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1953-07-03 第16回国会 参議院 通商産業委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三日(金曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松本  昇君            加藤 正人君    委員            石原幹市郎君            小林 英三君            西川彌平治君            酒井 利雄君            松平 勇雄君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            海野 三朗君            藤田  進君            白川 一雄君   政府委員    土地調整委員会    事務局長    豊島  陞君    文化財保護委員    会委員長    高橋誠一郎君    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業省軽工    業局長     中村辰五郎君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○輸出信用保険法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○鉱業法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○火薬類取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。本日は最初に輸出信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、政府側提案理由説明を聴取いたします。
  3. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今議題になりました輸出信用保険法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由を御説明申上げます。輸出信用保険昭和二十五年この制度が設けられまして以来数次の改正を経て現在四種類の保険を包含する制度に発展しているのでありますが、最近の輸出取引実情に鑑み輸出振興の本旨を達成いたしますために、なお制度上改善、追加を要する点を生じております。本法律案は、右の立場から、新たに、外国為替銀行荷為替手形買取りについて生ずる危険を担保する輸出手形保険を創設いたしますと共に、既設保険制度につきましても所要の改正を加え、これを拡充強化いたしまして、制度全般利用度を高め、普及を図ることにより輸出振興に資せんとするものであります。今回の改正のうち新設の輸出手形保険制度は、最近の各国における輸出取引実情に鑑み決済條件の緩和を図る必要に基くものであります。戦後我が国におきましては、外国為替及び外国貿易管理法規定により、信用状に基く輸出代金決済方法標準決済方法とし、輸出取引は原則としてこれによるべきことといたしておりますが、最近、貿易正常化に伴い且つ又海外との競争の関係もあり、信用状なしの取引に対する要請が逐次生じて参りましたので、政府といたしましては、貿易市場拡大のため必要があり、且つ弊害を伴わないと思われるものにつきましては、かかる信用状なしの取引標準外決済方法として許可して行く方針をとつて参つているのであります。併しながら、このような信用状なしの輸出取引が多くなりますと、代金回収のため振出された為替手形不渡となつて銀行損失をこうむる危険が存在して参りますために、銀行がかかる手形買取を拒否することも考えられ、延いては輸出不能をも来たすことになりますので、今回外国為替銀行輸出手形買取つたことによつて受ける損失をカバーするための輸出手形保険を創設いたしますと共に、手形不渡輸出者の責に帰さない場合は、銀行政府から支払を受けた保険金限度において振出人にそ求しないこととして輸出者保護も行うこととしたのであります。  既設保険制度につきまして、今回加えました改正の要点は、各種保険の名称を変更いたしましたほか、次の二点であります。その第一は、各保険てん補率、即ち政府が支払う保険金の額の損失額に対する割合の引上げでありまして、普通輸出保険てん補率現行の百分の八十から百分の九十に、輸出代金保険てん補率最高限度現行の百分の八十から百分の九十に、輸出出金融保険てん補率現行の百分の七十五から百分の八十に引上げることとしたのがこれであります。その第一は各保険適用範囲拡大であります。即ち、輸出代金保険てん補範囲拡大し、輸出に伴つて提供される技術の対価についても保険し得ることとし、又、輸出金融保険及び海外広告保険適用地域についての政令による制限を撤廃することといたしたのであります。なお、今回の改正におきましては、右のほか、この法律の各規定に亘り若干の技術的改正を加えております。何とぞ御審議の上、速かに可決されんことをお願いいたします。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは本法律案審議は次回に譲りまして、次回にこれの内容説明を聴取いたしまして、その後において質疑に入りたいと存じます。従つて本日は本法律案審議はこれでとどめることにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさようにいたします。   —————————————
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に鉱業法の一部改正法律案議題といたします。当委員会におきましては鉱業法の一部を改正する法律案審議に当りまして、文化財保護法との関連を調査する必要を認めまして、一昨日の本委員会におきまして文化財保護委員出席を要求したのでございましたが、委員の御出席がなく、止むなく岡田事務局次長に対しまして質疑をいたした次第でございます。その御答弁は遺憾ながら問題の核心に触れることなく、当委員会委員一同に対しまして大きな不満を与えたことは御承知通りでございます。よつて本日は再度文化財保護委員長の御出席を求めましたるところ、高橋委員長にはお体が悪い中を特に本日は御誠意を以て御出席を頂いた次第でございます。文化財保護法執行と、鉱業権その他の権利との調整につきまして、再調査をいたしますることに相成つた次第でございます。以上の事情を含みまして、本日は文化財保護委員長から明快なる一つ答弁をお願いをいたしたいと存ずるのでございます。次に委員の皆様にお諮りをいたしまするが、本日の質疑は一昨日の質疑状況を考慮いたしまして、第一段といたしましては現行文化財保護法運用状況、第二段といたしましては同法改正の用意の有無につきまして、私より総括的に委員長質問をいたしまして、次いで各委員より更に掘下げて御質疑を願うことにいたしたいと存じまするりで、さように取計らうことに御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。それでは先ず私から御質問を申し上げます。現行文化財保護法におきましては第六十九條により「史跡名勝天然記念物は、委員会指定する。」と規定をされております。ただ何の掣肘も受けない強い権限委員会に付与されているのであります。併しながら第四條第三項には「政府及び地方公共団体は、この法律執行に当つて関係者所有権その他の財産権を尊重しなければならない。」と規定をされております。必ずしも野放しの法律ではないと考えられるのであります。一昨日参考人意見文化財保護委員会事務局及び通産省政府委員の御答弁を総合いたしますると、この間の調整が必ずしも円滑に行われておるとは認められない点が多々あるのでございます。この点に関しまして先ず第一点、文化財指定に先立ち、関係各省、又は利害関係人との意見調整の途が制度的に確立されておりまするかどうか。  第二点、事務当局では事前協議を十分に行なつているとの先日の御答弁でございましたが、それらの意見委員会に十分に報告をされた上で最後の指定決定をされておりまするかどうか。  第三点は外部関係者との意見調整は十分行われていないと私どもは先日の御答弁で感じたのでございまするが、委員構成、又は事務局において指定又は現状変更の認可に当り、外部に与える経済的負担を妥当に判断せられまして、これを善処し得る人的機構を持つておられるかどうか。以上の三点を先ず明らかにして頂きたいのでございます。  前回委員会においては西田委員から小倉市平尾臺天然記念物指定経過概要に関する資料提出が要求をされたのでございます。只今お手許にこれは配付をされておりまするが、これらも前述の三点が明らかになりまする  ように、一つこの資料に基いての御説明をも願いたいと存ずるのであります。それではどうぞ高橋文化財保護委員会委員長
  8. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) 前回は私体を損いまして出席いたすことができませんでしたことは誠に遺憾でありました。  只今の御質問にお答え申上げまするが、すでに権利規定せられておりますところに、重要文化財として指定を行う場合、例えば天然記念物として指定を行いまする場合には、既存権利に対しまして十分にこれを尊重いたしますることは申すまでもないことでございまして、法文にも規定がございまするが、それにもかかわらずなおこの天然記念物として、文化財として、これを保有しなければならんという場合に限りまして、委員会におきましては指定を行う、こういう方針をとつて参つております。これは別段規定があるわけでもなく、特に制度化されているとは申せませんが、実際におきましてはかくのごとき趣旨によりまして運営を行なつて参つているのでございます。只今お話のございました平尾臺の場合のごときも、理想案といたしましては、中尾臺一千二百町歩全部を天然記念物として指定をすべきであるというような意見もございましたのでありまするが、これを最小限度にとどめまして、三百町歩指定いたしたのでございます。なお又既存権利を尊重いたしまして、実際に採掘などの行われまする場合には、現状変更を申出られまするならば、これにつきまして仔細に検討を加えまして、これを許可すべきかどうかということを定めまするが、これは制度として我々の委員会規定に基きまして定まつているわけでございます。若しこの平尾臺の場合につきまして申すことが許されまするならば、実際どれだけの分量を採掘するのであるか、或いは又どういう方法によつてこれを採掘するのであるか、或いは又如何なる附属設備を施されるものであるかというような点を明らかにして頂きまするならば、これに基きまして専門審議会において先ず研究を行いまして、果して認可すべきかどうかを決定することに相成つておりまして、無論この際には地元意見も聞き、関係官庁意見も聞きまして、他の公益との関係を十分に考慮いたしまして決定いたすことに相成つております。まあ大体かような方針で参つているのでございます。  第二点の文化財指定に先立ちまして関係各省又は利害関係人との意見調整の道が制度的に確立せられているかということでございまするが、これも制度的と申上げることは或いはできないかも知れないのでございまするが、この点を十分に考慮いたしておるつもりでございます。例えば平尾臺の場合などにおきましても特にこれは関係官庁通産省鉱山局あたりと話ができておるのか、話が進んでおるのかどうかというようなことも我々から事務当局に向つて聞いたこともございます。それから又私自身がセメント協会に参りまして、これは他の用件が主たるものであつたのでございまするが、セメント協会に参りまして協会の処分の御意見どもこのときにいろいろ伺いました。豊国セメントの軍役のかたもおいでになつておりましたが、豊国セメントのかたよりもむしろ他のセメント業者かたからしていろいろ御意見がございまして、これなども伺つたのでございます。それから又地元意見或いは又諸団体からの陳情書というようなものもたくさんに参つておるのでありまして、これらにつきまして種々研究いたしたのでございます。  事前協議でございまするが、これは先ほども申上げましたように、委員会におきまして相当考慮いたしたつもりでございます。まあ私どもには協議が遂げられておるという報告を聞いております。でこの点につきましては私どもは実は何の不安も感じなかつた次第でございます。この点は委員会報告せられておりまして、我々といたしましては不安を感じなかつたのでございます。  それからして先ほど申上げました専門審議会構成につきましては、この天然記念物に関しまする専門審議会委員の中には地質学者或いは鉱物学者というようなかたがたが入つておられるのでありまするが、これらのかたがたはただ専門地質学或いは鉱物学に対する権威者であるばかりでなく、国家の他の利益との関係におきまして天然記念物を見て参られるという観点も常に失わないかたと我々は信じておるのでありまして、これらのかたがたは他の官庁通産省あたり委員をも兼ねておられると記憶いたすのでありまして、これらのかたがたが精細に踏査せられまして報告せられましたところによりまして我々委員会において更に決定をいたした次第でありまして、我々の委員構成は御承知のこととも存じまするが、財界人も入つておることでございまするし、広い意味においての社会人文化人とも称せられるべき者が多いのでありまして、決して一方に偏することなく、無論主たる任務は文化財保護活用にございまするが、これと同時に他の公益関係をも十分見逃さないようにして行こうとこういう態度をとつて参つておるのでございます。まあ大体これだけをお答え申しておきまするが、なお不十分な点がございましたならばのちに補わして頂きたいと存じます。
  9. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは御質疑をお願いいたします。
  10. 西田隆男

    西田隆男君 ここに出ておりまする資料と、それから今委員長の御答弁を聞いておりますると、一通り形式的には大した問題にならないような順序等が踏まれておるように私、この資料でもあなたの御答弁でも解釈するんですが、ただ問題は憲法で保障されておりまする各個人或いは団体の持つておる財産権天然記念物或いは名勝指定されることによつて侵害をするという非常にこれは個人権利としては重大な侵害を受ける問題なので、ただ一通り形式的に手数が踏まれたというだけでは我々は十分でないと思うんです。この資料に書いてあるところを見ましても、豊国セメント会社と話をした、資源庁とも話をしたということが一応書いてあります。書いてありますが、これはただ話を表面的にしたというだけのことじやなくて、もつと今あなたがおつしやつたように、十分に公益指定するということがどういう関係になつているかという点を明らかにするためには、もつと突つこんだ協議がなされなければならないと思うし、特に鉱業権許可、不許可をする権限を持つている通産省当局とは、豊国セメントと会われたということより以上に、同じ国の機関として密接不可分関係において十分に協議がなされ、そうして通産省側とも納得した上において、天然記念物指定なり名勝指定保護委員会でなされておれば、少くとも今度の鉱業法の一部改正法律案提案された場合に、平尾臺のことが問題になつて通産省鉱山局長は責任を持つて答弁ができると思うのですが、この委員会審査した経過のことから考えてみますというと、その点が甚だ不十分であつたという結果が、あなたのほうの事務局次長答弁にも、通産省鉱山局長答弁にも現われているのです。そこで問題は文化財保護法という現在制定されている法律そのものがこういう競合を起す可能性もあるし、これを将来そういう競合を起さないように今後スムースに指定ができるように、何らトラブルが起きないように、若し悪い点があつたらそういう点を改正するという御意思委員長にあるかないか、それを先ずお聞きしたいと思います。
  11. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) 御承知のごとく財産権を飽くまでも尊重するという規定はございまするが、補償に関しまする規定は僅かに環境保全の問題に関しまして、たしか八十一條でございましたかに規定がありまするだけでありまして、この点も不備であると考えております。無論重要文化財は、その価値が国内的に又国際的に非常に高いものでありまして、その所有者権利者が単なる普通の一般の財産と同じように考えておられますることは如何かと存じまするが、適当なる補償は行わなければならないものではないかと考えております。で、この文化財保護法に関しましてはいろいろな不備な点を我々も発見しておりまするので、当然もうすでに改正せられたところもございまするが、なお更に幾多の点におきまして、改正を必要とするところがあると考えられます。只今質問になりました点などにつきましても、十分考慮いたしたいと考えておりまするので、特に慎重に研究をいたしたいと考えております。或る点まではもうすでに協議もいたしておるのでございまするが、未だ決定を見るに至つておりません。それからして事前の話が十分に届いていなかつたようだということでございましたが、若しさような点があれば誠に遺憾でございまするが、委員会といたしましては、この点を先ほども申上げましたように十分事前において協議を行うべきものであるということを申しておつたのでございまするが、何と申しましても文化財保護活用ということを主としておりまする委員会のことでございまするので、この点に立ちまして決定を見た次第でございます。これにつきましてはいろいろ考えもございまするので、単に関係官庁事前協議するということだけでなく、更に一歩を進めまして関係官庁の然るべきかた、或いはかたがた専門審議会委員の中に加わつて頂くということがどういうものであろうか、これが事を円満に行わしめるゆえんではないかというようなことも只今我々は考えておるのでございまして、先ほども申上げましたようにこの現状変更の問題が議せられまするような場合には、少くとも私といたしましては、関係官庁かたがたに入つて頂いて協議を行うということがいいのではないかというふうにも考えております。
  12. 西田隆男

    西田隆男君 非常に只今積極的な意思表示をされまして、私はそれには満腹の賛意を表しますが、実を申しますと鉱業法の一部改正法律案審査するに当つては、それと並行して今委員長が御答弁されたような観点から文化財保護法というものの改正法律案が出されることが最も望ましいと私は思うのですが、そういうわけにもこの国会は余り長い国会でありませんから今から改正法律案を用意されて、すぐ提案されるということもどうかと考えますので、一応鉱業法の一部改正法律案審査に当つては、私今委員長の言われたことを信頼いたしまして、今国会是非出して下さいとは申しませんが、最も近い国会に、通産省側ともよく協議されて、その方法が今あなたがおつしやつたように専門審議会委員関係官庁の者を入れるとかどうとかいうことは別問題として最も有効に文化財保護指定がされるという観点からでも結構ですから、一番完全な方法一つ研究なすつて一番早い国会是非提案して頂くということを私は條件考えてこの鉱業法の一部改正法案審査を今から進めて行くつもりですから、鉱山局長一つそのおつもりで、委員長言葉を聞いていると鉱山局長の言われたことほどさように公益事業委員会と同じような考え方を持つておられると私には思えない。これは通産省側でも多分條文を楯にとつておるか知らんが、余り窮屈に解釈されて、十分文化財保護委員会との連絡が通産省側も必ずしも完全ではなかつたというふうに今委員長の率直な御答弁を受けておるのでその点を一つ今後そういうようなことのないように十分御協議をされて、早い機会に是非一つ文化財保護法改正法律案を出して頂きたい。これを希望して私の質問を終ります。
  13. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 只今委員長からいろいろお話ありまして大体了解できたのでありまするが、先ほどお話のありました文化財保護委員会下部機構一つである専門審議会というものは大体どういう構成でできておるのでありますか。もう一つ問題丸々によつていろいろ電源開発のような面と関連した場合には、どういう委員会でやるとか、鉱業権関係した場合にはそういうのはどういうふうになつているのでございますか、そういうような点について……。
  14. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) これも非常にたくさんの専門審議会委員がございまして、おのおの専門々々に分れておりますので、只今お話のございました天然記念物に関する専門審議会委員は大学の先生であり、地質学、或いは鉱物学、それから植物学動物学というような方面専門家を以て構成せられておるものであります。そのほかに只今申しましたように、関係官庁かたがたをも加える必要がありはしないかということを私は考えておる、そういうことを申上げたのでありまするが、なおそのほかに問題々々の必要に応じまして、専門審議会臨時委員というものを置くことができるようになつておりまして、その専門審議会臨時委員の御意見を伺いまして、決議を行い、委員会に答申する、こういうようなふうになつております。
  15. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私も臨時委員のような構成があるかどうかということについて尋ねてみたかつたわけでありますが、そうしますると鉱業権の問題と関連して、指定が問題になるというような場合には、例えば鉱山経営者であるとか、或いはそういう方面関係者、それから電源開発等に関連する水利権の問題や何かと競合するというような場合には、そういう方面学者とかそういうことばかりでなしに、やはり業界人というか、実業人、そういう面のような人も臨時委員となつているいろいろ検討に従来も加わつておるのでありますか。
  16. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) そこまでは及んでおりませんのでありまして、専門家のほかに、委員の必要に応じまして各方面人たちに出てもらうことがございまするが、まだ例えば只今の問題、業界のかたたち専門審議会臨時委員として出席してもらうというようなところまではまだ行つておりませんのでございまするが、まだそこまで行つたほうがいいかどうかは、これもやがて委員会におきまして考えてみたいと考えておる次第でございます。
  17. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これは今後新たなる指定といいますか、今まで指定されておるいろいろなところで、殊に電力問題の関係から非常に大きな問題がいろいろ起きるのじやないかと思いますが、一例を言えば尾瀬沼とかというような大きな問題が出て来るかと思いますが、こういう問題を検討される場合には、学者とか、関係官庁の者ばかりでなく、国家的の大所高所からいろいろ検討しなければならんと思いまするので、電力界なら電力界権威者等を入れて意向を聞くというお考えを今後持たれるかどうか、というような問題についての考え方はどうですか。
  18. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) 先ほども申上げましたように、これまではさようなことをいたしておらんのでございまするが、只今のお言葉にありましたように、高所大所から決定を行わなければならんということが認められまして、そうしてその道の権威者、たとえこれが業界の人でありましても、これを加えますることが、運営を完全ならしめるに役立つものであると考えまするならば、専門審議会臨時委員として迎えるということにもやぶさかでないと存じまするが、何分会議制のことでございまするので、会議の、委員会決定を待たなければならんのでございまするが、だんだんこういうようなことも認められて行くことと存じております。
  19. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 文化財指定によつて、他の利益にいろいろ損失を与える場合がいろいろあるわけであります。今回鉱業法の一部改正によりまして、鉱業権との面は大体これははつきりして来るのでありまするが、文化財保護法の第八十一條にも損害を与えた者に対しては政府はその通常生ずべき損害補償するという規定があるわけであります。これによりまして、この文化財保護法第八十一條によりましても、今の他の利益損失を与えたときには損害補償という問題はカバーされておるわけでありますか。
  20. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) この点は私どもこれは環境保全の場合だけと考えておりますのでありまして、例えばこの建物を保存いたしまする際に、近所にたくさん建物が立つておりまするというと、火災などあると危いのでありますからして、これらのものを取除かなければならない。そういう場合の補償とこれは解釈いたしておりますのであります。どうも全般の補償規定というものは欠けておると考えております。
  21. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それじや鉱業法の一部改正によつて鉱業権との関係はこれで或る程度何ができたわけでありまするが、将来私問題として一番予想されるのはやはり電源開発関係であろうかと思います。そういう面にははつきりした規定は現在のところないということになるのでありますか。
  22. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) 電源開発の問題につきましても、お説のごとく明確な規定はございませんのでありまして、実はこの保護法ができました後におきまして、電源開発とか資源開発とか或いは軍事基地の問題とかというものが出て参りまして、これにつきましているいろいろ考慮いたしておる次第でございまするが、まだ明確な規定はこの中に含まれておりませんのであります。
  23. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これは文化財保護委員会だけにこういうことを質問するのもどうかと思うのでありますが、文化財保護委員会としても将来そういう面についていろいろ特殊の立法なり、或いは他の法令の改正等についても意見を言うとか、そういうことを考えて行かなければならんというお考えを現在持つておられるかどうか、一応承わりたい。
  24. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) 無論私どももさような考えを持つておりますのであります。
  25. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これは通産省のほうからも聞いておきたい。
  26. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 電源開発との関係、これは私……。
  27. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 政務次官でいいと思います。
  28. 古池信三

    政府委員(古池信三君) お説の通り電源開発はこの数年非常に活溌に進められておるのでありまして、この勢いは今後も相当に続いて行くだろうと存じます。電源開発の場合にやはり一番文化財競合すると申しますか、関係を持つて来ますのはやはり天然記念物が多いだろうと存ずるのであります。従来も、先ほどちよつとお言葉にありましたように尾瀬沼における特殊な植物の問題「もうせんごけ」でありますとか、或いは北海道の阿寒湖の「まりも」の問題、こういうようなことはちよいちよい話題にはなつたのでありまするが、まだ法律的には完全な解決は見ておりません。これは文化財保護という立場から言えば成るほど大切なことだろうと思いますけれども、併し一面電源開発ということが日本の将来の経済復興という意味合いから申しましても、極めて重大であるということは申上げるまでもないのでありますから、その辺のところは特に文化財保護委員会のかたと御相談申上げまして、両方の理想が円満に到達できるように今後は努力をして参りたい。かように考えております。
  29. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それからこの文化財規定であるとか、或いはその他の保護処分によりまして利益を害されたり、或いは損失を受ける者が出るわけでありまするが、そういう場合に非常にどうもその他の処分が一方的である、自分としては非常に不服であるというような場合、又どう考えてもその処分が独善的で面白くないというように考えられるような場合に何か不服申立といいまするか、そういうような面についての途は現在何かあるのですか。これはどちらからでもいいのですが……。
  30. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) 只今のところこれはございませんと思います。それでこの平尾臺という問題に関連いたしまして、私は内閣土地調整委員長我妻氏ともいろいろ話合つたことがございますのでありまするが、土地調整委員会の設置法と申しますか、このものによりますというと、取扱います問題が列挙せられており、指定せられておりまするので、文化財については規定せられていないので、それがために文化財のほうはこれは我々の取扱うべきところでないと、こういうような返事をもらいましたように記憶いたしておりますのであります。
  31. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私もこの土地調整委員会の設置法といいますか、そういう内容をよくつまびらかにしておりませんので、ここで一概に申上げることもできないのでありまするが、何か土地調整委員会とか、どこかそういう場合に不服を申立てるような途を開くとか、或いは文化財保護委員会でも、そのものでもいいかと思うのでありますが、そういうことをやはり考えておいてもらいたいと思うのであります。そういう考え方につきまして委員長も同じような考えを持つておられるかどうか。
  32. 中川以良

    委員長中川以良君) 豊島土地調整委員会事務局長から発言を求めておりますので、これを許します。
  33. 豊島陞

    政府委員(豊島陞君) 只今高橋委員長から土地調整委員会のほうに権限がないだろうというお話がちよつとありましたので、これは申上げますが、実は平尾臺の問題につきましては鉱業法によりまして鉱業権許可されたことに対しまして、小倉市からこの調整委員会に対しまして天然記念物保護という理由で、鉱業権を取り消してもらいたいという裁定の申請があつたわけであります。それで委員といたしましては、審議をいたしたのでありますが、鉱業法三十五條という條文を解釈するに当りまして、土地調整委員会は、これはできるだけ限定的に解釈すると、そこに書いてある事由のない場合は全部許可するのだ、そこに書いてあるだけは不許可にすると、そういうふうにして通産局長の処分をこれによつて抑えてある。そういうふうに解釈いたしまして、その結果といたしまして、三十五條の規定には天然記念物という言葉がない、それから温泉という言葉がない、それから公園という言葉がない、従つて三十五條では公園と温泉、それから天然記念物につきましては保護が十分でない。従いましで委員会といたしましては天然記念物理由としては審議はできないという結論を一応いたしたのでありまして、その結果といたしまして今度鉱業法改正に当りまして、三十五條の規定の中に新らしく天然記念物と温泉、それから公園、こういうことを入れまして、三十五條でもやはり天然記念物考えることにしたほうがいいのではないかということで、今度の改正になつたのであります。従いまして、天然記念物といたしましては、設置法におきましては鉱業と公益及び鉱業以外の産業との関係は十分考えるという権限になつております。鉱業法の第十五條の規定につきましては、土地調整委員会は全部の問題を考える。土地調整委員会委員会であるからして、第一次的に判断する、鉱区地域の指定、こういつたような場合は全面的にすべての問題を判断できるということになつております。土地調整委員会といたしましては、権限的には、判断し得るのでございます。そして三十五條によりまして、今度天然記念物文化財が入りましたので、文化財につきましても、三十五條の関係においても当然判断し得るというような情勢になつております。
  34. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それでは他の法令で今文化財指定であるとか、こういう問題と関連のあるような問題については、他の法令で列挙するといいますか、そこに掲げることによつて土地調整委員会権限に入つて来る、そういう途も開かれて来る。こういうふうに解釈してよろしうございますか。
  35. 豊島陞

    政府委員(豊島陞君) さようでございます。それと、この前お話いたしましたのですが、農地法と森林法、この場合におきましても、鉱業を行います場合に、農地法の許可が要るとか、或いは保安林の中においては、鉱山業者は森林法の許可が要る。従来一方的になつてつたのでありますが、この前の国会改正になりましたので、森林法と農地法が入りまして、新らしく加わつて、設置法の三條には当然鉱業のための土地の使用、収用その他の利用、こういうことに対して土地調整委員会が管掌するという、包括的なことが入つておりまして、個々の問題については、法律改正して人れて参る、さように考えております。
  36. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 水利権やその他についてはそういう途はないのでありますか。
  37. 豊島陞

    政府委員(豊島陞君) 鉱業と採石業と、ほかの産業とぶつかつた場合に、それを調整する権限を持つております。必ず鉱業と採石と一方にある、それとほかの調整ということが、土地調整委員会権限です。
  38. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私のお尋ねしたのは、お聞きしましたのは、天然記念物指定と、まあ水利権などとの問題で係争が起きた場合に、現在のところではその問題に対して不服であるかどうかという場合には、土地調整委員会に持つて行くよりは現在のところはない、こういうことでございましようか。
  39. 豊島陞

    政府委員(豊島陞君) さようでございます。
  40. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この問題は、これは通産省になりますか、或いは建設省あたりになるかわかりませんが、こういう問題については将来そういうことも研究してよろしいことになりましようか、どうでしようか。
  41. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 今まで私の承知しておりますところでは、水利権自体と、この文化財保護との間の衝突は、余り多くはないように聞いております。先ほど私は、文化財のうちで特にこの天然記念物が問題になる場合が多いと申しましたが、今度非常に大規模な電源開発が進んで参りますると、天然記念物以外にも、いわゆる名勝地、峡谷あたりがダムに取入れられまして、峡谷美というものが減退するというような意味から、名勝地としての文化財との間の競合というものが出て来るのじやないか。副えば最近の例を申上げますと、長門峡の発電所の場合、或いは又廣島県にもその他柴木川でしたか、三段峡の名勝地の問題というようなことが今現に問題になつております。これらのことについては、やはり十分に文化財保護委員会とも協議をして、できる限りその名勝を損わないということはもとよりでありまするけれども、それかといつて、電源の開発が著しく阻害されるということは、これ又甚だ困ることであります。適当な妥協点を見出して行かなければならないと思います。
  42. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 どうもまあこの文化財保護法運営、まあその他につきまして、将来いろいろ考慮してもらわなければならん点が多々あるように思うのでありまして、これはまあ最後に討論の際にでも希望なり條件を申上げることにいたしまして、一応質問を打切ります。
  43. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) 何分この文化財保護は、御承知のごとく、高度の専門的な知識を要するものでありまして、一国の文化の見地からして決定いたさなければならんことでございまして只今お話のありました電源開発、或いは鉱業法そのほかの関係におきまして、いろいろむずかしい問題が生じました場合に、高い見地からしてこれを決定いたします場合には、如何なる機関に委ねらるべきものであるかというような点に関しましては、我々といたしまして十分に研究いたすつもりでおります。又、おのずから案が現われることと存じまするので、どうぞさよう御承知願いたいと存じます。
  44. 海野三朗

    ○海野三朗君 只今のお話、両方が、両方の主張が一致しない場合に、最後の断案はどこで下しますか。
  45. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) 只今申上げましたように、こういう点に関しましては、私ども委員会ではまだ決定をいたしておりません。これが最良のものであるというところへは到達いたしておりませんので、更に研究を進めたいと存じておるのでございます。
  46. 海野三朗

    ○海野三朗君 それではこの法案はまだその最後のところまでは行つていないのでありますると、続いてこのいろいろなごたごたが起つて来ました際に、異議の申立をやつて、そうすると結局きまらないということになりますか。今の平尾臺の問題のようなつまりどうしても異議を申立てたい、反対を申立てたいという場合に、どこまでそれを、その調和を図つて採決をする、断を下すところがないといけないように思いますが、その点についてはまだそこまで進んでいないのでありましようか。
  47. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) 只今の問題になつておりますところは、現状変更によりまして鉱業権者の権利をできる限り尊重して行きたいというにとどまつておりますのであります。根本的な問題は只今申しましたように、まだ決定いたしておりませんのでございます。
  48. 小林英三

    ○小林英三君 この何ですが、文化財保護法の何ですね、四十三條ですか、四十三條に、重要文化財の現状を変更しようとするときは、文化財委員会許可を受けなければならないということがあるのですが、はつきりした問題はそれで行けるのですが、例えば鉱業権者が許可を得てそこを採掘するというような場合、将来そこを許可されては重要文化財を害するようなことがあるというような問題についての規制というものは、文化財保護法にはないのですか、そのほかには……。
  49. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) 文化財保護法におきましては、文化財の価値の本質を害さない限りにおきまして、現状変更許可するということに相成つておりまするので、若しこの現状変更によりまして文化財の本百質を害するというような場合には、承認いたしますることを拒みます。
  50. 小林英三

    ○小林英三君 私が承わろうとしているところは、この文化財保護法の何かの條項の中に、今この軍要文化財をこうすれば毀損するとか、こうすれば害するとかということは、もう文化財保護法によつて許可を受けるのではありませんけれども、例えば鉱業権者が許可を受けてそこを採掘するというと、将来そのことによつていろいろな文化財を害するというような、将来を察知するような問題についての、文化財保護法の條項はないのでしようか。そこを聞いている。なければないでいいのです。
  51. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) これはございません。
  52. 小林英三

    ○小林英三君 そこで承わりたいと思いますことは、この鉱業法改正ですね。三十五條、この三十五條の改正を見ますというと、文化財、公園若しくは温泉資源の保護に支障を生ずる場合には通産大臣はこれを許可してはならないということが鉱業法の今度の改正案になつているらしいのです。そこで私はその文化財保護法について委員長に承わりたいことは、ただ私はこの改正を見ますというと、これはまあ我々の審議権限に属しておりますのでありますけれども文化財、公園若しくは温泉資源の保護に支障を生ずると認められるときには、その分には出願を許可してはならないと、こうあるのですね。ところが許可するのは通産大臣です。そこで例えばこれを通産省の責任者が認めるか、認めないかということは、これは文化保護委員会でなくて通産大臣にあるわけだろうと私は思う。そこでこの認定の問題はなかなかむずかしい問題だろうと思うのですけれども、この改正案に対して、文化財保護委員会委員長としてのあなたは、この今後の文化財保護する意味において、改正案について御意見ございませんか。これでよろしいと思われますか、どうですか。
  53. 高橋誠一郎

    政府委員高橋誠一郎君) この問題につきましては私はこれに対しまして反対の意見は持つておりません。無論所管の大臣がこれを行われまする場合には、事前文化財保護委員会と十分なお打合せがあつてのことと了解しておりまするので、文化財保護委員会決定を尊重して下さいますることを信じまして、この法案に対しましては反対の意見を持つものではございませんのでございます。
  54. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。
  55. 西田隆男

    西田隆男君 鉱山局長に対して……。
  56. 中川以良

    委員長中川以良君) どうぞ全般の御質疑をお願いいたします。
  57. 西田隆男

    西田隆男君 鉱山局長にお伺いしたいのですが、この前もちよつと触れたと思うのですが、三十五條及び五十三條中に「公共の用に供する施設」「若しくはこれに準ずる施設」というのがありますね。これはどういうことだという説明がある。ところが鉱業法審査の過程においてこれは問題にしたのですが、すでに設定せられている鉱業権の上に新らしくそれに準ずるもの、例えて言えば病院等を作る場合、これに対する制限が何にもないのですね。そうすると無制限に悪く言えば作れるということになる。そうすると鉱区全体がもうすでに採掘が不可能になるという場合が一つ予想される、そこでそういうことは非常に不合理ではないかということが一つと、それに関連して「前項の規定により補償すべき損失は、前條の規定による鉱区の減少の処分又は鉱業権の取消によつて通常生ずべき損失とする。」こういう條文がここに出ている。この「通常生ずべき損失」とは、今言つたように鉱区の全部が採掘不可能になつたというような場合の「通常生ずべき損失」というふうに解釈するのか、或いは普通法律的な解釈をされ、今まで條文にたくさん出て来ているいわゆる通常生ずべき損失という意味の損失であるのか、こういうことを二つにわけて鉱山局長にお伺いします。
  58. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつとお諮りいたしますが、文化財保護委員会に対する御質疑は一応終了したものと認めてよろしうございましようか。高橋委員長はお体が悪いのを無理しておられますので、済みましたら御退席願うことにいたします。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは有難うございました。
  60. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 只今お話がありましたのは、すでに鉱業権が与えられておりまして、そのあとで学校とか、或いは病院とか、そういうようなものが建てられまして、そのためにいろんな問題が起ることにつきましてのことは、この鉱業法改正におきましては、現在特別にそれを保護するというようなことは、今回は規定していないわけであります。従いまして非常に無制限にそういうようなものが行われましたときに、鉱業権との関係におきましていろんな問題が起きて来るのじやないかというようなことでありますが、その点は誠にその通りでありまして、私どものほうとしましては、その点につきましても将来成るべく早くその事前調整の措置を講ずるような法律改正なり、そういう措置をしなければならないのではないかというようなふうに考えております。ただ今回の法律改正におきましては、例えば朝鮮人の鉱業権の問題でありますとか、そういう非常に現在急を要しました部分だけを一応改正することにしまして、西田委員からお話がありました問題につきましては、なお根本的な問題としまして将来改正するときに十分検討をして行きたいというふうに考えております。ドイツあたりでもこれにつきましては、何か調整方法を講じているようですが、ドイツの法律なんかも十分検討した上で措置したいというふうに考えております。  それから第二点の問題につきましては、この「通常生ずべき損失」の範囲というのは、成るべく広く解釈したいというふうに考えております。狭く考えないで、相当広く、おつしやるように相当広く私どものほうとしましては考えたいというふうに考えております。
  61. 西田隆男

    西田隆男君 第一段のお話は、これは鉱業法審査のときから問題になつておつたやつでしてね。これもやはり個人財産権侵害するというよりも権利を全然認めないということはどうかと考えられるということと、鉱業権というものが地上権と競合しているという点で、非常に問題になつて、未解決のまま一応新鉱業法を通したのですが、今あなたの御意見を聞いていると、鉱業法は恐らく根本的に改正しなければならんと思うから、そのときに徹底的に改正したいという御意見のようですが、これはできるだけ早くしてもらいたいことと、それからそういう法律が仮りにできてなくても、設定された鉱業権の上に、こういうふうに公共の設備に準ずるような学校とか、病院とかいうものを建てる場合、これは事前に話合いすることは非常に困難かも知れませんけれども、できるだけやはり事前関係各省或いは地方団体というものと話合われて、どうしてもそこでなければならんという絶対的立地條件であればこれは止むを得ないと思うのですが、そういうことでなくて、ただ便宜的にこういう建物を鉱業権の設定せられた地表の上に建てられるということは、これは鉱業権者として非常に困ることだと思うのです。国も困るだろうと思うのです。従つてその点は鉱業法改正を早急にされる場合に根本的に改正をしてもらいたいということと、それから第二段の「通常生ずべき損失」というものは、広義に解釈したいというような御意見でした。それはそれで結構と思いますが、例えば今言つたようなことで、鉱業権の実行が不可能になつた場合、現在の、何といいますか、鉱業権の償却といいますか、大蔵省で認めておる鉱区の償却というようなことを標準にして損害を算定されるような考え方なんですか、それともほかの何らかの特別な方法鉱業権損害というものを算出されるというふうにお考えなのであるか、その点を一つお伺いいたしたい。
  62. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは鉱業権につきましては特別にいろんな点を考えまして、今の大蔵省でやつておりますようなことだけではなくて、もつと広く私どものほうとしましては考えて行きたいと思つております。
  63. 西田隆男

    西田隆男君 この前の委員会でもちよつと聞きましたが、既設鉱業権の土にこの條文でトラブルの起きるようなものはたくさんないという答弁鉱山局長からありましたが、これは詳細に調べて一遍この委員会資料として出して頂きたい。
  64. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 実はその調べがまだ十分できておりませんので、全国の詳細な調査の資料は提出できないと思うのですが、今通産局に指令いたしまして、詳細調査するように命じておりますので、それが集計されましたら直ちにお届けいたしたいと思います。
  65. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちよつと伺いますが、硫黄の採掘に当りまして、鉱毒が流れて地方に非常な損害を与えているのであります。そういうことに対しましては政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
  66. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 現在鉱業法と並びまして鉱山保安法というのがありまして、この鉱山保安法によりまして、今おつしやいました硫黄の採掘等に、よりまして鉱害が出ておりますと、それに対しましては予防的な措置を講じさせるようになつております。鉱山局長なり或いは地方の監督官庁なり、そうした方面から命令をいたしまして、それによりまして予防の施設を十分行うようになつておりますが、なおその施設が十分でないために或る程度鉱害が出ているというような問題につきましては、鉱害補償の問題とか、そういうような途が開けておりますし、又どうしてもその鉱害が起きて、その予防というものが絶対にできないというような場合におきましては、鉱業の採掘を停止するなり、中止するなり、そういうような措置を講じさせるようなことに相成つております。
  67. 海野三朗

    ○海野三朗君 その際にやはり地方では、その災害を補償してやるようにするためには、地方から請願とかそういうものを出させる必要があるのですか。
  68. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 特別に請願を出さなければならないということにはなつておりません。勿論これはその地方におきまして鉱山側とそれから損害を受ける者とのいろんな話合いということになりますが、その話合いがなかなか解決しないというような場合におきましては、通産局なり或いは私どものほうが中へ入りまして調整をするということにしおります。
  69. 海野三朗

    ○海野三朗君 山形県の場合でありますが、吾妻の鉱毒の問題、蔵王の硫黄採掘につきましての鉱毒の問題、これが流れて「こい」が育たなくなつたのです。「こい」というものがもう食べられないようになつたのです。それから「えび」ですね、ああいうものがもう殆んどいなくなつているのです。農民が非常に困つているのでありまするが、一向それのほうに対する手当ができておりませんのが現状でありまして、農民たちはつまり非常に困つている。困つているけれどもどんどんその硫黄を採掘して出している。それは山形県当局は又どういうふうに考えておりますか。通産省としてもそういうふうなのは目を覆うて知らない振りをしておられるわけでもないでしようが、もう少し地方のほうを見て頂きたい。農民は泣いているのです。この鉱毒は自然と地に滲み込んで行きます。まあ一度山形県にお出でになつて川の状況をお調べ下さい。真赤になつているのです。あれが石に皆附きましてね。もう一目瞭然なんです。地方では「こい」が食べられなくなつている。「こい」を飼つているところも殆んど皆死んでしまうのです。そういうふうな状況になつているのであります。そういう点について政府御当局がもう少し監督をして頂きたいと、こう思うのでありますが、そういうことに対してどういうふうに政府御当局のお考えがあるのでございますか。農民が余り請願とかそういうことを言うて行かなければ知らん振りをしているというわけでもないでしようが、如何なる御所存でいらつしやるか、それを伺いたいのでございます。
  70. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 見て見ない振りを決していたしておるわけではないのでありまして、若しそういうふうな鉱害がありますれば、私どものほうとしましては先ほど申上げましたような措置を必ず講じつつあるわけでありまして、只今お話のありました山形県の鉱山につきましての鉱害の程度、状況につきましては私全然まだ聞いておりませんので早速地方の通産局に連絡をとりまして調べまして、それで鉱害が相当起きておりますれば直ちにその何らかの措置を講ずるように善処いたしたいと思います。
  71. 海野三朗

    ○海野三朗君 この鉱毒の流れますのはやはり専門的な立場からこの水のペーハーの量を見るというようなふうに、専門のやはり御調査が必要であると思います。そういうときには学者がたくさんおるのでありますから、正式の調査も十分なさつて頂きたいと思う。同じ硫安の肥料にいたしましても一〇〇%効かなくなつて来ているのです。自然と年一年と。そうしてその地方の人たちはひどく結果が現われてからばかり騒ぐのでありますが、そういうことについての御調査もお願いしたい。こういうふうに思いまするので、それに対しては御当局はお考えを持つていらつしやるんだと思いますが、ぺーハー量の測定とか、そういうことについては御着手になつたことがございましようか。
  72. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今までそういう例は非常にたくさんケースはあるわけでありまして、専門家を動員いたしまして、そういう鉱害の調査につきましては間違いのないように、十分調査をいたしております。今の問題におきましても早速地方の通産局を通じまして、専門家の十分調査が届くようにいたしたいと考えております。
  73. 海野三朗

    ○海野三朗君 山形県の吾妻の鉱毒、蔵王の鉱毒についてどうぞ御調査をお願いしたい、こういうふうに思います。私はこのお願いをいたしまして質問を終ります。
  74. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。西田君ちよつとお尋ねしますが、さつき御請求の資料のこともありましたが、一応質疑は打切りにしてよろしうございますか。
  75. 西田隆男

    西田隆男君 ええ、よろしうございます。
  76. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは別に御発言もございませんようでございますから、質疑はこれを以て終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます。
  78. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は本法案には賛成するものであります。併しながら今回の鉱業法の一部改正によりまして、「文化財、公園若しくは温泉資源の保護」が明文化されました以上、文化財保護法の立場からも又資源開発に支障のないように万全の策が講ぜられねばならんと思うのであります。かような見地からいたしますると、現行文化財保護法並びにその運用には幾多改善すべき問題点があるように思うのであります。よつて私はこの際附帯決議案を提出いたしまして、委員各位の御賛同を得たいと思います。  決議案を朗読いたします。   我が国の現下の経済状勢の下において地下資源の開発はますますその重要度を加えて来たのであるが、最近特に鉱業と文化財との間に紛争を生じ、鉱業の開発促進に対し支障を生じている事例が少くないのである。勿論世界に誇る我が国の多くの文化財保護に遺憾なきを期すべきことは論を待たないところであるが、その文化財保護措置を講ずるに当つては、鉱業開発の重要性に顧み両者の調整に遺憾なきを期するよう運営上留意すると共に、   一、文化財保護委員会及びその下部機関の運営が他の利益との調整をなし得るようその構成につき考慮すること。   一、文化財指定により他の利益損失を与えるときは所要の補償をなすこと。   一、文化財指定その他の保護処分が独善的にならないようこれに対し不服申立の途を開くこと。  等制度上の所要の改善を考慮すべきである。   右決議する。  以上の附帯決議案を附けまして本案に賛成したいと思う次第であります。
  79. 小林英三

    ○小林英三君 石原君の決議案は結構と思います。ただ私お尋ねいたしたいと思いますことは、第二項の「文化財指定により他の利益損失を与えるときは所要の補償をなすこと。」こういうことでありますが、「他の利益損失を与えるときは所要の補償をなす。」という意味がちよつとわからないのですが……。
  80. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 今回の鉱業法改正によりまして、鉱業権にいろいろの損失を与えたとかいうような場合には補償の途が開けたわけでありますが、先ほど私が委員長にいろいろ尋ねたところによりましても、電源開発その他がまあ今後強力に行われて行くと思うのでありますが、そういう場合に電源会社が持つておりまする水利権であるとか、いろいろの問題がまだ起きる面が多々あると思うのであります。そういう点についても今後研究をして頂きまして、鉱業法の一部改正のような趣旨をそれぞれの法律に盛込んでもらうように研究をしてもらいたい、こういう意味であります。
  81. 小林英三

    ○小林英三君 所要の補償ということは国家が所要の補償をするという意味ですか。
  82. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これは文化財指定は国家がやるわけでありますから、結局国家ということになります。
  83. 小林英三

    ○小林英三君 これは私よく知りませんが、文化財個人の所有に属するものはありませんか、全部国家ですか、これは……。
  84. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  85. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは速記を始めて。
  86. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 文化財指定になりまするものには個人の所有のものもあると思いまするが、併し指定をするということは、これは国家の行為としてやるわけでありまするから、補償をする主体になるものは、主体といいますか、相手方になるものは国家であろうと私は思うのです。
  87. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御発言ございませんか。他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  89. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。  次に討論中にございました石原君提出の附帯決議を附すことを議題に供します。石原君提出の附帯決議を附することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  90. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致でございます。よつて本案は附帯決議を附することに決定いたされました。  次に本院規則第百四條により本会議における委員長の口頭報告の内容はあらかじめ多数意見者の承認を経ることになつておりますので、これらの内容等は委員長に御一任を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして本案を可とせられたかたは順次多数意見君の御署名を願います。   多数意見者署名     加藤 正人  石原幹市郎     小林 英三  西川彌平治     酒井 利雄  松平 勇雄     岸  良一  豊田 雅孝     西田 隆男  海野 三朗     白川 一雄
  92. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは次に火薬類取締法の一部を改正する法律案について御審議を願います。前回に引続きまして御質疑をお願いいたします。
  93. 海野三朗

    ○海野三朗君 この前伺いましたるこの火薬取締法についてでありますが、危険防止の見地からであれば量の制限は要らないはずであるから、量の制限をするという許可ということは要らないのではないかということを私は申上げたのでありますが、それに対する政府御当局のもう少しはつきりした御説明を願いたいと思います。
  94. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の御質問にお答えいたします。花火の消費規制につきまして許可制度をとりましたことは、花火は従来銃砲火薬類取締法当時からポツ勅によります法的統制の際にも許可制度をとつておるのでございます。今日この許可制度を必要といたします理由は、一つには花火の消費をいたします時期は、大体秋でありますとか、或いは更に集中いたす関係もありますし、同時に春も競輪その他の催しと、地域的に関係を生じますことがございまするので、許可制度をいたしましたことが、却つてこの関係を問題なく処理する方法考えるのであります。勿論花火を揚げます際には、消防機関或いは警察機関等と緊密な連絡をいたす関係もございまして、自由に、或いは届出制度程度でやりますると、これらの調整を図ることが不可能でございまして、社会公共の利益に反します事態も起り得るのでございまして、そういう意味におきまして許可制度をとつておるのであります。同時に許可制度をとります際に、勿論花火の相当大仕掛な場合、或いは花火それ自体が非常に大きい場合、或いは小さい場合と、そういうようなケースがございまするが、或る一定量の大きさ、或いは個数という場合に限つて許可制度といたすことが適当だと考えるのでございます。先般の御質問の趣旨が、花火の許可制度が消費の節約、或いはそういつたような趣旨のものではないかというような御趣旨と承わつたのでありまするが、本法の目的はそういう点にありませんので、花火の消費の時期、方法ということを取締る点が目的でございまして、と申しますのは、花火に要ります火薬は、大体年間三百トン程度でございまして、現在産業川火薬として年間二方七千トン程度を生産もし、消費をしておる実情から申しまして、火薬の節約というような意味合いはないのでございます。又同時に花火用の火薬は、他の軍用火薬その他の火薬と趣きを異にいたしておりますので、本法におきましては花火の使用方法の制限ということに目的があるのであります。なおこの一定量の問題でございまするが、これにつきましては更に通商省令を通じまして、具体的にきめることに相成つておるのでございまして、本法趣旨の点は、その省令の制定と相待ちましてはつきりいたすと考えるのでございます。
  95. 中川以良

    委員長中川以良君) よろしうございますか。ほかに御質疑ございませんか。……別に御発言もないようでございまするので、質疑は尽きたものとして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを頂きます。(「原案賛成」と呼ぶ者あり)別に御発言もないようでございまするから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  98. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。  次に本院規則第百四條により本会議における委員長の口頭報告の内容はあらかじめ多数意見者の承認を経ることになつておりますから、これらの内容等は委員長に御一任を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして本案を可とせられたかたは順次多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     加藤 正人  石原幹市郎     小林 英三  西川彌平治     酒井 利雄  松平 勇雄     岸  良一  豊田 雅孝     西田 隆男  海野 三朗     白川 一雄
  100. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後二時十六分散会