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1953-07-31 第16回国会 参議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三十一日(金曜日)    午前十一時五十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 眞一君            藤野 繁雄君            横川 信夫君            山本 米夫君            前田 久吉君            三木與吉郎君            堀木 鎌三君            平林 太一君   政府委員    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第二十九回大蔵委員会開会いたします。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を行います。
  3. 小林政夫

    小林政夫君 本題に入る前に、私議事進行と言うか、審議の仕方について一言要望をしたいと思いますが、大体衆議院がこの所得税法法人税法租税特別措置法、この法律案を未だに当参議院へ送り込まないということは非常に参議院審議を極端に制約するものであつて、甚だ面白くないと思うのです。それで少くともこの歳入の根幹をなす所得税法法人税法改正案というものは予算と同時に、少々一日や二日の違いはいいが、殆んど本院へ送り込まるべきものであつて、今日まで遷延して、参議院へ送り込んで来ないということは参議院審議を非常に拘束するものであり、又参議院を非常に軽視したものであると私は思う。だから私の説に皆さん賛同を願えるならば、全会一致要望を以て、参議院議長から衆議院議長に対して厳重なる抗議を申込むようにお取計らいを願いたい。(「賛成」「反対するものはないよ」と呼ぶ者あり)
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記をやめて。    午前十一時五十八分速記中止    ——————————    午後零時十四分速記開始
  5. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。只今小林委員から御発言のありました通り衆議院議長に対し申入を行うよう本院議長に対し申入れることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。なお右の申入の案文につきましては委員長に御一任願います。  それでは暫時休憩いたします。    午後零時十五分休憩    ——————————    午後四時六分開会
  7. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 休憩前に引続きまして会議を開きます。所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案議題として質疑を行います。
  8. 小林政夫

    小林政夫君 租税特別措置法衆議院から修正送付なつたもので、第八條の五の第二項、この解釈を一つ主税局長にお願いします。
  9. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 我々のほうではこの法文の書き方から見ましてこういうふうに解しております。「各事業年度所得のうち積み立てた法律規定による準備金」これが一つ、それから「及びその他の積立金」これは任意の積立金、こういうものがある場合におきましては、これらの積立金金額合計額がその事業年度の期首現在におきまして出資金額の四分の一に達しません場合におきましては、当該法人の各事業年度所得のうちで積立てた金額に対しましては法人税課税しない、そこを出たときには法人税課税する、こういうふうに解釈しております。
  10. 小林政夫

    小林政夫君 この、法律規定による準備金というのは協同組合法による法定準備金として解釈していいわけですか。
  11. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 他に、ほかのほうの法律によりまして、これらの組合準備金を積立つべしという規定があれば、それも入るわけでございますが、現在におきましては、これらのそれぞれの組合法による準備金というものがこれに該当するものと考えております。
  12. 小林政夫

    小林政夫君 それから又組合法によつて指導啓蒙事業のために益金を一定の割合後期に繰越すことになる、そういうものも入りますか。
  13. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 繰越金のようなものも、名前は繰越金でありましても、積立金に入るものと解しております。
  14. 小林政夫

    小林政夫君 その他の積立金というのは、法人税法第十六條にいう積立金でありますか。
  15. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) さように解しております。
  16. 小林政夫

    小林政夫君 これはもう聞かんでもいいと思うのですが、再評価積立金減価償却積立金退職給与積立金というのはそういうものに入るのですか。
  17. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) そういうものはこれに入らない趣旨だと解しております。
  18. 小林政夫

    小林政夫君 九條の六の宗教法人関係で、「命令の定めるところにより、登録税を免除する。」と、この「命令の定めるところにより、」というのは、どういうものを命令で定めるところというのですか。
  19. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) この命令は、一応我々が理解しているところでは、証明書を持つて来て頂きたいといつたような専ら手続的な規定を書くことを命令に譲つておると、他にもこういう事例相当ございますので、そうした事例を先例といたしまして、同じように規定すべきものと解しております。
  20. 平林太一

    平林太一君 所得税改正なら、大衆課税と見なされる対象に対しましては、根本的に税法に対する主税局長考え方、或いは思想的に伝統的なものがあるので、それを一つ直してもらわなければ困ると思うのですが、我々から言いますると、所得大衆課税化というものは速かに撤廃しなくてはならんと、こういうふうに考えるのでありますが、この点については、先般主税局長がアメリカに行かれて向う実情などを御視察して来られて、そうして向う実情日本実情はよほど違うが、併し違うということは、殊に富裕な米国の事情、それから非富裕な我が国の事情とでは、間接税大衆に対してそれ以上の負担をかけることは速かに解消し、避けなければならないと、こう考えるのですが、ところが今日現われておりまする所得税税制の上には漸次そういう方向主税局長もとつておられるようであるが、根本的なことにこれを考え処置をいたしてない。いずれにいたしましても何か枝葉末節なことを弥縫するという程度にしか考えていないのだが、この点は将来どういうふうにお考えになるか、これを伺いたい。
  21. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 租税負担をできるだけ低所得大衆の人にはかけないようにと、こういう方向税制全体を考えて行くべきであるという御主張は、私も非常に傾聴すべきものだというふうに考えております。まあ我々事務当局立場でございまするので、その立場としての意見として一応お聞き願いたいと思いますが、結局租税をどういうふうにして国民の間に負担して頂くかという問題につきましては、一面において租税において賄わるべき経費と言いますか、或いは国家財政のうちで租税に期待すべき額がどのくらいの大きさに上るかというのが一つの軸になりまして、いま一つの軸としましては、そうした現在なら現在の状況における国民所得がどれくらいの大きさになつているか、或いはそれがいわゆる所得階層という言葉が使われておりますが、金持と言われる人がどれくらいの数になつており、或いは比較的所得少い人がどれくらいの数になつているか、いわゆる所得分布状況国民所得の全体の大きさ及び所得分布状況というものを片方の軸において、両者を睨み合して決定して行くべきものじやないかと、かように考えております。国民所得の大きさが非常に大きければ、租税収入として期待しなければなりません額が相当の額でありましても、全体の負担としては比較的負担しやすいと言いますか、負担そのものは低くて済む。それが併し租税収入として期待しなければならん額が相当大きな額に上る。而も、他面国民所得そのもの余り大きくないということになりますと、どうしても負担は重からざるを得ないわけです。更にそれが或る意味において、現在の状況におきましては、御承知のように戦後の復興がまだその途上にある国民所得、こういう姿はまだなかなか戦前の姿まで行かない。ところが財政需要相当の額に上つている。これがまあ全体として租税負担割合としまして、相当の額に上つている。もう一つ所得分布の姿というものですが、これが戦前の姿と現在の日本の姿と比べてみますと、割合に目立つ金持と言いますか、大きな所得者の数が少い。これは昔も少かつたのですが、最近におきましてはそれが特に少い。よくピラミツド型と申しておりますが、そのピラミツドの先のほうは非常に細くなつておりまして、そうして下のほうがずつと太い。低額所得者の数が非常に多いと、こういう姿になつていると思うのであります。そうしますと、相当所得の大きなかたからかなり高い税率負担をして頂きましても、それだけではなかなか予定される収入は賄い切れない。どうしてもやはり所得の低いかたにも或る程度負担はして頂かなければならんじやないか、こういうような姿が出て来るわけでございます。その場合におきまして、それでは所得の低いかたに負担して頂く場合におきまして、それを所得税の形で負担して頂くのがいいか、或いは消費税といつたような、いわゆる大衆課税と言われておりますが、そうした間接税の形で負担して頂くのがいいのか、ここに次の問題があると思つております。所得税によつて負担して頂くことは、負担の公平を期するという上から行きますると、一応理論には正しい姿が出るはずなんでございますが、併し余り納税者の数が殖えて参りますと、税務署調査等におきましても不十分な点も出まして、理論的には公平な負担でなければならんというのが、現実の姿になりますと、必ずしもそういう目的が達し得ない場合もままあります。従いまして、そういう場合におきましては、むしろ大衆課税と言われましても、どうしてもそういう層のかたに或る程度負担をして頂かなければならんとするならば、間接税のようなもので以て負担して頂くほうが、同じ望ましくない姿でありましてもまだましではないか、こういう結論も実は出て来るのではないかというふうに思います。いずれにいたしましても、所得の少いかたに税金負担して頂くということは、一番あと考えて行きたいと思つておりますが、併し日本現状からいたしますと、或る程度負担して頂かざるを得ないだろうと、その場合において直接税によるべきか、間接税によるべきかといつたような問題につきましては、よく検討してみた上で結論を出して行くべきではないか。所得の多い階層の場合におきましても、又税負担余りに多くなりますと、とかく脱税的なほうへ誘惑するような問題もございますし、或いは資本蓄積とか、いろんな面から言いますと、どうしても資本蓄積できるゆとりのある人の負担というものについても、余りにそこに苛酷な課税をするのはどうだろうか、こういう声も出て来るわけでありまして、公平という観念だけから行つた場合の結論と、更に産業的な、或いは金融的な見地を入れた場合の結論との間には、そこに多少見方の違いも出て来るわけでございます。そうした幾つかの要請が集まりまして税制がまあできて来るわけでありますが、現在の税制につきましてはいろいろ御批判もございますので、近く我々のほうで予定しております税制調査会におきましては、そうした各般の面からいろいろ御意見を拝聴して一応の結論を出して頂き、それによつて我々は得た結論について、更に国会において十分御審議をお願いしたいと、かように考えております。
  22. 平林太一

    平林太一君 今主税局長の御答弁で、所得分布の姿と、こういうのでありますが、私もこれは非常に重大な関心を寄せておるわけでありますが、そこで、この高額所得、それから低額所得、これは具体的には主税局長はこの限界をどのように表示せられるか。具体的には高額所得とはこれこれの水準を以て高額所得とする、低額所得はこれこれの水準であるということがおきまりになつておりますかどうか、それを承わりたいと思います。
  23. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私が今申しました高額所得低額所得と言いますのは、別に所得年間何百万円以上の人を高額所得とか、或いは所得年間何千万円以下の人を低額所得とかといつたような意味におきまして申上げたのではございませんで、いわば相対的な問題でございまして、所得の大きな人という意味におきまして高額所得所得少い人という意味におきまして低額所得ということを申上げたわけでございます。従いまして、例えば所得税における税率を盛つて参りまする場合におきましても、どの程度所得の場合にどの程度税率を盛つて行くべきか、それはそのときにおける一面においては財政需要、一面においては国民所得の大きさ、或いはその分布状況、こういつたものを睨み合せまして決定されて行くべきものであろうというふうに思つております。
  24. 平林太一

    平林太一君 これは今御答弁を伺いまして、御答弁内容によりますと、私のほうからお尋ねをいたしておりまする内容というものと非常に違つておるので、併しこれ以上は議論になりますので避けるようにいたしますが、近来どうしても所得税課税対象がいわゆる大衆課税と私が申しておりますのは、要するに所得勤労或いは労働と、そうしたいわゆる膏血の結晶汗脂結晶、こういうものがいわゆる課税対象になつておるということは、決して税制根本義から行きまして立派な税制行政ではないということを全体的に考えております。だから、以前においてはこれに課税が及んでいなかつた。例えば昭和十年頃の状況考えますというと、月収百円、年で申しますと千二百円、これが今日は二百五十倍になりますと、三十万円ぐらいになるという計算が出て参りまするが、免税点がそこに立つてつたと、こういうことですが、そこで税に対して非常な今日ような苛斂誅求的な事態の現象が起きなくて、そうして極めて税に対する穏やかな生活が営まれておつた。併しこれはどうしても今日漸く日本再建が逐次建設されて参つたのでありまするから、やはりそうして行かなければならんにもかかわらず、先刻お話通りどうしても大衆対象としなければ税の均衡が得られない、こういうお話でありまするが、この点を私といたしましては非常に重大視しておるわけですが、この点はそういう方向、そういうふうに課税対象を持つて行くということに対して主税局長は、私のほうからも数字的に具体的に申上げたのですが、免税点をどこに置くべきかということが大衆課税を左右する重大な問題になるのでありますが、それを具体的にどういうふうにお考えになつておるか、それを伺いたいと思います。
  25. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 確かに戦前におきましては、当時の金額としまして年収千二百円ですから、月百円のかたですね、所得税課税していなかつた。従いまして、昨日もちよつとお話しましたが、例えば我々の身近であります税務署の職員を見てみましても、所得税を納めます者は、まあ署長とかそういう者が一人だけで、あと税金を納めないで済んでいた。或いは農村などへ行つて見ますと、一つの村で所得税を納めるかたはそれこそ何人といつた程度の姿であつたというふうに思うのですが、そういう姿に所得税が持つて行けることは非常に我々も望ましい姿であると思いますが、ただいろいろの観点におきまして、なかなかそういうところへ行くまでには相当むずかしいのじやないかということを考えております。と申しますのは、一つは漸次再建が進んでおりますが、国民経済復興状況というものが、何と申しましても敗戦後狭められた領域におけるものでございますので、なかなか思うように進んでいない。而も、一面におきまして財政需要相当大きく殖えております。軍事費のようなものは一応なくなりましたが、他に社会保障的なと言いますか、それからその他いろいろ災害関係とか、いろいろな意味におきまして、なかなか経費が減らない。結局まあ我々の気持といたしましては、税というものは国のこれはサービス一つのまあ代償のようなものでございますから、考え方といたしましては、国のサービスは少くていいから税は少くて済むような姿に行くべきか、或いは税は或る程度負担が多くても止むを得ないから、もつと国はサービスをすべきであるという方向に持つて行くべきかといつたような問題がやはり基本的に考えられて行くべきものであり、更にこうした財政規模が止むを得ないと言いますか、必要な規模であるといつた場合におきまして、それではそれを租税の姿として負担する場合におきまして、どういう税制によつてつて行くべきか、これが第二の問題として我々に課せられている一番大きな問題であろうと思つております。その場合におきましては、先ほども申しましたように、負担の公平という観点から言いまして、大きな所得者相当大きく負担して頂き、小さな所得者負担はできるだけ小さくするということは当然考えられて行くべきものと思つておりますが、更に税の面におきまして、最近いろいろそうした負担公平観念以外に、或いは資本蓄積の上に、或いは輸出振興の上に、そうした産業的な、或いは金融的な観点としての要請が更にそこに入つて来るわけでございまして、これと税本来の持つておる負担の公平の観念とを如何に調和させて行くか、これがやはり我我といたしましても、解決の非常にむずかしい問題になつているわけでございます。そうした点に一つの調和の点を求めながら税制を具体的に作つて参ります場合に、一応例えば本年度におきましては、只今御提案申上げているような姿のものが最上のものではないかと考えているわけでございますが、併し将来の問題といたしましては、更に更に検討が重ねられて行くべきものであろうと、かように考えております。
  26. 平林太一

    平林太一君 只今提案されておる所得税法改正については、その気持は了承し得ることが十分できるんですが、併しこれは根本的には何かそういう技術的に……、今お話のあつたようなことを考え出して希望するというようなことで、実際においては主税局長は別のものを腹に持つておる。それはできるんだが、低額所得に対してはそういうような形を見せて行かなければいかんということでこれをやつておる。実際においてはやればやれるんだ、主税局長の腹で行けば。それはなぜかと申しますと、国民所得というものが本年は五兆五、六千億と算定しており、昨年は五兆二、三百億、こういうようなことですから、それに対して当然全体において税というものは増収になる。それからたばこにいたしましても、間接税として、酒にいたしましても、又これはこの間砂糖消費税の問題が出ましたが、砂糖にいたしましても累年国民消費量というものは増大して行くのですから、放つておきましても増大して行く分だけはだんだん殖えて行くものです。この低額所得の例えば年額三十万円、曽つて月収百円というようなものに対しては速かに外すという処置を真にお考えになつていればこれは行けるわけです。私の申上げておることは、低額所得者でもいわゆる炎天下において労働する人が今日においてはどんなことをしても一月三万とか、三万以上の経費がかかつて来ますから、これを如何にして生活をするために働くかというために孜孜としてこの炎天下に働いておる。併し高額所得者というものはそういう姿ではない。机の上において、或いは一つのいわゆる組織の上において、又極端に申せば財政投資資金二千数百億というようなものの余恵を受けてやつておる。だからそういう方面の対してもう少し課けて行く、そうして課け切れない分は今申上げた通りこの年々の国民所得の増大に対する処置により、そうして苟しくも大衆課税と言われるようなものは速かに外すことができる処置ができる。根本的に考えればそう私のほうは信じて疑わないわけです。それで実はこのように主税局長も多年のそれに対する税制技術家としては立派な人ですから、本当に腹を割つて、そういうことをやればできるのでと、その点を一つ本当に良心に訴えて御答弁を頂きたい。今日すぐこの改正をしろというわけではありませんが、明年度において考えてもいいと思いますが。
  27. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 我々税収を見積りますときは、一応国民所得数字数字としまして、収入の確立をやはり期さなければならない面もございますので、いろいろな資料によつて課税実績を基にした見通しをつけているというわけでございますが、国民所得が殖えて参りましても、財政規模がそれに応じて、或いはそれ以上に大きくなつて参りますと、これはなかなか租税負担を軽減することはできませんが、一面において国民所得が殖えて行く、これは税制を動かさなければ当然歳入は殖えて行くわけでございます。従つて国民所得のほうも殖えて行く、併し財政規模はこれは少くとも現状に比べて余り大きく膨らませない、こういつたような措置が併せ行われますと、お説のように相当減税が漸次行い得るのじやないかというふうに考えておりますが、ただ昨日も森下委員の御質問がございましたので、一応我々のほうで試算した幾つかの実績お話申上げておいたのでありますが、よく世間で少くとも勤労者の場合におきましては、月収二万円ぐらいの場合には所得税がかからないようにしたらいいのじやないかというような御議論がよくございますので、まあその月収二万円の場合と言いましても、これはまあ税制の作り方でいろいろな姿が出て、従つてそれに応じて歳入の姿も変つて参りますが、昨日も申上げたのですが、大体月給取と言いますか、給与所得のかたで現在のような一割五分の控除をして参り、ただ控除最高限度は現在よりも或る程度大きくして行く。同時に夫婦のかたで子供さんが三人、こういうくらいのかたで月収二万円程度かたは税がかからない、こういう姿に一応所得税の姿を直しまして、そうして今提案している予算ではございませんが、前に不成立になりましたあの予算のときの基礎数字をとりまして、試算したことがございます。その場合におきましては、その基礎控除引上げ及び扶養控除引上げ、それから勤労所得控除最高限引上げ、その三つで大体九百六十億ぐらいの減収になる数字が出た。従いまして、現在よりも租税が九百六十億程度少くて、なお且つ国家財政が賄えるということに見通しがつけば、例えばそういう税制改正も不可能なことではないと思つております。ただそういうようにした場合には、その場合にそれじや税率を今のままで放つておいていいか、こういう問題が常に出て来るわけであります。税というものは御承知のように一つのバランスの上に立たなければなりません。そうすると、この税率についても現在かなり急速度の累進になつておりますので、これも多少手直ししたという程度でございましたら、一応まあ今の基礎控除扶養控除に併せて税率を組替えてみた数字、これは詳しく申上げませんと大して意味を持ちませんが、我々のほうでまあまあという程度か、ちよつと直したという程度にしかなりませんが、それでもその分で約百六十億くらいの減収所得税だけで一千二百億減収が許されますと、今よく世間で言われております二万円くらいの人の月給取りには所得税がかからんと、こういう姿のものができ得るようでございますが、ただそういうような減収が可能である場合に、それでは法人税はどうするか、或いはほかの間接税はどうするか、こういつたまあいろいろな議論が出て参りますので、やはり行き方といたしましては、先の狙いはそこに置くといたしましても、その年々の国民経済の伸び方の状況、それから財政規模状況、その両方睨み合せて見まして、一歩一歩できるだけ理想の姿と言いますか、まあ理想とも言えませんが、そういつたいろいろ伺つております姿に持つて行くように努力して参りたい、かように考えております。
  28. 平林太一

    平林太一君 この扶養控除等に対する処置、そういうものに対する主税局長のいろいろの苦心というもの、これはよく窺えるわけであります。それでまあ大体月収二万円というものを対象にして九百六十億円内外の歳入減が出て来るということもよく了承し得られるのでありますが、これは参考として一つ伺いたいのですが、全国の耕作農民、今日の我が国の農民というものは殆んど耕作者である。只今いわゆる俸給給料生活者を対象としてのお話で、これも大変結構でありますが、耕作農民というものを、往年のように地主がないので皆自作農である。そして営々として毎日田畑に入つておりますが、その農民の数について資料があれば御即答が願えれば結構ですが、どのくらいの数になつておるか、耕作農民というものについて現在の数はどのくらいのものが出るか。  第二に、私の考えでは現在の九百六十億、この歳入減に対する措置は暫く別個に考えるとして、往年の百円というものは大体今日は三百倍と見て差支えないと思う。そうすると三十六万円、この三十六万円を対象にしたときに、どの程度の減税というものがここに現われて来るか、これを一つ伺いたいと思う。そしてまあそれだけのことを伺いまして、それから引続いて申上げたいことは、この間接税が先刻も申上げておる通り実は私から見ますると、酒などの類に対する税を引下げました。酒を引下げるよりもむしろ酒税の増収するもの、これは相当年度よりも来年度と伸びて行きまするから、ああいうものの伸びただけを所得税のほうで低額所得者に対する減税の措置をとつたほうが、国家的に全体から見て非常に効果的だと思う。併しまあ酒はそれでいいですが、たばこや何かも五百億くらい三年くらいで伸びておる。昭和二十五年から比較すると千五百億くらいになつておる。昭和二十五年度は千億くらいであると承知しておる。そういうものも今後明年あたり考えて行きますれば、今のその所得税に対しましては、何かそういう一刀両断の処置ができるのではないかとこういうふうに私は考える。そうしてこの農民、初めてですね、ほつとした大衆というものが、今日でもまあ所得税対象となるものは、恐らくは七割くらいは私の考えではこういうものに該当すると思つております。これは重大な問題であります。その点を一つ局長から御答弁を伺いたいと思います。
  29. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 農家のほうにおきましては、扶養家族の数なども勤労者の場合に比べますと、相当数多くなつております。そういうことも加わると思いますが、現在我々のはうで見積りといたしましてお手許へ差し上げてございますが、農業のかたで、今度の税制改正後におきまして、課税を受ける人員というのは約七十七万人、かように考えております。で、まあよく農家六百万戸と言われておりますが、これはまあ兼業農家もみんな入つているわけでございまして、必ずしも専業農家、農家として農業だけで生活ができるというかただけとは数としては思つておりませんが、まあよく六百万戸と普通言われておりますが、そういう数から見ますと、七十七万という数字はかなり小さな数字に最近は変りつつあるのじやないかというふうに考えております。そして一戸当りの課税が、大体今度の改正案によりまして九千九百円、一戸当り所得税として負担して頂く額が七十七万人のかたで九千九百円として、農家による課税の税額が七十六億というふうに考えている次第でございます。一時に比べますと、その間の負担はかなり軽減されて来ているのではないかというふうにこれは見ております。現状で十分だとか、これでいいんだとかいう意味では勿論ございません。過去に比べますと随分まあ……、過去と言いましても終戦直後か、或いは終戦後数年のときに比べれば、随分変つて来た姿になつているのじやないか、かように考えます。  それから酒の税金、或いはたばこの値段をもつと引上げれば、そこにおのずから増収が出て来るのだから、その財源を以て所得税を軽減する財源に充てたらいいんじやないかという御意見、これは当てはまる事態も私はあると思います。特に我々のはうは、酒の税金についてはこの間も御説明しましたが、大体酒の値段も余り高くなりますと、結局消費のほうがそれだけ減つて参りますので、結局狙いとしましては、消費もそれほど減らない、同時に酒の値段もまあこの程度が結局税収として最大を確保できる、と申しますのは、併し酒の消費を奨励する意味ではございませんで、余り高くしましても、結局消費される酒は消費されるので、ただ密造といつた姿で以てまあ消費される。こういう姿になるものでございますから、一面において密造をやかましく言いましても、余り酒の税金が高うございますと、どうしても密造に対する刺激になるわけでありまして、従いましてやはり密造をできるだけなくして、正規な酒の消費を奨励して行くという観点に立ちますと、税率につきましても、それほど高い税率では却つて狙いが実は違つた結果になることが恐れられるわけでありまして、過般お願いいたしました税率引下げの狙いはそういつた面にございまして、結局酒の税収そのものは大体千四百億程度、これは現在において、改正前においての税率により、同時に増えた米の量とかそういうものを見合つてのまあ期待できる数字が大体千四百億、それを一応税率を引下げることによりまして、密造とかそういうものをなくすこと等によりまして、相変らずこれが獲得できることにするほうが結局酒の行政というものを明るい行政に持つて行けるゆえんじやないか。こういうとうなところで御措置つたわけでありまして、従つて酒の問題等に対しましても、その税率余り高く上げるとにうことは徒らに密造を刺激することになりまして、おのずから限度があり旭るわけでありまして、その点におきましてやはりそう一度に余りすつきりした姿に持つて行くということはちよつと無理な考え方であつて、むしろやはり一歩々々着実に、できるだけ理想的な姿に持つて行くという方向考えらるべきじやないか、かように私は考えております。で、今お話になりました三十六万円くらいの者に税金がかからんようにしたら減収としてどのくらいになるだろうか。これはまあその三十万円といつた場合に先ほどもちよつと申上げましたが、三十六万円くらいの場合に税金がかからんようにしたらどういう姿になるか。税率などの作り方もいろいろございますが、大体この間ちよつと試算したところでは、千五百億くらいの所得税だけで減収になりはせんか、現在所得税全体として二千六百億の税収が期待されておりますが、その中の千五百億くらいが三十六万円以下の所得者負担されておりますので、三十六万円以下を所得税から全部外してしまうといいますと、減収の面におきましてはやはり千五百億くらいを覚悟せざるを得ない、かように考えております。
  30. 平林太一

    平林太一君 だんだんお話を承わつてつたのですが、まあ酒に対することは私は税に対する一つ対象として申上げたので、たばこに対しては私のはうから引上げるということは申上げておりませんで、むしろたばこの価格は引下げたいくらい。そこでこのいわゆる直接の税に対してたばことか酒とか、酒のことは私どものほうの考えとしては、その現状の姿において年々消費というものが増大して行くのですから、今のお話ですと、酒は安くすれば多く売れると言うが、これは私は当らないと思う。酒の若干の値下げ等によつてそれが多く飲まれるというようなことは、決して全体の意味においてはそういうパーセンテージを現すほどの何じやないと思う。やはり消費されるものは数によつて消費されて行く。それから国民所得が増大するということは、それだけ生活力が旺盛になるのでありますから、それに伴うつまり当然の消費ですから、そういうことでこれは殖えて行くのですから、下げたからそれによつて多く消費されるということはあり得ないと思う。でありますから、そういうものはそのままでよろしいから、その酒による増収の分だけを一方に切換えて行くということを申上げておる。たばこにおいてもそうであります。現状よりむしろ下げるなら下げてそれはよろしい。若したばこの価格を下げないならば、殖えて行く分だけをやはり所得税のほうに切換えて行く。そうでもしないと、幾ら国民が働いても働くだけずつ税金がどんどん殖えて行くということになりまして、国家は国民の働くその顔を見ながら、働いて今年は五兆八千億になつたというと、五兆八千億に一七%一八%かける。使い途なんというものは幾らでもあるわけだ。歳出というものに対しましては幾らでもこれはある。併しこれはやはり或るときにはそれを抑えて、そうして本当に国民の自力というものを一年なり二年なりがつちり蓄積養成させる、そいいう処置をとるべきだと思う。そこで税のことを考える。只今お話によりますと、農民の全国大体六百万戸に対して七十万人内外が税の対象になつていて、一戸当り九千五、六百円、約一万円、私は七十六億というのですから、その話を聞いて感慨誠に深いわけですが、七十億くらいのものは、今日の一兆に達するであろう国家財政、特に税収入においては専売金等を含ませますれば八千億円内外、八千数百億円になるのですから、七十億くらいのものを減らすということは決してむずかしい問題ではないと思う。いわゆる惰性、習慣によつてそういうものを外すことの英断の処置ができない。そこで全国の七十万戸のこの税というものが免税になつたならば如何に農民の生活というものがこれによつて明るい生活に、及びそれらの農民の人々の間における平和な一つの様相が出るか。月額一万円というものはここでは何でもないようであるが、いわゆる耕作農民からいうと容易ならざる負担である。年末において一万円という金を持つて越年するという人は、恐らく七十万戸のうちで幾人あるか、幾軒あるかであります。パーセンテージにしても極めて低い。又年越しするときに一万円の金を暮の三十一日から正月の元日にかけて持つて来られるというようなことは、どんなにその年を迎える農民の家庭に明るい灯をつけるかということ。だから一万円外せばそれを持つて越せるということになる。それから又それを負担せんとして想像にも及ばないような農家は今日非常な苦心にぶち当る。それに向つて地方の税務官吏等がそういう大きな何を理解していないから、あらゆる非常手段をとつてこれに及ぶ、その税を滞納或いはその期間が延びれば。そういうことになりますときにおいて、まあそれはなかなかここで考えられません容易なものではないのです。その点を一つ主税局長に、これは時間もだんだんとたつて私だけ時間を食いますので、これで打切りをいたしたいと思いますが、一つこれは明年度においては七十七億、全体から言えば極めて僅か、これを外す、そうして七十万戸の農家に対して安んじて農業耕作に当らせるという朗報を与えて頂きたい。これを頭に置いて現案に実行することを要望しておきます。  それからついでながら申上げておくことですが、地方の税務署の官吏というものは、今日誠に教養或いは素養において非常に粗策である。二十才くらいの何らの資格のない者が終戦後にどしどし一遍の試験によつてつて来た。こういう若い二十才くらいの税務官吏というものがおおむね第一線に立つておる。実は税務署の内部にあつてこれらの弱小税務官吏を使つておる課長とか、それに附随する多年の経験者が第一線に立つておれば、そういうことは非常に是正されるのですが、現状はそうでない。そういう者が何か昔の代官のような態度で、そういう最低所得者の税に対する徴税に当つておる。主税局長は全国的にこういう税務署官吏の思想、態度というものに対して大きな何かこれに対する是正をすることに一つ考えて頂かなくちやならんと思う。現在私から申しますれば、徴税というようなことは今日は時代錯誤だ。税を徴するなんということは、曽つての憲法当時の思想がそのまま残つておる。それから税を徴収するとか徴発とか、昔で言えば兵隊を徴発するとかそういうようなこと、徴発と来るのですから、それはいけない。税務署はその税というものに対して民主主義国家において国家を構成する税負担者に対して、いわゆるそういう権力威圧的でない、一つの事務機関としてその税に対する負担の納得を求める、こういつた態度で行かなくちやならん。これが税務官吏の頭に入つておらんから、今日税収入において見るがごとき、不必要なる税負担者の不快の念、それからときには激憤を禁じ得ない事態さえ出てくるこういうものを是正するような処置方法、これを一つこの際伺つて、これ以上まだいろいろ申上げたいが、私はこれで質問を打切りますので、前段と併せて主税局長のこれに対するお考えのほどを伺いたい。
  31. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) いろいろ御質問がございましたので、順次お答えして参ります。  酒は値段を高くしても或いは安くしても消費は殖えない。そういう点で消費は余りそう動かない。まあ御意見がございましたが、一つこういう点があることを御留意願いたいと私は思うのでありますが、酒の値段が高い安いによつてそれほど……やはりそれが高ければ或る程度消費が減る、安ければ消費は殖える、それはそう大きな開きじやないという御趣旨だと思いますが御承知のように相当大きな密造という一つの面がございまして、酒の消費そのものは違いませんでも、やはり酒の税金が高いと、正規の税率を込つて酒を飲むということから密造の酒に移つて行く。で酒の消費そのものを物量的に見ますと、そう違わないでも税というものと結びつけて見ますと、結局税収の対象になる酒としてはずつと減つてしまう、こういつたような面が多々あるのでありますから、そこにやはり税収という面を頭に置いて考えなければならん場合におきましては、そこに酒の税率においておのずから一つの限度が出て来るのだということを先ほど実は申上げたかつた次第でございまして、これを一つ附加させて頂きたいと思います。  それから農家の場合においては、結局所得税としては七、八十億足らずだから、全部負けてしまつたらよいじやないか、こういう御意見のようでございますが、農家だけについて云々といふことになると、実は我々としてはちよつと工合が悪いのでありまして、農家についても確かにそういう面はありますが、毎日工場へ通つておる勤労者についてもやはり同じことが言えるのじやないか、又中小企業者についても同じような場合があるのじやないか、こういうようなことがすぐ議論として出て来るものでありますから、我々としては、農家なるが故にとか、中小企業なるが故にとか或いは工場労働者なるが故に税を云々という考え方よりも、やはり基礎控除を上げるとか、或いは扶養控除を上げるとか、或いは税率を加減するとか、そういう面におきまして、或る一定の所得階層以下のかたには所得税がかからないとこういうような姿に持つて行くべきじやないだろうか。一つの職業を中心とした物の考え方は、これはちよつと如何であろうかと思う。確かに農民のかたにはそういう面がありますことを、我々は決して否認するつもりはありませんが、それなら中小企業の者はどうなるのだ、或いは工場で働いておる労働者はどうなるのだ、こういう考え方がすぐ出て参りますものですから、税というものは負担公平という上に立たなければならんという意味におきまして、結局はやはり基礎控除の引上、扶養控除の引上、この問題と絡んで今言つたような問題は解決されるべきじやないかと考えております。  なお平林先生は、先ほど月額一万円の税金と言われましたが、現在負担しておるのは、私が先ほど申上げたように年の所得税として九千九百円であるということを申しましたので、これは恐らく先生の思い違いではないかと思いますので、ちよつと念のために附加えさせて頂きたいと思います。  それから現在税務の第一線に働いておる税務官吏の者がとかくまだ教養が低い、或いは実際の納税者に対する態度あるいは取扱等においていろいろまだ欠点が多いというお叱りにつきましては、私も謹んでお受けしたいと思います。我々から見ましても、もう少し何とかならんものだろうかと考えられるようなお話もよく伺うのでありまして、何分若い者でございますので、いろいろそういう点もございますが、今お話のように現在の税務行政におきましては、もうそれは一応或いは法律の上では権力的に云々といういつたような姿になりましても、結局考え方としましては、これは皆さんいずれ納税者のかたがたに進んで納めて頂くべき税金であり、税務官吏の仕事はその納税の仕事をお世話するその公僕としての仕事である、こういうふうに我々は考えておりますし、同時にそうした気持が第一線の者にも十分徹底するようにして頂かなければならんのじやないかということにつきましては、私も全然同感でございます。現在そのほうの直接の仕事をしておりますのは国税庁長官が責任を持つておりまして、一応主税局の仕事とは離れておりますが、その考え方におきましては、我々も同感でございますと同時に、国税庁におきましても同じような考え方でこれをやつております。訓練、教育、再教育、いろいろな機会を通じまして、或いは平素の執務の場合におきましてもいろいろ努力して参つておるのでありますが、まだまだその至らないことを我々も考えております。将来におきましては、これが改善されて行くようにごの上とも努力を続けて行きたいと思つております。
  32. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を中止して……。    〔速記中止
  33. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて……
  34. 小林政夫

    小林政夫君 この租税特別据置法の根本問題ですが、これは当分の間の特例としてこの措置法を制定しておりますが、広範囲におきまして、いささか根本的に考え直して見る必要がある。そうして当分の間の特例と称しながら二年も三年も同じことをやつておるということならば、相当本法の改正も最近は瀕繁に行われておるし、本来の本法のほうへ繰入れてやつていいものもあるし、又他の法律において政府のほうでこれを適当にセーヴして、そうして、又こういう個々の軽減措置による方法よりも、基礎控除引上げとか、税率の引下げというような方向に施策の重点を向けて行くべきではないか。そういう点については近く税制調査会を設けて、税制全般についていろいろ再検討されるようなことなんだが、その税制調査会に臨まれる主税当局の態度としては如何ようにお考えか、その点をお伺いしたい。
  35. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私は今度税制調査会が開かれますので、まあ最初はできるだけ我々のほうの主観は抜きにしまして、むしろ委員のかたがたの御意見をよく伺うということを中心に税制調査会を運営して頂くようにお願いしようと思つております。よく昔やりました税制調査会におきましては、例えば大蔵省で一つの案を先に作つてしまいまして、或いはもう最初からそれを出さないまでも、大体税制調査会に提案する案を先に作つておりまして、そしてその後承認を求める。そして国会へ法案が出ましたときは、これは税制調査会の議を経て、その結論を十分尊重して作つたものでありますと、まあこういつたようなことをやつた。やつたといつちや語弊がありますが、こういうふうな事実であつたと思われるようなことも、ないではなかつたのですが、どうもそれでは今のような時代におきましては余り適当じやないのじやないか。それよりもむしろ我我のほうとしましては、勿論我々は我我なりの一応の意見は持つておりますが、併しそれを余り最初に申上げますことは、税制調査会の皆さんがたのお考えを或いは最初から拘束すると言いますか、いろいろ影響を、インフルエンスを与える問題になろうと思います。どちらかと言えば、できるだけ問題を提起しまして、現在いろいろ御考慮願わなきやならん点としてはこういう点があり、こういう点があるというふうな意味におきまして、いろいろな資料、或いは、数字等を提供しまして御判断をお願いする、こういうふうな実は態度で税制調査会に私としては臨んだらいいんじやないだろうかと案は思つております。その場合におきまして、今問題になつ小林委員の御指摘された事項でございますが、租税特別措置法その他等によりまして、現在いろいろな軽減措置が行われている。これはまあいろいろ数が殖えて参りますと、それによる減収額というのも相当馬鹿にならん数字になるのじやないか。この点につきましては、先日小林委員からも御要求があり、森下委員からも御要求があつたのですが、遺憾ながら現在我々のほうで事務簡素化をしてしまつたものですから、統計も、この項による減収幾ら、この項による減収幾らという計算を一々とつておりませんものですから、本委員会に間に合うように実は御提出できなかつたのですが、これは実は別途至急調査するように私命じまして、調査を開始しております。従いましてそういう数字がまとまりました場合におきましては、そういう数字もお目にかけまして、そして行き方としまして、小林委員の御指摘になりましたように、こういう特殊な減免税の措置はできるだけ幅を狭くし、本当に必要なものに限定して、むしろ一般の税率を若し可能なら下げて行くという方向に進んで行くべきか、或いはそれぞれないろいろ理由はあるわけでございます。こういう理由の下に、こういう減免税措置をとると、一般の税率は多少高くても止むを得ないという方向に進んで行くべきか、こういうことは調査会の御審議を得たい、かように考えております。
  36. 小林政夫

    小林政夫君 それから所得税法で、我が緑風会の中で、代表的意見じやないのですよ、その特に強硬な意見として、これがあるために今度の所得税改正案には賛成しない、こういう強い意見をはく人もある。所得区分が七万円超、今まで八万円超三五%であつたものが七万円超二五%、まあ実質的にはそういうことであつても、軽減にはなつておるのだけれども、どうもつらが悪いということで、非常にこれにこだわつて反対する人がある。そこでその減収の資料を出してもらつたところが、二十一億くらいの減収である。この点については、次回の税制改正等において、考えるつもりでおられるのかどうか。それから一応こういうふうに区切りして行くと、二万円から七万円、丁度五万円の区切り、七万円から十二万円になつて、丁度五万円という区切りになるようですが、今までは八万円ということですね。その点はどういうふうにお考えですか。
  37. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) まあ結局これが先ほど申しましたように、減収はどの程度可能かという問題と結びつくわけでございまして、割合に三十億程度数字ではございますが、いろいろまあいわば俗な言葉で申せば、ひねくり廻した末の一応の結論でございます。確かに現状というものから比較してみますと、この点だけがむしろ増税になつておりますのでおかしいじやないか。これは一つの御意見だと思いますが、同時にいろいろな調整ということも必要なわけでございまして、将来の問題といたしましては、新らしい姿の下にどういう区分がいいか。その前におきましては、この改正案の前と言いますか、現在の八万円を境にした区切りというものも頭に置いて、検討して見直すというようなことは考えてみたいと思つております。
  38. 小林政夫

    小林政夫君 これは答弁がありませんが、昨日決議をして、我々が反対をした、特別減税国債をやめることによつて税収が四十五億浮く。それで以て先ず第一に充てるべきはこれである。こういうことが緑風会の当時の態度であつたわけです。その点は了承しておいて下さい。  それから衆議院において、附帯決議として例の中小企業法人に対する法第四十六條の三の適用について、慎重にやるように、こういう意味の附帯決議が附されておりますが、これについては、国税庁等においてはどういうふうな周知徹底方を図られるつもりなのか。
  39. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その決議案につきましては、私も主税局長ではございますが、国税庁長官ともよく打合わせもしてございまして、いろいろ委員のかたの……、衆議院の大蔵委員のかたですが、委員のかたのお話も十分に承わりまして、同時に我々の意見も十分申上げて、その附帯決議の案文になつたわけでございます。その附帯決議につきましては、昨日附帯決議を御説明申上げるときに縷々申上げましたので、重ねて申上げませんが、その御趣旨については十分これを尊重してやつて行こう、こういうつもりでおります。周知方といたしましては、勿論通牒の姿によつてはつきりしたものに、主として国税局、主税局に伝達いたしますが、近く国税局長の会議を開くことになつておりますので、その場合におきましては私も出席いたしまして、国会における委員のかたがたのいろいろな論議、或いはその問題につきましては、実は自分も相当企業側の代表のかたにいろいろ会つてもおりますし、相互の意思疎通の話合にも当つておりますので、そういつた経過等につきましてもよく話しまして、趣旨の徹底を図りたい、かように考えております。
  40. 小林政夫

    小林政夫君 通牒はいつ頃できますか。
  41. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 一週間乃至十日の間には発し得ると思つております。
  42. 小林政夫

    小林政夫君 それは一つ休会中になるかも知れませんが、成るべく国会開会中に、どうせ会期延長されるでしようから、その間に間に合うように一つ御提示願いたいのですけれども……。
  43. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) まあ或る程度細かいものになろうと思いますので、会期の期間の間にそれをここへ提出できるかどうかという点はちよつと御約束いたしかねますが、御心配ないような措置は十分講ずるつもりでおりますので、できれば我々を或る程度信用して頂きたいと、こういうふうに思います。
  44. 小林政夫

    小林政夫君 信用しないわけではないのですが、成るべく可及的速かに国会開会中に間に合うという趣旨において作成をしてもらつて、どうしても不可抗力で間に合わないということであれば、休会になつたらとかく資料が遅れますが、必ず伝達をして頂き、努力を願いたい。
  45. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私の気持としましては、一応素案を作りましたものを国税局長の会議でよく説明もし、そうして十分話して、同時に局長の人たちの意見も十分聞いてその上で最終の形にまとめるのが一番いいんじやないか、こういうふうに考えておりますので、局長会議を再来週くらいにやりますから、その後に正式に発送される通達は作られることになろうと思いますので、そういうことを考えておりますので、今期中に最終のものができるということについてはちよつと間に合わないじやないだろうか、かように考えておりますが、その趣旨は、その延びるゆえんは今申したような意味があるわけでございますので、御了承願いたいと思います。
  46. 小林政夫

    小林政夫君 延びてもいいから、発送される時に併せて我々にも発送して頂きたい。
  47. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) かしこまりました。
  48. 小林政夫

    小林政夫君 それからもう一回……先般来何回も質疑をしたので、いささかくどい感じがするわけですが、今度の租税特別措置法衆議院からの改正案の結果、例の輸出取引額の百分の三、メーカーの百分の三ということについて、今の輸出業者からの委託加工の分は認めるが、メーカーからの委託加工の分を認めない、こういうことについて私は不満の意を以ていろいろ質疑を重ねたのですが、最後の質問として、一応これで滑り出してみて、あなたのほうでも十分研究をされて、動く、或る程度やれるという見通しを成るべく早くつけてもらつて、できるだけメーカーの加工のものにも拡げて行くという頭を以て研究して、成るべく速かなる機会において私の要望に副う御意思ありや否やということを伺いたい。
  49. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 御意見の点はよく検討してみたいと思います。
  50. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう会期末になつて忙しうございますので、要点だけ簡単にお尋ねしておきます。  一つは今度の衆議院から修正になつた第二條の二でございますが、これは政府原案は源泉選択を百分の五十を四十にするという取計らいで、これでさえも、今これを勿論税を安くするということでしたら反対するものじやありませんが、所得税の軽減、私いつも申上げるので、所得税の源泉徴収を受ける者、或いは青色申告その他による中小企業者の零細所得者に対する税負担軽減というものにもう少し主力を注いで、更に余力ができた場合にそういう措置もよかろう、こういうふうに考えておつたのですが、今度の第二條の二によりますると、もうこれらの利子並びに配当というものにつきましては、すべてのものを一般の所得と切り離してそれに一〇%だけ所得税を課して、あとは総合もない、こういうふうな取扱いになるわけでございますか。この点主税局長にお伺いしたいのですが、そういうふうに受取れるのでございますが……、
  51. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 今度の修正が成立いたしますれば、今菊川委員が御指摘になりましたように、総合課税はしない。源泉で百分の十を課税してそれでおしまいにする、こういうことになります。
  52. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この第二條の二の修正についてこの理由をお聞きになつたと思うのですが、どういう理由でこのような大幅の特別措置をおやりになるのですか、その理由は……。
  53. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) こういう修正が入りました理由として私聞いておりますところは、結局資本蓄積の一環といたしまして、できるだけ預貯金の面に資金を吸収することを考えて行くべきであろう。従いまして、これから生れて来る利子所得に対しましては、できるだけ税制上においても特殊な考えをして行くべきじやないだろうか。そういう意味におきまして現在の制度におきましては、総合課税をし、源泉課税としても二割を課税して行く。これはまああとで総合課税によつて精算されますが、それでいわゆる源泉選択の場合におきましては、原案におきましては、現行の五十を四十に下げる、こういうことになつていたわけでありますが、そうしたような行き方では資本蓄積の面から言えば、いわゆる奨励的な要素が薄いから、思い切つてこうした措置をとるべきである、こういう御意見であつたと伺つております。
  54. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この修正成立ということになりますると、政府原案とのこの面だけでの、利子所得に対する税収の面だけで変動はどのくらいあるのですか、大体の概算……。
  55. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 本年におきましては、十一億の減収ということになります。
  56. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に、二十八年の一月一日からやると思うのですが、今年の一月一日からすでに支払つたものも、これは修正案が成立したら払戻しを受けるという條件になるのですか。
  57. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 御承知のように、賦課課税におきまして所得を一年分と年所得をつかみまして、そうして課税して参つておりますので、一月一日からというふうに規定されているものと思います。そこで今お話になりました、すでに支払われているもの、これに対しては源泉課税が二割なされているが、それを返すかという御質問でございますが、それは修正案の二ページのほうを御覧願いたいと思いますが、そこに三行目から四行目へかけまして、百分の十の税率を適用して所得税を課しますが、括孤の中に本年の一月一日から七月三十一日までの間に支払を受けるものにつきましては二割で課税する、こういうふうに規定がされておりますので、すでに源泉課税をされております二割の分につきましては、これは別に返すことも考えてはおりません。なお源泉選択の分につきましては、附則のほうに従前の例による、改正前の源泉選択の分につきましては従前の例によるという規定が別途ございますので、これ又すでに源泉選択によつて百分の五十の税率による税を支払つたかたに遡りまして返すということは考えないでおります。
  58. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に第七項の六、これはまあ趣旨は輸出の振興と言いますか、外貨の獲得のために日本の品物が割高であるから、それをできるだけ原価を安くするようにするための特別措置である、こういうふうに受取れるのでありまするが、修正の趣旨というものはやはりそういうところから出ておるのでございますか。
  59. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 七條の六、それから法人の場合は七條の七、これは今菊川委員がおつしやいましたように輸出振興一つの方策といたしましてこういう措置を講じようという意味において修正されたものであると伺つております。
  60. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) では本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会