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1953-07-29 第16回国会 参議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十九日(水曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            長谷山行毅君            小林 武治君            秋山 長造君            若木 勝藏君            加瀬  完君   衆議院議員            門司  亮君   政府委員    自治政務次官  青木  正君    自治庁選挙部長 金丸 三郎君    自治庁財政部長 武岡 憲一君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   —————————————   本日の会議に付した事件公職選挙法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○道路交通取締法の一部を改正する法  律案衆議院送付) ○地方財政平衡交付金法の一部を改正  する法律案内閣送付)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会開会いたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案議題に供します。ちよつと速記をとめて下さい。    午前十時四十六分速記中止    ——————————    午前十一時七分速記開始
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  別に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたならば、討論中にお述べを願います。
  5. 館哲二

    館哲二君 私は衆議院提出にかかわりますこの法案に対しまして、その内容として盛られている限りにおきましては、現行規定の不都合を除くものとして賛成するものでありますが、同時に実質的により重要な以下申上げます。問題に触れていないという点において本法案は不備のものである。私はこれに対して不満足の意を表せざるを得ないのであります。即ち現行公職選挙法第二百五条は「選挙効力に関し異議申立訴願提起又は訴訟提起があつた場合において、選挙規定に違反することがあるときは選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合に限り、当該選挙管理委員会又は裁判所は、その選挙の全部又は一部の無効を決定し、裁決し又は判決しなければならない」と規定しておりまして、この場合において、選挙の一部無効にかかるものについては、当選異動の生ずる虞れのないものを区分することができるときは、そのものに限つて当選を失わないことにすることができる旨の救済規定を欠いておるのであります。そのために選挙の一部無効の問題が起きると、再選挙がすむまでは、その本来の選挙全部が不確定という結果に陥りまして、実質的には当選人であつて、再選挙によつて何ら影響を受ける虞れのないものも一律に当選を失い、延いては政治機構の一部が空白になるという重大な結果をさえ招来する心配があるのであります。私はこれは現行法の重大な欠陥であると思いますので、その救済規定及びその場合の計算方法、更にこれに関連する事項について、以下申上げますような修正案提出いたしたいのであります。修正案を申上げますと、   公職選挙法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   目次中「第二百七十一条(都道府県議会議員選挙区の特例)」を『「第二百十七条(当選人被告とする訴訟管轄)」を「第二百十七条(訴訟管轄)」に、「第二百七十一条(都道府県議会議員選挙区の特例)」』に改める。   第二百七十一条の改正規定の前に次の改正規定を加える。   第百十条中第三項を第四項とし、第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。  2 参議院全国選出議員在任期間を同じくするものをいう。)又は地方公共団体議会議員選挙について、第二百二条(選挙効力に関する異議申立及び訴題)、第二百三条(選挙効力に関する訴訟)又は第二百四条(選挙効力に関する訴訟)の規定による異議申立訴願又は訴訟の結果当選人がなくなり又は当選人がその選挙における議員の定数に達しなくなつたときは、前項規定にかかわらず、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会参議院全国選出議員選挙については中央選挙管理会)は、前条の例により、再選挙を行わせなければならない。   第二百五条に次の二項を加える。  2 前項規定により当該選挙管理委員会又は裁判所がその選挙の一部の無効を決定し、裁決し又は判決する場合において、当選異動を生ずる虞のない者を区分することができるときは、その者に限り当選を失わない旨をあわせて決定し、裁決し又は判決しなければならない。  3 前項の場合において、当選異動を生ずる虞の有無につき判断を受ける者(以下本条中「当該候補者」という。)の得票数(一部無効に係る区域以外の区域における得票数をいう。以下本条中同じ。)から左に掲げる各得票数を各別に差し引いて得た各数の合計数が、当該選挙の当日一部無効に係る区域において投票できる者であつた者の数より多いときは、当該候補者は、当選異動を生ずる虞のないものとする。   一 得票数の最も多い者から順次に数えて、当該選挙において選挙すべき議員又は委員の数に相当する数に至る順位の次の順位にある候補者得票数   二 得票数が前号の候補者より多く、当該候補者より少い各候補者のそれぞれの得票数   第二百九条中「第二百五条」を「第二百五条第一項」に改め、同条に次の一項を加える。  2 第二百五条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に準用する。第二百十七条の見出しを「(当選人被告とする訴訟管轄)」を「(訴訟管轄)」に改め、同条中「第二百八条」を「第二百三条第一項(選挙効力に関する訴訟)、第二百四条(選挙効力に関する訴訟)、第二百七条第一項(当選効力に関する訴訟)、第二百八条」に、「規定により当選人被告とする訴訟」を「規定による訴訟」に改める。附則第一項に次の但書を加える。   但し、改正後の公職選挙法第二百五条第二項及び第三項並びに第二百九条第二項の規定は、従前公職選挙法規定による選挙効力に関する争訟でこの法律施行の日において現に選挙管理委員会又は裁判所に係属しているものについても適用する。   附則第二項中「なお従前の例による。」を「改正後の公職選挙法第二百七十一条の二の規定は適用しない。」に改める。  今申上げました中にちよつと読み損いをいたしましたので訂正をお願いしたいのでありますが、二百十七条の見出しと申上げました所であります。『第二百十七条の見出しを「(当選人被告とする訴訟管轄)」を』と申上げたのでありますが、その一『「(当選人被告とする訴訟管轄)」を』というそれだけを削つて頂きまして『二百十七条の見出しを「(訴訟管轄)」に改め』というように読み損いいたしましたから御訂正をして頂きます。
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) 他に御発言ございませんか……他に御意見もないようでございまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。先ず討論中にありました館君の修正案議題に供します。館君提出修正案賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  8. 内村清次

    委員長内村清次君) 全会一致でございます。よつて館提出修正案は可決されました。  次に只今採決されました館君の修正にかかる部分を除いて、衆議院提出にかかわる公職選挙法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。修正部分を除いた衆議院提出案賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  9. 内村清次

    委員長内村清次君) 全会一致と認めます。よつて公職選挙法の一部を改正する法律案全会一致を以て修正議決せられました。  なお本会議における委員長口頭報告内容は本院規則百四条によつて、あらかじめ多数意見者承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告するこことし、御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書に多数意見者署名を付することになつておりますから、本法案を可とせられたかたは順次御署名願います。   多数意見者署名     石村 幸作  堀  末治     館  哲二     小林 武治     若木 勝藏
  11. 内村清次

    委員長内村清次君) 長谷山行毅秋山 長造加瀬  完御署名漏れはございませんか。御署名漏れはないと認めます。ちよつと速記を止めて下さい。    午前十一時二十四分速記中止    ——————————    午前十一時五十一分速記開始
  12. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとつて下さい。  それでは道路交通取締法の一部を改正する法律案議題に供します。本案は衆議院送付法律案でございますが、只今衆議院議員門司亮君から提案説明を申込まれております。門司亮君。
  13. 門司亮

    衆議院議員門司亮君) 只今審議を頂いておりまする道路交通取締法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表いたしましてその提案理由の御説明を申上げたいと思うのであります。  現今自動車の増加と共に交通事故も又増加していることは御承知通りであります。これら交通事故に対する取締につきましては、その多くは公安委員会行政的措置による運転者免許一定期間停止及取消等処分が行われております。この場合運転者はその措置が一方的であり、不当に苛酷であると思いましても、行政訴訟等は多くの費用と日時とを要しまするので、容易になし得ないのであります。当該者にとりましてはその生活基礎を失うこの大事の問題の取扱が余りにも一方的であり、且つ簡単過ぎると思うのでありますので、一定期間免許停止及び取消についてはその措置の適正と慎重を期するために、当該運転者が十分に意見を申述べる機会を与え、更に第三者の公平なる思慮と判断によつて措置の公正を期したいと思うのであります。  これが本改正案提出した理由であります。  なお案の内容につきまして御説明申上げますれば、現行道路交通取締法の第九条の第六項中「前項」と書いてありますものを「第五項」に改め、第五項の次に次の三項を加えようとするものであります。  一つは、公安委員会運転免許取消又は停止については公開による聴聞会を開かなければならないことにし、その手続等規定であります。これは現行旅館業及び古物営業、湯屋、質屋等の業種に対しましてその営業停止等を行う場合には聴聞会手続をとつて公正を期しておりますので、これと同様の趣旨によるもので運転者の人権の尊重と生活権擁護のためであります。又停止に対しまして公安委員会の定める期間以上といたしましたことは、御承知のように運転免許各地公安委員会によつて許され、その公安委員会関係地区によりまして、自動車の数も異なり、従つて事故発生件数にも非常に差異がありますので、一定規準を定めますことが困難視されますので、各地公安委員会において、適当であり実際上の可能な範囲において定めることが適当と思いまして一任いたしたのでございます。  ここでちよつと参考書のほうを御覧願いたいと思うのでありますが、これは事故の発生いたしましたものの行政処分取扱の表でございます。これは二十七年度全国で行なつて参りました行政処分の内訳でございます。この表で御覧を願いますように、この事故発生数と言いますか、警察から上申されて参りました件数に対しまして、取消或いは九十日以上に及ぶ運転免許停止、三十日以上九十日未満運転免許停止、三十日未満停止、更に条件付で、或いは処分執行猶予にいたしましたものの件数を挙げておるのであります。この件数御覧願いますように、一番多い所は一番下のほうの欄にありまするが、警視庁であります。警視庁におきましては、一年の間の、これら交通事故と思われますものが二万五千三百四十一件に及んでおるのであります。そうしてその中で、免許取消を受けましたものが二十七件であります。ところがこれがその下の欄にありまする大阪市になりますると、事件の数は五千四百三十一件であります。約五分の一の数字でございますが、取消の数は九十三件に相成つておるのであります。その他五大市につきましても、横浜が五百七十四件の事件数に対して取消が五件である。更に神戸市のごときは四百六十七件で、僅かに百件内外しか違つておりませんが、これは取消の数は二件に減つております。その次の欄でも、九十日以上というような非常に大きな処分を受けましたものは、警視庁におきましては皆無であります。ところが大阪市におきましては先ほど申上げましたように、事件数が僅かに五分の一に過ぎないで、これが五百五十件であるという状態であります。名古屋におきましては、これが五十六件もある。更にこれが他の県等に参りますると、中には奈良県のような所もございまして、取消が僅か二件である。そうして九十日以上もなければ、三十日以上もないというような所もあるわけであります。更に三十日以上、九十日までの処分につきましては、これも表で御覧のように、警視庁におきまして四百四十二件に過ぎないものが、大阪市は一千二百四十六件に相成つておるのであります。こういうふうにずつと実績を勘案いたして参りますると、これを一定の線で法律で定めまして、或いは三十日以上についてこういう処置をとる、或いは二十日以上についてこういう処置をとるということにつきましては、いずれ今日公安委員会の持つておりまする内規或いは交通情勢等に対しまして多少画一的過ぎるきらいはあると考えられまするが、只今申上げましたような各公安委員会の定める規定によつて、この聴聞会を開くというように、各地にこれを任意にいたしたい次第であります。さよう一つ御了承を願いたいと思うのであります。  それからその次のその二といたしましては、聴聞会に際しまして、当該処分に係る者又は代理人は当該事案に付き意見を述べ、証拠を提出して事案の公正なる判断の資料を十分ならしめたのであります。  その三は聴聞会を行う場合に必要と認めるときは、その道の専門的知識を有する者の参考意見を聞くことができるようにいたしまして、これ又公正を期したいと思うのであります。  以下は条文の整理であります。  以上が大体本法案趣旨及び内容であります。なお、幸いにして御賛同を得まするならば本年九月一日から実施いたしたいと思うのであります。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  14. 内村清次

    委員長内村清次君) お諮りいたします。質疑は午後に譲ることにいたしたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 内村清次

    委員長内村清次君) それではさようにいたしまして、午前中の委員会はこれで……、速記をとめて。    〔速記中止
  16. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を取つて下さい。  それでは大体一時半に再開することにいたしまして、これで暫時休憩をしたいと思います。    午後零時二分休憩    ——————————    午後三時五十三分開会
  17. 内村清次

    委員長内村清次君) 開会いたします。  それでは地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案議題に供しまして、政府委員説明を求めます。
  18. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今提案いたしております地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきまして逐条御説明申上げたいと存じます。  この法律案提案趣旨並びに内容の概略につきましては、先に大臣から御説明申上げておりますので、私から補足的に御説明申上げるようにいたしたいと存じます。  今回の改正法律案の先ず第一は、第十二条に関するものでありまして、即ち測定単位及び単位費用についての改正でございます。  そのうち、先ず測定単位改正でございますが、測定単位の中で今回改正いたしたいと考えておりますのは、先ず第一に港湾費にかかるものでございます。港湾費につきましては、只今のところ、その港湾における出入船舶トン数というものを測定単位に用いて参つてつたのでございますが、この単位としてとつておりましたトン数数値というものが毎年相当大幅に変化をして来るのでございまして、而もこれは実際ここ数年ばかりやつてみた経験に徴しまして、さような結果になつておりますが、その数値変化というものが、各団体港湾費として出費をするところの港湾維持管理費でありますとか、或いは港湾施設費というものとどうも必ずしも直接関係があると考えられないような動き方をいたしておるのであります。勿論これは港湾態容は千差万別でございますから、ただ一律にその財政需要を把握するということも技術的には相当困難なものでございますけれども、だんだん検討いたしました結果、真に各団体のこの港湾維持のために必要な財政需要額というものは、その港湾繋船岸延長及び港湾における防波堤の延長というような不動のものに、恣意的に動かし難いようなものに求めることのほうが、非常に適切に財政需要の把握ができるのではないか、かように考えますので、そのように改めたいと思うのであります。  それから第二点は、社会福祉費に関するものでございます。社会福祉費測定単位といたしましては、現在のところ法律は一応人口ということになつておりますが、なお附則におきまして、当分の間児童福祉施設入所者数及び被生活保護者数というものを測定単位に用いまして、それぞれ児童保護措置費及び生活保護費というものの地方負担分測定いたして参つてつたのであります。併しながら総体的な立場から見まして、余りこの経費を細かく分けて測定いたして参りますと、一般財源としての平衡交付金にとかく紐付き財源のような感じを与えますので、成るべくこれは簡素な測定単位測定をすることのほうが適切であると考えられますし、又本年度からは児童保護措置費につきましては八割の国庫負担制度が実施されます結果、地方負担分というものが非常に減つて参るわけであります。さような関係もございますので、この附則で従来認めておりました、当分の間認めることになつておりました特例を廃止いたしまして人口一本で測定するようにいたしたい、これが改正の第二点でございます。それからその次は、公債費関係するものでございます。従来公債費といたしまして、災害復旧事業及び防空関係事業財源に充てた地方債元利償還金測定して参つてつたのでございますが、公債費という名前からいたしますと、とかく土木、衛生その他各種行政費に充てた一切の地方債元利償還額を全部、これで測定するかというような誤解を生じやすいというのが一つの点、それから内容的に申上げますと、防空関係事業費財源に充てた地方債元利償還金というものは、その後の経済情勢の変動によりまして、今日の経済関係から申しますと、余り重きを置くほどの重要な額でなくなつて来ておる、かような関係もございますので、この際、この公債費というものを災害復旧費ということに改めまして、内容的には災害復旧のために起債をいたしました地方債元利償還金をこれによつて測定するということにいたしたいと思うのでございます。  これが測定単位についての改正内容でございます。  それから次に、やはり第十二条の中におきまして、単位費用改訂を行おうといたしておるのでございますが、この単位費用を今回改訂いたします事業は、先ず第一には義務教育に従事する教職員給与関係費児童保護措置費及び義務教育教材費につきまして、それぞれ国庫負担制度が本年度から実施されることになりましたので、これらに伴いまして地方負担をいたします基準財政需要額というものが変つて参ります。それに伴つて単位費用を当然改正いたさなければならないのであります。それから又同じような事情で社会福祉にかかる経費におきましても国庫負担制度の実施に伴いまして、基準財政需要額の中から児童保護措置に要する経費の八割が国庫負担になります関係上、地方負担の中からこれを落して行く、かような操作に伴いまして単位費用改訂しようとするものであります。  それから次に、給与改訂に伴いまして単位費用改正しようとするのであります。それは昨年の十一月から行われました給与改訂の結果、標準的な単位費用算定基礎になつております標準団体、又標準施設に配置されるものとされております職員給与に関する経費が増加して参りますので、それに伴つた単位費用改訂を行おうとするものであります。  それからその次は、恩給費の算入に関係をいたします単位費用改訂であります。従来この恩給費は、各行政項目に配置された職員に伴いまして、各経費ごと単位費用の中に算入して参つてつたのでありますが、地方団体におきましてはこの種の経費は実際問題として一括経理をやつております関係から、大体まあこれらの経費の中に算入されておつたものを、やはりとり出して一括してその他の行政費というものの中で、この関係経費を見て行くことのほうがどうも実際にも合いますし、便利なようでございますので、さように改めたいと思うのであります。その次には、各種の法令の制定改廃に伴いまして生じて参りますところの単位費用改訂でありまして、例えば産業経済費又その他教育費等につきまして、さような意味からの改訂、若干の改訂を行おうとしているのであります。  以上が大体法第十二条におきまして測定単位並びに単位費用改正しようとする内容概要でございまして、その改正具体案はお手許に新旧対照表をお配りしてございますので、これによつて御覧を頂きたいと存じます。  それからその次は、法第十四条に関係するものでございまして、基準財政収入額算定方法に関する改正でございます。これは従来から基準財政収入額算定方法といたしましては、基準財政収入額は、この標準税率の百分の七十を以て基準税率といたしまして、その基準税率で算定したものが基準財政収入額ということになつてつたのでございますが、そのうち都道府県分に関しまして、その基準税率を百分の七十から百分の八十に引上げたいと思うのであります。これは平衡交付金制度本旨から申しまして、この制度の本来が各公共団体財政均衡化を図つて行く、即ち各種の基準的な行政につきまして、その水準の均衡化を図り、又その半面におきまして、一方におきまして地方の住民の負担均衡化を図つて行くということが、本来のこの制度趣旨でございますので、基準財政収入額は、できますれば百分の七十から八十、九十というふうにだんだん高めて参りますことが、制度本来の本旨に即するゆえんであると考えられるのであります。ただ実際問題といたしましては、今日の段階におきまして各地方団体基準財政需要額というものを極めて適切に把握して測定することができますならば、さような措置を一挙に講ずることが望ましいわけでございまするけれども、現在の状況からいたしますると、まだ全体についてこの百分の七十の基準税率を一律に上げるということは、まあ相当問題点が残つておりますので、今回取りあえず府県分につきましては、大体各府県概要というものは、これはまあ若干の相違はございますけれども、総体的に申しますれば、大体基準的に捉えることができるのではないか、もうすでに制度実施以来三年間の経験を経まして、我々大体まあその程度に達し得たと考えておりますので、この機会に七〇%の基準税率を八十に引上げることにいたしたいということであります。他面さように基準税率を引上げるとともに、一方本年度から実施されますところの義務教育国庫負担法に伴いまして、その半額を地方負担をいたします分につきまして、各地方団体を通じてそれに必要な財源の保障を厚くして行く、さような意味合いから基準財政収入額において一〇%の引上げをいたしましたものを、まあいわば見返資金の財源といたしまして、この義務教育のために必要な地方負担額の財源保障を手厚くして行くという意味合いで、この義務教育費の基準財政需要額の算定を従来よりも相当引上げて参りたい、かような措置を考えておるのでございます。  それからその次は、やはり第十四条の中で、個人に対する市町村民税の所得割に関する基準財政収入額算定方法に関する規定を新たに設けようといたしておるのであります。これは今回別に御審議をお願い申上げております地方税法の改正案におきまして、市町村民税の中の所得割の算定方法でございますが、所得割に関しまして、従来はいわゆる第一方式というものがございまして、第一方式に標準税率規定がございまして、所得税額を課税標準とし、それに百分の十八というものが、それを課税標準とする百分の十八というものが標準税率ということに相成つてつたのでございますが、今回この点を改正いたしまして、まあいわゆる従前の所得税額の百分の十八というような課税標準税率という観念がなくなつて参るわけでございます。そこで平衡交付金の算定におきまして、基準税率基準財政収入額の算定をいたしますために何を以て標準税率とし、何を以て基準税率とするかということを明らかに規定をいたさなければならない必要が生じて参つたのでございます。そこでその必要に伴いまして、法第十四条第二項に但書を加えまして「但し、個人に対する市町村民税の所得割については、所得税額を課税標準として算定するものとし、その税率は、百分の十八とする」こういう規定を新たに挿入をいたしたいと考えるのでございます。これは先に申上げておりますように、地方税法の改正法律案に伴います技術的な改正でございまして、実質的には要するに従前通り基準財政収入額の算定をして行きたいということでございます。  以上が大体主な改正点でございまして、なお附則におきまして先ほど申上げたように、附則の第二項に、特例基準財政需要額算定のための測定単位につきまして特例がございましたが、この特例改正する、即ち第二項を削除するという改正でございまして、それに伴つて第三項を第二項に繰上げる、かような改正にいたしているのでございます。  以上が大体今回御提案申上げております地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の大体の内容でございます。
  19. 内村清次

    委員長内村清次君) 委員の方々から御質疑はございませんか。
  20. 堀末治

    ○堀末治君 大体今の改正の御趣旨はそれでわかりますがね。この新旧対照表の中に、改正現行とありますが、各項目についてこういうふうに改正しようと、こういうのですね。例えば一番初めの土木費の一、道路の面積一平方メートルにつき改正が十一円十九銭、現行が十二円四銭こういうふうに現行改正しようというのですな。
  21. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) さようでございまして、この単位費用のところでは、改正とございますのが、今回改正をいたします分でございます。その次の現行とございますのは、現在の地方財政平衡交付金の中に規定をされている単位費用であります。それからその下に特例法とございますのは、これは昨年御審議を頂きました昭和二十七年度平衡交付金の算定のための特例法がございます。これは各測定単位ごとに、単位費用特例を二十七年度に別途に定めたのでございます。その特例法に規定をしている単位費用でございます。従つて二十七年度の計算におきましては、ここにございます特例法の単位費用で計算したわけです。
  22. 堀末治

    ○堀末治君 そうすると、現行法特例はやめて、要するに改正の十一円十九銭にすると、こういうわけですな。
  23. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) その通りでございます。
  24. 内村清次

    委員長内村清次君) これに対しましては附帯決議炉衆議院でついているのです。これはまあどういうふうにして説明させようかと思つていますが、政府としては附帯決議の趣意は十分徹底しているかどうか。
  25. 若木勝藏

    若木勝藏君 附帯決議の分は衆議院から呼んで決議の内容説明してもらつたらどうですか、あとで……。政府から説明するのもおかしいから。
  26. 堀末治

    ○堀末治君 各項目をずつと細かくやつていますから、この項目について一つ先に質疑をしてしまつたらどうでしよう。然る後に今の附帯決議なら附帯決議の説明を聞くことにさして頂くほうがいいのじやないかと思いますがね。
  27. 若木勝藏

    若木勝藏君 二、三質問したいと思うのでありますが、先般も私伺つたのですけれども、今度の修正で五十億を、殖やしたのは、まあ改進党も政府も了承したのですから、考えが一致したということになるのですが、改進党の案では、五十億の中には三億六千万円の三本立のものが含んである。それから給与改訂によつて生じて来るところの赤字の百四十二億に対して、この一部分として五十億を組んだ、この二つが考えられたわけなんですが、そこで私はもつと財政部長さんにその点をはつきりどういうふうになつているか内容的に伺いたいと思う、資料などについて。五十億を何に使うかということを明瞭に答えてもらいたい。
  28. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 過般の衆議院修正によりまして、平衡交付金が五十億追加になることになつたわけでございますが、その増額分につきましては、前回も申上げましたように、この修正の御趣旨が、地方財政が総体的に窮乏している、なかんずく給与関係経費の算定において相当不足があるようであるから、そのほうに主として充てる。それになお別途に只今若木委員のおつしやいましたように、いわゆる給与三本立関係経費も入つておるんだというようなお話のようでございますが、私はそれはいずれもこの修正の御提案をなさいましたその御趣旨に従いまして、私ども勿論処置をいたすつもりでございます。具体的に申上げますれば、結局給与関係経費の増額に引当てをする、かようなことに相成ろうと存じております。
  29. 若木勝藏

    若木勝藏君 給与改訂によつて赤字が出て来た、そういうふうな方面からその赤字の克服のための一部分としてやるということは考えられますけれども、その際に給与三本立のために三億五千万円というものを取るということは、平衡交付金に紐付きをすることになりはしませんか。この点を伺います。
  30. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) この給与の三本立に伴つて、数字がはつきりいたしませんけれども、仮に三億六千万円というお話のようでございますが、それだけをこの際ここに特別に入れるということが、平衡交付金に紐付きになりはしないかという御指摘のようでございます。これはまあ提案者の具体的な御意思をそこまで科ども拝聴いたしておりませんが、私の想像で申上げますならば、結局今回その法律改正によりまして、いわゆる給与の三本立というものが仮に実現するといたしますと、地方にそれに伴つて若干額の経費負担増が起つて来るわけでございます。そこでその負担が、即ち財政計画で申しますと、その歳出がそれだけ殖えて参りますので、それの引当てになる何か歳入がなければならんということになるわけでございます。その歳入の引当てとしては、平衡交付金が五十億の増ということもあるのだから、その一部がそれの引当てになるだろう、こういう御趣旨だろうと思うのであります。この今回のその措置に伴います地方財政計画の修正につきましては、前回にも実は先生からお話がございまして検討中ということを申上げておつたのでございますが、実はあれ以来、更に引続き大蔵省と今打合せをしておりますが、まだここで具体的にお示しをいたすような筋の結論に到達しておりません。大体併し今話合いをいたしております筋は、前回申上げた通りであります。そこで結局歳出といたしまして、給与改訂に伴つて給与改善という御趣旨から、給与関係経費の増というものを相当見て行かなければならんということが一つ、それから今の給与の三本立ということが実現するといたしますと、それに伴う歳出の増というものを見なければならんという問題、それから、なおそのほか今回の予算修正によりまして、食糧増産、それから義務教育施設費につきまして、若干の補助金の増額というものが予定されておりますので、それに伴つて地方負担というものも若干額殖えて参るわけでございます。それらの各種の歳出の増というものも考えて行かなければならんわけでありますが、その歳出としては只今の交付金の五十億、それから起債が二十五億ということにまあ予定されております。それからまあ今度の修正予算によつて組まれておりますところの国庫の支出金、これらがいずれもそれらの引当てになるところの歳入ということになるわけであります。そこで具体的にその紐付平衡交付金五十億の中から、この三本立の三億なり、或いは一億なりというものは出るとか出ないとかという問題でなくて、そういつた今回の修正に伴つて殖えて来る各歳出に対して、今申上げたような各歳入がそれぞれ見合いになる、こういうことの意味に私たちは了解をいたしているのであります。それから平衡交付金がいわゆる紐付か、紐付でないかということがいわゆる問題になりますのは、各地方団体に配分されました平衡交付金というものが、何に使われるかということについて、その特定の使途を若し指定をするということでございますれば、これはもう明かに交付金が紐付きだということになるのでございますが、これはもう皆さん御承知通り平衡交付金一般財源として交付されるものでございますから、それ自身の中にはそれは全然紐が付かないのが本来の建前であります。たた算定の過程におきましては、土木関係の需要費が幾ら、或いは教育関係の需要費が幾ら、産業経済関係で幾らという所要経費の計算はいたしますけれども、それはただ交付金額を算定するための段階のもので、それによつて出て来たところの交付金には何らいわゆる紐が付かない、使途を指定しないというのが本質でございまして、その点においては何ら今回の措置によりましても変るところはないものだというふうに、私たちは考えております。
  31. 若木勝藏

    若木勝藏君 あなたの説明ではよくわかるのです。ところが衆議院における予算委員会においての改進党の三浦委員説明ではそうでないのです。明らかに三億六千万円紐付きのような答弁をしておる。この点が私の了承できないところです。あなたの説明ではよくわかります。ただ算定の場合にそういうふうなものが要るだろうということは一応考えられます。そこで更に伺いたいのは、その百二十四億は河本委員の補足説明においても、給与改訂によつて生じて来たところの百四十二億の内金である、こういうふうに言つておるのでありまするが、そうしますというと、これは昭和二十七年度のこの赤字のために特に五十億を考えた、こういうふうなまあ説明になるわけなんです。それでようございますか。
  32. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 百四十二億云々と言つておられますのは、昭和二十八年度地方財政計画におきまして、現在の地方財政計画で算定をいたしております給与費と、それからそういう給与単価の調整を行わないで、政府の政府職員について現在国の予算が計上いたしております給与の平均予算額、それと同じような額で以て地方の公務員の給与単価というものをはじいて行つた場合には、現在の地方財政計画にどれだけ追加しなければならないかという額を出しますと、それが百四十二億ということになるわけであります。そこでまあその説明者の説明内容として、私ども想像いたしますことは、昭和二十八年度財政計画においては給与単価の調整をしておるために、まあ百四十数億というものが地方の実際に必要な給与費というものを下廻つておる。従つてこれをまあこのままでやる場合には、二十八年度にその関係で以て相当赤字が出るのじやないか。その赤字がまるまる出るようなことでは困るから、幾分でもそれを救済するという意味で五十億を入れるのだ、こういう意味で私は了解しておるわけです。
  33. 若木勝藏

    若木勝藏君 あなたはそれを認めるわけですね。
  34. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは私が認めるというよりは、提案者は恐らくそういうことで五十億を増額されたものであろうと存じます。ただ問題はそれでは今のままで仮に五十億の追加がなかつたならば、給与関係経費において百四十二億の赤字が地方団体に出るのかどうかという問題につきましては、私ども必ずしもそうは考えておらない。
  35. 若木勝藏

    若木勝藏君 それは給与の面ということは明らかに謳つておるのでありますから、計画と実際の間にそれだけのズレがあれば、必ずこれは赤字が出て来ることになるのであります。あなたが必ずしも赤字が出るとは考えられないというのは私は了解できない。その点どうですか。
  36. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) まあ百四十二億と申上げておりますのは、先ほどもちよつと御説明申上げましたように、給与単価をまあ政府職員なみに出すとすれば、地方の公務員についてあとどれくらい必要かという前提に立つて一応計算をすると、それくらいの数字が出るということなんです。そこで給与に関する関係において、従つて現在の地方財政計画で見込まれておるだけの財源では、必ず給与関係において百四十二億になるかどうかということは、これは必ずしも数字にこだわつては申上げられないと思うのです。ただ総体的に申しまして、今日の地方財政計画におきましては、いろいろ国家財政関係或いは住民の負担関係等におきまして、只今給与の単価の問題にいたしましても或いはまあよく問題になります補助基本額の算定におきましても、必ずしも実態に合わないという点があることは、私たちはこれは確かにさような点があると考えております。ただ問題は、従つて今日の情勢から申しまするならば、今日の国家財政の現状なり或いは国民経済の現状から申しまするならば、大体この程度の財政の規模で以て、地方財政というもの、国の財政というものを運営すべきではないかということで、財政計画が策定されておると考えますので、まあ地方としてもできるだけこの計画に合うような運営上の配慮が望ましいということを申上げる以外にはないのであります。
  37. 若木勝藏

    若木勝藏君 その点はまあ私も相当はつきりいたしました。そこで全般的に考えまして、今度の修正された予算というようなことのほうから考えて、先に立てられたところの二十八年度地方財政計画は相当変つて参りますか。その点をお伺いしたい。
  38. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 今回の政府予算の国会修正に伴いまして、勿論地方財政計画はさつき御説明申上げましたものとは相当内容が変つて参ります。
  39. 若木勝藏

    若木勝藏君 その変つた点についてお尋ねいたします。資料か何かありますか。
  40. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは私から先ほど申上げましたように、只今数字につきましては、大蔵省その他関係省との間に調整中でありまして、お示しするような数字がまだできておりません。もう暫らくお待ちを願いたい。
  41. 若木勝藏

    若木勝藏君 その次にお伺いしたいのは、これも先般私質問して、あなたのほうでそれについてはいろいろ今資料を作つておるというようなお話でありましたが、地域給の補正につきまして、この点ははつきりきまりましたか。
  42. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) この前申上げました地域給の関係に伴つて行いますいわゆる態容補正の修正でございますが、これは一応の成案を得ましたので、先日の地方の主管課長会議におきましてこの案を示して、それによりまして今度の交付金の算定を行おうというので、只今準備を行なつております。なおその際に先生から御要求のございました、どの程度各団体ごとに、市町村ごとに財政需要額の算定上変動があるかという具体的な数字につきましては、なお試算を行なつておりまして、お示しする数字はまだ出ておりません。
  43. 若木勝藏

    若木勝藏君 これは今地域給の級地を決定することに相当私は影響があると思う。非常にこの点については、まあ関係方面では懸念しておるわけなんですが、どうですか。大きな影響ありましようか、この点……。
  44. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 具体的なことはどうも数字的に申上げられないのは誠に申訳ないのでございますが、大体の傾向としては前にも申上げておりますように、態容補正自身の内容人口別とそれから経済構造、それからその土地の、宅地の平均価格、それから今の地域給の支給率、そういうものを大体要素として考えておるわけであります。従来と異なりましたのは、従来は地域給だけで以て一つの別個の補正係数というのを考えておつたわけでありますが、その点を今の態容補正の中に取入れたという点で影響が非常に減つて来るわけであります。そこで極く概括的に申上げますならば、人口或いはそれに伴う社会の経済構造の状況が比較的平均な所、或いは平均よりは割合に人口の少い所で而も級地の指定が非常に高かつたというような極端なところにおきましては、相当これはまあ計算上影響があるということが言えるかと思いますが、総体的に申しまするならば、私はそれほど大きな影響は来たさないで済むのではないかという考えを持つております。具体的なことは計算が出ました上で、更に又御説明申上げたいと思います。
  45. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで、その算定のために使うところの補正係数が変つたために、平衡交付金の今までの配付ということががらりと変つてしまうということになれば、私重大な問題だと思うのでありますが、今まだその具体的な数字がどうも出ないと言いますから、私このへんでとどめておきますけれども、重大な問題だと考えております。十分に一つその点を検討願いたいと思います。
  46. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは実は従来におきましても、毎年平衡交付金の算定上、単位費用はいちいち法定して頂いておりますから、別問題でありますが、補正係数にいたしましても、或いは測定単位数値の取りかた等にいたしましても、年々いろいろ研究段階にあるものでございまして、年々変つております。そのために団体によりましては、前年度に比べて本年度は相当計算上の誤差、誤差と申しますか、差額が生じまして、財政運営に支障を来たすというような虞れのあるものも、必ずしもなきにしもあらずであります。そういうものにつきましては、毎年度特別平衡交付金の配分の際に、いわゆる財政規模の激変を緩和するという趣旨から、相当な調整を加えまして、さような支障の起らないように努めております。今回の措置につきましても、若し算定の結果、非常にそういつたような支障が現れるようなものにつきましては、極力さような措置によりまして調整を図つて参りたい、かように考えております。
  47. 若木勝藏

    若木勝藏君 この点は、いわゆる特別平衡交付金で以て調整するということになれば、一応は私はその辺で了解します。次に単位費用の算定につきましてお伺いします。あなたの先ほどの御説明では、単位費用については、国庫負担とか、或いは給与改訂とか、或いは法令の改廃とか、そういうことによつて、項目的に考えても変つて来ておると、こういうふうなお話であつたのであります。その点で私特に教育費の方面で伺いたいと思います。そのうちの小学校費の児童数がまあ測定単位になつておるが、それで単位費用の方面、    〔委員長退席、理事堀末治君着席〕  今度は、一千九百四円ですか、一千九百四円が一千五百六十二円に落ちて来たそうですね。そこで私先ず第一に伺いたい点は、一千五百六十二円がどういうふうにして計算されて来たか、その算定の方法について伺いたい。
  48. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 小学校費の児童数の単位費用でございますが、現行法におきましては千九百四円、それから昭和二十七年度に用いました特例法におきましては二千百二十四円となつております。それが今回千五百六十二円ということになつておるのでございますが、これは本年度からは、いわゆる義務教育費の半額国庫負担制度が実施されますので、地方負担は、大まかに申上げますると、平年に比べますとそれで半額になるわけであります。一方教育職員給与費の給与改訂等に伴いますところの増騰がございますために、必ずしも正確な半分じやなくて、相当に、半分以上になるという関係一つございますのと、それから今一つは昨年までは、この義務教育費の基準財政需要額、いわゆる標準財政需要額と申しますか、実際にその団体で要る需要額の大体八八%ぐらいを測定いたしたわけであります。実際要るもののうちの八八%ぐらいのものを基準財政需要額で算定をいたしましてそれによつて交付金の計算をする、あと残つた一二%というものはこれは交付金の算定のそとといたしまして、いわゆる税収の三割五分、それから特別交付金とか、そういつた財源によつて賄うという建前になつておるわけであります。それを今年度におきましては、半額国庫負担制度が実施せられるのに伴いまして地方負担をする、つまり国庫からもらう残りの半分については、八八%というようなことでなくて、もう一つ一〇〇%に近いところまでその需要額を保障して行きたい。それを引上げるということは、つまり各団体について、それに必要な財源を国が保障するというような恰好になつたわけです。そういう意味で財政需要額の引上げを行なつたわけであります。そこで極めて大雑把に言いますると、去年は全額負担、今年は半額負担でありますから、去年の半分になつてもいい感じなんでありまして今申しましたベース・アツプの問題と、それから基準財政需要額測定の範囲を拡げたということのために、まあ半分以上で、ここに、前に去年の二千百名に比べて今年は千五百名、こういう単位になつておるわけなんであります。  そこで小学校費の単位費用をどうやつて側定しておるかということでございますが、これは本年度の分につきましては、その算定の基礎となりますところの標準施設、つまり標準の学校というものを一つ想定しておるのですが、これは児童の数が五百四十人、それから学級の数が十二学級、まあ一学級当りの児童が大体四十五人ぐらいになるわけです。それから教職員の数が十六人、こういう一つの標準規模を想定いたしまして、その中でこの規模で以て学校の経営をやつて行くためには、教員の給与が幾らかかるか、その給与基礎といたしましては、教員の平均給を単価として用いておるわけですが、従つてそれによつて計算するところの吏員の俸給が幾らか、或いはそれに伴うところの旅費とか手当とか、燃料費とか、そういうものが幾らになるか、これはいちいちいわゆる予算を計上することと同じような恰好で以て積上げて計算をするわけです。  それから又一方歳入の関係におきまして、それだけ経費がかかるのだ。半額については国から補助があるわけでありますから、国からの負担金がその半分のものを差引きまして、その残つたものを測定単位でありますところの児童数、つまりここで言いますと五百四十人で割りまして、児童数の一人当りについて幾ら、こういう計算の出し方になつておるわけであります。なおそれらの計算の内容につきましては、別途、この間、行政項目別算定基礎という資料を提出してございますので、詳細はこれによつて御覧願いたいと思います。
  49. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで大体わかりました。そこでそれらについていま二点ばかり伺いたいと思います。御承知通り半額国庫負担法は、いわゆる義務教育国庫負担法は、その地方の実績の半額を持つ、これが建前ですね。ところが今の御説明で行きますると、これこれこれこれこれかかる、これに対して半額持つが、あとの分はやらないのだ、こういうふうになりますと、実態と計画との間に非常にズレが出て来る、これが一点ですね。  それからもう一つは、教員の平均給というふうなものは、これはいわゆる現在の、現行のままでとられたか、或いは三百四十九円より低いものととられたか、この点伺いたいと思います。
  50. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) この義務教育費にかかる基準財政需要額の算定は、各地方団体の実績と申しますか、実際の支出額と一致しておるのか、或いは違つておるのかというのが第一の問題、これは勿論実支出額は算定いたしておりませんのでありますが、義務教育費の国庫負担法の中で、実支出額の半額と申しておりますのは、国が地方のこの義務教育費のために地方に対して負担をいたします国の負担金の基準を、実支出額の半分ときめておるわけなんでございます。それで残る半分のほうは、各地方団体が自己の一般の財源によつて、これを賄つて行くわけでございますが、その一般財源というものは、一般財源を賦与されますところの経費というものは各地方団体の税収と、それから普通平衡交付金という二つがあるわけであります。そのほか雑収入等があるわけでございますが、大体主なものは平衡交付金の算定の場合に、各団体について、その団体が実際に支出した額というものを基準にして、計算の前提にして、平衡交付金を計算するということは、平衡交付金制度からいつてちよつとさようなことは考えられないと思うのであります。と申しますのは、私は平衡交付金制度は先ほど申しましたように、各団体を通じて、地方団体がいわゆる合理的妥当な水準において、そういう制度において行うところの行政について、どれだけの経費がかかるかということを基準としまして、その団体行政水準というものを均衡化するということが一つの目的でありますし、従つて又それに伴つて地方住民の負担というものも均衡化して行くわけで、そこで国が考えておるところの、一つの合理的な基準における行政をやるために、その団体でいうところの経費というものを税収で当てて、そうして税収で以て足りないところは、国が交付金、これだけのものは補助金として補助してやることが制度の根本なんであります。若しその団体が実際に使つただけの額というものを、国が一々財源保障をして行くということになりますと、これは平衡交付金のなかで考えられておりますところの各種行政費についても、土木費についても、経済費についても、社会福祉費についても、各団体がそれぞれ使つただけの半分を国が財源としてみて行かなければならないということになるので、さようなことはちよつと平衡交付金制度として考えておらないところであろうと思うのであります。各団体行政費について実際に費消をしただけの額を国がみてやるという制度であるならば、これは全額国庫負担という制度をしく以外にないと思います。そこで平衡交付金のほうの考え方といたしましては、各団体が今教育に関しましても、教育費の基準的なレベルでこの行政を行うためには、一体どれだけの金が要るのだということを、この法の定めるところの基準に従つて計算をして、それによつて交付金の額を計算するわけでございますから、実際の額と比べますというと、平衡交付金の算定に用います基準財政需要額のほうが、実際に高いところも出てきますし、或いは低いところも出てくる。これは昭和二十六年度におきましても、具体的にちよつと記憶いたしておりませんが、東北の県なんかにおきましては、基準財政需要額のほうが、義務教育について実際の支出額よりも多い。実際には基準財政需要額だけの支出をしておらないというような団体もあるわけであります。そこは平衡交付金制度一つの特徴であろうと存じます。従いましてこの計算に用いておりますところの実際の給与費というものも、現実のいわゆる実際の単価ではなくて財政計画に用いておるところの平均の単価、これを計算としては用いておるわけであります。
  51. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで私の疑問としておるところがいよいよ明瞭になつてきたのでありますが、そういうふうな算定に基いて行くということになれば、明らかにこれは義務教育の実際の場合と比べて、国庫の負担金というものは、今のようなこういう計算の仕方で、半額ということを考えて行けば、半額にはならないで、私は四割になるか、或は三割になるか、そういう実態が出てくると思う、実際の場合には……。だから非常に教育費が苦しくなつて来るということは考えられる、それはどうですか。
  52. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 法律規定をいたしておりますのは、国の負担金を、実支出額の半額ということを決めておるので、これは文字通り実際に支出した額の半額を国が負担するわけです。この点には問題はないと思うのであります。ただその半面において、地方負担するところのものについては、実支出額の半分を別途に今の負担金として地方が要するだけの額を保障する制度がないのではないかという、こういうお尋ねではないかと思うのでありますが、こういう制度只今のところございません。そこまで国が保障するということになれば、これは全額負担ということになる、それから半額負担と申しますと、あとの半分については、自己の経費負担するのでございますから、その団体といたしましては、持つておるところの自己財源を教育のほうに使うか、或いは土木のほうに使うか、或いは経済のほうに使うか、これはその団体自身が自主的に判断すべきものであると考えます。
  53. 若木勝藏

    若木勝藏君 私の非常に疑問に思つているのは、あなたのほうで単位費用をきめるというようなときに、実際に半額を国庫で持つのだ、そうするというと、半額というものは実支出の半額だから、実支出がきまれば当然きめなければならん。ところが半額を負担するのだからという頭で、地方の方面から出す、国庫で半額出す、残余の部分に対しても同じような考え方で、測定単位を計算されているのじやないか、その点なんです。
  54. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 先ほど御説明申上げました教育費の単位費用の算定の標準予算の考え方の問題でありますが、その場合半額と申しております。勿論実支出額の半分を引くのじやございませんで、先に申上げました基準によつて団体義務教育を維持するために必要な一つのいわゆる基準財政需要額というものが出るわけであります。さつき申した五百四十人の一つの学校があつて、その学校で一体どれだけの経費がかかるかということを、さつき申上げたような基準で計算するわけであります。その需要額のうちの半分は国からくるのだということで、予算の計画をいたしますから、その半額というものは必ず現実にその団体に交付される半額というものじやない、その団体というもの自身が言わば架空の団体であつて、現実の各団体を捉えて計算しているのじやない。ですからやはりその団体としては、その標準予算に計上された額の半分は国からくる、こういう計算で一向差支えないと思う。且つそれは単位費用というものの本質がその通りだと思いますが、これは各団体ごとにそれだけ一人当り現実にかかるものじやないのでありまして、それをいろいろ各団体ごとに適用いたします場合に、補正係数によつて補正をいたしまするから、その通りの額が行くわけのものでもない。こういうことであります。
  55. 若木勝藏

    若木勝藏君 どうもそこまでだんだん考えて行くというと、この千五百何ぼというようなことは不合理になつてくるのでないか、千五百円というのはやはり半額負担なんということを考えないで、子供一人について何ぼというように行くのが本当ではありませんか。そうしてそういうふうにして計算していつた額の実支出額の半額を国で持つのならいい。どうしても単位費用は半額国庫が負担する、半額を入れてこなければ計算は出てこないと思うのであります。
  56. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) それはこういうことなんだと思います。仮りに標準施設の理想的な学校を考えます。その学校で、まあ具体的な数字を少し申上げましよう。今申上げたような標準施設で、つまり十二学級で五百四十人の生徒がおつて、先生が校長以下十六人いるという学校で、一体どれだけ学校の経費がかかるかという問題でございますが、その総額はこの計算によりますると、三百十六万七千円ばかりかかる、こういう計算が出るわけであります。その経費というものは、仮りにこれを児童一人当りについて見れば幾らになるか、こういうことを計算しておるわけなんであります。その場合に測定単位のほうを見ますと、児童数と学級数と二つあるわけであります。学校数のほうは別問題といたしまして、学級と学校と二つありまして、児童の数で算定するものと、それから学級の数で算定するものと、測定単位が二つあるわけであります。そこで今の一つの学校を経営するのに三百十六万七千円かかるとして、その経費を大体半分に分けて、半分は学級の数に応じて配分をする、半分は児童の数に応じて配分をするという、こういう考え方をとるわけであります。学級のほうの経費の半分におきまして十六、七万ということが出てくるわけであります。その十六万の経費を五百四十人の児童数で割れば、一人当り幾らになる、こういう計算が出て来る。これはいわゆる全額負担であつて、全額、つまり地方負担であつて地方が仮に今までのようなまるまる経費負担しておる場合ならば、それだけの経費児童数で割つた経費というものが、一人当りの単価になるわけであります。それが今度は半額負担である。半額負担だから実際それを経営する場合に三百十六万七千要るのだけれども、その半分の百五、六十万円というものを国が負担してくれるわけであります。従つて自治団体負担するのは残りの百五、六十万、こういうことになるわけであります。    〔理事堀末治君退席、委員長着席〕  それだけのものを地方負担すればよいというのですから、それを児童一人当りで割れば幾らになるか。これが単価になる。こういう計算の仕方です。
  57. 若木勝藏

    若木勝藏君 わかりました。私も半額というのはどういうふうに入つて来るかということで聞いたのです。その点わかりました。そこで今問題は二つばかり出て来るのですが、その一つは、学校の平均規模というものをどうきめるかということです。ここで恐らく文部省の意向を聞いたと思うのですが、文部省と自治庁の考えは恐らく一致してないと思う。自治庁のほうは、文部省の案を搾つているのじやないか、こういうふうに考えるのですが、両方を比べてどういうような恰好になりますか。
  58. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) どういう根拠でそれじや標準施設というものを想定するかという問題でございますが、これはこの全国の実際の平均規模というものはどうなつているかということから見ておるわけであります。昭和二十七年度の一学級当りの児童数、現実の実際の児童数というものを学級の数で割つてみますと、一学級当りが全国平均で四三・一人ということになつている。一学級当りの児童数の平均が、まあ大体四十三人何がしということになる。それを大体、多少端数はございますけれども、仮に四十五人と、こういうことに見まして、そうして只今のは小学校ですが、それを大体四十五人ということに置き直しまして、それからこの学校の規模を推定するわけです。その場合に、そうしますと、今度は学級の構成でありますけれども、一学年二学級、こういうことで行きますと十二学級になる。そこで十二学級を以て一つの学校単位となる。こういうふうに想定している。そうすると、児童の数は四百五十人、こういうような考え方で、これを一つの規模と考えていいのじやないか、こういうことであります。それについて先生がどれくらい要るかという問題が出て来るのですが、これも大体勿論文部省との間の打合せは数字的にやつておりまして、今の十六人という構成を申上げますと、校長が一人、教諭が十二名、事故欠席等の補充及び養護教諭並びに休職、休む先生というのが二人、それに事務職員が一人、こういうような一つの構成を考えております。そういうことで、一つの標準は、大体そんなものじやないかと考えます。中学校は、今申上げましたように二十七年度の、実際の一学級当りの児童数というものを本にして想定している、こういうやり方をとつております。
  59. 若木勝藏

    若木勝藏君 その際において、結核の先生とか、或いはお産で休むというような先生は入つておりませんか。
  60. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) そういうものもひつくるめまして十六人の中の二人と、こういうわけです。
  61. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこなんだ、文部省あたりの考え方と自治庁の考え方の違つて来るところは。文部省の案と、あなたのほうの案を比べてどういうふうになつていますか。
  62. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) この単位費用の算定につきましては、文部省のほうとは事務的には了解を頂いております。
  63. 若木勝藏

    若木勝藏君 了解を得ておるけれども、文部省のこれだけの標準がなければならない、規模がなければ教育が十分遂行されないというふうな文部省の立場とは大よそ違いますね。平衡交付金をどう交付するかという建前から、それを相当縮小しておりませんか。
  64. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは、そういう点につきましても、これは一々文部省のほうの意見も十分参酌いたしまして、この計算をいたしておりますので、特にこれと違つた意見を文部省のほうで持つていられるというふうには今のところ考えておりません。
  65. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこは今部長においていろいろ調べなければわかりませんが、そういうことによつて、ただ財政の上からばかり考えて、平衡交付金であるとか、或いは財政のバランスであるとかということから、自治庁のほうでこれをきめつけて行くということは、これは従来あつたように思う、文部省の案を。そういうことをやられてしまつたら、教育上非常に困る問題が出て来る。どうですか、文部省のほうの意見を十分尊重して入れてあるのですか。
  66. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) どうも私のほうで交付金の算定をいたします場合に文部省の意向を非常に無視しているようなお話でありますが、決してさようなことはございません。十分尊重しているつもりであります。なおこの計算におきましては、特に二十八年度は前年度よりも相当よくなつたと申しますか、実際上の計算から見ますと、かなり改善されておるというふうに我々も実は考えております。文部省でも恐らくそういうふうにおとりだろうと思います。それは先ほどもちよつと申上げましたように、義務教育費に関しまして基準財政需要額の算定率を殆んど一〇〇%まで見る、こういう建前で計算をいたしました関係上、職員構成等につきましても、従来よりは相当よくなつているように思います。
  67. 若木勝藏

    若木勝藏君 単位費用の件については大体伺つてわかりましたが、次に税収入の標準のとり方の問題について法案で申上げますと、第六ページの第十四条、この後段のほうに『「その税率は、百分の十八とする。」を加え、「百分の七十」を「道府県税にあつては百分の八十、市町村税にあつては百分の七十」に改める。』、ここは非常に私は問題があるところだと思う。これは今府県の知事の間においても、両方の意見があるようでありますが、この問題について、こういうふうに百分の七十を百分の八十に引上げて行つた場合に、これは実際の平衡交付金にどういうふうな影響を持つて来るか、この点について伺いたい。
  68. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 今回の基準税率の引上げの問題につきましてそれが地方平衡交付金の実際の配分にどういう影響があるかというお尋ねでございます。これはこの百分の七十を百分の八十に引上げました考え方は、先ほど御説明申上げた通りでございますが、実際に今度措置をしようと考えておりますのは、基準財政収入額をこのように十%引上げをいたしますと共に、半面におきましては、基準財政需要額のほうも、それに伴つて増額をして行こうというふうに考えておるわけであります。そこでその基準財政需要額のほうの増額を考えておりますのは、先ほど来、重ねて申上げておりますように、義務教育費の給与関係費にかかわるところの基準財政需要額、これは従来は財政計画上の額は八八%程度しか見ておらなかつたものを、一〇〇%にまでこれを引上げて行くという考え方であります。さようにいたしますと、なおそのほかに細かく申上げますと、単位補正係数を多少動かすことによりまして需要額の殖えて来る面も出て参ります。併し主なものは先ほど来申上げております義務教育費の需要額というものをフルに見て行きたい、こういうふうな考え方で需要額も動かして行くということになります。そこで以てその結果どういうことになるかと申しますと、これも具体的な計算は只今つておりますが、大体の目安といたしましては、この一〇%の引上げによりまして基準財政収入額が上つて来ますものが、百二十四億ぐらいになると思います。それに対しまして義務教育費の需要額の限度を引上げるという問題、それから単位補正の修正に伴いまして需要額の殖えて来る場合というものが大体見合う程度に考えておるわけであります。そうすると、総体的に申しますと、基準財政需要額基準財政収入額との差額でありますところの交付基準額というものは、余り大きな変動はないのではないかというふうに大体考えております。ただこれは全体としての問題でありますが、各団体ごとにどういう影響があるかということは問題だと思います。これは団体の中でも、この基準財政需要額のほうで義務教育費の給与というものを引上げて参りますが、これは大体学校各団体ごとに、児童の数でありますとか、或いはそれに伴う先生の数でありますとか、そういうものに応じて一律に引上げて行くわけであります。需要額のほうは……。ところが収入額のほうは、各団体の税収入額の大きさに応じて殖えて行くわけであります。ですから、仮に同じ義務教育費だけの場合を考えて申しますと、同じ額の義務教育費をもらつた二つの団体があつて、ただ収入額は片方は十億の税収を持つておる、片方は仮に五億しか税収がなかつたという場合には、義務教育費自身の上り方、基準財政需要額の上り方は、両方同じでありますけれども、収入額の上り方というものは十億の税収を持つておる団体では一億の収入額がある、ところが五億の税収を持つておるところは五千万円しか上らない、そこに五千万円の開きが出て来るわけであります。従つてそういう団体におきましては、税収入の大きな団体ほどその交付基準額というものが少くなつて来る、言い換えれば、交付金の額は減つて来る、こういう影響はあろうかと思います。
  69. 若木勝藏

    若木勝藏君 それではこういうふうに、基準の何といいますか、税率というふうなものを引上げたというふうなことは、いわゆる基準の需要額を殖やすためにこういうふうにしたということになりますか、何のためにこういう引上げをお考えになつたか、簡単に……。
  70. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 百分の七十を百分の八十に引上げました理由は、前に申上げましたように、平衡交付金制度自身が本来持つておりますところの、いわゆる財政均衡化という機能です。この機能を一層徴底せしめるという趣旨で引上げを考えたわけであります。
  71. 若木勝藏

    若木勝藏君 その点を、はつきりわかりませんからもつと具体的に、なぜ均衡化になるかということを……。
  72. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これはちよつと理窟だけで申上げましてもおわかりにくい点もあろうかと思いますが……。
  73. 若木勝藏

    若木勝藏君 私が今ちよつと聞いておつても、均衡化になるかならんかということはちよつとわからないのだが、皆一様に平衡交付金が少くなるのじやないのですか。その間に片方が少くなつて、片方が多くなつて行くということは考えられないのじやないのですか、そこがちよつと……。
  74. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) ちよつと今数字の資料で申上げます。こういう例で一つ申上げたほうがおわかりがいいと思いますので申げます。仮に平衡交付金制度を一〇〇%に実施した場合ということを一応想定して見るわけです。そうすると極く富裕な団体について、その団体基準財政需要額が仮に一〇〇、それから又その団体財政収入額も一〇〇あると、こういう場合を想定いたしますと、その富裕な団体には交付金というものは行かないわけなんです。これはつまり全体の基準財政収入額というものをその団体の税収入の一〇〇%と見た場合のことを申上げでおるのです。そうすると、富裕な団体については収入総額とするが、どつちも一〇〇なのだからどつちもない、交付金がない。これが貧弱団体についても、仮に基準財政需要額が同じように一〇〇ある、ところが税の収入のほうは二〇しかない、そうすると交付金が八〇幾らですね、その財政額の。それから丁度その中間にある団体を一応考えます。これは仮に平均的な段階のやはり財政需要額は一〇〇ある、それからその収入が六七、これはまあ六七という意味はあとで申上げますが、仮に六七の税収入額があるといたしますと、その団体には交付金が三三行くという恰好になるわけですね、一〇〇から見ると。ところがこれを今平衡交付金法の基準財政収入額の算定高を多くして七〇%、百分の七十という、つまり今の制度です。今の制度にした場合には、それがどうなるかということを考えるわけです。そうすると、基準財政収入額が一〇〇ある場合には需要額のほうも一〇〇で計算しているわけですね。ところが財政収入額を七〇に落すと、あとの三〇というものは、これはその団体のいわば自由財源になるわけですから、交付金の算定外になりますね。従つて交付金の算定基礎になる財政需要額というものは、その団体の必要な財政額の全部を算定しないで、その若干部分というものを外に出して計算すればいいわけなんです。つまりあとの三〇%の分と、それから八〇%が今特別交付金になつておりますが、税の三〇%と特別交付金八〇%で以て賄うところの財政需要額というものは、基準財政需要額の外にあるわけです、そうですね。それを大体計算しますと、その団体の需要額が、全部が一〇〇であると、大体八〇%ぐらいに財政需要額のほうを計算いたしますと、丁度税を七〇%に見、更に交付金の八〇%を特別交付金とした場合……税を七〇%とし、交付金の額を九二とした場合に、それだけの財源で賄うところの財政需要額というものは、全体の財政需要額の八〇%だと、こういう大体の数字が出るわけであります。そこでさつき申上げました例に返つて申しますと、従つてさつきの一〇〇を基準財政収入額と考えた場合には、その団体財政需要額は一〇〇なんですから、七〇%方式をとるときには、財政需要額は八〇と考えていいわけで、あとの二〇は、どうするかというと、税の三割分で賄えばいいと、こういうわけですから、従つて基準財政需要額は八〇というふうに計算するわけです。従つて富裕団体のほうは、さつきの例で、基準財政収入額はその団体の税収が一〇〇あれば、そのうちの七〇%が基準財政収入額ですから、七〇ですね、そうすると、八〇の基準財政需要額に対して七〇の基準財政収入額ですから、交付金が一〇ということになるわけです。そうすると富裕な団体についても七〇%方式をとれば一〇だけの平衡交付金がもらえると、こういうことになるわけです。そうでしよう。  それから今度はさつきの例の、いわゆる貧困団体の場合、つまり財政需要額は一〇〇あつて税収が二〇しかない、こういう団体です。こういう団体について今の七〇%方式をとりますと、財政需要額はやつぱり八〇、それから基準税収入のほうは、二割の七割ですから一四ですね、そうすると平衡交付金はその差額の六六ということになる。さつきの場合にはそれから二〇を引いた八〇が交付金になつたのですね、今度の七〇%方式をとると、六六%だけが交付金だと、こういうことになるわけなんです。  それから先に申上げた次の平均団体、中間団体、これもやはり今と同じ方式で行きますと、財政需要額は八〇になります。それから基準財政収入額は、さつき六七と申上げたのですが、七〇%ですから四七ということになります。四七ということになりますと、交付金の額はやはり三三ですね。つまり三三と、特に七七を平均団体と申上げたのは、これは一〇〇%に実施をした場合と七〇%に実施をした場合とで平衡交付金の額が変らない団体、つまり一〇〇の財政需要に対して六七の税収を持つておる団体は、一〇〇でやつた場合も、七〇%でやつた場合も、平衡交付金の額は変らないと、こういうことになる。ところが、一〇〇の税収を持つておる団体は、七〇%になれば一〇だけ平衡交付金がもらえるということになるわけなんです。ですから、今の一〇〇と七〇の場合を考えてみますと、七〇の場合よりも一〇〇の場合のほうが全体的にいわゆる均衡化と申しますか、団体に必要なだけの財源の保障というものは非常に徹底しているのだけれども、七〇%になりますと、その交付金が一〇だけ富裕な団体に余計に行くと、こういう結果になつて来るわけです。同様なことで以てやつて参りますと、今度仮にその七〇が八〇になつた場合にどうなるかというような計算を同じような考え方でやつて参りますと、富裕な団体については交付金の額は五ということになります。七〇%でやれば、一〇の交付金になる。ところが八〇%方式をとれば五になるし、一〇〇%の方式をとれば交付金はもらえないと、こういうことになるので、だんだん基準が上つて行く従つて、税の多い富裕団体は交付金がもらえないことになつて来る。もらえないことになつて来るということは、全体的に見まして、つまり行政をやるところの必要な裏付となるところ財源がどの団体にも同じように行くと、こういう恰好になつて来るわけです。つまり金持の団体は、七〇%のときは一〇の交付金がもらえる、八〇%のときには交付金が五になる、一〇〇%のときには交付金はもらえないということになるので、その反対に、いわゆる貧乏団体の場合には、七〇%の場合には六六の交付金がもらえる、それが八〇%の方式になれば六九になる、それから一〇〇%の方式になれば八〇の交付金がもらえるというふうに、だんだん上つて来ることによつて貧乏の団体には交付金の額がだんだん余計に行くと、こういう結果になるので、こういう影響が基準財政収入額の引上げによつてつて来る。ということは、金持の団体は上になればなるほど交付金がもらえない。貧乏の団体は基準額が高くなるほど交付金の額が多くなることによつてそれだけその団体の持つてつた差額というものがだんだんなくなつて来るということなんです。或いはこれは逆に申上げれば、大きな団体が、七〇%方式でありますと、あとの三割というものは、いわば自分の自由財源、実財源を持つていた。それが八〇%になれば二〇になるということは、その団体がほかの団体よりもいわば余裕財源として持つてつたものがだんだん少くなつて来る。少くなつて来るということは、ほかの貧乏団体と同じレベルになつて来ると、こういう意味になるわけなんであります。それを我々は均衡化の徹底だと考えておるわけであります。平衡交付金の本来の方式から行きますと、若しも各団体基準財政需要額というものを一〇〇%に補足することができれば、基準財政収入額というものも一〇〇%につけて、その団体に要るところの一切の需要額とその団体の持つておる一切の税収というものとで以て調整して行くべき筋合いのものだろうと思いますが、その一〇〇%の需要額を測定するということは、今日の技術の段階では困難でありますので、幾らか幅を持たなければならん。各団体ごとに多少ともニユアンスと申しますか、独自性というものを持たせて行かなければならない。その幅を見ておつたわけです。併しそれがだんだん測定が緻密になつて来、だんだん測定が進歩して来れば、それに伴つて均衡化の度合と申しますか、基準財政収入額の度合というものを高めて行くということが、平衡交付金制度の理想から行けば、理想のほうに一歩近付いたのではないかと、こういうふうな考えを持つております。
  75. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますというと、ここに問題は、結局各地方公共団体の自主的な財源というものは狭められて行くのだから、従つて地方公共団体の自主的ないわゆる行政措置というようなものは非常にそれによつて狭められて来る。そうしてどつちかと言うと、国というような方面、早い話が中央集権とは言いませんけれども、そういう方面に多分に拡がつて行くということになりはしませんか。
  76. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 今の七〇%方式の場合の残り三〇%、それから八〇%方式の場合の残り二〇%を実財源というふうに申上げたのは、ちよつと言葉の誤解でありまして、実財源というよりは自由財源であります。実財源というものは、その団体が自分でどういう目的のために使つてもいいという財源が実財源だと我々考えております。例えば、それに対して国からの負担金或いは補助金というものは、その事業をやるために使わなければならないという財源でありますから、これはいわゆる紐付き財源でありまして、実財源ではない。ところが平衡交付金というものは、税と同じように、それを教育に使おうが、土木に使おうが、経済に使おうが、自由な財源でありまして、そういう意味においてこれは地方税もそれから平衡交付金も全部実財源だと言つて差支えないと思います。その残りのいわゆる七〇%方式のときの三〇%分、八〇%方式のときの二〇%分というものは、そういう国がというよりは、交付金法によつて縛られたと言いますか、枠をはめられた財政需要額ですね、その需要額の外にある財源、つまり法律自身が当然考えておるところの、例えば義務教育の問題にいたしますと、義務教育のために給与はどのくらい払うとか、或いは施設のためにどのくらい払うとかいうようなものを、一応交付金制度で基準の需要額として考えておるのですが、それに必要な財源というのは、普通平衡交付金と、それから税収の七〇なら七〇というものに縛られておる。それだけのものは必ずやらなければならん財源ということになりますね。それ以外のものは、基準財政需要額として考えている以外のどの需要に当てようが、それはその団体の自由だと、こういう意味において自由財源と申しておるのでありますが、基準財政需要と言つても、それだけのものをやらなければいかんとか、それ以上のものをやつてはいかんという意味ではなくて、実財源ということを申上げましたが、実財源という意味においては、これが一〇〇%になつても実財源ということには変りはないと思います。ただ各団体でこの制度を実施するに当つて団体の何と申しますか、この団体が今まで三割自由に使えたものが二割しか使えないということが、何か自治の拘束であるというような御意見を述べておられるのでありますけれども、我々はどうもそういうふうには考えておりませんで、いわば各団体の中で税の非常に大きな富裕団体が、交付金制度できめられますところの基準財政以上に、各団体の、これはいい意味で言えば、特色を発揮するためにやつてつたような部面というのが、幾らか狭くなつて来るということは言えると思います。併しこれが幾らか窮屈になつて来るということは、それだけほかの団体のレベルが上つて来るということでありまして、先に申上げたような意味におきまして、それだけ財政需要額均衡化の度合が上つて来たということが言えると思います。
  77. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、あなたのそういうふうな理想的な考え方は、平衡交付金地方の非常な要求した程度に豊かに渡る場合においては問題はないと思いますが、現在のような非常に要望より低いものが与えられたときに、富裕団体から文句が出るのは私は当然だと思います。そういうふうなことを考えております。
  78. 内村清次

    委員長内村清次君) それからちよつとお諮りいたしますが、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に対しましては、決議付きで衆議院は通して来たようですが、附帯決議はこれですね。これはどういうふうなことにしますか。衆議院のほうから誰か代表者でも呼んで、これを聞くことにいたしますか。
  79. 若木勝藏

    若木勝藏君 これはまだ平衡交付金の一部改正について審議が行われておりますから、質問の段階において明日でも、一応衆議院のほうから来てもらつて説明をしてもらつたらどうですか。
  80. 内村清次

    委員長内村清次君) そうですね。これに対する政府のやはり答弁も聞かなければなりませんが、これは大臣を呼んで聞かなければ……。これは相当大きな問題と思いますね。内容をみましても、これは二十八年度予算の地方財政計画と関連があるような附帯決議に見えますから、そういうような手続をとつてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会