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1953-06-22 第16回国会 参議院 通商産業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十二日(月曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————   委員の異動 六月十九日委員松浦定義君辞任につ き、その補欠として武藤常介君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松本  昇君            加藤 正人君            三輪 貞治君            小松 正雄君    委員            石原幹市郎君            黒川 武雄君            西川彌平治君            酒井 利雄君            松平 勇雄君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            藤田  進君            山口 重彦君            團  伊能君            白川 一雄君   国務大臣    通商産業大臣  岡野 清豪君   政府委員    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業大臣官    房長      石原 武夫君    通商産業省重工    業局長     葦沢 大義君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (通商産業政策基本方針に関する  件) ○武器等製造法案内閣送付) ○中小企業金融公庫法案内閣送付) ○参考人の出頭に関する件 ○鉱業法の一部を改正する法律案(内  閣送付)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今より通商産業委員会を開きます。  最初委員長から政府側に特に申上げたいのでありますが、本日は一時から委員会を開催することになりまして、先般の委員会月水金定例日をきめておりまして、政府側に御迷惑をかけないように、殊に重複をしないように政府委員の御出席を求めるというような段取りも決定したわけでございます。然るにかかわらず、今日のごときは一時間近くになりますが、大臣はいろいろ予算関係で御多忙であつたかも知れませんが、政務次官その他関係局長も全部お見えになつておらんというようなわけで、折角熱心に各委員審議されておりますのに、かようなことでは今後誠に思いやられますので、これからどうぞ時間を厳守して頂きまして、委員会の誠意も十分酌んで政府側も対処して頂きたいと思います。念のために御注意申上げておきます。  それでは、本日は最初通産大臣より通商産業政策基本方針について説明を聴取いたします。
  3. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お忙しいところ大変お待たせいたしまして誠に恐縮に存じます。今後もよく政府委員と連絡しましてそういうことのないように注意いたします。  我が国経済現況及び経済政策の大綱については、本国会冒頭経済演説において申述べましたので、ここでは通商産業省として当面する問題を中心にして、多少具体的に私の見解を申上げたいと存じます。  通商産業政策の重点は、第一に、輸出振興により生産水準及び国民生活水準維持向上を図り、第二に、これがため産業基盤強化すると共に、産業合理化近代化を徹底し、特に工業技術振興して少くともこれを諸外国と同水準に到達させることにより生産費切下、品質の向上を図り、第三に、国際収支均衡達成目標として輸入節減国内自給度向上を図ると共に、第四に、景気変動のしわが寄せられ勝ちな中小企業に対し強力な助長育成策を推進することにあると考えます。  先ず第一の輸出振興対策でありますが、朝鮮休戦の見通しに伴う国際的輸出競争の激化と特需漸減傾向が予想される今日、我が国経済にとつて正常貿易によりその規模拡大することが焦眉の急務であると考えるのでありまして、従来にもまして官民共輸出第一主義に徹する必要があると確信するものであります。これがためには、先ず経済外交の強力な推進により、協定貿易乃至互恵貿易拡大相手国輸入制限緩和等努力すると共に、賠償問題の円満な解決、ガツトヘの早期加入通商航海条約の締結の促進に努めることによつて差別関税、入国、入港制限その他輸出阻害国外的要因の打破、是正を図りたいと考えます。  なおこの機会に申述べたいことはポンド対策問題であります。即ち昨年六、七月頃一億二千万ポンドを上廻つていた我が国ポンド保有高は、その後御承知のごとくポンド地域諸国の対日輸入制限我が国輸入買付の進展とにより逐次減少し最近は三千万ポンドを割るに至つております。政府としてはこれに対処して本年二、三月頃より英国側折衝を行い、その輸人制限緩和了解ポンドとドルのスワツプ及び非ポンド地域との間におけるポンド振替使用についての了解とを取りつける等の措置を講じ、重要物資輸入削減事態に陥らざるよう努力して来たのであります。今後はおおむね一億七千万ポンドの受取を保証するという前述の了解履行確保につき十分努力を払うと共に、要すれば、同地域内各国との個別折衝をも考慮している次第であります。以上ポンド貿易に関して申述べましたが、更に最近には中華民国、西独、アルゼンチン、スエーデン、パキスタン等との貿易拡大ための新協定を締結し、又近くインドネシヤとも協定更改正式交渉に入りたいと考えております。  次に東南アジア、中南米、中近東等市場として将来有望な地域に対しましては、通商使節団の派遣、技術者交流信用供与等市場開拓ため有効と認めるあらゆる方策を実施する必要があり、特に東南アジアについては、その民族感情と融和し得るような方式を通じてそれぞれの工業化計画に積極的に協力し緊密な経済関係を結ぶことに努めたい考えであります。なお従来我が国として比較的努力の不足していたと思われる海外宣伝活動についてはこの際特にこれを強化する必要があると考えます。以上のような見地から本国会には輸出入銀行法及び設備輸出為替損失補償法改正提案すると共に「貿易斡旋所」及び「重機械技術相談室」の新設技術者交流促進等に要する経費等予算案に増額計上した次第であります。  次に輸出阻害の一因は輸出競争力弱体性による面が少くないので、一部物資に見られる価格の割高是正には格段の努力をいたしたいと考えます。即ち一般的には、税制改正及び財政資金重点的効率的投入と相待つて企業合理化を一段と推進し、又低廉な原材料輸入確保に一段と努力いたしたいと考えております。次に貿易商社強化対策国際競争力強化見地から重視すべきでありまして、その第一歩として今般税制改正によりその資本力強化海外支店網の整備を企図すると共に、金融面においてもその経営の安定を図つておる次第であります。又輸出入取引の秩序を確立し過当競争の弊を除去するために、輸出取引法の大幅な改正提案することにいたしておりますが、その内容につきましては法案が完成いたし次第別に御説明を申上げたいと存じます。最後輸出振興を一段と積極化するためには、業界輸出意欲を振起するため輸出に適した経済環境の醸成を図る必要を痛感するのであります。これがため綿紡について、新たに輸出入リンク制を採用し輸出の一層の促進に資しましたごとく今後は可能な限り他の品目についてもこのような輸出入リンク的な考え方を拡大し、又、バーター取引方式正常輸出支障なき限り大幅に取上げたいと考えます。  その他現行の輸出信用保険制度についてもてん補率引上適用範囲拡大保険料引下等大幅な改善を加える方針努力するつもりであります。  最後中共貿易につきましても、しばしば申述べたごとく国連強力の枠の許す範囲内で極力輸出制限緩和に努めたいと思います。  第二の問題は電源開発、石炭、鉄鋼等基幹産業中心とする産業基盤強化企業合理化の徹底とであります。この問題は金利引下金融円滑化税制改正関連する問題が多いのでありますが、これ又各しばしば各種機会で申述べておりますので、繰返しを省略させて頂きますが、特にこの際申述べたきは独占禁止法運用に関する問題であります。即ち今般、先国会審議未了なつた旧改正案の線をおおむね踏襲して独禁法改正案提案いたしたのでありますが、その改正案で容認させるカルテル不況カルテルについては、物価水準引下輸出振興根本的要請一つとなつている現況に鑑み、一部の人々が期待しているように安易な態度で不況カルテル認可すべきではないと考えております。半面合理化カルテルについては、その内容新規生産分野協定追加いたしましたし、又運用上もこの種のカルテルは積極的に容認いたしたい方針であります。次に企業合理化関連して特に申上げたきは工業技術振興についてであります。我が国における工業技術外国技術の導入と合理化機械輸入とによつて漸次改善されつつありますが、なお、欧米の先進諸国に比してかなり立遅れているのみならず、これらの諸国においても巨額の研究費を投入することによつて日進月歩の勢にあるのであります。勿論従来からも、企業研究費に対する税法上の優遇措置各種研究助成金制度、新技術工業化に対する財政資金融資等施策がとられては来ましたが、今後もこの線に沿つて一段と努力いたしたいと考えます。  第三は、国際収支均衡達成目標として輸入節減自給度向上を図ることであります。即ち差当り協定貿易遂行輸出原材料確保支障がない限り、従来に引続き一層奢侈的輸入を抑制すると共に、将来の外貨節約に備えて合成繊維その他国産原料による新規産業に対しては財政資金の投下を増額し一層その育成を図る所存であります。  最後中小企業問題に関する所信を申述べます。今更申すまでもなく、我が国経済に占める中小企業の地位は、輸出産業として、重要産業関連部門として、又生活必需物資供給部門として、質的量的に極めて重要なものがあります。更に又国民生活調和的発展ためにも、国民経済民主的運営ためにも、中小企業問題は一日もゆるがせにできないものであります。ただ中小企業はその規模業種において複雑多岐に亘り画一的な施策を以て律し切れないものがあるのみならず、施策速効的成果を期しがたいものがあると思います。従つて金融対策安定対策組織化対策合理化対策に関する各種施策を、規模業種の実体に即しつつ不断の熱意を以て推進する必要があると確信いたします。  先ず金融対策としては、本年度予算案において、財政資金百八十億円を計上し、中小企業金融公庫新設と国民金融公庫強化拡充により、長期資金資金源拡大零細金融円滑化を図る方針であります。又商工中金についても、商工中金債資金運用部引受促進国庫余裕金引揚緩和とに努力し、地方財政資金の活用と相待つて組合金融発展を図りたいと存じます。なお地方銀行、中小企業専門機関を主力とする市中金融円滑化を期して、中小企業信用保険法にも所要の改善を加え、又信用保証協会法制化をも準備しておる次第であります。  又安定対策としては、中小企業安定法の適切な運用融資斡旋積極化を図つております。  なお、中小企業対策の究極の目標は、その一般的経営水準引上にあるのでありまして、これがためには中央地方を通ずる助成策として企業診断方式強化により、個々の企業合理化を進めると共に、協同組合法の適切な運営協同組合共同施設に対する国家及び地方財政資金による効率的な補助、商工中金の機能の拡大等によつて組織化量的拡大質的充実を図つて参りたいと考えます。  以上を以ちまして私の説明を終りたいと存じます。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) 皆様にお諮りを申上げます。実は衆議院におきましては本日より予算委員会質疑が開始をされておりまするので、岡野通産大臣はそのほうに出席しておられましたのを無理矢理にこちらへ只今来て頂いたわけでございまするが、只今予算委員会より一刻も速かに出席をするようにと言つて督促して参つておりますので、本日は一応この御説明伺つただけにしておきまして、来る水曜日に大臣と又打合せをいたしまして時間をきめまして、予算委員会がございましても、こちらに一応御出席願つて皆様がたの御質疑にお答えをして頂きたいと考えておりまするが、従つて本日はこれで御退席を願うことに差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは一つ明後日又繰合わしてお願いいたします。  なお只今の御説明は至急プリントに作りまして、皆様がたに差上げることにいたします。    〔委員長退席理事松本昇委員長席に着く〕
  6. 松本昇

    理事松本昇君) 委員長がちよつと用事ができましたので私が代ります。  それでは法案については去る六月十八日附審議を付託されました武器等製造法案及び中小企業金融公庫法案提案趣旨説明を求めまして、次いで前回委員会において趣旨説明のありました鉱業法の一部を改正する法律案審議を行いたいと存じます。
  7. 葦沢大義

    政府委員葦沢大義君) 武器等製造法案提出理由を御説明申上げます。  武器製造につきましては、終戦直後の昭和二十年十月十日よりポツダム共同省令「兵器、航空機等生産制限に関する件」によりまして全面的に禁止されておりましたところ、このポツダム共同省令改正により昨年四月九日から武器製造は例外的に許可されるようになりました。  特に昨年五月頃から駐留軍武器発注額相当額に上りましたため、いわゆる特需としての武器製造は、漸く活発となつて参りました。然るに先に述べましたポツダム共同省令は、昨年十月三十四日を以て失効したため、その後の武器製造については法的規制がなくなり、公共の安全を維持するために、何らかの措置をとる必要を生じて参りました。而もこの間にあつて関係業界の受注に対する熱望は、ややもすると濫立弊害を示す傾向さえ見受けられる事態に立に至つております。  このような情勢に鑑みまして、速かにこの法の空白状態をなくしますと共に、武器生産の混乱から来る国民経済への悪影響を避けるため武器製造事業について規制を加える必要があると考え、第十五特別国会武器等製造法案提案いたしましたが、国会解散ため審議未了となりましたため、ここに再び武器等製造法案提案いたしました次第であります。  以下この法律案の主な点につきまして大略を申述べます。  第一にこの法律案は、公共の安全を確保するため武器及び猟銃等製造販売その他の規制を行うだけではなく、武器製造事業について、国民経済との均衡を失わしめず、この事業濫立による弊害を排除し、或いは又海外に対する政治的配慮などの理由から余りに製造能力が過大となることは厳に抑えなければなりませんので、武器製造事業許可を要することとし、その製造能力必要限度にとどめることにしました。  第二にこの法律案適用を受けるものは、武器については、銃砲銃砲弾爆発物等公共の安全を確保しますと共に事業調整を行う必要が特に大きいものに限定し、又猟銃等については公共の安全の確保という観点から選定いたしました。  第三に武器製造事業許可制と並行して、武器製造販売等を行う者の契約内容を届けさせ、契約が不当なものであるときには、戒告することができることにして、不公正な競争が生ずるのを防ぐことといたしました。  なお、この法律案は前国会において御審議を願いました法律案に検討を加えた結果工場の移転の取扱等について若干の修正を加えております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを切望いたす次第であります。   —————————————    〔理事松本昇退席委員長着席
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは次に中小企業金融公庫法案につきまして提案理由説明を聴取いたします。古池政務次官
  9. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今提案になりました中小企業金融公庫法案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申上げます。  先ず提案理由について御説明申上げます。  我が国経済自主体制を確立するためには、その基盤をなす中小企業振興を図ることが目下の喫緊事でありますが、このためには、その必要な設備資金及び長期運転資金を積極的に導入することが刻下の急務であることは言を待たないところであります。然るにかかる資金は、長期且つ或る程度低利であることを必要とする関係上、一般金融機関融通に待つことは困難であり、従つて国家資金により調達する必要があるのであります。  ここにおいて、昨年末、衆、参両院における国家資金による中小企業長期資金融通制度の創設に関する御決議に即応し、中小企業者に対する長期金融の特別な恒久的政府機関として中小企業金融公庫を設立しようとするものであります。これが本法案提案した理由であります。なお特別会計によらず、公庫を設置することといたしましたのは、農林漁業金融公庫の例に倣い長期貸付の責任の所在を明確にすることと業務の円滑な遂行を期そうとすることのためであります。  次に本法案概略を御説明申上げます。  先ず中小企業者に対する長期資金融通を目的として中小企業金融公庫を設置し、これを法人とするものであります。これが資本全額政府出資とし、その金額は一般会計からの出資金百億円と産業投資特別会計からの法定出資金との合計額であります。  業務につきましては、中小企業者に対する設備資金又は長期運転資金貸付を行うのでありますが、その業務の一部を金融機関に委託することができるものとしております。貸付限度は一企業者当り貸付累計一千万円以下、即ち中小企業等協同組合調整組合又は調整組合連合会については特に三千万円以下、貸付金利は年一割、償還期限は一年以上最長五年、据置期間は一年以内を予定しておりますが、これら貸付に関する業務方法及び業務委託の基準は業務方法書に記載することとしております。なお業務方法書事業計画書等主要事項については主務大臣認可を要するものとして行政との密接な関連を保持せしめることといたしております。  役員については、総裁及び監事は政府任命とし、理事任命についても主務大臣認可を要するものとしております。会計については「公庫予算及び決算に関する法律」の定めるところにより、大体、国の予算及び決算に準じて取扱をするものとし、利益金を生じた場合は、全額国庫に納付するものといたしております。なお、公庫政府から資金の借入をなし得るものとし、今後の政府追加出資と共に貸付の財源となし得ることといたしております。  以上が法案内容概略であります。何とぞ慎重御審議上速かに御可決賜わりますようお願い申上げる次第であります。
  10. 中川以良

    委員長中川以良君) 両法案とも、本日は一応提案理由説明の聴取にとどめておきまして、次回よりこれの質疑に入りたいと思つております。つきましてはこの法案審議いたしまする過程において、これに関連をいたしまするところの産業団体並びに業者等参考意見を聞きましたほうがよいように存じまするが、参考人としてそういうような人々を招きまして参考意見を聴取いたしますることに差支えございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは適当な時期に参考人を呼びますることにいたしまして、この参考人につきましては、一応委員長理事とお諮りいたしまして、決定をいたしたいと存じまするが、それでお差支えございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 中川以良

    委員長中川以良君) なお御意見等ございましたら、私のもとなり、理事諸君のもとにお申出を頂きたいと存じます。それではさように取計らうことに決定をいたします。   —————————————
  13. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に前回委員会におきまして趣旨説明のございました鉱業法の一部を改正する法律案につきまして質疑を行います。質疑のおありのかたは逐次御発言をお願いいたします。  それでは委員長より一点お伺いをいたしたいと存じます。今回の改正法律案によりますると、改正要綱の第一点といたしまして、鉱業と他の公益との関係につきまして、社会の実情により適応した調整方法を採用することが挙げられております。具体的に申しまするならば、第三十五条の改正によりまして、公益ためにする鉱業出願許可要件といたしまして、新たに文化財公園温泉資源保護支障を生ずる場合を追加をいたしております。又第五十三条を改正をいたしまして、公益ためにする鉱区の減少の処分又は鉱業権の取消の要件といたしまして、第三十五条の追加要件追加いたしますることになつております。これは鉱業権の立場から見ますれば、公益の名において一種の後退であると言つて差支えないと思います。勿論第五十三条の二によりまして、あとの場合、国が損失補償をなすことに追加規定をいたして法文上は一応バランスをとつておるのでございまするが、果して国の損失補償が、これら鉱業権者に対しまして経済的にも鉱業権損失を十分にカバーをすることができるかどうかということが非常に疑問であり、この点関係業者間において不安を感じておりまするところでございます。従来においても鉱業法文化都市建設法文化財保護法との間にいろいろの問題を起しておるのでございまするが、これはすでに御承知通りでございます。この間これら法律がおのおの錯綜いたして競合の形になつておるので、この際これらの法律によつて鉱業権が圧迫されておりますような事実、並びにこれが解決策につきましては、通産当局としてはどういうふうに今後考えておられるか。殊に文化都市建設法文化財保護法等改正もこれに伴つて行わるべきではないかというふうにも存ずるのでございますが、この点に対する一つ当局の御所見を承わりたいと思います。
  14. 川上為治

    政府委員川上為治君) 現在の鉱業法におきましては、この第三十五条におきましても、又第五十三条におきましても、文化財とか、或いは公園とか、温泉というような問題は、はつきりいたしておりませんので、従いまして文化財とか或いは公園というものは除外いたされていたわけであります。今回におきましては、これをはつきり取入れるということにいたしたのでありますけれども、この三十五条なり或いは五十三条等の改正によりましても、なお特に文化財との関係につきましては十分法律的に或いは運営的に調整できない点があるのではないかと私どものほうでは考えておるわけであります。即ち現在国立公園につきましては、国立公園法によりまして、特別の地域等指定厚生大臣が、国立公園審議会意見を聞きましてこれを指定いたすことになります。指定をいたしますというと、その地域につきましては、鉱業の採掘はできないということに相成つておるのでありますけれども、この国立公園指定関係につきましては、今申上げましたように、審議会というのがございまして、その審議会におきましては農林通産運輸等各省の職員も委員として参加いたしておりますし、又そのため関係行政官庁間の連絡は相当緊密に行われております。従いまして、鉱業権と、この国立公園特別地域につきましての調整につきましては、十分に調整が行い得る状態になつております。若し協議が各省の間につきません場合におきましては、或いは次官会議、或いは閣議というような機関もありまして、それによりまして調整されるような恰好になつております。従いまして、そういうような経緯によりまして、国立公園関係におきましては両者間に十分の調整が行われまして、鉱業権の問題と、それから特別地域との調整は相当よく行い得ると考えられておるわけであります。又国立公園関係につきましては、損失の補償の制度がありまして、鉱業権の取消が行われますというと採掘ができない場合におきましては、鉱業権者損失を補償することの規定がありますので、そういうような関係から申しましても、国立公園関係におきましては大体において円満に行われておるということが言えると思うのであります。現在までいろいろ問題がありましても、結局のところ両者内でいろいろ話合いしまして協議もできまして、それで比較的円満に行つているということが言われているのであります。それから同じような問題につきまして温泉関係がございますが、温泉法でも道府県の知事は土地の掘鑿が温泉に著しい影響を及ぼす場合には、その影響を阻止するに必要な措置を命ずることができるのでありますが、この際におきましても、あらかじめ土地の採掘を許可又は認可しました行政官庁に協議しなければならないということになつておりますので、その際例えば鉱業権の問題につきましては、この都道府県知事は、行政官庁であります地方通産局なり、そうした方面と十分連絡をとつて許可をするということになつておりますから、事前に十分の打合せがあるわけでございまして、そのため鉱業権とこれらの温泉のほうといろいろな問題を起すことが少なく、比較的円満に片付いているということが言えるのではないかと思うのであります。その他例えば農地法とか或いは森林法或いは海岸地区の法律を出されるというような話を聞いておりますが、海岸保全法案とか或いは自然公園法案とか、そういうようなものにつきましても、大体におきまして鉱業権との調整を十分に考えまして法律案は考えているようでございます。ところが、大体殆んどこれだけではないかと思うのでありますが、文化財方面につきましてはこれは三、四年前に法律ができまして、現在施行されているのでありますが、文化財保護法によりますというと、文化財指定につきましては文化財保護委員会というのがありまして、この委員会におきまして、この文化財指定をすることになつております。この文化財指定委員会におきまして指定します場合におきましては、別に公聴会とか、或いは審議会とか、そういうようなものはないのでありまして、この委員会におきまして勿論その下に専門審議会のようなものがありますけれども、その審議会意見を聞きまして、委員会が独立の権限を以て指定いたしておるわであります。この委員会は、文部省の一応所管にはなつておりますけれども、丁度昨年までありました公益事業委員会と同じような性格を持つているのではないかと思うのであります。従いまして、ここで指定されますというと、今まで鉱業権を持ちまして採掘しておりましたものが、これがいきなり採掘を休止しなければならないような状況になるわけであります。勿論その際におきましては、原状復旧の申請というのが、回復の申請というのができるのでありまして、その申請を鉱業権者が行いますというと、場合によりましては或る程度これを認められまして、採掘が一部許可されるようなことにもなるわけであります。いずれにしましても、この指定というのは、文化財保護委員会におきまして別に公聴会とか或いは各省間に協議するとかというような法律的な制度もなくして、この委員会におきましてその指定をし得る状況になつております。こういう点につきまして、法律的な若干の不備があるのではないかと私どものほうでは考えておるわけであります。そして一遍指定しますというと、先ほど申上げましたように原状復旧の申請はできますし、それによつて場合によりましてはその委員会でそれを認められんということはあるかも知れませんけれども、一旦指定しましたことに対する損害賠償と申しますか、損失補償の制度は別にないわけであります。従いまして、一面から見ますというと、鉱業権者にとりましては非常に不利な立場にあるわけであります。私どものほうとしましては、特にこの文化財の方面につきましてはそういう制度になつておりますからして、何とかして文化財保護委員会のほうに十分にこちらの立場を説明いたしまして、そして是非とも鉱業権を認めてもらいまして、採掘が必要な限りできるように、いろいろ連絡を今日までとつてつてつておるのでありますけれども、遺憾ながら今申上げましたように法律的な点、或いは運営的な方面におきまして若干のほかの国立公園法とか、或いは温泉法とか、そういうものと違つた点がありますので、十分な連絡をいたしますといいましても、なかなかうまくその点が行きませずに、勢い指定が、協議が整わないままに先に行われて、いろいろ地方におきまして問題を起しているという点がないでもないわけであります。従いまして、私どものほうとしましては、先ほど申上げました温泉法とか国立公園法とか、そういうような方面につきましては或る程度円満にこれが行えておりますので、別段これをもつとよく改正してもらいたいというようなことは、今のところそれほど考えておりませんけれども、文化財の方面につきましては、何とかそういう方面につきまして法律的な点について考えてもらわなければ、今後におきましても相当いろいろな問題を起すのではないかというようなふうに考えられます。先ほど申上げましたように、たとい今回第三十五条、第五十三条の改正をいたしたといたしましても、現在の文化財保護法そのままでありますというと、なかなかその辺の調整はとり得ないのではないかというようなふうに考えておるわけでありまして、この辺の調整につきましては、文化財保護委員会のほうとも十分連絡をとりまして、何とか調整して頂きたいというようなふうに考えております。
  15. 中川以良

    委員長中川以良君) 御質疑はありませんか。
  16. 西田隆男

    ○西田隆男君 改正される条項の中に、「公共の用に供する施設」の下に「若しくはこれに準ずる施設」と書いてありますが、これはどういうことを意味しているか、これが一つ。  それから将来鉱業権が設定される場合においては、この法律によつて大きな紛争を捲起すことがないようにできるだろうと思うのですが、現在設定されている鉱業権の中で、この法律の規定を適用してすぐ紛争の解決をしなければならんというのが現在どれくらいあるか、それを一つ説明願いたい。
  17. 川上為治

    政府委員川上為治君) この第三十五条の「若しくはこれに準ずる施設」と言いますのは、今申上げましたように、保健衛生上害ありとかいうような例が一つ出ておりますが、公共というのは相当広く解釈していいんじやないか。いわゆる非常に狭い意味の公共でなくて、相当広い意味の公共の施設というふうに解釈したいと考えるのであります。
  18. 西田隆男

    ○西田隆男君 あとのやつを一緒に、如何ですか。
  19. 川上為治

    政府委員川上為治君) それから取消の問題について、今直ちにこの法律改正しましたことによりましてすぐこういうような措置をとらなければならんかという点につきましては、従来この鉱業法に基きまして取消を行いました例は殆んどありませんので、今までの問題で、すぐどうこうという問題はないのであります。今までその指定いたしましたのは、先ほど申上げましたように、文化財保護法に基く規定というようなものによつて鉱業権が変更されなければならん。鉱業権の取消と申しますよりも、鉱業の採掘ができないというような状況になりますので、まあ取消されたことと同じなんですが、それは文化財保護法に基いての措置でありまして、従来の鉱業法に基いてのそういう問題ではありませんので、文化財保護法についての改正なり、そういうようなことによつてその問題は解決する以外に方法はないというふうに考えております。
  20. 西田隆男

    ○西田隆男君 私がお聞きしておりますのはね、現在設定されている鉱業権の中で、この法律規制を受けて紛争を解決せねばならないようなものが現在どれくらいあるかということを、第二のを聞いているのです。
  21. 川上為治

    政府委員川上為治君) 今までのところでは一件もないことになつております。ただ将来におきましては、そういう問題が起つて来るのじやないかと考えられます。
  22. 西田隆男

    ○西田隆男君 それから前段の公共の用に供するもの及びこれに準ずるものという範囲に関してですが、鉱業法の審査のときも十分問題になつたんです、鉱業権を設定されたのちにおいて公共の用に供するものができたり、或いはそれに準ずるものができたりした場合にも、この法律の趣旨から行くと適用されるように解釈されるのですが、その問題を鉱業法鉱業権そのものを設定する際に、そういうことが予測される場合は、それは考え得られると思うのですが、全く予測されないような状態の下において鉱業権が設定され、その後において公共の用に供するものができたり、或いはそれに準ずるものができたり、或いは文化財保護法指定をするものが発見されたりした場合、この損害の補填の条文では十分でないと思われますが、そういう場合は事前に、公共の施設をする、或いは公共に準ずるような施設をする場合はどういうことでやられるのですか。黙つてつても何にもならん。これは地上権と鉱業権の競合ですかね、この場合はどういうようなことになつておりますか。
  23. 川上為治

    政府委員川上為治君) 只今のお話は誠に尤もだと思うのですが、それ以前に何かそういうものを作らさないようにする方法はないかというようなことでございますが、そういう点から申しますとまだ不備ではないかということになるわけでありますけれども、現在におきましてはそういう点までは考えていないのでありまして、そのあとで問題が生じましたときに、鉱業権が取消されるというような場合に、現在におきましては何ら救済の規定が鉱業法にはありませんので、従いまして損失補償の規定を入れたいという考えでございます。
  24. 西田隆男

    ○西田隆男君 一応あなたのお話はわかるのですが、鉱業権を設定する場合は万全の注意を払つて鉱業権の設定がなされるわけなんですね。従いましてそののちにこの法律適用を受けるようなことが若し起きるとすれば、それは鉱業権にとつては大変な侵害になるわけですね。絶対不可欠の要件であり、条件であつて公共の用に供する施設ができたり或いはそれに準ずるような施設ができた場合はこれは止むを得んと思うのですが、そういう施設をなさる場合において何らか鉱業権を設定して鉱業権のあつたもの、若しくは鉱業権を設定した権限を有する関係各省というものと事前に何か協議するような規定が設けられなければ、これは無制限に鉱業権が侵害されるというように一応解釈されますね。
  25. 川上為治

    政府委員川上為治君) 従いまして先ほど申上げました国立公園法に基く特別地域の設定とか或いは温泉法の関係の問題とか或いは文化財指定の問題とか、そういうような非常に大きな施設、大きな地域に亘るようなものにつきましては事前に協議をして何とかその指定をする場合におきましては鉱業権と十分な事前の調整が行い得るようなことにしたいというふうに、又現実にそういうふうになつているものもあるわけですけれども、例えば学校とか或いは病院とか、そういうようなものにつきましては今のところは考えていないのでありまして、結局あとで事後の問題になるのじやないかというようなふうに考えておりますが、なおそういうような問題につきまして相当ほうぼうにおきまして問題が起きるというようなことでございますれば、そういう施設をする場合はあらかじめ各省間において十分な協議をするというようなことにしたらどうかと思いますけれども、今のところはその点は考えておりません。
  26. 西田隆男

    ○西田隆男君 これは文化財保護委員会の話を今さつきされましたが、文化財保護委員会公益事業委員会と同じような性格を持つてつてどうにもならんのだ、これと一脈関連があると思うのですがね。文化財保護委員会のほうは文部省の管轄であり、どうにも通産省できまいと思いますが、これは各省の間でお話合いになつて文化財保護委員会法といいますかね、あの法律は。どういう名前か知りませんが、その法律改正をこの法律案を出されると同時になぜやるように努力されなかつたのか。
  27. 川上為治

    政府委員川上為治君) 先ほど申上げましたように、文化財保護法との関係国立公園法とか、そういうようなものよりも、非常に鉱業権との関係がうまく行つてない。それは法律的な点に或る程度問題があるのじやないかということを申上げましたが、私どものほうとしましては何とかしてこの文化財保護法を事前に協議し得るような、或いはその委員会には通産関係と申しますか、そうした方面の産業関係のエキスパートが参加するとかというようなふうに、或いは損失補償の規定を設けてもらいたいというような点につきまして、いろいろ折衝は今日までいたしております。何分この法律政府のほうから提案された法律ではなくて、議会のほうから提案された法律でありますので、そのような関係もありますから現在その改正につきましてはいろいろ文化財保護委員会のほうでも、又議会のほうにおきましてもいろいろ研究されていると我々のほうでは承わつております。
  28. 西田隆男

    ○西田隆男君 議員提案であろうと、内閣提案であろうと、悪い法律があれば誰が改正してもいいわけなんです。そういうようなことは監督官庁の通産省が率先して各省と話合いをつけ、当然この法律案と共に、文化財保護委員会法の改正法律案は今あなたが言われるような御意見が正しければ出さなければならんことだと思いますが、これが一つと、それからこの法律案の中で設定される以前になかつた公共施設若しくはそれに準ずるようなものというようなものに対しての何か、緩和というのはおかしいが、事前に協議をしてどうでもこうでも絶対不可欠な設置する条件がない限り、何とか話合いできるような条文をこの法律案の中に織込まなければ、これでは余り窮屈過ぎて川上さん自身がお困りであろうと思うが、そういう努力をこれからなされたら如何ですか。
  29. 川上為治

    政府委員川上為治君) 文化財保護法改正の問題につきましては、先ほども申上げましたように、我々のほうといたしましても委員会のほうにもいろいろ話合いをしておりますし、又議会のほうにもいろいろお話申上げておりまして、何とかして調整が十分できるような法律改正をしてもらいたいといろいろ努力はいたしました。ただその努力が西田さんのおつしやるように、なかなか我々としましてはうまく今まで行つていないのでありまして、これと一緒に法律改正のところまで持つて来れなかつたことは甚だ遺憾とするところでありますけれども、我々としましては何とかして法律改正をして頂きたいというような気持を持つておりますが、若しどうしても間に合わないということでありますれば、あらかじめこれは法律上そういう規定がなくても事前に十分協議をして、協議が整つた上で文化財指定をするというようなふうに、両方でこの相談をいたしたいというような考えを持つております。それからいろいろな学校とか、病院とか、そういうものにつきまして事前におきましてあらかじめこの法律改正いたしまして、事前にちやんと話をつけておくというような措置をとるべきだというようなことにつきましては誠に尤もだと思うのでありますけれども、いろいろな学校、病院とかいろいろな問題があると思うのですが、そういう問題につきましては、成るべく法律改正しなくても何とかその話合いによりまして問題が起きないように持つて行ける方法はないかということもいろいろ考えておりますが、非常にほうぼうで問題が起りますれば、私はやはり法律改正をして、そういうような場合におきましては事前に話合いをつけておくというようなことにしておいたほうがいいと思いますけれども、今のところは今回出しました改正法律案におきましては実はそこまでは考えていなかつたわけであります。なお今回の改正法律案は、一応極めて非常に問題になりましたものだけ特に掲げて出したのでありまして、全般的な鉱業法改正につきましては、この次の機会に私どものほうとしては譲りたいというふうに考えております。
  30. 西田隆男

    ○西田隆男君 今の川上さんのお話を聞いて尤もと思うのですが、この法律案が最終の段階に至るまでの間でこの二つの問題をもう一つ明確にして、委員会一つ説明御答弁を頂きたい。
  31. 小松正雄

    ○小松正雄君 この文化財ということにつきましてお伺いしたいと思いますが、今現在石炭採掘をやつております鉱業権内に文化財というものがあるということがございますかどうかお聞きしたい。
  32. 川上為治

    政府委員川上為治君) 今採掘しております石炭関係の方面につきましては、文化財指定と競合しておるものは殆んどないように聞いております。むしろほかの鉱物でいろいろ問題が起きております。例えば九州の小倉の近くにあります平尾台の石灰石の山、これは非常に問題になつておりますが、これでありますとか、或いは秋田、山形方面におきまする北投石の問題、これが指定されまして、これと硫黄の採掘の関係、そうした関係が非常に問題になつておりますが、石炭の採掘の関係につきましては、非常に大きな問題は今のところ聞いておりません。
  33. 小松正雄

    ○小松正雄君 文化財という材料の種類というのはどの種類ぐらいございますか。
  34. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私は文化財のほうの専門ではありませんからよく知りませんが、非常にたくさんございまして、土地の地域の問題でありますとか、或いはこういう器物のものでありますとかいろいろな方面に文化財というのは、恐らく非常に小さいものも非常に大きいものも非常にたくさんあると考えております。
  35. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで石炭採掘に関しては何らそういつた文化財というものはないというように言われましたが、最近ではこの石炭を採掘する上層部、上のほうに、泥と申しますか赤土と申しますか、そういう粘結的な粘土のようなものがあつたり、或いは又岩石があるが、そういつたものの中からいろいろな物を液化をしたため文化財等がとれるというようなことを聞いておりますが、そういうことはお調べになつたことはありませんか。
  36. 川上為治

    政府委員川上為治君) 実は余りそう詳しく調べておりませんが、恐らく今後におきまして、やはり文化財というのをどんどん指定して参りますというと、石炭採掘の関係におきましても、今お話になりましたような問題が私は出て来るのじやないかとは考えられます。
  37. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこでさつき西田先輩から鉱業権という点について御心配があつたことに関連してでありまするが、そういう関係からいたしまして、この法案最後の段階に至るまでに、資料といいますか、西田委員の要求の資料を出されるときに、今私の要求しておるものも、文化財というものはどういうものであるかということ、どのくらいあるかということも一つ加えて出して頂きたいということをお願いしておきます。
  38. 川上為治

    政府委員川上為治君) 承知いたしました。
  39. 團伊能

    ○團伊能君 次期に機会がございましたら、只今この鉱業採掘物と文化財というような関係は極めて私は薄いと思いましたが、実際上文化財保護委員会にかかるべき問題が鉱業権の中に存在することは非常に少ない場合だと思います。ただその中で建築物のごときはございますけれども、これらは十分保護し得ると思います。その他は文部省の天然記念物というのが今文化財に入つておりますから、多少只今のような岩石その他で天然記念物とか特殊な鉱物であるとか、特殊な地形、地質というものがなつておりますので、その点は多少関係していると思いますが、その他の構築物以外の文化財には関係ないのじやないかと思います。ただこの次までにお調べ頂きたいのは、その中で鉱業採掘よりも、今日その問題が起つておりますのは水力電気が非常に問題が起つております。水力電気の電源の湖沼及び湖沼棲息物の保護というようなものが非常に今問題になつていると思います。そういう点の関係を次期までに一応御調査頂いてその関係のお取扱いを伺わせて頂きたいと思います。お願いいたしておきます。
  40. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 鉱業権の取消処分並びにその補償の方法、金額等に対して異議があつた場合、それを民事の裁判によるほか協議会に対して異議の申立をする方法は考慮されておりますかどうか。
  41. 川上為治

    政府委員川上為治君) その問題につきましては、この法律改正によりまして土地調整委員会異議の申立をし得るような途を開くことにしております。従いまして土地調整委員会におきまして、第一に補償金額がどうかというような点につきましてはそこで公聴会等を開きまして十分に意見を聞いて、そこで調整するというような途を開くことにいたしております。
  42. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この法律改正内容と同様の問題について、他の法律によつて鉱業権の取消等が行われた実例がございますか。
  43. 川上為治

    政府委員川上為治君) 鉱業権の取消ということじやなくて、先ほど申上げましたように、文化財保護法によりまして、文化財保護委員会地域指定いたしますというと、その地域文化財とするというような指定をいたしますというと、その地域におきましては採掘ができないというようなことに相成るわけでありまして、全く取消しを受けたのと同じようなことに相成るわけであります。
  44. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 たしか去年でしたか伊東の問題がありましたのですね。あれはどういうふうに処分をされて、その補償等はどういうような法令に従つてされたのか。
  45. 川上為治

    政府委員川上為治君) 伊東の問題につきましては未だ最後的には解決されておりません。現在その土地調整委員会に裁定を申請されておりまして、土地調整委員会においていろいろ調整をやつているというような状況になつております。
  46. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それでは当然この法律改正されればこれによつて処分されるわけですね。
  47. 川上為治

    政府委員川上為治君) やはりこの法律改正によりましても、相当その問題につきましては調整するような状況になり得ると考えます。
  48. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 たしかあのときは、伊東の国際観光都市の特別法、何という法律でしたか、それの解釈によつて何か取消ができるような委員会審議の過程では結論になつたように思つていたんですが、それによつて処分されたのではないのですね。
  49. 川上為治

    政府委員川上為治君) 指定を受けますというと、勢い全然鉱業権は持つておりましても採掘できないというようなことになるわけでありますが、今度のこの法律改正では温泉資源のほうに支障を生ずというような点をはつきりさしておりますので、これに基きまして今後は取消をするということに相成るかと思うのであります。
  50. 中川以良

    委員長中川以良君) 委員長からもう一遍お伺いしたいのですが、この文化財保護法が立法当時におきましてはこういうような産業関係に重大なる影響がもたらされるということが殆んど考えられなかつたのではないかと思います。それは当委員会においても当時文部委員会とこれらについて合同審議等もしておりませんし、その点にやはり思わざる事態が、この法律ができた上において生じて来た、こういうふうに思うのでありますが、当時通産省は文部省とこの文化財保護法の立法当初において何か御協議になつたのでしようかどうでしようか。ならないとするとその後これに対して御協議になつておるか。又今回二の鉱業法改正についても文部省とどういうような御協議をしておられるか、それを承わりたいのであります。
  51. 川上為治

    政府委員川上為治君) 文化財保護法ができますときにおきましては、先ほどいろいろ申上げましたが、例えば東北地方の北投石の問題とか或いは九州地方の平尾台の石灰石の問題とか、そういう問題はどちらかと申しますとそれほど予想しないで、比較的小さな文化財と申しますか、地域が相当広く跨つて行われるというような問題を余り予想しないでやつたのではないかと思うのですが、そういうようなことから、通産省との間におきましても十分な連絡ができて必ずしもいなかつたように聞いておりまして、協定が、別に覚書とか、そういうようなものが残つておりません。できておりません。それから今回の私のほうの鉱業法改正につきましては十分文部省、或いは文化財保護委員会のほうにも連絡はとつて、向うのほうでもこの改正につきましては承知いたしております。
  52. 中川以良

    委員長中川以良君) そういたしますると文化財保護法のほうもこれに相呼応して改正をしようという意思が文部当局にありや否や、それはどうでございますか。そうでないとどうも片手落のように思うのでございますが……。
  53. 川上為治

    政府委員川上為治君) 文部当局と申しますか、先ほども申上げましたようにその委員会は文部省の所管ではあるけれども、そうした方面につきましては一種の独立の権限を持つておりますので、文部省のほうとは特別にこの問題については話はいたしておるわけではありませんが、文化財保護委員会のほうとは、我々のほうとしましてはいろいろ話をしておりますけれども、必ず法律改正したいというような必ずしもそういうような意向には聞いておりません。何とかして、併し法律改正しなくても、例えば先ほども申上げましたように両者間の協議によりまして事前に十分話合いをして、そうしてあとで問題の起らんように一つしようではないかというような気持のように私は聞いております。
  54. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほど取消処分並びにその補償等についての異議は土地調整委員会においてこれを処理するように言われましたが、この第十五条の第二項における土地調整委員会のこの問題に対する権限と申しますか、これはただ「処分をすべきことを勧告することができる。」というふうに書いてありますが、その間ここに出ていない土地調整委員会法律従つてその異議の申立を受付けるようなことになつておるのですか。
  55. 川上為治

    政府委員川上為治君) この先ほど申上げました点につきましては第百八十七条にいろいろ書いてありますが、この条文で土地調整委員会のほうに裁定の申請をなし得るということになつております。
  56. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今お話のあつた小倉市の平尾台の問題でありますが、これは石灰石鉱業権を持つておるこの鉱区であろうと思うのでありますが、これは一応小倉市のほうは今の文化財指定された関係上この鉱業権の取消の申請を土地調整委員会になしておる。然るにもかかわらず土地調整委員会はその後慎重に調査審議の結果、これは申立は却下されております。従つて鉱業権は依然として再確認して持つておるにかかわらず、実際は作業ができないというような現況を呈しておる。これは全く国家意思の分裂ではないかと思うのでありますが、この問題はどういうふうに今なつておるのでございますか。
  57. 川上為治

    政府委員川上為治君) 土地調整委員会のほうにおきましては、現行法に基きましては、取消処分はできない。でありますから、取消の申請をいたしましても、そういうような勧告なりをすることはできないという、現在の法律はそういうような建前になつておるからということで、そういうことを言つておるわけであります。従いまして今回の法律第三十五条におきましてもはつきりその文化財とか、公園とか、そういうようなものを入れる。五十三条におきましても同様のその文字を入れますということにいたしますと、取消の申請をいたしまして、土地調整委員会でそれをいろいろ公聴会等を開きまして意見を聞いて、そうしてそれが取消すべきものであるということになりますれば、土地調整委員会は今度の改正法律によりまして、通産省に対しまして鉱業権の取消をしろということを言つて来るわけであります。現在におきましては、それが土地調整委員会におきましてできませんので、却下になつたということに相成つております。
  58. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんですか。  ちよつとお諮りを申上げますが、この法律案につきまして、お互い文化財を尊重すべきことは重々わかつておるので、この辺は私どもも大いに文化財保護法に対して尊重の意思を以て進んで行かなければならんと存じますが、ただ鉱業法だけを改正をして、片方の文化財保護法のほうを改正をしないという点に多少疑問もあると存じますので、近い機会文化財保護委員会の責任者のかたをここに出席を求めまして、いろいろ又御質疑を願い、又意見の開陳を願つたらどうかと存じますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように取運ぶことにいたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会