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説明員(
石井由太郎君) お話の第一点は、
診断の後始末の問題だと思いますが、
診断のやりつ放しで処方箋を書いて医者は帰つてしまつて、あとは知らないふりをしておるという問題でございます。これは事実御指摘のような感が深か
つたのであります。ただ、
市中金融機関でも主として
設備資
金融資等を
中心といたしまする
金融機関、或いは
商工中金等は
診断勧告の実施のための
融資を極めて積極的にやつておるのでありまして、或る
市中金融機関のごときは、
診断勧告の実施のために
融資いたしました実績表を私
どものほうへ持つて参りまして、このように予想外によく行つているというような報告書も出ておりますので、先ほどの
診断事例集と同時にお配りいたしまして御参考にいたしたいと存じております。又後始末をやりまする
診断の効果を的実に実施しているかどうかということをトレイスする必要があるわけでございまして、この件につきまして、これも不成立になりました予算におきましては、各府県に巡回
指導員を設置いたしまして、
診断効果を的実に実施しているかどうかということを一々見て廻る、いわば国民健康
診断の
制度における保健婦のような
仕事をいたす職員の設置をいたすことにいたしまして、これ又相当の予算が大蔵当局の承認を得てお
つたのでありまするが、不幸不成立に終りましたが、最近提出されまする本予算におきましては極力これを盛込みまして、御趣旨のような点を考えておるような次第でございます。又
診断の結論の多くは売行き不振、
仕事不足という点であると思います。先ほど申上げました
金融難の
原因があると同じような結果でございまして、
一般に通じた事例かと思われるのでございます。このためには何といたしましても市場開拓をやる必要がある。良品廉価の原則を貫きまして市場開拓をする必要があるわけでございますが、この点につきますると、国内の市場からこれを国外市場へ、即ち輸出振興へと持つて参らなければならんわけでございまして、昨日の本
委員会における論議もございましたが、
中小企業の多くは軽
工業に従事しておる。この軽
工業を
中心として輸出の
促進を図らんことには、国際収支の
改善もさることながら、
中小企業それ自身が押しつぶされて上まうというようなことになるわけでございまして、私
どもといたしましては、
中小企業に対しましては、内には
経営の
改善、良品廉価を実施し、外には転出へのつながり、転出の振興という方向へ進めることによつて
仕事を多くして行くということに待つて参りたいと考えておる次第であります。
第二点の問題でございます
下請支払の
改善問題でございますが、先ほど申上げましたのは、実はこれも
一つの
傾向を申上げたのでございまして、全部が
改善されておるというわけには事実参らないのです。私
どもが主として問題といたしましたのは、大
企業が十分な
資金を持ちながら、又仕入先のうちの巨大な事業の生産原材料に対しましてはどんどん金を
払いながら、隷属しておりまする
中小企業なるが故に
支払を遅延しておるというようなのを指摘いたしましてその
改善を図
つたのであります。親
企業それ自身が滞貨を抱え、或いは赤字に苦しむ、乃至は
銀行信用が一ぱいに
なつておるというような場合でございますると、これはなかなか問題がむずかしくなるわけでございまするが、相当の預金残高もある、大
企業の原材料等を仕入れたものはどんどん金を払つている、利益も相当あり、重役賞与も相当払つておるというのにもかかわらず、
下請に対しては三カ月、四カ月、五カ月も遅らしておるというようなものを、いわば征伐しようというのが私
どもの趣旨であつたわけであります。従いましてその反対でありまする大
企業につきましては、これは大
企業それ自身の
経営の
改善、好転ということを待つほかはないわけでございます。併しながらそうばかりも
言つておられませんので、私
どもはこのような
支払関係の非常に悪いものは、これは少くとも公正な
取引を確保しようとする独占禁止法の精神に反するものじやなかろうかと、いう見地から、公正
取引委員会に対しまして適当な
調査の実施を求めまして、公取におきましても最近
調査を開始いたしておるようでございます。現在の独占禁止法のどの条項に当てはまるかは存じませんが、少くとも相当の
資金を擁しながら、且つ大
企業にはどんどん
支払をやつておりながら、又十分な賃金べースを維持しながら、
下請の
支払だけを特に遅らせてれるというのは、何らか公正
取引の確保に関する法律でありまする独禁法のどこかの精神に実は牴触しているんじやなかろうかという見地から、公取の
調査をも依頼し、
調査を求めておる次第でございます。