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1953-08-18 第16回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月十八日(火曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            館  哲二君    委員            伊能 芳雄君            西郷吉之助君            小林 武治君            島村 軍次君            苫米地義三君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    国家地方警察本    部警備部警ら交    通課長     後藤田正晴君    地方制度調査会    長       前田 多門君   参考人    神奈川県知事  内山岩太郎君    知事会代表茨城    県知事     友末 洋治君    都道府県議会議    長会代表神奈川    県議会議長   松岡 正二君    全国市長会副会    長宇都宮市長  佐藤和三郎君    全国市議会議長    会会長京都市議    会議長     竹内 忠治君    全国町村会会長    茨城県結城郡石    下町町長    関井  仁君    全国村議会議    長会会長大阪府    中河内郡石切町    議会議長    辻 龍太郎君    大阪市立大学教    授       吉富 重夫君   —————————————   本日の会議に付した事件地方行政改革に関する調査の件  (地方制度調査会経過報告に関す  る件)  (地方制度改革に関する件)  (行政機構改革に伴う国家事務の地  方委譲に関する件)  (奄美大島の返還に伴う地方行政上  の措置に関する件)  (南山城地方の水害に関する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。  地方行財政改革につきましては、当地方行政委員会におきましても、継続調査事件として取扱つておるのでありますが、政府におきましても地方制度調査委員会に対しまして、その改革案答申を求められておるようでございます。その答申案も近く地方制度調査会におきましては、各委員の熱心なる取扱いによりまして、その結論が出るということを聞き及んでおるのでございますが、この際、委員会におきましても、調査案件継続審査の件もございまして、その状況につきまして、地方制度調査会会長前田会長からその調査会状況をお聞きしたいというようなことで、今日前田会長の御出席をお願いしたわけでございます。なお、この機会に関係の六団体代表のお方々参考人としてお呼び申上げまして、この委員会を通じて、又地方制度調査会答申の件に対しまして関連があれば誠に幸いであるというような見地から、今日は六団体代表のお方々参考人としてお呼び申上げたような次第でございます。というような状況からいたしまして、今日の委員会を開会いたすのでございまするが、先ず地方制度調査会会長前田会長から地方制度調査会状況を御説明をお願い申上げたいと思います。
  3. 前田多門

    説明員前田多門君) 地方制度調査会は、地方制度に関しまする全般的な調査をすることを委託されておりますので、昨年の十二月に発足いたしまして以来、たびたび会合を開きまして、意見の交換があつたわけでございます。遂には行政部会財政部会二つに分れまして、それぞれ行政問題、財政問題を各委員熱心に御検討になつておる次第でございます。然るに本年の四月から六月ほどまでの間は、御案内の通りに、衆議院の解散、これに基きまする総選挙、又参議院方々の改選というようなことがございましたために、折角国会からお出ましになつておりまする委員方々が、みな欠員ということになつておりますので、六月まで暫く休会をいたしておりまして、六月に再び、又これらの委員かたの充足と共に、活動を開始いたしたわけでございますが、ときあたかも政府のほうから、地方制度調査会は全般的の討究をするという職能であることはよく承知しておるけれども、さしずめ来年度の予算案、或いは法律案等に間に合うような種々の改革案が必要なんでありますが、そういう取りあえず緊急、来年度の予算或いは法律案に間に合うような種類のもので、急を要するものについて特に急いで研究をしてくれないかという御要望でございます。これは御尤ものことでございますから、体系的な、全般的の討究はしているということは捨てるという意味でございませんで、取りあえず緊急の問題について題目を拾い上げまして、考究をしようということに相成りまして、更につきまして、こちらの委員会及び衆議院地方行政委員長とこちらの委員長と御連名で、地方財政問題については非常に急を要するものである。殊に赤字財政等匡救策については、是非一つ調査会に至急方策を立ててもらいたいという御要求もあるわけで、かたがたもちまして各委員非常に御熱心に御討究になつておるわけでございます。それでひと通りそれでは当面答申を要すべき事項というものは一体どういうものだろうかというので項目を拾い上げたわけでございます。  第一は事務配分に関する事項でございます。事務配分に関する事項の中で、小分けを申しますると、1が警察教育その他の事務配分に関しまする事項、2が地方公共団体性格に関しまする事項、3が町村規模合理化に関する事項。それから大分けいたします第二に、地方財政確立に関しまする事項、その中の小分けは、1が地方財源総額とその構成に関する事項、2は地方税その他の財源地方公共団体間の配分及び調整に関する事項、3は附加価値税に関する事項、それから大分けの三では、行財政簡素合理化に関する事項でありますが、これを小分けいたしますと、1が行政委員会制度その他執行機関に関します事項、2が議会の組織及び運営に関します事項、3が任用制度その他地方公務員制度に関する事項、4が課税標準決定その他徴税手続に関します事項、5が地方財政平衡交付金地方債その他財務制度に関します事項、6が国庫補助金制度その他国庫財政運営地方財政関係に関しまする事項、7が監査委員制度その他内部監査機構に関する事項、8が地方公共団体地方における国の出先機関との関係に関する事項、大分けの四といたしまして、大都市制度に関する事項、これらが当面の一つ急の問題として研究を要するものではないかというので、行政部会財政部会においてそれぞれ討議がございましたが、結局起草委員を作りまして、大体部会意見というものをまとめようということになりました。そうしてこの起草委員が選任せられたのでございます。起草委員につきましては、先ず便宜上学識経験者として任命になつておられます委員がおられますから、そういう委員がそれぞれ行政部会財政部会に配属しておられますので、それらのかたに御起草を願いまして、起草案ができましたものにつきまして、これを部会にかけ、更に総会にかけて多数決によつて調査会意見決定いたすということになりました。  それぞれの起草委員はそれこそ文字通りに、日に夜を次ぎましてそれぞれ御研究になりまして、大体それぞれの部会におきましては、多少まだ文字等について留保いたしているところがございますが、それぞれ起草が終つたわけでございます。只今申上げました全体として調査会緊急事項として取上げまする要綱は、只今申しました通りでございますが、それを受けまして行政部会におきまして、多少その項目の順序、名称等只今申しましたのと多少違いがございまするが、実質上は大体それらの事項について検討を尽されたわけでございます。これによりますと、第一は地方公共団体種類性格規模及び事務配分に関する事項、それから二といたしまして行政簡素化合理化及び能率化に関する事項、三は大都市制度に関する事項、これらの三大項目の中にたくさんの小分けを以て、それぞれの答申案起草が大体できたわけでございます。  財政部会におかれましては、やはり前申上げたような趣旨と同じで、内容は先刻申上げましたことをカバーいたしているわけでございますが、題目といたしましては、先ず地方財源所要額総額というものについて見通しをつけることが第一。第二が地方税制改革、第三が国と地方団体間並びに地方団体相互間の財源調査、これは平衡交付金をどうするかというような問題が主になつておるわけでございます。それから四は地方債制度確立地方債の事柄について事務簡素化しますると共に、地方公共団体中央金庫というようなものを設けようというような案が盛られておるわけでございますが、そういう点、それから第五が赤字地方団体財政再建整備、これは国会においてもすでにこの問題については御決定があつたようでございますが、これと大体似たようなものでございまして、まあ一口に申しますと、もう少し整理団体において条件の辛いものを作つたらというような案ができております。そからその次の問題といたしましては国庫支出金についてもいろいろ注意すべきことというようなことに分かれて、大体でき上つたのでございますが、行政部会でこの起草委員お作りになりましたものと、財政部会起草委員お作りになりましたものとの間には、両方独立で、事実上の連絡はございますけれども、大体独立にその研究が行われておりまするので、彼此調整をいたさなければならない点も多いのでございまするので、明日この両方部会起草委員がお集まりになりまして、それぞれの調整について話合われるということになるわけであります。従つて調整の結果、一応起草いたしましたものも多少の変化を見ることが考えられるわけでございます。  更にこれで大体各両部会答申案ができるといたしまして、これを部会にかけることでございますが、只今日取り予想では九月の一日、二日、三日、四日と、四日間に亙りまして、それぞれの部会において、この只今答申案を土台として一御討議を願い、御決定を願う。御決定のありましたものをこの次は総会に附議するという段取りでございますが、大体順調に参りますならば、九月の十日前後くらいに総会を開かれるようになろうかと思つております。願わくは、その総会の席上におきまして、今回の地方制度調査会に課せられました答申が完成いたすことを希望いたしておるような次第でございます。さようなわけで、まだ未定稿の経過過程にございまするので、地方制度調査会長といたしまして、調査会意見は大体こうだということを只今申上げられませんことを遺憾に存じまするが、併しながら先刻申上げました題目においても御推察になります通りに、どういうことを取扱つておるかということは御理解が頂けると思いますし、又お尋ねによりましては、そういうような暫定的でございまするけれども只今までで起草委員会起草委員のおかたがお考えになつておりまする多数の御意見というものの傾向がどういうところにあるかということは、これはお尋ねによつて申上げて差支えないと、かように考えておりすす。一応そのことを申上げておきます。
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今会長からの中間的な御説明がございましたが、質疑あとにお譲り願いまして、参考人方々意見を聴取するということに進みたいと思いますが、よろしうございますか。  それでは参考人方々に申上げますが、本日は御多用中のところ、お繰り合せ願いまして、委員会においで下さいましたことを厚くお礼を申上げます。地方制度改革に関しまして、皆様がたの御意見をお伺いいたすことになるのでございまするが、時間の関係もございまして、各位のお一人当りの発言時間を大体十五分間程度にお願いを申上げたい。又委員各位から質疑がございますれば、御遠慮なくお答えを願いたい、こういうようなことをお願い申上げまして、参考人方々から逐次御説明を拝聴することにいたしたいと存じます。  それでは先ず神奈川県知事内山岩太郎君から。
  5. 内山岩太郎

    参考人内山岩太郎君) 御指名を頂きました内山でございますが、先ず第一に参議院地方行政委員会が、この暑い夏にもかかわらず、非常に御勉強下されることを非常に有難くお礼を申上げると共に、常日ごろ非常に地方制度に御理解を持たれまして、適切なる御処置をとられることに対しましても厚くお礼を申上げるものでございます。  この地方制度改革につきましての意見と申しますると、私ども全国知事会に属しておりまして、全国知事会からは非常に検討を加えたのちに、地方制度改革に関する意見その一、その二と二回に亙りまして詳細なる意見書皆様のお手許のほうに差上げてあると存じますが、その意見書全国知事会の総括的な意見でありまして、内容は極めて詳細に亙りまして、私どもといたしましては、極めて第三者的な立場立ちまして、意見をまとめたつもりでありまするので、これをお見通しを頂ければ大変仕合せと存じます。  ただ私といたしまして特にこの際申上げたいことは、この地方制度改革というものの方針は、どこまでも地方自治団体のすべてのものの共通のために、調和のとれたものを作り上げなければならん、即ち地方制度確立ということは、新しい日本の行き方としての民主政治根本であります。この地方自治確立するという立場から検討されなければならんのでありまして、これは地方自治体の間で相互摩擦軋轢をするということでなしに、できるだけその利害調和させて、そして円満な立派な自治体を作り上げる、こういう方針に行かなければならんと思うのでありまして、自然その団体の間に多少の摩擦もあり利害の衝突もありまするけれども、どこまでもこれは協力一致いたしまして、自治確立に邁進する。こういう方針に行くべきものと考えるのであります。それから今日地方自治体において最も問題視されておるのは、財政窮乏であります。ところがこの財政窮乏というのは、戦後におきまして、日本経済界が非常に混乱して、貨幣価値の変動も頗る激しい中におきまして、行政制度改革財政制度改革というようなものが、日についで起つたのでありまして、今日においてはなお未だどこが本当であるかということさえ分らないような状態であるのであります。殊に地方におきまして最も困りまする原因は、あの人事院というような新しい制度がありまして、この人事院が、時を嫌わずに、私どもから見れば最も予想外な時に、勧告を出しまして、それを又政府が、我々から見れば時を構わないで実行に移すということでありまして、地方におきましてこのベースの改訂ということは非常な重きをなすものであります。殊に県にとりましては、教育に関する実権は持つておりませんけれども予算の面において全責任を持つておりまするために、どんな府県におきましても、教育費というものが非常な重さを持つておるのであります。その教育費の重さというものも、大部分は人件費であります。その人件費が年度の途中におきまして非常な厖大な額に増加される、こういうようなことは、地方財政を撹乱する最も第一の条件であります。而も、財政の膨脹が行われた場合に、政府のほうにおきましては、地方において現実に十必要のあるものに対して七か八を割振りまして、これで何とか処置をせよ、こういうふうにされるのであります。その結果、極めて適法に行われるところのベース・アップの問題が府県市町村を通じて至るところに欠陥を生じて来るのであります。これがつもりつもつて今日の地方財政赤字の最も根本的な原因であると思うのであります。従つてこの問題が非常にはつきりするならば、そうして而も地方負担にならない方法において解決されるならば、現在の地方制度という問題の相当大きな部面がきれいになると私は思うのであります。  その次に起る問題は最近の議会のおかたにおいてもそうでありまするが、とかく中央におきましてはいろいろの制度言、いろいろの仕事をなさるのでありまするが、実際の仕事をするものは地方でありまして、その地方に対して実際の責任を持たせる、中央におきましてはただ法律を作り、或る場合には命令をする、併しながら実際に行うものは地方でありまして、行う場合におきましては、実施する場合におきましてもどうしても金がかかる、完全に中央で金を払つたといいましても、実際にこれを行う場合におきましては、いわゆるちり銭が要るのであります。まして根本から、初めから中央において払うべき金を払わないで、部分的に払つてあと地方で片ずけろというようなことが非常に多いために、今日におきましては、そういう意味の義務を負わされている地方財政が非常な苦境に立つておる、これも第二の最も根本的な原因であります。  こういうことからいたしまして、私は今日地方において府県お互いに困つて喧嘩をするとか、或いは市町村と対立するとかというようなことの原因も、窮すれば貧するで以て、全く原因財政にあると思うのでありまして、この財政問題の整理については特別なる御配慮を願いたいのであります。  その次に、又問題になるのは、最近最も大きな問題でありまする災害の問題でありまするが、この災害の問題につきましても、戦争以後において或る場合は中央地方との負担の割合がきまらないで、非常に地方負担をこうむつておるのでありまして、或る場合は十万以上は府県で持てとか、或いは十五万以上はどうしろとかいうことでありますが、又十万、十五万という査定におきましても、非常に数が多いのと、これをきめることがむずかしいということによりまして、災害が次から次へと起る現在におきまして、地方負担はいやが上にも嵩んで、それが年々累増いたしまして、今日の財政的負担をなしておるのであります。即ち今日の赤字教育費の問題、次には地方に負わされるところの法律上の義務的の問題、更に進んでは災害復旧等が最も大きな原因である、こういうことを申上げたいのであります。  それから次に、町村合併の問題でありまするが、町村合併の問題は先般参議院皆様の非常なる御努力と御理解によりまして、立派なる法案が成立いたしましたことは、誠に国のためにもめでたいことでありまして、私どもはその線に沿うてできるだけこれを実行に移したいと思います。そうして相当多数の町村がこれによつて合併され、日本地方行政において自治体の強化ということには相当の効果があるものと確信するものであります。併しながらこれによつて非常に多数のものが合併をされるという予想をされることは、私はむずかしいのではないかと思います。余りに無理をしてやる結果は、戦時中に軍が強制をしてやつたものが、その後になりまして又別れ話を法律で以てきめなければならんというような行き過ぎも起るのでありまして、今度の場合もそういう行き過ぎはないと思いまするけれども、風潮のいたすところ、必ずしも、行き過ぎが起らんとも限らんのでありまして、私どもはその意味において町村合併につきましても、でき得るだけ秩序よく、そうして合理的な合併を進めて行きたいと考えております。併しながら同時に、これは知事会答申案には、ございませんけれども、私は府県合併ということも一応皆さんの間で考えらるべきものであるということを私は信ずるのであります。それは地方において、市町村はもとより、府県におきましても赤字になつてものができないから困る。平衡交付金を殖やせ、或いはどうせよ、こういうことが起るのでありまするが、今日におきまして我々勿論節約はいたしておりまするけれども、先ず節約をする前に、足りないから平衡交付金を増せ、こういう運動になりやすいのであります。それというのは、地方財政基準財政額というようなものは一応ありまするけれども、これも決してその正確な数字でありません。例えば同じ府県の中で或る一つの県は人口一人当り百二十円かかる、東京なんという大都会では一人当り八十円でいい、こういうような算定はこれは極めてアーピトラルの問題でありまして、誰が百二十円、誰が八十円にきめるかという問題であります。これは筆先如何によりまして、百十円、或いは百三十円にもなる、これは非常にむずかしい問題であります。従つて私は先ほども申上げましたように、教育費というような大きなものがかちつとした方法中央からきめて頂く、災害復旧費のごときも中央で以て全部支払つて行くというような方法できつちりと出る、或いは政府から、中央から義務付ける費用についてはちやんと払つてやる、そういたしますというと、地方自治体は自分でやらなければならんというものが出て来るのであります。即ち一つ自治体独立してこれ以上はお前がやればお前の責任であるぞ、こういう数字が出て来なければいつになつてもこれは納まりがつかんのであります。そういり意味からいうと、一人立ちで行けるという、或いは一人立ちをする人間か、地方自治体が、或る程度の力がなければならん、こういうことになろうと思うのであります。もとよりどうしても、どう集めてみても、ほかのものと集ることができないという特殊なものもありましようが、これは特別のの場合でありまするが、現在町村合併におきまして、私どもはできるだけ合理的に併合してやつて行きたい、こういうことは自治体としての個性をできるだけ強いものにしよう、こういう建前から出発しておるのであります。従つて府県におきましても、やはりその議論が成立つわけでありまして、私は道州というような大きな、全く今の府県性格を変えるようなことについては反対であります。この点については、先般政府の枢要なる行政責任者が、将来府県は廃止する方針である、こういうようなことを放言されましたようでありまするが、かくのごときは私は世間に徒らなる風説、動揺を来たすものでありまして、いささか無責任であるという感じを深くするものであります。一方におきまして現在の府県はそのままでよろしいという議論にもならんのでありまして、これはどうか冷静にでき得る限り府県というものは、或る程度合併によりまして、個性を、一つ一つ府県を強くするということについては、十分なる考慮を払わるべきものであると考えるのであります。これが私の最も主張して行きたいと思つたところでありまして、最近又戦後におきまして、最も大きな地方自治の問題として取上げられました大都市の問題につきましては、これは私にとりましては、余り愉快でないところの記憶を持つておる人間であります。戦争直後におきまして、新憲法の実施前におきまして、大都市がまさにできかかろうとしたのであります。そのときは幸いにして民主的な方法によつてやればよし、然らずんばやらないという方向に法律化されたことは、私は喜ぶべきものでありますが、その後におきましても、この問題が常にとり上げられて、あつちこつちに騒動を起しているようでありますが、私は今更らこれを掘り返して騒ごうとは存じませんが、そういうことはやはり一つ府県におきましては、調和のとれた政治を行うという意味におきまして、お互いに譲り合つて、そうしてお互いに助け合つて行くべきものであると考えます。なお又大都市のためには相当の事務配分が行われまして、もはやこれ以上は行くところはないのじやないか、これ以上行くと却つて二重行政になるということさえも言われる。県と同じ仕事大都市でやるということになりますと、一軒の家で立派なものができたものを、二つの家で貧しくやるということになるようになるのじやないかと思いまして、この点につきましては徐々に喧嘩なくして行けることを切望するものであります。  大変、誠に御静聴をありがとうございました。
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に知事会代表茨城県知事友末洋治君から……。
  7. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 知事会におきましては地方制度改革に対処いたしまするがために、地方制度調査委員会を古くから作つておりまして、その調査委員会でいろいろと検討をいたし、そうして全国知事会の更に審議を経まして意見をまとめておるわけでございます。皆様のお手許に差上げてございまする意見の要点並びに資料等につきまして極めて簡単に御説明申上げ、御参考に供したいと思います。  そこで意見の一は府県の地位とその機能というものと、それから国と地方公共団体事務配分を如何にするかということが中心に相成つております。その二は第三といたしまして、国と地方公共団体との税財源配分問題をどうするかということでございます。なお事務配分につきましては附表といたしまして府県行政項目事務配分表というものを作つております。これは現在行なつておりまするところの各種の事務一つ一つ検討いたしまして、これは廃すべきもの、これは国から地方へ委譲すべきもの及び府県から市町村に渡してよいものというふうに詳細に亙つてその結論を出しておるわけでございます。  なお税財源配分につきましては別表をつけてございます。これは昭和二十六年度の決算から洗いまして、二十七年度の財政規模がどの程度が最小限度であるかということを推定し、更にこれを二十八年度に引延ばし、なお制度改革後におきまするところの姿を出しまして、この姿に即応いたしまするところの税財源制度というものを考えてみたわけでございます。  そこで第一の府県の地位とその機能、これはいわゆる府県性格に関する重要な問題でございます。これにつきましては各方面いろいろ異論のあるところでございますが、知事会といたしましては、先ず新憲法に明記してございまするところの地方公共団体というものは何を指すかということでございます。これは府県及び市町村を当然含んでおるものだという解釈に立つておるのでございます。これつにきましては、学者その他の方面におきましてもいろいろ意見のあるところでございます。そこでこの地方団体は、申すまでもなく憲法に明示してございまするように、地方自治の本旨に従いまして運営がされなければならんのでございます。そこで地方制度もその線に沿うて組立がなされるべきであるわけでございます。で、改革を行いまするところの基本的な態度といたしましては、先ずこの民主政治でございまするから、民主化の線を横の線として、それを土台に置いて、更に能率化の線を縦の線として、縦横の調整を、その時代時代におきまするところの国情、或いは国力というものに即応せしめるという基本的な態度で検討をいたしたわけでございます。で、これにつきましては、御承知の通りに権威ある調査が曾つて行われております。即ちいわゆる神戸勧告案というものができまして、国会並びに政府にすでに勧告されております。更にその後におきまして、政令諮問委員会というものがつくられ、そこで制度改革に対しまするところのいわゆる答申がなされておる。で、この神戸勧告の大体の方向といたしましては、占領下にございました関係から、非常に民主化の線が強く現われております。又政令諮問委員会答申はいよいよ日本が講和条件成立を前にいたしまして、独立日本としてしつかりした行政をやらなければならんという考え方から、独立制と言いますか、自治制が非常に強く現われまして、即ち中央集権化の方向、能率化の方向が非常に強く現われております。そこで知事会といたしましては、この勧告と、それから答申との先ず中間程度をねらつて行きますることが、日本の実情に即応するのではないかというふうな考え方から、すべてに亙つて、かような気持で十分な検討をいたしたつもりでございます。なお、勧告もそれから答申も、平和時代、平常時しか考えておりません。非常事態におきましては、又非常事態に即応いたしまするような地方制度というものも、あらかじめやはり考えておかなければならんという気持がいたしましたので、平常時以外に、非常事態に対処いたしまするところの地方制度のあり方というものにつきましても検討を加えて、結論を出しておるわけでございます。  そこで先ずこの府県性格と、知事その機能という問題になるのでございまするが、これにつきましては、勿論市町村が基礎的な公共団体であるわけでございまするが、日本の実情といたしましては、やはり今日直ちに府県というものを廃止するわけには参りません。国と市町村との中間に位いたしましたところの広い地域を管轄し、そうして市町村では十分でない補完的な機能、或いは中央との連絡調整といつたような広域行政、連絡調整行政、或いは市町村の補完行政というものを取扱いまするところの機関というものが、どうしても必然的に必要になつて来るわけであります。さようなところに府県性格を大体想定いたしまして、それに対しましての行政制度及び税財政制度というものを実は考えて参つたわけでございます。  そこでこれに関連をいたしまする問題といたしましては、成るべくこの費用を少くいたしまして、能率の上がる地方制度というものを、どうしても打ち立てなければならない、これは中央でもそうでございまするが、やはり地方でもさような線で制度そのものが組み立てられなければならんのでございますが、さような観点からいたしまするというと、現在の制度そのものが非常に複雑多岐になつておる。中央集権的であり過ぎる、即ち行政事務の面におきましても、約八割が国の委任、委託事務でございます。国家事務府県が取扱つておるわけでございます。又財政の面におきましても、その自主性というものが極めて薄いのでございます。平均いたしますれば三割に満たない、即ち二六%程度が自主的税でございます。これは平均してでございまして、一番税財源の率の多いところで、東京都が六割にも満たない。一番少い鳥取県におきましては一割にも満たない税財源しか持つておらないのでございます。そこで行政の面から申しましても、又財政の面から見ましても、現在の姿というものは中央集権的な国家権力のその圧迫干渉であるというふうに認定せざるを得ない。この姿をもつと民主化の線に沿うて、能率化の線に沿うて制度を直して行くというところに根本的な狙いをつけたわけでございます。  事務の再配分につきまして一番大きく問題に相成つておりますものは、即ち警察制度をどう持つて行くか、或いは義務教育制度をどう持つて行くかという問題でございます。警察制度につきましては、府県自治体警察といもうので一本で行くことが民主的でもあり、又能率的でもあるという結論に相成つております。ただ全国的な大規模の事犯、或いは国際的な事犯に対しましては、ああいう国家警察の必要性を否定するものではない。ただブロック的に中央にやはり国家警察というものがあり、又地方警察といたしましては、府県単位の自治体警察を持ち、これを公安委員会が民主的に運営するという方向で結論を出しておるわけでございます。義務教育につきましては、御承知のように現状はその行政権は市町村にございます。財政の取扱を府県責任を負わせて、行政財政が別個に分離いたしておりますることが極めて不合理であり、非能率であると言えるわけでございますから、先ず一応取りあえずの問題といたしましては、市町村単位に財政責任を持つてもらうという結論に相成つておるわけでございます。なお、国と地方との事務関係におきましては、出先機関を思い切つて廃止する。その具体的な出先機関も詳しく出ておるわけでございます。かようにいたしまして、いわゆる事務を国にできるだけ少く留保する。そうして地方でできますることは、府県府県、或いは市町村市町村、それぞれの性格、能力に応じまして配分して、すつきりした姿にするという結論に相成つておるわけでございます。  なお、府県の適正規模につきましては、やはりその必要性も痛感はいたしておりまするけれども、実際問題といたして、なかなか容易ではない問題でございまするが故に、個々の問題として今後積極的に取進めるべきであるという考え方でございます。なお、大都市問題につきましては、これは事務配分で適正に処理されるべきものであつて、これを独立して参りますることにつきましては、更にこの府県と同じような姿のものが殖えるという恰好にも相成りまするし、又残されましたところの市町村を如何にするかという問題も、極めて実際に重要な問題で、見通しが付かない以上は、そう簡単に大都市独立せしめるべきではない。大都市でもできないような総合開発的な仕事は、これから殖えるばかりでございます。そこでこの分散独立は終戦後におきますところの日本行政の現状におきまするところの一つの大きな欠陥ではございます。併し民主化の線に沿うて考える場合におきましては、それぞれ分散して処理することがいいのかも知れませんが、そうなりますると非常に非能率的であり、不経済で、日本の国情にふさわしくないという関係になりまするので、やはり一応は分散したのでございまするが、どつかでもう少し集中をいたしまして、総合的な均衡のとれた、調整のとれた行政というものを行なつて行く。これを国に持つて参りまするというと、中央集権になり過ぎる。そこで中間機関の府県という単位のものに総合調整、均衡化というものを責任を持たしてやりますることが、地方全体といたしましては、均衡のとれた総合的な発展が期待できるという考え方を以て臨んでおるわけでございます。さように事務の再配分を行い、又府県市町村性格に即応いたしましたところの再配分が行われまして、それに伴いまするところのいわゆる財政規模が国と地方に適正に配分されなければならんのであります。勿論この線に沿うての行政簡素化はもつともつと徹底化さるべきであると思います。  御承知のように、戦前におきまするところの国と地方とのいわゆる財政規模というものは、地方のほうが大きかつたわけであります。国が一といたしますれば、地方は一・三倍くらい、或いは一・四倍くらいになつておつたのでございます。現状におきましては地方財政規模というものが小そうございます。国を一といたしますれば、地方全体の経費というものは僅か七割なんぼ、八割にも達しないわけでございます。従来行政費といたしましては、国は地方の二分の一程度が戦前の姿であつたわけでございまするが、今は中央のほうが非常に大きな水ぶくれになつておりまして、むしろ地方のほうはそれに比較いたしまして細つておるという逆の姿に相成つておるわけでございます。国家公務員と地方公務員を比べましても、それがはつきりいたしておるのであります。戦前の地方公務員と国家公務員の比率は、御承知のように国が六であれば、地方は大体七の割合で人数がおつたわけであります。ところが現状は五対五の比率になつており、又その数も戦前と比較いたしますれば約倍になつております。又戦前が百三十万人ならば、今日は二百八十万を越えておると思います。さようにいわゆる公務員の数が非常に膨れておる。而も中央にうんと膨れておるという姿になつておりまするので、行政を思い切つて簡素化いたしまして、そうして国の財政規模をもつと小さくする。又それと調和のとれた地方財政規模というものを考えて参りませんというと、中央地方を通じまするところの均衡のとれた行政というものが保障でき得ないというふうに考えておるわけでございます。  そこで府県財政につきましては、先ほどもちよつと触れましたように、現在自主的な税源が極めて少ない。而も都市偏重に相成つておる税源ばかりでございます。これをも少し思い切つて財源を殖やして行く。又一般的な均衡のとれた普遍性のある税種目というものを持つ必要が是非ともあるわけでございます。これにつきましては、先ず普遍的なものといたしまして県民税を創設する。そうして酒、たばこの消費税というものを復活又は創設して頂きまして、自主的な税源を殖やして行く。又たばこの消費税につきましては、でき得れば分割基準を適当に設けまして、そうして府県間の財政のアン・バランスを第一次的にできるだけ調整したらどうかというふうな結論に相成つております。なお、国に留保せられました最小限度の国家事務、これは全額国で持つて地方がその程度で執行に当つて行くと、又直轄工事によりますところの事業等も国が全部負担を願つて、そうしてその範囲で、国が直接やられるものと、又地方が委託を受けてやるものというふうに分けたらどうかという考え方でございます。なお国庫補助金制度は、御承知のように、相当思い切つて整理されたのでございまするが、その後ますます殖えるばかりでございます。これがために国の公務員もだんだん殖えるということになつており、而も補助金制度の中には、有名無実で国家の費用というものを濫費しているという実際の傾向になつているものもございまするので、原則的な問題としましては、思い切つて廃止する。ただ臨時的な多額を要しまするところの災害復旧費、或いは災害救助費、さような平常な事態におきまするところの税財源では到底賄い得ないものに限つて、国が補助金制度をお取りになつて行く、それ以外のものは、紐を付けない、目的を明示いたしました奨励金にして頂きまして、各府県の実情に即応いたしましての計画を立て、それに即応いたしまするところの能率的な金の使用を図つて行くということが最も適当じやないかと思います。  なお、起債につきましては、元利償還が府県税収及び平衡交付金総額に対しまする一定限度、即ち一割から一割五分程度のものは、各地方の自由に任して頂く。なお、かような操作をとりましても、府県間の不均衡は如何ともなし難いのであります。税源対象というものが違いまするし、経済力に不均衡が甚しいのでございます。幾らいろいろな税源をかき集めましても、先ず自主的税源が三割か四割の府県というものはどうしても残ります。大府県が一〇〇%自主的税源を持つ場合におきまして、やはり貧弱府県は三割か三割内外という実は姿にならざるを得ないのであります。別表は一つの参考案として作つたものでございまするが、いろいろ苦心してやりましても、さような姿になりますので、平衡交付金で不均衡を調整して頂く。なお、府県市町村等におきまして、いわゆるその金の有効的な使い方ということが協力してやりますれば、もう少しできるのじやないかという考え方と、それから地方の零細資金である郵便貯金、厚生年金等、地方が一生懸命になつて実は吸収いたしているわけでございますが、これが全部中央に集りまして預金部資金となり、これを拝み倒して起債をお願いしているという恰好になつておりますので、でき得ますれば、国の協力を得まして地方公共団体中央金庫制度というものをお設け願つたらどうか、これはつなぎ資金の活用にもなりますし、又今日公募公債が認められることになつておりますけれども、大府県はこの消化はできます。併し中小県というものは、これは消化ができないのであります。認められてもできません。だから自主的にもう少し金を集めて、政府からも何とか適当にお願いをいたしまして、協力によつて信用を高め、そうして金庫債等も発行いたしまして、自主的な金融をもう少し円滑にする必要があるという考えかたで、地方公共団体中央公庫制度の創設を実はお願いをするという結論に相成つているわけでございます。  以上要点だけ申上げまして、又御質疑がありますればお答えいたしたいと思います。
  8. 内村清次

    委員長内村清次君) 有難うございました。それでは次に都道府県議会議代表神奈川県議会議長松岡正二君にお願いいたします。
  9. 松岡正二

    参考人(松岡正二君) 松岡でございます。  全国都道府県議長会におきましては、地方制度の重要事項につきまして再検討を加える、こういう意味合を以ちまして、昨年十月以降特別委員会を作りまして、不肖私が委員長に選ばれて調査研究して参つたわけでございます。その結論を得ましたものは、その都度皆様方のお手許或いは関係方面に発送してあるわけでございますが、すでに今日まで六回この問題を提出しているような次第でございます。本日お手許にはそれらを要約いたしまして、メモ式のものにして皆さんのお手許に差上げているわけでございますが、以下今日まで結論を得ました事項についての意見の概要を、なお、意見書を敷衍いたして申上げたいと存ずるのでございます。  我々が地方制度改革について調査検討する基本的な方針といたしまして、第一に民主政治の基盤として憲法の保障する地方自治の本義を尊重して、これを実現する。第二には、行政機構の整備と事務処理の能率化によりて行政経費を節約する。第三は、国都道府県市町村は互いに相対立するものでなくして、人民福祉の実現という一つの目的に協同するものである。更に第四といたしましては、地方制度改革は、地方公共団体の長い歴史と伝統を尊重して頂いて、現状に立脚しつつ漸進的にその理想の実現を図つて頂きたい。以上四項目をその基本的な方針として検討を加えて参つておつたわけでございます。先ほども全国知事会友末さんなり内山さんから話があつたわけでございますが、なお敷衍して府県性格、機能、その存在の意義というものを申上げたいと存ずるのであります。  まず第一に、府県性格と機能でありますが、府県は、憲法に保障せられた地方公共団体であり、その性格市町村を包括し、国と市町村の間にあつて、みずからも又完全自治体としてその機能を果すところの複合的地方公共団体であるということを信じているのであります。その機能は公共的土木事業、総合開発事業、災害救助事業等の広汎な地域に亙つて統一的な処理を必要とするもの、いわゆる広域的性格を持つたところの事務、事業をやる、或いは伝染病予防であるとか、営業の規制、各種の試験検定、或いは各種の産業の奨励のような区々的に処理することが不適当な事務は、まさに県の公益的な行政機能の第一であり、又特殊の施設であるとか、施設の設置、管理、大規模の保健衛生施設等の維持管理のような事務作業は、現段階においては行政財政の能力の乏しい或いはその懸隔に著しい差のあるところの市町村が行うよりも、府県がこれを補完的に処理することが能率的であり、又経費的にも効果的であり、府県行政機能の第二とも言うべきものだと信じております。更に又県は市町村の自主性を尊重することは勿論でありますが、国と市町村の間にあつて、国と市町村間の連絡、市町村相互間の著しい財政不均衡の調整、紛争の調停斡旋や行政上の技術的援助勧告等、これ又現段階におけるところの市町村を考えました際、府県におきましてこそ実情に副い適切にその役目を果すことができるものであつて、県の機能の第三であろうと存じます。以上府県性格、機能について申述べたのでございますが、最近一部におきまして現在の府県を廃止いたしまして、地方行政は国と市町村と直結する、他に何らかの特殊的な中間機関を設けるような説が行われておるのでございますが、これは誠に現実の地方自治行政の姿を無視したところの、軽々にして、余りにも急進的な議論とも言うべきでありまして、我々は以上述べました理由から、府県の存在は、我が国地方制度上絶対に必要であることを強調いたしたいのであります。  次に府県の適正規模について申上げます。この問題につきましては、只今申上げました府県性格乃至機能から見まして、現在の区域が必ずしも適当であるとは考えておりません。その合理的区域の編成につきましては、少くとも理論の上では承認するものではございますが、併しながらさて現実の問題といたしますと、なかなか困難であろうと考えます。又府県の統合再編成を要するといたしましても、人口等形式的な標準によつて画一的にすべきでなくして、自然的社会的な条件であるところの人口、地勢、交通、文化、産業或いは長い歴史と伝統、風俗、習慣、住民感情等、これらを勘案して個々的な問題として取上げて行くべきであると思います。そういう結論に到達いたしたわけでございます。  道州制の問題は先ほど神奈川の知事さんからも発言があつたわけでございますが、我々としてはすでにお手許に差上げてございますが、結論として反対をするものであります。  なお、次に特別市制の問題を申上げたいと存じます。特別市制の問題につきましては、従来しばしば論ぜられているのでございますが、結論的には我々は現段階におきましては、特別市制の実施には絶対反対の態度をとつております。その理由とするところの要点を申すならば、大都市行政或いは財政の能力において他の弱小都市に比べすぐれたものであるということを承認するものではございますが、併し大都市大都市として今日まで発達したところの歴史と沿革に徴しまして、特別市制を実施した後におけるところの残存郡部と府県の問題、これを解決することなくして、府県概成の心臓部のみが単独に独立することは、広域行政の近代的な趨勢に逆行し、地方行政全体から見て、誠に不合理極まるものであり、断じて許されないものと思うのであります。特別市制につきましては、只今も申上げました通り、それが残存群部府県の処理という局部的な点もさることではございますが、この問題は根本的には我が国地方制度全体として、これらの点も併せて解決方法を講ずべきであると信じております。先ほど友末さんからお話がございましたが、現段階におきましては、大都市の問題は事務の適正配分によつて十分解決さるべきであるということを我々の意見としては、結論に到達しているわけでございます。  次は行政事務の再配分の問題でございますが、これが適正配分につきましては、その基本的な考えを申上げることといたしたいと存じます。現在の行政事務はその多くを国に留保しているわけでございます関係上、国が直接に行うか、又はその出先機関で行うか、或いはこれを地方団体の機関に委任して行わしめているわけでございますが、この結果は、現実上中央集権的となり、地方における総合行政というものが甚だしく困難となり、而も複雑化しているわけでございます。又このために地方におけるところの行政費は必要額を充足することができず、地方財政はますます根なんに追いこまれているころの実情でございまして、これらにつきましては、行政は能うる限り国は地方に委譲し而もこれに対して十分な財政的な裏付をすることが、国地方を通じて行政簡素化運営の円滑化となり、ひいては行政経費の軽減となるゆえんと思うのであります。これらの詳細につきましては、大体知事会と同じ意見でございますので省略させて頂きます。  なお、国の出先機関の問題も、先ほど知事会会長からも意見が出ておりますので、意見として我々は大体同じ方向をとつておりますので、この点も省略させて頂きまして、お手許の意見要旨を御覧願いたいと存じます。  次は、警察制度でありますが、先ほど知事会から申上げましたように、我々といたしましても、府県単位の自治体警察一本建、なお、自警には公安委員会をおいて、運営及び管理を行わせる、自警相互間の援助義務を課して、その体制を強化する、以上が警察制度に関する意見でございます。  次は、教育制度でございますが、これは知事会と若干意見が異るかと思うのでありますが、今回におきましては、教育制度につきましては、主として教育委員会制度について検討をいたしたのでございますが、その過程において、この制度はその現状よりいたしまして廃止するか存続するかにつきまして、相当意見がございますが、併しながら結論として、廃止することについては、教育の中立性と民主化の点より意見の一致を見なかつたということを申上げたいと思うのでございますが、ただこの委員会の現状より、慎重な検討が行われ、少くともその設置単位は、都道府県及び大都市として、その他の市町村は任意とし、その性格は諮問機関とする必要がある。又現行の委員会委員の住民の直接選挙を改めて、知事が議会の同意を得て選任する方向に改正すべきである、かような結論に到達いたしているわけであります。次に、行政委員会制度について申上げたいと存じます。行政委員会制度についてでございますが、この問題につきましても、行政委員会全体が我が国の行政制度として実情に副わないものとして、これは全廃すべきであるとの議論と、この制度行政の民主化の主眼に基いて今後なお育成すべきものであるとの、これらの両点から慎重に検討いたしましたのでございますが、結論といたしましては、その個々の委員会について十分研究をし、性格乃至は形体を変える必要があるとの意見の一致を見ているわけでございまして、これらの詳細は意見書を御覧願いたいと思います。  次に、都道府県議会運営及び構成の検討の結果を申上げます。実はこの意見は、勿論先に出されたいわゆる神戸勧告や、第一三国会におけるところの地方自治法改正政府原案に、地方議会の権限の縮小を匂わせるような点があつたわけでございまして、今回はこれらの点について十分検討を遂げた次第でございます。要は右の勧告や政府原案には、地方議会の議員を名誉職にする、議員の定数を減らす、議会の開会度数を減らす、或いは常任委員会制度を廃止するとか、いろいろの点について地方議会の権限を縮小するように方向付ける傾向が窺われることに対し、本会といたしましては、民主政治を基調とし、地方分権、住民自治の重大な観点より、これらの改正は時代錯誤であることを指摘し、現行制度の維持を強く主張しているものであります。個々の問題につきましては、これ又別途提出の意見書によつて御覧願いたいと存じます。次に地方財政制度について意見を申上げたいと存じます。現行の地方財政制度地方側にとつてより一層重大であり、地方制度改革はむしろ地方財政制度の問題を解決することにより、その大半の目的が達せられることは申すまでもないわけでございまして、なかんずく現在府県財政の逼迫は極度に達し、府県財政破綻の直前にあるわけでございます。さような観点から本会でも十分検討を行なつたわけでございますが、これらの改正案及び意見はやはり皆様のお手許に意見書として提出してございますので、御覧を願いたいと思います。  なお府県税法の改正とか平衡交付金制度、国庫補助金の問題、起債の制度、これは先ほど知事会会長さんも発言がありまして、大体我々のほうとしても、この問題に対しましては同方向をとつております。詳細につきましては、お手許の書類を御覧願いたいと存じます。  以上本会として決定を見ました地方制度改革案の概要を申上げたわけでございますが、劈頭申上げました通り、本会はこの意見決定当りましては、その一方に偏することなく、公平妥当にして而も我が国の地方行政の実情に立脚いたしまして、実現可能のものから、これを取上げているわけでございまして、何卒各位におかれましては、十分御検討をお願いして、我々に対して深き御理解をたまわらんことをお願いいたす次第でございます。
  10. 内村清次

  11. 佐藤和三郎

    参考人佐藤和三郎君) 只今御紹介を得ました宇都宮市長であります。  先ず以て皆さん方に御礼を申上げたいと存じますが、皆さん方には地方自治確立のために、何かとお性話になつておりますことは、私ども市長会といたしまして感謝いたしている次第であります。殊に今次国会当りましては、町村合併促進法の成立のために各段の御配慮を賜わましたことは、私ども非常に感銘深くいたしている次第でありまして、この機会に厚く御礼を申上げる次第であります。  さて、本日のお尋ねでありまする地方制度改革でありまするが、この点につきましては、かねて全国市長会といたしまして調査研究をいたしまして、役員会或いは総会等おいて、決定されましたものにつきまして、お手許にプリントを差上げてありますので、詳細これを御覧おき願いまするならば光栄に存ずる次第でありまするが、私はただそのアウト・ラインを申上げまして、御参考に供したい、かように考える次第であります。  先ず国の行政簡素化事務配分というような面と、地方制度事務簡素化、国民負担の軽減、かような観点からいたしまして、どうあるべきかという、ことについて検討を加えたわけでありまするが、結局根本的な解決策といたしましては、府県制度の廃止、こういう結論に達したわけでありまして、その具体案につきましては、只今のプリントにおいて御承知おきを賜りたいと存じますが、これらの点につきまして、その概略を申上げたいと存じます。  地方団体としての府県及び市町村の二段階があるということは、誠にこれは非能率的であり、真の地方自治確立を妨げるものであるということが第一に挙げられると存じます。府県は旧来の官僚的中央集権の域を脱せず、市町村に対しましては、あたかも上級の地方団体のごとく国と市町村との間に介在して、市町村行政に不要の関与をなし、特に平衡交付金、国庫補助金、起債等については、これがため事実が歪められることも少くないのでありまして、市町村自治の発展を阻害している現状であります。又府県は広域行政とはいうものの、市町村と競合するがごとき事業を行い、地方自治を不合理、非能率化している現状であります。  次に、府県自治団体としての実績がないということであります。これは知事会からも先ほど申上げたようでありまするが、府県事務は元来国の中央集権の代行機関としての使命を負わされておりまして、その八〇%が国の委任事務である。而も財政的にも一、二の府県を除いては全く自主性がない、こういう現状であります。  第三に現在の文化、経済、交通等の観点からいたしまして、中間機関である府県の存在を必要としない、府県の存続理由といたしましては、御承知の通り広域行政の必要を云々されておりまするが、現在の府県の区域は、いわゆる広域と称するには余りに狭く、今日の社会、経済情勢に応ずる行政区域としては著しく不適正であることは申すまでもないのであります。  第四に、府県制度の廃止によりまして厖大な行政費と、職員の縮減が期待されるわけであります。これらの点におきまして住民の負担の軽減、而も行政事務の処理のスピード化ということが図り得る、かように考える次第であります。  然らば府県廃止後の措置をどうするか、これが一番問題になるわけでありまして、先ず考えられることは、現行府県事務の処理方法、次に国との関係町村規模の適正化、財政措置等、こういう面であろうと存じます。  第一に、府県事務は如何なる基準によつてこれを処理するかという問題でありまするが、これは行政事務の質及び量の両面から検討を加えて行かなければならんと存じます。先ず住民が自己の創意と責任において最も身近に処理することを適当とする教育、民生、衛生、土木、産業、これらの事務は、全面的に市町村配分することを原則とすべきであろうと存じます。併し必要によつて高等学校或いは盲聾学校、保健所、衛生試験所、かようなものは市町村が個々に行うことが著しく困難な或いは不適当であるというものは、市町村の一部事務組合を組織して行うか、或いは中心的な市町村事務を委任するということによつて事務ができるということに考えられるわけであります。  次に、いわゆる広域行政と称せられまする総合開発或いは治山治水、国道、府県道の改良或いは土地の改良、かような事業或いは事務は、特別地方団体を設けて実施せしめるということにしたらよろしい、この特別地方団体の構想その他につきましては、プリントに詳しく述べてありますので御覧を賜わりたいと存じます。  次に、市町村行政の総括的調整事務、例えば指示の伝達、報告の取りまとめ、かようなものにつきましては、市町村全国的連絡団体において処理せしめるようにいたしたい。更に国の委任事務は、以上の各項によりがたいものは、国が直接やるなり或いは簡単な出先機関を置いて、これを処理せしめる、例えば平衡交付金或いは地方債、国庫補助等の配分のような事務であります。  次に、国と市町村との関係でありまするが、現在の出先機関中、地方自治に介入するがごときものは、現在これを廃止するを原則とし、市町村が自主的に処理しがたいものについては、国が直接又は現在の府県の区域ごとに簡素な出張所を設けて、町村行政の技術的協力、指導に当つて自治行政に対する許可認可、承認等のいわゆる権力的関与というものは、原則的にこれを廃止するということにしたい、かように考えるわけであります。  次に、町村の適正規模の問題であります。これは今回の国会のお骨折りによりまして、町村合併促進法の成立を見たわけでありまして、これにより市町村事務量と経済というものは相当節減ができ、又事務能率化ができると存じます。かような面において、いわゆる町村自治経営能力としては、少くとも高等学校の設置能力程度四万を基準とし、更に進んで保健所設置能力程度、十五万程度になることが望ましいと存じます。  次に財政措置の問題でありまするが、現行府県税はすべて市町村税とするということを原則といたしまして、これによつて生ずる市町村間の財源的不均衡は、これの調整は、やはり平衡交付金制度、これの機能を完璧ならしめ、国と市町村との間の財政調整を行い、自主的財源或いは地方独立税収入を強化することが必要であると存じます。更に平衡交付金制度は、特別な弱小団体に対する財源財政補給金制度に改めまして、国庫依存財源を極力抑制すべきであろう、かように考えるわけであります。  これは勿論府県制度の廃止は根本的解決策でありまするが、ただ、ここに当面の問題といたしまして御検討を又願わなければならん問題があるわけでありまするが、この点につきましては二、三申上げたいと存ずる次第であります。  先ず警察制度でありますが、自治警察発足以来、殊に都市警察は非常な財源窮乏の際にかかわらず、努力を払いまして、今日の民主自治警察が今日に至つた次第であります。これを直ちに全面的に廃止すべきであるという必要は更にない。もつともつとこれを拡充し、民主的運営をやつて行く必要があろうかと存ずるわけであります。ただ住民の意思によつて警察の設置を欲しないという市においては、これは一応設置を義務ずける必要はない、かように考えるわけでありまして、これらの詳細につきましてもプリントを御覧おきを願いたいと存ずる次第であります。  次に教育問題でありまするが、殊に義務教育関係におきましては、これは市町村長の責任において運営管理すべきである。何と申せ教育地方自治根本的な問題でありまして、学校の建築は勿論でありまするが、教育人事、給与その他運営管理は全部市町村責任においてやる。教育委員会を廃止するというような意味において総括すべきである。かように考えるわけであります。これらの詳細につきましてもプリントを御覧おきを賜わりたいと存じます。  次に、行政委員会制度でありまするが、この点につきましては、すでに御承知の通り、住民の直接選挙によりまして長及び議会というものが選任されるわけでありまして、これらの長及び議会の創意と責任において、住民の欲するあらゆる事業、事務が行われておるわけであります。而も十分に民主的に且つ能率的にこれを運営しておるわけでありまして、従つて各種の行政委員会というものの存置、これは相当考えて参らなければならんわけであります。ただ準司法的機能を持つ例えば公安委員会というようなものは一応存続し、その他のものは原則として廃止すべきであるという考えを持つておるのであります。例えば教育委員会或いは人事委員会というようなものは廃止、農業委員会というようなものは諮問機関として任意設置にしておくというような程度でよろしいのではないであろうかということが考えられるわけであります。  なお、当面の財政対策について一言お願い申上げたいと存ずる次第でありまするが、最近の都市財政は非常に窮乏を告げておる次第でありまして、特に現在二百八十五の市がありまするが、そのうち二百二十五市は赤字に苦しんでおります。昨年度末における赤字見込みは大体百九十一億を突破するというような状況に相成つておるわけであります。これが抜本的解決をこの際講じない限り、都市財政は更に塗炭の苦しみを嘗めるに至るであろうということが考えられるわけでありまして、今次国会におきましても、地方財政再建整備法に対しまして格段なる御検討を願つておるわけでございます。一日も早くこれが急速実現を図つて頂きまして、以つて地方自治の軌道に乗りますことを切にお願いを申上げる次第であります。  以上簡単にその概要を申上げまして、詳細につきましては、プリントを御覧おきを賜りますれば誠に幸いであると、かように考える次第であります。
  12. 内村清次

  13. 竹内忠治

    参考人(竹内忠治君) 只今御指名を頂きました私が全国市議会議長会の会長の重職を汚しております京都市議会の竹内議長であります。  今回地方行政に最も関心をお持ち下さる各位に対しまして、地方制度調査会に提出いたしました地方制度改正意見について御説明を申上ぐる機会をお与え下さいまして、誠に感謝に堪えません。地方自治の強化につきましては日頃非常な御配慮を願つておるところでございますが、私ども自身といたしましても、この窮況を打開する方策を考えたいと思いまして、昨年一月以来、地方行政調査特別委員会を組織いたしまして、これにはその道の専門家も多数参加をして頂きまして、鋭意慎重に検討いたしました結果、一応の成案を得まして、これを地方制度調査会のほうへ提出をいたしますと同時に、私も又委員の一人として財政部会において或いは行政部会において、それぞれ私どもの要望する点を詳しく陳述いたしておるのでありまして、速記録等を御覧下さる機会がございまするならば、甚だ仕合せかと存ずるのであります。地方制度調査会に提出いたしましたこれらの書類は全部御指命によりまして、今回お手許に配布さして頂きましたので、詳細な点につきましては、資料を御覧願うことにいたしまして、ここではその概要について御説明を申上げたいと存じます。  私ども地方制度改正意見の基本理念と申しまするものは、先ず第一に地方自治は住民と直結する市町村が優先すべきである。第二には、国は地方団体特に市町村を信頼して、その事務に自主性を与うべきである。第三には、財政についても税源を与えて、一般財源を強化すべきである、以上の三点でありまして、この基本観念に基いて抜本的な地方組織の再編成及び事務の再配分を行い、一面事務簡素化を図るとともに、他面行政費の逓減によつて地方自治の強化に並行して国民負担の軽減を期待するものであります。  国と地方団体との関係につきましては、行政事務の再検討と権力的関与の原則的廃止を考えております。現在地方団体は精細な規定に縛られた委任事務に追われまして、自由裁量の余地は甚だ少いわけでありますが、この委任事務を仔細に検討いたしてみますると、地方団体事務に適し、又地方団体がその実情に応じて処理することが一層適切であると考えられるものが少くないのでありますし、又国自体で処理することが適当であると考えられるものもあるのでありまして、その内容につきましては、お配りいたしました地方行政事務配分意見に詳細挙げているところでございます。即ち事務の再配分によりまして、国が直接行うことを適当とするもの以外のものは、地方団体事務とし、国の事務は国が直接、地方団体事務地方団体が直接みずから明らかなその責任の下に、これを行うことにいたしますが、ただ、国の事務でありましても、住民一般と直接関係があり、地方団体事務と関連いたしまするものは、委任し得ることといたしまして、その経費は全額国庫負担といたしたいと思うのであります。現在でももつぱら国のためにする事務につきましては、地方財政法第十条の四の規定がございますが、事実はお手許の資料の通り国庫支出金は半額に満たないような現状であることに御注意をお願いいたしたいと思うであります。事務配分により、地方団体事務なつたものにつきましては、最低基準を定める以外、国の権力的関与は自治の本旨から申しましても当然廃止せらるべきであると思うのであります。市町村立場から申しましても、この権力的関与に伴う手続的事務量は相当なものであります。例えば、監督のための出張のごときも、国、府県から年間少くとも五、六十回、多いときは百工、三十回も市へ出張せられておる状態でありますので、事務能率の向上の点からも、御考慮をこういう方面にお願いをいたしたいのであります。  国と地方団体との間の事務配分調整に併せて、地方団体相互の間の調整が重要であると考うるのであります。御承知の通り市町村住民に直接関係のある事務も多くは府県に委任せられ、妊産婦手帳の一冊も、犬の鑑札一枚も、府県知事からでなくては受領できないのであります。自治制度ができましてから六十五年、その間市町村も相当成長いたしておりますし、加えて各位の御努力によりまして町村合併促進法も成立いたしまして町村行政能力強化が期待される今日、市町村は名実共に民主政治の基盤として任務を果させてもらいたいと希望するものであります。府県地方自治法制定以来、市町村と併立いたしておりますが、事務上は戦前の法令が殆んどそのまま残つておりまして、国の出先的性質から市町村の上位にありまして、この両者の性格が錯綜して機構の膨脹を来たし、我々市町村立場から申しますれば、事務の競合、しわ寄せがあり、国との連絡等につきましても満足し得ないものがありますので、理想といたしましては、現行府県制度を廃止し、市町村の利益を代表する協同体的性格を持たせ、その事務も補完行政、広域行政、国との単純な連絡事務等に限定をしまして、普通地方公共団体は、市、町村一本にいたしたいと思うのであります。昭和二十九年度を目途とする当面の問題といたしましては、一応現行府県制度を認め、その事務はお手許の事務配分意見通り、補完行政、広域と申しましても、只今の区域では不完全でありますが、一応の広域行政及び国との連絡事務等に限定し、市町村に対する権力関与は極力廃止する等によりまして、市町村優先の原則を実現いたしたいと思うのであります。即ち中間機関の縮減によつて行政能率の増進、行政費の逓減を期待し、国民負担の軽減をも合せて実現いたすように希望するものであります。  続いて地方税財政制度の改正意見を申上げます。今日地方財政が非常な窮境に陥つておりますことは御承知の通りであります。これを打開いたすには、地方制度の改正によりまして、行政費の縮減を図ると共に、積極的に税財政制度の改正が必要であるとの考えで、お手許の地方税財政制度改正意見を提出させて頂いたのでありますが、その要点の第一は、新たに税源を配分して地方税を強化することであります。地方税総額が国税総額に対し、昭和七年六八%であつたものが、シャープ勧告で強化された昭和二十七年度におきましてもなお五〇%弱であります。国税が国の予算の八八%を占めるのに対し、市税は市の予算の平均四八%に過ぎないのでありまして、市町村の自己財源を強化するには、国から税源を委譲せられるよりほかに途がないのであります。即ち揮発油税五〇%、酒税及び煙草益金二〇%の市町村還元、電気ガス消費税の免税制限のほか、前国会で御配慮を願いました国鉄等の公社及び日本放送協会の固定資産税の拡張並びに国及び公共団体の公用、公共用財産以外に対する固定資産税の課税等の措置を希望いたすのであります。第二は、前に申上げました委任事務の経費の全額国庫負担、及び国の直轄工事費は、原則として国庫が全額負担するということであります。第三は、国及び府県等に対する寄附金負担金の禁止であります。この実情は、お手許の資料の通り、昭和二十六年度において市が直接支出いたしましたものが国へ約十億、府県へ約二十億、合計三十億円に相成つております。その対象は、裁判所等の庁舎から公務員宿舎等、実に多種多様でありまして、市民の直接寄附をも加えましたならば莫大なものになると思われるところであります。第四は、補助金、交付金の整理であります。即も災害復旧、失業対策、生活保護のような特殊なものを除く複雑な一般補助金は、これを廃止して、市町村税強化のための委譲財源にして頂きたいと思うのであります。お手許の資料の通り、二百十七円というような補助金もあり、この配分受領の手数を考え、又補助金が権力関与の手段ともなり、市町村財政の膨脹、非能率の原因ともなることを思いまするときに、むしろこれを廃止し、総合して市町村財源強化に当てて頂くほうが有効適切であると考えるのであります。第五は、地方債地方団体の能力に応じて自由に起債し得るようにして頂きたい、特に公営事業債は許可を要せず、一般のものも一定限度までは自由に起債し得る途を開いて頂きたいと思うのであります。以上の措置によりましても、財源の偏在その他の事情によつて自立が困難の地方団体に対しましては、地方財政平衡交付金を本付するようにお取計いを希望いたすのであります。  次に、当面の問題といたしまして取上げられる警察及び義務教育について意見を陳述いたしたいと思います。警察を国家権力に集中することは民主政治の理念に反するばかりでなく、特に交通、風俗、衛生等の行政警察のごときは、必然地方団体が管理すべきであると考えられるのみならず、戦後市町村財政窮迫のうちに地方自治確保の基盤として苦心経営しまして、その実績が以前に勝るものあるまでに伸長をし来つたこの自治警察を、一挙に抹殺せんとするがごときことは、市町村自治行政の熱意を著しく冷却せしめるものであると申さなければなりません。従いまして自治体警察は現行通り維持せらるべきものであることを強く主張するのであります。なお、人事交流、障害除却、自治体警察の協同設置、連合組織の奨励など、こういろ点につきましては、自治体警察の能力向上の法的措置は必要であると考えられるのであります。義務教育につきましては、その創設以来、市町村行政と密接な関係にあり、これが中心となつて今日に至つたのでありまして、市町村住民が大部分郷土に一生を終るものであるという点からいたしましても、義務教育市町村事務として、その地方に適応する教育を実施すべきであると考えるのであります。これを全国劃一的な国の事務とし、単に施設の維持管理のみを市町村負担せしむべきでないと確信するものであります。従つて国は最低基準を法定する程度にとどめ、市町村の自主性を尊重すべきであり、人事の交流、教育費の増嵩等を考慮し、事務の協同処理、そのほか事務簡素化、経費の節約等についての配意は必要でありますと共に、その維持管理費は地方財源強化の一環として税制改正に包含せられることを希望いたすのであります。  最後に大都市制度について申上げたいと思います。大都市制度に関しましては、特別市政を実施すべきであることは当然であると考えられるのであり、すでにこの問題については大方の学識経験者がひとしく大都市は特にこれを考えて特別市制を布くべきであるという結論が得られておりまするし、すでに国会におきましても、自治法の中にこれを謳つております。ただ我々は五大都市一つの京都に住んでおりますが、その地方住民の意思を問いたいと思つて単行法律の制定を国会に迫りましても、未だこれは実現が期せられない。従つて住民の意思決定ができないというような状況にありますることは、甚だ不可思議に堪えないのであります。併しながら大都市制度の現状打開は、このような問題で争つている今日ではありませんので、一日もこの大都市制度の問題を解決しまするためには、現状からいたしまして当面の措置といたしまして、特別市制の先ず漸進的な形態として、府県から大都市への事務の委譲、即ち行政事務の再配分と、これに伴う財源の増加による大都市制度を実現することも今日の場合は又止むを得ないかと存ずるのであります。  今一つ附加えたいと思いますのは、地方議会の権限縮小の問題であるのでありますが、今日民主国家の基盤が地方自治確立にあると言われますならば、この地方自治確立の基盤をなす地方議会というものは、その地方における最高の機関であるのでありますし、丁度国会が立法機関として国の最高位に位しておると同時に、地方行政等を司る地方議会におきましては、徒らにこれを行政整理の一環として縮小する、そうして首長に一方的に行政を行わしめるというような住民に感じを抱かしめるような地方議会の権限の縮小は、我らの断じて容れることのできないことであります。こういう点におかれましても、国会に席をお持ちになる方々は、我々がこのようなことを申上げてお願いをするまでもなく、よく御了解の願えるところと思うのでありまして、一部地方議会の権限縮小を叫ぶ旧官僚の残滓やら或いは米国流によつて何もかも米国のように持つて行こうとする浅墓ないわゆる識者の言葉である、一笑に附して頂かなければならないと存ずるのであります。  以上を以ちまして私の陳述を終りますが、平素委員各位から頂いておりまする地方自治発展のための御尽力に対しましても、重ねて最後に感謝の意を表しまして、本問題に関する私の陳述を終りたいと思います。御清聴有難うございました。
  14. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に全国町村会会長茨城県結城郡石下町町長関井仁君。
  15. 関井仁

    参考人(関井仁君) お許しを得まして全国町村会の代表といたしまして申上げます。  参議院地方行政委員会におきまして、我々町村自治確立のために非常に御熱意のある御態度で、過般は町村合併促進法の可決に当りまして非常な御熱意を示され、大体我々の希望に副う合併法の成立いたしましたことを心から御礼を申上げる次第でございます。なお、本日は神方制度改革に対処いたしまして、我々町村側の意見をお取入れ下さる機会をお与え下さいましたことを、これ又衷心より御礼を申上げる次第であります。私ども全国町村会といたしまして、この地方制度改革に対処いたしまして、全国町村会内に特別委員会を設けまして、これらの問題に対する研究を続行いたしまして、過般意見書を取まとめまして、なお、又これらの決議につきまして個別の附議いたします要望等も添えまして、お手許に配付したわけであります。これは地方制度調査会のほうへもお廻しした書類でございます。よく御覧を頂きたいと思います。簡単にこれらの点につきましてアウト・ラインを御説明申上げたいと、こう考えます。  なお、町村側の特殊な事情といたしまして、特に従来自治法並びに地方財政法等によりまして、我々努力をいたしまして今日まで参つた次第でありますが、併し町村立場は特殊な立場でございまして、一応法に守られました或る特殊な自主的な地方団体として十分活動できる態勢にあるわけでありますが、併し内容を申上げれば、弱小町村は千数百人の人口よりないという規模があるのであります。或いは五、六万の規模を持つておる町村もある、こういうわけでございます。平均いたしますと四千程度町村が圧倒的に多い、こういう現況であります。そういう状況でありますので、非常に民主化されました町村行政の中に、国並びに県の圧力というものが入り込んでおるのでありまして、例えば負担というような問題にいたしましても、先ほど申されましたように、相当の数があるのでありまするが、町村の段階に参りますると、それが意外に多いのでございます。地方財政法によりまして出すべからざる支出というものが限定があるのでありまするが、弱小町村におきましては出さざるを得ない。例えば国、県が非常にいろいろの事業を起すのでありまするが、それの予算が非常に不足しておる。それを町村の段階に入りますると、県の職員或いは中央官庁の職員が、それらの事業を敷衍をいたしまして、大体予算を倍、或いは三倍に組んで仕事をするのであります。そういう関係町村が、市もそうでありますが、この被害を受けるというのでありまして、国の行政欠陥の、そのしわ寄せが、或いは県の行政面の欠陥のしわ寄せが直接市町村つて来るのでありまして、非常な額になるのでありまして、これは市町村民が負担をする分までも加えますると、数百億になるのではないかという考えを持つておるので、現存それらの調査を細密に検討中でございます。暫らく経ちますれば、それらの総合いたしました資料が全国町村会に集まる段階になつておるわけであります。そういうふうにあらゆる面で、例えば保健所であるとか、或いは裁判所であるとか、或いは国警であるとか、或いはその他あらゆる団体すべてが、予算が不足しておるのであります。そしてそれらの官吏或いは職員がそれに倍加し、或いは三倍化した予算をもつて仕事をしようというので、そういう負担金が理不尽にも町村側に押付けられる。而もそれは協力化というような名義を以ちまして、自主的に市町村が協力するのだという建前を以て出されておるのでありまして、非常にそういう点が弱小町村の発育を阻害しているという現状であります。  それから又只今市側から完全自治体を目標としました御意見が出まして、私ども非常に敬意を払つて拝聴した次第であります。然るところ我々の町村は非常に貧弱でございまして、先ほど申上げましたように、手数百人の町村もあるわけでありまして、只今いろいろ完全自治体を目標といたしまして、市町村並んで運動をしておるわけでございまするが、いかんせん、この段階を考えますると、高等学校の学生と小学生が同じ運動場で遊ぶというような点も多々見られるのでありまして、我々町村が発育を阻害される点が非常にありますので、そういう点で余ほどお考えを願わんと、町村側が発育が完全にいかんというような現象が起きて来るのではないかということを心配をしておるわけでございます。例えば我々は平衡交付金の面、或いは起債の面等につきましても、常日頃いろいろ自治庁初め陳情をしておるわけであります。例えば起債にいたしましても、我々は大蔵省等の、或いは現在のこの煩雑なる手数を省きまして、どんどん自由にやりたいという意思を持つておるのでありますが、総枠がありながら、中で自由にするということでありますると、町村側は非常にその運動の能力が微弱であるというような点、或いは事務処理が非常に幼稚であるというような点で、同じ運動でありながらも、市側に或いは非常な圧迫を加えられるのではないかというような、杞憂でありまするけれども、そういう考えを持つておるのでございます。  それから府県税の性格の問題でありまするが、これも我々町村といたしましては、勿論県は広域行政立場、或いは補完行政立場でおやりになつて頂くという主張を持つておるのであります。併し現実の面といたしまして、町村側は非常に府県に依存をする点も現状の面では多々あるのであります。で、我々はいろいろ検討をいたした結果、現状の面といたしましては、府県の側におきましては、そういう面で仕事をなさつて頂く。例えば合併の面、或いは起債の面、或いはその他の平衡交付金配分の面ということにつきましても一枚加わつて頂いて、市町村行政を睨み合せました枠内での調整というようなことにつきましても、県が相当役割を果しておるので、そういう点で、現状、県で補つてつておるわけであります。併し先ほど知事さんの側からお話がありました府県民税を設置するというような点になりますると、県の自治体というものをだんだん完全自治体へ切換えて行く、発達させて行くというようなことにもなりますので、これは勿論市町村が発達をして行けば、自治体としての機能は県のほうは薄れて行くというのが当然でありまして、将来は府県性格もこの合併問題等を根本の問題といたしまして、町村側が相当の規模を持ち、行財政の能力を持ちまして、完全自治体へ近ずいて行くということになりますれば、県の機能というものが薄れて行く。而も県といたしましては中央官庁の出先機関としての仕事が相当に残つて行くということになるのでございまして、そういう点から申しますると、府県合併とか、或いは将来の問題として府県性格を何とかしようという問題が起つて来ると思うのでありますが、当面の問題といたしましては、それは我々は考えていないのでありまして、まだ町村が今後この合併法を基盤といたしまして、内容を充実させたいという努力をこれから払うという段階にあるわけでございます。それからその基本的な問題といたしましては、これは財源処置を十分にお考えを願い、それらの事務に対処し得る態勢をいたして頂きたいというのが根本的な問題でございます。  それではお手許に配付をいたしました書類について簡単に申上げたいと思うのであります。  我々の基本方針につきましては市のほうの側の御趣旨と同様でございます。飽くまでも市町村優先の立場から、而も住民に直結する基礎的な地方団体といたしまして、その原則を飽くまでも尊重せられまして、今後の改革に処して頂きたいという希望を持つております。  それから行政事務の再配分の実施につきましても、それらの原則に立脚をいたしまして、いろいろの面につきまして御措置を願いたい。それから府県の問題につきましては先ほど申上げましたような、主として広域団体としての行政、それから市町村に対する一般行政というものを担つて頂く、それから能率の原則等を過度に適用するということによりまし、甚だ現在町村側の弱体なところが多いのであります。或いは事務能力について非常に幼稚なところもあるのでありますが、それらの点につきまして、地方分権の面で、これは中央でやつたほうがいいのではないか、或いは県でやつたほうがいいのではないかというようなところで、事務配分関係を阻むというようなことを避けて頂きたい。それらの点につきましては共同処理の方法を以ちまして、町村を育成して頂きたいという希望を持つておるわけでございます。大体町村規模におきましてでき得るだけのものは、全部町村側にやらして頂きたい。それに適せざる問題、先ほど申しましたような問題広域行政、即ち県を要しなければならぬというような問題等につきまして、県のほうでやつて頂くという希望を持つておるわけでございます。それから義務教育に関しましては、やはり我々は全面的運営管理を行いたいという考えを持つておるのであります。勿論当該義務教育費の支弁は、市町村の義務に入るということを承知しておるわけでございますが、現実の面といたしましては、非常にこれは税源の面が不足をしておりますので、到底できないというので、全額国庫負担というようなことを陳情をしておるわけでございます。それから市町村の連合体の問題であります。国と市町村の間の連絡調整は連合体でやつてみたいという希望を持つておるわけであります。郡の町村会或いは県の町村会、或いは全国のこれは市町村皆そういう連合体を持つておるのであります。これらの機能を十二分に活用、活動をせしむるということが非常にいいのではないかというふうに考えられますので、この中間の事務につきまして、連絡調整というようなこと、或いはこの共同処理の問題という点をこれらの連合体をしてなさしむるというふうにお願いをしたいのでございます。それから新たに市町村に或いは事務を義務づける、或いはいろいろの事務につきまして委任をするというようなことにつきましては、やはりこれらの団体に一部をお諮りを願つてお願いをしたいというふうにして頂きたい。それからいろいろの点につきまして画一的な規定を避けまして、適用の段階を設けて頂き、市町村をして取捨選択をし得るような弾力性のあるものにして頂きたい。例えば、先ほど申上げましたように、一概に市町村と申しましても、非常に段階があるのでありまして、大学生から幼稚園まであるのでありまするからして、それらの点につきまして十分に御考慮を願いたい。而も弱小のものを常に伸ばして行くということに重点を置いて頂きたい。これ成らずして日本の国政の基盤というものはできないと思うのであります。我々は先ず以て最も弱小な町村に非常に力を注いで頂く、これを伸ばして頂くということが先決ではないか、こういうふうに考えております。  行政事務配分の実施に伴いましていろいろの御処置をお考え願うわけでありまするが、行政面では、町村規模合理化、これが先ほど参議院の非常な御努力によりまして通過をいたしました合併法でございます。我々はこれを目下の重大な問題にいたしまして、弱小町村の更生策として考えておるのであります。而もこの問題は最近人口一万五千或いは二万の町村がこれを拡大したならば市になろうというようなお考えも、非常にこれは持つておるのであります。併しこれで果して町村としての自治行政が完全にできるかどうか。市街地を構成しない所が無理やりに市を希望して、これは市に仲間入りをしてうまく行くかということを考えますと、我々は決してそれを希望しないのでございます。例えば、人口一万五千或いは二方の村ができ町ができましても、それはやはり実態に即した町村として自治体として仕事が十分にできるのであつて、無謀なる都市計画ということにつきましては、我々いろいろ考えまして、最近各町村に向いまして意見書を出そうということにつておるわけでございます。それから共同処理方式の奨励、先ほど申上げましたこの町村が共同処理を採用することによつて能率を上げるということを考えておるのでございます。公務員の資質の向上、これは特に町村関係におきましては、内容事務処理問題につきまして非常に弱体な点があります。自治庁を中心にいたしましていろいろ御研究を願つておるわけでございます。国或いは県、町村を一貫したそういう組織を作つて頂いて、事務の能率を上げて頂きたいということを希望しておるわけでございます。  それから財政に関する事項でございまするが、地方税につきましては、現在自主財源が四割ちよつとでございます。これは是非とも六割以上或いは七割程度まで持つてつて頂かんと、今後の処理ができないというのでございまするので酒税或いはたばこの専売益金の二割、それから遊興飲食税、入場税の全額、これも国税として御徴収願いまして、これを市町村側へ配付をして項ということを考えておるわけでございます。大体六割以上から七割程度の自主財源を持つて行く、こういうことでありたいということを希望しておるわけでございます。それから市町村民税は勤労所得者に非常に重いというような点があるのであります。幾多陳情を受けておるのであります。それから法人税割の税率を個人と同様にする。非常に町村側におきましてはもぐり法人が多いのでございます。内容は個人でありまするが、法人になつておるというのが非常に最近続出しておるのであります。こうなりますと、個人企業というものが殆んどなくなつて、看板だけの法人が小さな町村にたくさんできるということになりまして、いろいろ問題が起つて来るのでございます。そういう点もお考えを願いたい。それから固定資産税等の評価がたびたび変り、又最近変らんとしておるというようなこともございます。税に対する国民の観念というものが非常に薄れて来る、或いは事務におきましても非常に煩雑に堪えないというので、こういうものは三カ年くらいを据置にして頂きたいということを主張するのであります。それから次に国鉄、専売公社或いは放送協会、そういういろいろのものにつきまして、固定資産税も全面的に課税をして行かなければ、市町村側としては困るという意見が圧倒的に多いのであります。これもお考えを願いたいと思います。それから最近電気、ガス税等について非課税の範囲がだんだん殖えんとしておるのであります。これは極力圧縮を願つて頂きたい。  それから平衡交付金でありますが、これは勿論我々は補助金制度というものを将来御廃止願いまして、平衡交付金でやつて頂くというのでありまして、その単位費用等につきましても、いろいろ市町村におきましては、市側等は非常に有力でありますけれども行政水準が非常に異つており、内容が異つておるのでございます。これらも十分弱小町村の側を御検討願いまして、一つ算定をして頂きたいということを主張するのであります。  それから国庫補助金でございますが、先ほど申上げましたように、やはり衡交付金を中心にしてこれに組み入れて頂きたいというのであります。なお残存すべき補助金は財政力に応じて補助率に差等をつけて頂きたいというのが我々の主張でございますので、その行政水準の非常に低い弱小町村に対しまして、奨励的の効果を挙げて頂きたいというのでありまして、そういう一点でいろいろ、例えばこの問題につきましては、知事さんの会議等においてもいろいろ富裕県或いは貧弱県、市におきましても有力な市或いは貧弱なる市、町村におきましても財力の豊富な町或いは非常に貧弱なる町というので対立の意見が出るのでありますが、それらにつきまして十分公平なる御判断を願いまして、御処置を願いたいというふうに考えておるのでございます。  地方債の問題につきましては公募が殆んどできないという状況でありまして、現在非常に苦しんでおるのであります。これは非常に手続がむずかしいというので、町村が悲鳴を挙げておるのであります。そういう点からいろいろ大蔵省の資金面の一部の改正の問題であるとか一いろいろ出ておるのでありまするが、我々といたしましては、先ほど申上げましたように大枠の中での起債であり、而も町村が弱体であり、小学生或いは幼稚園の実力しか持つていないということであれば、これを十分引伸し御面倒を願うというような方法をお考え願わない場合、いろいろこれらのしわ寄せが弱小町村に来てしまういうことを常に心配をしておるのであります。この点よく御考慮を願いたいと思います。この起債の問題等につきまして、知事会議のほうから地方債金庫のお話が出たのでございますが、町村側といたしましても勿論この問題につきましては賛意を表しておるのでございます。簡単に起債ができるということを望んでおるのでございます。それらの点につきまして本自治庁等におきまして一段の御工夫を願いまして、そういう機関が発足し、これらの問題の解決を一日も早からしむるように希望する次第であります。  簡単に申上げたのでありまするが、重ねて申上げまするように、町村側は常に各種の弱点を持つておるのでございます。それらを一つ一お考え頂きまして、この際合併問題で規模を適正化にいたしまして、地方財政の能力を十分発揮しようということを望んでおる次第であります。それにつきまして一段の御配慮を願いたいと思います。簡単でございまするが私の陳述をこれで終ります。
  16. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に全国村議会議長会会長辻龍太郎君。
  17. 辻龍太郎

    参考人(辻龍太郎君) 御指名によりまして全国町村議長会といたしまして意見を開陳いたしたいと思います。大体はお手許に差上げた書類について御覧を願いたいと思うのでありますが、補足的に説明をいたしたいと思います。主として当面答申を要すべき問題について申上げることにいたします。  事務配分に関する事項でございます。この事務配分につきましては、かねてから政府にも勧告をされておるのでありますが、なかなかその実効が得られない。ためにこの町村と国との間の事務配分が遅々としておりまして、現在町村が当然やるべき事務以外に、国の事務が七、八割もこれに加わつておるというようなことが、町村行政の非常に進展を阻害しておるという点が真に遺憾としておるのでございます。殊にこの教育とか警察、民生、消防等の事務が、それぞれ町村に移譲されたにもかかわらず、近頃はややもすればそれが一部国のほうに又とり上げられるというような傾向も、ございまして、この点誠に遺憾に存じておるのであります。こういうことはいわゆる町村の自主自立運営を妨げるものでありまして、速かにこれの実施を希望いたしておるのでございます。殊に警察行政事務等、或いは教育行政事務、こういうものは町村事務の根幹であります。こういうものについて国が干渉するというようなことは甚だ自治体のためには迷惑なことでございます。殊に警察行政が近頃財政の都合上、殆んどの町村がこれを国警に返上しているということは、これは決して自治体警察行政を持つということが不適当であるというのではないのでありまして、特つべきが本来であるが、併し財政的にそれを持つことができないというような点から、ああいう結果になつたのでございまして、やはりこれは原則といたしましては、町村自治能力等において持たすべきであろうと思うのであります。併し住民の意思が、どうしても自治体警察を存置したくないということならば、止むを得ないのであります。そういうものは都道府県単位の自治体警察として、今後実施すべきであると思うのであります。尤もこの都道府県単位の自治体警察につきましては、大都市府県同様の自治体警察を持せたいというような意見があるのでございます。併しこれは私はいけないと思う。なぜならば、大都市につきましては、特別市制等の問題がございまして、特別市制の実施の可否が強く論議されておるのでありまして、殊に町村側としてこれに反対の意思を表示しているのは、特別市制が実施されました場合に、残存部の町村がどういうことになるか。如何にこれを処理するかということについての具体的な結論が出ておらない。さような際に、大都市に対して警察権だけに特別の措置をとるということは、これは非常に早計でありまして、特別市制の問題と共に関連して、大いに研究すべき問題だ。警察行政だけを切離して、府県と併立して自治体警察を持つというようなことはよくない、かように思つております。それから教育行政でございます。これの運営管理は全面的に町村をして行わしめるものである。従つて人事権と共に財政権もやはり町村に与えてやるべきが本当であろうと思うのであろうと思います。尤もこれも現在の財政の面から見まして、或いは廃止すべきであるというような議論も非常に有力であります。現段階におきましては、これはその議論は私はやむを得ないと思うのであります。併しながらこれに自主財源を与えるということならば、大いに育成すべきであろうということも考えておるのであります。  それから次に地方公共団体性格でございます。府県の廃止とかいうようなことも叫ばれておりますが、併し府県が広域行政或いは補完行政をやつて、そうして町村の育成に努めておるということは、今日までの歴史の事実に徴しても明らかであります。やはり府県はそういう範囲において存置すべきだと思うのでございます。併しそれが町村に対する権力或いは干渉というような面において強く町村に圧力をかけるというようなことはよくない。先ほど町村会長がお述べになりましたように、大体の事務はやはり町村の共同処理において片附けまして、ただ治山治水とか、そういう面においての広域行政府県にやらせる、或いはそういう次第でありますから、自然権力的な関与ということは、これは排除すべきだ、かように考えておるのであります。それから府県の存廃の問題でございますが、これはよく地方制度調査会でも論議されましてまだ結論が出ておりません。併しながら憲法上地方公共団体ということは、これは議論のない問題と私は考えております。この点から府県の存廃の問題については、憲法の改正には及ばない、自治法の改正で片附け得ると、かように考えておるのであります。次に道州制の問題であります。道州制は現在の府県性格をどういうふうに持つて行くべきかという点が解決いたしません以上は、まだそれを実施することは時期尚早であります。かように考えておるのであります。  それから町村規模合理化につきましては、先般参議院各位におきまして非常に御協力を頂きまして、すでに法案が実施されたのでございますが、ただこれが実施に当りますところの予算の裏付がないということが、甚だ遺憾に思う次第でございます。これを実施いたしますには、調査にいたしましても或いは実行にいたしましても、多大の経費が要るのでございます。速かに政府並びにこの国会におきまして、その予算を計上いたされんことを切にお願いいたす次第でございます。なお、この町村合併につきまして、ただ町村合併いたしましても、総合的の計画ができないのであります。都市計画法というものを十分に準用し得るような途を開かれ、又それを実施するように慫慂すべきである、そうして、合併町村の総合計画と共に町村合併をやるべきである、かように考えておるのでございます。  それから地方財政確立問題でありますが、これは地方財政は絶対額においては年々拡大の一途を辿つておるのでございます。国庫財政との比率におきましても、行政費についてこれを考えますとき、戦前二倍近かつたものが、昭和二十六年度で僅かに一・二倍になつておるというようなことが、果してこれが町村財政確立しておるかどうかということを考えなければならんと思います。現在におきましては、六・三制教育制度或いは自治体警察、社会保障制度地方自治の拡充によつて、その行政事務というものは非常に増加しておるのでございます。戦前の額を十分に上廻つて、二倍、三倍となることが順当であろうと思うのであります。その点につきましても、形式上の地方自治が拡充されたというだけで、その財源配分が十分でないということについて甚だ遺憾に思つておるのでございます。  以上のような考え方から地方財政規模というものは、国家財政規模に対して二倍以上の線を保持し、その財源は歳入総額に対して税収入が六割以上を確保するということに持つて行きたいと考えます。それから平衡交付金と合せまして八割が自主財源になるべきだ、こういうことを考えるのであります。併しながら現行の地方税というものが住民負担の最高限度に達しておりますので、増税をするということは到底不可能でございますから、その財源は先ほど町村会長がお述べになりましたように、酒、たばこの消費税その他適当な財源を許して頂く、かように思うのであります。それから町村に対する国の施設に対する寄附金の要求でありますが、これの性格はともかくといたしまして、実際に町村側が寄附をしなければならんように、国のほうから、何と申しますか、誘惑をするというようなきらいが多々ある。で寄附金であるから断わればいいのでありますが、例えば学校施設をいたすにしても、或いは国警その他の施設にしても、敷地を提供すればお前のほうへ持つて行くとか、いろいろな条件が示されまして、それに迷わされて寄附せざるを得ないようなことになるのであります。ああいうことを事前に煽動的におやりになるということは、大いに国としては慎しんでもらいたい、かように考えておるのでございます。  それから地方財源総額とその構成に関する問題でございます。これは地方財源は量的にも質的にも国家財源に比較いたしまして、非常に劣つておるのでございまして、町村財政需要を満たすことはできんのであります。国の財源との調整によつて安定性なり弾力性を持つところの普遍性に富んだ財源地方に与えて欲しいと思うのでございます。  それから地方税その他の財源地方公共団体間の配分及び調整に関する事項でございます。府県が広域的補完的行政を分担しておる団体であるという性格から考えまして、その機能というものは大幅に市町村に移譲されるべきであります。従つて事務配分後においては、その財源が相当市町村に委譲されるべきであると思うのであります。  それから府県税制の改正の方向であります。府県民税の創設も、これを町村税の財源に食込んでやられるということは誠に迷惑でございます。やはりこれは独自の財源を求めて頂き、そうしてそういう税の調節ならこれはやむを得ない、かように思うのであります。それから固定資産税につきましても、これは町村税のうちで最も有力なものでございます。これを一部分割して府県税に委譲するというようなことは到底現段階においては不可能でございます。それから市町村税中、市町村民税についてオプシヨンの2を採用する結果生ずる税の逆進性を防ぐこと、それから勤労所得に対して税を軽減するというようなことは、これは町村会長がお述べになりました。この点が非常に農村におきましては勤労者に刺激を与えまして、それがために税の徴収の困難を来すというようなこともございまして、何とかこれをもつと緩和するような方法を設けて頂きたい、かように考えます。それから国の産業政策による地方税の減免でございます。これは国が減免だけをいたしまして、そうして地方にそれに代る財源が何も与えられていないというようなことが間々あるのでございます。ああいうことの措置をおとりになる場合には、それに代るべき財源を国において一つお考えになつてそうしてやつて頂きたいと思うのであります。  それから附加価直税の問題でございます。これは個人と法人との負担の不均衡を是正するという点と、中小企業というものには比較的有利であるという点から、特に町村立場からはその措置を望んでいるのであります。併しながら財源及び企業に混乱を与えるというような点で実施不可能としても、少くとも個人法人間負担の不均衡を是正して、地方税の応益的な性格を徹底するような措置を事業税に盛り込んで行くということが必要だと思います。  それから行財政簡素合理化に関する問題でございます。行政委員会制度その他執行機関に関する事項といたしまして、行政委員会につきましては、行政機構の簡素化とその合理的能率的運営の見地から、その整理検討が必要とされているのでありますが、併しながら行政委員会が設けられた根本趣旨というものは分権化民主化にありまして、その運営が果してこの趣旨に沿つてなされているかどうかということを実証的に検討するの必要があります。而もその実施以来まだ日なお浅いのでありますから、直ちにこれを廃止するとかというようなことは非常に軽卒であると思うのであります。殊に町村におきましては行政委員会というものが非常に有効に利用されているところもございます。国会とか府県会とは非常にその趣きを異にいたしておりますが、この点は現段階でもう少し育成すべきだと思います。尤もこれを廃止するということが負担の軽減になるというような議論もあるのでございます。併し町村におけるこういう委員会というものは、そう町村財政には大した圧力はかからんのでございます。むしろこういうことは国としての問題であつて町村としては先ず大したことはないとかように考えております。  それから議会の組織運営でございます。これは議員の性格がございまするが、議員の性格を名誉職的にするというようなことも論じられておりますが、併しながらこれがやはり住民の意思の代表の機関としては最も必要なものでございまして、こういうものの性格をそういう点に持つて行くということは、やはりこの自治意識の高揚を妨げるものでございまして、やはり現在の制度が最も適当だろうと思うのでございます。それから議員の定数でございますが、これも町村議会におきましては、大体年額報酬が六、七千円から、いいところで一万円くらいだろうと聞いておるのでございます。そういう若干のものを減らしましても、それがために財政が楽になるというようなことはございません。やはりこれは住民の意思を完全に表明いたしますのには、相当数、現在の数が最も適当だろうと、こう思うのでございます。尤も特殊町村におきましては条例を以てこれを減少するということはやむを得ません。やはり制度といたしましては現行制度が一番いいんだ、かように考えるのでございます。それから議会の開会度数でございますが、これもやはりこれを余り減少いたしましても大して町村財政は楽にはならないと思うのでございます。又この議会を開くということが町村の住民なり町村議員といたしましては、非常にこの自治に関心を持たすことになりまして、むしろこれは度数を減らすというようなことは自治意識の高揚を妨げるものである、かように考えるのでございます。それからこの常任委員会制度でございますが、これも先ほどの行政委員会で申しましたように性格は全然違うのでございますが、実際問題といたしましては、町村の議員の配置と言いますか、定数が非常に少い関係上、性格から言うとおかしいのでございますが、実際にこの執行機関の一部をお手伝いしておるというような実情がたくさんございます。やはりこういうものは存置いたしまして、そうしてこの自治意識の高揚の一翼を担わすべきだとまあ思つておるのでございます。  それから次は任用制度その他地方公務員制度の問題でございますが、この人事交流につきまして、国家公務員と地方公務員の人事交流は、それは一応理想的には非常に望ましいのでございますが、実際の面におきましては、やや隘路があるのじやないかと思います。その点もまあ制度としては必要でありますが、併し町村としては余りにもそれに期待はかけておらんような実情でございます。併しながらそれは飽くまでも地方の自主性に基いてなさるべきであつて、国がそういうものを強制的にするということはどうかと思います。それからこの町村吏員の定年制でございますが、これも年齢でそういうものを、能率の如何を定めるということも、実際におきましてはそこに無理がございまして、そういうものを条例を以て実施することがどうであるかということを考えて見ますと、殊に国家公務員にそうい定年制がないのでございますから、やはりそれと並行して実施すべきだ、かように考えております。  それから課税標準決定その他徴収手続でございますが、税の体系といたしましてやはりこういうふうに国税、府県税、地方税と三段階に分れておるのでございますから、やはりそれの賦課は、いわゆる課税権の発動はここにあるべきだ、ただ徴収順位につきましては、これが現在の三本建というものは納税者におきましても非常な迷惑である、又徴収の局に当ります者も非常にそれが煩雑でありまして、そのためにこの徴収能率が上らないというようなことが多く見られるのでございます。こういうものはやはりこの徴収事務はどちらかに委託してやるべきだ、殊にこれは国に委託するということは不可能でございますから、やはり町村に委託してそうして国税、府県税を徴収するということが能率が上るんだというようなことを考えております。  それから財政平衡交付金その他地方債の問題でございます。これは町村会でお述べになつ通りでございまして、制度につきましても大体町村会といたしましては起債の枠なんかは全廃してもらいたいということを要望しておるのでございます。起債につきましてややこの財政法が変りまして緩和されたのでございます。これあるがために困惑をいたしておるというような点がございます。  時間が、ございませんのだそうですから簡単に申します。この国庫補助金につきましても、これは町村会長がお述べになつ通りでございます。  大都市制度も先ほど警察問題で申しましたように山村部の問題の解決ということでございますが、これは事務配分によりまして、この問題は大体解決ができると考えております。殊更にこの際これをとり上げて、或いはどうせいということはまだ時期尚早であるとかように考えます。  甚だ杜撰でございますが、町村議長会の意見として申上げます。
  18. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に大阪市政研究所の大阪市立大学教授吉富重夫君。
  19. 関井仁

    参考人(関井仁君) ちよつと三分間ばかり補足の説明をお願いしたいんです。
  20. 内村清次

    委員長内村清次君) あとで当然質問があるだろうと思いますから、そのときに答弁して頂きたいと思います。
  21. 吉富重夫

    参考人(吉富重夫君) 私大阪市政研究所の「地方制度改革意見」につきまして詳細を申上げるわけでありまして、最初にお断り申上げておきたいと思いますのは、市政研究所は大阪市の機関となつておりますけれども、この運用に関しましては研究所の委員であります関西の地方財政学者に一任せられておるのでありまして、本意見書の作成に関しましては、殊に理事者が介入しますのを排除いたしまして、私たち委員だけの間での共同意見をとりまとめまして、その結論を簡単にここに書き記したわけであります。殊にこのような地方制度改革意見を私たちがとり上げました理由は、昨年あたりからこの地方制度改革の問題が刻下政治上重要な問題としてとり上げられておると同時に、他面におきまして地方制度改革に関する利害団体意見というものが非常に激しい対立を見せておるわけであります。従いましてこのような意見の対立が存するということは、地方自治の統治の面から見ましても、これは余り好ましいこととは考えられないわけでありまして、理論的のみならず、実際的見地からいたしましても、どのような妥当な、何らかの妥当な線が見出し得ないものであるか、そういう観点からいたしまして、このような地方制度改革に関する意見を作成するに至つたのであります。お手許に配付いたしております改革意見書の要点につきましてのみ申上げてみたいと思います。  最初に、地方自治の憲法上の保障の問題でありますが、これは憲法に述べております地方自治の本質は何であるか、又憲法の保障する地方公共団体とは如何なるものを意味するかというような問題が関連して来るわけでございますが、主として法解釈上の問題でありますので、ここでは省略さして頂くことにいたします。  いずれにいたしましても、憲法上言うころの地方自治が、地方分権と人民自治を尊重すべきであるということは申すまでもないわけであります。その場合に基礎的な地方団体である市町村に重点を置かざるを得ないということになつて来るわけでありますが、併しながら現実の問題といたしまして、市町村の間では著しい行財政能力の相違が存するわけであります。従いまして現実の問題としましては、この市町村規模に着眼いたしまして、市町村の段階を設けるということが必要であろうというふうに考えるわけであります。理論的に申上げますと、市町村の段階はその行財政能力と、行政需要を基準として決定せらるべきであると言うことができると思いますが、実際上の問題といたしましては、一応人口を基準として規模合理化を促進するのもやむを得ないと思うわけであります。併し人口を基準といたしますのは、地方行政調査委員会議の線を基準といたしまして、その町村は人口八千以上、一般都市は人口五万以上、中都市は十五万以上、大都市は人口五十万以上と考えられるわけであります。規模合理化当りましては、その規模の基準を機械的に適用してはならない用意が必要であろうと思うわけであります。この規模合理化に関連いたしまして、規模合理化方法であるとか、或いは市町村相互間の全体協力の形式を如何なる形で発展せしむべきかということが関連して来るわけでありますが、この点に関しましては、省略さして頂きたいと思います。  次に我が国の地方制度改革の焦点となつておりますのは、府県制度であります。府県改革の根拠に関しましては、申上げる時間的余裕を有しないわけでありますが、現行府県制度に関しましてはその廃止論も存するわけであありますが、一応府県制度の存続を認めまして、但し府県の基本的な性格は、広域自治体でなければならん。更にその実施は、市町村連合体たる実質を有するように、その運用面についての徹底的改革を期する必要があろうと考えるわけであります。このような考え方をいたす趣旨といたしましては、市町村代表者からなる審議会を設けまして、広域行政調整行政等の特定の行政執行について、審議会の議を経るものとする必要があろうと考えるわけであります。これらの点につきましては、法律によつて明確に規定する必要があろうと考えられます。府県性格は基本的には広域自治体たらしむべきである。この府県は従いましてと普通地方公共団体として課税権並びに起債権を認めらるべきであるということになるわけであります。更に府県自治体たる性格を強化するために、機関委任事務をできるだけ最大限度におきまして、自治事務に転化せしめることによりまして、市町村に対する監督的機能を縮減せしめると同時に、その官僚的な方法を自粛せしめる必要があろうと考えられるわけであります。この場合府県の区域につきましては、合理的な修正をなすことが必要であろうと考えるわけであります。府県性格は基本的には広域自治体として規定せらるべきでありますが、その場合に広域行政に計画性と総合性とを確保するために、専門委員会を敷設するなどのことも考慮せられて然るべきであろうと考えられるわけであります。又府県民の資金による裏付けを求めるために、市町村代表者の構成する審議会運営に期待すべき大なるものが存すると考えられるわけであります。府県市町村に対して営みまするところの補完行政機能につきましては、町村の各段階に応じて、その範囲と計画を異にすることは言うまでもないことでありますから、この点について明確な規定をなす必要があろうと考えるわけであります。次に最後に、連絡行政、殊に調整行政につきましては、一定の客観的技術的基準の確立をすることが望ましいと考えられるわけでございます。例えば起債、平衡交付金配付に関する決定のごときであります。それと同時にこれらの調整行政運営につきましては、審議会の議を経るようにすることが必要であろうと考えられるわけであります。  次に開発行政に関しまして、開発行政に関する機関といたしましては国の出先機関によるというのが現行制度の行き方と言つていいと考えられますが、国の出先機関による場合におきましても、或いは道州制のような構想をとる場合におきましても、いろいろな結果があり得るわけであります。でありますから、総合開発に価する新しい制度的構想といたしましては、総合的地方開発区域の設定以外には現実的措置としてあり得ないと考えるわけであります。この総合的地方開発区域はその必要の存する区域に個別的に設置せらるべきでありまして、全国劃一的に設ける必要はないと考えるわけであります。この区域は法的に申しますと、国の特別の企画を要するものと考えられますが、併しながらその場合分権と自治の要請を満足せしめる必要があると考えるわけであります。分権の要請を充たすためには、国は分権企画の立案につきましても、その際の地方計画の樹立に関しましては現地からの協力を求むべきことが当然であるのみならず、国の立案する全体計画を地方的に実行するに当りましては、中央官庁の指揮命令に基くことなく、現地間の相違性を尊重するの建前をとらなければならないと言つていいと思うわけであります。更に自治的要求を充たすためには、現地機関の自治的判断を培養発展せしむると同時に、地方公共団体の間に積極的な全体協力の関係を充実しなければならないわけであります。地方公共団体との全体協力の関係は、例えば関係都道府県或いは市町村代表者を以て構成する審議会を組織いしまして、開発計画の実行に当つて議会に諮問する方法を確保するといつたような措置がとられるべきであろうと思うのであります。  次に大都市制度に関しましては、その特有の行政需要に即応いたしまして、大都市行政能力を発揮せしむべきである前提は承認せらるべきであろうといつていいと思うわけであります。理論的に考えますと、大都市をして府県から独立せしめる、独立の表現として、府県との全体協力関係を充実せしめる方法が最も合理的であろうと考えられるわけでありますが、併しながら漸進的措置といたしましては、大都市を部分的には府県の包括の下におき、この限りにおいて大都市の区域内に府県財源を求めるということを認めまして、この基礎の上において両者の協力態勢を確立するという方法をとるべきであろうと考えるわけであります。府県大都市を部分的に包括すると申しますのは、府県が特定の広域行政について、大都市の区域内においても行政するという意味をいうのであります。この場合大都市市町村代表者によつて構成せられる審議会の一員となりまして、その計画実行の審議にするべき権利を当然に認めるものとする。審議会の議を経べき事項につきましては、法律によつて明確に定める必要があると考えられるわけであります。補完行政につきましても県は大都市の区域内においてはこれは行わない。更に従来府県が行つて来ましたいわゆる連絡調整行政につきましては、大都市は結局みずから国と交渉するものとする、そういうような措置によりまして、大都市の区域内においては府県は機能的に独立せしめると同時に、府県大都市と、更に大都市と残存区域との協力連帯の関係を樹立する方法をとるべきであると考えられるわけであります。  次に国と地方公共団体との関係に関しましては、いわゆる国税事務を可及的最大限に自治事務に転化せしめる。更にこのようにして自治事務に転化せしめられた地方公共団体事務に関しましては、国は原則として権力的な関与を行わないという建前を明確にすべきであると言つていいと思うわけであります。  次に税財政制度でありますが、第一に地方税制度に関しましては、シャウプ勧告に盛られておりまするところの自主税源の確立方策は、今後も強化されていいと考えられるわけであります。而も国民の租税負担は現在より加重すべきではなく、又税源の偏在を是正いたしまして、更に自治事務の増大しに即応せしめるため、国税の一部を地方配分させることが望ましいと考えられるわけであります。府県税制におきましては先ず農業事業税の創設を行い、更に府県民税を復活すべきであると考えられるわけであります。で、農業事業税に関しましては、米価の統制を前提といたしまして、米作農家の負担が増大せぬような措置をとる必要があると考えられるわけであります。府県民税は現行市町村民税の課税対象を以てするわけでありますが、個人におきましては特に税率を低位に置く必要があろうと考えられるわけであります。更に、このような措置によりしまして所得税附加税的の税収が地方税制に非常に大きな比重を占めるわけでございますので、右の税額は少くとも国税所得税の控除項目に含ませるべきである。一般に附加税的な税源の拡張は必ずしも望ましくない、けれども総合的な国税租税負担を重くしない限度におきまして、現在ではこの種の課税が考えられて然るべきだと思うのであります。  次に市町村税制におきましては、先ず固定資産税の課税範囲の対象の拡張が考えられますけれども、即ち現在非課税とされておるところの国鉄、専売公社、放送協会、電信電話公社等の公共のそういつた固定資産にも課税が行われるべきであると考えられるわけであります。それから次に府県税制及び市町村税制の両者に関連する改革措置といたしましては、先ず酒税収入及びたばこ専売益金の一部がそれぞれ消費面として地方に委譲されるべきである、即ち酒及びたばこの消費額は地方を通じて一般に平均しており、偏在度が弱いわけであります。而も収入額に本安定性が期待されるわけであります。地方財政が本当に独立財源の枯渇に悩むときに、この両者の厖大な国家収入の一部を地方に委譲することは積極的な反対理由は認められないと考えるもけであります。税制全般といたしましては消費課税の偏重は避けねばならないと考えますが、現在の収入額の一割乃至二割は地方に委譲することは差当り必要であると考えられるわけであります。従いまして、収入及び益金の五分を府県へ、一割を市町村へ委譲することは一応妥当な配分と考えられるように思うわけであります。  次に現行ガソリン収入の一部をガソリン消費税として府県並びに大都市に委譲して配分を行うべきである。この委譲の程度は五割程度が妥当と考えられるわけであります。市町村の税制におきまして、規模の特質の極めて多様な、大都市から町村を一律に同一の制度によつて実施しようという点に、現在の市町村税制一般の困難性が伏在しておるといつていいわけであります。で、少くとも大都市の特殊性に即したこの種の税源を考慮することを必要とするといつていいと思うのであります。この意味におきまして、右のガソリン消費税と並んで自動車税も大都市財源として委譲さるべきである。右の措置によりまして、府県におきましては、府県民税の税率を現行の市町村民税の二分の一といたしまして、且つ農業事業税、ガソリン税及び酒、たばこ消費税によりまして偏在度がかなり是正されると同時に、独立財源の拡充が期待されるわけであります。自動車税の大都市委譲を考慮いたしましても、これが地方財源から約五百億の増収が行われると考えられるわけであります。他方市町村におきましては、固定資産税の課税範囲の拡張と、酒、たばこ消費税とによりまして約四百五十億の増収が見込まれまするし、ガソリン消費税と自動車税の委譲とを考慮いたしますと四百億程度の増収が期待されるようであります。  次に地方財政平衡交付金制度でありますが、これに関しましても問題点となつておりまするのは、第一にはこの総額の確保という点でございます。第二にはこの平衡交付金の算定方法であります。第三には特別平衡交付金制度の運用という三つの問題があるように思われるわけであります。  で、第一の総額の確保に関しましては、平衡交付金法第三条の規定を厳守する必要があろうかと考えられるわけであります。そのためには地方団体全国組織の代表者及び地方団体全国組織の推薦する学識経験者などによつて組織する地方自治議会ともいうべき機関を設けまして、総額の算定に参加せしめる。更に総額の確保のために内閣及び国会に対して勧告若しくは意見の申出をなし得るといつたような制度も必要であろうと考えるわけであります。  第二に算定方法の問題でございまするが、基準財政需要の計算に際しまして、大都市、中都市、その他の都市、更に市町村などが一括して取扱われておるというところから問題が発生して来るわけであります。この難点を解決するための意義をもつものとしていわゆる補正係数がとられておるわけでございますが、補正係数の効力の及ぶ範囲にもおのずから一定の限度があるわけでございます。でありますから、基準財政需要額の計算に際しまして、一まとめにして取扱われておりますところの市町村分に関しては、大都市、中都市その他の都市及び町村の四分法を採用して測定単位、補正係数単位費用の処理を合理化すべきで、即ち基準財政需要額を求める方法を、この四分法を採用して求める、このような制度を設けるべきであると考えるわけであります。  なお、投資的建設費は起債によつて充当される建前でありますが、起債の枠が資金計画の関係で極度に圧縮されておる結果といたしまして、地方団体として当然遂行すべき部面も抑制されざるを得ないというのが現状でございますが、投資的事業の測定は、人口の増加、都市の復興という理由で、地方団体として当然遂行すべきであるものといたしますならば、起債が現在のように極端に抑制される段階では、基準財政需要額の算定に際しまして、投資的建設費をこの中に組み込んだ上で、地方団体行財政需要の実態に平衡交付金制度を即応せしめることが望ましいと考えられるわけでございます。特別平衡交付金制度に関しましては、特にそれが配付税制度から切り替えられたという沿革を考えまして、配分に際して恣意が働くような点を是正する、そういつた疑義を生ずる余地のないようにすることが必要であると考えるわけであります。  次に国庫支出金制度に関しましては、地方財政調整制度は国の強力な財政力を動員して、地方団体財源を補強することによつて、弱小団体に対しても行政の側面的推進を維持せしめようという目的を持つているわけであります。ところが国民的性格を持つ地方行政に対する財源を補給する上で、国庫支出金制度運営によるほうが、その効果といつた面で一層直接的でありますし、効力を持つと考えられるわけであります。で、地方財政平衡交付金は、地方団体の一般財源として支給されるものであるに対しまして、国庫支出金の支給は、個々の行政を対象とするからであります。この意味におきまして、国民的水準の維持が強く要求され、教育警察や社会保障や、道路、河川、港湾といつたようなもののいろいろな公共事業並びに失業対策事業等に対しましては、国庫支出金制度の運用によつてその財源を補給することが望ましいと考えられるわけであります。と同時に災害復旧のための経費は、緊急を要し、而も地方団体財政力を超過する場合が多いのでありますから、こうした面におきましても、国庫支出金制度の運用に依存する必要があろうと考えられるわけであります。国庫支出金制度は、右のような国民的水準の維持に関するものと、偶発的災害の復旧に関する緊急な経費を要求するものとに限定いたしまして、国の関与を最小限度に抑制すべきであると考えられるわけであります。  次に、地方債制度でありますが、現行の起債許可制度は原則として全面的に撤廃さるべきであると考えられるわけでありまして、地方団体が自由に起債することができるようにする必要があろうと考えられるわけであります。併しながらその濫用を避けるためには、各地方団体財政力、即ち償還能力を考慮いたしまして、一定の条件をつけることは、国家の資金計画の面からも必要であるわけであります。この条件は一般財源に対する一定比率を以てする方法が考えられますが、必ずしもこの方法に固執する必要はないと考えられるわけであります。右の措置に伴いまして、当然起債総額の制限は除去され、地方団体は自由に起債条件の有利性の考慮に基いて公募することが可能となるわけであります。けれどもこの措置は、弱小団体自体を殆んど不可能ならしめる危険がありますから、専ら弱小団体の起債を援護する意味におきまして、地方団体中央金庫の設置が望ましい、或いは公共団体の連合による発行の方法を認める必要があろうと考えられるわけであります。右のような措置を前提といたしましても、現在の起債事情における地方債は、おいがたいことは予測されるわけであります。従いまして、起債公募、或いは償還年限等につきまして、国庫並びに日本銀行の援助が要請されるわけであります。一般に公債の発行が、インフレーシヨンの要因をもたらしやすいことは言を待たないのでありますが、国家予算と異りまして、地方債の場合には、総額も少く、公募を原則とするならばインフレ効果を過大に評価する必要はないと考えられるわけであります。而も地方団体の自主的投資及び災害復旧のための投資的支出の本来の任務とする資金調達は、むしろ承認されることが望ましいと考えられるわけであります。而も前者は全額起債による資金調達を原則とするが、若しこれが許されないならば、先ほど申しましたように、地方財政平衡交付金制度が適用せられる必要があろうと考えられるわけであります。後者のいわゆる災害債につきましては、政府の低利資金を優先的に充当せしめるべきであると考えられるわけであります。  右に申上げましたような、起債制度根本的な改正が望ましいのでありますが、若しそれが困難であるといたしましても、少くとも次のような改善策は緊急の課題であると考えられるわけであります。即ち公営企業債につきましては、独立採算制の建前を勘案いたしまして許可制を撤廃すべきである、又災害債に関しましては、全額地方負担制度は廃止される必要があると考えられるわけであります。この廃止も行われず、又政府資金の優先的充当も期待し得られないといたしまするならば、負担額の全額や自由に起債によつて調達し得るよう改正を行う必要があろうと考えられるわけであります。右以外の部分につきまして許可制が維持されるといたしましても、改革されることは少くないと考えられるわけであります。即ち資金運用部による地方債の消化は、それ自体として望ましいのでありますが、起債制度は、全般の簡素化能率化のために、許可制の存廃にかかわらず前記のような中央金庫の存在意義は大きいと考えられるわけであります。又認証決定の遅延が、甚だしく財政運営に困難を齎らすことが事例となつております。自治庁と大蔵省との二重になり、手続が複雑となつております。而も起債の考え方として、法定税率が標準税率以上になることを前提としているために、現実には標準税率の許可を強制させることになつて地方税制の自主制は喪失されるといつていいわけであります。これらの諸点については、早急に解決される必要があろうと考えられるわけであります。  時間の関係改革の目標の点についてのみ申上げまして、改革の根拠に関しましては全部省略さして頂きましたわけでありますが、大阪市政研究所の地方制度改正案の意見に対しまして簡単に申上げた次第であります。
  22. 苫米地義三

    苫米地義三君 私は極めて簡単な点を二点だけ。只今県側及び市町村側から有意義な御意見を承わりまして、これを要するに地方制度改革を必要とするという点については一致しておるようであります。ところが現在政府においては行政整理の大幅な実行をしようという計画がある。これが自然地方制度及び地方財政についての関連を持つであろうと思いますが、前田さんのやつておられる調査会が十分結論が出ない。併し次の国会には恐らく出されるだろうと思うのであります。それまで前田さんのところの調査は完了して、政府との間に十分な連絡をとるようなことになつておられるか。そうして政府側はそういう構想の下に、地方制度並びに中央政府行政整理というものを、具体的な案を次期国会に御提案になるというお考えの下に、調査しておられるか。その点を私伺いたいと思います。
  23. 前田多門

    説明員前田多門君) お答え申上げます。これは劈頭の私の説明にも申上げます通りに、政府からの御要求によりまして、来年度の予算法律案に間に合わせるようなものを、緊急のものを項目を促えて答申するということに相成つておりまして、まだその決定案がないということを申上げましたが、先刻申上げます通りに、この草案となるべきものは、ほぼ起草委員において完結に近くなつたわけでございます。明日この行政部会財政部会起草委員が会合されます。私どもも立合いまして、そうしてこの両案の調整を図れますれば、恐らくはこれが土台となりまして、来月の一、二、三、四に部会を開きまして、部会決定を待ち、それがまとまりますれば、私の希望的観測でございますが、九月の十日前後に是非一つ今回の答申案を出しまして、政府の御要望に合うように、一つ来年度の予算に間に合せるようなものについて、意見を申上げたいと考えております。  それから中央において行政機構改革について、いろいろお考えになつているということも、これは承知いたしておりますので、私どもの恐らくは答申いたしまする案の中には、出先機関の大幅な整理というようなことも含まれると思います。又それにつきましては相当委員も御研究になつておりまして、具体性のあるものを献策するようにも相成ると思いますので、これらはやはり中央行政機構の改革の際に私が望みますことは、有力な参考にして頂きたいと考えております。
  24. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 只今の点につきましては、政府といたしましては、只今前田会長からもお話がございましたように、二十九年度の予算に間合うようにということで国の機構改革、それから地方制度改革両方を考えておるわけであります。地方のほうは只今逐次構想がまとまりつつあるということはお話の通りでありますが、幸い私が自治庁長官と行政管理庁長官を兼ねておりますので、地方制度調査会の御意見がまとまる段階におきまして、私どもの考えておる考え方も併せて御参考に願つて、そうして考えをまとめて頂いておりますので、大体中央地方とが一貫した考え方で今後の改革が行われ、従つてその間に大きな矛盾は出て来ないと、こういうように考えております。
  25. 苫米地義三

    苫米地義三君 御両氏の御答弁了承いたしましたが、行政整理というものは、これは吉田内閣成立以来の問題であり、而も絶対多数を取つておつたあの情勢の下に、なお且つできなかつた問題であります。今日長官が非常な勢いでこれをやろうとするのは大いにその労を多といたします。是非国家の財政その他の上からいつてやらなければならんことと思います。一つ勇敢にやつて頂きたいと思います。  ところでもう一つの点は、これはちよつとそれているのですが、ついでですから伺います。これは領土の問題です。地方行政地区の関係が、日本はポツダム宣言受諾以来、四つの島とそれに附属した島、この附属した島が明確を欠いておるわけであります。従いまして竹島のような問題が起るのであります。これは外交問題でなくして、地方行政の上から勇敢に抗議を申込んで行つて然るべきものだと思うのであります。従来この点については少し政府も関心がにぶいというのか、まだはつきりしていない点があると思いますが、北の、例えば歯舞、色丹は、これは我が国の領土であることは間違いない。ところがそれ以外に、例えば青森県の久六島のごとき、これは秋田県との間に、まだ所属が確定していない。そうすると、日本のものであるかどうかといこともわからないわけです。数年間これを空白にしておくということは、私はこれは政府の怠慢だと思う。そういうようなことは、これははつきりと領土問題を確定して、そうして各地方行政区画の中に編入するということを最非至急にお図り願いたいと思いますが、これは私の希望でありますが、政府で何かこれについてお考えになつておることがございますか。なお今日どういう情勢になつておるか伺いたいと思います。
  26. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 第一の点につきましては、これは国内としましては、自治庁も外務省との間に意見の相違は全然ないのでありまして、御指摘の通り歯舞、色丹は我々の島であるというようにはつきりと考えておるわけでございます。ただ外交上のいろいろな問題点として、それがはつきりとしていないので外交折衝に鋭意今頼つておる段階にあるわけであります。  それから第二の点につきましては、御指摘の通り早くこれは解決するのが適当であると考えておりますので、私も解決を急いでおるのでありますが、ただできるならば、これは関係両県が円満に話合いがついて了解のできたところにおいてこの島の問題を解決したいと考えております。幸いに、この前の国会において、国会側におきましても非常に御関心を持つて頂いて、問題になつておりました漁業権の問題などもこれを解決するような法律お作り願いましたので、逐次両県の感情も柔らいで話合いのつく段階に近づいて参つております。つい最近自治庁から両県に対しまして意見も求め、両県に問合せを出しましてその解答を待つて早急に解決したいと、こういうふうに考えております。
  27. 苫米地義三

    苫米地義三君 私の質問はこれで終ります。
  28. 内村清次

    委員長内村清次君) ほかにございませんか。
  29. 石村幸作

    ○石村幸作君 如何ですか、もう時間も何しておりますから、ここで休憩したら如何でございましようか。
  30. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  31. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。
  32. 関井仁

    参考人(関井仁君) 目下全国町村会におきまして、全国の各町村の会合におきまして一番端的に問題になつておりますのは、教育委員会の廃止の問題でございます。勿論これは行政委員会制度に関する問題でございます。一番問題になつておりますのは、その中で教育委員会でございます。全国町村会といたしましては、教育委員会の問題を含めまして行政委員会制度に関する事項に関しましては、原則としてこれを廃止するという決議をしておるわけでございます。必要あるものにつきましては民主的運営を図るという意味合におきましては諮問機関を置くということになつておるわけでございます。町村におきまして廃止すべきものといたしまして、教育委員会、公安委員会、選挙管理委員会、農業委員会、公平委員会町村におきまして存続すべきものは新たに設置をするというものでありまして、それが固定資産の評価審査委員会、選挙訴願の裁決に関する委員会、こういうものを新設をしてはどうかということを決定しておるわけであります。特に教育委員会の問題につきましては、町村におきましていろいろの面で摩擦を生じておるわけでございます。この問題一点だけでも、全国大会を催しても国会の方へお願いをして、即刻廃止を願いたいという、熱烈なる要望を持つておるのでございます。次期通常国会におきましては、全般的の一連の問題が解決せずとも、この問題だけは即刻解決をお願いしたいという強い要望を持つておるので、特にお願いをしておるわけでございます。
  33. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは参考人方々には長時間、今日は又暑い中誠に有益な御意見を頂きまして有難うございました。委員長としてお礼を申上げる次第でございます。  それから後、自治庁長官に奄美大島の返還に伴なう地方行政上の措置に関する件と行政機構改革に伴なう国家事務地方委譲に関する件、これがございますが、休憩してやりますか。引続いてやりますか。速記を止めて。    〔速記中止〕
  34. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて、それでは暫時休憩いたします。    午後一時五十三分休憩    —————・—————    午後二時三十七分開会
  35. 内村清次

    委員長内村清次君) 休憩前に引続いて委員会を開会いたします。  行政機構改革に伴う国家事務地方移譲に関する件を議題に供します。  最近の新聞によりますと、塚田長官の試案として行政事務改革を閣議のほうに提出をせられたというような発表がなされておりまして、このなかには地方団体に対する事務配分、そのうちに地方委譲というような問題もその改革の一端として案がなされているやに聞くのでありまするが、これらの点につきまして、総合的な改革案の私見に対しまして、或いは又政府として公的な問題といたしましても、塚田長官の御意見を御発表願いたいというのがこの議題の趣意でありまして、この点について御説明をお願いいたします。
  36. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) この点は実は新聞にいろいろ書かれて、私も弱つているのでありますけれも、まとまつたそういうような案があるというような誤解を起しているようでありますが、そういう状態ではないのでありまして、実は先般国のほうの機構改革につきましては、総理から指示を受けまして、考え方の構想というものを一応自分としてまとめて見たわけであります。それには勿論過去いくたびかの行政整理の場合には天引整理ということをいたしましたので、どうもあとがうまく行かなかつた、どういう点が工合が悪いかというと、事務整理ができないで、人間ばかり切るから非常に無理をしているという印象を与えている。それから仕事が減つておらないために、整理をして又直ぐ後から人間を殖したいという強い要求が絶えずある。それから又そこに無理があるものでありますからして、定員外に隠れたところで人間がどうしても使われる傾向がある。そういうようないろいろな事情から、今後の整理事務整理を重点に置くようにというのが総理の趣意でありますので、そういう考え方を中心にものを考えるならば、どういう考え方ができるだろうかというようなものを実はまとめたのでありまして、それを総理の手許に出し、且つ若干党の幹部の人たちの意向を聞くという考え方で、それらの人たちにも話を申上げたという程度であります。従つて閣議に話をしたということは全然ないのでありまして、まだそのような段階にはなつておらないのであります。そこで地方制度との関連をする部分はどこにあるかということでありますが、その点が結局皆さん方に非常に御関心の点であると思うのでありまして、地方関係いたします国の機構改革の部面、結局国の出先機関を成るべく整理をしたい、こういう考え方が一つの考え方になつておることは事実なんであります。なぜそういう考え方をいたすかと申しますと、非常に人間が多い、人間が多いと言われますけれど、その大部分の人間、八割から九割の人間は実は地方支分部局におるのでありまして、中央にはそんなに人間がおらない。従つて整理をするとすれば、地方出先機関整理をするということでなければ整理というものの実は上らない。それが先ず第一の点であります。そこで、まあ出先機関というものが若しあるとしたならば、これは行政機構というものは、官庁若しくは機構自身のためにあるものではなくて、国民の便益のためにあるものでありますからして、出先機関というものがあつていいという場合には、それが十分国民の役に立ておるということでなければ意味ないと思うのであります。ところが今日の政治の実際を見てみますと、大部分の仕事は出先では問題が片付かないというような実情である。そういうような実情であるならば、その意味においても、今の出先機関というものは機能を果しておらんのではないか。そこでそういうようないろいろな関連からしまして、この出先機関整理に重点というものを先ずおいて検討して行く。そこで出先機関を成るべく整理をいたします場合に、先ず府県というものがあるのでありますから、府県と国の出先機関とが一緒に同じようなことをやつているものがあるならば、そういうものは成るべく府県のやられるものに任して国はやらないようにしてしまうのがいいのではないか、これが一つ。それから一緒にやつてはおられないで、国の出先機関がやつてはおるのでありますけれども、事柄の性質上、今の府県のあり方、あの機構を大体あのままで考えてみましても、任されるものがあるならば、それも任してしまうほうがいいのじやないか、まあこういうような点も考えておるわけであります。そのほかいろいろな考え方をしまして、成るべく府県へ任せるものは任す、それからして、もう地方出先機関で扱つておらないでもいい、又現実の地方出先機関では処分がつかないで、結局中央へ出て来なければ国民は問題が片付かないという問題は、そういう意味において役に立つておらないから、これは整理してしまう、最後にどうしても出先機関を残すという場合には、その出先でもつて問題が片付くように機構を立て直す、こういうようにしたならばいいのじやないかということを実は考えておるわけであります。  あとの部分は地方の機構等関連する部分が割合に少いと思いますので、今大体それだけのことを申上げて、若し又お尋ねがありますならばわかつています範囲でお答えを申上げたい、こういうふうに考えます。
  37. 内村清次

    委員長内村清次君) 御質問はございませんか。
  38. 島村軍次

    ○島村軍次君 只今地方制度との関連の問題は、大体アウト・ラインをお話になりましたが、まだ具体的の問題については御検討中であるとは考えまするが、例えば地方の経済調査庁というので、民主党内閣でできておるものが、今監察局という形になつております。それから財務局の仕事が非常に漸次拡大しまして、現に例えば建設省の仕事或いは農林省の仕事なんかでも、査定をする時分に財務局が立会うというような制度が現にやられておるのです。これらの問題は、長官もよく御存じであろうと思いますが、これは地方の者も迷惑しておるし、監察制度との関連、つまり費用の効率使用、或いはあとの工事執行に関する監査とかいうような問題ならばともかくも、あらかじめその予算がきまつておるのに、財務局が出て来て制限するというようなきらいが相当あるのであります。こういう問題も将来の案をお立てになる時分に十分考えて頂きたい、これは希望を申上げておきます。
  39. 小林武治

    ○小林武治君 今の長官のお話は非常に結構ですが、私ども直接現地で出先機関を見ておると、非常に無用の、全く廃止していいと思うものが数多くあるので、これは本当に思い切つておやりになれば、相当国の経費の節約になる。一々例を挙げなくてももう御存じと思いますが、いろいろ今残つておる出先機関で殆んど必要のない、従つてまあ職員がどうして時間を暮すかというようなことに非常に気の毒のようなことをしておると思うものさえあるので、十分一つ目を光らして処置を願いたいというふうに思います。
  40. 石村幸作

    ○石村幸作君 今の長官の御方針について賛意を表するのですが、この前、数年前です、府県市町村、これが合体して中央出先機関の撤廃要求という大運動をやつたことがある。これはまあ或る程度まで一部成功したのでありますが、さてそこでその結果を見ますと、国の経費の節減その他人員の整理、そういうことは一応できたのですが、逆に地方自治体、つまり府県とか市町村、まあ主として府県ですが、中央出先機関仕事を又府県が手をのばして自然やるような結果になる、そうすると、今度逆に府県財政が非常に苦しくなつて来たというような実情があつたのです。今回のこの整理について、又そういうことができて来ると、又地方財政の今度圧迫だといつて地方は盛んに中央へ訴える。まあそういう点について、勿論長官も地方自治庁長官も兼ねていらつしやるのだからお考えになつておると思いますが、如何でございましよう。
  41. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) その点はおつしやる通り十分考えておるわけでありまして、いろいろと地方制度調査会のほうの構想をおまとめになる機会に、そういうこともよく私のほうから申上げて、国のほうからこういうようにしたいという考え方でおりますが、それによつて地方人間が殖えるというのでは国民の負担立場から言えば全然意味ないのでありまして、せいぜい重複が整理ざれるという程度になるる。国も相当シビアに今度ものを考え実施するから、それに歩調を合せて一つつて頂く、こういう考え方。ただ地方は一応自治団体ということになつておりますのでありますからして、国としては大体のものの考え方をお示しはしましても、ことうしなさい、ああしなさいという監督官庁としての指図というようなわけには参らないのでありますから、ただ自治法に県の部を書いておるような点、部はこのくらいでいいのじやないでしようかというような改正をしまして、そうしてあともそれに倣つている。まあ公務員も、むしろ国の公務員よりも地方の公務員のほうが多いのでありまして、こつちの整理ができませんければ、実質的には大きなことは望み得ない。地方も国の方針に合せてやつて頂く。それを希望し、従つて新しく国が考える地方財政計画というものは、そういうものを頭において財政計画を考えて、それには府県が倣つて頂く、こういうふうにしたらどうかと考えております。
  42. 石村幸作

    ○石村幸作君 今の御説は御尤もですが、折角中央のほうを整理しても、節約しても、地方が膨脹するということになると、今おつしやつたように、国民負担という点について軽減されていない、これは御尤もでありますが、国の行政改革、これがうまく行くのと並行して、地方のほうもこれに皆倣わなければ何にもならないと思うのであります。その点については、今地方制度調査会でも練つているはずですが、私はまあ今の地方制度調査会答申案の小委員会ですか、あれにも立会つているわけなんですが、どうも、例えば都道府県のほうの整理案のようなものを決定しているようにも思われません。尤もこれは当面の問題としての問題も研究しているのであります。私は府県行政事務も相当整理ができるのじやないか。一例を以てするならば、地方事務所のごときもこれはまあ自治法では任意になつております。こういうのを各府県が進んで整理するとか、又その他にも相当そういうふうなものもあるように思うのであります。先般青森県で地方事務所の廃止をやつた。現地で調べてみると、その結果、県自体を通じてお役人が非常な経費節減をしたと喜んでいる。静岡県あたりもやつたよろですが、併し全般的に実行しておりません。これも今長官のおつしやられた通り、監督命令的にはできない。併しそういうものもやはり中央の折角の行政改革、この意味地方に流して、そうして地方中央と本当に並んで冗費の節約をする、そうして地方財政の軽減をする、そこまで行かなければ、今の地方財政の貧困が後日打開できない。今の地方はただ中央に鎚つて平衡交付金制度がいいか悪いかという問題でしようが、何でも中央に槌つて援助を受けよう、それで一面地方分権を叫んでも、非常に矛盾した点があるのですが、これは一つ十分積極的に指導というか、導いて頂きたいと思います。
  43. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 御説明通り考えております。一つはやはり、ですから国がやつてみずから範を示すということと、もう一つは大体こういうふうにやつて頂きませんければ、結局今のような厖大な機構を府県なり市町村がお持ちになつておれば、それぞれの住民負担が賄わなければなりませんですよという形に財政の考え方を持つて行くことによつて、まあすぐそれに従われるように、間接強制と申しますか、そういうように考えているわけであります。
  44. 小林武治

    ○小林武治君 只今の長官のお話では、勧奨、奨める、こういうふうなことを言つておられますが、或る程度法律事項ででもやれると思うのでありますから、ただ自治庁が府県に対する関係でお奨めするという程度でなくて、事柄によつて法律で以てこれを規制するというふうなことを是非お考え願いたいと思うのであります。なお今、御承知のように、府県には要するに国家の官吏が相当おりますが、これらもやはり私はあり方としては非常におかしいと思うのでありまして、自治体の中にいわゆる国家公務員というものがおるというようなことも、要するに官吏が殖える一つ原因になつております。要するに中央官庁が縦の系統で以て紐付のものを大分出しているというのがありますから、これらについても一つ十分御検討つて、そうして人員等も、今のように知事では手を触れられない国家公務員を、そのまま県庁の中に入れているというようなことも、この際は直して頂くように、こういうふうに思つております。要は、先ほど石村さんお話のように、地方には相当節約の余地があると思うのでありますから、今の人員も、或いは機構等につきましても、先ほど申上げたように、法律で或る程度規制されてもいいのではないかというふうに思うので、実際としてはただお奨めするというような消極的な態度でなくして、もう少し積極的な態度に立つて然るべきである、こういうふうに考えます。
  45. 石村幸作

    ○石村幸作君 時間が何ですけれども、ちよつと小林委員のに関連しまして、府県中央の国家公務員が入つている、これについて極く不可解な事実がたくさんあるのです。例えば公務員が、不要でもないでしようが、そういう自治体の中に国家公務員がいるということだけが面白くないのにもかかわらず、それに附帯して又大きな面白くないことがあるために紐付き、になつておるように思います。例えば或る省の或るところの人だけは天降り的に府県に国家公務員として預けておくだけでなく、地方の職員としても無理に雇わせる、採用させる、それでなければ補助金は出さない、こういうことは事実です。まあ実例を言うと影響しますから、実例は言いませんが、事実です。そういう事実がたくさんあるのですから、今小林委員の言われたように、そういうところを何か法的に配慮するお考えを、この際折角御構想の行政改革に関連して、一つ積極的にお考えを願いたいと思います。
  46. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 只今地方庁に対すること、府県に対することですが、一般事務関係もさることながら、一番府県人件費負担を多くしているのは何といつても教員の問題です。即ち教員については、文部省が小学校については一・五、中学校については一・八、こういうような一つの高い目標を掲げて、教育の重要性からというので主張して曲おります。それに成るべく近付けなければいけないというので努力しておりますから、このために非常に従来の財政的な人件費の圧迫は多く来ている。この点も、成るほど教育の重要性もさることながら、財政逼迫で苦しんでいるのは大部分はこのために苦しんでいるのですが、この点も一つ教育の重要性と財政の上の地方財政調和という点から、余ほど御検討を願わないと、今の教育委員というものは財政というものは構わず理想論を振廻している。こういう非常に一方的な委員会です。この辺の調和地方財政の上に非常に大きな重要問題だと思う。恐らく人件費では、普通の県で、普通の職員の一に対して教員のほうが三倍くらいになつておるはずです。そういう点も一つ十分お考えに入れまして、是非強力に御推進願いたいと思います。
  47. 内村清次

    委員長内村清次君) そうしますと、長官はこの改革案というのは通常国会までには作成して提出するというような見通しですか。
  48. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) その通りでございまして、二十九年度の予算を編成いたしますのに間に合うように、従つて予算が提出される通常国会には、予算と一緒に改革案をそれぞれの法律になつて御審議願うようになる、こういうふうに御了解になつて結構です。
  49. 島村軍次

    ○島村軍次君 もう一つつておきたいと思いますのは、新聞によりますと、来年度予算についての問題はお話の通りである、同時に三年間でこれをやるのだ、こういうふうなことが新聞に出ておりましたが、それに対しての御意見一つ聞きたいと思います。
  50. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 三年とはつきりしたという考え方ではないのでありますが、一つの考え方として改革の全体の構想というものを出しまして、そうしてその中で今直ぐは実施はむずかしいというものがあるならば、それは二年目の何月何日までにこれをこの通りにするというような、若干の実施の時期というものにゆとりを付ける必要があるのじやないか、まあこういう考え方をしております。
  51. 島村軍次

    ○島村軍次君 行政整理はなかなかむずかしい問題であると同時に、やはり失業問題と絡んで来るので、この点に対しても大体の構想があつたら……。
  52. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはまだ正直のところ、そこまで考え方が行つておらんのでありますが、ただ一般的なものの考え方といたしましては、これがうまく行くか行かないかという一つの大きな要素になるものは、やはり職を離れられた人の措置をどうするかということにあると思いますので、この点には相当重点をおいて考えなくもやならないだろうと思います。まあそういう気持も若干加わつて、一挙に整理をしてしまうということはしないほうがいいのじやないかという考え方もあるわけであります。    —————————————
  53. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次の議題に入ります。奄美大島の返還に伴う地方行政上の措置に関する問題、これは先般ダレス国務長官が来られまして、奄美大島の返還をするという言明がなされております。関係島民の方々は非常な歓喜を以てこれを迎えておる、併しまあ占領期間中からこの神域に対する行政上の関係で、相当内地行政のほうと変つて、実情は非常に悲惨な情勢下にある、又そういうような実態にもあるというようなことでありまするが、これに対しまして自治関係では、行政上の問題についての受入態勢と申しますか、今後のその回復の措置と言いますか、そういう点に対してどういうような見解を持つておられるか、その点を一つ長官から御説明を願いたい。
  54. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) このたび奄美大島がいよいよ正式に日本に完全に主権を取戻すことができるということになりましたので、担当の主任の大臣であります私といたしまして非常に喜んでおるわけであります。丁度長い間何と申しますか、里子に出してあつたと申しますか、或いは人質にとられておつたと申しますか、その人たちが国に帰つて来られる、うちに帰つて来られるというような気持で、非常に喜んでおるわけであります。そこでこれが帰つて来られる場合に、いろいろな問題がたくさんあるわけなんでありまし、て、全体としては、勿論いつ還つて来又還つて来る形が、アメリカとの間で何か条約の形になのか、それともアメリカが一方的に権利を放棄するというような宣言によつてやられるのか、この点もまだ問題がありますが、まあ日本としては、御承知のように先般関係各省が集まつて連絡協議会というものを作つて、受入態勢の整備をいたしております。それと同時に、自治庁といたしましても、自治庁の所管の問題だけでもいろいろな点で考えなくちやならない点がたくさんあるわけでありますが、例えば一、二例を申上げますならば、還つて来たものがそのまま鹿児島の県の一部になるかどうかという問題もやはり若干検討しておく必要があるのではないかと思います。それから御承知のように、戦争日本自治体のあり方というものが非常に大きく変革をいたしておりますので、恐らく向うに残つておりますものは、古い時代の日本自治体のあり方というものに大体なつておるのじやないかと思います。よく調べてみなければ詳細わかりませんが、大体まあ想像される。或いは又アメリカの特殊の治下にありましたので、別に何か変つた形のものをやつておるかも知れませんが、とにかく日本の今日の地方自治団体のあり方とかなり違うのじやないかと思われます。それをまあ還つて来まして、早急に日本の現在の自治団体のあり方と同じように直すかどうかという問題が一つあるわけでありますが、ただこの問題は事柄の実際的な処理といたしましても、そう早急に変えるということがどうかと思われますのと、日本自治体のあり方自体が、今折角地方制度調査会で御審議を願つておる段階でありますから、これらの点はそういうものと睨み合わせて、逐次これを改革して行くほうがいいのじやないかというような考え方もしておるわけであります。  それからもう一つ、一番案じられます問題は財政上の処理でありますが、これは私もよく承知しないのでありますが、話に聞くところによりますというと、もとから余り裕福でない土地であつたというように聞いておりますので、而も占領治下におきましては、残念ながら島の、この地帯というものは沖縄などとは又違つて、非常に財政的に十分面倒を見て占領されていなかつたというような事情もあると聞いておりますので、かなり住民の方々にそういう面の困難があるのじやないか、ここの住民の方々にも、又その土地の自治団体方々にも困難があるのじやないか、こう思つております。併しこの点は勿論、非常に困難な財政ではありまするが、日本全体の大きな財政の中から考えて、而も長年苦労しておられた方々が帰つて来られるのでありますから、自治庁としましては、殊に所管の大臣としましては、十分大蔵大臣とも折衝をし、又国会の御了解を得て、できるだけのそういう措置をして差上げたい、こいうように考えております。  それからいま一つ問題として考えられますものは、いろいろ検討してみましたところ、今日の国会の議員の割当の場合に、あそこにおられる人の人口というものは考慮されておらないように考えられます。そういたしますと、この人たちが帰つて来られた場合に、国会代表を送られなければならないという問題も一つ出て来るわけでありますが、ただこれは御承知のように衆議院議員の選挙法で四百六十六という数をはつきり書いておるのでございますから、その数を動かさない限りは、あそこに新らしく代表者を出して頂くということになりますと、どこかを一つ頭数を減らさなくもやならないというような面倒な問題も起きるのでありまして、これらの事務的な考慮はなおまだ検討中でありますが、併し大雑把なものの考え方として、やはり帰つて来られた以上は、国会にその代表者を持たせないということは考えられないのでありますからして、早急に何らかの形で国会にやはりこれらの人たもの意思が表現できるような措置を講じなければならない。まあこんなような問題をぽつぽつと今折角研究をいたしておるわけであります。
  55. 島村軍次

    ○島村軍次君 地域については新聞紙上によると、最近やや具体化しつつあるように聞きますが、果してどの程度でありますか、或いはその交渉が進んでおるのかどうかという問題も併せてお聞きしたいと思います。  それからなお前回の行政整理の問題で併せて落しましたからお聞きしておきたいと思います。従来の行政整理は大概退職手当というものを出した。今度も根本的な案をお立てになるのに、それは考慮の中にお入れになつているかどうか。
  56. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) あとの点から先に申上げますが、これは勿論従来と同じような考え方で進んで行きたいと思つております。法律も出します。あの特例法は期限を延長してなお生きておるように記憶をいたしております。  それから最初の問題でありますが、これも当初日本として若干凝念を持つておつたのでありますが、却つて疑念を持つておつたほうがおかしかつたのでありまして、初めアメリカ側からああいう考え方を表明いたします前に、非公式に、日本に大島群島に属するものは何と何と何の島だということの非公式の問合せもあつて、その時分から日本側の意向を十分聞いてあれをしておりますので、従つて今度の還つて来ますものの中には、問題になつております沖永良部島、輿論島、徳之島、これらが全部入つておるということははつきりいたしております。
  57. 内村清次

    委員長内村清次君) 大体これでこの問題ははつきりと、又外交上の問題もございましようし、返還の時期が決定をいたしましたときには、やはり現地へも長官行かれるというようなことを承わつておりますが、やはり現地を十分視察してもらいまして、その制度上につきまして、まだ補足すべき点が多々あるとも思いますので、そういう点についても万遺漏のないように是非一つ十分な住民の幸福を念頭においてやつて頂きたいということを特にお願いを申上げておきます。   ━━━━━━━━━━━━━
  58. 内村清次

    委員長内村清次君) それから最近起りましたこの南山城地方の水害に関する件ですが、京都附近からの水害関係、この総括的な政府のとられました措置につきまして御説明をお願いいたしたいと思います。
  59. 後藤田正晴

    説明員後藤田正晴君) 去る十四日の夜半から十五日の未明にかけまして京都、滋賀、奈良、三重各府県に亙りました水害の被害状況につきまして簡単に御説明申上げたいと思います。本件につきましては、すでに新聞紙にも詳しく掲載されておりますし、又お手許に災害概況をお配りいたしましたので、私からは極めて簡単に御説明一申上げます。  今度の被害の特色は、従来の九州一帯の被害、それから和歌山県の被害等と比べまして非常に変つているのであります。と申しますのは四県の山岳地帯に集中的に雨が降りました関係上、山間僻地で非常に散在をした被害が発生をしている、こういうことであります。つまり非常に被害が局地的である、こういう特色を持つているのであります。で被害の中心地は、主要河川としましては木津川と支流でございます。これが京都府、三重県、それから滋賀県としては野洲川と大戸川、これが主な河川でございますが、罹災地といたしましては、京都府の綴喜郡と相楽郡、三重県の阿山郡、滋賀県の甲賀郡、奈良県は添上郡、こういつた地域が主たる被害地でございます。  被害の大要は、一番大きな被害は、大正池の決潰によりまして京都府綴喜郡の井手町の死傷者が非常に多く出た、こういう被害が一番大きいのでございますが、四十九名死亡で、五十三名現在行方不明になつております。次に滋賀県甲賀郡多羅尾村の山津波による死亡者が四十五名あります。この二つが一番人的被害として大きな惨禍をもたらした地点でございます。そのほか三重県の阿山都島ヶ原村、それから三重県上野市、それから京都府の相楽郡大河原村寺がそれに次いでの被害発生をいたしております。奈良県は今回の被害は比較的軽微でございます。で、山間部の一時的な局地的災害であるために山崩れが非常にたくさん起つておりますが、農耕地の被害は和歌山県等の場合と比べまして比較的目下の状況では少い模様でございます。又和歌山県の場合と比較しまして、交通至難な箇所の被害が比較的少なくて、京都府の相楽郡湯船村、この附近を除きましては、大体物資の輸送は現在地上連絡が可能になつております。湯船村につきましては米軍のヘリコプターが輸送連絡を行なつているような次第でございます。  一般的な治安の情勢といたしましては、目下のところは平静を保つております。ただ特異な動向といたしましては大正池の決潰による責任の追及という問題が起つているようございます。これはこの村がすでに災害発生前に、実は村長のリコールの問題が起きておつたところへ、この被害が発生をした、こういうような関係になつておりますので、被害の大きな地域でありますから、村長の責任追及という問題が起きておりますが、この事態の推移につきましては、私どもとしては十分注意をいたしておるところでございます。なお一部分子の工作その他の点につきましては、目下のところそういつた事態はございませんが、九州、それから和歌山県等の実例に徴しましても、恐らくあと数日経てばそろそろそういつた動きが出て来るのではないか、かように想像せられるのでありますが、勿論私どもとしてはそれらの点に十分注意を払つて治安の万全を期して行きたい、かように存じておるのでございます。なお、物価の関係につきましてはこれはいずれの災害地でも同じでございますが、当初主として食糧関係の値上りが見られておるようでありますが、これはいずれ物資補給が十分つくようになりますれば、平静に帰して来るのではないか、そうしますと、その次には必ず復興資材のべら棒な値上り、こういう面が出て来るのでございますが、これらの点につきましても、政府としては十分対策を講じて行きたい、かように存じておるのでございます。  甚だ簡単でございますが、近畿四県に起りました被害状況の御報告を申上げました。
  60. 島村軍次

    ○島村軍次君 大正池の責任問題ということを只今お話になりましたが、これはいわば築造者の、農林省の所管でやつたあれだと思うのでありますが、そういう経過はお調べになつているのですか。
  61. 後藤田正晴

    説明員後藤田正晴君) 大正池の責任問題につきまして、詳細な情報がまだ入つていないのでございますが、只今までにわかつておりますのは、山を少し伐り過ぎたということ、それから村長さんが工事の請負に何か関係があつたとかなかつたとかいう問題があるようであります。そういつた関係があるやに聞いておりますが、まだ私のほうとしては確認をいたしておりませんので、その点御了承願いたいと思います。
  62. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記止めて下さい。    〔速記中止〕
  63. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記始めて下さい。  それでは本日はこの程度地方行政委員会を散会いたします。    午後三時二十三分散会