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藤田進君
ちよつと関連して……。
労働大臣の言われるのを聞くと、一昨日来の
質問と又がたがたして来ますので非常に困るわけですが、私は先般来の
質問というそのカテゴリーは本法にある正当なる、正常なるというこの正常なる
供給云々ということに重点を置きましたので、他のカテゴリーについては改めてお伺いしたいと思
つていたわけですが、例えば今お触れになりましたところの仲裁の問題にしてもスト権を奪
つて争議行為ができなくな
つているが故に、一方仲裁という機関を設けてある、こう言われておるわけですね。併し
電気事業等についてはこれは
争議権を奪
つているのではない、まだたくさんほかに
方法があるではないか、だから
一つ今
規制しようとするこのものをやらなくた
つてほかにあるのだから、決して罷業権をなくするものではないと、こうおつしや
つていると思うのです。よろしうございますね。それは
労働大臣自身としては余りにも視野が狭いように思うのです。なぜならば
発電所、変電所、給電指令所の
労働者について考えて見ましたならばこれは罷業権というものは一応
憲法で認められているけれども、
労調法、労組法でもこれを肯定しているけれども今度の
スト規制法、これによ
つて完全に
争議行為の手段を失うわけですね。
発電所の勤務員は相当多量います。いいですか。而も
現実にはどうか。成るほど十五
国会当時これが
法案が出た当時は電産というものがかなり全国的に見て組織的にも
一つの
労働組合として成立
つていたと思うのです。ところがすでに今日におきましては
発電所においても
組合が必ずしも電産だけでもない。又
発電所労働者だけの
組合ということも考えられる。ですから当該
発電所の
労働者というものは電産の傘下でもなければ又全然組織外の本店や支店や営業所の事務系の職員の事務ストを期待して待
つていたところでそんなものはしてくれるわけはないですね。
発電所の人がやはりそれのみで守
つて行かなければならない、或いは使用者と交渉しなければならん、こういう現状にある。そういうときに何にも
争議手段を持
つていない、今のこの
規制によ
つてこういう事案のあることを全然お忘れにな
つているところに誤謬がある、
現実の認識について全く事実の上に立脚しない理論でありまして、空論であるとさえ思
つているのですね。仲裁を設けないのは一部のスト権を抑制、不当だと思
つていたものを明らかにするのであ
つて、他に幾らでもあるなんということはこれは言えない。全然言えないことです。それからこの点についてなおそうではないとおつしやる事実があるならば
お答え願えればいいと思うのです。これは大変な問題です。学者の衝いている点も御承知だと思います。
特定な人に対しては全然罷業権を奪
つてしまうものだ。これは
現実に徴して明らかです。それから通産省は非常にこの監督その他や
つておいでになるかのごとき御
答弁が次官からありましたけれども、そこまで現行
公共事業令、
電気ガス臨時措置法ですか、これについてないのですね。又事実
運営ができないので、具体的な例を申上げて見たいと思うのです。
昭和二十六年の
渇水におきまして非常な問題が出て参りました。これは昨年もややこの
現象が出たわけですが、
一つの例は、こういうことを物語
つておる。
火力によ
つて渇水時のやはり需用を満たして行かなければならないので、
火力には何と言
つても石炭というものがなければ、これは
火力の用をなさないのが日本の現状です。或いは重油によ
つてこれを代えるか、いずれにしても燃料源が絶えていたのでは設備だけでは
電気が起きません。ところが当時どういう状況であ
つたかと言えば、御承知のように、石炭は日に日にトン当り吊り上げて来る、どんそれ炭価を上げて来て、而も上げただけならばまだしものこと、九つの
電力会社が石炭の購入について忌わしい競争を当時や
つていた。関西
電力については、公益
事業局長もおられることですから、思い起して頂きたいのですが、関西
電力については、現地に石炭を買付けて、そうしていよいよ石炭が来るからということで一安心して、石炭が到着して見たならば、もはや
火力用炭としては適当でない、
火力用に使えない石炭が送り込まれて来た。これではいけないということで、今度は北海道に飛んで見たところ、すでに東京
電力が買占めている。そこでこれは関西
電力においては、我が社においては、もう少しいい値段で話がつかないだろうかということで、又炭価の、又これが
電気事業者間においても、吊り上げにな
つておる、こういう実情ですね。九州においてはたしかあすこの炭鉱と九州
電力の買手は両者兼ねておられるから、そういう競合によ
つて石炭が、あれはどちらに転んでも儲けですから問題ないでしようけれども、こういうときに、それでは行政買上げをするかどうかの問題が出たときに、行政買上げなんかしない、実質的に実質的にということで、当時何ら手を打
つていない、こういう事実があります。
又これは
電気だけでなしに、ガスに取上げて見ても、これば御承知かどうか、併せて御
答弁願いたいのですが、市川にあります葛飾瓦斯株式
会社、これはどういう実態に今な
つているか。
公益事業です。これは三千万円の資本金で三千五百万円という金を横領してしま
つた、社長が、而も自分が……。
公共事業令によりますというと、その
公共事業者が他の事業を行う場合には認可が必要だと思います。これがたとえ個人の名前、個人、臼井某という社長だが、これによ
つてなされても、ガス事業の資金なり或いは貸付なり、融資なり、こうい
つたものを、個人の臼井産業とか商事とかいうようなものに費消してしま
つて、それが遂に破産の
状態にな
つた。これらについて通産省特に
公益事業局などは、どんな手を打
つておるか。
現実に今ガスの
供給については重大な支障を来たさんとしている
状態です。三千万円の資本で三千五百万円という大きな穴があいて、而もこれが社長であり、若干の重役と競合してなされた実際のあれです。これが今訴訟の問題にまでな
つておると思うのです。そこまで行かないうちに、もつと監督権を民主的に発動されたならば、うまく行
つたのではないだろうかと思われる節があります。
更にこれは公正取引
委員会の
関係にもなりますけれども、今日問題にな
つておる通産
関係に直接
関係のある問題としては、あの白木屋の株の買占めの問題だ
つてそうですね。すでにあの白木屋の問題にいたしましても、容易ならん
事態にな
つておる。これは今申上げた葛飾瓦斯の場合、臼井某が総株の八四%を占めて、そうして大きな穴を開けておる。こういうようなことについて、問題がここにどのように然らば適正な監督がなされておるかということについて
説明を頂きたいと思います。
更に
電気についてもう一件申上げますると、
公共事業令の五十五条、融通命令、これは今日すでに今では無論水害さえ言われている豊水期に入
つておりますので問題ないのですが、この間ので、或いは昨年の
争議の場合、一昨年の場合は特に深刻な九月、十一月の
渇水ですね。一貫して、
公共事業令が、そうい
つた事態に処して、融通命令を出してでも、やはり
制限の均分化をしなければならん、均等に
制限すべきものはする、こういうことであ
つたにかかわらず、未だ
曾つて公共事業令五十五条が発動されたためしがない。何となれば、
電気事業なるものが、特に関東、関西、或いは中部
電力というふうに、偏在して、政治力にこれが大きく利用されてしま
つておるという、この弊害が
公共事業令五十五条を発動せしめない原因にな
つておると思います。
こういう具体的な事例をここに申上げますので、葛飾瓦斯、或いは今申上げた
公共事業令五十五条、その他爾余の点について監督行政の立場から明快なる御
答弁を願いたいと思います。