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政府委員(
渡辺喜久造君) その点につきましては、我々はこういう観点に立
つていろいろな作業を実はしてみたことはあるのです。実は更にその作業をもつとしてみたいと思
つているのですが、結局税というのは御
承知のように歳出と見合
つておりますから、結局経費のほうが小さくなれば税は少くて済むわけですし、経費が大きくなればインフレでもやらない限りはどうしても税は大きくならざるを得ない。そこで税のほうにおきましては経費のほうの
関係といいますか、歳出のほうの
関係においておのずから、よし税という観点から見ますると、もつと負担について何とか考えなきやならんけれども、まあこの程度はやむを得ないじやないだろうかとい
つた結論が出るわけでございますが、そういう観点を離れまして、まあ我々がこうありたいというのもどうかと思うのですが、皆さん方の御議論をよく伺
つていまして、例えば月額二万円までは
所得税をかけないほうにしたらいいじやないかというふうな御議論がいろいろございますものですから、それじやそういうような姿に
なつた場合は、一体
所得税なら
所得税の歳入にどれだけ響くだろう。尤も二万円なら二万円までかからんという姿においてもこれ又実はいろいろな姿があるわけでございます。現在は御
承知のように勤労
所得控除を
行なつている。
従つて月給取りで二万円と言
つた場合と、それから常業
所得者で勤労
所得といいますか給与
所得の控除のない二万円と言
つた場合とは、これは給与
所得の控除の
制度がある限りにおいては相当又程度が違うわけでございます。従いまして、程度が違えばおのずから税収も違うわけでございますが、この間一遍ちよつと試算してみましたのは、一応それがいいか悪いかは別としまして、理窟抜きで、皆さん方からよく
お話を伺
つているものですから、それじやせめて給与
所得者で以て二万円というところで、同時にこれもまあどの程度の家族持ちを以てそれに当てるかどうか、これで又違うわけです。独身者で以て給与
所得で二万円までの者には
税金がかからんことにするか、中年のかたで普通の世帯と考えられる夫婦もので同時に子供が三人、それくらいのところの方なら月給二万円ならまあかからんというところを
一つの軸にしまして、そうして
あとは大体それにバランスをと
つたところで以て一応数字を弾いてみたことがありましたが、そのとき弾いた数字では、基礎控除の引上、扶養控除の引上、給与
所得控除の限度の引上、この三つだけで九百六十億くらいの減収を覚悟せざるを得ない。その場合に基礎にとりましたデータは、今度の予算のベースに
なつた数字ではございませんで、不成立予算のときの数字が一応ございましたので、あの階級区分等によりまして
計算してみた数字が大体そういう数字が一応出ました。それからそうした場合においてすぐ当然考えられますのは、
一つには現在の
税率の刻み方なんです。非常にいわば足早にこう上
つている。扶養控除、基礎控除をそういうふうに引上げるとすれば、やはり中以上の
所得者の負担のことも考えて、
税率の刻みももう少し間延びしたような刻みにしなければバランスがとれないというので、これをまあ多少直したのですが、これは細かく御
説明しないとわかりませんが、これも極めてテイミツドな程度の直し方でございましたが、
税率をちよつと変えるだけで百六十億くらいの減収になる。まあ
従つて両者を合せますと、
所得税だけで千百億くらいの減収を覚悟しなければ、一応二万円の給与
所得者で
所得税がかからんとい
つたような姿はとれない。まあこういう数字になるようでありまして、我々といたしましては、今度の税制
調査会におきましてはいろいろなモデルを作りまして、こういうふうな姿にしたらこういう税収の婆になるぞ、こういうふうな姿にしたらこういう税収の姿になるぞといういろいろなモデルの姿を実は出してみようと思
つております。ただ歳出というものに縛られて物を考えますと、考え方が非常に小さな
範囲しか動けませんから、それは一応棚上げにしておきまして、別にいろいろ
減税についての御意見がありますものですから、そういう御意見というものに一応乗つか
つてみて弾いてみたらどうなるか
といつて試算してみた数字が、大体今申上げたような数字でございます。