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参考人(小野三郎君) 中金の最近の金繰り等も併せて、お尋ねの点をお答え申上げたいと思います。
委員長の今のお話にありましたごとく、重なる
災害で今年の中金の金繰りも必ずしも予期したように行かないのではないかというお話がありましたが、最近の動きは、皆様先刻御
承知のように供米に関連する金が中金の秋口の増加の
対象をなしておりますので、昨今の供米の遅れております事情がそのまま中金の
資金繰りにも反映いたして来る、農手の決済の速度の問題、中金の預金に歩留ります足取りの
状態等は昨年に比べて劣
つておるのであります。組合
金融と申しますか、中金なり県の連合会、末端の町村の単協、これは総称して組合
金融と申しておるのは御
承知の
通りでありますが、末端
農家の春以来の
冷害に至るまでの
災害で、来春の営農着手前からの
資金が、これは本年あたりに比べて一段と困難を極めるのじやないかという、予想のもとに、金繰りなり諸般の対策を今日から考えておるわけであります。そういう最中におきましても、こういう事態に当
つてこそ私
どもの全力を傾注すべきものである、こういうふうに考えております。国会等で御立法頂きまして、本年先ず当初にやりましたものが凍霜害でありますが、これの最近組合
金融における取扱の実績がわか
つて参りました。御
承知の
通りあの法律は九月末を以て貸出を打切る。中金の段階で、細かい端数は申上げませんが、約八億中金みずからが貸出しました。御
承知の
通り組合
金融は信連がこの措置をやるといたしますと、それは中金に借りに来るか、若しくは中金に預けておる金を引出して信連が組合に貸付をする。短期は共通なようなことになるわけでございます。では信連の自力でやるもの、それは中金の預金の減少という形で現われて参ります。凍霜害の、或いはそれ以来の
災害関係の立法は農林中金なりその他の
金融機関が出したものについて
補助をし、その半分を国が
補助するというあらましの線にな
つております。この線に沿
つて、凍霜害で申すと、信連の段階で十億
見当を信連が自分の金で出す。先ほど申した中金の八億と合せて十八億というものが、凍霜害法律の中に二十億を予定されておるもののうち、両者合せて十八億が貸出しの実績として最近わか
つて参りました。次いでの法律に基く
資金は第二号台風、これは法律のほうで四十五億が予定されております。これが取扱いは本月、十月末日を以て貸出を打切るということに法律の上ではきめられておりますが、丁度
災害の最中とは申せ、供米期に際会いたしておりますので、単協なり信連には当面は金がだんだん殖えて来る。
従つて中金の段階には直ちに
資金需要という形において反映いたしませんけれ
ども、法律的に安い長期の金を出そうという措置でありますが、これはやはり打切りの段階、月末に至れば
相当の実際の貸出が現われるものと、そう見通しを付けております。つい二、三日以来、二十日現在くらいでどんな見通しでいるのだということを出先に照会をいたしましたところ、その結果は現在では、先ほど申すように中金自身が貸すもの、信連自身が中金の
資金を引出すことにおいて調達する自分の貸付、それらを合せて両者で二十八億
見当が目下の四十五億の法律でいたしておりますうち、出るであろう、こういう電報集計がまとま
つております。或いはこれ以上に相成るかと思います。なお次いで六月、七月の西日本水害に基く
災害、これは百億、法律
限度で御
承知の
通りであります。これはまだいわゆるこの財政の措置が国会の御
関係等もあ
つて決定をみておらん
関係もありまするが、併し中金はこれに対しましても繋ぎ
資金を出すという
考え方で、需要のある向きにはどしどし融資申し上げるということでいたしたい。これは法律に基く正式の
資金ではございませんが、繋ぎ的なものを中金としては貸出す
決定か約二十億、現在あの法律に基きます
資金の繋ぎとして御用立てすることに
決定をいたしております。
あとは今度又皆様の御援助によりまして立法措置なりを講じて頂かなければなりませんが、十三号台風という台風に関連をする
資金、それから先ほど来お話に出ております
冷害対策としての
資金の問題でありますが、これらは私
どもの立場からする需要見込を立ててみたいと思いますが、
災害の
程度、収穫の度合、それを地域別に云々ということなかなか私
どもの立場からしては判定がむずかしいのでありまして、
政府、特に
農林省とは緊密な連絡のもとに
農林省の御報告に基いての御推定の数字を伺
つておりまするが、もとよりこの数字は法律に盛込むとしてもどの
程度におなりでありまするか、はつきりした数字を存じませんけれ
ども、これ又
相当な巨額に達するのではなかろうか、こういうことで私
どもはその用意と申しますか、
資金的な準備の作業を進めつつあるのであります。十三号台風において七十億になりますか、或いは百億になりまするか、
資金の手当が要る。又
冷害については
相当広汎でもあるし、これは又百七、八十億か百九十億というものが要るであろうかというようなことを仄聞をいたしております。これはいずれにいたしましても、早晩立法の中へ
限度として取入れられることに相成ることだと思いますが、それこれ凍霜害以外の立法に基く
資金の需要の合計が四百数十億になると思いますが、そのうちで今日実績として現われましたものは、先ほ
ども御紹介申上げたように、凍霜害なり第二号台風、恐らく
資金は先ほど申すように法律の打切措置をする頃に殺到する傾向がございます。又当面は供米期で金があるにいたしましても、今年の減収に
なつた
農家の赤字というものは、やはりここ二、三年の間に解消すると、言葉を換えて申しますと、マイナスに
なつたものはせめても二、三年の金で借りて
行つて、なし崩しにその痛手を補填する、こういうことになるでありましようから、来春の貯金の増加も、先ほど申した
通り例年のような足取りを辿りがたかろうと思いますし、肥料価格等がそう上らないにいたしましても、農手の振出額は来年度又殖えるというようなことも予想されますし、とにかくこの立法を講じて頂きますものの
限度は一応金が出るものということで、私
どもは
資金の準備を整えなければならん、こう考えております。そこでこの予定される四百数十億という中で、先ほど申した
通り、中金だけが頑張るということでなくて、組合
金融の一連の組織が一丸とな
つて、この際いわゆる
農家のかたの
資金の結果が、単協と中金と信連、三者が集ま
つております。この三つの系統
団体だけでどれだけ踏張
つて四百数十億を自力で賄い切れるであろうかという算定を実は苦心して策定しつつあるわけなんです。信連と俗称私
ども称えしおりますが、県の段階で自分でやるという金は中金の預金を引張り出しますということを申上げました代そのほかに自力で調達できるもりは信用組合連合会が有価証券を持つなり、系統外と言
つておりますが、中金以外に預けておる金、それから有価証券を処分するなりいわゆる系統外に預けてあるものを振向けるというのが県の段階での自力調達分になります。その他のものは中金の預金を引張り出しますので、或いは預金を払戻して貸出すので財源は同じことである。そういうことを考えて信連の自力で県内のそういう備えに応じ得るものがどのくらいあるか。これはまさか人様の世帯でありますので、その算定はなかなか困難であります。いろいろとや
つて見ますると、まあ精一ぱい、中金の預金を引出すのでなくて、調達し得るのは四、五十億じやなかろうか、こういうふうに大まかな目度を立ててみております。そうしますと、なお約四百億
見当のものが残るということになります。そこでこれはいろいろの
考え方もありますけれ
ども、農業手形のごとく一期で、いわゆる一年以内に償還し得るものと違
つて、
収入不足による赤字を、先ほど申上げた
通り二、三年なり数年に亙
つて償還しようということになりますから、いわば中期的な
資金ということに相成るわけであります。長期なり中期の
資金はこれは申上げるまでもございませんが、長期の財源を以て貸付の資源とするという
考え方に心ならずもならざるを得んのであります。そうなりますと、中金の長期財源というものは農林債券を月々発行いたしまして、これを長期の貸付に振向けておるのであります。月々四、五億の発行をいたして参る。今日までは幸いに全額予定されたものを月月消化をいたしておりますが、併し今後の
情勢は、新聞の報道を早速取上げてとやかく言うことはどうかと思いますが、
金融引締の方策の結果、
地方銀行も所有社債を手離すという、今朝の新聞にも、ございましたが、そういう金繰りが
一般金融機関において困難にな
つて参りますと、農林債券の消化先が市中乃至は
地方銀行であるだけに、余り農林債券の今後の消化に今日以上の期待を持つということはむずかしいのではなかろうかということも考えられる次第であります。農林債券の月々の発行の半額は
資金運用部でお引受を頂いております。そこでこの月々発行しております農林債券が、今後も現在の
程度の消化は市中乃至
資金運用部において御消化頂けるものという前提に立ちまして、来年の端境期、今日から申しますと、丁度向い月とでも申しますか、八月ぐらいまでの
資金需要の想定をいたしてみますと、預金の増加がそう期待できないであろう。農林債券の消化は
只今申すような数字を迫るであろう。又
政府或いは各
方面から御要請を受けてや
つております有畜
農家創設
資金のような
災害に
関係のない中長期も中金の手でや
つておりますので、このような中期乃至長期の
資金を賄いつ、農林債券の発行等と睨み合せて考えて参ると、先ず組合
金融と称する、形を変えて申しますと、農民の金の結集である中金に至るまでの段階での自力では、先ほど申上げた四百億のうち、まあ精々頑張
つて二百億ぐらいのものしか長期財源としては求めがたいのではなかろうかという大まかな見通しを持
つておるのであります。そうしますと、差額二百億
見当はどういうことになるかということになるのであります。これとても中金が更に市中に農林債券を売ることと申しますか、頑張る。又
政府、
農林省等に御協力を求めて、
一つの
方法としては今制限がありますが、
資金運用部の法律改正を願
つて、農林債券の特別引受というようなことも又考慮して頂くというような、これはいろいろ研究すれば方途はあろうかと思いまするが、中金だけではなかなかむずかしいという
資金繰りになろうと思います。長期債券の獲得、即ち農林債券の増発は、その引受をどこへどうお願いするか等々の問題があります。
一応春以来の
災害に伴う中金の扱いの
情勢、なお概略でありますが、今後の見通しを申上げて御参考に供した次第でございます。
〔
委員長退席、理事
宮本邦彦君着席〕