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1953-07-28 第16回国会 参議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十八日(火曜日)    午前十一時二十九分開会   —————————————   委員の異動 七月二十七日委員野溝勝君辞任につ き、その補欠として河合義一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            森下 政一君    委員            岡崎 真一君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            堀木 鎌三君            平林 太一君   政府委員    日本専売公社監    理官      今泉 兼寛君    大蔵省主計局法    規課長     白石 正雄君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主税局税    制第一課長   泉 美之松君    通商産業省通商   局通商政策課長  今井 善衞君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本専売公社法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○厚生保険特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第二十六回の大蔵委員会を開会いたします。  日本専売公社法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を願います。
  3. 平林太一

    平林太一君 二十八年度たばこ製造に対して使用する副資材総額、諸経費は先日一応私の手許に入つておりますが、改めて本日その総額を承わりたい。副資材ですね、私のほうから申上げますれば、それは七十六億百四十一万六千円、これで全額ですか。副資材の全体の所要経費は。
  4. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 二十七年度実績を申しますると、総額は七十六億百万円余り内容から申しますと、巻紙、それから蝋紙アルミ箔ボール函、それから木箱木箱を巻く鉄帯、針金、ブリキ及び帯鋼あとそれから砂糖でございますね、味を付ける砂糖、グリセリン、香料類、それから糊、インキ、こういつたものが七十六億百万円。
  5. 平林太一

    平林太一君 これは副資材はそれで了承いたしました。原料資材であるいわゆる主要資材総額はどの程度に相成つておりますか。概算でもよろしいですよ。小単位は切捨てていいから。
  6. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 二十七年度実績で、葉たばこ、まあ主原料葉たばこでございますが、葉たばこ使用高が三百二億六千六百万円になつております。
  7. 平林太一

    平林太一君 葉たばこ主要原料承知して差支えないと私は了承いたしますが、これは三百二億円、相当の数字であると承知いたしますが、その葉たばこの買付けに対しましては、専売公社がこれを直営にしておるのか、或いは一般農家からいわゆるこれを生産したものを買受けておられるのか、その点を伺いたいと思います。
  8. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 葉たばこは御承知通り専売公社がこれを農民に作らせる場合には許可制を布く、許可制を布きまして、許可があつたら反別に対して耕作を許す。耕作を許されたものは全部一括して専売公社がこれを収納する。そういつた建前で、買受代金も実は買収金と、こういう形において、作らすのは農家でございまするが、あとの買受けるのは専売公社が一手にこれを買収という形において買受ける、こういうことになつております。
  9. 平林太一

    平林太一君 買収、こういうようお話であるが、そうすると許可制でやつてこれをいわゆる作らしておられる。そこで、そうするとこの許可せられた農家収益対象となる性格は、いわゆる単なる専売公社がこの労働賃金としてこれに一定つまり支払いをしておるのか、或いは農家がいわゆる自由耕作によつてその耕作物を、その年度において収穫したものをそのときの評価或いは時価というか、評価して専売局に売渡す方式であるのか、その点を詳しく承わりたい。
  10. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 葉たばこ専売ではございまするけれども、耕作させるのは一定許可はいたしますが、許可を受けた農家自分負担において肥料を購入するなり或いは自家労力、或いは雇い労力なり自己の責任においてこれを耕作いたしまして、耕作いたしましたものについては、毎年収納単価というものはきまりますから、そのきまつた単価において公社耕作農民から一手に買収する、こういう建前になつております。ですから直営公社が作らせるということではなくて、許可制は布きますが、飽くまで許可を受けた農民自己負担においてこれを耕作して、耕作したものだけを公社が一手に買取る、こういうことに相成つております。
  11. 平林太一

    平林太一君 そうすると、共同農場ようなことに相成つては、そういう制度になつては非常に疑惑を持たなければならないので、そういうことをお聞きしたのでありますが、只今そうでないということで一応これは了承いたしました。ややもいたしますと、そういうことに結果が陥りやすいことを憂えるのでありまするから、その点を十分に御注意になつて、そういう結果に相成らないように今後とも一つ十分のそういう御注意を願いたい。  そこでその価格ですね、その年の価格算定というものはどういうものを基準にしてせられるのか。
  12. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 価格算定の基礎は大体その年その年の生産費生産費の中には労賃、それから肥料代、その他幾らもありますが、大体その年の生産費基準といたしまして、それにいろんなほかの農産物の米とか麦とかのそういつた価格等も加味いたしまして、例えば今年の収納価格をどうするかといつたようなことは、昨年の買上価格に比べてそういつた生産費パリテイ計算等においてどういう動きがあるかというような点を加味いたしましてきめるのでございますが、その際にやはり米の値段がどういうふうになつているか、麦の値段がどういうふうになつているかというような点も、ほかの農産物価格の変動ということも考慮いたしまして、生産費を大体基準として適正な価格をきめる、こういうことになつております。
  13. 平林太一

    平林太一君 その適正な価格をきめるという場合に、耕作農民意思というものはどの程度にこれを採用し、或いはこれを尊重してやつておられるか。
  14. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 昨年までは価格をきめるのは、専売公社総裁が一方的にきめる、勿論そのきめるに際しても十分農民なり或いは耕作者団体等意見は十分聞いた上できめておつたわけでございまするが、制度の上では専売公社総裁がきめると、こういうことに相成つてつたのでございまするが、本年度からはやはりそういつた農民の声を正式にまとめてやはり具申させる必要があるということで、専売葉たばこ収納価格審議会というものを昨年の秋に設けまして、二十八年度価格決定については、そういつた耕作者団体代表者を加えた委員等において十分審議をして頂いて、その審議した意見公社総裁が十分参酌して、そして適正な価格をきめると、こういう制度でございます。    〔委員長退席理事西川甚五郎着席
  15. 平林太一

    平林太一君 今伺いますと、やはり昨年までは専売公社総裁が一方的にその価格を指示して、そしてそれを耕作農民たる葉たばこ製造農民に強要したと、こういうふうに私としてはこれを思わざるを得ない。併し昨年秋にそういう一方的な処置を、まあ独裁的な処置を一擲して、いわゆる葉たばこ農民からの意思を十分に尊重する御意向でその決定をするようにしたということを今伺いましたので、ややこれは納得の行くことになつたのでありますが、併しその際やはり考えなければならないことは、そういうものは往々形式に流れやすい。農民というものはいわゆる権力機関に対しては非常に弱い。でありますから、その意思は十分に一つ素直に、それから極めて自由にその意思が反映せらるるよう措置専売公社としてはとらなければ相成らないということをよく御注意を申上げておきます。  そこで買上価格に対しまする基準なりますものは、葉たばこに対してはどういうように、これは目方でいたすのですか、或いは何か他の方法でいたすのですか。その点伺つておきたいと思います。
  16. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 価格決定をいたします際には、先ず等級区別なんであります。優等一等、二等から五等といつたよう等級区別がございます。ですから品質で先ずきめまして、そこでその品質に該当したものについては今度はそれぞれの目方できめる、こういうことになつております。
  17. 平林太一

    平林太一君 品質に対する目方、現在はそうすると目方と言いますと、一貫とか十貫とかいう建前なりますが、二十七年度におきましてはどういう価格でありました。
  18. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 種類が、日本内地葉につきましては第一在来種、第二在来種、第三在来種在来種が三種類ございます。それから黄色種、これは米葉でございまするが、黄色種という種類がございます。これはバーレイ種、こういう種類がございまして、例えば第一在来種で申しますれば、優等が一キロ当り四百七十円、一等が四百円、二等が三百四十円、三等が二百九十円、四等が二百四十円、五等が百九十円、六等が百四十円、七等が百円、八等が六十円、六等から八等なんというのは極めて少いのですが、一応優等から八等まできめてある、こういうことであります。
  19. 平林太一

    平林太一君 一応そういうふうに単価及びその対象原料に対する対象種類等級によつておるよう伺つたのでありますが、これに対しましては、いわゆる私が心配をいたしますことは、御承知通り地方の農村で作りまする農作物というものは、米のごときは、近来はほかの諸国でも農民生産に対しまして、往年のごときこの一方的なことをするという結果にならないように、やはり少くとも国家がこれに助成、或いは米の価格に対しましてできるだけの処置をいたすという傾向になつて参りました。併し何といたしましても、現在は諸般の物価比較いたしまして、米のごときは決して高いとは言えない、むしろやすいものであるというのが今日の常識的な我々の考えであります。併し農家はそれほどやはり農作物として自家で作るものに対しましては、そういう最も最低の価格であつてもそれに対して何らの不平、不満を持たずしてやつておる。私は葉たばこのごときはそういうものに対して米との比較をいたしまして、恐らく農民のこの持つております農産物価格に対しまするところの考え方というものは、やはり農業は農民のものであるということが一番強く先入的な意識となつております。それでありますから、自分作つた品物をいわゆる自分できめるということをしないことにしておる。皆それを販売先において決定する。例えばたばこのごときも今伺いました通り専売公社において大体はきめるのであるということに自然に承服しているというところに農民の非常に伝統的な、日本農民美わしいところもあるのでありまするが、さりとてそういうものを放置しては私はならないと思う。今いわゆる地方において作つた農作物が一度加工となつて、都市において加工されて農民手許へ戻つて行くときには、これらの農民が、いわゆるたばこの例から申しますれば、四十円のピースを三十五円の利益を得られて、そうして農民がそれを又四十円のたばこを現在使つておる。こういう事態は政治方式、形態といたしまして、非常に考えて行かなければならんので、今お尋ねをしておるのでありますが、たばこのごときもそういうことの弊に陥ることをできるだけ私は事売公社性格として、そうしてこれを現在のいわゆる民主主義政治方式においてこれを変えて行かなければならんということを、強く良心的に反省をいたさざるを得ない私の気持がありますので、そういうことを伺うのでありますが、    〔理事西川甚五郎退席委員長着席〕  それで極めてこれはわかりやすい、はつきりいたしております。農家葉たばことして売るときには、漸くそれが年内の農家の経営に、生活費を支うるだけの程度にしか価格決定されん。又それを要求していない。ところがその原料であるたばこ専売公社に売渡してそして加工されて、そのたばこ農家手許へ返つて行くときには、この利益というものは何十倍にも何百倍にもなつてつて来るものを平然として農家は使用しておるというところに、今日の私はいわゆる資本主義に対しまするいわゆる非常な反省をしなければならないことを痛切に感ぜざるを得ないのであります。それでありますから、葉たばこの場合におきまして、専売公社に要求いたしますことは、その葉たばこ原料代のいわゆる単価引上げということを考えているかどうか。これはその比率におきましては、いわゆる専売公社益金というものが国の歳入としての重要な使命を果しておる点におきまして、その点を考慮することは当然でありまするが、併し依然としてこういうことに対して何らの反省のないいわゆる原料資材である葉たばこ買上価格というものに対しましては、非常にこの際考えをいたさなければならんと私は思います。その数字的の比率につきましては暫くこれは研究をいたす余地はありまするが、少くとも二十八年度においてはそういう方向において引上げをいたす用意があるか、或いはしなければならないという考えをお持ちになつておるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  20. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 引上げの率とか金額等については目下公社のほうで検討はいたしておりまするが、昨年度に比べて生産費内容を分析いたしますると、やはり若干の値上りになつております。而も最近においては米の値上げ或いは麦の値上げという問題も今まで行われた現状等から鑑みまして、やはり反当の農民収入というものはほかの農産物価との比較においてはそれを見なくちやならんという建前もございますので、方向といたしましては、二十八年度買収価格は二十七年度に比べて、率は申上げませんが、引上げ方向で目下検討しておるということでございます。
  21. 平林太一

    平林太一君 その点を伺いまして、一応私の疑問を了承し得たのでありますが、御答弁によりまして、三百二億というものは原料資材葉たばこ代であるという只今の報告に接しておりまするが、これは今度は別個にお尋ねいたしますが、二十八年度における専売益金予定額というのを一応正確に承わりたいと思います。
  22. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 二十八年度国庫納付金予定額は、予算に計上いたしました分千四百四十三億九千八百七万六千円ということになつております。
  23. 平林太一

    平林太一君 この数字を得たので、ついでに伺いたいのでありますが、これは累年こういうふうに増収して来た専売益金である。従つてそれが歳入としてここに現れて来たわけでありまして、二十七年度、二十六年度についても概算でよろしうございますから、千四百四十四億円でありますか、そこを億程度でよろしうございますからちよつとお伺いしたいと思います。二十六年度、七年度概算でよろしゆうございます。
  24. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 二十五年度から申上げますと、二十五年度概算で申上げますと、億で切りますが、一千百三十八億余りでございます。それから二十六年度が一千百八十八億、二十七年度が一千三百三十七億となつております。
  25. 平林太一

    平林太一君 これで二十五、六、七、八とこういうふうに数字は出て参つたのでありますが、数字に現れる通り年々飛躍的に増額を来しております。従つて歳入としては大きな役割を果しておることは勿論でありまするが、こういうことは更に二十九年度三十年度と、これは順次かくのごとき数字を示して行くものとこれは予定いたして差支えないのでありますが、そういうふうに相成りまするにつけましても、これはいわゆる一方においてはこの歳入として国の重大な使命を果しておるが、その基本をなすものは、いわゆるこの全国民のそれぞれのたばこ使用による結果から現れて参るのであります。こういうものを果して無制限に、この高額なる今日のたばこ価格、いわゆる売渡価格葉たばこのそういうものに対して無制限にこういうものがだんだん殖え乗るかということで放置しておいてこれは然るべきかどうかということは、我々としては非常に考えなければなりません。同時に又一方におきましては、現在の葉たばこ製造農家に対しましても、かくのごとき状態が現れてこれが持続いたしまする以上、還元するという態度に出べきであります。本日聞きますれば三百二億でありまするから、それに対してこのほうを五十億なり或いは六十億なり原料費見積り予算としてこれだけ高く新たに葉たばこ農家から買上げる、これによりまして、これら葉たばこ製造農家のいわゆる農家としての生活に対する国庫から受ける影響なり国家の施策というものが及んで行くわけである。それがいわゆる政治の私は最も考えなければならない重要な狙いであると思うのでありますから、それでこれを伺うのでありまするが、ただその引上げをする、何か率を引上げるというようなそういう世間まあ常識的な考え方でなくて、こういうふうに順に上つて行くのでありますから、これを農家に還元して、そうしてこれら葉たばこに対しまする買上価格の相当な引上げ方というものを考えなければならんと思うが、この点どうお考えなりますか。
  26. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 最近のこの国庫納付金増額、主としてこれは販売高増加に基くのが主なる原因でございまして、これは終戦後の非常な混乱した生活状態からだんだん立直つて来て、日本全般生活水準が上つて来たということが主原因であると私たちは見ておりまするが、何か農民買上価格を安くしてそれから収益を得たという事実はこれはございませんで、むしろ毎年々々販売高が殖えて来た、そこでこういう状況はそれじや来年も再来年もいつまでも続くかということの問題になりますと、来年度は今の見積りでは今言つたように今年に比べて相当まだまあ殖えておりまするが、やはりこの販売高増加というものも一定のやはり限度があるんじやないか、そこで大体あと二、三年くらいは或る程度まだ喫煙人口増加、或いは一人当り喫煙量といつたものの水準から言いますと、二、三年くらいはいま若干は伸びるであろうけれども、それ以上はそうむやみに喫煙量というものは殖えない、こういう見込みであります。従つて今増して来たような率で以て専売納付金が増すかどうかという問題になりますと、果してそこまで行くかどうか、甚だ疑問の点がございます。そういう見地からも申しまして、やはりたばこ収納価格というものはこれは一般のいわゆる農家農産物と同じように、価格としては飽くまでやはり適正な価格で上げる、値段をきめることが妥当でございまして、あとは今言つたように非常に国庫に対する収益があるんじやないかという点でございますが、これはやはり財政資金を得るための葉たばこ値段のきめようでございます。販売価格のきめようでまあ税金の分が高くなるか安くなるかという問題になるのでございまして、勿論主原料を提供する農民の努力の結果、比較的よいたばこ比較的安く作るという点は勿論ございまするけれども、あとは加工いたしまして、これをどういう価格できめるかという問題は、やはり財政収入との全般の関係もございまするので、まあ公社等といたしましては儲かつた金額を還元するということでなくて、飽くまで葉たばこ購入費適正価格できめる。決してこれをほかの農作物に比べて、専売であるという特権を利用して著しく生産費を割つたような低い価格できめるようなことはせずに、飽くまで適正価格で、適正な値段買上げる。これが本旨ではないかと、こういうふうに考えておりまして、専売益金上つたからこれを何割かを還元して、それに又追加的に支払うということは政府としては考えておらない次第であります。
  27. 平林太一

    平林太一君 今この適正価格でというお話であるが、現在専売公社葉たばこ買上げておりまする価格というのは適正価格ではない。それは農家生活状態生活水準というものを非常に伝統的な悪習によつて低く見ておるから、そういう判定の上に、そういう思想の上においていわゆる価格というものの算定を続けておる。我が国農家生活水準というものは非常に低いのであるから、今後どしどしとこれは引上げて行かなければなりません。そうするにはそういういわゆる引上げるためのそこに根拠をおいて、そのたばこ価格というものを考えまするならば、当然これは引上げを妥当とするものである。だからその間に対して適正ということはこれは非常に当らない、不適正である、現在の葉たばこ買上価格は。故に十分に一つ明年度においては、二十九年度買上げにおいてはこの点を考慮して引上げに対する方針を立てられるようにこの際要請をいたしておきます。  それから只今この販売価格の増大して行くところの数字というものは、ここ二、三年でとまるのではないかというようお話であつたが、それは私から言えば当つていない。二十五年以来四年間の例年のだんだんと増大した傾向を見ても、我が国人口というものはだんだんこれは殖えて行く傾向を示しておることは否みがたい事実である。それから従つて生活水準というものもいやが応でもこれは引上げて行かなければならない。又引上げることを以ていわゆる政治最大目的といたしておる。そうするならば累年これは増大して行くということは私は今日予想し、予言して憚りません。いま二、三年でとまるというようなことは非常に間違つておる。そういう方式の下にこれを取扱うということは、甚だこの専売公社自体の一方的な考えであるということを強く指摘しておくのでありますが、そこでこの専売益金というものの実態を見ましても、四十円のピースに対して三十四、五円が益金である。こういうようなものを荏苒長くこれは放置すべきでありません。それでありまするから、世の中で品物を売つた場合に、四十円のものを売つて一割儲けて四円である。二割儲けて八円だ、こういうことが一応常識なんです。これは国がそれを取扱うのであるからそれでいいと、こういうことであれば、理窟はまあそれでも通るやも知れないのでありますが、とにかく四十円のものに対して三十数円が利益金である、益金であるなんということは非常にその表現におきましてすでに国民を侮辱したものである。野蛮国国民であればいざ知らず、勝れたこの民族というものはそういう点は承服しがたい。そういうことを併しながら今日は、今日の国家財政の上において止むを得ない処置としてこういうことが許されておるのだ、そうでありまするから、この限度というものは大体もはやきめなければならない。昭和三十五年において一千百三十八億、二十六年度において一千百八十八億、七年度において千三百三十七億、それから二十八年度に千四百四十四億という数字只今出ておりまするが、それでありまするからこれは或る一定限度において、先ず一千二百億から一千三百億ぐらいのところでこれはつとめるべきだと思います。それでそれ以上上つて参りますものを予想していわゆる販売価格の引下げをしなければいけない。今日はピースにいたしましても光にいたしましても、他のいわゆる刻みたばこにいたしましても、而もこれはその対象となるものは皆これは国民大衆間接税である。国家から強要されてその利益専売公社益金として利益をされておることは、いわゆる俗に言いますと搾取されたということになる。こういうことにいたしますれば、そういうものを権力によつて政府専売品であるから止むを得ずとして、而も一種の嗜好品である、かようなものを、例えば所得税ですね、国税の体系から申しますれば、高額所得者というものは高額の税を負担するのが常識である。又これが税制の根本義である。然るにこのたばこの実例を見ますれば、高額所得者といえどもピースの使用量は一個しか喫えない者もいる。高額の所得者が一日に二十本も三十本も喫うというわけにこれは参りません。それどころではない、いわゆる我が民族の体形から申しますれば、昔から言う貧乏人の子だくさんというわけで低額所得者ほど人数を擁しておるのである。人数を擁しておれば擁するほどそのたばこの使用量というものは、一軒の高額所得者の三人しかないうちは一個か三個しか喫わないが、貧乏人の子だくさんで十人の人数を擁しておる人は十個のつまりたばこを喫うことになる。ピースを十個ずつ喫う場合には一日に一個三十五円の利益として三百五十円を国家に強制的に利益を提供しておる、こういうことになる。それがたばこのつまり本質であります。それでありまするから、これはもはやたばこというものの販売価格というものは今日においては厳然として引下げの態度というものをきめて行かなければなりません。千三百億円くらいでよろしい。私は歳入の方面におきましては七千二百億くらいでとどむべきだと思います。殊にもつとこれを求めるならば、いわゆる担税能力ある面を対象として財源を求めて行つて然るべきであります。私はそういうことを強くこの際主張するのでありますが、そういう面において専売公社は、実は私自身といたしますれば、専売公社としたことが非常な間違いである、大蔵省の専売局として存置する、そうしてたばこはいわゆる専売公社は企業体であるからこれは利益金と言うのだが、大蔵省の直轄の専売局というものにしておきますれば、これはたばこに対しまして、当然原価がピースの場合は六月乃至七月なら七月でよろしいでしよう。残る三十三円はいわゆる消費税であるとか、税金ということに当然これは名称が附されるわけであります。それをいわゆる公共企業体という専売公社の形式に持つてつたために、そういうことができないという結果になつておるのでありますから、そこを専売公社というものは考えなければいけない。公共企業体であるから利益というものを、いわゆる企業の目的である利益をとるということに対しては何らのその限界がないということでこれは行かれたのではこれは非常に困る。又それは非常な不平等的な、今日の行政組織の上におきまして許さるべき問題でありません。それでありますから、この際強く専売公社に要請したいのです。実は本日は総裁がここへ来ておることと思つた、私はいなかつたことを非常に残念に思いまするが、重大な問題であります。たばこ販売価格の引下げを考える必要が非常に現実に迫られておる。こういう事態を私は申すのでありまするが、これに対してどうお考えになるか、承わつておきたいと思います。
  28. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 昨日原価について申上げましたのですが、何か誤解があるようでございまするから重ねて申上げますが、ピースの一個当りの原価は、総原価は九円二十六銭、これに手数料が八分かかりまして、結局差引き利益金というものは十本について二十七円五十三銭一厘、こういうことになつておりますので、五円何がしという原価でできて、あと三十五円何がしが儲かつておるという先ほどのお言葉でございましたが、計数上の誤解があるといけませんから重ねて申上げておきたいと思います。  それから先ほど私が申しました、だんだん利益金もそう飛躍的に二十五年、二十六年、二十七年というように増して行かない理由は、販売高がそう飛躍的には殖えないであろうということと、もう一つはやはりこの原料費もさることながら、加工費その他でやはり年々増加いたしておりまするので、これを昨年のピースの総原価と今年の総原価と比べて見ましても、昨年ピースの十本当りの総原価は八円六十四銭でできたわけでございまするが、今年は九円二十六銭かかつている、こういう状況でございます。従つて販売高がそう飛躍的に今のカーヴでは伸びないであろうということと、原価関係も相当やはり年々上つて来ると、こういう観点から一層むやみに無制限に今のような状況で伸びて行くという見通しは立たない、こう私は申上げたわけでございます。  それから益金一定限度でとどめたならどうかと、そうしてその余裕は販売価格の引下げにしたらどうかと、これも御尤もな御意見であろうと思います。問題は国家財政全般から考え専売益金を毎年どの程度に見積るか、こういう観点から、例えばもう将来千三百億釘付けでよろしいということになれば、合理化によつて得たそういう益金の余裕といつたものはだんだん小売たばこ販売価格の引下げという面に向けて、適正になつて行くというのも一つの方法かと思います。問題はその千三百億で国庫収入全般の関係はよろしいかどうかという問題にかかつて来るわけでございます。これは国家財政全般の計画とも関連いたしますので、一つ御議論であろうと存じますが拝承させて頂きまして、今後我々は十分こういつた点を検討して見ます。
  29. 平林太一

    平林太一君 大体最後でありますが、先ほどのピースの問題でございますが、九円二十六銭、それから手数料、こういうもので実際は二十七円何がしの利益である、以下かくかくの比準であると承知をいたすのでございまするが、そこで私の、先刻申した五、六円内外だということは改めて訂正いたしておきます。併しそれは今の九円何がしに手数料を併せて二十七円何がしと言いますと、四十円から二十七年引くと十三円ということになるが、手数料というものはどういう性格なんです。
  30. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) なお詳細に申上げますると、小売に対して八分の手数料を出しております。従つて四十円のピースであれば、三円二十銭が小売手数料、こういうことに相成つておりまするので、総原価は九円二十六銭九厘でございまするが、小売人に売渡す価格は四十円のものを三十六円八十銭で売つているということになりまするから、三十六円八十銭から九円二十六銭九厘を差引いた二十七円五十三銭一厘が差引き利益になる、こういう計算でございます。
  31. 平林太一

    平林太一君 今のそういう二十七円何がしの数字、この機会に申上げておきますが、私のたばこに対しまする只今も申上げましたような資料をたばこの名目ごとに一つ出して頂きたい、それを要求いたしておきますが、今のお話で二十七円というのは、これはやはり私のほうは政治上その大局を申上げるのでありますから、六円と言つたが、これは大同小異で、四十円のもので二十七円の利益ということは何としても利益金としてはこれは許されないことである。若しそういうことが当然として利益金だということが民間に通るならば、民間経済は直ちに破壊してしまいます。製造業者が作つたものを、四十円のものを二十七円儲けるということが常識だということになつたならばどうなるか。それこそこの諸般の物価というものに対する一大混乱、動乱というものが出て来まして、国民生活国民の経済は直ちに破壊してしまいます。それだから強く私は申上げておる。併し国家経済の上で止むを得ない、併しこれは専売公社のほうではそれほどお考えにならなくても、心配にならなくてもよろしい。引下げもどんどんこれは専売公社としてはそれを立てて、そしてやはりこれは国民としては一応の歳入というものに対しては、必じしもたばこだけがその歳入に対しまするその財源だけではない。いわゆる一千四百億の中から三百億、四百億減つたということについてはそれぞれのまあ処置もあるわけでありますから、この機会といたしましては、私はたばこ販売価格の値下げをどの程度にするかということは、無論それは研究する余地はありますが、それは大きな利益金にという名称を付しておる以上は、それともこれは税金であるということになればそれは格別でしようと思います。とにかくピースを五十円にしても国民は納得するということなら政府はよろしいかも知れない。併し今日のよう専売益金だと、ものを作つて利益金だということはこれは許されないことであるから、そういう点に対しては、併し現実はそうであるのでありますから、この際はいわゆるこの引下げということを大いに考えなければならん。二十九年度においてたばこ価格の大巾な値下げということをこの際私としては申上げて置く。これに対しまして一応所感を伺つて、私の質疑はこの程度にいたしたいと思います。
  32. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 益金増額と、将来これの値下げの問題についてはお説もございますので、十分明年以降のことについては検討しておきたいと思います。
  33. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私、二、三の点についてお聞きしたいのですが、工業塩の輸入塩が主になると思いますが、輸入塩について大体平均十四ドル五十六セント、シフの単価がそうなつておるのでありますが、民間にこれを払下げられる場合には工業塩についてどういうような計算に今なつているのですか。
  34. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 資料を差上げてあります通り、輸入の時期的な違いもございまするし、それから船賃の関係等もございまして、輸入価格としてはそう差がなくても、シフとして入つて来る価格は輸入地別によつてなりの差がございますが、これを国内に払下げる場合には大体これをプールいたしまして、そして全体の計画といたしましては、国内からも昨年度は大体四十五万トンくらいの生産がございます。国内の買収価格は今一万三千円、トン当りでまあかなり高い塩になつているわけであります。それでまあやはり国内塩は主として食糧関係に向ける、それから外塩は主として工業塩に向けるという関係もございまして、国内塩と工業塩が若干の相違で販売されております。全体から言うと国内塩のほうがかなり高く、購入塩のほうが安いと、こういうふうになつておりますが、公社全体の会計の損益計算から言いますと、たばこは先に言つたようにまあ千四百億円の納付金を国庫に収めておりまするが、塩の関係は原価と言つちや語弊があるかも知れませんが、買受価格と売渡価格はその年の計算においては大体とんとんになる。こういう計算で塩の関係からは政府はまあ利益を上げないという政策でやつております。それでも或る年には赤になりましたり黒になつたり若干はいたしますが、政策としてはそういう政策で販売価格をきめている次第であります。
  35. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 これはまあ御承知通り最近の日本経済にとつて一番大切なのは、現在特に化学繊維であるとか、その他のソーダに非常に使われる。そのときに原価に占める割合が非常に高いという実績が上つて来ているように私は思うのです。そういう点から特別に考慮される余地はないものか。又一売公社についてお考えになつている点はありませんか。
  36. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 御指摘の通り国内塩は立地条件その他によつて非常に高く付く。購入塩の大部分はソーダ工業に使われて、これが輸出産業として用いられる、外国とも相当競争しなければならん。こういう立場にありますので、非常に日本といたしましては、何としても安い塩を買つて安い塩を業者に供給しなければならんという立場に立つておるのでありまするが、この問題につきましては、できるだけ購買網というものも手広く拡げまして、昔は御承知通り輸入塩の大部分は中共地区からこれを入れておつた。まあ地中海あたりから入れるということは殆んど例外でありましたが、現在は中共地区が殆んど閉鎖されているという状況で、大部分は遠海塩が相当入つて来ております。現在運賃が相当安くなつておりますから、九ドル内外の値段で入つて来るわけでありまするが、これ又運賃関係が相当又暴騰するということになりますと、御承知通り塩の輸入価格の七割方はもう運賃でございますから、運賃によつて左右される。こういう問題もございまするので、将来は公社といたしましてはできるだけこの運賃の安い近海地からの輸入を図りたい。そこでつい最近商談が成立したわけでありまするが、値段は原価の関係でまだですが、それは中共は貿易統制をやつておりまするので、そういつた点で向うはやはり国際価格を見て価格決定をいたしておりまするから、余り先では国際価格はそう安いものではございませんが、最近の引合いで十万トン中共地区から入れることにいたしました。それから今度フィリピン或いはタイ等の比較的近海地区におきまして、相当有望な塩田の開発の計画もございます。そこで公社といたしましても昨年タイのほうにも使節団を出しまして、フイリピンのほうにも調査団を出しまして、目下タイにおいては日タイ合弁であそこに新規の塩田を開こうじやないか、そしてその塩は大体一手に日本に供給する。こういうふうな手を打つておりまして、できるだけ遠海塩は避けて、値段の安い近海塩で相当需要を満たすというあらゆる手を打つております。それと同時に国内塩につきましても、御承知通り小名浜に加圧式製塩工場というのを昨年の夏から建てたのでございますが、これは従来の塩田等の方式を使わずに、海水から直接にもう塩になる方式でございます。プラントとしてはまだモデル・プラントでございますから、小規模の計画を立てたのでありまするが、今後こういう方式を民間団体にも相当普及させまして、これには電力も相当食う設備になつておりますから、電力の開発と相待つて相当大規模なそういうプラントを建てれば、単価も今の国内塩よりは遙かに安い値段でできる可能性も出ておりますので、まあ福島県とか、或いは秋田県、或いは鹿児島の屋久島に電気を起して、あそこにやはり加圧式製塩工場を作るという計画もだんだん熟して来ておるようでございまするから、そういつたいわゆる国内に大規模の比較的低廉でできる製塩所を普及して行く。それから外塩の関係は先ほど申上げました通りにできるだけ近海塩にこれから切替えて行く。こういう計画をとつて参りたいと思います。
  37. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 大体その中共から、その他近海から来れば十ドルを割つたものが買える見込みなのですか。
  38. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 最近のあれは、もう国際価格九ドル何がしで、たしか中共と契約できたはずでございます。
  39. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 十万トン以上には中共から入れるという見込みは立たないですか。
  40. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) どうも中共関係の情報が的確なやつはつかまりませんので、一説によれば五十万トンくらいの供給余力がある。向うはまあ二百万トン近くも最大のときはあつたこともございますので、どの程度中共地区の製塩関係の能力が回復しているか、それから中共自体の需要がどうなつているかという面がまだ的確につかまりませんので、恐らく戦前ほどの供給余力はないでしようけれども、まあ五十万トンぐらいの供給余力があるのではないか、大体の推算でございまするが、現在そういう推算が立つているのであります。
  41. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 これは大分質疑されたのですが、私或いはほかの委員からお問いになつて、ダブつておるようなことがありましたら遠慮なしにおつしやつて頂きたい。新らしく今度の法案で投資をすることができるようになるのですが、どういうところを考えておられますか。
  42. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 投資の条項を新らしく附加えたのでありまするが、それには制限がございまして、予算総則でその目的、金額を限定することになつておりますので、投資の条項ができても、予算に目的、金額としてどういう目的にどれだけの金額を特別投資するということがきまらなければ、実際動いて来ないわけでございまするが、御承知通りこの投資の条項は二十九年度から附則で適用されることになつております。従つて年度は生きて来ないわけでありまするが、明年度以降の問題として考えておりまするのは、さつきちよつと申上げました小名浜に公社直営で今モデル・プラントとして作つているわけでありまするが、こういつた方式をずつと公社自体が直営でやつたほうが適当か、或いはこれを全然民間のほうに払下げてしまつたほうが適当か、それとも現物出資という形において経営権を民間に任せる、こういう方式が適当か、そういう点も今後の検討問題でございまして、そのうちの一つ方式であるところの設備とかその他の固定資産は公社で持つて、経営権を民間に任せる、こういうことになりますれば、やはり現物出資という形において公社が投資を必要とするという面も出て来ようかとも思います。  それから樟脳の問題でございまするが、今御承知通り合成樟脳が西ドイツ等においても着々進みまして、而も非常に格安でできる、こういう状態でございまして、日本も天然樟脳だけに頼つていられないということで、品川の公社の研究所の中にやはりこれもモデル・プラントを作りまして、合成樟脳のモデル工場を作つた次第でございます。こういつたものは新らしいプラントでございまして、それから特許権等も持つております。従つてこういつた合成樟脳の方式等を例えば特許権という形において出資する必要も或いは起きて来やせんか、こう考えております。  それから先ほどちよつと申上げましたが、日タイ合弁でタイに塩田を作ろうといつた際に、この出資乃至融資の方式でございまするが、これもまだきまつたわけでございませんが、今交渉の過程にあるわけでございますが、例のブラントは輸出入銀行から融資をやるほかに、専売公社或いはソーダ工業会社、或いは貿易会社等から若干のやはり投資をしなかつたならば、なかなか全額のこの資金というものはまとまらんじやないか。勿論四九%日本側が支出するわけでございますが、全体としてやはり七、八億の資金が要りますので、そういつた際にやはり公社が一役投資という形において加わらないとまずいのじやないかという案も進められております。まだきまつたわけじやございませんが、若し今度出すというものがここで許されるならば、来年あたりからそういつた問題も必要とあれば、投資も考えられるという問題も起きて来ると考えます。
  43. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 大体そういうことだけに考えられたのでしようか。それとも公社の事業に関連して、無論関連の事業がたくさんありますね。今現に民間で行なつているような事業にも、同じような事業も新しく交渉するとか何とかされて行くつもりなんでしようか。
  44. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 大蔵省としても、公社としても、今考えておりますことは、どうしてもやはり公社がそういうものに投資という形において参加しなければ工合の悪いケースだけに考えておりまして、関連する事業に何でもかんでも公社が投資して行くというようなことは現在のところ全然考えておりません。
  45. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 三十四条というのは何といいますか、具体的なことは何にも考えられないで、原則的な精神的な規定なんですか。
  46. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) これはどちらかというと題目的な規定でございまして、その内容は、あとにありまするところの予算の流用ができるとか、それから繰越ができるとか、こういつたほうが弾力性の内容になつて来ることだと思います。それからあと若干ございますが、大体その弾力的と申しまするのは、今申上げた流用、繰越、それから予備金の使い方、そういつた点を内容としている次第であります。
  47. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 原則的な規定と考えていいわけですか。これが三十四条に適当なのかどうかということはどうなんですか。そういう原則的な考え方というのはもつと前に掲げられるはずだが、三十四条に特に掲記したということに何らかの意義があるのかどうか。
  48. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) これは公社法の建前が第五章の会計という中に総則、その次に事業年度、それから資本及び負債、その次に予算ということになつておりまして、予算の第一条にこの三十四条が載つておる。つまり予算的なお題目をここに掲げたということに相成るわけであります。
  49. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 四十三条だと項間の流用はしてもいいようになるわけですね。それは何か必要性がありますか。
  50. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) この四十三条の規定は、項間の流用はよろしいという規定でございますが、やはり状況如何によりましては、或る項の金額を他の項に使うという場合、例えば葉たばこの購入資金が非常に或る土地においては収納が予定したよりも非常によくできた、これをやはり収納しなければならんといつたような場合、それを或いは塩のほうから持つて来る必要もありましようし、逆に今度塩が非常に今安いから、この際にうんと買つておいたほうがよろしいといつた場合には、葉たばこのほうが余裕が出そうであれば、それを塩のほうの代金に充てる、こういう必要が起きて来るわけであります。相当今後状況の変化如何によつては項間の流用ということは大いに意義の出て来ることだと思います。
  51. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今そういう点であなたのお話を聞いているのと、この四十三条の三で繰り越しができる、こういうような点から考えると、専売公社の会計とは貯蔵勘定は別になつているんでしたか。つまり貯蔵勘定というものが別になつていますか。
  52. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 別に貯蔵勘定というのは別になつておりませんが、今のは棚卸資産の問題であろうと思いますが、これは納付金の条項に規定がございまするが、今までは納付金からは超えた棚卸資産、例えば塩とかたばこのその年の増でございますが、今までは差引いて国庫に納付しておつた益金と言つてはお叱りを受けるかも知れませんが、納付金から差引いて納めておつた。こういう状況でございますが、今年からはそういつた葉たばことか塩とかは翌年度においては現金に替わるべきものだという建前から今度は差引かないことになりまして、やはり納付金の一部にそういう貯蔵といいますか、棚卸資産の増加額が加えられる、こういうことになつております。従つて引上げられてない、こういうことになつております。
  53. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも私その点で専売公社の会計を見ていて不思議に思うのは、例えば葉たばこの出来秋がよかつたら余計買つておかなければならん。塩も安いときには買つておかなければならんというような点から見ると、貯蔵勘定というものが別にあつて、そういう貯蔵物品についての特別の会計をされないと、実際会計として立たないのじやなかろうか。まあ今おつしやつた説明でもわかるのだが、前年度の経理で買つてしまう。そういうものを資産になるという分を買つてしまつて、そうして益金から落しておくというような勘定にしてしまうと、翌年度になつてから、実際は予算上払つてあるということで会計の建前でよくやつて行かれるのだと思うのですが、そういう点について、そういう会計でやつて行けば自分勝手なまあ金が幾らでもできるし、率直に言えばおかしいので、やつぱりそういう原材料の勘定を別個にお立てになる必要があるのじやないでしようか。企業会計として考えるときにそういう点が明らかになつていないと、企業会計にならないような気がするのですが、そういう点についてどうお考えになつておりますか。
  54. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) それは程度の問題だと思います。例えば葉たばこの講入資金を年間五十億なら五十億やつてつた場合に、百億にもなるような状況であれば、かなりこれは別になると思いますけれども、そういつても五十億の予算がまあ十億内外の変化はあるでしようが、そう無茶に狂うわけでもございませんし、又塩の状況如何によつては相当買うといつても、これは季節的な変動でございまして、年間全体から言つて、或る時期には第一期の支払期においては相当払つても、第二期には落すということもありまするから、年間を通じてそう何倍というような変動はあり得ない。せいぜい何割程度の増減である。そうすればお互いの予算の繰合せでやつてつてそう支障ない。従来もそういう実績もございますので、この程度に改正されるならば、そう特別の勘定を設けなくてもやりくりでまあ立派に……、立派にと言つちや語弊がありますが、相当やつて行ける、こういう自信を持つている次第であります。
  55. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 実はそう素人でも僕はないのですよ。あなたがそういうことを言われると、何だか塩だつて一年分近く持つてつたこともあるのです。それが専売公社予算上資金上金がないから、だから裁定なり調停に応じられないと言つているときに、調べてみると、塩を四十億ぐらい第三四半期になつて余計買込むとか、そういうふうなところから来ているのですよ。それが貯蔵会計で別な会計になつて行くならいいけれども、そうでなくてやつているわけです。だからそういうふうな会計の立て方では、私は実は率直に言えば、専売公社の企業会計そしての態勢は大蔵省の膝下だけに一番悪い、ルーズにできる会計だというふうな気がしているのであります。大蔵省はほかのところはやかましく言うが、自分のところは全くいい加減なものだなという感じを持つているのですが、それで幾らでもあなたのほうは支障なくやれるようになつているのです。それはもう百万トンも八十万トン以上もの塩を繰越しで持つてつても平気でやれるようになつている。平気でやれるようなことがそれが企業会計の特質かと言えば、成るほど弾力性のあることが企業会計の特質であることはたしかでありますが、そのため、に会計の建前がそういうふうな状態であつて、それで棚卸もルーズになり、投資もルーズになるということになつて来ると大変だ。こういうふうな気持から私はお尋ねしているのでありますが、どうも専売公社の企業については私は余りに何とでもできる会計だという感じが強いのです。而も企業の実態がわからない。的確に現わすようになつていない。企業会計であれば企業状態を的確に現さなければならないはずだというような気がします。だからあなたのほうの原価計算なんというものは最近は相当苦労して作つておられるけれども、なかなか正確な原価計算は出て来ない。それは意見でありますからあなたと議論しても仕様がないが、併しまあ一種の御注意を申上げたよう程度だが、よほど会計の建前考え直されないと、この次にはこの専売公社法を相当用意して来てやつて差上げてみてもいいのですが、一応この程度にしておきます。  この会計の場合にはなお四十三条の十八でお聞きしたいのは、これは国庫に預託されることが原則なんですが、「業務上必要があるときは、政令の定めるところにより、郵便局又は銀行その他大蔵大臣が指定する金融機関に預け入れる」これは一体どういう御必要があるのですか。
  56. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) これは若干字句が元より違つただけで、現行法でもある規定でございますが、これはたばこ小売業者が、あれは現金で売りますから、たばこを配給した場合に、建前はやはりこれは国庫納付金建前をとつておりますから、日本銀行及び日本銀行の代理店に納付するというのが原則になつております。併し日本銀行及びその代理店がない辺僻な所においては、それをわざわざ持つて行くというようなことは非常に危険がございますので、現在は一週間を限つて都道府県の農業信用協同組合連合会といつたところにも預入れることができる、こういうことになつておりまして、一週間という限定で預けている次第であります。
  57. 小林政夫

    ○小林政夫君 今度の改正案は解散前の国会で、質疑応答の過程において我我の表明した意見が相当取入れられ、附則において予算措置と非常に見合うようにできて、この点は至極満足の意を表します。ただ一点この前我が会派の杉山委員からもそういう意見の表明があつたのでありますが、先ほど平林委員からもいろいろ意見があつたようでありますが、益金という名前が甚だ適当でない。そうして而も四十三条の二十一、今度の給与準則の改正によつて、能率の向上により、収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減した場合においては、従業員の給与改善に当てられる、こういうようなことになると、やはり本来税金なんだから、この益金ははつきり税金として明示してとる、例えばたばこなら、これは税金が幾らということが表示されるような方法でやるべきじやないか、そういうような点から、先般は相当細かく原価計算等についてお伺いしたわけであります。資料等も拝見いたしましたが、あなたのほうでも、こういう建前を改正さえすればやれるという御意見もあつたのだが、この点についてその後如何ように研究が進められているかどうか。
  58. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) この特別の給与につきましては、二十八年度の問題としては、二十七年度の決算でそういつたものができる場合には二十七年度も出す。それから二十八年度のまだ見込で、そういつた余裕のある場合は二十八年度においても出し得る。こういう二つの問題がございまして、今度の本予算が通れば、二十七年度の分が現実化して来るわけでございますが、その点につきまして、能率の向上、それから経費の節減という両面から公社内部で検討いたしますし、大蔵省でも検討いたしまして、まだ本当の成案というまでには至つておりませんが、大体こういつたところで出そうという目安を一応いたしております。併しながらまだ本予算も通つていない状況でございまするので、そういつたなり金額なりをどういうというのは今時期じやなかろうということで、まだどちらにも示しておりませんけれども、大体の考え方としてはこういつた両面から検討した結果、二十七年度においては予定よりも確かに収入が上つておるわけでございます。二十八年度は今後締切つてみなければわかりませんけれども、そういう方面で特別賞与はこの予算通りますれば、どの程度金額なりますか、まだ今後検討の余地がありますが……。
  59. 小林政夫

    ○小林政夫君 僕の質問に対する答弁じやない。そういう点を聞いているのじやない。そういうようなことをやらなければならんから、今例えばピースについては原価が九円二十六銭九厘です、それを四十円に売る、差額は税金なんです。だからこういう益金というようなことにせずに、この原価計算というものがあなたの方で確信がある数字ならば、この差額の三十円七十三銭一厘というものは税金だ、こういうことで、むしろ本来公社に移されたときにそういうよう益金というようなことでなしに、たばこ税というような、たばこ消費税というような税に切換えるべきじやないか。こういうようなことだと、いろいろやれば、或いは税金をルーズにやれば幾らでも儲かるというようなことになるの、だから、はつきりピース一個なら一個について税金は三十円なら三十円、三十一円なら三十一円、こういうようたばこ消費税というものに益金を切換えて行くべきじやないか、それについてはどうかと、こう言うのです。
  60. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 今も正式な名前といたしましては、別に利益金という正式な法律上の用語は使つておりませんで、納付金という形でやつておりまして、その内容は御指摘の通り大部分は税に相当する、消費税に相当するものが大部分だろうと思います。併しながらその中身を分析しますと、それじや本当の純粋の税に相当する部分と、それから成る年非常にこの納付金が殖えたという場合に、その中にはやはり能率向上による部分と、それから消極的ではありますが節約による部分と、そういつた問題が出て参ります。そこでこれをもう毎年一定して、ピース一個についてもう消費税的な税相当額が何ぼときめることは、なかなかこれは私は、やつてできないことはないと思いますが、その年々によつて原料も違い、それから給与も違い、資材も違つて来るという状況でございますから、毎年を通じてのそういつたあれはなかなか困難じやないか。まあ今そういつた面で公社のほうも検討はいたしております。検討はいたしておりますが、税金相当部分と、而もこれは税という名前においてこれをやるということになりますと、又専売公社法の建前全般的に変つて参りまするので、そういつた名称的な、或いは法制的な立場においても検討しなければならんし、それから又毎年々々変るようなそういう税相当額でも如何かと、まあ一定の率でもできないかという考え方もありますが、これもなかなか年々変つて参りますので、非常にむずかしい問題でございますので、十分検討はいたしておりますが、税相当額を差引いて、それによつてその年のものをきめてしまうのだと、或いは又それをもう一定の率として、もう当分動かせぬままにきめてしまうのだということになりますと、それを実施する適否の問題については更に検討を要する問題じやなかろうかと思うのです。
  61. 小林政夫

    ○小林政夫君 これだけ予算について弾力性のある、本当に企業らしい企業、おおむね企業会計的な運用を公社をしてやらしめようと、こういうことになれば、すでに酒税等の問題もあり、あなたのような今のようなことを言うならば、酒屋さんだつて税金を納められるか納められないかということもある。だからこれはもう税金はただこ消費税としてぴちつときめて、それ以上の企業努力によつて剰余金が出れば、いわゆる専売公社としての企業利益が上れば、その利益をどう折半するか、やはり免税等の措置を受けておれば、当然やはり国家に納付する税金等を差引いた残りは、それがその間に非常に従業員の企業努力によつて生れたという場合においては、今の四十三条の二十一ですか、によつて特別給与をやるということも然るべきである。それで相当確信のある原価計算さえできておれば、たばこ消費税は一応こうだという線を引くことはやさしいことだと思う。なぜふん切りがつかないのか。
  62. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 今度の特別賞与を出す基準といたしましては、その面も今十分検討いたしつつありますし、或る程度のめどは今年の増加額に対してこの程度はやはり益金相当額だと、これは過去の実績等から割り出しまして、この程度の率は当然税金相当額として納めるべきじやないか、残余はまあ公社の消極的、積極的な努力によるのじやないか、こういうようなまあ推定方式でかかつておりまするが、それが直ちに今言つたような酒の税金に相当するよう建前に行くということになりますと、やはり片一方は純然たる民間企業でございますし、片一方は公社というふうな半官半民のようになつております。そこに行きますと、やつぱり純然たる税金の部門と、半官半民になつている公社企業体ということになりますると、私はその道の専門家じやございませんので、そう詳しくはその内容を検討するまでには立至つておりませんが、公社の専門家の立場から言うと、やはりそこで今おつしやる通りの踏み切りをつけるまでには、相当もつと検討を要する問題じやないかということで、まあ一般民間になりつてしまえばいいじやないかという議論もあると思いますが、公社建前が、なかなかそこまで一挙に行くことはまあむずかしいという結論になつておりますが、この前からも小林先生の御指摘もございますし、方向といたしましては、そういつたことで一つ結論を出すように十分検討して見ろということで、先般来検討を続けて、目下そういう検討も続けている、こういう状況でございます。
  63. 小林政夫

    ○小林政夫君 どうしてもやらないというなら、先ほどの堀木さんの意見じやないが、徹底的に専売公社関係を勉強して僕が案として出す。当然そうすべきだと思う。
  64. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 大分たばこの問題ではお尋ねしたいことがあるのでありますけれども、百大分時間が切迫しているようですから、二、三お尋ねしたいと思つております。第三十四条の「需要の増加、経済事情の変動」こういうふうなことで、たばこの需要が非常に増しておるのでありますから、このたばこの需要が増したのに即応するためには、どうしてもたばこ耕作面積を増加しなければできないということになるのでありますが、公社のほうではたばこの増産計画をどういうふうにしておられるか。御説明を願いたいと思うのであります。
  65. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 御指摘の通り、相当年々このたばこの需要が殖えて参りますので、現在足りない部分け或る程度米葉乃至インド葉を輸入している状況でございますが、原則はどうしても国内の増産が大事であるという見地から、年々耕作反別を増しております。そこで全体の面積を申しますと、二十七年度、これは実績でございますが、全国で五万五千町歩余り、二十八年度は更にそれを六万三千町歩余りに増しますし、二十九年度は六万六千町歩、それから三十年までも一応計画を立てておりますが、それは六万八千町歩、こういう耕作面積の増加を期待しているわけでございますが、それと併せて単に耕作面積を増すばかりじやなくて、品種の改良、或いは一反歩当り耕作量の増加という面も、肥料その他の技術的な指導によつて指導して参りたいと思つております。
  66. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 暫時休憩いたします。  午後は二時から続行いたします。    午後零時五十八分休憩    —————・—————    午後二時五十分開会
  67. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引続きまして、会議を開きます。  日本専売公社法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を願います。
  68. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 公社の計画によつて見るというと、たばこ耕作面積は順次増加しておるのでありますが、これは日本たばこ耕作に非常に適しているからであると考えるのであります。又たばこの実際の状況から見ますれば、或る程度たばこは外国から輸入しなければならないのでありますが、一方日本にできたところのたばこを外国に輸出いたしまして、外貨獲得の資にするということも最も必要であると考えるのでありますが、たばこの輸出計画についてどういうような構想を持つておられますか、お伺いしたいと思います。
  69. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 葉たばこの輸出につきましては、昨年度実績から申しますると、黄色葉が西ドイツに出ております。それから在来種の中で主として松川葉でありますとか、福島県でとれる葉でございますが、これがエジプトに引合いがございまして、大体昨年度実績で申しますると、二億七千四百万円ほど出ております。金額から言うと昨年度はそれほど大きい金額とは申せませんけれども、一つは今後の見通しといたしましては、やはり輸出格がどの程度で外国のものと競争できるかという問題で、西ドイツに出ております黄色種は、品質日本黄色種葉たばこが非常に好適であるから出るという理由ではございませんで、むしろ日本葉たばこを買つたほうが西ドイツとしては安いという関係から出ております。従つて今後これがもつと伸びるという可能性は、昨年度あたりのいわゆる国際価格との関連において日本葉たばこが安いということに相成らなければ、そう品質からの購入ではございませんから、これがどんどん伸びるという可能性は少いのではないか。一方エジプトに出ております松川葉は、これはむしろ品質の関係から主として出ておるのでございまして、勿論幾ら品質がよくても値段が高ければ引合いは取れないはずでございますが、値段品質の両方の方面から引合いが取れまして、昨年松川葉が出たという状況でございます。このほうは単に値段だけでなく、松川葉を混合したほうがいいたばこができるということで、非常に松川葉というのはくせのないたばこでございますので、将来の輸出の可能性から言えば、黄色種は非常に値段がアメリカ産の米葉に比べて安いということになれば、相当日本葉たばこ黄色種でも出る可能性もございますが、そうでなく品質の面から出るというならむしろ松川葉が有望ではないか、そういつた面で勿論日本としては相当米葉なりインド葉を押さなくちやなりませんので、できれば将来輸出で賄いたい、こういう計画は持つておりますけれども、現状といたしましては二億七千万程度ですから、昨年度は非常にまあ特別な理由があつて米葉を非常に購入したのでありますが、昨年度五十八億円ほどアメリカ葉及びインド葉を入れております。その輸出入のバランスから言いますと、輸入のほうが圧倒的に多くてこの輸出はほんの一部分だ、こういうことになつておりますが、行く行くは国内でできるだけ自給体制をとるということと、それからやむを得ず輸入しなくちやならん外国葉くらいは何とかして輸出葉たばこによつてこれを賄う、こういう方策をだんだんとつて参りたいと思います。
  70. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 たばこ耕作面積が一方において増加するということであれば、このたばこをよく乾燥して行かなくちやできないのでありますから、たばこの乾燥したやつを収納しなくちやできないのでありますから、葉たばこ収納所の増設が必要であると考えるのでありますが、この葉たばこ収納所の増設計画がどういうふうな状況になつているか、承わりたいと思うのであります。
  71. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) やはり増産計画と相伴つて乾燥するための乾燥場が必要なことは御指摘の通りでございます。従つて従来も、黄色種系統においては乾燥場に対する補助政策を続けて参つたのでございますが、一時在来種関係についてはそういつた乾燥場の建設については補助をやめておりましたが、本年度からやはり一部について政府が補助するという政策を立てまして、必要なだけの乾燥場はその若干を政府が補助することによつて是非立てさせて行きたい、こういうふうに考えている次第であります。
  72. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今政府予算を見まするというと、たばこの補助金及び交付金が昭和二十七年度では三億六千万円であつて昭和二十八年度では六億四千万円になつて、これは増加しているのであります。併したばこ事業の工場、倉庫の建設等の経費は、昭和二十八年度は前年度より減少しているのでありますが、これは今までの増産から言つたらば減少するのはおかしいと思うのでありますが、昭和二十八年度においてこれらのものが減少している理由はどういうふうなことであるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  73. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) これは主として再乾燥場、まあ倉庫もございますが、再乾燥場の建設関係に非常に金を公社として食うわけでございまして、二十七年度に比べて二十八年度が少くなつているのはどういう理由か、こういうお話だと思いますが、これはやはり一定の設備は年次計画を立てておりますが、二十七年度はかなり再乾燥場の充実ということでやつて参りましたので、二十八年度は再乾燥場の建設が、若干ありまするけれども、二十七年度ほど要らないということで減になつているのが主なる理由でございます。併しそうだからといつて再乾燥場なり倉庫なりが不足するという段階には相成つておりませんので、今まで二十七年度がかなり力を入れてやつたために二十八年度は二十七年度ほど力を入れなくても間に合う、こういう事情でございます。
  74. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次にはいよいよたばこが余計にできる、できたならばこれを売らなくちやいけないということになりますと、需要の増加に伴つてたばこの小売店は非常に増加しなくちやできないと思うのでありますが、たばこ小売店の設置の方針があつたらば、それを伺いたいと思うのであります。又その方針があつて決定するのであつたらば、誰が決定して行くのであるか、伺いたい。
  75. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 御指摘の通り、毎年売行きが増して行くに従つて小売人の人員も相当毎年増加しております。例えば二十五年度から申しますと、十二万七千人、それが二十六年度においては十三万一千人、二十七年度は十三万五千人というふうに、だんだん増しておりますが、二十八年度においては更にこれを十六万人程度に増して参りたい。従つて十三万五千人に対して十六万人でございますから二万五千人程度は本年度において昨年度より小売人を増加して行きたいという考え方でございます。この指摘の方法は公社総裁が内規的にきめました一定の標準がございます。その標準は大体小売店を指定するその範囲内の人口の数で、一面お客のほうからは買うのに迷惑をかけない、つまりお客の利便の上から考えるほうと、それからもう一つは折角指定しても小売人が経済的に立つて行かな、というふうに濫設したのでは又小売人のほうも困りますので、或る程度小売人の販売数量も困らない程度に一軒に集中させるという、こういう面から大体指定の方針を立てまして、それには都会地と田舎とは大分そういつた基準も違つておりますが、これを具体的に指定いたしまするのは、全国に地方専売局というのがございますが、この地方専売局長が最終的に審査してこれを指定する、こういうことに相成つている次第でございます。
  76. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今度の風水害で葉たばこの損害額がどのくらいになつてつて、この復旧に要する資金がどのくらいで、どういう方法で復旧し、或いは損害の負担をしようという考えを持つておられるか、これを伺いたいと思うのであります。
  77. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 九州の水害で、大体葉たばこ耕作面積にいたしまして、流失、冠水等を合計いたしますと、二千六百町歩くらいが大体損害を受けているのではないか、この葉たばこの損害に対しましては、利子補給という制度がございます。これは全損から損害の程度によつて違いますが、四〇%以内の利子補給がもらえる、こういうことに相成つております。そのほかに昨年度から前渡金という制度が生れまして、本来から言うと、前渡金は収獲を目当てにして前渡しするのでございますが、そういつた損害を受けたものについては便宜利子補給によつて補償される額を引当てといたしまして、早速こういつたものについては概算払という制度を便宜いたしまして、あとから利子補給の面で救つて参る。そうでないと利子補給で大変暇どりますので、そういつたことで救済をやつております。そのほかに目下これは水害対策委員会のほうで一般農作物の被害に対して営農資金を金融機関から貸付るのに対して、その貸付の利子の補給という点を政府で見ようじやないかということで、或いは今国会中にたばこも含めましたそういつた営農資金の貸付利子に対して政府一定の割合を補給するという制度が目下水害対策委員会のほうで考究されているようでありますが、それが立法化するようになるのではなかろうかと考えております。そのほか専売公社自体といたしましては、このたばこ耕作組合に対する交付金というのが今予算科目に載つておりますが、水害によつて予想以上のそういつた損害が出ている次第でございますので、従来の引当ての交付金のほかに交付金を一つ増額することによつて間接ではございまするが、耕作者のほうに何分のそういつた補助をいたしたい、こういうふうに考えている次第であります。  それからたばこの損害につきましては、例えば小売店に配給になつてつたたばこが全部濡れてしまつたというようなものにつきましては、現品のあるものについては全部公社が新しいたばこと引替えいたします。若し流失してなくなつてしまつて証拠が上らんというものについては五〇%まで公社は交付する。証拠がないものだから五対五ということで五〇%まで補償する、こういう規定に相成つている次第でございます。
  78. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次に樟脳のことでお尋ねしたいと思うでありますが、暫くは世界の樟脳は日本が左右したというようなことであつたのでありますが、台湾を失つた後の日本の樟脳というものは、この取扱数量が少くなつて、だんだんと減少しつつあるような状況であると思うのでありますが、日本の樟脳の需給状況、或いは将来の見通し、こういうふうなものがどういうふうになつているか、お尋ねしたいと思うのであります。
  79. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 御指摘の通りアメリカ及びヨーロツパにおいて合成樟脳が出るまでは、日本と台湾の天然樟脳が世界の市場において独占しておつたわけでございます。従つて世界的な独占品であつたという状況でございまするが、数年前から欧米にそういつた合成樟脳ができるようなりまして、大体年の生産額から言うと、今合成樟脳のほうが世界の需給関係から言うと若干生産額が上廻つている。而も値段は天然樟脳よりは割安にできるという状況になつておりまして、世界市場においては日本乃至台湾の天然樟脳が圧迫を受けている。そこで台湾等は相当ダンピングによつて天然樟脳を捌いている、こういう状況でございます。主としてこの樟脳の用途はセルロイド関係に使われるわけでございまして、日本においては二十七年度において年間生産大体粗製樟脳で千五百トン余りでございますが、その年の輸出の関係によつてその需給関係がきまつて来るわけでございますが、どちらかというと、日本生産額に対して輸出も含めて需要関係が若干下廻つているという状況で、ストックはつい最近の割合においては若干殖えつつある、こういう状況でございます。
  80. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  82. 小林政夫

    ○小林政夫君 本法案については、前国会において本委員会における質疑応答の際に述べられた我々の意向を十分尊重し、新たに提出された二十八年度予算の編成等において十分我々の意見を汲入れられたことについては、非常に満足の意を表するものであります。  なお先ほど質疑の過程において意見を申述べたごとく、成るべく速かなる機会においてこの専売益金の納付というような形でなしに、たばこ消費税的な税額によつて財政収入を確保する、と申すのは、今度の改正によつて、企業努力によつて経費の節減或いは利益が発生したというような場合において従業員に特別の給与を支給することができる。そうなつて来ると、これは内部規定において十分厳重な内規等を設けられるでありましようけれども、これだけの税金が相当厖大な益金を生む本公社としては、その間に多少ルーズに流れる虞れもあるし、この機会に国家財政収入として予定せらるべき益金、今までの益金に相当するものは消費税の形において別個徴収するという制度を速かに確立されることを要望して賛成いたします。
  83. 平林太一

    平林太一君 本法律案につきましては、すでに質疑において甚だ意を尽し得ざるものがあつたことは甚だ遺憾といたしますが、専売公社当事者より一応の説明を聴取いたしたのでありまするが、それらを総合しまして、本案に対しては一応賛意を表しておきます。併しこの際極めて切実なる要望事項として三つを挙げたいと存じます。  第一は、只今小林君からの切々としてお話のありました通り専売益金の名称、名分を速かに税の名分にする、いわゆるたばこ消費税というか、仮称として申上げて差支えないと思うが、国民に対する正直なる態度を以てこれに臨まなければ、その益金が一千四百三十億円に本年度においては達しておるという厖大な数字であると同時に、これを利益金と称しておりますことは甚だ当を得ざるものである。速かにこれらに対する処置を取運ぶように、なおこれに対しまする専売公社当事者の説明を先日来伺つておりますると、殊更にこの安易に、かようなことは受入れらるべきにもかかわらず、却つて何か攻勢的に出て、この税という名称にすることはできがたいというような何か潜在するものを固執するがごとき開陳のありますることは、甚だ遺憾とするところであります。これらのことを殊更に固執するにおいては、すでにこの政府関係機関としての専売公社の過去の実績に徴して、会計検査院が批難事項として指摘したものの中におきましては、特に政府関係機関においてその数決して日本専売公社少しといたしません。既に二十五年度の決算におきまして、当参議院が只今は終了をいたしましたが、表に現われたものにおきましても、その批難事項として指摘せられたるもの二十六件に及んでおる。そのうち最も悪質と見られる、不正行為なりとして摘発指摘せられたるもの五件に及んでおります。かような事実は二十六年度、七年度決算の上に更にこれが現われて参りますることは、昨年、一昨年の日本専売公社内部の経理の関係におきまして世評に現われた事実においてもこれを想像し得るのであります。でありまするから、小林君が御指摘になつように、どうしてもこれは税でなくて益金で行きたいということは、殊更にこの税の体制を変えることを固執しておるものであると、かように断定せざるを得ないのであります。速かに是は是とし、非は非として、日本専売公社はいわゆる政府機関である、いわゆる国家構成の運営における専売公社一つの機関でありますから、国民の民意のあるところをすなおに、当然これに服してその処置に出でられることを第一に要望しておくのであります。  第二は、質疑においてすでに尽してありますように、たばこ小売価格は、これを消費するたばこ消費者は大衆である。全国民の大衆であつて、高額なる所得者も低額なる所得者も皆一律にその消費をいたしておるのである。却つて低額所得者が多くこのたばこを消費して、高額所得者は少いというのがこのたばこに現われた一つ国家収入に対する変則的な事情であるのであります。でありまするから、速かにこれはたばこ小売価格を引下げることに鋭意努めるということを、明年度においてはこれが実現することを第二に要望しておきます。  第三は、いわゆるこの原資材であります葉たばこ製造に、葉たばこ耕作耕作農民に対しまして、かくのごとき厖大な利益を享受することのできるこのたばこ価格の本質に鑑みまして、従来よりも何分の買上価格引上げて、以てこれらたばこ耕作農民をして国家のその利潤恩恵に浴せしむる措置に出なければならない。速かに二十九年度においては本年度よりも何分のこれら葉たばこ買上価格に対する引上げをいたすべきである。  以上三つを要望いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。
  84. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。日本専売公社法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  86. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続きは先例によつて委員長に御一任願いたいと思います。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名    堀木 鎌三  前田 久吉    土田國太郎  小林 政夫    西川甚五郎  平林 太一    藤野 繁雄  木内 四郎    岡崎 眞一  山本 米治   —————————————
  87. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を行います。  質疑はないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  90. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は先例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     堀木 鎌三  前田 久吉     土田國太郎  小林 政夫     西川甚五郎  平林 太一     木内 四郎  藤野 繁雄     岡崎眞一   —————————————
  91. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて。    午後三時二十四分速記中止    —————・—————    午後三時三十五分速記開始    〔委員長退席理事西川甚五郎着席
  92. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 速記を始めて。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、いずれも予備審査、右三案を一括して質疑を行います。
  93. 小林政夫

    ○小林政夫君 所得税法第六条及び相続税法二十一条の三第一項四号で例の選挙資金の問題ですね、所得税法で言えば一時所得でそれはまあ受けるほうは免税になつておる。出すほうがどうなつておるか、まあこれは今までの所得の事例と睨合せて、実際は国税庁のほうに聞いたほうがいいでしようけれども、どういうふうなお取扱いになつておりますか。
  94. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) お答えいたします。選挙資金といたしまして、公職の選挙の候補者が法人或いは個人から選挙資金を得た場合の課税の問題につきましては、すでに前国会前から、所得税法におきましてはそれが法人から受けました場合におきましては、一時所得になるわけでありますけれども、この一時所得に対しては課税しない。それから個人からそれを公職の候補者が受取つたものはそれは贈与によつて取得したことになるのでございまして、所得ではなくつて相続税の対象である。贈与によつて取得した資産というふうになるわけでございますが、これにつきましても、従来相続税のほうにおきまして、やはりそれにつきましては課税しないということにいたしておるのでございますが、この選挙資金として公職の候補者に金を出した法人或いは個人につきましては、これは法人のほうでありますと、場合によつて交際費に計上しておる場合もありましようし、その他雑費なんかで処理しておる場合があろうかと思いますけれども、これは法人としては私どもといたしましては寄附金になるものと考えております。従つて寄付金の限度内でありますれば、それは損金に算入されますが、寄付金の法定限度を越えるものでありますればそれは損金に算入されない。それから又個人が公職の候補者に金を贈与した場合におきましては、これは所得計算におきまして、その贈与いたしましたものを差引く規定を設けてございませんので、これに対してはやはり所得税がかかる。従つて所得税がかかつたのちのものを贈与として与えるということになるものと解しておるのでございます。
  95. 小林政夫

    ○小林政夫君 第四十条の第四項です。ね、四項で「当該給与所得の支払を受ける者が政府の承認を受けたときは、」とこうあるわけですが、この月割額、このぐらいのことについて一々政府の承認を受けるというのは実際の手続としてどういうふうにやるわけですか。
  96. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) これは今度新らしく規定を設けることにいたしたのでありまして、年末調整をいたしました結果、年度中途までは扶養控除があるというわけで扶養控除を受けておつたけれども、年度の最後に行きまして、扶養控除を受ける資格がなくなつて来て扶養控除を受けられないというような場合か起きて来るわけでありますが、そういたしますと、それまで認めた控除を認められなくなりまして、年末調整の結果相当の税額を徴収されることになるのでございます。そういたしますと、それまでの毎月の給与の中から税金を徴収されまして、その年の税引手取額があるわけでありますが、その年末調整を受けるまでの税引手取額に比べまして著るしく減少するという事態が生じて参ることになるわけであります。そういう事態がありますれば、これにつきましてはその給与の支払者の所轄税務署長の承認を受けまして、そうしてそういつたものにつきましては、年末調整で一時に取り切れないので、明年の一月、二月に亘つて徴収する。それでもなお徴収し切れない場合におきましては、三月以降の源泉徴収すべき徴収税額から徴収しまして、これを政府に納付することにいたしておるのであります。実際それではどういうふうにやつて税務署長の承認を受けるかということになりますが、これはこの法律案通りますれば、年末調整に関しまして通達を出しまして、この著るしく減少すると認められまする解釈につきまして、何割程度減少するというようなことを通達できめまして、そのきめた通達に従つてやる場合におきましては、事後において届出さえすれば税務署長の承認を受けたと同等の効果を与えるというような方法によりまして、速かにそういう手続きがとられるようにやつて行きたいというふうに考えておるのであります。税務署長の承認を受けるということによつてその取扱いが非常に遅れるというようなことにはならないというふうにいたしたいと考えておるのでございます。
  97. 小林政夫

    ○小林政夫君 それで了承しました。なお一点、条文の書き方を見ると、「当該承認に係る金額の二分の一に相当する金額をその翌年一月及び二月に給与の支払をなす際、それぞれ徴収し、」ということになると、二分の一ずつを一月、二月に徴収すると残りはないはずなんです。「なお、不足額があるときは、」ということは、完全に二分の一ずつ徴収するものなら不足額はないはずなんです。それはどういうわけです。
  98. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) これは算術的に申上げますれば、二分の一ずつ徴収するわけでありますから、不足額はないというふうにお考えになるのも御尤もでありますが、二分の一として例えば仮に毎月三千円ずつ徴収しなければならんというふうになりました場合に、仮に二月におきましてその人が非常に長い間休みまして給与をもらえない、従つてその源泉徴収すべき税額が足らないという場合も起るわけであります。若しそういうようなことになりますと、三千円徴収しようとしても徴収することができなくなつて参ります。そういつた場合三月に繰越して徴収する。まあ普通の場合におきましては、三分の一ずつ一月、二月と徴収すれば済みますが、給与が非常に少くなつて徴収すべき税額が徴収できないという事態も考えまして、そういう規定を設けております。そういう事態は余りないと思いますが、起り得るということは考えられるのであります。
  99. 小林政夫

    ○小林政夫君 それから法文を離れて……、私の年来の主張であつた給与所得控除という名前を使つてもらつて、勤労控除という名前を給与所得控除に変えられたということは非常に嬉しいわけであります。ただ最近七月予定申告書類が廻つて来た。見たところが勤労控除という名前を使つておるのです。これは一つ国税庁のほうで調べて、ここにありますから、各末端まで徹底されるような取扱いにしてもらいたい。
  100. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 誠に御尤もでございまして、国税庁のほうへ早速申しつけたいと思いますが、国税庁のほうを代弁するわけではありませんが、御承知ように今度の法律案におきまして初めて給与所得に直そうということを提案いたしておるのでございまして、その法律案が成立いたしませんうちに勝手な名前を使つては、国会の権威を侵害することになつては如何かとも考えまして、そういうふうに従来の名前を踏襲しておるものと考えるのでございます。何とぞその点御了承頂きたいと思うのでございます。
  101. 小林政夫

    ○小林政夫君 もう一点、申告書もこれは従来そうですが、給与所得とかいつた所得以外の一時所得等が三万円未満のものは申告せんでもいい、三万円以上のものは申告せい、こういうことになつておるが、今度の一時所得、或いは譲渡所得等の合計額が十五万円……、そうなつて来ると、三万円以上は申告せいと言つても、所得から十五万円引けば、例えば十万円という所得の申告をしても、十万円は控除を受けるのだから差引き控除額十五万円まではゼロで、何も三万円というところを限りあれを書くなら、税無しとか税引きと書くべきだが、その点はどうですか。
  102. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) その点誠に御尤もでございますが、この二十六条の二項におきまして、給与の所得以外の所得の合計金額が三万円に充たないという場合の三万円と申しますのは、譲渡所得、一時所得などにおきましては、十五万円を引いた後の金額が三万円に満たないという意味なのでございます。従いまして、この十五万円を引いた後が三万円に満たないということに了解されますと、三万円を超えれば申告を要するということがおわかりになろうかと思うのでございます。
  103. 小林政夫

    ○小林政夫君 それだつたら、まあそう言われればそう読めるわけですが、あなたのほうの国税庁から廻しておる七月予定申告書の書き方はもうちよつと親切にする必要がある。誰でもそう思つているんですよ。僕も思つてつたし……。
  104. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) その点、若し申告書の書き方が不十分でありますれば、私のほうで十分注意いたしたいと思いますが、この十五万円の控除というものは所得計算の途中で当然控除して、その控除した残りのものが課税すべき所得となつて参りますので、その点はその残つたものが三万円ということは解釈に間違いはございませんが、若しそれが誤解を生ずるような申告書の書き方でありますれば、直ちに訂正するようにいたしたいと思います。
  105. 森下政一

    ○森下政一君 今度の改正で企業組合その他それに準ずる法人に対する課税の適正化を図る措置を講ずるというのがありますが、それは条文にすると、どの点であつてどういうふうに解しておりますか。一回御説明があつたと思いますが、もう一度伺いたいと思うのです。
  106. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) この点は今度の改正でかなり問題にされているようでございますが、関係の条文といたしましては、所得税法の三条の二、それから四十六条の三、六十七条の三項、この三つの改正と、それから法人税法におきまして七条の三の規定と三十一条の三の第二項の改正、この五つの条文が関係いたしておるのでございますが、このうち所得税の三条の二と申しますのと、法人税の七条の三と申しますのとは同じ趣旨の条文でございます。それから又所得税の六十七条の三項という規定と法人税のほうの三十一条の三の第二項の規定とは同一趣旨のものでございます。従いまして所得税の四十六条の三の規定だけ法人税にはそういつた趣旨の規定はないということになるのでございます。従いまして法人税と所得税とダブる点がございますので、所得税を中心に申上げますと、同じ条文につきましては法人税でも同じことになりますので御解釈頂けるかと思いますが、先ず三条の二から申上げたいと存じます。三条の二は、従来からこういう趣旨の行政事件に関しまする裁判におきまして、こういう趣旨のものであるということは判決がされているのがあるのでございますが、併し従来課税に当りまして必ずしも規定上はつきりいたしておりませんので、その判決だけからいたしましては、納税者になかなか納得を得ることができないというような点がありますので、今回明文を設けまして規定を明らかにしようということにいたしておるのでございまして、その趣旨は例えば名義株なんか本来会社の株であるけれども名義上重役の名前にしておる、或いは逆に重役の株であるけれども会社の名義にしておるというような場合がいろいろあるわけでございまするが、そういつた場合におきましても、その実際の所得者というのはその名義人ではなくて、例えば今申しましたように名義は重役であるけれども、実際は会社のものであるというような場合におきましては、名義人に対して課税すのでなくて、実際のその株を持つておるところの会社に対して課税するというのがこの規定の趣旨なのでありまして、名義の如何を問わず資産又は事業から生ずる収益を享受しておる者に対して所得税を課税する、又法人税を課税するということに相成るのでございまして、従来から当然課税の方法としてとられて来ておるところでありますけれども、最近企業組合なんかの課税に関連いたしまして、従来からの規定の趣旨を明らかにしておく必要がありますので、今回その規定を明らかにするというだけの意味しか持つておらないのでございます。  それから六十七条の三のほうは法人税と共通しておるのでございますので、便宜四十六条の三のほうから御説明申上げたほうがおわかりやすいと思いますので、所得の四十六条の三のほうを申上げますと、これは先ほども申上げましたように、法人税のほうにはこの規定はないのでありますが、最近企業組合とか或いは企業組合としての法人課税を否認されて個人課税を受けた場合におきまして、株式会社とか或いは有限会社であるとか称しまして、その実質が法人としての実態を備えておらんにもかかわらず、ただ看板を掲げることによつて法人であると主張し、法人としての課税を受けたいというようなのが出て参つておるのであります。企業組合のすべてがそういうことをいたしておるのでなくて、企業組合の中でも或る特殊の部分だけしかそういうことはいたしておらないのでありますけれども、そういうふうに従来から個人経営をしておつたものが、その形態を全然変えずにただ企業組合の組合員になつたということで、組合員としての会費を月々百円ぐらい払うということになりますれば、実体の経営が全然個人として営まれておるにもかかわらず法人として課税を受けなければならんということになるのでありますが、それではどうも他のまじめな納税者が、個人として課税を受けておるのに比べまして不権衡になるのであります。私どもといたしましては、企業組合が本当に企業組合の実体を備えまして、企業組合としての活動をやつておりまする場合におきましては、それによつて個人の当時よりも法人経営にいたしました場合には負担が軽くなるということは、これは当然認めるのでございますが、法人としての実体を備えておらないものにつきましてそういうことが起きましては、一般の納税者との権衡上非常に困ります。そのために税務上いろいろ調査その他に手数を要しまして、他の納税者にサービスすることができないということになりますと、今までも税務行政が円滑に行かないということでいろいろお叱りを受けておるのでございますが、それが一層甚しくなりますので、今回新しく推定決定というものを設けまして一定の客観的な事実がありましたならば、その場合におきましては、法人の所得でなくて個人の所得であると推定して更正決定を行うことができるということにいたして頂きたいということをお願いしておるわけであります。その一定の客観的事実と申しますのは、法人に五以上の営業所がありまして、その営業所の三分の二以上に当る営業所におきまして、その営業所の所長、主任、或いはこれらに類した地位を有しておるとか、又はそれらの親族、その他特殊の利害関係のある者が、前にその営業所において個人として事業を営んでいた事実があり、又もう一つ、その所長などが現にその営業所にかかわる事業を主宰しておるという事実があるときには、明らかに商品の仕入れ、資金の預入、借入といつたようなものを法人の名前で行なつておる場合のほかは、一応その事業から生ずる収益は事業の主宰者である営業所の所長などにあるものと推定するということにいたしておるのであります。それでこの規定は、勿論企業組合とかその他の法人の法人格を否認するものではないのでありまして、ただその事業から生じました収益の帰属につきまして、法人に帰属するものではなくして個人に帰属するということを推定するというのであります。従いまして、これは飽くまでも推定でありますので、実際の証拠を挙げることによりまして、この推定は覆えされるということになるのでありますが、一応推定するということによりまして税務行政の円滑化を図ろうというふうに考えておるのであります。  それから六十七条の第三項のほうは、これは企業組合として純法人格を持つており、又経営法人としての所得を得ておることを認めるのでありますが、併し従来から同族会社の場合につきまして規定がありますように、そういつた法人の営業所の所長、主任などが全体の法人の出資の三分の二以上占めておるというように、その法人におきまして支配的影響力を持つというような場合におきましては、その法人とその営業所の所長、主任などの間におきまするいろいろの取引行為或いは計算行為、こういつたようなものにつきまして、どちらかと申しますと、法人とその所長、主任等との馴合いでいい加減なことが行われやすいのであります。従いまして同族会社の場合におきましても、そういつたいい加減なことが行われました場合におきましては、法律上その行為が行われたということは、それは事実として認めるのでありますが、所得の計算におきましては必ずしも行為通りでなしにやつて行く。例えば法人とその営業所の主任との間に取引が行われまして、非常に安い価格で個人から法人に売つた、或いは逆に法人から時価より非常に低い値段で個人に売つたというようなことによりまして、個人又は法人の所得税を免れようということができるのであります。そこでそういつた時価よりも非常に安い値段で売つたということの事実があつた場合におきまして、どうして安い値段で売つたかということの原因を追及いたしまして、いろいろの事情があつて安い値段で売つたことであろうかと思いますが、その安い値段で売つたということが経済取引として合致しないというふうに思われます場合におきましては、安い値段で売つたのでなくして、時価で売つたものとして所得の計算を行うということをしたいということで、従来同族会社のこういう計算の否認の規定が設けられておりますのを、そういつた法人の場合におきましても十分準用して行きたいという趣旨の規定で、これは法人税のほうにも同様の趣旨の規定があるわけでございます。一応その程度でございます。
  107. 森下政一

    ○森下政一君 実際問題として、これはいろいろな具体的な例を持てつおられるのだと思います。一体わざわざこういうふうに明文を掲げて、あなたがたのほうは所得の本当の帰属しておるものについて規定しようというふうなことを計画されるについては、いろいろなこれまでに事例があつたのだと思いますけれども、何かそういう事例を持つておられるのですか。その事例にあてはまるのだと思いますけれども、非常に法文の上からややこしいものだと思いますが、それは一体どういうことなんですか。
  108. 小林政夫

    ○小林政夫君 森下さん、その点は今国税庁長官を呼んでおりますので、それに該当する最近の徴税で経験したことを聞きたいと思いますから……。
  109. 森下政一

    ○森下政一君 では、なお伺いますが、私の知つておる範囲では、例えばこんなような例があると思うのです。御承知よう政府は一面において企業組合というようなものを作ることはむしろ奨励しておるというような経緯もあつて、中小企業者が何とか一つ取上げて行こうというので、一応法人組織を設立しようというようなことを考えておる。これは至る所にあり得ることだと思う。私の知つておる事例は、例えば市場を経営しておるという場合に、或る一つの市場の中でそれぞれの店舗を持つて経営しておる、これを一緒に市場の中の全体の者が企業体として企業組合を組織して、皆がそれぞれ給料をもらつて、その代り銘々が主宰しておつたところの仕事を銘々が主任者のような工合に働いて給料をもらう、利益は全部企業組合に帰属するということにして、そうして企業体の実績によつて銘々がボーナスをもらうとか何とかいうようなことによつて、共同の力で何とか商売を続けて行きたい。こんな計画をしておるようなのがあるように思うのですが、まかり間違うと、これにひつかけられるのじやないかという心配がありはしないかと思うが、そこで今のお話通り法人格自体を別に否認しようとは思わない。ただ、併しながら所得が一体どこに帰属するかということは第一線の税務官吏の推定による部分が出て、いろいろの争いが起るということが懸念されるのですが、そういう心配はありませんか。
  110. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 今森下委員お話ような企業組合は非常に結構な企業組合であると思うのでございます。企業組合がなぜ多くなつたかというようなことを考えて見ますと、実は御承知よう昭和二十四年におきましては、いわゆるドツジ・プランによりまして、政府が予定いたしておりました減税が実施できないという事態が生じまして、その前からインフレの進行に対しまして、所得税その他の控除の税率といつたものがインフレの進行にマツチしておらなかつたために、二十四年の租税負担というものが非常に重い額になつたのであります。御承知通り二十四年の租税の国民所得に対する負担率は、地方税、国税を合せまして二八・六というように非常な重い負担にならたのであります。そこで何とかしてその重い税負担を免かれたい、そうするためにはどうしたらいいかということがいろいろ問題にされたようでありますが、或いは同族会社を作るものもありましたでしようし、たまたま二十四年当時八月頃かに協同組合法の改正が行れまして、企業組合が新らしく設けられることになつたのであります。その中小企業等協同組合法によりまして企業組合が設けられますと、企業組合を作つたら、各個人としての重い負担を免かれることができるという宣伝がかなり行れまして、我も我もと先を争つて企業組合を作つてつたような状況にあろうと思います。勿論その企業組合を作ることによつて法人としての経理を明確に行い、又先ほど森下委員お話ように、たとえ大勢のものが又異つた業種の経営を営んでおりましても、一カ所に集つてそうしてお互いに経営を行なつて、その収益が全部法人に帰属される、それから給料ももらうし、それから業績がよくて利益上つた場合におきましては、ボーナスとして配当をもらう、或いは賞与をもらうというような経営を行うというようなことは、それはもう企業組合の本来の狙いとしておるところでありまして、非常に結構だと思われるのでありますが、最近できておるような企業組合、中には例えば御承知だと思いますが、共栄企業組合というのが九州にございます。これは福岡に本店があるのでありますが、九州一円の各県及び大阪、広島、東京、それから最近は宮城のほうにも出張所ができたようでありますが、それほど広汎な地域に亘りまして、且つ又その組合員数は三千でございます。先ほどお話のありましたように一カ所に集つて行います場合には、たとえ事業の種類が違つておりましても、法人としてその利益を帰属させることができると思いますが、現在日本で一番大きい株式会社におきましても全国に三千も支店を持つておるものはない、三千のものが而も各業種が非常な広範囲なものに亘ります。殆んどあらゆる業種を営んでおります。物品の販売のみならず、お医者さん、豆腐屋さん、下駄屋さんも入つておるのでありまして、そういうような企業組合ではこれは法人としての経営はできないのではないか、本来事業が違いますと、法人として大勢のものが集つて経案行うことすらなかなかできがたいものだと私ども思うのでありますが、仮に同じ事業を営むものでありましても、赤穂浪士の義士だつて四十七人集まるのになかなか骨が折れたのでありまして、ただ同志が結合するといたしましても、なかなかそう大勢のものが結合することはできないのではないかというふうに思うのでございますが、現在できております企業組合の中には数十人、数百人という人が集つて同じ業種を営んでおる場合もありますが、そういつた場合はむしろまだ始末がいいのでありますが、数十人、数百人のものが集つて、而もほかの業種を営むというような場合におきましては、法人としてお互いの意思が一致して利益を挙げて行こうということはなかなか行われがたいように私は思うのであります。現実に企業組合の中にはそういつたようなものがございますので、そういつたようなひどい企業組合に対してはこの推定規定を適用して、個人の所得であると推定して課税をやつて行きたいと思うのであります。森下委員のおつしやるような企業組合でありますれば、恐らくその場合におきましては商品の仕入、販売、或いは資金の預入、借受、借入といつたようなものは法人の名前でなされていると思われます。そういつた場合におきましては、この規定を働らかさないのであります。御心配のような向は起らないというふうに考えるのでございます。
  111. 森下政一

    ○森下政一君 私は実情にうといのですが、今例示された九州の共栄企業組合ですか、三千もの組合員を持つておるということですが、所を一つにして或る一つの業種を営んでおる一人の人間、そういうものがみんな点々として散在しておるのを結合して一つの法人、こうなつておるわけですか。
  112. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) さようでございます。三千もの組合員がおりまして、而も業種が先ほど申上げましたように三十数種に亘つた事業を営んでおります。而も先ほど申上げましたように、九州一円の各県と、それから広島、山口、大阪、東京、それから横浜にまで来ておるようであります。それから宮城、こういつた各都県に亘つておるようであります。
  113. 森下政一

    ○森下政一君 それは極端な例を初めて伺つたわけなんですが、そういうものがあるということになればこういう規定の必要があると思いますが、そういうものは従来の課税はどういうふうにしておられるのでありますか。
  114. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) まあ共栄企業組合は極端な例であることはお話通りでございます。併しまあ共栄企業組合の程度に達しない企業組合はありまして、現在広島にあるもの、或いは松江地区にあるものなどやはり相当大規模のものでございます。又京都におきましても旭共栄企業組合というような相当大規模なものがございます。勿論そういつた企業組合は八千数百に亘りまする企業組合のうち極く僅かのものであることは事実でありますが、併しそれにいたしましても、やはり相当数に達することはこれ又事実なのでございます。こういつた企業組合に対する課税はどうしておるかということは、  これは実は昭和二十五年の暮頃からだんだんそういう企業組合があるというようなこと、そうして又当初協同組合法に基く企業組合の趣旨とされておりましたものを逸脱したような企業組合があるということがわかりまして、これに対しましては法人として課税を行うということは適当でない、むしろ個人として課税を行うべきであるというふうに考えられまして、国税庁におきまして通達を出しまして、個人として課税するようにということで、税務署が調査を行なつたのでありますが、併しなかなかその調査が円滑に行われなくて、十分な課税が行われない組合が相当あつたのであります。特に九州のほうの共栄企業組合というものは、これは森下委員は御承知だと思うのでありますが、或る種の政党が関与いたしておるのでありまして、税務署員が少少の人員で出かけたのでは袋叩きに会つて追い返されるよう状態にあるのでありまして、なかなか調査ができないということでありまして、昨年の十月漸く警官隊の護衛を求めまして、税務署員、警官隊相合せまして二千人集りまして、そうして調査をいたしたのであります。その後におきましても、相当期間なかなか調査ができません。現在までのところ延二万人を要しまして調査を行なつておりますが、恐らく訴訟にまでなると思います。訴訟がこれ又一つの訴訟でないのでありまして、最初企業組合の場合におきましては、個人として課税をいたしますよと通知をして、法人としての課税はできないと申しますと、その通知に対して異議の申立をする、それから更に更正決定をいたしますと、その更正決定に対して又異議の申立をする、これが訴訟になるというようなこと、それから更正決定に対しましても、最初先ず無効確認の訴えをやるのであります。政府措置は無効であるからと、その確認の訴訟をやるのであります。その訴訟をやつた後の更正決定に対して異議があるというような訴訟を起すというようなことからいたしまとて、なかなか行政は円滑に行われないのであります。そのために先ほど申上げましたように、そのほかの納税者との間で負担の均衡を害することになります。且つ又税務当局者といたしましては、そういうことのために非常に手数を奪われることによつて、他の一般の納税者に対しましてサービスを提供することができなくなるという虞れがありますので、今回こういうふうな推定規定を設けることによつてそういつた困難な事態を或る程度避けることにしたい、勿論この推定規定を設けることによつてそういつたものが根本的に直ちに解決できるものとは思わないのであります。更にそのほかのいろいろな措置と相待たなければならんと思いますけれども、この規定によつて或る程度でもその点の改善が図られるということを期待いたしておるような次第でございます。
  115. 木内四郎

    ○木内四郎君 一言だけ、今の五以上の常業所を設けたという意味はどういうことですか。
  116. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 法人に或る程度の営業所がありますことは、企業組合その他の法人のみならず、普通の同族会社でも同様でありますが、普通の同族会社に対してこの推定規定を働かすつもりはないのであります。そこでそれと共に営業所の数が五以下のような小じんまりとした場合におきましては、その五軒の営業所の調査をするということはこれはさほど手数は要しないのであります。ところがだんだん先ほど申上げましたように、三千ものような営業所になりますと、その調査が非常に困難になつて参ります。そこでまあ五人がいいかどうかということについては御意見があろうと思いますけれども、一応五人程度ならば調査上もそれほど困難になりませんし、且つ又同族会社にこの規定が適用されないということにする必要もありますので、一応五人以上、五以上の営業所がある場合ということにいたしておるのでございます。
  117. 木内四郎

    ○木内四郎君 今の五以下なら調査が楽だというのはわかるのですけれども、脱税の意思を持つてつておる場合に、この所得の帰属というものを個人に帰属させる、その構成から言つたら五以上でなくとも同じことだと思うのですが、そこはどうでしようか。
  118. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) その点はお話通り同様でございます。ただその場合におきましてはこの推定規定を働かさないで、先ほど申上げました三条の二の規定からいたしまして、調査だけは十分行えますので、悪意を持つてつてつて、個人に本来その所得が帰属すべきものであるということの調査ができますれば、三条の二の規定によりまして課税をやつて行くということを考えているので、ただ推定規定だけは働かさない、十分調査をやつた上で行うということになるのでございます。
  119. 小林政夫

    ○小林政夫君 大分泉さんから説明を森下さんの質疑によつて受けたので、重複するかも知れないのですけれども、長官が見えたので、今の企業組合その他これらに準ずるもので、特に今回の税制改正によつてどういうふうに処置をとられるか、これに該当する最近の主なる例、長官として是非こういう規定、恐らくむしろ国税庁側の要請によつてこの税制改正は生まれたのじやないかと思いますが、この事例を具体的に一つ御説明願いたい。
  120. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 或いは税制課長の御説明と重複するかも知れませんが、私要点を少し申上げまして、更に直税部長も丁度来ておりますので、細目につきましては補足して申上げたいと思います。  企業組合は御承知通り、届出主義になつておりまして、一定の条件を備えて届出すれば企業組合はできる、実はこういう法律になつておる。従いまして、本当の企業を合同的に経営しまして、企業組合の本旨に従つたような経営をやつている組合と、それから単に何と申しますか、名目だけ企業組合という名を借りまして、実際は僅かの会費を払い、或いはときどき相互の連絡をやるというぐらいの程度で、異体を調べて見ますと、殆んど各自がやつておるのと実質変つてないというのと両方ございます。勿論その中には程度の差がたくさんあるわけでございますが、併し極端に申しますと、両方がございまして、これを課税上どういうふうに扱うかと聞しますと、実になかなかむずかしい。現在におきましても、本当に企業組合としての実を備えていないというものにつきましてはよく調べまして、実は法人として認めないで個人として課税をする、今の所得税法でも今度新らしく明瞭にする意味で規定を設けましたが、所得税は実質に従つて課税する、これは大原則だと実は考えておりまして、そこからいたしましても当然のことだと考えているのでございます。その極端なような場合におきまして、なかなかこの問題が簡単に行かない。その一つの例は、これはもう訴訟事件にまでなつておりますので、名前もはつきり申上げていいと思いますが、九州を中心にします共栄企業組合というのが実はあるのでございます。これはちよつと概況を申上げますと、今年の五月三十一日現在の調査でございますが、一つの共栄企業組合の下に三千二人という組合員が実は企業組合を結成しておる。場所から行きましても、税務署の数で行きますと、全国に五十三に跨つておる。中心は福岡と熊本ですが、福岡が十八税務署に跨つておる、熊本が二十二税務署に跨つておる、広島が七税務署、それから去年あたり東京に飛火しまして、東京の六税務署に跨りまして組合がありまして、全体の組合員は三千二人、実はこういう状況でございます。それで業種もあらゆる業種を実は含んでおる。これがやはり向うとしては届出主義ですから、向うの組合法ではちやんとやはり企業組合だ、こういうわけでございます。ところが実体を調べると、如何にもどうもそれを企業組合として課税するのはおかしい、すぐ隣の業者からそんなことがありましたら文句が出るといつたような形にしかなつてない、取引なんかにつきましても、結果的にやや或る程度の報告はいたしておりまするが、どつちかと申しますと、会費を払つて企業組合といつたようなものを結成して事業をとにかくやつて行くというような形、こういう問題につきまして、而もこの組合というものは甚だ率直に申上げて恐縮でございますけれども、一部の有力な方面から実は指導を受けてあらゆる法律上の闘争手段を講じております。調査に行きましても調査に応じない、査察官を差向けなければ調査ができない、こういつたようなものも中には相当あつたわけでございます。併しこれはそのまま放擲いたしますることは、個人の所得税の課税におきまして由々しいことでありまして、ほかの納税者が聞かない、そういうことにもなりますので、昨年の秋から実は本格的の調査に着手いたしました。九州を中心にしまして実はその調査をいたしたわけでございます。その結果といたしまして現在わかつておりまするところは、指導いたしました幹部の者については、脱税犯として刑事事件としての手続を目下進めつつあるわけでございます。他の多くの人につきましては、如何にもどうもおかしいじやないかというので話しまして、すでに組合から或る程度脱退しまして、普通の所得税を納めている人もございます。併し一方組合側では組合の所得を個人の所得として課税したことについて、民事訴訟として先ほど税制課長が申しましたようないろいろな手段を講じておる有様で、現在の法規では何しろ立証問題に関連してはつきりした規定がないので、なかなかその調査を徹底してやらなければいかん。そのために税務署及び局並びに本庁の所得税課、査察課等の相当たくさんおる人間をこの目的のために一時使用いたしまして、調査に従事して頂くような次第でございますが、いろいろ調べて見てはつきり問題になりましたのは、課税の上におきましては立証問題になつて来る。これはちよつと常識の上から考えましても、はつきり法律問題になりますると、なかなかそう簡単に行かない、問題がよりますます複雑になり且つ困難を加える。これは一つの例でございますが、その他類似の例が若干勿論ほかにもございます。この共栄企業組合以外のそういう組合に対しましても、逐次非常に忙しい中から手を廻しまして調査いたしまして、適正な結果を生むように今努力いたしておりますが、非常に生やさしいことでもないのでございまして、こういう場合におきましては、私どもとしましては、やはり税法は税法でももう少しそういう場合におきまして、合理的且つ迅速に処理するような方法なり、法文のできるだけのことをいたしまして、そういう場合に対しまして、適正な課税ができるようにいたしたいと、それが今回の提案いたしました趣旨であります。ただそうなりますと、健全な普通の組合が潰れちやうじやないか、こういう心配が実は大分出ておりまして、その点衆議院でも大分問題になりましたが、その点に関しましては、実は私はこういうふうに考えるのでございます。企業組合が本当に企業組合法の根本精神に従いまして、それが集りまして、協同組合というもので事業を一緒にやつておる。そのこと自体は中小企業としましては、非常にいい一つの途なんでございます。それを課税の上で妨害するのは、これは全然よくないことだと考えております。従いまして、企業組合が本来の企業組合法の精神に即しまして、実質的に企業組合としての実体を備えておる、それをこういう法律ができたから適当にやれというのは、これは誠にいけない、そういうふうにする考えは全然ございません。むしろそういうものに対しましては、仮にその結果が税が軽くなりましても、ただそれだけの理由で否認するということはやるべきではないと考えております。それは丁度個人企業が会社経営にちやんとなつた場合において、仮にやり方によつて軽くなるという場合があつても、会社自体を否認するのはどうであろうかというようのと同じ問題でございまして、そういう場合にこの規定をやたらに使う、こういう趣旨のものではないということを一つ申上げておきます。  それからもう一つは、ただこの実際の認定の場合に非常に程度の差がありまして、むずかしいケースがあるわけであります。こういう場合におきまして、やはり税務署の調査の担当官だけで判断さしてきめますと、これはやはりいろいろ問題がございますので、この規定を適用しまして個人として課税するという場合におきましては、必ず国税局に上申させまして、国税局の判断で最終的にきめる。この二つのことをよく言いますれば、決してこの規定を設けましたから行過ぎたといつたようなことでなくて、合理的な解決が求められはしないか、まあこのよう考えておる次第でございまして、その他いろいろ今申上げましたようなケース、類似のケースが若干ございますが、昨年以来問題にいたしまして、私ども非常に困難を感じましたのは、先ほど申上げましたケースでございます。  なお、このケースにつきましては、実は法務省あたりともたびたび会合いたしまして、対策を考えざるを得なかつたのでございます。いろんなむずかしい問題も入つておりまして、その中の一つの問題を法文の改訂によつて解決する、勿論この法文ができましたから簡単に解決ができるというものではないと思つております。これはやはり相当私どもは慎重な調査をし、且つこれに対しまして対策よろしきを得なくちやならんと思つておりますが、やはりこういう規定がないと、円滑に、迅速に仕事が進めにくいということを痛切に感じておりますので、是非とも一つこの立法に御賛成願いたいと私は考えております。なお必要でございますれば、その他の例をお尋ねによりまして、国税局のほうから御説明をいたしたいと思います。
  121. 森下政一

    ○森下政一君 今の御説明で、全く私ども想像もしなかつたようなものが実在するんだということを初めて私は承知したわけですが、若し速記に残すことが差支えがあるならば、速記をとめてでも……そんなものを指導しておるというのは一体誰ですか。どんな団体ですか。
  122. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) これはもう私がここで申上げなくても御推定になると思いますが、一部の有力な政党でございます。
  123. 森下政一

    ○森下政一君 そこでどうなんですか、平田さん。そんなふうに常識ではちよつと考えられないような手だてを講じてでも企業組合というものを作つて、企業組合なりと称して、これで経営をやつて行くということが、個人経営よりは取るべき途だというふうに考えるということは、結局法人になれば税の負担が軽くなるのだという考え方に出発するのじやないかと私は思うのですが、実際問題としてどうなんですか。個人の企業の場合と法人組織によるところの企業の場合と、明らかに法人のほうが税の負担が軽くて済むのだということなら、それを私は是正せんと、只今ような誤つた傾向というものが根本から是正されるときがないのじやないかということを憂えるのですが、事実はどうなんですか。いろいろなつまりこの計算の仕方とか考え方とかいうことによつてそんなことはないと、法人であろうが個人であろうが、負担というものは必ず同じことになるべきものだという判断もつくかも知らん。或いはむしろ場合によつては法人のほうが重いという判断もつくでしよう。それは国税庁長官としてどうなんですか。それがどういうのが本当の事実なんですか。
  124. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 法人のほうの、まあこの普通の会社にする場合と、それから企業組合にする場合と、よほど違つて来るのでございますが、そういうものを会社にします場合におきましては、いつかも前に説明しておりまするように、できるだけ平均したところの場合におきましては、普通のやり方をやるような場合は、法人でも個人でも負担が全体としてできるだけ変りがないような税制を作る、これを実は私ども一つの租税立法の際の物差にいたしておるわけであります。所得階級別にいろんな表を作りまして、それによつてつておるわけでございますが、ただこの給料の取り方をどの程度にやるか、配当をどの程度にやるか、或いは事業の種類、或いは規模の程度によりまして、完全にそれじや同じようなことにできるかと申しますと、これはなかなかむずかしいことは森下さん御承知通りであります。その経営の規模或いはやり方次第で、場合によりますと、法人にしたほうが却つて高くなる場合も出て来る、或いはやり方によつて少くなる場合も出て来ます。こういう事態を完全に防ぐということは、実はなかなかむずかしい。それがむしろ個人的な会社は個人並に課税をするといつたような税制を設けて、そこまでやつておる例も各国でないわけではございませんが、併しこれは非常に又違つた意味におきまして問題が多いので、そういう措置はとりかねておるので、できるだけ法人は法人として課税いたしまするが、税率なり、配当の課税、或いは所得税の課税等と権衡をとりまして、適正なものに持つて行くということを実はいたしておるわけでございます。でございますが、そういう点からいたしまして、どうもやり方で法人にしたほうが軽いという場合が出て来る。これを全然なくするということは、これはむつかしいと申しますか、そういう関係からそうなる場合も事実の問題としてはあるかと思います。併し、これは先ほどから申上げておりますように、できるだけないように立法をやつて行くというのが当然の行き方だと思います。  それから、もう一つは法人になりますと、なつてから暫くの間とにかく課税が遅れる、遅れるだけでも有利だ。調べ方が法人になると少し個人よりも丁寧に調べてもらえるのだから、丁寧ということがよい、どういう意味だかよく知りませんが、どうも会計的な方面から、現行で課税されておる法人ですと、個別的に課税される、そういう方面から法人がいいのだという説をなす人もございます。併し、これは私どもから言いますと、若干そこに真理がないわけではございませんで、調査に当りましては、会社の場合は成るべく早く調べて、課税すべきは課税する、それからもう一つ調査に当りましても、やはり法人では或る程度比較検討等の資料を集めまして、調査の際には適正な調査ができるように、個人の場合は反対に個別調査を徹底的にいたしまして、会計的な調査をするということは極力避ける、そういういろいろな方法を講じまして、行政上から来る負担の差というものもできるだけ少くして行きたい、こういうことでいろいろ努めておるわけでございます。従いまして、まあ法人になつて、最初のうちはちよつとよかつたが、いざよく調べて見たら、これはえらいことになつちやつたということも中には所得階級によつてはあるようであります。併し反対にやつぱり法人になつたほうがよかつたという場合もあるようでございますが、これは問題はなかなか簡単ではございません。私ども運用面、行政面におきましても、この考え方はよく注意いたしまして、適切な措置を講ずるようにいたしたいと考えております。  それから企業組合の問題になりますと、又ちよつといろいろ問題があると思うのでありますが、これは結局業種として経営主が残るのですね、やはり八百屋さんなら八百屋さん、而もその企業が法人になつておる。何と申しますか、非常にはつきりしない点が実は組合自体の本質としてある。これになりますと、御承知通りその中の一番問題になりますのは、所得税が事業所得税と源泉課税に変つて来るということのほかに、事業税の問題がありまして、その辺の関係で負担が大変違つて来ておる場合が事実問題としてあるのでございます。従いまして文字通り企業組合等になりますと、場合によりますれば却つて所得の計算がきちつと合つておりますところでは、今までよりもはつきりとなりまして、ずつと明確でいいというところも実際ある。私ども本当に少数な企業組合として事業をやつておる組合におきましては、若干税金が増減がありましても、むしろはつきりして却つていいのじやないかということの実例にぶつかる場合もあるわけであります。併し本来私企業組合になつたと申しましても、完全に事業体と一緒に、本人は株主たる地位でない、本人が事業主という名前を残しておいて、而も企業組合だということができることになつておるのでありますが、その辺の関係が中小企業組合の場合の合同体としてはやはり一種の止むを得ない一つの企業体だと、こういうわけでありますが、非常にどうも明瞭を欠く場合がどうしてもございますので、従つて所得の計算その他におきましてもはつきりしない場合が非常に多いのであります。そういうことをちよつとやり方次第でごまかすというか、調節できる場合が非常に多いのでありまして、そういう間隙を縫いまして、結局税を軽くする手段に著しく行き過ぎて企業組合を利用しておる、こういう例がございまするわけでございまして、その極端な例が先ほど申上げました私は共栄企業組合の例だろうと思います。従いまして、勿論これは今のお話ように、税制の上におきましてもできるだけのことを考えて、そういうことのないように、然らばといつてむちやくちやに企業組合になつたからといつて無理な税をかけるということで、そういうものを防ぐというわけにも行かない、そこになかなかむずかしいところがありまするので、やはりいろいろの角度からいろいろな措置を講じまして、合理的な解決を求めるよりほかないと、こういうふうに考えておりますが、私ども部内でも少し激しい議論をする連中は、もう中小、殊に小法人というものは個人と絶対同じなんだから、所得税法を適用したほうが負担が公平じやないかという議論をする人があるのであります。このところが一つの議論としては議論になるわけでございますが、それでやりますと、又非常にいろいろな意味におきまして問題が起りますので、そういう解決策も無理であろう、従いまして、いろいろな方法でできるだけ妥当な解決策を求めまして、負担の適正を図つて行きたいという趣旨でございまして、今度のこの改正もその一端で、全部解決するわけじやございません。一つの相当……而も立証措置に関する重要問題を解決して参りますと、よほど仕事が早く的確に行くというふうに私どもは実は考えておる次第であります。
  125. 木内四郎

    ○木内四郎君 今度の改正案には、今お話なつた企業組合その他の規定で実は余りよくわからなかつたのもあつたのですが、税制課長や国税庁長官から今の驚くべき事態を伺つて、立法の趣旨も大いに明らかになつて来たのですが、それに関連いたしまして、折角国税庁長官来ておられるのですから、匿名組合契約、それに関する規定もあるようだから、それに対するところの、若しこれに似たような事実があるなら、それも一つ国税庁長官から説明しておいて頂くほうが審議の都合上いいのじやないか。
  126. 小林政夫

    ○小林政夫君 これは一応企業組合のほうを片付けて、それから聞こうじやないか。
  127. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうでございますか、それでも結構です。
  128. 小林政夫

    ○小林政夫君 企業組合のほうで置きたいというのは、一応先ほど木内さんからも質問のあつた「五以上の営業所がある場合」、一応法文がそうなつておるのは、大体今あなたのほうで狙いをつけておられる企業組合、それが第一に頭にあつて、大体この程度のものならば、どうかと思われる企業組合が抑え得る、こういう目安があるのでございますか、実証的に……。そうだとすれば今の共栄企業組合というのは、一つの最も甚だしい事例なのでありますが、どの程度でありますか。
  129. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 企業組合の全体の概況をちよつと申上げておきますが、二十七年の課税で問題になつた企業組合の総件数が全国で八千九百五十二ございます。つまり企業組合として二十七年の課税上まあ問題になつたのが全部でございますが、二十七年度分の課税をする際に、企業組合として挙げましたものが八千九百五十二、そのうちいろいろ調べまして、これはやはり企業組合の実体を備えておるということで、法人形態の課税を認めておりまするものが五千八百四十四、それからこれはとてもやはり駄目だというので否認をして課税をしておりますものが千四十九、それからなおいろいろ問題がありまして、目下調査中でまだいずれとも最終的にきめないでおりますものが二千五十九、こういう状況に実はなつておるのでございます。私どもこういう規定を設けました結果、企業組合自体の健全な発達を阻害するというようなことにはできるだけならんように運用して行きたい、本当に経営自体が企業組合の本来の性質に従つた経営方法になつておる場合におきまして、これは率直に申上げまして、税が軽くなりましても、そういう理由だけで否認するというのは正しくない、こう思つておるのでございます。従つてそういう趣旨で運用して行きたいと思つておりますが、先ほど申しましたのは、一つの極端な例でございますが、それに類似の小さい例もございます。ただ基準といたしましてどういうものがいいか、どういう基準にするか、いろいろでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、概して人数が少いと、果して合同かどうかの調べは割合に簡単に行く。従いまして推定規定がなくてもこつちで立証責任を負いましても、判定が付きやすい、ところが数が多くなつて来ますと、それがなかなかむずかしいし、又手数ががかつて来る。五人がいいかどうかということについて、非常に実態的な基準が実はあるわけではございませんが、私ども今までの理論からいたしまして、五人くらいのところで設けるのが常識上も妥当ではなかろうかというふうに感じておるのでございます。もう一つ本当に理想を申しますと、成るべく業態の同じものがやつておる場合は比較的これは実を備えておる場合が多い。各種類のものがやつておる場合は数が少くともあるのでございますが、そういう場合には調べてみますと、やはり本来の企業組合的なものでないのが多いのでございますが、これはよく調べました上で、妥当な結論をきめるというよう考えておる次第でございまして、私ども今のところといたしましては、規定を設けるにいたしましても、余り無理な規定を設けるのもどうかというので、こういう規定でいたしておる次第でございます。
  130. 木内四郎

    ○木内四郎君 さつき私が伺つたことについて、何か今のような事実をお示し願えれば、参考になると思います。
  131. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 匿名組合の問題も、課税上なかなか厄介な場合があるのでございますが、今まで従来におきましては、匿合組合と申しますと、極く少数な人がやはり集まりまして、その一人だけが名前を表に出して、ほかの人は裏から援助してやつている。或いは裏から相談にあずかつてつておるというので、調べるにつきましても比較的簡単で、そう問題がございませんでした。若干どこかに大きなものがあつたかと思いますが、大多数は組合員が少数でございましたから、割合にわかりやすくて、その場合におきましてはそれぞれ実態に応じまして、各組合員ごとに事業主と分割して課税するというやり方をしておつたのでございます。ところがこれは御承知でもございましようが、何とかいう経済会、保全経済会ですか、ございまして、これはどうもいろいろ調べてみますと、法律上の形式は匿名組合ということに解釈せざるを得ない。或いは少くとも匿名組合に準ずる契約の方式で事業を経営している。これは法務省の実は見解でございます。私どももいろいろ実態を調べておりますが、やつぱり法律形式と申しますか、やつておるところは、大体におきましてやはりそういう形式を用いておる。これは事実でございます。これにつきまして、そうなりますと、結局その代表者の得た所得は各匿名組合員の所得になる、こういう課税をするということになつております。その際におきまして、従いまして代表者のところで幾ら所得があつたか、これを調べる必要が一つあるわけでございます。それからその所得を組合員に分配しました場合に、組合員に対して今度は課税する、代表者だけに課税するわけには参りませんので、課税するという問題が一つある。そこで問題は非常に、普通の場合ですと組合員の名前がよくわかつておるのですが、あの場合はなかなかよく調べてみたいと誰だかわからない。これは私は徹底的に調べまして、本当の所得の帰属者を調べ上げて課税して行く。これは税務官吏の任務だからよく調べろと言つおりますが、なかなかわからん場合がありまして、少くとも今後は匿名組合員に金を払いました際に二割ぐらいの源泉課税をして、先取りしておきたい、こういうので今度改正案に盛込んでおるのであります。そういたしますと、まあ少くとも分配された場合においても二割は課税される。これは勿論大きく金を分配する場合におきましては、更によく調べまして、所得者を捉えまして、その実際利益を得た人に課税する、こういうことに行くべきでありますし、又行くよりほかにないと、こう考えておりますが、目下いろいとの見地から調べておりますが、なかなか問題は複雑でございまして、まだ確たる御報告を申上げるまでに至つておりません。目下調査中でございます。
  132. 木内四郎

    ○木内四郎君 今のは法人税はかからないのですか。
  133. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 法人税はかかりません。
  134. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の匿名組合ですが、保全会あたりは一体今までの課税の実積はわかりますか。
  135. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 今資料を持つて来ておりませんが、たしか大分収益を上げ出したは去年あたりからだろうと思います。一昨年から非常に多くなりまして、昨年大分多くなつて来ております。所得の計算自体がなかなかむずかしうございまして、今精査いたしておりますので、調べまして、まとまりました際におきまして御報告申上げたいと思います。
  136. 小林政夫

    ○小林政夫君 あれがあれだけ急速に伸びるというのは、それはそれだけの経済要件もあるだろうと思うのですけれども、根本的な問題は課税の面をうまくやつておるというところに相当問題があるのじやないか、これが他のものと同じように、徴税が同程度の正確さを以て把握できておれば、ああまで伸びんのじやないかという気もするわけです。最近或る座談会の席上で日本で一番大きい保全会の首脳と話合つてみる機会を与えられた。そのとき、保全会は要するに資金借入業とも言い得るし、あたかも金銭信託みたいな要領でやつておる。だから借入利子は経費なんだ、税金はかかるわけはないのだから、今度源泉で二〇%とられることになつても保全会自体としての総収益には影響はない、こういうよう話をしておるのですがね。従来も恐らくそしいうような筆法で徴税当局に対して説明しておつたと思うのですが、その点はどうなんですか。
  137. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) これはなかなか複雑な経営の内容を持つておりますので、私も責任のあるお答えは実はもう少し調べがまとまつた上でお答え申上げたいと思うでございますが、今やつております仲間で聞きましたところによりまして推測いたしますと、一つはあれは金の集め方がうまいと申しますか、資金をいろいろな方法でうまく集めて、その資金を不動産だの有価証券に投資いたしまして、不動産の値上り、約一、二年来の景気にうまくチャンスを掴んでおる。それから株式も去年は大分値上りしまして、その方面の投資で大分儲かつておる。併しこの方面は最近は値下りしておりますので、運用次第によりましては又損をする。何しろああいうお客さんと申しますか、相手方から相当金を集めて、その集めた金をうまく運用して、それが丁度時流に乗つて、昨年あのように発展したと、こういうふうな私どもは見ていますが、勿論これは私ども課税面におきましては、その辺の実態を捉えて適切を期したい。ただこれは法人でもございませんし、先ほど申上げました匿名組合でございますから、代表者に全部課税するわけにはいかない。やはりその収益の帰属を受けた実質の所得者に課税をすると、こういうことになるのでございますが、それをインプレスするのがなかなかむずかしい。それを如何にしてインプレスするか、このほうになつて来ますと、なかなか簡単に行かないのでございますが、まあ私どももできるだけ慎重な手続をとつて調査を進めまして、そのやり方次第では更に徹底した調査も場合によつて考えなければならんと思つておりますが、まあいろいろな方法によつて調べまして、課税するなら課税するところに持つて行きたいと思つております。
  138. 小林政夫

    ○小林政夫君 その不動産の値上りとか、証券の値上りによる所得というものが、今度証券譲渡所得税は廃止するということにしたけれども、今までは不動産売買による譲渡所得、或いは証券の売買による譲渡所得も課税対象となるわけで、今のお話代表者にのみ匿名組合なるが故に課税できないと言われるが、その匿名組合員がはつきりしない、架空の名前による組合員であつて、知つておる人もおらないというものはやはり名前を出しておる代表者に課税して行くと、そういうところに少し徴税の甘さがあるんじやないか……。
  139. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 何しろこれは去年の所得税の問題で、この複雑なケースなんで、去年一年で大分大きくなりましたが、三月の確定申告があつて、今すぐ片付けると申しましても無理でございまして、今年の三月頃から相当本格的な調査をやつておりまして、比較的有能な調査班を配属いたしまして、目下実は調査いたしておる。その調査の結果に基きまして、できるだけ事実を明らかにして、課税すべきものは課税するということに持つて行きたい。その際におきまして、本当の所得の受取人がわからない場合は、これはなかなかむずかしい問題でございますが、これはわからん場合におきましては、わからないという理由はないのじやないかという理由で代表者に課税するかしないか、これは確かに一つの問題だと思いますが、この辺の問題は十分に一つ検討いたしまして、十分に善処いたしたい。なおあそこは非常に金をうまく集めまして次から次にほかから集つた金で、返つたり或いは貸したりしますので、持つておる資産はそう売買しなくても自分でふくらんで行くという事情がありますので、株式なんかは余り売買はやつていないと思います。これは勿論売買を相当継続的にしよつ中事業所得的にやつておる場合は、今後におきましてもこれは勿論譲渡所得でなくて事業所得になりますので、課税の対象なります。その辺の問題を実態的によく調べまして御指摘のような結果にならないように、一つできるだけ正しい課税をするようにして行きたいと思います。
  140. 小林政夫

    ○小林政夫君 その男は、どんどん調べてもらえばもらうほど私のほうはよろしいと言つておりますから、一つ徹底的にやつてもらつて、飽くまでその経済原則で行くと言つておりますから、やつて下さい。不動産の値上り等で儲けたと言つておるけれども、今まで普通の納税者は例えばマル公の変更によつて価格上つたという場合には価格益金を納めておる。理論的には納める理由はない者でも納めておるというような点から言うて、まあよい言い方をすれば、非常に税法上恩恵を受けておるということが言える。恩恵を受けておるというか、逃れておるということは類推できる。お調べになつた結果は又改めて聞かせてもらうことにして、その点は厳正にやつてもらいたい。
  141. 木内四郎

    ○木内四郎君 最近株主相互金融ですか、ああいう会社の法人税と源泉課税の問題が新聞に取上げられて、普通の新聞社或いは業界新聞と称するものが、あれが随分我々のところに配付されて来ておるのですが、あれは法人税とやはり配当の源泉徴収が問題だと思うのですが、これはもう法律に非常に明らかに規定されてあるにかかわらず、どうして今日まで問題にならなかつたのですか。
  142. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 今申しました保全経済会と株主相互金融、これは両方とも果して金融業を営んでおるのかどうか。これは実は一昨年あたりから問題になつておりまして、銀行局と法務省のほうの解釈がなかなか簡単にきめられなかつた事情がございます。実態を考えてみますと、私どもいろいろ調べて見ましても、よほどきわどいところまで来ておるのですが、これは預金とみるべきかみるべきでないかというきわどい点に来ておりまして、その契約書を現在見てみますと、そこはうまく外してしまつているのでございまして、やはり預金となりますと、あらかじめ預託をいたしまして、儲けようと儲けまいと、一定の利息を払わなければならん。元本はあらゆる債務に優先して払うということになつておるのでありますが、この契約書を見てみますと、一応の利息は広告等ではいたしておるようでありますが、儲けなかつたら払わなくてもいいようなふうにうまく逃げ道ができておるような仕組になつております。これはいろいろな市中の預金と違うので、預金を受入れて金を貸しておるということになると、銀行業法違反になる、それをどう扱うかということについて、実は銀行局と法務省で慎重に検討いたしておるのでありまして、今年の三月になりまして、ますますそれが問題になりましたので私ども参加して解釈をはつきりさして行こうじやないかということになりまして、これはやはり銀行業法違反というわけには行かん。併しいろいろな会社法、金融関係の法規に対しましても部分的に違反している事実がある。そういう事実はよく調べまして、必要な措置を講じておこうということになりまして、私どももそれに調子を合せて参りまして、そうなつて来ますと、株主相互金融の場合におきましては、これはちやんと会社でありますし、金を提供したものは株主である。株主が株主たる資格において会社に金を提供しておる。それに対しまして一定収益を分配をしておる、それが利息と称しようと何としようと、それはそういうものだと、こういう解釈を下しましても、従つてそうなりますと、預金の利子と違いまして、会社の所得の計算上は損金に算入しない、利益とみなす。それからそれを支払いました場合におきましては配当と見て課税する、優待資金と称しておりますが、これを配当とみて課税する、配当でございますから勿論二割五分、その他税法上の特典はございますが、そういう解釈を下して行こうというので、実はその解釈をきめまして、具体的に書類なども或る程度調べておりましたが、本格的に調べましてやるようにいたしましたのは、今年の四月頃でございます。それで目下このほうもいろいろ調べておりますが、勿論その前に、会社によりましてはやはり利益に計算をして申吉をしているものもあつたようでありますが、大多数の会社は一種の利息として計算しておるようであります。それを今申上げましたように銀行法違反だといいますと、それはどうも利益とみるわけには行かない、その解釈がはつきりしないものですから、法務省といたしましても、それは間違つておるというわけにいかないということで目下検討いたしておる。その結果としまして、或る程度影響を受けるところはあるようでございますが、私どもできるだけ実態を調べまして課税所得とするようにして参りたいという趣旨でやつております。
  143. 木内四郎

    ○木内四郎君 今の平田さんの金融業法違反かどうかというお言葉について、遅れたことは非常に遺憾であつて、遅れている間にますます大きくなつて、税額等にいろいろな影響があると思うのですが、それはそれとして、税法上は株主相互金融である以上は、その利益の分配は当然利益処分で法人税がかかるから源泉徴収をさるべきもので、前からあつたと思うのですが、そこが今日まできまらなかつたということはむしろ不審に思うのだけれども、やはり金融業法違反かどうかということについての解釈と非常に関連があつたために遅れておつたのですか。
  144. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 個別的には実は地方で或る税度適当にやつてつたようでございますが、国税庁で解釈を統一してきちつとやりましたのは、やはり銀行局、法務省の見解と歩調を合せませんと、税のほうでは預金の利子として課税したが、向うのほうはそうじやないというので、訴訟を起されますと、すぐに負けてしまいますものですから、解釈を一様にいたしましてやつためでございます。
  145. 木内四郎

    ○木内四郎君 株主に対する分配についてもですか。
  146. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 株主に対する分配についても、配当と見て課税するか、利子と見て課税するか、そこに問題があつたのであります。
  147. 土田國太郎

    土田國太郎君 今の相互銀行でございますが、相互銀行というあの連中の発行しておる業界ニュースがありますが、あれを見ますと、最近非常に企業整備とか何とかいう名前で合同整備を急いでおるというようなことが盛んに書いてありまするが、それらは大蔵関係のあなたがたのほうからも取締りが厳重になつた結果、そんなふうになつて来たのであるか、又但しはああいう株主金融が社会にどの程度の害毒を流しておるものか、或いは流さないものか、これは実際庶民金融の上に影響しておるかどうかということをちよつとお聞きしたいと思うのです。
  148. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 実はこの問題は、金融行政上のあれで昨年あたりから非常に大きな問題の一つになつておるようでありまして、銀行局におきましてもどういうふうにしてこれに対処するか、実は相当慎重に考えておるようでございます。その関係もありまして、解釈等もはつきりしなかつた点が多かつたようでございますが、先ほど申しましたように、三月頃関係省との打合せも済みまして、銀行局、或いは大蔵省としてもこういうものに対する態度も大体きまりまして、目下その方針に従つてそれぞれ取締り及び課税等の措置をいたしておるわけでございます。そこでこの金融政策上の意義等については、私がお答えするよりもむしろ適当な機会に、銀行局長がこの問題を苦心してやつておりますから、所管から言いましても当然銀行局長が出て来たときにお答えするのが適当だというふうに思いますので、そのようにして頂きたいと思います。
  149. 小林政夫

    ○小林政夫君 先般も主税局長とは引続き質疑応答を重ねたわけですが、最近の貿易振興策の一環として、改進党と自由党との合作で貿易業者及び輸出メーカーに対して、輸出損失積立金として貿易商社には一分、それからメーカーには三分、これを輸出契約残高でございますか、それを積立てた場合に損金に算入する。こういうことに今なつているようですが、その中で加工業者の点を問題にして、主税局長との応答ではこういう答弁があつたわけです。貿易業者から委託された場合、即ち加工業者のほうから言えば貿易業者の委託加工分に対しては、メーカー並みの三彩積立金を損金に算入但しメーカーからの委託加工料についてはこれはどうも税法上、徴税上捕捉しがたいから大変困る、こういうことであつたのだが、通商当局としては、これについて同じ加工をして商社からのものは積立金が認められ、メーカーからのものは認められない、こういうことでは業態が違えばともかく、同じ業態においては非常に扱い方が公正を失する。で、直接の担当官庁である通産省としてはどう考えますか。
  150. 今井善衞

    説明員(今井善衞君) お答えいたします。今度輸出振興のために所得控除の措置が講じられたことは、輸出振興を推進すべき立場にあるものといたしまして非常に結構なことだと思います。この際に大体この制度の目的は、大ざつぱに申しまして二つあると存じます。一つはこれによりまして、それだけコストを引下げる余地ができて来て、海外競争力が強くなる問題と、一つは輸出品の生産なり、或いは取引に関与いたします人たちに輸出意欲を与える。とにかく今まで輸出いたしましても何ら御褒美が出ない、こういう段階に対しましても何らかの御褒美が出て輸出意欲がそれによつて振起されるということは、これは非常に結構なことだと思います。従いまして私どもはこの第二の立場から申しますと、輸出品の生産に関与いたしますあらゆる段階の人々にこの制度の恩典が均霑するということは非常に望ましいことだと思います。従いまして、例えば加工業者にいたしましても、メーカーの下請といわず輸出業者の下請といわず、すべての加工をしている人たちがこの制度の恩典に浴せるということは、輸出意欲を進展させるという意味からいいますと非常に望ましいと思います。  それから第一の輸出コストの引下という問題からいいますと、実は最終製品の段階におきまして、メーカーで三%、輸出業者で一%ということになりますと、これがそこの段階に均霑いたしましても、輸出競争力を付ける、コストを引下げるという面から行きますれば、その点は大体まあ同じだというふうに考えます。私どもは先ほど申しましたように、輸出品の生産加工に寄与いたしますすべての人たちが恩典を受けるということは一面非常に望ましいことでございますけれども、大体今回提案されます案によりますと、輸出業者の下請加工業者等の加工賃についてその所得の三%、それだけを適用いたしまして、メーカーの下請のものに対しては均霑しない、こういう建前になつております。でこの点は一つの税法上捕捉し得るかどうかという問題に結局帰一すると思います。    〔理事西川甚五郎退席委員長着席〕  御承知ように輸出業者の下請ということになりますと、例えば織布業者から輸出業者に染色しないところの生地が参りまして、そうして輸出業者の段階でその生地を染色加工業者に出しまして加工させる。こういう場合におきましては、これはまあ最終製品として出ます場合は結局染めたもので出るわけでございます。その場合には輸出業者に対しては染めたもので一%という関係になるのであります。それからメーカーのほうは結局生地代とそれから生地に対する加工賃を加えましたもの、これが結局最終製品の染めたものになるわけであります。これに対して三%ということで、大体メーカーにつきましては輸出業者に売りました最終製品の三%を控除するということに合うわけでございます。ところでメーカーの下請である加工業者に対して三月を何するということになりますと、これは例えば織物の段階あたりは下請加工業者が非常に少数でございますので、これは徴税技術上或いはできんこともないという程度の問題だと思いますが、その場合でも例えば仮に毛織物の製造は大体生地の製造を毛織物の業者がやつておりまして、そうして染色は下請に出してやる、輸出業者は必ず染め上つたものを引取るということになりますが、その際に結局徴税技術の上から申しますと毛織物の製造業者が最終製品であるところの仕上つた毛織物を売つたものに対してそれが帳簿に付いておるわけですが、それに三%をかけるということになるわけですが、その際に結局先ず毛織物のメーカーの販売代金から加工賃を引いたものに対しまして、毛織物メーカーに対しては所得控除をし、別にその下請である染色加工業者に対しては下請賃に対して三%やる、而も帳簿を分解しなければならんという問題が出ます。その場合はさして困難ではないと思いますが、例えば同様の形態といたしまして機械関係の機械の輸出の場合は、これは仮に船ということになりますと、大きな造船所がございまして、その下に数百の部品メーカーがある、或いは下請業者が結び付いておる。或いはミシンだとか自転車にいたしましても、やはり数名或いは数十各という下請業者がくつ付く。これを中央の組立工場の販売代金のうちからそれぞれ数十或いは数百に及ぶ下請業者を調べまして、その加工賃を分析して、そうしてそれを差引いて行くということは恐らく大蔵省の言うように不可能ではないか、従いまして業界によりましてできないことはない業界と、殆んど不可能だという業界とになると思います。従いまして趣旨といたしましては、私どもといたしましては、輸出品の生産に関与するすべての生産業者と加工業者にこの制度を均霑させるということは非常に望ましいと思いますが、徴税技術の関係から言いまして、どうしてもむずかしいという場合には、これは非常に遺憾なことではありますけれども、止むを得ないのじやないかというふうに考えておるわけであります。
  151. 小林政夫

    ○小林政夫君 それはやはり私は結論的には程度問題だと思うのです。こういうことを言つて、今の商社からの加工は認めるということ、それでこれは認めんというようなことはやつてもらいたくないのだけれども、商社が粗布を買つて染色加工に出すという場合には、そういうふうに輸出物と称して粗布を買つて加工を施して、或いは市況によつては内地へ流すかも知れない、そういうことはあり得るのです、御存じだと思います。そこでそこにはやはり一定の証明が要するわけです。その証明制度というものを下のほうへ移して行けば、やる気になつてやればメーカーの加工といえども、直接貿易商の加工であつても、方法を以てすれば捕捉できる。いずれの場合でも僕は程度問題だと思います。
  152. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その点については私からお答えしてもいいと思います。我々のほうも一応これはまあ先日来申上げておるように、議員提出の修正案でございますから、どういう恰好で出るかということについて、我我が余り責任を持つて御答弁をするのも如何かと思いますが、そういうようお話がありましたときに、一体技術的に見ましてどういうふうな考え方ができるかということについては、一応意見を申上げておりますので、その意味におきまして、ここで或る程度のお答えはできますし、又したほうがいいのじやないかと思いますので、お答えすることをあらかじめ御了承願いたいと思いますが、輸出業者が加工に出した場合におきましても、或いは内地向に振替えられるかも知れない、こういうことは確かにあると思います。従いまして、一応我々としましては、いわゆる輸出目的のためということが一応はつきりしておれば、先ず百分の三なら百分の三の免税規定はこれは適用していいのじやないかと、併し、或いはその後において輸出目的以外にそれが使われる場合もあり得ますから、従いまして、それはやはり船積みされたということの証明は出して頂かなければならない。一定の期間内にその証明が出なければ、その期限が来ましたときに、前の百分の三を取消す、免除を取消す、こういつたような行為に出るべきじやないかと、こというふうに考えております。  製造業者の加工の場合、これもまあ輸出業者と非常に近い場合におきましては、或いは輸出業者自身の加工の政府に比べまして、そう離れた程度のものじやないということは言えると思いますが、加工の程度によりまして、或いは加工の段階によりましては、その加工、或いは原材料供給の時期から現実に輸出される時期までに相当の期間を経過する場合もありますし、或いは輸出のための加工の段階におきましては、まだこれは輸出されるとか、或いは輸出されないとかいうことの見分け区分などはてんで問題にならない。例えば自転車などにおいては相当そういう事例があり得るのじやないかということが、我々素人ですが想像されるのですが、結局、自転車の部分品を作る段階におきましては、それは輸出のための自転車か、或いは規格のきまつておるものもあるかも知れませんが、或いは内地向けと同じ規格のものが輸出されることもあり得るかと思います。そうしますと、それは輸出されるものか輸出されんものか、てんでわからない場合、製造業者自身においてもそのことがわからない場合があり得る。更に、それが輸出業者に売られる、或いはディーラーに売られる場合、それが又そこで輸出になるか、内地向けになるかわからないということで、二つの分れ途がある。最後の段階に行つて船積み、そうしますと、加工業者の手を離れましてから輸出の段階まで非常に期間がかかる。而もそれが通常の姿だということになりますと、あとで直すにいたしましても、或いはあとから認めるにしましても、おのずから技術的に不可能な段階まで考えられるわけでありまして、段階的に見れば、可能な段階も全然ないとも私は思いません。併し、それじやどこまでの段階を可能な段階として認めて行くのかということに関しましては、これは誠におつしやるよう程度の問題でございまして、そこに画然とした境目は恐らく私は引き得ないのじやないか、まあそういうふうなことも考えられますので、一応お話としてはわからんことはありませんが、どうもそこへ一歩足を踏み入れますと、ちよつととめどがなくなると言うと語弊がありますが、どこの段階において線を引いていいかということがちよつと技術的に不可能じやないかと、こういうことを実は憂えている次第でございます。
  153. 小林政夫

    ○小林政夫君 程度問題なんですから、どこかに線を引かなければならない。そこで、加工割合と言いますか、まあ加工度が製品価格の何とか、直接輸出をあと付け得る、その輸出の分はこういうことだとあと付け得る証憑書類をはつきり持つような場合というようなことで、あと付け得る限りのものを考えるという方法があるじやないでしようか。例えば全然問題は違うけれども、今度提案されておる減税国債は、いろいろ税のあと付けをするような方法はあるわけですが、ああいつたことと全然事柄は違うけれども、この輸出のこの部分に相当するということが明らかになつて、その三分なら三分を適当に加工割合によつて按分できる、計算がはつきりするというようなことで、施行細則か何かで扱えないで題ですが。
  154. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) これは観念的に考えますと、私はおつしやるような点もまあわからないではないけれども、現実の徴税と言いますか、課税の点で流してやりましたときに、例えばこれが千分の幾つだとか、まあ二割だとか、なかなか線を引いておきますと、今度は現実の一々の品物につきまして、これはその条件に該当するかしないかといつたことが議論になるわけでございます。極端にそういう線から中へ入つておるものはこれは問題でございませんが、境目の段階にあるものにおいて、これは製造業者のほうに免税を認めるべきか、加工業者に免税を認むべきか、そういう場合において、更に一体それは一つの取引単位の下に考えるべきか、或いは特定の人同士の間であれば、その間まあ或る一定の期間の取引を総合して考えるべきかとか、又は一々の取引について加工の度が一体に内輪に入つておるか、その外にはみ出すかといつたようなことでやりますということになりますと、かなり手数がかかるわけでございまして、徴税の実際の面におきまして、かような面からいたずらなトラブルを起すのではないか。必ず面白くない結果になりはせんか。ドイツの例などを見ますと、ドイツにおきましては、御承知ようにセールズ・タックスが課税されております。このセールズ・タックスで相当にトレースできるわけでありますが、そのセールズ・タックスの例などを見ましても、輸出のための完成品の輸出、或いは完成品の輸出のための販売、勿論その場合の完成品という定義は、単に普通考えられますでき上つた品物といつたような意味におきまして、消費の最終段階というふうな意味のものではございませんので、綿布でありますとか、そういつたようなものが完成品という名前で列挙せられてあるわけでありまして、そういう点につきましては、我々も同じよう考え方をとつてつていいと思います。従いまして、我々のほうでは、完成品という名前を避けまして、製品という名前でいいのではないか、そのほうが日本語としてむしろ誤解されなくていいと思つておりますが、ドイツの完成品という名前は、我々が、製品と普通呼んでおるようなものを呼んでおりますが、そういう場合におきましては、どうしても一定の段階で満足せざるを得ないというふうに考えたのかどうか知れませんが、余り深くそこを分解してやつて行くという措置はやつていないようでございまして、この間も申上げましたように、理論的に分解して行きますと、結局いわゆる附加価値の問題に帰著してしまいまして、最終的には或いは石炭に行つてしまうかも知れんという問題になるわけでありますが、小林先生の問題にされておるのは、そういう点でないことは重々わかつておりますが、どうもいろいろ問題が複雑て、消費の最終段階というふうな意味のものではございませんので、綿布でありますとか、そういつたようなものが完成品という名前で列挙せられてあるわけでありまして、そういう点につきましては、我々も同じよう考え方をとつてつていいと思います。従いまして、我々のほうでは、完成品という名前を避けまして、製品という名前でいいのではないか、そのほうが日本語としてむしろ誤解されなくていいと思つておりますが、ドイツの完成品という名前は、我々が、製品と普通呼んでおるようなものを呼んでおりますが、そういう場合におきましては、どうしても一定の段階で満足せざるを得ないというふうに考えたのかどうか知れませんが、余り深くそこを分解してやつて行くという措置はやつていないようでございまして、この間も申上げましたように、理論的に分解して行きますと、結局いわゆる附加価値の問題に帰著してしまいまして、最終的には或いは石炭に行つてしまうかも知れんという問題になるわけでありますが、になつてしまいますので、余りそういう複雑な制度を作ることは如何かと、私のほうとしましては、むしろ通産省などの御指導によりまして、そうした製品の加工業者に対しましては、本来なら、今の小林先生の理論をそのまま適用して行けば、加工業者に与えらるべき免税分が製品の製造者に与えられるわけなんですから、いろいろ加工賃の問題とか、そうした取引の条件等においてそこがおのずから緩和されると言いますか、勘酌されてきめられる、或いはきめるというふうに御指導願いたいと、かよう考えている次第でございます。
  155. 小林政夫

    ○小林政夫君 まあ、あなたのほうの言われることもわかるんだけれども、僕の言つておるのは、余り徴税当局に手数をかけずに、その徴税当局のほうは三%の枠をくくつておけばよい、あとの一次メーカー、二次メーカー、三次メーカーがその三%を分けるかということは、そこがお互いの取引であつて、我々は一つこれを三%の何ぼをもらうと、こういう話合いを一々の不請受注をするときに話合いを付けて、そうしてそれが伝票のような証憑書類によつてトレースされればよいわけであります。そういうことでどうせ貿易業者に対しての場合は、一次メーカーから粗布を買つた、そうして二次加工業者に対して染色を依頼した、或いは起毛を依頼したというようなことで、そういう処理の仕方をしなければトレースできない。ちよつともう一つ手を入れるか入れないかという問題なんでありますが、通産当局どうですか。それは頭からやらんつもりで考えたら、やれないけれども、やるつもりでちよつと枠を拡げるということで……。
  156. 今井善衞

    説明員(今井善衞君) いや、私は係ほど申上げましたように、できるだけ生産加工に寄与した人にあまねく均霑さしたいのです。ただその場合は実際問題として、やはり徴税技術の面もあるだろうと、そういう程度に今なつておるわけであります。ただ又考えますと、例えば外国から注文があります際に、例えば船につきまして、船はAという造船所に頼むけれども、エンジンはBという機械のメーカーのエンジンを入れてくれというふうに指定がある注文がございます。それから例えば織物なんかにつきましても、生地は輸出商に頼むけれども、その際にどこどこの染色メーカーが染色することを要件とするというふうな注文がございます。こういうふうな注文の内容になつておりますものについては、或いは共同輸出というふうなことで両方ともこの生産業者であるというようなことで、これは救えやしないか。この点は大蔵省のほうとよく御相談したいと思いますから、それによりまして本当に救わなければならんというような場合には或る程度救えるのじやないかと思います。それからもう一つ考えてみますと、例えばこの組立工場なり或いは織元と申しますか、この委託加工を頼むほうの立場のものですね。これは本来経済的に強くて、その下請になる人は弱いほうという立場にございます。その際に仮にまあこの税法上の取扱におきまして、必ずその加工賃の三%を所得から控除するというふうに行きますと、逆に却つて実際の取引の場合に加工賃をそれだけ値切られるという虞れもございまして、その場合には場合によりましてむしろこの三%の所得控除というのは、元のほうで全部かけておいて、あとは両方の話合いによりまして、その程度例えば加工賃をよく見てやることが少くとも値切らんというほうの、場合によつては或いは大部分というふうに考えられる場合もあるかと思いますが、却つて加工業者を保護する途である、これは非常に逆説的でございますが、実際問題としてはそういうケースも非常に多いのじやないかというふうに考えられますので、その辺は非常にむずかしいところじやないかと思います。実は我々のほうも非常に苦労しておるところでございます。
  157. 小林政夫

    ○小林政夫君 この前お話したのですけれども、国営検査それ自体で直接絞ることになるとは限らんけれども、今の加工程度、それから加工が輸出商品の価値において占める度合等、と、国営検査を行うものについては相当或る程度加工等においても一つの独立した業体であつて、輸出において占めるウエイトは大きいと見なければならん。そういうようなもので一つ線を引いて行くということも考えられるのであります。国営検査を受けたものが全部輸出になるということでもないようだけれども、それは今の貿易業者が加工に出したものが必ずしも全部輸出にならないと同じように、やはり国営検査を受けたもののみを以て判断することはできないけれども、それも一つの絞り方としてフアクターにはなり得ると思います。通産当局にお答え願いたい。
  158. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 通産当局もすぐ答弁しますが、私はこう考えておるのです。こういう制度はやはり我我のほうとしまして、徴税当局の一応の便宜も考えて頂きたい。従つて同時に、併し我々は徴税の便宜だけで問題を解決するつもりはありませんから、現在現実にある取引の形体というものをできるだけ尊重して、それに併せて一応税の制度は作つて行きたい、こう思つておりますが、先ほど来申上げておるように、税の制度自身には一応行きつき得る一つ限度があるわけでございます。特別に今度は取引の形態のほうで作られた税の制度というものに乗つかるように、これもおのずから私限度があると思いますが、形態を或る程度変えてもそう弊害のない場合においては、それに乗るように取引の形態を変えて頂く、こういうこともやはりお考えつていいのじやないだろうか。従いまして我々のほうといたしましては、先ほど言いましたように、例えば輸出業者の場合における加工、輸出業者の委託による加工というものについてはこれは認めてよろしい、こういうふうに考えておるのですが、そうした場合におきまして、製造者のほうの加工を製造家がやらしている場合に、或いは加工の段階だけは輸出業者の委託になるような恰好にそれらの取引の形態をいろいろ御工夫願うということが、又一つは今問題になつております国営検査等の当面している問題の解決の一つの方法じやないだろうか。我々のほうといたしましても、できるだけ現実の取引の姿に合うような努力は勿論いたすべきでありますが、それが或る程度まで行きますと、ちよつと技術的について行けない。その場合におきまして、少し取引の形態自身をお考え願いますれば、我々が一応敷いてあるレールへ十分乗り得るものもあるのじやないか。従つてこういう制度におきましては、税制が歩み寄る点はできるだけ勿論歩み寄りますが、取引のほうにおかれましても、やはり税制の歩み寄つた限度においての一つの敷いた軌道に乗り得るものは乗つて頂く、こういうふうな御努力を願います。その両者の歩み寄りと言いますか、そうした努力によりまして、相当解決し得る途があるのじやないだろうか、こういうふうに実は考えておることを申上げさして頂きたいと思います。
  159. 今井善衞

    説明員(今井善衞君) 先ほど小林先生から、国営検査を一つのそういう場合の判断の基準にしたらどうかというお話でございましたが、国営検査はこれは品質の検査でございますので、従いましてちよつとその点が違いますので、実際問題として本件の解決には利用が殆んどできないのじやないかというふうに考えます。ただ只今主税局長が申されましたように、私どもといたしましても、できるだけ折角布かれました制度に乗せ得るように、取引の実態なりなりについて業界とも相談し、御指導もし、更に大蔵当局とも相談いたしまして、できるだけこの制度の趣旨を活かすように運用したい、かよう考えております。
  160. 小林政夫

    ○小林政夫君 いや、国営検査が品質検査であるということは承知している。要するにその検査をパスしなければ輸出適格品じやないわけです。輸出品の全部は国営検査の受験にパスしたもので、内地に向けられるものもあるかも知れないが、少くともその国営検査を行なつている品種のものについては、その受験でウエイトをきめられたものでなければ輸出しないということであれば、これは一つの加工をしたもので、而も輸出向けだということを縛る一助にはなるということはあるが、それで万能だとは言つていない。まあいいでしよう……、余り案ができ上らんうちに今日言つておいて、よく研究してもらいたいという趣旨ですよ。  それから最後に、ちよつとこれははつきり小林委員要求資料として出ているから、速記をつけて訂正しておきますが、昭和二十八年の法人税法改正による事項であつて、減収額はこれは非公式に大蔵当局からこういう資料でよろしいかという聞合せがあつたのだけれども、私も勘違いしておつたし、これは要求になつてないわけで、今までのずつと前国会からの特別免税措置による累積した減収の一つで、ここにあるのは予算の説明書にちやんとある数字だけなんです。
  161. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 我々のほうで多少御意思を十分理解できなかつたものかと思われますが、それで一応こういうものでよろしいかとお目にかけた次第ですが、実は御要求になつておりますその資料は我々も非常に重要な資料だと思つております。租税措置におきまして、かなりいろいろな減免税を行なつておりまして、その累積は相当の大きな金額になつておるのじやないかと思つております。ただ実はいろいろ事務の簡素化を行なつておりますために、でき上つておる資料としまして、第何条による減収幾ら、第何条による減収幾らといつたような事項別の統計のでき上つたものが実はございませんで、私は先般お話したと思いますが、来たるべき税制調査会等におきましては、いろいろそういう点について御審議願おうと思いまして、至急そうした資料をサンプル調査なりなりの方法によつてでも整えたいと実は思つておるのでございますが、非常に申訳ない次第でございますが、現在としてでき上つたものがございませんので、ちよつと本委員会の審議中に御提出できるという自信がございませんので、誠に恐縮でございますが、その点につきましては、これはまあ将来長く税制をどういうふうに持つて行くかという上においては非常に有力なる資料であると思うので、至急調達したいと思つております。又できますれば、何らかの方法によりまして委員のかたがたにも御提供したいと思つておりますので、ちよつと時間をかして頂きたいと思います。
  162. 森下政一

    ○森下政一君 今日はこの程度でやめたらどうですか。
  163. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後五時四十四分散会