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1953-07-17 第16回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十七日(金曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            上原 正吉君            竹下 豐次君    委員            井上 知治君            白波瀬米吉君            成瀬 幡治君            松本治一郎君            松永 義雄君            松原 一彦君            野本 品吉君   政府委員    内閣官房副長官 江口見登留君    南方連絡事務局    長       石井 通則君    農林省農地局長 平川  守君   説明員    会計検査院検査    第三局長    小峯 保栄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○元南西諸島官公署職員等身分、恩  給等特別措置に関する法律案(内  閣送付) ○行政機構整備に関する調査の件  (行政機構整備に関する件)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。  元南西諸島官公署職員等身分恩給等特別措置に関する法律案議題といたします。まず政府提案理由説明を求めます。
  3. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 只今議題となりました元南西諸島官公署職員等身分恩給等特別措置に関する法律案につきまして、その提案理由及び要点を説明申上げます。  北緯二十九度以南南西諸島につきましては、昭和二十一年一月二十九日付、連合国軍司令部覚書「若干の外かく地域政治行政日本から分離することに関する件」によりまして、同日以降わが国は、これらの地域政治上、行政上の権力を行うことを停止せられましたため、同地域にあつた官公署職員身分恩給退職手当死亡賜金等については、その後措置することができず、今日に至つたことは御承知通りであります。  ところで平和条約が成立し、わが国の独立をみました現在においても、なおこれら元官公署職員身分恩給等をこのような状態に放置しておきますことは好ましくないことであるのみならず、現地該当者及びその遺族の生活困窮は見るに忍びないものがありますので、すみやかに、その身分を確定し、支払うべき退職手当恩給等支給して本土公務員なみ取扱をいたしたいと存じ、本法律案を提出した次第であります。  次に本法律案の大要を説明申上げます。先ずいわゆる行政分離覚書の出された日の前日の昭和二十一年一月二十八日に南西諸島にあつた官公署職員で、引続き琉球島民政府職員となつた者及び未帰還職員以外は、同日をもつて退職したこととして取扱い、それらの者に対しましては、その日までの未払俸給恩給その他の諸給与支給することとしたことであります。  次に、元南西諸島官公署職員で、引続き琉球島民政府職員となつた者については、恩給退職手当及び死亡賜金に関する法令適用上勤続したものとみなし、恩給退職手当及び死亡賜金本土公務員に準じて支給する取扱としたことであります。  第三に、元南西諸島官公署職員で、引続き琉球島民政府職員となつた者が、在職のまま恩給を受け得る途を開いたことであります。  第四に、元南西諸島官公署職員琉球島民政府職員なつた後、更に本邦官公署職員なつた場合には、引続き本邦官公署職員として勤続するものとみなし、又未帰還職員については本邦の未帰還官公署職員の例に準じ措置することといたしたことであります。  第五に、元沖繩県職員について支給すべき諸給与及び恩給は、国庫負担することとし、元沖繩県以外都道府県職員琉球島民政府職員となつた者について支給すべき諸給与は、その都道府県が支弁し、その経費は国又はその都道府県がそれぞれ分担することとし、又これらの職員について給すべき恩給はその都道府県負担し、その経費は当分の間、国庫が交付することとしたのであります。  以上がこの法律案の概略でありますが、なにとぞ慎重御審議上速かに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 続いて本法律案に対する補足説明を求めます。
  5. 石井通則

    政府委員石井通則君) 只今提案理由について補足説明を申上げます。  北緯二十九度以南南西諸島地域は、沖繩県の全部並びに鹿児島県の元大島郡を含み、平和条約第三条の規定によりアメリカ合衆国が行政、立法及び司法上の権力を行使している地域でありまして人口は元沖繩県地域は約七十三万、鹿児島元大島郡の地域は約二十一万合計九十四万であります。御承知のごとく南西諸島殊沖繩本島戦争の惨禍が誠に甚大で、昭和二十年三月以降は官公署機能は全く混乱状況に陥り、大部分の職員はその後は俸給支給されておりません。又昭和二十一年一月二十九日の行政分離に関する連合軍司令部覚書が発せられたのちにおいては、官公署職員としての身分についても恩給死亡賜金退職手当等給与についても何ら措置することができない状態のままになつておりましたが、昨年八月那覇に日本政府連絡事務所が設置せられまして以来、元官公署職員に関しまする実態の調査もいたし又その身分並びにこれらに対する諸給与支払に関する措置についても検討いたしまして、今回ここに法律案の御審議をお願することになつたのであります。この法律案により元南西諸島官公署職員として措置することを予定いたしております者は、関係官庁出先機関々係の職員及び元沖繩県鹿児島元大島支庁関係職員並びに公立学校教員等でありまして、沖繩本島混乱に陥りました直前昭和二十年二月末日における在籍人員は総計一万千六百九十二名であつたのであります。  そのうちアメリカの同地域占領官公署等職員は、「米国軍士官の命令によりその職務に従事すべし」という米国軍政府布告第一号に基きまして、昭和二十一年一月二十九日の行政分離後引続き米軍管理下の諸機関職員、即ちこの法律案にいう琉球島民政府職員として勤続いたしました者が、八千三百二十四名、未帰還者が六百六十一名、行政分離の際他の職業に転業した者等琉球島民政府職員とならなかつた者が九百九十五名、昭和二十年二月末日より行政分離の日までに死亡した者が一千七百十二名ということになつております。  次にこの法律案につきまして逐条の御説明をいたします。  第一条は、この法律の目的を規定したものであります。  第二条は、この法律において使用する南西諸島、元南西諸島官公署職員琉球島民政府職員及び本邦官公署職員の用語についてその定義をしたものであります。  第三条は、元南西諸島官公署職員は、この法律で別段の定めがある場合、即ち引続き琉球島民政府職員となつた者や未帰還者等を除き昭和二十一年一月二十八日に退職したものとし、その身分関係を明らかにした規定であります。  第四条の第一項は、昭和二十一年一月二十八日において施行されていた恩給法第十九条に規定する公務員又は公務員に準すべき者として在職していた元南西諸島官公署職員が、引続き琉球島民政府職員なつたときは、その琉球島民政府職員を、原則としてすベてその恩給法の第二十条に規定する文官又は準文官として勤続する者とみなし、ただ例外としてその恩給法第二十三条に規定する警察監獄職員であつた南西諸島官公署職員が、引続きこれに相当する琉球島民政府職員なつた場合には、これを警察監獄職員として勤続するものとみなして恩給に関する法令規定適用するという規定であります。この恩給に関する法令規定適用する場合、琉球島民政府職員としての在職につきましては諸般事情を考慮し、案在職年に附すべき加算年勤続在職年についての加給及び納金の規定適用しないものといたしております。  第二項は、前項の規定により琉球島民政府職員普通恩給を給する場合において、昭和二十一年一月二十八日以前の教育職員及び警察監獄職員としての勤続在職年が、それぞれ十七年又は十二年を超えるものについて、その当時の恩給法規定により加給すべきこととなる場合はその規定により加給するという趣旨であります。、  第三項は、恩給基礎俸給は、その者が昭和二十一年一月二十八日において受けていた俸給基礎とし、本邦公務員恩給増額改訂の例にならい増額した額とする規定であります。  第四項は、第一項の適用を受ける琉球島民政府職員本邦官公署職員なつた場合、恩給に関する法令規定適用する際において必要となる細目の事項政令で定めることとした規定であります。  第五条の第一項は、元南西諸島官公署職員で、国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律施行されていたとした場合に、その法律第二条に規定する職員として在職していたことになる者が、引続いて琉球島民政府職員なつたときは、その者を同法第二条に規定する職員として在職したものとみなし、国家公務員等に対する退職手当支給に関する法令規定による退職手当を、昭和二十一年七月一日以降の給付事由の発生した分から支給するという規定であります。退職手当法第二条の職員とは、国の予算により俸給支払われる職員で、公社、公団及び公庫の職員を含んでおります。  昭和二十一年七月一日は現在のように使用者支給義務のある退職手当制度ができたときでありまして、それ以前は各省庁が予算の範囲内で支給していた恩恵的なものでありましたので、退職手当法適用があつたものとする場合も、この昭和二十一年七月一日からとしたものであります。なお、昭和二十六年十二月五日に復帰した鹿児島県大島郡十島村の場合もこれと同様の取扱をいたしておりますので、その例に倣つております。  第二項は、退職手当の額の計算基礎となる俸給月額は、その者が昭和二十一年一月二十八日に受けていた俸給月額基礎とし、給与事由の発生した日における本土公務員給与水準に切換えた額とするという規定であります。  第三項は、元沖繩県及び鹿児島県の職員についても国家公務員に準じて退職手当支給できることにいたした規定であります。  第六条の第一項は、第四条第一項の規定により恩給に関する法令適用がある琉球島民政府職員が、すでに普通恩給についての最短恩給年限に達し恩給法上の在職年の通算を辞退したときには、琉球島民政府職員として在職のまま恩給を受け得る途を開いた規定であります。即ち  (一) 昭和二十一年一月二十八日においてすでに最短恩給年限に達しているときは、同日を退職とみなして恩給を給し、  (二) 昭和二十一年一月二十九日以後において最短恩給年限に達したときは、最短恩給年限に達した日を退職とみなして恩給を給することができることといたしております。  第二項は、右の辞退をすることの申出は事務処理上、この法律施行後又は最短恩給年限に達した日から六月以内にしなければならぬこととした規定であります。  第三項は、第一項の辞退があつたときは、退職手当法関係におきましても、それぞれ恩給法退職とみなした日に退職したものとみなして、退職手当を同時に支給することとした規定であります。  第七条の第一項は、官吏又は待遇官吏であつた南西諸島官公署職員が、引続き琉球島民政府職員なつた場合には、その在職の間、引続き官吏又は待遇官吏として在職していたものとみなして、死亡賜金に関する法令適用することとした規定であります。  なお、目下提案中の退職手当に関する法律の一部改正案で、昭和二十八年七月三十一日後は死亡賜金制度をなくし、退職手当制度一本となることになつておりますので、その後は死亡賜金支給しないことになります。  第二項はい死亡賜金計算基礎となる俸給月額は、退職手当計算基礎となる俸給月額と同様に取扱規定であります。  第八条第一項は、元南西諸島官公署職員であつた者が、昭和二十一年一月二十九日以後九十日以内に琉球島民政府職員なつた場合には、恩給及び退職手当に関する法令適用上引続いて琉球島民政府職員として勤続するものとみなす規定であります。九十日以内というのは、行政分離の日から引続き琉球島民政府に勤めることは、住宅その他の事情のため困難な者があつたことや、同年四月二十二日に沖縄民政府の創立があつたこと等諸般事情を考慮して、九十日間の猶予をみましてその間に同政府に勤めた者は引続き勤務するものとみなしたのであります。  第二項は、元南西諸島官公署職員が、行政分離の日以後九十日以内に本邦官公署職員なつたものについては、前項同様に引続き勤務したものとみなす規定でありまして、この場合の九十日は本土へ渡航する日時や、受入の手続に要する日時等を考慮したものであります。  第三項は、引続き恩給又は退職手当法令適用を受ける琉球島民政府職員となつた者が、その後退職して本法施行前は九十日以内、施行後は三十日以内に本邦官公署職員なつた場合にも引続いて勤務したものとする規定であります。  第九条第一項は、未帰還職員については第三条に規定する退職とはいたさない規定でありまして、その身分措置は第二項以下に規定いたしております。  第二項は、未帰還者昭和二十八年七月三十一日までに帰国して、九十日以内に琉球島民政府職員又仕本邦官公署職員なつた場合には、元南西諸島官公署職員昭和二十一年一月二十九日から引続き琉球島民政府職員となつた者、又は本邦官公署職員となつた者の例にならい、その身分を引続かせることとし、又、これらの職員にならなかつた者は、外地帰還公務員について適用されておる外地官署所属職員身分に関する勅令、即ち昭和二十一年勅令第二百八十七号と同一趣旨により、帰国の日以後三十日後に退職したものとする規定であります。  第三項は、昭和二十八年七月三十一日までに帰国しなかつた帰還職員のうち、恩給法適用をうける者については、本邦官公署職員と同様に、現在御審議中の恩給法の一部を改正する法律案附則第二十七条の規定により、退職とみなされる日又は死亡した日まで身分を継続させ、恩給法適用を受けない者についてもこれに準じて政令で定める日まで身分を続かせようとするものであります。  第四項は、昭和二十八年七月三十一日までに未帰還である元沖繩県職員に対する給与については、本邦官公署職員の例即ち未帰還職員給与に関する人事院規則に準じて俸給その他の給与支給する規定であります。  第十条は、疎開学童担当教育関係職員に関する規定であります。本条に規定する疎開学童担当教育関係職員は、昭和二十一年一月二十八日においては南西諸島官公署職員ではなかつたのでありますが、昭和十九年に沖繩県より疎開学童と共に熊本、宮崎または大分の三県に転じ、昭和二十一年一月二十九日から同年十二月三十一日までに南西諸島に復帰したそれらの教育関係職員についても、本法律案に掲げる元南西諸島官公署職員と同様の取扱をすることにいたしたのであります。  第十一条は、南西諸島地域内の区裁判所に置かれていた執達吏が、これに相当する琉球島民政府職員なつた場合には、執達吏又は執行吏恩給に関する法令適用する規定であります。  第十二条は、南西諸島官公署職員身分に基いて生じた、恩給請求権その他国又は地方公共団体に対する債権は、昨年まで同地域との通信も行われず、又この法律施行されるときまでは職員身分も明らかにされておらなかつたので、権利が時効により消滅しないようにするため、戦争により南西諸島官公署機能混乱に陥りました昭和二十年三月一日からこの法律施行の日の前日までは時効が進行しないこととする規定であります。  第十三条の第一項は、元南西諸島官公署職員にいつて元沖繩県支給すべき俸給々与等で、まだ支払われていないものは、沖繩県に代り国が負担する規定であります。  第二項は、この法律規定により琉球島民政府職員となつた者支給すべき退職手当及び死亡賜金は、原則として国庫負担することにいたし、特例として昭和二十一年一月二十八日において元沖繩県以外都道府県がその俸給を支弁していた職員については、その都道府県が支弁し、その経費行政分離前後の在職期間国庫補助職員についての補助割合等事情を勘案し、国庫及び当該都道府県負担区分政令で定め、それぞれ分担することにいたした規定であります。  第十四条は、琉球島民政府職員についての恩給は、原則として総理府恩給局長がその恩給を裁定し、国庫がこれを負担することとし、ただ特例として、昭和二十一年一月二十八日に元南西諸島官公署職員として恩給給与事由が生じたとした場合において、元沖繩県以外都道府県知事がその恩給を裁定し、その都道府県経費負担すべきであつた南西諸島官公署職員で、琉球島民政府職員なつたものに係る恩給は、その都道府県知事が裁定し、その都道府県負担するものとし、その経費は、政令で定める日以後に支給すべき恩給の分を除き、国庫が交付することといたした規定であります。  第十五条は、本法律案実施に関し必要な手続等事項について政令で定めることにいたした規定であります。  附則一項は、この法律昭和二十八年八月一日から実施することといたしてありますが、恩給退職手当死亡賜金支払に関しましては昭和二十一年一月二十八日から適用することとした規定であります。  附則二項から四項までの規定は、南西諸島に居住する者に対し給する恩給で、国庫負担に係るものの支払に関する事務の一部を、郵政大臣政令で定める者、例えば琉球政府郵政機関に委託して取扱わせ、その者に必要な資金を交付し得ることといたした規定であります。  附則五項は、所得税法施行地外である南西諸島に住所又は居所を有する者が、この法律施行後、この法律適用によつて支払を受ける場合、又はこの法律施行前に国若しくは地方公共団体職員退職し、その退職以前になされた勤務により、この法律施行後に支払を受ける場合に、その支払を受ける給与所得又は退職所得所得税法規定する所得とみなして同法の規定適用し、一〇%の所得税を課するという規定であります。而してその税率は、所得税法施行地外の個人の所得に対する税率二〇%に比し半減した税率といたしております。  以上逐条説明をいたしましたが、よろしく御審議をお願い申上げます。
  6. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 本法律案に対する質疑は次回にすることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) では次回に譲ります。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  8. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。  次に行政機構整備に関する調査議題といたします。前回に引続きまして質疑を続行いたします。
  9. 竹下豐次

    竹下豐次君 農林当局にお尋ねいたします。行政監察状況をこの委員会でいろいろお話を聞くと同時に、会計検査院の結果につきましてもお話を承わつたのであります。いろいろ長いお話を承わりますると、会計検査院お話によりますと、地方の自治体のいろいろな政府補助関係がある。この補助工事地方でする場合におきまして、その初めの計画に齟齬はないか。正しからざる工事が各地で行われていた。或る県では自分のほうで調査した数の九割以上も好ましくない工事ができておる所がある。成績のいい所でもやはり一割くらいは不正工事がある。それをいろいろ調べてみると農林省関係補助工事というものが特に成績がよくないというお話を承わつたのであります。農林省関係でいろいろ補助を出して、そうして正しい工事の行われるように平素監察し、指導しておられると思いますが、今日まで農林省ではどういうふうな監査、指導しておられるのか、それを承わりたい。お調べになつておる点につきまして今日までの成績はどういうことになつておるかということを具体的に承わりたい。何分多数のことでありまするから一々お話を願うわけには参りませんけれども、大体の筋道はどうなつておるか。今後又それをどういうふうにして処置して行くお考えであるかというようなことにつきまして、私などの理解のできるように御説明を願いたいと思います。
  10. 平川守

    政府委員平川守君) 農林関係のいわゆる農業土木工事関係につきまして、会計検査の結果しばしばいろいろな形における違反的な工事が発見されておるということは事実であります。私のほうといたしましてもこの事柄性質上、間違いの起りませんように非常に厳格に監督いたしているつもりでございますが、ただ特に一番監督の比較的届きません部門が災害復旧事業でございます。会計検査院関係で出て参りますのもその関係が非常に多いのでございます。これにつきまして私ども非常に苦心をいたしておりますが、何分その原因を考えますると事柄性質上、非常に短期間に大量のものが突発的に起つて来る、それに対して所要の職員というものは平時からそれを備えておくわけに参りませんので、平時には或る程度常員を備えている。非常に突発的に大量の復旧事業というものが県から提出されまして、これを一々審査しなければならんわけであります。併しそれを全部現地を審査する能力はとてもございません。又おおむねそういうときには交通状態も悪いのでございまして、とても現場を全部審査する能力がありませんために、大体今までやつしおりますのは、県から申請がありまするとこれに対して実地調査いたしますものが大体二割程度でございまして、その二割程度実地調査をいたします地区について、県の申請農林省がそれに対して計画として査定を加えました額と、その比率を全体の県の申請額に乗じて、県の復旧事業の総額を査定いたすという趣旨でございますので、それでどうも一つ一つ工事を直接に監督いたすということができませんので、誠にどうも会計検査の結果を見ますとその工事が十分に計画通りできておらん、或いは当初の申請の中にごまかしがあるというようなことが発見されたわけであります。私どもといたしましては、これに対して一つ事業の刷新を、どういうふうにしたらそういう各部落々々の末端における工事が、そもそも申請のときから正確に行われることになるだろうかということをいろいろ研究をいたしておりまして、まだ具体的に最後的に固まりませんが、先ず県の態勢というものをもう少し間違いなく県自体査定をして来るという態勢に持つて行く必要があるのではないか。現在ではこの各末端一つ一つ事業を直接に農林省助成をするという体制になつておりまして、県を通して県に助成をして、県が又その末端助成するという昔はそういうやり方でありました。終戦後その形が変つております。従つて県はこれに対して直接には責任がないような形になつております。これを先ず県自体自分で自粛して行くべきである。申請のとき自体から自粛して来るように態勢を整える必要があるのじやないか。又県自体が以前にはこの復旧工事に対しては必ず一定負担をしなければならんということになつておつた、それが現在はそうなつておりません。これもやはり県が自分自身で若干負担をするということがありますほうが、これが金額は少額でもいいと思いますけれども、やはり県自体がその仕事を真剣に査定をするということに持つて行く一つの力になつて行くということも考えられる。  それから又査定自体について非常に手が足りませんものでありますから、かなりまだ熟練しないような人が廻るということもありますので、査定については何か平素から一定の講習、訓練のようなことをいたしておきまして、一定の資格を与えて、これこれの者が査定をしたものでなければいけないといつたようなことをやつたらどうか、ということも考えております。  それから殊に工事施行後の検査については、なかなかこれも手を要しますることで十分に行きかねておるわけなんですが、これを更に厳格に励行いたすということ以外に方法はないわけでありますが、殊にこういう問題がいろいろ起つておりますので、一つ十分にこの点に力を入れて、ひとり災害の関係の係だけでなしにほかの方面の人も相当動員をして、その検査に従事させて必要な程度検査を完璧に行うということにいたしたいと考えております。  現在までのところでは、むしろ会計検査のほうが比較的それ専門にやつてくれまして、そちらのほうから欠陥が発見されて来る場合が多いのでありまして、私どものほうはもつぱら部内の検査として、殊に技術的な問題等には重点をおいて検査をいたしております。何分にも手が足りませんためにそういう欠陥を全部発見するに至つておらない。会計検査のほうからいろいろな欠陥が発見されて参るということがあるわけであります。  大体今までの行政管理庁、或いは会計検査院検査の結果によりましても、大部分を占めますものは災害復旧関係でございまして、そのほかの関係はかなり初めの事業を採択いたしますときから、非常に厳格に且つ念入りに時間をかけて計画をゆつくり立てられるのであります。これのほうには間違いが非常に少いのでございます。非常に突発的に起つて参ります、而も事業分量が非常に不定である災害関係が非常に悩みの種になつております。そういうことで検査、或いは当初の計画査定等を厳格にして、只今のような発見されましたような間違いのなくなるようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  11. 竹下豐次

    竹下豐次君 県で厳格に査定することが先ず必要である。県に自分負担をさせることが又一つのいい方法だろう。それはまあそう思われますが、町村から申請される場合に知事は復旧するというようなことはしないのですか。
  12. 平川守

    政府委員平川守君) 県はとりまとめて参りますのでありますけれども、併し非常に厳格なその査定をやつておるとは思えない状態でございます。勿論市町村の立てましたものを県がとりまとめまして全体を集めて農林省のほうに持つて参ります。併し県の段階における査定ということは行われておらないのであります。
  13. 竹下豐次

    竹下豐次君 私は県によつて違うのじやないかと思うのです。私らの想像では知事やらその関係の部長あたりの性格、その人たちの誠意等によりまして、只今お話通りに全国的にいい加減な査定をしておるというふうに、それまで堕落しておるとは想像されないのですが、それはどうなんでございますか、相当に開きがあるのじやありませんか、県によりまして。
  14. 平川守

    政府委員平川守君) それは全くお話通りでございまして、現に検査院等の検査の結果、不正の出ておりますようなものも県によりまして著しく違うわけであります。ただ只今申上げましたのは、知事が責任を持つて査定して復旧といいますか意見を付けて出すというような制度的なことがありませんで、形式的な、制度的に申しますと事業団体に対して直接に国が補助するという形になつて、県はただ通過するだけになつております。昔はそうではありませんで県に対して補助する、県が各末端に対して自分の責任において又補助する。こういう体制になつておりましたために、県の力の入れ方が一般的に非常に違つておつた。但しそれは勿論県々の人々によりまして今のような制度でありましても非常に厳格にやつて参るという県もございますし、又比較的ルーズな県もございます。
  15. 竹下豐次

    竹下豐次君 今お話通りに、県が責任を負わないような制度に昔から変りましたのはいつ頃でございますか。
  16. 平川守

    政府委員平川守君) 昭和二十五年にこの法律が改正になつたわけでございます。
  17. 竹下豐次

    竹下豐次君 それはどういう理由でそういう改正になりましたか。
  18. 平川守

    政府委員平川守君) これは当時の司令部の意見が非常に強うございまして、補助は直接にやるべきであるという意見で、非常に強く主張いたしましたためにそういう改正になりました。
  19. 竹下豐次

    竹下豐次君 それでさつきからのお話のように県によつて大変違う、会計検査院検査が、特に悪い所などは復旧と申しますか、それはいい加減な復旧が多かつたことと思われますですが、一応そういう場合にはどの県はどういい加減な復旧で来るということは、本省ではお気付きにならないのでしようか。
  20. 平川守

    政府委員平川守君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、そう余りかけ離れたことを言つて参りますれば気が付くわけでございます。併し会計検査院検査の結果によりましてもおわかりになると思いますが、金額的に非常に著しい不正があるというわけではないのであります。つまり例えば国庫補助率が六割五分ある、残りは自己負担でやらなければならんのに残りの三割五分を自己負担せずに、その補助だけで工事を簡略にしてしまうという程度のことが非常に多いのであります。でありますからなかなか県から出て参りました資料だけで直ちに発見できるような程度のことではないので、もつと机上案ではなくて一々現場について、工事の実況を調べて初めて発見できるというようなことが多いのであります。
  21. 竹下豐次

    竹下豐次君 工事の現場を調べて発見すれば一番確かなことができると思いますれども、余りに不正事件が多いということを聞きましたから、書面の上でも慎重に審査されたならばもうちよつと発見する機会があつた。そういうふうな気がしますので今のようなお尋ねをするわけなんでありますが。  それはそれといたしまして、それから県を通じて補助するという考え方がよさそうに思うというお話でありますが、これは政府のほうではその御計画が相当に進んでおるわけなんですか、そういう方針に変えようという。
  22. 平川守

    政府委員平川守君) これは只今部内で相談をいたしております。自治庁も非常に関係がありまして、その方でいろいろ意見がございますようでございますので、これの話がまとまりますれば是非実現いたしたい、かように考えております。  それから先ほどの点のもう少し書類の審査で以てわからないだろうかという問題なんですが、実は私どもその点非常に苦労いたしておるのでありまして、実はちよつと検査院の表現が、私どもは新聞で拝見しましたのですけれども、九割程度、非常に不正があつたというような表現に受取れまして、ややきつく過ぎる感じを与えておるのではないか。先ほども申上げましたように、これは実際にどうも村の気分も一新しませんと、なかなか全面的に改めにくい点があるのではないかと思うのでありますが、殊に災害等の場合におきましても、どうしても地元に負担力がない。そこで成るべく早く地元に負担のかからんように工事の復旧を仕上げるのが腕のいい村長であるといつたようなことが、実際問題としてあるわけなんでございます。そこで僅かのことなんですが、三割五分の負担につきまして自家労力で以てこれを負担をしてしまう。それも正確に賃金計算をいたしまして、その三割五分をちやんと負担すればそれでいいわけなんであります。それを多小そこにごまかしのようなことがありまして、実際に村の負担したのは二割五分であつた、それで工事を完了したことにしてしまつたようなケースが大部分を占めております。そういうケースが一つ一つの調べた何百かのケースの中に何かかにかそういう分子を含んだ工事が多かつた。こういうことでございまして、その工事が全然でたらめである、或いは全然架空であるとかいうようなものは、たまにはございますけれども、ほとんどとるに足らんものである。大部分の九割がた不正があつたと言われる、その大部分というのは今申上げたようなものでありまして、これはなかなか最後に現場を厳密に当りませんと、計画自体を見ましてもなかなかわかりにくいものであります。そういう実情にあります。
  23. 竹下豐次

    竹下豐次君 会計検査院検査がどういう方針で抜き取り検査されたか私どもよくわかりません。何か悪いことが起きそうだという所だけ選んでお調べになつたならば九〇%という率が出るじやないかと思まいす。必ずしもあり得ないことではないと思います。ただ一般的にほうぼうをピツクアツプしてやつた場合に九〇%というものが出れば大変なことであります。九〇%というお話を聞いたのはそれは二件だけであります。一般的に平均しますと五、六割の不正というと大変なことであります。一番いいところ一割というようなことでありますから大変な問題で、世間に私は十人に一人泥棒があつたら大変なことになると思います。これは同じことだと思います。いいところが一割というのですからね、それほど悪い今日の世相になつておる。だからそういう所を取締、指導監督されるあなた方のお立場としては非常に骨が折れるということは十分察しができます。併し局長お話のように三割五分金を出してあと六割五分は国の補助、成るべく自分の金を出さないで工事をやつたのが腕ききだといつてほめられるような今日の世の中になつておればおつしやる通りです。そういうことは私どもも聞いている。私どもが聞いているんですから、あなたがた直接仕事をしていらつしやるかたは私なぞより余ほどそれはお聞きになつていると思うんです。そうだとすれば、もう少し監督のしようが今日まであつたはずではないだろうか、まあ一応疑つてかかつていいわけです。それくらいに率が高いんですから。初めから人を罪人扱いするようなことは道義的にいいことじやありませんけれども、それくらいの悪い成績の出ている今日の世の中において監督の責任を持つておられる政府の中央部の方が、どうも世間が悪いので手が届かなかつたということじや心細くて実はしようがない。それだから私はもうちよつと机の上で厳重に気をつけてやれば、もうちつと予防ができたはずじやないかということをさつきから申上げているわけであります。
  24. 平川守

    政府委員平川守君) 誠にその点はどうも別に申訳のできる事柄じやありませんが、私どもとしましても、先ほどから申しましたようないろいろなやり方の改正によりまして更に徹底をする方法を講じたいと考えております。ただ何分にも非常に数の多いことでございますから、やはり先ほど申しましたような、非常に細かいものまで一々本省が責任を負つて見るということでなしに、機構的に或る程度振りわけをいたしまして、非常に零細なものについては県に全責任を持たせるというようなことにせざるを得ないんじやなかろうか。殊に最近の九州の水害に対しましては現在の補助の対象の限度を更に引下げまして、現在十万円以上のものだけを対象にしておりますが、これを更に引下げよという御主張も大分あるのであります。そうなりますと、ますます一つ一つの仕事の規模は小さくなります。勿論数は非常に大きくなります。やはりそういうこととも考え合せますと、やはり或る程度の規模のもの以下については、県に全面的に責任を持たせてやつて参るといつたようなことがやはり必要ではなかろうか。又それを更に中央として監督しなければなりません。
  25. 竹下豐次

    竹下豐次君 農林省では特別な監察機構というものはお持ちになつておらないわけですね。
  26. 平川守

    政府委員平川守君) 現在のところ特別の監察機構というものは持ちませんで、それぞれの部局の立案、査定をいたしましたものが同時に竣工の検査までするというシステムになつております。
  27. 竹下豐次

    竹下豐次君 この会計検査院の報告は、先ほど申しました通りでありますが、そのほうでなくしてあなたのほうでも直接お調べになつたのも相当におありだろうと思つておりますが、あなたのほうで調査されて発見されたのがどのくらいございますか。
  28. 平川守

    政府委員平川守君) これは建前といたしましては、この工事の過程及び結果をそれぞれの係において検査する建前になつている次第であります。ただそれを何といいますか、会計検査院のやりかたのように、今年何カ所検査するといつたような式で特別の検査を行うということはございませんで、そのつどでき上りますれば当然検査をするという建前になつているわけでございます。併し殊に先ほどのように、いろいろ会計的の目から見ての欠点がいろいろ出ておるようでございますので、実は行政管理庁の監査につきましても私どもも協力いたしまして、我々のほうだけでも監査のしにくい点もありますので、管理庁とは協力してあの検査をやつたような次第であります。勿論管理庁がやつたのでありますが、我々も実際はそれに協力してやつてもらつたわけであります。そういう欠点があることを恐れまして、これは或る程度悪い所ははつきりさして、そうして直すところは直したほうがいいんじやないかというふうに考えまして、管理庁のほうで検査をやつたらどうかという御相談がありましたので、我々も積極的にこれに協力してやつてもらおうと、そうして欠点は欠点としてはつきり出してもらつて、それによつて今後の是正策を講じようじやないかということでやりましたようなわけでございます。
  29. 竹下豐次

    竹下豐次君 行政管理庁は、私のほうから見ますると、各省に協力を得るために大変気がねされましてやつておられるようであります。で地方自治体の問題については、又これは私どもから見ると遠慮し過ぎるくらい遠慮しておるように思います。もう少し突つこんでやつてもらいたいと私どもは希望しますけれども、非常に遠慮してやつておられます。所によつては県庁がこれに協力しない所もあるやに聞いております。そうなると、一体県庁も一緒におかしいじやないか、なぜそれをいやがるのかという疑惑さえ我々としては起さざるを得ないのであります。私のお尋ねしておるのは、管理庁との協力の問題ではなくして、あなたのほう独自の立場で何か御発見になつているようなことはないのでしようか、お調べになつていることはないのですか。それは定時に一年の計画はどうというような計画的なことではなくしても、とにかく補助金が行つておるのですから、あの工事がどうなつているだろうかというようなことは、まあほかの目的のために地方に出張して行つた場合でもちよつと寄つてみるというようなことは、役人としては当然やることでありまして、まるつきり知らん顔をして一度もやらなかつたというようなことは考えられないことのように私などは思うのですが、それはどうなんですか。どのくらいお調べになつて、そうしてそのうちでどのくらい不正がありましたか、ここ数年間の何かお調べがありましたら今すぐここで御説明できませんでしたら、あとでお知らせ願いましても結構でございます。
  30. 平川守

    政府委員平川守君) 只今その数字的に何件調べてどうであつたかということをちよつと申上げる材料を持ちませんので、これは又後ほど申上げますが、先ほど申しましたように、私どもは工事をやりますれば必ずその工事につきましてはすべてを検査する建前になつております。ですから、必ず検査が行われておるのであります。その検査は誰がやつたかということは、必ず責任者の名前が明らかになつておるのであります。我々のほうの仲間の検査でありますと、どうも会計検査院検査に現われて参りますような、つまり会計経理上のそういう種類のごまかしですね、先ほど申しましたような三割五分の負担を実は二割五分で済まして帳簿だけは作つておるというようなことは、ちよつと我々のほうではなかなか発見しにくい面がありまして、工事の面は検査いたしますが、従つてその工事が非常にごまかしでありますればすぐわかりますが、今のような人夫を節約したというような場合には、その工事自体に著しく欠陥がない場合にはなかなかわかりにくい場合がありますので、検査院では非常に専門的に裏の裏まで調べますので、一応帳簿が整つておりましても、何かこの帳簿は作つてあるのではないかといつたようなことまでそれからそれへと調べられますので発見できるようでありますが、我々のほうはどうもそこまでは徹底した調査をやりかねております。併し、今までの検査の結果等につきましては、後ほど資料にして差上げたいと思います。
  31. 竹下豐次

    竹下豐次君 大変やかましいことを言うようですが、私はあなたのほうの責任だとも思わないのです。さつきお話のありましたように、地方ではそういう不正なことをする村長さんを偉い人だと言つて尊敬するような所が非常に多い。これは大変悪いことです。  それから私、警察のほうはまだ伺つておりませんけれども、このくらい世間でうわさが高くなつておる問題について、警察でももう少し気をつければ、公文書の偽造であるとか、或いはひどく言えば詐欺罪であるとか、少くとも背任罪というようなことが起つておる場合が相当あるだろうと思うのです。そういうような問題について、警察も余りおやりになつておらない。殆んど検挙された例を私などは知りません。たまに何かの問題でひつかかつて出て来るのがありますが、私は今のように不正事実が多かつたら、犯罪事実がその裏には包含されておる、確かに刑法の犯罪事実があると私は想像します。併し、警察では余りお取上げになつておらない。恐らくそんなことをしておつたら経済界が混乱するというようないわゆる政治的な考慮が警察にあるのではないかと。これはまあ聞いてみなければなりませんが、そういうふうなことがあるのではないかと思つております。先ほど聞いたように行政管理庁でも遠慮がちになつておるし、当面の責任者であるあなたがたのほうにおいても、私どもの希望するような監査はしておらないということに、今まで承わりましたところでは断定しなければならないようなことでは、これではどうもいつまでたつたつて改まりやしません。ですから、まあなんとか協力してこういうことを繰返さないようにしてもらわなければならないと、私は本当にもう心からそう思いますので、きつい質問をしておるわけなんですが、なお先ほどお尋ねしました点もあとで聞くことにいたしますから、どうか御答弁をお願いいたしたいと思うわけであります。これはまあ農地局だけの問題ではもとよりございません。ほかの局の関係もあります。この間林野庁の治山課長さんにもおいでを願つたのですが、ほかにもあるでしようし、ほかの省にもたくさんあるわけでありまして、何もあなたがただけの問題ではございません。従つて今日は農林大臣にもおいで願うという希望を申しておきましたけれども、お差支えがあつておいでにならないのでありますが、一番よくおわかりになるのはあなたのところだと思つておるのでありますが、特にこの問題につきましては、もう今まで済んだことをかれこれ申上げたところで取返しのつかないことだろうと思つておりますが、今後繰返さないように、御自身で監督なさるなり、管理庁と緊密な連絡をとつて、本当に協力する気持で不正を起さないように予防策を講じてもらいたい、これは私の希望なんです。
  32. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 今農地局長の答弁の中に、検査院の不正事件の問題に対する新聞記事が少し極端に書き過ぎておるというような発言があつたようですが、会計検査院の小峯局長が来ていらつしやいますが、その点について何か発言ありませんか。
  33. 小峯保栄

    説明員(小峯保栄君) 前回のこの席上で私が、農林省補助工事、主として災害復旧工事につきまして御説明したことは事実であります。これは先ほど竹下さんからお話がありました通りでありまして、全体で現在までに本年は約半分の府県の検査をしておりますが、そのうち二県、これが非常に私どもの見るところで不当経理、工事が悪いというものが多かつたと、こう申上げたわけであります。それで二県の名前も委員長の御要求によりましてここで申上げたわけでありますが、良い県もあるというようなことも申上げてあります。ところがどうも先ほど農地局長お話のように、或る新聞に悪いところばかり非常に強く出まして、殆んど九割以上全部悪いかのような印象をお与えしたのではないかと、こう思つて恐縮しておるわけでありますが、事実は決してそうではありませんので、竹下さんが先ほどおつしやつた通りであります。  それからこの九割でありますが、これは私ども検査をいたしましてこういう悪い事項が見つかつたと言つて上司に報告いたしました数でありまして、その一つ一つの案件につきまして私どもの見るところを詳細文書にいたしまして当局者に照会を出しておるわけであります。御答弁を頂きますと、私どものほうに或いは過ぎた見方がないとは言えません。そういう面はどんどんと御回答頂きまして不問にいたしまして、検査報告にのるのはその照会を出しました事項の何割かになるはずであります。金額の小さいものもきめるわけでございます。どうぞ九割というものは非常に多数府県の中の特異の例である、而もそれが決して全部検査報告にのるものではない、これを重ねて申上げまして御了承を得ておきたいと思います。
  34. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 関連して。検査院のかたにお伺いしたいんですが、今農地局長お話なつたように地元が三割五分を負担せねばならん、ところが三割五分は負担していないというのは不正と見ておられるんですか。そうじやなしに工事のできた結果がよくない、その設計通りでないというのを不正と見ておられるのか、そのどつちなんですか、それを伺いたいんです。
  35. 小峯保栄

    説明員(小峯保栄君) 地元が法律上要求されております、災害復旧で申しますと三割五分の負担でありますが、これが非常に私ども数年来工事検査して参りますと、でき方が非常に悪い工事が多いのであります。初めは一体これは請負人がずるくて手を抜くんだろうかというような点に疑問を持ちまして、でき方の悪いというものを先ず全国的に探して歩いたわけであります。と申しますのはでき方が悪い、ひどいのは私どもが検査に参りましたときには壊れてしまつているというようなものもございます。昨年の検査報告を御覧になりますとわかりますが、三百七十ばかりを表にして渡してありますが、そのうち十ほどは私どもが検査に参りましたときに壊れてしまつている。これは明らかに調べてみますと手抜きがあるからなんであります。設計通りの仕事をやつていない、こういうのがたくさん出て参りますと、これは又地元がひどい目にあうわけです。このでき高不足というものを特に念入りに調べたわけなんでありますが、そういたしますと、どうも請負人が手抜きをするのもございますが、そうでなくて地元が三割五分の負担を全部したがらないで、そうして請負人を値切つてしまう。二重契約といつておりますが、裏契約を結んで、我々に見せる書類は満額の契約書を見せるのであります。三割五分全部出したかのような資料を一通りそろえているのでありますが、ところがいろいろ調べますと、どうもそういう所はどつかに矛盾がございますので、少し調べますとすぐわかるのでありますが、調べて参りますと三割五分まるまる抜いた契約をしている。裏契約をやつている。或いは三割五分までは抜かないが二割なり二割五分は減つてしまつている、或いは地元で労力を提供したとおつしやる、員数を計算してみますと、どうも例えばそこの農家戸数なり人口なりに合して如何にも不当だ、老幼男女全部合わして相当の日数を出なければそれだけの金額にならんはずだ、こういうような事実がたくさん出て来たわけです。現在ではでき高不足の工事の原因というのは請負人の手抜きにもよるものもございますが、相当数がどうも裏契約、地元が値切つてしまうというところにあるんじやないだろうか、こう考えているわけであります。中には設計が悪くて設計が非常にあまい。例えばその場でコンクリート用の石なり砂が取れるのに四キロも六キロも先から運ぶというような設計になつているのもあります。こういうようなのは設計があまいのでありまして、最初の計画がまずかつたわけですが、こういうのもございますので、いろいろ原因はありますが、ともかくも自分法律上出すべきものを負担していないという結果を来しているのであります。私どもといたしましてはそれが犯罪としての不正を構成するかどうかということは実は余り追及しておりません。それよりも悪いのを見付けますと、手直しのできるものは前回申上げましたが、設計通りの強度を以て又大水が出ても壊れないようなしつかりしたものを作つてもらう。そうして手直しができないものは補給をしてもらう、これは勿論今度は補助金は出ないわけでありますが、地元負担なり或いは請負人が手抜きをしたものならば請負人の負担でやつてもらう。こういう方向に検査の主眼点をおいているわけでありますが、どうしても手直しも補給もできない。こういうものはどうもみすみす国庫補助金が行過ぎになつているのでありますからどれは相当の金額を算定いたしまして返してもらう。こういう方法をとつているのであります。検査の主眼点は飽くまでも前回申上げましたように強いしつかりした工事を作つてもらつて、そうして又再度災害を受けて地元がひどい目に合うことがないようにやつてもらう、こういう方向に行つているわけであります。
  36. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちよつと竹下さんの質問にも関連して、農地局長にお伺いするわけです。まああなたのほうで部内監察と申しますか、その部とかいうような所で、自分で設計をさして机上でそれを査定されて、そうして現地調査にと申しますか、監察にお見えになる。こういうふうに伺つたのですが、そうした場合にこれは不在であつたと、こういうふうに報告をされることがあるわけですね。或いは不正であるということを発見されたような場合にどんな処置をしておいでになるのですか。
  37. 平川守

    政府委員平川守君) これは私のほうといたしましては、工事を完成するのが目的でありますから、必ずその検査に合格させるためには、それだけの工事をやらせるということをやつているわけであります。
  38. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それが今言つたように三割五分の、先ほどの言葉で言えば二重契約になつているというのが非常に多いと思うのですよ。そういうものに対して人にやらせるとおつしやるが、実際できているのですか。これはよくなつたのだと、こういうふうに大体報告しておられるわけですか。事件が起きて監察されれば、大体次の報告で出て来た場合に及第をしたというような形で出て来ているわけでありますか。
  39. 平川守

    政府委員平川守君) 農林省自体が直接やりますことは、やはり大きいものだけでありますから、今非常に案件として数が多く出て来ますようなものは、検査を行う県の係官にこちらは委託するわけであります。で、その場合にでもやはり同様にこれは検査に合格しなければならん、従つて必ず所要の予定の計画、設計通りの仕事をやつておらなければ不合格になすべきはずである。それは私のほうにはこれは合格したんだということで一応来ておりますものを、又更に会計検査院検査をしてみますと今のような帳簿を作つているといつたようなケースが出て参つている。こういうわけです。
  40. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そういうふうに県に委託するようなことを、非常に悪いといううわさを私たちよりあなたたちのほうが一番よく聞いておいでになると思う。そういうようなものに対して今までどういうふうな指導的な立場にあつて処置をされたのですか。
  41. 平川守

    政府委員平川守君) それが一番問題であるわけでありまして、先ほど申しましたように災害が非常に大規模に起つて参る、又地域的に非常に偏在して起つて参りますので、その地方の或る災害県においては非常に手不足を来しているという状態にありますので、我々としては場合によつては事務局から応援をしたりいろいろしまして、そういう所は特に重点的に調べるようにいたしておりますけれども、なかなかそう誤謬を全部発見して、こちらに完全に握つているという段階に至り得なかつたという状態であつた。これは飽くまでもいけないことであるのでありますから、会計検査院の御注意もありまするので、殊に災害復旧関係については非常にぬかりが多い。ほかの一般の改良工事に比べて災害復旧関係は非常にぬかりが多いから、特にこの点注意して検査を履行するようにと言われているわけであります。併し我々といたしましては何分そういう措置を法制的に予定の工事を指導によつて実行させるという以外には、なかなか手がほかにありませんわけですから、もつぱらそういうことでしばしば注意を促しているけれども、そういう間違いがあとから出て来る、こういうことはあるわけであります。
  42. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私はこういう問題についていろいろのうわさがあり、まあいろいろと綱紀粛正なども強く叫んで相当成績もあげられる段階に来なければならんと思う。政府もそういうことはたびたび言われおるわけです。今きめ手がない、やむを得んというような、私はそんなふうには聞きとれんです。ですからあなたのほうで部内に対する根本的な対策が講ぜられて今はおらなければならんと思う。そしてそうした対策が立てられてそれに対して著々手が打たれているというふうでなければならんと思うので、それが若し何もやらずに、行政監理庁もそういうことをやるというのでそれにお願いした。会計検査院に対してお願いはできないでしようが、会計検査院がやつてくれるからいいと。竹下さんも非常に慨歎されておるが、何か私どもは奥歯に物のはさまつたようにどうも不愉快な話ですが、そういうことに対して何ら研究され、討議されて、あなたのほうとしてそうした対策などを立てられたことはないのですか。
  43. 平川守

    政府委員平川守君) この会計検査の結果にいたしましても、こういう種類の不正の事案というものは、実は非常に昨年一昨年あたりから急激に数が多くなつて来たように思うのです。どうもやはり終戦後の一般的な乱れ、気分的な乱れが各地にあるのではなかろうか。検査の結果を見ましても数年前まではそれほどその数多く悪い事案が出てませんので、そこで昨年あたりから非常に私どもこれは各地で不正が行われるようになつては大変であるというのでいろいろ検討いたしまして、先ほど申上げましたように、特に災害関係についての検査を厳格に行う。それから今度はもう相当思い切つた例えば返還命令をどしどし出すとか、或いは責任者を思い切つて処罰するとか、従来はどちらかと申しますと、その点については訓戒はいたしますけれども、なかなかまあ責任者を成るべく出さんような考え方で、できるだけ指導で以て改良するというような考え方でやつて参つたのでありますが、昨年及び一昨年あたりから非常に急激にこういう事案が多くなつて参つたようなことで、私のほうも実は検討いたしておりますけれども、少しきつい手を打たないといけないのではないか。  それと併せて先ほど申しましたように機構的にももう少し県自体が自粛して来るような体制というものを考えなければいかん。そこいらを両方かね合せまして私どもの検査の問題も、これはとにかく人員の関係もありまして、なかなかそうこれ以上分量的に多勢の人を動員するということは困難でございますので、抽出的な検査を厳格に励行して、それによつて一罰百戒的な手段をとるより仕方がないのではないか。そういうことで一つ徹底的に自粛を各地方にやらしてみよう。これでここ一、二年の間その趣旨が非常に徹底いたしますればやや終戦後のゆるんだと申しますか、多少だらしなくなつたような気分がここで一新される必要があるのではないか。そういうことによつてこれは根本的にやつて行かないといけないのではないか。どうも少し、昔はこんなことをだらだらとやつて来たことは決してございません。最近に至つて非常に激しくなつて参つたのであります。対策を思い切つて立てたい、かように考えております。
  44. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 小峯局長にこの前の話を聞きますと、今のところ平均六割、そして会計検査院の摘発されたり何かしたものは恐らく、昭和二十七年度を今やつておりますが二十八年度はもう少しふえて来るであろうというようなお話を実は聞いたわけです。今お聞きしておれば、あなたがおつしやる対策というものは非常に困難だということは私たちはわかります。併しこのまま捨て置かれてはいけないと思いますが、今あなたがたがおつしやつたことは、今早急に具体化してやつて頂きたいということをお願いしておきます。
  45. 野本品吉

    ○野本品吉君 只今農地局長お話を承わつておりますと、最近とみにこういう傾向が強くなつた。それから先日の会計検査院の話を聞きますと、恐らく今年はそういう事件が最高潮に達するのではないか。こういうことを聞いて私は非常に考えさせられるものが、而もそのことに対してこれは一般にこの人心の弛緩頽廃ということにその原因があるように今お話を承わつたのでありまするけれども、無論それもあるかも知れませんが、私はかようなことを殆んど平気でするようになつて来た原因の相当大きな部分が、これはやはり政治が弛んでおると申しますか、それからそういう行政を担当する部門にも一応欠陥があるということを反省しなければならんと思う。ただこれが社会の人心が頽廃したからということだけでは済まされないので、お互いの問題としましてもつと深刻に反省して、自分自体にもそういうことが頻発するような因があるのではないかということをもう少しまじめに考えてみる必要があると思うのですが、どうでございましよう。
  46. 松原一彦

    ○松原一彦君 ちよつと関連して。私も今のと同感と思うが、農地局長にそういうことを申してはすこぶるどうかと思いますけれども、吉田内閣は昭和二十三年十月十五日以来非常に続いておりますけれどもが、大臣は始終代つておる。ここにある表を見ましても、最初が吉田茂、周東英雄、森幸太郎、廣川弘禪、根本龍太郎、廣川弘禪、小笠原三九郎、内田信也、保利茂、実に九人も代つておる。内閣総理大臣は一人でふん座わつておられるが、農林大臣はこの間に九人も代つておる。而もそれが余りに政治に没頭し過ぎて、廣川弘禪氏のごときは二回も出ていますが、一体農林省に行つたのか行かないのか私は疑わしいほどにしか思われないほどに余りに政治に没頭し過ぎておると思う。かようなところに末梢の弛緩が生じておるのではないかということを私は恐れる。これは今あなたに申上げては非常に恐縮です、ですが私は記録にはいたしたい。内閣委員会はさように見ておるということを記録にはいたしておきたい。大臣がそういうことに対してすこぶる鈍感であり、冷淡であるといつたようなことが今日上下を通じて地になつてしまつておるのではないかという感じを持つのであります。  なおついでに、そういうところからの関連して伺いたいのは、地方の人たちの声にこういうのがあるので。地元負担を無理にさせるからこういうことになるのだ、地元には資力がないのに三割五分持たなければやつてやらんというから、ついやつてもらいたい余りにはまあふつかけてやつてもらう。そうして成るべく負担をしないようにしてやることが、さつき竹下さんの言われたように、その当事者の手柄として、手腕としてこのことがほめられているという事実が一方にあることは、これは御承認になると思う。  その上にこれも地方の人によく言うことですが、三遍も上京し、五遍も上京し、中には八遍も上京しておる。運動に非常に金がかかる。一つ工事をするために多勢の者がつながつて上京して運動費をたくさん使つておる。それも又この工事を粗悪にする一つの原因ではないか、こういうことを言つておるのであります。誰もまずい工事をしたい者は一人もないが、どうしても間に合せの工事にならざるを得ないものがある。そこに大きな虫食いがあるのではないかということを言われております。  どうも末梢のいわゆる第一線が弛緩していろいろなまずいことが行われておるにかかわらず、政治はその上の高いところを走つておつて、事務の上からも能率の上からも末梢には目が届かない。監察局があるからいいというようなものの末梢の監察局は十五人か二十人、そうして中央の高閣にはたくさんの大官が控えておられる、その大官は行つて見るものじやないといつたような現段階にあるところにも、これは大きな欠陥が生じておるのではないかということを痛切に思います。  それで農林省をなぜこんなに問題にしたかと言いますと、会計検査院の報告の中にも建設省の補助工事には比較的不正が少い。それから農林省工事の中で地方によつては割合に、地方によつてはひどく悪いといつたような、こういうむらのあるところにも、私は単に全国民の近代的な沈滞ということ以上に行政責任を持つ人々の監督の不行届、指導の足らないところもありはせんか。これはもつと掘つて行くと私は大臣が責任を負わなければならん問題だろうと思うのです。こういうことがはつきりわかつて来ると農林大臣そのものが責任を負わにやならんが、こういうふうにとりかえ引かえ短いのは一月で去つて行く。内田信也氏のごときは私ども新聞で辞任したというのが出た日に就任のあいさつを受けた。(笑声)就任のあいさつか辞任のあいさつか実はわからんで実は字が違つておるのじやないかと思つたのですが、就任のあいさつを受けたその日には彼は早や辞任しているのです。そういうことでは吉田内閣は何年続いてもどうにもなるものじやないということをしみじみ私は感じておる。農地局長にこういうことをがみがみ申上げても何にもなりませんが、局長一つ大臣にお伝え願いたい。これは大臣が責任を負うべきものである。(「そうだ」と呼ぶ者あり)私は関連して所見を添えて申上げます。  今の大変運動に金がかかるということ、地元負担が高過ぎて結局手を抜かざるを得ないという結果があるというこの声に対しては、どういう御所見でしようか、お考えをお聞きしたい。
  47. 平川守

    政府委員平川守君) これは我々のほうの官庁の中におきましても御指摘のごとき一種気分の弛緩と申しますか、昔の官庁と比べましても余ほどそこに差があるような気がいたすのであります。これについては一般問題として我々としても何とかこれは直して行かなければならんと思つておりますが、なかなか面倒な問題でございます。地方庁の考え方の切りかえによつてこれらのいろいろな不在或いは不当な事案というものが改正できる面も相当多かろうと思つております。そういう意味において先ほど申しましたようないろいろな演習とか訓練とかいつたようなことも行なつて参り、又或る程度信賞必罰を明らかにするということによつて、こういうことの改善も図つて参りたい、かように考えておるのであります。  地元負担の問題は非常に面倒な問題でございまして、地元から申せば一〇〇%補助してもらうのが一番いいにきまつておりますから、そういう主張をとかくいたすのでありますけれども、一面から申しますと、我々の実験からいたしましても余りに高率の補助というものは、又却つて事業計画に不純な分子が入つて来る面もあるのでありまして、やはり若干そこに自分の腹もいたむということのほうが却つて仕事の選択はまじめになる面もあるのであります。さればと言いましてこの災害の場合におきましては非常な打撃を受けておるわけでありまするから、これについては一般の改良事業に比べまするとかなり高い補助をいたしております。六割五分と申しますると我々の国庫補助事業といたしましては、農林省としては最高の補助率でございます。一般は大体五割或いはそれ以下のものが多いわけであります。それから又特に災害激甚な場合におきましてその六割五分の補助でもやり切れない、もつと負担力が少いという場合においては、いわゆる高率補助の例外的な適用もございます。その場合には八割乃至九割まで補助する場合も、これは災害の特に激甚な地帯については制度として盛られておるわけであります。従つて、それからなおその三割五分の負担にいたしましても、これを今すぐ負担をさせることは少し無理であろう、そこで先ず工事を完成して収獲が行われるに至つて、これを更に年々年賦償還で返せるような長期金融の制度も併せて盛つておりますので、農林漁業の金融公庫におきましては、これらの災害の復旧事業に対する自己負担分に対して八割以内の融資をして、そうしてそれは十年乃至十五年の年賦償還で返させる。こういうような制度もございますので、やはりこの負担率はこの程度でやつて参るのが、よかろうではないか、さように考えております。  それから、なお陳情の問題、そのための費用が非常にかかるという問題でございますが、これは私どもも実に苦にいたしておるところでございまして、我々としましてはでき得ることならば一切そういうお話がなくとも機械的と申しますか、制度的に各地方一定の手順を経て必要な補助が必要な所へ行くようなふうにいたしたい。極力そういうふうにいたしておるのでありますけれども、何分にもこれは地元のかたが心配の余り出て来られますので、特に最近は非常に多勢一カ所から出て来られるというような傾向でありますので、私どもとしてはむしろ余りそういうことで金をお使いになることは、少くとも我々としては一つも必要のないことである、一定の機構を以て必要なる調査はいたし、又殊に災害の場合の補助のごときはそこに個人的な意思の力が加わつてはいけませんから、出ましたところの一定査定官の査定をいたしましたところの事業に対して機械的に予算を割振つておりますので、そういう必要はないと申しますけれども、やはり実際上心配になられると見えまして来られるのであります。我々としてはこれは何とかやめることができれば結構だと考えているのであります。
  48. 野本品吉

    ○野本品吉君 さつき私の質問に対しては御返事がないのでありますが、これは返事はいずれでもよろしうございます。  なお聞きたいのですが、実は昭和二十五年、六年、七年ですか、この会計検査院の報告をずつと通して見ますと、年々同じような事柄が繰返されて指摘されている。そうしますと、こういう重要な事柄事務的に処理されておつて、良心的に何ら考えられておらなかつたのじやないかということを思う。若し同じような事柄が前から指摘されておつたとするならば、先ほども竹下さん等からも話がございましたけれども、すでに今頃はこういう事態に対して農林省ではこういう対策で行こうとする対策が積極的に我々の前に示されなければならないと、かように私は思うのです。これらのことについて単に今年のことだけでなしに、前からこういう事態があつたことに対して農林省自体として、どうしたらいいかということについて会計検査院から批難されるまでもなく、又行政監察の面から指摘されるまでもなくお考えになつたことはないのでございますか。
  49. 平川守

    政府委員平川守君) これは勿論毎年若干ずつの不正不当の事件がございますので、私たちはその点を非常に改善するように苦心をいたしているのでございますけれども、併しこういう事案が今年問題になつているから、こういうケースがあるから気を付けるようにということは勿論各事業所なり、或いは各府県の関係の会合等においてはやかましく何遍でも申しているわけであります。又それぞれ書面等を以て戒告をいたしておりまするし、場合におきましてはすでに若干の処罰をいたすというようなことも実行いたしたのであります。併しやはりどうもまだそういう事件が又はかの地方から出て参るということで実は非常に困つているのであります。まあ方法といたしましてはやはり信賞必罰を明らかにする。それから検査等の指導を更に徹底をいたすということ。そういうことのほかにつまり地元のほうで、或いは県とか或いは村とかが自分で自粛するような傾きを持つような制度にする。それが先ほど申上げましたような県自体にも或る程度負担をさせ、県自体の仕事としてやらせるということが、国としては県に補助し、県自体自分の全責任においてそのことをやらなければならんという体制に持つて行つて、そうして又農林省が監督するということのほうが、なお細かい数多い事件についてはその体制のほうがやりよくはないだろうか。現在ではちよつと県は農林省の委任によつていろいろ仕事をやつておりますけれども、併し直接的には国が事業主体として全責任においてやるのだというような体制になつております。そこのところがやや県を自粛せしめることには不適当ではないかというようなことも考えているわけであります。何分にも先ほどお話の出ましたような気分が地元の村にもありまするし、又県もどちらかと言えばやはり自分の県内の村のことでありますから、まあ村の味方をするということも若干無理からんところもあろうかと思いまして、結局農林省が一人で躍起になつて不正のないように探しまくつているという、こういうかつこうでございますが、これがそうでなしにやはり県も協力一致して正しい仕事が行われるような制度に直す必要があると。それにはなかなかこれだけで完璧に行くなどということは到底申せませんけれども、併し先ほど申しましたような、県に責任を持たせるということもこれは一つの進歩じやなかろうか。そういうことで一歩々々改善して参りたいというふうに考えているわけでございます。
  50. 竹下豐次

    竹下豐次君 もう私質問でない。私の重ねての希望を御参考のために申上げておきますが、二年前か三年前のこの委員会ではないかと思つております。農林省関係で何か団体に不正なことが起つた、木炭の関係のときだつたか何かの時だつたか忘れましたが、そのときに当時の大臣おいで願いましていろいろ監督、監査のことをお尋ねしたのです。そのときの御答弁にこういうことを言われたのですよ。それは是非しなければならないことだけれども、私の役所にそういうことを検査する適任、能力のある人がおりませんから経済調査庁のほうにお頼みしております。こう言われた。これは本当に正直なことを言われたのだろうと思いましたけれども、私はそのときにこう言つたのです。自分の息子が不良になつているのに私は監督する力がないから隣のおじさんに頼むというようなことを大臣おつしやるのはちよつと聞えませんよということを言つたのです。併し実際は今総理府にできておりまする行政監査の当局ですね、こういう問題のときにもお聞きでもありましようが、すでに各省で大臣に責任があつてそれぞれ監督しているわけだから、ほかに又屋上屋を重ねるような監査機関などは余り必要ないんじやないかという意見も一部にあつたと思うんです。併し内部監査というものはなかなか長い間の官庁内部の歴史から見ても効果が上がらない。それには二つの、これは私が言つたことですが、理由がある。大きく見て一つは部下に対する上官の温情がある。部下の失態を一々とがめるというようなことは上官として忍びない。人情というのがある。これは見ようによつては人間としてはいいことであります。ただけしからんといつて責めるわけにも行かないという点がある。一つはともかく責任が起つた場合に、その監督の上役も又その責任を負わなければならんというような汚い考え方で部下の処罰等を厳重にすることを好まない部面がある。積極、消極二つの理由によつて、どうも内部監査というものは成績が十分に上がつていない。でき得べくんば第三の機構なんというものはなくて済むならそれが一番いいのだけれども、今までの私の見た経験から見ると不十分であるから、やはり第三者の立場から総理府に監督機関をおくということはこの際やむを得ないことだ。そこでもうしつかりやつて頂くことが必要であるということを私は言つたことがあるんです。  先へ話が返りますけれども、今度の会計検査院のさつきから申しまする結果を見ましても、二三年前に農林大臣が答えられた、私のほうじや監督の適任者がないからよそに頼んでいるということを言つているんですね。私の申したことをその当時の大臣が聞きつぱなしにして恐らく局長や、次官あたりにお伝えにならないで、そのままにして呑み込んで、その歴史が今日までずつと続いて来ているんじやないかということなんです。まあ私のそのときの発言は聞きようによつて皮肉でもあるし、非常に大臣としては侮蔑を感ぜられなければならない私の発言だつたということを私はよく承知しております。私は実は憤慨したからそういう強いことも言つたのです。それが三年たつてもやはり同じような状態がずつと続いているということじや重ねてこういう発言をしなければならない気持になつてしまうんです。もう大臣に私は申上げるつもりでいたんですけれども、農林省の中でもあなたの管轄のところが一番数が多いということを聞きましたので、大臣或いはあなたの御出席を願つたわけであります。まあ先ほどからいろいろなこの後の監査のことにつきましてお考えもあるようであります。その問題も併しまああなたの局だけでもありません。ほかの所と釣合というようなこともありましようし、政府全体の考えもありましようが、成るべくならばまあ総理府の監察機関と協力してやつてもらいたいと自分は思う。何か外に迷惑をかけないでやれるくらいの意気を持つてやつて頂かなければ、地方の考え方のよくなるのを待つておつちや間尺に合わないと思います。これは今の世の中の風潮が悪いんです。それを町村長やら町村民の考え方を根本的に変えようといつてもそれはちよつと当分は期待ができない。やはりこれらは監査を厳重にして行くということによりまあ行きようがないんじやないか。文部省のほうでもしつかりお考え願わなければならん問題でもありますけれども、まああなた方の立場としては、それは余り今言つたような理由をお考えにならないで、まつすぐに力強く一つやつて頂きたいと思います。これは古い話を出しましたけれども、その席においでにならなかつたろうと思いますから御参考のために申上げる次第であります。
  51. 松永義雄

    ○松永義雄君 今度の監査の対象になつているのは、農林省といえば農村の公共事業のような感じがする。農村をそういじめるなということが私の主張なんです。犯罪とか悪事というのは本人が悪いから起るには相違ないが周囲の事情に基くことが相当多いんです。現在大蔵委員会提案なつている分担金の支払について、地方庁が地方債を出してこれをなし崩しにして行くのだという法律が出ている。これは前々から言われていることで、災害にしても、大きな事業になると地方の分担金が地方能力以上にかかつて来て結果として払えなくなるんです。先ほど農地局長の答弁の中に極めて重大なる点が、只今松原さんから重ねて質問がありそれに対するあなたから答弁があつた局長から答弁があつたのは、繰返すことはないと思うですが、三割五分の負担ができないにもかかわらず、関係市町村がどうしても事業をやらなければならないという状態に追い込まれているという事情です。仕事はしなければならんけれども併し地方の市町村は金がないからできない。そこでからくりが生れて来て遂に刑事問題まで発展するに至つている。  もうすでに済んだ事件だからここで言つてもかまわないんですけれども、これはもう進駐軍に関係した問題でごうしてもその結果として工事をやらなければならない。そのために或る請負師が一生懸命になつてやつたんだけれども何しろ頭が悪いので経理ができない。結果において横領だという。その出た金額は極めて小額です。その他の町村の責任者でもこれ又同様といわれている。先ほど言われました東京通い或いは県庁通いのための運動費、悪い運動費でなくて善意の運動費、僅か一万、二万の金、それが横領罪だというんです。監査の目的はただ単に摘発することばかりでなくして実態を明らかにしてどこに欠陥があるか、その欠陥をどうして直して行かなければならんかということなんですが、先ほど局長から答弁になつた農林事業の金融金庫ですか、今年できたんですか、それでこれからはやつて行くんだ、これは非常に結構なことだと思う。金がないのに事態は起きている、仕事はやらなければならない。そうして苦しむのは市町村長であるし、そこへまあよく言えば、よしおれが立つて一つやつてやるんだというような人情のある男が出ないとも限らん。それが法律の面から見れば刑法上の犯罪だというようなことに私は出くわしたんですけれども、これは松原さんの言われたように、歴代の農林大臣の責任だ。できない状態なつているのに対して金融の道を図らなかつたり、或いは地方債の発行をふやさなければならないのに、大蔵省は常に、これは演説みたいになつちやうんですが、都会方面の融資に対しては極めて熱心だけれども、農村に対しては極めて冷淡だといつてもいい。後から後から出て来るのは農村救済であつて、まず最初に出て来るのは何だといつてこれ又国策だといえば国策かも知らんが、ともかく大企業方面の融資は多額に上つているし、まず最初に出て来る。だから私はこの監査の法文を見たときに直ちに感じたことは、これはもう農村いじめに違いない。監査することはいいですよなお且つ厳重にやらなければならない。勿論厳重にやらなければならんが、環境をよくしておいてそうして犯罪を摘発するならそれはいいけれども、環境を悪くしておいてお前は悪いことをしたといつてもいつまでたつても直りつこない。いつまでたつても出て来る。だからだんだんふえて来るということは当然なんです。その点について、農林省が怠つているということはもう事実なんです。  まあ上原さんもいるから余りすつぱ抜くといけないけれども、とにかくその程度にしておきますけれども、それに加わつて来ていろいろなものが錯綜して来ると芝居は非常に面白くなつてそうして新聞をにぎわしている。併し底に流れるものは貧乏な農村なんだということなんです。農林省としてそういう犯罪を少くするのには、県にも金を出さして利害関係を持つて関心を持たせる、それは確かに一つの方法だ。だが併し仕事はしなければならんといつた場合に適正な金はどうしても渡しておかなければいけない。ただ負担すれば責任を感ずるから注意するだろうというだけなら、勿論三割五分の市町村の負担は注意して行われるということになるわけですが、而もそれがなお行われないということは何といつたつて三割五分のお金を納めることができないような農村をあわれな状態において、そうして仕事はやらなければならん。そうすれば、そこに佐倉宗五郎みたいな、近代的な終戦後のアプレ的な人が出て来るということは必然的な結果なんです。そこへ以て来て政争が介入して行つたら必ず問題は発展する。それは歴代の農林大臣がまじめでないし努力が足りないということなんです。(「無責任だ」と呼ぶ者あり)ただ監査監査といつてそれは達せられるものじやありませんよ。これは意見だけ述べておきます。
  52. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 本件についてはまだ質疑があると思いますので次回引続き行うことにして、本日はこれにて散会をいたしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) では本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会