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清澤俊英君 蚕糸
局長の御
意見によりますと、製糸家から出ます三十円の割増金ですか、そういうものは特別なので、製糸家が集荷手数料として特別に自分の
利益或いは損しても出して行く、こういう御
説明のようにお伺いしておりますが、現に新潟県の梶原審連専務は、二十万円の糸といたしますならば、その糸の中から六万円という原料副費というものを引いて、その中の三万円というものが返
つて来るのが、これが大体三十円にな
つて返
つて来るのだ。それは約一俵の生糸をとりますには百二十貫の繭が要る。
従つてこれをと
つて参りますと一貫目約三十円の割戻しになる。これは現に
農民から繭を安く買
つてお
つて、それを製糸家から何か特別な金を出して、製糸家が損をしても養蚕連へ何かを支払うという
方法をとられるということは甚だ問題にな
つて来る。こういうのが
中心にな
つておる。これは現に養蚕連の責任者がこういうことを言うておるのでありますから、恐らく間違いはなかろうと思います。私は養蚕協同組合ですか、養蚕連の組合法が出ました当時に、その当時の蚕糸
局長と数日に亙
つて渡り合
つたことがある。決して製糸家が損してまでこの多額の金を出すことは絶対あり得ない。資本主義の圏内においてそういうものが出ようということを
考えるのは無理だ、これは必ずどこかで穴をあけて、そうして
農民から安い繭を買
つて来て割戻しするだけの話であ
つて、これは技術家を養成する金がないから、一応の便利便法として蚕糸局でと
つておる手品だ、こういう手品はおやめなさいということを
言つて来たが、現在これがだんだん具体化して表面化しておる。で、こういうものが続きます限りには、
農民と養蚕連の健全なる発達の上において、将来において一大桎梏を来たして大問題を起すと思います。各地にこれは現われて来ておると思います。少くとも新潟県には最近一部の
農民がこれに反抗運動を起しておりますことは御
承知だろうと思います。ああいう問題は、各地に燎原の火のごとく伝わ
つて、決してあなたがたが企図するような健全な養連の発達を来たし得ない
状態に、終いにはなりやしないかと私は心配する余りに、現にこういうものをや
つているならば、それでよろしいですから、要用なものなら要用なものでよろしいから、
農民の納得する限りにおいてその
方法をお
考えに
なつたほうがいいと思う。ばかな手品みたいなことをや
つて、それがために無理な協定販売をやるからとか何とかいうような、無理な販売
方法を強要するがごとき養連が出て参りますならば、それは
農民の養連ではなくして、製糸家の養連である、或いは
政府と官僚と製糸家が結託した
農民搾取の養連だと豪語しておるのであります。恐らくこれは
河野さんでも
戸叶さんでも、養蚕
農家の多く集ま
つておりまするところならば、
農民の率直な感情は、私の申上げることに嘘はないと思う。この重大な問題に対しまして、今そういうものはないのだと、こういう蚕糸
局長の御
答弁は誠に私は不満に堪えないのでありまして、この点はもう私はここで議論して見ましても始まらんと思いますから、
あとへ持越しまして、もつと徹底的な、まあ究明なんていう言葉は使いたくないですけれ
ども、結局日本の養蚕業のレベルをよくして、外国輸出のできるまで
農民の生産を高めて行くという点を
考えて私は申しておるのでありますから、まあいろいろ切実な御相談をして、全体の
農民が高く繭を売るということでなく、現実に養蚕家が輸出の価格というものは二十一万円ぐらいであるということは、却
つて糸価安定
法案を出します際にも明らかにな
つているのでありますから、それが今二十四万、二十五万と行
つているので、今どんどん増産をや
つているだけでもおかしな話なんで、ああいうことを基本にしてもつと私は御相談したいと思う。その基本としても、こういう間違
つたものを置かれては問題にならんと思いますので、私はこれで今日は
質問はやめますが、あなたがたも腹を割
つて、あ
つたらあ
つた、こういうふうにな
つているものならな
つているものだということを梶原のごとくお明かしして頂いて、御相談にあずかりたいと思います。