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説明員(
柿手操六君) 昨年の丁度この頃から十月、十一月にかけまして相当滞貨ができた。二十七
肥料年度、去年の八月から今年の七月末までの年度の見通しでは当時現実に相当の滞貨がありましたし、年間を通ずれば五、六十万トンくらいの
輸出をしなければならんだろうというにかかわらず、なかなか
輸出はできない、而も非常な出血
輸出になるというようなことで、まあ本日御
審議を願
つておるような
法案もできたようなわけであります。そういうふうに非常に滞貨を抱えて始末に困
つておるというようなことが又外部にかなり知れまして足下を見すかされたということが現実であろうと思うのでありますが、今年こそは、この二十八
肥料年度、この八月から来年の七月末に至る二十八
肥料年度は、そのようなことはやはり繰返したくないというような気持がありまして、この五月頃に、本年度やはり五十万程度の
輸出をしなければならんのであるから、まあそのうちの相当部分を
一つ台湾と長期契約をしてともかくそう慌てた
輸出の商売をしないで済むようにしようということが
業界でも話が持上りまして、この五月に
硫安の
業者の有志のかたがたが
台湾に使節団を送られまして、そうして
台湾に出かけまして、いろいろ
お話をなさつた結果、それが端緒になりまして、この八月の十日でしたか、向うからも本年度に二十五万トン、秋に十四万トン、春に十一万トン、合計二十五万トンを
業者の何で
一つ買いましようというようなことが話がありまして、その後、取引条件がいろいろありますが、大体まあ妥結に至るというような方向にな
つて参
つたのであります。そういうふうにすれば五十万トンの
輸出余力があ
つても、まあそのうち相当部分がそういうふうにきまれば、まあ比較的落ちついてあとの
輸出の商売もできるであろう、従
つて安定もできるであろうということでそういうことをや
つたのでありますが、この二十七
肥料年度の最後の数字を取りまとめて見ますというと、案外、前年度に
国内の
輸出は当初
考えておつた量以上に二十万トンばかり余計に出たのであります。そのことは結局今年度の繰越量が減つたことになるのでありまして、従
つて本年度の
輸出余力がそれだけ減つた。
台湾から二十五万トン買おうという申出に対して、秋のごときはそれをその
通り承知するのさえ幾分困難であるというようなことから、十四万トン秋にくれというのを十二万トンにしてもらいたい、春はその代り十一万トンを十三万トンにいたしますからというようなことで話を進めておるような状況であります。そこで
只今委員長の仰せのように非常に皮肉と言えば皮肉なものでありましてもう七月頃から
輸出の引合いというものが殆んど杜絶えてお
つたのでありますが、
台湾の二十五万トンの長期契約が新聞等に出始まりますと、それを合図のごとくほうぼうから非常に相当有利な条件で引合いが殺到して来て、その中にはまあ情報程度のものもあります、非常に確実なものもあります、いろいろあるのでありますが、私
ども見るところではやはり年内に数万トンは、
台湾の
輸出を十二万トンにいたした以外に相当にいい条件でこういうようないい
輸出先に
輸出をしたいというようなものがあるのであります。併しながらこの
法案を御
審議願
つておる現在におきましては、この年度における
需給の見通し等も、この
法案が
通りましてこの
法案の趣旨に従
つて運用したらどういうことになるかという
考えの下に、やはり今から今年度の
需給なり
輸出の方針等もこの二
法案の趣旨に準じて今やるのは
政府としてのやはりそれは妥当な措置であろうというふうに
考えました。そういうふうに
考えまして、やはり大体年間の
需要量の一割程度は、これは不測の
供給不足或いは不測の
需要等のためにやはりリザーヴという
考え方を以て
需給を見、そうしてその上に
輸出余力を算定するということにいたしますというと、現在の
生産計画ではそういうふうな非常に有利ないい条件に対して
輸出を許して行くということは困難であるという状況に際会いたしましたので、私
どもといたしましては年度の初めに一カ年間の
電力の割当てをいたしますが、五、六%程度は毎四半期にリザーヴしておりまして、そうして年度の初めにきめたものとの調整をして、各産業に対して割当をいたしておるのであります。第二四半期は非常にこれは殆んど近来稀なる豊水でありまして問題なか
つたのでありますが、来る十月一日から十二月までの第三四半期の割当につきまして、そのリザーヴの追加割当てにつきまして、目下通産省で検討いたしておるのでありますが、私
どもといたしましてはともかくこういうふうに相当の
硫安の
輸出を手広く開拓いたしておりまして、すでに五十数万トン出しておるわけでありますから、これを一年間といいますか半年でもブランクにするということは将来の
輸出市場の
確保のために非常に残念な問題でありますので、是非とも第三四半期に
電力の増配をいたしまして
硫安の
生産計画を増加することにいたしたまして、その
計画が立てばそれに見合う
輸出の許可をいたして参りたいというふうに
考えまして、目下省内で検討いたしております。
それから二十八年度の
電力の年度の初めの
硫安工業に対する割当の問題でありますが、
委員長御指摘の
通り肥料対策委員会がこの正月から開かれまして、去年の秋きめました安定帯
価格を相当大幅に
引下げることを要請されまして、当時
硫安工業の側といたしましても、
金利の
引下げ及び五%程度の操業度を増すために必要な
電力増配を要望いたしまして、その安定帯
価格引下げの要望に応えたのでありますが、まあそういう経緯もありまして、二十八年度の
電力の割当につきましては、全体の
電力の給供力は余り殖えなか
つたのでありますが、
硫安はそういう経緯もあ
つて特に優遇するということから、特別な措置を講じたのであります。併しながら五%の操業度を上げるに必要な
電力ということになりますと、相当の量でありまして、一億数千万キロ・ワット・アワー、ということに年間でありますが、なるのであります。なかなか我々としては無論それを要求したのでありますが、各産業との調整の
関係で、省といたしましては
硫安に対しまして五千万キロ・ワット・アワーを増配するという、前年度からそれだけ増すという措置を講じまして、あと五千万キロ・ワット・アワー余りは足らんことになるのであるけれ
ども、これは常時割当以外の
方法で何とか事実上
電気が、割当はしないけれ
ども、
硫安工業に行くようなことを
考えよう。まあそれはその
一つとしては非常に
電気を余計使う
電気化学工業ではほかの機械工業その他と違
つて二十四時間同じ量の
電気が来なくても、幾分かでこぼこの量が、深夜には多く或いは朝晩のラッシュ・アワーには少くというようなでこぼこの
電気でも、割合
生産に悪影響なく使用できるというような性質がありますので、そういうようなことを
一つ消費者側も
電力会社のほうの、
電力供給者のほうの側の意向を容れて、使い方を工夫してくれれば、割当量は殖やさんけれ
ども、事実上
電力が余計出せるというようなことの特約
供給制度という制度があるのでありますが、そういうようなことを
考えて、あとの五千万キロワットほどはそういうようなことを
考えようというようなことで発足して、そういうようなことも織込んでや
つておりますが、まだその不足量五千万全部そういう
方法でカバ一するということには至
つておりませんが、
硫安工業の特殊な性質から何とかして
電気を増配しようという気持で運用をいたしております。