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説明員(
中島征帆君) 八頁の中ほどでございます。四、
特約条項とございまして、そこに今申上げました
資金供給の問題でありますとか、それから算用数字の3が電力料率の問題でございます。
説明を続けますが、料金
政策につきましてもここに書いてありますような、要するに料金、料率の決定の方法、この方針につきましては大体
政府が現在までにと
つております原価式のやり方ということにつきましては、
世界銀行も十分了解しておりまして、その間に考えが食い違
つておるという点はございません。
現実の問題をどう考えるかということが或いは将来出て来ないとは限りませんけれども、現在
政府のと
つております原価式が適当でないということは向うで全然言
つておりませんので、その点につきましては心配ないと思います。それから五といたしまして、その他の
義務というのがございます。これは大したことはありませんが、
貸付金に対します元利その他の
世界銀行の収入に対して租税を免除するということ、これは国のほうでもそういう措置をと
つております。それから
貸付目的達成のため国際収支のポジシヨン等必要な情報及び便宜を供与する、これは現在の
外貨の
状況等を
世界銀行に通報するということでありまして、事実問題としては問題ないと思うのであります。六、
保証人の責任といたしまして、これはいつ責任がなくなるかということでありますが、第一に履行の限度においてのみ免責される、
従つて四千万ドルのうち仮に半分が履行されればその半分については責任がないということで、当然のことであります。それから元利その他手数料の完済が行われるときは
契約は終了し、
保証人は
義務を消滅する、これは勿論当然のことであります。ところがこのほかにもう
一つそこにもあると思いますが、3として、
貸付規程第四号の
規定がやはり
保証契約と同様な効力を有するということでありましてこれは先ほど
貸付契約の場合にも申上げました
通りに、
保証契約につきましても予想されるすべての問題につきまして詳細
規定をいたしておりませんで、一般的な問題はすべて
世界銀行の
貸付規程に盛
つてございまして、これで行けるものはすべてこれによるという趣旨でございます。
従つて第四号の
規定というものは
各国いずれも共通に適用し得る
規定をここに挙げております。そういうものはこちらの
契約の中には書かない、こういう趣旨のものであります。
政府との
保証契約の
内容は
概略そういうものでございます。
それから次の頁に
事業計画契約というのがございます。これは
契約の名称としましては甚だわかりにくいのでありますが、
世界銀行と
電力会社との間で締結されます。英語ではプロジェクト・アグリーメントと申しておりますが、
電力会社が現在持
つております
契約の遂行、その他
現実の運営
契約等につきましての
世界銀行との
契約を結んでおるのでございます。で当事者が
世界銀行と
電力会社であるということはここに、この
規定に書いてある
通りであります。
それから第二に定義といたしましていろいろ書いてございますが、これは特殊な用語でありますので、一応これを読んだほうがわかりやすいのではないかと思いますので、読まさして頂きますが、1、
事業計画とは
世界銀行からの
融資対象である
火力発電計画をいい、附属表に記載され、
政府及び
開銀の
同意を経て、
世界銀行と
電力会社との文書による合意により随時変更できる。先ず融資の
対象としております
火力発電計画というものを一番
対象といたしまして、これを
事業計画といたしております。借りた金は、この
事業計画以外には使えないということで縛られておるわけでございますが、併しこれは
電力会社と
世界銀行とが打合せをして、無論変更はできということになるわけであります。それから2の約定
計画とは、
事業計画を含め、本
契約の附属表に記載せる附属
事業計画及びそれらの
実行予定をいい、この附属表は、
政府及び
開銀の
同意を経て
世界銀行と
電力会社との文書による合意により随時変更できる。これは
事業計画と申しますのは、この
特定の
火力発電計画だけでありますが、それも含めた全体の
会社の将来
計画的なものであります。それを約定
計画。コミツテツド・プログラムと申しておりますが、それを約定
計画と申しております。これは詳細
事項別に別表に載せてございますが、これは一応
世界銀行の
承認を得て適当に掲載しております。
従つてこれを変更する場合には、一応又向うと打合せをしなければならん、こういうふうな縛り方をされております。又これの
実行につきましては、
契約通り遂行するように
資金その他の点につきまして、先ほど申しましたように
電力会社或いは
開銀、
政府等がそれぞれのこの
契約においてその
義務を負うという、その
義務の
対象になるわけでありますが、この約定
計画の
内容は、これは主として現在の五カ年
計画、電源開発五カ年
計画の
内容を中心といたしております。でこれは将来まだこれから三十二年度まであるわけでありますけれども、その中で
昭和二十八年度までに着手すべきものとして決定したもの、これだけを約定
計画の中に盛
つてございます。
従つてまだ五カ年
計画として全体的にまだ開発の余地は残
つておりますが、それが各社別にきまらなければ又地点その他もきまらないというようなものは、これから除いてございます。併し実際的な規模といたしましては、殆んど二十八年度までに着手されておりますのが八割近く
なつておりますので、大部分のものがこれに入
つておるほか、
電源開発計画以外の送電、変電等の
計画も、これもこの約定
計画に盛られております。開発
計画に関連したものは、やはり電源に関連したものは、この約定
計画の中に合せて盛
つてあるわけであります。その他細かいいろいろな工事があるわけであります。それから3の改良工事
計画と称しまして、別に又作
つております。これは非常に細かいものになりますので、一々規模、地点等は明示できませんけれども、これはすべて金額で以て提出するということに
なつております。改良工事
計画は大体この
程度の工事を来年度やるのだというそういう金額的に縛られた細かい
契約である、こういうふうに
なつております。
それから
特約条項といたしまして、第三番目に移りますが、先ず1に
事業計画を完遂しその
財産設備を運営維持する。これは先ほど来繰返しております各それぞれの場合に申上げましたが、要するに
電力会社が持
つている現在の
契約というものをこれを完遂することが
電力会社の経営にと
つて必要であるということを認めた以上は、やはりそれを十分
計画通り実行しよう、又現在持
つている
財産設備は十分完全に運営し維持をしなければならないという
債権者としての要求であります。それから2に
世界銀行の要求に応じる
事業計画の明細の報告、これは
計画がどういう
程度まで
実行されておるかということにつきまして明細な報告書を出す。それから3は本
貸付代り金にかかる購入物品、
建設状況及び
会社の財務
状況等に関する書類、帳簿の整備、保全及び
世界銀行の要求に応じる報告。これはすべて細かい業務
状況を付けましての報告でございます。それから4は、これらに関します書類その他に対する
世界銀行の検査を求める。5はこの改良工事のための金額的な支出
計画を遂行する。それから6が本
貸付目的達成のための
協力。これは当り前のことでありますが、
貸付目的達成というのは、これは
事業計画、
火力発電計画を実現するということでありますので、そのために十分な努力をしよう、こういうことであります。それから7は、これは前と少しダブるような
関係になりますが、
電力会社は、その法人格及び経営の権利を維持し、
世界銀行の文書による
同意ある場合を除き、事業運営に必要な諸権利を維持更新する。これは前に
財産設備とありましたが、この諸権利につきましても
同意がなければ自由に処分しない、こういうふうな趣旨でございます。8が
電力会社は、その
発電所、
機械、
設備、
財産を維持、更新、補修し、
公益事業としてそれらを運営する。これらも或る
程度前とダブ
つております。9、本
貸付代り金により購入する物品を
輸入し、これを
事業計画以外には用いず、
一般担保権以外の
担保の
目的とはしない。それから
世界銀行の
同意なき限り、子
会社分を含め、資本勘定の二倍以上の借入を行わない。これは資本勘定というのは、自己資本を意味しておりまして、従いましていろいろな積立金も入ります。従いまして現在の
電力会社の実情といたしまして、自己資本の二倍以上の借入を行うことは、実際のところ五カ年
計画の遂行の途上においてもございません。それから11、本
貸付代り金にかかる物品の処分には、
世界銀行の事前の文書による
同意を要する。それから12は
開銀以外のものからの
資金調達に努力する。と申しますのは、要するに
電力会社の
資金供給源が
開銀だけでございませんので、市中その他からも
資金を調達するようにみずから努力しなければならん、こういう趣旨の
規定でございます。その他の問題は前に申上げた
通りであります。
大体
契約の
内容は以上の
通りでありまして、それにつきまして別に現在もう
一つ、「我が国の
世界銀行よりの
借款条件と
各国の前例について」という二、三枚の
資料がございますが、これは少し長くなりますので、
説明は省略させて頂きまして又御質問に応じてお答えをさせて頂きたいと思いますが、一言申上げておきますが、今度の
日本の場合は、
借款が今申上げましたように、
日本の
電力会社と
世界銀行と
開発銀行とこの三者の間に更に
政府という三角
関係から四角
関係の間に結ばれるような
契約でありまして、こういう例が今まで
各国の例には少いのであります。従いまして、その
借款の
内容実体が変りますために、これにそつくり当てはまりますような
各国の借入
条件というのはなかなかないのでありまして、ただ
各国のこの
契約を見ますというと、或る部分の共通の点は、もう共通な問題につきましては殆んど同文が
各国とも盛られております。
従つてそのうちのそれぞれの表現方法等につきまして
交渉の途上にもございましたけれども、どうも
日本としては少し心配だというような点も申入れてありますけれども、
事情はわか
つても
世界銀行としてはそれを変えるということは
各国又皆ばらばらに
なつてしまうので、趣旨はこういうことだからということでそのままに
なつた例もございますが、こういうふうな
事情でございまして、
各国同種な
事項につきましては、殆んど同じような文句で
契約が書かれておる、ただその
契約の
内容の実体が違うために我が国にはあるが、或る国にはないというふうなことでかなりのズレがあるということは申上げられると思います。従いましてここにそれぞれの
契約の
内容につきまして一応の
各国の例が挙げられてございますが、ここにないところは特にこういうような
条項が
日本と比べて優遇されておるということでは必ずしもないのでありまして、そういうようなことはやる必要はなか
つたから、或いは又やる余地もないというものもございます。又
日本に適用されておらなか
つた担保条件等が、他の国に適用されておるということもありまして、これは一概に経理の
内容を比較するということは甚だ困難でありまして、こういうふうなちよつとわかりにくい
資料でありますが、こうい
つた資料を差上げておいた次第であります。