く見ておる。従来の資金限度は自己負担分の八割ということを限度にいたしておりますけれども資金源としては平均すると六割くらいしか資金源がない。そこで村によりまして、自己負担のできそうなところは場合によつては五割しか借りられないところもある。非常に窮窟なところは八割一ぱいまで借りることはできるという途が開かれておるわけです。今回は平均八割まではみるということにいたしております。資金源としても手厚くやるようにいたしております。
  28. 宮本邦彦君(宮本邦彦)

    宮本邦彦君 補助金は今回は予算補助の形で流しますか、それとも従来のような決算補助の形をとられるのですか。
  29. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) 補助金の流し方の形式は従来通りと一応考えております。
  30. 佐藤清一郎君(佐藤清一郎)

    佐藤清一郎君 先ほど延人員百万人になるというような御発表でありましたが、一人当り労賃は今どのくらい一見積られておりますか。
  31. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) 一人当りの労賃は北海道が三百五十円、内地は二百五十円乃至二百三十円くらいというふうに考えております。
  32. 佐藤清一郎君(佐藤清一郎)

    佐藤清一郎君 今回の町村に割当てる補助率はどういう補助率によつておやりになるお見込みですか。
  33. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) これは開拓の建設工事等は従来から全額でございますから、これは問題ございません。それから府県営事業については五割補助、これは従来の通りであります。そのほかの団体営の小規模のものが一番問題でございまして、これは従来ものによつて違いますが、三割見当のものが多いわけでございます。ものによつては四割になるものもございますけれども、四割乃至三割、或いは農道のごときは二割補助という低率の補助になつております。これは従来の一般のやり方はそうでありますが、これでは凶作対策には不十分であるという意味においてこれを五割に引上げたいということを要求いたしておるわけです。
  34. 佐藤清一郎君(佐藤清一郎)

    佐藤清一郎君 そうしますと、団体へも……。
  35. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) 全部五割ということに要求いたしております。これについては大蔵省は非常に難色を示しておりまして、何か極く特殊の場合だけを高率にすることにして、一般原則はやはり従来の通りにしたいということを大蔵省は考えておるようであります。なおこれについては折衝をいたしております。
  36. 佐藤清一郎君(佐藤清一郎)

    佐藤清一郎君 この団体営についての補助率でありますが、その補助率然結局五割くらいの補助率がない限りは非常な凶作によつて、町村においても、或いは個人においても今回の収入が非常な減がされておりますから、団体営にしても、町村のほうは主体になつてやることにしても、町村は税金さえ納まらんというような悲惨左状態にも追い込まれるわけでありますから、これを従来のような補助率の率を以てやるならば殆んど役に立たんということが言えると思います。そこで極力局長の政治刀を以て、農林省として是非これを十分に利用せしむるというならば、やはり五割くらいまでに補助率を引上げて行かなければならんということに私はなると思います。そこで五割に引上げるということになりますと、この計画されました小規模土地改良の面積についても、事業量が二万二千六百七十三町歩、それから暗渠排水が二千七百八十五町、或いは客土が三千町歩近く、それから区画整理が二万七千町歩、それから農道のごときは僅かに五百三十五キロメートル、これはほんのまあお座なり的なキロであつて一つの県だけでも五百三十五キロぐらいでは到底農道のこの希望に応じられない、私が考えるのに、一番多くの希望を満たされるのが農道ではないかと考えるのです。それはどういうところからそれが言えるかというと、今回行われたところの凶作対策になる県というものは殆んど冬季凍結して仕事にならない。従つて農林省がいろいろな計画をされましても、急速に仕事を行えるのは春先になつてどうにか仕事ができるような、雪解けの、凍結が終つた後において急速に仕事ができるような事業がめぼしいことになるだろうと思うのです。そういうことになるというと、区画整理なんというものは、区画整理をしたがために今年は凶作になつて困り抜いている。いわゆる植付けが遅れて困り抜いているところもあります。従つて凶作というものにこりている面も相当ありますから、急速に仕事のできるという農道というところに着目されるだろうと思います。でありますから、こういう計画は本当に農民がどういうところを希望するかというところに十分金が使えるように、みんなの農民の希望するようなところにお使い下さることを切にお願いする次第であります。それからもう一つ、今日まで土地改良その他において、相当事業を行なつた者に対する農林省の監査が行われまして、この監査が誠に残酷極まりないところの監査でありましたがために、もう二度と再び孫子の時代まで土地改良をさせないと悲壮なことを言うた者もあるのです。それはどういうことかというと、僅かに二割や二割五分や三割の補助金しかくれないで事業を行わしておいて、それつばかりの金で以て、その内容というものは深刻な罪人扱いにした監査をやつておる。これはもう隠れもない事実であります。勿論政府の金を、国民の税金を補助するのでありますから、或る程度の監査をされることは当然でありますが、百姓はこれは経理に極めてノールスで、もう殆んど経理観念はない。毎日の働きを終えて疲れて来れば自分の家の経理内容さえもつける時間がない。体が疲れているからつけないというのが現状です。そこへ持つて行つて青色申告だの何だのと言うから、いろいろな問題が出て来るわけですが、いずれにしましても、そういうような能力のない農民にいろいろな領収証から一切の収支計算要求し、そうして自分らの労力奉仕や労力というものも或る程度賃金にかけて事業を遂行しているのが今日の現状であります。それを農林省が非常に窮屈な監査をしているということは、これは土地改良事業を促進するという上において非常な私は障害となるのじやないかと考えます。そういう意味において、今回のいわゆる救農土木を行わせようとするときに、従来のような考え方でやるかどうかということを私ははつきりと、ごまかすという意味じやなくて、五割しか補助しないところの計画でありますから、できる限り農民のやり得るような指導監督にしてほしいというのが私の希望であります。こういうことにつきましても局長の一つお考えを伺いたいと思います。
  37. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) 只今の耕作地帯に対する事業としては、殊に小規模の改良事業について低率補助では実行が無理である、これはもう私どもまさにその通りに考えるわけであります。ここにお配りしました資料要求額もこれは五割補助を前提として考えておるわけであります。ただこれにつきましては、先ほども申しましたように、大蔵省としては非常にまあ難色を示しておるということは、大蔵省としては、これが一般の例になることを非常に恐れているわけであります。併し私どもはこれは一般の例とは全然違う、つまり凶作対策として現金収入を落そうという場合であるから、これを以て必ずしも一般の例とはしないということで、是非今回の分だけは五割補助を認めてもらいたいということを折衝いたしておるわけであります。それからなお監査のお話がございましたが、これも恐らく農林省の監査でなくて、会計検査院の検査ではないかと思うのでありますが、実は全国的に会計検査院がかなり厳しい検査をいたしまして、会計検査院のほうから実は私のほうへは非常な批難事項が上つて来ておりまして、各県の検査が非常に合格率が少い、県によりましては、もう九〇何%落第であるといつたような通知があつたのであります。これはもとより会計はきちんとしなければならんのでありますが、今回のこういう場合に、お話のようにそのために実際仕事ができないということになつては何にもならんわけでありますから、私どもとしましては、今回のこの事業の選定等に当つてはできる限り農民の希望する仕事をやるということに、農村のほうで実際これならできる、これをやつてもらいたいというものをできるだけ取入れられるようにということで、大蔵省に対しても一応こういう費目別の予算を挙げましたけれども、この間村の希望によりましては、これを彼此融通せしめるようにしてもらいたいということを今申入れておるような状況であります。
  38. 佐藤清一郎君(佐藤清一郎)

    佐藤清一郎君 御意見を承わつて大きに安心しておきますが、更にこの金額では到底私はなし得ないと考えるのです。救農の土木事業を興すという意味でありますならば、もつとここに大きく計画をされるように最善の努力を希望いたしまして私の質問を終ります。
  39. 清澤俊英君(清澤俊英)

    清澤俊英君 同じようなことになりますが、昨日も大臣に申上げましたが、実際凶作地帯救農土木事業をやるとしてもいろいろな今の法規に仰えられて山間地帯はやつておりません。それで団体事業にしても三町歩以上にしてくれとか、或いは五歩町以上にしてくれとかいうことを非常にお願いしておることは御承知通りであります。それで現実の収穫皆無地では負担金等が或いは無理でないかと思つております。それで今も宮本さんも佐藤さんもおつしやつた通り、この地帯のやつはやはり特別の御考慮を願つて、近所の山からでも何でもいいから、お前らが大体一人一荷どれくらいという金を基準にして、その範囲で客土を入れるとかいうような方法で、大体全額国庫負担で労賃だけがもらえるようなことを考えてもらわんと工合がうまく行かないと、こう思うのです。これは何とかそういう方法を講じて頂くか、それでなければ寒帯法ですか、寒冷地のあの特別法ですな、あれを改良して、三町歩以内のものにもすぐ補助金が出るような方法でも講じてもらわんければ、実際できないのです。一番ほしいところができない。米も一年延期で借りて食つておるというようなところで、自己負担、こちらで無理なところへ、そんなことを言つてもとても間に合わん話ですから、これは一つ、昨日は大臣はそういうところは特別優先的に考える。考えてみたところが、する方法を持たなかつたら考えても何にもならない。従つて実力のある相当その地帯から見れば優勢な村落のほうへ事業が流れて行く。これだけが潤おう。これは非常に矛盾した話だと、こう思うのですが、これはどうしても凶作地帯の本当に収穫皆無地という所は、これを一つ特別の取扱いにして近所の赤土でも何でもとつて客土をやり、或いは農道を直したらいいじやないかというようなものがありましたら、こんなものは全部それくらいのものは自家労働力でできるですから、従つて失業対策の今事業をやつておりますように、賃金が仮に内地が二百五十円としましたら二百円でもいいと思うのです。場合によつたら話合で百七十円でもいいと思うのです。そういうふうにしてでも事業を流すような特別に御勘案がなかつたら、この地帯は本当に困る。そうして昨日も大臣に申上げましたですが、私はこの間信州の湖南村というところへ行きました。毎年百二、三十人ずつ静岡へ「みかん」もぎに行く。今年言うて来たからというので知らせますと千人集まつた。年々の百何十人集めるときは村で以てよほどの奨励をしなきや集まらんが、千人黙つていて集まつた。ところがどの村でもそういう情勢なものですから、職安のほうからまあそう百人は上げられません、今年は二十七人にしてくれ。応募は十倍になつて、実際の割当は四分の一に減つた、これが現実なんです。まあ外へ出ても悪くない、金がとれれば……。食うだけ食い繋いでおけばいいという心理状態になつておる。それほど窮乏したものに今のやり方では絶対に仕事は行かないのです。私はこれは間違いだと思う。ここのところだけは是非一つあなたのほうからもやつて頂きたいし、県でも今新潟県からその陳情で十数名参りましたけれども大蔵省行つてその話をしようと思いましたが、ストライキで入れませんから、明日行くということで帰つて来ました。これは必死に動いておりますから十分の御考慮を願つて、これは負担金なんと言わないで、事業分量で付けて、大体労働力でできる仕事を、而も手早く雪の上でも急いで仕事ができるとか、或いは十二月の中旬までにできるというような手早い仕事を、金の額は言いません、一村大体二十万円くらいでいいと言つておりますから、それくらいで繋いで行かれるのですから、あとのことはあとで考えてもいいのですから、これは何とか特別の御考慮を願いたい。
  40. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) 今のお話の点は、結局先ず事業対象を従来の二十町歩以上とか何とか言つていたのでは話にならない。その点は先ほども申しましたように大蔵省と折衝いたしております。大蔵省がなかなか難色を示しますので、まあこの点だけは強硬にやりたいと思つております。それから補助の額につきましては、やはり五割なら五割というところまで一つ是非上げてもらいたい。余り少額の補助では実際仕事にならない。せめて五割に上げまして、なおそのほかに残りの八割まで資金を出す。多少或いは労賃を我慢してもらうとか、何とかいうことによりまして仕事をやつて行く。これは結局ほうぼうから借りる金が若干入りますけれども、これもとにかく一時営農資金を借りたような恰好になるわけであります。それと継ぎ足しまして、取りあえず労賃収入を与えて行くということにいたしたい思います。なお先ほどもちよつと申しましたように、この予算がきまりますれば、およそこれの割振りに当つて被害程度というものを考えまして、お話のような、山のほうで非常に被害があるのに仕事はちつともできないということのないように、そういうところには何かあるに違いないのだから、およそどの程度事業がやれるのか、予算面から見てこの程度のものはやれるなら何か考えなさい。これらの費目のうち何でもいいからというようなことにいたしましてやりたいと思つておるのですが、ただこれについては今のこの細かい費目別の金額というものは、一応予算でありますから組みますけれども、村の希望によつては彼此融通させるようにしてくれということを大蔵省に申出ておるわけでございます。それができますと、その点がよほどよくなるのではないかと思います。
  41. 清澤俊英君(清澤俊英)

    清澤俊英君 私は陳情団が来ましても、この問題に限つてあなたのほうへ行きませんから、大蔵省だけへ行つて、もう一つ官房長官あたりにわあわあ言つて押掛けますから、あなたのほうへは行きませんが、忘れたと思つたら大変な話です。(笑声)
  42. 雨森常夫君(雨森常夫)

    ○雨森常夫君 救農の土木事業に関連して水害地の救農ということについてお伺いいたしたいのですが、元来冷害地災害復旧費がないから救農土木事業を起す。水害地復旧事業補助金、国費が出るから、それで賃金がとれるというような考え方であろうと思いますが、御承知のように本年の水害は何百町歩、何千町歩というような大面積の収穫皆無の地域が相当各地にある。そのようなわけで、承わりますれば本年度の予算では全体の一割七分くらいしか復旧費がないというようなことで、かような土地については農民は非常に困るだろうと思う。この点について何かお考えになつておるのかどうか。
  43. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) この一割七分か、六分か、そういうような見当金額になつてしまうというようなことについては我々も非常に不満を持つておるわけであります。ただ全体として三百億、水害地方面復旧に対して全体の予算三百億ということに閣議できめられているわけであります。そういたしますと、おのずから建設省方面、又農林省方面災害復旧費の関係は一定の損害額に対する比率で計算が出て参りますので、どうもそれに従わざるを得ないかと思つておりますが、ただ具体的な水害を受けました地帯に対する復旧事業費としては、今の冷害対策で行きますよりは、よほど大きな金額が当該の村に行くと思います。被害程度によりますけれども復旧費としてはかなりやはり狭い範囲に金が行きますから、冷害のほうは総額が仮に五十億ありましても非常に広い範囲にばら撒かれますが、水害のほうは当該の被害を受けた村というものにかなり集中的に金が行くわけであります。極端な例は、例えば干拓地の堤防が切れたものなんかは全くほかに仕事がない、そこでこれはどうしても、できますれば復旧仕事に或る程度従事して労賃をもらうということにならざるを得ないと思います。これなどは相当の額に上りますから、恐らく仕事に出られさえすればそう賃金を得る機会に恵まれない、全く仕事がないという状態にはならないのじやないかと思います。まあ仮に十六、七%でありましても、当該の被害者に割つてみますと、これは相当大きなものになるというふうに考えております。
  44. 雨森常夫君(雨森常夫)

    ○雨森常夫君 これは希望でございますが、今局長のおつしやるのは、総括的には大体そういうふうに私も考えますが、一つ一つの場合をとつて考えますると、非常に大きい面積で収穫皆無になつたにもかかわらず比較的復旧費のないところがある。そういうふうなところは特に平均して一割六分ということであつても、事業費を勘案せられまして労賃が落ちるようにして頂きたい、又水害地の特殊な場合におきますと復旧が今年できない場合がある。又来年植付ができないというものが相当面積出て来るはずであります。今度の予算のように僅かな予算で年度割で行きますと、そういうふうなものが非常に出て来る。そうしますと、何もとれないということになると、むしろこれは冷害地より倍の困窮を来たすというように考えますので、予算を割当てられますときに、そういう特殊なところに、いわば復旧費の比較的ないところで、而も収穫皆無であつたというようなところは特にお考えを願いたい。
  45. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) それはまあ私は先ほど一般論を申上げたわけですが、確かに部分的には比較的復旧事業が割合に少くて収穫のほうの被害は非常に大きかつた、これは確かにあると存じます。これに対してはもとより復旧費は当然参りますけれども、そのほかにやはりこれは営農資金でありますとか、いろいろな措置よる部分も手厚く考えなければならんと思います。
  46. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 ほかの委員から大体御指摘になつた点で重複するのすが、特に今度の救農土木のうち一番農家が手取早くやれるのは暗渠排水だとか、或いは客土とかいうようなものだと、こういうふうに思いますが、その場合にできるだけ集団的にやれるということはいいことであるけれども、大体において今までに計画もでき、或る程度の線はそこに持つて行けると感じている地帯が多いだろうと思います。代つて今残つておるのは先ほど清澤委員から指摘されたように、食管法で規定されていないもの、特に北海道等におきましては、これは恐らく水田も畑も同じような考え方のこれは予算だと思うのですが、この数字で見ますると、恐らくこれはもう何百分の一くらいしかないと思うのです。従つてそういうものを少ないから集中的にやるということは、全体から言えばそういう説は出ますけれども、今度の事態から行きますると、やはり自分の土地を自分の手でやる。もうできるだけそういうことが好ましいのであるので、これはもう例えば一町でも、二町でも、そういうふうなものができるということになれば、当然やるということにこれはしてもらわにやいかんと、こう思います。局長のお話のように、大蔵省がそれをというようなお話がありますから、特に私からもこの数字を見まして恐らくこの配分に困つてしまわれるであろう。若しこれがこのままでやりますと、全体から浮ける印象というものは、これは冷害対策にも何にもなつていないというようなことになつて、これは政治というものはそういうものかという一つの非難を受けまするので、この際私は、やはり最も困つておる地帯、いつでもやれるような地帯というものは、来年度でもやれますが、こういうものはこういうときでなければ、災害についてのものはやれないのでありますから、特別なときだけに、集団地以外の小さいものはこの際でなければやらないということになれば、これは恐らくこういう集団的な地帯を持つておるものは、何か別な形で恐らく私は一年くらいの間で何か出て来ると思うのです。例えば米の場合でも、雑穀の場合でも、そういうような集団的な地帯は比較的、たとえ少しでも余計とれておるというようなゆとりもないわけではないと思いますが、こういう程度一つ今度の補正予算の組み方の性格上から言つても、どうしてもこれはやつて頂かなければならないと思います。そういうふうに一つして頂きたいと思います。それから今申し上げましたように、非常に北海道の数字を見ましても、まあ非常に少ないという点から、この点について今調査中ではあると思いますが、大体畑と水田との割振り、更に又今のそれが通るということになれば、すぐ間に合うようにやるためには、それはすででにいろいろ調査をされておると思いますが、そういうふうな状態等がわかりましたら、一つ説明願いたいと思います。
  47. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) この小面積のものを手取早くやらせるということが重要であるという点については、これは全く御同感であります。先ほど申しましたように、実は大蔵省とこの点が一つの非常に大きな争点になつておるわけであります。大蔵省も若干はこれを認めなければならんという気持にはなつておりますけれども、又全面的に小規模に均分にやることにはまだなつておりません。そこのところを今折衝いたしておるようなわけです。なお全体としての金額が非常に少いので、私は只今畑或いは水田別といつたような何を持ちませんが、大体の考え方といたしましては、これは主として凶作地帯に対して労賃を落すということが目的であるわけでありまして、従つてこれの配分等についても、やはり損害の状態というものを大きな要素として考える。それに即応する仕事というものは、恐らくどこの地帯にも何かあるだろう、必らずこういう小規模の土地改良事業として何かがあるに違いないというふうに考えますので、大体の割振りを損害の程度に応じて、つまり従つて賃金収入を与えなければならん程度に応じまして、そうしてその具体的の仕事についてはできるだけ制限を除いて、小規模のものまで認めるということで、それから種類を自由に選ばせる、そういうことによつて目的を達する。そのためにはこの各種目別の金額というものについては、或い程度かれこれ流用することを大蔵省に認めさせたい、かように考えておるわけであります。
  48. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 そうしますと、大体それで私は現段階においてはやむを得んと思いますが、今先ほどお尋ねいたしましたように、この調査ですね。その被害程度によつてそれは決定するというのですが、その被害程度調査するのが、大体いつ頃か、特に北海道等は御承知通りもうすでに今月には必らず雪が降るのじやないかというような予想もありまして、その調査が余りにもかかつてしまつて、その結果は自分のところが何にもできないということになりますと、又別の面でいろいろ資金対策の面も考えなきやならんと思いますが、そういう調査を最大限にいつ頃までに完了する予定ですか。
  49. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) これはおよその見当が付きましたらば、早速各地方と連絡をとつて実施いたしたいと思つておりますが、大体のところはこの統計調査部のほうの資料等にも出ております。大体の大見当はそう狂わないかと思つております。ただ北海道のように畑作地帯相当大きく、やや特殊事情がかありますので、こういうものについては、成るべく早い機会に大蔵当局と連絡をとりまして、具体的にきめて参りたいと、かように考えております。
  50. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 それからこの下の次に馬橇客土というのがあるのですが、当然雪が降らなければできないあれで、非常に適切なあれだと思うのですが、これも非常に少ないと思いますけれども、ただその採土個所ですね、これは何か河川か何かでよく廻れる地帯はいいのですが、そうでない場合は、大体十勝等におきますと非常に広い。従つて川へは遠いし、山へは遠い。それで一番いいところは高地の防風林があるわけです、国有林が……。で、そういう個所、やはり若しこれが払下の予定地になるという、そういう形で非常にやむを得ん場合は別としまして、これは将来払下げしないのだというような地帯であつたならば、あれは五寸や六寸とりましても、これは何百年と溜つたものですから、何らその水の被害に対する問題は何もないわけです。そういう地帯が非常に多いわけですが、そういう地帯もやはり採土地としての払下の指定をされるかどうか、こういう点は必らずこれは問題になるかと思うのです。こういう点若しおわかりになつたら……。若しわからなければ御研究を願つておきたいと思います。
  51. 説明員(平川守君)(平川守)

    説明員平川守君) 只今の点、私まだ考えておりませんでしたが、林野庁のほうともよく相談をいたしまして、成るべく便宜な方法を、手取り早くこの仕事ができるというために必要なことはすべてやつて参りたいと思います。
  52. 委員長(片柳眞吉君)(片柳眞吉)

    委員長片柳眞吉君) なお御質問があろうかと思いますが、時間の都合もありますので、次に松浦委員等からの御要求で、農林中央金庫側の出席を求めておりまして、只今農林中央金庫の小野理事と、沼部審査部長の御両名が出席されておりまするから、営農資金その他につきまして御質疑をお願いいたします。
  53. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 これは中金のほうの関係は、河野委員がおられんとどうも本当の点は衝けないような点だと思うのですが、私は率直に、今年の冷害地のために、今までにないような金融政策をとつて頂かなければ、今日まで中金がなされて参りましたことが、本当の農民のための中金だというような考えが立たない。従つてまあ恐らく前回の委員会で自治庁のかたがたからいろいろ私どもが聞きましたところによりますと、その当時にも三百億くらいの金は地元の要求があれば何とか処置できるといつたような財政である。従つてこれが十月、十一月になりますると、供出代金が入つて来ることによつて或いはこれが八百億、或いは一千億になるというようなふうに私どもは考えておつたのですが、こういう状態でありますと、恐らくそういう結果にはなつて来ない。従つて中書体としてもいろいろ資金繰り等で面倒な点が出て参ると思いますが、それはそれだけに末端の農民といたしましては、なお中金に頼らざるを得ない点だと思うのですが、すでに御承知のように、政府政府の金をいろいろな形において今度の凶作対策に廻すといたしましても、なかなか農民の要望するまでには参らん。従つて中金といたしましては、やはり何とか自己資金をできるだけ凶作対策になるような形に一つお廻しを願いたい、こういうのが我々が調査に参りました地帯のいろいろ農民の希望なんです。そこでそういうふうな先ずお考えがあるかどうか一つお伺いいたしまして、次に又二、三の点について質問したいと思います。
  54. 委員長(片柳眞吉君)(片柳眞吉)

    委員長片柳眞吉君) 関連いたしまして……。基本の条件として凶作で余裕金というものが、普通であればこれから余裕金がどんどん殖えて行くだろうと思いますが、こういう極端な凶作で、半面では貯金の払戻しはむしろ殖えているし、米の代金が非常にない関係で、例年と比べて農林中金の資金状況も苦しくなるのではないかと、こう思うのですが、そういうような見通しと、従つて営農資金等を、例えば相当巨額な要求になろうかと思いますが、どの程度までこれをこなし得るか、そういうような点につきまして併せて……。
  55. 参考人(小野三郎君)(小野三郎)

    参考人(小野三郎君) 中金の最近の金繰り等も併せて、お尋ねの点をお答え申上げたいと思います。委員長の今のお話にありましたごとく、重なる災害で今年の中金の金繰りも必ずしも予期したように行かないのではないかというお話がありましたが、最近の動きは、皆様先刻御承知のように供米に関連する金が中金の秋口の増加の対象をなしておりますので、昨今の供米の遅れております事情がそのまま中金の資金繰りにも反映いたして来る、農手の決済の速度の問題、中金の預金に歩留ります足取りの状態等は昨年に比べて劣つておるのであります。組合金融と申しますか、中金なり県の連合会、末端の町村の単協、これは総称して組合金融と申しておるのは御承知通りでありますが、末端農家の春以来の冷害に至るまでの災害で、来春の営農着手前からの資金が、これは本年あたりに比べて一段と困難を極めるのじやないかという、予想のもとに、金繰りなり諸般の対策を今日から考えておるわけであります。そういう最中におきましても、こういう事態に当つてこそ私どもの全力を傾注すべきものである、こういうふうに考えております。国会等で御立法頂きまして、本年先ず当初にやりましたものが凍霜害でありますが、これの最近組合金融における取扱の実績がわかつて参りました。御承知通りあの法律は九月末を以て貸出を打切る。中金の段階で、細かい端数は申上げませんが、約八億中金みずからが貸出しました。御承知通り組合金融は信連がこの措置をやるといたしますと、それは中金に借りに来るか、若しくは中金に預けておる金を引出して信連が組合に貸付をする。短期は共通なようなことになるわけでございます。では信連の自力でやるもの、それは中金の預金の減少という形で現われて参ります。凍霜害の、或いはそれ以来の災害関係の立法は農林中金なりその他の金融機関が出したものについて補助をし、その半分を国が補助するというあらましの線になつております。この線に沿つて、凍霜害で申すと、信連の段階で十億見当を信連が自分の金で出す。先ほど申した中金の八億と合せて十八億というものが、凍霜害法律の中に二十億を予定されておるもののうち、両者合せて十八億が貸出しの実績として最近わかつて参りました。次いでの法律に基く資金は第二号台風、これは法律のほうで四十五億が予定されております。これが取扱いは本月、十月末日を以て貸出を打切るということに法律の上ではきめられておりますが、丁度災害の最中とは申せ、供米期に際会いたしておりますので、単協なり信連には当面は金がだんだん殖えて来る。従つて中金の段階には直ちに資金需要という形において反映いたしませんけれども、法律的に安い長期の金を出そうという措置でありますが、これはやはり打切りの段階、月末に至れば相当の実際の貸出が現われるものと、そう見通しを付けております。つい二、三日以来、二十日現在くらいでどんな見通しでいるのだということを出先に照会をいたしましたところ、その結果は現在では、先ほど申すように中金自身が貸すもの、信連自身が中金の資金を引出すことにおいて調達する自分の貸付、それらを合せて両者で二十八億見当が目下の四十五億の法律でいたしておりますうち、出るであろう、こういう電報集計がまとまつております。或いはこれ以上に相成るかと思います。なお次いで六月、七月の西日本水害に基く災害、これは百億、法律限度で御承知通りであります。これはまだいわゆるこの財政の措置が国会の御関係等もあつて決定をみておらん関係もありまするが、併し中金はこれに対しましても繋ぎ資金を出すという考え方で、需要のある向きにはどしどし融資申し上げるということでいたしたい。これは法律に基く正式の資金ではございませんが、繋ぎ的なものを中金としては貸出す決定か約二十億、現在あの法律に基きます資金の繋ぎとして御用立てすることに決定をいたしております。あとは今度又皆様の御援助によりまして立法措置なりを講じて頂かなければなりませんが、十三号台風という台風に関連をする資金、それから先ほど来お話に出ております冷害対策としての資金の問題でありますが、これらは私どもの立場からする需要見込を立ててみたいと思いますが、災害程度、収穫の度合、それを地域別に云々ということなかなか私どもの立場からしては判定がむずかしいのでありまして、政府、特に農林省とは緊密な連絡のもとに農林省の御報告に基いての御推定の数字を伺つておりまするが、もとよりこの数字は法律に盛込むとしてもどの程度におなりでありまするか、はつきりした数字を存じませんけれども、これ又相当な巨額に達するのではなかろうか、こういうことで私どもはその用意と申しますか、資金的な準備の作業を進めつつあるのであります。十三号台風において七十億になりますか、或いは百億になりまするか、資金の手当が要る。又冷害については相当広汎でもあるし、これは又百七、八十億か百九十億というものが要るであろうかというようなことを仄聞をいたしております。これはいずれにいたしましても、早晩立法の中へ限度として取入れられることに相成ることだと思いますが、それこれ凍霜害以外の立法に基く資金の需要の合計が四百数十億になると思いますが、そのうちで今日実績として現われましたものは、先ほども御紹介申上げたように、凍霜害なり第二号台風、恐らく資金は先ほど申すように法律の打切措置をする頃に殺到する傾向がございます。又当面は供米期で金があるにいたしましても、今年の減収になつ農家の赤字というものは、やはりここ二、三年の間に解消すると、言葉を換えて申しますと、マイナスになつたものはせめても二、三年の金で借りて行つて、なし崩しにその痛手を補填する、こういうことになるでありましようから、来春の貯金の増加も、先ほど申した通り例年のような足取りを辿りがたかろうと思いますし、肥料価格等がそう上らないにいたしましても、農手の振出額は来年度又殖えるというようなことも予想されますし、とにかくこの立法を講じて頂きますものの限度は一応金が出るものということで、私ども資金の準備を整えなければならん、こう考えております。そこでこの予定される四百数十億という中で、先ほど申した通り、中金だけが頑張るということでなくて、組合金融の一連の組織が一丸となつて、この際いわゆる農家のかたの資金の結果が、単協と中金と信連、三者が集まつております。この三つの系統団体だけでどれだけ踏張つて四百数十億を自力で賄い切れるであろうかという算定を実は苦心して策定しつつあるわけなんです。信連と俗称私ども称えしおりますが、県の段階で自分でやるという金は中金の預金を引張り出しますということを申上げました代そのほかに自力で調達できるもりは信用組合連合会が有価証券を持つなり、系統外と言つておりますが、中金以外に預けておる金、それから有価証券を処分するなりいわゆる系統外に預けてあるものを振向けるというのが県の段階での自力調達分になります。その他のものは中金の預金を引張り出しますので、或いは預金を払戻して貸出すので財源は同じことである。そういうことを考えて信連の自力で県内のそういう備えに応じ得るものがどのくらいあるか。これはまさか人様の世帯でありますので、その算定はなかなか困難であります。いろいろとやつて見ますると、まあ精一ぱい、中金の預金を引出すのでなくて、調達し得るのは四、五十億じやなかろうか、こういうふうに大まかな目度を立ててみております。そうしますと、なお約四百億見当のものが残るということになります。そこでこれはいろいろの考え方もありますけれども、農業手形のごとく一期で、いわゆる一年以内に償還し得るものと違つて収入不足による赤字を、先ほど申上げた通り二、三年なり数年に亙つて償還しようということになりますから、いわば中期的な資金ということに相成るわけであります。長期なり中期の資金はこれは申上げるまでもございませんが、長期の財源を以て貸付の資源とするという考え方に心ならずもならざるを得んのであります。そうなりますと、中金の長期財源というものは農林債券を月々発行いたしまして、これを長期の貸付に振向けておるのであります。月々四、五億の発行をいたして参る。今日までは幸いに全額予定されたものを月月消化をいたしておりますが、併し今後の情勢は、新聞の報道を早速取上げてとやかく言うことはどうかと思いますが、金融引締の方策の結果、地方銀行も所有社債を手離すという、今朝の新聞にも、ございましたが、そういう金繰りが一般金融機関において困難になつて参りますと、農林債券の消化先が市中乃至は地方銀行であるだけに、余り農林債券の今後の消化に今日以上の期待を持つということはむずかしいのではなかろうかということも考えられる次第であります。農林債券の月々の発行の半額は資金運用部でお引受を頂いております。そこでこの月々発行しております農林債券が、今後も現在の程度の消化は市中乃至資金運用部において御消化頂けるものという前提に立ちまして、来年の端境期、今日から申しますと、丁度向い月とでも申しますか、八月ぐらいまでの資金需要の想定をいたしてみますと、預金の増加がそう期待できないであろう。農林債券の消化は只今申すような数字を迫るであろう。又政府或いは各方面から御要請を受けてやつております有畜農家創設資金のような災害関係のない中長期も中金の手でやつておりますので、このような中期乃至長期の資金を賄いつ、農林債券の発行等と睨み合せて考えて参ると、先ず組合金融と称する、形を変えて申しますと、農民の金の結集である中金に至るまでの段階での自力では、先ほど申上げた四百億のうち、まあ精々頑張つて二百億ぐらいのものしか長期財源としては求めがたいのではなかろうかという大まかな見通しを持つておるのであります。そうしますと、差額二百億見当はどういうことになるかということになるのであります。これとても中金が更に市中に農林債券を売ることと申しますか、頑張る。又政府農林省等に御協力を求めて、一つ方法としては今制限がありますが、資金運用部の法律改正を願つて、農林債券の特別引受というようなことも又考慮して頂くというような、これはいろいろ研究すれば方途はあろうかと思いまするが、中金だけではなかなかむずかしいという資金繰りになろうと思います。長期債券の獲得、即ち農林債券の増発は、その引受をどこへどうお願いするか等々の問題があります。  一応春以来の災害に伴う中金の扱いの情勢、なお概略でありますが、今後の見通しを申上げて御参考に供した次第でございます。    〔委員長退席、理事宮本邦彦君着席〕
  56. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 只今承わりますと、国が予定して中金で扱われる範囲を見ますと、まだ農家のほうがそれを利用していないといつたような数が相当あるんで、恐らくまあ凍霜害或いは第二号台風までのあれを見ましても、現在約四割以上残つておる。併し十三号から今度冷害まで含みました面から行きますと、むしろこの率よりもまだ私は残る面が大きくなる。というのは、本当は必要なんですけれども、そこに私は問題が出て来ると思うわけなんです。例えば供出代金等が相当去年から見たら下廻りますけれども、一応これは信連等を通ずることになるんで、ところがこれがただ通るだけで全部下へ又下つてしまつて、こちらに預託されないというような線が非常に大きくなるということによつて、今お話のように四百億のうち二百億ぐらいは何とかしてと思いましても、この二百億がとにかく千五百億ぐらいになつてしまうような数字になるんじやないかと、こう思うのですが、そこでそういうことになりますと、それでは農家のほうでその資金は必要ではないのかと言えば、これ以上に必要だという結果になりますので、そういう形から、これは最も私のお尋ねしたいことは、農民側にもいろいろこれは責任はあると思うのですが、恐らく今申上げましたように、まあ米の供出代金はすぐさま農家のほうへ、ただ単なるあれとして戻つてしまうという面が非常に多い。それからなお雑穀等におきまする問題は、恐らく今の状態でありますと、信連まで行かないで、これが全部それぞれの金融機関へ流れてしまう、こういうような事態になつてしまうと思いますので、こういう点を何とかの形で、これは一つ信連等の行き方或いは又中金等の今後のあり方等についても、いろいろ御検討して頂く余地があるのではないかと、こういうふうに実は考えるわけなんです。言でいろいろ私ども地方行つて参りまして、意見を聞いてみますると、こういう事態でなくてもだんだんと府県信連に対する信用と言いますか、こういうものが農民の中には薄らいで来ている。従つてそこに力がないから、中金としては非常に貸出に対しているくな面がむずかしくなる。こういう点が非常に多いと思いますので、この際なお一層そういう面が強くなると思いますから、こういう点を非常に抽象的な言葉でありますけれども、特に北海道等におきましては、道の中金の支所でございますが、これなどの道信連との間或いは又関係単協との間の意見がなかなか統一されていないというような空気が非常に濃厚らしい。それでこういう点について、一つ是非この際こういうような形で流し得るような金を、努力をしてもそれが下で受けられないというようなことになりますと、大変営農関係にも支障がありますので、この際一つそういう点について、いろいろ需要は需要としての意見もあると思いますから、特にこういう点を十分地方の事情を中金としてもお聞き願いまして、今のような方針を是非一つ本年の凶作に対応し得るような制度が強くできるように持つて行つて頂きたいと思います。こういうようにお願いしたいと思いますから、この点一つよろしく御検討願いたいと思います。
  57. 参考人(小野三郎君)(小野三郎)

    参考人(小野三郎君) いろいろお気付き、御注意頂いて有難いわけでありますが、北海道の雑穀地帯金融についてはいろいろ勉強し、又新らしい施策も附加えて参らねばならん点もあるように考えております。今のお話の中に、雑穀は途中から信連等を通じないで逃げるというお話がありました。最近の傾向を見てみますと麦、雑穀等が統制を解かれて自由販売になり、結局町村の段階で業者にじかに売る、その関係で組合金融機関系統を通じて販売代金が動かない。従つて貯蓄化されていない面が多いという現象が出ております。これは農業手形の決済と関連してここに問題がございますので、私どもももつと合理化しなければならん。そうして又雑穀地帯の貯蓄化ということにもう一つ踏んばらねばならない、こう考えております。それから災害関係資金の貸出に対する心構えでございますが、通常の場合でも町村の単協の経営が平常に行つておりますれば系統間の融資には問題ありません。ところが普通ではなかなか扱いにくいというような場合がありますので、国で特別立法をして頂いて損失補償もしてやろう、利子の負担の軽減も図つてやろうという措置も講じて頂いているのでありますから、今日までも幾つかこういう経験をいたしておりますが、先ず三割、四割という貸付の損害ということはそう例がないのであります。従つて普通はやりがたいが、こういうふうな措置を講じて頂き、それについては私どもはそう回収に懸念を持つておりません。従つて積極的に今日まで御協力申上げているつもりでありますし、法律の建前が、県が損失補償をして国がその半分をつかい棒をしてやるという建前になつております。従つて中金の扱いの方針といたしましては、県の行政下にある信連と県の間で損失補償をして頂いて、信連は御自分の資金の点もありまして、足らん部分を中金に仰ぐものもありますし、又全面的に最初から県と損失補償を、当事者は信連になつておりますが、その信連に出す金は中金に借りに来る。こういう二つの場合があります。いずれにしても中金においてこれを削減するとか、さような考え方は今日までいたしたことはありません。特に今回のような厳しい災害については積極的に御協力申上げる、こういう心構えでおりますので、どうかよろしく御了承を願います。
  58. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 私組合金融というのは全然わからないのですが、政府が仮に三割補償するというのがありますね。中金から信連に出ます場合に十万円、それが今度はお前は七万円返せばいいのだという、そういう筋合で金融が行われて行くのですか。
  59. 参考人(小野三郎君)(小野三郎)

    参考人(小野三郎君) そういうことはございません。信連が損失補償を受ける立場に立つわけでありますね、県との契約で、その金を中金が信連に出ず場合においては、これは中金には損失補償も何もございません。信連の責任に置いて一〇〇%返さなければならない。信連にたまたま百万円出して三十万円損害があれば、その三十万円を県に損失補償してもらう。中金と信連との関係は、信連がこの資金を扱う当事者になるわけであります。信連の責任において自分が持つている有価証券を売つて当てるとか、中金の預け金を引張り出すとか、なければ中金から借りて出す、こういう関係にございます。
  60. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 そういたしますと、信連にとりましては、今御質問したような操作ができるわけなんですね。言わば単位農協に十万円貸しまして七万円返すということができるわけなんですね、信連としまして……。
  61. 参考人(小野三郎君)(小野三郎)

    参考人(小野三郎君) それは先ず金を貸す立場のものからは、初めから三割損失補償を受ける金を損を覚悟で貸すということは先ずございませんね。先ずそこがほかのほうから見ますと、損失補償が付いておるのだから、もつとどしどし初めからその覚悟で出したらよかろうという、これは借手側なり、いろいろその方面に御心配して下さる側にはそういうお考え方でありますけれども、扱うほうの、出す側にそのことがありますと、これはもう初めから国なり県なり大変損害を受けるということになります。最悪の場合にそういうつかい棒をして行く。であるから、最終的にはやりますということは言えます。
  62. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 これは誠に私変なようなお尋ねをいたしますことは、まあ私ども地方に参りますと、災害地の農民というものは、一体私たちは金を借り得るものであるかどうかというのですね。と申しますことは、まあ災害を受けて農業共済資金が入りますれば、それだけは何と申しますか、農手の返済に廻し、優先的にとられてしまうわけですな。ところが飯米はない。そこでこれは政府から御承知通りに国が借りるわけですな。そうしますと、来年政府やら農林中金からの特別の御配慮を受けて営農資金は与えるということになりましても、それなら来年の秋とつたもので一体どれを先に返さなければならんかということになりますと、残るものはないわけなんですな。そういう農家というものは相当あるわけですが、それは一体どういう方法で、中金さんも損をしないように、而も農民の金融機関の人を結集して、その中金が農民をこういう場合に救うように、どういう恰好でこの資金というものは農民に流れて来るのかということが先ず私はわからないのですよ。これは非常にこの辺のことについては最も御苦労をなさつていらつしやる中金といたしまして、どういうような御指導をやつていらつしやいますか。
  63. 参考人(小野三郎君)(小野三郎)

    参考人(小野三郎君) 今のお話の中に農手が出ましたが、今年のような災害を受けますと、供米代金が、いわゆる供米すべき農家への代金がない。結局農業共済金をもらつて……。ところがこれは農手の負債に振り当てるととによつて余りがない。こういう問題は現実におつしやる通り現われております。この考え方、私ども政府なり日本銀行と打合して、農業手形は結局どんなに最悪事態になつても共済金というものがもらえるから、それを担保にするからというのが農業手形の骨組みになつて、日本銀行が無条件で言われるところの適格担保という制度にまあなつております。そこでまあこういう事態が起きて農家には気の毒だけれども、やはりこの制度は、制度の骨組みをお壊しになりますと、もう来年から日本銀行は割引かんということになりますので、その制度の手形だけは補助しようというので、共済手形を落す、これは信連の会長室の御意見なり、日本銀行、政府とも打合して大体の意見がそういう意見になります。併しそれで見捨ててしまつたのではこれは農家は立ち行きません。ですから今年赤字になつたものを、農業手形を殊に落したようなために生計もむずかしい、来年の営農持続がむずかしいという金を、営農資金の形において中金はやはりこういう系統機関において見ようという考え方になつております。それを今度先ほど申した通り冷害対策の立法が行われて、政府等でつかい棒をして下されば見ようということに対して、もう一つ積極的にやや補強を政府がやつて下さる、それの今のマイナスになつておる、ここ二、三年の間に今年の減収分を取返すような二年、三年に亙る営農資金を出さなければならないと私ども考えております。末端の一番困り切つて、ふだんから生計も容易でない、供出もなかなかむずかしい、それほど作つてもおらんというのもあります。これらの農家に対する金融でありまするが、これは私例えによく申したのですけれども、中金は何とかしてそういう組合員もこの際営農が続けられるように資金を見たい、ところがいろいろの中金なり信連の動き方に御批判もありますけれども、末端の町村の組合の理事者になりますと、やはり三百人いる組合員である農家に三割くらいの損失補償をしてやつたつて何の足るべしで、これ以上出せんという村においでも、組合を経営する当然の責任者である理事者が取上げてあげない。ですから、そういう層について、これは協同組合のあり方なりにも関係を持つておるのですが、とても貧農層というか、労協が負うて下さる資金については、その上の信連も中金も法律の措置を講じて下されば積極的に組合から申込んで来る金については御用立できると思うのです。第一線の組合の経営責任者が何と言つても駄目だ、もつといい保証人でも連れて来たら考えるが、それ以上は考えられない。親族はもうないし、これが農政上の問題にはいろいろあると思います。今の中金なりの組織ではこれに手が届き得ないのです。個人に中金が金を貸す仕組みにもなつております。これは大いに皆さんと御一緒に研究をして、そういう落ちこぼれそうな人をできるだけ水準まで近寄らせる。これは金融の措置自体に問題はないが、取残される気の毒なかたがあります。そういうことは幾らこの立法をして下さつても、末端の組合は三割以上の未回収があつたときの措置がない限りは、どうも貧農のほうは救えんというのはこれは非常に遺憾なことだと思います。今後研究しなければならない問題だと思います。
  64. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 誠に私出過ぎたようなことでありますが、勿論これは組合経営ということで、むしろこれは農林省の協同組合の仕事としての実際の考え方はあろうと考えますけれども、ところがまあ実態をいろいろ聞かされますというと、地方において信連が農協の絶対権限を持つていることは申上げるまでもないことですが、中央部においても、これは指導連初め全購も金版も中金のおえら方が並ばれますと、もうとにかく猫の前の鼠みたいなもので、てんで正当の理窟も何も話せないものらしいですな。ですからこれはやつぱり今御研究なすつていらつしやるようなことを、やつぱり権力を持つていらつしやいます中金あたりでよほど積極的に御指導願いませんと、これは幾ら政府営農資金を出したり、農手を出したりやつてみても、これでは農家は救えない。実際これは今年あたりの実態を見ますれば、これは私先ほど申上げたように、どうにもならんのですね、これは……。ですからやつぱり二年なり、三年というような長期の計画を初めから立てなければならんことは、これはわかりきつている。而も政府で三割なり二割の損失補償をやれということになれば、少しやはり計画的に物を運んで行きたい。そうでないというと、結局これは信連が従来いいかげんにやつた負債整理になつてしまうような効果しか私は出て来はしないような気がするのですが、これはやつぱり私は中金のおえら方のほうで、よくそういうあたりまで何か計画なすつて御指導願わんといかんのじやないかという気がするものですから、誠に出過ぎたようですが、お尋ね申し上げたわけであります。
  65. 北勝太郎君(北勝太郎)

    北勝太郎君 先ほどお話がありました、末端の組合が相手にすることのできないような貧農に対する救済の方法なんでありますが、これは全額というわけには行かんかも知れないが、何とか町村に半額ぐらいの損失補償をする道を開かせれば、それも救われるのじやないかと思われるのであります。御見解如何ですか。
  66. 参考人(小野三郎君)(小野三郎)

    参考人(小野三郎君) お尋ねでございますが、そういう例がちよちよこ出て参ります。単協が信連から借りようというものに町村が保証する、占領下になりましてから、地方公共団体が債務保証人に立つことはいけないということになつておりますが、損失補償はよろしいということになつております。それがなつておればこそ各種の借入の立法があるわけですが、最近単協で町村の損失補償を付けて来ております。そういうことを町村の当局がお考え頂くと、先ほど申した落ちこぼれるような人までも救つて、国が四割するところへ持つて来て、その上に町村がもう二割だけ見てやろうというようなことの措置を講じて頂くと、よほど打開される、そういう事例がだんだん出て参つております。
  67. 北勝太郎君(北勝太郎)

    北勝太郎君 今案はお恥かしい話ですが、この間北海道へ行きますと、組合の全く潰れかかつたのがある。これは組合員が悪いのではなくて、中には組合の参事等が大変金を持逃げをしたとか、それからまあ組合の悪い職員とか、理事者がやや投機に似たような物の先売りをしたというようなことで、蜂の巣を突ついたようになつてつて、この間も臨時総会を開いたが、前日の午前十時から全員が総会に出て、夜を徹して翌日の午後五時までやつた。それでもとうとう解決がつかなくて又後へ残つたというような話もあるのですが、これらの組合に対しては、恐らく県が補償するといつたところで信連は金が貸せないんだと思うのでありますが、そこでこれらの組合の救済についても一つ考えなければならんような事態が北海道に数組合出ておるのであります。こういう問題につきましては、組合は悪いけれども、組合員は相当の信用力があるというような者もあると思うので、ございまして、これらに対しては一つそういうようないわゆる信用のある者に貸した債権を担保にしてそれで組合が貸す、その組合が貸したものに対しては中金のほうから資金を融通する、まあそういうような金は組合がとつても、ほかへ使うのではなくて目的の仕事使つて、そうしてその使つた金は第一に優先的に取上げたならば中金に戻す、こういうような方法をとらせればいいのじやないか、そう思うのでありますが、どうも国が補償をしても、府県が損失を補償しても、中金の理事者あたりがなかなか貸さないというのは、要するにそんなような関係の途が開けておらんから結局危くて貸せない、その組合は損失補償を県がしたところで、そこへ貸してはとても金が入らない、専門家である金融業者としてはそういう点がわかるものだから、そこで金の融通がうまく行かん、こういうことがあるのじやないかと思うのでありまして、いわゆる組合員に対する債権を担保として、それで貸付けた分に対しては中金は金を貸付けるというような途も一つ開いてもらう必要があるのじやないかと思うのであります。そういうような点について一つ御見解を承わりたいと思います。
  68. 参考人(小野三郎君)(小野三郎)

    参考人(小野三郎君) 途中におられてお世話をなさる組合の経営が悪い場合の例えだと思います。そういう場合に貸せる組合員に貸した債権を質に取つて、これを信連なり中金まで債権質を取つて、そうして融資したらよかろうじやないか、こういうことも今日まで私ども経験をいたしております。災害資金にかかわらず、他の資金の場合においてもそうでありますが、中金が面倒くさいと言われますゆえんの一つは、そういう組合を資金の取引をする機会に更生しようじやないか、それに出資を殖やしたらどうですと、いろいろ申上げるのが面倒だと言われるわけでありますが、ですから、そういう悪い組合についても組合の更生策を信連なり中金なりと一緒に協力して更生策を立てる、そうしてそういう組合も融資対象にすることに努力をいたしておることはもとよりであります。或いは単協が信頼を置ける理事者によつて経営されておるかどうかという、債権質にとつて出した場合の一番好ましくない例は、そういつた組合員に資金を出す、その組合員はこの出来秋に収穫物を農協を通じて出しますという認承なんかを入れて、組合から出来秋の生産物を担保にして借りる、その債権質を取る、こういうことにいたしてやりますと、結局その組合の事業体が怪しいと、組合員のほうで生産物を組合に持つて行くより、おれが自分で売つたほうが有利に売れる、組合では相手にならんということで生産物の共同販売にも乗つて来ないという点が現われますので、単純に債権質を取つたからといつても、債権質のいわゆる債権の裏付けになるものは生産物でありますから、それが単協で握れるだけの信用が付いて来る、ですからやはりそういう融資方法を考えながら、組合も農家の信頼をかち得るような整備計画を一緒に系統機関に対してやりながら見て行く、お話の通りです。そういう形も私ども努力をいたしております。
  69. 清澤俊英君(清澤俊英)

    清澤俊英君 農手なんですね、小量の耕作をやつておるものは供米が担保になる関係上借りる額が少い、その上に五人組の相互保証制度というものは、ちよつとその辺に入ると五人まとまらないということは、甲の人と乙の人との借入の額が大体同等ならお互いにやろうという二とになるが、甲の人は非常に力を持つていても、乙の人は非常に力がない、こうなりますと、まああれにしてということでまとまらない、で、借りることが現実にできない、それが今白井さんが言われるような山間地帯の零細農がたくさんの所へ来ると、中金の金などはおれたちは借りられるんだかどうか、因縁がないんだ、こういう一つの感じになつて、実際はいろいろの場合にそういうことが山積しているからもう用事がない、これが現実だと思います。これらはやはり個人が供米等を対象にすることがあるんですから、個人のそれを以てずんずん貸して行つてもちつとも差支えないと思いますが、考慮する余地はないんでしようか。
  70. 参考人(小野三郎君)(小野三郎)

    参考人(小野三郎君) 私どもは考慮するというか、これは農林省なり、日本銀行でできております制度によつて出たものを中金が割引いておるのでありますが、といつて中金は単なる事務の割引だけでなく、大口には強力に御注文申上げております。農業手形の制度を麦なり雑穀の統制を解除されたときにどうするかということが研究されたのが、当時一人心々で借りられたものが自由の販売ができるようになつたので、部落の中の相互牽制組織を狙つたのが五人連帯である、できたものは組合に持つて行つて、そうして農手を落すというのを、個人対組合の約束でなくて、五人で牽制させようということを編み出したのが今の五人連帯のことであります。今の問題が部落の中で起きておることはよく承知しております。農業手形のあり方については中金の立場からいろいろ御注文申上げておることもありまするが、そのことはここで逐一申上げませんけれども、業者と農業協同組合と、統制されておる米については二元的な集荷の方法がありますが、殊に雑穀になりますると、これは自由でありますので、業者と農業協同組合が血眼になつて集荷の競争をいたしております。これはどうしても時間的或いは相場によつて農家自身が農協に入らないでも、結局念書というか、一札入れたけれども抜き売りをするという事態が起きる。そういうことを牽制したいということがこの五人連帯の農手の狙い一つであります。私たちはこの農業手形という制度は誠に零細な手段の協同組合ですから、信用を附与してもらうという手段として結構でありますけれども考え方一つに、もうその村の中における作付反別がきまり、異常な災害等がなければ平年どの程度の作はある。その作の中から組合というものは或る程度は出来秋の協同販売で生産物が握れる、こういう見通しが付くなら農業協同組合が振出した手形を以て農業手形という考え方にもなり得ないか、こういう研究課題を私ども考えております。そうして農業協同組合が或る程度責任を持ち、そうして農業協同組合の責任においてその個々の農家に似つかわしい条件で貸して行つても、それで農業手形ということも言えるのではないか。そういう方向に訓練されて来るならばそうなつてもいいと思います。これは個人的な見解でありますが……。これはお役所、日本銀行の御制定になつた制度でありますから、そう簡単には参らないと思いますが、そういうことが農業手形の創設時代に議論されたのでありますが、結局今のような手続になつたのであります。この五人連帯の農手には種々の批判があります。やはり統制その他生産物の動きに対応して農協のあり方に関連があります。農業手形の系統内における扱い方に工夫しなければならない点があることは私どもも自覚いたしております。
  71. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 この問題は、この間長野、新潟あたりを視察したときにおいても至る所で苦情が出たものです。当然中金に対して、そういうことが単位の信連だけで抑えないで入つておると思いますけれども、それに対して何か、そういうことは了承しておるというだけでなく、具体的にどういうふうに改善して行きたい、何とかそういう具体案はまだできておりませんか。
  72. 参考人(小野三郎君)(小野三郎)

    参考人(小野三郎君) この席で申上げるほどの段階に至つておりません。
  73. 理事(宮本邦彦君)(宮本邦彦)

    ○理事(宮本邦彦君) 何か御質問ございませんか……。それでは、どうも有難うございました。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  74. 理事(宮本邦彦君)(宮本邦彦)

    ○理事(宮本邦彦君) 速記を始めて下さい。食糧庁の総務部長が見えておりますので、冷害対策の点を引続き議題にいたします。
  75. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 実は先般もちよつと食糧庁長官にお尋ねしたのですが、澱粉の価格の問題ですが、聞くところによると、二十二日、即ち昨夜学識経験者の意見を聞いて二十五日に生産者団体の意見を聞いて十二月三十日までに発表する。こういう御回答であつたわけであります。私学識経験者の話をまだ聞きませんが、昨夜或る新聞の記事を見ますと、まあ決定の額が発表されておつたようでありますが、それで見ますると、馬鈴薯澱粉も甘藷澱粉も、おのおの昨年の価格より大幅に低い、これは私はどういう根拠でそれが低いかということは、これはよく御説明を願わないとわからんのですが、通常でありますと、恐らく私は昨年より低いということは絶対あり得ない、少くともこの食糧事情の点から言いまして低いということはあり得ないが、何でも話を聞きますと、昨年が高過ぎたからそこういう結果になつたんだという説も聞いておるのですが、これなんかも価格安定法に基いて決定せられたものではなく、臨時的な措置としておやりになつたことなんで、そのときの高い、低いということいろいろな事情から勘案されてやつたものであつて農家もそのために今年は低いということになれば、結果におきましては、この価格安定法を作つたことによつて、馬鈴薯或いは甘藷を生産した農家は非常に迷惑をしておる。まあ率直に申しますと、昨年、一昨年に亙り、二カ年に亙つて買上げられたものの大多数のものは農家の手を離れてしまつて、業者が持つておつたものを買上げられた。併し今度の今年の場合は業者は持つていない、どういう結果が出るのだということを非常に問題にしているが、持つていない。そうしますと、その原料「いも」を持つておる生産者がこの発表によつて非常な打撃を受ける。而も一昨日ですか、ちよつと指摘したんですが、人造米の原料になる、そのためにそれと比較するというと、どうもこの澱粉が高過ぎるといつたようなことが相当まあ澱粉業者からもありまするし、或いは人造米を作ろうとするそれらの会社等の意見も私はそれを聞いておるのですが、若しそういうことでそれが左右されるということになるとするならば、私は何も去年の価格が高過ぎたということを原因にするのではなくて、今年はあらゆる点からこうだということにならなければならんと思うのですが、そういう説明を……。いずれ価格は発表されると思いますが、もう十月三十日までに決定する云々ということでなしに御発表を願いたいと思います。
  76. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 只今澱粉の価格についての御質問でありますが、新聞に決定案として数字が載つておるというようなお話でございましたが実は私のほうとして最終的な決定をしたのではございません。只今のお話にも、ございましたように、昨日学識経験者のかたがたの御意見を承わつたわけであります。その際一応話の材料といたしまして数字のようなものをその席上に出したわけでありますが、それが食糧庁の案として、それできめようというものではありませんで、御意見を承わるための資料という意味で提出したもの至るわけでございます。いろいろ昨日も学識経験者から今お話のありましたようなお話がありました。今日も生産者団体の意見を聞いたのでありまして、これらを十分参酌いたしまして最終的に今月の末までにきめる、こういうことでおる次第でございます。新聞に出ておりますものできまつたというわけではないのであります。
  77. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 まあ大変含みのある、御回答としては非常に喜ばしいのですが、恐らく学識経験者も生産者団体もこの案には不満だという御意見だと思いますけれども従つてきまつていないからということになれば、まあ相当これに対しては改正の余地があると思うのですが、まあそういう面から見まして、先ほど申上げましたように、私は少くとも最低限どういう理由があろうとも、昨年の価格より下廻るということは絶対ない。むしろ作況の状態等から、或いは又農家が考えておる、或いは又現在の置かれておる食糧の事情等から言つて、最低限一割以上は昨年より上廻つて然るべきだ、こういうふうに考えておるのですが、総務部長としては今のお話では決定ではなく、ただ案であるし、いろいろ御意見もあるし、最終的段階はその意見を尊重してきめようというお考えでありますが、と申しましても、結果的にはこうだという最終的な発表になつては困るのでありますので、この際若し速記を付けては非常に困るという点がありますならば、速記を付けないででもよろしいので、大体においてこの程度までしたいというような御意見等がありましたら、一つ率直に聞かして頂きたいと思います。
  78. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 只今重ねて問いでございますが、只今申上げました通り、いろいろ各方面の御意見を承わりまして研究段階でございまして、いろいろ御意見が出ておるわけでございまして、たまたま昨日案としてお示ししたものについて考え直さなければならない点が多々あることを認めておるわけでございますが、さてどういうふうにそれを調整し、数字を作り変えますかということになりましては、今日又明日に亙りまして、ほかの生産者団体からの御意見も伺う手はずになつておりますので、それらの御意見の全部出尽したあとで、一つ今月中のあとの機会に大いに勉強いたしましてきめるようにいたしたい、こう考えておる次第でありまして、現在それを如何に手を加えるかという修正の作業は今日の段階ではやつておらないのでありまして、来週以降にはその作業に入ることになろうと、こう思つております。
  79. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 食糧庁長官が見えたならば、私はこの間から質問したいと思いまして、その機会を持たなかつたのですけれども、今田舎に行つてもどこに行つても非常に食糧不足から問題になつておるのは、合成米の問題なんです。これは新聞でもいろいろな雑誌でも非常に取扱つておりますが、政府の合成米に対する施策というものの中に私たちは幾多の疑義を持つておるのです。今年のように食糧の絶対量が足りないときに、どういう形においてもこの食糧として取上げられるものは取上げるべきだと思いますが、今の例えば澱粉の問題でも、澱粉の手持が政府に多くなり過ぎてはいけないのだという、そういう操作の下における値下げ、そういうことも相当政治的な考慮も払われておるのじやないかと思いますが、一方から見ると、要するに外米を輸入する場合において、砕米というものが抱合せになつて来る、その砕米の処理にも今まで困つていた。それから小麦粉がアメリカから大量に手に入るとすると、砕米、小麦粉、政府の手持が多くなつて困るような澱粉、こういうようなものを処理するために合成米というものを相当積極的に奨励しようとしておる意図かどうか、これはそういうことは我々も又検討して行かなければならないと思いますが、問題は今合成米に取りついておるところの業者の考え方というものは、これは今年は米が足りん、合成米で一儲けしよう、設立費用が一千万なり、一千五百万かかるとして、政府のほうから資金の斡旋をする、食糧庁長官あたりの話だと業者に対する行政的指導をやるというようなことを言つておりますが、私はそこに政治との非常なからみ合いがあると思う。而もそのでき上る合成米というものは必ずしも安くない。いろいろな業者あたりに当つて見ると、結局今年一年の消費で金は政府のほうからうまく政府と結び付けて融資を受け、設立資金まで取返して見ようという投機的構えで以てこれに突入しておるのです。その狙いは私はいろいろな点において悪意的にばかりは見られないところがあるのでありますけれども、値段はそう軽くない、而も先の見通しというものは極めて漠然としておる。而も政府はこの融資を斡旋して行政的指導をやると言つておるけれども、でき上つたところの合成米がどんなものがでつち上げられるかということに対しても、この間他の委員から質問がありましたが、それに対するところの製品の検査というようなものも、農林省としてはそれほど強力なものはできんという状態だと、この合成米の問題をめぐていろいろな角度から私は検討して行つたときには、すでにもう新聞、雑誌においてもいろいろな疑惑に包まれて、合成米というものが取上げられておりますけれども、これに対して食糧庁としてはどういうふうに考えているのですか。
  80. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 合成米の問題でございますが、私日本の食糧事情を考えてみますと、これはやはり食糧増産についての努力も大いになされているわけでありますが、今後相当期間はやはり全体的な食糧不足があるわけでありますから、いろいろ工夫をこらしまして、食糧事情の緩和に資するような政策を一つでも多く取上げて行かなければならないと思うのでありますが、その一つとして人造米も取上げられることになつたわけなんですが、人造米を取上げられることになりました一つの大きな動機といたしましては、やはりその中に、日本の国土でできます澱粉を有効に食べられるような形で使うことができるということ、それから外米等に比較しまして比較的価格の安い小麦粉を原料とすることができるというようなことで人造米をここに取上げるということになつたわけでありますが、取上げるにいたしましても、今言つたような際ものに飛びつき、これを非常な利益を貧る対象とするということをできるだけ抑えるという意味合で、政府といたしましては、前に長官もお答え申上げたと思いますが、先ずいい製品を作るよう、価格の点においても一応私のほうで米の価格等と見合いまして、最終消費者にどれくらいの価格で行くようにすべきであるかという目標価格をきめまして、それに応じて生産、配給ができるようにして行かなければならないと思つておるわけなんです。それの手段といたしましては、資金斡旋の面から特許権が伴うことになりますが、政府といたしましては、現在出ております特許権のうちで最も基礎的になります特許権に対して政府がその実施権を握りまして、その実施権を更に作ろうと思う希望者に対して貸すわけでありますが、その際に特許権の実施を行わせるに当りましての条件として、国が作ります検査機関の検査を受けること、価格について政府の意図する価格を守るというような点を条件付けて行きたいと思つておりますし、又原料の払下に当りましても、そういうような条件を付けると申しますか、そういうことによつて実質的に政 府の指導が効果を発揮いたしますような形で製品を作らして行きたい、こう考えておる次第であります。合成米と申しますか、人造米そのものが実験室から出たばかりの段階でありますので、技術的にもまだ完成しきつたと言えない面があろうかと思いますが、この点につきましても、私どもの機関であります食糧研究所でも、これらの改良につきましての研究が着々進められておるわけでありまして、その正しい技術の普及、指導につきましても、やはりこれからできますものについて十分その指導を徹底して、製品の質においても立派なものが市場に出廻るようにいたしたい、このような考え方で目下人造米の生産の推進要領と申しますか、そういうようなものについて成案を得つある次第でございまして、近く何らかの形でそういうものを発表いたして、その線に沿うて食糧全体の施策が動いて行くように取計らいたい、こう考えておる次第でございます。
  81. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 その資金の融資というのは特許権のコントロール程度ですか。ほかに何か資金の斡旋と言つておりましたが、何か具体案を持つているのですか。
  82. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 人造米の生産数量につきまして、これは徒らに濫立し、粗製濫造が行われてはいけませんので、一応生産目標を立てておりますが、その生産目標を地域的にも或る程度の目標を立てまして、工場についても濫立を防ぐというようなことで、資金の供給と申しますか、斡旋とからみ合せてそれをやつて行きたい、こう考えておるわけなんですが、現在のところその資金の斡旋について一応こちらの食糧庁として考えました地域的な設備能力の目標、それからその作ろうと意図しております業者の過去の経験なり、信用なりというものを見合せまして、そういうかたがた或いは府県の関係課の推薦というようなものも、或いはその審査の過程に織り込んだほうがいいのかとも考えておりますが、これらは研究しております。いずれにいたしましても、或る程度の選択過程を経ました工場に対して、政府が特殊金融機関から、その設備資金の約半額程度の融資を斡旋するというような方向に持つて行きたいということで、銀行局、経審等とお話合を進めておるような次第であります。
  83. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 それに関連して、政府はそれだけに力こぶを入れて来ているのにかかわらず、この前白井委員からも追及がありましたが、このでき上つた製品に対する検査というものが極めてあいまいで、抽象的にはいろいろな政府の意のあるところはわかりますが、その方面は野放しで以てやるとするならば、これは業者が自由勝手に儲け放題なことをやることは火を見るより明らかなので、そういうようなことに対して何らの具体的処置なしに、ただこの食糧饑饉に乗じて政府権力と結んで政商的なものが抬頭して、時局に便乗して一攫千金のやり方をやるというのでは非常な迷惑をするものが私は出て来ると思うのです。それに対してこの間も質問があつたが、食糧庁長官は明確な答えを与えておりませんが、その後農林省においては何か品質保証票を付けるとか、或いは製品の検査に対してどういろ具体的な処置を講ずるとかいうような一つの具体案を考え出しておりますか。
  84. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 検査につきましては、只今のところこのように考えておるのであります。農林物資規格法という法律がございますが、これに基きまして人造米の農林規格というものを定めることにいたしております。これは専門の立場のかたがたの御意見を伺いまして案ができておりまして、更にこれが正式な機関にかけられまして、目標といたしましては、今月中に農林規格を決定公示をしたいと考えております。検査の実施に当りましては、今設立準備中でありますが、今申上げました農林物資規格法に基きまして、その指定検査機関と申しますか、機関といたしまして公益法人を作りまして、その公益法人をしてこの検査に当らせたいということを考えております。勿論その検査に当りましては、検査が励行いたされますように、定められた農林格に合致した製品が流通いたしますように、検査逃れ等があるといけませんので、その検査の確保につきましては、先ほど申上げました通りに特許の実施権を与える際の条件とし、或いは政府手持の原料を売却することがあるとすれば、その場合の条件といたすというようなことで、実質的に検査を受けることを義務付ける、法的な義務付けではございませんが、実質的な義務付けをいたしまして、検査の受検を励行するようにいたしたい、こう考えております。
  85. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 農林物資規格法に基くところの公益法人による検査と言いますか、それがどの程度の拘束力を持つのですか、ただお座なりのものであつて、何らの拘束力を持たないのでは意味ないと思いますが、それはどの程度の拘束力を持つのですか。
  86. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) これは何と申しますか、まだ案として決定したということでは申上げられないのでありますが、検査に合格した製品に限り市販を許すというところまで徹底をいたせば完璧なのでありますが、いろいろな経済的な理由でそこまで強制力を持たすということは困難ではないかという感じがいたすのでありますが、それにいたしましても粗悪な品が流通いたしますのではいけませんので、幸い各工場ともまだ建設段階にあるのが大部分でありますので、大々的に工場生産をいたして、出すまでの過程において十分技術指導をやり、その試験的生産をされた製品を十分検査をいたしまして、その工場の技術として十分均一な製品、規格に合つた製品が市販できるような態勢を整えるということに先ず力を注いで行かなければならんと思いますし、それからいよいよ製品が出てその検査を行いつ市販が行われるという場合におきまして、検査を逃げて或いは不合格品を出すというような不徳な業者が出ました場合におきましては、これは法的な強制力ということではむずかしいと思いますので、行政的措置といたしまして、原料の払下についてそういうような業者には今後原料を払下げないとか、或いは特許権の実施を停止するというようなことによつて品質の保持、検査の励行なりをやつて行くというような線で研究を進めて行きたいと思います。又今申上げたのは研究の過程の案でありますことを一つ御了承願います。そのような考えで行つたら如何かと思います。
  87. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 今人造米の問題で討議されておりますが、自分としても人造米について幾多の疑惑を持つておるわけなんです。戸叶委員の御指摘になつたような点は本当に最も主たる問題ですが、特にこれは価格の点についてはやはり統一されるのですか、どうですか。
  88. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 価格の点につきましては公定価格というわけには参りませんので、先ほど申上げましたように特許権実施についての条件或いは原料売却の条件といたしまして、こちらで原価計算をし、このくらいの価格ならば売れるはずだという価格が出ようかと思いますが、その価格を守らせる、自粛価格と言いますか、そういうような形でやつて行かなければならんと思つております。
  89. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 それは私は非常におかしいと思うのです。先ほど私が今の澱粉価格というものは恐らく人造米の原料になつて、できるだけその消費を高度化せよ、こういうお考えであることは了承できるのですが、澱粉がここで半分になる、更に砕米だとか、或いは小麦粉にしましても、これに対してはおのおの輸入に対しては補給金を出して、そうして保障しておるわけです。そこへ持つて来て補給金を出して、輸入して来たものに匹敵するようなものに国内産の澱粉に合せようとして今年のように安い価格にして、私は同額にしてもいいと思う。砕米にも小麦粉にも補給金を出して政府が特許権まで買つて指定の工場に五割も資金を出して、そうして場合によつては来年になつたら半分貸した金を何らかの形で損失補填をしなければならんという事態が必ず来る、そういうことがわかつておりながら、国内産で面も価格安定法として新らしく作つればならんかということですが、むしろこれに対しては補給金をやると同じような形にするために、私が申上げましたように、一割や二割は高く買つても、今年の食糧事情から言つて何にもこれを不審としないのです。にもかかわらず、このために澱粉を安く買わなければならん。今申上げましたように補給金というものをやる限り一又この安定法に基いてこういうふうに抑える限りにおいては、私はせめて価格を決定して、これ以上は売つてはならないという線にするならとにかくとして、これも自粛するような形で、これは私は全く原料生産者を酷使して、中間業者に対する保護政策になるような価格安定法の第一の出発点を誤まるものがそこにあるように思うのです。その点については恐らくこういう意味から言つても人造米そのものは現状においては必要だとしても反対せざるを得ない、これは私は絶対反対します。私は我々農林委員としてはそういうことをしなくても、やはりこれは国家の食糧自給の建前としては何か方法があると思うのです。而も初めて作つた価格安定法に基く澱粉をこういうふうに虐待するようなことになると、その立場において、そのほかのほうには惜しみなく資金を投入して、恐らくこの融資される資金総額、更に又聞くところによりますと、松浦式とか、中川式とかいつて非常に問題になつておる、この特許権は恐らく一億以上になるでしよう、若しこの一億或いはその他の融資に対するいろいろの問題等のものを今年今直ちに麦の耕作に対して側とか助成方策を講ずるならば、来年の六月にはこんなものは必要としないような、やれば麦が増産できると思います。そういう形に持つて行くことのほうが一番いいと思うのですが、すでにもう農林大臣まで、或いは陛下まで試食をされておつたというようなことを宣伝にしてそうして今更引つ込みが付かんから、やむを得ずやるということにいたしましても、私はほかのものは知らんけれども、私は澱粉生産者の一人として、而も又この価格安定法を決定しました立場から言つて、砕米や小麦粉に補給金を出してこちらの価格には全然そういうことを考えない、更に今年あたりの米におきましては豊凶係数まで入れておる、この澱粉に対しては、原料「いも」に対する豊凶係数なんか入つておるかどうか、こういう点から考えまして私は矛盾も甚だしいと思いますので、一つこの点は若し是正されるならば適当なところでやつておかれないというと、これは私は大きな矛盾が出て来ると思います。更に又この澱粉の検定につきましては、そういう点から事が明確になるに従いまして、価格安定法を作つたことによつて、これは生産の面には非常に今年度の収穫減になるということははつきりしておる、先ほど私は現地へ照会いたしましたところ、本日照会しましたところ、現地では澱粉は見本は二千百五十円で取引されておる、この決定が二千百円なんだ、今売れているものより下廻るようなものを出さなければならんなんということの政府考え方というものは私は全くどうかしておると思う。この点どうか一つ今後十分御検討願いまして、できるだけ我々の意見も多少はそこへ入るような処置を一つ講じて頂きたいことを要望いたしておきます。
  90. 清澤俊英君(清澤俊英)

    清澤俊英君 どうもこの合成米について、僕らはこう農林省でやつておられる何か話を聞いておると、どうも吉田さんの再軍備の問題と同じことで、再軍備しない、再軍備しないと言つて再軍備を進めているようで、(笑声)今の統制に移して配給しないのじやないと言いしなに、そこで後に何かあり、而もその所管では厚生省と争つている、所管争いか何かしているというようなことが非常に不快になつて見えるのですね。だから実際資金融資をします、資金融資をしますと言つて、これが法律があつてするわけでも何でもないから、銀行に話してあるだけで、実際は工場の実力だけでやるのだ、それがどんどんと資金融資が農林省の斡旋を打切つてできるといううちは……、これが金融業の正常な行き方としては何かそこになければ融資がうまく行くわけがない、これは常識でもわかる。たつた今中金の理事者も来て、融資の問題についていろいろお聞きしておるのです。これはもう常識なんです。それがそういう法律一つない、先の見通しもないものに融資ができたり、工場が大きくなつたりしているには何か闇取引があるのじやないか、これが大体僕らが先ず一番痛切に今感じているのですが、而ももう食糧庁の中では合成米課か何かできて、課長までできているらしいですな。(笑声)この問課長が参れませんから、私が代理で参りましたからと言つて御案内を頂いたのですから、多分そういう課までできている。いつの間にか知らんうちに一課がペろりとできている、何か知らんそこにどうもちやんと腹がきまつているか、行き方は逐次持つて行くというようなことが非常に考えられるのそこでこういうものをこの間も農林委員などは、全部見て来たあとの話だが、当局は買うなら買つてやりたいものはどんどんやらして、あとは自由販売にして強力な取締りをしたらそれで面倒はないと思う。農林省としては、食糧管理局としては、これは配給に移さんのだから……内容における栄養の指導は厚生省がおれがやる、新聞を昨日あたり見ているのでは……。これは指導は厚生省がやるが、試験だけは農林省がやりますというような話では、これもどうも話の筋が少しも通らん、そこに私はどうも何か無理が合成米というものの上に出ているのじやないか、こういう感じがしているのですが。何もあなたに言つたつて問題にならんでしようが、(笑声)できることならば、そういうようないきさつがあるものなら一つ聞かして頂きたい、それは到底聞くことはできないと思いますが。(笑声)
  91. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 人造米が世上に余り大きく取上げられたことになりましたので、どうもいろいろ揣摩臆測が行われるようになつたのでありますが、農林省の事務当局としては、まじめに問題を取扱つておるつもりでありまして、線としましては、確かにこれは自由に作つて自由に売るという線で行くわけでありまして、ただやはり現在の食糧事情に鑑みまして、やはりこういうような気持で食生活が幾分でも豊かに潤沢になるということは大変望ましいことでありますし、又折角実験室で立派な製品ができておりまして、十分主食として食べて行かれるという、こういう製品も出て来たのでありますから、立派な製品が実験室で生産されると同じような製品ができて、それで安く潤沢にできて来るということについてま食糧庁としても大きな関心を持ち、そういうような方向に努力をして行かなければならないということで健全な企業ができて、健全な営業ができますようにという意味合で生産目標を定め、地域的な工場配置ということにおいても或る程度計画をし、その線に沿つたものに対しては資金についての応援をすると言いますか、斡旋をいたす、こういう考えでいるわけでありまして、ただ裏を考えられて揣摩臆測をするようなことのないように御了承願います。
  92. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 時間もないようでありますから、ちよつとお尋ねしたいのですが、減収加算額ですか、ついこの間出ましたように、五千四百五十というようなことになりますと、新聞に伝えられるように、計算上やはり千二、三百円の金に、五百円が千二、三百円の金になるという計算になりますかどうか、それから食管の仮に会計年度に赤字が出ましたときに、法律上は初年度において赤字を埋めなければならんということは私はなかつたように思うのですが、次年度にその次の年度に必ず赤字というものを埋めなければならんということはどういうような面からこれは拘束を受けなければならんかという点ですね、もう一つは、この間私は長官にお話しましたときに、人造米も今のように非常に問題になりますけれども、やはり取りあえずこれは急いで食生活改善というような一つの運動を展開して、そうしてただ節約をせいということであれば非常に消極的でありますから、むしろ食生活の改善という線を出して、農村にも油がたくさんあるものを食えば、五合食つたものが四合で済むし、そうすれば都市は勿論いろいろなものを総合的に食べて食生活を改善して行くというようなことが非常に私は効果的ではないかと思う。長官もそういう点は非常に考えているということでありましたが、何か直接担当業者とも何して考えていらつしやいますかどうか、取りあえずどういうことがありますか。
  93. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 二番目の点は……。
  94. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 二番目の点は赤字をその年に必ず埋めなければならんということは、法規上はないはずです。二年乃至三年なりの間に処理しなければならんとか何とかいう制限があるとすれば、それは何か大蔵省でこうすることが、占領下にやつたときの何か約束でもあつてそういうことをしなければ赴らんという恰好になつておりますか。
  95. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 第一点は……。
  96. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 減収加算額は計算上どうなるか。
  97. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 実は新聞に出ておりました通り計算を怠けておりましてしておりませんが、この前五百円という数字が出ておりましたので、それで今のようなことになりますれば、お話のような数字に近い数字が恐らく出て来ようかと思います。精密な計算はやつておりませんが、計算方法自体につきましても、一応五百円を出しました際には、昭和元年から二十七年までの趨勢から見た平均であります。それから今年の作柄見込みということで大ざつぱに出したのであります。
  98. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 お話の途中でありますが、この前の米価審議会で計算方法というのはきまつておりますか。
  99. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 計算方法につきましては、やはりはつきりお諮りしなかつたわけでありまして、麦につきましては計算方法がきまつております。何年度から何年度までの数字で出せということはきまつておりますが、米につきましてはまだきまつておりませんので、仮にそういう数字ではじき出した概算でございます。米価審議会では……。
  100. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 このやり方をその次に変えるということはできないのじやないですか。
  101. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) それは米価審議会で急速に一つ委員会等を設けて算定方式の確定したものを作らすと、こういうお話がありまして、今米価審議会の委員のかたがたから小委員を選んで頂いておりまして、小委員がきまりますれば、この中から学者等の専門家等も加わつて頂いて、正式な減収加算額の算定方式をきめたい、来月早々でもお集まり願つてきめたいと、こう思つております。それから二番目はこれは別に法律があるわけじやございませんで、御承知通り、昔は赤字を繰越して参つたのでありますが、占領下になりましてから同一採算制と言いますか、はつきりその年で赤字が出たものは一般会計で埋めるとか、或いはそれをはつきり消費者価格で補填するような措置をするなりということで、その各年度限りで措置するようにやつて来たわけです。原則といたしましては、食糧庁といたしましても、そういうような線でやりたいというようなことで参つて来たわけなんですが、いろいろ経済事情が急迫した状態になりますと、又財政上の能力等の関係から見ましても、そういうようなことがいろいろな事情を参酌しまして、できるかできないかということで、いろいろの処置がとらるべきじやないかと、こう考えておるわけであります。どうしなければならんということではないので、財政事情その他の客観事情とからみ合せてその措置をきめるべきじやないかと思つております。それから生活改善につきましては、政府といたしましては一応ささやかな予算でありますが、生活改善のためのそういう推進隊を作りまして、それを通じて運動をする、或いは展示会をやるというようなささやかな予算を作りたいと思つておりますので、それに基きましてそういう団体を作り、それを通じてやつて行きたいということも考えておりますし、実質的には今年のようなときになりますれば、一層そういう問題が重要になつて来るかと思いますので、今後よほど考えて行かなければならないと考えております。
  102. 清澤俊英君(清澤俊英)

    清澤俊英君 関連して……。減収率の加算額は全国平均のものを全国の供米に対してくれるのですか、そうしますと、この間もここで問題になつたのですが、宮崎や鹿児島は平年作を上廻つておる、片方は皆無だというような場所がある、その平均率を豊作でももらえるならばおかしいという話があるのですが、この点どうお考えになつておるのですか。
  103. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) これには私からお答えするのは適当じやないと思うのですが、麦の場合につきましては、全国平均の減収率と平年反収の差に基いて一律に価格を修正したわけなんです。米につきましては、はつきり法規的な規定はないわけです。これをどういうふうにいたしますか、米を麦と同じような方式で全国平均の数字で全国一本の価格にして行くかどうかという点についても、いろいろ今おつしやつたような御議論が出て来るのでありますが、これらについては一切食糧庁としては白紙で、学者方或いは米価審議会の委員のかたがたの御審議の結果をお待ちいたしたいと思つております。
  104. 清澤俊英君(清澤俊英)

    清澤俊英君 極く簡単です。先般減収率は九〇%を中心にして五百円、それから最近は又八二%になつたのですが、当然上ることは予測して差支えないですな。
  105. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 一般的にはおつしやる通りと思います。それをどういう加算の仕方をいたしますか、研究の結果出て来ると思います。
  106. 清澤俊英君(清澤俊英)

    清澤俊英君 ちよつと資料を頂きたいのですが、成るべく近い日数における日を中心にしまして、供米の成績、早場米地帯としての北陸、東北方面を中心にして、北海道等の極く悪い所は除いてよろしいのですが、これを一つ至急頂きたい、出せますか。
  107. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 出せます。只今の御趣旨をできるだけ早い期日をとりまして、県別の成績を至急提出するよううにいたします。
  108. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 総務部長の今の清澤委員の御質問に対する御回答が減収加算五百円……。
  109. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) そうじやございません、供米です。最近における供出実績の資料の御要求です。
  110. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 減収加算のあれを……、全国平均であるかどうかということについての多少意見がある、これまでのあれでは今のお話ですと、九州の豊作の所も非常に悪い所も同じであるということでは疑問があるという質問でした。それに対しては、まだ一本という線にはなつていないというようなお話じやないのですか。
  111. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) これは先ほどお断わり申上げました通り、米価審議会で附帯決議がありまして、至急小委員会を開いてきめろ、こういうお話がありますので、そういう小委員会を開きましてきめるような手続をしておるわけでありまして、そこでどうきまりますか、その御意見によつて食糧庁としての態度をきめたいと思つております。
  112. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 この問いつでしたか、前回農林大臣も食糧庁長官もおられて、僕はその点で非常に凶作の所では一本のそれでは困る。何とかそこに差を設けられないかと言つたら、これはもう米価が一本であるから、そういうことはできないということをはつきり言つて、そういうことのほかは何か別のことを考えるというようなことを言つておられたようですが、若しそういうふうな米価審議会で適当だという線が出て参りますと、どういう形で米価の線を引くようになるか、どこの米は幾ら幾らということにとなるかと思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  113. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) これはどういう御意見が出ますか、ちよつと推測ができませんが、私個人の意見をここで申上げてもいたし方がないと思いますので、委員会の結果を待つというお答えを申上げたわけでありますが、いろいろ技術上の難易というようなことも考えてきめなくちやならんかと思いますが、専ら審議会の御意見の推移に待ちたいと思つております。
  114. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 誠に恐縮でありますが、清澤委員から今資料の提出の要求がありましたから、これは食糧庁にお願いしてもどうかと思いますが、関連してお願いするのですが、「たばこ」の耕作反別が非常に殖えておる。これは直接受なんか非常に恐慌を来たしておる。ただ面積が殖えておるからという資料ではいけない。人口はそれだけ殖えておる。女が喫煙しておりますから、人口一人当りをはじくのもいいかどうかわかりませんけれども、そういつた何か資料を恐縮ですけれどもお願いできないですか。
  115. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 「たばこ」のほうは……。
  116. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 非常に最近「たばこ」の耕作反別が殖えて来たのです。これは人口の消費量と噛み合せて見なければならん。要するに特に或る程度抑えておけばいいというようなそういう資料が出やせんかという考え方なんです。これは麦の作付なんかに非常に関連を持つて来るのです。もう一つ資料じやありませんけれども、やはり小売価格を上げるということで相当作業が進みつつありますか。新聞なんかでよく出ますが。
  117. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 上げるといつても、なかなかここでは米価審議会で消費者価格を決定する際に上げるということでありまして、いろいろ上げるにいたしましても、上げないにいたしましても、いずれにきまるにいたしましても、その食管会計に及ぼす影響、今の買入の進行状況或いは減収加算額が殖えますことと、いろいろ先の米価審議会の御答申を頂いて、現在きまつておりますあとにおいていろいろな案件が変つておりますので、予算の編成時期にもなりまして、いろいろ作業をやつて置かなければいけませんので、そういう意味においてのいろいろの試算をいたしておりますが、消費者価格を幾らに決定するんだという意味の作業は着手しておりません。
  118. 白井勇君(白井勇)

    白井勇君 何か減収加算が殖えているので、供出の促進になるということをも考えられるかも知れませんけれども、片一方消費者価格がどんどん上つているのであつて、実に何と言いますか、消費者は買いだめをしなければならんというような恰好になつて、徒らに消費者を刺激するというような感じがするのですが。
  119. 松浦定義君(松浦定義)

    ○松浦定義君 人造米の問題で先ほどいろいろ御意見があつたのですが、本年度、二十九年度の食糧庁からの予算要求で人造米に対するいろいろな経費として三億三千万円くらいの要求をされておる。併しそれはまだ保留中だというようなことをまあ聞いておるのですが、そういう中にはやつぱり今の特許権の権利金とか、そういうものを一切含んでいると思うのですが、大体大まかな内容がどういうものかおわかりだつたら一つ聞かして頂きたい。
  120. 説明員(新沢寧君)(新沢寧)

    説明員(新沢寧君) 先ほどの三億何千万円という数字はちよつと私思い当らないのでありますが、現在、先ほど申上げました特許権の借上げ等を至急やつて行かなければなりませんので、現在大蔵省と予備金使用の交渉をいたしておりますが、その金額は今おつしやつた金額よりも非常に少いのでありまして、特許権関係として予定いたしておりますのは約二千万円くらいでございます。これは月割りで五カ月分としてと言いますか、約二千万円くらいになります。それを延ばしますればどれくらいになるか、二千万円で延ばしましても、今仰せのような数字にはならないと思つております。それから検査機関を作りますが、まあ大部分は検査料収入というもので、この機関の諸経費賄つて参らなければならんものだと思つておりますが、これに対しまして、若干の事業費等の補助をいたすようにということで交渉をいたしておりますが、これも年額にいたしましては、そう大した金額になりませんので、二千万円前後になろうかと思いますが、ちよつと私記憶を今欠いておりますので、はつきりお答えできませんのでありますが、いずれにいたしましても、今申上げた前後の金額を今予定しておるわけであります。
  121. 理事(宮本邦彦君)(宮本邦彦)

    ○理事(宮本邦彦君) 本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後五時十三分散会