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政府委員(金光昭君) 先般の当
委員会におきまして
山田委員からお尋ねのありました国際
通信料金につきまして、
日本から外国に対する
料金と外国から
日本に対する
料金との間に不一致があるじやないかとい
つたような御
質問がありましたので、それにつきまして調査いたしました結果につきましてお答え申上げたいと存じます。
先般の
山田委員のお尋ねになりました
日本タイムスに出ておりました投書によりますと、
日本からセイロンに向けて打ちます電報は、一語について通常の電報につきましては三シリング三ペンスにな
つておる、ところがセイロンから
日本向けに出します電報につきましては、通常電報でニシリングニペンスにな
つておる、そういうふうにセイロンから来る電報のほうが安くな
つている、これは一体どういうなんだとい
つたような投書が出ておるわけでございます。これにつきまして調査をいたしましたところ、もともとこの国際電報の
料金というものは非常に複雑でございますし、又沿革的な理由というものがあるわけでございまして、諸外国におきましても、いろいろとこれにつきましては沿革的な理由から独自の立場によ
つているわけでございます。そこで国際電気通信条約におきましては、その附属の電信規則の二十六条におきまして、二国間の
料金は同一線路且つ二方向においては同一とするということが
原則に相成
つておるわけでございます。そこで
日本から打ちます電報もそれから外国から
日本に宛てます電報も、
原則としては、これは
料金は当然同一であるべきなのが
原則でございます。ところが、例えば英国及び英連邦諸国と申しますか、英国系の所におきましては、従前からそうい
つた原則があるにもかかわらず、久しく独自の立場をと
つて参
つておるのでございます。現在におきましては、御承知のように国際通信の
料金というものは、金フランというもので定ま
つておるわけでございます。この金フランというものは、現在の為替相場で
計算いたしますと、ドルとの換算におきましては一ドルが三・〇六一フランに当るわけでございます。そこで邦貨に換算いたしますと、約百二十円に相成
つております。そこで本来から申しますと、いわゆる金フランによりまして、ドルとの換価一ドル三・〇六一フランによりまして換算いたしましたものを、それぞれの国におきます外国
通信料金といたさなければならないのでございますが、英国におきましては、一八一六年の金本位採用当時におきますポンドと金フランとの換算割合というものが一金フラン九・六ペンスに当
つておるそうでございます。そこで
イギリスにおきましては、現在の為替相場で申しますと一金フランは二十八ペンスに相成
つておるにもかかわらず、国内の徴収
料金といたしましては、
イギリスのポンドの対内価値は依然として一八〇〇年当時とさほど変
つておらないということを理由といたしまして、国内の
料金といたしましては相当低額な
料金を定めておるわけでございます。それからアメリカにおきましても、只今申上げましたようなドル換算一ドル三・〇六一金フランが正当であるにもかかわらず、一九三四年のドル切下げ以前の率であります一ドル五・一八二五フランというものを適用しておる、こうい
つたようにそれぞれ各国におきまして、こうい
つた当然金フランで定められておるにもかかわらず、それぞれ自国の政策によりましてそうい
つた低率の
料金を定める。そこで
イギリスだとかアメリカだとかのように、国際通信回線というものがすでに相当厖大な
施設を持ち、又歴史的にも相当古い沿革を持
つておるという所におきましては、こうい
つたような多少国内的に低位なものを定めるということもでき得るわけでございますが、その後におきまして、こういう国際通信回線を整備したというような所におきましては、こうい
つたようなことがなかなかできかねるというようなことで、例えば欧洲大陸でもフランスとかドイツとかいうような所におきましては、やはり正当なる金フランの換価によ
つて国際
通信料金を定めておるという
状態でございます。そこで
日本におきましてはどうかと申しますと、終戦直後におきまして、戦争中に中絶いたしました対米回線をいち早く進駐軍が参りまして開いたわけでございます。その際に従前の率で、従前の為替相場を以ちましてその当時におきます国際
通信料金、対米の
通信料金を定めますと相当高額になるということと、それからもう
一つ、当時におきましては先ず対米の回線を再開いたしましたため取りあえず
料金をドル建で定めたのでございます。それらの関連でいよいよ金フランを正式に採用するようになりました際に、これを金フランに換算いたします場合に、結局先ほど申しましたように、アメリカがすでに国内で切下げております一ドル五・一八二五フランというものでこのアメリカ向けの
通信料金を定めて、一ドル五・一八二五フランというもので
計算いたしますと、
日本金に換算いたしまして七十円になるわけでございます。そこで本来の金フランで正当な換算をやりますと、先ほど申しました百二十円換えになるものを、対米通信については七十円というふうに定めたわけでございます。そこで
日本につきましても、こういう
関係で本来の金フランの正当なる換価を用いなか
つたということに相成
つております。その後におきまして欧洲との通信回線を開きます場合に、アメリカとの間で一ドル五・一八二五フラン、
日本金に換価いたしまして七十円換えでアメリカ通信を再開いたしましたので、今度欧洲との通信を開きます場合に、正当なる一ドル三・〇六一フランの百二十円換でやりますということになると非常に高い
料金に相成るわけでございます。そこで欧洲諸国との通信再開の場合にいろいろ折衝しました結果、
日本としては一応アメリカ向けの五フラン換えというものを主張しましたのに対して、欧洲のほうでは正当な三フラン換えを主張する、そこで結局その中をとりまして一ドル四フラン換えというもので欧洲向けの
通信料金を定める。そのため現在におきましては外国との間の
通信料金というものが、一ドル三フラン換えのもの、一ドル四フラン換えのもの、及び一ドル五フラン換えの三本建という非常に複雑なる体系に相成
つておる次第でございます。それじや一体そういう三本建のものをどういうふうに適用しておるかと申しますと、只今申しましたように、大体アメリカの地域に対しましては一ドル五フラン換え、七十円換えでや
つております。それからヨーロッパ地域につきましては、只今申しましたような一ドル四フラン、九十円換えを採用しております。それからその他の地域、主としてこれは東南アジア地域でございますが、中国、台湾、インドシナ、タイとい
つたような所につきましては、正当なる一ドル三フラン換えという百二十円換えのものを採用するという結果と相成
つておるわけでございます。
そこで只今問題となりましたセイロン向けでございますが、多少
日本タイムスに出ておりますものは、先方の
計算にミスがあるようでございます。そこで我々のほうで
計算いたしましたもので
日本金に換算して申上げますと、
日本からセイロン向けのものにつきましては一語百六十四円でございます。それからセイロンから
日本向けのものは百十三円というふうに相成
つております。これは只今申しましたようにセイロンから
日本向けのものは、
イギリスが先ほど申しましたように、国内的にはポンドの価値というものは依然として変りないという主張の下に、先ほど申しました一八一六年当時の一金フラン九・六ペンスよりは勿論高くしておりますが、当然現在におきまして一金フラン二十八ペンス相当のものを相当
程度割引いた額で国内
料金を定めているとい
つたような形で、こういう結果に相成
つているわけでございます。
日本タイムスにございますように、五〇%までの開きはないようでございます。只今申しましたように、
日本からのものが百六十四円、先方からのものが百十三円でございますので、それほどの開きはございません。こういうふうな
方法におきまして
イギリス連邦諸地域との間におきましては、
日本の徴収
料金のほうが高くて外国からのものが低い。ところが逆に
日本の徴収
料金が安くて、それから先方からの徴収
料金のほうが高いものもございます。これは先ほど申しましたように、欧洲地域等のものは、
日本が要するに四フラン換えというものを採用したためにそういうことになるわけでございます。一例を申上げますと、フランス宛の電報につきましては、
日本におきますフランス宛の
電報料金は、一語当り二百二円になるのに対しまして、フランスから
日本に参ります
料金は、一語当り二百六十六円とい
つたように欧洲諸地域との間におきましては、
日本のほうの徴集
料金が安くて、外国から来る電報のほうが高いとい
つたような所もあります。それからアメリカとの間におきましては、これは
日本の徴集
料金と、それからアメリカにおきまして出します場合の徴集
料金と全く同額、そうい
つたようにそれぞれこういう地域との間に差がありまして、必ずしもこれを一概に今直ちに統一するというようなことは、非常にいろいろな諸外国等の特殊
事情があるので困難を極めておるわけでありますが、今申上げましたように日なにおきましては、先ず外国との間の国際
通信料金については三本建をと
つた。これは終戦後におきます特殊
事情によ
つてそう
なつたわけでございますので、これを全部正当なる金フランとの換算割合にするということになれば、
日本の国内におきまする徴集
料金は非常に高くなるということで、これは、今これを実施するというようなことは困難でございます。又その必要もないかと存ずる次第でございます。そこでできるだけこうい
つたような差のできないようにということを国際条約にも規定してあるわけでございますが、これは
原則としてということを入れて定めてあるわけでございまして、
イギリスのやり方につきましては、前回のパリーにおきます会議の際に、主管庁会議の際にも各方面からいろいろとそれに対する非難が出たそうでございますが、これは
イギリスとしては沿革的の理由でそうや
つているのだからとい
つて、遂に
イギリスがはねつけたというような
情勢に相成
つておるわけであります。アメリカにおきましても、先ほど申しましたように、すでにアメリカ自身もドルの換算割合を切下げているとい
つたような形でや
つているわけでございますので、こうい
つたような事実は事案でございまして、今直ちにこれをどうこうするということはできがたい
情勢に相成
つておるわけでございます。