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説明員(
安田善一郎君)
白井委員は御
専門であらせられますので、それも頭に置いてお答え申上げますが、今後の見通しは増か減かと言えば減のほうに傾くと思いますが、これを見積りますことは私見に亙り過ぎると思いますし、又困難だろうと思います。もう
一つは、
統計調査部の
調査というものは、正確を期しますのと、各地アンバランスにな
つたり、人によ
つて調査の結果が推定を加えた場合非常に差が出て来る、これに伴な
つてすでに現われている現象についても不確かさが多くなるということを考えまして、
調査期日の際に現われた現象を実測して推計を
使つて全体を推定するようにいたしておりますので、そこで作も悪い、気象条件も悪い、人力では防除できないような
被害がありました場合には、
調査時とにだんだん下
つて来る
傾向があります。これに反しまして、良作の時期にはだんだん作が上
つて来るという
状況があります。
ただ御
承知のように、
冷害に関しまする
被害は約四百万石と見積
つておりますが、第十三
号台風では百九十一万石強と見積
つているわけであります。
冷害が特にひどか
つたのは、福島等について見まするというと、気象条件が第一の原因でありますが、中晩稲が特に多いことによるわけであります。たまたま以て十月五日現在の
調査は、九月十五日以降の気象変化、風害、風水害などの
影響が
冷害と共に非常に顕著であるので、時期は無理であろうが一斉
調査をやるようにという国会の御要望がありまして、特に本年の我が国の
稲作について
統計調査の数字を割合よくまとめるには適当な時期ではない。従
つて十月十五日現在乃至はもう少し遅れたほうがいいのかも知れませんが、かねて十月十五日現在に定期的な一斉全国
調査を予想収穫高
調査としまして予定しておりまして、今後もやるつもりでありますが、それに遡る十日までを締切
つて調べたものでありまして、従
つて東北地方といえども十月の上旬以降に他の早い稲、特に成熟期がそういうふうなものについて比較的多くな
つておりますが、それについてはかなり大胆に見積を作らざるを得なか
つた。あとで明瞭な
青立ちが出て来るということもあるかと思います。十三
号台風につきましては、塩水による耕地の流失、埋没或いは冠水が三日以上、淡水でも一週間以上になるというようなもの、又
只今でもそうでありますように、決壊場所から田畑へ海の水が一日の中でも満干潮に応じて出入りをしておる、そういうような
被害の甚大なところの減収見積りにおいてはおおむね誤まりありませんが、やはりこの流失埋没のほか、浸水、而もそれも淡水の場合、塩水の場合もおのおの倒伏
状況などいろいろ
形態が違いますので、それぞれの
程度に応じまして今後の
被害はどうなるかと思
つておりますが、なかんずく
潮風害は非常に広区域でありまして、これは三日乃至一週間
たちますと、
被害程度が五割くらいにとどま
つて一応の玄米になると考えられます。併し今後の推移によりましては下等米でありましようが、玄米になろうと目下思
つているものが死米にな
つてしまいまして、全部全損という
被害になる虞れもあるわけであります。長年の
農林省各局各場所の持ちまする試験データーと戸刈教授その他の現在
日本にいらつしやる学者を煩わしまして、急遽その見積り方なり今後の
進行の形なりを
研究し、現地
調査もして頂きましたが、非常に困難なものでありまして、それらの学者の方もどう測定したらよいか、よう言わないということを
言つていらつしやるわけであります。そういうことがありますので、私どもの現地組織による見積りをともかくいたしましたが、更に又それらの要素もありますほか、本質的に統計は、今後の見通しというものは統計としては
現実に現われた現象をとらえる以外に今後の見込みを推測して数字にまとめることは原則としてやらないほうがいいという性質もあるということからいたしまして、両者即ち形式及び実質を以ちまして、将来の見通しは勿論現状の正確な把握もなかなかに困難である部分がございます。或いは又今後は殖える条件はないんじやないかと思われますが、若しあるとしましたら、早くから
冷害の様相が濃か
つた地方、
北海道の一部とか、青森その他の典型的な
冷害地とか、又多少違いますが、秋田とか、山形或いは青森の津軽
地方、そういうようなところ、即ち
冷害を殆んど受けなか
つたところの稲の稔実の
状況がもう今すでに判明していますが、九月十五日現在よりはよくできております。これらの一部
冷害県のもの、それから
九州地方、特に南
九州は勿論、福岡、佐賀でも比較的よく前よりできておると思いますが、そういうところの二化「
めい」虫の防除の努力と、好天候による稲の粒の稔実の度合の好転というものからいたしまして、それが好条件になることだと思います。差引しましては、マイナスのほうが多いかと思います。第二の御質問の米の品質でありますが、北のほうの早場地帯におきましては、すでに刈取りまして、供出も進んでおる現況でありますので、
調査におきましても坪刈りいたしまして、品質と重量、従
つて反当収量と質というものも調べておるのでありますが、全国の大部分のところは次の定期
調査の十月十五日現在におきまして、坪当りの稔実粒数、その実
つた工合、先ず実
つた粒の
状況を調べております。又本年度は新らしい
やり方としまして、電光を標本の生粒について通しまして、どんな実り方をしておるかの別個の
調査をしておるのでありますが、これは標本数は少数でありますけれどもや
つております。そのほかにおきましては、生粒のままそのままむきまして、
水分がまだどれだけあるかをわからない生のままの玄米となりそうなものの重量歩合、それから
検査が一応通るであろうと思われるような米、いわば簡単に言えば上米と屑米との割合や、その両方含んだすり落しの玄米の全粒重、それと玄米の一升当りにすれば、とにかく実
つておる粒数がどれだけかということ等から見まして、反収石数を出さざるを得ない現段階にあるのでありますので、
お話の点では全国的に達観しまして、
被害地のひどい
地方、北
日本と、
日本の
中間部、福井を
中心の北陸、二化「
めい」虫の
九州の一部というところなどにおきましては、例年になく、かねて生育当初から低温多湿寡照でありました条件を加えまして、品質の低下はあると思うのです。それの中の屑米がどれだけになるとか、或いは四等であるか、五等であるか、等外であるかという、そういう点におきましては、目下その
調査段階にないわけであります。これはいつもは推定実収高
調査で坪刈りしまして、乾燥調製しましてこれを
食糧検査員にも見てもらいまして、所定のふるいにかけて計
つてみる、特に籾ずりして粉になるかどうかというような問題はまだ今後の
調査によるわけであると思います。併し重要な点でございますので、標本が
職員の数や予算のために少数ずつでありますが、成るべくその少数がよく統計の
意味を現わすように標本実測
調査、即ち推計すべき総数を標本
調査によ
つて統計学を応用して推計する理窟の
方法をとりまして、今回は一々籾の殻をこの時期においてむいてみまして、そうして青米であるか、茶米であるか、死米であるか、籾ずりにすれば粉になるだろうか、多分ならんだろう。半透明ならばいい玄米でありますが、そういうのを試みにやりまして全体を推定しておるのであります。完全な
意味では決して十分なものではございません。なおこの点は重要だと思いまして、昨日も
農林省の省議で、特に品質を現わす
調査の
経費を急遽計上するように決定をしておりまして、補正予算の中で裏打ちしまして、実施はすでにこの指示を
地方にしまして実際
調査するようにしておるのであります。