○
説明員(中島
征帆君) お
手許に配付いたしました
審議会の答申につきまして簡単に御
説明を申上げます。で、これは三つに分かれておりまして、
電気事業
関係、
電気施設
関係及びガス事業
関係部会と三つ作りまして、それぞれの部会から答申がありましたので、答申書も三つに分かれております。法令改正
審議会は今年の二月に設置されましたが、会長が通産事務次官でありまして、
委員が総計三十九名、専門
委員が二十一名、こういう構成にな
つております。で、このうちで
電気事業部会、
電気施設部会並びにガス部会というものの中で重複した方もございますけれ
ども三つに分かれまして、今年の二月からガス部会が一番早く仕上りましたが六月くらい、
電気部会八月まで、いずれも数回開きまして、一回は大体二日継続してや
つております。八月十一日に総会を開いて、全体の
審議会としての答申をまとめた、こういう経過にな
つております。
先ず
電気事業部会の答申でございますが、このいずれの部会に対しましても一応事務局といたしましてそれぞれの問題点を提出いたしまして、その問題点を中心に
議論をして頂いたわけであります。
電気事業に関しましては、この答申書の初めにございます
通りに、規制の対象となる事業の範囲、以下十一点の問題点につきましてそれぞれ問題の所在と、それからその
考え方についての
資料を出しまして、逐次
審議して頂いたわけであります。で
電気事業に関しまして冒頭から一番問題になりましたのは、供給区域の独占の問題であります。これにつきましては特に
電気事業者並びに需用家その他との
意見がたびたび非常に対立したような事情もございましたが、結局におきまして、
電気の性格から言
つて供給区域の独占ということはこれは必要である、但し独占の弊が出ないような行政策は講ずべきだという結論に達しまして、その線で答申も書かれております。
この問題点の
内容につきまして、逐次簡単に御
説明申上げますと、第一点の規制の対象となる事業の範囲、これは簡単な事業でありますが、現在公共事業令におきましても、一般供給事業と、卸供給事業と二つに分かれております。新法におきましても同様に、一般の
電気事業者としての一般供給事業と、それから
電気事業者に
電気を供給する卸供給事業、この二つを対象とすることが必要である。このほかに更に自家発その他で一般の供給以外に他へ供給する場合が考えられますので、そういうものも必要な限度において
電気事業者に準じて一定の規制をすることが必要だ、こういう
考え方が
一つあるわけであります。
それから次の供給区域及び供給
関係の問題であります。ここで供給区域の独占の問題が出ております。で、現在でも公共事業令の第二十八条に「同一の
地域を供給区域とする二以上の公益事業の許可をしてはならない。」という明文がございまして、
電気事業の
地域独占を認めております。大体この原則は、ただそのために
地域独占に安んじて
電気事業者のサービスが悪くなるということでは困りますので、この点を是正するためには料金その他の供給条件等を十分に監督をするということと、更に場合によりましては、例えば供給区域の中で一部分未点燈区域等があ
つた場合、
電気事業としてはそこになかなか供給をしないという場合には、供給区域の減少する、その部分の許可を取消すという
考え方をと
つております。それから更にこれは別の、後で出て参りますけれ
ども、現存苦情申立
制度というのが事実上ありますけれ
ども、これは法律の根拠がありませんので、
電気事業者の業務の方法といたしまして、需用家として苦情がある場合には申立をすることができる。
通産大臣に申立をすることができるという
制度を法定する必要があるという
考え方をと
つております。これは
地域独占の弊をとめる
一つの手段として考えた次第であります。それから卸供給事業者が、例えば卸供給事業はこれは
電気事業者に供給するのが主たる目的でありますけれ
ども、場合によ
つては特定の需用者に面接供給するということも考えられますので、そういうものも一般の使用者の
利益を害しない限りは認めてもいいんだということであります。で、同時に
電気事業者といたしましても隣接の区域、他の
電気事業者の区域に対して、区域におきまする特定の需用家に対して供給をするということも必要な場合もございますので、そういう場合も例外的には認めるという
考え方であります。
それから第三が供給義務の問題でありますが、現在供給義務というものが法律上には明確にはな
つておりません。一応何人に対しても
電気の供給を拒んではならないという規定はございますけれ
ども、供給責任ということがそこで余り明確でありません。その点につきまして現在の
考え方は、例えば電圧、周波数の保持というものは法律にはございませんけれ
ども、
電気事業者が認可を得て実行いたしております供給規程等によ
つて、これこれの電圧並びに周波数を保持するという文句がありますけれ
ども、その供給規程に違反しているという間接的な抑え方をしておりますが、今度の新法におきましては、これを明確に謳うべきであるという
考え方をと
つております。但し電圧、周波数等につきましては、技術的に非常に幅狭く規定するということは必ずしも適当でありませんので、その点に無理のない
程度の幅は、これは認めざるを得ないというふうに書いております。それから現在の公共事業令の五十三条にあります正当な事由がなければ、
電気の供給を拒んではならないということでありますがでその「正当な事由」というのがいつも問題になりまして、
内容解釈が
はつきりいたしませんから、できるだけこの点は明確に具体的に少くとも例示的に規定する必要があるだろうということを書いてあります。
それから料金その他の供給条件の問題でございますが、問題のこの
地域差の
制度、これはいろいろ
議論がございましたけれ
ども、当分のうちはやはり存続する必要があるだろうという結論であります。それから
電気料金に対します監督は現在同様に認可制をとる。これはまあ
政府で決定するという
考え方もありますし、或いは届出をさせるという方法でもよかろうというふうな
意見もありますれ
ども、現在の
通り認可制をとるという
考え方に結論付けられております。
それからその次の会計及び財務の
関係でございますが、これは多少経理技術的な問題が多くな
つておりますけれ
ども、社債の発行限度を現在のものよりか少しまあ額を殖やす、現在では資本又は純財産額の少いほうの二倍ということにな
つておりますが、それを三倍まで拡張するべきであるということであります。
〔理事松平
勇雄君退席、
委員長着席〕それから一般担保
制度も、これも現在認められておりますけれ
ども、これを更に拡張いたしまして、長期信用銀行或いは保険
会社及び信託
会社、こういうふうなものにつきましても長期の貸付に対しましては一般担保を認めるべきだということにな
つております。それから渇水準備金
制度は、これも現在実行されておりますが、やはりこれは今後存続すべきものだ、殊に現在の
制度は法律の根拠はありませんけれ
ども、今度は法律に
はつきりこの
制度は明定すべきものだということにな
つております。それから
電気事業者の外債に対する
政府の保証ということは、最近外資の導入に関しましていろいろまあ話が出るわけでありますが、現在では開発銀行に
政府が保証するというような方法がとられておりまして、
電気事業者に対する
政府の保証の
制度はまだできていないのでございます。今後又
電力会社に入ります場合に直接
電気事業者が貸付を受けることも予想されますので、その場合には
電気事業者に対しても直接に
政府が保証する
制度があ
つたほうがよかろうという結論にな
つております。それから
利益金の処分につきましては、これ又いろいろ
議論がございましたけれ
ども、現在同様に認可制をとる、こういうことでございます。
その次の事業及び
投資でございますが、兼業の制限というものは現在の公共事業令にもとられておりますが、やはり公益事業としての性格上当然これは許可制にすべきだ。この兼業のほかに
投資につきましても或る一定額以上のものについては全然放任するということは適当でないので、一応届出
制度をと
つて、その
内容が適当でない場合は変更の指示等ができるような方法を講ずべきである、こういうことにな
つております。
それから公益事業としての一種の特権といたしまして他人の土地の使用或いは立入ということを現在でも認めておりますが、これを手続が非常に面倒でありますから、もう少し簡素化すべきである、こういう趣旨で答申がな
つております。
それから
電気事業に対する監督的な規定といたしまして命令の
制度がありますが、現在におきましては供給規程或いは料金の変更命令、それから
地域差調整協定の締結命令、それから融通命令、こういうふうなものが行政命令として公共事業令でも認められておりますけれ
ども、こうい
つたもののほかに更にいろいろな施設の変更でありますとか、或いは譲渡、借受又は共用、こういうようなことに関しまする協定の締結ということに対しても命令権を置くべきだ。それから
電気の託送についても今後又いろいろ問題が起りますので、託送についての協定を締結せよという命令権を留保いたしまして
電気の全国的な
地域的な融通なり需給を円滑ならしめようということであります。それから更に独占事業としての
電気事業の監督といたしまして供給業務或いは供給施設というものに対しまして改善命令をなし得る、特に苦情の申立等がありましたときにそれが適当である場合にはこういうふうな業務をこういうふうに改善すべきである、こういう改善命令の規定を置くべきだと、こういうことにな
つております。
それから
制度的な問題といたしまして
電気事業
審議会を置きまして、それで法規的な問題につきましては一応
審議会の
意見を聞くという
制度にすべきである。現在では公聴、聴聞等の
制度がございますけれ
ども、むしろ常設的な
審議会を設置いたしまして、基礎的な事項については
審議会で常に
審議するという
制度をと
つて行く。特にここへ持出されるように予定されますのは、料金の算定基準でありますとか、或いは使用制限に関する省令を出す場合、そういうふうな一種の法規的なものを原則としてかける、こういうことにな
つております。
それから聴聞及び苦情の申立の
制度は、これは現在でもございまするけれ
ども、
審議会を置きました
関係で或る
程度内容を整理いたしまして、
審議会にかけないようなことにつきましては聴聞
制度を置く。それから苦情の申立につきましては先ほど申上げましたように新たに法律で規定する、こういうことであります。
それから最後に公納金の問題でありますが、これも非常に
議論のあ
つたところでありますけれ
ども、一応
委員会としては廃止すべきだという結論にな
つております。で、無論これに対する一部の
委員の
反対がございまして、公納金に限りませず、特に
議論のありましたことで違
つた意見につきましては少数
意見としていずれもこの答申案の中に書いてございます。
それからつけたりといたしまして事業法そのものと直接の
関係はありませんけれ
ども、新らしい事業法ができれば当然現在の電源開発促進法との
関係の問題が出て来ますので、その辺の調整をや
つて見たらどうか。
それから電源開発が進捗いたしまして次第に又
電気の原価が上ります傾向にありますので、そういうものに対する対策を十分立てろということが期待されておるわけであります。
以上が
電気事業部会の答申の概要でございます。
それから次が
電気施設部会でありますが、
内容が技術的な面とそれから業務監督というふうな
意味で少し
意味合いが違いますのて部会を二つにしたわけでありますが、法律といたしまして
電気事業法と
電気施設法と二つに分けるか分けないかということは、これは一応
政府に任せられておりますが、まだ我々といたしましても結論を得ておりません。できれば一本にしたほうがすつきりするという気持も持
つておりますけれ
ども、一応法文を書いて見ましてそれで果して一本がいいか二本がいいかということをその上で検討しようということを考えております。まだそのところを
はつきり肚をきめる段階に至
つておらんことをお詫びいたします。一応形式としては別々に書いてありますが、
電気施設部会の答申は
電気施設法というものが別にできるという頭で書いてございます。併しこれをそういう別にするかどうかということはこれはどつちにしても
内容も同じことだから
政府に任せる、こういう断り書きがついております。一応そういうふうな頭で書いておりますことを御承知願います。
それから施設のほうの
関係は、
電気の施設に関しまするもの、監督その他のところをまとめておりまして、保安上の見地と、それから
電気事業自体の合理的な運営と申しますか、そういう面と両方が現われております。
これにつきましての第一の問題点は、一般需用家の
電気施設の保安ということについてどう考えるかという点であります。現在では一般需用家の
電気施設につきましても
電気事業者が責任を負うということにな
つておりますが、個々の住宅の内部でありますとかそういう所にまで
電気事業者が責任を負うということは少し行過ぎであるという
考え方をとりまして、この新法におきましては今までの
制度を改めて、
電気事業者としては検査を行う義務を持
つておる、その
程度の責任にとどめまして、実際の維持につきましてはこれは一応一般需用家の責任だ、こういうことになるわけであります。但し一般の需用家は
電気に対しましての十分な知識もございませんから、責任を余りに窮屈にすることは酷でありますので、需用家といたしましては検査を受ける義務を負う、こういうことで検査を受けて、これは竣工検査のほかに定期或いは臨時検査等も考えられておりますが、検査を受ければ一応責任は解消されると、こういう
考え方であります。
それから施設法の対象といたしましてどういうところまで施設法の適用を受けさせるべきかという点でありますが、これは事業用の施設が入ることはこれは当然であります。同時に自家発につきましても或る
程度以上のものは当然保安の問題もありますし、経済的の問題もございますので、やはり事業用と同じように自家用に対してもこの規制法を必要な最小限度において適用すべきだ、こういうふうな
考え方であります。
それからその次に
電気工事人の
関係でありますが、以前
電気工事人取締規則という規則がありまして
電気工事人の取締を行な
つておりましたが、現在ではこの
制度が廃止されております。併し
電気事故というものがなかなか無視できませんので、今後はやはり工事人の免許
制度を復活すべきだという
意見にまとまりまして、それから
制度といたしましては実際工事をやります工事人と、それから工事人の監督下でいろいろな工事をやります見習工事人、この二段
制度を考える、で見習工事人から工事人になる、こういう
考え方であります。工事人、見習工事人につきましてはいずれも、国家試験をやる、こういうことであります。それから、これは工事人でありますが、工事の請負をなす者、つまり工事業という企業体を考えました場合に、そういう工事をなす業者、企業そのものも規制すべきだという
意見もあ
つたわけでありますが、例えば
電気工事業というものの、或いは
電気工事の請負業というものの登録
制度を置いたらどうかという
考え方もあ
つたのでありますが、これは手数的に言
つても非常な行政的の膨脹になりますし、而もその効果というものはそれに比例するほどに上らない虞れもあるということで、登録
制度はやめたほうがよかろうということにな
つております。但し事業そのものの登録はいたしませんけれ
ども、請負をなす人としてはいわゆる工事人としての資格は持
つておるべきだと、こういうことで、工事人の資格があれば
電気工事を請負
つてよろしいという
考え方であります。
それからその次は工事と
関連いたすわけでありますが、
電気用品の問題であります。現在
製造関係を取締規則で以て取締
つておりますが、今行な
つております
製造免許或いは型式承認というようなことが余り徹底的に十分行われておらんというふうな憾みもありますので、その辺のことをもう少ししつかりや
つて行く、で
製造免許或いは型式承認は今後も存続いたしまして、その上にその承認のない違法な
電気用品の
販売も取締るべきである、こういう
考え方であります。それで今度これは
販売を禁止するということを法定いたしまして、いま
一つこれを徹底的にしようということになりますと
販売店の登録という問題も出て来るわけでありますが、これも非常な大きな手続上の問題がありますので、そこまで行かない、ただ一応違法な
電気用品は
販売を禁止するというところでとどめておるわけであります。
それから
電気関係殊に施設法の
関係の主務行政庁をどうするかという問題でありますが、勿論これは
通産大臣の系統であることは問題はないのでありますけれ
ども、地方に行きまして実際の保安上の監督その他については、通産局とそれから府県というものとの問題がありまして、できるだけ府県も権限を持ちたいという
意見もかなりございまして、但し府県の中ではそれだけの意思も能力もないという所もこれは
電気関係につきましてはございますので、この点につきましてはそれだけの能力のあるものについて考えるということであります。どういうことをそれではやるかということになるわけでありますが、大体この施設法の
関係の行政事務といたしましては、例えば竣工検査、定期検査、こういうふうなことを
電気事業者がやる義務があるわけでありますが、そういうふうな
電気事業者に対する一般的な行政監督ということと、それから臨時に行政庁がその必要に応じて臨時に
電気施設の検査をする、こういうこともやり得る途があるわけでありますが、その臨時検査、この二つのことが考えられるわけでありますが、一般的な
電気事業者に対する行政監督ということはこれは
通産省で統一すべきだ、それから臨時検査の場合は例えば府県におきまして適時検査の必要を認めてやる場合にはこれは府県もや
つてもいいだろうということになりまして、臨時検査につきましては府県の実態に応じて権限をこれに任せるということが適当だという結論にな
つております。それから工事人の試験とかいうことになりますると、これは全国統一した方法でやる必要がありますので、これはすべて
通産省が統一的に行う、大体こういう
考え方であります。で、
委員会の
意見といたしましてはまあそういうことなのでありますが、できるだけ実際面で二重行政の弊に陥らないように簡素な運用に注意すべきだということが附加されております。
それから次の工作物の合理的発達のための勧告及び命令でありますが、これは
電気事業法に規定すべきであるか、
電気施設法に規定すべきかということについていろいろ
議論があ
つたわけでありますけれ
ども、主としてこれは
電気事業者に対する命令になりますので、むしろ
電気事業を企業として監督する
内容を持
つております
電気事業法に書くべきであ
つて、
電気施設の合理的な運営とか或いは保安とかいう見地から
電気施設法でこういう規定を置く必要はなかろうという結論にな
つております。
それから障害防止の
措置は、これにつきましては従来規定がございませんで、いろいろ問題も起きておりますが、
電気工作物の相互の間或いは
電気工作物とその他のものとの間のいろいろな
電気的な障害の問題があるわけであります。これがいろいろ
関係当局と打合せ等が現在行われております。
委員会の
考え方といたしましては、一応
あとに設置する者がこの障害防止
措置についての責任を負うべきだ、こういう原則をと
つております。併し又これは個々別々にいろいろケースが違いますので、例えば当事者の一方が
電気施設のあります土地の所有者でありますとか、占有者であるとか、そういうふうな場合、それから両方ともが
電気事業者である場合、こういうふうな場合には、
あとに設置する者が負うべきだという原則で貫くことも適当でありませんので、そういうふうな場合には又協議をするという途も開いておく、こういう結論であります。
それから最後に
電気主任技術者
制度でありますが、これは非常に今までにこの
制度は効果を挙げております。
従つてこの主任技術者
制度というものは今後も存続すべきだ。但しこれは国家試験をやるわけでありますけれ
ども、主任技術者の責任と申しますか、或いは権能と申しますか、これを余りに強く考え過ぎるときには、
電気事業者の経営の内部にまでも、目的に干渉するということになりますので、これは面白くない、こういう見解が非常に強くございましたので、主任技術者というものが、一応
電気施設の維持補修等の責任はあるのでございますけれ
ども、併し
会社としての、企業体としての命令系統には服する、こういう
考え方であります。例えば主任技術者が適当でないと認めた場合には、
政府が解任命令を出し得るようにすべきだという
意見もあ
つたわけでありますが、この点につきましては答申としてはそこまでは入らないということにな
つております。
それから最後にガス事業
関係でございます。ガス事業のほうは現在公共事業令一本で
統制されておりますが、多少答申案の
内容は
電気事業と
考え方の違うところもございます。
第一に問題点といたしまして、ガス事業の範囲をどうするかという点でありますが、ガスと
電気とは大分様子が変
つておりまして、
電気のように卸供給だけで成立つような事業というものが
ちよつと考えられないということから、ガス事業の範囲は一般供給に限る。要するに一般の
需要に応じてガスを供給するというふうな、そういう形態のものをガス事業として考えるべきだという
考え方であります。
従つて、例えば製鉄業者等がガス
会社にその余剰ガスを供給するものは、ガス事業としては取扱わない。但し準用事業的な扱いは又出て参りますけれ
ども、ガス事業としての取扱はしない、こういうことであります。
それから現在いろいろガス事業の許可、その他の手続的なものはたくさんございますが、できるだけ手続を簡素化すべきだということであります。必要最小限度やる。この趣旨で、例えば保安基準とい
つたものを
はつきり作りまして、それで保安基準に合
つておれば、大体許可、認可等もできるだけ簡便にやる、こういう
考え方であります。それからガス事業の兼営の問題でありますが、ガスの場合は当然その事業の性質上、副産物等の
関係から、ガス事業以外の事業が兼営される場合が普通であります。これは現在でもそうい
つたようなものは認められております。
従つてそういうことを一々抑えるという趣旨はと
つておりませんが、一応兼業する場合には許可を受けさせる、こういうことであります。例えばガスの
製造をやる場合に、当然考えられますコークスの
販売でありますとか、それからタールの蒸溜でありますとか、こういうふうなことは、ガスと密接な
関係のあるものは大体当然やるべきことでありますので、そういうものを一々許可制にするということは、手続上余計なことでありますので、そういうものは初めから包括的に許可を与えておいたほうが適当であろう、こういう
意見が出ております。
それから供給区域の独占に
関連する問題でありますが、ガス事業も
電気事業と同様に供給区域の独占性は一応認めておるわけですが、ただ区域内で、
電気の無点燈
地域と同様に、ガスの供給の行われていない
地域がときどきあるわけです。そういうものにつきましては場合によ
つてはそういうものを整理いたしまして、供給区域を減少しますとか、或いは事業の
地域の取消をする、こういうことをやるべきだ、こういうわけであります。
それから供給
関係に関する事項といたしましては、料金、或いはその他の供給条件、こういうものの認可制をとるということは、
電気の場合と同じ
考え方であります。それから更に現在料金は一本の料金にな
つておりますが、需用の性質上、例えば特殊な大口の需用でありますとかというものに対しては、特定な特約料金で供給する方法も、場合によ
つては必要であるので、そういう
考え方も必要なときにはとれるようにすべきだということであります。
それから現在の法規では
電気と一緒にな
つておりますが、いわゆる融通命令というのがあるわけであります。これはガス事業法の現行の法規の
内容といたしましては適当でない。
電気の場合と違いまして、ガスに関しては融通というようなことは先ず考えられないからというわけであります。それから大体供給
関係の規定は、現行の公共事業令の
考え方をと
つていいということでありますが、以前には熱量の測定、ガスの成分に関する検定の方法とか、こういうふうなものが旧ガス事業法には入
つておりましたが、こういうことも今後、やはり供給事務を十分果すべきだという趣旨から入れるべきだという
考え方であります。
それから会計
関係といたしましては、できるだけこれは
電気の場合も同じような
考え方が出ておりますが、資本の蓄積が行われるように全体的に考えるべきだ、こういう前提でありまして、
従つて社債、
投資等も余り無制限にしないで、或る
程度の限度を置くべきだということであります。それから償却或いは
利益金処分につきましても、必要な場合に或る
程度の規制ができるようにしておくべきだ、こういう
考え方であります。それから
電気の場合に前からもありますが、今度拡張されることにな
つております一般担保の問題は、ガスに関しましてはこれは
関係の
委員の多数が必要ないということでありまして、一般担保
制度はガス事業に関しては置かないということにな
つております。
ガスに関しましても主任技術者
制度を置くということは、
電気と同様であります。ただ現在では主任技術者というものが、ガス事業全般についての責任を負うことにな
つておりますけれ
ども、少しその権限の範囲が広過ぎますので、
製造と供給に分けて、別々の主任技術者を置けばよろしいという
制度に改めたほうがよくはないか。大体こういうような
意見であ
つたのであります。これは勿論国家試験によ
つて主任技術者の資格を与えられるのであります。ただ
電気の場合には、この業務干渉を避ける
意味で、主任技術者の解任ということはやる必要がないという
意見でありましたが、ガスにおきましては、この点は逆に、やはり解任
制度というものは置くべきだという命令をいたしまして、命令違反というふうなことでなくて、解任を指示するという
程度で、業務干渉を或る
程度回避する
考え方でいいのではないか、こういう
考え方であります。
それから準用事業といたしまして、最初に申上げましたように、自家用のガスを他へ供給するというふうなものが出て来ます場合に、これは他に供給いたします場合には、当然保安上の問題もいろいろ出て参ります。設備につきましても、或る
程度監督をする必要がございますので、そういうものをよそへ供給する場合には、準用事業として或る
程度規制をさせる、但しこれはもうすべて如何なる小規模のものでも適用するということは、少し煩瑣になりますので、どの
程度するかということは、これは政令等で或る
程度絞る必要があろうと、こういう
意見であります。これも規制をいたすと申しましても、許可制をとらないで、一応届出制をとりまして、それでその
内容につきまして必要な最小限度の監督をする、こういうことになるわけであります。殊にこの主任技術者というような
制度は、準用事業にもこれは適用することにいたしまして、自家発等によ
つて余り技術的に無責任なことのないように、準用事業につきましてはやはり主任技術者を置いて、十分その技術上の遺憾のないようにさせる、この辺が
一つの狙いであります。
それから公聴会、聴聞、或いは苦情申入
制度というものは、これは大体
電気の場合と同じような
考え方でよろしいということであります。
それからその他、土地立入り、植物伐採、損失の補償、こういうことも
電気と同様に、もう少し手続を簡素化するということであります。
それからガス事業に関しましては、ガスの使用その他、こういうふうなものに対しまして市町村等との報償契約の問題があります。この報償契約の
内容につきまして、しばしば紛議が起きております。それは現在では全然当事者の話合いに任されておりまして、何ら裁定の方法がないのでありますが、これはやはり
通産大臣に最終的には裁定させるべきだというふうな
考え方がとられました。併し報償契約そのものにつきましては、できるだけ将来これは廃止すべきだ、漸次廃止すべき方向へ持
つて行くべきものだという
意見が
相当強うございました。そういうことも答申案にあります。
それからこの権限委譲の問題でありますが、これにつきましても特にガスに関しまして、
電気と同様に、地方自治体と、それから
通産省通産局というものとの
関係をどうするかということは、非常に
意見があ
つたわけでありまして、特に地方庁といたしましては、従来
電気よりも一層このガスに関しましては、保安の見地から、かなり監督をいたしております。現在でも或る
程度の権限は持
つておりますが、この際ガス事業者としては、二重監督を成るべく避けて、一元化してもらいたいという
意見が非常に強か
つたわけであります。この点で結局最終的な結論は出ておりませんけれ
ども、この
委員会としては、結論は出さないが、できるだけ、どちらにいたしましても、二重監督にならないようなことを十分考えてもらいたい。こういうことを書いておりまして、結局両方の
意見があ
つたということだけにな
つております。
それからこのガス部会におきましても、やはり
電気と同様に、この
法案の
内容と無
関係でありますけれ
ども、大体つけたりといたしまして、今年の初めに資源
調査会におきまして「家庭燃料
合理化に関する勧告」というものがされております。これでこの
内容が、ガスの
関係におきましては、森林資源対策等から考えて、できるだけ家庭燃料としてはガスを普及さるべきだ、こういう勧告がされたのでありますが、それはまさしくその
通りであります。ですから
政府におきましてもこの勧告の趣旨に副うように、ガスの普及乃至拡張について、できるだけの努力をすべきだ、これが最後として、つけたりとして加えられておるわけであります。
で、現在この
法案の立案状況は、ガスのほうが比較的早く完結いたしましたので、ガスは大体省内の
審議を終りかけておるという
程度であります。
電気につきましては、いずれもまだ公益事業局で立案をいたしておるという
程度であります。まだ
はつきりした外に出せるようなものにまでな
つておりません。併し、いずれにいたしましても、九月、十月中に法制局の
意見を、
審議を終えまして、冬の
国会には提出できるようにしたいという
考え方で準備を急いでおる次第でございます。