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1953-09-09 第16回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年九月九日(水曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            堀  末治君            館  哲二君    委員            伊能 芳雄君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            小林 武治君            島村 軍次君            秋山 長造君            苫米地義三君            加瀬  完君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家地方警察本    部警備部長   山口 喜雄君    国家消防本部長 滝野 好暁君    自治政務次官  青木  正君    自治庁税務部長 後藤  博君    自治庁税務部市    町村税課長   松島 五郎君   参考人    全国知事会代表    茨城県知事   友末 洋治君    全国都道府県議    会議長会代表神   奈川県議会議長  松岡 正二君   —————————————   本日の会議に付した事件地方行政改革に関する調査の件  (地方制度調査会答申案(当面答申  を要すべき事項)に関する件)  (消防施設強化促進法執行状況に  関する件)  (地方税固定資産税に関する件)  (現下の国内治安状況に関する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今より地方行政委員会を開会いたします。  本日は先ず地方制度調査会行財政部会案に対しまして、府県代表方々から参考人といたしまして意見を聞くことといたしますが、議題に入る前に委員一同に代りまして委員長から参考人方々に御あいさつを申上げます。各地方団体地方制度改革案につきましては、去る八月十七、十八日にお伺いいたしたのでございまするが、その後地方制度調査会におきまして小委員会の作成いたしました、当面答申を要すべき事項としての答申案が出されましたところ、その反響も大きく、又地方の各団体もこれに対しまして御意見を持つておられるようでございまするので、本委員会といたしましても極めて重大な関心を持ちまして参考人方々からわざわざおこしを願いまして公述を聴取することとなつたような次第でございます。委員会を代表いたしまして皆様方に厚く御礼を申上げます。それではこれから始めることにいたします。全国知事会代表茨城県知事友末洋治君。
  3. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 参議院の地方行政委員の皆さんにはかねがね地方自治確立のためにいろいろ御高配を願つておるのでありまするが、特に地方制度改革につきましては先に私ども意見を御聴取願い、更に重ねてお聞取りを頂きますることは誠に感謝に堪えないところでございます。この地方制度調査会において当面答申を要すべき事項に関しまするところの各部会答申原案に対しましては、知事会といたしましては会の中に設けておりまする調査委員会を三日間に亘りまして開催いたし、慎重に検討をいたしたのであります。更に全国知事会議を開会いたしまして、この会議におきましても慎重な論議を遂げまして、これに対しまするところの意見が一応きまつておるわけであります。それらの要点につきましてここに御説明を申上げたいと存じます。  お手許に差上げてございますととろのメモによりましてお聞きとりを頂きたいと思うのでありますが、先ず第一に行政部会関係答申原案についてでございます。この行政関係答申原案を全般的に見ますると大体常識的な結論に相成つておりまするような感じを持つのでございます。起草委員が各委員意見をできるだけとり入れつつ、我が国の実情に即しまして今後の地方行政をできるだけ民主的に又能率的に改革するという点について払われました慎重な態度と苦心のほどは私ども十分にこれを認め得るのであります。かように結論が比較的穏当な点に出ました基本のものは、起草委員が九名でございまして、この九名の中に御覧の通り各方面の学識経験者がおられたということによるのではなかろうか、かように拝察をいたしているのであります。併しながら答申原案の前文にもございますように、取りあえずという政府の二十九年度予算案法律案に盛込みたいという要請に基きますところの時間的な制約がありましたために、応急的な対策というものに重点が置かれまして、便宜主義の色彩が濃厚であり、根本的にもう少し筋を通すという点にやや欠けておりまするうらみがありまするように考えられるのであります。それらの点は国と府県市町村とに亘りまするところの行政責任がさような関係であいまいに相成つておることにあるのであります。かように行政責任を不明確にいたしておりますることは、従来の体験から申しますると、いきおい中央集権化の方向になりますところの危険が必ずあるのであります。現在におきましても一番国及び地方を通じて困りまする問題は、責任の不明確のために事実上国の地方自治に対しまするととろの干渉圧迫が非常に多いから、無用に地方自治体というものが苦しんでおるということがあるのであります。この弊害をなくしますることが今回の地方制度改革の一つの大きな狙いでなければならんと思うのであります。この点がどうも便宜主義からまあ一応この程度でこの際納めておけば無難だからという、多少安易な考え方から勢い責任の不明確な点をそのまま残されておりまするような気持がいたすのであります。  で、例えて申しますれば、第一の府県性格に関する事項でございます。その中で国家的性格を有する事務を処理することをもその任務とするというふうに規定されておるわけでございます。正しく実質上はさようなことに相成つておるわけでございます。行政事務の徹底的な再配分をやりまして国に属しまするところの委任事務最小限度にする、それ以外の事務府県市町村をしてそれぞれ責任と工夫を以て処理せしめるというふうに、そこにもう少し明確なる線というものを置きますることが制度改革及び地方自治の確立に大きな影響を与えるものと私どもは考える。この線に沿うて飽くまでも府県というものは地方自治体であるというこの点を明確にいたし、そうして国との関係におきましては、国の必要といたしますところの事務を県が或いは団体委任、或いは機関委任を受けまして、そうしてその線に沿うて国に協力を申上げる。その範囲におきましては国の厳重なるところの指揮監督を受けることは勿論でございます。併しながら地方自治の仕事に関しまする範囲におきましては、国といたしましては干渉し或いは指揮監督を振いますることは穏当でない、飽くまでも地方の創意と工夫による責任によりまして一自主的にこれを処理いたしますることが適当かと思うのでございます。その地方事務と国から参りまするところの委任委託事務との間にはつきり線を引いておきますることが、国のためにもよろしいし、又地方自治育成強化の上においてもよろしいという固い確信を持つておるわけでございまするが、さような線から考えますると、県の性格国家的性格を有するところの事務を処理することを任務付けるということは少し如何かと、かような考えを以て、それに沿うた修正意見を提出いたしておるのであります。これは勢いこの府県自治事務を極めて少くし、そうしてだんだん知事の公選も官選に切替えるところの含みを持つた考え方であるというふうに地方団体及び地方の住民は憂えておる点でございます。  更にこれと密接な関連を持ちまする事項といたしましては、地方事務官制度を活用する、大胆に露骨に表現されておるのであります。で、地方が国の事務委任を受け或いは委託を受けまして処理する場合におきましても、何も地方事務官制度によつてこれを行う必要はない。で、地方自治体の職員をもつてこれを行わしめますることもできるんであります。特に県庁の中に地方公務員国家公務員と二つおりますることは、待遇の点或いはその他の点、全体の融和を図つて一身同体なつ地方自治事務をやり又国にも協力いたすという点から考えまするとどうも納得できないのです。強いて地方事務官制度を活用せんといたしますことは、強いて府県性格に国家的な事務を処理する任務を与えたことに基くものでありますると同時に、今後出先機関の廃止とか或いは事務の再配分をできるだけし易いように便宜主義から妥協されましたところの線ではなかろうか、かように考えるのでございます。これはのちに出て参りまするところの警察官の身分とも非常に密接な関係を持つておりますところの重要な点でございます。即ち形式は地方自治にして置きまして、実質におきまして地方事務官というものを置いて中央が牛耳つて行こうという伝統的な封建思想に基きますところの考え方である。この極めて極端な封建的な思想を打破いたしますることが地方制度改革基本でなければならん。さような点からなお地方事務官制度を活用するというふうな露骨な表現が勢い出て来るのではなかろうかとかように考えているわけでございます。  なお、警察行政につきましては答申原案で御覧の通り、一応府県自治体警察を創設するということには相成つておりまするが、更に中央機関を設けることになつております。更に国家的事件につきましては国が指揮監督をする。又府県自治体警察の身分につきましては特別な取扱をする。この特別な取扱というものが実ははつきりいたしておりません。完全に地方公務員といたしまするのか、或いは地方事務官と同じように、昔ありました地方警視国家公務員を以てこれに対処いたしまするのか。このはつきりしないままの特別取扱という表現に相成つております点。更に警察費につきましては一定の負担を国がする、二分の一するのか、或いは又国の治安事務の執行に要しまするところの費用は国が負担するのか。さような点が実に不明確な表現に相成つているのであります。警察事務のうちには府県ごとで処理し得ますところの自治事務、これは相当たくさんあると思います。併しながら国全体の立場から府県の区域を越えて処理しなければならん事案、即も国際的な犯罪でありまするとか、或いは通貨偽造の犯罪であるとか、或いは相当大規模な騒擾の罪であるとか、さように府県単位の区域を以ていたしましては不十分なものにつきましては、国の治安事務としてこれを処理すべきではないか。このできまするところの中央機関は、一面におきまして府県自治体警察相互連絡、或いは府県自治体警察を以てなすことが適当でない施設の整備、更に進んで国全体として、国の治安確保のために必要といたしまするところの国家警察事務というものを処理いたしますることが実際必要であり、適当なのではなかろうか。かように実は考えられるのでございまするが、それらの点は実に不明瞭でございまして、すべて警察というものは府県にやらせる。そして国が一部の財政的な権限或いは人事権というものを掌握いたしまして、実質におきましては国家警察の形に持つて行こうというふうに想像されないこともないという点が、すべて各方面で憂えられておりまするところの重要ポイントであろうかと思います。これらにつきましては、もう少し明確に、中央機関の政府、県警察職員の身分、更に且つ地方との財政上の負担区分、これらを本当にはつきりさしておきませんと将来思わざる不幸な事態が発生することなきにしもあらずというふうに考えざるを得ないのであります。従来国家警察が挙げましたところの功績もございまするが、国家のために与えました損害も決して少くない。この損害だけは将来におきまして、絶対になくいたしますることを、この際私どもは慎重に考え、慎重な態度で臨むべきではないか。強力な権限を行使いたしまする警察において、特にその感を深くいたす次第でございます。  次に義務教育行政につきましては、一応原則として府県単位教育職員行政財政の管理をいたすという線がはつきり出ておりまするが、五大市につきましては特例を設けまして、五大市責任とされております義務教育に従事いたしまする教職員人事、給与、その池の行財政管理権というものはなかなかむずかしい問題でございます。過去におきましても、市町村単位でやつてこれではいかない、或いは教員の俸給の不払、或いは教員の人事の停滞に伴いまするところの教育全体の沈滞という苦い経験を持つておるわけでございます。そこで今回の審議に当りましても如何なる単位におきましてこの義務教育を扱うかということが慎重に検討されたと思うのでございますが、広域自治行政取扱いまするところの府県単位がよろしい。成るべく広い範囲において行うことがよろしい。一つの府県の中で市の教職員、県の教職員の二つがありますることは、或いは給与の面或いは人事異動の面におきまして非常なさし障りが実際の面に出て来る。財政力府県と市というものが違いますれば、まするほど起つて参る。その人事の不公平な取扱というものが実質的に教育全体の効果に及ぼす影響というものは測り知るべからざるものがあるということを考えざるを得ないのであります。従つて飽くまでも広域単位においてこれを行うことが教育自身からいつて本当であるということの判断を下す以上は、五大市に限り、如何に政治的な運動がありましようが、さようなものに考慮する必要がない。断固として教育の将来性を考えて線を引くべきではなかつたか、かように実は考えるのであります。  更にこの教育委員会制度を現状のままに存置するというふうに相成つております。併しながら委員そのもの公選制は廃止する、公選制によりまするどころの教育の政治的な中立性が保持されておりません。現在これはその通りであろうと思います。更に一般行政委員会の問題につきましては政治的に特に強く要請されまするところのものはこれだけは存置してあとは原則として廃止するという線をはつきり出されておる。この公選制廃止とそれから委員会制度整理統合基本方針からその教育委員会を眺めてみました場合におきましては、現行通り行政機関としての行政委員会として存置する必要はない。多数の委員によりまするところの行政責任負担は日本ではなかなかうまく参らないのが実情でございます。責任のなすぐり合いと申しまするか、勢いこの全責任を持つて教育内容をよくして行こうという熱意というものはどうしても薄らいで来るのが各府県教育委員会実情じやないかと私は思う。そこでこの委員会行政機関としてでなく、行政責任は市長に統一をいたし、そうして諮問機関にいたしますることも教育重要性から考えて如何かと思われまするので、行政機関諮問機関の中間に位いたしますところの審議機関程度、即ち教育に関しまするところの人事、予算その他の重要事項というものはこの審議会の議を経て長というものが全責任を持つてそれを行う。教育も勿論政治的に中立性を保障しなければなりません。又地方実情にも沿うた義務教育が実施される必要がある。さような面からいたしまして、最も適当な人がその制度に関与されますることが最も実情に適応するのではなかろうか。かように考えて私ども教育委員会現行通りでなく、審議機関としてこれを存置するほうが適当であるというふうに考えておるのであります。  なおいわゆる内政省の問題といたしましては、一般の注目をあびておりまするところの中央機関創設の問題でございます。原案におきましては地方におけるところの行政総括機関として強力な中央機構を設置するというふうにあります。これをそのまま眺めてみますと、どうも地方行政に対しまするところの権力的な統制をもつと強化しなければならんという色彩が強いようでございます。ここに実は問題があるのであります。国と地方自治体との関係は、飽くまでも権力的な干渉支配というものを地方自治の建前から除いて参らなければならん。併しながら国といたしましても地方自治の本旨を実現いたしまするがためには、やはり地方自治育成強化のために必要な干渉、助言、或いは調整機関の作用というものがされなければなりません。又地方といたしましても、国の仕事に対しましては委任を受けて極力中央に協力しなければならん一つの線をはつきり引いて、そこにお互いに協力態勢の実を挙げまして、相共に日本の復興に精進いたす、かようになすことが正常な関係であろうかと思います。これが現実におきましては殆んどできておりません。制度改革をいたしましてさような正常な姿をここに築き上げ、築き上げました以上は国からそれを乱さない、地方から乱すはずはございません、国の各省がそれを乱さないというふうに私どもは何らかの方法で保障が欲しい、さような意味におきまするととろの中央機関は是非必要じやないかと、かように考えておるのでございます。内務省の復活を夢み希望しておりまするところの気持は毛頭ないことを御了承願いたいと存します。  第二に財政部会関係でございまするが、これは行政部会と全く異なりまして全般的に見まして満足できない、又賛成でき得ないものでございます。恐らく採決をいたしたならば全部原案が否決になつたであろうということを私は想像いたしております。即ち第一は各委員意見、特に実際に財政取扱つておりまするところの地方団体側委員意見というものが十分消化もされてない。消化されておりません以上適当にこれを取捨選択することができないのは勿論であります。なおこの財政収支に関しまするところの数字的な検討が総合的にされておらないような気持がいたすのでございます。知事会といたしましては制度改革におきまするところの財政収支の面は、経理的に長期間に亘つて調査をいたしたのでございますが、お手許に差上げてございまするところの財政規模推計表に現われておりまするような状況でございます。これも御参考に一つ後ほど御覧を頂きたいと思います。そこで第一回の答申原案部会の審議の際にも、私からお手許に差上げてございまするような質問事項を提出、事前に申上げ、そうして部会で答弁を求めたのでございまするが、殆んどこれらの質問に対しまするところの満足すべき答弁は得られなかつたのでございます。又地方税財政制度改革の基礎となりまするところの財源の所要額の総額、それらも杜撰でございまして、又改正の基本方針というものもはつきりしておらない。なお進んで地方税の改正につきましてはその内容等地方の実態から考えまして全く適しない点が非常に多い、いずれの面から見ましてもどうも我慢ができないというので起草委員は熱心に検討されたのでございまするが、遺憾ながら強硬な全面的な再検討の要請を申上げざるを得なかつたのでございます。かようになりました根本の原因は小委員が僅か三人でございます。その二人は京都に住んでおられるかたでございます。東京に住んでおられるのは一人でございます。従いまして委員のいろいろな都合もあつて会合をしばしば設けられますことに容易でなかつたろうということも実際想像される。初めから学識経験財政部会委員というものの数が少な過ぎたということをあとから実は非常に悔んでおるよろな次第でございます。要するに全面的にどうも十分な検討が行あれていない。税というものをこういじくり廻して一応けりがつけられて答申なつておるというふうな、甚だ起草委員に対しては相済まん無礼かとも思いまするが、率直に申上げますると、そういう感じを持たざるを得なかつたのでございます。そこで今再検討を要望いたしました要点を申上げますることも時機であるかどうかと思いまするが、折角の機会でございまするから一、二申上げておきたいと存じます。  第一は地方財源所要額の総額の問題でございます。答申原案によりますると、その中で現行の地方財政計画に不合理があるということを認めまして、三百億円程度その不合理の是正に必要だという線が出されております。その内容も説明書に詳しくつけてございまするが実はかように大ざつぱに出されては困るのでございまして、税制度というものは府県市町村と体系を異にいたしております。そこで税財政制度を考えます場合におきましては、府県分でどう、町村分でどうかようにはつきり線を引いて最初から出発いたしませんと、ここに適当なる税財政制度が生れるはずはないので、一本といたしまして大ざつぱに三百億円ぐらいだろう、府県はどうか、市町村はどうかといつてもその線がはつきり出せないようなことで、どこに税財政制度検討したかと言いたくなるくらいでございます。私どもは先ほど申上げましたように長期に亘つて検討いたしました結果、お手許推計表がございますように、現在の地方財政計画におきましては三百三十二億四千五百万円の不合理があるというふうにこれを断定いたしております。これに対して答申原案で推定されておると思われます点を特に私どもが引張り出したのでありまするが、百七十四億四千二百万円ということになつておる、相当の開きがございます。その開いておりまするところのポイントは、夏期手当が本年は〇・二五、年末から繰上げ支給されております。その穴埋めもできておりません。それから昨年の年末に〇・二五の給与改善が行われたのでありまするが、本年も必ずこれは行われるべきでありますがそれも見込んでございません。宿直、日直の手当も国家公務員に比較して府県分の単価を特に理由もなくして切り下げております。それから補助基本額の寡少によりまするところの地方超過負担分、これらも一応は見ておりまするが、ただ職員だけでありまして、事務事業についての寡少額は見ておりません。下から仔細に検討いたして参りますと、地方の枠といたしましては七百四十六億、地方財源分といたしましては二百五十七億、最後の附記の欄に掲げてある数字でございます。でこれを元にいたしまして、府県分といたしましては現在の地方財政計画の不合理というものが二百六十億ある。かような基礎を持つた数字でございます。更にさようにいたしまして、現在の地方財政をあるべき姿に一応返して行くということが第一次の操作でなければならん。第二次におきましては、制度改革いたしました場合に、事務の減少、整理節約に伴う節約額がどのくらい出るか、或いは事務の増加に伴いまするところの新しい財政需要というものがどれだけふえるかということを仔細に検討しなければならん。それは行政部会はつきり線が出ておるのであります。即ち国家警察は廃止して、府県自治体警察になるということになりますれば国の予算はそれだけ減るのであります。又自治体警察府県に持つて参りますと市町村財政の枠はそれだけ減る、かように差引き増減をいたさなければならんわけでありまするが、これが実にはつきり出ていない。ただ単に大ざつぱに節約すれば二百億円程度が出る、その節約の内容も現在の義務教育教職員を五〜六%行政整理をするとか、六・三制等に対しましての制度改革結論も出ていない。財政面から勝手にやればこれだけ出るというふうな、数字を余りに軽率に取扱い過ぎる、さような問題が実はあるのであります。又社会福祉制度を今後どう持つて行くか、又結核療養制度を今日のごとく生活保護法の建前でなく直接誰にも治療補助をやるという行き方で行くのか、或いは元の財政負担のない者だけに生活保護法の適用をさせて行くほうがよいのか、結核行政並びに社会福祉行政というものを今後日本としてどの程度にどう持つて行くかという行政的な結論が出ません以上は、財政的には節約額を見込むのは時期が早いのではないかというような気持がいたしておるわけでございます。さような関係節約の面につきましても非常に問題がある。更に事務の増加に伴う経費、即ち府県分といたしましては警察が参りますれば三百八、九十億かかる。出先機関を廃止いたしましても仕事が府県に参るのでありますからそういたしますと百三、四十億はかかる。いずれも現在よりも二割程度かような制度改革をすれば節約ができるという線で、さようなケースを慎重に考えてはじいたつもりでございます。そういたしますと制度改革後におきまするところの府県として減少いたします分は百四十億でございます。中味といたしましては、警察関係が二割節約といたしまして九十六億、出先機関が二割やはり整理できる経費といたしましては三十四億、その他のものが十億ということで百四十億を見込んでおるわけでございます。  なおこの新たに増加いたしまするものといたしましては、府県分が五百二十二億、警察と出先関係これらでございます。これらは一部は国家の予算が少くなり、或いは市町村の費用が減少するのであります。全体といたしましては二割程度、即ち百三、四十億のものがかような制度改革によつて財政の需要の枠が少くなるという結論でございます。さようにして先ず現在の姿をあるべき姿にかえす。制度改革後におきまするところのプラス・マイナスを差引きまして平年度におきますところの財政規模、ここにございますように五千六百三十四億円というものを目標にいたしたわけでございます。これを目標にいたしまして今後の府県税財政制度というものを私ども検討いたしております。ただ行政部会出先機関は例示したしまして、これこれのものは廃止することを原則とするけれども検討するということがつけられましてそれで検討するという建前から申しますると、具体的な線がはつきりせん以上今直ちに財政需要に上げることが適当でないといたしますれば、百六十九億円をこの規模から下げる。又義務教育のうち五大都市の義務教育五大市でやるということになりますれば、百六十四億円府県の枠から少くなる、小計いたしまして三百三十億ということになります。で、かような線で参りますと五千三百億程度制度改革後におきますところの府県財政需要の枠と、こういうことに相成るかと思いますが、今直ちにさような線では私ども主張いたしておりませんので、従来通りの主張を続けておるわけでございます。  で、そこで次にこの改革基本方針というものは、先ず現在地方は独立税源に悩んでおる、僅か総計で見ましても二割を超えるような府県の自主税源、極端なところになりますと、八%位の自己税源しかない、かような姿で、地方公共団体であるということは実は言えない。もう少しもつとこの自己税源というものをふやすということが重点でなければならんと思います。で、さような観点からいたしますると、現行の地方税というものは原則としてあつちへ動かしたりこつちへ動かしたり、いらうべきではない。足らんところは国の税財源というものを地方に委譲するというのが本筋ではないかと思うのであります。この答申によりますと、府県の遊興飲食税は国に持つて行く、それから大蔵省は更に入場税も持つて行きたい、それからこの市町村の税で一番大事な市町村民税のうち、個人法人割の二〇%、これは五、六十億になるかと思います。これは国に持つて行く。一部都道府県民税を作つてやるけれども、それは市町村民税を減らして委譲して持つて行く、約七十五億ばかりかと思う。償却資産税は市町村府県が分け合うというように現行の地方税をあつちへ動かしたりこつちへ動かしたり移動に重点を置れておるようであります。ただ市町村にはたばこ消費税を設けてやる、それだけでございます。自主的に府県に税金を新たにふやしてやつたというものは一つもありません。そこで先ず府県の独立税源というものを拡充強化するというこの大眼目を失つてはいかん。  次には税源の偏在というものを是正する。これは勿論各府県に非常な大きな税源の偏向がございます。それはできるだけ偏在の是正はする必要があると思いますが、これも独立税でやりまする方法と、或いは配付税の方法によりまする方法があると思いまするが、先ず私どもの希望といたしましては、独立税でできるだけ税源調整というものをやつて頂きたい。第三番目には、さようにいたしましても、府県間の不均衡はいわゆる財力、力そのものが違つておりまするので、何ともできません。それは財政調整というものをこれは是非必要とするのであります。狭い日本の国でこの県とこの県との標準行政というものは大きな差異を置くわけには参りません、今日の段階では。そこでどうしても財政需要というものは一定限度要るのでありますから、税源が足りません以上はやはり国で御面倒を願う。それで財政調整をお願いする。そこで必要最小限度財政需要というものはとにかく弾力性ある方式によつて確保される。これが今まで弾力性かありませんために毎年々々皆さんにも御厄介にもなり、中央各省には非常にいやがられながら平衡交付金のお願いを申上げた根本的な理由がそこにあるのでありまするから、赤字悪循環を断ち切りますためには、どうしても適正な弾力性のある財政調整の方式をこの際に打立てなければ、従来のような陳情々々これを年がら年中繰返すことになるかと思います。  次に地方税についてでございまするが、都道府県民税の創設は私ども負担分任の精神から従来主張して参つてはおるのでありまするが、市町村民税から委譲を受けて府県民税を作るということにつきましては、これは反対でございます。さような趣旨ではない。移動すべきではない。飽くまでも国の税財源から適当に委譲してもらわなければならん。ただ現在の市町村民税の賦課比率が非常に複雑になつておりまする関係から、都道府県民税を設けまする場合におきましては課税技術が非常に困難かと思います。これらにつきましては自信のある方式を相当検討すべき余地があるんじやないかというふうに思つております。第二遊興飲食税の国税移管、これは賛意を表しかねる。なお入場税を国税に委譲するというのは大蔵省方面の非常に強い要請になつております。東京に、義務教育費が半額国庫負担なつて本年度は四十八億、平年度は七十何億これは余分に行く。法律改正も提案説明もできないというようなことで、大蔵省は何とか今度は税制改正で正しい姿に戻したいという気持が強いようであります。これをやりますためには入場税も持つて行かなければならないというような主張をされておりますが、これは全体的な府県の独立税源の小さな力しかないという考え方からいたしましても、又国で取りますることも、地方で取りますることもそう変りがないと思います。何も理論的根拠は、国に持つて参りまする上におきまして、ないというふうに思われまするので反対をいたしておるのであります。償却資産税の府県市町村の配分でございますが、これは同一地方税というものを二分してあつちとこつちで取るというようなことは手続もかかるし、まあ多少税源の偏在是正という点があるのかと思いますが、まあまあ余り好ましいことではないようにも考えられます。たばこ消費税は府県税として是非創設さるべきであり、大体酒よりもたばこのほうがその消費が府県間の均衡の度合が高いのであります。非常に均衡のとれた消費税に私はなると思いますので、これを一つ思い切つて創設されこれを大幅に地方に与えられる。徴税費も誠にかからない、徴税も簡易なものでございまするので、是非一つ御配慮願いたいと思います。酒消費税も府県税としてでき得れば創設いたして頂きますることが望ましいので、これは全体の財政需要の枠の問題とも関連いたすと思います。  そこでかような知事会で主張いたしまするところの税制を確立いたした場合におけるところの結果でございまするが、参考に掲げてございまするように、府県税の増収は僅か八十五億であります。自治体警察だけでも三百八十億もかかるというのに、この八十五億がどこから計算されたかちつともわからない。奇妙なことには大蔵省は百四十八億ふやしてあるというような数字が出ております。これは府県分であります。知事会修正案によりますと税増収分が九百九十八億、ただ出先機関の問題、或いは五大市義務教育を除いて考えますると三百三、四十億がこれから減りまするから、六百三、四十億ということになるわけであります。これは事務がふえまするし、又従来の財政計画に不合理があるのでありまするから、多少大きな数字になりまするが、これは止むを得ない数字であります。それから現行制度知事会修正案によりまする自主税源と財政需要額の比率の比較を参考のために差上げておきましたが、二十八年度の財政計画に基きましての計算をいたしてみますると、自主的な税源は僅か二三・六%であります。最高が五六・六%の大阪、最低は八・一%の岩手、かように修正いたしましても漸く四〇%足らずの三九%、最高の大阪が七〇・五%、最低が徳島の二〇%に足らない一九・一%という姿になるのであります。  それから財源調整の問題につきましては、これはいわゆる地方交付税というような姿になつておりますが、これは名前の変更だけでありまするが、強いて名前をかえられまする理論的根拠は了解に苦しむのであります。地方財政平衡交付金制度は、それは本当に筋として正しい制度でありますから、これをむしろ生かして今後育成強化したらいいのではないか。ただ弾力性がない。そこで地方交付税の内容を盛り込んだ制度の改正をやれば、それで十分である、特に大蔵省方面といたしましては、地方交付税にいたしまして、実質は配付税に持つて行こうというのであります。調整平衡交付金制度というものは、これは止めだ、即ち税で与える。配付税にいたしまして、地方に当てがいぶちにするという、勝手なことをして困るからもう縁を切つてしまう、税でこれだけ、交付税でこれだけ、あとは知らん、勝手にしろ、という当てがいぶちという方向に持つて行こうという魂胆ではないかというので、そこで地方交付税という名前がひよこつと出ているような気持がする。さようなことで地方行政育成強化しよう、或いは地方自治というものをもう少し親心を以てやつてやろうというようなことには、とてもならんのです。国のために非常に残念です。やはり面倒ではありまするけれども、或る程度弱いものは助けてやる。全体として地方自治というものが正しく伸びて行くためには、弾力性のある財政調整というものがせつかく生まれたのだから、これを一つそのまま存続すると同時に、内容を改善して行く。名前はそのままにしておくということを強く主張いたしておきます。  次に、地方自治制度でありますけれども地方公共団体中央金庫の制度につきましては、私ども地方公共団体が、もう少し自主的に力を合せあつて信用力を拡大強化して、せめて公募公債、或いはつなぎ資金だけで竜、自力でできるような姿に持つて行こうじやないか、今地方で予算を処理することも大事でございまするが、金のやり繰りをいたしますることが、今日の地方行政の能率を上げまする上におきまして、非常に大きな問題であります。ところが公募公債を認められましても、東京、大阪等は消化ができますけれども、田舎の県としては、実は信用力もないし、利子は高いし、とても借りようと言つても借りられはしない。そういう欠陥がありまするので、もう少し私ども協力し合つて、中央にばかりに厄介にならない、そうして何とか金のやり繰りを考えたいというのがこの制度でございます。これは六団体、即ち市町村側、府県側共同研究をしばしばやりまして、各団体ともこの線でよしかろうというので、参考試案までできておるのでございますから、是非一つこの頭を出すように御高配を願いたい。特にお願いを申上げまして、地方債につきましてはいろいろ議論はあるところでございますが、だんだんと最小限度において地方の自由も認めてやる。公募公債とか、多少一定限度ものとか、もう少し自由の範囲を認めてやる方向にお考えを願う段階になつておるじやないかというふうなことでございます。  地方財政の再建整備につきましては、前から非常に御心配をわずらわしております。恐らく国会でも継続審議になつておると思いますけれども原案によりますと、二十八年度の決算ということになつております。それはまだ二十八年度の決算は出ておりませんし、赤字がどのくらいになるかわからん、二十七年度の決算ははつきり出ておるのであります。私ども府県、本当に厳密に調査いたしました結果、百七十億という線がはつきり出ておる。繰上給与は幾ら、或いは国に対しまするところの直轄工事の分担金などが納入できていないとかいうものを仔細に点検いたしまして、集めたものが百七十億でございますが、そこで国会の継続審議のものもやはり二十七年度の決算というものを対象にされておつたのではないかと思います。私どもの希望といたしましても、先ず取あえず二十七年度の決算を対象として解決を願い、若し万一二十八年度の決算に赤字が出ましたならば、やはり適用願う。今年は国会でも、出ないように更に今後御高配を願うし、私どもも一つ努力したいと思います。それから赤字の原因というものが、これはどうも原案によりますと、地方は勝手なことをして勝手に出した赤字だからけしからん、税金も一・二倍取るし、節約をうんとしろ、まあけしからんやつというふうな気持が非常に強いようでありますが、赤字の実態を仔細に調べて見ますというと、国の制度及びその制度の運営というものから来るものも実際はあるのでございます。それがために今度のこの制度改革においても、初つぱなに地方財政計画の不合理であるという線が出ているのでありすすから、その線か二見ましても、従来の赤字はやはり中央も、国本責任を分担願わなければならん範囲があるわけでありますから、もうちよつとそういう範囲につきましては温情のある手当をいたして頂きませんというと、折角の親心が何とも彼とも親心にならんということになるわけであります。これは二十七年度におきまする赤字債の額は府県はつきり出ておりますので、百七十億と銘記して頂きたい。  かような点が財政部会に対するところの要望でございます。近く総委員会で再検討されまして、どういう案が出るかも知れませんが、又総会でどういうふうな討議され、答申原案がきまるかわかりません。いずれにいたしましても、今の空気ではどうも地方自治に対しまして熱情、愛情というものが、どうも全体の空気から薄いようであります。この点については私ども強く反省しなければならん点もあるのでありますが、併しもう少し地方自治に対して理解を持つて頂き、温情を持つて頂くような方向に参りませんというと、今後の地方自治体の確立は容易でないというふうな気持がいたしております。  そこでこの参議院の地方行政委員会におきましては、どうか一つ私どもの気持をお扱み取り頂きまして、今後必ず出て参りますところの法律案予算案につきましては、格別の御高配をお願い申上げまして、御説明を終る次第であります。大変冗長になりまして恐縮であります。
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) 有難うございました。それでは次に全国都道府県議会議長会代表神奈川県議会議長松岡正二君にお願いいたします。
  5. 松岡正二

    参考人(松岡正二君) 只今御紹介に預りました松岡でございます。  先に八月の十八日この場所で参議院の皆さんには地方税制、地方制度の問題につきまして一応我々の意見を発表する機会を与えて頂いたわけでございます。再び地方制度調査会の小委員会の案に対しまして、それぞれの立場から意見の発表をするところの機会を与えて頂きましたことをお礼を申上げます。私の側といたしましては知事会意見と相当重複する点も多々あるわけでございますので、時間の関係もおありと考えますので、それらの点に対しましては省略いだしまして、以下順を逐いまして、我々の意見を申上げたいと存ずるわけでございます。  まず小委員会原案につきましては、いろいろ審議の過程の状況説明やら報告を承りまして、今我が国の現在進みつつある方向並びに地方自治が今後どのように行くべきであるか、これらの観点に立ちまして、一応妥当の線と認めているわけではございますが、併しながら全般を通じて、先ほど知事会からも申されたわけでございますが、幹事色が強く、地方自治の後退を強めていると、我々は考えているわけでございます。地方自治の本旨という観点から、特に議会の問題のごときは、特に我々としては関心を持たなければならん面と考えるわけでございますし、幸いに参議院の皆様におきましても、この問題に対しましては、後ほど私から御意見を申上げるわけでございますが、とくと御考慮を願いたいと、かように考えるわけでございます。なお、原案に対しまして賛成の個個の問題につきましては省略させて頂きます。なお、知事会と重複している点も、これ又省略いたしまして、それらの問題以外の問題に対しまして、極く大ざつぱに意見を申述べたいと存じます。  先ず第一に行政関係でございますが、第一に、地方公共団体性格として、府県国家事務を処理することも本来の任務であるとし、今まで以上に国からの指揮監督を受け、府県国家機関的性格の強いものにしているわけでございます。これは完全自治体として絶えず我々が主張しているところの府県性格から考えてみて、これを弱めるところの恐れがあるわけでございますが、これは自治の本旨を実現するゆえんでなく、府県はあくまでも自治事務を処理することが本来の任務でなければならないのでありまして、国の事務を大幅に自治事務として譲受け、国から委任事務として関与されるのは必要最小限度に止めてもらいたい、これが主張でございます。従いまして、この府県性格から申しまして、機関委任とか或いは団体委任とかをふやしたり、地方事務官制度を活用することは、中央集権化を意味するものであるから、我々としては反対である。  次に府県規模の問題でございますが、これはあくまでも個々の実態に即応して考えるべき問題であつて、これを道州制と一緒にして考えるということは、我々としては反対である。  次に警察制度であります。警察制度知事会意見原案、それらに対しては、我々が主張しておつた問題とさしてくいちがいはないわけでございますが、ただ問題は、先ほど知事会からも意見が出たわけでございますが、身分の問題でございます。小委員会原案について、府県自治体職員身分待遇については、特別の取扱いをするということになつているわけでございますが、当日の小委員会が始まる前に、手間取つた問題はやはりこの身分の問題にあつたわけでございまして、我々としてはどうしても府県自治体警察である以上、地方公務員であるということを、はつきりと明確にさせてもらいたいということを主張したわけでございますが、少数により敗れているわけでございます。今後この問題がやはり警察法の改正の場合、一つの大きな問題になる点ではないかとかように考えております。この問題に対しましては、たとえ隊長一人にいたしましても、或いは四、五人の幹部を国家公務員にするという場合であつても、地方自治体の全部の職員は、やはりそれらのものについて指揮監督を受ける以上、自治体警察というものは名ばかりに止まるわけでございますので、これらの観点からいたしまして、私たちとしましては、身分はつきりと示すことこそ、地方自治体の、特に府県自治体警察はつきり示すゆえんであつて、身分が異るということは、これが性格国家機関的ないわゆる国警的の存在に落す以外の何ものでもないということを強く主張するものであります。その他の問題につきましては、知事会と何ら意見のくいちがいはございません。  次に、議会の関係でございますが、議会の組織及び運営に関する事項でございます。これは原案では行政の簡素化、合理化及び能率化に関する事項の中に入つているわけでございます。いろいろの議員の定員を現在の三分の二程度に減らすということであります。これは従来本会が機会ある、ことに発表しております通りに、議会がその機能を適正に果すためには、議員数は、私から申上げるまでもなく、多数あることが望ましいわけでございます。これを三分の二に減少することを正当とするところの根拠を持つておらないものであります。民主主義或いは民主主義政治の推進と申しますか、或いは事務の能率化、簡素化と申しますか、これのいずれをとるか、こういう点、これらを考えた場合に、なお新らしい地方議会のありかたを考えた場合に、議員の定数を削減をして、いかほどのことがあるか。なお、申上げるならば、御存知のように、人口それぞれの差に応じて頭は打たれているわけでございますので、これは府県がそれ自体の、或いは市町村がそれ自体の条例によつて当然でき得る問題でございますので、それぞれの市町村府県の自主性に委して行くことがいいのであつて、これこそ地方自治の本旨ではないか、かように考えるわけでございます。  次に原案の名誉職の問題でございますが、その解釈に対しまして、私からも委員長質問いたしたのでございますが、この名誉職という言葉それ自体にいろいろの意見があるように存じたのであります。旧来言うところの名誉職ならば、戦前の議会となんら変るところなくして、新らしい憲法に保障せられましたところの地方自治体のありかたを根本的に破り修正するものであつて、本会がしばしば主張しております通り、名誉職にすることは議会の積極的政治活動を消極化して、議会を諮問機関的なものにしてしまう虞れがございますので、なお又御存知のように、住民意思の決定機関として今日まで果しているところの我々の立場を弱化せしめる結果になりますので、この点に対しても強く反対をいたしているものであります。  なお、議員の兼職の問題でございますが、小委員会の経過を承わりますというと、市町村府県というものが何かしら対立をしているので、府県の議員と市町村のものと、これが兼職をした場合にその間が非常に円満にスムースに行くのではないか、こういう気持から、この兼職の問題を一応取上げたのであるということを聞いたのでございますが、私の見ている範囲では、我我がこうした行政委員会であるとか、或いは財政委員会であるとか、それぞれの委員会の場合には、個々の主張を貫くという建前で、何かしらそこに摩擦があり、対立があつたように思われるのでありますが、実際に府県市町村がそれぞれ個々の結果におきまして政治をやつている場合に、これらの対立があろうということは考えておらないわけでございまして、小委員会の特に起草委員方々のこれらに対するところの好意に対しては感謝するものでありますが、現在これらの兼職を禁止している理由というものは、公選の職にある者は選挙民所属団体の業務に専心すべきであるとの建前であつて、今この兼職を認めるという問題に対して再検討する必要は毛頭ないということを申上げたいのであります。  次は常任委員会制度であります。これは小委員会におきまして起草委員の案というものが、一応原案が否決せられまして、運営を改善して存続するということになつております。これが又財政行政の合同委員会なつた場合に、果してどうなるかということは、なかなか予想は困難ではございますが、この問題につきましては、我々といたしましては、今後改善すべき点があるならば、これを改善して、現在の専門的と申しますか、議会の能率的運営と、殊に専門家の府県議会の制度という建前をとつて、将来これがいけない場合であつたならば、これを改善をして存続するということに是非お願いしたい、かような線をとつているわけでございます。次は、地方公共団体と国の出先機関関係であります。国の出先機関をできるだけ整理して、地方へ統合するとして、事務府県に統合するものと、委譲するものとに分けてあります。前に申上げました府県性格は飽くまでも完全自治体であるということを強く主張している我々としては、国の出先機関を縮小整理することに対してはあえて反対するものでなくして、原案府県の区内のものは統合することとし、府県区域を超えるものは府県委譲することとして、区分してあるわけでございます。このことは、出先機関の統合によりまして府県に対するところの国の指揮監督権が強化されることになれば、自治体としての性格が弱化することになるわけでございますので、この際思い切つて出先機関事務は、原則的に府県に委譲し、全く委譲のできないものは、統合するよりも、むしろ国が直接に処理することのほうが望ましいのであつて、そのことのほうが事務処理を明確化せしめる、かように我々は考えておるわけであります。どうしても統合できない問題は、それを残すことなく、国がやはり直接処理し、そうでないものは委譲してしまうという建前をとつてもらいたい、このことでございます。又国の出先機関府県に統合するということは、府県を国の機関化して、その実勢を弱めることでございますので、この点は我我としては強く反対を表示するものでございます。  最後に、その他の事項の中に、行政総括機関として中央官庁云々の問題がございますが、この問題につきましては、飽くまでも地方自治の擁護機関であるという建前はつきりと原案の中に謳うということを主張しているわけでございます。  その他につきましては、知事会と何ら変つておりませんので、御了承願います。  以上行政関係でございます。  財政関係は、先ほども友末知事さんが申されたのでございますが、今審議の過程にあるわけでございまして、相当難航を続けているようでございます。全般的に見まして、この問題は知事会と我々とそう意見の異つておるところはございません。一、二申上げまするならば、地方税制の改革についての小委員会の案の内容は、これを検討してみますときに、先ほどやはり知事会からも申上げましたが、今度の案によりますというと、既定の額に比しまして八十五億の増額にしか過ぎないわけでございます。本会の意見としては、府県の税収入は、少くともその自主性を確保するために、財政需要額の五〇乃至六〇、これとても少いわけでございますが、少くとも五〇乃至六〇%の税源をもらうように、又そうあることが自治体としてのあるゆえんである、かように考えまして、しばしば主張いたしておるところでございます。これが具体的な措置としては、府県民税を創設する。これとてもやはり府県民の負担の上からでなくして、国税の軽減によつて府県民税を創設する。そのほか償却資産税は全額府県に委譲する。償却資産税の性質からいつて、これは全額府県に移管してもらう。それから酒消費税の復活、或いは煙草消費税の新設、木材引取税の移管、なお又米作を除くところの農林業に軽度の事業税を課す、又遊興飲食税の国税への移管は、これは絶対反対しておるわけでございます。  次は、国と地方公共団体間並びに地方公共団体相互間の財源調整の問題でございます。先ほど、知事会では平衡交付金の制度を存続というように聞いているわけでございますが、我々のほうといたしましては、これが交付税制度に改めることは止むを得ないと考えるわけでございますが、この制度の実施運用に当つては、地方公共団体が基準的な行政を行うに必要な経費は常に保障されることに留意するということでございます。  その他地方債の制度であるとか、地方財政の再建の問題があるわけでございますが、これらは知事会と何ら異るところがございませんので、省略いたします。  以上、行政並びに財政に対しまして、全国都道府県議長会で草案に対しましてのまとまりました意見を申上げたわけでございますが、何とぞ議員皆様におかれましては、全国都道府県議長会の意のあるところを御忖度賜りまして、今後ともよろしくお願いいたしたいと存じます。御清聴有難うございました。
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) 以上を以ちまして参考人の公述は終ります。委員方々から参考人に対しまする御質疑がございましたならばお願いしたいと思います。
  7. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 松岡さんでしたかな、国の出先機関廃止は余り積極的に賛成しないというような御趣旨ですか。
  8. 松岡正二

    参考人(松岡正二君) 国の出先機関の整理は積極的に賛成もし、やらなければならんと思つております。当然やつて頂きたいと思います。私の発言の中にそういう言葉がありましたら訂正いたしますが、積極的に我々としてはこれを推進するものでございます。
  9. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 その場合に、その出先機関廃止した国の出先機関事務を、県に持つて来られるのは困る、こういうような御意見がございましたが……。
  10. 松岡正二

    参考人(松岡正二君) つまり私の申上げるのは、府県に統合した場合に、いろいろ事務制度だとかいろいろな制度を残されて、そうしてそのままの姿が残つていることは、府県の自主性を弱めるので、はつきりと委譲してもらいたい、統合をして紐を付けられることは困ると、こういうことでございます。
  11. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 そうすると、国家事務機関委任にしては困るということですか。
  12. 松岡正二

    参考人(松岡正二君) 或る程度機関委任団体委任、これは止むを得ないと思います。程度の問題だろうと思いますが。
  13. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ちよつと友末さんにお聞きしたいと思います。府県の一種の区域制と申しますか、今の府県の中でも人口的に非常に小さい所があるのですが、そういうのについては何かお考えがないのでしようか。要するに今度町村合併促進法といつたようなものがあるので、どうも一つには、府県に広域自治体としてやつぱり適当でないような地域があるように思うのですが、そういうものに対する御検討なり、或いはそういう……。
  14. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 現在の府県区域が適当であるというふうにも考えておりません。将来の問題といたしましては、もう少し地域的な適正規模を進めて行く必要があるということは異存のないところでございます。そこでその場合に何か基準を設けて検討するかということも相当論議いたしたのであります。即ち人口二百万という人口段階で以て検討するか。或いは面積で検討するか。或いは又大雑把に現在ありまする府県の総数を三分の一、或いは四分の一減らすというふうな考え方で行くか。或いは地域的な、例えば四国なら四国というものを一県にするというような方向で行くか、さような適正規模に対しまするところの基準というものも、私ども調査会でかなり検討をいたしたのであります。さような計数的な基準を設けますることは違法でないが、又設けましても、現段階といたしましては実現可能性がないと同時に、徒らなる混乱だけ起つて来るというふうな気持もいたしましたので、先ずこの現実に即応いたしまして、個々の問題として一つ慎重に積極的に検討して行こうじやないか、引続いてこれはやつて行こうということになつておりますると同時に、差当りの問題といたしましては、府県の境界、これが非常に不合理な点が実はあるわけであります。それらの問題もやはり相当取上げて研究はして行こう、併しこれも一村を動かしますることも実はいろんな関係で容易でないというような気持ちもいたすのでありまして、さような点も一つ研究をして行くと同時に、将来の問題といたしましては、やはり総合開発、国土を最高度にあらゆる観点から開発利用をいたして行くという線からも、やはり府県の適正規模というものを考えて行くべきではないか、この線をだんだん強く私どもといたしましては取上げたいという気持もになつております。  そこでまず差当りの問題といたしましては府県区域を超えて各府県協力一致してやらなければならない実質的な仕事というものを取上げて、そうしてこれを協同処理方式で一つ進めて行く。そうしてだんだんも住民ももう少し広い観点、広い区域でかような大きな問題は処理すべきだ、かように実質的に気運の醸成を図つて行きますることが先決ではないかというふうな考え方でおるわけでございまして、現在の府県区域がこれでよろしいと現状に甘んじておるわけではございません。今後の合理化についての行き方について、実はかなり深く検討を進めておるということを御了承願いたいと思います。
  15. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それに関連して、結局そういうふうに区域が、現状を大体標準にして、それを基準にしていろいろ考えて行くという考え方になりますると、五大都市、特に大阪府のように殆んど府と大阪市というものが地域的にも人口的にも重複しておるようなものについては、何か分けて考えないと意味がないような気がするのですが、そういう問題については何かお考えになつたのじやありませんか。
  16. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 大都市の問題と府県との関係なんでございますが、現実に非常にやかましい問題になつておるわけでありまして、これは都市自身が府県の範疇から独立したい、即ち府県と同様な立場に立ちたいという気持が実は強いようであります。実質的には二重行政の無駄を排除するということに実際はあるようでありまして、そこで現段階といたしましては、事務の適正な配分によつて無駄を極力排除して、その面から調整を図つて行くことが適当なんじやないか。大都市の区域を以ていたしましても、やはり処理し得ないところの仕事がかなりあるのであります。これはやはり府県の段階で都市を含めてやるほうが適当である、能率的であるというものもあるわけでございます。なお一番困ります問題は、大都市が独立した場合におきまするあと市町村、これが実は成立たないというふうな懸念もあるわけでありまして、取残されましたものの身になつてもやはり考え、取残されたものが立上つて自立して行かれる方向に実は安心感がありませんというと、この問題はなかなか解決できにくい。特に今日まで都市と農村との関係は、相互協力関係でお互いに発達いたしております。そこでさような面かをやはり広く考えて、小さなところに垣をたくさん作つて行くというのは時代逆行じやないか。狭い日本でございまするから、成るべく垣というものを拡げて行きまして、そうしてお互いが広い見地に立つて大きく発展して行く。それが行政的に見ましても、能率的じやないかというふうに、私どもは考えている次第でございます。
  17. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 もう一点、財政関係で、財源問題で先ほど部長さんからもお話があつたのですが、富裕県とそうでない県との考え方が、例えば遊興税の問題でも違うような気がするのですが、その間について何か知事会あたりで意見の相違というか、そういうものはなかつたのでしようか。結論だけお聞かせ願いたい。
  18. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 意見の相違が多少あつたのは事実でございまするがそれは要するにどちらが先かというだけの問題でございまして、先ず苦しいほうが先にやつてもらいたいという程度でございます。全体として各府県財政というものが余裕があり余つているということはどこもないと思います。皆苦しいのでございますが、苦しい中にもやはり程度がございます。苦しい程度の強いものを先にという程度の差と御了承願いたいと思います。
  19. 加瀬完

    ○加瀬完君 友末さんにお伺いしたいのですが、府県教育委員会審議機関にするのが適当であるという知事会の御意見のようでございますが、そうすると、知事会といたしましては、現行教育委員会法をもお認めにならないというお立場でございましようか。
  20. 友末洋治

    参考人友末洋治君) その通りでございます。
  21. 加瀬完

    ○加瀬完君 若干意見が挾まつて恐縮でございますが、今問題になつております地方行政の一番重視している問題は地方財政の貧困ということでありますと、その地方行政における財政的な貧困というものが、例えば教育委員会というものが現状いろいろ欠陥がありましても、これが全然ないものといたしますと、その財政のしわ寄せというものが全部教育のほうに被さつて来るという危険性もあるわけであろうと思う。そういう点、教育委員会制度というものを全面的に否定してしまうということが、果して地方行政全般から考えて現在当を得たことかといつたようなことにつきまして、知事会はどんなふうにお考えになつておりますか。
  22. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 御承知のように終戦後の地方制度改革の狙いは権力の実は分散でございます。これがいいか悪いか、いろいろ根本的な問題はあろうかと思いますが、日本の現状では民主化の線を、土台をどこに置くかということになりますと、やはり首長の公選と議会の選挙、先ずこの二つを基本的な土台として行くことが適当じやないかというふうに実は考えております。それが能率的であり、又民主化の線も崩さない。そこであらゆる行政はその線に沿つて分散しないで総合的に調整をとつてやる必要がある、即ち非常に分散され過ぎたものを現段階におきましては、或る程度集中方式に持つて行きますことが、まあお金の経済にもなりますし、能率的にもなるのじやないか、特にこの制度改革の線から申しますというと、先ず警察行政はこれは公安委員会行政管理、運営管理になりまするが、予算はやはり大体府県の自治的な予算ということになるだろうと思います。で、これも相当お金を要しまするところの行政でございます。更に義務教育も、原則として府県がやはり行政責任財政責任というものを背負つて行くということになりますれば、この費用も相当の額、警察以上に大きな費用を要します経費でございます。これらを従来所要いたします金と調整をとつて均衡配分するということが今後の非常に重大なポイントになろうかと思います。お説の通りうつかりいたしますというと、教育費に財源不足というものがしわ寄せされるという憂いがないことはございません。併しそれじやいかないのでありまして、苦しければ苦しいで、お互いに苦しさを分担し合う。それには実際使いますところの金も集中されて、目が届きますことが必要かと考えます。ただ予算を組んで、あと執行責任は全部任してしまうということになりますと、そこに全体としての不均衡というものが生じ易い。特に今後におきましては、金を平均してお互いにうんと能率を上げて使わなければならないときには、思い切つた整理をしなければならないという段階になつておりますから、その線がいずれの面においても同一歩調で行われる、教育におきましても、土木におきましても或いは経済、農林、いずれの面においても、同じ歩調で財政というものが効率的に動いて行くという面からいたしますというと、やはりその面からいたしましても、責任の最終はやはり中央に置いたほうがよろしいじやないか。五人ならば五人の委員に全部任せられますことは、財政の面から見ましても、又教育の本当の振興の意味からいつても、適当でないのであります。或いは又場合におきましては今後相当切りつめて行きまして、全体を切りつめて置いて、必要に応じて必要なところへ金を流すという、全体の眼から見た予算の臨時的な配分というものを考えて行くという場合におきましては、むしろ義務教育についてもそのほうが適当なのではないか。一遍予算がきまりましたら、あとは知らんぞということでなく、さように常時均衡のとれた予算の編成、執行というものを総合的観点に立つてやることが、却つて能率的じやないかというふうに、知事会といたしましては考えておるわけです。
  23. 加瀬完

    ○加瀬完君 よくわかつたのでありますが、昨日市町村関係の代表のかたからやはり同様の問題が出たのでありますが、知事会の御意見をやはり市町村も同様に考えますと、むしろそれならば、教育行政というのは府県ではなくて、市町村に返すべきだという議論も又成立つのではないかと思う。たしかに教育行政というのは広域自治行政の中に入れるのが妥当だと思われるのでありますが、そういたしますと、教育委員会法のいうそれを一つとり出して、教育委員会というものによつて教育行政だけを、勿論密接な関係において行なつて行くという方法も、市町村と県という二つの自治団体を考えますときに考えられる一つの方法というものにもなるのじやないかと思われる。知事会では、市町村教員身分なり教育行政権なりをよこせ、率直にいうならばという御意見についてはどんなようなお立場をおとりになつているのでしようか。
  24. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 実は従来御承知のように義務教育行政責任市町村段階にある。府県財政責任を持つております。そこに非常に不都合、不合理というものが出て困つておつたわけでありますが、折角国の方針で一度行政責任市町村段階に移りました以上は、財政責任もやはり市町村段階に移して見たらどうかというふうな一応方向を従来とつて参つたのであります。それにつきましても非常に議論はある。その当時の段階としては止むを得んだろうが、併しそれは長続きがしないということを強く私どもも考えておりましたが、そのときの情勢でさような、一応取敢ずということで参つておつたわけであります。今度の制度改革答申原案の線といたしましてはやはり小さな区域ではなくて、広い区域でこの義務教育はやつたほうが能率的であるというふうな線が出ておりまする以上、先ず一応その線に沿うて知事会としては考えて行きたい、市町村側の御了解を得たいというふうな気持を持つておるわけであります。
  25. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは午前中はこれにて質疑を終りまして休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは一時半まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩    —————・—————    午後一時四十六分開会
  27. 内村清次

    委員長内村清次君) 休憩前に引続いて地方行政委員会を開会いたします。  お諮りいたしますが、実は本日国家消防本部の滝野本部長から、先般当委員会におきまして可決されました消防施設強化促進法に関する消防施設強化に対する予算の配賦の状況を、一応委員方々にお知らせをしたいという申出がありまして、説明の時間は短時間であるというようなことでもございますが、本部長から説明を聞くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 内村清次

    委員長内村清次君) ではそのようにいたします。滝野本部長。
  29. 滝野好暁

    説明員(滝野好暁君) それでは前国会におきまして当委員会におかれまして御審議の結果、可決成立いたしました消防施設強化促進法のその後の施行状況について簡単に御報告申上げ、今後についても委員各位の特段の御配慮を仰ぎたいと存ずる次第でございます。  法律は本年の七月二十七日に公布と相成りまして、即日施行と相成つておるのであります。その後引続きましてそれの補助の対象となるべき施設の種類を決定する政令並びに補助金の諸手続に関しまする総理府令を制定いたしまして、更に補助の対象となります各種の消防施設の種類と、その規格ごとにその標準価格をきめる告示を作りまして、今日までその作業をやつて参つて標おる次第でございます。最初府県を通じまして各市町村の消防施設の補助の要望書を、これは極く簡単なものにいたしましたけれども、一応要望書を取りまして、知事意見をつけて御提出願うことにいたしたのであります。そういたしまして、配分基本方針といたしましては、市町村の人口、家屋、地理的条件等から見まして、現在保有いたしておりまするところの、消防に関しまする機械力、或いは施設の能力等が、国家消防本部におきまして出して勧告いたしておりますところの基準と比べまして、甚しく少いものである。又消防力を総合的に考えました場合に、他の要素に比べてポンプ台数が極めて不足して均衡を失するもの、又その地方の全体的な観点から見まして、各市町村の中心的立場にある町村ということを先ず考える、それから財源措置が十分可能である見込のもの、それから財政事情が補助金を必要とするという非常に要望の強い、そういう事情のあるもの、それから町村合併の事情があるものというふうなものを、なるべく優先的に扱らというようにいたしまして細かい打合せをいたすべく八月の十九、二十日の両日に亘りまして全国の都道府県の消防庶務課長会議を東京で開催いたしまして、その土で速かに地方の要望をまとめるようにいたしたのであります。それでその要望書が一応まとまりました結果は非常に大きなものでございまして、府県で十分調整して頂いたのてございまするけれども、現在まとまつて出ました数字は、消防ポンプ関係が六十五億七千八百万円、これは事業費でございます。それから火災報知器が二億二千万円、消防電話関係が四百六十万円、合計いたしまして六十八億余に上つております。更に貯水槽の要望が、これは一つ一つは時間的にとても間に合いませんので、大体の従来の要望を推算いたしまして、大体三十八億七千万円程度になるという見込でおりますが、合せまして約百六億程度の事業費を見込まざるを得ないという要望からいたしまして、さような結果になるのでございます。これを三分の一の基準で補助をいたしますと、おうよそ三十五億六千万円の補助金が予算的に必要なんでございますが、御承知頂いておりますように、本年度これは最初の予算でございまするけれども、僅か二億五千万円程度でございまして、十数倍以上に上るのであります。これが配分につきましては、都道府県も非常に勉強してもらいまして、全体の立場から消防強化のために緊急を要するものから逐次やつて行くという姿で今日まで計画を立て、持つて来て頂いて一つ一つ詳細に私の手許検討をいたしておけまするけれども、何しろ関係市町村が百有余に上る中で、補助を差げられる見込の町村は僅かに十か二十という町村にすぎないという結果になりまして、如何に従来の消防力が、今日まで町村固有の事務としてではございますけれども、十分強化されるのに困難を来たして来たか、又補助金という一つの大きな国の施策に期待しているということが非常にわかるのでございます。  かような事情でございまして、折角作つて頂きました法律でございますので、これが運用につきましては万全を期しておりますけれども、これが基礎となる補助金につきましては本年度はいたし方ございませんけれども、来年度以降におきましては各位の特別な御配慮を以て、これが強化を御推進頂くことができれば、非常に幸いと存ずるのであります。  一応簡単でございましたが御報告申上げてお願い申上げる次第でございます。
  30. 内村清次

    委員長内村清次君) 御質問ございませんか。
  31. 堀末治

    ○堀末治君 資料はまだですか。
  32. 滝野好暁

    説明員(滝野好暁君) 資料はまだ本日は作業中で数字が出ませんので、まとまり次第事務当局へ廻しまして、適当な方法で速かにお手許に届くようにいたします。   —————————————
  33. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次の議題に移ります。地方税固定資産税に関する件でございますが、これは前国会におきまして地方税法の一部を改正する法律案が可決されましたうちに、国鉄、専売公社、電電公社、日本放送協会、鉱害復旧事業団が直接その本来の事業の用に供する固定資産で政令で定めるものの以外のものには固定資産税を課することを得るというような修正議決をされまして、今政府のほうでも関係各省と政令の制定に対しての操作中であると聞いておりますが、その経緯について先ず政府のほうから説明を求めます。
  34. 後藤博

    説明員(後藤博君) 只今議題になりました国鉄、専売等に対しまする固定資産税に関する政令の検討を私どもいたしているのでありますが、新らしく賦課いたしまするために、申告期限から納期までの間に相当の期間を要します。それから個々の資産につきまして私ども実情に詳しくないためにいろいろこれから調査を要するものもございますので、先ず一番大きな資産を持つておりますところの国鉄等の資産につきまして現在調査をいたしているわけであります。先月末に運輸省の国有鉄道部長の細田さんにおいでを願いまして、そして、私どものほうで大体その政令の範囲に入るようなものを書き出しましてその調査をお願いしたわけであります。昨日その調査に基きまする土地及び家屋等についての細かい資料が出て参りましたので、現在それを私ども検討いたしております。その中で政令で以て範囲をきめる事項をこれから両者の間できめまして、それから今度は専売公社その他の公共事業体のほうにそれぞれ交渉いたしまして、同じような方式で以て一応課税の範囲をきめてから政令案を作りたい。かように考えている次第であります。  ついででありますから申上げますが、昨日の国鉄の資料では、私どもが要求いたしました資料が全部揃つておりません。土地と家屋に関する資料は全部出ておりますが、償却資産に関するものが出ておりません。従いましてそれはあとからお願いすることになつております。今まで出ております資料で多少私どもと異なつているものがあります。それを申上げますと、先ず宿舎でありますが、宿舎の関係は私ども収入をはじきますときは国鉄の決算書を基礎にいたしまして、決算の宿舎勘定に入つておりますものだけをよつたわけであります。ところが運輸省から承わりますと、宿舎勘定に入つていない他の科目のほうに入つておりますところの宿舎が非常にたくさんあります。これは第一種とか第二種とか義務宿舎に当るものだそうでありまして、それらが抜けております。ここで九千九百万円も違つております。それからもう一つは、貸付資産というものが私どもよくわからんのであります。ステーシヨン・ホテルでありますとか、ガード下でありますとか、そういう目につくものだけを私どもは考えておりまして、まあ大したものはないのではないか。税額にいたしましてそう大きな額にならんと思つておつたのでありますが、昨日出て参りました資料から見ますると、貸付資産が税額にして七千万円ばかりある。こういう資料が出ております。この二つの、国鉄側と私どものほうの税の計算の違いがございます。これをどうするかという問題が一つあるわけであります。以上附加えさして頂きます。
  35. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつとお尋ねしますが、大体この地方税の修正案が衆議院から参議院に廻つて来ましたときに、衆議院関係もその修正項目に対する額、これが参考資料として付いております。同時に又参議院で審議過程におきましても自治庁の後藤税務部長あたりの話では大体十三国会あたりこの問題は一度出た。勿論これは確かに参議院のほうでも地方行政委員会でも問題になつたことは確かにあると思いまするそこですでに営業に供しないこのほかの施設関係、そういう関係に対するところの課税の対象、而もこの額というものは大体において運輸省あたりとは話が一応ついておるのですね。そしてその修正の額というものは一億八千五百万円程度だ。これははつきり参考書の中に書いてあつたのです。そういうような資料を以てこの委員会に提出されてあつた。で勿論その審議過程においては、その内容の点についてはすでに第十三国会あたりで話合いが、大体において素案ができておるからというようなことで、今後は政令に対してはその話合いに基いた而も又資料に出たところの金額くらいでこの修正の、即ち補てんというものは、財源の補てんというものはこれで話合いをつけて行きましようというのが大筋としての税務部長の答弁であつた。それが勿論こうやつて修正法案が通過いたしました今日ですからして、自治庁及び関係の運輸省におきまして、十分と調査することが私はこれは適当だと思う。適当だと思うが、併しその考え方が、その資料を提出されたほかにも、その金額以上にも自治庁のほうはこの際一つ課税額を大きくして行こうというような考え方を持つて操作を続けておられるかどうか。この点に対しまして御答弁を願いたい。
  36. 後藤博

    説明員(後藤博君) 一昨年の秋だと思いますが、国鉄と話合いをいたしまして、大体課税の範囲を私ども相談したのであります。その際発電所及び変電所そういう償却資産それから鉱山関係を含めたものを考えておつたわけであります。ところがそれは困ると、こう言うので、官舎のほうについては一部私ども譲つた点がございますが、全体としてまあ一億六千七、八百円ではないかと、こういう計算をしておつたのであります。その計算の基確は今申上げましたように、国鉄の決算に出ておりました額を大体とらえて、私も大体そのくらいのものであろうと考えておつたのであります。ところが今申しましたように、国鉄の決算面には正面に出ないで科目勘定の違うものに非常に入つておるものがたくさんあるのであります。そういうものが今度具体的に課税するということになりますと、全部出て来たわけでありまして、実は私どもも驚いておるのでありまして、これまではそんなにたくさんあるとは思つていなかつたのであります。勿論この前の国鉄との話合いのときは、細かな点は私ども別に具体的に相談したわけじやないのですが、国鉄に対する宿舎及び土地、家屋は大体取らしてもらいたい、こういう線で大体これまで私ども国鉄と折衝して参り、大体私どもはその内諾を得ておるものと、かように考えておつたのであります。経過といたしましてはそういうことになつております。
  37. 内村清次

    委員長内村清次君) 答弁がちよつとまだ不十分な点がありますが……。
  38. 後藤博

    説明員(後藤博君) 私ども特に拡げるという意図はないのでありますが、ただこの前の修正案のときは償却資産を含めた原案が衆議院から参議院に廻つておりました。つまり発電施設それから炭鉱施設でありますが、ところが今度の衆議院の案には入つておりません。従つて法律的に含めたものであるかどうかと、こういう検討をいたしております。ところが法制局のほうのお考えでは、書いてなくてもやつぱり含まるものだ。つまり発電所その他にも課税できると、こういう解釈でございますので、一応私ども調査範囲はやはり発電所、鉱山施設を含めたもの、こういうことにいたして、運輸省に資料の提出を求めているわけであります。
  39. 加瀬完

    ○加瀬完君 まだ結論が出ておらないときの質問でありますから、ただ自治庁の考えております前提といつたようなところを聞かして頂ければいいと思うのでありますが、一つは公共企業体から総額幾らを予定しておつたかということであります。今委員長の言うような一億八千万円程度くらいをおさえているのか、取れるだけ取るということを考えているのか、その辺はつきりして頂きたい。  第二は、公共企業体資産中の課税対象となるものと対象外とするものと区別する標準をどこに置くか。  三点は、課税要求が市町村まちまちになるということが一つ考えられる。それから課税要求が非常に過重になるということも考えられる。こういう各市町村間のアンバランスというものを自治庁としてはどんなふうに調節することを考えておるか。  四としては、これはまだ決定しない前の質問としては当を得ていないかと思われますが、公企体の単位の課税ということになりますと、これが非常に過重な課税になりますが、そのはね返りが国民の大衆負担というような形で逆元して来るということも考えられる。これを防止するといつたようなことはどんなふうに考えているか。それらの点について……。
  40. 後藤博

    説明員(後藤博君) 徴収見込みでありますが、これは国会に提出いたしました資料は一億八千六百万円にたしかなつておつたと思います。そのうち国鉄分は一億五千六百万円で、他のものがはつきりいたしませんが、大体三千万円ぐらいではないかと、かように考えておつたわけであります。ですが、私先ほど申上げましたように私どものほうの見込みのつけ方に多少の錯誤がございます。従つてその錯誤をどうするかという問題がございまするが、できれば私どもは錯誤の分については一つ何とか折衝をして市町村のほうに課税できるようにいたしたい。かように考えておるのであります。  それから対象と対象外の区別の標準でございますが、これは大まかに申しまして、この資産を分けますると、六つぐらいに分けられると思うのでございます。先ず第一に宿舎であります。第二は病院等であります。それから第三は発電用の施設であります。それから第四は炭鉱施設であります。それから第五番目は工場施設であります。それから最後に貸付資産、こういうものがございます。で、それぞれの資産の内容につきまして、昨日一応の説明を承わつたのでありますが、承わりました上で、現在研究しておるのでありますが、直接事業の用に供するというふうに法律にありまするので、それとそれぞれの資産というものとはどういう関係にあるか、必ずしも同じようなものではなくて、それぞれのものについてウエイトが違うと私どもは考えております。従つてそのウエイトの違い方によつて私は考えて行くべきものである、かように考えておる次第でございます。まだ具体的にどれをどうというふうな考え方を持つておりません。  第三番目は評価が区々であるというお話のようでありますが、現在の固定資産税の評価は市町村でやることになつております。併し私どものほうで、評価が区々にならないように、市町村別に土地、家屋につきましてはこの評価の平均価格を示しております。大体その近所で、平均価格の近所でまあ総体的には評価が行われておるように私ども考えております。従つてそう区々にはならんのではないか。まあ国鉄のほうの要求では、一括して自治庁でやつてくれないかというお話もあるのでありますが、現在の税の建て方からしてそれは不可能であるということを申上げております。  それから、市町村で課税いたしまする場合に、非常に過重される場合があるのではないか、かようなお話もあるのでありますが、総体的に見まして、この税率が非常に高いところというのは、概して山の中とか、北海道の辺鄙なところに多いのでありまして、そう、全体的に見まして、国鉄の資産の所在するところの市町村の税率が区々になつておるとは私どもは考えておりません。そうひどく区々にはならんのではないか、かようにまあこれは客観的でありますが、考えております。  それから最後の、転嫁の問題であろうと思います。まあ当然転嫁を予定するかしないか。私どもといたしましては、固定資産税は当然転嫁すべきものというふうな考えは持つていないのであります。併し事実上転嫁の問題もあろうかと思います。併しそれは国鉄の問題であつて、私は市町村側の問題ではないというふうに考えられないことはないのではないか、そういうふうに考えて国鉄のほうには成るたけ転嫁しないようにしたらどうか。この程度のものならば、いろいろの問題を起草ないで国鉄自体の中で支払つたらどうか、こういうことを申上げておる次第であります。
  41. 加瀬完

    ○加瀬完君 御説明でよくわかつたのですが、この税というものは取りいい所からたくさん取りたいというのは人情ですが、そうすると結局大きな財産を持つている公企業体というようなところは取損いはないと、又取りいいということから過重な課税といつたような傾向も一応予見されると思う。で又それぞれの固定資産関係については、それを市町村会で擁護する何人かの人たちもおるわけでございますけれども、公企業体というのは、例えば議会のそれをよく説明するという人たちが割合に少いといつたようなことになりますと、初めてかけることでありますので、そちらにたくさんの負担がかかるというようなことも一応警戒しなければならないことだと思うのですが……。それからその転嫁の問題でありますが、転嫁は勿論市町村責任ではございませんし、自治庁の責任でもございません。併しみすみす転嫁されることが予想されるような、公企業体の事業というものに支障を来すような課税をするということであつては、そこに課税そのものの問題があるのではないかということも考えなければならないのじやないか、そういつた点、この問題は線の引き方、どこに取る、取らないの線を引くかということでありますが、これはやはり企業体そのものの運営といつたようなことも、これは国民の利益のためにやつておることでありますので、その国民の利益をどちらが余計守り得るかという点で考えた場合に……、企業体の税金をかけるなということで私は申していないのです。税金のかけ方を、企業体の生きられることも一考して線を引いて行かなければならないのじやないかというふうに考えますので、一応予定しておる額ということも承わつておりますので、非常な無理をしてそれが全部国民に転嫁されるというようなことのないように御警戒をして頂きたいと思います。
  42. 後藤博

    説明員(後藤博君) 只今加瀬さんからの御希望、私どもできるだけ転嫁のないようにいたしたいと考えるのでありますが、実際転嫁するかしないかは私どもがきめるのではなくて、国鉄側の当局がやるかやらんかという問題であります。私どもとしては国鉄のほうに成るたけ転嫁しないようにやつてもらいたいということしか現在言えない立場にあります。このくらいのことで大国鉄が私は転嫁すべきものではないというふうに考えておりますし、そういうことを特にお願いをいたしておるのであります。
  43. 小林武治

    ○小林武治君 ちよつとお伺いいたしたいのでありますが、この固定資産税の課税客体といいますか、対象を例示されるか、列挙されるか、その点はどういうふうにされるかお伺いをいたします。
  44. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) お答えいたします。政令の書き方の問題でございますが、成るべく課税の範囲を明確にして、課税されまする納税義務者と、課税をいたします市町村の側との間に争いの起きないように、明確に規定し得るものはできるだけその課税対象をはつきり名称を掲げて政令に規定をいたしたいと考えます。併しながら例えば貸付資産のごとく駅の食堂、売店、ガード下の施設であるとか、ガード下の敷地そういうようなことをずつと並べて行きましても、そういう名称を以てしては到底列し切れないところも、一々挙げ切れないところも出て来るのではないか。そういう場合には一応できれば列挙した上で更に或る程度包括、何といいますか、抽象的といいますか、包括的と申しますか、こういう性格の資産は課税対象になるのだ、こういう書き方をして行かなければならないのじやないかというように只今考えております。
  45. 小林武治

    ○小林武治君 この課税の客体につきましては、この法案の修正の際から我々非常な関心を持つておるのでありますが、本日は実は私ども或る程度内容もお聞きできると思つて参つたのでありますが、かような状態においては殆んどまだ決定されていないことで、従つて今後におきまして政令で定める場合に我々の意見を聞くと申しますか、我々に多少の報告をして下さる、我々に意見を述べる機会をお与え下さるかどうかこれを伺つておきたい。
  46. 青木正

    説明員(青木正君) 参議院なり或いは衆議院なりの御意向を政令の定める場合にとり入れなければならないことは当然であります。私ども御趣旨を体しまして、政令を決定いたさなければならないと思います。ただ実際問題となりまして政令をきめるに際しまして、そのときに参議院ばかりでなく両院の委員会を開催して御相談の上きめるというふうにして参りますかどうか、そこはなかなか困難ではないかと思います。十分御趣旨を体しまして皆さんの御意向に副うようにきめて参りたい、かように考えております。
  47. 小林武治

    ○小林武治君 委員長にお伺いいたしたいのですが、この問題につきましては、一応これで大体お任せすると、こういうことになりましようか。
  48. 内村清次

    委員長内村清次君) これはまあ私といたしましても、それは小林委員の言われる通りでありまして、あとで私も要求しておこうかと思つておりましたが、もともと床次君が衆議院の修正案を持つて来て、その後個人としても会つて見ましたが、やはり先ほど私が発言しましたように前にこの問題も提起された。そのときにも一応自治庁からその修正の問題について意見を求めるときにおいて、そういうような運輸省と大体話合いがついておつたと、そうして額もこれくらいだというようなことで、今回の税金の一つに加えたのだといつておるのです。これはもう現在までそういう心境でおる。それが今言つた範囲を拡大をしたり、或いは額をうんとこの際一つ余計に取るというようなことになつて参りますと、私は委員会本来の審議におきまして、政府の資料そのものに対するところの疑惑を感ぜざるを得ないようになつて参りますし、当然これは政令をおきめになるときには、一応やはり各委員方々の了解の下にして頂きたい。そういうような経緯で、委員会全体の殆んどのこの了解が得られるような状態において、又委員会答弁の即ち骨子において政令がきまるとしても、やはり一応は委員会一つ連絡をとつて頂きたい。こういうふうにまあ私は考えておるわけですが、まあ委員方々それから又いろいろ今後の政令の制定の時期その他をお考えになつて、委員方々から意見が出れば別でございますけれども、私はまあそういうふうな取扱いが妥当ではなかろうか、かように考えております。
  49. 青木正

    説明員(青木正君) お話の趣旨はよくわかるのでありますが、国鉄と目下、折衝中でありますので、国鉄と話がついてから後刻申上げてもこれは変なものでございますし、又つかんということになれば又閣議のほうでもいろいろかかるわけでありますが、そこでもう少しこちらのほうの折衝が済みまして、或る程度およそ見当がついた頃にもう一度お開き願いますれば、そのときに又御説明申上げて、なおとくと皆さんの御意向を承わる。今のところですと、只今委員長のお話がありましたが、事務当局の私ども説明を聞いたのですが、当初予定しておつたもの以外に、我々想像しなかつたものが国鉄側のほうから出て来た。それがこちらのほうとして別に課税客体を拡げようという意味で出したものでなくて、向うからこういうふうなものが出て来た問題があるのですから、そこでまだ最終的に話合いに行かん。漸く昨日向うからそうした資料の一部が出て来て検討いたしておりますので、もう少し時間的な余裕をお与え願いまして、その上で委員会をお開き願いますれば、大体の見当のついたところで申上げて、皆様がたの意向をよく取入れたいと、かように考えます。
  50. 小林武治

    ○小林武治君 今の問題につきましては、一つ委員長が自治庁当局と御連絡の上で善処されたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)こういうふうに一つお願いしておきます。  なおその中の顕著な問題としまして、この前の国会の際にも問題になりました、いわゆる発電所の入れ物と中の物の償却資産との関係のことであります。これは償却資産を別途にすると、課税対象にしないと、こういうふうなお話がありましたが、この考えはお変りになつておらないかどうか。伺つておきます。
  51. 後藤博

    説明員(後藤博君) あの際、私は前の経過からいたしましては、前の修正案の場合には、国鉄、発電所及び鉱山関係の償却資産が入るということを明記してあります。今度は明記してないので、もう一度確かめて見たわけです。法制局の見解では先ほど申しましたように、明記してなくてもやはり償却資産は入ると、こういう解釈のようであります。まあそれをとるかとらんかは別の問題でありますが、一応ですから課税対象になると、こういう観点に立つて現在折衝をいたしているのであります。
  52. 小林武治

    ○小林武治君 今のお話はさよう承わつておきますが、なおこの前申上げました病院の問題でありますが、これは他の観点からして農業共済病院その他が課税の対象から除外されたと、こういういきさつもありますので、これらの公共企業体の病院につきましても、この問題とは別途にさようなものとの権衡上何とかされたいということを申上げておいたことがありますが、これにつきましてはどんなお取扱いをなさるか、承わつておきたいと思います。
  53. 後藤博

    説明員(後藤博君) 病院につきましては、私どもの計算のときには、病院を入れた計算をいたしております。併しお話にもございましたし、果して入れるのが妥当であるかどうかという問題は別な問題がございまするので、この点もやはり国鉄とよくお話合いをいたしまして決定いたしたいと考えております。
  54. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは青木政務次官からも、今関係省と折衝中である。それで案が大体まとまりかけたならば、一つ説明する程度なつたならば、委員会にかける、こういうお話でございました。そのような取扱いでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそのようにいたします。   —————————————
  56. 内村清次

    委員長内村清次君) 現下の国内治安状況に関する件を議題に供します。  最近国警長官は岐阜に行かれた際に何か治安問題に対しての所見を発表されているようです。又中央の新聞にも日共関係の動きというようなことで見出しが出ているようでありまして、こういうような問題が一連として国警本部におきましてそういう情報が察知されているかどうか、事実あるかどうか、この点はやはり各国民におきましても相当関心を持つているところでありまするからして、この議題を採上げまして国警長官の説明を求めたような次第でございます。
  57. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 最近の国内の治安の状況について所見を述べろという御意見のようでございまするが、これは先般私が岐阜に出張いたしました際に、まあ最近の治安の状況といいまするか、殊に、共産党の活動状況というようなものについて二、三申述べたのが新聞に出たわけでございまするが、国内の最近の治安の情勢は急激に何と言いまするか、表面活動として非常に危ない状況に来ているというほどには私は見てはおりません。ただ何と言いましても一番の問題は、政治的意図を武装、武力革命によつて達成するにあらざれば、その政治的意図の達成はできないという考慮を持つた政党の存在ということについてはどうしても無関心ではいられないのであります。いわゆる共産党の活動でございます。共産党の表面の非合法活動というものは御承知のように、最近非常に少くなつております。昨年の上半期における状況から比べますると全く蔭をひそめたかのような感をいたすのであります。併しながら将来への武装革命に持つて行く表面活動と地下活動というものは、むしろ一瞬の弛みもなく拡大強化されつつあるというふうに考えるのであります。先般岐阜で新聞記者の方々と話しましたのもそういう点を多少申上げたのであります。  共産党の然らば中核をなす実際の党員の趨勢はどうであるかと申上げますると、一昨年の末頃から昨年にかけまして相当党員数は減少したかに見えましたが、その後党勢も強い拡大強化に従いまして、逐次増加の傾向を辿つているように見受けるのであります。現在我々といたしましては約十万前後が正式党員であろうと考えているのであります。その活動といたしましては、最近は共産党は客観的な革命への条件は勢い成熟して来た。併しこれに対して党はまだ国民大衆から十分な信頼をかち得ていない。従つて現在国民大衆を党に結びつけるための活動が最も重要な仕事であるという方針に従いまして国民のあらゆる団体、政治、経済、文化等のあらゆる団体、殊に労働組合の中にその足場を作るべく表面、裏面両面からの活動を活溌にいたしているように見受けるのであります。組合の中にグループを作りまして職場の大衆を盛上げ、幹部をつき上げさせて、だんだん組合を戦闘的にもつて行くといういわゆるグループ活動、又だんだん戦闘的になつて行きつつある労働者を文化サークルとか或いは研究会などに組織をいたしまして、理論啓蒙をやりながら根強い説得と教育によりまして、これを党員やシンパに育て上げて行くといういわゆる細胞活動というようなものがその最も代表的な一つだと思うのであります。いわゆる労働組合の一部における最近の急激な左旋廻の背後にも、このような地下工作が働いているものと我々は考えざるを得ない。又農民団体、中商工業団体等に対しましても例外ではないと考えられるのであります。従いまして例えば産業合理化反対でありますとか、或いは賃上闘争などの労働闘争でありますとか、或いは基地の反対闘争とか、水害復興闘争というような、自然発生的な大衆運動が盛上つているときとか、或いは少してこを入れれば盛上つて来る可能性があるというような場合におきましては、只今申上げまするような活動が特に活発に行われているのであります。又御承知の通りのいわゆる軍事活動というようなものも最近では半ば公然として行われるようになつて来たように見えるのでありまして、九州、和歌山等の水害の場合に独立遊撃隊と称するものがたくさんこれに投入いたしまして、労力や医療奉仕等を通じて分離工作に乗り出しているということは今や公然のような形になつているのであります。  我々こういつた未だ暴力的或いは法律的には表面取締りの対象にならないものをなぜさように注目をしているかということでありますが、先ほど申しましたように結局状況が熟すれば、或いは部分的に或いは地方的にこれを騒擾或いは武力行動というふうなものにでも持つて行こうという態勢が見られますために、我々或いは治安警備の観点からかような動向を見守つているような次第であるのであります。特に地下活動といたしまして党の組織の拡大強化は勿論でありまするが、いわゆる軍事組織の強化拡大或いはこれの訓練という面は以前上よりも一層活発になつて参つたように思えるのであります。重要経営とか或いは基地周辺の農山村を中心といたしまする中核自衛隊或いは遊撃隊を中心にいたしまする軍事組織はいちじるしく進捗したと考えられるのであります。現在では一部の府県を除きましては、殆んど大部分の府県には軍事組織の統一司令部というものが設けられたように見られるのであります。そうしてこの軍事組織は全く人民の軍隊であるという性格を明瞭に組織の上に、教育訓練の上に現わして来たように見えるのであります。この統一司令部は全国ひとまとめにした中央、それから地方府県、地区それぞれ各級に応じましてそれぞれの統一司令部が設けられて、そうして統一司令部命令というものには絶対服従の強い規律を持つているように見えるのであります。従前の中核自衛隊、或いは遊撃隊というものがそれぞれ孤立した関係にあつたのと違いまして、全国的に一つの軍隊組織というものに作り上げて行こうという努力が著しく認められるのであります。なおこれらの軍事組織の教育訓練というものにつきましても非常に力を注いでいるように見られるのであります。最近中央軍事委員会において編纂せられたという教育操典案というものが各地区の軍事委員会に流されまして、只今これを中心にしてなかば教育訓練の材料として又最終的な仕上への討議にかけているように見られるのであります。只今私のほうで入手をしておりまする材料等から判断いたしまして、これらの中核自衛隊、或いは遊撃隊という大衆層組織の隊員は恐らくまあ八千から一万ぐらいであろうかと、私のほうでつかんでおりますものにつきましては、さように考えられるのであります。又実際の山間その他における訓練等をやつたという実例も情報も相当あるのであります。そのうちの若干は実際に我々がこれを確認をいたしております。或いは武器等においても手榴弾的なものとか、或いは地雷火的なものとかの試作実験というようなものをやつたであろうと思える根拠が数ヶ所において現認をしているというような状況でございます。  大体以上のような状況でございまして、未だこういうものが軍事行動として表面には現われておりませんけれども、地下におきましてはこの組織と隊員の強化訓練というものの整備拡大というものが相当力をこめて進められておる、かように見受けるのであります。併しながらこれらの実際活動がいつ如何なるときに表面化するかということはちよつと只今予断をいたしがたいと思うのであります。いろいろな政治経済或いはその他の情勢の何といいますか、動き方によつてこれらが表面化をする可能性がありはしないかという程度にしか我々只今のところでは判断がつきません。従つて或いは暴力革命があるのじやないかという説をなす者もございまするが、今日の状況下におきましてはそういう大きな意味における革命的な暴動というものは、只今の段階では私どもとしては考えられないと、かように考えます。
  58. 内村清次

    委員長内村清次君) 質問ございませんか。  問題点は、これは新聞にも載つておつたのですが、併しこれだけ国警長官として大体報告の程度の入手がなされておるという場合、これはもう確乎たる根拠に基くものである。そうすると、問題点は武器の所持ですね。こういう点は入手関係も勿論調査されておるかどうか知りませんが、とにかく武器の使用あたりが、実は射撃訓練をやつたというようなことも新聞にはちよつと見た。そういうような武器の使用については法的においてもはつきりした法律もあることですから、こういう点の収集状態だとか或いは又訓練上のいわゆる射撃、そういうような事実に対して確乎たる処置がやられましたか。
  59. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 只今御指摘のように拳銃の射撃訓練をしたらしいというものも一、二情報を入手いたしております。これらのものにつきましては只今実際の捜査をいたしております。何といいますか、証拠が固まればこれは検挙に持つて行きたい、かように考えております。それから広く武器と言われておりまする中に、勿論例えば只今申しました手榴弾とか或いは地雷火の試作、それの実験、これは火薬取締法違反にも触れると思うのであります。これらのほうも捜査の手は進めておりますが、成るほど確実にそういう痕跡があつたということまでは確められておらんのであります。まだ個人的な臨検にまではもうちよつと時間がかかると見ておるのであります。我々確認をいたしましたものにつきましては、さように現実に検挙できるものは検挙の手まで進めたい、かように考えております。多量に武器がどこかに隠匿されておるとか、或いは収集されておるということにつきましては、我々としては確認はいたしておりません。ただときどき我々の捜査網にひつかかつて参りまするように、拳銃が一挺、二挺或いは数挺という工合に点々としてどこかに持たれておるというようなことは窺い知るのでありますが、これも我々確実になりまする際にはこれは取締の対象にいたしておるのであります。
  60. 堀末治

    ○堀末治君 北海道の関三次郎ですか、いよいよ公判にかかつたようですが、あの話も一つおわかりだけ聞かして頂けませんか。
  61. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 警備部長から一つ詳細に。
  62. 山口喜雄

    説明員(山口喜雄君) あの事件は、八月の二日午前一時半に北海道の宗谷村の海岸、丁度樺太に向いましてこう二本出ております右の半島の外側でございます。そこに上陸をしまして稚内の或る旅館に泊つておる男がおつたのであります。その上陸しました後に或る場所に寄りまして濡れた衣類を乾かしておつたのでありますが、そこに丁度沿岸監視をいたしております者が、異様な風体をしておるので、その模様を見て連絡をいたしました。そうしてだんだん調べて、足どりを調べてみると、稚内市にどうも入つておるというので、旅館を当つて、そこで検挙をいたしたのであります。で、検挙いたしました際に本人が木箱のこういう箱を持つておつたのであります。それを明けますと、新聞にも出ておりましたが、法華経の経典と袈裟と珠数とそれから奉加帳、宗門のために寄附を集めて廻るような奉加帳が出て参り、更にそれを取りますと下に底があるのでありますが、その底をあげますと二重底になつておりまして、中にこのくらいの蝋を以つて密封をしました箱が六つ出て参つたのであります。この六つが問題の暗号に関するものでありまして、一つは使い方を指示いたしたものであります。それからあとの五つの箱にはそれぞれ六十八枚の紙が入つておりまして、その一つ一つの紙に五桁の数字の組合せのものが五九、四十五字入つておるわけであります。それが一つの箱に六十八枚で五箱ある、こういうことになつておつたのであります。だんだん尋問いたしますと、樺太で訓練を受けた模様を話しましたので、どういうようにまあこれを措置するかというのでいろいろ検討いたしました結果、本人が旭川の某所で埋めて帰る時間の打合せがしてございますので、その時間に迎えに来る船をそれでは取押えようということに方針をきめまして、海上保安庁に連絡をいたし、約束の初日の時間が八月七日の十時から翌日の午前三時までであらましたが、これは相手が来なかつた。その翌日が第二の約束の日にちになつておりますので、その時刻に勿論こちらは全部燈火を消してレーダーを以て警戒をしておつたところが、一隻船が入りまして、海岸に約七、八十メートルまで近寄りまして、ずつと海岸に沿つて北のほうに上つておつたのでございます。それに対して、近寄りますと同時に船が外側のほうに非常なスピードで逃げる状態になりましたので、こちらから停船命令を出して捕まえたというのが実情であります。これは船に備え付けてありますレーダー、そのレーダーを写真に全部とつてありますので、公判廷に証拠として出してあると思います。で、本人は、来ます場合には、その捕まえました船のうしろに二本、百メートルばかりのロープが出ておりまして、そのロープにゴム・ボートの船を繋いで、本人が来ますときにはゴム・ボートに乗つて漕いで行つて、上ると合図をしまして、そのゴム・ボートを綱で引上げてしまつておるのであります。そして本人の帰りのためには、折畳式の一人乗りのゴム・ボートを別に持つており、これは上陸地点の附近の叢の中に隠しておるという自供に基きまして捜査しましたところが、その現物を発見をしておるわけであります。  この船と関三次郎との結び付きにつきましては、いろいろと現在公判になつておりますので、私どもから申上げるのも如何かと思いますが、本人が船から上陸する際に、脱ぎ捨てた衣類、それからそれを納めた容れ物、これは本人の供述通りのものが、その船の或る一つの部屋から出ております。これが物的証拠としましては、間違いのない最後のものであろうと私は確信いたします。  然らば本人の使命はどういうものであるか、ソ連のスパイ、スパイと新聞に書いてありますが、本人自身が国内のいろいろな情報を探るという使命を持つて来たものとは考えておらないのであります。本人は、要するに、連絡者の役割としまして、日本に入つて来て、そうしてそれを或る場所へ埋める、それを誰かに、直接或いは間接に誰かの手に入る、その手に入つた人が問題の数字、これは乱数表であります。無限乱数表といいまして、或る一定の暗号、例えば日本語で簡単に申上げますと、イというのは五十九で表わし口は三十四というように、一応暗号が仮にあるとしますと、これは日本語でも英語でもそうでございますが、非常に頻繁に出て来る数字というものは大体きまつている。そこで、そういう関係からすぐに解読をされるというので、一回一回暗号を打つたび毎にその乱数表という……例えば暗号を組みまして、一、二、三、四、五というものが或る一つの文字を現すとすると、それに対して今回来ました表に載つております数字を足して行くわけであります。足して行つて三と九ならば十二ですが、単に二として現すというようにして、要するに同じ文字が絶えず同じ数字を以て現されないように組替をやるのが乱数表というのです。この乱数表は、而も非常に高度なものでありまして、一回使うと必らず破棄する、二回は決して使わないということになる。今回持つて来ましたのは無限乱数表であります。従つてその手に入れたものが、自分がすでに持つている暗号の解読字句に基いて、それの上に乳数表の数字を足して暗号を組む。従つてこれを受取る人間は非常に重要な人物ということになるわけであります。  なお、そのほか御質問がございましたならばお答えいたします。
  63. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは御質問もございませんようですから、これで散会をいたします。    午後三時十八分散会