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1953-07-08 第16回国会 参議院 通商産業委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月八日(水曜日)    午後二時八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            加藤 正人君    委員            石原幹市郎君            小林 英三君            西川彌平治君            酒井 利雄君            松平 勇雄君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            海野 三朗君            山口 重彦君            武藤 常介君            白川 一雄君   政府委員    通商産業政務次    官       古池 信三君    中小企業庁振興    部長      石井由太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    大蔵省銀行局特    殊金融課長   有吉  正君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (九州地方水害対策に関する件) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今より通商産業委員会を開きます。  本日は、先ず最初に西日本水害対策に関する件を議題といたします。この際御報告申上げますが、参議院に設けられました水害対策特別委員会においては、先日来連日に亘つて水害対策について審議を行なつております。そして可及的速かに参議院といたしましての結論を出すべく努力をされております現状であります。特別委員会といたしましては第一に応急対策費の問題、第二に恒久対策費の問題、第三に水害対策のための立法措置に関する問題、以上の三点について結論を出したい模様でございます。  そこで本日当委員会におきましては、通産省所管関係について審議をいたすわけでございますが、できますならば本日の審議を通じまして、特別委員会が要請をしておりまするこの三点について当委員会といたしまして、一応の結論を出しまして、必要に応じましてこれを特別委員会に持込むようにいたしたいと存じております。かような点を御考慮の上本日の御審議を進めて頂きたいと存じます。  それでは先ず政府側よりその後の判明をいたしました水害状況並びに今日までの復旧状況等につきまして御説明を承わりまして、次いで通産省といたしましての意図されておるところの復旧対策等について、御所見を承わりたいと存じます。
  3. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今委員長から御指示がございましたので、西日本水害状況につきましてその概要を御報告申上げたいと存じます。  水害状況概要につきましては、先回の当委員会におきまして御説明御報告申上げたのでありまするが、その後入つて参りました報告等に基きまして更に最近のものを御報告申上げたいと存じます。  先ず第一に炭鉱関係でありますが、九州地区におきまして全坑水没いたしました炭鉱が九十四鉱、一部水浪百九鉱、坑外施設破損五十一鉱、坑外浸水六鉱、貯炭流失十鉱、計二百七十鉱でありまして、貯炭流失は二万七千トン、直接被害による出炭減復旧までに三十八万四千トン減の見込であります。この他輸送機関の麻痺、稼働率低下等間接被害による出炭減は大体五十乃至六十万トン程度と予想されております。なお参考のために同地区の本年五月におきまする出炭実績は二百二十万トンでありました。これらによる炭鉱被害金額は約三十七億円でありますが、その内訳は次に申上げる通りであります。設備関係といたしまして九億一千二百五十万円、これは損害金額であります。これに対しまして復旧所要資金額といたしましては、八億四千四百万円程度であります。次に出炭減及び貯炭流失による損害金額は六億四千三百九十万円、その復旧に要する資金額は五億三千六百九十万円。次に送炭不能による損害は二十一億七千九百九十万円、その復旧所要資金額は二十一億七千九百九十万円、同額であります。その計は損害金額三十七億三千六百三十万円でこれに対しまして、復旧所要資金額は三十五億六千九十万円となつております。以上は九州地区であります。  次に中国地区について申上げますと、全坑水没が十二鉱、一部水没が八鉱、坑外浸水六鉱、計二十大鉱でございまして、これらの被害による出炭減は三万トンの見込であります。同地区の本年五月の出炭実績は二十五万トンでありました。被害金額につきましては目下その詳細を調査中でございます。以上は炭鉱関係概要であります。  次に電力関係について申述べますと、九州地区におきましては先ず発電設備について申上げれば九州電力会社関係水力発電停止いたしましたものは三十五カ所、その出力減は十六万キロワットでありました。現にその一部は復旧いたしまして、七月一日現在で十三万五千キロワットとなつております。同地区の七月一日現在の予想水力出力は三十五万五千キロワットであります。なお八月末までには復旧見込であります。又目下建設中の夜明発電所、この基礎が破壊されましたので、その完成が、予定は二十八年八月になつておりましたのが、二十九年の一月に延びる見込でございます。同じく九州電力火力発電につきましては大門の発電所出力は一万六千キロワットでありますが、これが浸水によつて運転が不能になりました。次に送電設備鉄塔流失しましたものが五十基、鉄塔が傾斜したのが十五基、鉄塔倒壊が三基。配電設備につきましては、電柱の流失が約四千本、欠損が二千本、倒壊が二千五百本、傾斜六千本。断線につきましては高圧三千カ所、低圧三千八百カ所その他いろいろございますが、あとは省略いたします。復旧に要しまする費用の総額はこれも各設備別調査できておりますが、省略をいたしまして、合計十億四千万円となつております。これは被害金額同一であります。なおこの中には公営並びに自家用の発電関係は含んでおりません。  次に中国地区について申上げますと、電力施設被害は比較的軽微であります。現在までに判明しましたところでは、送電設備鉄塔が一基傾倒したほか建設中の水力発電所四カ所に若干の損傷があつた程度でありまして、その復旧は約五百万円程度見込まれております。  第三に四国地区につきましてはその電力施設被害も比較的軽微でありまして、変電所が十五カ所破損した程度であります。  更に進んで、ガス関係について申上げますと、西部ガス熊本門司、八幡でありますが、その被害合計五千万円見込まれております。大牟田ガスは二百万円の損害見込、久留米、別府ガス下関ガス、いずれも、軽微であります。これらガス関係復旧所要資金額は五千二百七十万円と見込まれております。  第四番目に、一般商工業関係について申述べますと、九州地区におきましては、先ず門司地区が山津波の襲来によりまして、被害は、最も大きく、神鋼金属日本セメント門司工場等は、土砂の埋積が三尺乃至六尺に及んでおります。神鋼金属復旧までに、十三日を要しまするが、これによつて伸鋼品百五十トンの生産減見込まれております。日本セメント門司工場復旧までに一カ月を要する見込であります。セメント二万一千トンの減産見込まれます。次に小倉地区では東芝電気浸水のために被害が大きく、そのガラス工場復旧までに1カ月を要し、同電球工場は未だ復旧見込が立たないような状態であります。これによつて電球百二十万個、バルブ四十万個の減産見込まれております。その他十条製紙、東洋陶器小倉製鋼、東海鋼業、大阪曹達等には浸水した被害があります。この地区におきましては、大企業よりも中小工業の受けました被害は一層大きいのであります。八幡地区につきましては、八幡製鉄はクキオカ第二、第三、第四の一品高炉が減圧し、第三製鋼平炉停止等被害があり、これによつて銑鉄約二千トン、鋼塊約四千トン、鋼材約五千トンの減産見込まれるのであります。安川電機は浸水のために設備機械を一部移動しました。その他は軽微であります。大牟田地区は殆んど被害がありません。熊本地区日窒自家水力発電に若干の被害がありましたが、生産には影響はありません。熊本市内中小機械工場被害は、相当大きいのであります。久留米地区におきましては、日本ゴム浸水のために十三日間操業停止し、日華ゴム被害は比較的軽微でありましたが、五日間操業停止しました。ブリヂストンタイヤも一部浸水のため五日間の操業停止中小織物業者、いわゆる久留米絣、及びタオル業者等中小ゴム工業、その他中小工業者被害相当大きいものと考えられます。日田地区中小木工場相当被害がありました。佐賀地区には大和紡味の素等企業被害は比較的小さいのでありますが、中小工場被害相当甚大であります。  これら工場被害金額復旧所要金額とを、大企業中小企業別におおむねしたためてみますとる、次のようであります。大企業設備関係被害金額としましては、三億四百八十万円、これに要する復旧資金が二億二千百万円、(それから原料製品関係被害が一億八百二十万円、これに対して復旧所要資金が八千六百五十万円、生産減による損害が十億三千五百万円、その復旧所要資金が七億六千七百万円、合計被害が十四億四千八百万円で復旧所要資金が十億七千四百万円となつております。中小企業関係では、設備関係が二十七億八千五百二十万円の損害に対しまして、復旧所要資金としては、二十二億一千万円が、見込まれております。原料製品関係損害は三十二億一千二百万円、これに対して復旧所要資金は二十五億五千万円であります。その合計損害五十九億九千七百万円に対して復旧所要資金四十七億六千万円という数字が出ております。  次に九州地区一般商業について申上げますと、商業の被害状況は極めて大きいのでありまして、その被害金額及び復旧所要金額等はおおむね次に申上げるようであります。無論これは極めて概算でございますからさよう御了承願います。設備関係として被害金額は五十二億五千七百万円、その復旧所要資金は二十六億、商品関係が百三十六億三千万円の被害に対しまして復旧費といたしましては約百億であります。合計いたし、我して被害金額が百七十八億八千八百万、復旧所要資金が百二十七億、かようになつております。  中国地区及び四国地区商工業関係被害は比較的軽微であつたようであります。  次に、鉱山炭鉱以外のものについて申上げますと、九州におきましては大分県の玖珠地区玖珠鉱山被害が最も大きく、全抗水没して損害は三千万円、復旧には六カ月を要する見込であります。更に玖珠地区九重山鉱山相当被害見込まれるようであります。その他福岡県の八女鉱山、これは鉱滓ダムが決壊いたしました。河東鉱山、これは坑内の水没、鹿児島県荒川鉱山、これも坑内浸水であります。これらの被害がありました。これらの鉱山被害金額復旧所要金額設備関係被害金額六千二百九十万円、復旧所要金額六千二百九十万円、同額でございます。生産減に対しましては被害が三千三百万円、復旧所要金同額であります。合計を申しますと、九千六百万円となつております。中国地区につきまして目下調査中でありますが、大きなものはない見込であります。  大体以上が概要でございまして、更に詳しい点につきましては御要求によりまして御説明を申上げるなり、或いは、資料を御提出申上げて差支えないと存じます。  大体以上が今日判明しておりまする被害状況でございますが、これに対しまして政府といたしましては御案内のように西日本水害総合対策中央本部を設けまして各関係省関係局長がその幹事として殆んど毎日集まつて被害対策を講じておるような次第であります。通商産業省所管の問題につきましては、なお関係省折衝中のものが相当あるのでありまするが、今我々がかような対策をしたいと考えておりまする点、或いはきまつた問題はそれにつきましてもここでその要点を簡単に御説明申上げたいと思います。  先ず第一に炭鉱関係といたしましては、何と申しましても中小企業に属する炭鉱が多いのでありまして、それはのちに申上げまする一般中小企業対策と大体重複する点もあるかと存じます。先ず資金の面の対策といたしましては設備資金に対しまして復旧のために要する資金九州地区は十一億四千百万円、中国地区が八千八百万円、合計で十三億三千九百万円の見込でございまして、これに対しましては、先ず第一に商工中金その他に対しまする政府資金預託金の増加を考えております。これは今のところ大体四億円増加することに決定いたしております。次には中小企業信用保険の枠を相当拡大をいたしております。更に中小企業信用保険保険料を現在三%でありまするものを一%は国が負担し、一%は地方公共団体が負担するという建前にして、金融機関には一%に減免をすることにきまりました。更に府県の信用保証協会を一層活用する方針の下に指導しておりますることは申上げるまでもありません。それから次に運転資金対策でありますが、これは今なお折衝中の問題が多いのでありまするが、第一に日銀によりまして積極的な融資斡旋をやつてもらうこと。それから手形の期限をもう少し大幅に延長するようなことを講じたいというのでこれは検討中であります。更に貸付金の条件を例えば据置期間だとか、或いは返済期間、これらについて相当に緩和するようなことを考えたいと存じてこれも関係各省折衝中でございます。それから生業資金対策といたしましては以上の設備資金運転資金に対する対策によるほか更に再起不能のような気の毒な炭鉱に対しましては、炭鉱従業員救済対策としまして災害救助法第二十三条の適用によつて生業資金を確保することといたしております。  以上が資金の面でありまするが、次に輸送の面といたしましては炭鉱設備被害による直接の出炭減は約三十万トンでありまするけれども、山元と港頭との間の貨物の輸送力の減少のために間接の出炭減が約六十万トンと見込まれておりまするので、早急に国鉄の輸送力を平常まで回復するの必要があるのでありまして、国鉄の復旧予定従つて今後の送炭状況の見通しを申上げますと次の通りになります。筑豊本線は七月十六日—二十日までのうちに一六%の送炭、同じく二十一日—二十五日までに二五%、二十六日乃至三十一日までに四〇%、八月一日—十五日まで七〇%、こういうような計画なつております。筑豊本線これは原田、内野経由の分であります。七月十二日乃至十五日の間に五〇%の送炭を実行する予定であります。唐津線は七月十二日—十五日までの間に五〇%、十六日乃至二十日の間に八〇%の送炭の実行ができる予定であります。筑後線は七月の十二日に八〇%、十三日—十七日に五〇%、十八日乃至二十二日に八〇%の送炭実施見込であります。次に産業道路の急速な復旧受益者負担金の免除という問題がありますが、これは各関係の県並びに現地に出張しておりまする建設省関係の係官との間においてその具体的問題に応じて適当に措置されておるのであります。それから次に電力対策について申上げますと、保安電力並びに復旧用電力の配分につきましては万遺憾のないように現地において手配済みでありまするが、更にそのほかに特別大口業種別配分計画を変更すること。特別大口割当枠の一部大口乙並びに甲の炭鉱への転用というようなことを考えております。坑木の対策といたしましては復旧所要坑木につきましては国有林官有林を早急に払下げるように石炭局長名を以ちまして林野庁長官に書面によつて依頼済みであり、林野庁にでも了承済みでその線に沿つて尽力してもらつておるのであります。次に鉱害対策といたしましては特別鉱害に約六十億円、一般鉱害約二百三十億円、計二百九十億円というのがこれが全国における鉱害でありますが、このたびの災害はこれら鉱害地に競合しているものも相当今多いと思われるのでありまして、六月三十日石炭局長の代理として係官を現地に派遣しその調査並びに処理に当つておるのであります。特別鉱害の未復旧家屋八千戸のうち二千戸を早急に復旧する必要がありますのでこの復旧は約五億円は本年度特別鉱害特別会計財源を以てしては如何ともしがたいのであります。又納付金の引上げによる特別会計財源確保も困難でありまするので、緊急策といたしまして特別会計への国庫補助乃至は融資方を要望して来ておりまするのでその点は大蔵省に申入をいたして今折衝中でございます。  以上を以ちまして炭鉱関係は一応終了いたしまして次に電力関係について申上げます。電力関係資金対策といたしましては九州電力会社関係被害金額及び所要復旧資金は大体十三億四千六百万円と見込まれておりますが、うち約二億七千六百万円につきましては社内予算変更等によつて捻出できるのでありまするが、残余の十億七千万円につきましては金融機関融資が必要となりまするので、その融資について今大蔵省並び日銀当局話合いを進めております。復旧用の資材につきましては大体順調に進められております。すでにその一部は関西方面から船便で手配をしておるのであります。電力需給対策といたしましては、水力供給力は、七月一日現在の出力減は先ほど申しましたように約十三万キロでありまするが、その全部復旧をみまするのは八月末の予定でありますのでそれまでどういうふうにして復旧するかという段階を申上げますと、七月五日には一万九千三百キロ、七月十五日に四万二千キロ、二十日に五万キロ、七月三十一日に七万八千四百キロ、八月十五日に九万六千六百キロ、三十一日に十二万三千六百キロ、こういう計画の下に着々復旧の工事を進めておるような次第であります。次に火力供給力につきましては大門発電所停止によりまして出力減は一万六千キロでありますが、大体この月の半ばには復旧が完了する予定であります。なおその間は応急措置といたしまして火力発電所をフルに運転すること、更に中国地区から受電の増加ということによつて応急の切抜けを策しておるのであります。火力発電用の炭につきましては六月末現在の貯炭が二十六万トンであります。これは約六十四日分の貯炭数字でありまするから前述の通り火力発電をフルに運転しましてもその石炭繰りにつきましては支障がない見込であります。それから夜明けダムにつきましてはこれは相当被害を受けたのでありまするが、これは細かく亘りまするので一応只今省略はいたしますが、あとで又御質問がありますれば詳細な御説明を申上げたいと存じます。  次にガス事業関係でありますが、復旧資金が大体五千二百七十万円でありまして大体自己調達ができると思いますが、どうしても自己調達のむずかしい分は金融機関融資斡旋をいたしたいと考えます。  一般商工業対策といたしましては大企業関係はこれは主として市中の金融機関から融資を受けるように大蔵省からその銀行に対しまする指示をしておるのであります。  輸送対策といたしましては、復旧用の、主要資材、即ち鉄鋼、二次製品、木材、セメントにつきましては、優先輸送をするように運輸省に話をし、協力を得ております。  それから労務者住宅復旧のための措置といたしましては、住宅金融公庫の貸出枠の増大、その他について建設省話合いをしております。労務者用加配米に関する措置といたしましては、食糧事務所その他と折衝いたしまして大体必要なる加配米を確保いたしております。  次に中小企業関係としましては、資金対策として商工中金融資枠を約十億円程度拡大することに、大蔵省折衝をして、大体これはできたのであります。それから利子の国家からの補給という要望がありましたが、これは今、直ちに困難な事常もありますので、取りあえずは只今審議願つておりまして成立すると希望しておりまする中小企業金融公庫から六分五厘の金を中小企業に廻したい、かように考えております。なおその公庫ができ上つて活動するまでは開銀から暫定的な臨時措置として同一の金利によつて貸付をするように計らいたいと考えておるのであります。それから中小企業信用保険保険料普通料率の三分の一とすることは先ほど炭鉱の際に申上げましたと同様でございます。それから復旧主要資材輸送につきましても、大企業の場合と同様に、やはり優先輸送方運輸省話合いをつけたのであります。労務者住宅対策につきましても、大企業と同様であります。  最後に鉱山関係について申上げますと、これはやはり中小鉱山が多いのでありますから、一般中小企業資金対策と同様な方法を以てその面倒を見て行きたいと考えております。その他道路修理等につきましても、それぞれ道路管理者に対しまして、早急な修理方を当省としても申入れまして、産業の活動の一日も早く回復することを念願しておるような次第であります。  以上は極めて概略の今日まで考えておりまする、或いは決定いたしました対策を申上げたのでありまして、これらにつきまして、なお、詳細なる点は、政府委員からでも御説明申上げられまするので、これは御質問に応じて一つ、申上げさして頂きたいと思います。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。これはお配り願えませんか。
  5. 古池信三

    政府委員(古池信三君) この資料は、今私持つておりますのは、相当変更を要する点がありますので、いずれこれを正確なものに直しまして、そこでお配りをいたしてよろしいと思います。
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは一つ御質疑をお願いいたします。
  7. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 只今の政務次官の御報告で大体のところ、わかつたのでありますが、復旧資金について見ましても、電力関係は十三億ばかりで、それに対して自己資金の捻出、それから更に残余は十億ばかり、特に政府関係から融資の途を図るというようなことでありますが、電力は特に重要性を持つておりまするから、当然かと思うのでありますが、大企業も大体市中金融機関斡旋をして、それぞれ融資の途を講ずるというのでありますが、中小商工業関係を見ますと、この配られた表から見ましても復旧所要資金工業関係で四十七億六千万円、商業関係で百二十七億一千万円ばかりでありまして、合計すると百七十四億になるのでありますが、それに対して僅かに、商工中金に十億ぐらいの増額ということでいいんでありましようか。余りに他の方面との掛離れが、ひどいと思うのでありまして、その点について、どういうふうにお考えになつているか伺いたい。
  8. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只会お尋ね誠に御尤もなことでありますが、電力関係とか大企業のほうは比較的その数字も早く使えまするし、又従来市中金融機関との取引もありまするので、割合に早くできると思うのでありまするが、中小企業関係は何分にも数が多く、又その調査等にも相当ひまがいるだろうと思うのであります。そこで只今申上げました対策は本当の応急対策でありまして、取りあえずそういう対策をしておりますが、なお今後事情がだんだん詳細に判明するに従いましてそれぞれ中小企業者の御要望に応えて、できる限り国家としましても便宜を払うように努力をいたして行きたいと考えております。
  9. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 被害のほうは大体確定しているんじやないでしようか。従つで復旧資金のほうはどれくらい要るということも大体確定して来ておるんじやないでしようか。
  10. 古池信三

    政府委員(古池信三君) お尋ねのように、先ほど御説明いたしたのでありますが、その金額の正確なところは何といいましても中小企業のことでありますから、一々当つて詳しく調べ上げたというのではなくて、大体の概要を大掴みに計算して見たわけでありまして、その辺のところはこの電力関係等はきちんとした数字が出ておりまするのでいささか様子が違うと存じます。
  11. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 いずれにしても千億は余りに少いので、今後増額することができると承知しておいてよろしいでありましようか。
  12. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 勿論そういうふうにいたしたいと思つて極力努力をいたしております。
  13. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 信用保険料を三分の一に引下げられたのでありますが、金利のほうについて特別の低利で融資をする、或いは政府のほうでこの際利子補給をするというような御研究はないのでありましようか。
  14. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 国家の利子補給につきましては、一応我々もすでに考えまして大蔵省とも折衝をしておるのでありまするが、まだ今のところ大蔵省の同意を得ておらんのであります。そこで先ほど申上げましたように、取りあえずの措置としては中小企業向けの金利を一割のものを六分五厘程度に引下げて、結局三分五厘は国が面倒を見るということに取計らうと思うのでありますが、そういう措置を取りあえず講じたいと思つております。
  15. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 なおこの際緊急を要する関係から、いわゆる日銀の別枠の増額をこの際図られていいんじやないかと思うのですが、これについてどういうふうになつておりましようか。
  16. 古池信三

    政府委員(古池信三君) この問題も日銀とは折衝を続けておるのでありますが、一応日銀の見るところでは大体現在の枠で間に合いはせんかということを考えておるようでありまして、どうしてもそれで間に合わんということになれば、枠の拡大は当然考える、こういうことになつております。
  17. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 先ほどお話しましたように、百七十四億のところを十億くら出るというのではとても足らんであろう、増額も今後必要であろうし又そうもしようというふうな御答弁でありまして、そういつた点を睨み合せますと、これは火急を要する関係が多いと思いまするので、政府が出すこともさることながら、これと並行して日銀で別枠の増額を至急に交渉してもらうことをお願いしたいと思いますが、如何でございましようか。
  18. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今お尋ね誠に御尤もでありますので、そういう点につきましても今後なお引続いて折衝をいたすつもりでおります。
  19. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 金融に関連いたしましてもう一つの大きな問題は税の減免関係だろうと思います。それについて今までのところどういうところまで大蔵省等との折衝上進んでおるのでありますか。
  20. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これは専ら大蔵省関係の問題でありまするが、一応かような災害の場合の減免の措置についての法制が遅れていた関係がございまするが、それによつてとにかくやろうと、こういう段階でございます。
  21. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この税の減免について大蔵省も勿論研究はしてくれていると思いますけれども殊に中小企業関係になりますというと、これは通産省特に中小企業庁に熱を入れてやつてもらわなければなかなかその実態の把握が困難であり、従つてこれに対して特別措置を講じにくいと存じます。殊に中小企業庁のほうから実態把握をせられ、そしてその線に沿つて具体的に折衝を推進してもらうようにお願いしたいと思いますが、これについて如何でありますか。
  22. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 全く只今の御意見御同感でありまして、是非我々にもそういうふうにしたいと考えております。
  23. 西田隆男

    ○西田隆男君 この表を見ますと大体に大企業に属するものは電気と工業の中の僅かな部門であとはほとんど全部が中小企業に属するものですが、豊田さんから今お話がありましたが、炭鉱のほうに十二億円、中小企業に二十億が今のところ早急には予定されておる数字のようですが、大体これくらいの金をどういう条件で貸出をされるのか、それを一つ詳しく御説明願いたいのであります。
  24. 古池信三

    政府委員(古池信三君) この金額の枠につきましては先ほど豊田さんの御質問にお答えいたしましたようにこれは取りあえずの枠でございまして今後中小企業関係につきましても必要に応じてできる限り拡大して参りたいと思いますが、その貸出の際の条件等につきましてはいろいろあると存じますので、政府委員から説明願います。
  25. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 只今政務次官よりお話がございましたように応急措置といたしましては、或いは政府預託金を預託し或いは手形交換の延期の措置を若干やはり応急措置をいたしておるわけでありますが、恒久的な措置といたしましては災害復旧等でございますから相当長期資金をそれぞれ仰がなければならんということに相成るのでございます。この長期資金を出しまする形といたしまして只今審議をお願いいたしておりまする中小企業金融公庫の操作によつて資金を出そうといたすのでございますけれども、これは通常の場合の融資と違いまして只今お話のございましたように金利を低減いたしますのみならず非常にたくさんの中小企業者が災厄をこうむつておるわけでございますのでやはり相当広範囲に資金が流れ渡ることを期待いたさなければならん関係上その一件当りの貸付金額等も相当小さな額に、申し換えますれば中小企業金融公庫におきましては一品一千万円までの貸出を業務としてやるのでございますけれども今回の災害の場合の低利で貸しまする分は一定の金額を押えるということをいたすつもりでございます。それから第二に貸付の期間でございますが、これは公庫一般の例、即ち期間といたしましては五年程度までの資金融資するという考えでございます。それから利息は只今政務次官から六分五厘というお話がございましたように、大体その線に落ちつくと思うのでございまするが、まだ交渉中のところでございまして若干の率についての異同があるやも知れんということをお含みおき願いたいと存じます。
  26. 西田隆男

    ○西田隆男君 観念的には今あなたの説明でわからぬことはないですがね。この表を見てみても中小企業の中の設備関係で、企業のほうで二十二億、商業のほうで二十一億ですか、こういう大きな被害なつておる。この貸付の予定ですが、この金が要る。今あなたのおつしやつたように、極めて範囲が広いから金額が少くなるということになりますと、受取つた金が、設備の改善にも使われなければ、商品の仕入にも使われない。結局名目はどういう名目で貸されても、実質的には役に立たないという結果が得てして生れ勝ちなものです。こういう災害のときにはそこで状態がはつきり掴めるとか掴めぬとかいうことではなくて、大体この表に掲げたような枠が一応見当がついたならば少くともこの表に出ておるだけの全額は早急に設備なら設備として、商品の損害なら損害として商品を仕入れる金としてお貸しにならなければ私は意味をなさんと思います。今あなたのおつしやつたような僅かな金が人々に災害の度合に応じて平均的に配ばられるそれは結局中小企業設備の改善にも使われなければ商品の買入にも使えない程度金額なつてしまう。という虞れが多分にあると考えられるのですが、それはもつと通産省としては大蔵省のほうに強力に折衝をして少くともあなたがたがこの委員会に出された表に出ておるこの貸付限度までの金額は第一次の設備設備、商品の仕入は仕入ということで貸付をしてもらわないとこれは実際の災害復旧にはならんと思います。
  27. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 只今西田先生のお話の、設備のことであるから相当まとまつた金が要るのだ、それに十分な金が行かなければ設備ができない、という誠に御尤もなお話でございまして、二十万、三十万程度のお金ではでき上らぬ設備がたくさんあるわけでございます。我々事務的に考えておりまするのは例えばでございますが、百五十万円見当ぐらいまでを最高といたしまして六分五厘の、或いは七分になるかも存じませんが、その程度の低利の融資をいたすと同時に、一般のレートによる、一般の率による融資は、これは中小企業金融公庫の通常業務といたしまして、一千万円までの貸出をいたすと、この二本建ぐらいのところを考えておるわけでございます。特に設備資金でございますれば少くとも設備が動いて参れるような量の貸出をいたさなければならぬと考えております。
  28. 西田隆男

    ○西田隆男君 大体今度の災害で、今あなたがおつしやつたように並行してお貸しになれば或る程度の実効は挙ろうと思いますけれども、お貸しになるについても今まで中小企業のほうで貸しておつた金額よりも莫大な金額なつておりますがね。その資金源がこの今の説明では確保できておらないように思われるのです。その点はどうですか。
  29. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) これは公庫の今回の資金は全部で約百億の貸出量があるわけでございますが、この百億を以て賄う予定をいたしておるのでございます。こう申上げますと直ちに、「いや、災害に全部つつ込んでほかへ廻す金がなくなるのじやないか」というお話が出るわけでございます。つまり公庫が出発いたしましたならば、事の緩急といたしまして考えて、災害復旧を特に急がねばならぬという見地から、できる限り多くの資金を同じ中小企業対策の一環といたしましても災害復旧に充てなければならぬと、こういう考えでおる次第でございます。
  30. 西田隆男

    ○西田隆男君 この表で具体的な数字はわからぬと思いますが、大体この貸出の対象になる中小企業者の数はどれくらいに予想されておるのですか。
  31. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 誠に遺憾でございますが、只今私どもその調査を急いでおるのでございます。何戸ぐらいの中小企業者或いは何人ぐらいの工場に対して貸付をやらなければならぬかということを急いでおるのでございまするが、只今のところ正確に中小企業者の数が掴めていないのでございます。本日夕刻になりますれば私どもの調査員が帰つて参りますので大分明らかになるのじやないかと考えておりまするが、その急を要しまする中小企業者の数等とも睨み合せまして金額の限度等は考えたいと思つております。
  32. 西田隆男

    ○西田隆男君 それはわかつてからで結構ですが、それからこのお貸出になり、或いは今までのような、同じような手続を踏まなければ貸せないのでしようか。それとも今度は特別の金利の、災害なんだから方法を講じて、すぐ本人の手に入るような、何か簡略な方法をお考えになつておりますか。
  33. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) これは今までと申しますのは、開発銀行がやつておりました中小企業融資のことをお指しになるのかと思うのでございまするが、今度は特異な場合でございまするので、関係金融機関にもよく災害復旧のための特別融資をいたしまする趣旨を呑み込ませまして、迅速に処置いたさせるような考えであります。
  34. 西田隆男

    ○西田隆男君 この点は特に私お願いしたいのですが、金がない、枠がないということは言いにくいので、貸出についての条件を規律して手続を繁雑にして、そして貸出を故意に遅らすわけじやないでしようけれども、金がないならば貸せんわけなんだから何とかかんとか理窟をつけて、実際の災害復旧に役に立たないような結果になる貸出だけは今度はやめてもらいたい。これはもう一つ古池政務次官にお願いしておきますが、今度のやつは、今政府補償の問題もあつたようでありますが、今度の災害に対する貸付金に対しては大幅に国として何らか、若し貸出の銀行その他に損害を与えた場合においては、払えなかつた場合においては何らか特別な救済措置を国として当然とるべきだと、普通の状態における貸借の関係ではないと、大体言えば金がうんと国にあるならみんな救済資金としてくれちやつてもいいんだというような基本的な考え方で大蔵省折衝をされて、できるだけ金融機関には迷惑をかけないで済むような措置を講じられないと、一般市中銀行から貸出す場合は条件が非常にやかましかろうし、単に商工中金から貸出す場合もなかなかうるさい条件が要つて、感情的に神経衰弱みたいになつている被害者は国の政治のあり方について間違つた批判をするような段階が起きて来ないとも限らんと思うのです。こういう点は政治的に一つよくお考えになつて、大蔵省とも、強力に通産省の考え方も生かしてもらうように一つ御助力をお願いいたしたい。
  35. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今西田さんからの御意見誠に御尤もと存じます。特にかような不測の大被害のありました場合には、その地域の人たちの心理状態というものは通常とは多少変つて来ておるのは、これはもうどこの場合にも例のあることでございますし、又金融機関としましては先ほど仰せになつたような、何とか手続を面倒にして延ばそうとか、少くしようというようなことも、これも想像できないわけでありませんので、そういう両方の事情を勘案いたしまして、できる限り早急に、且つ簡単にたくさんの融資ができるように斡旋いたしますと同時に、国家といたしましても財政の許す限り、かような非常事態でありまするから特別な方法を以て援助をし得るように大蔵省に対しましては折衝いたしたいと存じます。御意見誠に御同感いたします。
  36. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほどの政務次官の御説明で、六頁七頁の所の数字でありますが、被害金額復旧所要資金と違つておりますのはこれはどういうわけでございますか。被害金額復旧金額です。
  37. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これは具体的にいろいろ調べればよくわかると存じますけれども、大体の考え方としましては、損害乃至被害金額被害を受けた全部をここに計上したわけであります。ところが一応その事業を継続して行く上に必要な程度において復旧するためにはこれだけの所要資金が要ると、こういう意味合いで出したわけであります。従いまして必ずしも損害の全金額復旧所要資金とが合わない場合も出て来ると思います。
  38. 海野三朗

    ○海野三朗君 それは生産をこの中に入れてあるのではないでしようか。
  39. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 生産の何でございますか。
  40. 海野三朗

    ○海野三朗君 生産の例えば壊れなければ何トンの鋼材ができるものであつた、それができないというのは入れてありませんのですか、その金高は…。
  41. 古池信三

    政府委員(古池信三君) その損害額の中には、先ほど申しましたように設備関係以外に製品関係、或いは生産減によるもの、こういうふうに分けておりまするので、只今お話のありましたようなのは生産減による損害になるわけです。
  42. 海野三朗

    ○海野三朗君 ああ、そうですか。それから今この金融の問題でありますが、在来の政府の貸方は私どもの地方においては、甚だしきは半年後において却下になつて来た例があるのでありまして、実際の役に立つていないのであります。その点は如何ように政府ではお考えになつておるでありましようか。駄目だという却下されたのが半年もかかつておるのであります。
  43. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今お話のような点は誠に遺憾な話でありまして、貸付をするにしましても、或いはそれを断る場合はなお更のこと早急にその結果を申込をした事業者に通知するのが当然だと思うのであります。このことにつきましてはなお機会のある場合に政府からもよく注意をいたしたいと思います。
  44. 海野三朗

    ○海野三朗君 申請をしてから何日くらいでわかるのでありましようか、今日では。
  45. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これはやはりその工場なり、工場の規模にもよりましようし、又状態の善し悪しというようなことにもよりましようし、結局貸付をする責任を持つておる機関が十分に調査をした上できめるわけでありますから、一概に何日ということはちよつと言えないのじやないかと思います。
  46. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういたしますと、今度の災害地の工場の問題でありますが、赤字々々で返されないような工場も又立ち行かないという工場も皆一様にやられたわけであります。その辺についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  47. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これは要するに金融をいたしまする機関が調査をして、かような災害による赤字につきましては特別に同情的な態度を以て調査もし、便宜を図つてやらなければならんと思います。そういう点につきましては大蔵省当局からも銀行その他にそういう意味の指示が与えられているというふうに私は承知しております。
  48. 海野三朗

    ○海野三朗君 その工場にいたしまとても、銀行で金を貸さない工場もあります。それから又相当つて行きつつあつた工場もあります。そういうふうなところはどういうふうに見分けられるのでありますか。
  49. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 結局これは銀行で申せば貸付担当者或いは審査担当者が現地調査をするなり帳簿の調査をするなりいたしまして、その確認の上において貸付けるかどうか、或いは銀行が貸付けるにしてもその金額をどうするか、いろんな条件もきめて行くわけでありますから、ちよつと政府としてはそこまでは深くタッチはできないと思います。
  50. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういたしますと、その融資をします場合においては災害に会つた工場でその恩恵に浴されないものも出て来るかも知れないわけでありますか。
  51. 古池信三

    政府委員(古池信三君) それは具体的な場合によらないと一概には言えませんけれども、極く最悪の場合を仮定いたしますれば金融の非常に困難な場合も生じないとは限らないと存じます。
  52. 海野三朗

    ○海野三朗君 今度はこの災害地の金融についてではありませんが、先ほどこの資料の提供をして頂きまして、日本全国殆んど何件希望者があつて、そのうち何件金を貸したかという表を頂いたのでありまするが、今度は更にそのうちで資金の回収可能な工場、それから不可能な工場もございましようが、それはやはりお調べになつておるのでございましようか。
  53. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) お尋ねの御趣旨をこういうように了解してよろしいか、私から申上げたいと思います。先頃御要求のございました資料は銀行が何件貸付の申込を受け、どのくらい貸しておるかという資料を提出せよとのお話でございました。これは私どもの手の届きまする商工中金並びに国民金融公庫の状況を示したつもりでございますが、只今の御趣旨は回収したものと回収不能という件数の御尋ねでございましようか。その点を一つ…。
  54. 海野三朗

    ○海野三朗君 回収率でございます。
  55. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 一般銀行の回収率と申しまするものは、これは一件々々についてはわかりませんのでございまして、私どもは金融上の諸統計によりまして、例えば期限切れ貸付と申しますか、期限が切れても回収になつておらないというのが日本銀行の調査によれば一定の数字が上つております。こういうものによつて件数並びに金額等を把握いたしておるわけであります。個々にどういう状況になつておるかは窺い知ることができません。
  56. 海野三朗

    ○海野三朗君 その回収率もよく御調査なつてみれば今まで政府当局が貸したところのやり方において杜撰であつたか杜撰でないのかというのが結果に出て来るわけであると私は思うのでありますが、如何でございましようか。
  57. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 政府関係機関の貸付並びに回収の状況はそれはすべて例えば国民金融公庫について申しますれば、国民金融公庫の決算といたしまして我々会計検査院並びに国会の御承認を願つておるわけでありまして、その辺は極めて明白にやつておるわけでございます。
  58. 海野三朗

    ○海野三朗君 幾ら幾ら金を貸したかという案件、そのうち期限が来たならば返さなければいけない、こういうのですが、その期限が来ても回収し得ないというのがパーセントにしてどんな状況になつておりますか。又その貸付方法が正しかつたか正しくなかつたかということはやはり御当局において御検討になつておるのでありましようか。
  59. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) それは調べてございます。例えば全国で二兆以上の貸付がございますが、これは市中金融という機関による貸付でございますが、そのうち銀行その他は年々いわゆる滞り貸として償却をいたしておるものもございます。又日本銀行統計によりますれば貸付のうち期限経過貸付という処置になつておるものがどのくらいあるということも明らかになつております。又御承知の銀行法によりまして大蔵省は銀行の検査をいたしております。その検査の事務にいわゆる不良貸と申しますかにつきましてはその発生の原因及び貸付投資の責任等は十分調査されておるわけでございます。
  60. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと海野君に申上げますが、今の御質問非常にいい御質問でありますが、中小企業対策の際にできればおいでを願つて、直接水害に関連いたしまするものを本日は御質疑をいたしたいと思います。
  61. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは今ちよつと一言だけ……今伺つてわかりましたが、未回収率の資料をも後日でよろしうございますから御提出願いたいということをお願いしておきます。
  62. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 この災害者に融資をお願いいたしますとき、これは全然担保とか或いは保証人とかいうようなことに対する何かお考えはどうでございましようか。
  63. 古池信三

    政府委員(古池信三君) この担保或いは保証人の問題は貸付ける場合に大体今までの例によつてやることになつております。
  64. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 今までの例は大体担保があるように私は承知しておるのでありますが、災害を受けておりますから恐らく担保がないんじやないかと思われますが、そういう場合に要するに保証人というようなことにでもいたすことになりますか。
  65. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これもなかなか一律には申上げられんと思いますけれども、どうしても担保が何にもないというような場合にはこれは保証人を強化して、これによつて人的担保をやるとか、或いは又工場建設し、それによつて将来生産が動いて行く場合には、でき上つた工場を担保にするとか、そういうような便宜な措置を講じて行く以外にはしようがないと思います。
  66. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 これは現実の問題でありますので、とくとお考えを願いたいと思いますことは、私のところに福岡県の中小企業の人が参りまして、実は福岡県の信用保証協会から、その設備を担保で実は金を借りておるのだ、それが今この災害に会つてしまつておる。こういうものはまあ免除してもらうというか、そういうことはどういうものだろうかと聞いて来ておるのですが、これはどうでしようか。
  67. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 信用保証協会に入れてありました担保を災害があつたので解除してくれという要求がある……。
  68. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 全部なくなつておるわけです、災害のために。
  69. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 災害のために担保がなくなりますならば、これは甚だ書生論に相成りまするが、その担保が自然消滅いたしておる。
  70. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 災害のために融資をするということはますます駄目になつておるんですな。
  71. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 増し担保を要求しておるというお話でございましようか。
  72. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 ですから信用保証協会にそれを担保に入れて金を貸りるわけです。これは今度もう返済期限が切れておるわけです。お金がないし、担保が唯一のものであるからそれがどうなるかということ、これはもう現実の問題なんですからどうか一つ
  73. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 貸増しを必要といたします事業の担保でございますとか、例えば、設備をいたすということにいたしますれば、でき上り設備を金融公庫の担保にとるというような措置を講ずることになります。それもできない場合には保証人を立てて頂くということになります。
  74. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 今現在借金をしておるわけです。借金をしてあるものが担保になるものがなくなつたのですから、だから今度はそれを信用保証協会での関係でありますからその保証をしておつた協会に貸したところからまあいわば保証をしなければならんことになるわけでありますが、そういうとこの結論はどこへ持つて行くかという  ことですが……。
  75. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) これは担保物件の一般の例でございまして、担保にとつております物件が或いは火災によつて焼け、或いは水害によつて消滅するということになりますと、無担保の債権になる。従つて銀行がとつておつたといたしますれば、銀行は担保の処分の代りに保証金をもらうこととなる。信用保証協会が保証の裏打ちとして担保をとつておくといたしますれば、これは担保のない保証をしておるということとして残るだけでございますけれども……。
  76. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 まあこれは一つお願いの筋になるかも知れませんが、先ほど政務次官からお話がありましたように何も担保もない、それから保証人も適当なものがないというときには是非ともこの借りたお金によつて一つ作つたそのものを見返りとするような方式によつてお金を貸して頂くように一つお願いを申上げておきたいと思います。
  77. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今のお話は全く具体的なお話でありまして、その実情を更に伺つてみないと何とも申上げられませんけれども、私が考えまするのに、県の信用保証協会は大体県内の事業については特に中小企業については相当詳しく資料も持ち、調査をしておると思います。殊に今まで保証をしておるとすれば、その事業者の性格なり信用程度というようなものも大体わかつておりますから、かような不測の災害によつてその担保物件が消滅しましたといたしましても、その事業者に対する信用はそれによつてそんなに落ちておるものはないと考えますから、やはり保証協会あたりが、こういう際には、特に一つ肌を脱いでやつてもらう。又金融機関としても協力して、できるだけ現在ない担保を出せと言つても無理でありますから、将来でき得るような品物なり設備なりの担保にして貸すというように信用協会と、金融機関と、両方協議して善処してもらうようにするのが一番いいんじやないかと、かように私は考えるのであります。
  78. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 もう一つお願いをいたしておきますが、実はこの県の信用保証協会が保証をいたしておりまするものが、その担保が入つておりますけれども、もう処置に困つて期限が来ても、何回も何回もやつて、もうおうにもならんでおつたのが今回の災害でその担保物件が喪失をした、でありまするから、この機会を非常にいいチャンスとしまして、その銀行が信用保証協会に対して、その金を保証していわゆる代位弁済をしてくれという申入をしておる事例がここにあるのでございますが、これに対して、一つどういうふうなお考えを持つておりますか。
  79. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これはたまたまこの今回の災害を契機として、そういうことが現われたのだろうと思いますが、災害がなくても、そういう不良貸に類するようなのが、ままあることでございまして、これは信用保証協会におきましても、その損害を結局負担するというようなことも、従来もあるように思つております。従つて今まで保証しておつたものが全部完全に解消されるというわけではなくて、そのうちの何%かは毎年信用保証協会の犠牲において賄われて行くというようなものがあるんじやないかと思いますので、今のような場合も非常にこの不良な貸出という場合であつたらば、災害のあるなしにかかわらず多少は保証協会としても、その負担をせねばならんようなことになるのじやないかと思いますが……。
  80. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 それは御尤もなんですが、ただ私の申上げるのは、そういう代位弁済をいたしましても、担保がありますれば、その保証協会は、まるまると損失をする必要がないのでありますが、この担保がなくなつちやつたのでありますから今度は信用保証協会がまるまると損失をしなければならないと、こうなりまするから、この信用保証協会に対して何らかの国で以て処置をしてくれる方法がないだろうかということになるわけですね。
  81. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 信用保証協会の弁済能力の強化につきましては、今回信用保証協会法を提出いたしておるのでございますが、同時に従来とも中小企業信用保険制度におきまして政府が保証協会の弁済いたしまする危険の半分を更に再保証しておるということで、信用保証協会の資力を裏打ちしておるわけでございます。今回、只今審議なつておりまする法案につきましては、従来五〇%でございましたのが、更に六〇%にいたしております。従いまして、只今お話のような事故がございますと、その貸付保証債務が政府の信用保険に繋つてございますれば政府から、直ちに金を払つてやらなければならん。従つて、そういうことによつて信用保証協会は再保険制度によつて財政の援護を受けるということになつておるわけでございますから、お話のような場合にも、若し私どものほうの保険にかかつておりますれば、これはいつでも従来でございますれば五〇%、今度法律改正されれば六〇%は政府の金が出るように相成つておる、こういうふうに思つております。
  82. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 大変よくわかつておりますが、その点も私、承知いたしておりますが、五〇%は保証して頂いておりますけれども、そのあとの五〇%は全くそのいわゆる不慮の天災によつて起つた、こういう事故でもその信用保証協会が負担しなければならんのであるか、国が更にそれに対して援助を願えるものであるか、こういうことですが……。
  83. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 五〇%乃至法律で改正したならば六〇%はこれは政府が保証いたします天災であるから更に信用保証協会のいわゆる援助を強くしてやつたらどうかというお話でございまするが、信用保証協会がそのような場合に金を払うのが本来の仕事でございまして、又その財政的な基礎はほぼ府県の財政力に応じておるわけでございまして、今回の災害の例に鑑みましても府県は保証協会への金を殖やしておる。熊本県を例にとりますと、すでに一千万円殖やしたというようなことでございますが、そのような措置によつて政府、地方財政両々相待つて強化して参るというふうに考えております。
  84. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 さつきからお話を聞いておりますと、従来ある制度の上で行つたり来たりするような空気が出ておるように思うのでありますが、従来この災害のあつた場合はこれは戦前の例でございますが、国家なり、或いは地方団体に損失補償制度というのを始めて、そうしてこの一〇〇%のこの損失の補償をやつたものなんですが、そういう行き方をこの際考えないというと、今回のような災害については何十%かの保証だとか、保険だとかいうようなことでは先ほど西田委員からもお話が出ておりましたが、なかなか思い切つた融資ということはできないのじやないか。結局絵に描いたような餅、その餅も甚だ小さい餅である。私は先ほど来指摘しておるのですが、小さい餅であつて、而も絵に描いたということでは何の価値もないということになるのじやないかと思いますが、損失補償制度、戦前よく行われたこの損失補償制度というようなものを資金運用部資金の大幅の放出によつてやろうというようなお考えを、私はこの際通商産業省と中小企業庁は持たれて強く大蔵当局と折衝せらるべきじやないかという考えなんですが、この点に対して御意見はどうですか。
  85. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 只今豊田先生の非常に御造詣深いお話でございましたが、私ども調べますところでは従来災害の場合には、大体五〇%程度までの罹災についての補償融資だと思うのであります。最近農林省方面におきまして、例えば十勝沖の地震に伴う罹災についての補償、これは三〇%でございます。これらに比べますると現在とられておりまする八〇%、或いは七五%、或いは今回の改正案によりますと八〇%の政府補償による中小企業融資というものは、政府が手を差伸べる点におきましては進んでおるのではなかろうかと考えておるのでございますが、又資金源の問題といたしましては従前のごとく資金運用部に十分な余裕がございますれば、これは一番長期の資金でもございまするし、金利その他の点から申しましても好個の財源だと思うのでありますけれども、最近では地方債、或いは各種の政府機関の貸付というような方向に殆んど全部がとられておりまして、現在のところ民間への融資、投融資として振向けるものは、非常に少いわけでございまするが、併しできる限りこれを中小企業に動員するという点は、全く同感でございまして大いに努力いたすつもりでございます。なお従来やられました枠の上でレールの上を歩いておるというお話でございますが、その点につきましてはいろいろと検討を重ねて見たのでございます。例えて申しますと、この同じ北九州にいたしましても水害がありました場合に農民係関の受けます国家からの補助、或いは援助というようなものと、中小企業者、同じ国民を対象とします中小企業者に対する態度との差異というようなものも問題に相成るわけでございます。例えば農地が決潰いたしておりますると、反別にいたしまして国家地方警察本部の調べによりますれば、農地の流失埋没が大体一万七千町歩という由でございますが、これに対しましては一反歩幾らという復旧費の八〇%が国家から補助される、これは二十五年に農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助法ができておるわけであります。又水田が水をかぶり農作物が流されるというような場合には、御承知の農業災害の共済金がもらえる。これも半分は政府が補助いたしておりまして、その負担額は約年額にして百億を起えるというような割合になつております。これと見合いまする中小企業のほうに対しましては、従来の例といたしましても実は多くの施策が打たれておらない憾みが誠にございまして、私どもといたしましても何らかの新らしい措置をするということで、八方奔走をいたしつつあるのでありますが、只今のところ得られました結果といたしましては、信用保険の保険料の軽減をするという点、並びに成立を予定されております中小企業金融公庫から大幅に相当低利の金を放出するという二点が中心と相成りました政策だけしか今のところ結論が出ておらないという状況であります。
  86. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 普通融資については信用保険制度なり或いは信用保証制度ができたということは非常な進歩だと思います。併し大災害に対するような災害融資については、戦前は損失が出たらその損失に対しては全額補償するという損失補償制度が昔は行われたのです。今回のような大きな災害なつて来るとそれでなければ私は実効がないのじやないかと思う。というのは、その信用保険にしても或いは信用保証にしても貸出手続からいうとやはり担保がどうだとか、あるとか、ないとか、先ほど西川委員から持出されておつたような問題等に関連して、要するに災害融資でありながら、それに対して一種の裏付けがないといかんというようなことを基調にしてやつておつたのでは到底融資の実は挙らないのじやないか。従つて損失があつた場合には全額損失補償をする、その代りその必要顕著なものについては、地方団体なりは一種の命令融資のようなものまでやるというようなことで、初めてこの災害のときの融資としてはその実効を挙げ得るのじやないかと思うのです。今回はそういう措置が必要なのじやないか。今までの考え方の制度の上ではいかないのじやないかという点を伺いたい。
  87. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 誠に同感でございまして、私ども考え方といたしましてはそのような方向へ進むべく目下努力をいたしております。ただ対策といたしましては、大きな目標を掲げての努力と、それから早いという二つの要請があるわけでございまして、本日、それも十一時半から十二時頃になりまして、只今公庫の低利資金供給並びに保険料の減額というようなのが只今決定いたしましたばかりでございまして、まだ作文もいたしてないというところでございますが、取りあえず本委員会において明らかにしたわけでありますが、これは一応の応急措置として御了承頂きまして、なお我々といたしましては能う限りの力を尽したいと考えております。
  88. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 よくわかりました。今のお話では応急措置として考えているんでそのうちしつかりした制度をこの際考えるというお話でありまするからそれで一応満足いたしまして、その線に沿つて至急調査立案をしてもらいたいと思います。更に伺いたいと思うのですが、先ほどお話が出ました六分五厘で融資をするというのは、公庫からの融資について六分五厘でやるという意味なんでありましようか、或いは他の一般融資についてもさようにするという意味でありましようか。私の聞いたところでは公庫融資についてやるという意味だかと思うのですが、そうでありましようか。
  89. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 先ほど私から申上げましたごとく中小企業金融公庫の貸出に限つて六分五厘といたすのであります。なおその成立するまでの間は暫定措置として開銀からそういうふうにして出すと……。
  90. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それで六分五厘で行くということになりますと、この中小企業金融公庫の設立をいよいよ急がなければならんのでありますが、それにしても仮に八月ということになりますと相当の日にちもありますが、大いにこれを急いでやるということにしまして、いよいよ開業しましても私の聞いておりますところでは、一カ月の貸出が十億ぐらいになるというようなことだとしますと、いよいよ以て九州水害に対して出て行くものというのは僅かなものになるのじやないかということが一点と、それからもう一つは一割基準で貸出をして行こうという公庫の行き方からいうと、これを六分五厘で貸出をした場合にそこに損失が出て来る。これに対してはどういう方向で行かれるのか。これについて私は先ほど問題を提供したのでありますが、いわゆる利子補給というようなことを何らかの形で考え合して行かんといかんのじやないかというのでありますか、如何でありましようか。
  91. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 只今のお話の資金量の問題でございますが、これは発足いたしましたときに持つて参ります資金をできる限りまあ早く使うと申しますか、早く利用いたしまして北九州災害のお役に立てようというこういう考えでございます。従いまして十億という月割に必ずしも行かないわけでありまして、或いは公庫発足当時に非常に大きな資金を流すように相成らなければならんとこのように考えております。それから利子補給の問題でございますが、現在のところ公庫相当の剰余金を出すことに相成つております。従いましてこの予算の提出されました時分に予想しなかつた低利供給ということが起つて参りますと、この剰余金が減つて参るという形で経理の収支は収まるのではないかと、このように考えております。
  92. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 次には、この保険料のほうはこの際三分の一に下げられるというのでありますが、これについての具体的な措置はどういう方法でやられるのでしようか。
  93. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 保険料の軽減につきましては、大体考え方といたしまして、御承知のごとく、今度の改正において、一千万円までの融資中小企業の保険の対象といたすわけでございますけれども、保険料軽減をいたしまするのは、例えば百万円程度までの貸付に限ると、そうしてそれに対しまして、府県庁におきまして、金融機関に対して保険料の一部を負担するというような措置を講じました。府県と契約をいたしました金融機関に対しましては、政府が従来とつておりました保険料三分を二分にしてやる、即ち金融機関から申しますると二分の保険料政府に払うわけでございますが、一分は県庁から保険料補給金を受けますので、負担は一分で済む、一%で済むということにいたそうというわけでございます。
  94. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それについては法令を改正してやろうという考えでございますか。
  95. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 法律は改正いたしませず、政令並びに保険約款の改正で行くつもりでございます。
  96. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 その手続は至急に早くやつてもらつて、この点も時機を逸しないように、制度というのはできてから末端に滲透するまでには、なかなかかかるわけですから、いよいよ以て遅れるというようなことに相成ると、先ほど来問題にしておりますような点で非常に困つた結果を来たすと思いますので、至急に或いはもう立案されておるのじやないかと思いますが、それぐらいに期待し、今後早くやつてもらうように希望をいたしておきます。なお復旧資金の問題につきましては、工場関係、工業のほうについては割に目に見えるものですから、手が廻りやすいのでありますが、商店関係についてはいつの場合塁もついついネグレクトせられるという傾向がありますので、今回の災害融資についてはその点特にどういうすでに手配をしておられましようか。
  97. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 先ほども申上げましたように、早急の調査からいえば大企業ほど早い結果がわかります。中小企業につきましては、工場を持つて生産をしておる業態が早く調査かできて、やはり一般商業方面は無形の部分が多いもの手から、なかなか調査がしにくいということは御意見の通りでありまして、これにつきましては我々のほうも出先の機関を極力活用いたしまして、成るべく速かに調査を遂げるように目下努力中であります。  なお先ほどお話のございました保険率の軽減の措置は先ほど石井振興部長から申上げましたように、漸くその実態が今日昼頃になつ政府部内において話合いがまとまつたわけでありますが、併し事態は急を要するのでありますから、至急これも改正を要するものは改正をするように法的な措置を講じてもらいたいと考えております。それにつきましてなお今回この委員会にも御審議をお願いしておりまする中小企業関係の或いは金庫法案なり、信用保険法の改正なり、これもやはり併せて急ぐような事情が出て来ましたので、そういうような審議につきましてもよろしくお願いをいたします。
  98. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 最後に希望を申上げておくのでありますが、仮に損失補償制度が非常に困難である、損失があつた場合にはその損失を全額補償するという制度が新規に立案することは非常に困難である、ひまがかかるという場合につきましては、この信用保険法の保険率をかような特別災害のある場合においては今回八〇%に改正されるようでありまするけれども、そうでなく一〇〇%にやることも一つの方法だろうかと思うのでありまして、そういう面についても御研究願つてもいずれでもいいのでありますが、とにかく損失が発生した場合には、それの全額損失を補償するという行き方で普通の融資と違つた特別の融資が迅速に行かれるような制度をこの際作つてもらいたいということを重ねて要望して私の質問を照ります。
  99. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今の御意見の趣旨至極御尤もでございまして、ただ信用保険法におきましても八〇%に上げること自体についてはすでに部内においても相当なやはりこれは討議を経たのでありまして、尤も今回の災害のような場合にはこれは平常の事態とは違いますので、やはり特別な考慮を払う必要があると考えます。従つて今回このために特に政府部内に設けられました西日本水害総合対策中央本部の会議にもそういう点は持出しまして、政府一体となつてできる限り御期待に副い得るように努力いたしたいと思います。
  100. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほどからのお話で程度のあるなしにかかわらず、仕事の状況によつて政府が貸出されるということもわかりますが、そういう際には専門の立場からその工場に対しての視察及び銀行関係、それからもう一つ政府のほう、こういう方面からして万遺漏なき調査の上で貸出されるのでございましようか。さよう考えてよろしいのでありましようか。
  101. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これはその貸出の方式によりましてさまそれあると存じます。併し大体におきましては、直接貸付をするいわゆる窓口機関と申しますか、その責任担当機関が現地調査を十分いたしました上で貸付をするのが原則であります。従つて政府からそのためにわざわざそういう具体的の場合にまで出向いて調査をするということは原則としてはございません。
  102. 海野三朗

    ○海野三朗君 ああそうですか、わかりました。
  103. 西田隆男

    ○西田隆男君 この今までの質疑応答を聞いておりまして、非常に危惧の念を持つたのですが、豊田さんはレールの上でだけ走つているという御意見もございましたが、どうもお話を聞いておると、信用保証協会とか、或いは何何金庫、何々公庫というものとの間に、今まで取引関係のあつた、貸借関係のあつたものが優先的に考えられて、善良な金を借りないでもやつて行けた、一面からみれば非常に優秀な中小商工業者であつたかたの借入の方法はどうもその次に考えられそうな感じがするのですが、この問題は今まで公庫とか、金庫とか、或いは信用保険とか協会とかいうものから金を借りておつた対象は今度の災害のうちから言つたら、極めて私は少い部分だろうと思うのであります。その少い部分が優先的に考えられて、そつちに資金が流れてしまつて、取引のなかつたものは借り出されないというような感じが非常に強くあるのです。どういうふうにその点は考えておられますか。
  104. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 御尤もな御議論でございまして、銀行とか、或いは信用金庫、信用組合等の御厄介になつておらなかつた連中は取引もないし、従つて縁故もない、貸出が受けられなくなるのじやないか。併し、経営そのものは健全であつて、いわゆる健全財政経営というのがあると思います。而して金融機関は、或いは預金を通じまして、或いは預金を通じませんでも他の業者への手形関係その他を通じまして、大体身近かな企業者の信用状況というようなものは、私、把握しておると思うのであります従つて只今お話のような業者が今回の災害で、特に金を借りられなかつた場合には、これは最寄りの金融機関を、それぞれ信用を付与するということをやつておりますが、なお九州方面等の所要の地には、例えばそのような場合を処理する相談所を設けますとか、或いは斡旋機関等を考えて、全然ずぶの新規の取引でも公庫の金が使用できるように指導して参りたいと考えております。
  105. 西田隆男

    ○西田隆男君 今のお話の目的を達成するために、昔は貯蓄銀行というものがありました。それからまあ何といいますか、今相互銀行になつておりまする元の前の銀行、そういう方面に預金を持つておつた人、そういう人たちの信用状態はそういう銀行が一番よく知つておると思いますが、そういう方面と取引がスムースに行つているところは恐らく国民金融公庫からも或いは信用保険からも金を借りないで企業をやつておつただろうと思います。これは商工業だとそういう方面に金を廻わされることは、あながち国民金融公庫とか信用保証協会というものではなく、やはり政府資金をそういうふうな性質の銀行である庶民銀行、この銀行に預託されることによつて、その目的の一部分を達成できると考える。そういう方法も現在お考えになつておりますかどうか。
  106. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 只今のお話は、西田委員のお考えでございますが、今度の公庫は地方銀行は入るわけですが、銀行、信用金庫、相互銀行、昔の無尽会社でございます、商工中金、こういつた市中にございます、いわゆる庶民金融機関を代理店に使つて金を流すわけでございます。従いまして預託とは申せないわけでありますが、大体預託に近い制度で、これらの中小企業者に身近かな金融機関と取引をして行こうと、こういう措置でございますからお話のような線に沿い得るものと確信いたしております。
  107. 西田隆男

    ○西田隆男君 それは、私もよく知つておりますが、この中小企業関係者の人たちを参考人に呼んで意見を聞いたときに、銀行を通じて借りられる場合も、一地方一行というのが建前になつておる。仮に一つの都市を考えました場合に、さような都市に銀行は幾つもあるという場合に、どの銀行にも平等に資金を割当てるといつては少しおかしいが、代理店に指定するのではなくて、その中のどの銀行が、一つは代理店の恰好で貸出しをする、やはりこういうふうになつておるのでは、これは非常に不便だからどの銀行についても、一つその銀行の窓口へ行つたりして、そういう金を借りられるようにしてもらいたいという要求が、非常に強くこの委員会で述べられておりました。実情は今私が申上げた通りだと思う。そして今あなたのお答えになつたように、仮に一町村に日銀の支店がある、或いは地方銀行が幾つかある、貯蓄銀行がある、相互銀行があるという場合、この中小企業金融金庫ですか、この金融を代理する場合にみんなの銀行に代理させるわけじやないでしよう。
  108. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) それは銀行の御要望によりましてどの店でもやつて行くつもりでございます。
  109. 西田隆男

    ○西田隆男君 そんなら今度のときは特にどの銀行にも代理店の業務をさして、どの銀行の信用も、信用調査もあなた方が調査を、それも銀行自体が調査することはもつと精密に、詳細にするでしようから、そういうふうなことを今やつておられれば結構と思うのですが、なお一層資金を流す場合に是非やつて頂きたい。  もう一つお考え願いたいことは、こういう大きな災害がありますと多少の便乗者がある。その便乗者を避けんがために善良ないわゆる企業者に迷惑を及ぼすことは今までは間々あつた。そういう点もこれはまあ豊田さんも言つておられました。私は、とれない、全然とれないという見込みのものがあつても、それに貸さないためにほかのものも三人も五人も貸さないというようなことのないように、特に一つそういう代理業をさせる銀行に御注意を頂くと同時に、国としてもそれを何とか保証してやるような方法を是非一つお考え願いたい。
  110. 小林英三

    ○小林英三君 私少し遅く参りましたから多少重復する質問があると恐縮でありますから、重復する点につきましては御答弁願わなくてもいいと思います。今のこの中小企業金融公庫法案がいずれ通過するということを目途として、それによつて救済をして行こうと、こういうお考えのように聞いておりますが、それにつきましては先ず第一番にお伺いしたいことは、これは無論我々はこの法案は非常にいい法案でありますからして、全力を挙げてこの通過に尽力いたしたいと思つております。併しこれは審議機関である国会がきめることでありますからどうなるかということはまだわからない問題であります。そこで、これは無論閣議でおきめになつたのだろうと思いますが、若しこの公庫法案が通過しない場合にはこういう代案でやろうというお考えは法論あると思いますから、そういう通過しない場合には、どういう方法によつてどのくらいな金額中小企業に金融しようというお考えであるかということを一つ。  それからこの通過した場合におきまして、今のようなやり方でお貸しになる場合として、あの中小企業金融公庫法には担保をとるということになつております。その際には担保を、災害者でありますからして担保は勿論ないと思うが、そのときにその問題をどういうふうにしてお貸しなさろうというのか、それが一つ。この問題について御説明願いたい。
  111. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 中小企業金融公庫法案は目下国会において審議中でありますからこれが成立するかどうかわらんじやないかと、従つて若し成立をしないような場合にはどういう措置を講ずるかという代案をすでに政府は考えておるかと、こういうことが第一のお尋ねでございましたが、政府といたしましては極力この中小企業金融公庫法案をこの際成立できまするように皆さんに御尽力をお願いする、かように考えておりまするので、今のところ成立しない場合にはこうするという第二の案は実はまだ考えておりません。ただ併しながら実際問題として中小企業金融公庫法案が国会の審議を経て成立いたしましたといたしましても、業務を実際に始めるには或る程度の、若干時日が要りますので、今回の水害によつてつていらつしやるかたがたを救うためにはその間の期間は取りあえず開発銀行の中小企業資金を以て充てると、こういうことは考えております。で第二のお尋ねの担保の問題は、これは先ほどもそのお話が出たのでありますが、全部設備その他担保になるような物件を喪失してしまわれたというようなお気の毒な場合には、何らか例えば将来その資金によつてでき上つた設備なり、或いは製品なりを担保にするような方法も講じられるのではないかと考えております。
  112. 小林英三

    ○小林英三君 この頂戴しております通産省のプリント、状況の概要のプリントですね。これは通産省においてお取調べになつたのでしようか、或いは各地方団体の統計によつて通産省がお求めになつたのでしようか。
  113. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 大体この調べは通産省から係官現地に出張いたしまして、九州通商産業局を中心に各方面資料を集めてそれを総合したものがこの調査なつております。
  114. 小林英三

    ○小林英三君 それでわかりましたのですが、最後の、この一番最後についております九州地区被害状況の総括表につきまして、ちよつと簡単に質問いたしたいと思います。この一番最初の参考の場合におきまするA、B、C、DのDの送炭のための損害金が二十一億七千九百九十万円とございますのですが、私ちよつとこれはわからないのですが、石炭が流れて損をしたというのではなしに、これから石炭はあるのだけれども送炭をすることができないために二十一億何千万円の損害があると、これはちよつとわからないのですが、ちよつと説明して頂きたい。
  115. 古池信三

    政府委員(古池信三君) ちよつと私の聞いているところを御説明申上げますと、非常に輸送機関がこの水害で壊れましたために送炭が不能になつた、自然出炭をいたしましてもそれが山元に積まれるばかりでありまして港頭まで出て行かない、従つて山としては出炭をとめねばならんと、こういうことになりまするので、それによる生産減損害を一応ここに見積つてあるわけでございます。
  116. 小林英三

    ○小林英三君 それからこの同じ頁の総括表の損害ですが、この工業というほうの大企業中小企業というのがありますが、その大企業の中のCの生産減による損害ということが十億三千五百万円計上してあるのですが、これは生産減ということは、この生産をするためには、生産できないから損害ということになるのでしようが、いわゆる原料だとか、手間だとかいろんなものはオミツトしてこれだけのものが作れなかつたからという意味ですか、どういう意味の損害ですか。
  117. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今お尋ねのような趣旨の損害でございます。
  118. 小林英三

    ○小林英三君 わかりました。それからこの設備損害のうちの、例えばダイナモが壊れたとか、水車が壊れたとか或いは水力発電所のダムが壊れたというようなことも明細な表が最初に書いてございますが、それは残つた残骸の部分というのは入れなくて、補修していわばこのくらいの損害がある損害と、それからダイナモなんかの発電機等の損害も大分書いてあるようでありますが、発電機等の機械の損害というものはどういう程度に評価したものでありますか。
  119. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 実は個々具体の場合の詳細はまだ調査不充分の点もございますから多分御説明が不徹底になるかと思いますが、大きな発電所関係設備というようなものにいたしますると、一応その設備損害額は帳簿価額等によつて割出すのが従来の例になつております。今回もそういう例に従つたものだと考えております。
  120. 小林英三

    ○小林英三君 この今の損害被害の表でありますが、これは九州の通産局がお集めになつたということでありますが、これが例えば電柱が何千本なくなつたとか流されたとかいろいろなものがありますが、こういうものは通産省に来ております報告というものは、こういう総額の報告だけでありますか、それとも例えば九州なら九州で、どの地区がどうとかどの会社がどうだとかという明細がすつかりありますか。
  121. 古池信三

    政府委員(古池信三君) この電気に関する資料は御承知のように九州一切でありまするから相当詳しい資料が集まりまして、それに基いて個々にはその結果だけを総合して並べたようなわけであります。それからなお先ほど私がお答えしました中に少し不十分の点がありましたが、私は大体帳簿価額というものがかような場合の損害の基準になつておりましたけれども、最近のように帳簿価額と実際の再生産価額とが非常に開きがあるような場合にはやはり再生産価格というようなものに主要点を置いて、損害の見積りは出すべきじやないかと考えますので、その限りにおいては私の先ほどの答弁は訂正したほうがよろしいと思います。
  122. 加藤正人

    ○加藤正人君 ちよつと問題は外れておるかも知らんが九州被害対策というのですから、ちよつと参考に承わつておきたいのです。而もなお応急対策であるとか、金融措置だとか、最も緊急を要するようなものに対する対策が重要ですけれども、応急でないにしてもこの免除措置とかいうような点が問題になつて来ると思います。次に来たるべきものが……ところが一般的に税をどう免除するかと言つて企業がいろいろありまして、被害地区もいろいろ分れて甚大な所もあり、軽微な所もある。随分免除の措置をとるのに複雑な問題が、それは大蔵省所管かも知れないが、通産省大蔵省に任せつきりになつておる事項があると思います。そういうような点についてはあらかじめ大蔵省通産省と至急御協議を開始されるほうがいいんじやないかと思いますが、そういう点はもう始まつておりますか。
  123. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 新たに何か規定を設けて税の減免措置を講じようという意味合いにおいては交渉はまだ始まつておりません。大体大蔵省としては従来他の災害と同様な方法によつて災害地の減免を考えておるように承知しております。
  124. 加藤正人

    ○加藤正人君 従来の例によつてですね。
  125. 小林英三

    ○小林英三君 私重大な質問を取残しております。追加しておきます。今の中小企業金融公庫法案というものがまあ通過するだろうそこで暫定措置としてこれによつて災害地に対してどんどん貸付けて行く、これは結構だろうと思います。併しこの法案を提出なさいますときに、政府のお考えというものは全国の中小企業に対する金融を図ろうということでありますから、災害地に暫定措置としておやりになりますと相当偏重して行くことは申すまでもないと思います。そこでその補充に百億円の資金というものを補充的に直ちにやつて行かないというと、全国の中小企業が憧れているものに満足を与えることができませんから、そういう問題までも今日具体的にお考えになつたでありましようか。それもちよつと承りたいと思います。
  126. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今まで考え、或いは政府部内で相談をしておりまするのはほんとうの目前の応急措置でございます。只今お説のように中小企業金融公庫、この法案を提出いたしました当時には九州のこの際の水害のような事件は全然予想していなかつたのでありますから、百億という資本金でよろしいというので出したのでありますが、今回九州のような水害が起りまして、そのほうに相当多量の部分が吸い取られるということになりますると、他の各地方に廻るのが自然少なくなります。これに対しましてはどうするかということは今後の問題として考究も上、是非これは殖やす線に沿つて検討してみなければいけないと考えておりますが、只今のところ然らばそのためにどういう資金を以てどれだけ拡充して行くかという点の具体的な措置はまだ申上げるまでに至つておりません。
  127. 中川以良

    委員長中川以良君) なおちよつと申上げますが、只今大蔵省銀行局の特殊金融課長の有吉氏が出席をされておりますのでどうぞお含みの上御質問をお願いいたします。
  128. 小林英三

    ○小林英三君 今の私の申上げた点はこれは非常に重大な問題だろうと思います。ちよつとこの中小企業金融公庫というものが提案理由の説明にありましたような重要な役割を持つてここに生まれようとしております。そこで取りあえずこれによつて暫定措置として救済のために流されるとこれも止むを得ないだろうと思いますが、考え方によりましてそういうことを考えておやりになりませんというと、この法案の精神がなくなつてしまう。これは私は重大な問題と思いますから今の暫定措置をなされることは結構でありますが、この法案の精神をなくさんように十分な考慮と覚悟とを以て臨まれんことを切に希望いたします。
  129. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今の小林君の御質問乃至御意見は誠に御同感でありまして、是非御趣旨に副うように私どもも善処したいと考えております。なお先ほど来私が申し漏れた点がありましたが、それは国民金融公庫のことを申上げませんでしたけれども、これも今回の水害の際には十分活躍してもらう予定の中に入つております。このためには資金として六億増加することになつておりますので、これもつけ足して申上げておきます。
  130. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ありませんか。
  131. 海野三朗

    ○海野三朗君 今までの資金の貸出につきましてはやはり便乗者もあり、又まじめな人がこれによつて借りられない場合もありましたのであります。これは時日が相当かかつておりましてもその間においてその目的が少しずれておるような感じがあるのでありますが、今回のこの水害対策につきましては短期間に急いでおやりになるのでありますから、その辺のところはこの窓口だけにお任せになりますというととんでもない。この方向がずれて行くようなことになつては、これは非常に重大問題だと思うのでありますからこの点を十分注意して頂きたいと私は思います。それからこれは水害地ではありませんが、丁度昨年度において政府が貸付けられたお金の回収状況が地方別によつてどんなふうになつておるか。これはあと資料の御提出を願いたいと存じます。
  132. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 政府中小企業のために直接貸付けました金というのは昨年十二月国会の御承認を得まして商工中金に対しまして貸付二十億円再びに自転車振興費の種目を以ちまして銀行を通じて一時貸付だけでございまして、御質問の趣旨はこれらの回収状況ということでございますればこれは商工中金につきまして、まだ期限が参つておりません、従つて回収がないということを申上げることに相成るわけでございまするし、又自転車関係貸付金はすべて銀行が全額についての返済の責任を負つておりますのでこれ又回収不能になつたものはないということを申上げておるわけでございますが、そのように御了承願いたいと思うのでございます。
  133. 海野三朗

    ○海野三朗君 その期間が来ていないからでございますか。
  134. 石井由太郎

    政府委員石井由太郎君) 商工中金に貸付けたものは五年間の期限を以て貸付けたのでございまして、これはまだ期間が来ておらんわけでございます。
  135. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今回の災害のごとき非常な大きな災害に対しまして而もこの緊急に適切なる融資をしなければならんということにつきまして従来の信用保険制度だけでは足らないのじやないか、その点において戦前災害のありましたる場合には地方団体が損失補償契約をやりましてそれに基いて迅速なる融資をし、更に国家が再補償契約をやるというような行き方が戦前に行われたものでありますが、そういう損失補償制度を立案する御意思があるかどうか。戦前でありますと緊急措置はやはり財政上もとれるような点もありましたけれども、今日ではそういう点が困難でありますので、私は今回のような大災害に対しましては一つの緊急立法による、只今申しましたような実体を備えた行き方が必要なのではないか。そうでないと特別の融資というものが時機を失することになり、折角の資金も本当に実効を挙げ得ない。又額が少ないという問題もありまするけれども、額の問題は又別といたしまして急速にその実効を挙げろというのには只今申しまするような緊急立法措置が必要なのじやないか、というように考えるのであります。これにつきまして大蔵省の御意見をお伺いいたしたいと存じます。
  136. 有吉正

    説明員(有吉正君) 今般の災害につきましては、私どももその被害の非常に大きいことにつきまして心痛いたしておる次第であります。金融上の措置も万全を期したいとかように考えて深く研究をしておる次第でございます。その個々の対策につきましてはすでに通産省のほうからお話もあつたことと思いますが、只今質問の点につきましては要するに融資の際の損失補償の問題でございましてこれは国の財政とも関係をいたすものでございます。主計局方面等とも密接な連絡を保ちまして今後善処して参りたいと、かように考えておる次第でございます。
  137. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 理解ある御答弁で満足いたしますが、その実の挙るように一つ今後御研究の推進を願いたいと思うのでありますが、同時に今回のこの融資につきましては今、考えておる応急措置が差当り中小企業金融公庫ができたならばそれで融資して行こう、それまでの間の更に次善の策としては開発銀行から融資して行こうというわけなのでありますが、開発銀行については余り多くを期待できないというふうに考えられまするので、中小企業金融公庫の法案は先ほど或る委員からも発言がありましたが、審議相当の期間を要しまするし、八月から開業になると言つておりますけれども、果してそう行くのかどうか、又開業早々軌道に乗つた動き方ができるのかどうか、非常に疑問を持つのでありまして、一面今回の大水害による被害者は時機の遅れるが故に滅亡しなくてもいいものも滅亡するというような非常に由々しい問題が出て来ようかと思いますので、中小企業金融公庫法案の通るまでに先ほど申しまするようにこの緊急立法措置をやりましてそうしてそれを将来中小企業金融公庫に切替えして行くというようなことをこの際是非とも必要とするのではないかと思うのでありますが、この点につきまして重ねて御意見を承わりたいと思います。
  138. 有吉正

    説明員(有吉正君) 先ほども申上げました通りこの問題は非常に財政的な問題ともからんでおりますので、大蔵省全体といたしまして研究して参りたいと、かように考えております。
  139. 海野三朗

    ○海野三朗君 大蔵省のかたがお見えになつておりますから、経済のことをちよつとお伺いしてよろしいですか。
  140. 中川以良

    委員長中川以良君) どうぞ。
  141. 海野三朗

    ○海野三朗君 兌換券の発行高は月々どれくらいな増加なつておりますか。
  142. 有吉正

    説明員(有吉正君) 私は特殊金融課長といたしまして、特殊金融機関だけに関係しております関係上、全体の金融情勢その他につきましては、所管の課長から御説明いたさせたいと思うのでございますが……。
  143. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうですが。
  144. 中川以良

    委員長中川以良君) 又局長でも出席したときに一つ……。
  145. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 先ほど財政的な関係もあるという誠に御尤もでありますが、事は非常に深刻な問題でありまするし、急を要する問題でありまするので、この点大蔵最高首脳部に特にお話合いを願いまして、何らかの徹底した措置一つこの際おとりなさるように重ねてお願いいたしておきます。
  146. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。  そういたしますと最初お諮りを申上げましたように、只今災害対策特別委員会といたしましては、応急対策費恒久対策費、それに水害対策のための立法措置、こういう問題を捉えて検討いたしておりまするので、本委員会がいわゆる通商産業といたしましての立場より特別委員会に何か申入をするか、又申入をするとすれば如何なる方法を以てするかという点でございまするが、この点どうでございましようか、特別委員会のほうもだんだん審議が進んでいると思いまするが、大体今日の御質疑等で、当委員会の意向というものは一応明らかになつたように思いまするので、一つ委員長のほうで取りまとめまして文書を以て特別委員会のほうに申入をすることにいたしまして、その案を成るたけ早く委員会までに作りまして皆様方の御承認を得てそれを申入れる。このことでどうでございましようか。
  147. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 是非さようにお取計らい願います。
  148. 中川以良

    委員長中川以良君) なお必要があれば一つ委員外発言として特別委員会にお出ましを願つて御発言を願うこともできますから、その際に一つ御申出を願いたいと思います。それではさように一つお取計らい願うことにいたします。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  149. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。  それではこの際にお諮りを申上げます。経済安定委員会より当委員会に申入がありまして、輸出取引法の一部を改正する法律案の合同審議をいたしたいということを申しております。これを承認をいたしますることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは経済安定委員会の申入に応ずることに決定をいたします。  本日経済安定委員会に付託になりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきましては明日よりこれが経済安定委員会審議をいたす段取りになることと存じます。そこでこれは当委員会とも密接な関連のある法律でございますので、当委員会は経済安定委員会に合同審査をいたしますることを申入をいたしたいと考えております。さよう一つ明日経済安定委員会において審議が始まりました上において委員長においてさような取計らいをいたしますることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように決定いたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時一八分散会