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1953-07-13 第16回国会 参議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十三日(月曜日)    午後一時四十三分開会   —————————————   委員の異動 七月十日委員田中啓一君辞任につき、 その補欠として重宗雄三君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            上原 正吉君            長島 銀藏君            竹下 豐次君    委員            井上 知治君            白波瀬米吉君            高瀬荘太郎君            松永 義雄君            松原 一彦君            野本 品吉君   国務大臣    厚 生 大 臣 山縣 勝見君   政府委員    内閣官房副長官 江口見登留君    行政管理庁次長 大野木克彦君    法務省矯正局長 中尾 文策君    法務省保護局長 斎藤 三郎君    文部省社会教育    局長      寺中 作雄君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    国家地方警察本    部刑事部防   寺田  馨君   犯課勤務    法務省刑事局刑    事課長     長戸 寛美君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○青少年問題協議会設置法案内閣提  出・衆議院送付) ○厚生省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○大蔵省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開きます。  青少年問題協議会設置法案議題といたします。前回に引続きまして質疑を続行いたします。
  3. 松永義雄

    松永義雄君 或る学者で法務省内の青少年犯罪について研究の堪能の方の文献によりますと、犯罪インフレーシヨンに並行すると、ドイツにおいてもそうであつた日本でもそういうグラフがある、こういうことを言われたのですが、ところが御提出資料の中に、青少年に関する犯罪について経済が安定したといわれる二十六年乃至昨年の数字を見ますと、それほど犯罪数が減つておらないのですが、一体なぜ犯罪数がそれほどに減らないかという点について、簡単でいいですが、主なる点についてお話願いたいと思います。
  4. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) 只今のインフレと犯罪との関係でございますが、インフレーシヨン犯罪影響するということは確かに申せるところでありますが、併しどの程度までが関係があるかということにつきましては、実は正確にはまだわからないというのが実情であろうと思います。犯罪はほかにもいろいろな関係がございますので、必ずしもインフレーシヨン一本だけで犯罪がふえたり減つたりするということは申せないと思います。そういう関係からいたしまして、やはりインフレーシヨンは収束いたしましても犯罪は必ずしもそれとは完全に歩調を一致させてはおらないことがあるだろうと思います。但し大体二十六年頃を頂点といたしましてだんだん犯罪が少しずつ減つて来ておるように思いますので、やはりそういう点では関係があるのじやないかと考えます。
  5. 松永義雄

    松永義雄君 御提出資料の中にそのことが詳しく書いてありまして、それを読みますとほぼ明瞭なのであります。併し、二十六年における青少年犯罪数は非常な数に達して或いはこれが頂点なのかも知れませんが、インフレーシヨンを除いたこのほかに一体主な原因は何でしようか。
  6. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) 特に青少年という年令層のものは外界の影響というものを受けやすい、成人よりはやはりそういうものを受ける度合が強いと思われますので、やはり環境影響、つまり家庭影響或いは社会生活をやつております間に受けますなどの影響、或いはいろいろな盛場だとか一般的に道徳を破壊するような要素がございますが、そういうものの影響を受けることが相当大きいのじやないかと考えております。
  7. 松永義雄

    松永義雄君 「青少年問題協議会だより」という新聞ですが、それによると、青少年犯罪者家庭極貧家庭がわずかに全体の一一%にしかなつていなくて、八九%は普通以上の家庭から出ているとこう書いてあるのですが、それはどういうことなんですか。
  8. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) ちよつと私その資料のことを存じませんので資料そのものにつきましては申上げられませんが、併し、貧困それ自身は直接には犯罪原因になるかどうかわかりませんが、貧困ということによつて生じますところのいろいろ境遇の非常に大きな悪化激増というようなことが犯罪の誘因になるわけでありまして、私この極貧というものがどの程度のものから極貧なつているか存じませんが、併しやはり極貧、ということは相当大きな働きをしているのだろうと思うのであります。従いまして一般社会極貧のパーセンテージがどの程度になりますかどうですか、やはりこの極貧というものの範疇に入れられます程度のものが一般社会でも少いのではないか。こう思うのでありますが、やはりその貧困というもののものさしは相当影響があるのだろうと思います。
  9. 松永義雄

    松永義雄君 私の言わんとしているところは、八割九分以上の家庭から出ているということは、普通の家庭が正常でないということを意味するので、その正常の家庭でないということを意味するということが、なお未だ経済的混乱影響を受けている結果ではないかと、こういうふうに私はまあ考えるのでありますが。
  10. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) たしかにそうだろうと思います。つまりこの極貧というようなカテゴリーに完全に入らないといたしましても、今おつしやいますようなこういう今の非常に苦しい世の中でありますので、そういうことのために家庭生活というものが相当いろいろな面から圧迫されているだろうということは考えられるのでありまして、なお又この戦争後の少年犯罪と申しまするものは一つの特徴がございまして、まあ今言つたような理由が有力に働くためだろうと存じますが、これまでは平常時では少年犯罪というものは大体貧困階級から起るというようなことが普通常識的に言われておりましたが、もう戦後になりまするというとひとりそういうふうな階級ばかりに限つていないでいろいろな階層から犯罪者が出るようになつておりますが、やはりこの原因というものは、普通貧困でないと考えられましてもやはりいろいろな意味で苦しんでおりますので、そういうことの影響が現われているというふうに考えるのであります。
  11. 松永義雄

    松永義雄君 例えば、経済的の問題の一つとして住宅問題のごときがまだ解決しておらない。そうしたことが又一つ犯罪原因環境になるということを指摘しなければならん。従つてただこの点だけをつかまえてみても、犯罪予防法にはただ単に警察なり検察官にのみ任しておくということは当を得ない。そういう認識がなければこの問題は解決しないのだということを私としては指摘したいからそう申上げたのであります。  更に引続いて御質問しておきたいことは、犯罪者予防更生法ですかそういうことに関連しまして、あの法律に規定してある施設ということがあるのですが、一体その施設というものはどれくらい最近伸展して来ておるか、詳しい方があつたお話願いたいと思います。若しおいでにならなければ何か資料にして出して頂きたいと思います。それで一つの私から適例を申上げますと、栃木の刑務所で聞いた話ですが、婦人犯罪者があすこで釈放される。汽車の切符は買つてもらうけれどもさて家へ帰るには敷居が高い、途中下車してしまつて再びもとの悪い所へ戻つてしまう。昔、婦人保護というものがあつた。そういつた施設が一体今あるのか。そういう施設について法務省は考えて努力されているか。やや糾弾の形でありますが。
  12. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) 只今の御質問の点ば、つまり私たちが申しております更生保護ということの設備施設の問題でございまして、実はちよつと私そのほうにつきまして詳しい事情は必ずしも正確に存じておりませんが、大体私たち法務省関係更生保護では、一時保護というのと、相当期間収容して保護をいたしまする両方の制度を持つておるわけでございますが、まあ理想といたしましては成るべくそういう所に焦げつきにしないでできるだけ本人最後に落ちつく場所に落ちつくようにしてやるということでございまして、一時保護とか或いはほんの二三日泊めておく保護ということも相当つておりますが、併し、それでもなお且つなかなか身の落ちつき場が見付からないというような特殊の場合においては、やはりそういうことのほうも多少いたしておりますが、併し大体のところは法務省関係では余り長くずつと、まあいわば失業救済的なことになつてしまうものにつきましては、厚生省方面福祉保護に委ねておるわけでございまして、私たちのほうではこの一時的な保護ということにつきまして今力を注いでおります。戦災のためにこれまでありました設備相当焼けてなくなつた所もございますが、今一生懸命になりましてその復旧設備を急ぎまして着々整備ができている。勿論これは理想に対しましては非常に遠いのでございますが、だんだん整備はできておるということを申上げたいと思います。
  13. 松永義雄

    松永義雄君 例えばあの刑を終了した者が行先がなくてどこへ行つていいかわけのわからないといつたような者が相当多数あるのです。而もなおそれを収容する昔の免囚保護というかそういつたものがないように思うのですが、そういうものはあるのですか。
  14. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) あとでいろいろな正確な詳しい数字報告書にいたしまして提出いたします、そういうものはございます。
  15. 松永義雄

    松永義雄君 それから青少年職業との関係ですが、司法保護司はしばしば私に意見を述べているのですけれども、どうもその少年職業とが合わないというか、しばしば子供犯罪に追込んでしまう結果になる、間接の原因であると思うが、これは家庭指導よろしきを得ないというようなこともあると思うが、少年院その他青少年収容所においてその子供に適切な職業教育補導教育というものをやつておられるかどうですか。
  16. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) 誠に私たちの痛いところをつかれたわけでございますが、実は私たち少年院を持つている関係者といたしましてその点に非常に悩みを持つているわけでございます。これは言訳なつて参りますが、実は少年院施設少年収容いたしまするのに非常に不足であつたような事情で、いつまでも少年を長く少年院に入れておくことが非常にむずかしかつたわけでございまして、一ぱい以上になつてしまいますので、ついもう少し置いたほうがいいという場合が相当ございますが、併しあとを入れるわけに行かないということで止むを得ずあの程度のところで思い切つて出しておつたようなことでございます。なお又一時にたくさん少年院をつくるわけに行かなかつたというような関係からいたしまして、そういうような職業補導設備或いは職員充実というようなことにつきましても、思うように参りませんので、只今までのところではそう立派な職を本人の身につけてそれで一生の問題を解決するというところまでは行つておりません。せいぜい平均の少年院での在院期間というものが大体十カ月から十一カ月くらいの程度でございますのでなかなかそういう点について完全に参らなかつたと思いますが、併しもう昨年度あたりで通して頂きました予算によりまして大体少年院は今の程度で参りまするならば、もう少しゆつくり収容できるという見通しも付きましたので、もうこれからは職業補導相当今までよりはずつと本腰を入れることができるであろうということを考えております。なほ又職員も勿論現在では不十分でございますので、私たちとしてはまだ相当不足を感ずるのでございますが、併しずつと従前に比べますると指導をして就職率充実して参りましたし、なお又予算もそういうことのために使う金というものが本年度のごときはだんだんと逐年増額になつておりますので、まあだんだんそういう点につきまして、私たちの思うような方向に充実して参つておるのではないかというふうに考えております。
  17. 松永義雄

    松永義雄君 何かだんだん整備されて行くかのごとき御返答でしたが、例えば都会青少年に対して百姓のことをさせてみたり、或いは豚を飼うことを教えてみたりして、そうして帰れば都会家庭であつては何ら役に立たないといつたような補導をやつておられるということはないのですか。
  18. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) 原則としてはそういうことはしておらないはずでございますが、これはやはり本人境遇というものを考えまして、やはり将来本人のために役に立つような職業を選んでそれを訓練するようにいたしております。まあ併し稀に何か特殊な性格があつてそれをなおすためには、やはりこういうふうな作業をやらせなければならないというような場合がございますると、そういうふうな手段といたしまして一時変つた職業につかせるというようなこともないわけではございませんが、併し私たちやり方原則といたしましては、本人の将来のためになるようなものをやらせたいというようなことでやつております。
  19. 斎藤三郎

    政府委員斎藤三郎君) 只今更生保護会活動状況についてお尋ねがございましたので申上げます。  更生保護会は多少語弊がございますかも知れませんが、明治の初年あたりから始まつて参りました司法保護団体の後身でありまして、昭和二十五年に更生緊急保護法という法律が施行されまして、それに基いて法務大臣が認可をいたしまして現在百六十幾つか更生保護会がございます。その目的は刑務所満期で出ました人、或いは執行猶予釈放なつた、人或いは家庭裁判所から保護観察廻つた人、或いは仮出獄中の人で本当に行く所がない、こういう人を法務省所属機関でございます保護観察所委託によつて収容するという建前に相成つております。現在百六十幾つございますが収容定員は僅かに三千人程度でございまして、最近殊に昨年の恩赦で退所者がふえて参りましたので五千人を突破するような人を現在収容いたしております。非常に窮屈なことに相成つておりまするので、私どもといたしましてできるだけ更生保護会充実強化整備を図りたいと、かように存じております。現在国は、若干ずつふえて参つておりまするが、建物の腐朽の補修費用というもの、或いは職員人件費補助、それから事務費補助と、この三つの補助をいたしておりまするが、本年度予算は二千三百万円ということに相成つております。そのほか国が委託をした場合には、生活保護法程度と大体釣合のとれた程度を国が更生保護会に対して支払うようにして、請求をいたしております。その委託費がやはり本年度は二千五百万円というようなことに相成つております。大体手続は刑務所或いは裁判所から執行猶予なつた場合には刑務所長、或いは検察庁から実際に保護を必要とするかどうかということを記載した保護のカードを持つて観察所へ参ります。そうしてその際に保護観察所におきまして、本人からいろいろと事情を聞きまして、そうして必要ありと思う者を適当な更生保護会委託をして保護をいたしおるような状況でございます。勿論満期釈放者或いは執行猶予者等につきましては国が強制的に拘束するということはできない建前でございますので、本人の申出によつて保護を加えるこういうふうに相成つております。更生保護会の中には授産設備を持つておるものもございまするが、大体においては授産設備のないものが多くなつておりまして、大体この発足の沿革から申しましても各刑務所に一カ所程度がまあ必ずあるというふうに相成つております。その刑務所を出て本当に明日から行く所もないという人を更生保護会委託をしましてそうして授産をする、本人更生を図るということにいたしております。現状は卒直に簡単に申しまして従来民間事業を国が奨励するという立場で数十年参りまして、国民方面の御援助によつて成り立つというようなやり方をやつて参りました。それが終戦経済界のいろいろな激変といいますか、混乱と申しますか、そういう関係でその方面援助も得られなくなり、昭和二十五年から国がこれを保護し或いは委託費を出す、こういうようなことに相成つておりますので、現状は極めて不十分だと私も存じておりまして、これにつきましてできるだけ努力をいたしまして健全な発達といいますか、育成、強化に力をいたしたい、かように思います。
  20. 松永義雄

    松永義雄君 先ほど質問しておつたんですが、今日の青少年犯罪というものは家庭に罪があることは勿論ですが、その家庭の罪ということが終戦後における日本環境、広い意味における経済事情に基くものが多いと思うのですが、家庭ももとよりなおして行かなければならんことは勿論でありますが、こうした環境をなおして行くということも必要であります。それには国民の生業を正しく導いて行くことが必要だということになりまして、せめても具体的に只今お話のありました収容所というものをもつと強化して行かなければいけないのではないかというふうに考えるのであります。ここに今議題なつておる法案を通すのはいいわけですが、併しこれはただ単に相談するだけのことであつて、実践の方面子供さんたち指導して行きやすい施設なり補導なりを具体的に強化して行くというのが第一必要じやないかというふうに考えるのでありますが、これについて今希望でなければ入れたくても入れられないのだというようなお話でありましたが、ともかく少年院にしても収容所にしてもこの数字を見ただけで非常に不足しているのではないかという感じが非常に強い。同じ職業教育にしても先ほどいや味言つたのですが、都会子供百姓のことを教えてみたつて、そのこと自体は悪いことではないでしようが役には立たない。そのほか具体的の例を挙げれば限りがないことです。それは要するに予算が少くて施設の施しようがないという点に欠点があるのですが、その点についてお考えはどうですか。
  21. 斎藤三郎

    政府委員斎藤三郎君) 現在少年院或いは少年刑務所等におきまして、全く相当程度の治療を要するような少年がふえて参つております。これにつきましては矯正局長からお答え申上げたと思いますが、できる限り教育に重点をおきまして、そうして今後の、私ども保護局において所管をいたしております出た後のことを考慮いたしまして、只今松永先生からお話通りに、刑務所なり少年院に入れば、できるだけ早く少年院刑務所から私ども保護観察所のほうに連絡をして頂きまして、そうして全国に四万数千の保護司活動しておられますので、その本人家庭に最も便宜のよい保護司に依頼しまして、そうして本人家庭環境調整に努めております。そうして環境調整がうまく行き、そうして本人の所内での教育が或る程度効果を挙げて、これならば大体出して、指導の仕方によつては正常に戻るのではないか、うまく行くのではないかという、こういう時期になりました際に仮出所或いは仮退院という許可をいたしまして、そうしてその残り期間中この者につきましては国が或る程度の力を以ちまして、どうしても成績の悪いときには、もう一度少年院に戻すなり、或いは刑務所に戻すということを伝家の宝刀と言いますか一つバツクにいたしまして、そうしてその残り期間中に本人が完全に正道にレールに乗るように仕向けております。只今力を用いられないと言いましたのは、前に出た人或いはただ単なる執行猶予という者につきましては、これはどうしても行政力を用い或いはそういつた権限バツクにすることができませんので、これは本人の申出に基いておりますが、その他大多数の仮出所或いは仮退院少年につきましては、一種の力と言いますかそういう権限を背景にして、そうして併しそれは最後の手として、できるだけ本人性格なり境遇に応ずるような処遇をしまして対処して行く。ただ只今御指摘のように一番困つておりますのは、少年院なり刑務所なりを出まして就職先を斡旋しましてもなかなか就職さしてくれない。殊に住込で就職させるということは極めて困難なのでありまして、さような場合に更生保護会というものが充実しておりまするならば、そこに収容さして勤め先に働ける、こういうことができますので、そういう意味からもこの更生保護会充実ということには十分努力いたしたい、かように考えております。
  22. 松永義雄

    松永義雄君 保護司の話なんですが、工場へ世話をしてやる、そうすると腕に仕事がない、力がない、そんな仕事のできない者なら、言葉が悪いのですが、今日うようよそういう働きのある人があるのだ、何も好んでそういう人を入れることはないということで、結局無理に入れたり、入れてもらつたりしても仕事ができないために本人もいやになるし、飽きられてつい出てしまうというような結果になつて来て、これは結局そういう種類の青少年に対する職業補導の方法が足りないのではないか、施設が足りないのではないか、そういうことが痛切に感じられるし、皆さんそういうことを言つておる。恐らく川越の大会においてもそういう意見があると思う。そういう現在で以て満足せられているのかどうか。一つもつとこういう立派な会合を作る、委員会を作るという意気込がおありになるなら、具体的に一人でもそういうものが出ないように具体的な施設を施して、本当に親切に指導して行くことが必要である。そういう点について、どうも法務省は消極的のお役所だから、つい遠慮されて大蔵省にばかにされるということもあると思うのですが、こういうことを言い出す気持があるなら一つそれに伴うところの具体的の案を具して来られるのが相当ではないかと私は思いますが、それに対する意気込をあなたがたにお聞きしたい。
  23. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) その点は全く私たちも非常に責任を感じておりまして、今少年院のことにつきまして私たちが何か会合いたしまするといつも職業補導のことが一番大きな問題になるわけでございまして、この点は十分私たち責任を感じております。これはさつきも申上げましてどうもこれは言訳になるようでごいざますけれども、併しこれは私たちといたしましては十分の熱意を持つておるつもりでございまして、現に年々このほうは充実いたしておりますので、今後のことにつきましても十分一つ努力することを御約束いたしたいと思います。
  24. 松永義雄

    松永義雄君 もう一点。意見になるかも存じませんが、先ほど引用しました新聞の二十六年度中の青少年犯罪家庭状況調べというものによると、極貧が一万九千三百六十、下流十万六百十六、中流が四万五千、上流(極く豊かを加えて)十六万六千四百人ということになつておる。やはりこれを見ると、犯罪は貧乏ということから出て来るということの結論が出るようですが、このことは法務省責任ではなくして、政治、経済の他の方面によるかと思うのですが、くどいようですが、この協議会というものができても、そういうことを頭においてこの協議会というものが運営されて行かなければ意味をなさないということを一言ここで附加して質問を終ります。
  25. 竹下豐次

    竹下豐次君 私文部省のかたにお尋ねしたい。お尋ねする前に、私がお尋ねいたしまする私の気持を先ず簡単に申述べまして一応の御理解を願つておいたほうが、あとでお答えを頂くときに都合がよいと思いますので、先ずそれから申し上げます。青少年問題協議会というのが現在できておるのでありますが、これは非常に青少年の問題は重大な問題でありまして、かねて政府のほうでも御心配になつておりました。たまたま又国会におきましても衆議院におきましては青少年犯罪防止に関する決議、参議院で青少年不良化防止に関する決議というものが決議されまして、それに即応してこの協議会ができたわけでありますが、従つてその経過からいたしましてもこの協議会活動というものが、青少年犯罪防止、不良の予防というようなことに力を注がれるということは当然の経過であつたかとも思つておるのであります。ところが青少年犯罪防止したり不良を予防するというようなすでに悪性を帯びた青少年に対する対策を協議するほかに、一般多数の青少年の平素の指導教育というものがむしろその根本の問題になりますので、それと密接離るべからざる指導教育関係があると私は思つておるのであります。ところが幸いにして青少年問題協議会という名前がついておりまして、不良とか犯罪とかいうような言葉が除けてあつて、この名前だけを見ますと、ただ不良青少年犯罪防止等に制限された協議会でなくして、その他文部省で担当しておられるような方面の学校教育とか或いは社会教育というような点についても青少年に関する限りはこの協議会であずかる。この名前だけを見るとそうなつておるのであります。なお又配付された資料によりましてもそういうことは別にはつきり制限されておるのではないようであります。先日頂いた「第八回青少年保護育成運動実施要綱」を見ましても、その「手引き」というところに書いてありますが、「昭和二十八年度における中央関係機関等の重点的施策ないしは、中央関係機関等が、地方関係機関等に対し、期待する施策の方向を列挙すれば次の通りである。  (一)児童憲章の普及徹底  (二)学校教育の振興充実  (三)青少年文化環境浄化、整備  (四)青少年組織の育成促進  (五)特殊地域における青少年指導保護  (六)長期欠席児童対策の徹底」  というように必ずしも不良に関係するだけに制限された運動ではないようにも見えるわけであります。ところが一方配付されましたこの「目でみる青少年問題」という資料を見ましても殆んど全部が不良に関係のある部分に制限されておるようでございます。なおこのほか従来この委員会において、配付された資料を見ましても、その大部分は不良に関係のある部分でありまして、一般の青少年指導教育というものに対する資料というものは余りたくさん頂いておりません。私は平素日本の将来、日本の再建を心配いたすときに一番頭を離れることのできないのは、青少年教育指導、年寄りはなかなか今まででき上つた頭を切換えるということは、口では言つても根本的にはできません、この残りの何年か楽しんで日本の再建を図らなければならない、こういうふうに思うのであります。又私たち地方に帰りまして、方々青年会など或いは学校等で話をさせられることがありますが、青年の集まりなどにいたしましても、私などが政治方面の話をするよりも、むしろ自分たちの修養、青年の心がけはどうなくちやならない、社会に対してはどういうふうに奉仕しなくちやならないというような話をしたほうが喜んで聞きます。戦争後、特に青少年の思想などが少しゆるみまして、これは非常に私から見ればかわいそうなものだ、その責任は我々が負わなければならないと思つております。非常に悪い言葉で言えば堕落しておるわけであります。併し近頃非常に本気になつて実にこれではいけないというふうに考え直しておるいい青年たちがだんだん殖えて行くような傾向にあるように私は見ております。これは私の見方が違うのかも知れません。人によつて見方が違います。私はそういうふうに見ております。今こそ本当にこの青少年指導教育ということは、政府としても我々年とつたものとしても、極力ちからを入れて行かなければならない。ところが政府のほうでも干渉とか、指導とかいうようなそんな言葉、干渉は悪いですが、指導とかいうような言葉を使うと、干渉するかのように世間から非難、又は政府に限らない我々年寄りでもそういうふうな誤解を受ける心配があつて、落ちついてそうして元気よく指導の面に乗り込んで行くというような人が非常に少い。これは私は非常に遺憾なことだと思う。長く話せばこれは限りないことでありますが、かように私は心配しております。幸いにしてさつきから申しますように、この協議会というものは何もそういうふうに制限的になつてないような建前なつておるように思いますので、又文部省初め積極部面において従来よりも一層力をお入れになることが非常に必要である、かように考えておるわけであります。この協議会が私の今理解しておるような、そういう広い意味協議会でなくして不良青少年等に対する限りのものであるか、それにただ直接、間接の関係があるから文部省のかたも又それに関係しておられるのだという程度のものであるならば、これは又別のものになります。若しそうだとすれば、私はこの協議会とは別にやはり青少年の問題で文部省を中心とする積極的な大々的の活動の機関を、もう一つ別にお作りになつては如何ですか。二つにするのが却つて連絡がとれると思いますが、でき得べくんば、今の規定で許されないならば一段大きいものにして両方で連絡をとつておやりになるということが必要である、かように考えておるわけであります。そこで私はこの問題を非常に重大な問題だと思いますし、この協議会がうまく利用されましたならば再建のために非常に役立つ機関である。かよう考えますので、いろいろ文部省のかたにお尋ねしたい、こういう気持なつておるのであります。幸いここに頂いております資料に今先ほど読上げました項目がずつと並べてあります。どういう順序で御説明になりましてもわかるように説明して頂けば結構でございますが、私ちよつと思いつきましたのは、あなたのほうで差支えありませんならば、ここに掲げてある一から数項目並べてありますその順序によりまして、この問題はどの程度文部省は考慮を払つているか、実際はどういうふうにしてこの協議会と連絡をとつて指導して行くか、或いは自分で直接指導ができないならば協議会のほうからどういうふうな手配で進めてもらつて行くかというようなことも御説明を頂けたらわかりやすいのではないか。もうちよつと詳しく申しますと、例えば(二)の2に六三制教育充実というのがありますですね、これなどは非常に重要なことだと思います。併し六三制教育充実と言つてみたところで学校の建築から何からすつかりあるわけでして、ただこれだけじや私などはわからないのです。そう何もかもやれるのじやない。そのうちでも順序があつて青少年関係した適切な部面からお進みになつているはずだと思つておりますが、その点を一つ少しとつくりお聞かせ願いたいと思つております。社会教育の公民館の問題だとかいろいろたくさんここに項目だけはずつと並んでおりますから、これだけができれば誠に結構だと思うのですが、これを具体的に御説明願いたいと思います。
  26. 松永義雄

    松永義雄君 それに関連して、聾唖学校の聾唖児童ですね、これに対する職業補導をどういうふうにやつておられるかという点についてお話が願えないでしようか。
  27. 松原一彦

    ○松原一彦君 私も今と同じような疑問がありますから関連して答えて頂きたいのですが、よろしうございますか。私も丁度竹下さんと同じような疑問を持つておるのですが、やはりこの説明にありましたように、青少年犯罪防止に関する決議衆議院で行われ、参議院では青少年不良化防止に関する決議が行われ、それに即応してこういうような協議会を作るというのであると思つてつたのでありますが、併し文字の通り青少年問題の協議会ということになるとこれは非常に範囲が広くなるのであります。従つてそういうふうな狭義のものか広義のものか。広義のものとするならば青少年と言えばもう学生も皆包含するのですが、お集めになつた顔ぶれを見ると学生が相当ある。してみれば青少年という年令層を一切挙げての日本における一つ年令層指導育成というものを大きな網にかけてここで協議をせられようとするのかどうか。それだとするならば、実は文部省方面には相当大きな社会教育機関があつていろいろ手を打つておる。特に今問題になつておるのは青年学級と称するものが現に法案が今出ておるのでありますが、この青年学級というものをめぐつて青年団協議会方面では非常にこれを阻止しようとする運動も行われておる。一方公民館連絡会の方面では盛んにこれを促進しようとしておる。ここに一つの紛糾が現に表面化しておるのであります。又農林省のほうでは4Hクラブ等をも持ち、一方には農村建設青年隊というものを設けてこれが指導に当つておる。建設省も国土建設か何かの青年隊を持つて国費を使つてこれが指導をやつておる。ここにもいろいろ区々まちまちなものがあるのであります。こういう方面にも相当紛糾がある。で、そういうものまでをもこの青少年問題協議会は取り上げて各省間における青少年指導育成の大方針をも調節なさるお気持があるのかどうか。この辺につきまして今竹下さんの質問に併せてお答え頂ければ仕合せであります。
  28. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 私から先に一言御答弁申します。青少年問題協議会の創立されました経過につきましては、先ほど竹下さんからお話がございましたように、当初はやはり不良化防止犯罪防止という点に主眼をおいて参つたのでありまするが、併し犯罪化、不良化防止という点からのみ考えましてもいろんな方面関係を持つて来るわけでございまして、そこにこの青少年問題の多面性と申しますか複雑性があるわけでございまして、これを何とか役所でやり得る仕事の範囲内でその連絡協調を図ろうということでこういう協議会ができ、ただ役所の人たちばかりではなく、その道の経験者、専門家の方にも集つて頂いてその相互の各省でやつております仕事の連絡調整を図るということがこの主眼でございまして、各省プロパーの仕事は各省でみずからこれを行なつて頂く、それぞれの筋でできるだけ強くその行政面を出して頂く。併しその繋がりが非常にこの問題については重要でございまして、先ほどもお話がございましたが、学校の問題等、或いは学校外の問題、或いは不良化しました少年につきましてはこれをどういう所に収容するか、時間外の手当をどうする、又そこから出て就職の問題等はどうするとか、過程におきましてそれぞれ行政面に現われて来る事態が違つた役所の関係を持つものでございます。従いましてそれらの連絡協調をうまく図るということによつてこの青少年問題の一部が解決と申しますか、解決に近付くようになりはしないかというのがその狙いでございまして、この協議会自体で各省の行政の基本方針をここで決めたり、或いは各省に対して思いつきをここでまとめて指示をしたり、そういうような性質のものではございませんのであります。ただ、今申しましたように、非常に連絡協調ということが大切な仕事でありますので、それをこの協議会において図つて行くというのがその趣旨でございますので、各省の仕事としましては各省自体でそれぞれの行政面の仕事をやつて頂く。こういうことになつておりますので一言その点は申上げておきたいと思います。
  29. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 只今お話がありましたように、文部省の持ちますプロパーの仕事の面でこの青少年問題解決に関係のある点では協力をいたしましてこの青少年問題協議会を支持し、ここにおいて各省の連絡協調をとつて行くという意味で私共もぜひこれから協力をいたしたいと思つておるのであります。御質問がありました点は、文部省におけるこの青少年問題に関係のあるいろいろな仕事の中でそれの実際の動き方というようなことについてのお話でございまして、まあ広く申しますれば、文部省の行政は全部青少年問題と関係があると言つても過言ではないということにもなりまするが、特に青少年指導、育成、保護ということに関係いたしましては、今年度予算で要求をいたしておりますもので特に力を入れてやりたいと思つておりますことは、各府県に青少年指導員という新たなる職員を配置いたしまして、これは各府県三名、北海道だけは八名でありますが全国百四十四名、これは比較的まあ年令層も若くていわゆる指導を受ける青少年とそう年令的に差異のない、人格も立派な教養もある者を選考して任命いたしまして、これは地方公務員になるわけでありますが、その者に青少年団のいろいろ企画とか或いは指導というようなことについて協力をさせる、講演会や研究会やその他の集会に出席をさせたり、その他生活相談を受けさしたり、いろいろな意味青少年の問題の世話をさせる人間を配置するということにいたしております。昨年度は国立教育研究所の所属員として地方に配置しておりましたが、これを地方公務員に切替えまして、文部省としましてはその三分の一の職員費を補助するという形でこの指導員の制度をますます強化いたしまして青少年指導に当らせるということをいたしておるのでありますが、漸次にこの仕事が地に着いて参りまして、相当業績を挙げているように思つておるのであります。  なお、お話のありました青年学級の問題も本年度特に大きく取上げて、予算も一億には足らないのでありますが、各地で自然発生的に生れて来ておりますこの青年学級、これが現在約一万学級百万人の学級生を持つておるのでありまして、実際上は経費の点或いは指導者の点で非常に困難な面に陥つておりますので、これに対して約三分の一程度補助金を与えまして、そして定時制高等学校にも行けない生活的条件或いは経済的条件にある者に対する教育をするという建前、できるだけ青年の自主性を尊重してこれを運営するということをいたしておるのであります。  なお、これは直接青少年不良化防止ということを目標にいたしておるのでありますが、児童愛護班の結成、援助ということもいたしております。予算はそうたくさんはありませんが、現に全国に千七百班くらいの活躍が見られるのでありまして、子供クラブ或いは子供会等に、教師或いは学生その他のこういう問題に興味を持つておる人に委嘱いたしまして、音楽指導或いは紙芝居或いはお話の会というようなことで街頭に進出をいたしまして児童愛護に当るというようなことをいたしております。又中央の会合といたしましては、児童文化会議というものを年に一回持ちまして、いわゆる不良の児童文化財の追放と同時に、優良児童文化財の推選というような問題、或いは映画の問題、紙芝居の問題、いろいろございますが、そういうことについて全国の知能を集めて実際の措置をとり、例えば紙芝居やの改善自粛を図るというようなことに相当の功績を上げているのであります。又青少年演劇の指導青少年音楽の指導、或いは映画の審査というようなことも文部省として行なつておりますが、最近から始めました仕事としましては教育放送を七月から始めておりますが、これも青年に特に聞いてもらつて一般的な教養の向上を図るということを主眼においておるのであります。  なお学校教育の面といたしまして、単に学校における教育のみならず、学校から帰つて、即ち校外の生活におきましてともすれば悪い環境に染むということがあるのでありますので、いわゆる訪問教師と申しますか、生徒指導担当教諭というものを設置するように奨励をいたしまして、それが現在中学校に三千七十校、高等学校で八百三十八校にそういう専任教師を置いておるのでありますが、いろいろ長期欠席児童に対する生活保護或いは生活指導というようなことにも関連をいたしまして相当の活躍をいたしておるのであります。  只今お話のありました六三制の教育に、その設備の面から、施設の面から、或いは内容の面から力を入れる、これは当然の仕事といたしまして、できるだけの措置を講じて六三制の教育確立に力をいたしておる次第でございます。  それから聾唖児童に対する職業補導についての御質問がありましたが、これは私の直接の所管でございませんが、聾唖児童の教育は義務教育なつておりますので、いわゆる就学奨励金を出しまして全部盲目聾唖学校に収容することにいたしまして、その生活費、教育費を負担するという形でその学校におきまして職業指導に力を入れるということで盲聾唖教育充実して行うようにいたしておる次第であります。
  30. 松永義雄

    松永義雄君 聾唖者職業補導についてはあなたのほうの関係でないかもしれんが、指導に当る人は、何しろ教育を受ける人が聾唖者ですから、通訳というものがつまり必要ということなんです。ところが聾唖者に対して通訳がなかつたりして徹底しないというようなこと、そういう点でお気付きになつた点がありましたら。
  31. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 職業指導の通訳のお話でありますが、文部省でやります聾唖教育におきましては、通訳を通さなくて話ができるように、いわゆる口の形でもつて話すということを根本的にやつておりますので、学校における職業教育におきましては特に通訳を介さないで実際聾唖者でも口がきけるという形で教育をやつておりますので、そういう問題は起り得ないのではないかと思つております。
  32. 松永義雄

    松永義雄君 つまり教える人が聾唖者に語る方法を知らないために、まあかゆい所に手が届かない、届くべきものが届かない、その弊がかなりひどいようです。折角指導してもらつてもわからない、こういう聾唖者側の意見、不平というか、そういうことがありますが、そのほうは厚生省の関係かあなたのほうの関係か……。
  33. 松原一彦

    ○松原一彦君 江口長官に御意見を伺いたいのですが、私どもはこの問題を何も別に非難する意思も何もございませんけれども、そういうところからもこの問題が起つたのかと思いますが、青少年指導に対して余りに多岐であり過ぎやせんか。例えば地方では公民館という施設一つの文化センターとしてそこで青少年の校外の指導を行う。婦人に対しましても成人に対しましても地域的な公民館が中心となつてあらゆる機能を総動員してそこで統一的に扱つて行く。アブノーマルな者に対しては、今の不良防止もあるが不良になつた後の措置も行なつて行くが、その他は成るべく簡素化すべきものではないか。併しYMCAがあり、少年赤十字団があつてもそれはいいのですけれども、例えば同じ政府の下で農林省の四Hクラブ等が国費を使つてあえて指導をしておらるるというのは私は少しおかしくはないか、どうも思いつきじやないかという気がしてならない。世界的のものであつてもそういうものは民間の自然発生ならばよろしいが、農林省が主体となつて県庁の役人までが一緒になつてやるということになりますと、同じ政府の下に青少年指導が非常に多岐になつておるきらいがある。民主主義の国でありますから強制統制はいたしませんが、そういうのが民間の自然発生で宗教団体その他の特殊の人々の指導はよろしいけれども政府がやるということになると、何か文部省の社会教育に統一して地方をして応接にいとまなからしむるようなことは避けたほうがよい。費用の点から言うても何から言うても、又今の青年団指導といつたような意味から申しましても、今日青年団がひどく官庁の指導をきらいますけれども、これは余り立入らなくても自主的にやらせるべき方法があり、それを農林省は農村建設青年隊としてこれを動かし、建設省が国土建設青年隊として動かすというふうに多岐多端になつ行つておる。まあそういうようなところからおのずから青少年問題の協議会を置かるるようになつたのとは思いますけれども、一方に私どもの最初考えておつたような、アブノーマルな者のできて来るその原因を探求して一方にこれを未然に防止し、できたあと補導に当る以上に広範な面から日本青少年団問題を考えるとするならば、かようなところに無駄のないような一つ御考慮というか、お考え頂きたいということを私は思うのですが、間違つておりますかどうか、最近に余り深入りしておりませんのでよく存じませんけれども、御考慮の余地がありますならばお考えおきを願いたい。
  34. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) お話通りでございまして、地方におきましては各省から出た仕事が皆市町村単位に集るということになりまして、非常に例えば青少年の問題につきましても、各省からの指令が市町村に集つて市町村がねを上げてしまつたというようなことになつたのではこの問題もその解決の糸口もつかないかと思いますので、そういうような点からもやはり行政面に現れる部分だけでも連絡調整してみようというような趣旨が根本になりましてこの協議会が設置されたのだと考えますが、勿論行政面に現れます点がダブらないように、無駄のないようにするために、やはりこういう協議会を持ちまして関係者が集つて相談をするということも一つのその解決手段ではないかと考えております。  先ほどお話が出ました農林省関係で、そういうやはり青少年指導というようなことが行われるというお話でございましたが、勿論それらも考えまして、今回は先般出しました案と少し変つておりまする点がございますが、その一つに農林行政を通じてのやはり青少年問題をこの協議会にかけて相談しようということで、農林省の事務次官をやはり協議会のメンバ一に加えるということにいたしましたのも、松原さんのお話に副つたつまり無駄のないように協議会を運営して行こうという一つの現われでございます。今後も仰せの通りできるだけ簡素化し無駄のないような仕事をやつて行くように留意いたしたいと、かように考えております。
  35. 竹下豐次

    竹下豐次君 松原さんから御質問の点、それは私の県でも農業のほうの関係でやつていて、知事が熱心にやつているそれ自体が私いいと思うので非難するわけでありませんけれども、松原さんの御質問に対して江口さんのお答えで安心いたしましたが、成るべくまちまちにならないようにやつて頂きたいものと思います。  それからいろいろここに例挙してあるのをお尋ねすれば数限りもありませんし、時間もとりますから、ちよつと一々この席から伺いたいと思いますが、二、三の点について疑問を持つていることだけを抜いてお尋ねいたしますが、公民館の利用は近頃町村のセンターとも言うべき所に相当な、所によつては村不相応な立派な公民館までできる傾向があるようにみております。それはそれとして、私はいつも惜しいと思いまするのは、その村におけるセンターの一つの公民館でなくして、各部落に部落の集会所がある。それも小さい公民館です。この利用をもう少し奨励されたらいい。いなかのことでありまするから、役場の所在地であつても百以上も集つていない所にある。そこに何百万というような費用をかけて、そうして公民館を作つて、これは結構であります、結構じやありますけれども、併し利用価値が非常に少い。半道も離れたととろの青年がそこにわざわざ集つて本でも読もうということをやりはしません。ただ何に利用されるかというと、いろいろな集会に利用されるという程度のことでありますが、毎日々々の働く効果というものは私は割合に少いと思います。  ところが各部落には小さい所でも三百人も入る公民館というものがある。これに私は電気の設備でも明るくしてやり机でも二、三は置いて、本の世話も役場が中心になつて結構でしようけれども、してやるということの、そうしていろいろな部落の集りがあつたり、年寄りの集りもあるけれども、これだつて毎日毎晩あるものじやありません。一週間に一遍か或いは少い所は月に二遍くらいしか集らないところが普通であります。大部分は子供の遊び場というようなことになつているのであります。大人で集る人というものはおおかた半分、あと残りの半分、残りの三分の一というのは青年の修養なり、集つて本でも読むように仕向けて行くというようなことにしたならば、私は今ほうぼうでできる大きな公民館を作るよりもよほど効果的で、金がかからないで、殊に今日本の財政の窮乏している際に、地方では特に窮屈ですが、そういう県は考えなければならないと思います。私は実はこれは教育刷新委員会委員をしておるときに行つたことがあります。特に気をつけて方方を廻つております。どうも私の注文通りにやつていないので、実に私は遺憾に思つておるのであります。その点につきましては文部省はどういうふうに現在お考えになつておりますか、私は刷新委員会で申しましたのはよほど古いことになりますが、参議院ができる前のことでありますから、一つその後の状況、私は全国を廻つておりません、ただ宮崎県のことだけしかよく知りませんが、私のみかたが誤つておるのかも知れませんが、誤つているなら大変結構だと思いますので、その点御説明願いたいと思います。
  36. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 只今公民館の充実のためには、その部落の集会所を利用せいということでありますが、私どもも大体その方針でございます。特に公民館として村の中央に非常に立派なものを作る、形式だけを整えるということが公民館の充実ではないと考えておるのでありまして、各地方におきましても大体その趣旨によりまして部落の集会所を公民館分館といたしまして、そうして中央の本館と連絡をとりながら、例えば図書の巡廻をやるとかというようなこともやつておるのでありまして、現在公民館の数は一万の町村に対しまして三万一千ぐらいの公民館があるということになつておるのでありますが、これは分館を数に入れた数字でありまして、町村のパーセンテージからいいますると、約七三%、約七千三百町村におきまして公民館を持つている、あと三〇%が未設置であるという状況なつておるのであります。お話のように分館というものが、本当に部落民の生活と直結をした施設でありますので、公民館を充実するのにはまず分館の内容を充実し、そうして本館とも連絡をとりながらやるということで奨励をいたしておるのでありますが、ただ政府から出します運営の補助金というものは甚だ僅少でありまして約二千四百万円ばかりの額を出しておるのであります。今度青年学級の振興法案は上程をいたしております。この青年学級も公民館において解決するということを主体にいたしておりますので、青年学級の事業を中心に公民館の素質、能率が上るということを狙いにいたしておるような次第であります。
  37. 竹下豐次

    竹下豐次君 重ねて申しますが、いなかのものは御承知ですけれども百姓家庭というものは実際電気が暗くて、うちに子供が帰つて勉強しようとしてもなかなかできないのです。そうして弟があり妹があり、きようだいががちやがちや言つておるし、畳も敷いていない家さえたくさんあるのですから、公民館に電気ぐらい少し明るいものをつけて、公民館と申しますよりも、むしろ部落集会所といつたほうがいいと思いますが、いくらも金がかかりませんので、そういうことがいいんだぞというようなことを相当力強く指導して参れば、そのくらいの金はその部落だけでできるのです。幾らも金はかかりません。町の真中に一つ作るということになりますと、おれの息子が行きもしないところに金を出すというて不平さえ起る場合もありますが、自分の部落ですから……。私の町は人口二万ぐらいですから公民館も三つや四つじやありません、各部落に一つづつあります。帰つて来てそこへ行つて晩に静かに本を読む、本だつて七月出る八月号というような雑誌のように早く配る必要はない、古いものでもいいことがたくさん書いてある。いなかの子供はそれでも珍らしがつて少したちのいい子供つたら非常に喰いついて読むのです。費用がかからずにうまく行くのじやないか。これは指導者の熱意があればそれくらいの金は部落から出るということを考えるのですが、村のかたにも私はちよちよいいいますけれどもなかなかやつてくれないのが今日の状態のように思います。その点を一層強力に、御賛成でしたらやつて頂きたいと思います。  それから放送、近頃テレビもできたようであります。放送協会とかテレビの会社とか映画の業者とか、これが社会教育に殊に青年、少年指導に非常に大きな影響があると思いますが、そういう方面と文部当局との平素の連絡と申しますか、というのはどういうことになつているのですか。
  38. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 放送関係におきましては、公共放送といたしましてNHKがあるのは御承知の通りでありますが、NHKにおきましてできるだけ教育番組を組んでもらうということにつきまして常に連絡をいたしまして、現在学校放送とその他教育関係のある一般放送とを併せまして、一日四時間はその方面に電波を出しているということになつておりまして、相当NHKにおきましても教育の向上ということのために努力をして参つておるのであります。一面民間放送の関係におきましては、これはスポンサーでやるという建前なつております。ともすれば娯楽放送に流れがちでありますが、放送はもともと文化高揚というものと関係の深いものであつて、そういう性質の放送がなされるのでなければ意味がないのでありますから、そういう意味文部省一つの刺激を与えるという意味もありまして、本年度一千百万円ばかりの予算教育放送を民間放送にやらせるという措置をとつたわけでありますが、これも実は最初は全国十九局のうちせいぜい三つか四つの局に委嘱するくらいの予算で、そういう方法でしかできないというつもりでありましたが、各地方の要望が非常に強く、又地方局が是非協力したい、そのためには文部省で製作費を持つてもらえば電波料はスポンサーに負担させてもいいという形で、非常に支持協力の機運が起りまして、七月から実施いたしておりますのは朝早くやつておるのでありますが、十九局のうち十六局が只今教育放送を出すということになつたのでありまして、全国大体カバーできるくらいの規模で以てこの教育放送を実施することといたしたのであります。これはまあ青少年家庭の主婦というようなものを中心に一般の誰でもに、生活或いは産業に必要な知識教養というものを与えるということを目的といたしておるのでありまして、特に専門的なものについての放送ではないのであります。  それから映画の関係でありますが、映画に関しましては例のアメリカから無償貸与をせられております千三百のナトコの映写機というのが全国に配られているのでありまして、それに対して現在はアメリカ大使館からのルートでアメリカのフイルムが流れまして各地方で上映できるような組織になつておりますが、ただアメリカの映画だけではおもしろくない、だんだん飽きられて来るというような状況にありますので、文部省といたしまして是非日本教育映画を製作して、そうしてこの映写機のルートにのせたいというので、今回、予算としましては前からあつたのですが相当増額をいたしまして、文部省で年間四本ぐらいの教育映画を作る。その他幻燈等も十本ぐらい作るというような予定をいたしておりまして、できるだけこれを地方にこの教育映画を見る機会を与えられるように努力をいたしておるのであります。
  39. 竹下豐次

    竹下豐次君 いろいろお尋ねしたい問題たくさんありますけれども、私ばかりお尋ねしても時間の都合もありますので本日はこの程度にいたします。ただ最後一つ希望を申述べておきますが、先ほどもちよつと申しましたけれども文部省にしてもその他の所にしても、私から言えばしつかりした強力に指導してもらわなきやならない立場に立つておられる上の人が、戦争後弱くなつたと言つちや語弊があるかも知れませんけれども非常に気がねしていらつしやる傾向があるように思います。ところが自分のことは自分のことで考えて自発的にいろいろなことをやつて行かなきやいけないんだという、その考え方は抽象的に言えばいいにきまつておりますけれども、何の考える能力のない子供に考えろということそれ自身が少し無理だと私は思う。私は決してどうしても強力に指導して行くということが本当に子供のために親切であつて、決してそれは干渉でも何でもない。今の状態ではちよつと子供たちに対して大人たちの不親切の度が強過ぎるのじやないかという気がしております。最近、ちよつと余談になりますが、或る中学校の先生と話しておつた際に言つたのですが、数学の問題に答案を書いて出さなきやならない生徒が、そのときにその問題の意味がわからないのが中学校の生徒にたくさんあるというわけなんです。私は驚いたのですが、我々が中学の時代のことを顧みまして、私などは非常にぼんくらでできなかつたのですけれども、それでも問題の意味のわからないというようなことは殆んどなかつた。ただそれが解決ができるかできないかという。今の中学校の生徒はそうじやなくて問題それ自身がわからないから、もうとにかく立ち入つて教えなきやしようがないのだ。自分で考えろと言つても考えさせようがないと言つている。これは親切なクリスチヤンの先生でありますけれども、そういう精神的な分野は多くの先生がそこまで行かずに、まあわからんものは仕方がないくらいでやつておられるのが相当あるのじやないかと私は疑問を持つたのですが、それじやとても私は子供教育はできない。小学校の教育が悪いから、中学では途中からの教育になるからわからないし、高等学校に行くとどうも君たち中学校の教え方が足りないものだから、おれのところじや手のつけようがないと、こういうことになつておつて責任は誰が負うかわからないのが今日の学校の教育の状態です。それは本当にまじめな先生であるだけに真剣になつて私に話をして聞かしたのでありますが、それは非常に参考になつたわけでありますが、実は驚いたのですが、その数学の問題につきましてはそういうわけでありまして、一つしつかり、非難も起りましよう、今のような思想のはやつているときですから、非難の起ることは私は文部省の存在価値があるのじやないかというぐらいに、極端に言えば考えておる次第であります。これはもう私の考えが誤つているのか、これは批判する人はいろいろありましようけれども、私たちはそう思つておりますが、この際私の希望だけ御参考までに申上げておきます。
  40. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 一つだけ。竹下先生初め青少年の少のほうに非常に詳しく御意見がございましたが、私は青年の分だけで、実は覚醒剤の禍いでございますが、これが資料を拝見しましても単に項目の十一のところに犯罪防止ということだけしか載つておりませんが、青年をむしばんでおる一番主な問題は現在ヒロポン禍ではないかと思うのであります。このヒロポンの禍いを防止しようとして先に覚醒剤制限の法律が出ておりますが、この法律が出ておるからそういう問題を取上げなくてもいいのだというようなことでは、非常にこれは大きな間違いじやないかと思う。私の知つておる或る町で人口はまあ十五—七万という所でございますが、ここに消費されておる覚醒剤の量は一本六円として大体三万本ぐらいが消費されておる、二十万円近いところのものが毎日消費されておるという実情であります。これを民生委員その他の連中が非常に苦労をして警察当局へ何遍も足を運んでおる。ところがこれは警官の悪口を言うようになつて甚だ相済みませんけれども、こういう問題を突きとめても殊勲甲とか乙とか丙とかにならないそうです。それで単に泥棒とかその他の犯罪方面に重きをおいているというのが実情のようであります。ところがヒロポン患者の家庭をたずねて見ますると、これは厚生省にお尋ねするのが普通かも知れませんが、私は今法務庁関係のかたにお尋ねしたいのでありますが、一日に一人で数本打たなければ到底平常の状態を保つことができないというのが彼らの実情で、それを買う資金に困つてあらゆる犯罪をする。青少年を手先に使つてヒロポンを買う金を集めるために窃盗からその他ありとあらゆる罪悪を犯しているのであります。これが実情であります。従いまして地方の警察その他に対しまして青少年問題解決にどの程度まで法務庁関係のお仕事としてやつておられるか。その実情を承われれば大変幸せだと存じますので教えて頂きたいと思います。
  41. 寺田馨

    説明員(寺田馨君) 国警本部の防犯課の者でございます。警察といたしましては覚醒剤の違反も他の犯罪事件と同じように取締をやり検挙いたしております。手許にちよつと詳しい資料がございませんので件数その他この席でお答えできませんのでのちほど取寄せてお渡しするようにいたしたいと思いますが、これは覚醒剤の所持とか製造、譲渡それ自身が覚醒剤の犯罪なつておりますので、覚灘剤のそれ自身の犯罪を取締ると同時に、又少年も同じく犯罪になりますが、更に少年の場合ですと、今お話がございましたように他の不良化或いは犯罪化の非常な原因なつておりますので、少年の一般的な不良化防止或いは犯罪防止という点からも覚醒剤の取締を厳重にやつております。
  42. 長戸寛美

    説明員(長戸寛美君) お答えをいたします。今ここに確実な数字を持つて来て参りませんでしたが、麻薬犯罪と覚醒剤の犯罪がございますが、いずれもこれは特殊な犯罪でありその取締は厳重にしなければならないかと思つておりますが、その中で麻薬と比べますると覚醒剤の犯罪青少年の層にかなりあるわけでございます。これは又そういうふうな覚醒剤を使用すると言いますか、使用することが常習となつたような者について窃盗とか或いは傷害とか、そういつた別な犯罪が伴いやすいということが考えられるわけでございます。従いまして我々としましては覚醒剤の犯罪について、青少年そのものも初犯でなくたびたびそれを行うというふうな者については刑事処分を行うことも無論せねばなりませんが、それよりも覚醒剤の流れる元と申しますか、これが非常に集団的にルートをなして行われておる。恐らくはその元というものは少年でなくて成人がそういうふうな販売の常習者である、そういうものの根源をつくということを考えまして、全国の検察庁に指示をしてやらせておる。近く麻薬、覚醒剤につきまして各地に合同を催しその害悪の恐ろしいことを徹底させまして、青少年をそういうふうな災から救いたいというふうに考えております。
  43. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 これは第二の国民である青少年に対しましてはまあ何よりも恐ろしい一つの風潮と考えまするので、私どもも絶えずそういう方面に心配をしておりましたのですが、家庭を調査してみまするとそれはひどいもので、枕もなければ蒲団もない、家財道具というものは一切覚醒剤になつておるというような状態であります。どうかこの協議会の設置法案を論議するに当りましてはもう一段の一つ御考慮を願いまして、この問題が本当に日本から払拭されるような工合に御配慮願いたいということを申上げます。
  44. 松永義雄

    松永義雄君 覚酢剤というものは一つの薬としてほかのことにも役立つのですか、ヒロポンと称するものは。これは薬のほうですから、あなたの関係かどうかわからないけれども委員長、結局私の聞きたいことは、今製造者について何か取締る方法がないか。それから流通販売過程においての取締は、薬剤師でなければ手を出せないとか、或いは判を持つて来なければ手が出せないというような規定になつておるかと思いますが、ところが密造、密売買が行われておるというようなことになれば、それはやはり刑法の中の適当な犯罪になるという規定があるのでございましようか。
  45. 長戸寛美

    説明員(長戸寛美君) 実は覚醒剤の医学的のことは存じませんが、只今お話のように、覚醒剤がそういうふうにいわゆる青少年の不良化に役立つという意味において、検挙します場合においては党醒剤取締法の対象になるわけで、特別法違反として処理いたすわけであります。
  46. 松永義雄

    松永義雄君 覚醒剤の中毒にかかつた者は一時どこかに隔離しておけばなおるというのですが、そういう性質のものですか。
  47. 長戸寛美

    説明員(長戸寛美君) 麻薬のようにそうはつきり出ますかどうですか。麻薬の禁断症状の場合におきましては、刑務所に入れておいて非常に苦しんでもそのままにしておけば或る一定の期間でそういうふうなのがなくなつて来るということが申せます。覚醒剤の場合に果して隔離だけでどうか。又隔離しなくとも本人の意思によつてかなりの効果はあろうかと思いますが、ただ少年院に入つて正常な生活をしておるというふうな、何と申しますかまじめな生活に義務づけられておりますれば、結局ああいうふうな害悪からは免れやすいということが言えるのであります。  話は飛ぶのでありますが、少年院などで最近いれずみをしておる者を考えましても、以前はいれずみをしておらなければ少年院に入りましても恥のようであつたのが、最近ではいれずみを薬で取つてもらいたいというふうな者も出て来ておる。むしろ少年院においていれずみをしておるということが恥になるというふうに近づきつつあるわけであります。  ヒロポンの注射をしておるということがむしろ恥だというふうな状態にまで進んで参りますれば、非常に我々としては幸いであるというふうに考えております。
  48. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  49. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは速記を始めて下さい。  次に厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。厚生大臣に対し質疑をお願いいたします。
  50. 竹下豐次

    竹下豐次君 人口問題審議会につきまして先日文書課長さんにいろいろお尋ねいたしてお答えも頂いたのでありますけれども、十分に納得ができませんでしたので今日重ねて大臣にお尋ねしたいと思います。手許に頂いておりまする資料によつて拝見しますると、こういうふうになつておるわけです。大臣御存じでありましようけれども、簡単ですから読上げます、「昭和二十四年四月十五日『内閣総理大臣の諮問に応じ、我が国の人口問題に関し、調査、審議させるため、内閣に人口問題審議会を設置すること』が閣議で決定され、各界権威十八名の委員を以て構成し、六月十五日第一回の総会を開き、以来人口収容力に関する小委員会と人口調整に関する小委員会との二つの小委員会に分れ審議を重ね、十一月二十九日現下の人口現象の分析に基いて、人口対策の基本方針を取りまとめ、政府に建議を提出引続き審議を行なつて来たが、昭和二十五年三月委員等の整理に伴い廃止された。」こういうことが書いてあるわけであります。これに違いはないことと思つておりまするが、私が先日お尋ねいたしましたのは、前に法律化されておつたものではないが、とにかく内閣総理大臣の諮問機関として人口問題審議会というものが設置されて、そこで小委員会が二つできて二つの問題について研究されて建議までしておられたが、昭和二十五年の三月に委員会等の整理に伴つて廃止された。こういうことになつておるのに今又新たにこの人口問題審議会を復活と申しますか、質が少し違いますから新設かも知れませんが、とにかくこしらえるということになつた。その理由は如何でありましようかというお尋ねをいたしたのであります。私の考えますところでは、とにかく一応総理大臣の諮問機関があつて、それで諮問された事項についてお答えがあり建議があつた。そうして勿論それが、もう一度廃止されたのでありますから、その後又この問題について特別の必要な問題が新たに起つたとか、社会の情勢がよほど変つて来たとかいうようなことのない限り、一度やめたものは不必要であるからおやめになつたんだから又起すというのはちよつとおかしいじやないか。どういう社会の事情が変つたか、是非作らなければならない事由が奈辺にあつたのかということについてお尋ねをしたのであります。そのお答えが私は了解ができませんでしたので重ねてお尋ねするわけであります。
  51. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) お説の通り昭和二十四年に人口問題審議会がたしか四月でございましか発足いたしました。たしか六月からでございましたか人口の収容力並びに人口調整に関して小委員会をおのおの持つてたびたび小委員会を開いて、そうしてたしか十一月でございましたか日は或いは違つているかも知れませんが、人口問題審議会として総理大臣に答申をいたしました。その際は主として人口の吸集力並びに人口調整の二部門に亘つて人口問題を検討いたしましたので、昭和二十五年に委員会等の廃止に伴つてこの審議会が廃止されました。従つて仰せの通り一応その任務を終つて、而も一応審議会は廃止いたしたのであるから、再びそういう審議会を置く必要はないじやないかという御議論は、一応形の上では御尤ものように拝承いたしますが、併し人口問題というのは、これはもう我が国といたして最も重要な問題の一つであり、あらゆる問題の基盤になる私は重要な問題だと思つているのであります。むしろ昭和二十五年に廃止されたこと自体が私は結果といたしては適当でなかつたとさえ思うのでありますが、併し当時委員会等の廃止という一つの政策に伴つてさような処置をとつたのでありますから今更それを批判いたしませんが、ただ人口問題というのは抽象論にあらずしてやはり現実に基いた現実に対する対策でありますから、日本終戦直後におきまする日本の人口の動態的な立場、形、或いは趨勢、なお又その後最も関連の深い或いはこの問題の解決に一番至大の関係を持つておりまする日本の産業構造或いは経済の、この昭和二十四年にできまして答申されたその答申の基礎をなしまするデータというものは、終戦直後或いはそれに繋がる二、三年のデータを基礎にいたしております。例えば日本の人口というものは昭和二十二年は千単位二十四、二十六年は千単位二十六、二十七年には二十四、こういうふうに変つて来ている。例えば死亡率のごときも昭和二十六年十が七年に九と変つて来ている。従つて純総計におきましても昭和二十三年の二十二というのが昨年あたりはずつと減つてつております。そんなふうにして人口の動態的な調査、いわゆるデータというものは非常に変つて来ておりまするし、なお又終戦直後のあのインフレーシヨンを中心にした日本経済的の状態というもの、なお又その他の社会的のいろいろな環境、状態、これ非常に変つて来ておりまするから、そういうふうな点からみまして人口問題を検討いたすのは、新たな見地からこの現実に即して更に検討すべき必要があろうと思います。  なお又従来は人口問願は人口の吸収力或いは又人口の調整という二部面に亘つて調査いたしましたが、人口問題はこれは非常に窓口の広い奥行の深い問題であります。従つて人口の吸収力と申しましても、日本の資源或いは産業構造或いはそれと関連いたしまして生活水準の問題もありましよう。生活水準の問題と関連いたしまして適度人口の問題もありましよう。それから又人口の調整にいたしましても受胎調節ということを一応考えておりますが、受胎調節はおのずからいわゆる資質の低下、逆淘汰という問題にも関連しております。そういうふうないろいろな問題と関連をいたしております。今回は従来の人口の吸収力という点或いは人口の調整という点のほかに、更にいわゆる生活水準の問題、或いは資源の問題、或いは資質向上の問題、そういう問題と関連いたして広く総合的に検討いたしたい。なお又昭和二十四年の際のあの人口審議会の答申は、いわゆる主として総論的なことを答申いたしておりまするが、現実の問題といたしましては、或いは食糧対策或いは日本の将来の食生活の問題或いは家族計画のいろいろな問題に関して具体的な答申をして、それを基礎に強力に政府の施策の面に協力したい。さようなふうにして人口問題の範囲をなしまする人口問題の趨勢或いは社会的経済的、いろんな点の推移、これらも当時の審議会の答申の基礎をなしますデータとは大分変つておりますし、扱い方或いは又その審議或いは勧告のいわゆる施行いたす目標等も、当時と違つた面からより具体的により各論的にいたしたい。かような見地で実は今回審議会を持ちました次第であります。
  52. 竹下豐次

    竹下豐次君 お話によりますると、二十五年の三月に委員会をやめたのが間違いじやなかつたかというようなお考えが大臣の頭におありのようであります。その点は一応そういうふうな疑問を私なども起さないとも限らないわけであります。ただ終戦直後の混乱した時代と今日を比べて、いろいろ事情が変り、いろいろな統計などもはつきりしたということもあるだろうと思いますけれども、併し人口問題の研究が必要であるということは、終戦直後からはつきりしておつた問題だと私は考えます。この間も申上げたのですが、六千万人の人口であつたものが八千万人を超したので食糧は足らなくなつたというような今日に追い詰められて来ておりますが、これは今に始まつたことではなくして、戦争直後もうはつきりしており、今よりもむしろその生活は困つてつたといえるわけであります。人口問題を徹底的に研究しなければならないということは、決して一年の間に起つた現象でなくして、むしろ前にはつきりしておつたと思います。その必要が感ぜられて吉田内閣において人口問題審議会というものをお作りになつた、そこで先ず二つの問題を取上げて小委員会というものが作り上げられた、こういうことになつている。それだけ取上げられた、それじやほかの問題は取上げる必要は当時なかつたのかと言えば、私は当然あつた、あつたという事実はあるのだけれども、それでおやめになつたということは審議会の必要がないというふうにお考えになつたからおやめになつたんだろう。或いは審議をする必要がないという意味でなくして、或いは人口問題研究所とか或いはその機関においてやらせるというようなお考えでおやめになつたのだろうとしか思えないわけなんですね。併し先ほど一番初めにおつしやいましたように、やめさせたのが間違いであつたから、今自分は必要と認めるからもう一遍やるのだというお考えであつたらこれは又別なことになつております。内閣も違つております。もとの内閣と今の内閣は違つておりますけれども、同じ吉田さんが総理大臣で勤めておられる内閣でありまするので、まあ私などから見れば違つたといえば違つた、違わないといえば違わないというような気持を持つているわけでありまして、同じ総理大臣の下にできている内閣が、ただ単に第三次とか第五次とか違つているか、或いは大臣が違つているからといつて出したりひつこめたりするのは少し軽卒じやないか。又内閣委員会といたしましても、このおやめになつたときは審議会のことは御相談になつたのですか、どうだつたのですか記憶しておりませんが、やはり引つ込めたり出したりするようなことでは甚だ審議もしにくいだけであつて、そういう点で元が悪かつたのか、やめたことが悪いのだから考え直して今度は新たにするのだというようなお考えか。今の厚生大臣のお考えは私たちもわからないことはありませんけれども、併しずつとこの内閣そのものの態度から見ますると、たびたび出したり引つ込めたりすることは、私ども委員会としても扱いにくい感じを持たざるを得ないのであります。そういう関係で御迷惑でありましたけれども大臣の御足労を願つたわけでありますが、何かそれ以上の御説明はございませんでしようか。
  53. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) これはさすがに、人口問題の重要性というものは別に終戦直後と今とは変つていない。これは人口問題非常に重要であります。それからもう一つ人口問題の重要でありますることは、竹下先生もお認めになり私も同感であります。従つて、今回人口問題審議会を起すとか起さんとか、作るとか作らんとかということではなく、人口問題審議会を政府が持つということに対しては、これ又必要であるということについては御同感であろうと思います。それではその間の経過的な問題としてなぜ一応廃したかという問題になりますと私事情をよく承知いたしませんが、大体私の承知いたしておりますところでは、一応当時の状況としては人口収容力の問題とか、人口調整の問題を中心にいたしてあの審議会の一応の使命を達成いたしたと、審議会のいろいろ整理統合等もあつたので、一応それを解いたのであろうと思うので、又適当の時期において適当の規模において適当の問題をとらまえてやるということは、私ども政府の方針としてそういうこともあり得ることだと思います。ただそれをずつと存続いたして、より適切な審議をいたし、より適切な政策をとるための審議会を持つたほうがよかつたであろうということを私も考えるということは、先ほど申した通りでありますが、当時廃して今更に出すということの経過的な問題に対しては、私は先生の仰せられるようなことも考えられますが、又一方一応審議会としては答申を出したのであつて、その範囲においてあの終戦直後に処する政策を政府はとるという段階になり、同時に又審議会の整理或いは又行政的な経費の節約ということにも関連して一応あれを解いたことだと思つております。当時の衝に私は当つておりませんから私の申しておることが、一応さように了解しておるのでありまして、であるから特に私は人口問題の重要である点、再び政府がその審議会を持つてこの重要な問題の解決に当ると、こういうような見地で今度提案いたした次第であります。
  54. 竹下豐次

    竹下豐次君 この間も申上げたことですが、諮問されたほうの立場からすると、もう答申は済んだんだからこれで使命は果されたんだというふうにも考えられるけれども、これは諮問されたその委員会が勝手にやめたのではなくして、総理がおやめになつたわけです。やめた人の問題になると私は思うのであります。答申が済んだからということは理窟にならないと、こう思うのです。
  55. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) これは議論に亘りますから、私は議論はいたさんつもりでありますが、一応当時は、例えば産業構造の問題にいたしましても、あの終戦直後のああいうふうな異常的な場合において、人口問題は私はただお座なりの場当りの政策にあらずして相当しつかりした視野に立つべきであり、当時の物価指数にいたしましても、通貨の変動にいたしましても、いろんな点について、一応これは私は冷静に批判された上に立つて日本の将来の問題を画すべきであると思う。そういう点から一応総論的な人口収容、総論的な人口調整に関して答申をされたのでありますから、これは私はそれでよろしいと思う。今後は或る程度データとして取上げられる過去八年間の基礎もできたことでありまするから、殊に人口問題審議会を持ちますることは喫緊のことだと考えます。その意味において私は当審議会を持つことが必要であり、又当時一応あれを廃したことに封じても、私自身としては遺憾に思いますけれども、持つてつたほうがより適切であろうと思いますが、そう非難さるべきことでもないと思うのであります。併し私は決して当時の政府当路者でありませんから弁護もいたしませんし非難もいたしませんが、私は素直にそう考えておる次第であります。
  56. 竹下豐次

    竹下豐次君 この問題についてのみならず、大体現在行政機構が大き過ぎるからもう少し小さくしなければならない、簡素にしなければならないというようなことが世間でも問題になつておる際に、一応やめるということを政府がきめたものを、その後の社会状態というものが余りそう変つても来ないのに又始めるというのもおかしいじやないか、というような気持が先ず私の頭に浮んだわけでこういうお尋ねをしておるわけであります。  それからもう一つ申上げておきますが、まだお尋ねしたいと思つてつたのであります。人口問題審議会を作ることはよいと、まだ私はそこまでは思つておるわけではございません。そのほかの方法で、つまり人口問題の研究所あたりでやる手はないものか。それでどうしてもできないでどうしても人口問題調査会というものを更に復活と申しますか、作らなければならない必要があるのか、その点をお伺いしたいと実は思つてつたわけであります。
  57. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 人口問題研究所は人口問題審議会とはおのずから機構及びその審議の方法、又目的を異にいたすのでありまして、研究所はやはり一定の職員の下にじつくり落着いて専門的に研究をいたすと、併しその研究をいたす基本的ないわゆる人口問題研究の志向すべき点、或いはその基本的な点について、やはり人口問題は非常に広範囲な、又先ほど申しましたような奥行の深い問題でありまするから、各界の学識経験者等によつて基本的な線を審議会によつて審議をいたして、それを基礎にして、或いは又それの補助的な機関として研究所があつて然るべきものだと思うのでありまして、そこにおのずから両々相待つて行くことが私は適当ではなかろうかと考えております。
  58. 竹下豐次

    竹下豐次君 大体大臣のお考えは承わりましたから、私の質問はこれで終ります。
  59. 松永義雄

    松永義雄君 ただ一点国務大臣にお尋ねいたしたいと思います。  人口問題に関する財政経済について、今度の二十八年度予算というものは、百三十万人の人口の自然増加を養えば足りるという考えで予算が編成されたものかどうか。一応今日はそういう程度において、先は又先で考える、そのときは又別の考えが将来出て来るという考えで予算が編成されたのか。その理由は、御承知の通りに、前農林大臣でしたか、日本の食糧政策として、土地改良及び開拓として五百八十億円五カ年計画増産という案を立てられて、そうして二十八年度予算は二百八十億か九十億になつておるのだと、それで見ると人口の自然増加だけを養うに足りるという程度に達しておるに過ぎないと私は考えるのですが、国務大臣として、一体日本の人口政策と食糧問題については、とにかく自然増加の人口さえ養つて行けばよいのだと、国際収支のごとき、或いは産業構造の改善というようなことまで思い及んでおらない。そういうふうに現在二十八年度予算は受取つておいてよろしいのかどうかという点を、若しお答え願えればお答え願いたいと思います。
  60. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 非常にこれはむずかしい問題でございまして、この問題はすぐに割切つてお答えはなかなかできない問題であります。併し、一応昭和二十八年度予算案というものは、いろいろな人口の数、現在の数及びその自然増加というものを考慮して組まなくちやいかんものがたくさんあります。例えば生活保護にいたしましても、その他の食糧の問題にいたしましても、いろいろな点においてやはり人口の増加数というものを考慮いたしてやつておるのであります。或いは又その他の社会保険の面におきましても、人口の増加数というものを考慮においてやつております。国民健康保険の給付の国家負担をいたします際にも、やはり人口の増加数ということを考えております。併しこれを相当深く考えてみますると、なかなかそう理論的に、理想的にそれでは全部織り込んでおるかどうかということについては、これは疑問がございますが、併し、今お尋ねの食糧問題等については、人口の自然増加ということを頭において組むべきものであり、又組まんとする努力の下に私は組むべきであると思う。ただこの人口の問題については、我々いつも申しておることでもあり、又農林省等とも協議をいたしておりますことは、ただ自然に現在、昨年百二十五万か十五万くらいになるでしようか、それが殖えて行くと、それだけではいかんのであつて、例えば生産適齢の人口というやつがあります。これらは労働問題と非常な関係がありますから、そういう問題もよく勘案してすべきものだと、人口の問題はただ自然的にいわゆる算術的に或いは幾何級数的に人口が殖えるだけじやなくして、その人口の密度という点がありますから、そういう点になりますと労働問題にも非常に関係がある。  それから食糧の問題といたしましては、これはただ人口が殖えるその点において食糧の増産を図るということであらずして、私どもとしてそれと同時に将来の日本のいわゆる食生活の改善或いは食糧の自給の関係、こういう問題とも関連いたして、いわゆる大きな意味における日本の食糧政策、食生活の改善という二つのことも考えて行かなければならん。そういう面で今度は実は人口問題審議会をそこまで掘り下げて考えてみたい。食糧の改善におきましては、今米麦の三割を増産して云々という話も出ておりますし、それも農林省と協議して検討いたしておりますが、大きく日本国民の将来の国民生活の改善、食生活の改善、そういうものを掘下げて人口問題と関連さして解決して行きたい。これは将来の大きな理想でありますが、やはりそういうふうに改善して行かなければならんじやないかとこういうふうに考えております。
  61. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  62. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。  青少年問題協議会設置法を引続いて議題といたします。本案に対して御質疑がございませんか。別に御発言がないようですが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べ願います。
  64. 上原正吉

    ○上原正吉君 この法案は極めて適切な立法だと考えますので原案に賛成いたします。
  65. 竹下豐次

    竹下豐次君 私は本法案は誠によくできた法案だと思いますので賛成いたします。質問の際にいろいろ私の意見、希望も取入れてお尋ねいたしそれに対するお答えも頂きましたので、この際繰返して私の意見を述ぶることは差し控えたいと思いますが、極く簡単に具体的にかいつまんで一言申上げたいのは、従来青少年問題審議会、協議会というようなもののあり方が、青少年犯罪予防青少年の不良化の予防という消極面にむしろ大部分の力が注がれて、それ以外の青少年の一般教育指導というような点について多少力の入れ方が足りない部面があつたのではないかと思います。併し私はこの問題を解決いたしまするためには、積極、消極両方面のことを十分に検討して、そうして青少年不良化防止をすると同時に、又立派な国際的な又日本国民としての素質を有する青少年を養成して行くという二つの部面が本当に並行して行かなければならない問題だと思つている次第でございます。この積極面の点につきましても従来も全くやつておられなかつたわけでもありませんが、一層力をお入れになりまして、このほうの指導教育に従事するようにして頂きたいと思います。特に文部省関係におきまして、その点を十分にお考え頂きたいと、かように考えておる次第であります。これだけ希望を付加えまして本案に賛成いたします。
  66. 松原一彦

    ○松原一彦君 私も本案に賛成ではございますが、青少年の問題は非常に多岐であつて中心は文部省教育にありますけれども、厚生省は児童福祉を持つており、婦人少年局は労働省にあり、不良少年等に関する問題では司法省がこれを担当いたしておる。更に農林省がいろいろ今日指導を行なつておるといつたようなことで、民間における各種各様の事業の指導方針は、これは差支えありませんけれども青少年問題になつて来ると、国の指導には一つの統一がなくてはならんし、極力整備して重複、無駄のないようにすることが大切だと思います。私どもは今後機構を増し人を増すような面については手きびしく一つこれから審議いたしたいと思う。特に今回の予算の上においてもすでに自由党も同意せられておるようでありますが、行政費は極力節約いたしたい、それでなくてもふやけたように膨脹いたしております日本の行政面に、これは何をおいても英断を以て望まなければなりませんので、人を増し機構を複雑にするという面については今後手きびしくお互いに審議を尽して、国民の要望に沿うようにいたさなければならんと思います。ただこの問題は青少年指導が複雑化しておるという現状に鑑みまして、新たに政府が統一を図られようとするならば、どうぞ思切つて只今私が申述べたような各省にまたがる問題を調節或いは統制を願いたい。一つの盲聾唖学校に行つてみても教室のほうは文部省の所管であつて廊下続きの寄宿舎は厚生省の所管になつておる。ここにも教員と寄宿舎の保護に当る指導者が対立しておるといつたような事実があるのであります。同じ一つの盲聾唖学校の中に文部省と厚生省の所管の違いがあるというようなことも実に奇異な感じを持たざるを得ないのであります。そういうような面が錯綜いたしておりますから、私はこの法案に賛成はいたしますが、この協議会がいよいよ活動を始めるようになりましたならば、只今申したような面にメスを加えてすつきりした指導が現れまして、人員も費用の上にも無駄のないように行われることを切望します。これを附加えまして本法案に賛成いたします。
  67. 松永義雄

    松永義雄君 本案に対して賛成いたします。但し本案の条文を見ますと、文章の上では極めて立派にできている。併し問題は具体的に何をするかということであります。殊に青少年犯罪をとらえてみましても、そういつた面の施設がないことはないのでありますけれども、そういつた方面施設は極めて不十分であります。而も終戦後アメリカさんが青年に対する昔の少年保護事業をぶつつぶしてしまつて、新たに近代化した収容事業に対して、先ほどの法務省の話によりますと、それぞれそれに対して補助金を出している、こう言つておられるのです。ともかく差当つて急場の問題は、子供たち犯罪をどうしたらこれをさん除一掃することができるかということが重大問題で、その具体的方策を考えなければならないと思うのです。その原因は、これは話は非常に大きくなりますが統計を見ても貧乏が原因です。更にこれに対処するの予算の問題だと思うのであります。でありますから、法務省も熱心は熱心でしようが、何しろ自分のしたいこともしかねておるような予算の査定を受けておる。具体的に案を立てるというのでなければ、結局こうした協議会を作つたつて議論倒れに終つてしまつて、何らすることなくして終るのではないかと思うのであります。特にそれを強調して賛成いたします。
  68. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ほかに御意見ありませんか。……ほかに御意見がないようでありますが、討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。それでは青少年問題協議会設置法案について採決いたします。本法案を原案通り可決するごとに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  70. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨及び表決の結果を報告することとし御承認願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。それでは本院規則第七十二条によりまして委員長の議院に提出する報告書につぎ多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     上原 正吉  長島 銀藏     竹下 豐次  白波瀬米吉     松永 義雄  松原 一彦     野本 品吉
  72. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御署名洩れはございませんか。……御署名洩れはないと認めます。   ━━━━━━━━━━━━━
  73. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案について御質疑のおありのかたは御発言を願います。
  74. 松原一彦

    ○松原一彦君 質疑を打切り、討論を省略して採決せられんことを希望いたします。
  75. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 只今の御意見に賛成いたします。
  76. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 厚生省設置法の一部を改正する法律案については質疑、討論を省略して直ちに採決に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 厚生省設置法の一部を改正する法律案について採決をいたします。本法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  78. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 全会一致でございます。従つて法律案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。なお本会議における委員長の口頭報告の内容等については、前例によつて委員長に御一任を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。それでは多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     上原 正吉  長島 銀藏     竹下 豐次  白波瀬米吉     松永 義雄  松原 一彦     野本 品吉
  80. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御署名洩れございませんか。……署名洩れないと認めます。   ━━━━━━━━━━━━━
  81. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案について御質疑のおありのかたは発言を願います。
  82. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 本案につきまして質疑を終了し、討論を省略いたしまして、直ちに採決せられんことの動議を提出いたします。
  83. 上原正吉

    ○上原正吉君 只今の長島君の動議に賛成いたします。
  84. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 大蔵省設置法の一部を改正する法律案については質疑、討論を省略して直ちに採決に入ることにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか、    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異論ないと認めます。それではこれより採決に入ります。大蔵省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。本法案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  86. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお本会議における委員長の報告は前法律通り委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。それでは多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     上原 正吉  長島 銀藏     竹下 豐次  白波瀬米吉     松永 義雄  松原 一彦     野本 品吉
  88. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御署名洩れはございませんか。……署名洩れないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会    —————・—————