○
政府委員(
石井由太郎君)
中小企業金融公庫法の
提案趣旨その他につきましては、
提案理由におきまして御説明申上げた通りでございますが、なお若干補足をいたしまして内容につき御説明申上げたいと思います。
中小企業の安定と振興を図りまするためには、いろいろな施策が各方面から行われなければならんと考えるのでございます。先ず第一に
中小企業者みずからがその経営を改善し、
合理化し、よ
つて以て、この激しい
競争場裡に自立し得るという態勢を整えることが最も肝要でございまして、この点につきましては
企業者みずからの創意と努力とを促しますると同時に、むしろ
企業合理化促進法によりまして、政府並びに
地方機関みずから
企業の
合理化のための
診断制度を普及いたしまして、これによ
つて中小企業の、通弊とされておりまする諸点を改善し、その将来経営上向うべき方向を指示し勧告するという制度をとつております。又
中小企業者自身に対しまして、その共同の力で或いは大きな経営からの圧力に対抗し、或いは
中小企業者みずから一人では行い得ない
事業に新生面を開拓し乃至
経済界の変動に対応いたしましてその
抵抗力を強化組織化するということの方途も、
協同組合法を中心といたしまして大いに推進をいたしておるところございます。同時にこれらの
協同組合を育成いたしまして、その仕事を真に
経済性のある合理的なものたらしめるためには、いろいろな
共同施設の
助成金を交付する等の方途を講じ、乃至
商工組合中央金庫を通ずる融資の
円滑化等を図つておるのでございます。なお最近の傾向でございまする不況の
深刻化に対処いたしまして、
中小企業者みずからが、或いは
原料高の克服のために、或いは
過当競争の回避のために共同するための
中小企業安定法の円滑なる運用ということも考えられておるわけでございます。
以上いろいろな施策がいろいろな方面から重合的に行われておるのでございまするけれども、
中小企業者をいたしましてその
経済活動を円滑ならしめるためにはその
不足勝ちな資本を補充すること、即ち資本的に
中小企業者を強化するための国家の助或施設が必要なわけでございまして、これがためには
中小企業の
金融、これを特に円滑にする必要上或いは
中小企業信用保険制度乃至は
中小企業に対する
信用保証協会制度の活用というようなことが、
国民金融公庫の活動でございますとか、
信用銀行、
相互銀行の強化といつたような
金融上の諸施策と共に行われているわけでございまして、併しながら
中小企業者をしてその必要といたしまする長期の
資金を通常の
金融機関から調達させまして、過不足なき運用をやらせるということになりますと、現在の
金融制度上いわゆる
市中金融に
頼つてばかりおりましたのではなかなか円滑に参らないのであります。それは各種の
金融機関が、商工中金でございますとか、
長期信用銀行でございますとかいうような
債券発行銀行を別といたしますれば、大部分が短期の預金に
資金源を仰いでいるわけでございまして、これらの
資金源を以ちまして
中小企業者に、特に
経済界の変動を受けやすい
中小企業者に長期の
資金供給をいたさせますことはとかくに支障が多いのでございまして、これを何らかの形で補充し、補完してやる必要があると政府としても考えるわけでございます。このような見地から、
曾つての
復興金融金庫におきまして、
中小企業のための特別の枠を設定して融資を行いましたことは御承知の通りでございます。又見返
資金の
特別会計におきましても
国家枢要の産業に対しまして集中的、
重点的融資を行いますと同時に、
中小企業に対しましては特に
重要産業の
関連産業、或いは
輸出産業或いは重要な
民生物資の
生産業、こういつた面の
設備貧金を中心といたしました
政府特別会計からの直接貸等の方策を講じて参
つたのであります。更には昨年私以来日本
開発銀行におきまして、それまで
日本銀行の扱いで行われておりました見返
資金の
中小企業者向け融資の業務を引継ぎまして、暫定的に
開発銀行から市中の
金融機関の機能に乗せまして、
中小企業のための特殊の
長期資金を出すという制度が行われておつたわけでございます。併しながら
開発銀行によりまするこれらの業務は飽くまで
暫定的措置として行われたのでありまして、近き将来におきまして
中小企業に長期安定いたしました
資金、殊にその財源を
財政資金に仰ぎました
資金を流しまして、機構の確立に待つというような態勢にあ
つたのでございまするが、たまたま昨年年末に
衆参両院におきまして
財政資金を
中小企業に流し得るための適当な機構を講ずるようにという御決議がございましたので、
予算折衝の過程その他種々の経緯を経ました結果、
中小企業金融公庫の設置となつたわけでございます。
法案の内容につきましては、お手許に配付してございまする
中小企業金融公庫設置要綱を中心といたしまして御説明申上げるのが便宜かと思うのでございます。
先ず
中小企業金融公庫の目的は、「
中小企業者の行う
事業の振興に必要な
長期資金であつて、一般の
金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的」といたします。即ちこの
公庫は
長期資金を供給する
金融機関であるということが一つ。第二は
一般金融機関の融通が或いは期間の点で、或いは使途の点で、或いはその
事業に対する
経済界の変動の
見通し等の点で
一般金融機関の融資に乗りがたいという
事業なるものにつきまして通常の
金融機関との競合を避けようといたしているのでございます。
次に
公庫の
融資対象となります
中小企業者の範囲でございます。
中小企業者の範囲は従来いろいろな法律でございますとか、制度によつてややまちまちであ
つたのでございます。或る場合には
従業員二百人以下を抱えておりまする
事業者を
中小企業者と、或いは五百万円の
資本金であるとか、或る場合には一千万円、いろいろな制度の目的によりまして出入りがあ
つたのでございまするが、今回は
中小企業者の範囲を次の四種類にいたしましてその範囲をやや従来より拡張いたしたのでございまするが、即ち第一に「資本の額又は出資の総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する
従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、政令で定める業種に属する
事業を行うもの」という概念でございます。但し商業その他
サービス業を主たる
事業といたしまする
事業者につきましては使用人の数を三十人とし、鉱業を主たる
事業とする
事業者については千人といたしたのでございます。従来
従業員の数二百人程度で押えるという概念があ
つたのでございまするけれども、現に
開発銀行の
融資等は三百人までの
従業者を擁する業者を
中小企業者として認めておりまする等の関係も考慮いたしまして、現在行われておりまする制度の中で、最も円滑に行くであろうという線を押えまして、これらの規模を確定いたしたのでございまするが、なお鉱業を主たる
事業とする
事業者については
従業者千人といたしたのでありまするが、鉱業は御承知のように、
原始産業でございまして、
インダストリー、或いは商業と比べますと或いは
事業の売上げ或いは設備の投入高等に比べまして、どういたしましても
雇用人員が多くなるのでございます。
一般的業界の通念といたしまして、大体千人以下の
鉱業事業者というものは
中小企業という通念であるという見解に従い、
かたがた曾つて今までの
中小企業等協同組合法におきましても、三百人以下の業者でありませんと
協同組合が組織できないのでございまするけれども、
公正取引委員会の承認を受けますれば、それを超える
従業員を包容いたしていましても、特に
協同組合を組織できると相成つておのるでございまするが、それからの事例を調べましても、或いは五百人、或いは九百数十人といつた程度までが中小の
鉱業者という見地から特に承認されている
事例等もございまするので、このような取扱といたす考えでございます。第二には
中小企業に関連いたしておりまする各種の組合でございます。
中小企業等協同組合、
農業協同組合、
農業協同組合の
連合会、或いは
水産業協同組合、
森林組合、
森林組合連合会等でありまして、第一に掲げました
中小企業と同じような
事業を営むものもこの範囲に加えたのであります。農業や
森林業、
水産業等の
事業をこれに加えましたことは、一見いたしまして或いは
農林漁業金融公庫の仕事との重合を生ずる虞れがあるような感じを持たせるのでございまするが、狙いといたしておりまするところは、これらの
協同組合が現に行なつておりまするのは一般の
製造業であるという事例が多いのでございまして、これらの事例を取上げまして
中小企業金融公庫の
融資対象といたそうと考えている次第でございます。第三の範疇は医業でございます。お医者さんの仕事が、いわゆる
中小企業といつたような概念で把握できるものかは今いろいろと論議のあるところと存ずるのでございまするが、現に
中小企業信用保険制度におきましても、お医者さんに対しまする融資を
信用保険の対象として取上げておりまする等の事情もございまして、比較的小規模な医業、
医療事業をこれらの対象として取上げようといたしておるわけでございます。第四の範疇は
調整組合及び
調整組合連合会でございます。
調整組合と申しまするのは、先ほどもちよつと触れました
中小企業安定法に基きまして中小の
事業者が主として生産の
制限調節等を行いまする目的で組織いたしまする組合でございます。いわば小規模なカルテルでございまして、その主たる仕事は、
組合員たる
中小企業者の
生産事業、
経済事業に対する
意思的規律を行うことが中小でございまして、
経済事業はその対象と相成つておらないのでございますが、ただ
金融の仕事だけは行い得るように相成つておるのでございます。これはときによりましては
調整組合におきまして
組合員の
調整活動に必要な
資金の融通をいたす等の必要から設けられておる規定でございまするので、これらの活動に附随して
資金が必要である場合も予想してこれを加えた次第でございます。
第三には、
中小企業金融公庫は、他の
公庫におけると同じようにこれを法人といたします。
第四は資本でございまするが、資本は
一般会計からの出資百億と、後に述べます
産業投資特別会計から出資があつたものとされますいわゆる
法定出資額との合計と相成るのでございます。
公庫の
資本金をできる限り多くし、その
運用資金をできるだけ多くしたいということは我々の念願であ
つたのでございまするが、財政上のいろいろな
睨み合から結論的に百億ということに相成つた次第でございます。
役職員といたしましては、総裁一人、理事四人以内、監事二人以内を置くということにいたしまして、役員の任期は
一般公庫におけると同じように四年ということに考えこおるのでございます。
公庫の役員及び職員は刑法その他の罰則の適用ではこれを公務員とみなしまして、業務の公正を期したいと考えておる次第ございます。なお
公庫の職員は出発の当初におきましては五十人程度の極めて簡素な組織を以てスタートいたしたいと考えておる次第でございます。
公庫の業務でございまするが、
公庫は
中小企業者に対しまして安定しました
資金を流すという第一条の目的を達するために、
中小企業者に貸付の仕事を行う。保証とか或いは手形の割引でございますとかいうような仕事は
公庫の業務の内容といたさないのでございまして、専ら貸付のみを行うことと考えておるのでございます。貸付の条件は、これは
公庫が創立いたされますると、
公庫みずからが
業務方法書に規定いたしまして
主務大臣の認可を受けることになつておるのでございまするが、現在大体次のような方式を以て貸付ける予定でございます。
設備資金及び長期の
運転資金、
設備資金と申しますればこれは一般的に
長期資金になりますことは御承知の通りであります。又
運転資金に対しまして国家乃至は
政府機関が
補充的金融をやる必要も極めて少いのでございまするが、或いは設備の
増設等からみ合つて必要といたしまする長期の
運転資金乃至は積極的に苦難を打開いたします或いは
合理化いたします等のために必要な長期の
運転資金をば
公庫から貸出させようと考えておる次第でございます。
貸付金額は、一
企業者当り累計一千万円までと考えておりまするが、
中小企業等協同組合又は
調整組合若しくは
調整組合連合会等のいわゆる
合同体にありましては三千万円までを
貸付限度といたします。この
貸付限度一千万円という点につきましては、やや多きに過ぎるのではないかというような御議論もよく伺うところでございます。従来見返
資金特別会計の
資金を
日本銀行の窓を通じまして
中小企業に放出いたしておりました時代は、これが五百万円あ
つたのでございます。又現行の
中小企業信用保険法におきまして、規定いたしておりまする一件の
貸付限度も五百万円ということに相成つておるのでございまして、或いは従来の常識から考えまするとその程度の
資金量が
中小企業のために必要な
最高限度ではないかとも考えれるのでございまするが、実は
開発銀行に対しまして私
ども中小企業行政を担当いたしておりまする見地から申しましても、五百万円までの限度では足りない場合が相当あるのであります。それはお手許に
曾つて配付いたしました
中小企業関係統計資料によ
つて御覧を願えばおわかりになると存ずるのでありまするが、
各種中小企業者の業態を調べまして、いろいろと設備の更新等やらねばならぬ幾つかの
設備類があるのでございます。併し、これを調べて見ますると、一件の金額が或いは六百万円或いは八百万円或いは一千万円程度のものでございまして、これを
指導診断の結果等から考えまして設備いたさせませんとなかなかに
中小企業が
合理化されんという場合も多くありまする事実に鑑みまして、現在
開発銀行におきまして一千万円までの融資を
中小企業向けにいたしておるのでございまするが、今後も大体従来通り五百万円見当を中心的な狙いといたしまするが、或いは後に申上げまする
金融機関に専決的な
貸付代理をいたさせます時分などには勿論五百万円までといたして、特に只今申上げましたような或いは非常に
合理化に役立つ機械を据付けるといつたような場合に
限つて一千万円までの貸出を認める等の方法を講じまして、限度といたしましては一千万円と相成つておりまして、事実は成るべくこの限られました
資金量が広汎な
中小企業層に向つて流入し得ますような措置を講じたく考えておるような次第であります。利率は、現在
開発銀行の行つておりまする貸付の利率の基準と同じく一割ということを一応の目途といたしておりますが、勿論
金利情勢等が変動いたして参りますればそのときの利率によることと相成るわけでございます。
償還期限は、一年以上五年以内、特に必要のありまする場合には五年以上の
資金の貸付も認める考えでございます。一年以下の
資金につきましては、これは政府の補完的な
金融をいたしまする対象といたしましてはやや
補完的金融をいたしまするほどの必要のない
資金ではなかろうかという考えの下に、大体中期以下、
長期資金という常識から考えまして、一年以上のものに
限つた次第でございます。なお
設備資金等でございますると、
据付運転等のために相当の
据置期間を認めてやる必要がございまするので、一年以内の据置を認めることと考えておるのであります。担保は、これら
信用業務の性質上原則として
不動産殊に当該でき
上り設備といつたようなものを担保として徴収いたしまするが、或いは
運転資金融等でどうしても担保が出せないというような場合には
保証人を以て担保に代えることもできるような
業務扱いといたしたい考えでございます。
公庫の業務は、大部分を原則といたしまして
金融機関に対しまして委託して運用させる考えなのでございます。即ち只今申上げましたように
公庫の機構は極めて簡素なものでございまして、みずから支店、
支所等を設けまして直接に
中小企業者と貸付の業務をいたすということになりますると、厖大な陣容が必要でございまするのみならず、新らしい仕事でございまするから、その活動が滑り出すまでに大分の時間がかかるようでございまするので、各種の
金融機関と
中小企業者との従前の
取引関係等に基きまして、ただ
資金の使途や或いは
資金の
償還期限や、その他の関係から
財政資金を投入するにふさわしいといつた用途をそれぞれの
金融機関に選んで頂きまして運用してもらう考えでございます。
受託金融機関に対する
受託方法は全部
専決代理の方式と一部代理の方式とを考えておるのでございます。
専決代理の方式と申しまするのは借入の申込の受理から貸付の決定、担保の条件、
償還期限その他すべてを
金融機関に専決させる方式でございます。この場合におきましてはおおむね
元利金の八割につきまして
当該金融機関に責任を持つてもらうようにいたしたいと考えておるのでございます。又一部
受託方式と申しまするのは、貸付についての申込の受理、審査、そのような一部を
金融機関に委託いたしまして、最終的な貸付の決定は
公庫みずからが行うという方法でございまするが、この場合におきましても各
金融機関において責任ある業務をとつて頂きますために
貸付元利金の三割程度について
金融機関の
元利支払の保証をとるという扱いといたしたい考えでございます。
第八は
公庫の会計でございまするが、これは
公庫の予算及び決算に関する法律の定めるところによりまして、おおむね国の会計に準じました処理をいたし、勿論予算は国会に提出いたしまして議決を仰ぐという
考え方でございます。
公庫に対しましては、
公庫はなお
主務大臣の認可を受け、予算の定めるところに従いまして
政府資金の借入が行い得るということにいたしてございます。
公庫の
資金源といたしましては
一般会計からの出資に多く頼るということが或いはその
資金コストを低下させる意味で非常に望ましいのでございまするけれども、これだけに
頼つておりましたのでは財政上の
規模等の必要から十分なる
資金を確保できないという場合もございまするので、或いは
資金運用部或いはその他の会計から借入ができるようにした考えがこの第九の
借入金の条章でございます。なおこれら
借入金に対しましては一般の場合と異なりまする関係もございますので、利息につきまして加減、或いは利息の減免といつたようなこともでき得ることといたしたのでございます。
なお
公庫は一〇〇%
政府関係機関でございますので、国庫以外の或いは
日本銀行に頼り或いは
市中金融機関等から借入をいたすことはこれを禁じようと考えておる次第でございます。
なお次は
開発銀行からの債権の承継でありますが、従来
復興金融金庫、見返
資金特別会計等の行なつておりました債権はすべて現在
開発銀行に一応引継がれまして同銀行の処理するところとなつておるのでありまするが、これらはすべてこれを
公庫に集中いたしまして、今後は
公庫においてこれを管理し、その
回収金は貸付の
資金源に加えて参るという
考え方なのであります。この点につきましては過去の国会特に当
通産委員会においてもこれらを集中的に利用するようにという御意見も出ておつたところでありまして、その御意見に副い得たかと考えておるのであります。引継の債権の種類は、第一は、
開発銀行が見返
資金特別会計から承継した
中小企業者に対する貸付に係る債権でございます。お手許に一枚紙の資料がお配りしてありますが、これを御覧願えばわかりやすいかと存ずるのでありますが、
中小企業者に
政府関係機関から貸出されました
資金は三通りあるわけであります。第一番が見返
資金特別会計日銀扱というのがございます。これから
中小企業者に出たもの、第二は
復興金融金庫から
中小企業者に出たもの、第三が3とあります
中小企業見返
資金から出たもの、この三通りでございます。この三通りの債権が、現在では
復興金融金庫の分は
開発銀行が引継ぎ、又見返
資金特別会計から
日銀扱を以て
中小企業者に出ておるものも
開発銀行に引継がれておるのでありますが、これらを
中小企業金融公庫に引継替えいたしまして、
中小企業金融公庫から
中小企業者に貸付けたこととして、将来整理して参るというのが第十に書いてございます承継の規定でございます。
開発銀行が見返
資金特別会計から承継した
中小企業者に対する貸付に係る債権というのは1でございます。
開発銀行が
復興金融金庫から承継した
中小企業者に対する貸付に係る債権と書いてございますのが2という債権でございまして、
開発銀行が小
企業者に対して行な
つた貸付に係る債権と書いてございますのが、丁度真中のところにある3でございます。これらを引継ぐことといたしまして、そうしてこれら
引継債権のうち第一号の債権即ち見返
資金特別会計から
中小企業者に出しておりました
資金に相当する額は、
産業投資特別会計を通じて引継がれまして、
中小企業金融公庫への出資として扱い、その他の債権は
開発銀行から
公庫が借りたものとして扱うということにいたしたのであります。見返資す
特別会計の
中小企業者に対する
貸付金は
産業投資特別会計に引継がれまして、
産業投資特別会計から
中小企業金融公庫に出資、いわゆる
債権出資の形で引継がれるという関係にいたしましたのが、冒頭に申上げました
資本金のところでありますが、「
産業投資特別会計から出資があつたものとされた金額との
合計額」云々という条章に該当する規定でございます。なお
開発銀行が本年四月一日から
公庫成立の日までこれは
中小企業者向けの貸付をいたしておりますが、この
貸付債権は、
公庫みずからが現金を以て買取る、債権を承継いたしまするが、無償ではございませんで、有償の現金払の承継ということに考えておるのであります。
次は
商工組合中央金庫との関係でございますが、
公庫の出資に振り替えられた
一般会計からの商工中金に対する
貸付金二十億円は、
公庫の成立の日から二年以内で政令の定める期間
公庫から商工中金へ貸付けたものとすること、昨年の十二月に商工中金に対しまして
一般会計から二十億円の
資金の貸付を行なつておるのでございまするが、この三十億円の債権も、
公庫の
資本金にいたすという考えで、これは
一般会計から商工中金に出資されることに相成るわけであります。従いまして
公庫と商工中金との貸借関係を明らかにいたす関係がございますので、この条章を設けた次第でございます。この
公庫の監督は、通産、大蔵両大臣に帰属するという主管を明らかにいたしておきたいと考える次第でございます。
以上が大体の要綱でございますが、予算的な出資につきましては、
一般会計予算書の第三百五十頁、大蔵省所管の
中小企業金融公庫の項に、
中小企業金融公庫出資に必要な
資金として八十億円を計上してございます。なお
公庫自身の歳入歳出は
政府関係機関予算といたしまして本国会において御承認を頂くことに相成つておるのでございまするが、その予算総則第三十条におきまして、
中小企業金融公庫は、先ほど申上げました
借入金のなし得る限度を二十億円というように定めてあるのでございます。従いまして
一般会計からの出資二十億円、並びにこの予算総則三十条によりまして行います
借入金二十億円、合せて百二十億円が
公庫を運用いたしまする
資金の一応の量でございまして、なお先ほど申上げました
開発銀行からの
引継債権の承継額、こういつたものが、
回収金等が
公庫の
運用資金源と相成るわけでございます。収入支出につきましては
政府関係機関予算書百七十五頁以下が
公庫の予算を規定いたしてございまするが、これによりますれば
事業益金収入五億九千四百余万円、支出合計三億六千一百余万円ということに相成つておりまして、その差額が国庫に納入されるということに相成つておるわけでございます。なお
開発銀行の業務を引継ぎますると、これに伴いまして或いは業務管理のための経費と、人員等を要するわけでございまするが、その点は
政府関係機関予算の総則第三十五条におきましていわゆる弾力条項を設けて支出の増額分は収入の増額で賄つてよろしいということについても併せて御承認を頂く予定と相成つておるのでございます。なおこれに関連いたしまして御参照を願いまする条文といたしましては、大きなものといたしましては、民法の法人の不法行為についての関係条章及び
公庫の予算及び決算に関する法律が主たるものでございまするが、添附の資料により御覧を願いたいと思います。なお従来の
中小企業向けの
政府関係機関等の融資の概況、その他につきましては配付申上げました横書の長い資料がございまするが、これによりまして従来各種の
金融機関が
中小企業者にどのような
資金を流しておるかという程度乃至は復興
金融公庫関係乃至は見返
資金特別会計の関係、
開発銀行の
中小企業者向け融資等町の概況を明らかにいたしたつもりでございまするが、御審議の御参考にして頂きたいと思う次第でございます。