運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-07-27 第16回国会 参議院 大蔵委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十七日(月曜日)    午前十一時六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            安井  謙君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            平林 太一君   政府委員    大蔵政務次官  愛知 揆一君    日本専売公社監    理官      今泉 兼寛君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    大蔵省為替局長 東条 猛猪君    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業省重工    業局長     葦沢 大義君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主税局税    制第二課長   塩崎  潤君    大蔵省管財局閉    鎖機関課長   岩動 道行君   参考人    日本輸出入銀行    副総裁     山際 正道君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○継続調査要求の件 ○有価証券取引税法案内閣提出、衆  議院送付) ○砂糖消費税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○資産再評価法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○富裕税法を廃止する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○日本輸出入銀行法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○設備輸出為替損失補償法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○国際復興開発銀行からの外資の受入  について日本開発銀行又は日本輸出  入銀行が発行する債券の利子に対す  る所得税の免除に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○揮発油税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○閉鎖機関令の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○日本専売公社法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第二十五回の大蔵委員会を開会いたします。  この際調査承認要求及び継続調査要求についてお諮りいたします。本日理事会におきまして租税金融制度及び専売事業等に関する調査承認要求書及び継続調査要求書を提出することを申合せたのであります。右の申合せ通り決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  なお、右の要求書の内容については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  なお、休会中に出張の御希望のかたは委員長手許までお申込み願います。   —————————————
  5. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に有価証券取引税法を議題といたしまして、質疑を願います。
  6. 小林政夫

    小林政夫君 本年度税収見込額算出基礎を御説明頂きたい。租税及び印紙収入予算説明、非常に簡単ですが……。
  7. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) お手許に配付されておりまするところの昭和二十八年度租税及び印紙収入予算説明におきまして、若干簡単でございますので、後刻もう少し詳しいものを資料として提出さして頂きたいというふうに考えておりますが、一応これに基きまして簡単に算出予算根拠を御説明申上げたいと思います。  先ず第一に有価証券取引税収入見込みは大部分株式譲渡にかかるものだと考えておるわけでございます。御承知通りこの法案の附則によりまして、公社債等債券につきましては、一年間非課税といたしておりますので、これにつきましては収入が二十八年度においてはない。従いまして収入に盛り込まれるものは大部分株式取引であるということを先ず前提といたしております。収入見込み根拠は先ず昭和二十八年一月から五月までの証券取引所におきますところの取引金額基礎として算出いたしております。問題がありますのは、大体証券業界は昨年の十二月以降非常な好況に恵まれたわけでございますが、二月の初旬から暴落に陥りまして、その後だんだん最近におきましては回復しつつありますが、その前の一、二月の相当好況時代収入見込みが織込まれている点に若干の疑問があるのではないかという御説があるのでありますが、その後の三、四、五、予算提案いたしましたところの最近までの資料を私どもといたしましては織込みまして、これを基礎として算出したわけでございます。  その次に、ここにございますように、第一種と第二種を区別いたしてございます。これは法案においておわかりの通り税率証券業者の分につきましては万分の六、その他の一般人譲渡者とする取引分におきましては万分の十五、こういうことになつておりますので、証券取引所におきまして計上されておりまする取引金額を、業者分一般人分とに分類する必要があると思うのであります。そこでこれを分類いたします根拠といたしまして、東京証券取引所におきますところの実績を参照いたしまして、証券業者譲渡者とする取引分につきましては三五%というふうに推定したわけでございます。大体過去の実績をそのまま、過去の実績近似値を採用しておるわけであります。一般人譲渡者とするものは六五%、こういうふうにいたしまして、取引所におきますところの取引金額を推定いたしたわけでございます。  それからもう一つ、今の取引所にかかりますところの取引分は、御承知通り上場株に限られるのであります。非上場株、或いは取引所の時間外の、取引所を通ぜずに、店頭において取引される部分があるわけでございます。この店頭取引金額を見積る必要があるわけでございます。これにつきましては大体一月から四月までの実績を求めまして、五月分につきましては、従来の取引所取引金額に対しますところの店頭取引金額の割合をここに計上いたしまして、店頭取引金額といたしたわけでございます。ところがこの店頭取引金額と申しますのは証券業協会からの資料によるわけでございます。大体売買双方の分が上つておりますので、この店頭取引金額を次に二分の一にいたしまして、そのうちをやはり取引所取引分と同じように証券業者分一般人譲渡者とする取引分、こういうふうに分ける必要があるわけでございます。これは大体実績を参照いたしましてみたわけでございますが、業者間の売買は相当多いわけでございます。この業者間の売買を八五%、一般人譲渡者とする取引分を一五%、これも大体東京証券業協会から頂きました資料によりまして先ず分類いたしたわけでございます。この店頭取引金額を二分の一にいたしまして、それを八五%、一五%に分けるわけであります。二分の一にいたしますと、売買双方の売り部分だけ出て来るわけでございますが、その前の段階として、一般人業者に売つた分が、単純に二分の一にいたしただけではもれて来るわけでございます。そこで一般人業者に売つた分を推定する必要があるわけでございますが、その分につきましては、従来の実績その他証券業者の意向を承わりまして、大体店頭売買のうちの八〇%、これを八〇%といたしまして、この店頭取引金額に加算いたしまして、その分は一般人分といたしまして、万分の十五の税率を適用いたしたわけであります。今申上げました取引所取引金額店頭取引分証券業者分、それから一般人分、そのおのおのを集計いたしましたのがここに出ておりますところの第一種取引分税率万分の六を適用いたしますところの取引高、九千六十億三千二百万、税額五億四千三百万、第二種は税率万分の十五でございますが、一兆八百二十三億六千六百万、税額は十六億二千四百万、こういうふうになつておるわけでございます。なお、この法案にありますように証券投資信託分につきましては、証券投資信託に属しておりますところの財産のうち、株式譲渡にかかる分につきましては、二年間業者並み税率を適用する、こういたしておりますので、これを四月末日におきますところの投資信託に属しておりますところの株式金額から推定いたしまして、その後の増加状況を見て取引金額を推定いたしましてここに計上いたしまして、その分だけの税額が九千九百万円、こういうふうになつておるわけでございます。その合計額が今申上げましたところを全部合計いたしまして二十二億六千六百万、こういうふうになつておるわけでございます。併しこれを初年度に直しまして、収入歩合を付けまして計算いたしましたのが十二億八千八百万、こういうふうになるわけでございます。非常におわかりにくい感じがいたされたかも存じませんが、後日又資料として提供いたしたいと思います。  大体概要はこういう計算方式によつて算出いたした次第でございます。
  8. 小林政夫

    小林政夫君 取引高見込みというのは、いろいろ証券界のことでもあるし、なかなか計算見込みも正確な見込みを推定するということは困難なことだと思いますが、あなたのほうの気持としては、これが最低だという気持ですか、どうですか。ただ今までの実績を十二分の七倍したということであるのか、そこに多少の修正を加えて、これよりも低いことはないという気持でやつておられるのであるか。
  9. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 証券取引高の推定につきましては、実は御承知のように証券界取引がかなり大きな波を打ちますので、非常に我々としましても実は見通しの困難な問題でございまして、実は前国会提案いたしました時におきましては、十月から十二月までの平均株式取引数量を一年に延ばしたようなものを基礎にしまして見積りを立てていたのでございますが、当時におさましては、衆議院においての論議でございましたが、どうも見積りの仕方が低いじやないかと、こういう実は御議論を随分伺つたのでございますが、我々といたしましては、十二月、一月の頃は確かに非常に取引は盛んでございましたが、これが一年を通じて行われるわけでもないと思いますので、十月乃至十二月を一年に延ばした、この数字は決して小さな見積り過小見積りとは思わないというふうな御答弁を申上げていたのですが、幸か不幸か二月以降におきまして、ガラが参りまして、当時我々が見積りを付けておりました数字を、そのまま今国会における見積りといたしますことは、どうも過大見積りに過ぎるのではないだろうか、こういうふうな感じが出て参りましたので、最近の数字を取りまして一月乃至五月というところで、一応の数字を取りましたことは、只今塩崎課長の御説明申上げた通りでございます。この数字によりますと、大体東京市場におきまして、一日の平均取引高が八百万株ぐらいである場合が、大体現在の見積り基礎なつております数字と合致するのでございますが、最近の状況大分回復はして参りましたが、まだ六百万株という状態に推移しているわけでございまして、現状がそのままでございますれば、これ又いささか過大見積りの譏りを免れないのでございますが、御承知のように、一番市場が活溌に動きました時は、東京だけで千七百万株動いた時期もございますので、現在の見積り基礎になりますのは平均八百万、それから現状は六百万でございますが、相当活溌の時は千七百万まで行く、こういう状態でございますので、現在の見積りは我々が現在手にしている資料から言えば、まあまあこの辺で見積つて置くことが、そう過小見積りのお叱りを受けなくても済みましようし、そう過大見積りということも言われないで済むのじやないだろうか、実はさように考えておる次第でございます。
  10. 小林政夫

    小林政夫君 税率を前国会提案よりも、取引業者の場合において五分下げたのでありますが、余りそう非常にその間においてガラが起つたというようなことの事情から、提案理由においてはそう言えますけれども、結論的に出た数字においては、税収においては変りがないというその具体的の理由はどういうのか、もう少し詳細に聞かしてもらいたいと思います。
  11. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 前回提案いたしました時は、税率が御承知のように業者の場合におきましては万分の八、それから業者以外の、言わば素人のかたが売買なさるときは万分の二十、同時に又施行が四月から施行されることを予想しておりましたので、二十七億五千万円の税収を見込んでいたした次第でございます。平年度といたしましては、三十億、今回は平年度としては二十二億、その百平年度におきましての税収見積りが八億近く減つております理由は、一つ只今言いましたように、見積りの上におきまして取引数量において、当初前回見積りました時よりも最近の情勢から見ますと、取引量がそれほど大きくは見積り得ないのではないだろうかということが第一点、それと第二点は今申上げましたように、税率前回提案よりは引下げているという、この二つ理由でございます。税率前回提案に比べてどうして下げたかという点が御質問の一つの要点のように思いますので、政府の考えていることを申上げさせて頂きますと、大体前回状況から見ますれば、御承知のようにあの当時ブームの状況でもございましたし、従いまして万分の八、万分の二十という税率、決して高い税率と思わなかつたのでございますが、最近のその後のガラ、或いは最近の状況等から見ますと、どうも証券市場というものがかなり沈滞気味のような情勢にもございますので、証券市場をできるだけ伸ばして行くという意味からいたしますと、税率もできるだけやはり加減して考えてやる必要もあろうと、こういうような感じもございましたので、最近の市場状況を見まして一応前回提案に比べまして、二割五分程度ずつ引下げたと、これが我々の率直な気持でございます。
  12. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 只今収入見込みにつきましては、後日資料として提出すると申しましたが、衆議院専門員から要求がありました昭和二十八年度有価証券取引税収見込算出根拠、こういう配付書類が行つておるそうでございます。これは一度お読み下さると大体おわかりになると思うのでありますが、これ以外に又御要求がありましたら作成いたしたいと思いますが、如何かでございましようか。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 第八条の第八号ですか、「その他政令で定める有価証券譲渡」、その政令に定める有価証券とはどういうものでしようか。
  14. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) お手許政令案要綱が出ておると思うのでありますが、そのうちの二番目に、法第八条関係、それに出ておるわけでございます。  先ず第一に、国に対する有価証券の物納を非課税とする。第二に株式引受発行の場合における引受者一定期間内における譲渡非課税とする。その他最近におきましては、連合国人財産返還の場合の非課税規定等を設ける予定でございますが、一応こういうところを予定しておるわけでございます。
  15. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そういたしますというと、特別の法律によつてできているところの特別法人ですね。特別法人出資証券譲渡のような場合においても課税される見込みであるかどうか、伺いたいと思います。
  16. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今お話になりましたような事態につきましては、これを特に非課税にするということは現在のところ考えておりません。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 非課税にするということは考えていないということでございますが、非課税にしたらどうかというようなことのお話はなかつたのであるかどうか、初めから非課税にすべきものじやないということで進まれたのであるか、そこまで結論が出た道程を伺いたいと思います。
  18. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 有価証券取引税と言いますのは、一応有価証券移転があつた場合におきまして、そこに担税力があるというふうに考えまして一種流通税だと考えております。従いまして、その発行者の問題につきましては、例えば国債のようなものにつきましても、これは元来課税すべきものであると、こういう建前をとつて来ておりますが、差当りまして一定期間国債社債等につきましては、これを課税することにつきまして、その課税を停止しております理由は、現在のところまだ国債社債といつたようないわゆる公社債市場ができておりませんので、そういう意味からいたしまして、当分この公社債市場のできるまで一応課税は見合わしたほうがいいのではないか、こういう観点で臨時的にこれが課税をやめているわけでございまして、そういうふうな観点からいたしまして、同じ株式でございますれば、例えば特別な法令によつてできた会社でございましても、それの移転について課税することはやはり差支えないのではないか、むしろそうすべきではないかと、こういう観点に立つている次第でございます。
  19. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 第二条の第四号、「その他特別の法律により設立せられた法人の発行する出資証券」、これを具体的に申したらばどういうふうなものであるか、具体的にお示しを願いたいと思います。
  20. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現在その四号の規定に該当するものとして我々が考えておりますのは、そこに掲げてあります日本銀行のほかには、帝都高速度交通営団、いわゆる地下鉄でございますね。簡単に言いますれば地下鉄開設者でございますが、これが帝都高速度交通営団というものの経営になつておりますが、この交通営団の発行した出資証券、こういうものを頭に置いております。
  21. 森下政一

    森下政一君 どなたかお尋ねがあつたかも知れませんが、有価証券売買状況ですね、これに対して課税をするというその課税の仕方は、今日までにどういうふうに変遷して来たことになりますか。
  22. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 有価証券関係課税関係といたしましては、片方に所得税関係でもつて、有価証券譲渡所得課税というものがございまして、これは所得税課税の問題として考えております。それでこの有価証券譲渡所得に対する課税の変遷を見て参りますと、終戦前まではこれに対しては課税がございませんでして、昭和二十二年にこの譲渡所得課税が問題として取上げられまして、その当時は半額にいたしまして、他の所得と合算して課税したということをやつて参りました。それからシヤウプ勧告が出まして、昭和二十五年に税制改正が行われましたので、その機会におきまして、その有価証券譲渡所得に対する課税を、これはまあシヤウプ勧告一つの重点になつていたわけでございますが、これを全額他所得と合算して課税するということになされておるわけでございます。もう一つの問題はそういう所得課税でございませんで、有価証券取引がありました機会におきまして、一種流通税として課税するという考え方の税が過去におきましてもあつたわけでございまして、それは昭和十二年に日華事変関係特別税法が……、つまり昭和十二年の四月に馬場財政関係、いわゆる馬場財政と言われておりますが、相当税制の全般につきまして、大きく税制改正をしよう、こういう案が立案されまして、それが国会提案されました直後におきまして、内閣が総辞職しまして、そうして新らしい内閣になりまして、馬場税制については全面的に見直しをするということになりましたが、その当時頭を出していた問題が幾つかその新らしい内閣でも取上げられまして、その時に出ましたのが有価証券移転税、これは大体今度の有価証券取引税の姿と似ている場合が非常に多いのでございますが、この有価証券移転税が、その後昭和二十五年までずつと引続き行われておりまして、税率につきましてはいろいろ順次引上げられたことがございましたが、それが二十五年まで続いておりまして、シヤウプ税制改正機会におきまして、有価証券移転税は廃止された、こういう経過を辿つております。
  23. 森下政一

    森下政一君 そのシヤウプ勧告のときに譲渡所得全額対象とする課税、今度それを廃止するという大きな動機は何でございますか。
  24. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 有価証券譲渡所得に対する課税という問題、これはいろいろ議論のあるところでございまして、所得税というもののあり方につきましても、実は随分まだ各国相当議論のあるところだと思つております。考え方一つの極端なほうは、いわゆるイギリス的な考え方でございまして、所得というものは一応の源泉を持つていて、それから継続的に出て来るものが所得だと、こういうふうに考えております。いわゆるケレン・テオリ、源泉説というものが一つあります。それに対しまして他の極端な考え方といたしましては、そうした一応の源泉があつて繰返されて課税所得が出て来る。それだけが所得ではなくて、いわゆる財産譲渡とか、一時の所得とか、そういうものもやはり所得として把握すべきものである、こういうふうな考え方、シヤンツと言つたドイツ財政学者などが盛んにやかましく言つておりまして、シヤンツ・テオリなどと言つておりますが、こういうような考え方でございますが、両方極端な例でございますが、日本におきましても、初めはどちかと言いますと、源泉説でずつと考えて参りましたが、税負担がだんだん事なるに従いまして、やはり譲渡所得、一時所得のようなものも課税対象にして行くべきじやないか、こういう議論でずつとそのほうの説が大分有力になつて来たわけでございまして、その一つの現われといたしまして、只今申上げましたような二十二年から有価証券譲渡所得課税になり、二十五年のシヤウプ勧告におきましては全体の構想の上におきまして、それがかなり大きな地位を占めて来たということは言い得ると思います。租税の理論から言いますと、そういう二つの極端な議論で、その中間のところが各国において実際に行われているところでございまして、負担の公平という面から見ますと、いろいろな考え方がそこにあり得ると思うのでございますが、二十五年以来ずつと実行して参つたのでございましたが、どうもこれの課税をやかましく言つて参りますと、証券市場における取引というものについて、相当税務当局のほうで立入つていろいろな調査を行う、或いは資料要求する、こういつたような問題を相当徹底してやりませんとなかなか実行ができないという問題に実はぶつかるわけでございます。ところが証券民主化と言いますか、証券行政のほうの要請から言いますと、税務行政がそこに立入つて入つて行くということにおきましては、非常に証券民主化の線を、どうもうまく伸ばすことに支障があると、こういう非常にやかましい要請がございまして、又実行の面におきましても、どうしてもその二つ一つ、妥協といつたような面が出て来るのでございますから、なかなか実績が上り切らない、うまく行かないから止めるという意味ではございませんが、とにかく一応証券民主化というような一つの大きな要請、資本の蓄積の要請といつたような面から出て参りますと、どうも税務行政としても徹底したことができませんし、不徹底な姿であればむしろその負担公平の面から見まして却つて逆効果にもなる、こういつたような議論が随分ございましたものですから、政府としましてはいろいろ検討いたしました結果、租税の面から言いますと、これをやめるということについては、いろいろな議論もあるのでございますが、総合的な国策の面からいたしまして、いつそ譲渡所得はやめて、同時にこの機会にこうした有価証券取引税といつたようなものに姿を変えたところで課税するのが適当じやないかと、こういう結論を出したわけでございます。
  25. 森下政一

    森下政一君 従来のこの譲渡所得課税しておつた時代ですね、如何にもいろいろ、例えば証券業者等について、一々資料を探索しないことには正確を期しがたいというようなこともあり、業者のほうは自然そういつたことを好まないというふうな事情があつたと思いますが、実績はどうですか、著るしく悪いのですか。
  26. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 非常に恐縮な次第ですが、実績は二十六年度における課税所得として実績の出て来た数字が三億四千万円、こういう数字なつております。
  27. 森下政一

    森下政一君 それは当時見込んでおつた税収と比較して非常に少いのでございますか。どのくらいのパーセンテージでございますか。
  28. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 所得税見積りの上におきまして、総合的な実は見積りはしておりますけれども、どの所得の分が幾らというような細かい内訳的な見積りは、我々やつておりませんものですから、見積りに比べてこれが果して少いかどうかということは、ちよつと申上げ兼ねると思います。
  29. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 第十条の証券業者譲渡者とする売買による譲渡の場合と、第一種の場合と、第二種の場合とで税率を変えてございますが、実は証券業者というのは、本当は譲渡するのは仕事ではなくて、証券取引法の精神は、これは顧客の委託を受けて取引所において取引をする、これが本業ということになつておる。本業というか専業というか、業務の本当の主体をなすものでなくてはならない。ところが最近におきましては、どうしても思惑、いわゆる証券業者が自己の責任において売買するものが多いけれども、これは健全な状態ではないということは、私はこの前の証券取引法の場合にも言つてある。ところが証券業者譲渡者とするところの取引については、税率が約半分以下になつております。この税率を半分以下にせられました理由一つ、それが第一点。それから譲渡価額というのはその日のいわゆる市場価格を指すのか、それとも証券業者が故意に市場価格以外に安くしようと思えば、証券業者譲渡者とする場合という場合には、市場を改めて通さなくてもやれますから、市場価格よりも、表面のあなたのほうへの報告だけは安くすることができると思うのでありますが、そういう操作は如何でございますか。こういう取扱いはどうなつておりますか。その日の市場価格で以てこれを計算をし直すかどうか、この二点をお伺いいたしておきたいと思います。
  30. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 証券業者の本来のあり方は、顧客の委託を受けまして売買する、自分がいわゆる手張でもつてやることは本来の趣旨じやないのだと、これは私も菊川委員と同じようにそう考えております。ただ、現実の事実を考えてみますと、一つは委託を受けると見られます場合におきましても、やはり現実にはどうしてもそこで仕切りをせざるを得ない場合が幾つかあるようでございます。特に地方における証券業者におきましては、委託という姿をそのまま使い得ない場合もあるのではないかというふうに聞いております。それから同時に又中央の証券業者におきましても、どうしてもやはり現実の事実としまして、やはり或る程度の手張関係が行われるいとうことも否めない事実でございます。そこで、そういう現実の事実を見まして、有価証券取引税というのは、有価証券取引が行われた機会に、そこに相当の、何分かの担税力があろうというところで一応課税しているわけでございまして、普通に考えられます素人の人が得る場合の回転、売買の回転の度数と比べまして、証券業者の場合における売買の回転の度数というのは、相当頻繁に行われるということが予想されるわけでありまして、そういうようなことを頭におきまして、移転税の性格からいたしますと、やはり素人に比べて証券業者税率は相当引下げられた税率であることが、担税力に即応するものじやないか、こういう考え方で従来におきまして、前にありました有価証券移転税におきましても、素人の方の税率に引き比べて、証券業者税率は引下げられておりました。ただその場合におきましては、素人の方の税率の半分にしてあつたわけでございます。ところが同時にいろいろ実行した上での一つ結論になつたのでございますが、五日以内に転売した場合におきましては、これは仕切りはしていても実際は委託を受けたというものと内容は同じなんだから、従つて、これはむしろ委託を受けたものと看做しまして、課税はしないほうがいいのではないかというようなことで、片方の税率は半額になつておりましたが、五日以内において転売される場合におきましては課税しない、こういう実情をやつておつたのですが、今回の税法の改正で、税法を作る上におきまして、その点業者といろいろ話合つてみたのですが、どうも五日以内に転売したものをわざわざ抜き出して、いろいろ記帳をして行くということにつきましては、非常に事務的な手数がありまして、実際上困難な点が多いので、それにそういう点についても全部これを込みにして、概括的に考え、その代り税率におきまして、前は半分、即ち五割でありますが、今度はもう一割下げた四割のところで税率を作つて行く、こうすることが大体実情にも合い、手数の上から言つてもいいのではないか、こういうふうな観点でありまして、今回の税率証券業者の場合は株式において万分の六、素人の場合ですとそれが万分の十五、こういうふうな結論を出したわけであります。それからもう一つ御質問になりました譲渡価額の問題でございますが、原則としまして我々は現実の取引価額というものを頭に置いておりますが、若し業者取引業者両者の間で故意に譲渡価額を下げているという場合におきましては、これはむしろ時価というものを頭に置いて検討さるべきものじやないかとかように考えております。
  31. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすればこの譲渡価額というものは市場価格を指すものである、そう言うのですか。
  32. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 法案で書いてあります売買価額というのは現実に売買された値段、かように考えております。ただその場合に、若し業者の共謀とか、そういうもので故意に市場価格よりも非常に低い値段で売買されたという場合におきましては、それは別の問題として検討さるべきものであるというふうに考えております。
  33. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この価格の場合は明確に今も御答弁がないのだが、市場価格であるか、現実の売買価額かというところに、過去の譲渡所得税の徴収に非常に困難な点があつたと同じようなケースの事件が起きる危険性がある。もう一つ一種と二種との混同でございますが、いわゆる俗に言う大手筋という連中は、機関店を使つて、機関店と称するいわゆる自分の本当の店をいつも使つている、その店を使つているけれども、第二種の取引でありながら、第一種であるかのごときカムフラージユができ得る余地があると思うのです。例えばこの間の株式の買い占め事件で、藤綱一派はいろいろな機関店を使つてやつたという、ああいう大量取引の場合には、藤綱がたくさん買つておつても、売る時に全部証券業者が売つたようにカムフラージユすることができて来るのじやないかと、私は素人目に見てかように思うのですが、そういうのを防ぐ方法がございますか。この二点がこの法律を運用するに当りまして、しつかりとあなたのほうでお扱い願わんと、過去の譲渡所得税の徴収が極めて困難だという事件と同じ事件が私は起ると思うのですが、この点について簡単に御説明願いたいと思います。
  34. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 結論を先ず申上げますと、譲渡所得税の場合に比べますと、有価証券取引税におきましては、御心配になつているような問題はなくて済むのではないかということを考えております。その理由といたしまして、今の売買価額という問題が先ず第一にございますが、我々としましては、これは市場価格と言いますよりも、やはり現実の売買価額ということを考えております。ただ税率もそんなに高い税率でもございませんし、特にこれにつきまして、悪意でどうこうするという誘惑されるほどの高い税率でもありませんし、又大体市場価格というものがございまして、一応のめどがつきますから、その場合に、その市場価格を非常に離れた価格で売買されるとなれば、相当の理由がなければならんはずでございまして、その意味から市場価格をチエツクして参りますれば、そう変な数字が出て来ないのじやないかということを、先ず最初の御疑問については考えておる次第でございます。  それから素人が売買しながら玄人の名前でということにつきましては、市場取引されるものにつきましては、大体仕手関係がはつきりしているように聞いておりますので、その点から申しましても、又もう一点法人税の課税関係などから見まして、若し仕手関係を個人のものでありながら、法人のものとしてやるということになりますれば、法人の損益計算などにも恐らくいろいろなそこに影響があるわけでございまして、業者のチエツク関係も考えられますので、大体御心配になるような点はなくて済むのではないか、ただ、そういつた点につきましては、執行の上におきましても十分注意した上でやつて行きたい、かように考えております。
  35. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。有価証券取引税法案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  38. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお、諸般の手続きは前例により委員長に御一任を願いたいと存じます。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     森下 政一  三木與吉郎     前田 久吉  小林政夫     木内 四郎  藤野 繁雄     菊川 孝夫  山本 米治     土田國太郎
  39. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に砂糖消費税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を願います。
  40. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 砂糖消費税法の一部の改正案の提案理由によつて見ますというと、「砂糖消費税の負担の実情等に鑑み」と、こう書いてあるのでありますが、実情等というのはどういうふうなことであるか、お尋ねいたします。
  41. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 砂糖消費税の負担関係で、砂糖消費税の課税につきましては、これは御承知のようにかなり古い税法でございますが、いろいろな経緯があつたわけでございます。普通よく引合に出されます昭和九年乃至十一年の当時におきてましは、砂糖消費税の白砂糖に対する税金は百斤につきまして七円七十五銭、当時の裸値段に対しまして大体四割八分程度になつておるわけでございます。現状におきましては、千九百五十円が白砂糖百斤に対する税金でございますが、これが大体四割五分ぐらいになつておりまして、いろいろ酒の税金とか、何かがかなり高くなつている、それを今度下げようと思つていろいろ税率の引下げをお願いしたわけでございますが、そういつたような事情もございまして、財政が税調整の関係で財源の必要とされておる時期におきまして、大体税金が前の七円七十五銭が千九百五十円、これは二百五十倍ほどでございますが、これを三百倍程度まで引上げることが適当であろう、こういつたような負担関係を見まして、二千三百五十円という提案を申上げた次第でございます。
  42. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 我が国の甘味料の点から考えて見ますと、甘味料は砂糖のみに依存するというようなことでなくて、国内産である水飴であるとか葡萄糖のようなものも十分活用して、国内の産業振興の上からも、外貨の節約の上からも、国内の甘味料を利用することが最も適当と考えるのであります。それで今回の砂糖消費税の税率を引上げられたのは、国内産の水飴であるとか、葡萄糖のような甘味料のことも考えて、二割程度の引上げということを決定されたのであるかどうか、国内産甘味料との関係を伺いたいと思うのであります。
  43. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 率直に申しまして、水飴とか葡萄糖とかそういう国内甘味料を主として頭に置いて税率を引上げたということは、実はちよつと私のほうの気持としては言い過ぎなのではないかと思つておりますが、ただ附随的なと言いますか、裏腹といたしましてはお説のように現在砂糖は大部分が輸入に待たざるを得ない、外貨の関係からいたしましても、こういう姿がそのままあるということは余り好ましくないわけでありまして、従いまして国内甘味料というものを、できるだけ活用するということにつきましては、我々も是非そうあるべきではないかと、たまたま今度の法案が成立いたしますれば、国内甘味料の育成と言いますか、そうした仕事の育成には相当有効な役割を果し得るのではないかと、かように考えております。
  44. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今の御説明によつてみるというと、今回の砂糖の税率の引上げによつて、国内甘味料の育成にも役立つであろうということでありますが、現在の国内甘味料の状況を考えて見ますというと、精製葡萄糖は砂糖の代用になるところの用途が非常に多いのであります。又最近では我が国の精製葡萄糖の製造方法が非常に優秀に行われておるのでありますから、私などできるだけ精製葡萄糖の奨励をやつて、砂糖の消費を節約して、外貨の節約を図らなくてはいけない、こういうふうに考えておるのであります。そこで政府は砂糖消費税と砂糖の輸入と、澱粉の価格安定というようなことについて、更にどういうふうな総合的の対策を考えておられるのであるか、この前の澱粉の価格決定の際においては、そういうふうなことも或る程度加味して決定せられたようでありますが、その後の澱粉の値段がだんだん下つて来て困つておるような状態でありますが、砂糖のほうは次から次へ輸入されておる。而も砂糖は余り多く輸入されたために、更に逆輸出をしなければいけないと、こういうふうな状態であるように聞いておるのでありますが、今申上げました砂糖の消費税と、砂糖の輸入と澱粉の価格安定に対する総合的対策についてお考えがあつたらば承わたいと思うのであります。
  45. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 澱粉、水飴、砂糖、そうした全体を通じての総合対策の問題は、政府として当然考えるべきことでございますが、主税局長である私が、この際その点についていろいろ申上げるというだけの、実は材料も持合わせておりませんし、又ちよつと申上げても資格の点でどうかと思いますが、ただ私のほうに関係がございます限りについて一応考え方について申上げますならば、御承知のようにできるだけ国内の甘味料というものを、やはり有効に使うことによりまして、外貨の使用というものもできるだけ節約するという方向には向つて行くべきではないか、その意味におきまして、昨年の三月でございますか、当時ありました水飴、葡萄糖に対する物品税の課税は廃止いたしまして、それによる税収の減を砂糖消費税の引上げによつてカバーしたと、こういう事例はございます。関税の点が一つ問題になるのでございますが、これは私のほうでやつている仕事でございますので、一言附加えさせて頂きたいと思いますが、関税の面から言いまして、相当の関税引上げということも、実は常に考えているのでございますが、何分関税の問題になりますと、これは国際的に相当大きな影響のある問題でございまして、ガツトヘの加入問題などとも相当結び付きがございますので、現在原料糖が二割、製品が三割五分、こういつたような従価税率を適用してございますが、いろいろ考えて見ましたが、どうもこの関税のほうの税率を上げることにつきましては、国際的な関係から言いまして、ちよつと困難であろう。砂糖消費税のほうは今度上げましたが、その場合におきましても国内の黒糖、白下糖、これは藤野委員承知のように、大体二つに分れます。黒糖、白下糖の系統と、北海道でやつておりますビート・シユガーの関係でございますが、両方とも相当産業的には困難な産業となつておりますが、どうもビート・シユガーにつきましては、ちよつと国内のものだからと言つて内国消費税では手の打ちようがございません。関税以外に税としてはやる手がございませんで、食管で御承知のような操作を行なつているのが止むを得ざる一つの手段ではないか、ただ国内の黒糖、白下糖につきましては相当他の砂糖と区別できますので、この点については今度これはもう引上げをしない。その代り範囲を樽入黒糖、樽入白下糖に限定いたしまして、大分インド方面、或いはフイリピン方面から黒糖が入つて来まして、これが実は国内の黒糖、白下糖の値を相当下げさせております。従いまして、その面につきましては何か手を講じたい、と言つて特に国際的に目につくようなやかましいことになるような問題は、これは避けなければならん。そこで昔ありましたような姿における樽入黒糖、樽入白下糖、こういう姿を取りまして、樽によつて一応固めたものは、これを従来と同じように引下げる。但し現在すぐにそれを実行しようといたしますと、なかなかむずかしい点もありますので、税務署長の承認等を受けて、差当り箱とか罐とかで樽を代用させる場合においても、当分は認めて行こう、併し将来の姿としてはやはり樽入黒糖、樽入白下糖という姿になることによつて、初めてインドとかフリピンの黒糖と区分もできますので、そういう方向に順次持つて行きたい、こういつたような考え方で、我々のほうとしましては税の関係で一応手が打て、同時にそれが国際的に国内、国外を非常に区別するといつたような意味の非難を受けないといつた限りにおきまして、考慮すべき点は十分考慮して参つておるつもりでございます。
  46. 小林政夫

    小林政夫君 従量税でございますが、最近の砂糖価格に照らして従価何%になるか、それをちよつと簡単に一つお聞かせ頂きたいと思います。
  47. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 砂糖の相場は、御承知のように最近かなり動いております。従いまして最近少し騰り気味になつておるようでございますが、本年の六月の数字でございますと、税抜きの価格で小売りで四十二円五十銭、この場合におきまして四割五分九厘、それから改正後になりますと……。
  48. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと、甲類、乙類、丙類とずつとこれに合せてやつて頂きたいと思います。
  49. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今ちよつと手許資料がございませんので、その点は資料としまして、すぐにお手許にお届けするようにいたしたいと思います。
  50. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 暫時休憩いたします。午後は二時から続行いたします。    午後十二時十分休憩    —————・—————    午後二時二十六分開会
  51. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引続いて会議を開き、資産再評価法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を願います。
  52. 小林政夫

    小林政夫君 再評価倍率ですか、これはどういうふうにしておきめになつたのですか。
  53. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 再評価倍率につきましては、大体最近における物価の上昇状況を見まして、この前の第一次、第二次の再評価は二十五年の一月一日を基準としまして、当時再評価倍率は、それよりちよつと前の二十四年の六、七月だと思いますが、その辺の時期までの値上り率を取つていたのでありますが、最近におきまして、今度のものは御承知のように、二十八年一月一日現在を基準に取つておりますので、それよりちよつと前の大体昨年の九月くらいだと思いますが、その間における値上りの状況などを見まして、卸売物価指数或いは土地の値上り状況それぞれのものを取りまして、一応の倍率をきめた次第でございます。
  54. 小林政夫

    小林政夫君 部内会議でおきめになつたのか、それとも第三者の諮問委員会のようなものをやつて、ほかの意見も参酌して、おきめになつたかどうか。
  55. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 特に諮問委員会を作つて諮問したというようなことはいたしておりません。併し一応卸売物価指数でありますとか、土地等につきましては最近の土地の値上りといいますか、土地の価格の指数と、我我だけの、多少独断かも知れませんが、一応世間的に見ましても、大体権威ありとされておる指数を取つておりますので、特に委員会に諮問するといつたような手続はいたしておりません。
  56. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、この予算説明書等に載録してあります卸売物価指数等、こういうのは何と何とを参酌されたか、日銀調べの卸売物価指数か、或いは採用された指数について……。
  57. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 卸売物価指数は、日本銀行調査にかかる卸売物価指数を採用してございます。それから土地の値上り関係につきまして、勧業銀行で発表しております指数を採用しております。なお消費物資関係のものにつきましては、総理府で作つておりますCPIの指数を取つております。
  58. 小林政夫

    小林政夫君 前からそうなつているのでしようが、特に二十一年は、一月、二月及び三月、三月だけの欄を設けて指数を掲げておるのはどういうわけですか。
  59. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 二十一年の三月は御承知のように財産税の調査のために財産調査令による財産調査をやつた時期でございます。そこでその時期につきまして、特にその時の価格の何倍といつたような指数を使うことがございますので、二十一年の三月というものにつきまして特にそうした措置を取つているわけでございます。
  60. 小林政夫

    小林政夫君 これも初めからの問題なんですが、十七条三項、二十五条一項、それから二十条二項、二十五条二項によつて、個人について事業用資産と非事業用資産とを分けて再評価額を定める意味はないと思うのですけれども、どういう必要があつて区分してその書き方を変えておるのでありますか。
  61. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 事業用資産と非事業用資産とにおきましては、課税の扱い上違いのあることは小林委員も御承知通りであります。先ず事業用資産の場合におきましては、再評価は任意制度になつておりますが、非事業用資産におきましては、譲渡所得の発生の場合におきまして再評価の問題が出て来るわけでありまして、いわば一種の強制再評価のような形をとつておるということが一点、それから減価償却の場合におきましても、事業用資産の場合におきまするのと、非事業用資産の場合におきまするのとは違いまして、例えば家屋などの場合におきましては、耐用年数を非事業用資産の場合においては五割増にしておるといつたような事情もございまして、両者取扱いを異にしておる場合がございますので、一応この二つを書き分けて別別に規定した、かような次第でございます。
  62. 小林政夫

    小林政夫君 併し法文を読んで御覧なさい。十七条三項と二十五条の第一項とを読むなら、全然書き方は同じなんです。「財産調査時期前に取得したものについては、その財産税評価額場をその取得価額とみなし、財産調査時期をその取得の時期とみなす。」と、こういうことになつて、同じなんです。だからその事業用資産と非事業用資産との扱い方が変つておるということは認めるのだけれども、評価限度というものについては、書き方としては変える必要がないのじやないかと思います。
  63. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) これはどういうふうに規定したら一番見やすいかといつた問題も実はあるのじやないかと思つております。十七条におきましては先ほど言いましたように、任意償却になつておるものでございますから、最高の締繰りを超えることができないということに一応書いてあるわけでございます。即ちその示すところは任意評価であるということの故に、再評価するかしないかということが一つの任意にかかつておると同時に、今度再評価する場合におきましても、一応の限度を置きまして、その限度以下において再評価するならば、例えば限度が五倍の場合ですと、五倍以下で再評価するならば、二倍であつても三倍であつても四倍であつても、それは任意である。即ち再評価するしないということが任意であると同時に、再評価をどの程度の高さまで再評価するかということが、一応所有者の任意に任せられている。従いましてこの法文を見ましても、十七条におきましては「金額をこえることができない。」ということで最高の締繰りができているわけでございます。それから二十五条におきましては、これはもう一応強制再評価のような恰好になつてしまいますから、従つてその場合におきましての再評価の額は、納税者の任意によつて限度以内なら幾らでもしていいということでなくて、一応別表による数字をかけたものがそのまま再評価の額だと、こういうことになるのでございますから、一応この両者の条文はやはり書き分けておいたほうが理解しやすいのじやないかということになつて、書き分けてあるのでございます。
  64. 小林政夫

    小林政夫君 それはそういうことも言えるでしようけれども、結局違いは今おつしやつたように、事業用資産の場合においては最高限度、非事業用資産の場合においては限度一杯にしたものとみなす、こういうことであるが、この売渡価額、譲渡価額が再評価額限度額よりも低いというような場合は、それが故意に云々というものでないという場合においては、その譲渡価額を以て評価額とみなすことになつておるのです。それは間違いありませんね、そういうことだから必ずしも非事業用資産だからといつて、限度一杯強制的にやるということじやないのです。要するにそれは再評価額の限度の問題とは別にして、扱いの違いなんです。これを一々再評価額というものを規定するのに、事業用、非事業用と区別して再評価額というものを書く必要はないので、事業用資産の場合には、それをこの税法の書き方として、再評価額がこうだといつて事業用資産の場合においては、その範囲内において適当にやる、非事業用資産の場合にはこうだ、こういう書き方をすればいいので、却つてこの原文の書き方のほうが非常にむしろ税法としては複雑になるのだと思うのです。それを一々評価額まで分けて、事業用資産、非事業用資産と、全然異ならない再評価の価額を算出する方法を一々分けて書く必要はない、再評価額はこうだ、こういうきめにしておいて、ただ事業用資産の場合においては云々、非事業用資産の場合にはこうだ、こう一行に書けばいいのじやないかと思います。
  65. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) これはまあそこまで行くと多少意見の違いになるのじやないかと思いますが、我々のほうで理解しておりますところでは、先ほど申上げたことを繰返すことにならざるを得ないと思いますが、片方は任意であるが故に、それをはつきり示す意味におきまして、「超えることができない」ということによつて、それが最高限度であり、従つてそれ以下の再評価はこれは任意であるということを十七条においては示したほうが理解しやすいのじやないだろうかと思います。それから片方は、おつしやるように確かに譲渡価額が再評価額限度一ぱいの金額よりも低い場合においては、結局譲渡価額まで下つて来るわけでございますから、結局同じじやないかとおつしやいますが、併し同じとはいつても、別にその再評価額より譲渡価額が低い場合、それまでは下る、併しそれ以上は下がらんという、そこにおのずから約束といいますか、考えているところには一つの、強制といつてはどうかと思いますが、一つの動かない物差がそこにできておるわけでございまして、必ずしも財産所有者のかたのオプシヨンによつて再評価額より下ることは勿論、譲渡価額よりも下つて行くことも任意になされ得るといつたような性格のものと違うものですから、これはやはり別々に書き分けておいたほうがわかりがいいだろう、小林先生は一緒に書いておいたほうがわかりがいい、こういう御意見のようでございますが、一応すでにもう公布もされている法律でございますので、特にこの際、大体私全体を通観して見まして、今度の第三次の再評価をやる場合におきましては、特に第三次の再評価として、一次、二次と変つたところは、これははつきり規定の上に出しておいたほうがいいだろう、それ以外のことで大体一次、二次の行き方をそのまま踏襲できるところは、この点とこの点だけが第三次は違うのであつて、その他は全部一次、二次と同じですというふうに御説明申上げるようにしておいたほうが、すでに会社等におきましても一次、二次で相当の御経験もありますから、却つて理解がいいだろう、こういうふうな考え方を持つたものでございますから、条文を一応各条丁寧に見て参りますと、多少書き方等におきましてこうしたほうがわかりがいいかなと思う点もないじやないのでございますが、第三次の性格からいいまして、特に第三次の再評価といたしましてはこの点とこの点が変るのだ、その他は全部一次、二次と同じですということが言えるように、特に直さなければ全体が動いて行かないという場合以外は、大体従来の法律をそのまま踏襲した次第でございまして、その辺の我々の気持だけは御了承願いたいと思います。
  66. 小林政夫

    小林政夫君 そこまで譲歩した発言であれば何をか言わんやでありますが、(笑声)とにかく相当検討の余地はあるので、税法が難解だというものを殊更に難解になるように書いてあるので、これは一つ機会あるごとに平易なわかり易い条文にすべく事務当局においても努力されんことを望みます。  それから第二十九条の十四号に、今度新らしく挿入されたのはどういう意味ですか、「『並びに昭和二十五年四月一日から昭和二十六年十二月三十一日までの間に相続又は被相続人からの遺贈に因り取得したもの及び昭和二十五年四月一日以後贈与又は被相続人以外の者からの遺贈に因り取得したもの』を加える」というのは……。
  67. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今度相続税の改正案が片方に出ているわけでございますが、それでちよつと訂正さして頂きます。御承知のようにシヤウプ税制改正による相続税の改正の場合におきましては、相続がありましたらその都度同時に譲渡所得につきまして一応計算し直すといいますか、そして相続があつた時期におきまして被相続人は新らしくその財産を取得すると同時に、被相続人が持つておりまして、相続開始までに生じた財産の値上りは、相続開始の時期におきましてそこに当然譲渡所得が発生する、そこで所得税課税する、こういつたような形になつておりましたことは、小林委員承知通りでございます。従いまして、同時にその場合におきましては、再評価法を結び付けますと、相続のあつたときにおきまして強制再評価が行われるということがあつたわけでございます。この制度につきましてはいろいろ御批判もありまして、昨年の改正だと思いますが、そうした相続の都度に譲渡所得課税をすることはいろいろ無理ができるから、従つて、むしろ相続人が被相続人の財産を引続き有していたものと見て行こう、従つて相続人の手に移りましてから譲渡がありましたときは、被相続人が取得したその取得価額を以て相続人がその被相続人の取得した時期に取得したものとみなして行こう、要するに譲渡がありましたときに、被相続人の所有の期間に生じた値上りと、相続人の手に移つてからの値上りとが一遍に課税対象として出て来る、こういう改正を行なつたわけでございます。従いまして前回のときに、従来の改正前の法律でございますと、相続の開始したときに譲渡所得課税問題が出ますので、これはやはり一種のみなす再評価式に、再評価の点も当然そこに再評価され直す点で見て行かなければならなかつた、これが従来の法律であつたわけでありますが、今度はそれが変りましたものでございますから、丁度シヤウプ勧告によるものと、一種のみなす譲渡所得の生まれるような期間の分だけにつきまして、強制再評価の規定を作りまして、その他の点については、これは譲渡のあつたときに改めて強制再評価の問題が出て来る、こういうことにするのが適当であろう、こういう意味の下に、丁度ここに書いてございます二十五年四月一日から二十六年十二月三十一日までの間に云々というのが、今言いましたシヤウプ勧告によつて、みなす譲渡所得課税される時期に当りますので、それで、この期間におきまして、すでに相続がありましたものにつきましては、一回そこで以て再評価がなされておりますので、元に戻らないで、そのときにすでに一回再評価がなされているという意味におきまして、そのときを以て取得の時期とみなして行こう。で、それ以外の相続にかかる分につきましては、原則に戻りまして、被相続人の取得の時期とその取得価額、これを中心に再評価がなされて行く、こういう意味におきまして書き分けてある次第でございます。
  68. 小林政夫

    小林政夫君 二十五年の四月一日以後の贈与又は被相続人以外の者からの遺贈により取得したもの、これも同様でしたかね。
  69. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) それで先ほど申しましたみなす以外の譲渡所得関係は、現行法におきましては相続の分につきましてはこれは無理だというので、シヤウプ勧告の線から違つた線を出しましたが、贈与の場合におきましては、贈与自身がいわば一種の贈与者の任意がそこに入つているという意味におきまして、贈与に関する限りにおきましては、現在贈与の時期においてみなす再評価の問題が残つているわけでございます。従いまして相続の分につきましては、そこに始期と終期がありますが、贈与の分につきましては現在なおそれが依然残つておりますために始期の規定はございますが、終期の規定がない、現行法がそれに対応するようにできている、こういう意味におきまして、相続と贈与の間が、これが又書き分けてある、かような次第でございます。
  70. 小林政夫

    小林政夫君 大分前に読んだから、ちよつととんちんかんな質問するかも知れませんが、この現行法で贈与について二十五年四月一日以後と特に始期を切つて、こういつたものに見合う規定はどこでしたかね。
  71. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 二十五年四月一日以前の贈与につきましては、その当時の相続税法の規定によりまして全部の措置がなされておりますために、贈与があつた時期におきまして贈与税の課税の問題はありますが、そこに所得税についてもみなす譲渡といつた意味の、贈与者が持つていた間の値上りというものに対する課税の問題はなかつたわけでございます。それで四月一日以後に贈与された分につきましては、先ほども申上げましたように、現行法においては相変らずそういう建前ができているのでございますが、贈与した機会に、贈与者が取得したものであれば、その贈与者の取得した時期から贈与の時期までにおける値上り利益というものについての譲渡所得課税が、贈与税と併せてなされているわけでございます。その場合におきまして、その値上りの中には、いわゆる再評価のまあ基礎なつている意味のいわゆる貨幣価値の値下りといつたものが考えられますので、単純に取得価額と贈与のときにおける時価との差額を譲渡所得と見るのは、そこに無理が行くという考え方が、まあ再評価法全体の考え方として出ているものでございますから、その分につきましては譲渡の際に、やはり一種の強制再評価をやりまして、そしてそこで譲渡所得の計算をし、課税をして行く、一度そこで以て課税ができてしまいますと、そうすると、今度は受贈者において例えばそれを譲渡する、或いは更に他の人に贈与するといつた場合におきましては、受贈者が受けたそのときの時価を一応基礎として、再評価とかそういうものは考えて行こう、こういう意味におきまして全体の規定ができておるわけでありまして、相続につきましては、先ほど言いましたように、もうすでに現在なくなつておりますから、そこに始期もあり終期もある。贈与については二十五年の四月一日以後にその制度が初めてできまして、而もこの制度は現在なお行われておるという意味におきまして、始期の規定はございますが終期の規定はない、こういう書き方になつておる次第でございます。
  72. 土田國太郎

    土田國太郎君 この再評価税ですが、これはまあ我々考えますと、別に財産は殖えたわけでもない、それは償却は殖えますがね、自分の財産は殖えないのに、名義上の財産が殖えただけで以て、実際においては殖えないのだが、それに税金を取るというのはどこから出発したのですか。
  73. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今の御議論は、再評価ができる時から実は相当議論のあつたところだというふうに思つております。大体この再評価を認めるか認めないかということから実は議論が出ておるわけなんでございます。お説のように、この一つの再評価の対象なつております有形財産を持つている場合、見方によつては確かに値段は上つておりましても、その財産自身は別に前と変りがない、従つてそこには何らプラスの価値、価値の増加はないじやないか、こういうふうな御意見は確かに一つあり得ると思つております。併し再評価に対して一つの税金をとるという考え方が出ましたその根拠としましては、私は二つくらい考えられるのじやないか。一つは確かにそうした財産を持たれているかたにおきましては、一応実質的な価値においてのプラスはないかも知れんけれども、併し他面例えば預金を持つていたとか或いは貸金をしていたとか、こういうかたにおいては、貨幣価値の値下りの故に一応相当のマイナスがあつたわけでございます。即ち持つていた財産の形体によつて、片方においてはマイナスがあつたわけでございますから、そういう人と比較して見ますと、相対的な意味において何らかのプラスがあつたということも考え得るのじやないか、更に積極的に一応プラスのある場合が考えられますね、例えば借金をして財産を持つていた、こういう場合が相当考えられます。終戦後特に銀行預金、銀行の貸付金等殖えておりまして、あれで財産を持たれたかたが相当あるわけでありますが、その場合に借金のほうは、これは別に貨幣価値の値下りということによつての計算替えをしたわけでございませんので、借金のほうは減つちやつて資産は減らない。そうすればプラスマイナスしてみますとそこには相当のプラスがあつていいのではないか。こういつたのが一応の全体を通じての議論だと思います。いろいろどの程度の再評価をするかについては、どの程度の再評価税を課税すべきか随分いろいろ議論がありまして、税金につきましてもまあ百分の二十五といい、或いは二十といつた議論がありましたが、結局まあできるだけ資本の蓄積も考えなければなるまいというので落着いたのが百分の六という前回の制度でございます。で、今回第三次再評価を認める場合におきまして、再評価税をどうするかという点についてはいろいろ御議論がありました。併し、我々第三次の再評価の性格をずつと考えて行きますと、結局第三次再評価というものは第一次再評価、第二次の再評価の一種の補正であるという以外には説明がつかないように思います。又同時にそういう考え方で再評価がなさるべきものではないか。今度倍率の一番大きく上りましたのは土地でございますが、併し、結局それは第一次、第二次の再評価後における土地の値上りが相当大きいということによるわけであります。ところが、この土地を例えば基準年次であります九十一年平均などに比べて見ますと、まだこの第三次再評価をやりました場合におきましては、土地の値上りの率というのは、例えば卸売物価指数に比べますと、決して高くなつておりません。そういうふうなところで、鞘寄せの意味におきまして結局第三次再評価というものが行われたということになれば、やはり第一次、第二次再評価の考え方と、それとの権衡を考えまして課税の面におきましても同じようなことを考えて行くべきではないか、ただ再評価というものをできるだけ一般的に実行して頂くということは、これは産業がその基礎を強くする上において是非必要である。こういうような観点からいたしまして、納税の方法等につきましては御承知のように第一次、第二次の場合におきましては百分の六の税金を第一年度におきまして百分の三、二年度、三年度において百分の一・五ずつ納めるようにしてあつたのでございますが、今度は百分の六を五年に延ばしまして、同時に初年度だからといつてたくさんということにしませんで、百分の一・二ずつということに納めて頂く、まあその辺でできるだけの配慮を払うことによりまして、やはり再評価税という本質的な建前はこれを保持して行くようにするのが理論の上から言つても合つているのじやないか、こういう構成をとつてございます。
  74. 土田國太郎

    土田國太郎君 今の局長の御説明は、物が上つたからまあいいんではないかという御意見と承わつておるのだが、今まで物が上つたからこういうものを課税をしたというためしは聞かない。まあ譲渡した場合に利益があつた場合、これは止むを得ないが、売りも買いもしないものを、貨幣価値の変動によつて課税されるというようなのは、今まで私は聞いたこともないのだが、これは逆に下つたこともあるので、そのときにあなたの今のお考え方だと現金を持つていた人は損をしたのだ、有形財産を持つた者は得をしたから課税するのだ。以前不景気になつたときには物を持つている人よりも現金を持つている人のほうが非常に利益があつたはずである。そのときに預金現金をお持ちになつておるかたには何らの私はこういう特別の処置はなかつたと承知しておるのだが、およそものを考えまするにはプラスだからどうだ、マイナスであつたからどうだ、二つの面を考えなければならんと思うので、今の御議論はプラス面ばかりお考えになつているように私は考えるのだが、自分としてはプラスであれ或いはマイナスであれ、これは一貫しなきやあならん、こういうふうにも私は考えております。なお、この再評価を奨励するというのには税が取られるということが一番この再評価を阻害しておるのでありまして、こういう点も十分にこれは考えて頂かなければならん問題だと思うのだが、特に再評価税に関連いたしまして、固定資産税を地方自治体が査定する、評価する場合に、地方が評価した固定資産税と自分が再評価をして届出でた額といずれか高いほうに固定資産税をかけるんだ、こういうような規則だと私は承知しておりまするが、そのように固定資産税を何故にこの再評価税にからまして来たのか、そのよつて来たるところをお聞きしたいのでございます。
  75. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) まあプラスとマイナスとは同じようにやはり若しプラスでやるならマイナスでもやるべきじやないか、私はそれは御議論としては正しいと思つております。ただまあ併し過去においてプラスもありマイナスもございましたが、その当時における物価の値上り値下りというものは、少くとも或いは戦争が始まつてから終戦後まで、終戦後から今までといつたように、大きないわゆる悪性インフレ的な意味における価格の変動というのは、これは私はなかつたと言い切つていいと思います。今土田委員も言われたように、不景気の時代において物価の値下りがあつた、これは確かにあつたと思いますが、併しその間における物価の値下り値上りというものの幅というものの程度は、私は終戦後において我々の月給を一つ取つて見ましても、まあ当時百五、六十円、二百円といつたものが今何万円と上つているのですから、それだけの大幅な値上り値下りというものは全然なかつたわけでありまして、従つてそういう特殊事情があつたればこそここに再評価税、再評価の問題も出て来るわけでございます。同時に昔のような取得価格でそのまま法人税なら法人税、所得税なら所得税の計算をして行けば、減価償却の計算の額におきまして非常に僅かな償却しかできない、そこに法人税や所得税負担の無理が出て来る、それを直さなければ資本が徒らに食い潰されて行くだけじやないかと、こういう問題が出て来るわけでございます。物価の変動の幅が割に小さな場合におきましては、そういう問題は特に出て来ないわけでございます。従つて再評価の必要というものが元になつている基礎を考えて参りますと、通常の物価の値上り値下りといつた程度で済まし得ない意味の大きな幅のものがそこに出て来る、そこに再評価法の必要も出て来ると同時に、再評価税という問題も出て来るわけでありまして、まあそんなことは私はちよつと予測できないと思いますが、例えば現在の価格が何百分の一に減るといつたような事態が出て来れば又問題はそこに発生して来ると思いますが、そういうことは私は殆んど可能性としては考えられんと思いますが、それがプラスがあるならマイナスがあつても同じじやないか、これは私は議論としては正しいと思つておりますが、今お挙げになりました意味の過去における不景気の場合の値下りとか何とかといつたものと、悪性インフレによる物価の値上りといつたものにつきましては、これは単なる量的というよりもむしろ質的と言いたい程度の違いがあるというところに再評価法の問題があると、かように考えております。  それから固定資産税の問題につきましては、現在のまあ固定資産税の規定には御説のように再評価額を下ることはできないという規定がございます。これはまあ考え方とましては、結局再評価される財産におきましても、相当のまあ老朽的なものもございますし、従つて徒らに再評価をただ額だけ上げて、結局それによる固定資産の償却等を殖やすというのも面白くもあるまいといつたような意味におきまして、一種のチエク・アンド・バランスの思想によりましてそういう規定ができているわけでございまして、固定資産税が重いからなかなか再評価が思うように行かない、これはまあいろいろ我々も聞かされている問題でございますが、固定資産税の問題或いは事業税の問題といつたようなものにつきましては、将来の問題としまして中央地方を通ずる税制改正という意味におきまして、いろいろ検討して見たいというふうには存じております。
  76. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと先ほどの質疑の続きですが、今の御説明ですね、それをちよつと逆に言つてもらえばわかりいいと思います。二十九条の十四号のところの「昭和二十五年四月一日以後贈与又は被相続人以外の者から遺贈に因り取得したもの」はどうなるかということ、これを除外したが、その除外しないものはどうなるか。
  77. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 大体普通の財産でございますと、取得の時期及び取得価額は現実に取得された時期及び取得価額、それがそのまま再評価の場合の基礎なつているのでございます。ところが、贈与、相続、遺贈によつて取得した場合におきましては、先ほどもちよつと触れましたことに結び付くのでございますが、被相続人が取得した時期或いはそのときの時価、或いは贈与によつて受贈者が取得した時期或いはそのときの時価というものによりませんと、相続の場合がないのですから、相続の場合だけについて説明さして頂きますと、被相続人の取得した時期及びそのときの時価、これによつて全部を考えて行こう、それは先ほども言いましたように、相続のときによつて一遍みなす譲渡所得課税しませんで、現行の制度によりますと、被相続人の持つていたものを相続人が譲渡した場合において初めて譲渡所得課税される、従つて若し何らの規定がない場合には、例えば私が相続人だとしますと、私が相続によつて取得した時期及び相続したときの価額によることとなるのでございますが、所得税課税と関連してこれに特例を設け、私の被相続人が取得した時期まで遡つてその取得時期及び取得価額を定めることとしておるのであります。従いまして、ここにはそういう例外的なものだけが幾つか並べてある。そこで、個人が贈与、相続人又は遺贈により取得した資産については、贈与者、被相続人又は遺贈者の当該資産の取得の時期及び取得価額を以て、それぞれその取得の時期及び取得価額とする、こういうような原則に立つているわけです。ところが括弧の中にありますものは、先ほどもちよつと申しましたように、シヤウプ勧告によりましたあの税制によつておりますものですから、相続のときに一応打切つてあります、計算がし直してあります。従つてそれは相続人が取得した時期というのは相続の時期であり、従つて取得価額というのは相続のときにおける時価が取得価額であります。黙つていればこれになる、それがここへ「除く」ということによつてそういう原則へ戻るのだ、こういう意味でございます。
  78. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、それは税金をかけられた価額ということなのですか。
  79. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 結局相続の場合におきましては、相続の時期における時価で以て課税することになつておるわけでございますから、従つて具体的には相続税の課税が行われましたときに、課税価額の算定となつたそのときの価額、それは更に一歩遡つて行きますれば、相続税法による時価、こういうことに解釈しております。
  80. 森下政一

    森下政一君 先刻西川君でしたかから、資産再評価をしてなぜ又課税するかという質問が出ましたのですが、資産再評価をすることはこれは非常にいいことだと私は思うのです。特に法人等の場合に経理の基礎が非常に強固になることになるのだから、これは進んで私は誰しもが再評価をしなければならんことだと思います。が、一回、二回と再評価が実施されたにかかわらず、今日なお再評価をしないものがあるというのは、恐らく納税が困難だというようなことに阻まれておるものに限つて再評価を今日まで実施していないのじやないかというふうに思うが、そうではありませんか。
  81. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) まあ我々主税当局で考えているせいかも知れませんが、私は再評価が或る程度まあ思うように行われなかつたということについては、税の関係が全然関係ないとは申しませんが、それほど大きいと言いますか、税の関係以外に別途相当な理由があるのじやないかというふうに思つておりますると申しますのは、例えば再評価の積立金が相当出るとすれば、それをすぐに資本へ組入れろといつた株主の要請がそこに出て来る、資本が大きくなりますと、現在におきましては相当高い配当をしなければまあ会社として一人前じやないといつたような、多少私どうかと思いますが、二割、三割とかいつた相当の高配当が普通になつている、こういつたような面からいたしまして、やはり会社経理の全体から見まして、余りそこに大きな再評価をするのはどうだろうか、会社経理が将来相当大きく収益が出て来る見込みがあるという会社は、これは割合に進んで再評価をしておりますが、会社経理の面から言いまして、まあその配当のことを考えませんでも、再評価すれば相当今度は減価償却をしなければならんという面が出て参りますので、会社の経理の上から言いまして、相当やはり収益が上つて来て配当もでき得るという見通しがない会社におきましては、やはりやる場合におきましても限度一ぱいということでなくて、その半分くらいやつておくとかという、こういう気風が相当あつたのじやないか、ただ最近におきましては大分そうしたものの考え方も変つて来ておるようでございますので、第三次再評価におきましては、私はそういう面と離れて相当の再評価が今度は実行され得るのではないだろうか、我々もそういうことを希望いたしております。
  82. 森下政一

    森下政一君 お説ですけれども、相当な高配当をしなければ、二割、三割というのは普通になつているとおつしやいますが、なかなかそうでないと思う。これは十分成績のいいものはそういうふうなものも少くないと思いますが、というてざらにそれだけの配当をせんければ一人前でないというほど高配当がポピユラーになつているとも私は思わないのですが、そこで会社の経理から考えて見ると、当然資産再評価をすることのほうが、より堅実の経営ができるということになるべきはずなんで、それが今日まで一回、二回と再評価が行われ、勧奨されておるのに、なお再評価していないというようなのは、結局税金というものが大きな障害をなしているのではないかということが考えられます。若しこれが今度の第三次資産再評価をやつて課税しないと仮にするなら、私はもう恐らく再評価しないものはないというぐらいにすぐ再評価するのじやないか、ただ当局の考え方としても、必ずしも税を取らなくてもいい、ただ取らなきやならんというところは、第一回、第二回の再評価との釣合がとれんということだけじやないですか、何かほかにどうしても取るべきだという理由がありますか。
  83. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 大体過去における再評価というものは、再評価限度額に対して六割七割程度平均しましてなされておるというふうに思つております。その中には我々のほうといたしましては、結局老朽等の故に当然限度額までなされるべきでないということも一応考えられるわけでありますが、そういうものは詳しく数字ではわかりませんが、そういうものが例えばないという場合における最高限度額というものを頭におきまして見た場合に、大体その六、七割程度までなされておるのではないかというふうに思つております。私も再評価について会社のやり方等について、どのくらいまで持つて行つたらいいだろうかという点についていろいろ意見を聞かれ、そのかたがたの御意見を聞かされたこともありますが、配当が何割という問題は別といたしましても、やはり再評価すれば今度は相当減価償却を立てなければ会社の経理としてはおかしい、従つてそうしますためにはやはりそれだけの収益の見込みがなければならない、やはりこれは相当な大きな関心の的ではなかつたかというふうに思います。  なぜ税を取らなければならんかという問題については、確かに第一次、第二次との権衡の問題は我々も大きく考えております。併し同時に第一次、第二次でなぜ税金を取らなければならなかつたかという点については、先ほど申したような問題が一つあるわけでありまして、そうしたグルンドの考え方が現在において変わるべき理由はないということが、やはり第三次においても課税すべき理由である。第一次、第二次も全然課税理由がなかつたというなら、これは第三次も課税すべき理由はないわけですが、第一次、第二次において相当の根拠があつて課税されたということの故に、やはり第三次においてもやはり課税根拠があると我々は考えております。
  84. 土田國太郎

    土田國太郎君 今の税金の問題なんですが、局長の意見は大体払えるという見込みの御説明のように私は伺つたのですが、第一次をやつた時代と、今日の時代は非常な経済界が違つて来ておるのです。今日は御承知のように、朝鮮事変がああいうように結末を告げてから、大企業でも赤字を出しておるようだから、その下請工場なり或いは関連産業、或いは普通の中小企業がみんな参つて来ておりまして、今申上げまするように経済が悪くなつておりますから、第一次、第二次の当時のお考えのようでありまするというと、今度の再評価というものはうまく行かないと私どもは考える。第一今三割、四割という配当は珍らしいようになつて来ております。三月期のあの配当も勿論御承知でありましようが、九月期の全国平均配当率より相当減つておるはずであります。それから三月期以後現在はなお悪くなつて来ておる。而も私は大企業ならば償却もできましようが、これは税金の納まらないことと、且つ償却のできないようなものが再評価しても、これはつまらん話なんです。何もならぬ。税金をただ取られるだけです。そういうようなことを今度は私はお考えを頂かなければならぬかと思う。それと今御承知のように全国で二十六、七万の法人会社があるでしようが、そのうちの大多数八割は小さな会社、即ち百万円以下の会社が二十何万あるとかいうことを私は聞いておるのですが、二十六、七万の会社のうちに百万円以下の資本の会社が二十何方もあるというのですから、八割は中小企業ですよ、今日の法人というものは……。それが果して全部資産を私は持つているとは言いませんが、その中の半分不動産を持つているといたしましても、固定資産を持つているといたしましても、なかなか今後の経済界から言つて、償却であるとか納税であるとかということはむずかしいと私は民間人としてそう見ておるのでございますが、主税局のお考えは今お伺いいたしますと、非常に景気のいいお話で、それが事実であれば誠に結構なんですが、どうも我々民間人にはそういうような楽観は許されない情勢なんです。特に二十万以上も百万円資本の小さな中小企業があり、或いは個人の業態もそれに等しいものでも、そういう面は折角のこの恩典も、税金というようなためと、或いは固定資産税との見合というようなもののために、この再評価というものが政府の意図しておるところと相違するのではないかというような考えを持つておるのですが、どうですか。今の景気のいいお話で行きそうですが。
  85. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私は別にそう景気がいいということを申上げたつもりは毛頭ないのですが、確かに最近におきまして事業会社の経営というのは相当苦しくなつていることは我々も考えております。従いまして予算の歳入等においても、一応そういう基礎の上に立つて歳入の見積りをしておりまして、特に今度の本予算が通過すれば、少くとも現状予算の暫定予算によつてやられているために相当苦しくなつている面などはかなり緩和されて行くのじやないか、こういうような程度のことは考えておりますが、先行きそんなに景気がいいという意味において物を考えてはおりません。併しその再評価税の問題と言いますか、これはその問題とは一応別でありまして、結局再評価ができればそれだけ固定資産の減価償却額も殖えますし、従つて法人税としては相当の軽減が受け得るわけなんですから、第三次評価を全然やらなかつた場合ということと比較すれば、そのほうの面において一応の負担軽減がある。ただ今土田委員のおつしやいましたように、最近相当やりにくい面もありますので、先ほども申したことを繰返すことになりますが、納税の面におきましては、前回は第一年度において百分の三を先ず納めて頂くということになつておりましたが、今度は第一年度においても百分の一・二といつたふうにしまして、五年間で漸次納めて頂く、こういうふうにしまして、いろいろな意味におきましてそうした事業をなさるかたの御都合もいろいろ考えました上で、同時に再評価税の建前というものはやはり一応通しておく、こういつたような考え方であります。両者の調和の上に立つてこうした案を立案した、こういうふうな考え方でございます。
  86. 小林政夫

    小林政夫君 念のために聞いておきますが、この政府提出の資料によると、第三次再評価実施による法人税の減収が十六億一千三百万円、それから個人の場合はちよつと書いてないのですが、それと再評価税収は第三次再評価実施により今年度の増収は、法人個人を合せて十億三千九百万円、これで間違いないですね。
  87. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さようでございます。
  88. 小林政夫

    小林政夫君 先ほど森下委員の質問に対して、前に取つたから負担の公平という意味において、今度の第三次も税を取らなければならないと、こういうことは税制改正の場合においては必ず起り得ることなんですね。所得税でも前の連中には重くしておき、今度新らしく減税すれば安くなるというような意味において、負担の公平ということが今度再評価税を取らないという理由一つに挙げられることは如何かと思います。そういう意味観点から一つ御答弁願いたい。
  89. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) それは税制改正の場合は一応前と負担が変りますから、それは例えば税率の高かつた昨年において大きな所得のあつた人、或いはそのときは所得が少かつたが、今年所得が大きかつた人、この問題は私は当然あり得ると思つております。併しそれはやはり一応時間を切りまして、その時その時におきましての一つ負担の公平という問題は当然そこに考えられていていい問題だと思つております。ただ再評価のような問題になりますと、これはどこまでも臨時立法的なものでございまして、曽つて再評価はやつたが、今度は余りやらない人とか、或いは曽つて余りやらなかつたが今度やろうという人とか、それぞれいろいろありますが、こういう場合におきましては、やはりこの再評価というものだけを一応縦に貫いての線というものが一つはつきり考えられて、そこに一つ負担公平という問題が論議されていいのじやないかと思う。ただ我々のほうは単純に第一次、第二次に再評価税を取つたから今度も取らなければならんと、そういつた単純な議論を申上げているのではなくて、第一次、第二次に再評価税を取つた場合においても、やはり相当の理由があつたわけでございます。その理由が現在においても相変らず続いておる限りにおきましては、やはり第一次、第二次と同じように再評価税は課税するのが然るべしと、かように考えているわけでございまして、一応所得税等における前年の課税と今年の課税といつたような場合と私は性格が違つて考えらるべきものではないか、かように考えております。
  90. 小林政夫

    小林政夫君 私は第一次、第二次のときと今度の場合とは、大分そういつた面においては情勢が変つておると思う。第一次のときは財産税も取つた直後であるし、或いは金銭債権を切捨てたとかいうような、そういつた金銭債権等と比較をして、理論的には再評価税を取る根拠はないけれども、そのほかに例えば価格差益金を取るとかいうような一連の問題と比較して、この再評価税を取らないということは、ちよつと政治的というか、そういつた意味負担の公平という意味からも、取つたことも止むを得なかつた、併しその後においては、今の状態においては、大分その点は状況が変つて来ておるのじやないか、だから別に第一次、第二次の延長だ、その足らざるを補うのだという、ただ引延ばしただけの考えでおられるならば、そういつた前の条件も入つておるのだということになるけれども、これは今の資本蓄積という点において、非常に重要なときに、この再評価こそは非常に普遍的なものなんです。法人税の軽減を特別措置によつてやるということは、業種により、又当該業種の指定設備というようなことで、個々の恩典に浴するものもあるし、浴さないものもあるが、再評価に関する限りにおいては、税を取りさえしなければ、普遍的な措置として資本蓄積に非常に役立つ、こういうような状態から行くと、大分第一次のときと今度の場合とは社会環境が非常に異なつておると思うのですが、如何ですか。
  91. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) あとのほうからお答えしたいと思いますが、普遍的であるということは、これは確かに他の措置よりも普遍的な面はあろうかと思いますが、併し租税負担全体から考えてみますと、結局第三次再評価によつて恩典を受けるものは、個人にしましても法人にしましても、結局会社とかそういう法人に直接関係のある面だけでありまして、それで租税全体を負担しているものとしては、まあ他の委員会でもよく御議論がありますが、企業所得者の租税負担の問題もありますし、或いは農民の租税負担の問題もありますし、給与所得者の租税負担というものも大きい、これはすでによく御承知通りでございまして、そういつた面からいいますと、これはあらゆる納税者に普遍的なものだということに結論付けるのは如何かというふうに私は思つております。それは例えば輸出なら輸出振興の問題とすれば、これは又このほうが幅は広いと思いますが、併し租税全体という面から考えてみますれば、やはり納税者全体の数からいえば、これによつて会社全体がよし二十万あるとしましても、所得税を納めている人は一千万からあるというようなことから考えてみますと、必ずしもそれが普遍的なものであるということが、これは程度問題ですから、私としましては普遍的な問題と言い切ることについては、さようでございますと言うのもちよつと如何かと思つております。それから第三次が第一次と第二次の、どうしても私はやはりこれは補足的なものだというふうに考えざるを得ないと思つておりますのは、結局それじや又第四次の再評価をやるか、第五次の再評価をやるか、こういつたような議論が当然出て来るわけでありますが、私はそういう必要が当然出て来るような情勢になるということも、勿論政府としては好ましくないことでありましようし、絶対にそうあつてはならんという意味においては、予算案などにも、是非お組み願いたいと思つておりますし、従いまして、それじやなぜ第三次再評価をやるか、こういつたような問題になつて来ると、やはり一応第一次、第二次再評価と、それのいろいろ補正的な面もあるが故に、第三次再評価というのはどうも第一次、第二次のやはり補足的なものであり、その補正的なものであるべきじやないだろうか、で将来これが第四次再評価というものの前提になるといいますか、出発点になるものじやないか、こういうふうに考えて行くべきじやないか、かように考えております。
  92. 小林政夫

    小林政夫君 これ以上やると議論になるけれども、要するに第二次は、これは明らかに第一次の補正なんです。第一次の資産再評価法を最初に公布したときの社会情勢その他の一連の税制面とか、或いは金融措置等々と考えて、現在とは相当情勢が違うということはいい得るのじやないか、それから今の普遍的かどうかということは、企業の資本蓄積という点から行けば、今いろいろととられておる租税特別措置法関係の個々のものよりは、私もより普遍的であるということを言つておるのだけれども、この点はあなたも必要の問題だと言われましたが、こつちのほうがより普遍的だという意味において、余り意見の相違はないようですが、より普遍的の「より」の書き方が僕は大きいと思うのだけれども、その点はこのくらいにしておきます。  それから、これは今度の改正じやないのですけれども、やはり前からある規定ですが、第四十条の第二項の規定の「当該資産の最初の帳簿価額がその取得価額に満たない場合においては」というのは、どういう場合を予定されておるのですか。
  93. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 「当該資産の最初の帳簿価額がその取得価額に満たない場合において」のその満たないという点だと思います。大体当該資産の最初の帳簿価額というのは、取得価格であるというのが普通の常識だというふうに思います。ところが現実の事態にぶつかりますと、取得価額というものと帳簿価額が違う場合といいますか、これはまあ或いは単純にこういう規定がなくて、ただ取得価額といつて議論して行つた場合におきまして、実際の取得価額が百二十円であつて、帳簿価額が百円であつた、それが今度百五十円に再評価された、こういつたような場合、その場合におきましては、百二十円と百五十円の差額ですね、これは再評価の税の対象として扱う、併し百円と百二十円のこの開きは、本来百二十円として帳簿に記載され、それによつてあらゆる課税がなされて行くべかりしものである、従つてこの二十円については再評価差額としては扱わないで、本来の法人税の課税対象として扱う、こういう意味であります。
  94. 小林政夫

    小林政夫君 本来の、今の最後の問題ですね、法人税の対象として扱うんですか、これだけを脱税を認めるようなことになるのですか。
  95. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その百円と百二十円との差額の二十円については課税をする、評価益であります。
  96. 小林政夫

    小林政夫君 評価益じやない。
  97. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 考えておりますのは、百円の帳簿価額を百五十円に評価するわけですね、そうすると、五十円の差引評価益が出るわけです。このうちで再評価差額として認めますのは三十円であつて、二十円は普通の評価益、従つて普通の評価益という意味は他の財産利益と一緒になりまして課税対象になるわけであります。
  98. 小林政夫

    小林政夫君 標準取得になるんですか。
  99. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さようでございます。
  100. 小林政夫

    小林政夫君 そうでないと、別途裏金でもつて金を注ぎ足して、本来十万円のものを五万円を別に出して、帳簿価格のほうは五万円だというときに、併しそれはやはり十万円で買つたのだということを認めることになるので、別途に出した五万円は、実際は十万円の物の取得があつたわけだから、そういう意味においてなくする、こういう意味を実際にこれは持つておりますね。
  101. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さようでございます。
  102. 小林政夫

    小林政夫君 ついでに申上げておきますが、先ほど資料としてもらつた二十八年度税制改正法律案要綱に落ちておるのです。三十九条二項による公益法人の企業用資産の再評価税を取るということが、今度新らしくきめられたわけですけれども、提案理由説明の中にはちよつと触れてあるが、この法律案改正要綱には挙つておらない、これをもう一遍正確なものにして、補正をして再提出してもらう必要はないが、補正の箇所だけあとで……条文的に落ちておる箇所がありますから、条文的にもこれこれの要綱はその何条だと……いろいろな所得税等について漏れがある、一遍あとで結構ですが、訂正してもらいたい。追加してもらいたい。
  103. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) かしこまりました。
  104. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。
  106. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと待つて下さい。何か森下さんは再評価税を取ることには反対のようだし……。
  107. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  108. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。  次に、砂糖消費税法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑を願います。
  109. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 先刻御要求のありました各種砂糖についての砂糖消費税の負担割合、現行と改正との比較、これについて御報告申上げます。  先ず第一種の含蜜糖の甲類の負担でございますが、甲類と申しますのは樽入の黒糖と樽入の白下糖とあるわけでございますが、只今資料を調べましたところ、樽入黒糖の場合は季節が外れましたので、現物も少いようになつておりますので、ここにおきましては樽入白下糖の価格と消費税を調べました。現行の税込み樽入白下糖の価格は一キロ当り四十四円でございます。そのうちの消費税四円でございますので税込み小売価格に対しましては、負担割合いは九%、これは卸売価格でございます。小売価格はなかなか変動が多くてわからないものでございますから、卸売価格のほうがわかりがいいかと存じますので、今申上げましたのは卸売価格でございます。卸売価格の税込み価格が四十四円、うち消費税四円、税込み小売価格に対する割合は九%、税抜き小売価格に対する割合は一〇%、こういうふうになつております。これが改正後となりますとどういうふうになるかという問題でございますが、御説明申上げました通り、樽入白下糖につきましては税率据置きでございますので、この点については異動はないわけでございます。  その次は第一種の乙類の砂糖でございます。これは樽入含蜜糖のうちのその蔗糖度が八〇度を超えないものでございます。普通ハウシヤン糖と我々言つておりますが、台湾等から輸入されるものが非常に多いわけです。そのうちの蔗糖度が八〇度以下のものでございます。先ず現実の卸売価格は税込み五十円でございます。そのうちの消費税は現行におきましては四円、そのうちの関税がこれにはかかることになつておりますので、関税が四円六十六銭、消費税が四円、合計八円六十六銭消費税がかかつておるわけでございます。で、税込み価格は五十円となつておるわけでございます。税込み小売価格に対しますところの関税と消費税との合計税額の割合いは一七%、こういうふうになつておるわけでございます。税抜き価格に対しましては二一%こういうふうになつております。これが改正後になりますと、この税率は百斤当り四百円が八百円に上りましたので、一斤当りが四円から八円に上る、こういうふうになるわけでございます。改正後におきましては関税が四円六十六銭、消費税が八円、合計税額十二円六十六銭となりまして、税額そのものが価格に反映いたします。こういたしますと、税込み卸売価格は五十四円、こういうふうになるわけでございます。従いまして、税込み卸売価格に対しますところの税負担は二四%、税抜き卸売価格に対しますところの負担割合は三一%、こういうふうに上るわけでございます。  その次は含蜜糖の丙類でございますが、これは八十一度以上の蔗糖度の多いものの含蜜糖でございます。これもハウシヤン糖で台湾等から来るものが大部分でございます。これの現行の価格は税込みで五十四円、そのうちの関税が、これは消費価格が高い関係上、乙類に比べまして若干高めでございまして、    〔委員長退席、理事西川甚五郎君着席〕 五円十八銭、消費税は同じく四円、合計税額は九円十八銭、従いまして税込み卸売価格に対しますところの税負担は一七%、税抜き卸売価格に対しますところの負担割合は二〇%、こういうふうに現行はなつておるわけでございます。これが今回増税になりまして、税関は依然据置きでありまして五円十八銭、消費税は一斤当り十七円となるわけでございます。そういたしますと税額は合計二十二円十八銭となりまして、そのまま税額の増加が卸売価格に反映いたしますと、税込み価格は六十七円となります。そういたしますと税額の税込み価格に対しますところの割合は三三%、こういうふうになるわけであります。税抜き価格に対しましては四九%、こういうふうになるわけでございます。  その次は、最も基準となりますところの分蜜白糖であります。
  110. 小林政夫

    小林政夫君 あとで資料で出してもらえばいいですから、今一番高いのをちよつと言つて下さい。
  111. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 一番高いやつを申しますと、これは最も分蜜白糖が高めになるわけでございます。国会提案当時は砂糖の価格は下つておりましたので、今日早速調べましたところ、砂糖の価格が又上つておりますので、税負担割合は変つておりますが、提案当時考えておりますしたものは大体税込み価格は六十六円になるわけでございます。この六十六円は小売価格であります。そのうち関税は五円六十四銭、消費税が十九円五十銭、合計二十四円十四銭、税込み価格に対します税負担三八%、税抜き価格に対します割合は六一%こういうふうになつております。
  112. 小林政夫

    小林政夫君 卸売に対しては。
  113. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 卸売は前に申しました資料によります卸売価格に対します割合は、ちよつと計算してあとで差上げます。
  114. 小林政夫

    小林政夫君 それじやあとで会へ帰つて説明する都合があるから、成るべく今日中にプリントにして出して下さい。
  115. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 卸売価格が必要でございますか。
  116. 小林政夫

    小林政夫君 だから小売なら小売、卸売なら卸売、相互が比較できるように同じベースでやつてもらいたい。
  117. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 早速資料をやり直してお出しいたします。
  118. 平林太一

    ○平林太一君 この税の引上げによつて相当のこれは生活必需品としての、いわゆる大衆課税の色が非常に濃いわけでございます。そこで砂糖税の引上げによつて税収の増額は全部でどのくらいに相成つておるか。これが第一。  それから第二は、工業用、それから一般の家庭用、この消費に対するパーセンテージが明確に相成つておるわけであるのでありまするが、その点を明らかにせられたい。工業用としては全部でどのくらい使つておるか、それから一般家庭用としての砂糖はどのくらい使つておるか、この点を承わりたいのでありますが、今すぐできますか。
  119. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 砂糖消費税の税率引上げによります増収の見込額は三十二億一千五百万円を本年度において見込んでおります。三十二億一千五百万円。  それからもう一つ、第二のお尋ねでございます家庭用と、それから工業用と、工業用と申しましても、結局或いはお菓子になり、或いは清涼飲料になりまして、結局は一般消費に使われるわけでございますが、その分につきましては正確な数字はちよつとここで手許に持つておりませんが、たしか六割くらいが家庭で砂糖の形で消費されまして、四割くらいがお菓子、或いは清涼飲料とか、そういうものの味付けに使われる、かように思つております。
  120. 平林太一

    ○平林太一君 そうすると、三十二億円の税収見込に対する六割がいわゆる一般家庭用としての大衆負担から生ずる増収入に相成ることになるでありましようが、六割と申しますと約二十億円が大衆課税として、これがそれだけ負担に相成るのでありますが、そうして全体を見まして最早所得税の問題についても実は相当に引下げをして行かなければならないのでありまするが、一向そういうことをいたしてない。然るに、更に大衆税としての砂糖消費税というものが、そのように再引上げを考えておるということの意思はどこに一体あるのか、私から申しますれば、いわゆる国の税収入に対するところの考え方、又思想的にも、思想といいますか、こういうことをいたしてみれば、これは際限がない。そうして次々に大衆の使つておりまする関接税というものを、直接税は減るどころではない、とにかく更にだんだん殖やして来る。一方更に大衆課税となるものに対して明らかに目をつけて、そうしてこれを引上げをして行くという考え方、それからそういう施策、そういう態度というものに対しては、私自身としましては甚だ長い間の官僚の何といいますか、惰性によりましてそういうものを全然改めない。そうしてひたすら国家予算というものの増収入というものにのみ拘泥して、そうしてそれを引上げるということに対する反省は更にない、こういうことでありますが、こういう私は政策なり政治方式というものは、非常に峻厳に考え直さなくちやならんと思うのでありますけれども、それを専門技術的に、この砂糖消費税に対しては、これは引上げをしようということになつた基本なり、それからそういう根本がどこにあるか。いわゆる一応の項目をずつと並べておつて、生活必需品に対して、これらはもう少し殖やそう、殖やせば殖やすだけ行政府というものは……それに対して殖やす方向を、その官僚機構の中に作つて行くというふうにも考えられるわけでありますが、これに対する主税局長のいわゆる極めて良心的な、主税局長としては、それはやはり当事者として、国民の負担を鋭意軽からしめようとすることが、私は今日の極めて良心的な優れたる主税局長の思想であり態度であると私は信じておりますので、その点を改めて伺いたい、かように思うのであります。
  121. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 税負担、特に現状における税負担が相当重いお担になつておりますので、できるだけこれを何らかの恰好において軽くして行きたいということは、実は私終始考えておるところでございます。問題はどうしてもやはり歳入というものが歳出と裏腹にならざるを得ないものでございますから、歳出のほうにおきまして相当の必要があり、ふくらんで参りますと、歳入のほうにおける現象と言いますか、厳重なるおのずから限度が出て来るわけでございまして、そこに止むを得ざる、まあこの辺で我慢して頂きたいということに実はならざるを得ないわけでございます。今回の税制改正におきましては、全体を通じまして、政府といたしましては千億の減税ということを目途にいたしまして、特に所得税を中心としまして減税の方針をとつて各法案を作つて来ているわけでございますが、まあ、ただなかなか今度の減税措置をとりましても、その負担が思うようにまだまだ軽くならんじやないかということはございますので、将来の問題としましては、更に歳出のほうの節減を図るとかいう面と見合せまして、何とか考えて行くべきじやないかというふうに考えております。そういうふうに千億減税を片方に考えておきながら、何で砂糖消費税だけについて、よし二割であれ増税するかという点に一応の御疑問が生れて来るのは当然だと思つております。税の全体の体系としまして、現在直接税、特にシヤウプ勧告以来の全体の考え方としましては、直接税を中心として税制を組んで行くということにずつと進んで参つて来ておるのでございますが、直接税、特に所得税等が相当の大衆課税なつている。この面につきましては、負担関係から言いましても、執行のほうから言いましても、いろいろ問題が多うございますので、より間接税に相当の重点をおくべきではないかという御議論もかなり伺つておるわけでございますが、と申しまして間接税としてそれでは何をとるかという具体的な問題になつて参りますと、なかなか適当なる間接税も実は現在行なつている以上には見出し得ないと言いますか、問題の多いものばかりでございます。そこで具体的に砂糖消費税になりますが、一応この税金は相当古くからあつた税金でもございますし、一応課税の上からも割合に馴れている税金でもございますし、同時に今朝ほどもちよつと御説明申上げましたが、戦前の負担等と睨み合せてみますと、砂糖消費税はもう少し上げてもいいのじやないだろうか、結局は全体の税収というものの見合いにおきましてできるだけ多く軽減する、同時にその軽減の中心を所得税におく代りに砂糖消費税におきましてはこの程度の増税は止むを得ないのじやないか、それが税全体を通じまして一つのバランスを考えて行く上におきまして、決して安い税とは思つておりませんが、現状としましてはこの程度の引上げは止むを得ないじやないか、かように考えている次第でございます。
  122. 平林太一

    ○平林太一君 今主税局長から御答弁を伺つておるのでありまするが、根本的に非常にこれは我々とは考えを異にしておる。それで只今千億の減税をいたしたというが、いわゆる国民の、所得、これを対象として税の歳入を見込んでいる。そうすると二十七年度においては五兆六、七千億であつた。又本年の二十八年度は更にそれが六兆五、六千億に達している。そういたしますというと減税したといつても、実際において歳入としてそこに現われて来るのは、いわゆる現状維持を以てするならば、一千億なり一千数百億の減税を以て、国民所得の増収ができることによつて、それだけつまり国家の税収入というものは多くなつて来るのである。だから当然減税ということは考えなければならん。その現状におきますれば、その所得に対する全体の一七%なり一八%というものを大まかにかけて行くのでありまするから、そうすると国民のほうでは幾ら孜々営々と働いても、その余剰というものは、いわゆる働けば働くほど税としてかけられる。そうして働いた報酬というものが更にそこに現われて来ないということは、国民の勤労意欲というものに対して非常な阻害をなすものである。そういうことを考えて、いわゆる増税というものに対しまして私は非常に考えが違うと思う。殊にこの砂糖なんというものは極めて家庭においても消費の面におきましては、いわゆる平和的な一つの生活必需品である。それにもなお苛酷に増税をして行くというようなことは、今まあ砂糖なんというものはこのくらいの、二割ぐらいかけてもいいのじやないかということは、主税局長甚だ国民大衆を甘く見た態度である。砂糖が甘いから非常にそういうふうに甘く見られるのかというようにも取れるのでありますが、これはよろしくない。却つてそういうものほど何と言いますか、温和な地帯に置くように、いわゆる平和の地帯にそういうものを置いて、そうしてほほえましい安らかな間に砂糖というものを使わせるようにできないか、これが真の税制、いわゆる税を対象とする政治の本体ではないか、かように考えるのでありますので、これは改めて申上げるのでありますが、殊に三十二億中の六割がいわゆる家庭用として使われておるというものであると伺つておるのでありますが、工業用等におきましては、これは使う目的が、国民の消費として消費される目的がそれぞれ異つて参るのでありますから、これは別といたしましても、六割に対する家庭用に対しましては現状維持で置くべきではないかということを強く考えるのでありまするが、十六、七億のものは全体の国の税収入から、一千億円内外の税収入からしますれば、極めてその影響というものは僅少なものであると思うのであるから、これをこの際は前年度現状維持で行くような処置を、特にこれに対する修正を願う私どもといたしましては希うのでありますが、こういうものに対して技術的に何か主税局長としては考えがあるかどうか、全体の税収入の中から十七、八億ぐらい出すということは何でもないことである、そういうふうに思うのでありますが、その点どのように考えられるのでありますか、税に対する技術的な局長の蘊蓄を一つ伺いたいと思います。
  123. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 国民所得が殖えて来る。これは我々もそういうふうな基礎に立つております。やはり減税という言葉は、よく税法上の減税とかいろいろお話がございますが、私はやはり税法が変ることによりまして税金が減つて来るということは、やはり実質的にも税法的にも減税ではないかというふうに考えております。ただ物価が非常に水準的に上りまして、例えば所得税について申上げますれば、今まで所得一万円のかたが一割税金を背負つていた、今度物価が倍になつて二万円になつたけれども実はもとの一万円と同じ、こういうかたが相変らず一割であるために税率なり控除が変えられたとすれば、これはもう本当のノミナルな減税に過ぎませんが、現在CPIの動き等から見てみますと、このほうはそう大した上り方をしておりませんし、従いまして実質的に所得が殖える。従つてその場合におきまして勿論できるだけ国の経費を切り詰めまして、減税を図るべきでありますが、それはやはり実質的にも税法的にも減税じやないかというふうに考えおります。今度の千億減税の場合におきまして、何と申しましても現在一番大きな負担として悩みの中心になつておりますのは所得税でございますので、一応所得税を中心にしまして減税をして行つたわけでございますが、同時に先ほどもちよつと触れましたように、いろいろな面におきまして負担の調整を図るということが必要でございまして、そういう意味からいたしますと、砂糖については二割程度の引上げをすることが全体の負担の調整上いいのじやないかというのが、先ほど申したことを繰返すようで恐縮でございますが、現在出ている結論でございます。
  124. 平林太一

    ○平林太一君 今主税局長から御答弁を伺つておりますが、委員長大変急いでおられるようでありますから、できるだけ議事の進行を図る上において私の意見を申上げることを差控えたいと思いますが、本年は砂糖につきましては只今の二割なりを了承いたしたことをここで一応申上げておきます。併し、二十九年度予算の編成は早晩主税局長の手許においてはこれが開始せられるのでありますが、明年度以降においては、いやしくもかくの如き平和なあれを持つている砂糖消費税などについては目をつけないようにということを再び御注意を申上げておきます。  併し、局長からこれに対して一応意見があるようでありますから、それを伺いたいと思います。
  125. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 御趣旨のような点につきましては、今後の税制改正の場合に篤と検討してみたいと思つております。
  126. 森下政一

    森下政一君 砂糖消費税ですね、午前中にもどなたかの質問にお答えがあつた思うのですが、だんだん皆さんの質問に答えられるのを伺つておるのですが、どうもこの程度の引上げをやつてもいいのじやないかとおつしやることが、どうしても納得が行かんのです。そこでかねての御説明の一番主眼をなしておるところは、根幹をなしているのは、他の消費税との負担の均衡という点に重点がおかれておるように思うのです。そこを一つ納得の行くように御説明してもらえんですか。他の消費税との負担の均衡を欠いておる、引上げなければならんのはそこなんだという、そこがどうも納得行かんのです。
  127. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 結局負担の権衡という問題になりますと、比較の問題になるのでございますから、そこに十分御納得の行く説明ができ得ないことを恐縮に存じておりますが、衆議でもいろいろ甘党や辛党の御覧がございまして、酒のほうは下げているのに、砂糖のほうを上げるのはどういうわけかというふうな御意見があつたのですが、併し酒と砂糖を比較するのはいささかどうかと思いますが、甘党と辛党というお話がよくあるものですから、一応簡単に比較させて頂きますと、酒のほうは今度相当税率の引下げになりましたが、なお税抜き価格に比べますと実は清酒の二級で十五割、或いは焼酎で十四割、或いはビールで二十二割、こんなような高い税金に実はなつておるわけでございまして、まあ全体としまして実は直接税を中心に考えて行くべきか、間接税中心に考えて行くべきか、こういつたような御議論も随分ございます。もう少し間接税を充実して行くほうが、現在の日本所得の階層で考えてみますと、どうしても所得税そのものが大衆課税なつているのじやないか、或いはそういつた意味におきまして、もう少し同じ大衆課税なら間接税に依存すべきではないか、こんな御議論もあるわけですが、ただ間接税というものを見て行きますと、なかなか適当な税目もないというところに、どうしても煙草、酒といつたものと並んで砂糖消費税というものが問題になつて来るわけですが、我々のほうで砂糖消費税の引上げを考えましたのは、実は砂糖そのものの、砂糖消費税における現在の税率が戦争前に比べまして大体二百五十倍程度になつておる、諸物価が三百倍というのが一応の考え方なつておりますので、その程度までは砂糖消費税を引上げ、そこに或る程度の税収を求めることも許され得ないものでもあるまい、こういうことで一応今度の二割引上げの提案なつた次第でございます。
  128. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  130. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 砂糖消費税法の一部を改正する法律案に対しまして反対をいたします。その理由はこれは引上げになりますのに、どうしてもこれは大衆課税になるということが第一点。それから第二点につきましては消費税の滞納者の整理方についてでありますが、これは大抵メーカーのほうでは、庫出しするときに皆税金として取つてしまう。ところがその間において約一カ月くらいは、これはメーカーのほうでその税金を取つておきながら、今でも大体調べてみますると、製糖会社のほうでは出庫の際に殆んど現金取引で税金も、それから物品の代金も併せてとつてしまつておる、ところがその間税金を国庫に納入するまでの間は、みずからの責任で保管しておつて、これを回転している、この利益だけでも莫大だということを特に言われておるわけでありますが、相当運用しておる、国の税金をメーカーのほうで運用する権利を与えている。これらに対して滞納の際にも極めてゆるやかな滞納の処分方法が第十二条の四で新たに制定されておるのでありますけれども、これは我々からみるならばむしろゆるやか過ぎる、一般の所得税の滞納の強制徴収方法と比べましたときに、非常にゆるやかであつて、製糖業者を儲けさせるような点が私は多々あると思うので、この点についても極めて不満である。次に細かい問題でございますが、この法律は、非常に今の法律の形式は古い形式そのままを引継いでいる、而も本則におきましては片仮名で文語体を使つておきながら、今度は附則だけは平仮名を使つている、こういう法律の形態等はこの際改正されるならば、どうせ全文改正されるように、これはどんどんこういう機会に直して行くようにしなければならん、こう思うのにかかわらず、本則のほうだけはそのままにしておいて、そうして附則だけこういう平仮名にするというのは、どうも木に竹を継いだような法律なつてしまうと思うのでありますが、こういう点などはこの機会に直すほうがいいのじやないか、余りにも事勿れ主義というか、どうも大蔵省はこの点についてはやり方がずるいのじやないか、現在の状態に合わすようにしなければならんと思うのですが、そういう点はこの際やらなければならん、なぜやらなかつたかということについて、ちよつと大蔵省はずる過ぎると思うので、この点からいたしまして、この砂糖消費税法については遺憾ながら我が党は反対する次第であります。
  131. 森下政一

    森下政一君 私もこの法案には反対いたします。理由只今菊川君が縷々述べられた次第でありまして、大差ないのでありますが、殊に先刻平林委員の質問に対しても局長から御答弁があつたように、砂糖の全消費量の六割くらいまでが家庭で消費されるものであるということははつきりしている。これはこの消費税の負担の均衡の点から酒、煙草等の税金と比較した説明がありましたが、家庭で消費する砂糖というものは酒や煙草とはちよつとわけが違うと私は考える。酒とか煙草とかいうものは、非常に仮に税金が重いという場合に、相当みずからこれは消費規制ができるというわけのものだが、砂糖はそう簡単に行かない。これは生活上の嗜好品でなくして、まさに必需品だと私どもは考える。戦前における砂糖消費税の負担の割合と現在とを比較されて、この程度までは引上げの幅があるのじやないかというような御説明があつたが、それなら税制改正のたびに所得税でも戦前と同じような観点に立つて、そこまでくらいで抑えるということができるかというと、そうじやない、所得税のほうはなかなかそうは行つていない、例えば戦前千二百円までが免税点、こういうものが設定されていたが、今日はそうは行つていないということを考えてみると、これだけ戦前くらいの幅を持たせた引上げをやつてもいいのじやないかとおつしやるけれども、まだそれにはちよつと納得できない。従いまして、菊川君の指摘する通り、まさに大衆課税であるということを考えると共に、生活の必需品だということを考えますときに、これだけを引上げて行くということは、自由党政府の一連の減税措置から考えてみましても、私は誠に遺憾に堪えない、こう考える次第でありまして、さような意味においてこの引上げには反対するものであります。
  132. 平林太一

    ○平林太一君 私は本案に対しまして先刻質疑をいたしましたごとく、本案を提出いたしました政府の態度に対しましては、まさに税制に対する砂糖消費税の問題は、いわゆる関税、消費税とすでにこれは二重になつておる、而もそれが事いわゆる家庭の極めて平和を愛好するところのものであつて、酒のごときものとはこれは違います。只今森下委員からお話のありました通り、先刻主税局長は酒と煙草の比較をいたしましたが、酒のごときはややもいたしますれば平和を阻害する存在である、併し砂糖に限つては、酒とは全然違つて、常に和気靄々たる家庭を駘蕩とさせるところの平和的な家庭消費の対象である。かようなものに対して苛酷な税をかけて行きますことは、何といたしましても、腑に落ちないのである。只今菊川さん、森下君からお話がありました点に、私は満腹の同感を表するものであります。併し、本案に対しましては、極めてかくのごときわかりやすい事理明白なものに対しまして、大蔵当局がかような措置をいたしたことは、要するに千慮の一失、或いは弘法にも筆の誤り、そういうことでこれはなさつたことと思いますから、その点を本日は了承いたしまして、本案に賛成いたします。(笑声)二十九年度においては速かにこれの引下げを断行して、その過ちを過ちとして、明確になされることを強く希望いたしまして、二十九年度においては、現状維持どころではない、只今の両委員お話を承わるにつきましても、私といたしましても、強く更に要請するのであります。どうか、これは来年度においては引下げるということにすることを強く政府に警告をいたしまして、本案に賛成をいたすものであります。
  133. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) それでは、御発言もないようでありまするから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  砂糖消費税法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  135. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 多数であります。よつて、本法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することといたし、あらかじめ御了承願いたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二条により、委員長の議院に提出する報告書に対する多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     三木與吉郎  前田 久吉     土田國太郎  小林 政夫     山本 米治  青柳 秀夫     平林 太一  藤野 繁雄     岡崎 眞一
  137. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 次に、富裕税法を廃止する法律案、これについて御質疑を願います。
  138. 森下政一

    森下政一君 現行法で富裕税を徴収し得る見込額と、今度これを廃止して、その代りこの所得税の累進率を上げたことによつて徴収し得る金額を双方比較してどういうことになりますか。
  139. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 富裕税の廃止によりまして、二十八年度に見積つてございます減収は十八億九千九百万円、それから、他面富裕税廃止に伴う税率引上げによりまして、所得税のほうで見積つてございます二十八年度の増収見込み額は六億五千七百万円、これはまあ二十八年度だけでございます。必ずしも平年度はこの数字と違いますが、一応二十八年度におきましては、そういう数字なつております。
  140. 森下政一

    森下政一君 平年度と仮に比較すると、どうなりますか。
  141. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 富裕税を廃止することによる平年度の減収は、二十七億五千万円、本年度は、二十八年度分と言いますか、今年の二月に申告された分が二十八年度には一部入つて参りますので、その経過的な関係によりまして、八億五千百万円が本年度入りますので、差引きまして、本年度の減収は、十八億九千九百万円、それから税率引上げの分は、大体これはそのまま本年度年度一ぱいに入つて来ると見ていいと思つております。従いまして、先ほど申上げました六億五千七百万円の数字は初年度数字であると同時に、平年度数字というふうに御理解願いましても大差ないと思います。
  142. 森下政一

    森下政一君 只今の御説明によりますと、現行の富裕税を負担する階層は、富裕税が廃止されて、たとえ所得税の累進率が引上げられても、結局負担は軽減するということになるわけでありますが、そう判断していいわけですか。
  143. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 一般的に言いまして今森下委員のおつしやつたように、現在富裕税を負担しておる階層の負担と言いますと、大体一般的に言えば……実は細部に亘りますと、必ずしもそのお言葉が当らないかも知れませんが、一般的に言えば、お説のようなことになるというふうに御理解願つて違いはないと思つております。
  144. 森下政一

    森下政一君 どうなんでしよう。いろいろの法案審議の質疑に対して局長がお答えになつておるお言葉の中にも、昨年減税ということを目論んで、各般の減税措置を各種の税について講じておるけれども、なお税が必ずしも安いとは言えない、高い。もつと軽減措置を講じなければならんと考えられる節もあるというお言葉もあつたわけなんですが、現に、この所得税のごとき、何回となく軽減措置が講ぜられておるけれども、本当に負担の軽減ということにはなつていないじやないかというふうないろいろ非難がある。殊に、これは財政上の必要から止むを得ないことかとは思うけれども、比較的所得の乏しいところの階層が人数が非常に多いというような関係で、そこまでいろいろな段階を設けて税を徴収しないことには、財政上必要とする収入を上げ得ないというふうな関係にあつて、比較的私は軽からざる税金が経済力の豊富でない階層にしわ寄せされておるように思うのですが、さような際に、相当の資産を持つておると思われるいわば負担に堪え得る階層に、こういうふうな軽減になると思われるような措置を直ちにやる必要はないじやないかということを考えるのですが、御所見どうでございましよう。と同時に、私の記憶が若し間違いでなければ、富裕税というものを自由党が作つた時の考え方、当時の説明としては、所得税の累進率をたしか五〇%最高に抑えたというときに、それとの釣合いをとるために、たしか五百万円以上の財産のある者に富裕税というものを別に課する、而もその税率というものは決して多いものではない、これによつて、併しながら一方累進率の最高限度を抑えるということの埋め合せをしたのだつたと私は記憶するのですが、若し今回のように、六五%というのが最高になつておると思いますが、ああいうふうなところまで累進率をとるということならば、前回のようにもつと高い率があつたわけですから、六五%で抑えて、そうして富裕税なんというものは作らんという措置をとつておつても同じ結果になつておつたと思うのですが、当時としては累進税率を抑える一つの埋め合せだというので富裕税を作つておいて、今度六五%まで引上げた。而も実際の運用の面からすれば、富裕税を取るよりは収入は少いというような措置を講ずるという、前年富裕税を創設したときに世間を納得さすために説明をした説明というものを弊履のように捨てるような気がするのです。一時的に世間をごまかしておつたというような工合にとられる嫌いがあるのではないかという工合に考えるのですが、富裕税は存置していいんではないか。そういう意味でこういう工合に考えるのでございますが、どうでございますか。
  145. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 富裕税ができました経緯につきましては、森下委員もすでに御承知通りでございまして、当時シヤウプ勧告に基きまして、一面においては所得税の捕捉というものを、富裕税のような言わば名目的財産税と普通呼ばれておりますが、これを課税することによりまして相補い合おうという意味におきまして、所得税税率の最高を引下げまして、片方で富裕税を作りたと、これはそういう経緯があることは今お話通りでございます。ただこれを数年間実行してみました上で一番痛切に感じますことは、いわゆる無収益財産といいますか、収益を生まない財産に対して、よしその負担が軽度でありましても、課税することが非常にそこに無理が行くということを実は痛感する次第であります。片方には御承知のように固定資産税のような地方税もございますし、又財政学のほうでいろいろ教科書に書いてあるところでは、まあ例えばそうした名目的財産税の効果としましては、無収益財産にそれを課税すれば、結局それが収益財産に転嫁する刺戟になるのだから、その意味で名目的財産税の持つ効果があるのだと、こういうようなことをまあ財政学の教科書は教えておりますが、実際施行してみますと、なかなか収益財産にそれを転嫁したいといいましても、例えば田舎で大きな家を持つている、処分したいにも処分のしようもない。といつて先祖代々の家だからこれを建直して小さくするわけにも行かんというような問題でありますとか、或いは山林を持つているかた、これがまあ山の木を伐ればそこに所得が出て参るのですけれども、これを財産として何年か相当年数持つている。それが富裕税の対象になる。こういつたようなどうも無収益財産を持つている時に特にその傾向がはつきり出て参るのですが、軽度な財産税でありましても、どうもそこには無理が出て、課税の上からいいましても、徴税の面からいいましても、どうも面白くない結果が出て来るのじやないか。やはりそうした考え方はやめまして、純粋の所得を中心とした所得税主義によつて課税して行くほうがいいんじやないかというのが、まあ二十五年の改正からそう年数がたつておらない現在におきまして、富裕税を廃止しまして所得税に持つて行こうと、そのほかもう一つどうしてもこういう財産税を将来的確に掴もうといたしますと、やはり例えば現金でありますとか、無記名の債券、預金、こういうものもはつきり把握しなければならんのですが、なかなかまあ財産税の時のように一齊の財産調査をやれば別でございますが、それもできない。平常の時期におきましては負担の権衡の上からいいましても、どうもそうした表に出るいわゆる顕現的財産、表面的な財産というものをお持ちのかたに負担が大きくかかつて行くと、こういつたような面もございますものでございますから、この際としてはむしろこれはやめまして、所得税一本に持つて行くほうがいいんじやないかという結論が出たわけでございます。それで、それでは六十五にとどめるのはおかしいじやないか、もつと高い税率に上げたらいいじやないかという御議論があつたように思いますが、    〔理事西川甚五郎君退席、委員長着席〕  この点いろいろな考え方があり得ると思いますが、現在の六十五の税率、これはまあ所得税だけで計算しますと六十五でございますが、これに住民税がやはりかかります。それで、一応まあ所得税などを計算して参りますと、まあ七割五分といつたようなこれは負担になるわけでございますが、考え方によれば、相当多額の所得ならもつと八割も九割もといつたような考え方もあり得ると思いますが、併し、やはり一応余り高い税率を盛りますことは、いろいろな面におきまして脱税の誘惑が大きくなりましたり、いろいろな弊害も出て参りますので、まあ住民税を考えれば七十五にもなる税率でございますので、一応六十五ぐらにとどめたらいいんじやないかというふうな結論を出した次第でございます。
  146. 森下政一

    森下政一君 それでは愛知さん、どうでしようね、こういうことが言えますか。この前富裕税を作つた時には、所得税の累進率を余り行過ぎだというのでこの程度で抑えてしまう、百分の五十五ですか、最高は抑えてしまう、その上は打切つた。その埋め合せに富裕税を作つたわけだつたんだが、この措置は間違いだつた。当時せめて百分の六十五くらいの累進率は置いておいて、富裕税なんというものは作らないほうがよかつた、これは自由党政府の失敗だつたと、こうはつきり政府が考えている、こういうふうに了解していいわけなんですか。
  147. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) なかなか微妙なお尋ねでございますが、私は率直に申しますが、結果においてさような御批判を頂いても止むを得ないと思います。
  148. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでございますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  150. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 富裕税法を廃止する法律案に対して社会党第四控室を代表してこれに反対いたします。  その第一の理由は、成るほど大蔵当局の説明によりますると、所得税の累進率を上げまして、そうして富裕税を廃止した点をカバーをするとおつしやつておりまするけれども、一方におきましては最近無記名預金の復活、それから無記名によるところの投資信託、貸付信託、或いは証券投資信託、貸付信託、或いは又一方におきましては、今度は租税特別措置法の改正によりまして源泉選択を五〇%を四〇%にする、これらはいずれも私は富裕階級に対して有利な法律だと思います。又別途提案されておりまする減税国債にいたしましても、その減税国債を買い得る能力のある人は減税の恩典に浴するというので、いずれも富裕階級に対しては極めて条件のいい税法改正としての富裕税法の廃止だと思います。ところが、私がかねがね申上げておりまするように、大体所得税の先ず捕捉率をいつお尋ねいたしましても、給与所得によるところの源泉徴収をされる連中は、特に公務員だとか大会社に勤めておる者は殆んど一〇〇%捉えられておる。ところが富裕階級におきましては、この所得税の捕捉にいたしましても或る程度の余裕がある。この申告納税をする人と源泉徴収を受ける者と比較いたしましても、これは源泉徴収を受ける者のほうが捕捉率は高いということは言えるのでありまして、ましてや富裕階級とこの源泉徴収を受ける者とを比較いたしましたときに、より以上源泉徴収を受ける者は一〇〇%捉えられているということを言つて言い過ぎではないと思うのであります。にもかかわらず、富裕階級にとつて極めて都合のいいようなこの改正に対しては、どうしてももう少し所得税源泉徴収を受ける者に対しまして今一段の改正、即ち基礎控除或いは扶養控除等の率を高めまして、そうして並行してこれを廃止されるのであつたならば一応納得はできるのでありますが、その処置が極めて緩慢であるにもかかわらず、富裕税法を廃止するということに対しては、どうしても我々としては賛成いたしかねるのであります。  次に、今の国税局長の御答弁の中に無収益財産の処分ということについて、この財産税を取ることによつて促進される、本に書いてある、こうおつしやいましたが、現実の面において促進されているじやないか、社会化されているじやないか。宏大な別荘を、例えば箱根に参りましても或いは熱海に参りましても、旧三井の別荘であつたとか閑院宮家の別荘であつたとかというようなものは、ああいうところへ大きな別荘を持つていて、別荘番を置いて殆んど年に一週間かそこら滞在されるのに、あの大事な国民の財産とも言うべき景勝の地に持つているということは、今の日本状態から考えて不自然じやないか、そういうものは逐次開放されて一般も利用できるようになつた。それから会社の厚生寮等になつているものも多いわけでありますが、これらはいずれも財産税法、富裕税法によりましてそうして開放を促進した、処分が促進された、ここに一つの意義があつたと思うのでありますが、併しまだ私は相当こうした処分がされてないところの無収益財産で、而もこれは一般に開放されると言いますか、処分されたほうがいいのじやないかという財産が相当あると思います。成るほど折角無収益財産を処分されたけれども、悪いほうに処分をされまして、温泉マークの旅館或いは高級料理店に処分されている面も多々ございます。併しこれらも一つの財閥が、特殊な金持等が持つているよりは多少は私はましだと思います。だがその用途については僕らとしては賛成できませんけれども、本当の金持階級が持つているよりも、また多少はましだということは、見方によつては言い得ないこともないと思いますが、これらの面を考えまして今富裕税法を廃止するということは、これは富裕階級には極めていいけれども、大衆にとつて決していい法律ではない、こういう観点から私はこの富裕税法を廃止する法律案には反対をいたします。
  151. 森下政一

    森下政一君 私もこの富裕税法廃止法に反対するものであります。自由党政府の減税は常にその吹聴するところは、経済力の乏しい階級に対する税の負担軽減ということをかなり吹聴されるのでありまするけれども、いつの税制改正を見ましても、必ず富裕階層というものを同時に軽減するということを考えないときはないのであつて、むしろ宣伝は経済力の乏しい階級の負担軽減ということが大幅に取上げられているけれども、実質的にはどうかといえば、富裕階層のほうがいろいろの名目で優待されるというふうな軽減措置が講じられるというふうな感じを持たざるを得ないのであります。これは自由党がその性格から申しまして、資本家側の政党であるのだから止むを得ないけれども、例えば今回のこの所得税法の改正を眺めて見ましても、若しこの富裕税というものをそのまま存置しておいて累進率を従来よりも更に百分の六十五という段階にまで引上げて来たというのなら、余ほど私は大衆の納得し易いところがあるのだと思いまするけれども、忽ちにして富裕税法を廃止してしまうというような措置を講ずる、而も実質的にこれが五百万円以上の財力を持つところの者にとつては、かなりの軽減措置になるというふうなことを考えてみますると、大衆に対する負担の軽減ということを宣伝しながら、実は富裕な階級に対して手厚い軽減の措置を講ずるというふうな感じを、感じだけじやない実際がそうだという印象を持たざるを得ないのでありまして、少くとも現下の情勢に際してさような措置は講ずべきでないということを固く考えるわけであります。そういう意味において私は富裕税廃止という本法案に反対をするものであります。
  152. 平林太一

    ○平林太一君 私は富裕税法を廃止する法律案法案に対して反対をいたします。その理由と相成りますものは、現在直接税である所得税に対するいわゆる従来五五%を六五%に上げたと称するその最高高額所得者、これは全体の所得税総額に対しての人的なパーセンテージとして、私の承知いたすところでは全体の僅かに八%、多くみまして九%内外と承知いたします。それからその次の、つまり最高高額所得者に対す高額所得者と称するものが大体二二%或いは二〇%と承知いたします。そこで所得税の総額の残り七〇%内外、或いは七一、二%に達するであろうものは、ことごとく少額所得者である大衆課税であります。我が国の税制から参りまして、すでにこの七〇%の大衆国民が間接税におきまして、遥かに所得税に勝るとも劣らざる高率なる税を負担しておる。更に所得税、直接税におきまして七〇%をいたしておる、こういうことに相成りまするこの事態が終戦後において止むを得ざる事情として、かくのごとき税制を認めておる今日であります。この場合におきましては、極めて少数でありまするけれども、いわゆる二〇%に過ぎんこれらの富裕者に対しまして、この際徴収されるところの富裕税を今日廃止するというがごときことは、将来においてはともかく所得税の累進率を引上げることによつて、これは一方相殺すべきだということは、今日の事態におきましては、これは成立たざる一つの見解であり、又態度であり施策である、かようにこれは考えざるを得ません。将来今後五年十年たちまして、我が国の国力というものが、国民の税負担に対するところの負担力というものが、今日よりも遥かに強力になつて参りました場合には、又これらを廃止する必要もありましようが、今日の段階におきましてこれを廃止するというがごときは、非常にこれは当を得ざるものである。特にこの保守党内閣がかくのごときことをいたすことは、保守党内閣の今日国政に対する態度として拙の拙なるものと言わなければならない。保守党内閣は進んで今日大衆を基礎としたいわゆる社会政策的の税制を確立して行くということによりまして、保守党内閣の生命というものがいよいよ今日の我が国の現情からいたして、その信頼を厚くし、以て我が国の性格、現状からいたして、その使命の重きに任ずるゆえんである。却つて不富裕税を廃止するというような態度に出ることをいたさなければ、その重きに任ずるの態度とは言えないということを私は痛感せざるを得ません。今日外面上から見ましても、富裕税を廃止するというがごときは、三歳の童児といえども、如何にも国家税制の上にいたすところの行動といたしましては、不満なきを禁じ得ないものであります。端的に申せば先刻申上げた通りであります。それでありまするから、これらのごときものは、すでにその名称自体が、甚だかくのごときことをいたすことは、思想的に及ぼす影響……かようなものが廃止されたということ、これが周知せられたらどうなるか、いわゆる大衆、今日の勤労階級というものが、非常なる寂寛を感ぜざるを得ない、そうしてそれが勤労意欲の上にも大きな影響を与えて行く。それが国民の所得のその大半を占める大衆所得の上に失望と落胆を感じせしめるものである。税制は単なる技術ではない、いわゆる国政全体の上から総合いたして、これに対して是を是とし、非を非とし、その是とすることは鋭意大衆のために図るものでなければならないのであります。本法律案はこれに対しまして何らの反省もいたしていない、のみならず甚だこれはそういうことに対しましては大衆を愚にするところの取扱いである。而もその行為がやがて保守党内閣の生命というものを虫ばむであろうということを考えなければなりません。私は保守党内閣であるところの吉田内閣に対しまして、いささか期待するところありまするが故に、かくのごとき法律案は速かに撤回いたして、国民大衆の信を得るようにいたさなければならない。そういうことを強く国政全体の上に考えまするが故に、本法律案に対しまして強く反対をいたし、政府は速かにかくのごとき法律案の撤回をせられることを要請いたしまして、本法律案に反対の意思を表明するものであります。
  153. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。富裕税を廃止する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  155. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて、本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続きは前例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     三木與吉郎  前田 久吉     小林 政夫  山本 米治     青柳 秀夫  西川甚五郎     岡崎 眞一  藤野 繁雄     土田國太郎
  156. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を願います。  なお、只今山際日本輸出入銀行副総裁が出席しておりますが、同君を参考人としてその発言を許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  なお、政府側からは愛知大蔵政務次官及び古池通商産業政務次官が出ております。
  158. 平林太一

    ○平林太一君 第一に大蔵政務次官愛知君にお尋ねをいたしたいと思いますことは、輸出入銀行の総裁、副総裁、この名称称号についてであります。国家の資金を以て、いわゆる財政的資金を以て、国民の血税による資金を以て、我が国の輸出入の進展に大いなる使命をいたさなければならないという目的を持つた輸出入銀行の性格がありますことは、これを承知いたすのでありまするが、それにつきましても、いわゆる輸出入業者に対しまして、その国家資金を融資するというその事務を職掌するところの輸出入銀行の、いわゆる最高事務鞅掌担当者である、それに対しましては当然極めてものを常識的に考えて、輸出入銀行長乃至副行長と称する名称称号を以て妥当と考えるのである、然るにもかかわらず、総裁、副総裁というがごとき殊更に……今日我が国におきましては総裁というものは愛知君御承知通り、同君の敬愛措く能わざる吉田茂君が総裁である。(笑声)改進党総裁は重光葵君である。これはいわゆる最も最高の、今日の最高至上の名称である。その最高至上の名称である総裁という名が今日におきましては、大臣の資質資格と申しまするか、その大臣になり得るような人物、又大臣となつた人物が総裁という名称がついておることによつて、内閣総理大臣になられる基盤をなしておるものであります。そういう事態から見ましても、如何にこの名称というものは今日の我が国の政治方式におきましては非常にこれを高く評価せざるを得ないことは当然であります。ところが輸出入銀行のいわゆる事務鞅掌担当者に対して、これと同格なる総裁、副総裁というがごとき名称を付しておりますことは、如何にも納得の行かないことである、同時にそれは非民主的の典型的のものである、従来の封建制時代の遺物を依然としてこの金融方面にそれを無反省にその機構組織の上にいたしておるということに相成るのでありまするが、これに対しまして私は速かにこの名称称号を改革して、行長なり副行長なりにするということを、この法律案改正と相並行していたすべきである。又今日この法律案を提出するに当つてはなぜこれに気が付かなかつたか、この点を先ずお尋ねしたいと思います。
  159. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 平林委員から只今御意見がございまして、成るほど総裁という名称が適当であるかどうかということについては、これは御意見としてはいろいろ私はあり得ることだと思います。又何時に行長、副行長というような名称が果して普通我々に耳慣れた名前であるかどうかということも、又同時にいろいろの意見があることかと思いますが、私どもといたしましては、いわゆる政府資金を使うところの公庫といつたような性格を持つている特殊法に基く金融機関については、従前といいますか、最近におきましても総裁、副総裁という名称を使うことが例になつておりましたので、その例を踏襲いたしましたので、いわゆる俗耳にはこのほうが慣れておるのではなかろうかという程度の意味合で使つて参りまして、そうしてこの本法が制定されますときにも、衆参両院の御審議を頂きましてできておるような次第でもございますので、只今直ぐ変えるということは考えておりませんが、併し御意見のところは十分傾聴に値いすることと思いますので、篤と今後におきまして考慮させて頂きたいと思います。
  160. 平林太一

    ○平林太一君 只今の愛知君より、その当事者としての御説明がありました。愛知君が政務次官たらずして参議院議員当時のごとき極めて卓抜優秀なる議員の席におられるならば、かような答弁はなさらんと思う。私の意見に直ちに賛成せられることと思うのであります。只今政府の当事者としてのお立場でありまするから、その点は諒といたすのでありまするが、なお只今政府資金というお話がありましたが、私はそういうところにこの根本の考え方が違うのであります。これはいわゆる政府資金、これは一応技術的或いは表現上の取扱はそういたすのでありますが、ここは国政を審議する場所である、この場合においては政府資金と言うことは許されない。つまり国民の資金である。国民全体の税による資金である。だから全国民の気分の上に馴染みを持つた名称、称号でなければならない。いわゆる俗称というお話がありましたが、俗称ということをお考えになればなりますほど、この言葉は国民大衆の世俗に違背すると断定せざるを得ない。総裁、副総裁というごとき、恰も国民を近寄らしめざるがごとき非常なる権力、非常なる地位を与えられておるような錯覚を起さしめるということに、私は非常に深く思いを致す。従つて、それが輸出入銀行の使命達成の上にも、輸出入銀行に対してその資金を要請する人に対しましても、何かこれが政治の上に大きな繋がり、関連を持つにあらざれば、これに対するいわゆる総裁、副総裁という名前そのものに対する幻惑の意味におきまして、それが平易通俗に行われないということに相成るのでありまするが故に、強くこの点を申上げておく次第であります。只今はいずれ御意見として承わるというようなことでありまするが、御意見として承わるということは、よく政府の当事者が使う常套語でありますが、こういうようなものは政府も大いに反省しなければならない。いやしくも議員の言葉に対しまして、御意見として承わるというようなことは、政府自体に甚だ倨傲越権の思想が潜在しておるということを、これは象徴しておるものである。昔から御意見として承わる、何か御意見として承わるということなれば、何かいわゆるそこに政府が威圧的に、そうして物事に対する取扱をなおざりにいたしておるということでありまして、甚だ御意見として承わるというようなことは、今日の国会が国のいわゆる最高審議機関としてのものに対しては、余ほどお改めにならなければいけないということを御注意申上げます。そういう意味におきまして、私は単なるこれは意見というように日常茶飯事にお考えになつてはいけないと思う、私は本日はこの程度におきましてこれを了承いたすのでありまするが、速かにこれは明年度法律改正におきましては、そのように態度にしなければ相成らんと思います。従いましてこれは関連いたしまして開発銀行、或いはそれぞれの中小……今回発足を見ております金融公庫、或いは公社に対する名称の総裁、副総裁というようなものは、この機会に大いに反省をいたしまして、国民の資金、それを取扱う番頭手代でありまするところのその銀行の事務担当者としての簡易なる名称に変えるということを、これは強く要請いたすのであります。これに対する御答弁は、これは本日は審議も非常に急いでのことのようでありますから、私は一応この程度にいたしまして、他の委員の御発言を傾聴いたしたいと思います。
  161. 小林政夫

    小林政夫君 大臣が出席できないということでありますから、次官に出席を願つたのですが、今までの経緯を知つてもらう意味において、ここで問題にしておりますのは、輸出入銀行が甚だ我々としても遺憾なことでありますが、これは銀行当事者の努力が足りないとかというような問題でなしに、日本の置かれておる状態がそういうふうに来ているわけですが、残念ながら資金が百六十億近い金が余つておる。こういうことについて、直接輸出入の現局である通産当局としては、どういうふうにお考えになるか、先ずそれからお伺いしたい。
  162. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 本日は私どもの大臣がちよつと病気のために欠席しておりまするので、私が代つてお答え申上げます。  只今お尋ねに相成りました貿易関係でございますが、申すまでもなく我が国として輸出に今後一段と重点を置かなければならんことは御承知通りであります。而も最も我が国に近い東南アジア方面に対しましてはプラント輸出というものは今までも相当力を入れて参つたのでありまするが、今後更に一層政府としても力を入れ、又客観的に見ましてもプラント輸出の可能性は非常に増して来ておるということを申上げることができると思うのであります。現在大体プラント輸出について諸外国からの引合が大体三億七千八百万ドル程度あるのでありまして、更にその内容を検討いたしました結果、最も契約の実現の可能性の高いと思われるものを抜き出しまして、それが本年度の輸出計画として一億四千六百万ドルを考えておるのであります。更に一面において、本年度に入つてからの実績はどうかと、こういうことにつきましては、只今お尋ねがあつたのでありまするが、これを調査いたしてみますると、機械輸出の全体で大体月平均千百万ドル程度の数字を示しておるのであります。その中でいわゆるプラント輸出に属するものは四五%程度と考えられまするので、そうしますると年度内で約六千万ドル、即ち円貨に直しますと二百十六億円、そういう程度になるだろうと思つておるのであります。なお又、御質問がありましたらお答えいたします。
  163. 小林政夫

    小林政夫君 御承知のごとく、輸出入銀行は運転資金で以て一応いろいろ金を付けても又回収されるというようなことで、本年度、と言つても四、五、六と三月過ぎて、この六月末現在においては五十二億六千万円の融通残があるだけです。引合が三億七千八百万ドルある、その中に比較的確実と思われるものが一億四千六百万ドルあると、こうおつしやつても、これは輸出の引合があるのは、これは幾らでもある。私もみずから輸出もやつており、この引合はいろいろあるけれども、なかなか成約しない。こういうことが実情なのであつて、この東南アジアの開発ということは勿論重要であり、大いに国策として力を入れなければならない。又その前提として私がこの輸出を振興しなくていいという考えを持つているわけではない。輸出を振興するということはあなたと又政府と同じだけの熱意を持つておるけれども、その現実の事態を直視して見ると、必ずしも掛け声とか我々の熱意だけでは打開できない面があり、果して見込通りこの今後の輸出成約によつて、只今輸出入銀行に残つておる余裕の百六十億近い金を年度末までに融資残として出してしまうだけの成約があるかどうかということは、これはいろいろやりとりしても水掛論になるのですが、私の見込では相当困難だと思う。而も二十七年度予算の審議の際においても同様の見込を当事者からおつしやるが、結果はそうでない。又その前のこの輸出入銀行設立のときの、あれは二十六年度補正予算でしたかの時もそういう発言があつたけれども、なかなかそうは行かん。私どもはもうすでに何年かここで早くこの銀行が金が足りなくて忙がしくなることを期待しつつも、その出て来た結果は残念ながら非常に期待に反しおる状態であつた。で、いろいろここにこの政府提案の一部改正法律案において今までよりも融資の範囲を拡げようということが試みられておりますけれども、今の東南アジア開発等においても、向うと合弁で事業をやろうというようなのでも、例えばインドネシア等におきましては、まだ会社法すら拠るべき法律がない、確固たるものは。又パキスタン等も、これから参議院も調査に行きますが、政情不安のような問題もあり、又インド等においては相当他の政治経済勢力が強くて、必ずしも日本の投資が歓迎されない、できないというような事情もあるようであつて、そうこの輸出の前途というものは楽観すべきものではない。おつしやるようにどんどん輸出が出るものならば、今やかましく叫ばれておる又通産当局からも恐らく強く要望されておるであろう輸出振興策というようなものは必要でないのです。今のどんどん輸出が出るということは、輸出振興策をこういうふうにやるから出るんだというお話なのか。このままにしておいても輸出がどんどんこの資金が忙がしいほど輸出成約が今年度中にある見込だということなら、特別に輸出助成策をとる必要はない。その点は如何ですか。
  164. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 先の見通しのことにつきまする場合は、これはなかなかむずかしいことは御存じの通りであります。併し一応我々としてはいろいろな条件を考慮いたしまして、大体この程度は見通しは確実であろうというのでやつておるのであります。併しそういう見通しがあるのならば、何も別に輸出振興策を取る必要はないんじやないかというお説も、一応は御尤ものように存じますけれども、併し現在の日本の置かれておる立場から見まするならば、よいが上にもよく輸出はして行かなければならんのでありますし、又じつとしておつて自然にどんどん輸出が増進されるというような時代でも客観的に見てなかろうと思うのであります。従つてどうしても今後輸出を大いに躍進さして行こうと思えば、業界の努力はもとより必要でありまするが、政府といたしましてもできる限りの方法を講じまして輸出振興策を進めて行く、そして官民相協力しまして我が国の貿易を促進させよう、こういうのが狙いでございまして、まあ相当見通しはあるから、それじや別に輸出振興の対策は不要ではないかということは、ちよつと私は言えないのではないかというふうに考えるのであります。なお、先ほど申残しましたが、相当輸出入銀行にはまだ貸出の余裕がある、これがむしろ消化し切れないのじやないかというようなお話もございますが、これは只今までのところでは、今申しましたように月平均機械類だけで千百万ドルくらい出ておりまするので、プラントだけを見ましてもまあ年間大体二百十六億円くらいにはなるであろう、こういうことを申上げましたが、更に先般パキスタン、アルゼンチン、台湾、タイあたりと我が国との通商協定が締結されたことは御承知通りであります。これによりますると、その中のいわゆる資本財、例えば重機械類だとか車輌、こういうようないわゆるプラントに該当すると思われるものが約一億四百万ドル、その他今回の改正で新たに輸出入銀行の融資対象となり得るものと考えられる鉄鋼製品等が約八千六百万ドル、この程度のものが含まれておるのでありまして、この協定の達成上それらの輸出が今後確実に期待されるばかりでなく、これらは日本のいわゆる欲しいという物資の輸入とも見合つておるようなものが多いのでありまして、自然その実現の可能性はますます強まつて行くであろうというふうな見通しを持つておるのであります。
  165. 小林政夫

    小林政夫君 今の通商協定による輸出は、これはその範囲において一億四千九百万ダラーの範囲において引合うものがあれば買いましようというのであつて、必ずそれだけは協定によつて引取ると、こういう性質のものでないことは外務当局が言つておるのであつて、この協定ができて、そのうちの一億四千九百万ダラーはプラント物だといつても、これは必ずそれだけ出るとは限らない。そういう輸出の可能性は開けたということだけであつて、成約ができるかどうかということは別問題です。まあそういう点もありますから、見込の問題については、これは見込があると言い、ないと言い、これはもう将来のことですから水掛論になるんだが、今までの政府当局並びにこの輸出入銀行当局の見通しが非常に違つて来ておる。残念ながら違つて来ておる。これは何も皆さん方が見識がなかつたということじやなくて、日本の置かれておる環境が悪かつた。而もその環境が本年度において打開できるかというと、むしろこれは困難な状態じやないか。ソ連の平和攻勢をきつかけとして軍需生産のスロー・ダウンに伴う日本と競合的地位にある諸外国というものが相当プラント輸出の面についても積極的に進出して来る。これに打ち勝つて行くのには二十七年度にも増した努力が要るのじやないか。そうなつて来ると、輸出入銀行の資本を減すか減さんかという問題だから皆さんはこの際は非常に輸出が有望だ有望だと言われるけれども、助成策を審議するときにはおそらく困難だ困難だと言われるにきまつておる。そういうことから言うと、そう安易には考えられない。そこで政府も相当の肚をきめて考えないと、又見込違いを起すということになるわけです。まあ、最近改進党と自由党との話合で、当初予算に盛られておつた輸出振興策よりも多少進んだ振興策が予算の修正と同時に考えられて来ておるようですが、この点について一体二十七年度と二十八年度と比較して、輸出振興策についてはこういうことを考えるということがあれば御説明願いたい。
  166. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今お話がございましたように、たしかに輸出の見通しというものは困難であろうと思います。はつきりこれだけは確実と考えておつても、その間に客観情勢も変り、相手方の気持もあることでありまするから、確実なるここに見通しをつけるということは非常に容易ならんことと考えまするけれども、併し只今申上げましたような各国との通商協定ができたというようなことは、たしかにこれは好転しておる、一歩ずつ前進をしておるということは、客観的に見て間違いなかろうと思うのであります。又見通しが確かならば、余り振興策を講ずる必要もなかろうじやないかということは、先ほども申しました通り、決してそれほど楽観していい時代でもありませんし、やはりやるべきことは十分に施策を行わなければならない。そこで今回の予算では、特に重機械類について申上げまするならば、重機械技術相談室を設けまして、そのために七千万円ばかりの予算要求しておるようなわけであります。更に御指摘のごとく、先般の衆議院予算の修正の際には、輸出業者並びに輸出品の生産業者の輸出高に応じまして、税のほうにおいて若干の減免措置を講じた。これも輸出振興策の一環であることは申上げるまでもないと考えます。そのほかいろいろ海外に見本市を更に進めて行くとか、或いは経済外交を進展して行くとか、いろいろな点において輸出振興策はあると存じまするけれども、只今申上げましたようなものは、その主なるものを抜き出して御説明したようなわけであります。
  167. 小林政夫

    小林政夫君 私はその程度の振興策では二階から目薬のような状態で、これで相当の輸出振興策になるとは思えないのです。基本的には業者自体の力ですから。今の金利の問題はどうなりますか。それは大蔵政務次官から説明してもらつてもいいです。
  168. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 輸出振興のための金利の問題につきましては、かねがねいろいろな形で考えて参つております。できるだけこれを引下げる方向で考えて参つております。現に三月でありますか、輸出入銀行の金利を全般的に相当大幅に引下げて参つております。なお、今後におきましても今般の予算案の修正に関連いたしまして、輸出入銀行の金利を更に引下げるようにという強い要望も出ておりますので、これらの点も具体的に検討を加えたいと考えております。なお、一般の輸出に対する市中の金利でありますが、この点につきましても現在御承知のようにいわゆる貿易につきましては一般の金利から見ますると相当低い金利を出しておるのでありますが、これらの点につきましても更に輸出振興の立場から金利の引下について具体的に検討を進めたいと、かように考えておる次第であります。
  169. 小林政夫

    小林政夫君 そういう抽象的な御説明では、精々引下げるというのではどの程度に引下げるかわからない。すでに改進党と自由党との予算の修正において、造船金利等については考えられておるわけでありましようから、一体ほかのほうについてはどうするのか、造船金利だけについてはああいう措置を講じて、その他のものについては右へならえというような考え方があるのかないのか、もうちよつと具体的には説明できませんか。
  170. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 造船の金利、或いはそれに関連するいろいろな鉄鋼等に対する金利の引下げの問題が今いろいろ議論をされております。これらの問題もその方向において解決されるならば、間接には輸出のコストの引下に相当役に立つと思いますが、差当り直接的に輸出の金融に対する金利の問題につきましては、現在予算の修正に当りまして要望として出ておるところを私ども承わつておるところでは、輸出入銀行の金利を平均して四分五厘程度に引下げることが要望せられているように承わつております。これらの点につきましては、更に具体的に私どもは検討をいたして参りたいと思つております。それからいわゆる輸出貿手につきましては、現在の金利一銭九厘、これは市中の金利であります。一銭九厘を少くとも二厘程度引下げることが要望せられておるように承わつております。従いまして、大体その御要望では一銭七厘程度を希望されておるようであります。この点を若し仮にそういうことにいたしますならば、当然日本銀行の再割レートをそれに応じて引下げて行かなければならんという問題もあります。これらの点につきましては、他のいろいろな業種との権衡、或いは輸出入銀行の金利につきましては、輸出入の長期の金融に関する国際的な金利というものの水準ともよく睨み合せて考えなければならんとか、いろいろ他にも平行して検討を要する点も多々ありますので、今後これらの御要望については篤と検討いたしたいと考えておりますが、具体的に今私から幾らに下げることが適当であるかというふうな点について申上げる段階に至つておらないのであります。
  171. 小林政夫

    小林政夫君 今度の修正予算に盛られておる金利引下の措置はどうなつておるのですか。これはむしろ銀行局長よりは愛知政務次官から……要するに党と党との話合できまつたのでしようから、古池さんか愛知さんから、予算措置でどうなつておるか御説明を願います。
  172. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 金利の問題を中心として御質疑があつたようでありますが、先ほど来お話が出ておりまするように、今度の予算の修正については改めて申上げるまでもなく御承知と思いますがへ外航船舶の建造の利子の引下げについては、これはそのものそれ自体が利子補給の限度がひろがりましたから、予算それ自体の修正になるわけであります。それからそのほかの開発銀行の金利の引下げの問題、或いは日本銀行の別口外貨の貸付金利の引下げというようなことについては、直接それ自体が予算の修正の上に必ずしも全部は出て参りませんが、例えば一部は開発銀行の納付金等の歳入の面におきまして、或る程度の減少が起ることはございましようが、併しこれは実施の時期或いは具体的の計算等が十分に用意をされておりませんために、歳入の面について必ずしもこの時期における修正においてはこれに手をつけなくともいいのではなかろうかと思われる程度のものもございます。併しながら、いずれにいたしましてもこれらは政府としてはどうしてもやらなければならないというふうに考えておりますので、機構上の権限その他から言えば、政治的にまとまりましたものでありましても、或いはその銀行の当局が決めなければならん問題であり、或いは日本銀府政策委員会等の権限に属するものもございますが、政府としては政治的な責任の下においてこれらを実行するということを固くお約束をしておるような関係にございます。
  173. 小林政夫

    小林政夫君 輸出入銀行関係はどうなつておりますか。
  174. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 御承知のように、三党の共同修正案に際しまして特に輸出入銀行の金利の引下げということが具体的な問題として採上げられるには至つていないと私は了解しておりますが、併し考え方としては当然そこに政府自体として考えなければならんものがあると私は考えます。
  175. 小林政夫

    小林政夫君 通産政務次官にお尋ねしますが、輸出信用保険料の引下げということが前から言われており、又先般も出席された重工業局長も二%から五%くらいに下げたいと思つているというような話があつたのですが、その点について大蔵当局との折衝、政府として今の提出されておる予算でそういう点についてはどういうふうに……。
  176. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これは大蔵省のほうと我々のほうと事務的にずつと折衝は続けておるのでありまするが、まだ只今の段階においては申上げるまでには至つておりません。併し今後引続いてその点は十分打合せ協議を進めて参りたいと思つております。
  177. 小林政夫

    小林政夫君 先ほど来申しておるごとく、むしろ国際環境は二十七年度に比べて二十八年度のほうが輸出の見通しとしては悪い。にもかかわらず日本の我々に課せられた命題としては輸出を振興しなければならない。勿論各企業者の努力に待つところは大ですけれども、政府としても或る程度相当の肚をきめた振興策をとらなければならない。それには今の金利の引下げ、それも今程度のもの、只今説明のあつた程度のことで……、それから税制面においても前の政府原案よりも今度修正されるであろう租税特別措置法関係の輸出損失補償積立金というようなものがよくなつたことは確かです。けれどもどうも輸出振興、輸出振興と言いながら、甚だ振興施策が貧弱である。そういう意味においては特に大蔵大臣と通産大臣の御両相の御列席の上で質問したい。という趣旨は、どうも通産側としては、かなり要望されておるのだろうけれども、大蔵省側が阻止するのか、そこは両方とも余り熱意がないのか、その点を御列席の上で確めたいと思つておるわけであります。それで今の保険料等についてもこれは相当業界からの強い要望であり、二分が〇・五分になればコストの引下げという面については確かに役立つ。そういう点についてやろうと思つておるというようなことでなしに、何とか早急の間に話合いがつかないものかどうか。補正予算なんかは必至だと思いますけれども、前に局長は補正予算において考えたいというなことを言つておるけれども、どうですか。
  178. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 先ほどちよつと申落しましたが、予算の修正に直接関係しておる問題として、例えば輸出振興積立金制度のことなどは歳入のほうの減少でありますから、ちよつと申落したのでありまするが、これは具体的に進行しつつある問題であります。それからこれは数回に亘りまして、大蔵、通産両大臣をここに並べてお聞取りを願いたいと思つておりましたのですが、その機会がなくて私から申上げたのではお気に召さないことは重々存じてはおりまするが、(「その通り」と呼ぶ者あり、笑声)ただ、この機会に大臣の代りとして一言お願いをいたしたいと思うのであります。それは今その段階として早過ぎるかも知れませんが、小林委員のお尋ねは私ども重々御尤もだと存じます。併し根本的に考えますと、特に輸出振興については全然反対でないのみならず、大いに積極的にやりたいのだ、その考え方についてはお前らと同じだという意味の御発言もあつたわけでありますが、私どもとすれば、今日ここに再度山際副総裁も御出席になつておりますが、具体的に輸出入銀行のほうから御覧になりましても、例えば九月末というような、今から申しますれば極めて近い将来において大体貸出の残高がこれくらいになるという見込がだんだん濃厚になつて来た。それから十月末にはこの程度になるであろうということが、政治的な判断ではなくて、相当具体的な事務的な判断に基くところの数字も出ておるようなわけでございまするし、又更にこれを政治的に申しまするならば、輸出入銀行法の改正をお願いしておることそれ自体が私どもとしてはやはりこれも一つの輸出振興、少くともプラント輸出その他に対してはこの法律の修正ということによつてインカレジできる面が相当あるのではなかろうかというふうにも考えられるわけであります。これは数回前の当委員会でも私も率直に申上げた記憶があるのでありますが、不成立予算に比べて、これは小林さんから御覧になれば雀の涙ほどであると言われることはわかりますけれども、併し不成立予算に比べては輸出入銀行の資金計画も減つておるようなわけであります。そういう点は、小林さんの御懸念のような点は我々も懸念しておる。財政当局としては要りそうもない金であれば、これは切りたいのは山々であります。併し国全体の立場からして輸出をインカレジして行こうというためには、輸出入銀行のほうにも働いてもらいたい。又民間財界の要望も、これは当委員会におきましていろいろその方面の実業家のかたがたの意見としてお聞取り願つたと思うのでありますが、そういう要望に応える意味から申しましても、この際過去においてお前らはだらしがなかつたから、これで資金計画を大幅に削減するというようなことになりますると、ますます以て輸出の前途というものは暗澹とするのではなかろうか、こういうふうな点について、先ほど申しましたように極めて最近の将来においての具体的な実際上の必要も出て来ておる。政治的大局的に見ても輸出をインカレジしたいという気持と、その両方からお考え合せ頂いて、是非とも私どもとしてはこの原案について御賛成を頂きたい。これが私の大蔵大臣に代りましての、私どもとしての切なる要望であることを申上げておきたいと思います。
  179. 小林政夫

    小林政夫君 どうも人が変つて見えると同じことを何回も繰返さなければならないのでありますが、大蔵大臣に申上げたいことは、先般単独で見えたのでお話したのですが、特に愛知政務次官は金融のエキスパートでもあるので申上げますが、すでに長期信用銀行も作られておるし、かなり長期の金は普通の市中銀行でも出る途が開かれておる。この政府の特殊銀行として、他の金融機関で扱いがたきものを扱わせることによつて、この日本輸出入銀行を働かせるという趣旨から考えて、現在改正しようとしている趣旨、特に製品まで比較的長期のものについては金をつけるというような改正は行き過ぎではないか。こういうような改正を図るということも成るほど輸出振興という意味から言えば、金がつきさえすればいいということになるかも知れないけれども、金融制度のあり方として考えてみれば行過きである。むしろこれだけの金を他の為替銀行のほうに廻して、或いは長期信用銀行にでも廻してやらすならば本来の目的は達せられる。政府全額出資の特殊銀行であるこの輸出銀行でやるべき分野かどうかということについては検討を要するのであります。そういう意味から言うと金が余つておるからということで、金があるというのは非常な魅力であり、金がないから、出してもいい資金も出せないということが他の銀行についてはあるでしよう。あるでしようけれども、そういう銀行ではつけられないからといつて、輸出入銀行には百億、百五十億という金があるからつけたらいい、こういう筋のものではなかろう。それだけの金があるならば他の銀行に廻す適当な方法もあるのであつて、日本の金融制度という点から考えてこのようなあり方でいいものかどうか。こういう点については大蔵当局としても為替銀行の問題として考えて、将来の輸出入銀行のあり方としては先般大蔵大臣にも篤と申上げておいたのですが、抜本塞源的に構想を練り直してみるということが必要ではないか。何も輸出金融というものは輸出入銀行でやらなければならんというものではない。方法は多々あるでしよう。これだけということになれば対外的にも体裁が悪いではなかろうか。資本を減らすということは、日本の輸出ということがこの程度しか出ないということの見切りをつけられて対外信用も悪いということもあるかも知れませんけれども、そういうことにも反響を与えずして、この余裕のある金を使うという方法もある。ただ何でもかんでも輸出入銀行を作つたからといつて、それにこだわる必要はない、実が挙ればいいのだから、別途の構想を練り直してみる必要があると私は強く考える。その点について通産当局においては中小企業金融については相当熱意を持つておられますが、日本の輸出銀行、特に技術的な面において中小企業の技術が貧弱である、或いはコストが高くつくというようなことが相当プラント輸出のコスト高の原因になつているという点を打開するために、中小企業金融公庫を作り長期安定した金を与え、企業合理化、設備の改善をやろうとしているわけであります。本日の本会議において中小企業金融公庫の法案は通つたが、その附帯決議においても今後毎年百五十億を下らない新規資本を注入すべしという附帯決議がついていることは御承知通り。これだけの金があるときに同じ輸出振興という目的を果たすわけですから、この百五十億という金を遊ばせておくよりは、中小企業金融公庫に持つて行つてもいいという考えが湧いて然るべしですが、その辺は如何ですか。
  180. 古池信三

    政府委員(古池信三君) この輸出振興のためには、只今お話のように輸出製品が国際水準に比べて割高である、もう少し製品のコストを引下げねばならんということはお話通りだと思います。従いまして、その引下げの内容といたしましてはいろいろな観点から考えなければならんと思いますが、先ず金利の引下げであるとか、或いは税の軽減であるとか、又先ほどお話になりました保険料率の引下げとか、これらも無論重要な要素でございます。それと同時に大企業の合理化は先般成立されました企業合理化促進法等の活用によりまして漸次進めて参る。又日本の産業の特殊性としまして大規模産業と、その下請たる中小産業、これは互いに密接な関連を持つておりまするので、どうしても中小企業の合理化、更に技術の進歩とコストの引下げというところまで徹底しなければ完全な輸出振興対策にはならんかと思うのであります。従いまして今回の中小企業金融公庫法の成立によつて、相当中小企業の方面に対しましては便利を与えることと考えまするが、それかと申して今回の輸出入銀行の現在余つておる金を直ちに中小企業のほうへ向けたらどうかということは、これは余ほど一考を要する問題ではないか、即ち輸出の商談が進みまする場合には、どうしても長期に亘る金融機関が後に控えておつて、いつでもそれに応じ得るという態勢を整えておくことが、国際関係から申しまして望ましいことである。その意味から申しましても現在直ちには、相当な余裕があると申しましても、これは又漸次消化されて参るものでありまするからして、これはこれとして残して頂いて、中小企業金融公庫のほうは別途やり繰りをしてそのほうの増資を考えて頂きたい、かように考えております。
  181. 平林太一

    ○平林太一君 今通商産業政務次官、古池君からお話がありましたが、小林君の点とも関連しておる点につきましては、いささか横道になりまするが相関連しております。御承知通り、例えばこの中小企業と輸出入銀行の施策とに対して、中小企業輸出に対しまする金融に対する適正化というお話小林委員から出たのでありますが、そこでお尋ねいたしたいのでありますが、昭和二十七年度における輸出の総額というものは私の承知しておるところでありますと十億三、四千万ドルに達しておる。その中で鉄鋼製品が一億五千万ドル、それから綿糸等の繊維、こういうものが約一億ドル、こういうふうに承知いたしておりますが、二十八年度においては総額はどれくらいの見込を予定しておるのか。それからその今の最も輸出中における大宗となるべき鉄鋼の輸出、それから繊維の輸出、これはどのくらいに今算定をされておるのか、これを一つお尋ねしたい。
  182. 小林政夫

    小林政夫君 今の私の質問の要旨と多少離れておりますから、あとで回答してもらうことにして、ちよつと継続でありますから……。  今政務次官は、一応政府側としてすでにこういう決定の下に出された予算等もそういう御措置になつておるので、一応今のような御説明をされるのは尤もかも知れません。せざるを得ないかも知れません。併し本心がそうであるとするならば、この中小企業金融が重要である、こういうことを言いながら、その実遅々として何ら打開できない、こういう点は大蔵当局もさることながら、むしろ通産側において熱意が足りなさ過ぎる、むしろ我々のプツシユによつて何とか打開するというような状態であつて、本来もつと血眼になつて考えるならば、予算編成の過程において輸出入銀行にはこれだけの余裕金がある、それを寄越せというような話だつてできるはずです。これはもう誰が考えたつて百五十億なんというようなものは、今までの輸出の状態から考えて、或る程度の余裕金というものがあるということはいいと思いますけれども、これは融資残に比べて三倍近い余裕金を持つというようなことは、ちよつと考えられないと思います。そういう際にあなたの通産側としては、中小企業金融はこれ又焦眉の急なんです。今後毎年百五十億を数年間出せと言つたつて輸出入銀行ということであれば、今の金利引下げとか、或いは保険料の引下げとか、税制という面だけでなくて、輸出産業の言わば中核とも見るべき中小企業が真に優秀なる技術で、合理化された企業経営の下に低廉な製品を作るということが振興政策の恐らく相当のウエイトを持つべきものではないか、それには積極的に資金を注入してやる必要がある、こういう点からすれば、趣旨は同じであつてどつちでやるかという問題なんです。これにはもつと、今この段階においては通産政務次官としてはお答えにくいかも知れんけれども、それだけの熱意も持たれないで今後百五十億毎年入れろと言つたつて、今のような折衝ぶりでは相当困難なのではないか、改進党との妥協策によつて三十億ほど殖えたということであつて、政府としては百二十億、これもやろうと思えば、出そうとすれば三十億殖えるのですから、そういうことを考えたら通産当局としては中小企業金融に対してもつと力を入れるべきだ。
  183. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 誠に只今の御質問は御尤もでありまして、我々力足りない点も多々あるだろうと思いますけれども、併し省を挙げまして中小企業の振興、これと輸出の振興ということは車の両輪と申しますか一体のものと考えて、両者について極力努力しておるのであります。ただこちらの努力をいたしましても、結果といたしましてはなかなか望み通りにはならないという点も甚だ遺憾に存じますけれども、併しそうかと言つて決して努力が少いというふうにお考えになつて頂いては我々も遺憾であります。幸いに大蔵大臣は曽つて通産大臣もなされておりましたし、愛知政務次官もそういう方面には御理解の深いかたでありまするから、今後皆様の御意見も伺い、又我が省としても大いに只今の点については十分お願いをして、できる限り中小企業の方面にも金融を廻して頂く。又これと同時に輸出入方面の金融についても十分に御考慮を願うということにして参りたいと思います。
  184. 小林政夫

    小林政夫君 こういう聞き方は甚だ失礼だけれども、この輸出入銀行の百六十億近い余裕金というのは、一体何に使われておると思いますか。はつきり申上げるが、食糧証券を百五十億持つている。これは余裕金で、その余裕金の運用は輸出入銀行法によつて日銀に預けるか、国債を持つか、或いは資金運用部資金へ預託するという、こういう三つしか許されておらない。従つて国債だから何でもいいじやないか、こういうことになつているらしいのですけれども、一体食糧証券を持つことが輸出振興にどれだけ縁があるのか、殆んど意味をなさないと思う。少くとも余裕金の運用について、本来輸出入銀行の輸出入金融をつけるという趣旨に合うような運用の仕方を考える。それが現在の法規の下においてできなければ、少くともその点の改正だけでも考えて然るべきである。だから輸出振興策の中軸を立てるべき通産当局としては、そういつた信用保険料の引下げとか税制とか、或いは重機械技術相談室を設けるとかいうことも結構ですけれども、もつとこの同じ政府の下における財政資金の割り振り方についても相当の研究をされて調べ、同じ金を有効に使う、貿易振興に役立つように使う、こういうことに御配慮を願いたい。食糧証券を買つているなどとは、よもや思つておらなかつたろうと思う。
  185. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 通産省として、かような金融の原資については十分総合的に考えて、最も輸出振興のために効率的に使えるようにすべきであるというお説は全く私も御同感です。今輸出入銀行の余裕金の運用のお話がございましたが、これは直接的には輸出入銀行の問題は大蔵省が所管をしておられるのでありますけれども、それは飽くまで余裕金としての運用の点でございますから、これから輸出がどんどん進んで参つて、余裕金というものが漸次少くなつて参れば、余裕金運用の問題は当然これは消滅して来るのである、かように我々は考えております。
  186. 小林政夫

    小林政夫君 どんどん進んで来れば消滅しますが、少くとも今までの経験で言うと、相当の期間遊んでおる、例えコール・ローンにしても本来の輸出入金融に役立つように使うべきです。輸出入銀行のためにリザーブした金はそういうシビヤーな考えで輸出入金融、輸出振興に夜も日も眠られぬくらいな配慮を加えておるならば、それだけの金が他用途に使われておる、同じ国の目的に合致するにしても、この輸出入金融にリザーブされた金は輸出の振興に役立つような方向に使われるべきである、こういうことになれば、たとえ一日の余裕金であつてもそのほうに使われるべきだ、そういう観点から見ると、百五十億からの食糧証券を持つ、それはどつかの財政資金で持たなければならん証券でしよう、けれどもこの輸出入銀行としては輸出入金融に役立つように使うべきだ、その点を私はお話しておる。そういう点についても輸出振興策を専心考えるべき通産省としては、この輸出入銀行の余裕金等についても配慮を加えて、これが本来の輸出入金融に役立つような預託の仕方を、一日でも或いは一カ月でも、その食糧証券は二カ月です、二カ月ですけれども、その食糧証券を持つだけの金が遊んでおるならば、二カ月間どこかの為替銀行に預託をしても相当使えるのです。
  187. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) その問題はこういうことだと思うのであります。過去において余裕金があつたということにつきましては、これはもう見込違いでもあり、同時に先ほど小林委員から御指摘の通り、これはもう一番悪いのは政府でございましようが、何と言いましても、国際情勢その他から来たところの問題であつて、過去のことについてはこれ以上申せば弁解がましくなるのでやめますが、過去において余裕金があつた、その余裕金があつた場合に、食糧証券を持つたのがけしからんではないかというお話ですが、これは見方によればこの非難は私は当つておるかと思いますが、併しこれは釈迦に説法でありますが、余裕金がありました場合に、有利確実で、且つ短期に回収し得るものに運用するということは、これは金融機関としての常道だと思うのでありまして、法律的に言えば国債の保有というところを引用しておりますことは、只今御指摘の通りであります。例えば政治的或いは通俗的に言えば、外為証券というようなものでも持てば、小林さんの御意見から言えば、まだまだ恕すべき点があつたというふうに言われるかも知れませんが、過去において私は食糧証券を持つたということは、この会計が持つたから全体の総合的な金融政策としては他の負担が軽くなつたのであつて、それが全部中小企業に行つたというふうに私どもは強弁いたしませんが、併し総合的な金融政策としてこうやらざるを得たかつたと思う。然らば将来において若し余裕金が依然として続くようであつた場合において、食糧証券を依然として買うかどうかということについては、例えば国際収支の見通しがとんとんということになれば問題はないと思いますが、そうでなかつた場合に、外為証券でも出た場合にこれを持つということは、現行法でも勿論できることであります。又そのほうが納得ができる行き方であるということになれば、その点につきましては御趣旨のようにいたしたいと考えます。
  188. 小林政夫

    小林政夫君 もうこれ以上は意見になりますが、余裕金というようなものが出なくなれば望ましいけれども、日本のために幸いですけれども、今までの実績から言えば相当余裕金が出る可能性があると思う。この際我々としては、今までの余裕金の運用は預託範囲以外に、少くともその点だけは範囲を拡げて、本来の輸出入金融に役立つような方向に、たとえ一時の金であつても使うような途を開いて頂きたい、こういうふうに考えます。
  189. 平林太一

    ○平林太一君 重複を避けたいと思います。先刻小林君の質疑中私から質しましたことに対して政府の御答弁を求めます。
  190. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 先ほど平林さんからお尋ねの件は、丁度今局長の手許資料がございますので、局長から数字を御説明いたさせます。
  191. 葦沢大義

    政府委員葦沢大義君) 昭和二十七年度の輸出実績が十二億三千万ドルになつておりますが、そのうち繊維品が四億四千九百万ドルになつております。鉄鋼は一億六千三百万ドルになつておりまして、これは数量にいたしますと百六十五万トンになつております。従来の日本の貿易の傾向といたしまして、鉄鋼がこのように出ましたことは非常に異例でありまして、大体綿布の輸出高に及ばなかつたのでありますが、昨年は綿布の輸出を超えて出ておるというような状況であります。今年の予想でありまするが、総額大体十三億というふうに一応の予想が立てられておるわけでありまするが、そのうちに繊維品は大体横這いの状況、ただ鉄鋼は昨年のように百六十五万トンも出るということは、ちよつと現在の段階では予想されませんので百二十万トンということで、昨年より相当下廻つた金額を予想いたしておるわけであります。
  192. 平林太一

    ○平林太一君 只今本年の見込に対して一応伺つたのでありますが、大体十三億内外、こういうことでありまするが、それは今日我が国の置かれている輸出に対する大きな国際的意図、目的に甚だ相副わないものがある。遥かにもつとこれは優れるにあらざれば国内経済を確立する上に大きな影響を、支障を来たすということを恐れるのであります。それにつきましてしばしば政府の答弁として、我が国の製品は国際市場においてコスト高である。東南アジアにおいて大いに市場を回復することはできないというのでありますが、これに対するコスト高であるということは、どこに原因するか。それから相手国の関税、いわゆる現に関税貿易一般協定、こういうようなものに我が国が加入ができない今日であるが、今日の輸出の現状における価格というものは、関税貿易を含めての意味においてコスト高であるか、或いはそれを除外した裸のままでのコスト高であるか、この点一つ明らかにせられたいと思います。
  193. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 多少の例外はございますけれども、大部分の輸出製品がコスト高であるということはお話通りでございますが、それでは何故にコスト高になつているかと申せば、これもこの理由としてはいろいろあるだろうと存じますが、やはり日本の製品がその生産過程においてまだまだ合理化されていない、非常に無駄がある。不合理な点があるということが一つ。更に又その原料中、鉄鋼、石炭その他の重要なる資材において割高になつている。結局それらを基礎としてでき上つた製品が高くつく、簡単に申してこういうようなところであろうと思います。
  194. 平林太一

    ○平林太一君 私のお尋ねいたしたことを古池君は感違いされておるように思います。今のお話は、裸のままで、いわゆる生産過程その他国内のいわゆる生産上の面において、非常に他の国際間の製品と非常に差異がある、こういうのでありまするが、いわゆる綿糸のごときは、いわゆる東南アジアにおいて英国が非常な進出をしておる。そういうことで、いわゆるガツトに加入を拒否されている。そうして非常なる関税の障壁を高くしている。我が製品はおのずからそこに進出することができない、こういうふうに私自身としては思うのでありまするが、単に国内事情においてのコスト高であるをいうことは、甚だそこに訂正をしなければならないのであるが、その辺の事情は如何であるか。
  195. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今御指摘のように、品物によりましてはそういう対外関係、輸入国の関税政策その他の問題があるだろうと存じますけれども、只今私が申上げましたのは、全般的に大数観察をいたしまして、日本品の割高というのは大体今申しましたように、原料高乃至は生産の合理化の不徹底というようなところが大きな原因であろう、かように申した次第です。
  196. 平林太一

    ○平林太一君 今非常に何か私は、政府はこの問題に対して非常に逃げを打つているようなふうに感じますが、いわゆる東南アジアに対する綿糸の関係等については、むしろ関税面において非常な障害を来たしておるのだということを、私としては承知いたしておるのであります。併しそれに対しましては何らのお話がなく、依然としてそうするとこの関税の問題に対して、いわゆる関税貿易の協定加入に対することは何ら考えていないのかと心配せざるを得ない、その点は如何でありますか。具体的に……。
  197. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今申上げました通り綿製品、そういうものについては只今お話のような支障がございますということを申上げたのであつて、ただ一般論として先ほどは御説明いたしましたのであります。
  198. 平林太一

    ○平林太一君 これは品物によつてとおつしやるが、綿糸のごときものが先刻も申上げる通り鉄鋼品に次ぐ最大の数字を示しておるというのであります。この点についてはこれ以上申上げることは本日は差控えるのでありますが、この点は鋭意一つ関税問題に対する速やかなる処置をとらなければ、ただこれを国内事情において品物が国際競争場裡に立てないというようなことでは、これは百年河清を待つと同様であることを、一つ通商産業政務次官でありまする古池君に対しまして、私から強く要望いたしておきます。  この機会に第二にお尋ねいたしたいことは、大蔵省当局でありますが、いわゆるこれは先ほど小林君からも非常に御意見がありましたが、輸出入銀行に対しまして、国家資金を以て、いわゆる国民の資金を以てこれを出資している。併しこれを受けるところのいわゆる貿易業者、財界人というものの心の用意、心の構え方というものが、これだけに今日は依存しているがごときことをしばしば輸出入の実態の上に発見せざるを得ない。ところがどうしても……それでいよいよ今回の法律案改正と同じことで、輸出を振興するためには輸出入銀行を強化して行かなければならん。こういうことにのみ進んで行くということは、銀行行政に対する非常な国立化或いは国営化、金融機関というものに対してそういうものを非常に示唆することになる。そうすると今日においては、金融機関というものは共産主義国家以外には、共産主義国家だけは銀行、金融機関の国立国営によつておるが、我が国の銀行の行政というものも知らず知らずして、そうして今の市中銀行を除外した国立、国営の方向へ進んで行くのだということに相成るのでありまするが、こういう方向方式に、この輸出入銀行法を今検討するにつけても非常に考えなければならない。民間の財界人というものは、従来のそういうものは昔はなかつたのだ。皆市中銀行を通じて、そうしてそれぞれ市中銀行の金融を通じて、あの旺盛な明治大正時代の飛躍的な我が国の輸出入貿易の進展というものはできたのだ、そういうことを考えるというと、こうして国家資金だけに依頼する、現在のこれを受入れる貿易業者、財界人というものに対しては再検討しなければならない。そうして一面においては銀行の形態がそういうような国営、国立化に行つておる。逆の行き方をしておる。そういうことに対しまして、私は今日銀行局長はどうお考えになりますか、一応伺つておきたいと思います。これは全体の性格の問題といたしまして……。
  199. 河野通一

    政府委員(河野通一君) たびたびこの委員会でも申上げております通り、輸出入銀行でありますとか、開発銀行でありますとか、そういつた政府の出資による政府の金融機関は、飽くまで市中金融機関の金融を補完するという建前を堅持いたしております。従いまして、市中の金融で金融ができますものについては、当然と申しますか、勿論開発銀行なり輸出入銀行というものはそれに関与すべきものではないという基本方針は従来もとつておりますし、今後においてもこの方針は堅持して参りたいと考えております。ただ従来と違いまして、御案内のように非常に輸出入銀行の問題につきましても輸出競争というものが非常に烈しくなつて来る。国際競争が激甚になつて参りますために、ややもすればその輸出の金融の条件というものが或いは長期に亘るというような関係から、市中の普通のコマーシヤル・ベースに立つております普通の銀行では、なかなかこういう長期資金が出にくいというような点があるわけです。従いましてこれを補完するという意味におきまして、輸出入銀行が現在まで政府資金によつて、これを補助して参つておるような次第であります。さればと言つて市中の金融機関でつくものはできるだけつけて行くという方針の下に、現在までは輸出入銀行の業務は市中銀行とのパーテイシペーシヨンによつてこれを行なつて行くという強い制約が加えられておつたのであります。これは市中銀行としても、できるだけそういう長期の輸出金融に対して、自分の業務の性質から言つて、できる範囲のことはやつて行く、それでなお足りないところを輸出入銀行が補完して行くという建前を貫いて参つたのであります。今回の改正案によりまして、今御提案申上げております改正案の中で、輸出入銀行は極く例外の場合におきまして、パーテイシペーシヨンによらないで単独融資の途を開いて頂きたいということで御提案申上げておるのでありますが、これらの点も、市中銀行がそれをどうしても相手にできないような非常に長い金融、これについて、而も日本の輸出を伸ばして行く、外貨を獲得して行くという立場から、どうしても伸ばして行かなければならんという場合に金融をつけなければならん、そういつた極く例外的な場合におきましては単独融資を輸出入銀行にも認めて参るという途を開いておく必要があるというので御提案申上げておるのでありますが、飽くまでも輸出入銀行と市中銀行とパーテイシペートして行くという建前は、今後においても貫いて行きたいと考えております。只今申上げましたように、できるだけ市中の、民間の金融機関によつて金融はカバーして行く、それでなお且つどうしてもカバーできないところを政府の金融機関において補填して行く、こういう方針でございまして、私どもは現在金融機関全体に対する国有化への、或いは国営化への契機として、これらの金融機関というものを考えておらんということを申上げておきたいと思います。
  200. 平林太一

    ○平林太一君 なお、只今銀行局長の御答弁に対しましては、改めて次回においてよく検討をいたしたいと思います。大体只今お話を了承いたしましたが、この際輸出入銀行の山際君にお尋ねいたしたいのでありまするが、今お聞きの通り、この輸出入銀行の資金というものに対する成果を挙げると挙げざるとは容易ならざるものである。そこでこの輸出入銀行は、これをそれぞれ輸出業者に融資をするのであるが、今回の改正案によりまするというと、融資に対する条件としては、先ず第一に融資期間の長期化、而も超長期化であります。現在でも相当長期であるが、今回は更に超長期化を第一に挙げておる。そうして金利の引下げをいたしておる。こういうような事態に対しましては、いわゆる金融の性格というものに対して重大にお考えにならなければならんのであります。そこで融資後において融資先の輸出業者に対して、銀行は当事者としてその状態、いわゆる融資後における当事者であるところの融資先の輸出業者に対しての連絡というものは、どういうふうになさつておるかということをお尋ねいたしたいと思います。
  201. 山際正道

    参考人(山際正道君) 輸出入銀行がその事務を執るに当りまして、極めてその使命の重大なるに鑑み、慎重を期すべき点については、全く御趣旨の通り同感であります。融資先に対しまして事務の監理と申しますか、監督と申しますか、という点につきましては、自然これ又甚だ重要なる点として常時怠ることなく実行いたしておるつもりでございます。その実行の方法といたしましては、主として協調融資をいたしておりまする銀行若しくは業務の委託をいたしておりまする市中銀行に依頼をいたしまして、定期的に報告を徴し、或いは実地に臨んで報告を求め、又場合によりましては、僅かな人数ではございまするけれども、みずから行員を差繰りまして、実地調査乃至状況の視察に赴かしめる等の適宜の方法をとりまして、常時怠りなく監理をいたして参つておるつもりであります。なお、今後とも同じような考えで進みたいと考えております。
  202. 平林太一

    ○平林太一君 只今御答弁を伺いました。そこで申上げたいと思いますことは、これを常時鋭意その融資先に対する業務状態について連絡をとつておると、こういう御結論であるようでありまするが、それは私は輸出入銀行といたしては、むしろ融資をいたす時よりも……、融資をいたす時にも勿論融資に対しましてはそれぞれ検討いたしましよう、そうして決定する。併しそれよりも遥かに重大なることは、融資後における融資先の輸出業者に対する業務状態であります。その業務状態が、おのずから我が国の輸出業務の振興、興廃に対するところのいわゆる一つの指針としてそこに現われて来るのであります。だからこれは政府においても当然これに対しましては、それらのことを通じまして怠りないのでありますが、先ず当面の事務当事者としての輸出入銀行がその衝に当らなければならない。このようなことは、山際君或いは総裁あたりが大いに一つそのことに責任を持つて、この前の御答弁によりますれば、実は私のほうから言いますると、甚だそういう点について疎かの点があつたようでありまするが、そういうものに対しては直ちにどこが悪いのだという御答弁ができるように取上げて頂きたい。そこで、融資先の業者の業務状態というものは、この大蔵委員会に対しましては委員長手許まで、それぞれの機会にできるだけ多くの機会を作りまして、これを報告せられるように、それが国の資金を使わしめましたいわゆる当大蔵委員会の大きな責任であるのでありまするから、政府は勿論でありますが、そういうことをこの際要求いたしておきます。月に少くとも一回くらいは融資先の業務状況というものを……。融資先の表というものは先般受領いたしましたが、併しそれに相並行してその業務状況、そうしてその業務状況を見れば、今月は我が国の輸出というものがこれだけ上つたのだ、これだけ下つたのだということに相成りまするから、この点を毎月一回ずつくらい大蔵委員長手許までその結果を提出せられることをこの際要求しておきますが、これに対する山際君の御答弁を承わりたいと思います。
  203. 山際正道

    参考人(山際正道君) 御趣旨におきまして、十分なる監理監督の必要でありますることは、全くその通り考えております。ただその場合におきまして、只今具体的にいろいろお示しが、ございましたが、それらの具体的の措置方法等につきましては、監督を受けておりまする政府のかたと篤と相談をいたしまして善処いたしたいと考えます。
  204. 平林太一

    ○平林太一君 よろしゆうございます。
  205. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。
  207. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと私は修正案を提案したいのですが、討論の際に申上げてもおわかりにならんといかんから、一応懇談にして頂いて、私の修正案を説明さして頂きたいと思います。
  208. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それでは速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  209. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。  次に国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律案を議題といたします。  先ず政府より提案理由説明を聴取いたします。愛知政務次官。
  210. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 只今議題となりました国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律案について、その提案理由説明いたします。  政府はさきに、国際復興開発銀行等からの外資の受入を促進するため、国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案を提出し、すでに成立を見たところでありますが、これに伴い、日本開発銀行、又は日本輸出入銀行国際復興開発銀行からの外貨資金の借入契約に基いて発行する債券につき本邦非居住者が受ける利子に対しては、所得税課税しないこととするためここに本法律案を提出した次第であります。  即ち、国際復興開発銀行からの外貨資金の借入金に対して同銀行に支払う利子につきましては、国際復興開発銀行協定に基き、所得税課税しないこととなつているのでありますが、同銀行からの外貨資金の借入契約に基いて日本開発銀行、又は日本輸出入銀行の発行する債券については、それが国際復興開発銀行以外の本邦非居住者によつて所有されることとなつた場合におきましても、各国の例にならいまして、その利子に対して所得税課税しないことといたしたのであります。  何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
  211. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質疑を願います。
  212. 平林太一

    ○平林太一君 只今の御説明を承わりますと、外資の受入れに対するこの見込額、或いは決定額と申しますか、これはどれくらい、どの程度ありますか。
  213. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 先般国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案につきまして、御審議を願いましたときに御説明申上げましたごとく、差当り成立を最近に予想されておりまするものは、四千万ドルでございます。火力発電設備に対する関係電力会社等に対する外資の受入れでございます。次には水力発電の関係をも含めまして、大体電力関係で、只今申しました四千万ドルを含めまして一億二千万ドル程度の見込があるという段階でございます。
  214. 平林太一

    ○平林太一君 そうすると総額一億二千万ドルということでよろしいのでありますか。
  215. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 大体先申しました四千万ドルにつきましては殆んど確定的に見通されております。それからそのほかの部分につきましては、まだはつきりと見通し得る段階でないようでございますが、先ほどちよつと私言い違えたのでありますが、四千万ドルのほかに、一億二千万ドル見込があるわけでございます。
  216. 平林太一

    ○平林太一君 了承いたしました。
  217. 土田國太郎

    土田國太郎君 これは内地人も引受けられるのですか。内地居住の人も……。
  218. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その関係をちよつと御説明申上げたいと思いますが、いろいろ伺つて参りますと、大体この四千万ドル今かなり具体化しておりますが、四千万ドルの借入金は、国際復興開発銀行からなされる。で、この場合におきまして、国際復興開発銀行に払われる利子につきましては、現在同銀行に関する条約がございまして、特別な法令の必要もございませんで、税金は課税しないということになつております。それでございますものですから、大体租税に関する措置は余り特別に必要がないのじやないかということで実はおつたのでございますが、その後いろいろ交渉の経過から、だんだん事態もはつきりして参りましたところは、一応開発銀行としましては、今の四千万ドルをポンド債券にしまして、一応開発銀行で持つている。持つている間は問題ないのでございますが、市場に非常にこれが売出し得るという場合におきましては、これは市場で売出すことを考えるようでございますが、尤もこれも現実問題といたしまして、大体アメリカの市場で売出すのが中心でございまして、アメリカの政府機関……、まあこちらで言えば日本政府機関となつております特殊銀行のようなものでございますが、そういうところが持つのが大体普通じやないかということが予想されておるようでございます。併し状況によりましては、それが一般の市民にも売出されることもあり得るべし、更には日本の人も或いは買う機会もあるかも知れない。こういうのが一応可能性としては考えられます。現実問題としてはちよつと為替管理との関係とか、いろいろの関係がございますので無理だろうと思いますが、一応そういう可能性はあるわけでございます。各国の事例といたしましてはそういう場合にポンドの所有者に対する利子の関係でございますが、ポンドで発行する国が発行する場合、或いは先般法律で以て成立を見ましたように、国が保証する場合、その保証する国の居住者がそのポンドを持ち、利子を受取る場合には、これは課税するけれども、よその国の人がそのポンドを持つた場合におきましては課税しない。これは各国いずれもそういう一つの先例を持つております。そうして同時にそういう話がだんだん進んで参りました結果、どうもそういう先例を日本の国も追わなければ、借款はなかなか成立しない。これだけが場合によつては一つの借款に対する障害になるというところまで行きそうな情勢なんでございます。そうしますと、大体ポンドとして発行されるということは将来の問題であり、又その機会も今言いましたように、せいぜいアメリカの政府機関ぐらいで、その場合においては特別な法制がなくても、免税の規定が現実に考えられるのでございますが、どうもやはりこういうことに借款の契約書を書きませんと、借款そのものが成立しませんものですから、国会の御承認を得た上でありませんと、そういう借款の契約書に政府がサインするわけには行かない。そういうような経緯がありまして、非常に遅れ馳せで恐縮でございますが、そういう事態がだんだんはつきりして参りましたのが最近のことでございますものですから、非常に遅れて恐縮でございますが、こういうような法案を提出した次第でございます。
  219. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律案を、原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  222. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、前例により委員長に御一任願いたいと思います。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     森下 政一  三木與吉郎     前田 久吉  土田國太郎     小林 政夫  山本 米治     青柳 秀夫  西川甚五郎     平林 太一  安井  謙     藤野 繁雄  岡崎 眞一   —————————————
  223. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に揮発油税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を願います。  別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  224. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  225. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に閉鎖機関令の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず衆議院修正点について便宜政府より説明を聴取いたします。
  226. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 私から閉鎖機関令の一部を改正する法律案に対する衆議院におきますところの修正案につきまして、便宜私から簡単に御説明を申上げたいと思います。  改正の点は三カ所ございまして、第一点は、第十九条の五の第四項に関する修正でございます。これは原案におきましては、新会社を設立いたします場合、その計画案につきましては株主総会を開きまして、その発行済株式総数の二分の一以上の多数を以て議決をすることになつておりますが、この点を、出席者の三分の二以上で、且つ株主権の十分の一以上であればよろしいというふうに緩和の規定に修正をいたされております。これは現実にいろいろな会社について調べて見ますと、発行済株式の二分の一以上の多数を得ることが相当困難な会社も事実上は出て来るような虞れもございますので、できるだけ閉鎖機関の解決を早くする意味におきまして、この新会社設立の手続もできるだけ緩和してできやすいようにするという趣旨で、この点の数を相当に緩くするという趣旨で改正をいたされたわけでございます。ここで発行済株式の総数の十分の一以上という点は、これは新会社を設立いたします場合の一番最初の手続といたしまして、十分の一以上の株主の申出によつて会社設立の最初のスタートを切るということになつておりますので、少くともその後におきますところの株主総会の議決も、当初の十分の一以上の数は必要とするという趣旨で、この十分の一という規定が入つておるわけでございます。  改正の修正の第二点は、第十九条の二十六として入つてございますが、これは現在、閉鎖機関は、相当と申しますか、殆んど大部分の閉鎖機関が第二封鎖預金を持つておるわけでございます。この調整勘定の受益権は、金融機関再建整備法におきましては、譲渡を禁止いたされてございます。従いまして、閉鎖機関が調整勘定の受益権を持つておりましても、それが現在におきましては、地方銀行はぼつぼつ返つて来ておりますが、都市の大銀行におきましては、その分配が全く現在なされておりません。又今後もいつなされるかちよつと見通しがつきかねるような状態にございますので、閉鎖機関の整備上非常に支障を来たしておるような現状でもありますので、この際、閉鎖機関の持つておりますこの調整勘定の受益権、或いは閉鎖機関に対して債務者が持つておりますところの調整勘定の受益権を譲渡する方法によつて、清算を早く結了させるという趣旨の規定なつておるのでございます。これは命令を以て定める方法によることにいたしてございますが、その大体考慮されますところは、調整勘定は幾ら返つて来るか、中身、その金額等が未決定でございますので、その評価が非常に困難でございます。従いまして、これを有償譲渡するということは非常に困難でございますので、命令におきましてはこれを信託譲渡といつたような方法をとるようにしたらどうかというふうに考えられるのでございます。  修正の第三点は、第十九条の二十七でございまして、これは只今申しましたように、調整勘定の受益権或いは閉鎖機関の他の閉鎖機関、例えば公益営団でありますとか、或いは横浜正金銀行でありますとか、そういつたようなまだ相当将来に亘つて清算状態が続くようなところに対する債権等は、これはなかなか片が付かないような状態にございますので、これも或る閉鎖機関にとつては清算の途上におきまする相当の支障になりますので、これも信託譲渡するという方法を講ずることにいたしてございますが、その場合に債権者の同意を得てやるということは、非常にその数が多くて手続上煩雑な点もございますし、場合によつては債権者の住所が不明であるといつたような問題もございますので、法律上閉鎖機関がそのようなものを第三者に信託譲渡いたしました場合には、債権者の同意を得なくとも債務を免れるというふうに、注意規定として第十九条の二十七が新たに修正として入れられたのでございます。以上簡単でございますが御説明を終ります。
  227. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質疑を願います。
  228. 小林政夫

    小林政夫君 この前、中央食糧営団のことについて調べて報告するということになつておつたのですが……。
  229. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 中央食糧営団につきましては、これは昭和十七年に設けられまして、昭和二十一年に解散令が公布いたされております。閉鎖機関に指定されたのが二十三年の三月十六日になつております。現在におきましては一切の債権債務の清算上の手続が完了いたしまして、現在は最終の分配をするという段階になつております。
  230. 小林政夫

    小林政夫君 私の質問した趣旨はですよ、残余財産をどういうふうに分配するつもりなのかということです。
  231. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 残余財産につきましては、すでに出資者に対しましては、その相当額、出資額については全額これを分配をいたしております。更にそれ以上の剰余金につきましては、これは解散令に基きまして、全額国庫に納入することに法律上きめられてございます。
  232. 小林政夫

    小林政夫君 それについてですね。農林当局、又は関係者から、すでにその解散令自体を改正しているので、その残余財産について国庫に帰属するという点を或る程度譲歩してもらえないかという、こういう要望があることにつきましてはどうですか。
  233. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 暫らく以前にはそのような話もございました。現在におきましては、私どもそういう要望は全然現実の問題として聞いてもおりませんし、取上げてもおりません。
  234. 小林政夫

    小林政夫君 それは、以前にはということはですね。まあ、ここにある関係者から提出された資料によると、二十七年六月十九日附を以て、食糧庁長官、農林大臣、大蔵大臣宛の陳情になつておるのだが、その後引続いて、あなたのほうと折衝が続いているように聞いておるのだけれども……。
  235. 岩動道行

    説明員岩動道行君) この点につきましては、解散令におきましてすでにきまつたことがございますので、大蔵省といたしましては、そのような御要求があつた当時においては、これは解散令に従つてやはり国庫に納入すべきものであるということの御返事を申上げておつたと思います。
  236. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、あなたのほうでは、もうその要望には応じがたいといつて、はつきり断わつたと、こういうわけですね。
  237. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 現在においてはそのような状態なつております。
  238. 小林政夫

    小林政夫君 それは考える余地はないのですか。
  239. 岩動道行

    説明員岩動道行君) これは建前といたしましては、措置として国に納めるのがいいか、或いは従来の出資者に任したらいいか、戻すべきかというような問題がございますが、この解散令をきめました当時におきましては、その性格上、出資者に対しては、出資額は全額これを分配して更にそれに対して或る程度の利子も付してやつたのでございまして、当時の了解におきましては、それで相互に満足をいたしまして、そうして残額は国に納入するということで話が付いておりましたので、大蔵省といたしましては現在でもその建前でいいのではないかと、かように考えておるわけであります。
  240. 小林政夫

    小林政夫君 地方の食糧営団は必ずしも今のような方法にはなつていないのですね。中央食糧営団だけが、その今の解散令によつて一応そういう規定があるが、地方の食糧営団は、残余財産全額を株主、出資者に分配されると、こういうことなんですか。
  241. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 出資者に対しましては、更にその出資額に応じたものは残余財産の分配として分配をいたしております。
  242. 小林政夫

    小林政夫君 だから、金銭の出資に応ずるだけに或る程度の金利を付けて返したということであつて、その関係者は一応それを公益法人にしてもいい、譲れば、譲歩しても公益法人にしてもいい、この食糧営団というか、食糧関係のまあ有意義なものに使いたい、詳しくは請願書に出ておるけれども、そういうところに使いたいと、こういうことを言つておるわけです。まあ、この解散令というようなものも当時早々の間にやつたものであつて、そう今のような情勢から言うと、この解散令にあるからといつて、余りそれにとらわれるという必要もないのじやないかと思うのですけれども、一体その国庫に帰属する財産になるものは、この関係者においては幾らあるのですか。こういう金銭関係においては……。
  243. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 約五千万円の資金が残つておりますが、これに対しまして清算所得税等を差引き、更に今後の清算事務費等を見ますと、約千九百万円ほどが残余財産として残る。これが国庫に帰属する。こういう建前になつております。只今金額の御説明で、ちよつと補足して申上げますが、残りました千九百万円のうちの半額は出資額に応じて分配するとすれば、国が半額出資を致しておりますので、千九百万円の半額は国に入つて、残りの九百五十万円ほどが出資者に分配される。かようなことになつております。
  244. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  246. 小林政夫

    小林政夫君 この法案とは関係ないのですが、在外会社のことについて尋ねたいと思うので、理財局の経済課長を呼んでおるのです。一応これはこれとして採決されてもいいのですが、これに対する質問を留保しておきます。
  247. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それは別の機会に……。  別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。閉鎖機関令の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  249. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと思います。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     森下 政一  三木與吉郎     前田 久吉  土田國太郎     小林 政夫  山本 米治     青柳 秀夫  西川甚五郎     安井  謙  藤野 繁雄     平林 太一   —————————————
  250. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に日本専売公社法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を願います。
  251. 平林太一

    ○平林太一君 煙草の専売益金は本年度は千五百億内外が計上されておる。それで煙草の原価についてですが、例えばピースは現在一個四十円で売つておる。それで、真の原価計算というものは三、四円見当と私は承知いたすのでありますが、それで間違いないかどうか伺いたい。
  252. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 手数料を除いた数字で申上げますと、「朝日」は五円二十銭九厘、「富士」が十三円二十四銭八厘、ピースが九円二十銭九厘、「光」が七円三十六銭七厘、これはいずれも十本当りでございますが、その程度になつております。
  253. 平林太一

    ○平林太一君 そういう数字を今承わりましたのでありますが、私の尋ねんとするところは、そうするとピースを四十円のものは専売益金というものは一個三十四、五円に相当する、そういうことになるのだが、こういうものが益金という名称では、無論益金というものは税金でありますから、そうなりますというと非常に四十円のものを売つて三十四円内外が利益するというようなことは、益金という性格に非常に相違反するものである。又そういうものが、当然それが平然として益金と認められるということになりますというと、一般の民間で作つておりますものの益金というものの性格が、これは非常に、根本的にその思想というものを考え直さなければならない。これを非常に恐れるのでありますが、政府でやることであるから何でもそれを益金とするというようなことで見逃されておりまするが、これは税と、まあいわゆる専売公社になりました性格そのものが益金といわざるを得なく相成つたのでございましようが、何らか名称を変えるということを考えるお考えはないかどうか、民主政治の建前においてこれは許されないことである。普通の場合でありますれば、四十円のものを売つて三十四、五円のものが利益金になるというようなことは、これは戦後特にこういう現象であるが、戦争中は税は税として、例えばピースの原価が五円のものでありますれば、定価で幾らで、税が幾らと、こういうことで明らかにされておつたのでありまするが、その点を今後どういうふうに、いわゆる政治性格として考えて行くべきかということを、一応伺つておきたいと思います。
  254. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 実は率直に申しまして、成るほどそういう御意見があるかなということは只今も気がつきましたような次第でありますが、それは日本で煙草専売が始まりまして以来ずつと用いられて参りまして、専売益金という歳入の項目の名前をそのまま無批判に使つて参りたしたのでありまして、成るほど今お話のようにこれは利益ということと通じて考えられるとすれば、正に検討を要する問題だと思います。
  255. 平林太一

    ○平林太一君 非常にこの問題は大いに検討いたしたいのでありますが、(「私も同感です」と呼ぶ者あり)非常に今日は委員長の顔色も大いに拝察しなければならないので……。(笑声)
  256. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) ちよつと今私間違いましたのでありますが、正式の予算の款項目には納付金という名称が使われております。併しながら公用語として益金という言葉は常に使われておるところでありまして、それに関する限り只今申しました通りであります。
  257. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) お諮りいたします。本案についてはまだ質疑があるようでありますが、これは次回に譲つて本日はこれを以つて散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  258. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  本日はこれを以つて散会いたします。    午後七時十四分散会