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参考人(金子秀三君)
日本民間放送連盟の
理事の金子でございます。このたび
政府の提出されました議案として
放送法中の一部
改正案が出ました点につきまして、民間
放送側に
意見を求められましたことを誠に感謝に堪えんといたしまして御礼申上げる次第であります。
併しこの
改正案の
内容は、主として
日本放送協会の内部のことに属するものが多いのでございまして、実際
上NHKの
業務内容に直接触れておるわけでございませんから、非常にその点では的確な
意見を申上げることはむずかしいかと存じますが、総括的に申しますならば、今回
政府が提出されておりますところの政正の要点は、民間
放送連盟といたしましては、おおむね
賛成でございます。但し、その内部におきましては若干の
意見がないではないのであります。即ち、先ず
経営委員の問題でございますが、
経営委員の場合、今日までの
地域別の住所主義をとられないようになさろうとすることにつきましては
異議はございません。併しながら更に一歩進んで、真に何と申しますか、
経営委員がこの
日本放送協会の
運営について、もつと積極的に強烈な意欲を以ておやりになるようなあり方に是非ともして頂きたい。そうして
経営委員の
意見の
内容には、本当に
国民の声、民間
放送の業者をも含めました
国民の声が常に耳に入
つておるようなふうにあ
つて頂きたい。
それからその次の
理事及び
監事の増員の点は、先ほど古垣さんがおつしやいました
通り、これだけの厖大な機構を御
運営になりますにつきましては、現在よりは増員されましても適宜なる措置が果断にとられますことは、執行者としては当然だと思いますので、これもそうであろうという
意味におきまして
賛成でございます。
又
業務活動の適正を図るために、
協会では外部に対して適当な範囲において
研究の委託をされる。これも結崎でございます。又
協会は外部に対して面正な範囲において助成をされる。これも大変結構でございます。ただこの際私も民間
放送の
理事といたしましてお願いをしておきたいことは、助成は飽くまで助成でありまして、助成されましたものは必ずこれはNHKの専属であ
つて、他のものが一切これを使うことができないようなあり方につきましては、これは是非とも
考え直しを願いたいのであります。その点をよくするというための助成でありまして、助成されたものは、その持
つておる芸術なら芸術をどこででも編成し得る自由があるように御
改正ありたいと思います。
それから
研究の成果を応用されますことも誠に結構でありまして、この点等につきましてもなおあとでちよつと時間を拝借して申上げたい私
どもの希望もございますが、概して
賛成でございます。
ただ、先ほど来からも若干問題にな
つております
郵政大臣がこの
法律の定めるとるによ
つて監督をするという四十九条の二及び
郵政大臣が
公共の
福祉を増進するために特に必要であると認めたときは、
協会に対して
監督上必要な
命令をすることができる。又
郵政大臣がその
法律を施行するため必要な限度において、
協会からその
業務に関する報告を徴することができるというごの
規定につきましては、
原則的には古墳
会長が先ほど申述べられました
通り、私
どももやはり民間
放送も
公共放送であると深く信じております関係から、単にこういうことにつきましては、これはNHKのことだから
賛成だとい、うことでなくてひとしく憂いを同じくいたします関係上、てき得べくんば、
原則的にはこういうものはない方がいいのではなかと存ずるのであります。併しながら又一面、私
ども民間
放送業者といたしましては、NHKは御
承知のごとく幾多の特権を持
つておられるのであります。又特権を持
つておられるだけに
義務も持
つておられることは当然でございますが、そのようにいろいろの特権を持
つておいでになりますので、それに
従つて政府が
経営委員の見るところと又違うところの
監督を強化されようとする点につきましては、我々民間
放送とは同列でないと存じております。
従つてある程度の
監督が行われるということは止むを得ないのではないかと、かようにも
考えておるのであります。併しながら
日常の
番組その他において、時の
政府がいろいろNHKで
放送するということは、同じ
放送業者といたしましては好ましくないことだ。飽くまでもこれはやはり
国民の声に
従つて良心的な
番組を作ることが
放送業者の当然の
義務である、このように
考えておるのであります。併しながらこの四十九条の三のほうにございますところの「必要な限度において、
協会からその
業務に関する報告を徴することができる。」等の
監督業務は是非ともしつかりや
つて頂きたいと存じます。この点につきましては、
国民の声と申しましては何でありますが、もう少し
日本放送協会の
業務内容について
国民が詳しく知り得るようにや
つて頂叩きたいし、又そういうものを文書その他によ
つていつでも見られるようにして頂きたいものと存ずるわけであります。
なお、私
ども日本民間放送連盟といたしましては、この
放送法の
改正は、
日本放送協会の一部の
改正でございまして、その点につきましてはごの程度の
意見でございますけれ
ども、是非ともこの
機会にこの
放送法そのものにつきまして根本的な
改正をお願いをいたしたい。申さば今回の
放送法中の
改正案は、極めて末梢的な
改正であ
つて、我々はもつと根本的な
改正を是非ともこの
機会にお願いをしたいと、こういうふうに存ずるわけでございまして、ちよつと時間を拝借してその理由を述べさして頂きます。
この現在の
放送法が制定されました当時は、民間
放送の急速な
発達は想像することもできません。
従つて民間
放送の今日のこの盛況を御覧になりますとぎにおきましては、甚だしく現在の
放送法は現実にそぐわない多くの矛盾と紛争の原因を持
つておると、このように私
どもは
考えるのであります。私
どもは
国家全体の
立場からみまして、又聴取者の
立場からみまして、又
放送事業者の
立場からみまして、
放送法は今日早急に根本的に
改正する
段階に到達したのではないか、このように信じておるわけでございます。現在の
放送法は
昭和二十二年から二十五年にかけていわゆる終戦直後の政治、経済、社会の不安定の時期に、連合軍占領下という特殊の事情の下に立案制定されたものでございまして、同法は当時の事情からいたしまして、
日本放送協会を私法人から公法人に改組して、その
公共的
性格を明確にいたしますと共に、
日本放送協会の
業務を通じて
放送文化の全旧的普及向上、
公共の希望、要求の充足、即ち
公共の
福祉の増進をはかることを主眼として、民間
放送につきましては、経済事情と周波数の割当が若しで、きるならば許してやろうという門戸の開放かあ
つた程度てこさします
従つて日本放送協会は民間
放送事業のあるなし、或いはその
発達ができるかできないか、でぎても採算が合わなくな
つてすぐ潰れてしまうというようなことに関係なく、
日本放送協会のみで独自で完成した
放送業務を行うように
義務付けられており、又そのためにいろいろな保護をされておるのであります。民間
放送は、
日本放送協会のこの巨大な自己完成の体系のかたわらに置かれました何と申しますか、非常に日蔭の花のような位置しか
法律上は与えられていなか
つたのであります。
放送法が民間
放送発足前に制定されました
法律でありますから、これは仕方なか
つたと言えばその
通りでございますが、現在におきましては、先般来問題になりました周波数の割当その他におきまして、依然としてNHK使先の建前があるということは、どうしても私
どもは不服なのでございまして、どうして可源に湖りまして
放送法の
改正をお願いをいたしたい、かように存ずるわけであります。
放送法は当時三年ぐらいの時限法にすべきだという説があ
つたのは、このよりに民間
放送がどうなるものかわからないから、一応ごうしておいてそうして改めようという説が当時すでにあ
つたということを以ても、私
どものお願いする
趣旨はおわかり下さるかと思うのであります。現在は我々民間
放送の
業務は、現在
放送中のものは二十二局ございます。又申請中のものは四十二局に達しております。その電力におきましても、
番組の
内容におきましても、
日本放送協会の
放送局と大して遜色があるとは存じておりません。則に公衆の聴取状況を見ますならば、
日本放送協会の第一
放送と全く接近する実績を示しておるのでございます。又第二
放送の聴取に至りましては、殆んど民間
放送のリストを数えますならば、問題にならないほど低いという」とは統計が示しているのでございます。このように民間
放送は短期間に公衆に親しまれて参
つております。この総合的なアハレイジは
全国聴取者の七五%以上に達しております。而もその中に日本の重要
都市が殆んど包含されておるということは、今や民間
放送は改めて
法律上からも御認識されて然るべき時期ではないか、このように
考えるわけであります。現在申請中の民間
放送局が免許されますならば、更に更にこの比重が植えて行く。このように
考えるのであります。
放送法によりまして、我が国の
放送事業のあり方といたしましては、
公共企業体の
日本放送協会と民間
放送としての一般
放送との二本建が、
原則は確立はされてはおるのでありますけれ
ども、その点につきまして、
法律上におきまして名実共にこれは平等にして頂きたいのでありますが、現在では両者の相違は、私
どもはただ
経営上のそれの違いがあるだけである、このように
考えております。
放送の
公共性等に関しましても私
どもは何ら差異はないと存じております。私は
仕事は九州の
放送局をや
つておりますが、今回の九州の未曾有の水害に当りまして、九州の民間
放送局が果しました
公共的な役割は、
政府が速かに設けられましたところの災害対策本部で十二分に御
承知でございます。そのために絶えず、先ず各大臣が福岡においでになりますと、民間
放送ラジオ九州においでになりまして、そうして録音
放送をして避難民に呼びかけをされる。又その他のことをなされております。NHKは機構が何と申しますか、中央集権のためでございましようか、ローカルにおきまして機敏なる活動をするのに、取材の困難であるとか或いは電波上、技術上の問題であるとか、そういうようないろんな制約のために、機宜に適した敏活なそういう災害
放送はできにくか
つたのでありますが、こういう点では何ら拘束されておりません民間
放送は、どんどん思うことを実行できるのでありまして、甚だしいときには、一日に七十回のニュース
放送をいたしております。このような
意味で一般の躍災民、ラジオ聴取者に、民間
放送というものは決して宣伝
業務の営利
機関ではなくして、
公共的に如何に必要なものであるか。
地方に今後災害が起
つたときには欠くべからざるものである。と申しますのは、新聞が数日問配達不能に陥りまして、ラジオ以外に聞くものはなか
つたというような事態でございましたから、なお更そういうようなことが感を深めた。この点につきましても私は
公共性につきましては本質的に何ら差異はないと、このように
考えております。そして我々は民間
放送も
日本放送協会もひとしく
公共に奉仕するものであるということを明確にいたしまして、その両者の
経営上の
性格から生まれた特徴に従いまして、それぞれの主として受持つへき分野を定めて、両者の
業務に適当なバランスを持たせ、民間
放送と
日本放送協会の
放送を総合した結果において
公共の
福祉を最大限に増進することが一番いいのではないかと、かように
考えておる次第であります。若し
放送政策におきましてNHK依存の行き方が修正されましたならば、日本の
放送文化というものは更に急速に向上するということは、私
ども一年半の
経験によりましても深く確信するところでございます。
放送業務研究の
基礎的資料を作り、技術
研究、社会調査その他の
放送文化向上に必要な調査
研究につきましても、現在の
日本放送協会の技術
研究所、
放送文化研究所を
協会から
独立させて広く
放送一般のための調査
研究機関とされ、
放送事業の総合的な
発達の
基礎とし調査
研究に当らせられるようになされたならば、更に我々は仕合せだと存じております。実はこういう点につきまして、根本的な
放送法の
改正ということをお願いを申上げたい。それにつきまして私
どもはそのいろいろの問題の所在につきまして、現在
理事会におきまして
研究中でございます。今日薩だ残念ながらそれの具体的な
方法につきましては、まだ結論を得ておりませんがために、具体的な
改正を、この点をこのようにという点には達しておりませんのでございますけれ
ども、いろいろの点で我々は是非ともこの
機会に
放送法の根本的な
改正をして頂きたいと、かように存ずるわけであります。
ただ然らば問題の所在はどこにあるかということを申上げますならば、第一は、
日本放送協会の設立の
目的というところにおいてやはり我々は多少変えて頂きたい。又NHKの
義務放送の第一、第二のその
放送のあり方というものにつきましても、これを明確にして頂きたい。先ほど申しました
経営委員会、
理事会の構成につきましても、先ほ
ども申しましたように本当にしつかりしたものにして頂きたい。こういうふうにNHKに対しまするところのいろいろの機構その他につきましてのいろいろな希望もござい与し、又先ほどと重複しますが、技術
研究所や
放送文化研究所の
独立というようなことも私
どもは希望しておるのでございます。更に問題によくなるのでありますが、民間
放送は広告収入を以て
経営をいたしております。私
どもはNHKの徴収しております聴取料を我々のほうに廻してもらいたいという
考えは打
つておりません。併しながら民間
放送ができましてラジオの聴取者が非常に殖えたということだけは事実でございます。その殖えた聴取料というものが全部NHKに行くということが合理的であるとは併し
考えておりません。この点でこれをどうすべきかということにつきまして、まだ
意見を申上げます
段階に到達しておらないのでありますけれ
ども、1こういう点につきましても聴取者が納得をしてそういうわけかとい
つて喜んで払うよな合理的な
改正がどうしても必要なんではないか。その他まだ細かいことで、二、三具体的な問題もございますが、時間の関係で省略させて頂、きますが、私が申上げたいことは、今回の
改正は、
原則として先ほど申しました二、三の点を除けば
賛成でございますが、これは飽くまで
一つこの際根本的な
改正というものを是非して頂きたい、かように
考えまして申上げる次第でございます。
大体私はこれで終ります。