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政府委員(
武岡憲一君)
ちよつと今数字の資料で申上げます。こういう例で
一つ申上げたほうがおわかりがいいと思いますので申げます。仮に
平衡交付金制度を一〇〇%に実施した場合ということを一応想定して見るわけです。そうすると極く富裕な
団体について、その
団体の
基準財政需要額が仮に一〇〇、それから又その
団体の
財政収入額も一〇〇あると、こういう場合を想定いたしますと、その富裕な
団体には交付金というものは行かないわけなんです。これはつまり全体の
基準財政収入額というものをその
団体の税収入の一〇〇%と見た場合のことを申上げでおるのです。そうすると、富裕な
団体については収入総額とするが、どつちも一〇〇なのだからどつちもない、交付金がない。これが貧弱
団体についても、仮に
基準財政需要額が同じように一〇〇ある、ところが税の収入のほうは二〇しかない、そうすると交付金が八〇幾らですね、その
財政額の。それから丁度その中間にある
団体を一応考えます。これは仮に平均的な段階のやはり
財政需要額は一〇〇ある、それからその収入が六七、これはまあ六七という意味はあとで申上げますが、仮に六七の税収入額があるといたしますと、その
団体には交付金が三三行くという恰好になるわけですね、一〇〇から見ると。ところがこれを今
平衡交付金法の
基準財政収入額の算定高を多くして七〇%、百分の七十という、つまり今の
制度です。今の
制度にした場合には、それがどうなるかということを考えるわけです。そうすると、
基準財政収入額が一〇〇ある場合には需要額のほうも一〇〇で計算しているわけですね。ところが
財政収入額を七〇に落すと、あとの三〇というものは、これはその
団体のいわば自由
財源になるわけですから、交付金の算定外になりますね。従
つて交付金の算定
基礎になる
財政需要額というものは、その
団体の必要な
財政額の全部を算定しないで、その若干
部分というものを外に出して計算すればいいわけなんです。つまりあとの三〇%の分と、それから八〇%が今特別交付金にな
つておりますが、税の三〇%と特別交付金八〇%で以て賄うところの
財政需要額というものは、
基準財政需要額の外にあるわけです、そうですね。それを大体計算しますと、その
団体の需要額が、全部が一〇〇であると、大体八〇%ぐらいに
財政需要額のほうを計算いたしますと、丁度税を七〇%に見、更に交付金の八〇%を特別交付金とした場合……税を七〇%とし、交付金の額を九二とした場合に、それだけの
財源で賄うところの
財政需要額というものは、全体の
財政需要額の八〇%だと、こういう大体の数字が出るわけであります。そこでさつき申上げました例に返
つて申しますと、従
つてさつきの一〇〇を
基準財政収入額と考えた場合には、その
団体の
財政需要額は一〇〇なんですから、七〇%方式をとるときには、
財政需要額は八〇と考えていいわけで、あとの二〇は、どうするかというと、税の三割分で賄えばいいと、こういうわけですから、従
つて基準財政需要額は八〇というふうに計算するわけです。従
つて富裕
団体のほうは、さつきの例で、
基準財政収入額はその
団体の税収が一〇〇あれば、そのうちの七〇%が
基準財政収入額ですから、七〇ですね、そうすると、八〇の
基準財政需要額に対して七〇の
基準財政収入額ですから、交付金が一〇ということになるわけです。そうすると富裕な
団体についても七〇%方式をとれば一〇だけの
平衡交付金がもらえると、こういうことになるわけです。そうでしよう。
それから今度はさつきの例の、いわゆる貧困
団体の場合、つまり
財政需要額は一〇〇あ
つて税収が二〇しかない、こういう
団体です。こういう
団体について今の七〇%方式をとりますと、
財政需要額はやつぱり八〇、それから基準税収入のほうは、二割の七割ですから一四ですね、そうすると
平衡交付金はその差額の六六ということになる。さつきの場合にはそれから二〇を引いた八〇が交付金にな
つたのですね、今度の七〇%方式をとると、六六%だけが交付金だと、こういうことになるわけなんです。
それから先に申上げた次の平均
団体、中間
団体、これもやはり今と同じ方式で行きますと、
財政需要額は八〇になります。それから
基準財政収入額は、さつき六七と申上げたのですが、七〇%ですから四七ということになります。四七ということになりますと、交付金の額はやはり三三ですね。つまり三三と、特に七七を平均
団体と申上げたのは、これは一〇〇%に実施をした場合と七〇%に実施をした場合とで
平衡交付金の額が変らない
団体、つまり一〇〇の
財政需要に対して六七の税収を持
つておる
団体は、一〇〇でや
つた場合も、七〇%でや
つた場合も、
平衡交付金の額は変らないと、こういうことになる。ところが、一〇〇の税収を持
つておる
団体は、七〇%になれば一〇だけ
平衡交付金がもらえるということになるわけなんです。ですから、今の一〇〇と七〇の場合を考えてみますと、七〇の場合よりも一〇〇の場合のほうが全体的にいわゆる
均衡化と申しますか、
団体に必要なだけの
財源の保障というものは非常に徹底しているのだけれども、七〇%になりますと、その交付金が一〇だけ富裕な
団体に余計に行くと、こういう結果にな
つて来るわけです。同様なことで以てや
つて参りますと、今度仮にその七〇が八〇に
なつた場合にどうなるかというような計算を同じような考え方でや
つて参りますと、富裕な
団体については交付金の額は五ということになります。七〇%でやれば、一〇の交付金になる。ところが八〇%方式をとれば五になるし、一〇〇%の方式をとれば交付金はもらえないと、こういうことになるので、だんだん基準が上
つて行く従
つて、税の多い富裕
団体は交付金がもらえないことにな
つて来る。もらえないことにな
つて来るということは、全体的に見まして、つまり
行政をやるところの必要な裏付となるところ
財源がどの
団体にも同じように行くと、こういう恰好にな
つて来るわけです。つまり金持の
団体は、七〇%のときは一〇の交付金がもらえる、八〇%のときには交付金が五になる、一〇〇%のときには交付金はもらえないということになるので、その反対に、いわゆる貧乏
団体の場合には、七〇%の場合には六六の交付金がもらえる、それが八〇%の方式になれば六九になる、それから一〇〇%の方式になれば八〇の交付金がもらえるというふうに、だんだん上
つて来ることによ
つて貧乏の
団体には交付金の額がだんだん余計に行くと、こういう結果になるので、こういう影響が
基準財政収入額の引上げによ
つて起
つて来る。ということは、金持の
団体は上になればなるほど交付金がもらえない。貧乏の
団体は基準額が高くなるほど交付金の額が多くなることによ
つてそれだけその
団体の持
つてお
つた差額というものがだんだんなくな
つて来るということなんです。或いはこれは逆に申上げれば、大きな
団体が、七〇%方式でありますと、あとの三割というものは、いわば自分の自由
財源、実
財源を持
つていた。それが八〇%になれば二〇になるということは、その
団体がほかの
団体よりもいわば余裕
財源として持
つてお
つたものがだんだん少くな
つて来る。少くな
つて来るということは、ほかの貧乏
団体と同じレベルにな
つて来ると、こういう意味になるわけなんであります。それを我々は
均衡化の徹底だと考えておるわけであります。
平衡交付金の本来の方式から行きますと、若しも各
団体の
基準財政需要額というものを一〇〇%に補足することができれば、
基準財政収入額というものも一〇〇%につけて、その
団体に要るところの一切の需要額とその
団体の持
つておる一切の税収というものとで以て調整して行くべき筋合いのものだろうと思いますが、その一〇〇%の需要額を
測定するということは、今日の技術の段階では困難でありますので、幾らか幅を持たなければならん。各
団体ごとに多少ともニユアンスと申しますか、独自性というものを持たせて行かなければならない。その幅を見てお
つたわけです。併しそれがだんだん
測定が緻密にな
つて来、だんだん
測定が進歩して来れば、それに伴
つて均衡化の度合と申しますか、
基準財政収入額の度合というものを高めて行くということが、
平衡交付金の
制度の理想から行けば、理想のほうに一歩近付いたのではないかと、こういうふうな考えを持
つております。