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説明員(
金光昭君)
只今の
お尋ねの点でございますが、今回の
有線電気通信法を制定しますに当りまして、従来の
電信法におきましては、
只今御
指摘のありましたように、電信
電話につきましては
政府が専掌する、で、電線
電話事業は国ですべてこれを行いまして、私設の
設備につきましては、極く小範囲に利用を限定して来たわけでございます。ところが飜
つて考えますと、こうい
つたように私設の
設備というものの設置範囲を非常に限定しておりますために、事業を遂行する上から当然この
有線設備を持たなければその事業遂行に支障を来たす、或いは農山漁村等の辺鄙な地域におきましては、
公衆通信機関の恩恵に浴し得ない、国営のままにおきましては遺憾ながらそうい
つたような地域についてまでの施設がなかなか手が届きかねる。さればとい
つてそうい
つたような地域においての私設を認めるかといいますと、それは罷りならんというような面で、現在までの
電信法の下におきましては、そうい
つたような電気
通信の利用の面におきまして
相当の制約があ
つたというふうに
考えているわけでございます。そこで今回の
有線通信法を制定立案するに当りまして、一体
有線電気通信設備というものにつきまして、私の
設備を一体どういうふうな範囲で認めたらいいかということをいろいろと
検討してみますると、先ず
設備の技術的な面から申しまして、他の
有線電気通信設備に妨害を与えないということが先ず第一点ではないか。それから又その
設備自体が人体に危害を及ぼすとか、或いは物件に損傷を与えるというような面は、これは当然規律しなければならない、こういうような技術的な点と、もう
一つは、一方におきまして
公衆通信というものは、これはやはり独占事業として
考えなくちやいけない。そこで私設の
設備であ
つて、
公衆通信に類似する行為をなすとい
つたようなものについては、当然これはやはり取締らなければいけない、こうい
つた只今申上げました三つの点をポイントとして
考えれば、特に従来
電信法でと
つてお
つたような非常に狭い範囲に限定する、而もこれを
許可にかけておくという必要はないのではないか。で、
只今申しました技術的の点につきましては、技術基準とい
つたようなものを定めて、その
設備を私設する人が、当然今言いましたような混信等の
通信妨害や、或いは他の人体、物件等に危害を及ぼすとい
つたようなことを起すことのないような
設備を作るその技術基準に合致しておれば、そうい
つたような虞れがないということであれば、別に支障がないのではないか。それから
公衆通信の独占を侵害するという面につきましては、一人の
専用に供するために、その人が単独で作る
設備についてはそうい
つたような虞れがない。だからこれについては別に
許可等にかけなくても
届出等で、その
設備自体の存在を明らかにすればいいのではないかということが
考えられるわけであります。そこでこういう見地から
電電公社及び
国際電電
会社の
設備というものは、当然これは
公衆通信事業を経営しておりますので、この点についてはそうい
つた届出も要らないのじやないか。これはもうそのまま事業経営者に任せておけばいいじやないか。それから同一構内の
設備につきましては、旧来の
電信法におきましても、これは
届出を不要にしております。これも勿論そうい
つた公衆通信に妨害を与える類似の行為というものが
考えられないのでいいのじやないか。それから警察だとか消防だとか、或いはその他の海上保安だとか、気象等の国家的な業務、或いは
鉄道軌道事業だとか、電気事業、鉱業、マイニングでございますが、鉱業等の仕事につきましても、その業務遂行上電気
通信を必要とするものがあるわけでございます。これらのものにつきましては、現在においても
相当大規模な
設備を持
つている向きもあります。而もそれらのところにおきましては
相当数の技術者も持
つております。そこでそうい
つたような技術基準に合致しないとい
つたようなことは、先ずその心配はない。又これらの純粋の業務遂行のために使われます
通信というものは、
専用通信としてやはり私設の
設備を認めていいのじやないかということで、これらのものは自由に設置することができる。それ以外の
設備についても、一人が
専用に供するものであれば事前の
届出にする。それによりまして若し仮に技術的に指導を要するものがあれば、その指導をする。技術上の指導によ
つてできるだけそれを作
つた後において技術基準に合致しないことがないようにする。それから二人以上の共同設置とか、或いは
設備相互間の接続というようなことになりますと、
公衆通信に類似の行為というものが起り得る可能性がありますので、これらのものにつきましては事前の
許可にかける、こうい
つたようなことを今回の
有線通信法におきまする根本的の方針といたしたわけであります。
ここで翻
つて考えますると、これに類似しております同じ電気
通信設備におきまして、無線
設備については電波法で免許の主義をと
つているわけであります。そこで
只今の新谷
委員のお説のように、こちらの
有線については、全く事前の
届出というようなことで行
つておりますし、電波法で行きますと、免許主義ということで、その間に
相当の逕庭があるように思われるわけでありますが、電波につきましては、御承知のごとく電波を無制限に利用させるということになりますと、空間を共通に利用いたしております電波におきましては、
相互に混信その他の妨害が起るということになりますし、又電波自体については、すでに
国際的な割当が行われているわけでございまして、これを全部一国で利用するということもできませんし、そういうことでこの限られた電波というものを公平且つ能率的に利用させるということにいたしますには、どうしてもこれを事前の免許ということにせざるを得ないわけでございます。そのために二の電波法におきましては、こうい
つたような
趣旨をと
つたわけでございます。これに反しまして
有線のほうにおきましては、そうい
つたような電波の公平な利用とい
つたようなことと同一のことはあり得ないわけでございましたので、全面的な
許可主義というものをとらないで、
只今申上げましたような一部につきましての
許可主義をと
つたわけでございます。
そこで
お尋ねの、それじや一体
外国人等についても、これで行きますと事前
届出でそうい
つたような
外国人が自由に
国内においての
設備ができるではないかということになるわけでございますが、そこでこの
外国人について、
只今申上げました電波ではどういう態度をと
つているかと申しますと、御案内のごとく電波法におきましては、
外国人には無制限の免許を与えないということにいたしているわけでございます。これは当時の法制定等の経緯を見ますと、電波につきましては、
只今御
説明申上げましたように
国際的にすでに周波数というものがきま
つてお
つて、一国に割当てられた周波数というものはこれは限度がある、一定の数によ
つて限られておりますので、その数を割当てます際には、やはり自国の国民の
利益擁護という見地から、先ず自国にそれを配分するという
建前になるのが当然だと思うわけでございます。これらの点から先ず
日本の周波数等の割当の
現状から見まして、到底
日本国内におきましての要望さえも十分満たし得ない。まして況んや
外国人にまでそれを割当てるというようなことは到底できないというような見地から、電波法におきましては、
外国人にはその免許を与えないという方針をと
つたのでありまして、諸
外国におきましても同様の方針をと
つているわけでございます。ところがこの
有線電気通信設備につきましては、この電波のような制約というものはないわけでございますので、特に
外国人なるが故にこれを排除するとい
つたようなことは、これはその
理由がないのではないかということで、結果的に見ますと、これを
外国人も自由に設置し得るということになるわけでございます。ただ実際問題といたしますと、
外国人が設置するにいたしましても、
有線の電気
通信設備というものは、遠距離の
区間に設置するということになれば莫大な経費を要するというようなことでなかなか事実上これらの設置というものができないのじやないか。又一方設置するにつきましては、まあ附帯的な条件といたしまして、当然道路だとか、田畑等を使用するということになりますが、田畑等の使用につきましては、
公社に認められておりますような土地の使用等についての特権が
有線の私設
設備については認められておりません。又道路の使用につきましては、道路法の面からい
つてこれは
許可を要するというようなことにな
つておりますので、そうい
つたような側面的な面から申しましても、実際問題として
外国人が
設備をするというようなことは非常に困難が伴うのではないかというふうに
考えるわけでございまして、
只今の新谷
委員の
お尋ねのように、
法律の表面から申しますと、一応
外国人といえ
どもこれを設置し得るという
建前には相成
つておりますが、事実上そうい
つたようなものは先ず
考えられないので、そうい
つたような実害に乏しいのじやないかというように
考えるわけでございます。
又一方におきまして
公衆通信につきましても、現在の公衆法の
建前から申しますと、新憲法下におきまして検閲等は禁止しているわけでございますので、
公衆通信を使用する場合といえ
ども、
国内におきまする
外国人か例えば大公使館と領事館の間、或いは
外国商社相互間の
通話通信等につきまして、これは秘密は保持されるという
建前にな
つているわけでございまして、特に
有線設備につきましてのみ、そうい
つたようなものを厳格にするということを行うということも、この
公衆通信との関連から申しましても如何かというので、この
有線私設
設備については、事前
届出ということで
日本人たると
外国人たるとを問わず同一の歩調をとるようにいたした次第でございます。