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1953-08-06 第16回国会 参議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月六日(木曜日)    午前十一時十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            西郷吉之助君            高橋進太郎君            長谷山行毅君            小林 武治君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            加瀬  完君   衆議院議員    床次 徳二君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    自治政務次官  青木  正君    自治庁財政部長 武岡 憲一君   —————————————   本日の会議に付した事件地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方財政平衡交付金法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○地方行政改革に関する調査の件  (日産化学工業株式会社鏡工場労働  争議事件に関する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) では只今から地方行政委員会開会いたします。  斎藤国警長官から発言を求められておりますから発言を許します。
  3. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 日産化学鏡工場事件に関しまして、国警本部熊本本部との間の連絡不十分から、当委員会におきまして御調査に相成りました御真意と異なつたような記事熊本日日新聞に出まして、当委員会に御迷惑をおかけいたしました点は、お詫びを申上げる次第であります。  四日の当委員会におきまして私が申上げました通り、四日の夕方熊本県の本部隊長電話で私が呼び出しまして、この事件に関しまして次のように私は言い渡したのであります。日産鏡工場の肥料積み出しに際して、警官隊出動し、実力行使をした事件調査中の参議院地方行政委員会は、去月二十七日に調査を一応打ち切つたのであるが、警官隊出動実力行使については、これが正当であつたとも不法であつたとも、結論は出されたものではないのである。国警長官としては、警官隊出動実力行使は、大筋においては間違つてはいなかつたと思うが、なお細部については、謙虚な気持ちで反省考慮すべき点があると思う。委員会の意のあられるところを十分尊重して、今後更に一層民衆のためのよき警察を作り上げるように努力をいたしたいという趣旨答弁で、一応事件調査は打ち切られたのである。従つて隊長においては、次の点を注意をしてもらいたい。あの事件処理は、隊長初め、幹部諸君十分気使つてやつた。その努力の点は十分認めるけれども、労働運動に対する深い理解の上に立つて真に止むなく涙を呑んで実力行使に出たのだという実感が、全般を通じてどうも乏しく感じられるのは遺憾である。そこになお、十分反省検討する余地があると思うから、そちらにおいても十分検討をいたされたい。怪我人警察官を告訴している事件については、警察側においても十分検察側に協力をして、真に警察側に行き過ぎがなかつたかどうかを、警察をよりよくする反省の材料にするという意味から言つても、十分謙虚に調査をせられたい。なお、詳細については七日の管区本部長会議において管区本部長を通じて指示をする。かようのことを申しまして、熊本日日新聞に出た記事間違つておるわけでありまするから、熊本日日新聞に対して、私が只今申上げましたような事柄を、その通りできるだけ詳しく出すように日日新聞と折衝するようにということを申渡したのであります。  そこで隊長は同日熊本日日編集長に会いまして、懇談の上、熊本日日は当日はもうすでに明日の朝刊が締切になつておりましたので、夕刊掲載をすることの約束を得まして、その結果、五日の夕刊に次のような記事となつて掲載せられたのであります。見出しは「警察側も謙虚に」「委員会趣旨尊重」、こういう見出しを付けまして、 既報、日産化学鏡工場事件に対する参議院地方行政委員会調査において警察官出動及び実力行使問題は結論的な決定はなされておらないのが事実で、八月四日さらに国警熊本県本部に対し国警本部から次のような電話連絡があつた。一、七月二十七日の参議院地方行政委員会調査に当り国警長官より左記要旨意見が述べられたので警察側も十分その趣旨を尊重すること。「鏡工場事件大筋において警察の行動は間違つておらなかつたと思うが、細部亘つては、警察側にも謙虚な気持で反省考慮を要する点もあると思う。今後は本委員会で各委員の述べられた趣旨等を十分尊重して民主警察の行き方に遺憾なきを期したい」鏡工場事件については来る七日の管区本部長会議で詳細指示するが警察側としても左記の点に留意すること。1警察隊長警察署長等努力のあとは認められるが、全般を通じて労働運動を理解して涙をのんで実力行使をやつたという実感の出ておらない面も感じられるので警察側十分検討すること。2当日の実力行使労組側負傷者が出ているということは検察庁側と協力して真相を調査しておくこと。かように編輯をされて記事掲載と相成つたのであります。若干私及び隊長が申入れました内容とは細部においては異つておりますが、かような趣旨記事掲載なつた次第であります。どうぞ我々の意のあるところを、当委員会におかれましては御了承願いたいと思います。
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) 御質問ありませんか。
  5. 若木勝藏

    若木勝藏君 質問というようなことではありませんけれども、今の国警長官から向うのほうに指示した中に、委員長がこれに対してどういうふうに発言しておるかということが抜けておる。そういう点は御考慮なさらなかつたのかどうか。
  6. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は委員長の御発言を付けまして総括してあのように御答弁をいたしたのであります。委員長の御注意の四点はございましたが、私大体これで委員長のお述べになりました趣旨は総括的にわかるのじやないかと、かように考えたのであります。中に一つ八代の警察署長栄転云々の噂があるが、それは適当でないと思うからという趣旨の御発言がありましたが、この点は私は警察隊長に、この記事掲載でなしに、隊長の含みとして同じく電話で申添えておきました。こういうことは新聞に出ないほうが、やはり委員長の御趣旨でもあろうと考えましたので、その点は新聞記事にはいたしておりません。他の点は大体委員長の申述べられた点を、私が、私の将来の、私及び警察の将来のいましめとして、私の答弁趣旨が了解できるじやないか、かように考えております。
  7. 若木勝藏

    若木勝藏君 大体今の御答弁委員長趣旨が盛られておるということになれば、私はそれに対して更に異議がないのであります。委員長においてどういうふうに考えておられるか。
  8. 内村清次

    委員長内村清次君) それではこれで鏡事件の問題につきましては、一応その後の問題、又警察関係動向の点につきまして注視しておりました委員会の継続的な問題といたしましては、その動向を注視した上において、又考えて行くということでよろしうございますか。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この間の問題で再度委員会として国警長官を通して要望した結果、今長官の説明がありましたが、大体この間の趣旨が貫かれておると思いますから、この問題はこの程度でいいのではないかと思います。
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) それではよろしうございますね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次の議題に移りたいと思いますが、その前に今衆議院のほうで地方税法の一部改正法案に対しまして、修正可決されておるわけでございます。この修正部分に対するところの提案理由、これを床次議員が見えておりますから、それを聞くことにいたしたいと思いますがよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 内村清次

    委員長内村清次君) 床次君。
  13. 床次徳二

    衆議院議員床次徳二君) 只今議題となつております地方税法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院における修正部分修正理由並びに内容の概略を御説明申上げます。  御承知のごとく、地方税制根本的改革につきましては、地方制度調査会等におきましても地方制度度全般との関連において目下検討中であり近く成案を見る運びにありますので、今回の政府原案現行制度内における差当り必要な最少限度改正に止まつている趣旨は了解できるのでありますが、我我衆議院地方行政委員会といたしましては、現段階におきましても、なお負担均衡化乃至合理化の面で是正すべき点が少なくないとする一致した見解に立つて、今回の政府原案提出を機会に、修正を加えた次第であります。勿論年度の中途でもあり、地方団体税収に大なる変動を加えることは、地方財政の、さなきだに窮迫した現状にあつては、極めて困難であります為本修正も限られた範囲内における修正とならざるを得なかつたのであります。  以下修正内容並びに修正要旨条文の順序に従つて説明申上げます。先ず入場税についてでありますが、その一は、法第七十七条第一項但書の一部を削除し、法第七十八条に一項を加えて、文化財保護法により助成の措置を講ぜられる文化財の公開に対して、現行法では軽減税率百分の二十が適用されているのを改めて、免税することができるようにしたことであります。これは、文楽、郷土芸能雅楽等文化財保護を一層厚くして、民族文化の伝統を保全することに寄与する趣旨に外ならないのであります。その二は、第七十八条に一項を加えまして、同条第二項の規定によつて入場税を免除せられる政令で定められた特定主催者の主催する催しに条例で定める料金回数等条件のもとでは、一般商業映画を公開できるようにしたことであります。従来これ等の催しには映画を行い得ない建前であり、僅かに記録映画程度が取扱上認められているに過ぎなかつたのでありまして、共同募金事業等のため行なう催しにおいて、特に地方にあつて映画が唯一のものといつても過言でない実状から、純益の全部が社会教育及び社会事業等のため支出される場合に限り、且つ一般興業館を圧迫しないよう料金回数等に制約を加えて映画を公開し得るようにいたしたのであります。第八十四条の改正は、誤りの訂正であります。  次に、自動車税についてであります。その一は、第百四十七条第一項の税率引上げに関する政府原案改正規定修正しまして、一律五割の引上げを改め、引上げ自動車の種類乃至用途に従う差等をつけ、自家用乗用車は十割、営業用乗用車及び一般バスは六割、観光貸切バスは十五割その他は四割を引上げることとしたことであります。その趣旨担税能力社会経済上の機能等を勘案して負担均衡及び合理化を図りつつ更に次の積雪地軽減を行ない而も地方財政計画上予定されている本税の収入総額を増減しないという考えの下に修正をしたのであります。  その二は、本条に一項を加えまして、積雪により、通常、一定期間自動車の運行を休止せざるを得ない地域にある自動車に対して標準税率を三割程度以内軽減することとしたことであります。これは営業立場からも車の損耗点からも適当であると考えたからであります。  次に、狩猟者税についてでありますが、第二百三十七条の税率の点を改正して一律二千四百円とありましたのを、業とする者を千八百円に、その他の者を三千六百円に、それぞれ三分の一程度減額又は増額したことであります。零細な所得を得でいる業者負担軽減し之を調整したに外なりません。  次は、固定資産税に関する改正でありますがその一は、第三百四十八条第一項におきまして、専売公社、国鉄、電信電話公社日本放送協会及び鉱毒復旧事業団固定資産税非課税範囲をこれらの所有者が直接本来の事業の用に供する固定資産政令で定めるものに限るよう改め、従つて直接本来の事業の用に供するもの以外は課税の客体となり得ることといたしたのであります。こ点は従来からしばしば問題となつて参つたところでありますが、今日ではこれらの事業は、私鉄、民間放送等民間事業と甚しい相違を有しなくなつて来ている実状でありますので、少くともこの程度負担は、均衡上からも当然であると考えるのであります。  その二は、同じく第三百四十八条におきまして、信用金庫の事務所、並びに健康保険組合国民健康保険組合農業協同組合消費協同組合等所有、経営する病院及び診療所非課税範囲に加えるよう改めたことであります。これらはいずれも、現行非課税範囲と性格並びに機能が類似するものでありますので均衡上追加する必要があるのであります。  その三は、新たに税率特例を設けるものでありまして先づ第三百四十九条の三として、外航船舶で、その建造費に対し、政府利子補給金を支給するものについて、その補給金の支給されている年度分固定資産税に限り、制限税率を百分の〇・四とする旨の規定を設けたのであります。  更に、日本航空会社航空機に対しましても、昭和二十八年度分に限り、右と同様税率特例を設けるため、第三百四十九条の四の規定を設けたのであります。  これらの特例措置は、その事業の性質上、国家的見地から保護、育成されるべきものであるという見解に立つて考慮いたしたものであります。航空機の場合は、二十九年度以降におきましては、国際航空路開設等その発展が飛躍的となることが期待されますので、更に検討し直す意味をもちまして本年度に限る特例といたしたのであります。  次に、第四百八十九条の改正は、電気ガス税非課税品目に塩化ビニール・酷酸ビニール共重合物を加えるものでありまして、現行ビニロン系繊維関係非課税と、均衡をとるためであります。  最後に事業税及び特別所得税に関する改正でありますが、第七百四十一条の改正は、第七百七十六条第三項の改正と共に、事業税の第一種事業であつたクリーニング業を、特別所得税の第二種業務に変更して税額を軽減しようとするものであります。これは、作業条件に基く収入の限界、予防衛生措置の規制、従業者の資格、其他の点で殆んど同様の立場にある理容業事業税から特別所得税に変更されたのと均衡を保つためであります。  第七百四十三条の改正は、教科書発行に関する臨時措置法による教科書供給事業非課税とする改正でありまして、検定教科書の末端までの完全配給を法的に義務付けられている点で、すでに免税の対象となつている教科書発行業者と同様の立場にあり、且つ、新聞販売業者が、非課税である関係からも当然と考えたのであります。  第七百七十六条及び第七百七十九条の改正は、装蹄師業助産婦業、並びにあんま、はり、きゆう、柔道整復その他の医業に類する業務に対する特別所得税税率を百分の四に軽減しようとするものであります。これらの業者は、医療事情の変化その他により、収益も概して延び悩む上、元来零細所得者が、多い等の事情を勘案した修正であります。  なお附則第一項中の改正は本法案審議が遅れますため、八月一日という実施時期が不都合となりますので公布の日からと改めたのであり、二項以下は条文の整理によるもの、第七項等は固定資産税の納期或いは申告、評価、配分、決定等の手続に関する事務的処理規定いたしたものであります。  以上が、本法案修正いたしました理由及びその内容の大要であります。何卒慎重御審議の上、速かに御賛同下さるよう希望いたします。
  14. 秋山長造

    秋山長造君 本件は、政府原案におきましても、現行地方税法の相当重大な改正を含んでおり、而もそれについての質疑等につきましても、何ら十分なされておらない状態のところであり、更にこの衆議院修正案が送付されて来たわけでありまして、この衆議院修正案は、政府原案に比べまして、一層重大な修正案で、各方面に対する影響も相当大きなものがあると考えます。従いまして、この審議は余ほど慎重に慎重を期する必要がありますので、本日は只今提案理由を聞いたところで一応打切つて頂いて、後刻改めて慎重に審議してもらいたいという動議提出いたします。
  15. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今秋山君から、慎重審議のために提案理由だけを聞き、そうして改めて審議をするというようなことでございますが、どういたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今お聞きのような発言がありまして、この内容についてば今の御趣旨に私も同感なんですが、やはり重要な法案ですから、各党でこの法案に対する態度を協議して、そうして後刻やはり相談して審査するのかどうか、そういう点について一応只今はその程度にしておいて、各党立場からこの法案に対する態度ですね、今国会中にやるのか、やらんのか、そういうふうな各党とも慎重に態度をきめてから、後刻又この問題について各党御相談をするほうがいいと思います。
  17. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは只今秋山君の動議及び西郷君の意見通りに、慎重に各党態度決定した上において審議をする、今日は提案理由だけにとどめるということでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私なんでしたら衆議院修正案に対する政府側意見といいますか、若しそういうものがあるなら、この際明かにしておいて頂いたほうが、今後の審議の参考になると思います。
  19. 内村清次

    委員長内村清次君) どうしますか。
  20. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 どうですか、今のは私もちよつと気がつきませんでしたが、政府修正説明を聞いて、政府態度を聞いておきますか。
  21. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記を……    〔速記中止
  22. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは速記をとつて下さい。  それでは、修正部分に対する審議及び政府提案地方税法の一部改正法案は、次回に廻すことにいたします。
  23. 内村清次

    委員長内村清次君) 次の議題に移りたいと思います。地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案、これを議題に供します。
  24. 若木勝藏

    若木勝藏君 先ず資料がここに出ております。から、いわゆる地方税法に関する衆議院修正による税収増減額、これについて政府当局説明をお願いしたらどうですか。
  25. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 若木君、それをやると、政府の所感を聞かんとわからなくなりますよ。
  26. 若木勝藏

    若木勝藏君 間違いました、平衡交付金法のじやなく……、今のは間違いました。政府予算国会修正に伴う地方財政計画修正の分です。
  27. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとめて。    〔速記中止
  28. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。それでは休憩をいたします。    午前十一時五十三分休憩      ————◇—————    午後二時四十九分開会
  29. 内村清次

    委員長内村清次君) 休憩前に引続きまして委員会を再開いたします。  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案議題に供します。政府予算国会修正に伴う地方財政計画修正、これの資料提出されておりますが、これの説明政府のほうからお願いします。
  30. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) それでは私から今回の予算修正に伴いますところの地方財政計画修正につきまして御説明を申上げます。  概要は前回御説明申上げたのでございますが、今回の修正によりまして、修正前の財政規模に追加されますところの額は、総額で百三億三千八百万円と相成るのでございます。その内容でございますが、先ず第一に給与改訂による給与関係費増加額算定替による増加、これが八十七億七千三百万円でございます。即ち今回修正いたします総額百三億のうち、殆んどその大部分でございますところの八十七億七千三百万円というものが給与改訂関係に追加されることに相成るのでございます。この算定の要領は国会における今度の予算修正の御趣旨にも鑑みまして、給与関係費のうちで、従来算定の基礎として参つておりましたところの地方公務員給与単価に若干の修正を行なつたのでございます。即ち大体におきまして国家公務員について、今回の予算に計上されておりますところの平均給与額、これを基といたしまして、これに従前から計画上にございましたところの国家公務員地方公務員との間の給与差等を参酌いたしまして、算定替を行なつたのでございます。例えば道府県一般職員につきましては、昭和二十六年度財政計画におきまして、いわゆる給与単価の調整を行なつたのでございますが、その当時における国家公務員道府県一般職員との平均単価の比率で以て、昭和二十八年度一般会計における国家公務員平均予算単価、これを修正する、かような方法をとつて参つておるのでございます。学校職員給与単価等につきましても、例えば中学校教員単価は、国立学校中学校教員予算平均単価を基にいたしまして、小学校のものをそれぞれ基準に推計するというような方法をとつて、それぞれ修正を行なつたのでございます。  それからいま一つ改正をいたしましたのは、勤務地手当平均支給率でございます。これは従前地方財政計画におきましては、国家公務員勤務地手当平均支給率増加率でありましたところの一・三七倍というものを、そのまま地方公務員に適用して参つてつたのでございますが、実際的に申しますと、地方公務員の地域的な分布の状況が必ずしも国家公務員と一致いたしておりませんので、さような点を考慮いたしまして、若干この支給率算定替即ち引上げを行なつたのでございます。それからそのほか議員委員等の報酬でございますとか、又特別職給与給与改訂に伴いますところの増加額というようなものも、国の例又実績等に徴しまして、それぞれ若干ずつその改訂率引上げを行なつております。  以上のようにいたしまして、給与算定単価修正いたしまして計上いたしましたほか、いわゆる教員給与の三本建に伴いますところの財源も含めまして八十七億七千三百万円を計上いたしたものでございます。それからその次の公債費の増五千三百万円は、今回の予算修正に伴いまして、地方債がのちほど申上げますように二十五億増額と相成つておりますので、これに伴いますところの公債費の増を計上いたしております。  それからその次は国庫支出金の増に伴う地方経費の増、これを六十億四千八百万円計上いたしております。今回の予算修正によりまして、国庫支出金義務教育施設費、又食糧増産費等につきまして若干、即ち二十八億三千八百万円増額に相成つておりますので、それに伴いますところの地方負担額を合わせまして、地方経費といたしましては六十億四千八百万円の増に相成るわけでございます。  それから一方国の予算につきましても、今回相当額行政経費節約を見込んでおりますので、地方財政計画におきましても、地方の実情に応じまして若干の節約を見たのでございます。大体におきまして府県の旅費、物件費等につきましては一五%、それから市町村の分につきましては一〇%程度節約額を見たのでございまして、その額が四十七億九千八百万円と相成るのでございます。  以上によりまして大体百億ほどの修正に相成るのでございますが、更にこれらの増減に伴いまして、いわゆる富裕団体等に対する超過財源等を計算いたしますと、二億六千万円ほど超過になつて参りますので、これをいわゆるロス分として追加いたしまして、結局百三億三千八百万円、かように修正をいたしたのでございます。  一方歳入におきましては、平衡交付金が五十億円の増、それから国庫支出金が先ほど申しました二十八億三千八百万円、それからこれらの予算の増に伴いますところの地方負担を賄うための地方債増額、これが二十五億、合せまして百三億三千八百万円、かように相成るのでございまして、結局今回の修正によりまして、最終的には二十八年度財政規模歳出歳入とも八千五百八十億六千百万円、かように相成る次第でございます。  以上大体でございますが御説明申上げます。
  31. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今の御説明歳出の分の八十七億の内訳を御説明願いたい。
  32. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは八十七億七千三百万円となつておりますが、そのうち一般の基本給の増が七十三億千百万円でございます。それから期末手当及び勤勉手当が九億一千四百万円、共済組合費が一億五千七百万円、それから市町村吏員の健康保険組合費、これが一億四千六百万円、超過勤務手当が二億一千二百万円、それから公務災害補償費が千百万円、退職手当が三億七千百万円、死亡手当が五百万円、寒冷地手当が七千九百万円、それから議員委員等の報酬の関係で二億八千四百万円、それから特別職給与が五億四千八百万円でございます。なお、日直、宿直手当につきましては、これは今回実績によりまして算定替をいたしましたので、従前計画より若干減つておりまして、十六億二千五百万円だけが減になつております。これは算定替の結果でございます。  なおそのほかにいわゆる給与の三本建の経費分といたしまして、一応三億六千万円という数字がございますので、それを見込んでおつたのでございますが、この関係は今回の法令が確定をいたしますれば、実除にはそれほどのものが要らないで、一億四千八百万円程度ということを提案者が御説明になつておられるのでございますが、この分につきましては、なお数字の確定を待ちまして処理をいたしたい、かように考えておるのでございます。
  33. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 恐縮ですが、今の内訳の数字をもう一度お願いします。
  34. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 今申上げたのをもう一度ですか。何でしたら別途資料をお届けしてもよろしうございます。
  35. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 最初の政府の案とこの修正予算とを比べてみて、増減の内訳、それを一つ出して頂きたいと思います。
  36. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 提出いたします。
  37. 内村清次

    委員長内村清次君) 明日までに是非準備じてもらいたいと思います。
  38. 若木勝藏

    若木勝藏君 この間も私伺つたのですが、給与単価ですね、教職員の……。あれは小学校なんぼ、中学校なんぼ、高等学校なんぼ、これをもう一度言つてくれませんか、大学、高等学校の方面をちよつと私数字がおかしいのではないかと思つておりますので、もう一遍言つてくれませんか。
  39. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 本俸だけの月額の単価でございますが、申上げますと、小学校は現行単価が一万一千九百七十一円、それが今回の修正によりますと一万二千五百七十二円となるのでございます。それから中学校現行が一万三千七十円、これが修正によりまして一万三千三百四十八円、盲聾学校は一万二千九百三円、これが一万三千百八十円、その他の学校の教員、これが高等学校並びに大学教員を含めたものでございますが一万五千百五十円、これが一万五千三百九十円、以上のように修正されております。
  40. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 地方債の二十五億増額のその配分の枠はどういうふうな枠ですか。
  41. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 二十五億の配分につきましては、まだ配分計画を立てておりません。大体はそのお手許の資料にございますように、府県分五億円、市町村分が二十億円となる予定でございますが、これは今回の予算によりまして、補助金が参りますものの、地方負担分に応じまして計算をいたしますと、かような数字になるものと考えられるのでございます。
  42. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の給与改訂による給与関係費増加額算定替にある増の内容説明で、日直、宿直が十六億二千五百万円ですか、計算によつて減になつているようなお話でしたが、その内容をもう少し詳しく……。
  43. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは当初におきましては、国の場合に準じまして一律に三百六十円という実は計算をいたしておつたのでございます。その後実際地方の実績を見ますと、日直につきましては三百円くらい、それから宿直が二百円くらいの実績になつておるのでございます。そこでその程度が一応数字としては出て参つておりますが、若干それに膨らみを持たせてと申しますか、若干ロス等もございますので、この計算に用いました単価は日直三百三十円、宿直は二百五十円、この程度修正をいたしましたほうが実績に近いのではないかと、かような計算をいたしたのでございます。
  44. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方公務員も当然国家公務員に準じた待遇をされなければならないということになつておるわけでありますが、日直、宿直料、それから超勤なども含めて国の目から見ると、地方公務員のほうがいつも下廻つておるのです。国が今度日直、宿直が三百六十円ということであれば、地方公務員もそれと同じような単価というものを考えて頂かなくては、実際において待遇に厚薄が生ずるのじやないか、それを実績といつて、事実保護さるべきものが保護されない実績をそのまま認めて行くというふうな方法で、三百三十円と二百五十円という単価を抑えるということは、どうも地方にとつて財源がなくて、日直、宿直料が削られておるときでありますので、その財源の基本になるものを削つて行けば、いつまでたつて単価が上つて来ないということになるのでありまして、その辺どんなふうにお考えになつておりますか。
  45. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 御尤もな御意見でございまして、私たちも財源の許しまする限りにおきましては、地方の行政水準を高めるように必要な経費を見込んでもらいたいと考えておるのでございます。従いましてこの日直、宿直の関係におきましても、先ほど申上げましたように、実績そのままで切つてしまうということも如何かと考えられますが、又一方一挙にこれを国の基準並と申しますか、法律の三百六十円に引伸すということも余りに隔りがございますので、中間でまあ漸増する、漸次改善して行くというような意味で、今回は中間的に三百三十円と二百五十円という程度財源をみたらいいのではないかというふうに、実は考えたのでございます。ただ財政計画の立て方として、できるだけ地方のそういつた各方面における各般の行政の水準向上のために、所要財源を見込んで行くという見方につきましては、勿論私どもも同様の考えでおりまするけれども、今回の分につきましては、大体ほかの財源総体の状況等も勘案いたしまして、この程度にとどめて然るべきではないかと考えた次第であります。
  46. 若木勝藏

    若木勝藏君 二、三伺いたいと思います。  先ず給与差について、国家公務員地方公務員につきまして、これは先ほど私の聞き違いか、前の給与の比率を以て二十八年度を考慮した。こういうふうなお話であつた。それでは前は幾らの給与予算があり、その比率によつて二十八年度は実際額がどういうふうに変つて来たか。
  47. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 昭和二十六年の十月一日現在の単価というものを基準にいたしたわけでございます。これによりますと、国家公務員、これは一般会計一般職の公務員でございますが、その平均単価が六千七百九十七円ということになつておりまして、それに対しまして、道府県一般職員の同じ平均単価でございますが、これが六千五百十一円ということになつておるのでございます。そこで、その比率を用いまして、二十八年度一般会計における国家公務員平均予算単価でありますところの一万六百七十八円、これにかけまして一万二百二十九円、こういう数字を出したわけでございます。
  48. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、地方公務員のほうは安いことになるのですか。
  49. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 二十六年の十月一日現在の単価を調べますと、さような比率に相成つております。
  50. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、私の考え方と逆になつて来るように思うのですが、地方の場合には、あの場合に約三百五十円高い。国家公務員よりもそういうふうなことが非常に問題になつておつたじやないですか。
  51. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは昭和二十六年十月一日現在の単価をとつたのでございまして、御承知のように、このときに地方公務員給与の調整を図つたわけでございます。そこでかような数字に相成つておるわけであります。
  52. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、三百五十円高いというようなことが言われたのは何年度からですか。
  53. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) その調整を行なつたときの数字でございます。
  54. 若木勝藏

    若木勝藏君 その調整というのは昭和二十六年度を指すのですか。
  55. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) さようでございます。
  56. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、三百五十円地方公務員が高いというのは、どこで行われているのですか、問題になつたのは。
  57. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) いや、ちよつと申上げようが悪かつたかと思いますが、昭和二十六年の十月一日の財政計画を組みますときに、地方公務員について給与の切り下げを行つたわけでございます。そのときの数字では、道府県一般職員については四百六十二円高いという実は数字が出ておつたわけでございますが、その翌年度調査をいたしまして、三百四十八円ということに相成つたわけでございます。
  58. 若木勝藏

    若木勝藏君 どつちが高い。国家公務員が高いのですか、地方公務員が高いか。
  59. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 地方公務員が高いということであつたわけです。地方公務員が高いということは、法律命令の規定に従いまして、その基準通りにあるとすれば、そのあるべき給与額というものが、従来地方財政計画使つておつた単価に比べて、それだけ高い、こういう数字が出ておつたわけでございます。そこで、その調整を行なつて、本法につきましては、六千五百十一円、こういう数字が出たわけなんでございます。それに比べておりますところの国家公務員の六千七百九十七円と申しておりますのは、これは一般会計に属する一般職の職員の平均単価でございます。
  60. 若木勝藏

    若木勝藏君 それではその次に伺いますが、先ほどお話のありました小学校の平均給与単価、それから中学校の平均給与単価、こういうふうなのがありましたのですが、高等学校、大学のいわゆる現在では一万五千百五十円のを、今回は平均単価が一万五千三百九十円になる。一万五千三百九十円の中には今度の三本建によつて変更が若しできるとすれば、その分が含まれておりますか。
  61. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) この中にはさような関係は含んでおりません。
  62. 若木勝藏

    若木勝藏君 おらないのですね。
  63. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) はあ。
  64. 若木勝藏

    若木勝藏君 その次に伺います。五十億の平衡交付金増額は、どういうふうに配分されるのであるか、その内容について伺いたい。
  65. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 平衡交付金としての五十億をどの団体に幾らというような配分には、これは相成らんと思うのでございます。今回予算五十億を追加して頂きましたので、平衡交付金総額が千三百億円となるわけでございまして、その千三百億円を、法律の定むるところに従いまして、各団体に配分するのでございますから、五十億円の中で、五十億円自身がどの団体に幾ら行くというふうに配分にはならないわけでございます。ただ、今回の修正の御趣旨は、給与関係の経費が特に見足りないだろうということで、修正されておりますので、配分につきましては、交付金算定の基礎になりますところの基準財政需要額の算定におきまして、給与費の算定を相当に現在考えておりますものよりは、給与関係において増額をする必要がある。かようなことになるわけでございまして、各団体に紐付きに配分される額でございませんので、ちよつと御趣旨のように五十億がどう配分されるかということは、御説明申上げにくいと思います。
  66. 若木勝藏

    若木勝藏君 私の聞きようが、配分という言葉を便つたために、あなたがそういうふうな答弁なつたと思う。私は実際は配分でなしに、五十億というのは如何なるものを対象としてこれだけ増額されたのであるか、この点を見合つたところの対象について伺いたい。こういうことです。
  67. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) このお示し申上げました財政計画にございましたように、その多くの部分、殆んど大分部というものが、給与改訂による給与関係の経費の増額分に充てられるわけでございます。
  68. 若木勝藏

    若木勝藏君 それは幾度も伺つたところでありまするけれども、もう少しそれを詳細にわかりませんかね。
  69. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) ちよつと私の言葉が説明が足りないのかと思いますが、五十億円はこの予算修正趣旨からいたしまして、これは特に給与関係の改善に充てるべきだと、こういう御趣旨でございますので、財政計画の策定上は、その財源が五十億というものが給与改訂による給与関係費増加額に引当てになるような財政計画に今なつておるわけなんでございます。併しながら、財政計画上、歳出として殖えますのは八十七億七千三百万となつておりまして、これには、一方におきまして節約を立てておりますので、そういうものがいわば見合いの財源みたいな格好で、実際上は五十億以上の歳出の増になつておりますが、五十億をどこに引充てるのかというお尋ねでございますれば、これは予算修正の御趣旨に副いまして、給与改訂に充てらるべきものである、かようにお答え申上げてよかろうかと思います。
  70. 若木勝藏

    若木勝藏君 その給与改訂に充てられるとすれば、いよいよ単位費用の問題にひつかかつて来ると思うのでございますが、それで給与改訂というようなことによつて、ここに挙げられてあるところの、いわゆる土木費であるとか、或いは教育費であるとか、産業経済費であるとか、災害復旧費であるとかいうふうな部面に対するどの点に、これが影響して参りますか。
  71. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これも前に申上げましたように、理窟から申しますならば、財政計画上八十七億の給与費というものが殖えて、歳出として殖えて参るわけでございますから、各行政項目についてそれぞれ給与関係の財政需要額というものの算定額が引上げられて来るべき筈のものであります。ただ、現実の問題といたしまして、それが単位費用の算定にどれだけ影響があるかということにつきましては、単位費用の算定が、前に御説明申上げましたように、大体地方財政計画を見合いに算定はいたしておりますけれども、その財政計画に出て参つておりますところの平衡交付金の額そのものを一銭一厘違わないように、交付基準額になるような算定方法ができないものでございますから、その間に若干のスレがあるということを申上げておるのでございますが、そのために今回におきましても、実際算定をした上で、全体に算出されますところの基準財政需要額の中に、この給与改訂というものが、どの程度反映して来るかというのが問題点であろうと思うのであります。その点は私前から申上げておりますように、今回の改正によりまして、基準財政需要額というものは、前に予定をいたしておりましたものよりは殖えて参るべきだと思うし、又さように算定を行わなければならんのでありますが、その算定のために、どの単位費用のどの部分が動いて来るかということにつきましては、各行政項目の単位費用の算定内容を更に検討をいたしまして、それによつて算出されるところの各行政項目ごとの基準財政需要額の割合が、どうなつておるかというような点を検討してみませんというと、今ここでどの部分をどういうふうに変えるということは、ちよつと申上げかねるのでございます。そういう点を更に実際の計算が出て参りました上で、仔細に検討いたしまして、この財政計画修正趣旨に副わないような単位費用がございましたならば、これは改正しなければならんというふうに考えておるわけでございます。それはこれから調査をいたしたいと考えておる次第でございます。
  72. 若木勝藏

    若木勝藏君 先般、その点について作業中だというふうなことでありましたのですが、その作業はいつ頃までに終るのでありますか。
  73. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今各団体に単位費用並びに補正計数その他、基準財政需要額及び収入額の算出の基礎になりますところの各要素を示しまして、計算をやつてもらつておる段階でございますが、大体各団体からの資料が集まつて参りますのが、今月の中旬から下旬にかけての頃になるわけでございますので、それらの集計が集まつてみませんというと、具体的な数字は掴みかねると思うのであります。
  74. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで私確認いたしたいのでありますが、その結果、この法律に示されてあるところの単位費用は変化を来すということは明らかですね、この点は……。
  75. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) さような部分も出て参るかと思います。
  76. 若木勝藏

    若木勝藏君 これは極めてあいまいな御答弁でありまするが、恐らく変る部面、この小学校の関係の単位費用などは明らかに変つて来ると思うのでございまして、その点は如何でございますか。
  77. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) それも、なおその計算の結果、小学校費として算出されますところの基準財政需要額が、どれくらいになつて来るかという数字を見ませんというと、その単位費用の数字がどれくらい変るかということは申上げかねるのでございます。ただ前にもお尋ねがございましたように、理論的に申しますならば、只今の小学校に関する単位費用の基礎としましては、学校のいわゆる平均単価を用いております関係から、平均単価が変つて来るならばそれも当然変るべきだということが一応言えるわけでございます。ただ単位費用の算出の基礎になつておりますところの、この前も御説明申上げましたような、標準規模の学校でございますね、その学校に要るところの需要額というものを弾き出します場合に、平均単価そのままで計算いたしましたものと、それからその単価修正によつてつて来ますものと、それから又その規模のとり方その他によつて動い来ますものと、いろいろ要素があるわけでございます。ただ問題としては、小学校費なり、或いは中学校費なりとして算出されるところの基準財政需要額というものが、この予算修正趣旨に伴つて、と申しますか、予算修正趣旨に副つて確保されておるかどうかというのが、結果的には問題であろうと思いますので、さような観点から、単位費用も算定してみたいと、かように考えておる次第であります。
  78. 若木勝藏

    若木勝藏君 その点で、あなた標準規模とか、或いは平均単価というようなことが、単位費用の代りに要素になるということを申されたのであるが、計算してみなくとも、これは明らかに平均単価が変つておるのですから、単位費用にも移動があることは明らかでありますが、その点は如何ですか。
  79. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 単位費用そのものよりは、私申上げておりますように、それによつて算出される基準財政需要額というものが問題であろうと思うのであります。単位費用というものを、結局それによつてどれだけの需要額を各行政項目について算出するかというための手段でございますので、単位費用を仮りに非常に高くきめましても、それに見合うところの数値が補正等によつて非常に下つて来るというようなことでありますれば、全体、それによつて確保せられるところの基準財政需要額が落ちて来るという関係もあるわけでございます。問題は今回の修正によりまして、給与関係の経費というものを、従前のものよりは、ここで八十数億というものを殖やすのだという御修正でございますので、給与関係の基準財政需要額というものが、従前のものよりは相当に多く算出されるというような結果が出て参りますれば、それはこの予算修正従つて、又それに伴いますところの地方財政計画修正趣旨に適うわけでございますので、さような見地から、まあ単位費用を検討してみたい、かように申上げておるわけであります。
  80. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、検討した場合においては、予算総額が殖えておるのですから、当然又は基準財政需要額も殖えて来る、そうなると、その基礎をなすところの単位費用というものは、検討した結果、移動があるということがはつきりしておると思う。計算しなければわからんというようなことでなしに、見通しとしてはもうすでに変更があるということも確実でございませんか。
  81. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 数値をそのままにしておいて、そうして基準財政需要額を考えれば勿論そういうことになるわけでございます。又我々の今後の計算によりまして、財政計画増額に伴つて、基準財政需要額が殖えて参るということは、これはもうはつきり申上げてよろしいわけであります。ただその財政需要額の増が、どの行政費目の分で殖えて来るかという点が一つ問題でございますので、それは各行政項目の中に、どの程度、今回の予算修正によりますところの趣旨が、盛込まれて来るかということに関連して参りますので、その点を検討しなければならんと申上げておるわけでありまするから、総体的に申しまして、いずれかの部分の単位費用というものが増額になつて来ることは、これはもう申上げてもよろしいかと思うのであります。  それとただ一つ御注意までに申上げたいと思いますことは、これは前に申上げておりますように、実際に計算をいたして見ますと、基準財政需要額と基準財政収入額との差額でありますところの交付基準額というものが、前前から申上げておりますように、交付金の額とぴつたり行かない。これは従前からの例によりましても、本日資料提出いたしましたように、数十億の開きがあるわけなんでございまして、昨年の例は大体これが五十一億円ほど交付基準額のほうが交付金の額よりも多い、こういう数字が出ておるのでございます。さようにいたしますれば、交付基準額がかように普通交付金の額よりも多いということは、基準財政需要額として算定されますところのものが、この財政計画の中で考えておりますものよりも、少し多めに、それだけ五十億だけ余計に算出されておる、こういうことになるわけでございます。そこで今回若し二十八年度の計算をいたしました場合に、仮にやはり同じように五十億程度の交付基準額のほうが多いというような結果が出るといたしますれば、今回普通交付金の額を五十億殖やしましても、それは大体その交付金の額に見合うだけの地方財政基準額は算出されておるということが一応言えるわけであります。ただ問題はその五十億を増加されましたところの趣旨が、給与改正するのだというのが、今回の修正の御趣旨でございますので、内容的に仮に数字はそのままにしておくにいたしましても、その場合でも、内容的には更に検討の余地は、これはあるだろうと思うのであります。  それから又その五十億出るか出ないかということは、これはただ仮定で申上げておるのでございまして、或いは只今の単位費用のままで計算をいたしまして、仮に普通交付金と交付基準額とがとんとんであるというようなことでありますれば、交付金の額が、今度追加になりましただけ交付金の額のほうが多い。そこで今の法律によりますと、その分が特別交付金に流れるということになるわけございます。それは今回の予算修正の御趣旨から申上げますれば、御趣旨には恐らく副わないということになると思いますから、さような場合にはやはり交付基準額が殖えるような、即ち基準財政需要額が増額するような算定をいたさなければならん、さような結果が出て来ると思うのでございます。その結果、つまりその見通しといたしまして、この交付基準額と普通交付金の差額がどのくらいになるかということは只今のところ計算をしてみませんとわかりませんので、その数字を見極めました上で、単位費用につきましても検討をいたしたい、予算修正の御趣旨に副いまして再検討をいたしたい、かように申上げておるわけであります。
  82. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、先日の委員会において、あなたも長官も、これはとにかく財政計画修正によつてつて来たので、この法律におけるところの単位費用というふうなものに変化を来たす、まあ今こういうふうな場合で、作業も伴わないからして、特例として、この国会会期中にこれを変更しないで、国会が終つた後に、政令か何かによつてやるように一つ特別御了承を願いたい、こういうふうな御答弁があつたように思うのであります。ところが今日のあなたの答弁で見ますと、このままにしておいても差支えないかのごとき答弁をされておる。その点如何ようになつておりますか。
  83. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 私もこの前申上げておりますこの基準財政需要額の算出上、その算出の結果が普通交付金との間に五十億前後のぶれはいつもあるのだから、或いはその程度のぶれがあるということであれば、或いは今のままの単位費用でも行けるのではないかということも一応考えられるということは申上げておつたわけであります。ただ併しながら、それは計算してみなければわからんわけでありまするし、又理窟から申して、大体この交付基準額と普通交付金は、本来から行けば一致するような目標で計算するのが建前でございまするから、さようなことで、理窟から申しますれば、財政計画がそういうことになれば、それに伴つて単位費用にも当然修正をすべきであることは、理論上そうなるということは申上げておるわけであります。ただ結果的にどこをどう直すか、或いはどの程度に直さなければならんかということは、只今申上げましたようなぶれの関係等もございますので、それを見極めました上で措置をいたしたい、それが国会開会中に間に合わなければ、政令でやらして頂きたい、かようにお願いをいたしておつたわけでございます。
  84. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、その実際の需要額と交付金とのズレが在来もあつた。そういうふうな実際の問題を別にいたしまして、これを一つの法律というものの性格、本質から考えたならば、そういう場合は、正しく言えば法律そのものを変更して、訂正してやるべきであると私はそう考えるので、あなたの今の御答弁からはそういうふうなことが見通されるのですが、そのように解釈して差支えございませんか。
  85. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 勿論、ですから結果的に見て、私先ほど申上げましたような意味において、単位費用に修正を加えなければならん部分がございますならば、これは当然法律によつて改正すべき筋のものでございます。ただ実際問題として、その見極めがここ短時日にはできませんので、若しその結論と申しますか、修正すべきものが出、又若干修正しなければならんということが明らかになりました場合に、国会が閉会中でございましたら、政令によつてやらせて頂きたい、かようにお願いをいたしたいと思います。
  86. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の財政部長さんの御説明を私承わつておりましても、はつきりしない点があるのでありますが、それはこの平衡交付金の五十億の増というものは給与改訂に当てらるべきものであるというお話でありますが、この平衡交付金増加の前後には、給与改訂というものは全然行われておらないわけであります。そうすると、その給与改訂というのは何を一体指しておるのか。ただいわゆる三本建の給与というのが通りましたときには、三億六千万円がその裏付けとして必要だということは御答弁があつたわけでありますが、それ以外には何ら地方の公務員の給与改訂というものは出ておらないわけでありますが、それを給与改訂に当てるということはどういうことを意味するのか。
  87. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 給与改訂とございますが、ここで給与改訂による給与関係費増加額算定替による増でございます。これはすでに前回にここで御説明申上げましたように、当初提出いたしました地方財政計画に用いましたその字句を用いておるわけでございます。即ち当初二十八年度財政計画におきましては、二十七年度十一月一に給与改訂が行われまして、それを二十八年度に平年度化しなければならない。平年度化するためには経費が増加して来るというのが三百二、三十億でございます。それだけのものを給与改訂による給与関係費増加額と見ておつたわけでございます。その額を今度算定替をしてこれだけ殖やす。前の項目を受けて実は書いておるわけであります。今度の予算修正によつて給与改訂が行われていないことは御指摘の通りでございます。そこで前のものと合せまして、今回前年度に比べますというと、恐らく四百億近くの給与関係の経費というものが殖えて来るわけであります。前年の財政計画に比べまして、それだけのものが結局地方財政計画の中における給与関係費の増ということになりますので、厳密に申しますならば、それは基準財政需要額の中に反映されて来なければならんというわけでありまして、さような計算を行うつもりでおるわけであります。  そこで具体的にそれじやそういうものを単位費用の中でどうやつて見て行くのかというお尋ねかと思いますが……。
  88. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういたしますと、その財政計画修正前の都道府県並びに市町村から出しました基準財政需要額というものは、十二分な給与支給というものに満たないものが出されておるという前提でありますか。
  89. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) ちよつと御質問の趣旨がとれませんでしたが、この財政計画修正前のもので、二十八年度に各団体でどういう基準財政需要額が算定されておつたかというお尋ねでございますか。
  90. 加瀬完

    ○加瀬完君 一応この修正前に、基準財政需要額というものを見通しして、修正前の財政計画というものが立つておつたわけですね。その財政計画というものの中には、当然給与の問題も解決されて、基準財政需要額として要求しておつたはずなのですね。
  91. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) この財政計画の立て方は、御承知の通り法律の定めておりますような本当の純理論から申しますならば、御指摘のように先ず単位費用というものが、絶対的のものがきまつて、それから基準財政需要額というものが算出されて、それと基準財政収入額の差額というものが、交付金の額ということになつて、それを元として財政計画というものを本来建てるべき筋のものであろうと思います。ところが現実にはなかなかさようなことができませんので、先ず地方財政計画というものを立てまして、それからそれを元にいたしまして、地方債幾ら、交付金幾ら、こういうように立てておるのが現在の実情でございます。そこで地方財政計画というものを先ず立てまして、その立て方は、二十七年度までに一体どれだけ地方に経費が支出されたか、その上に二十八年度には一体どれだけ殖えるのか、こういうことで二十八年度財政規模を推定して計画を立てておるわけであります。そこで今度地方財政計画というものを元にいたしまして、それによつて見込まれましたところのこの平衡交付金財源を、地方にどうやつて配分するかという問題がその次に来るわけでありまして、その手段として単位費用を算出し、その単位費用によつて、各団体の財政需要額を測定いたしまして、その収入額との差額を交付金にする。かような方法によつて配分する、こういうことになるので、本当の現実から申しますれば、むしろ今の行き方と逆かも知れません。逆かも知れませんけれども、只今財政計画の立て方はさようなことになつておりますので、先ず財政計画を立てて、それから基準財政需要額というものが算出される、こういう方法をとつておるわけであります。
  92. 加瀬完

    ○加瀬完君 私の伺つたのは、そういう点じやないのです。二十八年度規模を推定して、一応この修正前の地方財政計画というものが立つておつたはずなんです。それには当然給与の問題も解決された形において結論としての財政計画が立つておつたはずではないか。そういうことであれば、今この五十億というものが殖えることは、一応満たされた給与の上に、何かプラスする給与増額というものでなければならないはずなんだ。そうでないとすれば、前の二十八年規模の推定というものは甚だあいまいなものではないか、そこにもう少し論を進めるならば、地方財政がいつも赤字になつて平衡交付金増額を起こすような原因というのがあるのじやないか、その点はどうなんだということであります。
  93. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 大変勘違いをいたしまして申訳ありません、よくわかりました。その御指摘の点は全くその通りであります。二十八年度財政計画を当初立てましたときに、一般給与費の見方というものは、これでいいのか悪いのかという問題につきましては、これはもう実は各方面から議論があつたわけであります。その財政計画の立て方といたしましては、この基本で一番問題になつておりますのは、いわゆる給与単価の見方の問題でございまして、先ほどお話のございましたように、二十六年十月以降、給与単価の調整を行なつておりますために、それを元にしてこの計画をはじいております関係から、給与費の見方というものは、現実に地方に要るところの、地方に要るといいますか、地方で支出しておる給与に比べて低いのではないか、こういう御意見は相当伺つておりましたし、私どももあながち絶対そうではないということは申上げられない状態にあつたわけであります。その財政計画その他の点につきまして、例えば補助金の基本額の問題、その他これも前に加瀬さんから御指摘があつたと思いますが、財政計画上の未完成といいますか、不完備の点は確かにあると私も考えております。ただ今日の国家財政、国民負担の現状から申しますれば、この程度計画地方もやつて頂かなければならないのじやないかということで、実は計画を立てておつたわけであります。今回、国会におきまして、この地方財政の立て方というものが、やはり実情に比べて相当低過ぎる、そのために赤字が出て苦しんでおるという点を御理解頂いて、五十億を特に追加してやるという御措置を頂きまして、それを中心にして、この財政計画修正し、一番問題のございました給与に関する経費の計上額を、かように修正した、かような次第でございます。
  94. 加瀬完

    ○加瀬完君 修正をして頂くことは結構なことなんだけれども、それに反対をしておるわけではないので、この前の一応見通しの規模推定から、単位費用というものを確定いたしまして、それで全体の規模というものが推定されておるわけでありますね。その単位費用なり、単位費用からはじき出した推定規模なんというものを、我々が一応相当確実なものだというように考えるならば、この五十億の使い方というものは、あの単位費用からはじき出した規模が当然赤字を生むであろうから、その穴埋めということではなくして、新らしい何か給与の改訂の対象、或いは先ほど出ました日直、宿直料の国家公務員にまだ満たない問題に対する裏付といつたようなものに、当然使われてよろしいものではないか。ところがそういう点はやはり或る程度つておいて、それでこれが全体の、この前の財政計画の中に、ただ五十億というのが自然の姿で流れて行くというのは、これはまだ腑に落ちないように思うのです。
  95. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 今回の財政計画修正によりまして、給与関係の経費として八十七億何がしというものを増額をする、これは先ほど来申上げておりますように、大体今回の予算修正の御趣旨だろうと思います。ただその中で、どういう部分で、どういう方法で、どういう点で給与関係の経費を増して行くかという点につきましては、これは現在使つておりますところの給与単価というものが基本給なり或いは手当なりというものの見方が低いという見方もございましようし、それから又、或いは又このほかの問題といたしましては、昇給財源の見方が足りないという点もあろうと思います。そういうことでどの程度かけたらいいかということを、今回このように五十億の増加という点が先になつておるから、それを見合にどの程度修正ができるかという点に帰着したわけであります。それにつきましては、先ほども申上げましたように、給与単価の問題が実に大きい問題でございますので、それを一率に三百何十円高いということで調整いたしておりました点につきまして、国家公務員の職員の予算単価というものを「応の目安といたしまして、若干の、一番問題点でありました基本給の改正という点に重点をおいて直したわけであります。勿論今回の修正が五十億ではなく、更に百億というような若し増額を頂けるような御修正であれば、もつとく直したい点が給与関係におきましてあるわけであります。当初といいますか、今回の本予算の編成の過程におきましても、私たちは一応全面的にこの給与単価の調整という問題を解決する意味におきまして、国家公務員なみにこれを計算すれば、どのくらいになるかという数字を一応出して見たのでありますが、そうすると、その関係で百二十億要るという数字になるのであります。そういうようなことは今回望めませんので、まあ与えられました財源範囲内において最も今の段階では合理的ではないか、合理的とばかりは申上げかねると思いますが、まあやむを得ずやるのだということでかような修正を考えたわけでございます。日直、宿直の単価を殖やして、給与単価を下げたらいいじやないかということも、一つの御意見かと思いますが、全般的に給与費というものが充実されて参りますれば、従前より余ほど改善されて行く、かように考えております。
  96. 加瀬完

    ○加瀬完君 我々が問題としておりますこの単位費用の問題、この単位費用というものは、当然二十八年度を見通しての昇給とか或いはいろいろの手当といつたようなものが含まれて、すべての単位費用が計算されておるのじやないですか。
  97. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) この単位費用の算定におきましても、給与費をどのように見るかということは、小学校中学校の教育費の算定の場合と、それからその他の土木費であります。とか、経済費でありますとか、そういうものにおけるものとは若干違つておるのであります。一般的に土木費とか経済費とかにおける給与費の見方は、これもこの前申上げたのでございましたが、標準規模の中で、一つの土木の行政をやるために何人の人が要るか、その人の待遇をどのぐらいの程度にすればよろしいか、どういうランクのものが何人というような規模を想定いたしておりますが、大体の目安は成るべく今日の経済並びに財政を基準とする理想的な行政水準という考え方できめておりますが、これは勿論絶対的なものじやございません。そういう意味におきまして、人件費給与費を算定いたしておるわけであります。従つてそれは立法の何と申しますか、基準と申しますか、法律に規定をいたしております何級何号のものは幾ら、こういうものをその通りに計算をいたしておるのでございまして、個々の人間を予定するのじやございませんので、そのものについてその単価が高過ぎるとか低過ぎるという問題は起きないわけであります。それに伴いますところの諸手当等も、これは法令上のものをそのまま用いて計算をいたしておるわけであります。
  98. 加瀬完

    ○加瀬完君 基準財政需要額の算定の場合には、当然例えば給与であるならば、給与の一年に増大して行く幅というものを見通して基準財政需要額が算定されて来るはずだと思うのです。そういたしますれば、財政計画におきましても、当然そういうものが総合されて出たものでありますから、この前の財政計画の中には、二十八年度給与単価平均の増なり、或いは総額としての増なりというものが見込まれておらなければならないはずのものだと思うのです。一応見込まれて計算が出たものの上に、更にこの五十億というものによつて、ここで給与単価引上げたりなどするということは、前の計画というものが非常に給与単価というものを低く見たり、或いは増加の幅というものを狭く見たりして、無理をした財政計画ということになるのじやないか。毎年そういうふうにやつて来たのですか、財政計画の立て方というものを、或いは平衡交付金の対象というものの考え方が、そういうふうにやつて来たのじやないかと疑問を持つわけです、その点……。
  99. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 財政計画については、加瀬さんのおつしやる通りなんで、私も先ほど来申上げておりますように、これは必ずしも地方の実態と申しますか、地方で少くとも欲しいと思つておるものに比べますならば、低いと思うのです。財政計画が低かつたと思うのであります。そういうような意味合におきましては、これは五十億或いは百億殖やしましても、私は見方によりましては地方の現実からまだ低いということが言えるかも知れません。さような意味合におきまして、今回八十七億追加になりますれば、その程度従前よりはレベルが上つたし、給与に対する地方財政全体としての財源は非常に充実されたということが言えるわけでございます。
  100. 加瀬完

    ○加瀬完君 この間の奈良県の例もありますので、ここで一つ念を押して伺いたいのでありますが、国会の結論というものは、この修正によりまして給与改訂にたくさんの予算を投入しておるわけであります。これが又都道府県なり、市町村に参りまして、地方財政計画修正された目的というものが蹂躙されるような結論を出されては困ると思うのでありますが、その点この前の奈良県のような例が起らないようにするために、どんなような御配慮をお考えでございますか、お伺いいたします。
  101. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 各地方団体に対しまする財源の配分の問題、殊に差向は平衡交付金の配分の問題でございますが、これは私ども従来から法律の定めるところに従いまして厳密に計算をして計上いたしております。勿論これは団体によりまして、各地方団体の財政の、状態というものは必ずしも一律でございませんし、平衡交付金自身は一応は基準計算で財源の配分をいたすものでございますので財政の実情と申しまするか、その実態からみまするというと、その間に交付金と地方税の財源を併せまして財源の在り方というものは、多少の厚薄があるということば、これはもうあり得ることだと思うのであります。又これは実際与えられた財源範囲において、財政を運営するという財政運営者の私は気持というか、心がまえが問題になると思うのでありまして、やはり敢えて放漫とは申上げませんけれども、財政計画なり或いはそれによつて算出されまして各団体に配分されます財源というものと離れた、或いはそれにマッチしない財政の運営をやつて行きますと、これはどうしても赤字は止むを得ないと思うのであります。併しながら二十八年度におきましては、今回御修正の御趣旨等もございまして、相当地方財源も充実されたので、各地方に対する財源の配分には、今後とも一層注意をしまして、各団体ともさような欠陥のございませんように十分努めて参りたいと存じます。
  102. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこで問題は、又単位費用に返つて来るのじやないかと思うのであります。と言いますのは、給与改訂算定書による増収分だと言いましても、そこに只今説明平衡交付金は基準計算でやるということなんでありますが、基準計算ということになりますと、基準になる単位費用ということが問題になつて来て、それをしつかり抑えておきませんでは、やはり給与改訂算定替といつても、ほかの目的に使われるということも考えられるのです。単位費用或いは基準計算の基礎というものが、はつきりしておらなければ、何に使われても余り文句が言えないという事態を生ずる慮れはないのかという問題なんです、その点……。
  103. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) この点は先ほど申上げましたように、基準財政需要額として算出されますものの額、その総額が今回の計画修正によりまして財源並びに歳出がそれぞれ増加されるわけでございますから、基準財政需要額自身も従前考えておりましたものよりは、相当額多いと申しますか、高くこれを確保することができるし、又そういうような計算をいたすつもりでございます。各団体に対する配分の問題でございますが、これは単位費用自身は、これはどの団体にも一律に適用いたしますので、各団体毎には画局この測定単位の数値というものがどれだけであるか、それに対する補正がどのように行われるか、これによりまして各団体に配分される交付金の額というものが変りて参るわけでございまして、それを適切にやるということは、極めて端的に申上げますならば、各団体に対する補正というものがうまく行つておるかどうか、又半面基準財政収入額の見込みというものが、果して適切にその団体の実情に即したような測定をしておるかどうかというような、かような点が問題になると思うのであります。これはここ数年来、交付金の配分上常に問題となつておりまして、私どももそのたびにいろいろな研究を進めて参つておるつもりでございますので、今回もさような点につきましては、万遺憾のないように努めて参りたいと存じます。
  104. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこで給与単価でありますが、給与単価若木委員の質問にお答えがありました、例えば教員給与であれば、あの単価というものを各都道府県一律に抑えて行くのか、又日直、宿直の場合は三百三十円なり二百五十円なりという単価を実績にかかわらず抑えて計算をして行くのか。
  105. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 単位費用の計算におきましては、各団体の給与の実績でございますとか、或いは手当の実績というものは、これは問題にならないわけなんでございます。どこまでも標準団体に基いて計算をするので、その団体自身は一つの架空的なものでございまして、そういう標準なものがあるとすれば、その教員単価はどのくらいになるか、或いは手当はどのくらい支給するかということを想定して参るのでございまして、これは財政計画に盛られておるものをそのまま用いて計算をするわけでございます。各団体ごとに見ますのは、これは先ほど申上げておりますように、それぞれ数値を補正して、それに対してその団体団体の基準財政需要額を一々測定して参るのでございますから、その点におきましては各団体のニュアンスというものが出て参ります。その額と一体その団体の実績との間にどれくらい開きがあるかということが、むしろ御指摘の問題であると思うのでありますが、これは基準財政需要額自身が財政計画の全体、その団体に必要な歳出の全体を測定するものでございませんで、やはり税収が従来でございますれば七〇%、交付金の中でも九二%というもので、必要最小限度で行政費を抑えて行くことになりますので、基準財政需要額と、その団体に必要なと申しますか、実際に支出しましたものの総額とは合わないわけでございます。おおむねむしろ基準財政需要額のほうが、平均的に申しますれば大体七・八〇%、八〇%程度に算出されるのが例であります。
  106. 若木勝藏

    若木勝藏君 私からも関係して又伺いたいと思うのでありますが、先般人事委員会との連合審査において、自治庁長官からこういう答弁があつたのでありますが、まあ非常に困る、初めにおいては三億六千万円というものが三本建に使われるというふうなことであつたけれども、のちには約一億五千万円で済んで、後の二億一千万円というものは何に使つたらいいかまだきまつておらない、こういうような御答弁であつたように思います。その後これはどういうふうにきまりましたか。
  107. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) その問題は依然としてまだそのようになつておるのであります。ただこの機会に付加えて申上げさして頂きますれば、結局この一億一千万が当初の予算修正の提案者の考え方と違つて必要でなくなるということであれば、地方財政全般の赤字の中の穴埋めになる、こういうふうになるのであります。
  108. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで私は先ほど来いろいろ伺つてつたのでありまするが、この法律におけるところの単位費用の問題は、これはどうも私はまだ先ほどの財政部長の御答弁では満足な答弁を得ない非常にあいまいということになつておる、これに対して長官はどういうふうにお考えになつておるか、その点伺いたい。
  109. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) この点は私も正にそのように感じておるのでありますが、ただそのあいまいだということは、実はこの財政計画の上に出て来る額全体の平衡交付金総額と、それからしてその各費目別の割振というものと、それからして個々の単位費用を累積して出て来る財政需要額というものを、別々に計算をしておるものであるからして、これは勿論よくない方法でありますが、止むを得ざる事情において、そういう工合の現実の計算の仕方になつておるために、そういう結果が出て来るのである、こういうように御了解願いたい。
  110. 若木勝藏

    若木勝藏君 何だか今の御答弁私よくわからないんでございますが、結局この単位費用は当然変らなければならないと、こういうふうな工合にお考えになるのですか。
  111. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) ですからして、先ほど武岡財政部長も申上げましたように、一応ぴちんと合うようになつておらないからして、これで以て今御審議つておる単位費用で計算をして見まして、そうしてその上で出て来た基準財政需要額というものが、今度のこの予算修正趣旨に合致するように出て来れば、少くともこの給与費の単価というものは変らないで行げるんじやないか、その場合には勿論そのほかの部分が変る、従つて必ずどこかの部分では必ず変る、併し、必ず個々の財政計画の内訳で、今申上げました給与費八十七億だと申したというこのような数字にぴちんと合うように必ずしも変らないのじやないか、こういうことであつて、変るということは間違いないわけであります。ただその間の数字が財政計画の内訳の数字とぴちんと合うように必ず給与費が変るのかということになると、そうばかりとは申上げられない。それは実績を計算してみた上で、この修正趣旨に合うように案外出て来るかもしれないし、若し出て来れば、その他の面で変えて提案者の趣旨に合うように、従つて現在出ております、この御審議つております単位費用自体の中に、そういうあいまい性と申しますか、はつきりと実態とマッチしていない面があるという御指摘は、まさにその通りだと思います。
  112. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで今御答弁のあつたような点に関しまして、当初の財政計画と何ら変りない場合に、この単位費用が載つておる法律であれば、私は了承できる、ところが明らかに財政計画が変つて来た場合において、これは今あいまい性というお言葉がありましたけれども、私は明らかに変ると思う、そういう場合に、この単位費用を、法律事項として在来のものと態度を異にして、こういうふうに載せるようになつ趣旨から考えまして、この法律を提案のあなたはどういうふうに今後お考えになるのか、若しこれを訂正して出すということになれば、国会法に基き議院の承認を得ればできるんだ、あなたはどういうふうにお取扱いになるか。
  113. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) ですから私どもとして、一番大事なことは、今度のこの予算修正によりまして、提案者のお考えになつたように、給与費の面において、十分の考慮が、財政計画の上でも行われたのであるからして、各府県へもそれが十分行われるように配分されて行くということが一番大事だと思う。そこでその目的に合うように、今御審議つておる単位費用によつて計算して参りましたものが出て来れば、少くとも給与の面では変えないで、その他の面で単位費用の変更を行なつて、そうしてその考え方にマッチするようにして行く、又どうしても給与費の面で変えなければならないという実態が出て来るならば、給与費の面で今後単価を変えて行く、どちらにいたしましても、今急にはどういう工合にするのが果してこの修正の提案者の気持にぴつたり合うものになるかということは、修正した計算をして見ないとわからないものでありますから、今日のこの段階では非常にできにくいから、あとで一つやらして頂きたい、こういうふうに考えております。
  114. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 関連して。それでは塚田さん、結局私はざつくばらんに言つて、当然単位費用というものは変る、特に或る給与費なら給与費というものの面において変る、併しできないのである、現実にできない。法律をもう一度撤回して再提出するということもできない、結局政令かなんかでやりたい、変るならばやりたい、こういうお考えじやないんですか。ざつくばらんに言つて
  115. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) その点はこの間合同委員会で、若干この前のここの委員会での発言を訂正さして頂かなければならないと、あのときも申上げたのでありますが、あのときは私も若干の点で誤解をしておりましたので、そのように考えておつたのであります。併しよくその後説明を聞いて見ますと、今申し上げたように、むしろ今にわかに単位費用を変えるということよりは、実際に計算をして出て来た結果を見ながら直して行くということが一番いい方法だ、この目的に合致する方法だというように考えられますので、その結果を見てからやらして頂きたい、こういうように実は考え方を改めたわけであります。
  116. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そこで実際に計算をして見なければわからんということは、よくわかるのであります。勿論それは正確に計算しなければいけないと思うのですけれども、併し先ほど武岡財政部長の話があつて聞いていたのですが、ここにもやはり原則論と申しますか、理窟の面とそれから修正されたものの取扱という現実のものとが、非常に混同されているわけです。理窟の上から言えば、必ずしも修正なつたからと言つて、すぐに単位費用を変えるかどうかということは、検討してみなければわからない。併しまあ一方から言えば、給与費が上つて行けば、当然単位費用というものは変えて行かなければならんだろう。やはりここでも理窟の面と実際の取扱の面とで非常に混淆したところがある、こう考えて見ますと、面子とか何とかということは別として、やはり変る可能性が非常に多い。併しそれは計算してみなければわらかん、計算して変るようだつたら、とてもこれは法律を撤回して再提出するということはできないから、政令に譲らして頂きたい、こういうことが大体の骨子じやないでしようか。
  117. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) その通りなんであります。
  118. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連して。まだ私はわからないのですれども、結局財政需要額を八〇%なり七五形なりというものに抑えて今まで計算しておつた、だからここで給与費の増額というものは出ても、これを七五%のものを八〇%に、八〇%のものを八五%に少しふくらませてやれば、五十億ぐらいは適当に行くのだということなのか、そうではなくして、給与費というはつきりした枠に抑えられておるから、これだけの額を給与額に幅を持たせるのだということなのか、そうであれば、単位費用をはつきりと改訂して計算をするのでなければ、その目的は達しないように思われるのですが、その辺はつきりさして頂きたい。
  119. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) ちよつと御質問の趣旨がよくわかりませんでしたが、間違つておつたら又言い直します。
  120. 内村清次

    委員長内村清次君) もう一遍よくわかるように質問して下さい。
  121. 加瀬完

    ○加瀬完君 あなたがたのおつしやることもよくわからないのですけれども、この前からのお話を伺つておりますると、五十億ぐらいのものはいろいろのふくらましの工合でどうにでもなつてしまうのだというふうなお言葉もあつたわけで、そうすると、基準財政需要額というものが出て来るのだけれども、それは大体一〇〇%に見ないで八〇%ぐらいに抑えて判定をしておるので、その八〇%を八五%ぐらいにぶくらませてやればその五十億という問題も自然と解決することになるのだ。給与費の増額ということにもなるのだから、そういうふうに計算をするので、特別に単位費用を云々するというほどの必要はないのだということなのか。そうではなくて、只今長官のお言葉のように、国会できまりたものなのだから、その目的を確実に現わすような方法を取るということであるならば、単位費用というものから改訂をして行かなければ、給与費の増額というものはぴたりと出て来ないであろう、こういうように思うんだけれども、単位費用が随分あいまいになつておりまするけれども、どういう計算方法をとつて給与費がこれだけ増額したのだという判定をしたのかということを伺いたい。
  122. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 平衡交付金算定上、いわゆる交付基準額と、配分すべき普通交付金の額との間に、昨年の例で申しますと、五十億前後のずれがあつたということを申上げたわけであります。その点は只今御質問のような基準財政需要額の見方というものを、財政計画に現われておるところのいわゆる標準財政需要額というふうに区別して呼んでおりますが、その団体で必要な全体の需要額の八〇%程度のものに基準財政需要額を抑えておるために、その五十億程度のものは、そこらの加減でどうにでもなると、こういう意味で申上げるのではありません。いわゆる全体の標準財政需要額に対しまして、税の七〇%、それから交付金の九二%、これで算定をいたしますところの基準財政需要額というものは、これはもう動かないものなんでございます。観念上動かないものなんです。ところがその基準財政需要額を算定いたしまして、それから一方基準財政収入額を計算いたしまして、その差額を平衡交付金ということに建前上はなるわけなんですが、その場合に、財政計画上、配分すべき交付金の額が仮に一千億なら一千億だという場合に、その各団体ごとに計算をした基準財政需要額と、各団体ごとに別に計算をした基準財政収入額との差が丁度一千億になるような計算ができるものならば、これは問題がないわけなんです。ところが実際には大体今の基準財政計画の全体の規模というものを一応想定いたしまして、それに対しまして基準財政需要額というものが、大体どれぐらいのものだ。いわゆる八〇%の枠に大体抑えるわけなんですが、そういうものを目安といたしまして、その基準財政需要額を算定する基礎として、単位費用を今ここにきめるわけなんですが、その場合に大体基準財政需要額として仮に二千九百億なり三千億程度のものでございますが、仮に三千億なら三千億の基準財政需要額を算定するために必要な単位費用は一体どれだけかというのが、一応の実は目安になるわけです。ところが初めから三千億の基準財政需要額というものをきめて、そうしてそれを各行政項目別に割つて、その三千億の中で土木費は幾ら、教育費は幾ら、経済費は幾らと、こういうように需要額が分れるわけでございますが、その土木費の需要額の中で、その需要額に見合うところの、と申しますか、その需要額の算定の基礎になる測定単位の数値、仮に人口でありますれば人口が何人、これは補正いたしますれば、補正された人口が何人というのが出て来るわけでありますが、その人口で割つたものが、実は単位費用になるわけであります。ところが一応それが三千億なら三千億という目安を仮に置いて、それから逆算と言えば逆算になるのですが、計算をして仮に単位費用を出しても、実際に各団体ごとに計算をして来る場合には、一万有余の団体から、それぞれ人口が何人、それから又面積は幾ら、生徒数が幾らと、こういうふうに細かい数字が出て参ります。それを基にそれにいろいろ細かい具体的な補正をやつて数字を出すわけです。従つてそれをずつと積み上げて計算をして参りますと、それを集積したものが必ずしも三千億にならないわけです。これは初めから三千億ときまつたものを、各団体に配分するわけじやなくて、数字自体は下から積み上げて参りますので、どうしてもその間にずれが出て来る。これがどうもごの三千億の財政需要額を測定するに当りまして、財政収入額との差額に対して、昨年ですと五十億、お示ししました資料によりますと、二十六年度では三十億程度つたのでございますが、この程度の誤差は、誤差というよりは差額というものは、どうしても出て参るわけであります。その場合に、問題は基準財政需要額の改訂、仮に今の三千億という目標できめたところの単位費用が、現実に計算をして見ると、実際にあるものよりは多かつた、財政需要額の測定自身が多過ぎた、そのために基準財政収入額との差額が千億となるべきものが実は千百億になつた、こういう結果が出て参つておるわけですが、仮に五十億という数字で申しますならば、千億であるはずのものが、千五十億という差額が出て来た、この程度のずれは止むを得ないということを実は私は申上げておるのであります。そこでその場合に今の例で申上げますならば、千五十億というふうに算定されるような単位費用というものは、実際平衡交付金財政計画通りに適用するならば、もう少し低い単位費用でもよかつたわけですが、それだけ多いということは、財政需要額の見方をそれだけ多く見ておつたということになるわけであります。そこでさような程度のずれは、どうしても単位費用の計算上出て参りますので、今度単位費用全体の財政計画におきまして、五十億の平衡交付金が追加になつたといたしますと、今の千億の平衡交付金が千五十億円になる、そういたしますと、今の計算のままで行きましても、どうせその差額に出て来るものは千五十億でありますから、今の単位費用を以ちまして計算いたしましたものの差額が千五十億、それが従前のままであれば五十億の差があつたはずのものが今度五十億が追加になつたからちようどとんとんと、こういう結果になるわけであります。本来から申しますならば、そういうように千五十億になつたときのように、実は今の単位費用をきめなければいけなかつたわけでありますが、これはたまたま数字が一致するのだというお話を申上げておるのでありますが、実際にはさようには参りませんけれども、理窟から言えば、そういうことになるわけであります。そこで今度五十億追加になる、財政計画上の給与費なら給与費というものが八十七億殖えたからと言つて、単位費用をずつとそのまま上げて来ますと、その差額は依然として残る、差額は残しておいても、理窟から言うならば、どうせ前からあつた差額だし、追加になつた分は追加としてこれは別問題だ、だから差額は幾らになろうと、財政需要額の測定自身を延ばしたらいい、これは一つの御意見だろうと思います。そういうふうに延ばして参りますと、まあ各団体に配分いたしますときには、調整率の関係がございまして、各団体にそれを千五十億のものを千億に圧縮して配分しなければならんという問題も起つて参りまして、成るべくならば、その調整率の幅は狭いほうが理想に近いと思うのでありますから、その程度のものであるならば、今の単位費用を千五十億になるような現在の単位費用を使わして頂きましても、実際の配分には余り大きな支障はないということを実は申上げておつたわけであります。ただその中で問題になりまするのは、同じ千五十億、三千億の財政需要額の算定も、その中で給与関係の経費というものとして見ておつたものと、その他の物件費なら物件費として見ておつたものの財政需要額の割合というものが、仮に割合というものがあるといたしますと、今度の修正によつて、同じまあ仮に中身も三千億であつても、給与関係のほうに重点を置くのだ、こういうような修正があつた場合に、今のままの、たまたま今の単位費用で測定されたその三千億の内容そのままでいいかという問題はこれはあると思います。従つてこの点を十分に出た数字によつて検討いたしまして、今の単位費用を今のままで計算したところの財政需要額の内容が、それによつて算出された基準財政需要額の内容というものが、今回の地方財政計画修正されました予算書の御趣旨に合つておるかどうかというのが、私は問題になるだろうと思います。従つてその点を十分に一つ検討いたしまして、これはたまたま数字は仮に三千億ということで、数字は一致するけれども、内容が非常に合わない、給与費の見方が非常に足りないのだということでありますれば、単位費用を変えて、物件費のほうを減らして給与費を殖やそうというような修正をしなければならんと思いますが、併しながら大体まあ前回申上げましたように、単位費用の算定の基礎になる給与費と物件費の割合の見方も、一応は現在の地方財政計画の規模を目安にいたしておりますけれども、その間に厳密な基準というものが、絶対的な基準というものがあるわけでなくて、大体を見てやつておりますので、まあこの財政計画から申しますならば、二千億から三千億近くの給与に関する経費の中で七、八億程度のものが修正になりましても、その給与費全体に現われて来る給与費のウェイトが非常に変らなければならんというようなことには或いはならんのじやないか、これは私たちの期待でありまして、さようなことであれば、今のままで使わして頂きたい、併しそれが趣旨に副わんということであれば改正をしたい、かように申上げておるわけであります。
  123. 加瀬完

    ○加瀬完君 よくわかりました。そういたしますと、結局その誤差が当然出るのだから、今のままで使わしてもらつたほうが却つて好都合だということになると思うのでありますけれども、この誤差というものを検討いたしますと、財政需要額の総体について出る誤差なんですね。給与なら給与というものについて出て来る誤差じやないのですね。そうすると財政需要額の全体について出て来る誤差のために、そういうふうに使うということは必ずしも……今度は財政需要額で一番幅を占めるのが給与額でありましようけれども、給与費のこの国会で議決をされた目的の通りに具体的な表現が出て来るかというと、そうはならないんですね。その点給与費というものは、測定単位もはつきりしているわけでありますから、単位費用というものを上げてもはつきりと出て来るものなんです。ほかのものと比べれば。それを単位費用を変えないでやるということにいたしますと、給与費の増額という面で打ち出されたものが、事実はそうではなくて、総体的な財政需要額の穴埋のほうに廻つてしまつて、本来の目的が薄まつて来るということになりかねないと思うのですが、その点はどうなんでしようか。
  124. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今の例で、その五十億の誤差と申しますか、差額というものを仮に無批判にそのままで押し通すということになれば、或いは御指摘のような結果が出るかも知れないと思います。そこでそれは私も先ほども申上げたのでございますが、従つて仮にその五十億の誤差があつたものとして、それをそのまま今の単位費用のままで用いるといたしましても、その場合、その内容をそれによつて出て来たさつきの説明で、まあ三千億の基準財政需要額の内容検討しなければならんじやないかということを申上げておるのであります。従つてその中で、若し非常に極端に、この給与費とそれからその他の物件費の割合と申しますか、或いは全体としての給与費の重要性というものが、今回の修正に伴うような趣旨に副わない、給与費の見方が非常に少な過ぎるというような結果が出るようでございますれば、これは又修正趣旨に従いまして改めて参らなければならんということを考えております。
  125. 加瀬完

    ○加瀬完君 その基準財政需要額の内容というものは、測定単位に変化はないわけでありますから、単位費用というものをきちんと改訂して、新らしいものを精算単位にするということでなければ、はつきりと給与費の増額というふうには打ち出されて来ないと思うのです。で、ただ実際に計算をされたものから、その内容検討いたしまして、お前のほうは給与費に廻わしていないじやないか、お前のほうは目的と違つたように廻わしているじやないかと言われることは、甚だ不親切な話ですね。初めからこの財政計画修正の目的のような数字が、誰が計算しても出るように、単位費用というものを変えて行つたほうがよろしいのじやないかというのが、理論的には私は打ち出されなければならないと思うのですが、どうお考えなんでしようか。
  126. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) それは只今審議を頂いておりますところのこの単位費用の中で、給与費とそれから物件費と申しますか、その占める割合というものが今回の修正趣旨にも初めから副つていないのだと、こういうような前提で御覧になりますれば、もうそれはその通りのことになると思うのであります。ただ併し、これは各行政項目ごとに、単位費用ごとに、その中に見ておりますとこるの給与費の見方というものが必ずしも一律ではございません。で、大体から申上げますならば、義務的な経費が殆んど大半を占めておりますような小中学校の経費というようなものにつきましては、その給与費のウエイトというものを、実は単位費用の計算におきましても相当重く見ておるわけなんであります。それから又そのほかの各種の行政項目について見ましても、単位費用算定の中に占めておりますところの給与費と物件費の、割合と申しましようか、或いはこれを逆に申ますならば、財政計画全体とこの基準財政需要額との圧縮の度一合、財政計画から基準財政需要額に対する圧縮の度合というものは、給与費とそれからその他の物件費と必ずしも一律ではないのであります。即ちそのしわというものはどつちに寄つているということは、一律には言えないわけであります。給与費にしわが寄せられておるのか、或いは物件費にしわが寄せられておるのか、それは単位費用によりまして必ずしも一律には申上げかねると思います。従つてこれは全体を計算いたしまして、それによつて算出されました結果に鑑みまして、更に単位費用ごとに再検討した上で出したと思います。それは仮定論でございますが、加瀬さんのおつしやいましたように、今の単位費用の見方というものが、これは修正前の財政計画をそのままに反映しておると申しますか、そのままに見ておるために、八十億給与が殖えたから、単位費用そのものも変えなければならん、これは前提の取り方の問題で、私たちは単位費用の算定において、必ずしも厳密な意味で申しますならば、その通りになつておりませんので、これは単位費用ごとに更に再検討して行きたい、というふうに考えております。
  127. 加瀬完

    ○加瀬完君 私さつきからいろいろ御答弁を伺つておりまして、大臣の御答弁では、これは給与改訂のための予算が大きな幅をとつている、併しその目的で修正されたものであるから、これはそういう目的のはつきり現われるように行かなければならいというお話があつたわけであります。私もその通りだと思います。その大臣のお言葉の通りの具体的な事実を現わすために、どいう方法とつたらいいかということが問題になつて来ると思います。そういたしますと、在来のように平衡交付金のきめ方というものをやつて参りますときに、はつきり給与費にこういつた八十七億というものが廻つて行くかということになると、必ずしも廻つて行かないという心配があるわけであります。これを確実に廻して行くためには、やはり単位費用というものを変えて、計算の基礎というものを明確にして行くのでなければ、八十七億の給与改訂の費用というものははつきり浮び出して来ないんじやないかということを先ほどから伺つているわけであります。で、財政部長さんのいろいろの御説明はわかるんですけれども、帰するところは、どうもこの単位費用というものを変えようというお考えがないように思われる。併しながら単位費用というものを変えて行かない限りにおいては、その内容というものは区々まちまちで、はつきり先ほど長官が言われたようにその意思というものは出て来ないというふうに思われるんですが、なぜ単位費用というものを変えないほうがいいということになるんですか。
  128. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 私は別に単位費用を変えないほうがいいということを申上げておらないのであります。勿論必要があれば再検討いたしました上で、その必要に応じて、これは改訂しなければならんと思つております。ただどういうふうに直すのか、又どの程度改正しなければならん必要が出て来るかということは、先ほど来申上げておりますように、一応結果を見てみませんと、今の程度資料だけでは判定がつきかねますので、それらの数字を見ました上で再検討をいたしまして、変えるべきものは変える、かように考えておる次第であります。
  129. 加瀬完

    ○加瀬完君 八十七億なりというものを給与費にプラスするわけでありますから、確実にそれにプラスされるように単位費用というものを変えて行くほうがいいというふうに私には考えられる。そうでなくて、確実にこれをプラスする方法というものを考えましても、それははつきりとした標準なり基準なりというもののないきめ方ということになる虞れがある。
  130. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) こういうように申上げたら御納得が行くんじやありませんかね。現実には計算の上で使つております。又給与費というものは現実に支払われておるものよりも低うございます。ですからしてその低いのを何かの形で、給与費という形でなくて、何かの形で金を余計上げるようにすれば、その足らなかつた費用の部分がこれは補われて行くんだからして、この八十八億殖えたが、それのように行かないんじやないかという御心配は、一般給与の場合にはないんじやないか、ただ今度の三本建予算によりますと、新らしく法律によつて特殊の人たちが殖えるわけでありますから、それの分はやつただけ必ずそれが殖えるようにならないといけないんですから、私はこの五十億の中から三本建によつて出て来る一億五千万というものとその他のものとは別に考えて頂いていいのじやないか、繰返して申上げますが、一億五千万円の分は、只今加瀬委員がおつしやつたようにな心配は確かにあるわけです。ですからこれは必ず単位費用を変えて、そのように配分して行きませんと、その結果が得られないような状況になる。その他のものは現実にはもう給与が上つておりますので、ただ給与が高いにかかわらず、それに応ずる財源を充てておらんものだから、その他の費用を食つて給与が払われておるという結果になつておりますから、そこのところへ金を少し余計上げるという形になつて、その他の費用を食つた部分というものがなくなつて我々の考えているものと地方の自治団体の現実の財政面というものが大体似たものになつて来る。そこでまあ全体としての答弁でありますが、さつきから申上げますように、大体今の単位費用で計算いたしました結果出て来る需要額というものは、これくらいの平衡交付金増額があつても、ぴつたり合う程度ぐらいのところに帰つて、普通ならば出て来る誤差を埋める程度ぐらいのところで出て来て、これがうんと大きな増加であれば、勿論直ぐに単位費用を変えなければなりませんが、大した大きな額ではありませんから、その程度で却つて直さないほうが予算修正の提案者の気持にぴつたり合うような結果が出て来るのじやないか、そこでそれを目指してやる、必要が起きたならばやるようにさして行きたい、こういうように了解しているわけです。
  131. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういうふうにお考えになつておるということは私もわかるのです。併してそういうお考えそのものが私にはどうも甚だ正確性を欠いていると思う。と申しますのは、自治庁のほうといたしましては、増額した平衡交付金を配分するわけでありますから、それで五十億殖えるなら、この五十億というものは、前の仮に一千億なら一千億にプラスされて支給がされるわけですから、これは問題はない。併しながら計算の基礎なり基準なりというものが明確でありませんと、各町村なり都道府県なりにすれば、非常に計算のしようによつては凸凹が出て来るわけです。又もう一つの問題といたしましては、基準財政需要額の全体の凹凸というものを修正されるということになりましては、それが給与費のほうに食われるということがあるかも知れませんが、給与費が又はかの費用に食われるということもありまして、長官がさつき御説明のような趣旨がぴたりと実現されるということが困難な部面が生ずるのであります。そういうことからいたしますと誤差がある、誤差があるということは、ここで認めていいか認めて悪いかということは別の問題です。五十億、六十億誤差があることは、当然だという計算は杜撰な計算で、少くとも誤差が出ないように努めて行かなければならん、それには計算の基礎単位であるところの単位費用というものを法律できめておりますから、この単位費用というものを明確にしておいて、誤差が出ないような方法というものを考えてもらわなければまずいのじやないか、誤差が出ることが当然であるということで考えて行くことはどうもおかしいと思うのです。
  132. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 誤差と申しますか、実際の算定上との差額でありまして、勿論おつしやいますように、そういうものが出ないことは理想的でございまして、成るべくそういうものの出ないように努めることはもう当然でございます。今の加瀬さんの御意見でございますが、今回の計画修正によつて八十数億給与費が殖えた。仮に八十七億殖えたのだから、その八十七億殖えるように今の単位費用から、現在お示ししている単位費用にプラス八十七億給与費のほうへ行く、こういうふうな、大体端的に言えば、御意見じやないかと思いますが…。
  133. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういう傾向を打出さなければまずいのじやないか……。
  134. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 誠に御尤もなんでございます。ところが実際問題としては、実はかような状況でございまして、即ち、今の修正前の財政計画の総体の規模が八千四百七十七億でございます。その中で給与費として算定されておりますものが幾らかと申しますと、ざつと申しまして二千九百億であるわけでございます。これは今度の追加分を入れてでございますが、その二千九百億の財政の規模に今度八十七億加わるわけなんです。そこで今御審議頂いておりますところの単位費用で以て財政需要額を計算した場合に、それは勿論これは財政計画上の数字が給与費二千九百億なんです。二千九百億そのものは基準財政需要額の中に入りません。平均して八〇%なら八〇%入るわけです。そこで今の単位費用で計算をした基準財政需要額で算出される給与費の額というものが、丁度この二千九百億にぴつたりマッチするのだ、こういう数字になつておりますならば、これはもう加瀬さんのおつしやる通り、今度はそれに八十七億プラスをするという、こういう単位費用が考えられなければならんわけです。ところが実際にはさようなことでなくて、まあその誤差の問題は、いい悪いの問題は別といたしまして、あるのと、それからもう一つは各単位費用ごとに見ております給与費と、それから物件費の割合というものが財政計画上における、この総体の八千四百億と二千九百億と丁度同じ割合で必ずしも入つておらないのでございまして、これは先ほど申上げておりますように、単位費用によりましてはすでに給与費のウエイトというものを相当重く見ておる対象があるわけです。義務教育関係経費につきましては、殊にさようなことでございまして、相当多くこの給与関係の経費を今の単位費用で見ているわけであります。そこで今度八十七億仮にこれにそのままプラスするといたしまして、総体といたしまして、仮に二千九百八十七億というのがこの中で見るべき給与費の額であるといたしましても、今の単位費用で計算したものがその二千九百億に更に丁度八十七億ほどプラスしなければ合わないような数字になつているのか、或いは今のままで行つても単位費用によりましては相当給与費を見ているものもあるのだから、実際にこれで算出したものも丁度二千九百八十七億今大体見合うような単位費用になつているかというのが問題だろうと思います。その点を一つ再検討いたしまして、これはどうしても仮に二千九百八十七億なければならんものが二千五百億しかない、こういうような単位費用になつておるといたしますれば、これは当然その給与関係の経費を直さなければならん、そうでない限りにおきましては、その程度のズレはあるんだから、今のままで行つてもこの修正の御趣旨に副わないということにはならないんじやないか、これはまあ初めからきめてかかつておるわけではございませんが、去年よりはたまたま五十億のズレがございます関係から、今年は更に全体の財政需要額は去年より殖えておりますので、その総額程度も或いは多少殖えるというようなことも或いは考えられますので、そういうことを恐れておりますので、そうであれば、その出た単位費用によつて算定された財政需要額の中味を再検討いたしまして、今の例で申します二千九百八十七億程度給与費というものの重要性を十分に反映したものであるならば、このままでいいんじやないか、そうでない限りにおきましては勿論これは修正する、かように申上げておるけであります。
  135. 若木勝藏

    若木勝藏君 先ほど来の加瀬君の質問に対する応答をいろいろ聞いて見まするに、問題ははつきりしているんです。政府答弁ですが、この単位費用でやつて見て、そうして五十億を増した場合の計算をして見て、或いは大した誤差がないだろう、普通の場合においても少し誤差があるということは止むを得ないものである、併しこの場合においても誤差はあるかも知れませんけれども、まあ大したものはないだろう。それからその計算によつてこれは取計らつてもいいんではないか、その結果を見てやつてもいいじやないか、こういうような御答弁なんです。ところが加瀬君の質問の趣旨を私考えて見まするに、そういうことをやられたんでは単位費用を法律で以てはつきりきめておかないと、どつちへ持つて行かれるかわからない、そこで単位費用を法律で以てはつきりきめるところの根拠がある、こういうふうに聞いている。そこで私は実際の計算の結果、この単位費用で合うか合わないかというようなこと、或いは誤差が生ずるか生じないかというようなことは、そんなことは問題でないのであります。それはぴたつと合う場合もあるだろうし、前年度におけるこの単位費用によつて年度の交付金とぴつたり合つているか、或いはズレがあるかも知れませんが、そんなことは問題でない。そこでそういう基礎になるところのものを、不確実性なものを単位費用としてこの川法律を通すか通さんか、ここに問題がある。法律上の責任を政府はどういうふうに考えるか、ここなんです。そこで今そういう計算上大した結果に至らないであろうから、一先ずこのままに通してもよいではないかということになりますというと、政府は法律に対するところの責任を感じておられぬ、私はそう考える。我々がこの法律に対する審議に当つておるものとしては、そういうふうな態度でもつては行き得ない。何のために一体この単位費用というものを法律事項として扱うようになつたか、その趣旨からいつても、まさにそういうふうに行かれない。この点をどういうふうにするかというのがこの法律の問題なんです。だから私は先ほど来、この点について議院の承認を得れば改訂して再提出ができる、こういう手続再あるのだ。政府としてはどこまでもこのままにして、そうしてまあ作業の途中でもあるし、国会が終つたならば、政令ででもこれを変えてもいいじやないか、こういうふうな安価な考え方であるならば、我々はそれに対して絶対反対する。国会の会期中です、現在は…。今日も明日もある。そういうときにそういうことを見越してこの法案を通してはどうだろうか、そういうふうな計算上大した差がなかつたらいいではないかということで、政府の当局が押して来るならば、我々は絶対これに対して反対である。そこで今三本建の問題がある、こういうふうな確実性のない法律の上に立つて、そうしてこの平衡交付金が一応算定されて行く、その上に更に一億五千万円積んで単位費用を今度は変えて三本建を持つて行くということになれば、その三本建による一億五千万円を交付するというその基礎がすでに脆弱だ、そういうところに影響するところの問題が私はあると考える。政府としてはどういうふうなこれに対するお考えを持つて答弁されておるのか。これはどうしても計算の上から大した差がないからこのままでいいじやないか、こういうふうなお態度なのか、この点もう一度長官にはつきり御答弁を求めたい。
  136. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあ何と申上げればいいのですか、御指摘の通り私どもの考え方はそのようになつておるのでありますが、それじや今出しておる単位費用の法案というものはそんな責任のないものなのかということでありますが、それはそんなことではないのでありまして、終戦前の財政計画に基いて私はこういう単位費用でもつて計算をするのが一番いいと、こういうように考えて、ヒの単位費用を出したわけであります。併しこれは実際にやつてみると、先ほどから武岡部長が縷々申上げましたように、現実には、理窟の上ではそうあつてはならないのでございますが、現実にはそうきちつと合うべきものではないのであり、現実には止むを得ず出て来るものが、今度の予算の追加でもつてたまたまその数字と合うくらいの追加が行われたものですから、その程度でうまくこの単位費用を使い、計算しました結果がこの修正起案者の考え方とぴたり合うならば、この程度でやらして頂くほうが、現実上止むを得ず出て来る誤差を却つて正確に配分する基礎に合致するようになるから、それでお認め願うわけに行かないだろうか、こういうふうに考えておるわけであります。それから三本建のほうはさつきもちよつと申上げましたように、これは私どもといたしましては、この法律さえきまりますれば、この五十億の中から他の何かが十分目的が達せられませんでも、この三本建の法律の趣旨によつて必要とされる費用というものは、必ず単位費用を増加してあの法律を実施するということをはつきりと申上げることができるわけです。
  137. 若木勝藏

    若木勝藏君 その点はわかりましたのですが、ところがそれは積重つて行くものでありましよう、三本建の場合には…。そうすると、その下のものが単位費用がはつきりしていないために、不確実なものがその上に積重なつて行くということになれば、これは一億五千万円が或いは変つて来るのじやないか、そういうふうな不確実性が出て来る。その前にこのものがはつきりしておらなければならない。ところがこの単位費用というものはいい加減にきまるべきものではない。法律できめてあるから、当初の財政計画に基いてできたところの単位費用であれば、それはいいけれども、財政計画の変つた後においては、もはやこのものは死んでおる、私はそう考える。そこにこのものの確実性がその法律を一体成立たせるかどうかということについては、非常に私は問題があると思う。そこを聞いておるのです。あなたはそれでもこの法律はいいとお考えになるのかどうか。
  138. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) この点は、どちらの数値によつてやるほうが、国会の御意思に副うかということを私はむしろ重要に考えておるのでありまして、若木委員の御指摘のようにこれだけ殖えたのだからして、先ず単位費用を全部変えて、その上に三本建のものを更に変えろ、こういうことになるわけでありますが、それが却つて我々の想像からすれば、計算をしてみれば、或いは起案者のお考えと違うものになるかもしれない、その程度にしか、今出しておる測定の単位費用というものは正確さを持つておらんという御指摘を受ければ、まさにその点はその通りなんでありますが、併しそういうものを作る以外には方法がないので、止むを得ず単位費用はこういう結果になつて、今法律になつておるわけですが、それがたまたまここ富ました予算修正と合せて却つて起案者の考え方に合致するならば、それを一つ使わして頂くほうが、この場合にはいいのじやないか、こういうふうに考えておるわけであります。ですから、どちらが私三もとしては国会のお考えに合つた結果を現実に府県、市町村に平衡交付金を配分する場合に出て来るかということを頭においてやるわけでありまして、理窟の上でこうあるほうがいいのだということよりも、現実に私どもは成るほどこのほうがよかつたという結果になるならば、単位費用もあえて更にこの機会に変えないでやらして頂くわけに行かないものか、こういうふうに考えておるわけであります。
  139. 若木勝藏

    若木勝藏君 この点は非常に私は大事な問題だと思うのですよ。そういうふうに法律というものを、すべての法律を現実の上から考えて、それに計算でも或いはほかの事項でも合うようであつたならば、法律というものはどうでもいいのじやないかという結論に達しませんか、あなたのお考えでは……。そこなんです。法律として存在する以上は、確固たる法律としての権威がなければならない、そこを言つているのです。それでいいと言うのですか。
  140. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 私も法律として出す以上は、そのようになればならないし、十分責任を持ち又権威のあるものでなくてはならないと思います。併し事柄がたまたまこういう事柄でありますために、どんなに精細に作業をいたしましても、なかなかそうピチッと数字が出ないわけです。それでその出ない部面が別の面で補正できて、考え通りに行つたならば、私はそのほうが却つて理窟の上の考え方通りに直すよりはいいのじやないか、こういうふうに考えるだけでありまして、お考えの点は私どもも同感なんです。
  141. 若木勝藏

    若木勝藏君 これ以上に言えば意見になるから、このへんで政府の意図がわかりましたからとどめておきたいと思います。まだこれに関連する質問がありますが。
  142. 加瀬完

    ○加瀬完君 長官のお考えの通りに私も考えた場合ですよ。基礎的な考え方は、同じ立場に立つてさつきから議論を進めているのですけれども、ただ形式的な合理性ばかりを追つているわけじやない。この間も奈良県の知事を呼んで、いろいろ話合をしたのですが、はつきりしていることは、それは奈良県だけの問題じやなくて、大体地方公共団体は給与費を切つて事業費に廻そうという傾向が強く出ている。又給与費を切つて事業費に廻さなければやりくりがつかないような状態に或る程度追込まれている。そういたしますと、紐付という言葉は変ですけれども、何の紐付でもない一般平衡交付金というもので流した場合に、全部事業費のほうに持つて行かれることは、これは必然なんです。そうすると、長官の言うような給与改訂のための算定替の費用というものにははつきりと打出されてこない。そこで単位費用というものを変えて、これはほかへ廻すべきものじやなくして、給与に廻すべきものだという枠をつけなくては、国会できめられた意義というものも、長官の考えているのも実現しないのじやないかというのが私の立論なんです。そうでなくてもできるのだという御説明がありましたら承わりたい。
  143. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) この点は現実に給与費を切つて事業費に廻そうとする傾向があるということは、現実の状態は、私どもの考えておる給与費よりも、現実に払われておる給与費というものはまさに高いわけです。そこで私どもが、十分に現実に払われている給与費までも見ないのですから、従つて財政状態が苦しい、そこで給与費を切つて行くということになるのでありますから、そこで今度は給与費の面は十分になるようにこの総体の金額が出たわけであります。それを給与費という費目で以てきちんと出す出さないということは、私は現実に自治団体へ行つて給与費がどれだけ支払われるかということとは、全然関係はないと思う。又ないようになるのが平衡交付金というものの本来のあり方なんでして、現在の支払い方も、我々が給与費として考えている以上に支払われておりますし、従つて今度全体として予算を余計とつて、余計金が行きさえすれば、私は御懸念のような問題は起らないと、こう考えております。
  144. 加瀬完

    ○加瀬完君 起きているじやありませんか。この間奈良県知事をお呼びして、国会でこういう決議があつたのだ、政府答弁はこうであつたのだ、そこで五十億の起債の枠というものが許されて、給与費に充てるといことで流されたものが、給与費に使われていないじやないかというような問答が取り交わされたわけです。その傾向が単に奈良県だけにとどまらないで強く出て来るわけです。而も奈良県の通りにやつても、それで通るのだということになれば、公選知事の立場からどつちが得票が多いかということを考えて、そういう手を打つということも又考えられるわけです。さようにやつて参りますと、国会できめましたところの給与改訂の費用のための裏付予算だというものも、その通りには使われないという公算のほうが大きくなる。それでは駄目なので、単位費用というものを明確にして、どの町村、どの都道府県も単位費用による計算によつて給与額のこれだけの増が平衡交付金として配当されたという方法とつたほうが、遙かに合理的じやないかというふうに思う。
  145. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 私はその点は加瀬委員とはどうしても意見が違うのでありまして、奈良県の場合には、あの場合の中央からの財源措置がたまたま起債の枠というもので行つたという事情と、それから奈良県は非常にああいう特殊な財政事情にあつたということが、ああいう措置になつて、私ども遺憾だと思つておるのでありますが、併し奈良県その他二、三の県がそうであつただけでありまして、他の大部分というものはやはりあの苦しい中から起債の枠でもらつて、現実にはやり繰りして〇・二五というものを払つておられるのでありまして、私はむしろ現実に自治団体のやり方というものは、給与費に重点を置いていると考えておるのであります。但しその給与費に重点を置いておりながら、中央が給与費としての財源を十分見ないものですから、だんだんと中央が絵書の財源が高いから削るような傾向にあることは御指摘の通りです。そこでその削る方法を抑える方法として、今度は給与費はこれだけ廻す、従つて平衡交付金の枠が殖えるから、それだけ金が余計いるのだということになると、私は給与費が削られて事業費に廻る傾向が、そこで抑えられてしまう、従つて給与費という形ではつきりと、単位費用を変えて行くか行かないかということは、そう大きなあれではないと思うし、そうして又必ずしもそういう工合に、給与費をやるから給与を上げるのだ、若しくは下げないようにするのだというような、紐付の形でものを考えないということが、平衡交付金の本来の考え方でありますから、そういう意味におきまして、私はそんなに御心配になる必要はないのじやないかと思います。
  146. 加瀬完

    ○加瀬完君 総体として平衡交付金はつかみ予算じやないはずです。つかみ予算じやいけないので、単位費用なり算定単位というものを法律できめて、正確な係数というものを出そうとしているわけなのであります。そういたしますと、今の問題の場合は、もう相当地方公共団体は給与費は限界に来ておりますので、給与費はただ地方公共団体の予算総額の枠の中からとり出すということは非常に骨が折れることなので、平衡交付金ということが当然問題になつて来れば、平衡交付金給与費のための平衡交付金だということになれば、給与費の支出の仕方というものも、公共団体は出しいい立場におかれますけれども、平衡交付金として大きな枠で来たのだということになると、そんなほうへ使わないで、こつちへ使えというような議論が当然生れて来るならば、二、三年前とは比べものにならないような相当危険な状態になつて来ると思う。そこでこの修正予算におきましても、給与改訂というものを狙つておるわけでありますから、この修正予算の目的が達するようにするには、長官の言葉を借りて言えば、三本建の場合の給与費の単位費用を変えるというのでありますから、ほかの当然考えられる給与改訂の単位費用というものも、その場合変えて行つたほうが正確に給与額の増加というものが、平衡交付金のいわゆる法律で許された枠として支給されることになつて地方公共団体にとつては、そのほうが都合がいいのじやないかと私には思われる。
  147. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) ちよつと今の加瀬さんの御意見でございますが、単位費用の中で給与費を引上げるということによつて、各地方団体平衡交付金が配分された場合に、その交付金がより多く給与費のために使われるだろう、こういうようなお考えのようでございますが、これは平衡交付金自身の本質から申して、ちよつとさようなわけには参らんと思うのであります。勿論算定の基礎として単位費用なり或いはそれに基く基準財政需要額というものを用いはおりますけれども、その出たところの基、準財政需要額と収入額の差額である交付金というものは、本来使途を指定しないのが本質になつております。従いまして計算の基礎として或る団体に仮に衛生費なら衛生費、教育費なら教育費というものの需要額が或る程度程度といいますか算定されましても、それがその団体において使用すべき交付金の額ということにはならないのは御承知の通りでありますので、算定の基礎として給与費を単位費用の中でどう見るかという問題と、与えられたところの交付金を各団体がどのように使つて行くかという問題とは、私は直接には関係がないずだと思うのであります。
  148. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはおかしな話なんで、単位費用の単価が上つて、それで計算されて打出された平衡交付金総額というのが支給されるというのは当り前の話なんです。併しながら単位費用の単価が上つたのだということになれば、それが給与費の単価が上つたために、これだけ平衡交付金増額なつたという計算も打出されるわけですね。政府給与改訂のために平衡交付金単価引上げたということも大きな理由の裏付けとなつて給与改訂なり或いは給与費の支給というものが非常に楽になるということは当然だと思う。そういう方法をとつてもらつたほうがよろしいのではないか。そうでなくて、ただつかみ予算のように大づかみの給与改訂もあるのだから、総体についてこれだけ考えるという考えは、ますます誤差が大きくなるのではないかというふうに考える。
  149. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 御意見でございますが、現在一応御審議を頂いておりますこの単位費用で計算するものと、それからそれにいわゆる五十億に該当する分を更に各単位費用における給与費の増という意味で積上げたものと、こういうふうにお考えのようでございますけれども、実際計算をいたします場合には、これは先ほども申し上げたのですけれども、ちよつとさような計算が出ないわけてあります。平衡交付金としては、当初の千二百五十億円と今度の五十億円というものは、何らその間に区別がないので、千三百億円の九二%ということで普通平衡交付金の配分が行われるわけであります。ただその基礎といたしまして、各団体で算出される基準財政需要額というものは、これは従前財政計画を目安にするものよりは、今度のほうが若干基準財政需要額の総額は殖えて参ると思うのであります。その意味において収入額との差額であるところの交付金の額がそれぞれ殖えて参ることになるのであります。従いまして特に単位費用ごとに給与費をこの際それぞれ五十億に相当する部分だけを加算する。そうしてその分を何か特に今度の給与改訂分としての給与関係算定替に基く交付金分だ、こういうように各団体に配分したらどうかと御意見のように受取るのでありますが、ちよつとさようなことは、今の交付金の建前からしてもできませんし、さような紐がつくことばなすべき筋ではないと思います。
  150. 加瀬完

    ○加瀬完君 平衡交付金の基準財政額の算定の基礎に、測定単位なり単位費用なりというのがあるのでしよう。そうでしよう。そうであれば、平衡交付金総額というものが拡がつた場合には、理論的には単位費用というものの単価が上つてもいいはずですね。そうでしよう。そこでもつと平衡交付金の計算というものに、測定単位なり単位費用なりというものを今よりもずつと重視して、これでより正確なものを打出そうというふうな方法をとつて行つたほうが合理的だと思う。そうであるならば、今度の場合も給与改訂の費用というものが予算の上で打出されておるならば、比較的その予算目的が達するように単位費用を変えて行つたほうがいいのじやないかと思われるのです。そういうふうにすれば、給与額の増加というものは、はつきりと打出されて来ることになるのじやないか。そうでなくて現在の単位費用で計算をして、それでもう総体的な平衡交付金の枠がきまつているから、平衡交付金の総体が殖えるのだから、地方公共団体にとつての収支は同じだと言いますけれども、各市町村に一つ一つ考えてみれば、単位費用というものをはつきりと打出して計算したほうが、正確なものがより出るのではないかというふうに私どもはどうしても考えられるのであります。
  151. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 基準財政需要額の算定についての結局問題になると思うのでございますが、私ども重ねて申上げておりますように、今回地方財政計画上、八十七億給与費が改善された、この趣旨は大いに尊重して、単位費用をきめておるわけであります。問題は今まで既定の、すでにこれまでの財政計画を一応の基として計算しておる今の単位費用が、今回八十七億追加されて、つまり総体として二千九百八十数億というものになつた、その給与費の重要性に鑑みた、なんと申しますか、平衡交金の配分という趣旨に合致しないというならば、これがいつでもその点を検討した上で改めるということを実は申上げておるのであります。加瀬さんがおつしやいますのは、今度殖えたからそれだけ殖やすのが当然じやないかと、こういう御意見でありますが、それは先ほど私申上げましたように、今の単位費用の中に見込まれておるところのいわゆる給与関係の、ウェイトという言葉をむしろ用いたほうがいいかと思いますが、それが先ほど私が数字で申上げました二千九百億になるのだ、こういうことでありますれば、それは正確に八十七億というものを御指摘の通りここに加えるべきだと思うのであります。併しながらそれは必ずしもそうなつておりませんので、平衡交付金の単位費用の定め方の性質上、丁度その二千九百億にマッチするような給与費というものが、今のすべての単位費用の中に盛込まれておるわけではございませんで、今度八十七億を附加えて、仮に二千九百八十七億というものを配分するための単位費用として適当であるかないかということは、これは計算してみないとわからないのです。その点を私は申上げたのです。
  152. 加瀬完

    ○加瀬完君 大体自治庁の考え方はわかりました。そうすると、単位費用というものはこういうように法律では打出してはあるけれども、これは何も予算総額との関係によつて打出されたものじやない。だから予算が拡がるときには、単位費用の単価も上つて来ることになるし、予算が狭められたときには、単位費用も何パーセントというように打切られるわけですか。
  153. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これもこの前も申上げたのですが、本来観念的に申しますならば、単位費用というものはそうあるべきものじやない。それは各地方団体地方行政をやつて行く上に、合理的妥当な水準における行政ということを法律は言つておるのでありますから、そういうものが客観的に絶対的なものとして考えますならば、これは仰せの通り、いわゆる初めから或る程度予算にも関係がないし、国の財政なり地方財政計画というものと関係なしに、本来考えられる筋合いのものでございますが、ただ併しながら現実にはなかなかそう単位費用というものを得ることができませんので、今の国の予算のあり方、又それに基く国の地方財政の、或いは国における経済と財政のあり方と言つてもいいと思いますが、その下においては大体合理的妥当な水準というものはどういうことかということをただ目安として単位費用を定めております。標準予算というものをそういう前提において定めておるのであります。
  154. 加瀬完

    ○加瀬完君 一応の目安である、標準的なものである、だから若干の予算総額に変更があつても、単位費用を初めから改訂するほどの必要はないというように解していいのですか。
  155. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) それは予算修正程度だと思います。仮にこれがこの総額に比べまして非常に影響のあるような何百億というような修正があるといたしますと、それはおのずから考えなければならんと思うのでありますが、今回の程度のものでございますれば、通常、別に自慢しておるわけじやございませんが、余り大きな影響はないのじやないか、かように考えております。
  156. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、さつき長官は、三本建の一億六千万の予算というものは、これは三本建のための裏付の予算であるから、この単位費用を変えなければならないと御言明になつておる。一億六千万は変えなければならなくて、八十七億は変えなくていい、これはどういうわけですか。
  157. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは三本建の問題は新しい一つの制度ができるわけであります。そこで一つの新しい制度に基きますところの需要というものは、これは、これは見て行かなければならないのであります。
  158. 加瀬完

    ○加瀬完君 八十七億というものは、これは今までの予算から増加されたところの予算額、制度ではありませんけれども、制度が定まつても、予算がなければ制度の運営ができないけれども、予算が定まつた場合には、既存の制度というものは、今度は非常に性格が変つて来るということも考えられるわけです。そうすれば予算額が変つた場合に、単位費用を変える必要が当然あれば、或いは程度が変つた場合、単位費用を変えなければならないという考えも、同等のものじやないかと思います。一方は便宜主義で行つて、一方は今度は一つの理論主義を進めて行くというのは、矛盾があるのじやないか。
  159. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これまでの単位費用の算定の考え方の中には、実は三本建というような新しい一つの考え方はないわけであります。新らしいこういう一つの制度が行われるわけでありますから一つの新しい要素として、そういう考え方を取入れなければならんわけであります。ただこの予算で以て五十億平衡交付金増額になつて、それに伴つて先ほど御説明申上げましたように、地方公務員給与単価財政計画上変えて行くというのは、これは従来一万一千円であつたものが、一万一千五百円とか三百円になるという程度のものじやないかと考えておりまして、それをどの程度にこの単位費用に織込むかというのは、先ほど来申上げておりますように、標準予算というような考え方で、目安でございますので、全然新規のものが、なくなつたり起つたというのとは、これは違うというふうに私ども考えております。
  160. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうでしようか、平衡交付金はこの程度にして、もう少しこれは考え方もあるのですから、整理して頂くこともあるかも知れませんから、この程度にして一つ町村合併の問題についての相談もありますから、この程度でどうかと思いますが……。
  161. 内村清次

    委員長内村清次君) それじや速記をとめて。    午後五時八分速記中止      ————◇—————    午後六時四分速記開始
  162. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  それでは本日はこれにて散会をいたします。    午後六時五分散会