○
政府委員(倭島英二君) お呼び出しを受けておりまして大変遅れまして相済まない次第でございましたが、実は同様の問題につきましていろいろな
関係から今日午後更に
連絡をするということにな
つておりましたので大変遅れまして失礼いたしました。
今の御
質問の三点についてお答え申上げようと思いますが、第一は
外務省は
責任を感じておるかという御
質問でございますが、この問題につきましては
外務省としては
責任という問題よりも、何と申しますかこの問題の取扱い方といたしましては、建前をいろいろ言いますと、これまでの
引揚のやり方の建前、中共
政府との
関係の建前、或いは
台湾にある中華民国
政府と我が
政府との
関係の建前ということで、建前にもいろいろ考えてみまするとむずかしい問題がございます。併しながら
引揚そのものは余り建前にこだわらないでむしろ人道問題として早く片付けようというようなことが
政府の方針でございましたし、
従つてその
引揚の建前の問題もございますが、それに関連して結局は起
つて参りました、
引揚船を利用して
中国大陸へ在留の
華僑の方が帰りたいという問題につきましても、建前を申しますといろいろございます。我々といたしましては建前を全然無視してかかるということはできません。できませんが更に本問題の特別な性質から考えて、何とか建前とそれから人道的な
関係とを実際的に調和し得る範囲において本問題の実効を期したいというのが従来の気持でありまして、
従つて必ずしも建前から申せば筋の通らんことはあ
つただろうと思いますけれども、そういう
意味で本問題のとにかく少くとも或る程度の実効を期したいと思
つて従来もや
つて来たわけであります。現在もそういうような気持でおるわけであります。
第二の点の実行計画ありや否やという御
質問の点につきましては、実は本件は一般的に在留
華僑の
大陸への
帰還という
意味で、例えば五百名とか六百名とかいうような数字が一般に言われておりますけれども、その表をいろいろ検討してみますと内容はなかなか複雑であります。
従つてその第三番目の問題として御指摘のありました
台湾籍の方々が随分たくさんあるし、それから又
関係者の
日本人、
日本国籍の人、
日本国籍の子供というものがたくさんあります。それから
ちよつとここではまだ申上げにくい点もありますが、その他の方々もいろいろありまして、
中国え帰りたいといわれる、一口にいえばそういうことになるかも知れませんが内容がいろいろあります。
従つてこれをどういうふうに実際的に取扱うかという問題は先ずいろいろ調査をしなければなりません。
政府に提供されている人名その他の
資料は相当いろいろな
関係もあるだろうと存じますが、必ずしも
政府が知りたいものが全部そろ
つておりません。併し
政府は別に調査する方法も持
つておりますのでいろいろ調査をしていわけであります。残念ながら現在までに全部の調査が完了しておりません。いろいろ名前についても従来
政府が持
つている記録でも必ずしも明らかでない点もあります。それからそういうような
関係で現在まだ従来我々の手に渡された方々の問題について実情調査中であります。
従つて具体的の計画ありやという御
質問に対しましてはまだその結果が
はつきりいたしませんので、全体の実行計画というものは立ちかねております。併しながらだんだんと明らかにな
つて来た部分もございますので、この問題は先にも答えましたように、建前ということよりも先ず相当多く人道的な見地というものを考えて
要望に副いたいということから申しますと、なるべくわか
つた、或いはあまり問題のないという点からだけでも御
要望に副
つたらいいじやないかということも考えておりますが、残念ながらまだそれについての
はつきりここでこういう計画でやるつもりでいるというような御
説明をする段階にまだ至
つておらん状況であります。
それから第三の
台湾籍の方々の問題。これは今も
ちよつと触れましたけれども、まだ私がこういうふうに
政府としては取上げたいということを申すまでに結論がきま
つておりません。いろいろ御
意見があれば拝聴して帰りたいと思いますが、とにかく相当問題があるという点だけは申上げられるかと思います。なおこの問題につきましては先ほど曾祢
委員が御指摘になりましたように、もともと我が
同胞が
中国大陸から
帰つて来るという
引揚の問題とは全然性質も異な
つております。殊に現在
日本を離れて
大陸へ
引揚船を利用して行きたいと言われる方々の
状態から申しますれば、従来も
大陸なり或いはそのほかの地区へそれぞれ自由意思によ
つて日本を離れて旅行することができたわけでありますし、現在も何ら
日本政府はこれを制限いたしておりません。
従つて特別な法令等にひつかかる方々は別でありますけれども、原則として普通の在住せられる
華僑の方々が
日本を離れて外地に行かれるという点については、外国船もあることでありますし、自由にお出かけになれる。ただ問題は
引揚船が
空船で行くのだからそれを利用されたらいいじやないかという点があるだろうと思いますが、そういうわけでありまして問題はいろいろな点がまだ研究の過程に現在もある状況でありまして、実行計画或いは
台湾籍の方々をどう考えるかという点についても、結論的に申上げることができないのは甚だ残念であります。