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1953-07-22 第16回国会 参議院 通商産業委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十二日(水曜日)    午前十時十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松本  昇君            江田 三郎君            小松 正雄君    委員            石原幹市郎君            黒川 武雄君            小林 英三君            西川彌平治君            松平 勇雄君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            藤田  進君            海野 三朗君            武藤 常介君            團  伊能君            白川 一雄君   衆議院議員            小平 久雄君            中崎  敏君            首藤 新八君   国務大臣    労 働 大 臣 小坂善太郎君   政府委員    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業省企業    局長      中野 哲夫君    通商産業省重工    業局長     葦澤 大義君    通商産業省鉱山    保安局長    吉岡千代三君    通商産業省石炭    局長      佐久  洋君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君    中小企業庁長官 岡田 秀男君    中小企業庁振興    部長      石井由太郎君    労働政務次官  安井  謙君    労働省労政局長 中西  實君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    大蔵省銀行局特    殊金融課長   有吉  正君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (電気事業及び石炭鉱業における争  議行為方法規制に関する法律案  に関する件) ○商工会議所法案衆議院送付) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案衆議院送付) ○木材防腐特別措置法案衆議院送  付) ○中小企業金融公庫法案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。最初にお断り申上げておきますが、本日の公報を見ますると、最後のところに「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に関する件」とございまするが、これは事務局の誤りでございまして、私のほうからは本日審議するこの争議規制法案を申入れておりますので、事務局のほうで早速これを訂正をするそうでございますから、事務上の誤まりをどうぞ御了承を頂きたいと存じます。  それから本日は先般お打合せを申上げました通りに、正午までに質疑を終えて頂くことにいたしますので、あらかじめさように御了承の上御質疑をお願いいたします。  それではこれより前回に引続き質疑を行います。
  3. 江田三郎

    江田三郎君 前回の私、及び私の質問に関連した藤田委員質問に対しまして、最後労政局長のほうから答弁があつたわけですが、その答弁は要点だけ申しますと、要するに発電関係技術者というものは、この法律によつて一切の争議行為規制されること、併し今まで発電関係むしろ争議行為が、自由であり過ぎたのであつて、そういうような、この法律によつて規制を受け、制約を受けるということで、初めて事業主労働者との関係が権衡が保たれるのだ。こういうお答えであつたわけですが、それは只今申しました通りでいいわけですか。
  4. 中西實

    政府委員中西實君) 一昨日江田委員の御質問に対しまして、私の申しましたことで、表現において、或いは適正でない点は訂正申上げておきます。申上げたい点は結局公益事業でありいたしますので、経営者側には旧公益事業令、いろいろと制約がある。それに対しまして、やはりこれに従事する労働者側にも相当の制約を受けることは、これ又止むを得ないので、従つて今回の措置によつてなお両当事者均衡は得られるということを申上げたかつたのでございまして、この点若し表現の不適正で誤解がございますと如何かと存じますので、只今申しましたように訂正をいたします。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 一昨日のお答えと非常に変つているように思いますが、変つてつてもいいんですが、併し今のお答え通りとしましても、事業主のほうは公益事業令によつて制約を受けるのだ、従つて片方はこの法律によつて争議行為制約を受けるのだから、均衡が保たれるのだ、こういうような意味お答えですけれども、それにしてもこれは少しおかしな話でして、事業主のほうが制約を受けるというのと、それから従業員のほうが制約を受けるというのは違つた性格制約なんでして、今ここで問題になつているのは争議行為のことについてであり、事業主のほうの制約というものは争議行為について制約を受けるというのでなくして、これはほかの部面において公益事業としての制約を受けて来るわけなのです。全然違つた性格のものを持ち出して来られて、これで均衡がとれるというのは私は少し議論としておかしいと思うのです。それから大臣の言われたことから見ても、昨年の争議を振返つて見ても、大臣は中山氏の言葉を引用されて調停を聞かないという傾向がだんだん強くなつて来ておる。その調停を聞かないというのは長い間の占領下にあつたことから、一応我々完全な独立とは思いませんけれども大臣言葉によるならば、独立をして、そうしてそのために長い間欝積されておつたものが爆発しておる。そういうような点もあるが、この二つの力が突張つて力と力とで解決して行こうというので、その点調停機関決定というものになかなか従わない、これを非常に遺憾とされておるような発言をされておるわけであります。それがそれじや事業主のほうは公益事業令のほうの関係はなかつたかというと、公益事業令というものはそのときから関係があるわけです。公益事業令関係と、争議行為としての従業員のほうのこれで規制される行為とはまるで性格の異なることですけれども、ともかく昨年公益事業令があつて、この法律案がないときにおいて、大臣が憂慮されるような両方の力と力とで突張つてなかなか調停機関の言うことを聞かないという事態があるわけです。そうしてこれをスムースにやるためには強力に調停機関の充実を図るか、或いは一方が非常に強くて一方が弱くて、力によつて解決するか、そのどちらかでなければならんということが言われて、そうして今こういうものが出て来て、電気産業従業員については、特に発電所関係技術者については、一切の争議行為がこれでできないのだということになつて、それで均衡がなお保たれるというのは、これは均衡じやなしに、大臣争議を解決付ける二つの途の後のほうの一方の力が、他方の力に比べて隔たりができるという形で争議を解決付けよう、こういうことにならざるを得んと思うのですが、そうでないのですか。これは大臣のほうにお答え願いたいと思います。
  6. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答え申上げます。この法律の言うところの争議行為の一部を禁止するという考え方は、或いは適当な例でないかも知れませんが、例えば相撲張手を禁ずるということなんです。張り手がなくても十分相撲がとれる。ただ非常に迷惑を及ぼすような手はやめてもらいたい。この張手というものは特別にそういうものはいかんというのじやなくて、一般にあれは非常によくないということで禁止しているのであります。それによつて非常に私は両者の間の均衡が崩れるとは思つておらないのであります。何か電気を消すという威力がないと経営者が何も聞かないで勝手な横暴をするというような御懸念があるようでございますが、私はその電気事業というものは非常に公益性の強い事業でありまして、今もお話のように公益事業令による監督があるということは勿論でございますけれども、やはりそこに公益事業について廻る社会的な批判というか、社会的規制というものがあると思うのです。この法律の結果、それではというので、電気が消されないのだから勝手なことを経営者がやることができるかというと、それはできない。そこにおのずからなる規制があつて、やはりそこに争議行為の場合でも力のバランスが保たれる、こういうふうに考えています。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 相撲の手まで出されてはなはだ何といいますか、学のあるところをお示し下さいましたが、どうも相撲のほうはあれは四十八手あるわけですよ。一手封ぜられてもあとたくさん残つているのです。ところがこの場合に、この電気事業技術者の場合は一切の争議行為ができないというのですよ。これは私が言うのではないですよ。大臣もそれを確認され、労政局長もそれをおつしやつておられるのですよ。四十八手全部使えないのですよ。巧妙なようで余り巧妙でない比喩をお使いになつたと思うのです。そういうことで考えておられるところに、私は大きな間違いがあると思うのですが、ともかくにも肝心なことは、公共福祉という面から言うと、電気が消えないということなんですね、電気が消えるという原因には争議行為で消える場合もあるが、同時に争議行為でなしに、渇水停電とか何とか事業者の責に期すべき場合、或いは事業者の責に期することもできない不可抗力による場合、いろいろあるわけなんです。併し少くともこの場合には争議行為によつて電気が消えることを、或いはとまることを、これを防がなければならん。そうして公共福祉という名で発電関係技術者は一切の争議行為をやつちやいけないということも言つておられるわけなんです。だからそこまで行くのなら、張り手か何か知らんですけれども、そういうことをやつちやいかんというなら、それなら先般来の大臣言葉を以て見ても、これで争議を片付けようというのは、一方の力を強くし、一方の力を弱くして、それで片付けようということになつちまうんじやないですか。たまたま労政局長は一昨日の答弁訂正されましたけれども、併し一昨日のそういう答えが出るということは、やはり労働省指導理念の中に、労働者側の力を一方的に抑えて、問題を解決付けようという考えが私は流れていると思う。一昨日の答弁如何にかかわらず、ずつとこの審議を、審査を始めて以来、言われたことを総合して見ますというと、それ以外の結論は出ないわけなんです。だから仮に公共福止ということで、との憲法に保障された労働者権利、基本的な権利というものを、これを制限したり抑圧したりするなら、それならそれで労働者を保護する立法か、保護する措置か何かなければ、それがなかつたら、この正しい労働行政とは言えんじやないかというところに問題があるわけなんです。その答えをなさろうとしないで、ただ片方に対しては公共事業令のほうの制約があるのだ何だということは、これは答えにならんです。去年の争議のときに事業者のほうに公共事業令制約がなかつたわけじやないのですから。あつて而もああいう状態なつているわけなんです。そうして調停機関決定は聞かんということは、これは片方だけが聞かんのじやない、両方で聞いていないのです。だから公共福祉という名を以ていやしくもこの憲法に保障された基本権というものを抑えるならば、当然公務員争議権がなくなつた場合にこの仲裁制度ができるように、何かなければならん。ところがそういうふうに聞くというと、三十六条を出してあなたがた答弁せられる。併し三十六条とこれとは全然別個な問題です。そういうような労働者権利というものを、基本的権利というものを一方に抑える以上、これを保護するためにあなたのほうでは何をお考えなつているか。当然それがなかつたならばこれは一方的だと言わざるを得んわけですが、その答えはどうなんですか。
  8. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは江田さん御指摘のようにこの第二条によりまして停電電気の正常な供給を直接阻害する行為をやつちやいかんということを言うことによつて争議を早く解決するというような目的を持つものではないのでございますが、これは昨年の経験にも鑑みまして、非常な国民が苦い経験をなめた。争議当事者よりも第三者たる国民に非常に迷惑をこうむらしめたものであつて考えて見ればこういう争議方法というものは本来すべきものでないではないかという社会通念が成熟したと、こう見ているわけでございます。従つて社会通念をここに明確に法律に規定することによつて、これはこの争議方法というものはアウト・ルールだということを申しているわけであります。こうした社会通念は決して我々か特にここに発明したわけでもない。世界各国におきましてこういう争議方法というものはやるべきじやないのだということによつて、或いは法律による、又法律によらざるものといえども社会常識、健全なる社会常識によつてこの手段というものは別に枠の外に出している。こういうことになつているというふうに私は承知しておるわけであります。でございますから、新たに当然持つべきものを制限するならば、今江田さんの御指摘のような何らか他に与えるべきものを考えなくちや行過ぎるという御議論もわかるのでありますが、今申上げたような趣旨でありまして、而も片方に対しても、経営者に対しても、これは公共事業を経営するというところから必然的にそれから来るところの社会的な制約というものはある、こういうふうな考え方を私どもは持つておるのであります。
  9. 江田三郎

    江田三郎君 どうもそういう点で、この間からいつもそういう答弁に逃げられるのですけれども鉱山保安法の場合は、これはちやんと法律できまつてつてはならんということになつているわけです。ところが電源ストの場合ですね、発電所において争議行為をやるということは、ここで規制されるところの争議行為というのは、あなたがたもお認めなつているように、やつていいということはないけれどもつて悪いということも同時にないわけです。引継ぐときに暴力を伴なつたということで問題になつたことはあつても、これが平穏にやられた限りにおいて、これが何も違法行為であるというようなことは全然起きていないわけです。この鉱山保安法の場合とは本質的に違うのですよ。現に今までそれをやつて来たわけなんです。やつて来たために、大審院判例とこの間言われたけれども大審院じやないと言つて叱られましたが、とにかくこの判例を見ても、これはあなたのがばれたのですよ。そういうことがこれは違法だという決定は出ていないでしよう。それならば、而もこの発電関係技術者というものはほんの一握りじやないのですよ。藤田君の指摘したように全国の発電関係事業所が千何ぼある、更にそこへもう少し加わつて来る。その人数を加えると莫大なものなんです。而も今までの電産の組合性格を見ても、発電関係発送電関係とはこれは一つ違つた気風を持つて来ておつたのです。丁度国鉄における機関車労組国鉄労組の違いのような性格を持つておるわけなんです。それらの諸君がこれから改めて、改めてですよ、従来もそうだつたのじやないのですよ、改めて一切の争議行為がそこで規制されてできないのです。そうなれば当然そこにそれに代るところの労働者保護立法という保護的な措置がなければならんということは、公労法の関係を見てもほかの関係を見てもはつきり言えると思うのです。その私の言うことがどこが一体違つておるのですか。端的に私の言うことに間違いがあつたら出して下さいよ。
  10. 安井謙

    政府委員安井謙君) 私から……。
  11. 江田三郎

    江田三郎君 議事進行ですか。
  12. 安井謙

    政府委員安井謙君) いや、議事進行じやないのですが、大臣答弁を補足してちよつと私から御説明を……。
  13. 江田三郎

    江田三郎君 まだ大臣答弁がないんだよ。
  14. 安井謙

    政府委員安井謙君) いや、今までの答弁について補足して御説明したいと思うのですが、お許しがなければ……。
  15. 江田三郎

    江田三郎君 それは委員長が許すことで、こつちは、どうでもいいが……。
  16. 安井謙

    政府委員安井謙君) これは補足的な答弁になると思いますが、私はまあ江田さんにこれは釈迦に説法のようなことでどうかと思うのですが、ストライキというやつは元来が労使双方の紛争を解決する手段として労使双方犠牲において解決をするというのが本来の建前であろうと思うのです。それに対してあの電産ストの場合には労使双方における犠牲というものは非常に僅少である、而も第三者に与える影響というものが特に昨年の実績に鑑みると非常に大きい影響だ、これは好ましいものじやないという意味大臣が常に言われる社会的な通念が非常に成熟して来た、そこでそういつた方法については、これは社会公益関係から一応規制しよう、そのためにそれじや経営者が非常に打撃をこうむつてつたその方法を取除くという意味じやなく、経営者も、或いは労働者両者とも余りにも被害が少くて、第三者へ与える影響が大きいストライキ方法規制しようというのでありますから、従つてまあこの両者均衡という点から言うと、両方とも同じような意味で、必ずしもバランスを失するものじやない。まあ政府答弁しております趣旨はそういうことであろうかと思います。そしてそのために極く一部の人に特別のストライキ方法が或る程度規制されるといいますか、禁止される結果になる、これは例えば石炭で言う保安要員の場合にもそういつた問題が事情は異なりますが起つて来るので、ストライキというものなら何でもどんな方法でもやればいいんだというふうには言えないものであろうという意味からまあこの方法規制したいと、こういう趣旨であろうと思います。どうでしようか、そういう意味で御了承頂けないでしようか。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 それじや答弁にならんというのですよ。例えば公共企業体の場合でも公務員の場合でも同じことなんですよ。そうしてそういう公務員なんかに対して争議行為ができないという場合には、別にこれを救済する手段というものをとられるわけなんです。とにかく昨年の争議ということを盛んに言われる。昨年の争議経験に鑑みてということになるのでしよう。ところが昨年の争議両方突張合つて両方とも調停委員会の言うことを聞かない、又してもこういうような行為が繰返されちやいかん、そういうようなことで公共福祉を害しちやいかんということでこの法律案を出すんだということなんだ。そうしてここで出した場合に昨年の状態から変ることは、片方電気産業技術者は何らの争議行為を持たんということだけが変つて来るのです。これだけが変つて来るのです。こうなつておるのを片方だけ張手だけじやなくて四十八手をやらさんというやつが出て来るのですよ。こちらについては何の関係も出て来ない。同じこつちやないですか。ロックアウトをやつちやいかんつてロックアウトをやる馬鹿はいやしない。できるものじやない。だからこつちの四十八手を全部禁止して腕を組んで土俵の上に立つておれというなら、それならそれで片方についても何らかの措置がなきやならず、この腕を組んでじつとしておる者を保護するところの措置がなきやならん。これを私は聞いておる。あなたの答えでは答弁にならないのですよ。
  18. 安井謙

    政府委員安井謙君) それは今の経営者なり労働者が一方的にストライキというものはやれるものじやない。両者相関関係にある。一方で禁ずるように見えますが、一方に対する影響も同時に禁ずるわけなんです。だから両方に対する作用を同じように影響を少くしようという……。
  19. 江田三郎

    江田三郎君 それじや聞きますがね。去年の争議以来その後この法律案関係してこれとの関係均衡をとる意味において一体事業主のほうは何を禁止されるのですか、具体的に何を禁止するのですか、事業主のほうを。
  20. 安井謙

    政府委員安井謙君) ですからストライキ影響を考慮して第三者に与える影響というものをなくしよう、非常に少くしようということなんでありまして、成るほど形を見れば今の江田さんの言われるようにそういうストライキ方法規制するというのだが、ストライキというものは経営者労働者との相関関係にある、その両者関係におけるストライキ方法規制しよう。そこで従来言われますように、経営者労働者関係で非常に経営者だけが困るという方法であるからこれを取除こうというのならこれは別です。とにかくそうじやなくて、この方法規制することによつて経営者が特別に有利になるわけでもない、使用者が特別に有利になるわけじやない。有利になるのは第三者なんです。そういう形が結果としては起る。ストライキをただ一方的にだけ取上げるということはこれは無理だと思うのです。
  21. 江田三郎

    江田三郎君 そんな馬鹿なことはないじやないか。相関関係相関関係ということを盛んに言われて、片方の行い得るところの争議行為というものが非常に落されて来る。そうするとこれは相関関係においては一方の力が強くなるのじやないですか、それをとりのけて。(「政務次官何か勘違いしておるのじやないですか」と呼ぶ者あり)これは大臣一つはつきり答えて下さい。
  22. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 安井政務次官が言われる通りなんです。要するに争議というものは経営者労働者との間の力関係だ、そこであなたのおつしやる四十八手全部禁止されると言われるのは、発電所技術者だけを抽出してそうおつしやるのです。要するに四十八手のうち発電所技術者が相手の面へ飛んで来る。その手だけいかん、それは遠慮してもらいたい、こういうのであつて、決して土俵の上で手を組んで闘えというのじやないので、他にいろいろな方法がある、張手がいけないということになればほかの手をだんだん考えて足くせでもうまくかけて又それぞれに有利な闘いをするということを私は考えておる。私も余り学がないものですからつまらん例を申上げてお叱りを頂いて恐縮に思つておるのですけれども、どうもそういうことじやないかと思うのですがね。要するに全体との関係でお考え願いたい。こういう考え方は何も日本だけ、殊に私どもだけが創設したものじやないのでございまして、世界各国においてやつておるのでございますね、而もそういう所において特別に今御指摘のように電気需用者が非常に困難をする。こういうことはないのじやないか。電産という特殊なものをお考え下さいませんで、やはり全般の電気事業における従業員の相対の関係をお取上げ願いたいと思つております。
  23. 江田三郎

    江田三郎君 世界各国でそういうようなことになつておるというのですが、私まあ余りそのほうを知らんのですが、たまたま昨年の争議のときの衆議院における公聴会の記録を読んで見るというと、あながちそうでもないように思うのでありますが、その点一つはつきり又改めて学のあるところを教えて頂きたいと思います。(笑声)とにかくそれはともかくとして……。
  24. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私も乏しい知識で恐縮なんですが……。
  25. 江田三郎

    江田三郎君 いやいや、ちよつと待つて下さい。それはともかくとして、発電関係技術者というものが電気事業に従事する者という枠の中でほんの一握りじやないということなんですね。その点は一昨日の藤田委員説明労政局長労働大臣も肯定しておられたのです。職場の数が何千ある、平均してどれだけの従業員がおる、更に変電所がどうという数字を挙げておられて、その数字から行くと相当大きなウエイトを占めることになるわけなんです。而もそういう技術者というものは、従来の組合運動の歴史的な経過から見ても、或いは本来の職場における仕事の性格から見ても、一般事務系統諸君とは違つたものを持つているわけなんです。それらの諸君が一切の争議行為ができないということは、何にしてもこれは大きな問題になるわけなんです。そういうことを私は一つ大臣に端的にお答え願いたいのは、今私が言うそのことは、これは藤田君の質問があつたときに、あなたがたのほうでもお認めなつているのですから、それほど大きな分野における労働者が一切の争議行為ができないというような事態が起きるのに、それに対して何らの救済の必要がないのかということなんです。あなたがたは一方的にこれを抑えさえすればいいとお考えなつているのか。若し本当に健全な労働行政をやるのだということになれば、当然そこに抑える以上は救済の措置が伴わなければならんはずなんです。それについてのお考えはないのかということなんです。今日の朝日新聞を見ますというと、茨城県へ労働委員会が調査に行つた。それに随行した朝日新聞の太田記者が現地の空気を書いておりますけれども、現地で言われていることは、やはりこういうようなやり方で果してうまく行くのだろうかと、これは事業主のほうも、炭鉱関係も、或いは電気関係も、事業の管理者が同じようなことを言つているわけです。どうもこれは政治的な狙いを持つているのじやないかということを現地では強く感じたということを太田記者は書いているわけなんです。私はそういうところに、これは大臣がた大臣として議会の当り障りのない答弁をせられるという気持で我々をいい加減に操られるなら、それでよろしい。それならそれで我々は又別な形をとりましようが、併し、少くともほかの年寄の大臣や何かとは違つて、一番若くて、一番学を持つておられる、一番将来を嘱望されておられる小坂さんとしては、私はもつと良心的な答弁があるべきだと思うのですよ。
  26. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) どうも江田さんからいろいろ御忠告やらお叱りを頂くのでありますが、私どもといたしますと、今御指摘の点は第二条に関連いたしますのでございますが、「電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめる行為」というので、直接という点を特に明確に謳つておるのでありまして、私は争議というものをただその場の火花を散らすことだけに考えては少しも狭義に過ぎるのじやないかという考えを持つておるのです。やはり経営者労働者関係というものは一本勝負ではない、常にお互いが日常接触いたしておるのでございますから、その間に友愛と信頼の感情の流れないような経営というものはうまく行くはずがない、又非常にいわゆる闘い取つてもその間にいろいろ気まずい問題があとに引くというようなことでは、労働者諸君におかれても非常に気持のいい日常を送ることはできないのではないかというふうに考えておるのであります。でございまするからして、そうした世界各国においても禁止し、或いは社会通念上行わんことにきめておるような争議行為というものは、やはり御遠慮願うほうがいいのではないだろうか。併しその代り、これは政治家お互いの責任でございますけれども、やはり一方においてそうしたいろいろな反対の御批評があるにかかわらずこういうことを明確にいたしまするのに便乗して、何か非常に経営者側が不当な圧迫というか、攻勢を加えるということは、これは我々お互い政治家として十分矯めなければならんというふうに考えております。ただどうもそこに今御指摘のような政治的狙いというお話がございましたが、これは私ども決して尊敬する江田さんに対していい加減なことを言うつもりはございませんが、これはないのでございます。とにかく昨年の争議経験に鑑みて、国民がこれはいかんと、こう言つておる気持に応えておるつもりであるだけでありまして、私どもとしてはそういうふうな考えは毛頭持つておらないということを端的率直に申上げておきます
  27. 中川以良

    委員長中川以良君) よろしうございますか。
  28. 小松正雄

    ○小松正雄君 関連して……この石炭電気に関しまするストを禁止しまする法案が出されるに当りまして、同僚議員より終始本会議から今日に至るまで、やつてはならない、やられることについてはどうかということがしばしば繰返されて参つたのでありまするので、私はそれらに関して多くを御質問申上げようとは考えませんが、道徳的に、只今江田同僚より申されましたように、小坂大臣が就任せられてから以来、労働者としては非常に心強い良い親を持つたというような考えを持つており、又そういうことが考えられておりまするときに、いい加減な御答弁をなさつていないということを率直に只今大臣は申されましたが、私もさように考えるものであります。そこで労働大臣にお願いを申上げたいと思う。というのは、労働者は少くとも労働大臣は自分の親であるというような考えを持つておると思う。さすれば、大臣もやはり少くとも労働者の親であり兄であるということを考えてもらいたいと思うのであります。そういう意味合いから考えまするときに、この法案に対しては、昨年の労働者側スト余りにも行過ぎではなかつたか、行過ぎであつたためにこういう問題が起り、又輿論からもそうすべきだということを要求せられておる最中にこの小坂大臣が就任せられたと、かように仮定いたしまするならば、少くとも今日までの間に常にしばしば織込まれておりまする社会通念であり、又その労働者が責任を果すためにやつたスト行為は確かに悪かつというような意味合いにすでに戻りつつある、成熟しておるというように考えられるということがしばしば織込まれてあると思います。そういう観点から考えまするときに、親であるあなたがそこまで認められることでありまするならば、この法案は暫らく引つ込めると申しまするか、どうしてもせなくてはならないということに相成るように思うとあなたが考えられるならば、これは出さなくちやいかんでしようが、そういうふうにお考えになりまするときにおいては、如何に自由党の政策であり、或いは大手の炭鉱或いは電気会社からそういうことをやれということを強く大臣に申入れられるといたしましても、真の大臣であり親でありまするならば、この際これが通過いたしましても三カ年くらいだと、こういう無意識なことに大臣が釣り込まれずに、労働者の味方になる必要もありませんが、労働者の親であるために、これは一方的ではないかという考え方がつくことは、さつき申しまするように、その子供である労働者はすでにもう悪かつたと思つておるのだと、だから今後起らないのだと、こう自分は認定しますから、この法案は今出す必要はない。出して通つて見たところで、三カ年くらいです。その三カ年の間には、子供の精神も変るだろうという考え方であるならば、もうその時期は通り過ぎておるということを一言ここに申上げたい。それは私も小さな炭鉱を三、四やつておるものであります。昨年のストによつてどういう影響労働者に対して起つて来たかということの一例を申上げますると、ストをやつたために鉄道その他の輸送が止まる、いろいろな問題からここに需要家のほうで石炭というものを当てにしておつたならば、こういうストが再び起る場合に、どうしてもこの需要をやめなければならない、こういう観点から重油に切替えられたのが、通産大臣質問の際に御答弁になつたのには、本年切替えられておるやつというものは、およそ五百万トンに達しておる。五百万トンというものはそういうスト影響によつて業者がそういうものに切替えた。切替えたために石炭が要らないようになつた。要らないことになるだけ石炭に従事する従業員その他も非常に圧迫を加えられておる。こういうことから考えて絶対こういうことはもうすべきものでない、かように炭鉱のほうの労働者考えておるわけです。而も大手においては特にでありまして、大手はこれを以てするにおいては何かの形によつて馘首する。馘首された労務者はその他の炭鉱に従来しようとしても雇つてくれない。こういうことからして非常にここに反省しておるということはそれは率直に認めておる。そういう意味合いから考えますときに、大臣はこの法案は親の気持、兄の気持、要するに日本の労働大臣として少くともこの法案に対しては事業者である私がかように申上げることを率直にお認めになるといたしまするならば、少くともこの自由党の議員の方にいたしましても、或いは無所属から出られておる議員の方にいたしましても、この法案は必ずいいものではない、そんなこまいところまでこだわらずに引つこめておけるという方が多いと考えますからして、大臣はその気持になられて、この法案は暫らく見送るということにして頂きたいということをお願い申上げます。
  29. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 小松さんの非常に尊い御経験からするところの御意見を私も傾聴いたしました。ただこの法案につきましては、従来から繰返して申上げておりますことでありまするが、昨年の経験に鑑みて立案せられまして、この前の国会において衆議院を通過し、本院において御審議を願つている間に解散になりました。政府といたしましては、これを如何にすべきかということについて種々考えたのでございます。小松さん御指摘のような点も勿論非常に考えたのでございますけれども、やはりどうもこういうことをすべきでないというふうに申される方もあるのでございますけれども、一部にはこれは非常に正当で、これはやはりやるべきものであるというような考えを依然として持つておられる方もございまして、やはり現実の必要上こういうものを規定しておくほうがいいのではないかという御議論が国会内にも多いようでございましたので、私どもとしても院議を尊重するという立場からこの法案を出して来たわけでございまして、衆議院においても種々御議論の上通過しておりますので、お気持は非常によくわかるような気もいたしますのでございますけれども、私どもといたしましては、この法案を御審議願つて速かに御可決を頂きたい。こういうように思う次第でございます。
  30. 小松正雄

    ○小松正雄君 そうなると、いろいろ又申上げたいような気がするのでありまするが、このスト禁止法案によつて、そういつたものを禁止しようという考え方にあるものがあつて、例えば衆議院は通過した、参議院においては衆議院が通過したから参議院も通過させなくてはならないということはないと思う。そこで私どもの申上げることをよく大臣が御認識なさるならば、これは引つこめられないということはないと思う。ということは、人は疑えば限りがないと思う。例えばあなたが政務次官のなさつておることを信頼しておるからそうであると御承認なさるけれども、例えば代つて小松があなたの下で政務次官としてあるとするならば、あなたは信頼せないということに相成る。そういうことになれば、やはり一方的に私のなすことは決していいとは考えられないでしよう。そこで又あなたは、どうしてもこの労働者側が再びこういうストをやるのだ、やるであろう。こういうふうに疑われておるからして、そういうふうな理念が起つて来ると思う。これを捨ててしまう。あなたが社会通念で捨てるということを考えるならば、すでにこれはもう退けてしまわれたら安心が行くと思う。安心が行けはこの法案は要らん。三年間取つておこうというようなつまらない法案に対して、あなたがお力瘤を入れられるということは、非常に私は遺憾に堪えないわけです。そこでもう疑うということを退けられればそれで済むということ、もう一つ進んで、どうしてもこうしても、俺らはこんなに成熟し、心から国民に対して相済まないという気持を以てやつて行こうとするこの労働者に対して、大部分がそういうふうに考えられて、三年間のうちには立派なものになるだろう、だからこれを作つておいて抑えつけてやろうと、こういうふうに来るならば、例えばゴムてまりでも踏みつけ踏みつけしておると、踏み外したらあれは弾み過ぎて自分の頭よりも上に跳び上る。こういうことをお考えなさつて下さるならば、本当に私は労組、労働者或いは資本家というものが相提携して真に行けると私は思う。この産業をどうしても充実させ、日本の復興を一日も早くなさらなければならないということについては労働者つてわかつておる。  そこで又進んで一つ話を附加えて申上げますが、このストというものが御承知の通り起るというのは、資本家が労働者を抑えるという気持があることが一番これは労使協調の念に欠けておる。あなたも先ほど言われましたように、友愛と信愛ということが欠けておつたためにこのストというものは起るのであります。そこで労務者に対して資本側のほうが友愛、信愛というものを持つて温かい気持を持つて迎えてさえ行けば、決してそういうものは起らない。私は小さい炭鉱をやり続けて参りましたが、決してそういうことは起らない。中小炭鉱については起らない。それは常に信愛、友愛、親子のような気持で以て助け合つて、終戦前から終戦後も石炭労務者が抑え付けられて来た辛い体験を持つておりますから、そういう意味合いから特に終戦後は協力し合うという気持でやつて来たから何も起らない。大手のほうでこれが起るということは、今申しましたように、そういう信愛、友愛が欠けておる会社だからそういうふうになるかも知れません、大手あたりはですね……。併し会社の収益というものを大臣はお調べになつたことがありますか。例えば電気会社の一年間の所得、又炭鉱大手の所得、これらがどういうふうになつておられますか。赤字ですか、黒字ですか、お調べになつたことがありますか。どういうことですか。
  31. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私も現在はいたしておりませんが、代議士になつて参ります前はちつぽけな会社を経営しておりました。小松さんのお話はよくわかりますが、私も実は、私の会社でもストライキというものは起きたことはございません。やはり友愛と信愛の感が貫いておりますればそういうことはないという気持すらいたします。又規模が小さいから外部から働きかけがないということもあるのではないか。大きな、今御指摘のような大会社の場合は非常に複雑多岐な組織の上に立つために、そうした気持の流れ方が少い。そこでいろいろ外部からの接触面も多くなつて来るので、なかなかそういう点は御苦労のことがあるかとも考えておりますが、どうか一つ人間同士のやることでありますから、余り矯激な方法を用いないで問題を解決するといういい慣習、慣例ができますようなことが、私は望ましいと思つております。最後の御指摘の点でございます炭鉱等につきましても、電気会社等につきましても、いろいろ内容等についても聞かないこともございませんが、むしろこれは通産省のほうが所管でございますから、私が知つたかぶりを申上げることは差控えたいと思つております。
  32. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで一言加えて話にかかつたのですから……。大手、或いは電気会社というものも、これは先般の同僚の質問の中にもありますが、電気会社が九分割されたことが一つの原因ということも言えることはできると思います。というのは、これが九分割されたために、その会社の所得をより以上どういうふうに持つて行くかというような、そこにそういう考え方が変つただけで行われたという意味において、労働者に対する圧迫が加わつたというようなことも考えられるのでありますが、なおストでありますが、そういつた関係において大手炭鉱或いは電気会社というものは相当の収入を見ておるわけです。而も電力というものになりますと、これは会社といつたつて、自分のいいように或る程度の主張をする。電気料金を上げるとか、何とか、政府もそれに対する施策はありますが、折角儲けたものを、この公共のために必要である税金として納めるということは、当然それは会社としても考えられることでありましようが、自分の子や弟であるそれらの筋肉労働者の生活をするための要求を容れずして、ただそういうことに持つて行くということが私はどうか、平たい言葉で申しまするならば、儲けたものは税金に納めなければならないということを考えた場合には、少くとも自分の弟である、子である従業員の要求は、或る程度これは容れられると思う。ところが、友愛ある信頼心が出て来れば私はでき得ると思う。そういうことをなさらなかつたことの原因が、こういうストというものに現われて来た。現われて来たことについて、あなたがおつしやつたように労使の力と力の押合いであるのであつて、それがやるときは思わず知らずやつてのけたけれども、昨年の争議行為のあとというものは、全く国民一人々々から、この組合に対する非難というものを考え、又自分というものの立場を考えた場合には、悪かつたということがはつきり向うで認識せられて来たのでありますからして、大臣といたしましては、是非とも先国会で示されました自由党の厚生大臣が、或る問題に対しまして、どうしてもそうすべきだ、国民の一人である限りはそうすべきであるという観点に立つて、閣僚会議の責を負つてここにやめられたことこそ、この人こそ真の大臣として私は心から崇拝しておる。国民全体が崇拝しておるのであります。さすれば名大臣として折紙をつけられている小坂大臣こそ、そういう気がまえになつて、これはあなたの力によつて、大きい気持によつて労働大臣、親として労働者のために、これを一つ撤回するように、閣議にかけてでも御奔走願いたいということを加えてお願い申上げておきます。
  33. 江田三郎

    江田三郎君 今第二条のほうの問題をやつているときに小松さんのほうから一条のほうの話が出て来たわけですが、第二条の問題いろいろ問題がありますが、一向に的確な率直な答えが頂けないので、非常に遺憾に思うのですが、二条と三条との関係ですね、これについても我々非常に疑問を持つもので、とにかく公共福祉ということを第一条で謳つてある。そうして公共福祉の擁護ということは、これは重ねて申しますように電気がとまるということが、一般公共福祉とは一番関係があるということ、電気がとまる、石炭がとまる、そうして運輸機関がとまる、ガスがとまる、そういうことを大臣説明の中にも強く言つておられるわけなんであります。ところが若し電気がとまるということが大変なら、ガスがとまるということ、石炭がとまるということも大変なんです。そのことは同じウエイトを以て説明されているわけであります。ところが第二条には、電気の正常な供給が停止するということなんです。第三条の場合には、保安業務の正常な運営を停廃するということは問題であつても、石炭の正常な供給がとまるということは一向問題にならないわけなんです。だから保安業務はなしつつも、依然として石炭の供給がとまつて来れは、ガスがとまることもあるし、交通機関がとまることもあるし、いろいろ公共福祉ということは問題になつて来る。そういう点において私はこの法案というものは、極めて首尾一貫せざるものだと思う。ただ発電関係技術者だけが一番不当な扱いを受けるわけであります。あえて不当と申すわけであります。なぜならば、それは判例を見てもあなたがたがお認めなつているように、やつて悪いということはないのでありますけれども、そうすると結局あなたがたがよく出して来られる公益事業令関係を見ても、三十九条の特定の使用者に対して不当な差別的取扱をするものではない、法律と反することになつてしまう。そうでないのなら、当然これに対して保護立法がなければならんはずであります。大臣は先国会において議決されたから院議を尊重するのだ。そういうことをおつしやいますが、前国会は解散された国会であります。解散なれば問題は新らしくなつているわけであります。ただ大臣なつたから、今までの引継ぎでやつておられるということなんでして、そこに私は本当に小坂さんの持前というものは一つも出ておらんと思うのであります。この法案が通過すれば、これはやはり小坂立法になるわけであります。丁度タフト・ハートレー法とかマツカラン法あたりが一方に記念碑ができて、そうして片方に記念碑に落書をされつつ、今世界の物笑いになろうとするような、そういうような方向へ持つて行くことになりはしないかと思うのであります。それを私は小坂氏のためにむしろ惜しむのであります。一体二条と三条とは均衡を得ているのですか、或いはそういうような発電関係技術者の扱いというものは、公益事業令の第三十九条との関係はどうなるのですか。
  34. 中西實

    政府委員中西實君) 二条と三条との均衡の問題でございますが、私争議は、先ほどもちよつと政務次官が触れられたのでありますが、双方に打撃を与えて、そうして主張の不一致のところを、それを自己に有利に解決すべくやるのが争議であります。そこで石炭関係は、双方の犠牲において、とにかく片方石炭を掘らない、それによつて業者も非常に損害を受ける、それから又労働者のほうは賃金をもらえない、双方の犠牲によつてやりまして、まさに争議行為であります。併しながらそれが長期に亘りまして昨年のように或いはガスに影響がある、或いは鉄道に影響があるということになりますれば、これは緊急調整でやる、従つて石炭の採炭をしないというこの争議、これはまさに正当なものとして認められていいのではないか。そのこと自体で何の第三者はちつとも迷惑をこうむらない、ただ……。
  35. 江田三郎

    江田三郎君 こうむらないのなら何も問題はない。
  36. 中西實

    政府委員中西實君) それは保安放棄ということになりますれば、これは資源擁護の立場からも、或いは又おのれの帰るべき職場をなくするというような結果を招来する争議でありまして、これは公益企業の建前からやつちやいけない、これは従来からもやつちやいけない、そのことを明確にしたわけなんです。  それから二条についてのお話でございまするが、先ほど大臣も言われましたように正常な行為、直接に障害を生ずる行為従つて間接のものは許されるわけでありまして、専門家のかたが考えられますれば、間接の行為は相当考えられるのではなかろうか。而も電気争議はこれは双方の犠牲というよりは、常に専ら第三者、一般無事の大衆に影響が及ぶ。これは公益の建前から争議行為として許さるべきものじやない。又一般社会通念からしましても争議は双方の犠牲においてやるならわかる。併し、何のことはない、罪もない第三者、我々が、当人同士の喧嘩のとばつちりを受けるのはこれは困るというのが通念ではなかろうかと思いまして、従つて電気停電その他供給を直接阻害するような行為、それから採炭をしないという行為はこれはまさに内容が違う。それからなお電気争議は従来の実績から見ましても誠にこの手段として強烈でありまして、これに対して施すすべがないわけであります。結局強引にあれが続けばもう一方的に常に組合の言うことを聞かなければならないという結果になるわけであります。これはまさに対等とは申せないのであります。電気争議は従来におきましても実績上やはり優先的に労働委員会、殊に全国的なものでは中労委におきまして斡旋調停によつて十分に合理的に解決ができるのであります。当然今度の措置はあつて然るべきものだ。更に第二条におきまして今度ははつきりと事業主においてもノック・アウトはできないということに、これは見方によれば新たな制限ではないかというふうに考えております。
  37. 藤田進

    藤田進君 ちよつと関連して……。
  38. 中川以良

    委員長中川以良君) 江田君よろしうございますか、関連ですね。
  39. 藤田進

    藤田進君 ずうつと体系的にお尋ねしたいと思つていたのですが、時間がないので非常に残念で、又労働委員会で委員外発言なり何なりでいたしたいと思いますので、現段階におきましては関連した事項について特に確かめて見たいと思います。お答え頂きます前にどうも過般の土曜日以来ここに三回に亘つてつておりますけれども、そのときどきの御答弁が非常に大きく食い違いを生じておりまして、いずれが真なりやということについてもこの際確かめておきたいと思います。更に御答弁を聞きますと、今かような立法をするかどうかについて本委員会としては特に通産行政との関連においてお尋ねをしたいという意図で進めておりますにかかわらず、極めて抽象的であつて立法論として、或いは労働法一般の法律論として、或いは法社会学としての見地からの御答弁は全然ないのですね。この法は解釈法であるということを建前にされておるわけでありますが、そうであるならば既存のいわゆる実定法の面から、先ず憲法からこうだ、労働法からはこう、それからこれに実体はこうというふうにやはり御答弁なりませんと、私は少くとも何ら御答弁が成るほどというものがないのです。たとえて申上げますと、丁度政務次官もおいでになりますので、今労政局長も御答弁になり、しばしば御答弁になつておるが、私の受けた印象では今この規制法の必要性についてのその要因を検索いたしますと、第一には公共福祉、而してこの事柄が既存のいわゆる実定法の解釈法であつて、新らしく制約するものではない。更にその理由を細かく聞くと、争議行為なるものは、両者対等の損害を受けて当事者の主張を貫徹する手段である、だが電気に関する限り両当事者ともその被害は極めて僅少であるにかかわらず、第三者への影響が大きい、だからこういう解釈が必要なんだ、こういうふうに言われているわけですね。更に片手落ちではないかということにつきましては、片手落ちではない。なぜなら公益事業令、これがあるではないか。或いは又電源ストなるものを許していたならば何でもおよそ組合側の主張が通つて経営者は対等の手段がないかのごとき御説明もあつたのですね。こういうふうに一応集約できたと思います。  そこで私がお尋ねしたいのは、もう少し劈頭申上げましたように論理立つたものが欲しいのです。今日の賃金の問題を取上げましても、その賃金は労働の対価であるとか、或いは労働の価値説であるとかいろいろ説はあります。又労使関係についても確かに身分関係であるとか或いは契約の関係であるとかという説はありますけれども、併しそのいずれの説をとつて仮に百尺竿頭一歩を譲つていずれの説を採用するとしてもこのスト規制法に当てはめて見てすつきりした論理が通るかということを私は伺つておるので、これを一つ通して見てもらいたいと思うのです。解釈法の立場からなお附則の三年なんというのは、三年たてばそのときの議会がきめなければこれは無効になるわけですからね。解釈そのものも無効になることは当然ですね。これは法体系として何らか過去にこういう事例があるならば、これは別です。こういう点を先ず筋を通してもらいたいと思つているのです。そこで若干私が指摘して問題点を申上げて見たいと思うのです。  今までの質問に関連いたしまして先ず片平落ちだという点についての御答弁、この御答弁について私は若干の指摘をして明確にして頂きたいと思います。先ず両当事者において極めて損害が僅少である、それにかかわらず第三者への被害が大きい、こういう点でこれをとめる。これは私の意見をつけて御回答頂くとするならば、その思想というものはもはやこの電気産業なるものが、私的資本私企業、利潤動機の私企業ということではいけないということを意味しているのです。今日国鉄或いはその他の公共企業或いは国営、いろいろなものがありますけれども、こういう論理の上に立つならばこれはやはり一つの筋としては私は通ると思います。今日の法社会においても通ると思います。日本の……併し労働争議の一方の憲法が保障しているところの、これは極めて強い保障ですね。ギャランティと言われている、これが訳されて保障というふうになつたと私は当時の論争の中から把握いたしております。極めて強い保障ですね。このものを制約する場合においては今のような非常にその現象が、よつて来たるべき現象が公共福祉影響があると称して、そうして制約をする、こういうことでもはやその論理の中においては私的資本、利潤動機の産業ということ、これ自体がすでに根本的矛盾を考えなければならないものだと思うのです。同時に争議行為そのものにつきましても、最早公共福祉というものについてもつと具体的な裏付けがなければならんと思うのであります。なぜならば、今の論を採用するといたしましても、両当事者について被害がないということを若し皆さんがこれを理由にされるならば、手段としては、殊に経営者に対しても、もつと深刻な被害を与えるところの手段電源ストにあると思います。これをとつていないのが悪いんだという裏面解釈にもなります。それはあります。その大きな被害がないようにするために、善良なる技術者として非常な苦心を払つて、仮に電源ストをいたしましても、あの十二月に入つてつたときも、山奥で発電所或いは変電地点というものは標高も高いし、非常な寒さです。併し附近のたきぎ、薪を集めてでも、夜発電所の附近で火を焚いて暖をとりながら、若し発電所が、あの音が平常の音と変つてやしないかと電源の職場放棄をしていても、所長なり、非組合員の動員によつて発電機は殆んど廻されていたのですね。併し不慣れの人がやつて行くのだから、若し発電機に或いは異常があつては困るということで、これは当時の経営者にも聞いて御覧なさい。意が違つてはしないだろうか、油を注ぐあのバルブが開いていないのじやないだろうかと思つて覗いて見ると、確かにバルブが開いていない。そのバルブが開いていないと非常に過熱になりますよということを注意してやつている。それは争議の中において常識として考えられないと思われるでしようが、併し技術者という者は、これは炭鉱の労働者も同じだと思いますけれども、殊にその機械なり職場には執着を持つているのですね。併しそのことが被害がない。非常に決定的な被害なり、相対的な被害、損害というものが経営者にないのだからということになればこれは解決つくと思います。はつきりと重大な損害が経営者に与えられることはたくさん残されている。それを今までやつていないのが悪いんだ、ということにこれはなると思います。更に経営者自身の従来の実績による被害の問題に関しましても、要するに電源ストなるものは、或いは変電所ストライキなるものはこれは生産が一部とまる、生産が低下するというストライキですね。この生産が低下するということを禁止して、つまり生産が全然影響がない、生産はどんどん続けられているところのるストライキは許す、こういうことになるわけですね。電気事業において発電が流される、その電気が正常に供給されるということは生産に何らの影響もないということなんです。生産に影響はない。生産どんどん続けている。一キロワット当り幾らで売つているこの販売というものは、この商売というものは継続されている。それ以外のストライキと、こういうことになるわけですね。ですからこれを逆に申上げると、ストライキにおいて生産が低下する、何%か生産がとまるということになれば、その生産に対して設備というものは依然あるわけですから、この固定資産なり、流動資産に対する生産、この生産がとまるということはその生産に対する原価、或いはこの市場価格ですね、そのものを失つて行くことになるわけですから当然生産者である電気事業者にとつては被害がないのではないか。それが非常に僅少だとすれば、その生産に対する、生産の価値に対する対価、つまりそのプライスというものは政府の統制によつて抑えられていること自体がおかしいのです。それはその生産に対する対価が固定資産なり流動資産、その設備に対する、或いは技術に対する対価というものは非常に過小に抑えられているならば、それは確かに相対的な立場において生産がとまつても、さして経営者には被害がない、損害がないと言い得るでしようけれども、これが適正な価格がここに存在するならば、それはやはり生産がとまつただけでかなりの損害があるわけです。又労働者側について申上げても、数字も無論はつきりしているわけですが、争議中の賃金、ノー・ワーク・ノー・ぺーというこの原則をと称して例外なく、電気技術者と言わず、事務系の人と言わず、そのノー・ワーク・ノー・ぺーの扱いを受けているわけですから、これは大変なやはり一般の誰に、何人に比較して見ても、この労働者労働者、労働団体の被害というものは大きい、一人当りのですね……。その又被害が少いと言われるならばそれこそ労働の価値に対する、或いは一歩譲つて労働の対価でもよろしい、これに対して、過重な技術に対して、対価に対して非常に低いものであるということがまあ言えるわけです。そういうことをずうつと詮索いたしますというと、更に事実現象といたしましても、電気産業について第三者への迷惑、これを高度に主張するならば、先ほど申上げた企業経営形態そのものから論じなければなりませんが、そこまで論じないと比較論をここで申上げて見ても、私の言うのはこの規制法を他に産業に及ぼせというのではございません。そういうものではございませんが、政府の論法を借りて見ましても、第三者への直接的な被害、こういつた公共福祉、こういうことを際限なく非常に公共福祉の極致、憲法十二条に言われておりますけれども、これを発動して調和を図らせなければならない。こういうことであるならば私は少くとも電気産業について言えば、非常に広汎な、私ども従来この電産スト、炭労ストについていろいろ研究を進めて来た範囲において申上げましても、今まで余り私の研究の結果を公表したこともありませんが、これはやはり要確保電力といいますが、電気産業でいいますと、これはどうしても確保しなければ治安の面、或いは何ですね、運輸交通、通信、或いは医療、こういつた全般的に見て管理者、電気事業者、この管理責任者、供給責任者が如何に操作しようと思つても、つまり大口の需要家、それにはいろいろあるでしよう、平和産業もあるでしよう、いろいろあるでしようが、いずれにしてもとめ得る、制限し得る限度を越えてどうしてもこれを交通を、而も広汎に全国的にとめなければならん。又病院もこれは広汎にとめて行かなければならん。延いては通信もとまつてしまう。或いは又炭鉱、鉱山における保安電力すらも確保できない。自家発自身を動員いたしましてもなお不足を来たす。こういうことが現実にやはり場合によつてはあり得ると思うのです。そういつたようなことですね。治安その他にもそういうたもろもろのことについてもはや管理者といたしましても操作のしようがないというようなこと、これは確かに一般の公共福祉に対して重大な影響を及ぼす、こういうふうに考えていいものだと、而もそのようなストライキは未だなされていない。全体の二〇%、当初一〇%、一五%、それも四時間或いは八時間、そうして或いは二五%程度でありまして、全体の大口は七〇%を擁している。小口は全国平均は約三割、七対三、東京電力管内だけ考えて見ても、一般は二六%、二割六分程度のものである。一般がやはり需用の面、その需用構成を考えましたときに、今ほど言つたような曾つての実績、特に昨年の実績がこの論拠になつているようでありますけれども、この実績を考えて見ますというと、決して公共福祉といつたようなものではなしに、やはり善良な管理者として電力の制限、こういつたところのその手許において十分公共福祉というものは保障されるべきものが、殊に東京電力に関する限り、ほかではそういうことがなかつた。東京電力に関する限り、それは又政治都市であるこの東京を控えていて経営者の日経連のこれはやはり当時の政策であつた。一般の中小企業、一般の電燈をとめることによつて世論の反撃をストライキ側に転嫁しよう。それにはただそれだけではいけないから、多数のビラを作り一時的ないわゆるカンパニアの団体を作つて反対という世論を巻き起して行くというもろもろの作用がなされて来たというふうに考えるわけですね。このように考えて来ますと公共福祉ということだけを捉えて見ても、先ほど来御答弁になりましたものには何らの論拠もないし、論理的な御答弁もないというふうに考えるわけです。従いまして両当事者の被害の僅少と、第三者の過大なる損害ということについてはもつと論理的なものがなくては、ただ勘でストライキがあるのとないのとどちらがよいかと言えばストライキがないほうがよいというのは誰しも我々国会にいるものもそうだし、又関係当事者自身もストライキはしたくないということはこれはもう当然です。同時に電気がとまることととまらないほうとどちらがいいかと言えば誰だつて電気はとまらないほうがいいということはわかり切つております。これはやはりこの労使対等の原則、この労使対等の契約関係、バーゲン、こういつたことを論じているこの労働法の建前からいいますと、決して今までの御答弁というものはその論理が一貫して、誰しもとは言いませんが納得させるものが何らないように思うわけです。  そうして次に第二の点を指摘して明確にして頂きたいと思います点は、労働法自体に、通産委員会と直接関係のない点については又改めて労働委員会でやるといたしまして、委員諸公も、さていずれが真なりやということについては恐らく関心を持たれている委員についても御判断に苦しんでおられるのではないかと思います。それは電気技術者、このスト規制法第二条並びに第三条、特に第二条だけに間口を狭めて申上げて見たいと思いますが、この電気技術者について、これは必ずしも電産という団体が固定的なものではありませんし、これはA・B・Cいろいろな組合ができるし、現在いろいろな組合かできて参つております。ですから発電所労働者、こういう労働者については何にも争議手段はないのだというふうに答弁されました。何にもなくなります。これは労政局長もはつきり言われたことと思います。さてだんだん質問いたしますというと昨日でしたか、労働大臣最後に、それを私たちも言葉を返して明確にいたしませんでしたが、いやそれは発電所においても水路の修理だとかその他ですね、こういつたようなものについてストライキということはできるし、そうなりますと結局生産が低下する。つまり電気が低下するというふうに表現された。電気が低下する。だからこのことはやはり経営者にとつては大きな圧力になる。こう言われているのであります。それから又曾つての御答弁は齋藤事務次官も交えて言われたことは、大臣も確認されたことは、これはいろいろあとで訂正されております。これは訂正というかあとで言われたことは、無論ここで申上げて結構です。それはこの直接電燈、電力、これが正常な状態、停廃しない、これは無論渇水停電ということは無論あつていいと思います。いずれにしても皆さんの言われる通りに解釈しても、この電気ストライキのために、ストライキという手段のためにとまつたり或いはサイクル、電圧が降下したりというようなことがあつてはならないと同時に、もう一つは正常な業務運営がなされていなければならない、会社の業務命令の系統もすつきりして運営がなされて行かなければならないと思う。こういうふうに言われたと思います。言葉尻を捉えるのでも何でもありません、非常に大切なところですから……。ところがだんだん昨日来又若干その内容が変つて参りまして、最も新らしい事実としては、労政局長答弁によりますと、たしか第二条に書いてあります通り、「直接」という言葉が書いてあるので、間接は論じていない。これは私は労働大臣が如何なる審議過程に答弁されていても裁判では大臣がこう言つたからといつて出しましても大した価値は実はないのです。正直なところ……。実は有利なやつを今公判で電産がやつておるようですが、大臣が言つたつて大した価値はないということで検事のほうは対抗しております。価値のあるなしは別としまして、一応審議する以上は明確にしておきたいと思うのでありますけれども、いずれにしてもこの第二条を読んで見ると、「電気の正常な供給」と、正常な運営というものはないのですね。「正常な供給」、これを停止する行為、もう一つは直接その他というのですからこれはまああとではつきりさせなければならない問題が非常に包蔵されておりますけれども、これはまあ一応関連質問ですからよしますが、正常なる供給と直接障害というふうになつている以上は、勿論先ほど答えられた間接的なもの、よつて来たるべきものですね、これはいろいろな事例があります。私はこの法案が通つても合法的に電気がとまるストライキは幾らでもあるのではないだろうかと思う。それは非常に五月雨的な深刻なものになつて、又もう一つ法案、法律ということで到々しまいには電気事業なんというものはストライキそのものをやつてはいかんということにしないと、ストライキはできるけれども間接だといつた方法では到底これは、今までの私の記憶では三回目の法改正だと思いますが、これは決してとめようがないほど複雑なんですね。法律を守るために電気がとまるというのが現状ですね。法律を守つていないために電気が送られているのです、実際においては……。これは通産局でもよく御承知だと思うのです。法律を守つていたら電気なんというものは瞬間々々に送つたりとまつたりするのが実際ですからできないのだが、それは大目に見て運用して行くというのが、今度は法律を四角四面に取つて行かなければならないから法律通りやらなければなりませんね。そこで今の間接というようなことは当然今御答弁になりましたように問題ではない。法文そのものを、後日裁判になりますと、無論これに遡つて憲法論が、裁判所で違憲立法かどうかということが恐らく当該団体から提出されると思いますけれども、いずれにしても今までの答弁では、間接であろうが業務運営が会社の業務命令系統を通じて行われていなければならない。且つ電気がとまつてはならないということであつたものが、今度はそれは別なんだ。だから手段は残されているというふうに実は先ほど言われておりますので、実に背反した内容の答弁になつておりますので、この点を先ずはつきりして頂きたい。  第三の点、関連いたしまして、かような電気事業に関する争議手段行為規制というものは、あに、我が国のみならんや、それはやはり他の国でもあるというふうに労働大臣は言われております。私はやはりいろいろな資料も取りましたし、最終的には実は国会図書館がすでに調べておられるものは全部私が頂いて調べて見ました。特に最近又改めて調べて見ましたが、我が国のごとく電気産業そのものが私企業で利潤動機に委ねられていて、単に統制、コントロールと言えば先ず先ず料金、これは認可制、あとの業務運営については成るほど諸般の電気関係法規はありますけれども、これは実際上運営の面で骨抜きになつてしまつて公益事業令五十五条ですか、融通命令でもそうですね、それから資本の所在とか、経営形態ということだけでなしに、その他の法律論としては、その国のいわゆる憲法、労働法、或いはアメリカなどでは又別の労使関係法いろいろ複雑なようですが、あらゆるこういつた条件の下においてこのスト規制をこのような形で行なつているという国は私の研究ではどこにも見当りません。それは戦前のワイマール憲法とか、いわゆるナチスドイツ、イタリーにおきましては憲法で保障した下においてやはり大きなコントロールをしてしまつた実例はあります。併し少くともこの第二次世界大戦後の事情を見ますると、その事例は私には見当りませんので、具体的にどこの国がどういう状態で我が国と全く類似した状態にあるか、こういうものを民主主義の国だと称される国について少くともILOなどの条約を批准し、批准せんとしているような国柄について一つお答え願いたいと思います。  それから第四の点ですが、これで終りたいと思います。たくさんありますけれども関連ですから……。過去の実績、少くとも昨年だけの実績についてお願いをしたいと思うのですが、このスト規制法を出すことによつて、およそ労使対等の原理、これは維持できるんだと、言い換えれば、このスト規制法がないその状態におきましては労使関係バランスがとれない。それは労働者、労働団体が極めて優位な地位に立つ、労使関係においてですね。こういうふうに御答弁なつたと思うのです。お言葉は、今のこのままで行けば、電源ストなどを許しておるならば、経営者組合の言うことを何でも聞かなきやならなくなつてしまつて、非常に力関係が云々というふうに労政局長は先ほど言われたと思います。然らば、これは大きな労使対等の原則を認められておる建前で無論言われておると思いますが、そうしますと、今の労働法そのものの原理も今私どもの主張しておる原理に立脚しておると解されますけれども、その労使対等の原則が、過去のあの電源ストがあつたために、非常に経営者が公正なる解決点を踏み外して、不公正な、労働者側にとつて極めて社会通念上も、或いは日本の全産業労働者の水準その他から見ても、こういう比較論から見ても、やはり非常な優位なポジションにあつたということについて指摘して頂きたいと思います。いろいろスト規制法の説明の中に、終戦以来絶対権力であるところの司令部、GHQ労働課、或いはこういつた別の権力があつて、大事に至らないままに解決されて来ていたが、今度そういつた事情の下にない場合に、昨年のようにその歯止めがない、だから云々ということも言及されていたと思います。ところが従来の実例は、ストライキをお前たちやめよと、こういうことでは全然なかつた。それは二・一スト、いいですか、二・一ストについては確かにあのときに命令が出たと思います。よろしゆうございますね。併し労使関係の問題として、ここに固有の電産、炭労について問題になつておりますので、この間におきましては、これは当時労働大臣、これは常々、鈴木正文労働大臣以後、増田さん、或いは保利さんでしたか、或いは吉武さんというふうに、電産、それから電気の会社、そうしてそれぞれ時の労働大臣、或いは局長さんというふうに、三者一緒になつたり、或いに別々になつたりして、司令部のお言葉を得て来たやに聞いておるし、私も実は見ておりますが、その間におきましては、お前たちストライキをやめろというのではなかつたのです。実例があつたら、これも出して頂きたい。そうではなしに、かかる紛争議がこれ以上深刻になるとお前たちのストライキがというのではなしに、その紛争議が両当事者において、その間においていずれをとやかくというのではないが、深刻になることは、アメリカからいろんな援助をしておる矢先、アメリカの援助は国内の輿論としてできなくなるぞとか、いろんな理由を言われまして、よつて会社は調停案はかくかくであろうけれどもこれだけ出せと、その代り組合はこれを呑めと、昭和二十六年の、エーミスさんが中労委に夜明かしをされて、出さんもいろいろな事情があつていろんな場面がありましたが、これは省略いたしますが、いずれにしてもそういう形で、むしろこのスト規制済のこの形でストライキというのではなしに、大体当時の第三国人、占領当局が見ても、これはやはりこの程度で解決しなければならんということで、経営者ではもはや自主性も何もないというので、やはり時の通産大臣が出たりいろいろいたしまして、合理的な安定点をそこに求めて来ておると思うのです。それがむしろ今までの論法と逆に、昨年の場合には、これは電産におきましても、炭労の団体におかれましても、そういうものがなくなつて経営者の力ずくということで、炭労においてはノルマの増大というような形、電産におきましては非常に広汎深刻な既得権の剥奪という形で現われて、勤務時間の延長、家族給の支給範囲の非常に広汎な縮小、或いは社会保険その他の負担の増大、或いは又その他数え上げますというと、相当な費目に亘つて結果的に見ても十二月十八日に厖大に既得権を譲つておると思うのです。当時二〇%になんなんとする一般のペース改訂、公労法の従業員その他に対して二〇%のベース改訂があつたにかかわらず、ベース改訂はさようになくて、一方において非常に条件を譲るというような恰好になつて来て、あの電源ストがあれほど行われていた際も、一般輿論というものは、ときの争議罪悪論というか、争議そのものがやはり悪いのだと、ストライキをやつておる側の労働者が悪いのだという、むしろ日本の民主主義の遅れておる現象から、非常に不利な立場に立つてつた。経営というよりも、比較的労働団体が輿論の前には非常な不利な状態になつておる。だからこそ……(小林英三君「議事進行」と述ぶ)発言中です。発言をとめられるなら……。
  40. 中川以良

    委員長中川以良君) 藤田ちよつと御注意申上げますが、小林君から議事進行に関して発言を求められております。これを許可いたします。
  41. 小林英三

    ○小林英三君 ほかにも質問者がありますから、大体十二時までに上げるというのですから、藤田君は一つできるだけ要点だけの質問にして頂いて、何か公聴会でも聞いておるような気がしますから、委員長から注意して頂きたい。
  42. 藤田進

    藤田進君 これを言わなければ、あなたはときどきしかお見えにならないのでおわかりにならんでしようが、全然食い違つておるのですよ。その食い違いをいい加減なことで、私はただ発言さえすればよいという無責任な発言をしておりませんので、はつきり答弁を得たいと思いますので……。
  43. 中川以良

    委員長中川以良君) 極めて熱心な御発言中でございまするが、先般のお申合せのごとく、十二時にこの質疑は打切ることになつておりますので、もう十三分しかございませんので、他に御発言のかたもあるかのごとく承わつておりまするので、どうぞその辺を御考慮頂きまして一つお譲りを頂きますようにお願いをいたします。(海野三朗君「委員長、もう少し時間は延ばされないのですか」と述ぶ)それはこの前打合せをしておりますから……、どうぞ藤田君から御発言を願います。
  44. 藤田進

    藤田進君 そこでこの電源ストという手段を失わしめることによつて、丁度労使均衡の立場が維持できるのだとおつしやる。それは曾つての事例からも非常に経営者が一方的に不利な状態に押し込まれたという御表現もございましたが、これらの事象についてその裏付けとなる点を引用しながらこういう事情だという形で御答弁を願いたいと思うのです。このことは将来も予想して御答弁頂きたいと思つております。  以上の点について、それぞれ労働大臣のほうからやはりまとまつた一貫した集約的な御答弁として私は頂きたいと思いますので、どうかそのお気持で私はここに特にお願いをして御答弁を求めるものであります。
  45. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 非常に従来の御経験からする詳しい御質問でございましたが、要点は四つに絞つてお答え申上げます。  第一は、私企業にするか、私企業としておいてこういう公益性の強いという原則を表面に打出して来るならば、むしろこれは公企業にすべきではないかというお話でございましたが、これは主として産業政策全般からの問題でございまして、私の所管とは違いまするが、今の内閣の方針といたしまして、できるだけこの私企業的な形態において尊重せられると見られる個人のインシヤテイブ、創意工夫というものを活撥にして行こうと、そういうことが電源開発のごときものに対しても非常にいいのではないかと、こういう考え方というものが貫かれておるものと存じておるのであります。従つて電気事業についてはそうした私企業の原則の中にある長所と見られる、活撥に事業を運営し、活撥に建設をし、そうして少しでも多く国民のために必要な電気エネルギーを増強するということを主眼といたして行く方式がとられるものと考えております。併し公益性の強いものでありまするから公益事業令によつてこれを規制する、こういう建前をとつておる次第でございます。  第二の点に対しましては普通の争議でございますると、生産がとまりましてもこれは或る程度ストックがあるのが通例でありまして、そのストックを適当に操作し、食い潰す期間があるということによつて、公衆に対しましてはそれほどの直接的な衝撃を与えることは少いのでありまするが、電気の場合には全く生産が即消費である。社会にはストックというものは電気の場合にはないと見るのが通例だと思います。ダム式の発電所があるがどうかという御議論があるかも知れませんが、我が国の場合においては御承知のごとくダム式によるものは今後大いに研究しようという段階でありまして、やはり電気の場合生産がとまれば瞬時にして消費に響いて来るという点があるのであつて、この点公衆が停電スト電源ストということによつて、直接的に又瞬時的にこうむる損害というものが多い。こういうことが特徴である、こういうふうに考えるのであります。  なお第三点につきましては、直接に障害を生ぜしめるという点でありますが、この直接ということについて私が先般申上げた或いは水路の掃除であるとか、或いは排水溝の補修であるとか、或いは電線碍子の補修、そうしたものがどうかということでございましたが、あのときは速記録を見て頂けば明瞭と思いますけれども、私は争議行為に直結してこのお話をしたのではないのでございまして、要するに争議というものは合理的な解決であるとは思われないのでありますけれども経営者労働者関係というものはこれは永続して行くものである。だから争議のときに争議手段がないからといつてふだんそのために非常な発電所の意気が上らないということで以て、修理の補修も十分でないということになれば、結局出力の減少を来たしますから、管理者は善良な管理者の注意を以て云々ということにならないのではないか、こういう趣旨を申上げたのでございますが、そのことと関連しての話でございましたから、私の申した意味はそういうことで御了承願いたいのですが、その法文の「直接」ということは、直接に障害を生ぜしめることができないというのですから、裏面解釈としては、間接のものはできるということが言えると思います。併しこれはどういう場合が間接かというと、個々の場合々々において、その事例々々において客観的に直接であるか、間接であるかということが認識せられる、個々の場合によるほかない、こう思うのでございます。  それから第四点は、外国の立法例その他でございますが、これは一つ労政局長からお答えいたさせます。
  46. 中西實

    政府委員中西實君) 外国の立法例でございますが、電気事業につきまして、例えばイギリスにおきましては、一八七五年の共謀犯及び財産保護法、これは当初ガス、水道について規定しておりましたが、その後これに電気を入れまして、刑罰を以て禁止いたしております。それから西ドイツにおきましても、刑法によつて禁止しておると聞いております。そのほかアメリカ各州、或いは南米その他の立法例も見たのでありまするが、いずれも調停、或いは任意仲裁というものを最高度に活用いたしまして、問題の解決をいたしておるようでございます。  併しこの労使の関係といいますものは、これは言うまでもなく各国歴史が違い、或いはその気風といいますか、すべてそれぞれ特殊事情を持つておりますので、その特殊事情に応じてそれぞれの立法、或いはその他の行政措置も講じられなければならないというふうに考えます。  なお最後に、対等の原則についてどうかという問題でございますが、この点について、実は今度のこの法制措置によつて初めて対等の原則ができたという表現を、一昨日そういうふうにとられるように表現をしたかと思いますが、この点は誤解も生じますので、当初に江田委員の御質問に対しまして訂正をいたしましたが、対等の問題につきましては、これはやはり結局その国国のこういつた公益性の強い事業につきましては、労働組合の事情、労使間の慣行、いろいろの点から考えまして、やはり考慮されるべきかと思うのでありまして、結局私どもといたしましては、現在の日本の状況からいたしまして、この法的措置によりましても、対等の原則は保たれるというふうに言わざるを得ないのであります。この法律措置によつて、公益の必要は勿論、労使共にやはり妥当な労働関係が打ち立つて行くのじやないかというふうに考えておる次第でございます。
  47. 海野三朗

    ○海野三朗君 いろいろこの法案について数万言を要せられましたが、ストライキは働く者の生存権の擁護であつて、これは憲法認められておることであります。それも公益事業、公衆の利益のためにという論法でありまするが、これはその公衆の利益のために基本的人権を侵害してまでも通さなければならないのであるか。又過日からも公聴会の話を聞きますというと、あらゆる学者が口を揃えてこれには不賛成の意を表しておるのであります。それを労働大臣は縷々数万言を要してこれを説明しておられますけれども、私はこの学者の説と申し、又基本的人権を侵してまでもこの公衆の利益のためにと言うてこれを通さなければならないのか。私はそれがどうも納得が行かないのでありまするが、労働大臣としては憲法のあれをお考えになつて公益事業はつまりどの辺まで基本的人権を侵害しても差支えないとお考えなつていらつしやるのでありましようか、それをお伺いしたいと思います。
  48. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 衆議院におきまして、この法案を審議しておりまする際に、公聴会において労働法に関係する諸学者が種々御意見の御開陳をせられたのでありますが、これにつきまして、いろいろその専門的な立場から言われた言説があつたのでありまするが、昨年に行われましたあの二大争議が、あれをよかつたということを言われたかたは一人もなかつたと思います。ただ労働法を預かる学者として自分の学問的立場から種々の見解の開陳がありましたことは、その通りでありますが、政府といたしましては、国民全般の生活、経済の状態、或いはその利便等についての責任を持つ立場でございまするので、あの際における苦い経験に鑑みて、只今御審議を頂いておりまするような法案の内容にあるその争議方法というものは、これは一つ憲法二十八条の問題もございまするが、これに対しては十二条、十三条の公益に反しない点、又公益のために基本的人権というものは用いられなければならんという規定がございますので、争議権と公益との調和を図りたい。そのことが必要であると、こういう考えである次第であります。
  49. 海野三朗

    ○海野三朗君 昨年の二大ストは、あれは結構であると私は申上げたのではありません。強制的な仲裁方法又この緊急調整の法があるのにもかかわらず、遷延しておりましたところの責任はどこにあるのでございましようか。
  50. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 海野さん御承知のように、緊急調整というものは本来やつてよろしい争議が行われまして、それが非常に長期且つ規模広大なるがために、国民生活に非常に現実に被害を与える、或いは国民経済を破壊する虞れが現実にある。そうした現実の緊急事態があると認められるときに発動されるものでございます。併し私ども申しておりますのは、この争議方法というものは、社会通念上不当である、或いは非である、不当であるものをここに確認し、非であるものをここに明確化する、こういう趣旨でございます。政府としましては、やはり正当なる争議というものはできるだけ政府が介入しない。労使双方がその主張を互いに述べ合つて、そこに調和を図る、妥結に至るというよき良識と慣行が成熟されるように期待をいたしておる次第でございます。
  51. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと御発言中でございますが、まだたくさんございますか。所定の時間が来ておりますので、そのつもりで御発言を願います。
  52. 海野三朗

    ○海野三朗君 その長引きましたのは緊急調整という方法もあるにもかかわらずやらないで、ずるずる長引かせた責任はどこにあるかということを私が今お伺いしておるのでございます。それではお答えがずれております。
  53. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 政府としましては、あの二大争議性格並びに規模にも鑑みまして、労働大臣としてしばしば関係者を招致して事態の円満且つ早期の解決を図るように忠告をしておつたのでございます。併しなかなか御承知のように解決しない。一方その石炭の出炭量も非常に減少いたしておりまして、鉄道の運行状態も終戦直後の状態になるのではないか。我々が駅で二時間も三時間も待たれて、そうして立つ場もないようなあの混乱の汽車に乗るようなあの状態になるのではないか。家庭のガスもとまつてしまう。こういうような状態になつたので、これではいけないということで緊急調整の発動を炭鉱の場合には見たのであります。電気の場合につきましてもその準備は、これではというのでいたしたのでございまするが、その解決のきざしも見えておつたので、その発動を差控えておりましたところ、やはりこれは解決を見た、こういう状態であります。
  54. 海野三朗

    ○海野三朗君 その強制調停なり、緊急調整なりが、発動すれば、その問題は解決するのではありませんか。
  55. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 緊急調整は御承知のように五十日間争議を停止すると、こういうことなんであります。五十日後には又どうなるかわからないのでございます。そこで私どもといたしましては先ず緊急調整というものを出す場合には非常に現実に困つた状態が起きなければこれが発動しない。併し現実に起るというのは非常に国民生活なり、日本経済というものが脅やかされる。そこでそうした現実のことを見なければならないのが一つと、それから発動したあとでも、五十日後に又問題が解決せんということになれば争議の継続が当然にあるのでございます。そこで只今こうしたような、今御審議を頂いておりまするような内容のものにつきましては、これは一ついわゆる争議の範を越えているのだ、こういうことを明確にしておきますほうが、やはり争議をしておりまする際には、当事者双方におきましては多少昂奮状態になつて来る場合も考えられますので、昂奮の余り範を越えて、非常に国民に迷惑を及ぼすならば、ここに一つこれは立入り禁止という札を掲げておいたほうが親切ではないかというような気もしておる次第でございます。
  56. 海野三朗

    ○海野三朗君 只今のお答え、私が伺つておる質問と又ずれておりますので、どうも私はぴんと行かないのでありまするが、昨年長引いたとおつしやる。それは私は長引かせない方法ちやんとあるのではないか。それをなぜやらないのかということを伺つている。ところが今のお答えではそんなに大して差迫つた損害でなかつたかのごとく今お話であります。それなら何もそこまで持つて行く必要がないのじやないか。あたかもそうしておいて、政府が介在してない、そういうことには介在していないということをこの前も労働大臣が言われましたが、介入しなくても、今度の法案を出すというのはまるで赤子が寐ておるのを、寐首をかくようなこの法案を出されまして、考えるとちよつと常識的に考えられないのです。学を志す真理を探究するところの学者が口を揃えて悪法であるということを言つておるのに、それに対してこれをどうしても通さなければならん、数の上で政府が与党と共にこれを飽くまでも通しなさるのはそれは御勝手でありますけれども、私は後日にその悔を残すことなきやを疑うのであります。本当に労働大臣も胸に手を当てて、良心に誓つて考えになる必要があるのではないか。単に皆様の、この公衆の利益のためにと言つて労働者の生存権に関するものこれを縛らんとするところの法律憲法に違反しておるのであつて、私は本当に虚心坦懐にお考えになつて頂かなければならないのではないかと、こういうふうに私は思うのでありますが、如何なものでございましようか。それを端的におつしやつて頂きたい。学者が何と言つてもこれを通すのだ、そういうお考えであるか。学者に耳を傾けないのであるか。私はこの学者が言うところのものに耳を傾けないことは国家の一大事を誤まるものである。曾つての齋藤隆夫かあの戦争のときに、ただ一人戦争に反対したではありませんか。そのときに国会が、あらゆる議員がこの齋藤隆天を除名したのであります。ところがその後どうでございましようか。齋藤隆夫の言うあの説が正しかつた。私は字音の主張する事柄は一笑に附するがごとき態度で、これをぎりぎり押し通しなさる労働大臣としては、私は悔を他日に残すことなきやを疑うのでありまするが、本当の偽わらざるお考えを、縷々数千言を拝聴する必要はありません。学者が何と言つても、これは通すのだ、そういうことでありますか。憲法に違反しても数を頼んで押し通すのであるということの率直な、私はあなたの口からこれを伺いたい。
  57. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 労働組合を赤子にたとえられたのでございますが、私は今日の労働組合はもはや赤子ではないと、こう思つております。むしろこの間の問題にいたしましても、六尺豊かな偉丈夫、張手の名手である。この張手でやられてはとてもかなわんから、一つ張手だけは御遠慮願いたい。こういうような気持なんでございます。この学者の意見に耳を傾けるという御説は誠に傾聴いたします。私も学者を尊重いたします。併しあの際に出られた学者は学者のほんの一部ではなかつたと思います。他にもそうでない御意見の学者は多くおられます。そこでこれをどうするかということでございますが、私は提案理由の説明にもございますように、十分御審議を願いまして、速かに可決せられんことをお願いいたしておる次第でございます。併し御審議は国会においてなされることでございますから、国会の皆様において御決定をなされると、こういうことであろうかと思うのであります。
  58. 中川以良

    委員長中川以良君) なおいろいろ御議論もあるようでございますが……。
  59. 小林英三

    ○小林英三君 ちよつと一分ばかり……何ですか、電気産業のような労組というのは、これは大体日本で現在どのくらいありまして、そのうちこの規制法にかからないような、いわゆる現場でないような労働組合員はどのくらいいるのでしようか。
  60. 中西實

    政府委員中西實君) ちよつと正確な数字はあれでございますが、大体この労働組合員となり得るところが十三万程度であります。そのうち現場で一応今度こういつた電気の正常な供給を停止する行為、或いは直接に障害を生ぜしめるような所に従事しておりますのが大体二〇%程度というふうに考えております。
  61. 小林英三

    ○小林英三君 もう一つ、そうするとどうなんですか。あとの八〇%の人というのは、従来の電産争議におきましては、いわゆる事務ストだとか、或いは集金ストだとかいうことだけはやつて来たわけですか、八〇%の人が。
  62. 中西實

    政府委員中西實君) 大体そういうことでございます。
  63. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると二〇%の現場ストに対して、つまり今の、先ほどからいろいろの議論が出ておりますいわゆる規制法によつて争議権を取られるのじやないか、取られるのだ、いろいろ議論が出ておるのは、その二〇%だけの問題でございますね。
  64. 中西實

    政府委員中西實君) 大体そういうことでございまして、昨年の争議を通じまして、争議中は賃金の支払がございませんので、差引きまして大体三億程度でございます。そのうちいわゆる現場関係、電源関係、これが二千二百万円、あとは大体これ以外でございます。
  65. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると、二〇%という労働者諸君が、この規制法によつて云々する、而もそれは大臣や立案者の間におきまして、これをやつたということは、全然二〇%の人たちの争議ができないという議論が闘わされているというわけですね。
  66. 中川以良

    委員長中川以良君) いろいろ御議論も……。
  67. 江田三郎

    江田三郎君 今のに関連して……。
  68. 中川以良

    委員長中川以良君) じや、一つ簡単に願います。
  69. 江田三郎

    江田三郎君 今の労政局長数字ですね。これは何を根拠にして言われておるのですか。私はもう一遍ちよつと質問しておきますが、そうすると、二〇%前後だということならば、電気産業労働者の中の二〇%を引いたあとの八〇%前後の者はこの規制を受けないと見て、どういう行動をしてもいいということを逆に言えるわけですね。それでいいですね。それをはつきりして頂きたい。
  70. 中西實

    政府委員中西實君) 只今の数字は大体我々専門でございませんので、通産省の関係で一応出してもらつておるものでございます。それで過去の実績を見ましても、大体一割ぐらいの人員で、二〇%程度の電源、停電ストでございますね。これができるというようなことで、過去におきましても、今申しました二〇%前後の、その中の極くもう一部のかたがやつておられるという状態でございます。
  71. 江田三郎

    江田三郎君 だから私の言う、あなたが言われるのは、二〇%の中の更に一部分の人がここに言われる規制を受ける、争議行為に該当せられることだということですか。今の電気労働者の中の八〇%、あなたの後段の話で行くと、もつとたくさん、九〇%になるけれども、それらの人々は今まで通り争議行為をやつて行くということになるわけですから、そう解釈していいですね。
  72. 中西實

    政府委員中西實君) そういうことになります。それから二〇%前後のうちで、直接争議行為をするもの、これができない、こういうことであります。
  73. 中川以良

    委員長中川以良君) いろいろ御議論もございますようでございますが、先般のお打合せの趣旨に基きまして、本法律案に対する質疑はこれを以て打切りといたします。一時半まで休憩をいたします。    午後零時十四分休憩    ―――――・―――――    午後一時五十九分開会
  74. 中川以良

    委員長中川以良君) 休憩前に引続き再開いたします。  先ず商工会議所法案を議題に供します。最初に提案者の提案理由を伺います。
  75. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 商工会議所法案の提案理由を御説明申上げます。  そもそも我が国の商工会議所は、明治中期の商業会議所条令以来、商業会議所法、商工会議所法及び商工経済会法とそれぞれ時勢の進運に伴い根拠法規に若干の変遷はありましたが、この間約六十年の長きに亘り経済の改善発達を図るための地域的総合団体として公法人的性格を与えられ、又、現実にも我が国経済の発展に寄与するところが少くなかつたのであります。然るに、戦後は、占領下において民法による社団法人として全面的な改編を余儀なくされそのまま今日に及んでいるのでありますが、その間の経験に鑑みますに、単なる民法上の社団法人としてでは、現存する四百有余の商工会議所がその本来の使命を十分に達成することは甚だしく困難であると考えられるのであります。従いまして、この際一は、商工会議所の地域的総合経済団体としての特性を完全に発揮するため、一は、商工会議所を国際的視野において健全化しその国際的声望を高めるため、商工会議所を特殊法人化し、その実質的な強化を図る必要がありますので、ここにこの法案を提案するに至つた次第であります。  次にこの法案の概要を御説明申上げます。  第一に、商工会議所の設立認可の要件を法定し、その事業を実施するために必要な経済的基礎、施設及び役職員を有することを認可の基準とすることにしました。  第二に、商工会議所の組織の簡素強力化を困るため、会員総会の代りに公平な手続によつて設置される議員総会を以て最高の意志決定機関とすると共に軽微な事項については常議員会の決議による道を開くことといたしました。  第三に、現在の商工会議所の事業は、現行法の下においては、事業者団体法の関係で、相当に制限されていますが、それではその機能を十分に果し得ないので、商工会議所の地区内の商工業者に関する法定台帳の作成等をなし得ることとし、その事業の範囲を拡大いたしました。  第四に、商工会業所の公共性に鑑み、その財政的基礎を強化するため登録税、所得税、法人税、地方税の全部又は一部について非課税の法人とする措置を講じました。なお、商工業者法定台帳の作成、管理、運用に要する経費は、その台帳の被登録者から納付せられた負担金を以て当て得ることといたしました。  終りに、現存する商工会議所について必要な経過規定を設け、昭和三十年三月三十一日までに組織変更をし通商産業大臣の認可を受けてこの法律に基く商工会議所となることができるようにいたしました。  これを要するに、この法案は、商工会議所が商工業の振興上果している重要使命に鑑み、商工会議所を特殊法人としその実質的強化を図るため、現行の商工会議所法を全面的に改正しようとするものでありまして、これにより、必ずや商工会議所は強化され、我が国経済の健全な発達に著しく寄与するものとなることを確信しております。  以上がこの法案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことを切望する次第であります。
  76. 中川以良

    委員長中川以良君) 本日は提案理由の説明は聴取いたしまするにとどめまして、一応この審議は打切りたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと存じます。  何か資料の御要求がございましたらこの際お申出を頂きます。
  78. 小林英三

    ○小林英三君 現行法とこの新らしく出る商工会議所法案との間の改正点の比較対照表なんか無論あるのでございますね。
  79. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 用意いたします。
  80. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは、それ一つ至急お願いいたします。   ―――――――――――――
  81. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは次に中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  先ず提案者より提案理由の説明を聴取いたします。
  82. 中崎敏

    衆議院議員(中崎敏君) 只今議題と相成りました中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。  本改正案の眼目は一言にして申上げれば、信用協同組合の員外預金に関する点であります。  そもそもこの問題は中小企業等協同組合法発足当時、同法の第七十六条第二項の規定に存していたのでありますが、その後信用金庫法の成立により同条の規定が削除せられ、今日に至つたのであります。  然るに、この条項の削除に対しては、全国中小商工業者の、各種団体において当時より猛烈な反対があり、その後機会あるごとにこの点の復活が熱心に唱導せられて参つた次第であります。元来、協同組合組合員相互の扶助を目的とするものであるが、今日の中小商工業者の経済的逼迫の状勢に鑑み、組合の財政的基礎を強固にし、ますますその対外信用度を高め、以て社会福祉に貢献しなければならない使命を有するものであります。殊に、特定地域内における地域的人的結合を利用し、広く資金を外界に求め、相互扶助の精神をますます高揚しなければならないのであります。  一方この員外預金の排除は、その反面夥しい闇金融資本を蔟出し、その結果弱体商工業は日に日に蝕ばまれてゆく状況であり、これは社会問題としても看過しがたい重要な事実であります。善意の大衆の預金を保護し、併せて協同組合の信用度を高めるためにもこの員外預金の規定は従前に戻し、以て全国中小商工業者の渇望に応えるべきものと確信いたすものであります。  以上が本改正案の提案趣旨並びに理由であります。何とぞ慎重審議の上、速かに御可決あらんことを御願いいたす次第であります。
  83. 中川以良

    委員長中川以良君) 何か資料の御要求がございましたら、お申出を頂きます。ございませんか。  本法律案の審議も本日は一応これで打切りたいと存じますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。   ―――――――――――――
  85. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは次に木材防腐特別措置法案につきまして、先ず提案者より提案理由の説明を聴取いたします。
  86. 首藤新八

    衆議院議員(首藤新八君) 只今議題となりました木材防腐特別措置法案の提案理由を御説明申上げます。  先ず我が国の木材需給に関する現状を見まするに、昨年昭和二十七年度においては、需要量の合計約一億石に対して、一方供給量は、森林法による伐採許容量六千七百七十万石、輸入によるもの二百二十万石、その他森林法制限外の高樹令木材伐採によるもの等を合せても、なお総供給量は約九千三百万石に過ぎません。従つて昨年度における供給不足量は、約七百万石、即ち総需要量の一割に近い数に上るのであります。而もこの供給不足の傾向は、治林、治水の面だけから考えましても、逐年激化の一途を辿るべき必然の趨勢にあることは申すまでもありません。  かような木材需給の不均衡を調整するため、政府におきましては、先年来「木材需給対策要綱」を策定いたしまして、未開発資源の開発による供給量の増加を図ること、濶葉樹をパルプ材として活用すること、木材の防腐加工を奨励すること、など一連の施策による消費の節約と需給の調整に努力いたしておるのであります。なかんずく木材の防腐措置については、昨二十七年度において、約百六十万石の実績を挙げておるのであります。併しながら行政措置だけではおのずから限界があります。これ以上更に多くを期待することは到底不可能であります。よつて政府は先の第十五国会において、これに対する法的措置を講ぜんとして、木材防腐特別措置法案を立案いたしたのであります。併しながら、その内容を仔細に検討いたしますると、むしろ議員立法といたすほうが妥当であると考えられまするため、今回私どもが提案者として本国会に提案いたすことと相成つた次第であります。  次に本法案の内容でありますが、鉄道及び軌道の枕木その他特定の用途に供する木材は、省令の定める方法によつて、防腐措置を施さなければならない、というのがその骨子であります。併しながら、種々適用困難な場合も予想せられまするため、これらに対する除外規定を設けておるのであります。又需要者の中には、所要資金の調達が困難な向もあるかと考えられまするため、かような者に対しては、政府において、融資の斡旋をいたすことに相成つております。  次に本法実施の効果について申上げまするが、本法案適用の対象となるものは、現在において、約百万石に上るのでありますが、これらの木材は防腐措置のためその耐久力が約三倍に増強せられるものと考えます。  以上本法律案の提案理由並びにその内容等の概要を申上げました。何とぞ慎重御審議の上速かに御賛同下さらんことを切望いたす次第であります。  なおこの機会にお願いしておきたいと思いまするのは、会期切迫の今日、かような提案をいたしますることは非常に恐縮に存ずるのでありまするが、法案の内容も極めて簡単であります。同時に又この提案は共産党を除く各党共同提案になつておりまするので、何とぞ会期末までに御審議御可決頂きますることを切にお願い申上げる次第であります。
  87. 中川以良

    委員長中川以良君) 資料の御要求はございませんか……、別にございませんか。  それでは本法律案も本日はこの程度で審議を終ることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように決定をいたします。   ―――――――――――――
  89. 中川以良

    委員長中川以良君) 中小企業金融公庫法案を議題といたします。  本日質疑に入りまする前に、一応私から一言申上げたいと存じます。  本日の公報によりますると、衆議院では本日の本会議にこれが議題として載せられております。伝えられるところによりますると、公庫の資本金を三十億円増額いたすよう委員会で修正をされております。  なお附帯決議が附いております。これは只今お手許に印刷いたしましてお配りをいたしております。  なお先般の参考人は、中小企業団体並びに中小企業関係の金融機関が七名出席をされました。その各参考人の意見を要約いたして申しまするならば、先ず第一点は、法案の趣旨に対しましては、いずれも全部が賛成をいたしております。それから第三点は法案の修正を希望いたしておる向といたしましては、次のようなことがそれぞれ述べられております。  一つは資本金が不足であるからもつとその資本金を増額せよということ、それから融資限度を一千万円ではなく、これを小さくするという意見、併しながらこの半面、その要はないという意見もございました。それから調整組合に対しましては、五千万円まで引上げようとする意見が述べられました。それから貸付対象を商業サービス業については従業員五十人くらいまで認めてもいいではないかという意見でございます。それから余裕金は中小金融機関にも預託ができるようにその途を開くべきであるという意見が出ております。  更に商工中金に昨年の十二月貸付けた二十億円を公庫に肩代りをいたしまするのは少くとも二年以内でなく五年以内くらいに延期をしていいではないかという意見が述べられております。それから次に法案そのものではございませんが、運用の面でいろいろ希望の意見が出ております。その主なるものを申上げますると、協同組合が阻害をされないように十分に注意をしてもらいたい。それから中小企業の中でも比較的大きな方面にのみ貸付が偏しないように零細なるものにも十分この恩典が浴し得られるようにしてもらいたいという意見。それから業務の委任をする金融機関を選択をいたしまする場合には、真に必要とする方面に流れるように十分なる注意を頂きたい。更に成るべく三年から五年というような長期の方面に重点を置いて融資をしてもらいたいという意見でありました。更に金利が一割でございますが、これよりももつと低くしろという意見であります。それから金融機関が自分の不良貸をこの公庫の貸付に肩代りをしないようにこれは十分注意をすべきである。更に民間業界の代表者を多数この金融公庫に入れて運営委員会を作つて運営に民間の意見が反映をするように考慮をしてもらいたいという意見、それから更に将来の問題といたしまして、今後毎年本公庫の資本金を増額するように政府において措置を講ずべきであるという意見の開陳がございました。  只今より質疑に入りますに当りまして念のため今までの経過につきましてその要点をここに申上げる次第でございます。  なお最初に私はちよつと中小企業庁にお尋ねをいたしたいのでありまするが、只今大蔵委員会に付託になつておりまする酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を見ますると、この中に中小企業金融公庫法を修正をいたすような案が書かれております。而してこの法案は衆議院の本会議をすでに上つておりまするので、これは只今審議をしようとする本公庫法案と密接不可分なる関係がございまするので、この間のいきさつはどういうふうになつておるのか、この点先ず企業庁よりご説明を願いたいと思うのであります。
  90. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 酒税につきましての組合は、私どもの中小企業にこれに翻訳して申上げますと、丁度調整組合とほぼ同じような性質の組合ではないかと思うのでございます。従来酒類の製造又は販売に関しまする業界におきまして作つておりました協同組合は、すべて中小企業等協同組合法による事業協同組合であつたのでございまするけれども、酒につきましては御承知の通り非常に多額の酒税のいわば転嫁の機関であるというようなところからいたしまして、これが単なる中小企業等協同組合法に基く組織では足りないというので、この組織化をやや強く法制化したものが只今委員長よりお話のございました酒類についての組合でございます。この組合を中小企業金融公庫の貸付対象たる中小企業者として選ぶか否かにつきましては、私ども事務的にはいろいろ論議を重ねたのでございまするけれども、大体性格におきましては、或いは酒類製造業者の販売を調節し、或いは酒類の製造業者の造石数を制限し、或いは価格の維持を図るといつたような点におきまして私どもの中小企業安定法に基きまする調整組合とほぼ同一の性格でございまするので、これはこれに取入れることが必要であると考えたのでございまするが、まだ当時酒類についての組合が成立いたし得まするや否やは専ら同法律の定むるところでございまするので、それを中小企業金融公庫の貸付対象にいたしまする立法措置はそちらの法律のほうでやつて頂くということに事務的な折衝をいたしました結果、中小企業金融公庫法の対象で、法の中に謳い込みませず酒類についての税法の改正でこれが入つて参る、こういうことに相成つた次第であります。
  91. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今のお話はよくわかるんでございますけれども只今中小企業金融公庫法案はまだ衆議院を通過をしないのでありまするが、然るにかかわらず、この酒類の関係法律案が先にこういうふうに出て参つたのちよつと誠におかしな工合ではないかと思うのでございますが、その点どうでございましようか。
  92. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 国会におきましての審議の足並みと申しまするか、進行状況ということで政府といたしましては、すべて国会末期までにほぼ歩調を合せまして成立を期するという意図であつたのでございまするが、その間審議の不規則と申しまするか足並みのやや揃いませんでした点は、これは私どもといたしましても余儀ないことではございまするけれども、誠に残念なことだと思つております。
  93. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと皆様にお諮りを申上げたいのでありまするが、今の御説明のように、酒類のほうの法律案が先に上りました関係上、中小企業協同組合の、公庫法案のほうはまだ上つておらないのにかかわらず、この公庫法案をいじるような法律がここに上つておりますので、これは大蔵委員会が只今参議院では審議をしておりまするので、公庫法案が少しも参議院を上るまでは大蔵委員会においてこの酒類の関係いたしまする法律案は上げないように一応申入をいたしたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは委員長においてさように取計らうことにいたします。  どうぞ御質疑をお願いいたします。
  95. 小林英三

    ○小林英三君 速記をとめてもらつてもいいのですが、先ほど委員長は、何か衆議院の附帯決議の問題についていろいろ御説明しおられましたが、我々がここに頂戴しておりますのと大分内容が違つておりますが、どうなんですか。このプリントと大分……。
  96. 中川以良

    委員長中川以良君) 先ほど私が申上げましたのは、この委員会の審議の経過を申上げたわけです。その附帯決議は印刷物で差上げておるというふうに申上げたわけです。この御説明はしてないわけです、附帯決議の。
  97. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると今おつしやつたのは……。
  98. 中川以良

    委員長中川以良君) 参考人を呼んで聞きましたね。あの参考人の意見をまとめたものを一応御質疑の御参考に申上げたわけです。
  99. 小林英三

    ○小林英三君 ああそうですが、わかりました。
  100. 中川以良

    委員長中川以良君) それではどうぞ御質疑をお願いします。
  101. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 先ほど委員長からもお話があつたようでありまするが、この法律ができまして、そうして中小企業の金融を各金融機関に代行させることに相成るのでございまするが、その際に今までの不良貸をややもいたしまするとこちらにいわゆる肩代りをするというような傾向はこれはいつもあり勝ちなことであると私は考えております。今までこういう問題は非常にたくさんあつた事例で、信用保証協会等におきましては困つたことがあるのであります。その防止策とでもいいますか、そういうことに対して何か特別なお考えがありますならお伺いしたいと思います。
  102. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 代理金融機関が自己の滞り貸し等をこの金融公庫の貸付に乗り替えて参るということを警戒せよとの御意見は衆議院における御審議でも非常に論議されたことでございます。特に私の承知いたしておりまする限りでは、附帯決議でも特にこの点を御注意下すつておるように伺つております。もとより我々といたしましても特に注意せねばならんことでございまするが、それの防止策といたしましては、先ず金融機関がその貸付を代理いたしまする場合に、専決代理と申しますか、融資の申込を受理いたしまして、その貸付を決定いたしまするまでを、みずからの意思を以て決定いたしまする場合につきましては、事後に当該金融機関と取引先との今までの取引関係、それから過去における融資の状況、それから固有資金を融通し得ない理由、又信用保険に付けて貸しておるかどうかという点を十分調査いたしますると同時に、融資期間或いは金額、融資先の業種、業態乃至はその後における貸付業務の実行後における回収の状況といつたようなものを仔細に検討いたしまして決定いたすのでございまするが、同時に公庫が貸付の業務を最終的に決定いたしまする時分には、只今申上げましたような事項につきまして仔細に検討いたしまして、焦付貸しの肩代りというようなことを避ける考えでございまするが、ただ抽象的にこう申上げましただけでは実に不十分なのでございまして、公庫には特に機構上検査役というような制度を作りまして、代理金融機関の貸付業務を個別的に検査して廻るという役柄のものを置きまして、例えばすでに焦付になつておりますものを肩代りいたしましたような場合には、当該金融機関と事後の取引をやめるとか、或いはこれの取扱方を注意するとか、或いは一旦貸しましたものの再肩代りをやらせるとか、このような個別的措置と相待ちまして、適正を期して行きたいと考えております。
  103. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 只今振興部長からお話がございましたこの検査制度を設けるということは私も誠に結構なことと考えております。是非さようにして頂きたいと思いますと同時に、とかく貸付をいたしまするまでは相当に入念に調査をいたしまするが、一旦貸付けますると、長期のものでございまするので、その間がちよつと返済が、償還が始まるまでの間多少期間がありますると、その期間に対しまして割合に貸したものに対する、まあ何といいますか、注意が行つておらないので、ややもいたしますると金があるにまかして濫費がある、というような事態がままあり勝ちなのでございますが、幸いにさような検査制度を設けるならば融資をいたしましたそのいわゆる業種に対しましてやはりその金がどういうふうに使われておるか、円滑に、これがうまく所期の目的の通りつておるかどうかというようなことに対するやはり調査をすることが、やはり事業の将来を伸ばして行くところの一つの親心となつて、非常にいいと思いますのですが、さようなこともやはり加えてやつて頂きたいということを考えておりますが、如何でしようか。
  104. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) ただ金を貸付けるだけではなくて、事後の経営の改善、或いは円滑なる経営の持続ということに十分注意せよというお話でございますが、これは特にこの公庫の設立を私ども企図いたしました当初から考えておつたことでございまして、先ず融資につきまして、私どもが中小企業のために診断制度を実施いたしておりますその診断の結果の勧告を実施いたしまするためにも、長期且つ安定いたしました資金が要る等の必要もありましたので、この公庫の設立等を思い立つた次第でございますが、同時に貸付が行われました後におきましても単に金融機関といたしまして貸した借りたの関係のみではなく、より中小企業の育成という見地から、常時診断制度等を実施いたしまして、金が十分に返ることはもとよりのこと、その金が生きて生産なり配給なりの面に使われるということにつきましての適切な指導を期して参りたいと考えておる次第でございます。
  105. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 私はこの前の委員会に、中小企業に対するいわゆる診断のことを申上げたことがございますが、一応私はそれは非常にいいことである、而もその見るべきものがあるということを申上げておいたのでありまするが、その大部分が金融という面が大きく現われておるのでありまするが、この貸付に当りましてもあの企業診断を大きくやはりそれに反映をして頂くように私は希望いたしますると同時に、一体この貸付をいたしまする調査はどういうふうな銀行を、その貸付を代行いたしまする銀行なり公庫なり或いは信用金庫なりに調査を全部委託するものであるか、或いは何かそこに貸付をいたしまするその調査をする何か委員のようなものを作る御意思でありますか、如何でしようか。
  106. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 各代理金融機関の貸付につきましては、代理金融機関がそれぞれの審査の方針に従いまして、代理金融機関それ自身での審査で決定をしてもらうことを考えておるわけでございまして、特別に委員会等を設けてこの間に立つとか、或いは勧告するとかいうようなことは考えていないのでございます。併しながら中小企業の一番必要な合理化、乃至は経営の改善ということにつきましては、これは企業合理化促進法によりまして各府県が中心になりまして「診断制度を実施いたしております。その勧告を実施するための必要な資金というようなことにつきましては金融機関に本診断制度の趣旨を十分了解を願つておきまして、金融機関の審査につきましてそれらの勧告が十分取入れつつ審査判断するような指導をして参りたいと考えております。
  107. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 それで私は大体納得はいたしておりますが、ただ零細な工業でございますが、これは代理するところの銀行とか信用金庫とか、商工中金とかというのでは零細工業の面にまで深くわかつておらない部分があるのであります。特にここにおいて零細工業に対しての融資ということを非常に強くここに掲げておるのでありますので、さような面からいたしましても何かもう少し徹底した、やはりそこに貸付をするというときの決定をするものに、まあ例えて申しますならば、県とか、或いは商工会議所、これはたとえでありますが、こういうような所にやはりその調査の何といいますか、相手方とでも申しますか、したらどうかというようなことも考えますが、如何でしようか。
  108. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 零細企業の合理化等につきましては、これは御指摘通り非常に私どもといたしましても平素苦心をいたしておるところでございます。その大体の方向といたしましては、零細企業がただ自己の力だけでやつて参ろうとしたのでは、なかなかうまく参らない。そこで同一業種に属するものが何人か集まりまして、単一企業合同体でございまする、例えば企業組合を作る等のことにいたしまして、一定の経済的単位に取りまとめて、それを中核として経営の改善、或いは融資を受ける、融資の受入機構と申しますか、態勢を整えて参るような方向に指導いたしておるのでございまするが、事実府県によりましては、只今申上げましたような企業組合の結成を行わせまして、それに府県の力の及ぶ限りの金融機関を動員して融資、或いは保証その他の制度を行なつておるところも多いのでございます。公庫出発の後におきましてもそれらの方針と表裏一体となりまして、零細企業が公庫の融資対象から取り残されないようにという考え方を以て進んで参りたいと考えております。
  109. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 くれぐれもお願い申上げますが、一応この零細工業が、この折角こういう立派な法律ができまして金融の途が開けておりましても、零細工業がその恩恵にあずからないという虞れが非常にあるようですから、その点に対して特段の御留意を願いたいと思います。
  110. 小林英三

    ○小林英三君 只今の西川君の御質問に対する答弁の中で地方のこの工場診断ですか、そういうことを信用……、この金融機関に十分認識させてそれと並行させて金融公庫の業績を挙げるようなことをちよつと聞いたが、それはどういうふうにやるのですか、具体的には。
  111. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 企業に対しましての診断は各県庁が中心となりまして専門の診断員、これは例えば技術或いは経営、経理、こういつた方面の専門家を各府県が委嘱いたしまして、業者の申請に基きまして経営上改善すべき点はどこであるかということを指摘を請うて参るわけでございます。これらを調査をいたしまして、例えば技術的に、或いは経営的に、或いは設備的にそれぞれ改善すべきことを勧告をいたすのでございます。これは単なる係官の思い付きというようなことではございませんで、例えば長年それらの業種についての経験のある経営者でございまするとか、或いは経理方面の堪能なかたがたでありまするとか、そういうような診断員が診断をするのでありまして、極めて客観性の多いものと考えるのでありますが、これらの勧告を実施いたしまする上に必要な資金は金融機関といたしましても審査の有力なる参考になるわけでありまして、融資決定の参考にこれらの診断勧告を利用して頂く、こういう趣旨でございます。
  112. 小林英三

    ○小林英三君 そうするというと、今振興部長のおつしやつたことを聞くと折角こういう法律ができて、そして最初百億なら百億、今度三十億円増資するそうですけれども、これができてそして今、先ほど西川君が御質問なつたように零細なその企業が借りたい、或いはその他の企業が借りたいというときに一々健康診断をしなければ借りられないということに考えられるのですが、そうですか。
  113. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 勿論そういう意味ではございませんで、零細企業につきましては或いは組合を結成いたしまするとか、ここで勿論融資の対象として十分なものはこれはそれぞれ金融機関の判断で貸付を行なつてもちつとも差支えないのでありますが、ただここでは融資の対象として十分でないというような場合も多いのでございまして、そのような場合には或いは組合を結成させる、乃至は零細企業でやや複雑な企業体等につきましては金融機関がただ審査等も面倒くさがつて放置しておるというようなのを只今申上げましたような、或いは商業についての診断、或いは工業についての診断成果の勧告の実施のために内容に客観性を持たせて融資をつけて参るということを申上げたのでありまして、診断がなければ貸さないという趣旨では勿論ございません。
  114. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると、今の場合についてお伺いいたしますというと、金融機関が自分みずからこの企業に対しては貸してもよろしいと判断がつく場合はよろしい。併しそうでない場合はその工場診断を金融機関が県のそういう専門家に工場診断をさせて、然る後に貸す、こういうふうなことになるわけですか。
  115. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) そういう場合もままあろうかと存じております。
  116. 小林英三

    ○小林英三君 いや、私は先ほどのあなたの御答弁によるというと、そういうふうにするように感じられるような御答弁であつたのですが、それは一つの例というのですか。
  117. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 金融機関の当該事業についての判断、認識というものが或いは調査上の不十分な点から、或いは業者の説明の不十分、いろいろな点から出て参りまして融資を受けられないという場合が相当あることを予想されるわけでございます。そのような場合には只今申上げましたような診断制度の診断の内容というようなものを十分参酌をいたしてもらう、こういうことを申上げたのでございまして、診断制度の実施の上からもこういう中小企業金融公庫の業務が診断制度の活用と申しますか、滲透と申しますか、そういう上からも十分利用されるということを申したのでありまして、診断がないものは貸さないとかいうような、きつい意味で申上げたのではございません。
  118. 小林英三

    ○小林英三君 私が聞こうと思つておりますことはそれは成るほど診断ということをやつています。各地方でやつていますけれども、それは本当に一部の問題であつて、その工場なら工場というものは如何に能率的でやつておる、業者はどうであるということはやつておるのですけれども、その工場が、その何ですか、技術の面だけでなしに、この何ですね、借金があるかないかとか、或いは工場の経営が極めて赤字になつてがたがたしおるかどうかということについてはこの工場診断をやつておらないように思うが、そういう問題に対してもやはり診断制度によつてつて行くというようなことも考えておるのですか。
  119. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 診断制度自身といたしましては、ひとり技術的な面の改善だけではございませんで、経営上例えば非常な高利の金を借りておる、こういう点の是正策の勧告といつたようなものはいたすわけでございまして、技術や機械的設備等だけではございませんで、経営の内容にも立入つて診断をいたしておるわけでございます。勿論その点は業者それ自身の申請に基くことでございますので、業界の希望がございますれば、そのところの点にまで立入つての診断をいたしております。
  120. 小林英三

    ○小林英三君 今のその、この法律によりますというと、業務を、主務大臣の認可を受けて金融機関に業務を代行、つまり委託することができるというようにあるのですが、これはこの間のあの公聴会で私が聞きましたところによりますという、銀行が何でも六十三行とか、四行とかあつて、窓口が三千六、七百あるというようなことも聞いておりましたのですが、これは銀行だけかも知れませんが、そのほかいろいろの方面の金融機関があるだろうと思うのですが、僅か百億円、初年度百億円、三十億円追加されても百三十億円、この僅かな資本金、僅かの金を、例えばこの金融公庫としては僅か五、六十人の職員しかいないのですから直接にはタッチされないそうですから、金融機関に委託されてやられるのでしようから、そういう場合に僅かな金を全国の金融機関に委託して、代行させてやるというような場合におきまして、その金融機関に配付する場合において、金融機関の希望によつてこの金をばらまくのですか、その点はどういうふうにしてやるのですか。
  121. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 金融機関の希望によつて勿論配付するということに相成るのでございますが、恐らく百三十億といつた程度の資金では金融機関の希望いたしまする額に遥かに達しませんわけでございますので、それの配分につきましてはまあ枠を作りますというほど積極的な厳格な考えを持つておらないのでございますが、大体従業の金融機関の中小企業向けの貸出の実績等を勘案いたしまして、適当な金額をそれぞれの金融機関に御利用々願うということに相成つております。
  122. 小林英三

    ○小林英三君 そうするとこれは何ですか。申込を受けておれのほうへはこれだけよこせ、私のほうへはこれだけよこせという申込を受けて、それを総裁なり、その他のこの公庫の役員が決定をするわけですか、その銀行の実績等を勘案して。
  123. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) さようでございます。
  124. 小林英三

    ○小林英三君 そうしますというと、例えば銀行そのものは従来大きな実績を持つておりましても中小企業に関する限りにおいてはおのずから銀行の持つておる実際問題としての実績は違つて来ておると思う。大企業或いは有力な企業に対してはそれは実績はありましても、或いは仮の実績はありましても中小企業という零細なものに関する限りにおきましては、おのずから違うのじやないか。或いは地方的にも違うのじやないか。中小企業がうんとまとまつておる地方におきましては銀行そのものの実績はなくても、その銀行を利用する中小企業に対する部面に対する、利用する部面はたくさんあると思う、実績は又違うと思うが、そういう問題に対する公庫を本当に有効に活用する意味におきましてどういうふうなばらまき方があると思いますか。
  125. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 各金融機関の中小企業向けの融資の実績というようなものは、或いは設備資金、或いは運転資金を含めまして大体の数字は私どもつかんでおるのでありますが、これは当初にお手許に配付いたしました資料にも明らかでございまして、その点は十分つかみ得るのでありますが、これはただ従来の貸出実績に比例して機械的に分けるということでございますると、只今お話のござまいしたように或いは地方的に非常に偏在するというような事態も生じまするので、これは衆議院における附帯決議もあつたところでございますが、業種間のアンバランス、或いは地方的な偏在というようなことのないように、又中小企業専門の金融機関でございまする商工中金でありまするとか、相互銀行、信用金庫といつたような金融機関には重点を置きましてそれの取扱を願う、こういう考え方でございます。
  126. 小林英三

    ○小林英三君 今のその従来の中小企業に対する金の要り方の、つまり統計表をお配り願つておるそうですが、私はまだ見ておりませんが、そういうものが将来非常に重要な資料になるものと考えるのですが、どういうような基礎に基いてそういう調査表ができておりますか。調査表を拝見いたしますけれども、その調査表の作り方にどういうことを基礎にしてお作りになりましたか、それをちよつと。
  127. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) これは日本銀行におきまして各金融機関に特に中小企業向け金融のやかましい世の中になりまして以来、資本金当初三百万円までの企業者に対する貸付金額、最近、この一月からは一千万円までの資本金の事業融資に対する貸付実績を仔細に調べたものでございます。いわゆる銀行につきましては、この事実によりまして、或いは長期資金、或いは短期資金、或いは設備資金等の大体流しておる実績は大体つかみ得ておるのであります。相互銀行、信用金庫、商工中金等はこれは申すまでもなく大体その全部流しておりまする金額、資金が中小企業向け融資と考えて差支えないところであります。勿論若干例外的なものはあるかと存じますけれども、大部分その貸付実績というものをそのままとりましても中小企業向けにどれだけの活動しておるかということの程度を計るに足りるのではないかと考えた次第であります。
  128. 小林英三

    ○小林英三君 私が心配しておりますのは、この従来の実績ということなんですが、この中小企業というものの多くの人たちは借り方が下手なんです。借り方が下手でありますので恐らく私は今度中小企業庁でお作りになりましたその実績表というものをまだ拝見しておりませんけれども、仮に拝見したとしても私はそういうことを心配しておるのです。従来中小企業の多く、これから本当にこういう金庫ができたならば借りたいというような人はどうも借り力が下手であるからそういうようなその統計の中に入つておらない部面が非常にたくさんあるからその点を十分考慮に入れて頂かないと、ただ日本銀行が集めた、従来の全国的の基礎に基いた統計表であるからこれでよろしいという考え方で僅か百三十億円のこの金をばらまかれるということになると、非常に地方的に誤差が起きて来る。私は、私も団体長の、或る一つの団体長をしておりますけれども、どうも私どもが接しておる面におきましては中小企業の面の人たちは借りる資格があつても借り方が下手である。ですから今までの実績には載つておらないと思いますので、今後そういうような統計表によつて、この折角できました公庫の資本金、金をばらまく上において、又地方的にも、又実質的にもよくそういうことを考慮に入れたものを使用して頂きたいということを希望いたします。  なお貸付に関する業務のなんですね、専決とか、或いは一部代理とかいう方式がありますが、その点ちよつと御説明願いたい。
  129. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 専決代理の方式と申しますのは中小企業者から金融機関が貸付の申込を受けまして、それを審査し且つ決定をいたしまして、みずから元利につきまして八割の支払を公庫に対して保証をいたす方式でございます。即ち金融機関は元利払の八割までを保証いたします代りに貸付業務全体を代行いたしまして、公庫はその決定に基いて金だけを流してやる。同時にやるという形でございます。担保その他はすべて当該金融機関がこれを保有いたしまして若し期限に元利を支払ができないというような場合には或いは担保を処分し、或いはみずから代理弁済をいたしまして、八割までにつきまして責任を持つという方式、それから一部代理と申しますの金融機関それ自身は借入の申込並びに審査をいたしまして、且つそれに意見を附して公庫のほうに書類その他を引継いで参ります、公庫はこれを審査して最終の貸すべきや貸すべからざるやを決定する方式でございます。この場合には金融機関に対しましては元利の支払、元利の三割につきましての支払保証を求めます。即ち一部代理の方式は金融機関といたしましては当該事業につきまして、その将来性その他を十分見通し得るのでございますけれども、なお三〇%程度以上に責任を持ち得ることにつきましては疑いがあるという場合でございまして、公庫みずからが貸すべきや貸すべからずるやを決定する方式でございます。
  130. 小林英三

    ○小林英三君 私は今、よくわかりましたが、私が心配いたしますのは今専決の場合です。専決の場合はもう銀行に全部任しちやう、やり方を、でそういう際に従来もよくあることでありますけれども、どうもその各市中銀行その他が実際に金融公庫の目的に逸脱するような貸し方、つまり銀行が、ちよつと考えましても信用のある、借りる資格もあるし、十分立派な企業家である、こういうものはこれに恩沢をこうむらなくてもどんどんその人の力で借りられるのですが、借りられないような人がこの恩沢に浴する、恩沢に浴するということが公庫の目的だろうと思うのですが、そういう際にどうも銀行がほかのほうに利用したがる、或いはほかのほうに利用しないまでも余り面倒くさい厄介なことはよして比較的間違いないところだけやるというようなやり力で、そういうことでなしに、銀行が厄介だと思つておるところも厄介でないところもあるのであるからそういう専決の問題のときに委託された銀行のやり方を十分に公庫が監督をしたりするような方法はどういう方法によつてやるのですか、それは。
  131. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 只今御指摘の点は金融機関がみずからの金を貸しても十分いい先へ公庫の金を殊更に貸すとか、或いは当然貸していい資格、条件を備えておるところになかなか貸さないという場合であろうかと思いますが、先ず固有の資金を流し得るにもかかわりませず、殊更に公庫の資金に頼つて参る、つまり公庫の資金が出るということから中小企業者に対しましてはプラス・アルファーにならないというような場合は、これは一般的に懸念されるところであると思います。これにつきましては先ほど西川先生の御質問にもお答えしたところでございまするが、金融機関が自己資金で融資可能な融資先に公庫の金を流すというのをできるだけ防ぎたいという考えからいたしまして、只今申上げました代理金融機関と取引先とは従来どういう取引関係にあつたか、それから過去においてはどの程度の融資をしておつたかということ、それから自分の固有資金をそこに流し得ないのはどういう理由か、例えば銀行でございますれば、大体従来ニカ年程度の以上の融資は設備資金というのでもやつていないが、これは三カ年、或いは四カ年というような長期返済を必要とするが故に自分のところの金は流さないというような事情があるかないか、こういつたような点を調査いたしますると同時に、信用保険に付けなくても済むほどしつかりした貸出先である、これならば自分の金を貸してもいいじやないかというような点をも勘案いたしまして、一々事後報告といたしましてそれらの事業についての報告を取ります。そうして先ほど申上げましたように検査役等の制度を置きまして具体的に検査をして歩くということで大部分は調整できるのではないかと思います。もとより金融機関もそれぞれの信用、或いは政府の仕事に対する協力の程度の評価というようなことも考慮いたしておるのでございましようし、又非常に消極的でありましたり、或いは乱暴な融資等が行われますれば、おのずと批判なり、批評なりも出て参るわけでありまして、これらの批判、批評等を十分運営の上に反映させて行くということで御指摘のような点はできるだけ回避するように考えたいと思います。
  132. 小林英三

    ○小林英三君 何ですか。どの銀行にこの公庫の金が幾ら流れておるかということを発表なさるのですか。
  133. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) これは只今までに考えたことがなかつた点でございますけれども、発表いたして少くも差支えないと考えております。何故かと申しますならば、各金融機関ともそのバランス・シートの上には代理業務の勘定項目を上げまして、これは株主にも報告するところでございますので私どもといたしましてはそれぞれ発表しても差支えないという考えであります。
  134. 小林英三

    ○小林英三君 差支えないというのではなしに、例えば或る仮に私のほうの県の埼玉なら埼玉、埼玉銀行なら埼玉銀行というものがある、その埼玉銀行に対しては例えば何億円の中小企業向けのつまり公庫の金が流れておるということが、この業界、中小企業の、使うほうの中小企業の側のほうにわかつていないというと困るのです。そうしないというと、今の部長の話になつた程度では銀行から報告させると言つても銀行はどんな報告でもできるわけで。それを机の上で報告を眺めて見ても始まらない。僅か五、六十人しかいない公庫の職員で地方に検査官が廻ると言つてもこれは全国の各地へ廻ると言つて、そんなことを一々やつておられるわけではないと思うが、私は公庫の中にその、何ですね、先ずその地方の銀行にどのくらい流れておるかということを公然と発表されて、そうしてこれを借りる資格のある中小企業は、この銀行は少しも中小企業に流してくれないとかいろいろな苦情を受付けるような窓口が公庫の中に欲しいと思う。そうしなければ防ぎがとれないと思う。この点についてはどうですか。
  135. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 誠に御尤もなお話でございまして、将来このような心組を以てやつて参りたいと思います。
  136. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 この貸付を申込みまする商工中金であるとか、相互銀行であるとか、或いは信用金庫でございますが、これは全然今まで零細工業等においてはいわゆる取引がない、ないのに申込みをした場合、今までの、まあ例を申しますと、得てして受付けてくれなかつたことが多いのでありますが、そういう点に対してはどういうお考えであられましようか。
  137. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 先般も、従来、たしか西田先生だつたと存じますが、非常に地道に経営をいたしておりまして、銀行等に借金がなかつたような者が借りられなくなるというような御意見があつたのでありますが、その点につきましては公庫の、各代理金融機関の指導方針といたしまして、決して従来の取引先にだけ貸すということではございませんので、政府の代理機関といたしまして、政府機関の代理機関といたしまして金融を扱うのでありますから、たとえこれは取引のなかつた所といえども十分事業が確実であり、担保、信用等のあるものにつきましては、これを取上げてどんどん貸出をやるようにという指導を続けて行く考えでございます。
  138. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 是非そうお願いしたいと思いますが、それと同時に、いま一つ私はお伺いしておきたいことは、今までどうも、ちよつと豊田委員がおりませんので、ちよつと変のようでありますが、例えば商工中金から金を借りまするにいたしましても、金は貸すがそのいわゆる中金に出資をせい、或いは信用金庫でも、お前、金は貸すが信用金庫の株主になれというような、今まで例はたくさんにあるのであります。こういうことは、まあこれは相対ずくの話でありまして、強制する意味ではないのですが、どうしても今の状態では商工中金から金を借りる場合に商工中金に幾つかの出資をしなければならない、或いは信用金庫の株主にならなければならないというようなことが一つの常識のようなことになつているようでありますが、こういうことは零細工業としてはそこに出資をするということ自体もなかなか困る問題が非常に多いのでありますが、こういうことの是正を一つ考えになつておりますかどうか。
  139. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 御尤もな御指摘でございまするが、実は商工組合中央金庫におきましてま、出資をいたしておりまする組合に対してのみ貸付けるということに相成つておるのでございまして、何がしかの出資をして頂くということが貸付けをいたしまする条件と相成るわけであります。信用金庫につきましても、との法文をよく当つて見ませんとわかりませんが、大体同様な法規上の規定がございまするので、止むを得ずそう相成るわけでございます。まあ信用金庫も同様でございまして、信用金庫の会員に相成つておりませんものには信用金庫の金が貸し得ないということになつておりますので、会員となりまするには何がしかの出資を一口なり二口なり持つということでございまして、この点は、組合金融というものに不可避的について廻つておりまする金融の欠陥と申しますか、難点でございまするので、現在の段階ではいたし方ないことでございまするが、中金は別段多額の出資を要求いたしておるのではございません。貸付ける金額その他から見まして大体無理のない出資をお引受け願いまして、商工中金の所属組合ということにして金融を付けておる次第でございます。
  140. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 そういうふうなことは止むを得ないといたしましたら、どうか一つ最低限度の線を成るべくとるように、一つそのほうに御注意をお願幸いいたしたいと思います。
  141. 藤田進

    藤田進君 附帯決議がつきまして十八日衆議院を通過しておりますが、この附帯決議の性格についている法案の性格とタイアップしてあると思います。又附帯決議の内容自体によつても、単に考慮をするということで今後済ませる問題もあるし、それから附帯決議とはいいながらかなり修正に近いような性格を持つたものもあるのでありますが、今度ここに十項目出されておる附帯決議でこれを調べて見ると、まあよしよしということで法を実施される政府としては済ませるものもあるかも知れませんが、併し現実に何らかの措置をしなければならないものも含まれておるような気がいたします。例えばこの資金の増加の問題なども非常に強く出されておりますし、それから貸付の金額にいたしましても一千万円というのはこれは何だか原案と違つて例外のケースになつて、原則はやはり三百万円程度として、そうして、但し例外としては一千万円というようなふうな附帯決議が附いておるわけですね。そこでこれらを実際に施行される当局としてはこの十項目に亘る附帯決議がどのように実施ができるものか承わりたいと思います。
  142. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 附帯決議は、私ども公庫の業務を運営いたしまする上の特に注意をいたすべき事項を国会において明らかにされたところでございまして、事務的に可能なものはもとよりこれを尊重し、遵守するという考えでございます。ただ御指摘のように、公庫の資金量を増額せよとかいうことは、これは法律事項でございまして、私どもが今後予算折衝の場合の一つの心の用意ということに承わるのほかないと考えておる次第でございます。又その他の事項につきましては、これは法律の各条の運用についての心組をお示し下すつたのでございまして、例えて申しますと、「一企業に対する貸付金の総額は差当り三百万円程度とする」とございますが、これは法案におきましても公庫の業務方法書に記載すべきことでございます。従いまして公庫の業務方法書には大体これと同じような趣旨のことが盛り込まれることに相成りまして、そういう形で実施されることと相成るわけでございます。
  143. 藤田進

    藤田進君 実施しようと思えば直ちにできる、予算措置その他なしで直ちにできるとも思われる。例えば第三項については、五つの金融機関を枠としてきめた形になつておると思うのですね。「左記の通りとすること。」というわけで、イ、ロ、ハ、ニ、ホまでの金庫、銀行をして枠をはめていると思います。これはそのままやはりできるものか、実際にはもつと枠が拡がるものかという点と、或いは遡つて第二項にいたしましても、一割は高いから七分五厘にしろということになつております。こういうことについてはどうでしよう。
  144. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 御決議の趣旨でございますから一々これを尊重いたして実施いたさねばならんことでございますが、例えば金利を七分五厘にせよ、七分程度にせよというお話の点は、これは財政上の問題、並びに公庫の採算の問題、及びまあ金利体系と申しますか、それ全体との睨み合せて、政府において責任をとつてきめるべきことでございますので、直ちに、御趣旨の点は御尤もといたしましても、直ちに公庫のスタートの日からこの通りにやれるかというと、これは相当検討した上でなければできないことでございますので、直ちにというわけには参らん節もあるわけでございます。大体は私どもの運営の心組というものをお示し願いました点はもとよりこれに副うわけでございますけれども、金利体系に触れるというような問題につきましては、御趣旨を勘案いたしまして政府の責任できめということにならざるを得ないかと思います。
  145. 藤田進

    藤田進君 第三項については如何ですか。附帯決議の……。
  146. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 御質問趣旨は、金融機関の中でこの三の、三項の通りやりますればいわゆる十一大銀行でございますか、要するに大銀行が外れる、その外れたままにおいてやり得るかという御趣旨かと思うのでありますが……。
  147. 藤田進

    藤田進君 もう一度申上げますがね、附帯決議として本当は一つの枠がはまつたようなもの、ものによつて。十項目ございますけれども、まあまあ努力しよう、よしよしというような程度のものもあるように、答弁の中でもそのように聞えるものもあつたように思うのだが、それは思い過しかも知れないが、その三項については一つ例を挙げておるわけですが、附帯決議として示されたものを、まあよしよしといつた程度で放つたらかしにするものかどうか。ここでははつきりこれこれにするとここで五つを指定してしまつておるわけですね、この点はどうですか、実施される当局として。
  148. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 私どもといたしましては、衆議院委員会におきましても実はこの銀行のうち一部の銀行を公庫の受託機関から除外するというのは、中小企業金融全般の運営上から考えまして、支障がかなりある、ただ極く簡単な一例を申上げまても商工中金の商工債を引受けてもらうようなことから見ましてもかなり障害があるという点も申上げたのでございまするけれども、やはり衆議院のほうにおかれましては、先ず他の見地から特に公庫の運用資金の量が少ないという点が特に大きな原因であつたように聞いておるのでありまするが、当分の間この大銀行は除外して運用せよという附帯決議であります。従いましてさような衆議院の院議が更に参議院においても確認されて両院を通じての議会の意思ということで附帯決議が成立いたしますれば、私どもといたしましてはそれに従わざるを得ない、かように考えます。
  149. 藤田進

    藤田進君 二項の七分五厘の利息問題は、やはり全般の睨み合せでないと直ちにできない。これは一応尤もなことだと思うのですが、ここに書いてあるのは、直ちに本案実施と共に実施するという意味には附帯決議はなつていないのですからね。問題は、こういうふうに努めてもらいたいというのですから、早い機会にこの実現を図るようその当局が期せられたいという意味だと思うのです。今の御答弁を聞くと、そんなこと言つたつてできるかというように聞えるわけで、御努力なさる余地があるのか、実際にこんなことをきめたつてできないことをやつても仕方がないので……御努力なさることができて、実現の見通しなどがあれば聞かして頂きたい。
  150. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 私どもはかねて中小企業向けの金融の利息をできる限り安くせねばならんということは、私どもとしてかねがね考えておりました。又現にいろいろと努力もいたしておるのであります。この公庫ができました場合、差当り一割でやろうということにいたしておりまするが、これを七分五厘程度に下げようという御趣旨に対しましては我々としても十分賛成の気持を持つておるのであります。喜んでこの趣旨に副うべく努力をいたすつもりでございます。これはあえてこの公庫の金利を下げるという問題だけじやなしに、例えば政府といたしましても、かねがね深い関係を持つておりますところの商工中金の金利にいたしましてもなかなかこの操作の上には困難の点はございまするけれども、下げようと思うて鋭意努力を現在もしておるのでございます。全般的な問題として考えますると同時に、特にこの決議の御趣旨に対しましては、これが実現のために我々としてはできる限りの努力をするということは当然のことと存じております。
  151. 藤田進

    藤田進君 まあこれは政府提案で、それに対する附帯決議だと思うので、政府に対するやはり附帯決議と申しますか、ですから政府自体が努力するのであつて、一政府機構の末端だけがという意味じやないと思うのですがね、この附帯決議はどうなんです。
  152. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) それは政府に対する決議でありますから政府機関は全部これを尊重せねばならんことであると私も考えます。ただまあ政府機関にもいろいろな立場がございますから決議が頭に響く響き方がそれぞれ違うということはおのずから止むを得ないかと思うのであります。これが一番よく響くのは我々のところであろうと考えております。
  153. 藤田進

    藤田進君 それじやそれ以上は吉田さんの答弁を聞かなければ駄目なんで……。
  154. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほどの小林委員からお話がありましたが、地方に中小企業庁が金を廻すというのは、何を基準にしてその金を流しておられますか、それをお伺いしたい。地方の相互銀行なり信用金庫なり、それに何億かの金を、どこそこの地方には幾ら幾ら、ここ幾ら幾らというのは何を基準にしておられるか。
  155. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 各地方所在の金融機関の金融に、中小企業向け金融に対する貢献度、申し換えれば貸付の実績その他を勘案してやらしておるわけであります。
  156. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは、実際の中小企業のあり方、そういうものに対して正金を貸付けておる地方の出店が金を貸付けておるというのは妥当なるあり方でありましたでしようか、今日までの状況……。
  157. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) まあ金融機関の活動状況の批判ということに相成るわけでございますけれども、或いは長期の資金を流す際、或いは中小企業にやや低利の金を流すというような点につきましてはやや不十分なところがありますので、まあ本公庫等を作りまして補完的な金融をいたそうという考えのわけでございます。
  158. 海野三朗

    ○海野三朗君 それに対しまして、その貸付方が妥当であるかどうかということについての具体的な裏付けを持つていらつしやいますか。政府当局といたしましてあなた方の職権で以てその仕事をおやりになるわけでありますが、ただ漫然と政府の金がこれだけあるからそれを地方に廻したというだけではいけない。その流し方が妥当であるかどうかということについての裏付けがありますか。何かお調べになつておやりになつておりますか。
  159. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) お答え申上げます。従来中小企業に対しまする資金といたしまして、政府が金融機関に流しておりまするものはいわゆる預託金というものがございます。これはまあ三カ月程度の短期のものでございまするが、趣旨といたしましては、これを中小企業に成るべく廻すようにということで銀行へ流すのでございまするけれども、これはとにかく銀行の他の資金と混合いたしまして、銀行の資金となつて、銀行がこれを自己の裁量、自己の危険負担において相手方に貸すのでございますから、その貸し方の一つ一つにつきましてまで政府がかれこれと立入ることは実は不可能な状態に相成つておるのであります。従いまして、その場合一つ一つについて全部が都合よく行つておるかどうかというところまで実は目の届きかねる点があるのであります。そういう点もございますので、今度はこの公庫を作りまして、これは一つ一つどういうふうに貸したかということが具体的に公庫のほうへも上つて参るのでありますし、若しその間妥当を欠くようなことがあれば公庫から受託の金融機関に注意を促しますし、それでもなおいかんということになれば受託機関をやめてもらうというふうなこともできるわけでございます。公庫の運営に関しましては妥当な方向へ持つて行くことについて政府としても相当の働きかけができる、こういうことに相成るわけでございま参す。
  160. 海野三朗

    ○海野三朗君 その窓口のほうでは一一よく調べて金を出しておるのでありましようが、その中小企業に金を貸付けておるその貸付状況が果して妥当な配分の状況であるかどうかということを、つまり監督官庁としては如何に見ていらつしやるか、それを私はお伺いしたい。
  161. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) どうも私のほうといたしましても……、もう少し具体的に御質問願いたいと存ずるわけでございます。先ほど申しましたように、従来やつております預託金という形におきましては、我々のほうとして余り金融機関に一々介入せん建前をとつております。又一般論といたしましては、中小企業に廻して工合よくやるようにとは申しますけれども、その点をこの公庫ができますれば公庫の金に関しては相当立入つて金融機関の活動を指導できるということに相成るわけでございます。
  162. 海野三朗

    ○海野三朗君 例えば必要な程度がいろいろ違いますが、それに対して金を流しなさる、その流す程度が妥当であるとお考えになつておるか、これが一点。それから地方々々に対しまして金融機関が相当中小企業に対して貢献しておる、それは確かでありますが、その程度が地方によつて非常にうとんぜられておるかのごとき感を呈する地方もある。又相当上手に借りておる地方もあるように見受けられるのでありまして、結局私がお伺いいたしまするのは、ただ中小企業庁が、府政が、金を漫然と、この地方は、この辺はこの辺でよかろう、これは何億くらいでよかろうというお考えであるか、又それはその地方の中小工業の状況からして、これくらいが妥当である、この辺はこれくらいが妥当であるというような具体的なことはお調べになつておりましたかどうか、それをお伺いしたいのであります。
  163. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 資金量を流すということでございまするが、先ほど来申しましたように、それは甚だ失礼でございまするが、預託金の配分に関してのことでございまして、預託金の配分に関しましては私どもも大蔵省の銀行局ともいろいろ御相談してやつておるのでございまするが、これはいろいろと配分に関しまして考慮せねばならん要素は多々あろうと存ずるのでございまするけれども、これに余りにいろいろな要素を加味いたしますると、個人、人間の私意がそれにからみますれば、却つて配分に依怙贔屓ができるということに相成つてもいけませんので、一応我々としては、或る程度機械的であるというそしりは止むを得ないかもいたしませんが、金融機関の持つておりまする預金量等を一つの尺度といたしまして、それによつて預託金総額を仮に百億円とか百五十億円とかいうような総額を分けます場合には、相手方の金融機関の預金高を一つの標準として配分いたしておるというのが現在の実情に相成つております。
  164. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういたしますると、中小企業を本当に救うということではなしに、貸した金がやはり倒されないようにということも第一なる条件に入つておるのだと思います。そういうことでありますというと、つまり中小企業を本当に救うという意味合いが薄くなつて来るのではないでしようか。
  165. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 只今私の申上げましたことが若干舌足らずであつたかと思うので、補足をいたしたいと思うのでありまするが、その預託金を分けます場合に、普通銀行、或いは商工中金、或いは相互銀行、信用金庫等金融機関別に分けまする標準は、それらの金融機関が中小企業に対して努力いたしておりまするところの努力の状況、それはまあ貸出残高等でわかると思うのでありますが、さようなものを一つの標準にして分けまして、そうして例えば一つのグループ、相互銀行相互間にどう分けるか、或いは普通銀行相互間にどう分けるかという場合に、その個々の金融機関の持つておりますところの預金量というふうなものを標準にして分けておる。こういうことでございまして、それぞれの金融機関の種類が持つておりまするところの中小企業に対する重さというようなものは預託金の配分に当りまして十分考慮いたすことにいたしておるのであります。
  166. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今のに関連してちよつと私から御質問申上げたいのでありますが、丁度大蔵省の銀行局の有吉特殊金融課長が出席されておられますので、今の各金融機関別の配分、前段の分でございますが、それはどういうふうにそのウエイトを置いておられるか、そのような点一つ銀行局といたしまして一応御説明を頂きたいと思います。
  167. 有吉正

    説明員(有吉正君) 預託金の配分につきましては、預託金の性質それ自身から考えて参らなければならんと思うのでございますが、本来預託金と申しまするのは、国に、国庫に余裕金ができまして、而も市中におきましてこれだけの金が国に吸い上げられて、それの調節を図るという趣旨から始まつた点が多いわけでございます。かかる意味におきまするならば、かかる調節の機能が果し得る金融機関に重点的に考えまして預託をするということも一つ考えでございます。例えて申しますならば、市中銀行は日本銀行との取引がございまして、その間の調節をとるというふうになりますので、普通銀行に主として重点的に預託をするという考えが出て参ろうかと思います。然るに最近におきまして中小金融の逼迫のために何とかこの点を政府としても手を打つて参らなければならんという関係上、中小企業に対する預託ということを政府としても考えて参つた次第でございます。かかることになりますと、中小企業ということに専念をしておる金融機関というものに重点を置いて考えて参らなければならんということに相成ろうかと思います。そこで現在のところにおきましては、普通銀行と、金融機関といたしまして、普通銀行、それから相互銀行、信用金庫、商工中金、こう大体並んで考えておるわけでございますが、この間におきましては、先ほど長官の御説明がございました通り、それぞれが中小金融に如何なる重点を置いて考えておるかという点に主として配慮を加えて、その間の預託の配分をきめて参るということが先ず以て考えなければならんと思います。勿論そのほかに中小金融以外に、例えば今回の災害というような場合もございます。それぞれはその災害の状況ということも合せて考えて参るということも必要であろうかと思いますが、その場合々々によつて預託というものも性質が違つて来るということも御承知願いたい。特に最近におきましては、中小金融ということが声を高くして叫ばれております現在におきましては、中小金融に対する熱意、貢献というものを重点的に考えて参る、かようなことでやつてつた次第でございます。
  168. 海野三朗

    ○海野三朗君 今御質疑でよくわかりましたが、地方の業者にいたしますと零細なる中小工業者でなかなか金を借りられないという、こういうふうな不平を私は聞いておるのであります。これは銀行の窓口にばかり任しておかれるからも一つの原因ではないか、そうして又その銀行と取引が余りなかつたようなものであるというと、てんで受付けないというような出店が十分政府の中小工業を救うという趣旨に副うていないかのごとき感を抱くのでありまするが、そういう点については窓口、地方の金融機関だけに任しなさつて、あとは政府のほうといたしましてはそれなりにして今までいらつしやるのでありましようか。その辺ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  169. 有吉正

    説明員(有吉正君) 預託金に関連いたしまして、地方の銀行が中小企業者に資金を流さないじやないかという御質問だと解しますが、預託金の場合、先ほど申しましたように、いろいろな目的がございまして、これを行なつておるわけでございますが、特に最近の中小金融の逼迫化を幾らかでも緩和いたしたいという考えで行いました預託金につきましては、銀行局といたしましても各地方の銀行に対しまして、この預託金は中小金融のために流してあるのだから、その使途を誤まらないようにという通牒なりを出しまして、又各会合の際にはそれぞれその趣旨説明し、具体的に誤まりのないように期しておる次第でございます。ただ地方におきまして、現在のところ地方銀行が中小金融に専心しておらん、熱意を入れておらんという御批判がございますことは事実でございます。私どもといたしましても、何とか地方銀行が更に中小金融に熱意を入れまして十分に中小企業者の金融難打開に努めるようにいたして参りたい。これはしばしば大蔵大臣も財政演説で述べておる通りでございます。我々といたしましても何とかこの点につきまして、更に一層地方銀行の中小金融に対する熱意は喚起して参りたい、かように存じております。
  170. 小松正雄

    ○小松正雄君 只今有吉課長さんよりのお話の中で、預託金ということが出ましたが、それに対しましてお伺いいたしますが、今回のこの風水害等で相当な金額になる金を中小企業その他の金融機関を通じて流してもらわなくちやならないということに水害対策委員会では考えていると、こう考えまするときに、あなたのほうではそういうことについて、例えば中小企業金融公庫、或いは市中、こういうものを通じて流してくれということを申入れると申しますか、予算化さす場合には預託する余裕がまだありますか。
  171. 有吉正

    説明員(有吉正君) 今回の九州の水害に対しまして、預託の措置は直ちにとりました。御承知のように十五億円の預託をいたしたわけでございます。又政府の財政資金を投入しておりますところの政府機関である金融機関、国民金融公庫なり住宅金融公庫はそれぞれ別枠を設けましてこれが金融に努めて参るということの措置決定して参つた次第でございます。更に預託をするかどうかという問題は、先ほど申しましたように、預託は本来国庫の余裕金を放出すると、余裕金のない場合におきましては事実不可能でございます。この点につきましては国庫の収支ということに関連するわけでございます。理財局の関係でございますので、私的確にはお答えできませんが、更に余裕のある限りにおきましては、九州の水害につきまして、更に第二次の預託ということも考えられるんじやなかろうか、かように考えております。
  172. 小松正雄

    ○小松正雄君 この法案に一応きめられた枠というものは、百億であつたのが百三十億に衆議院で修正されて、これが議決されたということをさつき委員長のお話でお聞きしたのでありますが、この三十億を増額されたということは、預託金が、預託される金額が、余裕金が相当政府の手持があるという、ことから三十億を増額し、或いは三十億増額したその金はこういつた風水害等にも充て得る建前を持たれて三十億の増額をされたのでありますか、どうでしようか。
  173. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 三十億の増額は、これは財政当局からの御説明のほうがよろしいかと思うのでありますが、例えばいろいろな経費の節減、或いは行政費の節減等の既定歳出といいますか、或いは当初組まれました歳出の減額で賄つておるのでございまして、預託金の現在額とは一応関係がないということに御了承願いたいと思います。  なお公庫の運用方針といたしまして、風水害対策のための融資というようなことは、これは非常に重要なことと考えておるのでございます。従来中小企業等に対しましては、風水害等がございましても、何ら政府資金を廻す具体的な手がなかつたのでございますが、今回の突発的な事故でございまして、又予算を提出いたしてあとの出来事でございまするけれども、公庫といたしましては事の緩急という観点から考えまして災害復旧は極めて重要でございまするところから、各中小企業を振興し安定する途でもございまするので、そのほうに意を用いまして運営して参るつもりでございます。  なお御案内とも存じまするが、開発銀行におきまして、中小企業向けの融資のほかに、更に中小企業者のために五億五千万ほどを九州及び山口県方面の水害のために当該支所、出張所に資金を配付いたしまして、これを中小企業者のために特に低利で貸付けるというような措置も講じておるわけでございます。公庫におきましてもかかる業務を引続き行おうと考えております。
  174. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう一度確認しておきたいためにお尋ねいたしますが、有吉課長に、十五億の金は災害に対して流してある。こういうことでありまするが、この水害特別対策委員会で相当の額になるためにこれが各金融公庫に委ねてもらうということが多分出て来ると、かように考えます。こうした場合に、十五億でなくて中小企業に関しては中小商工業者が多いことでありまするし、少額なりとも貸してもらわなければならんということは申上げるまでもありませんが、こういう観点からどうしても三十億にしてもらわなければならんという、もう十五億要るという場合のときに、余裕金が出せるというようにさつき話されたようでありまするが、御答弁の中にあつたと思いますが、この余裕金というものがそういう場合には、即十五億というものが二十億になるか、金額は申されませんが、一応増額を要求した場合にはこの余裕金というものがあるのでありますか、もう一遍お伺いしておきます。
  175. 有吉正

    説明員(有吉正君) お話の点で、今回公庫の出資が三十億増額されるという点と、預託の資金の減というものは、これは全然別個でございます。振興部長からお答えいたしました通り余裕金と申しますのは国の収入、歳入と歳出が年間を通じましては均衡をとれましても、年度の間におきまして余裕があるときにのみこれが放出をするということでございますので、その間の関係はございません。ただ問題は水害に際しまして十五億預託いたしました。これで十分であるかどうか、更に国に余裕金があるならばこれを放出したらどうかということに対しましては十分に検討して参りまして、早急にでも余裕がございましたならば預託をして参るということは今後も検討して参りたい、かように考えております。
  176. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう一点だけ……。  それからこの衆議院で決議された附帯事項の中にございますが、最後の「十、公庫役員には、中小企業に理解ある者を充て」るというようなことがここに出ておりますが、これに対しましてこの中小企業に理解のある者というのはどういう人をはめたらいいかということをお考えになつております。
  177. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 公庫の役員でございますが、これは最高人事に関することでございまして、私からとやかく申すわけには参りませんが、私どもは素直に御決議の趣旨を見まして中小企業に理解があり、且つ金融人としても練達堪能なかたということを上層部におきまして御選考願うようにいたしたいと考えております。
  178. 小林英三

    ○小林英三君 この金融公庫法案を審議するに当りまして、私、これは根本的な問題ですからして通産大臣か或いは長官に聞きたいと思いますが、今振興部長もおられますから、振興部長でわからなければあとで御答弁つてもいいと思います。この目的にありますように中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であつて、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通する目的であるというのですからして、これはもう今年や、一年や二年や三年で打切るんではなくて、この公庫法案がありまする以上は、相当恒久な目的を以てこの法案が生れて来たものであろうと私は考えております。ところがこの公庫の資金というものは百億円だ、そのうち二十億円は二十七年度に中金に貸してある金を、二年間は貸しておるものは貸しておく、いずれ返つて来る、今年は八十億円だ、それはこの間の衆議院で三派が修正いたしましたやつに、修正案によりますと三十億円がこの資金として増加されることになつておる。これは通過すればなるわけでしようが、そういたしまして、又今度は借入金を政府からすることができるようになつております、公庫がですね。そこで私がちよつと不安に思いますことは、仮にその三百万円ずつ貸し得た人がいるということになると、大体まあ三千件くらいでおえてしまう。これを若しも一年間乃至五年間というのでありますからして、例えば五年間長期に貸したということになるというと、最初の一年間据置ですから、その次からなくなつてしまう、そうするとなくなつてはいかんからこれだけの金の中からしてまあ借入するかどうか知りませんが、とにかく百億円とか百十億円とかいうものは予算通過によつてあるとしても、それをそういうことをどうも一年も二年も三年もこういう目的を達成するためには全部貸してしまつたんではこれはなくなつてしまう、固定してしまう、こういうことも考えられる。大体政府がこの法案を、皆が非常に希望しておりますこの法案をでつち上げるまでにおいては相当将来に対してはお考えになつて立案されたものであろうと思うのです。で百億円のつまり資本金、これが九州方面のあれにも相当放出されるものと思いますからして、三十億円今度の予算が通過によつて増加されても大したことはないと思うのでありますが、そういう長期資金でありますからしてそれは二年貸しのも或いは三年貸しのも五年貸しのもありましようが、或いは場合によつては五年以上も貸し得るということにもなつておるのでありますが、大体毎年々々どのくらいの金を市中銀行その他の委託する方面の要求によつて流そうというのですか。そういう大体の方針というものは立つているわけですが、そういう方針にどういうふうなお考えでおられるか。
  179. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 将来の財政計画とも関連いたしました非常に重要な御質問と存ずるのでありますが、私どもの見るところをもつてしましては、現在の金融情勢、即ち預金は比較的極めて短期の預金しか集まらない。而もそれが現在の金融制度の欠陥であるかどうか存じませんけれども、大体大口融資に集中する傾向が非常に顕著である、中小企業は依然として金融難に悩まなければならんという事情は甚だ遺憾ではございますけれども、やはり相当長期に亘つて続く状況ではなかろうかと判断いたしておるのでございまして、それを補完いたしまするために、例えば期限が非常に長期あるから、市中金融のベースに乗らないとか、或いは中小企業者といたしましては経済界の波動に遭遇することが多いから、金融機関の通常の金融に乗りにくいとかいうような事態はここ当分続くという見通しの下に年々相当量の資本増加、財政資金投入ということを期待するという意図を以て出されておるのでございます。この百三十億円の資本金を繰廻して行くだけで所期の目的を達したものとは考えておらないわけでございます。但しこれが毎年資本の追加を行い得るかどうかは専ら財政状況によることでございますので、一応の我々この法案を立案いたしました当事者考え方といたして申上げるだけでございます。
  180. 小林英三

    ○小林英三君 そういたしますというと、考え方によつてはまあ九州その他の方面にも暫定的に相当使われるということも仮定いたしまして、参議院に廻つて来ておる修正予算案というものが通過されるということも考えまして、そうすると、大体二年間というものは中金を中小企業に使つておりますけれども、二十億円をのけものにしますと大体百十億円、この百十億円も今年中に全部使つてしまつたんではあとが固定してなくなつてしまうからして、大体市中の銀行或いは信用金庫或いは金融公庫、そういうような、或いは商工中金、そういう方面にお出しになるのに大体のこの法案をお作りになる上においての金の金繰りということもお考えになつておると思うのですが、大体その辺のところはどういうことになつておりますか、政府から借入れでもしようという……。
  181. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 従来この種の金融機関といたしましては御承知の住宅金融公庫、並びに国民金融公庫があるわけでございまして、なおほかにやや違いまするが開発銀行及び輸出入銀行がございます。これらの資本は開発銀行が、御案内の投資特別会計からの借入というようなことができるようなことに相成つております。他はすべて一般会計からの繰入れ及び予算の定めるところによる資金運刑部その他からの借入れという限界でございまして、資金計画といたしましては今年度内にこの百十億程度の新規貸出を全部完遂いたしまして、来年度に至りますれば勿論財政事情によるものではございまするけれども、新たなる出資を求めるという考え方で語つておるわけでございます。詳細の資金計画は一応予算書についておるのでございまするけれども、これは資料を以ちまして月別に見ました貸出の考え方というものは資料として御提出申上げてあるのではないかと存じておりまするので……。
  182. 小林英三

    ○小林英三君 そういたしますと、今の振興部長の御答弁によりますと、今年持つておるだけの資本というものは全部放出してもよろしい、将来はその次年度は次年度、三年度は三年度という考えであられると考えてよろしいか。
  183. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) さようでございます。
  184. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 関連して……、今の資金計画の資金配分計画、すでに配付になつているんだつたら結構ですが、若し配付になつてないのでしたら資料として配付してもらいたいと思います。
  185. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 この衆議院の附帯決議の中に金利を七分五厘程度に引下げるということがございますが、金利を下げて頂くことは誠にこれは中小企業者としては喜ばしいことでございますが、併しこれは今例えて言うならば、中小企業が最も利用しておりまする商工中金が一割だか、一割以上と私は記憶しておりますし、それから地方の信用金庫とかその他は一割二、三分くらいの金を中小企業が借りておるのでありまするが、そうすると、その今までのこの中小企業者がこの七分五厘の安い金利のものを借りられるということにいたしますると、例えて申しまするならば、商工中金で今まで借りておるものを全部低金利のほうにだんだん変つて行くというような措置をとるのではないかと思いますが、そういう場合に対しては商工中金としては相当重大な問題と思いますか、どういうふうにお考えになつております。
  186. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 付帯決議には七分五厘というやや大幅な利下げの御要望があるわけでございまして、我々といたしましてはこの公庫も然ることながら商工中金その他一般的に金川利の低減は大いに期待しなければならないことで、又努力しなければならないことと思つておりますが、一足飛びに非常に多くの市中金融との較差ができるということが、金利体系その他から考えまして果して如何なものであるかという点もやはり相当検討してからでなければきまらないことであると存じております。先ほど藤田先生のお話にすぐこの通り実行するかと言われましてもなかなかその点についてはご指摘通りのむずかしい問題があるわけでございます。つまり金融機関間の金利差の縮小ということは中小企業自身から申しますれば勿論結構なことでありまするけれども、いろいろと波及するところが多いわけでございまして、商工中金につきましても金利の引下げの方向に向つては努力を重ねておりますし、我々も智慧をしぼつてはおりますけれども、多くの差がつきますれば直ちに御指摘のようなものも問題と相成るわけでございますので、その辺は今後十分検討いたしまして附帯決議の趣旨を生かすというふうに考えております。
  187. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 全く金利を下げて頂くということは我々も願つてもないことでございますので、その点を上手にやつて頂くようにお願いいたします。
  188. 岸良一

    ○岸良一君 関連するのですが、私これを拝見いたしまして、配付されておる、中小企業に出されておる一般市中銀行、或いは信用金庫、商工中金等の金高を見ると一兆二千億くらいになつておるのですね。そこへ今までのお話を聞いておるような形で金を百三十億を流して見て、今御質問のあつたような点がすぐ起きて来るのではないかと心配するのですが、それはどうでしようか。どういうふうに、又起きて来るやつを防がれるのですか。
  189. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) この財政資金を以ていたしまする金融と申しますものは、飽くまでもこれは補完的なものでございまして、これが中小企業金融の主軸になるというわけには参らんのでございます。一兆程度の資金が中小企業に流れておりますと、その流れ方に形、性質はいろいろあることでございまして、例えば手形の割引の形、或いは相互銀行、無尽会社の行います無尽掛込によりましての貸付といつたような形も行われておるわけでございまして、この公庫の狙つておりまする金融は一般の金融機関と比べますればやや長期な、且つ或いは設備の合理化でありまするとか、或いは特別の災害等の場合を考慮いたしましたやや低い金利による融資というような点を狙つておるわけでございますので、勿論用途や資金の性質等を選ばず放出いたすということにいたしますれば、御指摘通り誰もほかの金融機関へ行つて借りるということはなくなるわけでございますけれども、その点は資金の性質として差別をつけて参る、従つて最大限、当面運用計画といたしましては新規貸出百十億から百二十億程度を以て賄うにふさわしい用途にだけ限ると、このように相成るかと存じます。
  190. 岸良一

    ○岸良一君 そう伺いますと、この金を運営する面においておのずから標準があるのではないか。例えば今度の災害のような場合は全部挙げて災害のほうに入れたつていいのじやないか。ほかのほうは一般金融でやつて、災害地へはこの金を全部上げてしまう、そうして復興を図るということもなし得るんじやないか。私はこれが国家資金でやられるのであるからそういうような大きな目的を持つたものにこれを振向けるというような形で、資金の枠といいますか、そういうものがきめられるのかと思つたのですが、そういうような計画はないのですか。
  191. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 開発銀行の、一例を申上げますると、開発銀行で行なつておるように非常に国家の基本計画に即応いたしました融資対象への融資ということでございますると、これははつきりとした計画が立つわけでございます。ただ遺憾ながら中小企業は数が非常に多いということ、及びその変動が激しいということ等のことからいたしまして、或いは輸出関連産業でございまするとか、或いは電源開発が始まりますればそれに附帯して合理化を、或いは生産の拡張をやらなければならない分野、或いは大きな災害がございますれば災害復旧に必要な資金でございまするとか、内容が非常に変動性に富んでおりまする関係上、当初から災害復旧に三十億、輸出の関連産業に数十億というような枠をきりまして、これを計画するわけに参らんのであります。大体各四半期別に作られまする、公庫の作る資金計画及びその認可の方法等を通じまして決定して参ることにいたして参る考えでございます。
  192. 岸良一

    ○岸良一君 そういうお話でございますけれども、先ず僅かな金を使う場合に効果的に重点的に使うということはこれは必要ではないかという気がするのです。それで今例えば輸出産業投資、或いはここで軍需産業でも起さなければならないというようなことであればその下請の企業へは特別にこれだけのものをやるといつたような人為的の考えを持つ必要があるのじやないかという気がするのですが、そういう点の考慮がなければ先ほどお話のような漠然と散らばつて市中で借りておる金は折角長期で借りられるのであるから、それへ借替えてしまうといつたようなことが起きて来るのではないかということを心配するのです。又事実においてすべての金融機関において行われておる問題ですから、これは特殊の機関でもそういうことが行われておる。先ほどお話のように利率が低ければ中金だつてやるでしよう。そのくらいのことはあり得るのですからそういう点で私は折角金融公庫をお建てになつて効果がなくなつてしまうということになりはしないか。それからなお先ほど来お話を聞いていますと、岡田さんは今度の貸付は確実にそこへ貸付けられて行く、目的を達するように行くと、そういうことになれば、相当の金額が貸付けられる。併しこれは相当の手続をしなければ借りられないということになるのではないかという気がするのです。その点石井さんのお話と一致して考えてよろしいのですか。
  193. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 公庫の成立いたしまする母体と申しまするか、先例となりましたものは御承知かと存じますが、開発銀行における中小企業向け融資でございます。開発銀行の中小企業向け融資は重要産業の関連産業、輸出産業、民生のための産業、このような枠を作りまして、且つ設備資金に限るという方途を以て運用されて参つたのであります。仮に公庫におきましても同様な見解をとるといたしますれば、輸出の消長、或いは電源開発の振興とかいうことによりまして大きな用途別の枠といつたようなものがこれを作ることも可能、必ずしも不可能とはいたさないのであります。併しながらこの公庫がスタートいたしました背景には只今行なつております開銀融資がややその対象をしぼり過ぎておるような批判もございまして、同時に設備資金だけに限つておるのは非常に問題である。例えば今度の災害融資につきましても、例えば石炭の復旧のため等の融資は開銀がどんどんいたしておりますが、商店、店舗の復旧、こういうものには融資できないという現在融資準則になつておるわけでございます。このようなことではしぼり方がはつきりし過ぎて中小企業の実態に即応しないというような批判から公庫が作られましたいきさつもございまして、能う限りはつきりいたしました方向を金融機関に示して融資させますことはもとよりでございますると同時に、融資をしてはならない方向、例えばすでにもう過剰になつておる産業に対しては融資を抑制させる、或いに不急不要であります業態への融資を抑制させるといつたような消極的な制限と申しまするか、枠と申しますか、こういうものは勿論つけて運用して参る考えでございます。  なお長官から先ほど必ず必要な所へは参るのだと申したがというお話でございましたが、これは中小企業者であつて極めて有効な用途に資金を必要とするものに金が貸付けられた場合だけ公庫からは金が出るのでありまして、例えば業種の選択を誤まりましたり、或いは不必要な方面に流れたりするというような場合には、そういう金融機関は批判を受け、且つ将来取引を停止するという方途によつて、公庫の金は少くとも中小企業の振興という見地から見て不必要な方向へ流れることを規制されるという趣旨と私は解しております。
  194. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  195. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。
  196. 岸良一

    ○岸良一君 今それをお尋ねしたのは先ほど長官のお話もあつたので、衆議院のこの附帯決議では資金、貸付ける資金の最高を制限しますね。それと同じようにこの前まで最高三百万円であつたのを今度千万円にすると、千万円にするというのは千万円にすれば殆んど中小企業は一応網が張れるというお話であつたが、今の先ほどの企業庁長官の確実にして行くということと考え合せると、その三百万円以上千万円のところに重点があるような気がするのですが、そういうことはないのですか。
  197. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) この公庫の金が成るべく一般的に中小企業者に行き渡るようにせよというのは、これは衆議院におきましても非常に強い御意見があつたところでありまして、一応の目安を三百万円程度にという見当と相成つておるのであります。長官の申上げましたのは、確実にと申しました点は三百万円以上に行くという趣旨にはならないと思うのであります。現在特に開発銀行で行なつておりまする中小企業向けの各金融機関を代理機関として貸す融資金額は大体三百万円ということになつております。信用金庫、相互銀行等をよりよく使いますれば、その融資いたしまする金額は更に低くなる、このように思われる次第でございます。
  198. 岸良一

    ○岸良一君 私がそういうことをお尋ねしたのはこれによつて、国家投資によつて或る産業によつてはそれで逐次培養してそうして力のある大きな金融にして行く、或いは大きな力のある中小企業にして行くということの方針が含まれておるかと思つてつたのですが、そういうことはないのですね。ただ一応の応急の措置のような考え方で投資をされるということになるわけですか。
  199. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 公庫の融資は、勿論当該機関それ自身を強固にいたしまして、将来に向つて発展し得るその資金の不足を補足するわけでございますから、或いは三年、或いは五年という融資期間を過ぎますれば収益を以てこれを償還し、資本が残る、こういう企業を、数は幾つになるか存じませんけれども幾つも持つこととなるわけでございます。
  200. 岸良一

    ○岸良一君 そこで第一条の事業の振興に必要な長期資金というのですが、これは恐らの設備資金と中短期の流動資金であると思うのですが、現在の、市中銀行一般から出ておる一兆二千億という金になつておるが、どういう割合になつておるか、調べておるものはないのですか。
  201. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 金融機関は現在一兆二千二十億という資金を出しておりますが、そのうち設備資金として扱われておるものが八百十五億程度でございます。即ち全体として見ますれば六・七%程度ということに相成つておりまして、大体その期間は各銀行まちまちではございますけれども、二カ年以上のものは先ず極めて稀であるという融資状況に相成つておるように存じております。
  202. 岸良一

    ○岸良一君 そこで今度のこの資金は今の設備との関係はどういうふうになつておるのですか。
  203. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 設備資金を中心とはいたしますが、設備資金だけではございませんで、例えば設備の増設に伴います長期の運転資金、或いは増加運転資金、こういつたものはもとよりこの公庫の融資対象にするわけでございます。但し運転資金と申しますると、資金需要はこれは数限りないわけでございまして、例えば単純に滞貨を変える、売掛を殖やすというような面の資金まで融通して参つたのでは到底補完の金融機関であります当公庫の資金量では賄い切れないわけでございます。従いまして我々の考え方といたしましては、設備の合理化、改善等のために必要な長期資金、即ち設備資金と、それに伴う運転資金、而も長期的に長期資金で以て賄わねばならないような資金、又運転資金といえども融資しないわけはございませんけれども、これは極めて積極性のある資金、経営管理に積極性のある資金に限つて参りたいと考えるのでありまして、勿論今回の災害のような場合でありますると、例えば商品を流してしまつた、それの何がしかをこういう金融機関から補充いたしまして、数年に亘つて損失を回復し、企業の経営の体をなさしめるというような融資も特異なる災害等の場合には必要なわけでございまして、これらの資金を公庫の融資対象として、運転資金でございますけれども考える方針でございます。
  204. 岸良一

    ○岸良一君 それから先ほど貸付利率のお話がございまして、衆議院の附帯決議は七分五厘にしようというのですが、現在の一割を末端でいろいろ借りることになると、末端では受託手数料を入れて一割四分ということになるということですか。
  205. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 一割のうち口銭といたしまして四分五厘を払う、公庫から払うわけでございますので、一割が最終負担というふうに御了承願いたいと考えます。
  206. 岸良一

    ○岸良一君 そうすると、公庫で出るときはそれを差引かれたものが融資になるわけですね。
  207. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 代理金融機関に対しましては四分五厘、或いは四分程度の手数料を払うわけですが、貸借は公庫と中小企業者それ自身の貸借関係になりまして、利率一割という証文が入るわけでございます。
  208. 岸良一

    ○岸良一君 この貸付対象の業務でございますが、この貸付対象の業務は中小企業は農林の企業も、通産の企業も共にこれは対象としていいわけですか。
  209. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) これは法律的には特定業種と政令で定める特定の事業を行うものでございますれば、例えば農林関係の協同組合等が行なつておりましてもこれを対象として選ぶつもりなのであります。特定業種と申しますのは、物品製造業、運搬業、或いは倉庫業でありまするとか、そういつたようないわゆる通常商売と言われまする業種を指しておるわけでございます。農林の関係と申しましても、例えば農業協同組合におきまして製粉事業を行う、これらのために必要な資金は公庫の対象になるわけでございます。又水産業協同組合で冷凍のために倉庫の建築を利用する、これは勿論融資の対象となるわけでございます。但し原始産業的なもの、例えて申しますならば種前の育成事業というようなものは、これは農林漁業金融公庫のほうが如何なつておるか存じませんけれども、金融の性質は大分違いまするので、これは農林漁業方面の資金ルートから出すようにお願いせねばならんと思います。
  210. 岸良一

    ○岸良一君 それはまあその通りだろうと思います。今我々はその農林関係で一番ブランクになつてそしてまあそれを培養すればその生産が増加されるという場合に、中小企業に属するものが非常にあるのです。例えば畜産のほうであれば、肉の加工をするとか、或いは小さな皮革の工場であるとか、或いは小さな酪農の工場であるとかいつたようなものがたくさんある。又昨日話した果汁の汁等についても、たくさん個人についてはあるのです。これに対する金融というものが実際はなかなかむずかしいのです。併しそれはたとえようによつては、先ほどお話のように培養によつて非常に進んで行くだろうと思う。こういうようなので、私はその対象、特に地方の企業としての対象として、私は広くそういうものを培養してもらうような考え方で融資をやつてもらつたらいいのじやないかと思うのですが、その点如何ですか。
  211. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) お説の点は只今の法文の第三条の第二号の関連の条項と存ずるのであります。「中小企業等協同組合、農業協同組合、農業協同組合連合会、水産業協同組合、森林組合及び森林組合連合会であつて、特定事業を行うもの」特定事業と申しまするのは物品製造業、物品販売業、或いは運搬業といつたような通常商売と言われる事業でございます。「特定事業を行うもの又はその構成員の三分の二以上が特定事業を行う者であるもの」という定義付けをいたしておるわけでございまして、例えば農業協同組合におきましてりんごの罐詰をやる、みかんの罐詰等を大分やつておる者があるのですが、このような事業を行うためのものでございますれば、公庫の融資対象として十分であるのでございまして、事業の内容を見るのでございまして、農林関係のものを扱うからとか、或いは水産関係のものを扱うからとかいう趣旨を以て厚薄をつけようという考えは毛頭ございません。
  212. 岸良一

    ○岸良一君 協同組合ではないのです、これは個人でやつておるものに対して指しているのです。それは対象になるのですか。
  213. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) これはもとよりお百姓さんの、農家のかたが、或いは農家事業として企業であるかも知れませんが……。
  214. 岸良一

    ○岸良一君 農家でなくて……。
  215. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 例えば農水産物の加工製造等をいたすという事業、これは立派な中小企業等でございまして、これは二号ではございません。一号の範疇に入るわけでございます。
  216. 岸良一

    ○岸良一君 それはいいですね。それから「医業を主たる事業とする法人」とあるのですが、これはちよつと農林関係を見ますと、いわゆる獣医師のやる家畜の診療の仕事とか、こういうものがあるのです。それをこの項だんだんと設備を改善しようとか、何とかいうものがありますが、そういうものも含んでおりますか。これは人間のあれだけですか。
  217. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) これは人間の医療だけでございまして、畜産衛生施設と申しますものは、これは思いまするに農林漁業融資の対象として最も適当ではなかろうか、又そういう項目もあるやに存ずるのでありまするので、ここに申しまする医療は獣医業といつたようなものは入つておらないというふうにお考え願いたいと思います。
  218. 岸良一

    ○岸良一君 それは農林漁業融資の項ですね。それから今の設備はあるけれども動かすものがない、これの金がない、流動の金というものがない、例えば薬品を購うようなもの、これがあればいいのですがない、ということもあるのですが、これは或いは他の加工業についても製造業についても問題である、そういう点は御考慮になつておりますか。
  219. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 御尤もなお話でございまするが、まあ農水産関係と、商工業関係とおのずから資金の性質、或いは回転率等も違いますので、農林漁業のためには農林漁業金融公庫、一般商工業のために商工中金、中小企業金融公庫というものが作られた趣旨ではないかと存ずるのであります。昨日も現に当中川委員長のお手許まで種苗製造業、種苗の育成業でございますかの設備資金は農林漁業の金融公庫から借りられるが、運転資金が借りられないのでこの公庫の対象にならんかという陳情があるやに伺つたのでありますが、私思いまするに、これは恐らくは農林漁業金融公庫の業務の内容がやや狭きに失するという立法論を以てお答えすべき場でございまして、中小企業金融公庫の融資対象を直ちにそこまで拡げるというのでは公庫を作りました趣旨にも相反することではなかろうかと存ずる次第でございます。
  220. 中川以良

    委員長中川以良君) それに関連してお伺いいたしますが、今、石井部長からお話があつたような陳情も昨日受けたのでありますが、農林漁業金融公庫は設備資金しか出さない。運転資金は出していない。そうすると、そういうものは例えば農林中金で見てやるとか、何かの方法が講じられるのではないかと思うので、今言つたような原始産業である種苗の育成というのは、どうも中小企業金融公庫の対象にはならんと思うのでありますが、その辺はどういうふうに大蔵省で意見を聞いておられるのか。この辺をやはりはつきりさせられないと将来いろいろな問題が起きるのじやないか。それから農廃物の加工、製造等について例えば罐詰を造る、或いは重曹を造るとかいう工業において、その中小企業金融公庫からも融資を受けるが、農林中金、或いは農林漁業金融公庫からも、融資を受けて、ほうぼうににダブつて受けておるというものも私はあるのではないかと思う。そういう事実があるかどうか。そういうことでいいかどうか。今後どういうふうにされる方針であるか。大蔵省側の御意見を承わりたい。
  221. 有吉正

    説明員(有吉正君) 先ず最初に農林漁業金融公庫と農林中金との関係から申上げますと、これはそのまま中小企業金融公庫と商工組合中央金庫にも当てはまるかと存じますが、先ほど石井振興部長からの御答弁にございましたように、今回の公庫、又農林漁業金融公庫においても同じでございますが、におきますところの資金の供給というものは、飽くまでも民間の金融機関によりがたいものを財政資金を以てこれを補完して参る。補完的な機能があるわけでございます。従いまして農林漁業金融公庫におきましては、従来農林中央金庫によりまして融資し得ないものを対象として参るということはこれは当然な話でございまして、例えて申上げますならば、土地の改良資金、その他いわゆる農林関係につきましては非常に長期の而も低利でなければならない資金を必要とするわけでございます。これが最初は特別会計の制度でやつて参りましたものが農林公庫に変つた次第でございます。主として考えておりますのは農林関係におけるところの補完機能と申しまするのは、やはり長期であり、且つ低利資金であるという点に特別な特色があろうかと思います。  次に中小公庫におきましては、これは振興部長から先ほども答弁がございましたが、開発銀行のやつておりまする現在の財政資金を入れましたところの中小金融のこの制度が若干枠におきまして狭きに失する、即ちその対象といたしますものは飽くまでも設備である、而もその対象設備にいたしましても、民生上重要な産業、輸出産業或いは重要産業の関連産業等の三種目を限定しておりまして、甚だ狭きに失する。なお又運転資金につきましてもこれが出し得ないという状況にあるわけでございます。この点は農林とは違いまして中小企業におきましてはやはり長期の運転資金までも見てやらなければならないという部面が補完的にも必要になつて来るのじやないか。かように考える次第でございますので、中小企業金融公庫におきましては設備資金だけに限定せずに、長期の資金であればこれから補完的に出すということの目的を語つたわけでございます。  そこで農林公庫と中小公庫、農林中金、商工中金、それぞれの職能の分化というものが出て来るわけでございます。ただ実際におきまして農林関係、農林関係におきますところの融資が或いは中小企業金融公庫とダブる場合、或いは両者とも見られないというような場合が或いは実際の場合には出て来ると思う。併しこの点については今後の農林公庫の運営、又中小企業金融公庫が、この法案が若し通りましたならば、その後におきます運営の状況を見まして我々としても十分検討を加えて参る、その間の間隙或いは重複なりというものがないように制度の上からもすつきりした姿に持つて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  222. 江田三郎

    江田三郎君 この農林公庫とそれから国民金融公庫、それから商工中金、この三つのものを簡単にそれぞれ一応言い現わしたらどういうことになるのですか。
  223. 有吉正

    説明員(有吉正君) 国民金融公庫におきましては零細金融と一口に申しますならば零細金融を行う、財政資金を以ちまして零細金融を行うということと相成る。中小企業金融公庫におきましてはそれよりも若干程度の高い、併し中小金融を財政資金を以て行う。それから商工組合中央金庫におきましてはこれは財政資金ということを一応別にいたしまして組合の金融を行う。こういうことに相成るかと思います。
  224. 江田三郎

    江田三郎君 そこでその金融公庫の場合に最高限度はありますが、大体、今の見込ではどの程度の、一口の貸付額ですね、どの程度のケースが一番多いというか、標準的というかお見込なんですか。
  225. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 従来行なつておりました開発銀行の中小企業向け融資は、これは設備融資だけでございまして、且つ輸出産業、或いは重要産業の関連産業といつたような非常に対象をしぼつてつたわけでございますが、そういう対象をしぼりました融資の実績は平均額が大体三百万円程度と相成つてつたのでございます。私どものほうといたしましては公庫におきましてはやや対象を拡げましたのと、それから公庫の受託金融機関を地方銀行程度までというような単純にしぼりますと、これは相当下つて参るのではなかろうかと、御参考に申上げますると、地方銀行の平均融資の残額は、平均額は七十万円見当でございまして、勿論設備資金でございますからこれよりやや多くなることを予想されるのでございますけれども、平均三百万円というような高いところには参りません。且つ平均の七十万円という金額よりもやや高いところ、或いは百五十万円とか、或いはその辺の見当と相成るのではないかと存じております。
  226. 江田三郎

    江田三郎君 もつと聞きたいのですけれども……、今度資金計画が出てからに。
  227. 岸良一

    ○岸良一君 今の商工中金のお話でございますが、この企業庁の調査を拝見してみますと、商工中金の設備資金融資と、それから普通の融通資金と三つに分けてあるが、表が出ておるのですね。あれが三百何十万円になつておるが、あれはどういう意味の額ですか。
  228. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 三百数十万円という金額になつておりますのは、私資料を後ほど見ましてから詳しく申上げますが、これは組合に対する融資の額でございまして、組合員個人に貸しました平均残額は設備資金の場合百数十万円というように記憶いたしております。
  229. 岸良一

    ○岸良一君 それで今度又中金を通して貸す面も出て来るわけですね。その場合には団体に貸すのではなくして、団体の今度組合員である個人に貸す、こういうことになるのですか。
  230. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) その点の選択は中金の任意に任す考え方であります。即ち中金法が先年改正されまして、組合へ融資するのみならず組合員へ直接貸し得るように相成つておるのであります。設備資金でございますから、或いは組合員に直接貸すというケースも多いやも知らないのですけれども、なお組合自身といたしましても例えば共同施設を持ちまするとかいうような関係組合自身が融資の対象になる、主体になるという場合も相当あることと存じております。
  231. 岸良一

    ○岸良一君 そうするとその個人貸をするというのは組合の資金の員外貸になるのですか。
  232. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 勿論組合の承諾を得まして組合員、組合の構成員への貸出でございまして、組合員外へ貸すわけではございません。
  233. 岸良一

    ○岸良一君 そうすると、利率等は同じでございますか。
  234. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 現在中金が扱つております実績におきましては、利率は組合に貸す場合も組合の構成員に貸す場合も同一利率を用いております。
  235. 岸良一

    ○岸良一君 それはどのくらいの割合になつておりますか。
  236. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 現在組合員に貸しておりまする金額が、直接貸と申しておりまするが、これが、三百……約四百億の資金のうちの一割五分程度ではないかと考えております。
  237. 岸良一

    ○岸良一君 有難うございました。
  238. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質問ございませんか。
  239. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと今のに関連して、組合へ貸した場合に組合が又組合員へ貸す場合がありますね、そのときには利息のほうは一割で貸してもらつて、それを一割二分で貸してもこれはいいのですか。
  240. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 融資の対象は組合自身でございますので、多くの場合は組合員でございまする場合は公庫と組合員の直接取引ということになるのが多いと存ずるのであります。転貸という場合はあり得ないのではなかろうかと存じておりますが、組合員が組合といたしまして、例えば運転資金、長期運転資金を災害等のあつた場合に借りるという必要があるのでありまして、この場合には利息は勿論、公庫の利息をそのまま組合員に転嫁いたしまするが、そのほかに実は組合の利息ではございません、或いは分担金でありまするとか、利息以外の費用が利息のような形を以て附加されておるという例が多いのですけれども、公庫の利息といたしましては、組合は飽くまでも組合員のための存在であるということ、相互扶助の精神であるという点から考えまして組合はいわば通り抜けでございまして、一割の金利を組合員にまで及ぼすようにこれは組合の指導をして参りたいと考えております。
  241. 江田三郎

    江田三郎君 組合が借りて組合員に、組合の名前を借りて組合員に実質的には貸すということはこれは差支えはないのですか。
  242. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 差支えないものと考えております。
  243. 海野三朗

    ○海野三朗君 この前鉱山のあの法案のときに鉱毒の問題について、山形県のあの鉱毒の状況について調べて答えるという通産省からの御返事でありましたが、まだその報告に接しておりませんことが一つ、それから兌換券の発行高についてこの前お伺いしたのですが、大蔵当局からその御返事に接しておりません。これはいつ資料を提供して頂かれるのでしようか。つまり兌換券の発行票日に日に殖えていつておるわけですが、その殖え方はどういうふうに殖えて行つておりますかということを伺いたい。それと、二の手形の発行もありますけれども、先ず兌換券のことについてこの前伺つたのでありますが、銀行局長がお見えにならないからというようなお話がありましたが、その御返事を私待つていたのでございます。
  244. 中川以良

    委員長中川以良君) 私からちよつとお答え申上げますが、今の問題は先般鉱業法の改正の際に出た御意見と存じますが、鉱山局のほうからの前段の問題は資料が出て来るはずでございますが、まだ参つておりませんので、これは至急に一つ提出をするように私から要求します。後段の問題は大蔵省の関係でございまするが、銀行局のほうに私からも申しまして、丁度、今日金融課長が来ておりますので、どうかその掛当者のほうにお申出を願います。
  245. 海野三朗

    ○海野三朗君 どうぞお願いを申上げます。
  246. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは本日はこの程度で打切りまして如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後四時三十四分散会