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1953-07-13 第16回国会 参議院 通商産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十三日(月曜日)    午後二時一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            加藤 正人君    委員            石原幹市郎君            黒川 武雄君            小林 英三君            西川彌平治君            酒井 利雄君            松平 勇雄君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            藤田  進君            白川 一雄君   政府委員    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業省通商    局次長     松尾泰一郎君    中小企業庁長官 岡田 秀男君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○中小企業信用保険法の一部を改正す  る法律案内閣送付) ○輸出信用保険法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) これより委員会を開会いたします。中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。ちよつと速記をとめて下さい。    午後二時二分速記中止    ——————————    午後二時四十七分速記開始
  3. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始め下さい。
  4. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 只今保険料率引下げは、これはまあ御承知のように業界多年の要望なんでありまして、今後是非とも一つ引上げを実現し得るように御努力を願いたいと思うわけですが、今回災害関係については特別に三分の一に保険料率を臨時的に引下げられるというわけでありますが、これに対応して信用保険填補率災害関係については同じく臨時的に引上げるということが両々相待つてバランスもとれて誠に好都合じやないかというふうに考えるわけなんですが、この点について前回速記が付かなかつたものですから、速記が付くようになつたら改めてお答えを願うということになつておりましたので、その点一つ御説明頂きたいと思います。
  5. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 現在衆議院で審議中に相成つております中小企業信用保険法改正案におきましては、先ほど申しましたように従来の    〔委員長退席理事加藤正人君着席〕 填補率七五%を八〇%に引上げておるのでありまして、実はこの八〇%に引上げておるやつを一つ一日も早く九州方面災害にも適用することにいたしたいという意味衆議院のほうにお願いいたしまして、原案においては八月一日の施行に相成つておりましたものを、公布の日から施行するというふうに改めて頂いて、実は委員会を通過して頂いたようなことに相成つておるのでありまして、現在のところにおきましては、私どもとしてはこの八〇%で九州災害に応じたいと、こう考えておるのであります。お説のように、確かにこの八〇%というのは通常状態における中小企業金融を頭に描いて考えた填補率ではないか、従つてあのような九州のような非常災害に際しては填補率をもう少し上げないというと実効が挙がらんのじやないか。恐らく現地におきまする中小企業者信用力というものは通常状態から見れば非常に減殺されておるのじやないかということは、私もまさに同感なのでございまするが、かと申しまして、填補率が非常に八〇%を超えましてだんだん一〇〇%に近くなるに従いまして、もう保険という観念から逸脱して来る危険があるのであります。そうなつて来ますれば、もう保険ではなくて、補助金といいますか、救済と申しますか、或いは又生活保護と申しまするか、さような観念とやや混同を来たして来る虞れはなかろうか、かようにまあ考えられるのでありまして、金融機関或いは借りる中小企業者と我々との関係が飽くまでも経済的な保険観念で律し得る、律し得られながらも填補率がどこまで引上げられるかというのを研究いたしました結果、我々といたしましてはぎりぎりのところを八〇%くらいに、大蔵省と随分大喧嘩いたしましてこの八〇%まで持つて来たという段階に相成つておるのでありまして、若しこれを更に上げるということになりますれば、何か中小企業者以外の社会層とのバランス問題等も出て来るだろう。ただまあ農業関係におきましては、別にいろいろな災害関係保険がございましたりいたしまして、いろいろ事情は違つておるわけでありますけれども、現在のところこの中小企業信用保険といたしましては、どうもこの八〇%程度で勘弁して頂いて、その上のことは又別に考えるのでなければ割切れんのではないかというような感じでおるのであります。
  6. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 火災保険などは、やつぱりこの保険に付ければ、その保険金額までは全般的に保険するという保険率があるわけなんですが、更に又信用保証のほうは、短期資金については一〇〇%の信用保証をやつておると思うのです。そういうことを考え、又過去において、これは戦前でありますけれども府県損失補償制度をやるというよう場合には、損害額については一〇〇%の損失補償契約をするというような例もあつたわけなんでありまして、特に今回のような大きな災害災害言つてもピンからキリまであるわけでありますが、特別大きな災害であつて、到底填補は求めようにもない、而も何とかしなければいかんというような場合に金融をし、その損失が出た場合に全額の補填をするというような行き方は私はあつていいと思うのでありまして、それをどの程度災害の場合に限定するかということは、そのときどきによつて運用よろしきを得るということでいいんだろうと思うのであります。その点について伺いたい。
  7. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 今度の災害が非常に激しい災害であつたことは、私も御同感でございまするが、罹災を受けた人一人々々を押えて見ますれば、鳥取の火事で全部焼かれた人も、今度の水でやられました個人も、まるまるやられた点ではやはり同様かも知れませんし、又逆から申せば、家でも流れてしまつた人は別として中に土の入つたのは、痛いかも知れませんが、外郭は残つたということでは、今度のほうが一人々々ではよかつた人があるかも知れんというふうなこともあるのであります。実はこの保険につきましては、百も御承知と思いますように、金融機関との間におきまして、もう向うが希望すればオートマティックに、自動的に保険関係が成立することに相成つておりまして、いわゆる逆選択のことが自由にできることに相成つておるのであります。信用保証のほうは、大体信用保証機関が個別に審査をいたしまして、保証をするかせんかというものを自分選択する権限を持つておる場合が多いように思うのでありまして、従いまして、この保険考え方におきましては、これを余り金融機関貸出に対する填補率引上げますると、金融機関自主性がなくなつて、丸抱えのようになる、而もそれに逆選択が加わるというような関係がございまするので、どうも余りこれを引上げるということについては困難を感ずるのであります。過去の例から見まして最近におきまする北上川の氾濫の問題、或いは又十勝沖の地震の関係等におきましても、その損失補償は或る限度を限りましてやつたように承知いたしておるのでありまして、罹災をされましたかたがたに対しましては満腔の御同情を申上げるのでございまするが、その保険の形において填補率を非常に引上げるということは、制度そのものの否認を来たすというふうなことに相成つても如何かと思われまするので、保険保険としておきまして、別途何か方法を考えるという以外には、ちよつと私どもといたしましては困難ではないかと考えております。
  8. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 最近は信用保証制度なり或いは中小企業信用保険制度ができたために、その常時の行き方はだんだん整備せられて来たのですが、それだけに災害のような急の場合においては却つて十分な手が届かんというような傾向が出て来ておると思うのでありまして、その点にも私は非常に懸念を持つのであります。特に金融機関のことにつきましては、資金源も乏しいですが、資金を積み上げてもなかなか将来の不安があるというと貸出をしないというようなことがあるものでありまするから、どうしても十分に保証保険の途を特別の大きな災害のような場合には講じておかないと、折角資金の用意をいたしましても何らそれが実行せられないということになる虞れがあると思うのでありまして、若しこの信用保険法改正に併せてそれを行うということができんということでありまするというと、損失補償制度特別立法でもこの際やる必要があるのではないかというふうに考えるわけでありまして、この点は私は、以下もう希望にたりますが、中小企業庁では余りそう御心配に ならんで、大蔵省のほうはやかましいのですから、中小企業庁としてはもう大いに一つ努力推進一点張りで行つてもらうということにして、結論は適当なところに落ちつくのだろうと思うのでありますから、その点を特に一つ希望をいたしておきまして、その点は終ることにいたします。  更にもう一つは、この間やはり速記がついてからということでお答えを願うことになつてつたのでありますが、信用保証のほうは短期資金のためにできておる制度であります。ところが、これは一都道府県内の貸出対象でないと先ず以て賄い得ない。全国的な業種別連合会であるとか、或いは二つ都道府県に跨がるような組合であるというような場合には、先般も質問いたしたのでありますが、はつきりしなかつたのでありますが、できるようなできないような答弁であつたのでありまするが、これを仮にできるという答弁をせられましても、実質的には当該都道府県からの出資を基本にしておりまする信用保証協会は、全国的なものであるとか、或いは二つ以上の都道府県に跨がるものを持込むということが無理であると思うのでありまして、そうなりますると、一面信用保険制度のほうは、これはもう長期資金に限られておるというようなことになりますると、短期資金二つ都道府県以上に跨がるものについては、そこにギャツプができる、二つの法制の相互関係においてそこに賄い得ないギャップができて来るのでありまして、そのギャップを補うには如何にしたらいいか、その点を一つお答え願うことになつてつたのでありますが、一つ願います。
  9. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 例えば二つ府県に跨がる組合があつた場合に、その組合金融機関から金を借りるのをどつちか一つの県にある信用保証協会保証申込ができるかできんかという点が一つであつたと存ずるのでありまするが、その点はその後大蔵省等とも研究いたしてみますると、一つの県の保証協会保証することは可能なそうでございます。つまり、例えば東京神奈川県とに組合の区域が跨がつてつてその東京へ主たる事務所があるその組合が、東京信用保証協会保証申込むと、これは当然そうあるべきものであろうとこう考えるのでありましてその場合には東京保証協会はその組合神奈川県にも地域が及んでおりましても差支えない、かように考えるのであります。ところが法律上はできるにいたしましても、東京保証協会としては当該組合神奈川県に対しても活動範囲を持つておるということから嫌うことになりやせんが、ところが嫌うから一つ保険のほうで逃げようとしても、保険は六カ月未満短期の金を持たんから、そこにギヤツプがある、こういうことでございますが、このギヤツプを埋めることから申しますれば、信用保証協会指導いたしましてさような短期の借入の場合においては保証協会が積極的に活動範囲に入れるべきであるというふうに指導をいたす考えでございまして、丁度信用保証協会法が成立いたしますれば、さような指導の面におきましては好都合に参るのではなかろうかと考えておる次第でございます。
  10. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうなりますと、東京神奈川両県に跨がつておる組合の借入金についての信用保証を、その組合事務所所在地東京なるが故に、東京都の信用保証協会へ持込む、これはその持込んでもいいというふうに解釈するとか、或いは指導するとかということに仮になつたとしまして、例えば川崎にある大部分の業者の関係において貸出金の焦付きが出て来た、これを東京都が賄わんならんということになると、これは実際問題として、言うべくして行われないことになるのじやないかと思うのです。殊にその理論を突き進めて行きますと、仮に全国一円の業種別連合会であると、その主たる事務所所在地東京都だと、これで東京都の信用保証協会へ持込む、全国的に損害が発生した場合に、東京都がこれを尻始末しなければならんということは、実際上困難であると思うのです。これについてどういうふうにするか一つ
  11. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 私はまあその場合に、金を使う場所の信用保証協会相手にするようなことが考えられるのじやないかと思うのでありますが、まあそういうふうに範囲が広くなつて来て大きなことになれば、信用保証協会保証限度から見ましても、もうさような大きな組合になれば信用保証協会相手にすることは本質的にその段階を越えておるのじやないか。信用保証協会保証限度東京が一千万円、これが最高でございまして、地方に参りますれば最低は五十万ぐらいしか行かんというふうな保証協会もございまするので、如何にもお説のように、その辺に若干真空地帯があるようにも思いますが、実際問題としてはその点は今の信用保証協会の姿では、数府県に跨がる、或いは全国的というふうな組合等におきましては、信用保証協会に関する限りはちよつと困難がありやせんかと思います。
  12. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 私もそうだと思うのでお尋ねをしておるわけなのでございますが、結局私の問わんとするところは、この信用保険制度が六カ月以上の長期資金に限定せられておるというところに、もう今日では足らないところがあるのではないかと思うのでありまして、そこでこの際六カ月未満のものでも、これを全部とは行かないかも知れませんが、適当に六カ月未満のものでも切つてこれは信用保険対象にし得るように考えて行かないと実際に動かん場合が出て来るのではないかという、質問であると同時に、一つそれについては適当な途をこの際考えてもらいたいという希望なんです。
  13. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 丁度御設例のような場合は、今の信用保証制度信用保険制度との盲点みたいな部面であると思うのであります。と申しまして、信用保険の場合に短期債権にこれを拡張するということになりますると、なかなかこれは又極めて厄介な事例が非常に出て来るのでございまして、この六カ月に満たない短期債権のどの程度のどういう種類のものをこの保険対象として拡張して行くかということは技術的にかなりむずかしいのでございまするが、かねていろいろと研究はいたしておるのでございまするが、どうもまだはつきりした結論をよう得ておらんような次第なのであります。いろいろと保険制度に関しまする御要望の中には、かような点に関しまする要望もかなりございまするので、なおいろいろな資料を取り集めまして研究を進めたいと存じております。
  14. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 三カ月までの資金でありますと、或いは手形の割引などの形で行くものが多いでありましようし、或いは又金額も少いとか、或いは一都道府県内に限定せられても差支えが比較的少いという場合があろうかと思います。三カ月以上六カ月未満のものというあたりになりますと、信用保険対象をそこまで拡げて行つたほうがいいのではなかろうかという考え方をするべきわけなのでありますが、この点について只今お話のように一つ研究願い、成るべく早い機会にそこまで拡がつて行くようにお願いをしておきます。
  15. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 御趣旨によりまして研究いたしたいと思うのでありますが、近頃手形も長いのになると百二十日ぐらいの手形になりますと、三カ月に切つてもまだ何かやかましいものが残るような状態でございます。ともかくさような要望がかなり強くあるということは、これが確かでありまするので、その辺を技術的に検討を加えてみたいと思います。
  16. 小林英三

    小林英三君 この第二章の第三条の終いのほう、貸付金の額の括弧の次の「総額一定金額に達するまで、その貸付につき、」云々とありますね、その貸付金総額一定金額という一定金額というのは、政府が各金融機関に対してそれぞれ一定金額をきめるんですか。
  17. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) この信用保険の仕組といたしましては、半年ごと金融機関と話合いをいたしまして、その半年期間に総額何ぼまでの保険をやるという総額契約をいたすのであります。例えば或る金融機関と半年間に一億円までの一つ保険の枠を設定する、そうするとその一億円の枠が一ぱいになるまでは、その金融機関信用保険に通知をすることによつて保険が成立する、つまり包括予定契約というものをいたすのであります。それが一定金額に達するまでは金融機関特別会計に、今度誰々を相手にして何千万円の、何千万円はございませんが、何百万円の金を貸した、これを保険に付けるという意思表示をいたしますると、その枠一ぱいまでは自動的に保険が成立するという意味のことであります。
  18. 小林英三

    小林英三君 そうすると政府は、今度の無尽も入るでしよう、相互銀行も入るのでしようが、そういう各全国金融機関、或いは無尽その他とそれぞれなんですか、お前の銀行は幾らまでが限度だ、一定金額だというように限度をそれはきめるんですか。
  19. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 各金融機関希望の申入を取りまして、それによりまして枠をきめておるのでございます。
  20. 小林英三

    小林英三君 そういたしますと、その同じく第三条の第三項にありますように、「政府は、第一項の保障関係における保険価額総額金融機関を通ずる合計額が、会計年度ごと国会議決を経た金額をこえない範囲内でなければならない。」こういうことがあるのですが、そうするというと、政府のほうで会計年度ごと国会議決を経た金額に達したかどうかということを政府が察知するといいますか、もう駄目だということを知るにはどうして知るんでしようか。
  21. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) つまり今お読み上げになりましたその三条三項の金融機関を通ずる合計額と申しますのは、予算総則できめられておりますところの信用保険総額でございます。二十八年度で見ますれば、金融機関関係におきましては年間二百四十億、指定法人関係は百八十億の枠が、この今年度の予算総則にきめてあるのでございます。その枠を我々は一応持つておりましてそうして各金融機関種類別団体がございますから、その団体に対しまして我々のほうから案内状を出しまして、今度信用保険として各金融機関がどれだけの枠を希望するかを連絡してもらうわけであります。そうすると各金融機関自分は一千万円、或いは自分は一億円というように、枠の希望特別会計のほうに申して参りますから、今申上げましたように年間金融機関について申上げますれば二百四十億でございますから、上期から見まして百二十億一ぱいになれば金融機関希望をそのままとつてやるわけであります。百二十億を超えれば、それはまあ現在まで超えたことはございませんが、超えたときはもう按分でもするということになろうかと思います。
  22. 小林英三

    小林英三君 そうすると一方におきまして、第一項において、その金融機関との間に一定金額をきめる、そうすると例えば今お話のありましたように、二十八年度におきましては金融機関関係は二百四十億円、指定法人は百八十億円というものを各金融機関に連絡をする、機関に諮つてそれを大体分配するのですか。各金融機関ごとに分配するのでしようか。
  23. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 希望を募るのであります。
  24. 小林英三

    小林英三君 希望を募るのですか、わかりました。そういたしますと、今お話のように、現在のように保険、この信用保険を利用する者が少いような場合には、常にいつでも申込まれた場合は、それはやつて行けるわけでしようが、これが盛んに信用保険を利用するという時期に達しました場合において、政府がもう国会議決を経た金額を超えたかどうかということを知るにはよほどむずかしくなりはしませんか、ほうぼうから申込みがあつて……。
  25. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) この枠は期の初めにもう、いわゆる希望によつて分けてしまうのでありますから、それぞれの金融機関のほうで枠一ぱいまで実際に保険契約を結ぶわけでありまして、現在までのところは、今年の上期は百二十億に対して百十二億の金融機関からの申込があつたわけであります。若しこの金融機関申込がどんどん殖えて来ますれば、これは予算総則できめるのでございまして、現実の予算ではございませんから、この枠を拡げることは比較的容易なのでございます。金融機関からの申込がだんだん殖えて来ますれば、この枠をそれに応じて拡張して参るようにいたしたい、こう考えておるのでございます。
  26. 小林英三

    小林英三君 そうすると今お話のように、最初希望によつてその最初限度申込を受ける、こういうわけですね。そうすると今度はそれがこういうことになりはしませんか。希望によつて受けておつてもその希望従つてそうした或る一定金額をきめておつても、その金融機関はそれに達しないということがある、或いはほかの方面においては足らないということがあるというようなことはないでしようか。
  27. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) それは当然あるわけでございます。例えば商工中金は五十億円の枠を与えた、或いは日本相互銀行は五千万円の枠だというような場合に、商工中金は四十億円の実際保険をとつた日本相互銀行は五千万円だつたがもう一億円やりたいが枠が五千万円だからあとの五千万円は打切つたという現象を呈することがあるわけです。その場合に日本相互銀行が仮に五千万円ばかり来た、もう一億まで殖やしたいと思えばその希望特別会計に申入れて来るわけです。その場合に我々のほうとして、総額に余裕がありますればその五千万円の保険契約を更に一億円に増加してやるわけであります。
  28. 小林英三

    小林英三君 ただ私ども心配しておりますことは、初めに一定金額を、各金融機関申込によつて応ずるということになりますというと、この保険が高度に利用せられるという場合になりますというと、少し水を増して余計に取つておこう、一定金額を余計に政府と約束しておこうというようなことになると、実際問題として一方の銀行は余つて行く、一方の銀行は足らないというようなことの調整はどうやつて図りますか。
  29. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) それはまあ過去の実績等から見ましても大体の見当はつきましようし、これを抱え込んでおいても一文の得も行くわけのものではございませんから、大体すでにやりました実験から見ましても余り不必要に抱え込むということはないのでありましてむしろ足らんでこれを枠を拡張してくれという追加の申込のほうが実際あるようでありますから、実情は都合よく運ばれているものと我々は考えているわけであります。
  30. 小林英三

    小林英三君 そうすると現在の状況としては申込によつてやるのですからして金融機関は全然申込まないところもあるわけですか。
  31. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) それはあり得るわけですね。
  32. 小林英三

    小林英三君 あり得るわけですね。そうすると、将来、今のところはまだ利用者がこの表にありますように少いからいつでもその苦情はないわけでありますが、高度に利用するようになつて来ますというと、ただ単に最初申込のみによつて応ずるのでなしに、場合によりますと金融機関の力というものを十分見込んで按分するというような状況も起つて来ると想像していいわけですね。将来において……。
  33. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) まあ民法上の契約でやつているのでありますからこの金融機関を締め出すということはどうかと思うのでありまして、希望する人は全部こちらとしては受入れるという体制にやつておくほうがよろしいのじやなかろうかと思つております。二十八年上期におきまして、この保険特別会計と包括契約を結びました金融機関の数は三百七十四金融機関に相成るのであります。   —————————————
  34. 加藤正人

    理事加藤正人君) ほかに御質問ありませんか。  それでは次に輸出信用保険法の一部を改正する法律案の質疑に移ります。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 加藤正人

    理事加藤正人君) それでは質疑を願います。  それでは今日は質疑をやめまして、現在の実績について説明をして頂きます。
  36. 小林英三

    小林英三君 その前に第一条の目的でありますね、その目的を読んでみただけじやわからないのですね、どんなものか、この法律だけじや……。
  37. 加藤正人

    理事加藤正人君) それではまあその辺から一つ……。
  38. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ではこの現行の各種の輸出保険の概要について御説明申上げます。実は現在輸出保険と申しましても四種類ほど実は実施をいたしておりますので、それから又今度新らしく輸出手形保険というようなものを実施することに相成つておりまするので、それの大体の概念を御了解願うという意味におきまして簡単に説明さして頂きますと、いわゆる現在は甲、乙、丙、丁と四種類保険を実施をしておるわけであります。今回の改正案におきましてこの甲、乙、丙、丁という名前を先ず普通輸出保険、これは甲種保険でありますが、これを普通輸出保険、それから乙種保険を輸出代金保険、丙種保険を輸出金融保険、それから丁種保険を海外広告保険というようにまあ名前を変えるわけであります。その現行の四種類保険のほかに輸出手形保険を創設をしたいというわけなんであります。そこでこの現在のいろいろの契約の概要に入ります前に、これは現行制度でありまするが、大体甲、乙、丙、丁というようなものがどういう差があるのかというような点から、ちよつと甚だ常識的な説明になつて恐縮でありまするが、説明をさせて頂きますと、先ず甲種保険と申しますものは、今度の普通輸出保険でありますが、これはいわゆるこの輸出業者なり或いは又特定の生産者がこの輸出契約をいたしましてから後、船積みをいたしますまでの危険、その危険もいわゆる非常危険と申しまして、相手国におきまして例えば戦乱とか或いは動乱が起るとか、或いは為替管理或いは輸入の制限があるとかいうふうな、いわば人力で如何ともいたし方がないような、そういう非常危険が起りますことによつて積出しもできず、金も取れないような場合に保険をすると、こういう式が現在の甲種保険でありまして、これは先ず保険会社とそれから輸出業者であるとか或いは特定の生産業者の間に契約をいたしまして、政府がその保険会社から再保を受けておるという式のものであります。  それから乙種保険、今度の輸出代金保険と申しますのは、いわゆるプラント類の輸出業者がいわゆる物を積出してから後におきますところの危険について保険をするわけでありますが、これはいわゆる保険会社を中に入れませずに政府と輸出業者とが直接契約をいたすわけでありまして、その保険をいたします危険の範囲も甲種保険の場合はいわゆる非常危険だけでありまするが、乙種保険の場合はいわゆるこの信用危険、まあ相手方がこの金をよう支払わないというふうな、いわゆる信用危険も含めまして非常危険並びに信用危険によりまして輸出代金が回収不能になる場合の保険であるわけであります。  それから輸出金融保険、いわゆる今の丙種保険でありますが、これは銀行政府契約関係になるわけでありまして、或る特定の例えば農産物等の集荷資金銀行が融通をした、ところが輸出がうまく行かずに銀行としては代金の回収ができないというふうな場合に政府銀行に対して補填をするのでありまして、いわば集荷資金に対しまして政府銀行に対して補填をする、その結果として間接的な利益を貿易業者が受けるという式のものであります。  それから現在の丁種保険、これは今度は海外広告保険と名前を変えるわけでありますが、これはいわゆる広告をせんとするその貨物の生産者が直接政府保険契約に立つわけでありますが、これはいろいろの広告費用を使つたという場合に、輸出をした結果広告の費用の回収すらできなかつたというふうな場合に、政府がそういう広告をした貨物の生産者に保険をするわけであります。  それから、それがまあ大体現行の四種類保険でありまするが、今度新らしく輸出手形保険というものを創設せんとするわけでありますが、これもこの現行の丙種保険、いわゆる輸出金融保険とほぼ同様の形態といいますか、恰好になるわけでありまして、保険関係政府といわゆる為替銀行との間に保険契約をいたすわけであります。一言で申しますと、従来は貿易業者が輸出をいたします場合には信用状というものが向うから参りまして、それによつて為替手形の買取りを銀行にしてもらうといういわゆる標準決済でやるのが原則であつたわけでありますが、最近のような情勢、特に海上との競争が非常に多くなるというようなことになつて来ますと、いわゆる信用状が参りませんで、いわゆる荷為替手形を組んで貨物を向うに送るという場合がかなり多くなりつつあるわけであります。その場合におきましてはいわゆる向うから信用状が参つておりませんので、輸出業者がその貨物を向うに輸出をいたします場合においてその荷為替手形銀行が買取つても果してその支払期日に現地の業者から金が入るかどうかという不安があるわけであります。そこでその不安を解消いたしますために、そういう荷為替手形を買取つた為替銀行に対しまして、輸出手形が不渡りになつたような場合におきまして、政府が為替銀行一定金額の補償をせんとするものでありまして、いわゆる戦前の輸出補償法は大体これを対象に実施されておつたのでありますが、従いましてこの輸出手形保険を創設いたしますことによつて、戦前の輸出補償法をまあ改正した意味において実施をするということに相成ろうかと思うのであります。そこで保険種類といたしましては、この新らしい保険を加えまして五種類になるわけであります。でこれ以外にもいろいろ保険というものを考えられるのでありまするが、我々といたしましては保険種類を殖やすことよりも現行保険をできるだけ広範囲に利用して頂くほうがよかろうと思いまして、一応差当りのところではこの五種類保険を以てほぼ保険制度としては、百パーセントとは言えませんが、予想される殆んどの事態に対処できるのではないかというふうに考えるわけであります。そこで現在の引受けの状況を現行四種類保険について申上げますと、この甲種保険は昭和二十五年の六月から実施をいたしたのでありまするが、第一年度である二十五年度におきましては点数がラウンド・ナンバーで申しますと一万三千件程度つたわけであります。その保険金額も二百四十億円程度に相成つておりました。而してその保険金の支払も第一年度におきましては四千三百万円程度になつておりました。ところがそれが二十六年度におきましては契約件数は約三分の一ぐらいに減りまして四千三百件程度になつております。それにつれまして勿論この保険金額も減つてつておりまするが、逆に保険金の支払、これは二億七千万円程度に殖えております。これは御存じのように朝鮮事変が勃発し、対中共向けの禁輸を広汎に実施しました結果この二十五年と二十六年におきましてこういうふうに保険金の支払が殖えて参つておるのであります。それから二十七年度、昨年には件数が七百四十一件程度に減つてつておりまして保険金の支払のほうも三千五百万円程度に減つてつたのであります。このように件数だけを比較いたしますと非常に引受件数は減つてつておるということでありますが、これはなぜかような各業者がこの保険を利用しないのかということになりますと、この保険は先ほども申しましたように非常危険を担保するための保険でありますので、ところが二十五年、二十六年におきまして各国の輸入制限等がかなり強化した結果、最近に至りますと余り非常危険の起る可能性というものが比較的少くなつたということの半面、まあ輸出もかなり不振のような状況でありますので、非常に保険料としては安いのでありますが、それでもなお且つそういう保険に余り入りたがらない、というふうなことも手伝つておろうかと思いますが、そこでこの法案とは直接関係がないことなんでありまするが、この甲種保険の利用をできるだけ拡めますために先般来輸出組合を利用いたしまして包括保険というようなものを実施をいたしたのであります。その結果差当り綿糸布輸出組合対象といたしましてその組合員殆んど全部につきましてこの甲種保険を実施をすることになつたのでありますが、この結果といたしまして相当この甲種保険契約額が殖えて参ろうかと思つております。この包括保険の結果といたしまして、実施をするにつきましてはそういうふうに引受件数が非常に殖えますことを見込みまして、保険料のほうも現行基準のものが大体百円について四十銭に相成つておりまするが、これを八銭程度に引下げまして、非常にまあ安く引下げまして、できるだけ保険の利用度を向上せんとしておりますが、今度綿糸布以外の商品につきましても、輸出組合を利用いたしまして、できるだけこの保険の普及を図るつもりで考えております。  それからその次は現行の乙種保険でございまするが、これは二十六年の十二月から実施をいたしておりまして、従いまして二十六年におきましては引受件数僅か一件でございますが、二十七年になりまして五件になつております。保険金の額は七億一千八百万円というふうになつております。これにつきましてはまだ保険金の支払が起つておりません。それから最近のこの二十八年の四月以降からもうすでに契約は一件起つております。この保険につきまして保険料が高いという批判もありますので、この四月から保険料を約半分に引下げたわけであります。今後……。
  39. 小林英三

    小林英三君 幾らですか。幾らになつたのですか。
  40. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 基準の額で申しますと百円について二円なんでありますが、それを一円に引下げた。これは要するに先ほど申しましたようにプラント輸出を中心とした保険になるわけであります。今後この保険料引下げの結果も伴いまして、かなり普及するのではなかろうかというふうに見ております。  それから次に丙種保険でありまするが、これは二十七年の五月から実施をいたしております。二十七年におきましての引受件数は三百八十件ということになつておりまして、保険金の総額は八億一千百万円となつております。保険金の支払が二百二十五万円程度になつております。それから二十八年度に入りましてからも、四月、五月の二カ月で引受件数が百二十八件契約、この保険金額につきまして一億二千八百万円程度に上つております。これは比較的に順調なあれかとも思いますが、なおこの丙種保険につきましては、現在七五%を国が保険しておりますが、あとの残額につきましては大きな府県におきましてはその残りの分につきまして地方庁が保険制度を、追加保険をしているような状況であります。  それから丁種保険は二十七年の六月の十五日から実施をいたしておりまするが、二十七年における引受件数は二件であります。保険金額は四十六万円、これはまだ保険金の支払は起きて参つておりません。今年になりまして四月、五月で一件であります。四十一万六千円の保険金額になつております。  大体簡単でございますが、現状の概要を申上げました。
  41. 加藤正人

    理事加藤正人君) ちよつと御質問申上げます。どうもごうやつて今の資料を拝見しますと、非常に件数が少くて、だんだん又減つて行くような傾向があるので、二件とか、一件とかというようなことですが、これは十分に周知されていない結果だと思うのでありますが、どうですか。
  42. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 確かに御指摘のような周知の足らないという点も我々は認めまして各地方団体、或いは各法人団体を通じまして、できるだけ周知徹底に努めておりますが、今申しました丁種保険、或いは乙種保険等は、いわばややどつちかと申しますと特殊な保険でもございまして又保険制度の特色といたしまして、どうも最初はとつつきにくいというような点もあるわけであります。それはもともと今の輸出の現状から見ましてなかなか貿易業者が楽な輸出取引でございません結果といたしまして、この非常に僅かな保険料でも払いにくいというような点もあるかと思うのであります。今後はできるだけ周知徹底を図りまして、又保険料等につきましてもいろいろ予算の許す限り、我々は逓減に努めましてできるだけ普及を図つて参りたいというふうに考えております。
  43. 加藤正人

    理事加藤正人君) それから今お話でプラント輸出の保険料を半額にされたというようなことがありましたが、これらは非常に結構だと思います。こういうことによつてだんだん契約も殖えるのではないかと思います。諸外国、特に英国は最もこの保険について完備しておるということでありますが、日本と英国のやり方の相違というような点について比較されたことがありますか、又保険料とか、或いは保険の率とかというような点もほぼこんなようにイギリスあたりでもやつておるのですか。
  44. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) イギリスは現在十七種類ぐらい、こういう保険制度を実施しておるそうでありますが、大体大きなものは今申上げましたような四、五種類のようであります。それから保険料のほうはイギリスのほうが現在の日本の保険料よりも若干高いようです。
  45. 加藤正人

    理事加藤正人君) それからもう一つ、大分ほかの種類保険要望されおるものがちよちよいあるようです。例えば従来見込生産によらざるを得ないような製茶とか罐詰、冷凍物というようなもの、又去年でしたか、一昨年でしたか、パキスタンで痛い目を見たキャンセル、ああいうときに非常に損害をこうむつたのてすが、あのキャンセルを対象にしたような保険とか、というようなものについても貿易を促進する上においても今後必要じやないか、こういう点について何か計画はないのですか。
  46. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 今お尋ねになりました第一点、冷凍まぐろ或いはお茶等の集荷金融を補完する意味における保険は、先ほど申上げました現行の大体丙種保険でカバーできるのじやないか、こういうふうに考えております。それから次に、例えばキャンセルを受けた場合、それをカバーする保険とか、いろいろ海外の市場調査に費用を使う、こういう場合に対処する保険につきましては、我々もアイディアとして研究をいたしておるのでありますが、何分海外の信用状態等の把握が非常に、まだ日本の現段階におきましては困難な事情にもありまするので、今後これらの新らしい保険につきましては怠らず研究をいたすことにいたしましてそういう海外のいろいろの信用状況等を、もう少しはつきり調査した上で実施をいたすべきではなかろうか、今の段階において、そういうキャンセルのための保険等実施しましても、逆にいわゆる逆選択と申しますか、貿易業者に変に利用をせられますと、これは徒らに国の負担だけを増加するということになりますので、今後これらのものにつきましては、大いに一つ研究したいと思つておりますが、差当りの日本の現状からいいますと、ちよつと今急には無理ではなかろうかというふうに考えております。
  47. 加藤正人

    理事加藤正人君) もう一つ資料の第一の四に書いてある保険料率、輸出信用保険保険契約保険料率は、この法律によるすべての保険事業の収入が支出を償うように、政令で定めるというふうなことになつているので、例えば民間の損害保険とか生命保険のように、一定保険に対する算数の一つの基準が作つてつたのですが、そういうことでなくて至極大ざつぱな、いわゆる腰溜め式なやり方のようでありますが、これでさつきの資料にあつたように、甲種の保険で二十五年六年、七年、相当赤が出ております。こういうものが、赤が償わないようになつた場合にこの措置を、結局どういうふうに赤の始末をするようになるのか。
  48. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この第一条の四の趣旨は、今御質疑がありましたように輸出信用保険と申しますか、この保険事業が独立採算として、収入と支出が大体償うようにという原則を謳つております。これは先ほどお話もありましたように、場合によれば赤が出ても構わんような運用をするというようなことも考えられるのでありますが、法律の建前といたしましてやはり収入と支出は相均衡してということであつたほうがよろしいのではなかろうか、それは御承知のようにこの種の制度につきましてはとかく海外から、いろいろ輸出補助金政策と混同される懸念もありまするので、従いましてこういういわゆるガット等の国際的な協定等の関係から、そういうことを明確にいたすために、こういう収入と支出は償うのだという結果になつているのでありますが、一年、二年をとつて見ますと、確かに収入が支出よりも多くなる、或いは支出が収入よりも多くなるというふうな場合も一応予想されるわけでありまして、只今お話ありました甲種保険等につきましては、二十五年、それから二十六年におきましては、この再保険料よりも、保険金の支払のほうが非常に多額に上つておりまして、かなり赤が出て参つているのでありますが、併しこれは先ほどもちよつと御説明申しましたような朝鮮事変等の勃発、その後の中共向けの禁輸の強化というふうな点から主としてこういうふうな事態に相成つて来たのでありまして、最近に至りましては、これは貿易業者の側から見れば、いいことが、大分収入のほうが多くなつてつております。例えば全体として申しすと、二十五年、二十六年におきましては赤なんでございますが、二十七年におきましては、やはり収入のほうが支出よりもかなり殖えました結果、その前年度の支出超過がかなり減つてつております。又二十八年度になりましてから、四、五月の二カ月をとつて見ますと、これ又保険料収入のほうが支出よりもかなり殖えておりまして、赤が大分少くなつてつているのであります。まあ或る意味におきましては、又貿易業者のほうから申しますれば、何と申しますか、儲ける必要はないと言われるかとも思うのでございますが、まあこの保険制度の性格といたしまして、やはり長い眼で見れば、収入と支出と一応均衡するという方面で進むべきではなかろうかというふうに考えております。
  49. 小林英三

    小林英三君 先ほどお話のあつた甲種保険のこれは何でしよう、政府の再保険なんですね。
  50. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) そうです。
  51. 小林英三

    小林英三君 先ほど私聞いておつたら、私の聞き違いかもわかりませんけれども、最近甲種保険のほうを、百円で四十銭のやつを八銭に直したわけですね。
  52. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ええ。
  53. 小林英三

    小林英三君 これはいわゆる保険を奨励するという意味からやられたという話なんですけれども、先ほど委員長がお聞きになつたような、第一条の四ですか、収入が支出にマッチするように政令で定めるというふうに書いてあるのですけれども、四十銭のやつを一躍五分の一の何ですか八銭にするというふうなのは、ちよつと我々考えても馬鹿に乱暴な気がするのですが、如何にも不定見のような気がするのですが、どういうわけなんですか。
  54. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) これは今の甲種保険と申しまするのは、ざつくばらんに申しまして、非常危険を保険するということでありまするので、まあ一銭でも五厘でもこういう支出を惜しみます。貿易業者の常といたしましては、なかなか平素は保険をかけませんで、どうも少し雲行きが危くなつてからやる場合が比較的多いのでありまして、で、今度今申しますように、四十銭を八銭に引下げましたのは、いわゆる綿糸布につきまして、綿糸布組合が、殆んど組合員全部について、これは強制ではございませんが、実質上全組合員につきまして、これはいわゆる綿糸布の輸出額から申しますと、たしか七、八割に相成ろうかと思いますが、組合員のやつを全部保険を付ける。組合が責任を以て保険を付けるから一つ保険料が下らんだろうかというお話がありました。我々もそういう引受件数が多くなれば、或る程度保険の値引きと申しますか、保険料の値引きはしてもいいんじやないかと私たちいろいろ計算をいたしました結果、まあ試験的に八銭ということにしたわけであります。従いましてこの結果、又どかどかとえらく保険金の支出が殖えることも予想されるのでありますが、先ほどもいろいろお話もありますように、甲種保険につきまして、最近余り利用率が感心いたしませんので、それと、それから過去の赤がだんだん消えつつありまするが、まあ最近になりまして、保険料収入のほうが支出よりも多いような現状から見まして、まあどつちかと申しますと、試験的にやや乱暴の嫌いはあるのでありますが、五分の一程度保険料を下げましてやつて見たのであります。この結果まあ保険料の遅払いが非常に殖えて、又この会計に赤字を来たすというような場合には、再検討をしなければならないのじやないかというふうに思つておりますが、いろいろそういう普及をいたしますために、どつちかと申しますと、思い切つたような引下げ方をいたしたわけであります。これで果して辻褄が合つて行くか行かんかについては正直なところ自信がないのでありますが、今申しました趣旨で、試験的に一遍やつて見ようというので、思い切つた引下げをいたしたような次第でございます。
  55. 小林英三

    小林英三君 これは、第一条の四にありますように、政令で定めるのですから、通産大臣が利率をきめられるわけですね。そうするというと、今の綿糸布業者が包括的に全部が一緒に足並みを揃えてやろうというので割に安くした。そうするとほかの綿糸布業者以外でも、現在八銭になる以上は、やはり甲種の保険については八銭でやつて行く、こういうことになるわけですね。
  56. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) いや今申しましたのは、原則として四十銭なんでありますが、綿糸布だけは、綿糸布組合とのそういう約束によりまして、全組合員の保険をとるということになつた結果、そういう非常に飛躍的な割引きをいたしたわけでありますが、まあほかの組合につきましても、若しそういうふうな話がまとまりますれば、まあ綿糸布通りにやれるかやれんか、これはいろいろ計算をいたさなければいかんわけでありますが、できるだけ引下げて参りたいと思つております。現在のところは、従いまして綿糸布以外はやはり四十銭という原則を適用しているわけであります。
  57. 小林英三

    小林英三君 やつぱりそういうふうに保険会社にやらしているわけですね。
  58. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ええ、保険会社にやらしております。
  59. 加藤正人

    理事加藤正人君) ほかに御質疑がないようでしたら今日はこれだけにいたしまして、明日のちよつと予報をいたします。  明日は午後一時から通産、経済安定連合の委員会をやります。案件は、一、輸出取引法の一部改正、二として特定中小企業の安定法一部改正、これは提案者の説明を聴取することになつております。それから二時からは経済安定、通産両委員会の連合委員会がございまして、これは独禁法の一部改正について質疑を行います。以上でございます。  それでは本日の委員会は、これを以て散会いたします。    午後四時九分散会