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1953-07-24 第16回国会 参議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十四日(金曜日)    午前十一時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            野溝  勝君            堀木 鎌三君            平林 太一君   政府委員    日本専売公社監    理官      今泉 兼寛君    大蔵省主局法計    規課長     白石 正雄君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    国税庁長官   平田敬一郎君    通商産業省繊維    局長      徳永 久次君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省理財局国    庫課長     藤田  茂君    日本国有鉄道経    理局長     高井 軍一君    日本電信電話公    社経理局長   秋草 篤二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告 ○がん具の物品税免税点引上げに関す  る請願(第一〇〇号) ○物品税法中にけ粧用セットを包含す  る等の請願(第一〇一号) ○商工組合中央金庫資金源確保に関す  る請願(第一〇二九号) ○旧海軍文官退職賞与中未払額支払  促進に関する請願(第一四〇四号) ○国有機械器具交換払下げ長期年  賦償還に関する請願(第一四一一  号) ○国家買収に係る土地家屋移転補償  料に対する免税請願(第一五三二  号) ○旧軍港市国有財産処理等に関する  請願(第二六四七号) ○転換軍用施設の一時使用料えす置  等に関する請願(第一六四八号) ○所得税、総所得額決定に関する陳  情(第五号) ○商工組合中央金庫に対する政府指定  預託金償還延期等陳情(第二七  号) ○長崎税関支署の昇格に関する陳情  (第一九六号) ○PX向け写真機輸出免税手続に関  する陳情(第二〇七号) ○塩業組合法内閣提出衆議院送  付) ○鉄道債券及び電信電話債券等に係る  債務の保証に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○酒税の保全及び酒類業組合等に関す  る法律の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○関税定率法等の一部を改正する等の  法律案内閣送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第二十四回の大蔵委員会を開会いたします。  先ず請願及び陳情に関する小委員長より小委員会経過及び結果について報告を聴取いたします。
  3. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 請願及び陳情につきまして、小委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  一昨日第一回の小委員会を開きまして紹介議員より趣旨説明を受け、各委員の意見及び政府の見解を十分に聴取いたしまして、慎重に審議をいたしましたのでありますが、その結果は次の通りであります。  請願第百号は幼童の必需品たる玩具の物品税免税点引上げられたいとの趣旨であり、請願第百一号は、物品税化粧用具のうちに化粧用セット項目を新たに設け、免税点を設置せられたいとの趣旨であり、請願第千二十九号は商工組合中央金庫資金源確保のために、格別の措置を講ぜられたいとの趣旨であり、請願第千四百四号は旧海軍文官退職賞与連合軍最高司令官の指令により停止されているが、講和条約成立の今日その未払額を速かに支払われたいとの趣旨であり、請願第千四百十一号は国有財産特別措置法による国有機械器具交換払下げ代金中小企業金融難の今日、長期年賦償還の便法を講ぜられたいとの趣旨であり、請願第千五百三十二号は河川の改修のごとき公共の利益のため自己を滅し国家買収を受諾した土地家屋移転補償料に対して課税することは条理上不当であるから免税せられたいとの趣旨であり、請願第千六百四十七号は旧軍港市が旧軍港市転換法により産業港湾都市建設に努力しているが、なお国有財産処理に関し売払方針の確立、価格適正化貸付料低減等を善処せられたいとの趣旨であり、請願第千六百四十八号は同じく旧軍港市の問題で転換軍用施設の一時使用料据置等について善処せられたいとの趣旨であり、妥当と考えられます。よつて以上請願八件はいずれも採択すべきものと決定いたしました。  陳情第五号は所得税所得額決定に当り慎重公平を期し、国の一方的措置のみによらず民主的方法を加味する等の措置を講ぜられたいとの趣旨であり、陳情第二十七号は商工組合中央金庫に対する政府指定預託金償還は、中小企業に重大なる影響を与えるので、この償還を延期し、なお政府資金を大幅に増額せられたいとの趣旨であり、陳情第百九十六号は長崎税関支署をこの際本関に昇格せられたいとの趣旨であり、陳情第二百七号はPX向け写真機手続外地向け免税手続と同様簡易化せられ輸出振興の一助とせられたいとの趣旨であり、妥当と考えられます。よつて以上の陳情四件はいずれも採択すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 只今報告のありました請願及び陳情につきましては、いずれもその報告通り決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  5. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。よつてさように決定いたしました。   —————————————
  6. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に塩業組合法案を議題といたしまして質疑を願います。
  7. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) この前の委員会のときに、小林先生から第六十条の第四項、毎事業年度剰余金の二十分の一以上を翌年度に繰越す、こういう趣旨はどういう趣旨かと、こういう御質問がありましたのに対しまして研究不十分で御満足行くような御答弁もできませんでしたが、その点について研究いたしました結果をお答え申上げておきたいと思います。  この第六十条四項におきまして規定しておるのは、これは農業協同組合法五十一条、それから中小企業組合法五十八条にも全く同じような規定がございます。これはイギリス協同組合以来の一つの伝統とも言うべき規定になつておる次第でございまして、経営技術の指導とか、或いは教育情報に関する事業は、それが重要な事業であるにもかかわらず、とかく経費の手当その他について他の事業よりも等閑にされがちである。そこで特に繰越金を法によつて強制していると、こういう趣旨でございます。二十分の一とした理由は、これはイギリスロツチデール組合以来大体この剰余金の四・五%乃至五%の繰越しを義務付けているというのが慣例となつて、さき申しました農業協同組合法にも中小企業組合法にも同じようなやはり二十分の一という率で大体五分を繰越すということを強制している、こういう趣旨でございます。御答弁申上げます。
  8. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 資料の、この二十七年度輸入塩輸入国別数量並びに単価表、これは御質問があつたのでございましようか、あつたのだつた質問しませんが……。これによつて見まするというと最高最低とが非常な差があるのです。それで最高最低と非常に差がありますが、この輸入計画及び輸入数量決定はどういうふうな方法でやられるのかお尋ねしたいと思います。
  9. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 御承知通り塩CIF価格は、その大体七割内外運賃によつて構成されております。従つて原価はそう違わなくても、運賃高低によつて非常に高い低いが出て参るわけでございますが、中には例外的に台湾等は近海であるにもかかわらずかなり高いほうになつておりますが、これは原価関係でやはり台湾は相当高い原価に相成つておるということでございまするが、それ以外の地区は大体この運賃関係がその構成分子になつておりまして、相当高低があるわけでございます。従つて、この朝鮮事変当時非常に船腹が不足した時代は、非常にこの運賃高騰関係から一昨年あたりCIF価格トン当り二十ドルというような状況もございましたが、昨年の年初あたりからだんだん運賃が下降して参りまして、現在は九ドル乃至十ドル内外ぐらいで輸入ができると、こういう状況になつておりますが、運賃関係がこういつたような関係でその時その時で非常に違つて参る。従つて相手国によつて運賃高低関係値段高低相当影響を及ぼして参ります。まあそのほかに一つはやはり塩を買つて日本の商品を売るという、まあバーター的な見地から多少引合関係でよそよりは若干高値のところであつても、まとまつて相当輸出のあるようなところからは、やはりまとまつた塩を買う、こういう必要も生じて参りますので、そういつた関係必らずし原価として安いところから買うと、又安いところだけ買うといたしましても、数量がまとまらない、こういう状況もございまするので、相当年間輸入計画公社といたしましては立てまして、その都度数量を時期的にどういつたふうに入れるかということで、年初以来その購入計画を立てておるわけでございますが、その購入計画も必ずしも相手国事情そのものによつては、日本の希望する時期に日本の希望する価格ということにはなかなか引合がとれない関係もありまするが、大体公社といたしましては輸入業者を大体内定しておりまするから、その輸入業者に命じまして、できるならやはり安い塩を、而も所望の時期に入るようにというわけで、世界各国の塩の輸出市場というものをその輸入業者からの情報を入れまして輸入業者等を通じて契約をしておる、こういう次第でございます。従つて必ずしも画一的にこういつたふうに高い低いものが出て参るのはまあ止むを得ない次第でございまして、併しながら公社としては成るべく所望の量は所望値段で成るべく安く買いたいということで努力いたしておりますが、結果といたしましては、それから又ここに現われた数字は昨年度実績でございまして、昨年度の始めあたりは相当値段にそういつたふうに運賃関係を中核といたしまして高低がございましたために、こういつた値段の相違が出て来ておる状況でございます。
  10. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 二十七年度の表によつて見まするというと、トン当りの平均が一万四千五百六十円、それから政府が出されたトン当り収納価格算定基礎を調べて見ますというと、一万三千百五十四円五十銭で、これを査定して一万三千円で現在塩は収納されておるようでありますが、二十八年度輸入塩トン当り幾らの計算になつて、この内地塩収納価格とどういうふうな釣合になるか、それをお尋ねしたいと思います。
  11. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 輸入塩内地塩との関係は全然関係ないと言つては語弊がありますが、内地塩収納価格は御承知通り内地は非常に塩の採取状況から言つて世界的に非常に条件の悪い国柄でございまするので、大体国内の塩の価格というものは、生産者生産費というものを大体基準といたしまして、業者に若干のやはり利潤は認めなくちやなりませんので、この生産費を或る程度上廻るところの価格購入する、こういうことに相成つております。従つた国内塩購入外塩が非常に高くなつたから、安くなつたからということには余り拘泥いたしませんで、できた塩はそういつた生産費基準とした価格購入する、こういうことに相成つております。そんな関係で、大分日本国内塩買収価格は、現在の塩の輸入価格に比べては相当上廻つた額になつております。二十八年度輸入価格はどういうふうになつているかというお尋ねでありますが、これも向うとの引合関係で、成るべく安い塩を買うという方針は飽くまで堅持はいたしておりますが、だんだん二十七年度の当初以来運賃関係が下つて来たために、現在の引合は大体、ところによつては多少違いますが、大体九ドル内外くらいのCIF価格で入つて来ておる状況でございます。
  12. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 製塩業者のほうからは、昭和二十八年の一月にはいろいろの製造様式によつて買入れてもらいたいという値段要求が来ておるのでありますが、例を取つて見ますと真空式では一万四千五十六円、蒸気利用式では一万五千百三十八円、平窯式では一万六千三百四十一円、こういうふうな金で買収してもらいたいという要求があるのでありますが、現在の買収価格は一万三千円である。そうしますというと、政府のほうの、公社のほうの調査では、この業者要求の金額というものが妥当でないとお考えになつて、一万三千円に決定したわけであるかどうか、一万三千円の算定基礎はいろいろと詳細に出ているようでありますけたども、その点お伺いしたいと思います。
  13. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 御指摘のように国内の今塩の価格トン当り一万三千円ということになつておりまするが、これは大体二十六年度生産実績を調査いたしまして、二十七年の一月にきめた価格でございます。それ以来一年余り現在経つておりますので、業者のほうといたしましてはこの一万三千円という価格は現在の状況においてはどうも安過ぎるのではないか、もつとこの買収価格引上げてくれという要望も現在公社に出ております。そして公社といたしましても、今の一万三千円というのは昭和二十六年度生産状況から勘案いたした金でございますので、二十八年度買収価格につきましては、目下公社塩脳部のほうで二十七年度実績というものを検討しておりますので、その検討の結果に基いて現在の一万三千円が果して適当であるかどうかという結論が出て来ようと思います。それによつて或いはこの買収価格変更の問題も起きるかも知れませんが、従来まで収納したものはそういつたわけで昨年の一月にきめた価格がそう不当じやないという確信の下にはやつてつた次第でございますが、その後の状況の変化もございまするので、公社では慎重に検討しておりますから、最近の機会にそういつた二十七年度実績関係に基いた適正な価格幾らかという結論は出て来ようと考えております。
  14. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今度のこの法律を制定して合理化するとしたならば、どのくらいの値下げなり生産費の節約ができるとお考えであるか、この点お尋ねしたい。
  15. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 公社といたしましては本年度を当初といたしまして五カ年計画を立てまして、現在一年間収納実績、昨年度は四十五万トン程度しか上らなかつたわけでございますが、これを五年後に七十万トンくらいにまで増産いたしたいというわけで、いろいろな増産計画を立てておる次第でございますが、それには相当の資金が要ります。百億内外くらいの資金が要るだろうと思います。従つて、その経営の内容においては、相当従来の平窯式真空式或いは加圧式といつた規模工業に切換えますので、その切換えたのちの単位当り単価というものは相当低くなつて来ようとは考えますが、相当多額の借入資金、或いは自己資金等を相当用意しなければなりませんので、そういつた金利関係その他から見ますると、差当つてこの一年二年で今の生産費がそう著しく急激に違つて来るとは考えられません。併し五年後相当これが四十五万トンか七十万トン程度になつて、相当大量生産的になつて来た場合、そうして今の真空式とか加圧式というような大企業経営になつて来た場合のことを考えますると、今から的確にどのくらい下るということは申上げられませんが、相当程度これは生産費が下つて来るのではないか、こう考える次第でございます。
  16. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 現在の全国の塩業者借入金は約三十五億円にも達しているというような話で、この金のために塩の製造が非常な支障を来たしていると考えるのであります。そこでこの組合法ができたならば、この業者借入金というようなものに対しても、何とか対策を打たれるのであるかどうか。三十五億円の借入金償還について公社はどういうふうな態度をとられるのであるか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  17. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 先ほどもちよつと申上げましたが、五カ年計画を遂行いたしまするためには、更に事業資金として百億内外ぐらいは要ろうかと思います。従つて、現在のこの組合関係で三十億余り借入金がございまするが、これだけでは不十分でございまして、この百億内外資金のうちには相当今後自己資金として投入される額も勿論出て参りまするが、昭和二十八年度では農林漁業金融公庫のほうからは十一億乃至十二億ぐらい借入れを現在予定している次第でございます。この借入金業者のほうとしてはこの五カ年計画を遂行するための借入金としては年間十一億や十二億では足らない。もつと割当を多くしてくれという要望のほうがむしろもつと強い要望となつて出ておりまするので、明年度以降についてはこの十一億乃至十二億という改良資金等相当程度これを増さなくちやならんじやないか、こう考えている次第でございます。併し御承知通り相当長期借入れになつておりまするので、塩業組合利子負担をここ数年は若干年々増しつつありますが、又一方においてはこういつた合理化をすることによつて生産もだんだん年々上昇して参ります。それから今御指摘のようにやはり単位当り価格合理化によつてコストを引下げることもできようと考えております。その面からこの借入金等は相当殖えては参りますが、利子負担については業界のほうから利子負担に堪えないからもう借金は御免だという声は出て参りませんので、むしろ改良資金が現在の毎年十一億や十二億では足りんからもつと改良資金を殖やしてくれ、こういう要望となつて現われている次第でございます。
  18. 野溝勝

    野溝勝君 関連して一言お聞きするんですが、大いに貿易を振興して、産業復興を図るというんですが、政府は新らしい産業復興に対する貿易政策の一環として製塩事業に対し、特に外塩輸入などに対し、どういう考えを持つておるんですか、この際一つお聞きしておきたいと思います。
  19. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 政府は今現在国内自給の四十五万トンという自給状況を以て満足はいたしておりませんので、できるだけ国内塩は少くとも食糧塩として必要なる百万トンは近くは是非国内で賄いたい。これは一つ貿易政策上のやはり外貨を節約するという面もございまするが、まさかの際のやはり国内生活必需品であるところの塩というものをできるだけ国内で一トンでも余計賄つておきたいという必要からと、二面の必要から、できだけ少くとも食糧塩ぐらいは国内で賄いたいもんだということで、従来も努力して参りましたし、今後も努力はいたして参る次第でございまするが、今以て食糧塩として必要なる約百万トンのうち半分足らずしか自給できない。そこで五カ年計画といたしましては更にこれを最低七十万トンぐらいまで自給いたしたいということでいろいろな、先ほど申上げました従来の原始的な平窯式製塩設備といつたようなものを、真空式とか加圧式というふうに改めまして、更に旧来の塩田の方式を流下式といつたような非常に効率的な方法に改める。更にもう一歩進めまして、現在福島県の小名浜に昨年から稼動いたしております加圧式製塩方法、これは海水から直接塩を採る工場を公社のモデル・プラントとして建設したわけでございますが、これは相当量電力を食いますので、相当やはり今後電力の供給ということを目標にしなくちやなりませんけれども、一方発電関係において相当電力もぐんぐん増して来ているようでございますから、加圧式等も活用することによりまして、まあ近い将来には国内需要の百万トン近くは是非生産したいというわけで、あらゆる手を打つている次第であります。但し先ほどもちよつと申上げました通り国内売塩価格と、それから外塩価格というものは非常に今値開きがありまして、外塩のほうが安い関係になつておりますので、その面で非常にまあ不利はございますが、政府政策としてはもうできるだけ自給対策を強化して参ります。
  20. 野溝勝

    野溝勝君 その外塩の安いことにつきましては、昨年の災害施設法ですか、その際に質問いたしましたので、この際は省略します。私ども依然としてその外塩の安いことを、安いというだけであつて、それに対する解決がされていないことは誠に遺憾です。又政府答弁を聞いてますと、昨年の災害復旧法答弁の時と同じ、例えばあの時には大いに努力して国内自給を高めると言われたが、依然として今日も百万トンの食料塩並びに工業塩を合せてその必要を強調されている、それで又自給の、何といいますか生産量が依然として四十五万トン、こういうことは昨年と一つも変つておらん、昨年と今年の間にどれだけの違いがあるか、この際違つている点の実情だけをここで御答弁願いたい。
  21. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 御承知通り塩増産はなかなかこの一年ですぐ増産ということはむずかしい関係で、又五カ年計画のうち一年、二年若干づつ上つて行く計画はこれは立てておりまするが、実は昨年の実績も五十万トンぐらい自給いたしたいということでやつてつた結果が四十五万トンしか出なかつた、これは昨年度が非常に天候、御承知通り日本国内はもう天候に左右されますので、天候が悪くて五十万トンが自給ができなかつた、こういう事情でございます。
  22. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本法案に対しては、衆議院において修正を加えておりますが、修正の要旨について係官から説明を願います。
  23. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 第八条に塩業組合の行う事業規定してございますが、その中にこの資金の点につきまして、貸付はできるけれども組合員からの貯金受入業務は原案にはなかつたわけでございます。衆議院におきましては、やはりこういつた塩業組合等については、相当組合員の今後の貯蓄貯蓄に基づく自己資金を活用するという必要性が今後起きて来るし、以前にありました塩業組合等においても貯金受入業務ということをやつてつたのであるから、今回もやはり貯金受入ということは是非この業務一つとしてやらしてもらいたいという希望がありまして、大蔵委員会修正案といたしまして、その第八条の第三号に「組合員貯金受入」という一項を挿入修正に相成つたわけでございます。それに関連いたしまして第七十二条の三項にこういつた貯金業務を取扱わせるためには、やはりこれは組合員利益のために、預金保護という立場から、やはり公社にこの検査権を附与したほうがよろしい。これは農業協同組合においても、漁業組合においても同じ規定がございます関係上、それとの権衡も加味いたしまして、その三項に「公社は、第八条第一項第三号の事業を行う組合業務又は会計の状況につき、毎年一回を常例として検査をしなければならない。」ということで公社検査権を附与するという規定を挿入したわけでございます。  それから、第二十五条の末項のほうに読み替えの規定がございまするが、その末項のほうに「同法第二百四十七条第一項中『第三百四十三条』とあるのは『塩業組合法第五十六条』と読み替えるものとする。」という一項目がございますが、これは総会における定款変更の際に過半数の出席によつて三分の二の議決を要するという商法規定を読み替える趣旨になつておりまするが、これは商法のほうも塩業組合のほうも同じ規定になつておりますので、こういつたことを重ねて規定する必要がないということで、今読み上げました点を削除に相成つた次第でございます。  あとは若干条文貯金受入業務もありましたし、それから今の検査権が挿入された結果、条文修正があつたことと、罰則等に若干のそういつた修正が加えられた程度で、骨子は今申上げた程度でございます。
  24. 森下政一

    森下政一君 この第八条の貯金受入業務というのをわざわざ省いておつたのはどういうわけなんですか。
  25. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) これは大蔵省の金融政策から申上げたほうが適当かと思いますが、成るべくこういつた預金業務は専門的な金融機関でやつたほうがよろしい、そういつた趣旨から言つて、こういつた事業組合でやるということは例外である。従来農業協同組合等においてその例外を認めておつたのであるけれども、これは非常に地域的に偏在しておつたり、銀行とかそういつた金融機関がないところに農業協同組合等がある、そういつた点でそういう不便の点から農業協同組合には例外的に認めた。塩業組合等においてはそういつた偏在するということもないから、まあ今の原則から言つて預金業務はやはり専門の金融機関でやらせるのが適当だというので原案には省かれてあつた次第でございます。併し先ほど申上げましたような理由で参議院のほうは、やはり今後組合には自己資金の充実ということが大事である。それには他からの預金の受入ではなく、組合員自体からの預金の受入であるから、このことは是非挿入したほうが今後この組合の活動その他から言つて適当であろうという趣旨修正した次第であります。
  26. 森下政一

    森下政一君 これは従来やつてつたところがあるわけですね、その時の実績はどうだつたのですか。
  27. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 旧専売法に基く塩業組合ではやはり貯金業務は取扱つておりました。これは二十四年の三月三十一日の調査でございまするが、預金業務を行なつている組合の数が十六組合ございまして、その預金の総計が六千七百万円余になつておる、こういう実績になつております。    〔委員長退席、理事西川甚五郎君着席〕
  28. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) 他に御発言もないようでありまするが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  30. 野溝勝

    野溝勝君 簡単に意見を申します。只今質問の中に申上げておきました通り、昨年この災害復旧法の際に私から製塩事業の解決は早急必要であるから、万遺憾なきを期してもらいたいということを申入れたはずです。ところが今回又塩業組合法案が提案されて、その説明、又質疑の内容等から見て、生産を中心としました需給のバランス等々の内容におきまして、依然として一歩も進歩しておらない、かようなことは政府当局の五カ年計画の答申にももとることであり、且つ又五カ年計画というのは空念仏に終る傾向にあると思うので、成るほどこの製塩事業というのは容易にその解決ができるものではありませんが、併し一年たてばどのくらいの成績、どれくらいの進捗が出ておるということの資料をこの委員会に示されないと私どもは了承できない。かようなことは、これは十分当局は考えなければいかんと思います。去年も説明で簡単に、又今年も簡単に行く、これではいけないのです。私は今回はこの程度で私の見解は打切つておきますが、とにかく来るべき時におきましては、十分資料を提示して、本院なら本院において一応発表したことに対する経緯結果というものについては、資料を以て示して、それで了承を得るということにしないと、これは国家の産業上、特に重要な食生活に、或いは化学上において必要なる塩業問題の処理に当りますのに非常な疑惑を起すことになりますので、こういう点を十分注意されて私は本案に対して了承するものであります。
  31. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) ほかに御発言もないようでありまするが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。塩業組合法案衆議院送付通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  33. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することにして、あらかじめ御了承願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条により委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     森下 政一  三木與吉郎     土田國太郎  小林 政夫     野溝  勝  木内 四郎     山本 米治  平林 太一     藤野 繁雄  青柳 秀夫     岡崎 眞一  菊川 孝夫   —————————————
  35. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) では次に鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務の保証に関する法律案について御質疑を願います。
  36. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 鉄道債券と電信電話債券が今年の予算に盛られておりますが、これの売出し方はどういうふうな売出し方ですか。一般から公募するのか、それとも、日銀引受でやるのか。どういうふうな公募条件ですか、利子その他は。
  37. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 鉄道債券及び電電債券の発行条件でございますが、大体只今まで確定いたしました状況といたしまして、表面利率は年七分であります。それから償還期限は七年、発行価額は百円につきまして九十八円、従いまして利廻は単利計算で七分四厘三毛四糸というように大体なつております。なお、発行方法といたしましては、請負募集といたしまして、大体対象は銀行は興銀以下十八行、それから証券会社といたしましては山一、野村等四証券会社、それから信託銀行といたしましては三井、三菱、住友、安田、日本、第一というようなものを予定しております。
  38. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今の大蔵省の見込みでは、これらは今度全部金融状況から見て売切れる見込みでありますか。
  39. 藤田茂

    説明員(藤田茂君) 只今の見込みでは、若し売切れない場合には、シンジケート・メンバーが引受けることになつているのでありまして、百六十億の発行予定額が売切れる見込みでございます。
  40. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次にこの債券によつて得た資金の使い途ですが、これは何にでも使うのか。その用途を鉄道、電信電話公社別に御説明願いたい。
  41. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは建設勘定に使うわけでございまして、その詳細につきましてはそれぞれ公社のほうから御説明いたします。
  42. 高井軍一

    説明員(高井軍一君) 鉄道債券によりまして調達いたしました資金の使途といたしましては、最も採算的な施設に投資いたしたいというふうに考えておりますので、現在考えておりますのは電化、発電設備及び内燃動車の新製というふうに考えております。それが八十五億本年度お願いをいたしておりますが、内訳は東海道線の浜松・姫路間の電化に四十九億八千五百万円、山手線の電化貨物線に九億九千七百万円、合計いたしまして五十九億八千二百万円、それから内燃動車の新製といたしまして約百両程度考えております。百両程度及びそれに伴います設備ということになりますが、それが十八億六千九百万円、品川の発電の設備を増強いたしますので、その発電設備に六億四千九百万円、以上合計いたしまして八十五億、こういうような施設に充当いたしたい、かように考えております。
  43. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) お答え申上げます。  この度政府保証によつて公募公債が発行されるのでありますが、私どもの電電公社の公募公債の使途につきましては、国鉄と違いまして、非常に細かな総合建設の内容を一々申上げることも非常に詳細に亘りますので、私どもの資金計画の大要だけを申上げてみたいと思うのであります。  先般衆議院において通過いたしました七十五億の公募公債のお許しがあつたのでありますが、これに対して今度の法律によつてこれの保証が行われようとしているのであります。二十八年度におきましては建設勘定において四百六十一億の投資額を予定いたしてございます。従いまして七十五億はその一部分でありまして、四百六十一億の内容を申上げますと、償却に伴うところのいわゆる内部保留金の金額は、普通償却で百六十四億、特別償却で二十七億、これが先ず内部資本によつて賄われるのであります。その次に設備負担金と申しまして、現在法律に基きまして加入者に三万円の設備負担金を課すことになつております。これは取り放しの金でありまして、特例としては五カ年の間に万一死亡その他があれば返すこともある。五カ年目になりますと公社の自由になるわけでありますが、設備負担金が三十四億でございます。それからもう一つ、昨年の国会におきまして議決されて新らしくできました法律で、又昨年の一月から実行いたしておりますところの、加入者に対しましてこの設備負担金のほかにいわゆる加入者債券、受益者負担の債券と申しておりますが、この額が四十八億でございます。これは設備負担金と違いまして、加入者に対して義務的に証券を持つて頂きまして、公社からしますと一つの社債でございますが、これが四十八億でありまして、東京都内におきますと一人どなたでも加入する時に六万円ほど債券を持つて頂くわけでありますが、これが四十八億でございます。それに小さくなりますが、昨年国際電気通信業務を民間に移しまして、その評価額が株券として一応大蔵省の理財局の所有に帰しておりますが、それを売却することによつて財源の調達が私どもに廻つて参ります。これが三十二億ほどございます。その他電話設備料といたしまして、電話線の特殊な専用線についての設備料を取る規則がございますが、これは非常に小さいものを集めると五億ほどあつて、その次に今度国会で承認を得ました七十五億というものがあるわけであります。そうしますと四百六十一億に五十一億ほどの不足が生ずるのでありますが、これが先般来衆議院でいろいろ御審議頂きました料金値上げに伴いまして財政収入を殖やし、それを建設勘定に使用するという額でございます。御案内のことと存じますが、当初これは二割五分の財政収入を獲得する目途を以つての料金レートを考えたのでありますが、修正になりまして二割というような修正が可決されまして、従いまして財政収入といたしますと五十一億に落ちました。こうした資金が合計されまして四百六十一億に相成るわけであります。これをどういうふうに使うのかと申しますと、今年度の料金値上げを中心といたしました資金計画は従来の資金計画と違いまして根本的に考え直して見ようというので、昨年の国会でも一応の御説明はしたのでございますが、私どもの電信電話整備拡張の五カ年計画というものを徹底的に検討し直して見たわけでございまして、これに伴つて五カ年計画をどうしても遂行しなければ今後の電信電話の復興はできないという固い決心の下に、五カ年計画二千七百七十二億という資金計画が立てられておるのであります。これにはそれぞれ各年度資金計画或いは収支予想もございますが、何年度には電話局を幾つ建てる、市外線路を何キロ延ばし、どういう局の改式を行うという明細なパンフレットもございますが、又お入用ならお届け申上げますが、そうした計画の下に、非常な確信の下に資金計画を立てたのでありまして、その一部が今度の公募公債でございまして、それに伴つて資金調達を容易ならしめるために大蔵省のほうで政府保証をして頂くということに相成つたのでございます。  以上大要でございますが、御説明を終ります。
  44. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、大蔵省は政府保証を考えておられますが、国鉄でも電電公社でもこの期間内には繰上償還等をもできるくらいな見込で採算がとれるように考えておられるのか、それとも又七カ年の据置にして一齊償還をやるように考えておられますか、どういう償還計画ですか。それは利息を払つてまだ償還をやれるのですか。
  45. 高井軍一

    説明員(高井軍一君) これは投資の対象は国有鉄道といたしましては利廻の非常にいいところというのを考えておりまして、例えば先ほど申上げました主要資金を投下いたしまする東海道線の電化、これは現在の単価を以ちましても約一割の経費の減によりまして一割の利益率ということに相成つておりますので、利子をお払いいたしましてこれは十分減価償却なりその他ができることに相成つておるのであります。併し御承知のように、こういうような線路を特別な会計経理におきまして経理をいたすのではございませんで、全部の国鉄としての経理としてやつておるのであります。そういうまあ関係でございまして、現在におきましては減債基金の積立とか或いは債務償還の積立というものはいたしておりませんのございますが、こうした償還をすることになりますれば、これは当然予算的に組んでやらなければならん。それから又現在の運賃自身はそうした減債基金的なものを要素として含んでおらないのでございます。それでこういうような制度に相成りますれば、それははつきり運賃の構成内容といたしまして減債基金の積立もできるようにする必要があると思うのでございますし、又そういう工合に予算自身も編成せらるべきである、さように考えておる次第であります。
  46. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) ちよつと菊川君に申上げますが、今本会議で自治大学校設置法案の採決があるそうで、それで出てくれということを言つて来ていますが、午後にお廻しになつたら如何ですか、質問を。
  47. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 いいです。
  48. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) それじや暫時休憩いたします。    午後零時二十七分休憩    —————・—————    午後二時三十七分開会
  49. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引続きまして鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務の保証に関する法律案について質疑をいたします。
  50. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 国鉄の経理局長にお尋ねしますが、先ほどの運賃に盛り込まなければならん、こういうお話ですが、これはやはり運賃値上げを含んだ意味の答弁ですか。
  51. 高井軍一

    説明員(高井軍一君) これからの経理状況、収入の状況その他との関連があるのでございまして、こうした施設の改良によりまして、それだけの債務償還の基金に相当いたしますものが出し得るような余裕が何とかしてつきますれば、そういうことには立ち至らないと思うのでありますが、現在の運賃の構成は、そういう債務償還の積立というようなものを考えずに運賃決定されておる状態であります。収入経理の状況によりまして、或いはそうした積立金をいたしますときには、運賃についてお考えを願わなければならんのではないか、さように考えております。
  52. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 先ほどの御答弁では、このような採算のとれるといいますかいわゆる経費節約に役立つような方面へ、この公債によつて得たところの資金を注ぎ込む、そうすると経費が節約できて浮いて来るんだ、その浮いて来る分で以て償却をして行く、こういう御計画のように我々は拝聴したんですが、そうじやないですか。
  53. 高井軍一

    説明員(高井軍一君) 確かにそれが債券となりまして償却積立というようなものに相成ると思うのでありますが、これは全部の、ほかとの関連もございますので、御承知のように国鉄の線におきましては非常に収益のいい線もありますれば、一方においてはこの頃の新線のごとく、コストを償わないというような線もございますので、そのときの経理の状況を十分見て御判断を願いませんと、これだけですぐ当然に積立金は出て来るというふうに考えることはでき得ないと思うのであります。要するにここの問題といたしましては、それだけの利益は確かに出て来るという考え方で債券の募集というものをいたして参るのでありますが、ほかの線区との関係も考慮に入れなければいけない、さように考える次第であります。
  54. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは今のお話はほかの線区で損するというのは、別にこの公債を発行することによつて運賃に絡んで来るというふうに考えずに、僕はむしろこれだつた償還期限というようなものを七年という、まあ今の計画では当然なつておるのだが、これを大蔵省のほうでどうですか、もう少し長くするというわけに行かないですか。そうして少しずつ償還して行く。金融市場ではそれでは容れられないのか。
  55. 藤田茂

    説明員(藤田茂君) 現在一般の地方債、社債、それから国債も現在までは償還期限五年でありまして、最近の金融事情におきましては、公社債等は五年というのは一般の根本条件になつております。そこで、この公社債を発行するにつきまして何年にするかということは問題であつたのでありますが、五年よりもできるだけまあ長くして行こうという趣旨から七年としたわけでございまして、今後は国債につきましても成るべく七年にして行きたい、こういう考えでございます。
  56. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に電電公社のほうの経理局長にお伺いしたいのですが、今俗に、まあ新聞の悪口もありまするけれども、東京・大阪間は電話をかけるよりも飛行機のほうが早いと言われているのだが、アメリカのほうは又一方非常に音より早いと言われておる。これは誠にどうも電電公社にとつては芳ばしくない表現だと見なければならんのですが、これは復興すれば少くとも飛行機よりは早くなるというだけの自信をお持ちですか。
  57. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 電信電話のサービスの悪いことは非常に定評があるのでございまして遺憾でございますが、私ども少くとも公社になりまして少し徹底的にサービス改善をして見たいという決意を持つておるわけであります。世間ではいろいろな噂もございますけれども、私のほうでいろいろな統計を取つて見ますると、ここ数年来確かに電話はよくなつておるわけでございます。電信に至りましたら完全に戦前に復活いたしております。ただ無論アメリカなどに比較いたしますと雲泥の差でございまして、これから非常なる改善をしなければならんのでございますが、只今具体的に御意見のあつた東京・大阪間の通話が非常に遅かつた、戦前に比べてもまあつい最近ようやくレベルに達したということで、一時は三時間くらいかかる、現在ではまあ大体平均三十分というところに来ておるわけでありますが、この点につきましては、今年の九月早々と言つて差支えないと思いますが、私ども東京・大阪に関する限り準速時、即ち一、二分間で電話は通ずる、従いまして、まあ今菊川委員の御質問の飛行機よりは早くなるということだけは確信を持つて申上げることができるのであります。
  58. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に長期借入金で、外貨を以て支払われるものにかかる債務について、この件についてお尋ねしたいのですが、今計画として電電公社なり国有鉄道に対して長期借入の外貨というものはどういうものを予想されておられるか、本年の計画について御説明願いたいのであります。見込みはあるのでございますか。
  59. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 本年度として計画しておりまするのは、国内におきまする債券の発行だけでございまして、外貨の分につきましては全然計画しておりません。法律規定といたしましてこういう条項を入れました趣旨は何故であるかという趣旨のお尋ねであろうと思うのでありますが、これにつきましては、現在電電公社法のほうにおきまして六十二条の九項に、「長期借入金及び電信電話債券のうち、外貨で支払われるものについて、保証契約をすることができる。」という、外貨のみにつきましては現行法につきまして保証の規定があるのでございます。従いまして、日本国有鉄道法のほうにつきましては、全然借入金、債券に関する政府保証の規定がないのでございます。従いまして、現在の公社法といたしましてはその保証の関係規定が統一されていない、こういう状況でございますので、本年度におきまして公社債を発行するについてその保証の規定を入れますにつきましては、国鉄と電電の両方の規定を統一する必要がある、こういう意味でここに単行法といたしまして提出した次第であります。従いまして現在電電公社法のほうには、外貨保証の規定がありますので、これをそのまま切離しするということは、現在特にそういう必要もないわけでありますので、それを統一いたしましてここに長期借入金で、外貨を以て支払われるものに対する債務についても、併せて保証することができるという法文を整えたわけでありまして、実際問題といたしましては、現在のところ計画は、ございません。
  60. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 では、外資導入、外資導入とよく申します。吉田内閣は成立当時から口を開くと外資導入、外資導入と言うが一向入つて来ない。で、それでもまああなたのほうではそういうこともあるかも知れないから、この際この法律を作る際には一応書いておこう、こういう軽い意味で、長期借入金で外貨云々というのはそういう意味ですか、今の御答弁は……。
  61. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 電電公社法のほうにつきましては現行法といたして外貨につきましての保証の規定がございますので、そちらを国鉄と合せまして一本として単独法で規定いたしましたから、現行法をそのままここに規定をした、こういう関係になつております。従いまして、附則の第二項で「日本電信電話公社法の一部を次のように十改正する。」として、電電公社法のほうにありまする保証の規定を削除しておるわけであります。従いまして現行法をこちらに取入れて来たという関係に相成つておるわけであります。
  62. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に「予算の定めるところにより、保証契約をする」というのですが、保証契約の費用として何らかの、何分の経費をこれに計上すると、こういう意味ですか。予算でこれだけの債券を発行するということを承認された場合には保証契約すると、こういう意味ですか。
  63. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 鉄道債券及び電信電話債券の発行につきましては、御承知のように公社法のほうでその発行限度を国会の議決を経た範囲内において定めるようになつておりまして、これは政府関係機関の予算総則のほうにそれぞれ八十五億、或いは七十五億という発行限度の規定を設けておるわけであります。次にこれに対しまする保証につきましては、これは一つ政府の債務保証となりますから、従いまして政府の債務負担行為に相成るけでございます。従いまして、別個にその債務保証をすることにつきましての何らかの国会の議決を必要とするということが、財政法の規定から出て来るわけでございます。そこで法律におきましてここに保証することができるという権限の規定を設けようとしておるわけでございまするが、これは無限にできるということでは予算との関係がはつきりいたしませんので、予算のほうでその保証の限度について何らかの規定を設ける必要がある、こういうことに相成るわけでございます。そこで「予算の定めるところにより」という規定は一般会計予算書の予算総則第十三条を御覧頂きますと、ここに「政府は、日本国有鉄道が昭和二十八年度において発行する鉄道債券につき、その額面八十五億円を限り、元金及び利子の支払につき保証することができる。」こういうふうに規定を設けておりまして、八十五億円については保証することができるというふうに定めておるわけであります。これが予算の定めるところによりという意味でございます。
  64. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に保証契約でございますが、発行する場合に電電公社総裁、或いは日本国有鉄道総裁、こういうような名前で債券を売り出されるわけでありますね。そこで政府がこれを保証したものであるということを大蔵大臣の裏書と言いますか、そういうようなことを欄外かどこかに書くような形式になると思うのですが、そういうことをしないとこの債券というものは売れないのですか、余り国民から見てみますと、国有鉄道や電信電話公社が発行する債券にわざわざ大蔵大臣が名前を入れて判を捺さなければ売れないというふうにはちよつと考えられないのですが、その理由を承わります。
  65. 藤田茂

    説明員(藤田茂君) 政府保証をすることがこの売行きと或いは発行条件とどういう関係にあるかという御質問と解しますが、政府保証をいたしますと、国債に準ずるものとしてその発行条件を比較的有利に定めることができるというふうに考えておるわけでございます。又日本銀行がこれを担保に取ります場合、比較的有利に扱うことができるという根拠になるわけでございまして、従来は鉄道及び電信電話のこういつた債券は国債として出していた。やはり同じように信用のあるものではございますけれども、国が保証するという形式を整えますと、それだけ有利な条件で債券を発行することができるわけでございまして、その意味におきまして大蔵大臣が保証するということにしたわけであります。
  66. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう一つお尋ねしたいのは、こういう債券の発行の場合に、保証するというようなことではなしに、更に考え方によりましては、いずれも両企業ともこれは国の全額投資の一つの法人でございますから、盛んに今各会社におきましては増資という形を取つておるが、或る程度債券発行は国の公債発行とどうせ同じだと思うから、国が公債を発行して増資をするというような、こういう形は取れないか、この点一つお伺いしたい。今どこでも増資をしておるのに両方ともちつとも増資だけはしていない。増資という恰好は取れないのですか。
  67. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 財政法の規定によりますと、第四条でありましたか、出資金に充てる場合におきましては、公債を発行することができるということになつておりますので、法律の形式面から申しますれば、勿論一般会計において公債を発行いたしまして、そしてそれを出資金に充てるということは可能であると考えられるわけであります。併しながら、一応公社というものが国とはいわば法律的には別個の法人体といたしまして、現在その自主的な経営に任せられておりますので、従いまして公社が建設勘定等の財源に充てる場合に特別に資金を調達する必要があるというような場合におきましては、やはり公社の責任において債券を発行するということが一応の筋ではなかろうか、更に国の公債の発行というようなことにつきましては、本年度におきましては特殊の理由から現在国債の発行ということは計画いたしておりまするが、未だ一般的の公債の発行ということは考えていないという現状でございまするので、これらの点を考慮した結果、鉄道債券、電信電話債券の発行によることが適当である、こういう考え方の下におきまして処置いたした次第であります。
  68. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 最後にこの法律が両院を通過し、それから今の二十八年度の総予算が一応七月三十一日までに両院を通過するということになると、実際に百六十億の金が両公社に手に入るのは手続上どのくらいかかつたら入ることになるのですか、この金が動き出すのは……。
  69. 藤田茂

    説明員(藤田茂君) この公社債の発行計画が八月から今年度末まで毎月約二十億円ぐらい発行するという計画になつております。勿論鉄道公社或いは電電公社におきましては、資金の必要の場合にはあらかじめ短期融資を受けまして、それによつて必要な事業を進めて行く、そうしてこの公社債を発行した場合に短期融資と振替えるというような操作は勿論行われるわけでございますが、この公社債を発行する資金が実際に両公社に入りまするものといたしましては、只今申上げましたように八月以降毎月二十億円程度ずつというふうな計画になつております。
  70. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  72. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を願います。
  73. 土田國太郎

    土田國太郎君 この酒類業組合法の一部改正ですが、この法律は御承知通り酒税の保全と業界の共同の繁栄を目標としてこの春成立されたものでありまするが、最近この法律の運営がまだ徹底しておらんのか、或いは徹底しておつてもやらんのか、最近の業界を見るとこの組合制定の趣旨と非常に反した業態、いわゆるアルコール業者でありまするが、現在の状況を見ますと、原価の半値を以て市場へ売つておるというような非常に悲惨極まる状態に陥つて、この法律制定の趣旨にも反しておるようなわけでありまして、結局これは脱税によるか或いは政府に対する滞納によるか、この二つをしなければ営業が成り立たんというような現在の状況であることは政府も御承知であろうと存じまするが、その原因について政府は何と見られるか、或いはこれに対する対応策を、いわゆる救済策を講ずる気持があるかどうか、お考えをお聞きしたいと思います。
  74. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今土田委員の御指摘になりました点は、政府といたしましても非常に憂慮しておる点でございます。結局第一次的に業者のかたがそういう販売競争の結果を自粛して頂きますと一番いいわけでありますが、結果については恐らく我々のほうの耳に入つて来るところから言いますと、業者のかたもこういうような状態が続けば果してどうなるだろうかという点については、非常に憂慮されておるようでありますが、お互いに騎虎の勢いと言いましようか、どうも現在におきましてはうまく行つていないというのが現状のようであります。政府といたしましては、何とかしなければならんものだろうと、特に国税庁が中心になりましてこの問題を心配しておりますが、現在のこの組合法による組合の結成が一応東京、大阪、関東甲信越といつたような、幾つかの場所におきましては結成されておりますが、他の所におきましては、まだ結成が遅れておりますので、勧告を出す、或いは命令を出す、或いは業者のほうから一応統制についての申合せをして、大蔵大臣の認可を求めるということにつきましては、それぞれ先ず組合ができるということが一番の先決問題でありまして、この点につきましても焼酎業が多少内部にいろいろの事情もありまして、遅れておるようでございますが、至急そうした必要が目の前に見えておるわけでありますので、先ずこの組合の結成、これを先ず急がせ、同時に今言つたような点につきましても、これに応ずる対策を講ずるということが、一応何らか法的な措置によろうとする場合においては残された途じやないか、それまでの間におきましても、そういう措置によらないで、もう少し何とかならないかとかいうことについては、国税庁折角努力しておりますが、結局何かしら法的な根拠による措置によらざるを得ないということになれば、先ず以て組合の結成を急がせる、こういうところに行かざるを得ませんし、その方向で問題を急いでおる次第でございます。
  75. 土田國太郎

    土田國太郎君 この法律の精神から行きまして、酒税の問題が一番大きく取上げられておる、併せて我々にも業者にもその協力を命じておることも同感であります。それと並行して政府も、酒税の脱税に最も大きな役割を演じておる例の密造業者というものについては、まだまだ我々の予期しておりまするような取締も徹底しておらんし、又啓蒙運動もできておらんというような実情でございますので、私も昨年の暮からこの春にかけて密造酒を見たのでありますが、非常に税務署の取締が緩慢である。そうして業者にえらい迷惑がかかる、或いは一般消費者に不良な飲料を供給する等、保健衛生から見ましても、実に由々しい問題が地方にあるのでありますが、これに対して政府は一層努力をせられる気持でおるのかどうか、特に私九州に参りましたときに、例の大島部落を見たのでありますが、この春でありましたが、あの当時の実情を調べて見ましたが、殆んど三月に一遍くらいという緩慢な取締をしておる。而も一つの町で二万石以上も密造しておるというのが実情でありまして、そうして税務署も殆んど余り構わんというのが実情でありますが、こんなことでは困ると思うのですが、政府はこれらに対しまして、何らかの手を打つ考えがあるかどうか伺いたい。
  76. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 密造対策につきましては、前国会でも御答弁申上げましたように、政府といたしましては最も努力をしなければならない点であるということを考えております。密造対策としては、結局一面においてまあ酒の税金が下り、従つて酒の値段が下る、密造をやつてもそれが余りうまい仕事にならんという素地を作ることと同時に、官庁側の取締が相当頻繁に且つ峻厳に行われるというこの二つが兼ね備わりまして初めて効果が挙るのだというふうに考えております。過般の御審議によりまして、一応酒税が下り、酒の値段も下げることができましたので、その面から相当の効果は挙がりつつあると思つておりますが、更に取締の面におきましても、併せて十分なる手を伸ばすということは我々企図しておるところであります。暫定予算でここ数カ月過ぎて参りましたので、当初予定しておりましたようなところまでまだ伸び切れん点もあろうかと思いますが、本予算の成立を見ることに若しなりますれば、その機会に更にそうした方面の経費も増すことも期待されますので、今お話になりました点等につきましても、十分政府としては努力して参りたいと存じておる次第であります。
  77. 土田國太郎

    土田國太郎君 この取締方法ですが、これを私は宮崎の税務署の人から聞いたのですが、如何にも経費が足りないのだ、全国一の密造部落に対しての割当の経費が少い。これではとてもできないのだからというような話を承わつておるのですが、昨年度予算で決議になつた大蔵省の密造取締費は全面的にばらまかれておる。各税務署に均霑ではないが、殆んど行つていない所はないというように行つておるのですが、もう少しああいうことを重点的に最も効果的に私は支出してやらなければいかんと思いますが、宮崎県あたりのごときは、一般の業者は平年度の二割しか製造しておらんというのが今日の実情であります。而も焼酎のごときは四十度を二十度の価格で売つておる。如何にも幅があり過ぎるというようなわけで、我々も心配に堪えないのでありますが、酒税が引下げになつて、これは相当に成績が上つたことも全国的に認めるのでありますが、まだまだ今日のような情勢では前途なかなか遼遠のような感じがするのでありますが、先ず私の考えといたしましては、これは密造業者を先ず取締る。それからほかの方面へ行くのが一番いいと思うのでありまするが、この点どう考えておりますか。
  78. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 過般の酒税の税率を引下げました際も、御承知のように二十度焼酎のような制度を作りましたが、これは大体今御指摘なつたような地域における密造焼酎が大部分二十度ぐらいのものが出ておるといつたような話も聞きまして、それに対抗する意味におきまして二十度焼酎というものの制度を作りましたのですが、一般的には必ずしも二十度焼酎はそれほど歓迎されておるとも思えませんが、今御指摘なつた地域のような所では可なり二十度焼酎も出ておるようでございまして、相当効果を挙げ得ておるのじやないかというふうに思つております。勿論片方にやかましい取締の手がありませんと、何といつても税金がかかるわけでございますから、それだけでは効果が挙がらないというので、やはり取締の点について十分の努力をしなければならんと思つておりますが、先ほども申上げましたように、今までは暫定予算でやつて参りましたので、いささかその点におきまして本予算の場合と比べまして、経費の点などでまあ不十分な点もあつたのじやないかということが感じられますが、本予算成立を見れば、その点はなくなつて来るのじやないかと思います。どうも割合に重点的に経費を使わないで、いささか一般的に過ぎるのじやないかという御批判につきましては、重点的にやる方向を考えておりますが、割合に密造というものが全国的に拡がつている実情も又見逃せませんものですから、つい或る程度そうした密造がある地域につきまして、相当のやはり予算を付けざるを得ない、全然そこを放置するわけにも行かんというような苦しい事情にあることを御了承願いたいと思いますが、考え方といたしましては、我々といたしましても先ず以て販売のための密造というのに重点を置いて、これを先ずなくすことに努力する、更にはその他の密造についても考えて行く、こういう方向でもつて考えて行くべきじやないか。販売の密造というものを見て参りますと、大体焼酎が中心でなされているやに思いますが、従いまして過般の税率引下げの際におきましても、そういう点につきましての意図も相当盛り込みまして、焼酎について特に税率引下げを大幅にやつたというのも、実はそうした意味におきましての意図が入つているということを御了承願いたいと思います。
  79. 小林政夫

    小林政夫君 この修正案提出の経緯ですが、解散前の国会におきまして審議をし、日ならずしてこういう修正を加えなければならない、こういうことについて、前国会においては我々は減税すればいいという減税法案のほうに主力が集中しておりましたので、こちらのほうも大分審議をいたしましたが、政府のほうでは、こういうようなことはあの法案が通つてから後に必要になつたのか、当時必要であつたけれども、これは二段構えで行こうということであつたのか、その点の経緯を明らかにして頂きたいと思います。
  80. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 前国会に法案を提出しまして、日ならずして更に改正法案を出したのはどういうわけだとお叱りをこうむるのは、確かに一応御尤もだと思います。前国会に提案いたしました時から我々は一貫して一応考えているのですが、酒類業組合はやはり一応法的な色彩が相当強いのじやないか。従つて事業をこれに普通に営ませるということにつきましては、相当慎重に考慮すべしといいますか、余り面白くないのじやないかという思想を、ずつと一貫して現在におきましてもその思想におきましては我々変つておりません。ただこれは主として清酒関係組合において問題が、法案が通つた後におきましてはつきり実は問題として出て来たのでございますが、従来も清酒関係におきましては片方に協会がありまして、そして並行して協同組合がある、こういう制度になつているのですが、協会は大体今度の酒類業組合に実は移り変つて行くと思いますが、協同組合におきましてそのまま残存するか、或いは酒類業組合で一本になり得るか、この問題が実はあるわけでございます。その協同組合の更に実態を眺めて行きますと、普通の商業協同組合のように、販売もする、或いは原料の買取りもする、そして組合員それを売渡す、こういつたような姿のもの、こういうようなことになりますと、これはとても酒類業組合とちよつと一緒になるわけに参りませんので、これはやはり従来通り協同組合でやつてつてほしい、ところがそれほど活溌にそういう仕事はなしで済まし得る、ただ資金の斡旋等におきまして協同組合の名前で以てやはり一応借りまして、それを組合員に又貸しの恰好で流してやる、その程度協同組合の仕事は大体済んでしまうといつたような組合が幾つかありまして、従つて、若し酒類業組合がそういう程度の仕事をすることができるようにさえなれば、改めて協同組合と強いて二本建にして行く必要がない、こういうような組合が幾つか目について参つたのでございますが、いろいろお話を伺つてみますと、その程度のことなら現在の法案におきましても、資金の斡旋はなし得る、それで組合がいわば貸すということを一つ事業にするという程度にするのは行過ぎでございますが、斡旋に代えて一応保証的な意味で組合で金を借りる、そして貸すという、まあいわば保証的な意味の貸借、それによる斡旋、こういうことをするのは斡旋を広く解釈すればいいんじやないか、併しそのためには法律条文をそれができ得るように直さなければ勿論できないわけでございますが、そういうふうにすれば現在の協同組合の相当数が、もう協同組合をやめまして酒類業組合に一本になり得る、そのほうが全体として経費が非常に安く行くのじやないか、こういうような御希望が非常に出て参りました。当初からそういう点がうまく我我のほうでも実情がわかつておりますと、改めて今回改正案を提出する必要もなかつたわけで、当初から言われていたのでしようが、多少その間の手落がありましたことは我々も遺憾に思いますが、当初は酒類組合全体の問題が大きくクローズアップされておりまして、事業のそうした細かい末端における実態というものをまだ掴みかねておりましたものですから、大体あの程度でよかろうと思つて法案をお通し願つたのでございますが、法案をいざ施行という面になりますと、今言つたような問題が出ましたので、それほど大きく改正を願うわけでもございませんし、又それによつて酒類業組合の設立が非常に促進される、こういうお話でございますので、それじや改正案を提案して御審議願おうか、かような気持になつたわけでございます。
  81. 小林政夫

    小林政夫君 私も実は解散になつて地方へ帰つたところが、酒屋さんから大分陳情を受けた、これはどうも疎漏の審議だということで甚だ赤面をいたした次第でありますが、あなたのほうも今の説明を聞くと、あの審議の過程においては余りそういう点は聞いていなかつた従つて、その後法案が通過してから後にいろいろ現状を見て考えるということであれば、これは責任は共同で分担するという意味において(笑声)了承をいたすわけであります。ただ一つ税務署が、これはあなた方の意思が伝わつていないのだと思うのだけれども、商工中金から金を借りておる、昔の中小企業協同組合法による酒類協同組合があるわけですね、今度の改正によつてもそれは救われないのです。税務署の指導が、今度はこういう酒類業組合ができる、だから今までの中小企業協同組合法による協同組合は解体して、そうして全部酒類業組合一本になるというようなことを言つておる向きがあるわけです。これは一応速記に残す意味においてお話しするわけですが、やはり必要がある向きは二本建で残しておく必要がある、商工中金の融資対象に残しておくということは、酒類業組合であればどうしても無理だということであれば、やはりこれは二本建で行かざるを得ない、この点について一応主税局長のお考えは如何ですか。
  82. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今お話になりましたような点につきましては、末端のほうに実は多少誤解がありまして、そうしてそういうような話を組合のほうにしたという話を聞きまして、それは我々もおかしいということで、過般の間税部長会議におきまして、国税庁がそういうことのないようにということをよく指示いたしておりますので、恐らく小林委員のお話を聞かれたのちにおきまして、その点は末端のほうにおきましても是正されたものと思つております。我々はどちらかと言いますと、むしろ協同組合とこの酒類業組合とにおきましては相当目的に違いがあるのですから、むしろ両立するのが普通じやないかと実は思つておりまして、そのために大体今度改正するこの条文は要らないのじやないかというふうな考え方で、実は荒つぽく考えていたわけでありまして、むしろ考え方としては協同組合は経済行為を中心としたものを協同組合として残す、こちらのほうは別な目的があるのだからと言つて、両立主義を我々のほうとしては原則として考えるべきじやないか、そういうような意味におきまして実は今度改正を願うような点が前の法案には入つていなかつたのですが、だんだん調べて行きますと現在の協同組合におきまして、今度改正案で提案されておるようなこの点さえ直せば、もうほかに大して仕事がなくなつてしまうのだというような協同組合もある、それならばその分は少くとも一本になつていいのじやないかというくらいに考えておりまして、決して前の協同組合をどうこうしようということは、少くとも我々としては全然考えていなかつたのですが、その意図が末端のほうまで十分通じなかつたことは遺憾でありますが、そのことがわかりましたので早速是正するように示達してございますので、現在におきましては御心配のような点はなくなつているのじやないかと思つております。
  83. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 酒税の保全及び酒類業組合に関する法律がこの間審議して通過したばかりの法律でありますが、すぐ又これを改正しなければならんというその重大なる理由が生じたのは、なぜあのときに、大して情勢の変化もないのに改正の出て来た理由はどこにあるのですか、あの時に、制定される時に考えておかれればよかつたと思うのですが、あの時に見落しと言いますか、その時にこういう問題を考慮せなかつた、忘れた、こういうのでございますか、率直なことを言つて……。
  84. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今案はその点について小林先生に縷々御説明申上げた次第でございますが、もう一遍繰返させて頂きますと、大体協同組合があの当時の状況からしまして、主としてこれは清酒の業者関係でございますが、酒類業組合というものと経済行為を営み得る協同組合とが実はずつと併存してあるのが大部分なんでございます。それで我々としましては経済行為をすることは、これはやはり協同組合が引続いてやりて行くべきじやないだろうか、こういうふうに考えたものでございますから、従つて個々の法律によつてできます酒類業組合は、いわば協同組合のような経済行為をやるものと性格が大分違う、従つて資金の面にしましても、斡旋をするのはいいけれども、若し借りる必要があれば協同組合で借りたらいいじやないかという、実はこういう考え方で参つたわけであります。そうして前の法律を御審議願い、通過させて頂いたわけでございます。ところがいざ施行してみますと協同組合も実は千差万別でございまして、今小林先生もちよつと御答弁申上げましたように、相変らず協同組合として残らなければならん協同組合が実は相当数あるので、むしろこのほうが多いのですが、同時に現在ある協同組合の中には非常に仕事の範囲が限定されておりまして、いわば債務保証的に資金を借りて、そうして下へ流すというくらいの仕事しかしていない協同組合があるわけなんです。そういう協同組合のある地域におきましては、若しこの酒類業組合にもう少し事業の範囲を拡げて行くことを認めますれば、もう二本建である必要がなくて、酒類業組合一つで以てやれる、従つてそういう場合も考え得るのだから、もう少し酒類業組合の仕事の範囲というものを再検討したらどうか、こういう意見が出たわけでございます。で、酒類業組合につきまして、経済行為をやるということにつきましては、私はその性格から言つてこれは適当でないと思いますが、資金の斡旋或いは斡旋に代えてするまあ資金借入れ借入れ資金をすぐ組合員に流す、こういう程度のものであるならば、或る意味では、勿論これは法律に明記しなければいけませんけれども、広い意味の斡旋の手続もできはせんか、そのくらいのことは一応酒類業組合に認めましても、酒類業組合の性格を阻害することはあるまい、かように考えたものでありますから、もつと前に、あの法案を提案した当時、そうした細部に亘つてまで事情がわかつておりますと、そのときからこういう原案で提案したと思いますが、協同組合の種類も非常に千差万別でございましたものですから、我々は或る意味におきまして、その改正だと思いますが、そちらのほうの実態を頭において法案を立案した、そうすると或る地域的な部分でございますが、或る地域におきましては、これの範囲をもう少し拡大してもらえば、強いて二つの組合である必要はない、こういう組合があることがその後にわかりましたので、その後にわかつたということが実は不勉強で恐縮でございますが、わかりましたので、かような改正案を提案した、こういう事情でございます。
  85. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでこの改正案を提案されるに当りまして、どうせ改正案を提案されるならもう少し御検討になる必要があるのじやなかつたかと思う点について私はお尋ねしたいと思うのですが、というのはこの間から大蔵省が立案されて出て参ります法律案を見て参りますと、一貫して流れている行き方というものは、酒類審議会というものがこの法律の中にございます。そうして酒類審議会の委員は大蔵大臣が任命したり、国税庁の長官が地方で任命することになつておるのですね。今日も当院に対しましていろいろの各種委員の任命に対して同意を求める件が出て来ておるわけですが、これは国有財産法の一部改正の時も私その点くどいほど申上げましたのですが、これはどこの省で、大蔵省だけの立案ではないためだと思うのですが、軍港都市の転換法、これに対して審議会があることになつておるが、その審議会の委員の任命について今度国会のほうへ同意を求められて来ておるのです。これは大蔵省だけの立案でないために国会に同意を求めるということにしております。国有財産の処理にいたしましても軍港都市の国有財産処分のためにはこの審議会にかける。而もその審議会の委員の任命は国会の同意を求める、こういうことになつておるのです。酒類審議会にしましても、これは今後いろいろ問題が起きて来ると思うのでございますが、大蔵大臣の任命、こういうことになつておるのだが、どうですか。一番中央ぐらいはもう少し国会の同意というところまで行くわけに行かんものか、改正する必要があるのじやないか、こういう点からです。
  86. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今御指摘になりました酒類審議会の規定が、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正す法律案にあるわけではなくて、実はこの酒税法にございまして、酒税法としましては、今度まあ別に改正案を出しておるわけではないのであります。一応前の国会におきまして御説明申上げ御審議つたわけでございますが、国会の同意を必要とするかどうかということにつきましては、我々のほうとしてはそこまでの必要はないじやないかという考え方で原案を出して来ておるわけですが、まだそういう実際に動き出すまでに至つておりませんので、今にわかにこれをどうこうしようという点については、ここまでは考えなかつた次第でございまして、まあ酒類保全の法律は、これはまあ組合を作るという段階に至りまして、今言つたようなところでいろいろ組合を作ろうという時に大分問題が出まして、この点を直してもらうと非常に組合の設立が円滑に行くというふうな点もございましたので、非常に差迫つて更に提案されたわけでございますが改正したい、かように考えたわけでございます。
  87. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それはあの酒類業の組合と、それから酒類審議会、酒税法と酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律と、これは両方合せて一つの私は動きができると思うのです。従つて、酒類業組合に対する酒類審議会、これは非常に影響力を結局においては持つことになるのではないですか。それらは改正について御検討をされたかされないか知らんが、どうも私国税庁だけで任命したり、大蔵大臣だけで任命するということになると、仲好し委員会的になるのです。今日も実はほかの或る委員会でしたけれども、最初に政府が同意を求めようとしたときに、その人は非常に人格高潔でいい人だと言つてつた、任期中に……。それが僅か二月か三月在任しただけで、もうよそにぽつと変つてしまつておる。恐らく審議会なんかにいたしましても、税務当局に睨まれるということになると、すぐ首になつてしまうというような審議会であつたならば話にならん。そういう点について、非常に心配、心配というか、御用審議会になる虞れがあるために、酒類審議会についても国会の同意というくらいまでの権威を持たす必要があるのじやないかと、こういう角度からお尋ねしておるのですが、結論としては、主税局長としては酒類審議会というものは、酒類業組合との関係はこれは非常に密接な関係にあると私は考えるのだが、ございませんですか。
  88. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 菊川委員の御指摘になつておりますように、酒税保全のこの法律で、政府が幾つかの措置をしようとする場合におきましては、酒税法に規定されております酒類審議会の一応諮問を経る、こういうことになつておりますので、その意味においては菊川委員のおつしやつていらつしやるように、密接な関係はある、これは言えると思つております。ただ、まあ一応法律の形だけは別々な法律でありますので、先ほど申上げたような御答弁をしたわけであります。  なお、審議会の委員の任命につきまして、国会の同意を得るということになつているものと、そうでないものとある。まだ必ずしもまあ全部が全部同意を得るということになつてはいないようでございまして、我々としましては、現在のところまあそこまで必要はあるまい、ただ、勿論この審議会を以て政府の御用機関的なものにする意図は毛頭ございませんし、又気に入らないからすぐやめさせるといつた意味の執行をするつもりは毛頭ございませんが、まあ一応この前の国会におきまして、酒税法もああいう姿において御審議つておりますので、今すぐにこの酒税法まで変える必要はあるまいという考え方で、酒税法に関する改正案は提出しなかつたのでございます。
  89. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私これはまあ意見に亘るので恐れ入りますが、この間からたびたびこういう審議会、何でも審議会がついておる。大蔵省の立案したもの、大蔵省だけの立案にかかる審議会については、どうも大蔵省だけで任命するという思想がどうも流れ過ぎておる。よそから出て来るものは割合に国会の同意ということを考えておるんだが、大蔵省には審議会がたくさんあつて、それが大臣の任命ということになりますると、どうしたつてその省の単なる附属機関になつてしまつて、諮問機関と言いますか、的な性格はどうしても薄れて来るように私は思うのですがね。独立性が失われる。だからして審議会の意義が薄れて来る。このように考えるので、審議会の問題が出る、それに関連した法律が出て来るたびに私は意見をまぜて御質問申上げておるわけですが、大蔵省の従来からの一つの行き方というものは、なかなか大蔵省モンロー主義がちよつと強過ぎるのじやないかと、こういうふうに考えておる。だから酒屋さん、そうでなくても酒類業組合と大蔵省税務当局との関係については、明治時代からのお付き合いで、仲好しクラブになり過ぎておる、私らから見ますと。而も相当考えますと大分仲好しクラブになり得る余地があると思うのです。そこで税金を飲まされておる国民からするならば、やはり正しい運用を、決して今も悪い、不正であるということを申上げるのではないけれども、殆んど半分くらい税金を飲んでいるのでありますから、折角そういうふうにして高い税金を飲んでおるならば、その税金が本当に正しく国庫に収まるようにしなければならん、こういう見地から申しておるわけでございまして、どうも関係者の、全然関係者でなければわからんにいたしましても、一体どういう手続きで委員が任命されて、そしてやつているのかということは国民の前にちつとも明らかにされない。念のためにこの際伺つておきたいのですが、今の酒類審議会のメンバー、それから略歴というものがわかつておりましたら、この際一つ参考に承わつておきたいと思います。
  90. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現在ございます酒類審議会は、実は酒税法のためだけの酒類審議会、これは前からございまして、これは主として級別、一級酒とか、二級酒、特級とか、あの級別審査のための審議会でございます。従いまして、その審議会の委員になつておるかたは、技術的な点に重点を置いた人をそのまま任命して、その人が任命されております。今度酒税の保全のこの法律ができまして、もつとより経済的なと言いますか、或いは政治的な角度の感覚が要る仕事がこの審議会にかかることになりましたので、現在の委員のかたはその意味において全部一応御破算にして、そして新しく実は任命するつもりでおりますが、まだ組合の設立の関係が全部でき上つておらない事情もございまして、目下片方の人選を進めているという程度で任命はできておりません。考え方といたしましては、単に業界の人達だけでなくて、やはり消費者的な利益を代表するかたとか、或いは第三者的な意味におきまして、学識経験者と言つておりますが、学識のあるかたといつたような意味においての、国民経済的な広い観点においてものを御判断願うようなかたにも当然審議会の委員にお願いするつもりでおりますが、具体的にまだ人選をどうこうというところまでは仕事が進んでおらんという状況でございます。
  91. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 多分これと関連して、委員の任命が変更されて人選をされておるという段階だろうとは私も想像します。併し、くどいようで、これ以上は申上げませんが、大蔵省に関係のあつた酒屋さん、或いは大蔵省に籍を置かれた公務員のかたで退職されたかた、こういう人ばかりを集めて審議会をこしらえてしまつて、この審議会できまつたんだというので、この酒税保全の法律運用に当つての発言権を持つ、こういうふうになつて参りましたのでは、息のかかつた従来の仲好しクラブ的な審議会になつてしまう。現役の人たちの思うままになつて運用されてしまう。ところが、法律の上においては、この審議会へ諮つたんだから、こう言つてこちらへ答弁される。少しはやつぱりこれに対して従来の殻を破ろうとするようなメンバーを入れまして、意見もお聞きになる、別に攻撃とか、あら探しという意味ではなくして、する必要があるのではないか。というのは、私は大蔵省から出て来る法律をずつと拝見いたしておりまして、最近大蔵委員会へ参りましてから、どうも思想的にそういうのが流れ過ぎておる、率直に申しまして大蔵省モンロー主義が強過ぎる。これはこの際打破する時期に来ておるのじやないかと率直に申上げまして、私の質問を終ります。
  92. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) どうも過去の大蔵省のやり方におきまして、そういう攻撃をこうむるとすれば、我々も大いに反省しなければならんと思いますが、我々の気持といたしましては、もうその点については菊川委員のおつしやいましたように、そうまあ業者のかたとか、大蔵省の先輩のかたをそこに委員として任命するというようなことは毛頭考えておりませんので、広くいろいろな各方面のかたにお願いして委員になつてつて頂きたい、かように考えておりますので、仰せの点につきましては十分考えて行きたいと思つております。
  93. 土田國太郎

    土田國太郎君 幸い国税長官がお見えになりましたのでお伺いしたいのですが、実は先ほど主税局長に意見を質したのでありまするが、その要を得ないので、又主税局長にお聞きするのはこれは無理なことでありますので、私もそのまま引下つたのでありますけれども、幸い第一線の総司令である平田長官がおみえになりましたので、責任ある答弁を頂きたいと思いますが、それはほかでもないのでありますが、今の焼酎の濫売です、三百円乃至五百円という値引をしておる。その結果は脱税であるとか、或いは滞納であるとか、延いてはその会社は破産というような道程を迫ることははつきりしておるのでありますが、こういうようになりました原因は、これは勿論業者も悪いでありましようが、政府にも私は多大の責任があるんじやないかというようにも考えられますし、その点長官はどう考えられますか。  又この業界が生死の関頭に立つておる現在において、政府はこれを救済するの心がまえがあるかどうか、あるとしますれば、どういう方法で以ておやりになるか、或いはこれを見逃しにするのかどうか、結果は国庫が損になることであります。それで昨年度の滞納がどういうふうに整理されておるか。私の聞くところによりますというと、滞納整理というものは更にされておらない。十数億の滞納が今日ある。非常に政府といたしましても金のお必要な時に、そういう金を僅かな四銭の利息を取るだけで不合理な資本を与えて置くということは、これは私はいかんことではないかとも考えまするし、又業者としますれば、高利な金を借りまするよりも、政府に滞納をしたほうが四銭で済むことであるから、それが得だという不道徳な観念で滞納しておることでありますれば、将来ますます殖えて行く、そこに持つてつて濫売でありますから当然これは滞納は殖えて行くのではないかと思いますので、これらの対策等を承わりたいと思います。
  94. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今御質問の焼酎の業界、今お尋ねの通り現在相当混乱という言葉を用いていいかどうか知りませんが、濫売の傾向がありまして、これに対しまして何とか対策を講ずべきではないかという情勢に来ておるように私どもも見受けております。この原因といたしましては、これは私から詳しく申上げるまでもないかと思いまするが、一つは、やはり焼酎自体の性格と、それからやはり戦後におきまして、今までの業者だけにこの免許を独占せしめるのはどうも不適当だというので大分新規の免許も実は与えたわけであります。その結果といたしまして新規の業者が大分殖えまして、そういうところからしましても競争がおみずから烈しくなるという傾向になつて来ておるのでありまして、焼酎の本質から申しますと、品質の上においてそれほどの差がない値段ですぐ競争する。而も能力からいいますと、蒸溜機を或る程度拡大すれば能力は簡単に殖やし得るといつた点が今まであつたものですから、今そういう点から競争がおのずから激化しやすい状況になつて来ておるわけでありまして、この辺一般の企業に通ずる戦後の企業の特色と、それから焼酎業界の更に特有の事情とが重なりまして、実は相当取引上の行き過ぎた競争が行われた、こういう傾向になつておる次第でございます。昨年も実は少しそういう傾向が烈しくなりましたので、政府としましては余り望まなかつたのでありますが、止むを得ない方策としまして、大蔵省令を以ちまして出荷の規制をいたしたわけであります。これによりまして若干収つた点もありますが、同時に又非常にいろいろな規制から来る悪い面もありましたので、この三月減税を期しまして、一応今までの政府の一方的な規制はやめるということにいたして今日に参つた次第でございます。最初のうちは減税の効果等も現われまして、それほどではございませんでしたが、それが昨今になりまして大分又激しくなりました。最近の傾向は特にどうも行き過ぎた値引き競争が行われているように見受けております。これに対しまして私どもも何とかやはり対策を講ずる必要があるのじやないかというふうに考えておる次第でございますが、先般又物価改訂案がございましたが、酒税改正法によりまして、成るべくこのような意味の統制は、業界の自主的な統制を主としてやるほうがよかろう。戦時中のように原料がなくなつたために止むを得ず、いや応なしに配給なり価格の統制をやるといつたような時代の統制は、これは政府が責任を持つて一方的にやるのが私はいいと思うのですが、そうじやなくて、最近のようなそういう混乱に対処するための統制というものは、これはむしろ組合の自主的統制に待つのが方法としてはいいのじやないかという方向で考えておるわけでありまして、私どもできるだけこの組合を早く置きまして、組合で自主的にこのような問題に対する対処策を考えてもらいたい、こういうことで進んで来たわけでありますが、遺憾ながら若干遅れまして、全国の組合連合会が結成いたしますのがまだ少し時間がかかるようでございます。八月の中頃にはできるのじやないかと思つております。それまでに今の混乱しているのをどういうふうに持つて行くかということで、実はこれも二、三日来相談いたしておるのであります。私どもとしましては、先ほど土田さんから御指摘がありましたように、実はやはり脱税とか滞納とかというようなことを余り甘くすると却つて不正競争を多からしめる、むしろそのほうはきちつと法律通り適正に実行して行くということをむしろ考えたほうが、こういう非常に行き過ぎた競争を排除する意味においてもいいのじやなかろうか、そういう意味からいたしまして、先般来そういうこともすでにやかましく言つているのでありますが、なおそれにもかかわらず行われている状況でございます。併しこのことは非常に行き過ぎましたことでございますので、特にそういう趣旨を国税庁としましては改めて方針を明らかにいたしまして、行き過ぎた競争は少しでも柔らかくなるように措置をしたい。  それからまあ差当りといたしましては、むしろ業界の自粛によりましてできるだけそういうことを禁ずるように、政府で少くするように措置をとつてもらいまして、組合ができますれば、組合で即刻こういうことに対して根本的対策考えてもらいまして、必要に応じまして消費者にも迷惑をかけないような統制をやつて行く、というような方法でこの問題を解決したらどうだろうかと現在のところ考えております。でありますが、大分最近の情勢はひどいようなところもあるようでございますので、なお国税庁としましてはその辺のところはよく見究めまして、更に必要に応じまして必要の措置はとつて行くつもりでございます。今のところはそのように考えておる次第でございます。
  95. 土田國太郎

    土田國太郎君 そのお気持はよくわかるのでありますが、これが実際が伴わないと何にもならん。私が先ほど伺いました滞納問題、これは十数億その整理が更に済んでおらんというところに、こういうようなあなたが今申されましたように、値引き競争が激しくなる。又その上に滞納を重ねなければならんという情勢で、私はこの際一罰百戒の意味を以ちまして、滞納処分を断行される気持はあるかないか。以前は滞納でもしますれば、製造停止をどんどん命ぜられたものでありまするが、今日は相当の大企業者が平然と滞納をされておるような状態でありまして、この点は思想問題から行きましても、又会社の経営から行きましても、誠に面白くないと私は考えまするし、又国家といたしまして甚だこれは迷惑な話でありまするので、この際一つ断固として滞納を整理するお気持ちがあるかどうか、一つ伺いたいと思います。
  96. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 私ども土田さんの基本的な考え方は全く同意見ですが、従いまして新規の滞納に対しましては、いやしくもゆるがせにしない、きつちりやつてもらいたい。ただ過去におきまして生じまして、現在累積しておりまするものにつきまして、一挙に一遍にお話のような措置をとるか、或いは或る程度計画を立てさせまして、成算がつくものならば、その計画を実行せしめて或る期間内に滞納を片付けるという方向で行くべきであるか、これは率直に申しまして私ども相当深刻に実はいろいろ議論し考えてみたわけであります。でありまするが、現在の段階といたしましては、今お話に上つておりまするまあ何年かの溜りでございますが、これを一遍に急激に処分をやりまするのも又どうも如何であろうか、むしろ計画を具体的に立てさせまして、それに従つてやることにして、その計画通りに行かなかつた場合におきまして、そのときに必要な措置を新規の滞納と同じようにどしどしとつて行くというような方向で、この問題を片付けるのが一番まあ常識的でいいのじやなかろうかという方向で、実は目下各社ごとに具体的な滞納税額の完済計画というものを立てさせておりまして、すでに一部実行させております。  それからなお滞納が殖えておるじやないかとおつしやいますが、無論これは過去一年ぐらいの実績を調べてみますと、まあ非常に軽微ではありますが、少しずつは減つておりますので、これを更にそれぞれ実情にも合い、且つ根本的な問題に即応するような計画を立てさせましてやつて行く。でその計画通りに行かなかつた場合には、これは私はもうお話の通り必要な措置をとつて行きまして、それで片付けて行くという方向に行くのが一番いいのじやなかろうかと、こういうつもりで進んでおりますので、御了承願いたいと思います。
  97. 野溝勝

    野溝勝君 局長さんにお伺いいたします。この法案を見ますると、誠にまあ社会的にはいい法律でございまして、(笑声)非常にまあ喜ぶものでございます。だが併し宵の喜びということがございますが、これは宵の喜びになりはせんかと思うのでございますな。というのは、中小企業金融公庫の二十八年度の予算が百五十億、そうすると全国の製酒業が三千八百戸、今聞くところによるというと、販売業が八万戸、そうすると大体借り得る資格のあるものは計八万三千八百戸でございます。まるく百五十億全部借りても僅かなものでございますが、おつとどつこいそうは行かんようでございまして、このうちどのくらいを予定しておるのか、その点を一つお聞きしておきたいと思います。
  98. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 正直に申しまして、中小企業金融公庫の資金の中で酒屋さんにどれくらい行くといつたような計画は実はまだできておりません。一応我々が考えてこの法案に入れましたのは、中小企業金融公庫法の中にまあ幾つか借り得る組合の名前が載つておりまして、で同時にまあ個人におきましても中小企業のかたは借り得る、こういう制度になつておりますものですから、この組合におきましては、やはり一応借り得る資格は持たせておいていいのじやないだろうかと、具体的にどういうふうに借入の話が進むかということにつきましては、他の業態との見合いもございますし、どういうことになりますか、もう少し中小企業金融公庫が動き出す姿を考えました上で、同時に酒屋さんのほうの資金の必要のまあ姿というものも見合せた上で、この借入の計画を進めて行つたらいいのじやないだろうか、かように考えております。
  99. 野溝勝

    野溝勝君 私はこの酒屋さんに成るべく資金を融通して頂きたいのです。そうして成るべく安い酒を飲ましてもらえるようにしてもらいたいという考え方からさように申すのでございます。ところがどうも中小企業金融公庫というのは、なかなかこれも借り得るには酒屋の何と言いますか、中小企業の中でも小規模の中小企業者には余り来ないのじやないかと思うのです。と申すのは、これは自由党の中小企業の見解でございますが、この中小企業金融公庫の目的、次に定義というのがある。その二条を見ると、「この法律において「中小企業者」とは、」これはやはり池田イデオロギーであります。依然として池田イデオロギーでありますが、「左に掲げるものをいう。」、「資本の額又は出資の総額が」千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については三十人、鉱業を主たる事業とする事業者については千人)以下の会社及び個人であつて、政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行うもの」、こういうことになつている。この「以下」というのが曲者でございまして、「以下」となつているのであるから、それ以上にはならんけれども、大体標準というものをちやんと二、三百人に置くのであります。私が池田君と論争したときに、その中小企業の感覚が違う、二、三百人の中小企業としてあるけれども、賢明なる諸君御承知のごとく、一体二、三百人の従業員を持つているというのは東京や大阪にはざらにあるかも知れませんが、田舎あたりにはないのであります。又この法律の恩恵にせめて浴せると思つていた酒屋がこの枠にどのくらいはまるかというと、これはなかなか容易ならざるものがある。誠に今日の法律で便宜なのは組合が一括して借りて、そうしてそれを組合員に貸与える、この点がやや便宜になつているといつた点でございます。酒屋の諸君初めその他の諸君がこれは相当借りられると思つていたが、又第二条で枠がはまつているということになりますと、中小企業とは実際名前ばかりでありまして、全く真の酒類業者言つても大体五十人内外であります。聞くところによるというと、主税局長承知のごとくまあ三十人内外だ。ところがこれから見るというと、又容易でない。たまたま組合で一括して貸りてもその額は僅かだと思うのであります。こういうことであると、実に中小企業者は悲嘆し失望するので、こういう点については渡辺局長並びに賢明、明晰なるところの国税庁平田長官のこのお二人お揃いのところでありますから、あなたがたは本当に中小企業者としての酒屋業界にこの資金をどのくらい廻したいという気持があるのですか。又どのくらい努力したいという気持があるのですか、どういう見解か。この点二つお伺いいたしたいと思います。
  100. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 酒屋さんには実はいろいろ種類がございまして、清酒、ビール、まあビールなんというのはちよつと中小企業には入らんけれども、焼酎、合成酒といろいろあるわけでありますが、まあ清酒業者のほうを、主としてお話は人数の点なんかありましたが、三十人くらいという程度、お話になりますのは清酒のほうじやないかと思いますので、取りあえず清酒業者のほうの金融関係について一応我の考えていることを申上げますと、大体資金に入用な金というものは二つに分れるわけであります。一つは酒造期前に米の買入れとかその他原料の仕込資金、これは大体一応季節的な産業でございますので、仕込前に相当の金が要ります。これを金融を受け、製品にし、これが大体一年或いは一年ちよつとの期間に一回転しまして戻つて行く。この点につきましては、かなり普通の酒屋さんでございますと普通銀行……、地方銀行を中心としました普通の銀行から金融は相当ついているように我々は見ております。一番金融がつきにくいのがむしろ長期の金でございます。酒屋さんにおきまして大体現在琺瑯タンクなどを買おうとしても、このほうの金が一番つきにくい。額のほうは仕込資金に比べますと遥かに少い、まあ土田さんがいらつしやるので、私素人でどうかと思います。が、つきにくい。この点につきましては今までの金融のルートとしましては、商工中金を通じました協同組合法による資金、それから長期信用銀行というのがございますが、そこからやはり一応そういう資金が出ております。今度更に併せましてこの中小企業金融公庫ができますと、これから金融を受け得る途が開かれて来るのじやないか。琺瑯タンクにつきましては、かなり琺瑯タンクに変りつつありますが、これも地方によつていろいろ書が違つているようであります。ただ琺瑯タンクヘの転換が済んでいるところもあれば、相変らず従来の木桶が相当使われているというところもあるわけでありまして、この木桶を使つているところができるだけ早い時期に琺瑯タンクに転換するのが必要じやないか。その金の問題が結局中小企業金融公庫の資金融資に結び付くわけでありますが、大体できるだけ早い期間に転換はしたい、併し資金のほうにおのずから一応の限度もございますので、酒屋さんだけの見地から行きますと、相当大きな額が借りたい額として出るのでございますが、今言つた商工中央金庫とか或いは長期信用銀行、或いは今度の中小金融公庫とか、こうした各方面三つくらいが大体ルートとしてあると思いますが、その三つにおきましての資金の許す限りできるだけそうした需要に応ずるように我々としても努力したい。額としまして今すぐどれくらい融通できるだろうかという点は、遺憾ながらこの場でお話するだけの材料を持つておりません。
  101. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 只今土田さんからお尋ねになつて、焼酎の濫売という点についてお尋ねになつたら、平田さんのほうから、業界の出荷統制というような点で御答弁なつたのですが、我々考えるのは、濫売というのは実はどういう程度を濫売と言うのか。値段が下つて来たから濫売だといつて主税局のほうで押えるということになりますと、利用者側からしますと、例えば綿の値段が下つて来るからすぐ紡績の操短だ、それから酒の値段が下つて来るからこれは国税庁のほうで防いだということになつて来ますと、これは資本主義の悪い面がそこに現われて来ると思いますが、焼酎というのは安いものをできるだけ、特に焼酎階級というのは労働者、農民、国民の酒を飲む中でも一番生活程度の低いというか、生活の余り高級な者ではないので、いい人は皆特級酒を飲んだりウイスキ治を飲む。これはそうひどくはないが、酒を飲まなければおれない人が飲むので、少しでも安い酒を飲むということになればいいことだと思うのですが、ただあなたの言われた、一方において大事な国税を滞納しておいて、そうしてその国税を滞納した分だけを濫売しているということになると、これは問題があると思うのでありますが、滞納さえしないで正しく税金を納めたその上で、自分のマージンをでき得る限り少くして大衆にサービスするということは結構なことだと思うのですが、その濫売について、平田さんがトラスト、カルテルという考え方の上に立つて、或る程度業界でも統制させるのだということは、仲間が一緒になつて自分たちの利益を守る、これは或る程度守るのは結構ですが、限度を越えますと消費者に迷惑を負わせる。その消費者というのは酒を飲む中でも一番下層階級といつては語弊がありますが、一番生活の苦しい人が焼酎を飲んでいる。いい人だつたら特級酒を、一級酒を飲むのですから、それらの人の需要に成るべく安い焼酎を飲めるようにしてやる。その焼酎がいけなければ、そういうふうになつていけないのだつたら、酒のほうはなお結構だけれども、酒も安くしてくれればいいのだが、安くなるというならばこれは結構な状態だと思うのですが、その点今の御答弁を聞いていて、ちよつと我々としては腑に落ちない点があるので、もう少しはつきりと御説明願いたい。濫売というのはどんな程度のことを濫売と称するか、これに対して規制を加えるというのはどういうことかということを一つ……。
  102. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 菊川委員の先ほどの主税局長に対するお尋ね、或いは今のお尋ね、私非常にその精神につきまして実は敬服して承わつているわけでありまして、私どもも酒税の行政につきましては、実は常に業界の正常な利益ということと、それから酒税の円滑な徴収ということと、それから消費者の利益、この三つを常に頭において成るべく適正な行政をやることに実は努力いたしておるわけでございます。先ほど余り業界だけのことを考えるのじやないかというお尋ねでございましたが、勿論私どもこれは大事な酒税を円滑に徴収する義務を負つておりますので、この利益は飽くまでも確保するように努めたいと思うのですが、同時に消費者の利益ということは常に頭においてやつているつもりでございます。先般の値下げに伴います公定価格の再改訂の際にもこれを申上げますと、土田さんのほうから国税庁は消費者のことばかり考え過ぎるという御批評を、お叱りを受けたこともあつたくらいでありまして、入場税は御承知通り下りましたが、余り料金が下らないので問題があつたのですが、酒税のほうは酒税が下つた機会に更に数量が殖えましたので、業界にも勉強してもらいまして、消費者にサービスするという意味で十五円近く実は各業界を通じまして勉強してもらつたわけであります。これは一にかかりましてやはり業界の製造業者利益考えると同時に、先ほど菊川委員のおつしやいました消費者の立場、消費者の利益ということを考えましていたしておりまするわけでございまして、その辺も御了解願いたいと思います。  それからその次は、今御指摘の統制の問題でございますが、これも御懸念の点は確かに私どももそういうことは常に頭に入れまして、正しい統制をやつて行くように導かなければならないと考えているわけであります。ところが最近までに行われました業界内部の値引き統制ということは、率直に申上げまして生産者と卸売業者と小売業者と、この三つの間における実はいろいろな競争関係ということになつておりまして、なかなか消費者のところまでに及ぶような競争が到底行われないが、そこはいろいろ理由があると思うのでありますが、今まで行われておりまする実情から申しますと、結局業界の内部における何と申しますか、そのときどきにおける適当な割引競争といつたようなものがありまして、その結果どうもお互いに困つてしまつておるというようなことになつておる。そのやり方がややもすると濫費を導くような結果の勉強ということにもなつておりまして、これは本来の公正な意味の競争という角度から行きますると、必ずしも当を得ていないというような行き方になつておるようであります。そこでやはりこれはその結果といたしまして、業界の利益が失われるということになり勝ちでありますのと、それからもう一つは今御指摘になりますように実はマージンを食つてしまつて、税金にまで及ばなければどうもそういうことはできそうもないということで苦しまぎれに一時そういうことをやる。誰かがやりますというと、ほかの人も附いやつてしまう。そうしてお互いにどうも面白くない結果を来たしておるというのが最近までに行われました実際の状況であります。その辺をよく考えまして、消費者の公正な利益は飽くまでも確保するという建前で、業界も安定し、且つ酒税も円滑に入つて来るという線を狙いまして、健全な統制が行われるようにしたい、業界の自主的な統制に成るべく委ねたいということを申上げましたが、勿論統制については政府としても厳重な監督を加えるわけでありまして、結局において統制に関する規定を設けました場合においては、これは大蔵大臣の認可を百要することになつております。更にその際におきまして、公正取引委員会等とも協議してきめるということになつておりまして、御懸念のような点は私ども自体としてもできるだけ考え、更に関係の方面においてもそれぞれ十分配意して、飽くまでも各般の見地からしまして公正な調整が行われるように私どもとしてはできるだけ注意を配つて善処して参るようにしたいというように考えております。御了承を願いたいと思います。
  103. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今酒税の保全の法律審議しおるその際に、たまたま焼酎業界における滞納問題のことを土田さんから御発言になつたので、これは土田さんの御発言ですから、根拠のないことではないと思います。特に清酒業界と焼酎業界との関係から考えて、土田さんの発言ですから、恐らく根拠をお持ちになつて委員会において速記が付いておるのですから御発言になつたものと思いますが、政府は酒税の保全をやる、焼酎業界においてやらなければならんときに滞納がある。一体滞納というのは、消費者は実際はもう税金を納めておるわけです。だから業界の悪徳行為だと言つても過言でないと思う。消費者からは税金を込めてある販売代金を取つておる。濫発にしてもそうです。消費者のほうにはちつとも潤つていない。業界だけでうまい汁を吸つてしまつておる。そこで又これを組合として今後相当補助金も出して認めて行くというわけでありますが、そういたしますと、こういうのに今度資金の融通の斡旋も認める。それで中小企業は今野溝さんも言つたように、中小企業の斡旋というのは、大体私の承知しておるところでは、焼酎業者というのは清酒業者よりは規模が大きいのじやないか、中小企業の中でも中に属するのじやないか、特に俗に代表的と言われておる会社のごときは株式の相場も相当よい値段で取引されておるし、業績も挙つておると見なければならん。そういう業界において滞納があるということは、これは労働者や農民の本当のそういう階層が飲んで税金を納めておいたやつを、業者が滞納してほかのほうに廻すということになつたら、これは由々しい問題であつて、酒税保全の法律をもう少し考え直さなければならんということも出て来るのでありますが、この点について一つこの法律をもう少し直す際にその点を何とか整備することも考える必要があると思いますが、これは御検討の余地はないのでありましようか、長官から御答弁を願いたい。
  104. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今焼酎、合成酒などの滞納に関しまして御質問がありましたが、大体菊川さんが御存じのような一流の会社は滞納しておりません。二流どころの而も戦後に少し拡張したようなところで滞納しておるのが大分ございます。それから小さいメーカーの間にも滞納がございます。それでこれは過去四、五年の間のどうもいろいろな悪条件に祟られまして、先ほど申上げましたような悪い意味の競争に捲き込まれて、その結果どうも必ずしも健全な経営をしていない。これは経営者を責めるべき理由と全体の情勢と、この二つが理由になつておると思いますけれども、この滞納を片付けなければならんというこの根本の趣旨については私どもも全く賛成でありまして、これは一刻も早くやりたいと思つておるのでありますが、ただ先ほど申上げたように、一遍にこの際この滞納処分を強行して売払つて片付ける、そうすると欠損になる虞れも多分にあるのでありまして、そういう方法をとるか、或いは滞納の状況によつて一年なり或いは二年なり、或いは場合によつてはもう少し若干三年という間に計画を立てさせまして、それについては主務官庁が責任を持つて命じておいて、計画通りに行かない場合においては必要な措置をとるという方法で片付けたほうが今の情勢から言つてよろしいのじやないかという趣旨で滞納を片付けたいと考えておるのであります。決してないがしろにするわけではないので、我々は飽くまでも正しい計画を立てさせまして、その計画については責任を負わせてやらせて、それで行かない場合には必要な措置をとつて行くという方向で行くならば、大体において解決するとと思います。  それから土田さんがお話になりましたが、恐らくこの資金の厄介になりますのは、先ほど主税局長からお話があつたように清酒の業界が一番利益を受けることが大きいと思います。これは昔から納税については実は非常に立派でありまして、滞納も殆んど絶無ではありませんが、殆んどないと言つてよいほど非常に好い成績を戦争中から戦後にかけて挙げてもらつておるわけであります。この組合法の恩典を受ける大部分の人々はそういう人々でありますことをこの際はつきり申上げまして、御参考にいたしたいと思うのであります。
  105. 土田國太郎

    土田國太郎君 この中小企業金融公庫の恩典を受けるのは、私はこう考えておりますが、間違いがあつたならば御修正を願いたいと思うのでありますが、大体醸造業者即ち合成酒、焼酎業者は税務署ごとの組合の組織をしない。それから決して単位の組合を組織しておらない。従つて組合が連合して資金借入れるということも不可能な状態にあると私は考えておるが、政府の御所見はどうであるか。この金庫の金融を受けるものは清酒はメーカーではありますが、中より小業者であります。これらの醸造業者の従業員数はどれくらいであるかと申しますと、平均大体三十くらいであろうと考えます。でありますから、小の小であります。清酒業者というものはそういうものがこれは組合を組織いたしまして、政府から金融を受け、組合の役員が保証して組合員に金を貸しておつたのでありますが、そのような法律を今回追加されたと私は感じております。そういう意味におきまして、私は滞納しておられるかたがたはこの金融の恩典に浴し得ない立場にあられるかたがたである、こういうふうに考えております。又それは只今長官の御説明通りだろうと私考えております。その点主としてこれは販売業者、或いは清酒メーカーに重点があるのではないか、こういうように私考えておりますが、これをもう一遍確認しておきたいと存じます。  なおこの焼酎の濫売問題でありますが、これは只今菊川委員の御指摘通り安いことは誠に消費者としては結構であるのでありまするが、どういうものか、この焼酎の濫売は途中で消えてしまつて、消費者のところへは一銭も安く来ないのが今日の実情である。これは誠に奇怪千万である、こういうふうに私は考えております。同時にメーカーが滞納し、半面脱税までもあえてするというような状況に立至つて、そうして濫売をするということは、菊川さんの御指摘通りに誠に不満に堪えない行動である、こういうふうに私も考えておりまするので、この濫売が下部まで徹底して、消費者まで安い恩典に浴するならば、あえて私は何をか言わんやでありますが、そうでなく途中でこの不当利益が搾取されているような現状でありますので、この点は私も実は酒類の行政のいずれにか欠陥があるのではないか、こういうようにも考え得られますが、その点政府の所見はどうでありますか、お伺いいたします。
  106. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今度のこの酒税保全の法律につきましては、大体今御指摘になりました、中小メーカーを中心とした組合というものを主として頭に置きまして、そうしてそこにおいて仕事がなし得る途を開いたことは土田委員の御指摘通りであります。ただ、一応全体を通じての他の法律との釣合いも考えまして規定ができておりますので、必ずしも税務署単位の組合でありませんでも、ここに規定してありますように、資格に該当すれば一応借りる資格、可能性だけはあり得る。ただ併しそれが現実の金になつて借りられるかどうかという問題になりますと、これはちよつと別問題で、むしろ具体的な事実として、余り妙な会社が入つている組合であれば、或いは借りられないといつたような問題が実は起きて来るのじやないかと思いますが、法律の上から行きましてはその点は運用の実際に任してある、こういう建前になつております。  なお濫売の点につきましては、先ほど来長官からいろいろお話がありましたので、私付加えることはありませんが、我々のほうの見地から見ましても、大体焼酎は現在小売価格が一升三百円になつておりますが、税金が非常に大きな部分を占めており、従つて更に中間のマージンがございますので、一応公定価格をきめますときにおきましての製造業者の手取りというのは九十八円五十銭ぐらいに実は見ているのです。ところが現実に最近頻繁に行われております値引きの話を聞きますと、九十八円五十銭の手取りというのに対して三十円ぐらい値引きしておる。こういうふうなことを聞きますので、そうなりますと、我々が考えておりますいろいろなコストの面からいきまして、とても菊川委員のおつしやつたように普通のマージンを節約したという仕方でできる程度の値引きよりはちよつと度をはずれているのじやないか、結局そういうことが出て来るのは、一つには税金の問題が一応あり、同時に或いは滞納とか、或いは脱税とかいつたような問題がそこに可能性が出て来るのじやないか、こういう問題があるものでございますから、如何にも九十八円五十銭が製造業者の手取りであるべきはずなのに、それを三十円も値引きしておる。これは如何にもひどいじやないか、これは濫売というような名前に値いするのじやないか、こういうようなわけで実は問題としておるわけでありまして、長官も言われておりますように、正常なコストの切下げによつて安く売る、こういう姿であれば我はむしろそれは奨励こそすれ問題にする必要はない。今お話したようなところから御推察願えまするわけで、どうもその値引きの度が少し過ぎているのじやないか、これが一応濫売という問題の姿において我々が問題にしておるわけでございます。その点補足さして頂きたいと思います。
  107. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  109. 小林政夫

    小林政夫君 賛成をいたしますが、これは言わんでもいいと思うのですけれども、中小企業金融公庫法の施行と、この法律案の施行とは同時にやるということで賛成をいたします。
  110. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  112. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は先例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名    森下 政一  西川甚五郎    小林 政夫  菊川 孝夫    青柳 秀夫  岡崎 眞一   藤野 繁雄  山本 米治   三木與吉郎  前田 久吉   土田國太郎   —————————————
  113. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務の保証に関する法律案を議題といたしまして、これより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  114. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務の保証に関する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  115. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は先例により委員長に御一任願いたいと存じます。それから多数意見者の御署名を願います。多数意見者署名   森下 政一  西川甚五郎   小林 政夫  菊川 孝夫   青柳 秀夫  岡崎 眞一   藤野 繁雄  山本 米治   三木與吉郎  前田 久吉   土田國太郎   —————————————
  116. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に相続税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を願います。
  117. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 相続税法の一部改正の、包括遺贈によつて取得した財産についてはその都度相続税をとる、こういうふうになつておりますが、その改正要綱を見てみますと、この包括遺贈というのと、それから贈与及び特定遺贈によつて取得した財産については云々、こういうふうになつておりますが、この包括遺贈というのは死亡した人がその遺産というものを全部一人の人に渡した場合、これを称して包括遺贈と称するのですか、その点二つはつきり。よくこの法律を研究してみたのですが、僕ら納得が行かないのですが、具体的な場合を……。
  118. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 包括遺贈のことについて御質問がございましたが、包括遺贈というのはごく常識的に申しますと、いわゆる被相続人の財産を亡くなられましたその機会におきまして、遺言によりまして全部例えば自分の相続人でない相続人、自分の財産を一括しまして或る特定の人に遺贈する、或いは一人の人に遺贈することもありますが、或いは甲という人と乙という人と半分ずつ遺贈するとか、そういうふうにある特定の財産を指定して、例えば土地、家屋というものを誰にやるという場合、これが特定遺贈でありますが、その特定遺贈とまあ相対する概念でございますが、自分の持つておる財産の半分を誰にやつた、或いはこの全部を誰にやつた、或いは甲乙丙にこれを三分の一ずつやつたと、こういうふうな形で遺贈されるのが包括遺贈でございます。
  119. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に、この基礎控除額を現行三十万円を五十万円に改訂され、それから贈与の場合には十万円、こういうことになつておりますけれども、この贈与と相続の場合とを非常にこういうふうに差額を設けられました理由ですね。この贈与と申しましても、贈与か相続かよくわからん。まあ贈与というのはあなたのほうでは生きているうちの場合を言つてつておられるのか、それとも或いは死んだ人のやつは他人に対してやる場合にでも一切これは相続と見て相続税になるのか、この点をはつきり。
  120. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現在は御承知のようにまあ遺言制度がございませんから、相続と言いますと、被相続人の死亡による財産の承継ということになると考えれらると思います。それでその被相続人の財産が相続人に承継せられる場合が相続で、それは相続人に原則として……相続人にも遺贈の例が例外的にあるそうですが、ごく概括的に申上げさせて頂きますならば、被相続人の財産が相続人に承継される場合が相続。それから相続人以外の人に贈与される場合、これは死亡を機会に贈与される遺言によつて贈与される、こういつた場合が遺贈に当る。こういういずれの場合にもこれは死亡を機会としてと言いますか、或いは死亡を原因として財産の承継が行われるというので、これは相続税の対象でございます。  それから贈与のほうはそうした死亡を機会とするものでなく、通常の場合になされる贈与、これを贈与税の対象にしようというので、そういう一応相続税と贈与税とに分けておるのでございます。それで相続税につきまして、五十万円の控除額を設ける。贈与税については十万円の控除額を設ける。これはまあ今言つたような姿になつて相続税が課税されて来まして、相続税につきましては累進税率による税率適用もございますので、割合によく行われますることは、相当の財産を持たれておられるかたが何回にも分けて自分の財産を生前に自分のまあ息子さんなりお嬢さんに贈与しておくということによりまして、相続の機会に相続によつて移る財産をまあ減らしておく。そういうことによつて相続税、まあ贈与税をこめての広い意味の相続税ですが、相続税の負担をできるだけ軽くしようと、こういう考え方をなされるかたが実はよくあるのでございます。従いまして、そういうふうに贈与のほうはこれは比較的自由意思によつてなされるのが普通でございます。而も又どの程度の額を贈与するということが自由意思ということにもかかわるわけでございまして、従つてこれが相続税自身の負担軽減に妙に悪用されるということは、これは負担の公平の上から言いまして、望ましくないという考え方が大体各国の相続税のことにもあるのでございまして、そういう観点からしまして、相続の場合には基礎控除にしても、税率にしても或る程度軽くしてもいいのではないかと、こういうふうに考えて、一応の税率を作つたわけでございます。
  121. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますと、ここの要綱の一はわかりましたが、二と三の比較をいたしましたときに、同じように、この死亡保険金にいたしましても、退職金にいたしましても、その遺族が相続財産というものが殆んどない。そうすると、退職金と死亡保険金というのは一つの私は相続する財産とみなしても差支えない。今働いているまうなものは、何にもあとに残すものがないので、ただ死んだときにたまたま会社からもらう金、或いは保険金があつたからという場合、これは相続財産と殆んど違わないのじやないかと思うのですが、にもかかわらず控除額について五十万円と三十万円との差額を設けられた理由はどこにその根拠があるのですか。
  122. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) まあこの書き方が不十分でございますので、誤解の種になつているんじやないかと思いますが、法律でやろうと思つておりますことは、今お話のような点もございますが、死亡保険、退職保険につきましては、先ず三十万円を控除しまして、その残りがございましたときは、その残つた金額、三十万円を超過する超過額だけをほかの相続財産と合算しまして、その上で更に五十万円の控除をする。こういうことをやることを考えているわけです。従いまして若し或るかたが、ほかにもう全然財産がない、ただ死亡保険だけが八十万円あつたということになれば、而もそれを相続されるかたが一人のかたであつたというような場合におきましては、死亡保険から三十万円先ず引きまして、五十万円だけが一応相続財産になり、更に基礎控除として五十万円差し引かれますから、その人は八十万円死亡保険を受取るにしても相続税の課税の対象にならない、こういうふうに法律は作つてあるわけです。
  123. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 わかりました。  その次に、延納制度についてちよつとお伺いいたしたいのですが、現在都市においては或る程度処分でき得るところの財産を相続した場合には、相続税を納めることはできそうである、まあどうにかできる。この程度の金額だつたら何とかできるというのですが、田舎へ参りますと、成るほど家屋にいたしましても、土地にいたしましても相当なものがあつて、時価に見積りますると、それは相当なものだ、ところがそれを今度は相続税を課せられて来るということになると、納めるには金がない、それだからといつて、これを一部を売つてということになると非常に困る、売つてしまつたのでは生活の根拠を失つてしまう。こういう場合には当然延納制度について御処置を願うことになるわけですが、ところが田舎のほう参りますと、なかなか延納も実際今の農村の状態あたりにおいてはちよつと困るので、一旦死んだならば、その家が分散しなければならんぐらいまでの打撃を受ける。こういうようなまあ意見をよく我々この前出張いたしましたときに陳情を受けたのでございますけれども、この前は特に旧家で、立派な家があるというようなときには非常に困る、こういう陳情を受けたのでありまするが、今回改正によりまして、そういう面も御考慮になる必要があると思うのでありますが、余りこの延納制度については御考慮なされたあとが少いように思うのですが、主税局長は、こういう陳情はあなたのほうでも実際施行する場合において、税務当局でもやりにくい気の毒な場合があるということを現地の第一線の税務官吏が言つておられたのでありますが、これらについて今回の改正に当りまして、もつと考慮する余地があるのじやないかと思うのですが、どうですか
  124. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今お話になりましたような、まあ収益の余り上らない財産を持たれているかたというのは、財産課税、相続税のような財産課税があります場合におきましては、やはり相当納めにくい実情はあるのじやないかというふうに思つております。現在御承知のように、言わば一種の財産課税の面としましては、地方税に固定資産税がございます。それから現行としましては国税に富裕税と相続税があるわけでございます。そこで収益財産でございますと、富裕税のようなものにつきましても、課税がありましても収益が上りますから別にしにくくはないのでありますが、まあ収益財産でありませんと、富裕税のような問題になりましてもなかなか負担がしにくいというようなことがございますので、実はいろいろな意味におきまして御批判はございますが、富裕税はこの際やめよう、相続税は従来からあつた制度でもございますし、各国にもある制度でございますので、これはまあ一応残しておくべきじやないか。ただ冨裕税はやめましても、まだ相続税の納付といつたような問題になつて参りますと、いろいろ問題はあると思つておりますが、恐らく今お話になつたような事態でございますれば、不動産が相当財産の大部分を占めている場合に当るのじやないかと思うのでございますが、この要綱にもございますように、相続財産の半分以上が不動産等でありますと、十年間くらい延納が認められることになつておりますので、まあ十年といえば相当長い期間でもございますししますから、この期間に順次納めて頂くということで何とかやつて頂く以外にないのじやないか。これが更に長く延びるということになりますと、少しそれは延び過ぎじやないか。あれこれ考えまして、大体五年、十年という期間を作つてあるわけでありまして、一応の御事情はわかりますが、まあ財産税的な税金につきましても、或る程度の整理を行うということも別途ございますので、相続税の延納期間は十年程度なら御辛抱願いたい、かようなつもりでおります。
  125. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  126. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) じや速記をつけて。
  127. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に延納の制度に関連しまして、一番具体的に申しまして困るのは僅かの借家を持つているところの家主、これは現在売つて納めようと思つても、借家人が入つておりまして出て行つてくれないために、売ろうとしたつて借家人が入つているままの販売ということはなかなかできないというのです。これも借家がたくさんある人ならまだほかにも財産があるのだが、僅かばかりを借家として遺してくれた、それで相続税がかかつた、それでこの借家を売つて納めたいと思うのだけれども、なかなか処分することもできない、ところが相続税がかかつて来る、こういう場合に一番困る。これらについては別の貸地とか、ほかの不動産と違つた面から非常に処分がしにくい問題だ。こういう点について別にお考えの必要があるのじやないかということを申上げまして、次に相続税額が一万円を超えるときは納税義務者の申請により延納を認める、こうなつておりながら、但し延納年割額は一万円を下ることができないのでありますが、この説明書は一万円のときは延納を認める、而して毎年そこに一万円納めなければならんことになると、これは五万円の場合は一応一万円ずつになるように思うのでありますが、これはどういう理由かちよつとわからんのですが……。
  128. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 御質問の前段につきましては、確かに御説のような問題がございますので、我々は大体こういう点で一応の解決を考えております。若しそれが自由に処分できるような家であります場合には、通常の評価をするわけでございますが、借家人が入つておりまして、そこにいわば借家権が設定されていると考えられるような場合におきましては、その借家権が相当のやはり財産価値を持つわけでございますので、自由に売り得る場合の時価に対しまして、借家権をそれから差引きます。従いましてその借家権を、現在はまあ地方によつて大分違うようでございますが、すぐここで何割というふうに申上げかねますが、東京ではたしか借家権のほうがむしろ半分以上を占めている。従つて家主さんの財産価格としては四割とか、そういつた半分以下の価格に評価するといつたような措置によりまして、今お話になりましたような事態における無理はないように実際は執行されているということを申上げておきたいと思います。  それからその次に御質問になりました、一万円以上の場合には延納を認められる、併し一回の延納額が一万円を下ることはできない。これは実は非常に用語が言葉足らずで誤解があると思いますが、考え方としましては、こういう事例でお話したらいいと思いますが、一万五千円である場合は、これは最初の第一年に一万円、二年目に五千円、こういうふうにお納め頂きたい。三万五千円であれば一万円ずつ二年で納めて頂いて、終いの四年に五千円納めて頂く、そういうふうに考える。更に五万円であれば一万円ずつ。六万円であればこれは毎年一万二千円ずつ五年間に納めて頂く、こういうことに法律のほうでは実は詳しく書いてございますが、用語のほうは些か言葉足らずで誤解を招きやすいことになつていて恐縮でございますが、考え方としてはそういうことになつております。一万五千円でありますと、第一年に一万円、五千円は二年目に納めて頂く、こういうことで立案してございます。
  129. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 国税法の改正は非常に法律の改正案だけ読んでみますとわかりにくくつて、我々は用語で研究させてもらつたのですが、用語を見てみると、非常にどうも……お話にあつた用語ですけれども、一万円を超えるときは五年間の延納は認めるとして、一万円を下ることができないというのは延納にもなんにもならないので、一万一千円ですか、あとの一千円だけ余計納めるということになるわけでございますね。
  130. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さようでございます。どうも大変書き振りが悪うございまして恐縮でございます。
  131. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 じや、あとは保留にしまして……。
  132. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 相続税法に対する質問は、都合によりまして一時後廻しにいたします。   —————————————
  133. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に関税定率法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。御質疑を願います。平田国税庁長官及び徳永通商産業省繊維局長出席しております。
  134. 前田久吉

    ○前田久吉君 今、新聞界で大問題になつておりまする新聞用紙の関税引下問題について繊維局長のお考えを承わりたいと思います。衆議院でも議員提案になるようでありますし、参議院のほうとしましても議員提案をさせて頂くことになつております。先ずこの新聞紙の需給関係と、それからほかの見地から見ました新聞用紙その他の原木の問題、これをお伺いしたいと思うのですが、大体今回の九州なり和歌山におきまする水害等も余りに山の木の伐り方が荒くて、それが大きな禍いをなしておるということを通産当局も認識されていると思うのであります。それから新聞界に大きく問題になつておりますることは、現状の需給情勢では新聞の価格というものがよほど大幅に引上げなくちやならん。日本の現状として物価の引上げということは、これは好ましからんということは通産省当局も十分お考えの点であると思うのであります。そういう点を考えまして、あとで申上げますが、国内のメーカーを圧迫するかどうかという問題を併せてお伺いをいたしたいと思うのであります。すでに木材におきましては、年間二億五千万石今日需要になつておりますものを、生産からいたしますると  一千万石前後の不足を来たしているということは、無論通産当局は御認識しておられると思うのであります。それから紙の需給問題でありまするが、通産省から大蔵省当局に提出されておりまするこの表を見ましても、今回輸入いたしまする量が千七百十四万ポンド、これは今日新聞紙が使つております一日約二百八十万ポンド前後といたしまして、七日分であります。今回輸入せんとする紙はたつた七日分であります。而して五、六は別といたしまして、この七月はこの輸入をいたしましても三日半の手持しかメーカーには残つておらないと思います。八月に至つては五日分、九月に至つては一週間分、十月には六日分、十一月、十二月が約一週間分、丁度この一週間分輸入いたしましても、手持一週間分しか余裕がないという現状であります。昨年は二十四日分新聞紙というものが保有されておつたのでありますが、現在は需給関係としてはこういうことでありまするが、これは通産省でお作りになつたものだと思いますが、これにはお間違いないかどうか、お伺いしたいと思います。
  135. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) お尋ねにいろいろな事項がございましたのですが、原木の事情と新聞紙の生産との関係のお話でございましたのですが、御承知のように原木の日本年間の全体の消費といたしますと、大体二億三千万石、その程度のものが年間の消費量でございますが、ところがそのうち製紙用として使つておりますものは、製紙用と申しますか、製紙用のみならずパルプ全体、化繊の原料になります。レーヨン・パルプ、紙の原料になりますもの、両方含めまして消費いたしておりますものは、今年で見まして一千七、八百万石、大体そんな見当のところでございましたが、全体の比重から考えまするならば、二億何千万石に対しまして二千万石足らずでございますので、まあ概算八%見当しかならないというふうに統計上相成つておるわけでございます。従いましてまあ私ども森林の資源の問題には非常に関心を持ちまして、パルプ業者にも森林のあとに植林、撫育につきましていろいろ関係業者として努力するごとく指導は極力やつているわけでございます。又それによる効果も挙つておりますけれども、今御質問ございましたように、この新聞紙の輸入問題と原木との問題までこう問題を拡げてお考えになるような点は、数字的に見ますと、いささか少し誇張した言い方をすれば、縁の遠いところまで問題が持ち上げられ過ぎていると、そんな感じが私ども数字上するわけでございます。それはともかくといたしまして、目先の需給状況につきましては、新聞用紙はその新聞紙の需要の増加もございまして、国内の生産も逐時上昇いたしているわけでございまして、昨年でございましたら、今頭は月五千万ポンド程度もうろついていたわけでございますが、それが本年はすでに七千万ポンドの上を廻つているわけでございまして、暮頃になればそれが更に八千万ポンドというような数字に相成つておりまして、先ほどこれは大蔵省のほうから数字が配付になつたのをお持ちでのお話のようにちよつとお聞き取りいたしましたのですが、私ども生産につきまして、この現在の設備能力、最近におきまする生産状況その他を見まして、生産の推定をいたしておりますが、その生産の推定とこの需要につきまして、これは新聞協会のほうから需要を頂戴いたしておりますが、その需要、これは新聞紙の需要の新聞協会からお出し頂いたものが百パーセント正しいかどうか、これは推測も入つておりますので、あれでございますけれども、私どもその数字は全部その通りの需要があるものというふうに仮定いたしまして、需給推算をいたしておりますが、先ほど御指摘ございましたように、目先のところ若干窮屈な状況が加わつております。これは先般この王子その他の製紙工場におきまするストの影響もございまして、ストックが減少しているという事情もございます。私どもとしましてはストックはもう少し多いほうが望ましいというような事情考えて、又ストが当時どの程度長く続くかもわからないというような事情もございましたので、新聞協会等の御註文といいますか、輸入さしてもらいたいというお話でございましたので、それが私どもまあ御希望通り数量を大蔵省その他と連絡をとりまして、為替資金を用意いたしまして輸入の手配をいたしたということに相成つております。差当り調査の際に只今御指摘ございましたような千七百十四万ポンド分の外貨資金輸入の手配をいたしたのでありますが、更に若干のところこれに追加いたしまして、新聞協会のほうからもう少し輸入をいたしたいという御希望もあるようでございますが、そう大きな数字でもなければストツクの余裕の弾力性といいますか、というようなもののことを考えまして、若干は更に追加希望がありましても、それを認めて然るべきではなかろうかと、さように考えている次第であります。
  136. 前田久吉

    ○前田久吉君 需給関係は窮屈だとお認めになりますか。
  137. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 需給関係につきましては、このストが済みました直後でございますので、目先窮屈でございますが、先ほども申しましたように、輸入の手配が行なわれております、それ等を考えまして、私どもの推定いたしておりますのは、七月末といたしまして九百七十万ポンド、それが十二月になりますれば、逐次ストックが増加いたしまして、三千万ポンド程度にはなるものと、先ほど申上げましたように、一応は新聞協会から御提出願つた需要がその通りあるものだということにいたしまして、なお且つ三千万ポンドの手持が残るというようなことに相成るというふうに推定いたしておるわけであります。
  138. 前田久吉

    ○前田久吉君 繊維局長に申上げておきたいのですが、新聞は日一日と発達をしまして、新聞紙の消費は殖えて来ていることは常識でもおわかりになつていることでしよう。日本の国家が発展すると共に新聞紙の発達部数が増大して行かないと、日本の文化は発展しないのであります。この意味から一つ需給関係計画についても御考慮の中に入れてもらいたいのであります。  それから表をみると、十二月末の生産量は九千数百万トンということになつており、設備能力は九千五百万トンとありますが、実際は月産生産量は八十三万四千ポンドという数字が今日では見込まれておる。我々はこの表を以て見まして、大体そうみております。これに対しまする消費量は八千二百九十万ポンド、であるから差引き千八百十四万ポンドの余裕ということになります。即ちこの数字は輸入量の一週間分消費量相当の千七百万トンと余り大差がない。輸入ができぬと十二月に入つて一週間分しかストックがないということになり、冬場に入つて参りますと電力が涸渇して参りまして、いつも困ることは周知の事実でありまするし、殊に全国新聞用紙の大部分が依存しております苫は北海道にあり、津軽海峡が毎年吹雪で輸送困難となり、始終入手は遅れ勝ちになつて来るということも我々は考えておかなければならんのであります。然るに一週間ぐらいの手持ちでこの冬を越すということは、非常に新聞界としては重大な問題であります。今年末の自給度は先ずそういう状態であるということをよくお考えを願いたい。  私は時間の節約上、委員長から僅かしか時間を頂いておりませんので、次はこの程度輸入によつて、果して国内メーカー工場に打撃を与えるかどうかという点で当局の意向をお伺いしたいと思うのであります。戦前から一体新聞はどうなつておるかというと、昭和十九年と十一年の物価比較をすると、総合物価は三百四十倍となつております。ところが新聞の巻取紙は四〇五・四倍、新聞の販売価格は、昭和十三年が一円二十銭でありますが、昭和十一年には一円であります。現在は二百八十円の価格ですから二百八十倍ということになる。こういうように新聞巻取紙の値上りと、新聞販売価格の値上りとは大きな懸隔があるのであります。我々新聞業界では日本の経済安定と文化保持の使命のも一とに非常な困難と闘つて僅かに二百八十倍の値上げ程度で我慢しておるという情勢でありますが、内情は非常に苦しいということは御理解願いたいのであります。方製紙会社の情勢はどうなつておるか。新聞紙製作工場、ボール工場の大きいところは北海道の苫であります。御存じのごとく終戦前、終戦直後の統制のそのままにずつと引続いて参りまして、当時より幾分か生産が増加いたしまして、それに対する割当の増加は多少ありましたが、現在に至つても新聞紙の需要はまだ十分に満しておりません。従つて丸網式の仙花のようなものが市場に幅を利かしているのでありますが、本当の新聞紙というものは以前の割当そのままが続いておる。幾ら金を出しても購入できない。こういう情勢であるということは通産当局はすでによく御存じのはずだと思うのであります。ところが今日の製紙会社は相当高率の配当をし、会社は無償株を出したり、従業員は厚生施設を加算すると月収三万円以上のベースであり、賞与にいたしましても一年十万円程度の賞与が支給されておる。新聞社側では日本の経済復興という大きな問題に自制いたしまして、物価を成るべく上げないようにと努力しておる現状で、例えば海外に派遣しておる相当な古参記者ですら今日紙会社の材木運びの社員が得ている給料ベースすら取つておらないのです。新聞社の全従業員もよく日本の現在を承知して、我慢しているというのが現状であります。今度の輸入されまする紙で関税の撤廃若しくは五%の定率引下げを今度提案しておるのでありますが、それについて、昨日関税部長は紙が下つたという、昨年と比べて下つたというお話でありますが、昨年度は十一月に新聞は初めて戦前に復帰いたしまして、朝夕刊十二ペース、非常に遅れましたが、やつと新聞らしい新聞が整つて国民大衆に出すことができたような次第で、昨年も非常に変動がありましたが、今年は一月からずつと見てみまして、一頃苫その他旧王子系以外は、旧王子系は買おうと思つても買えないのであります。配給の続きで、幾分か増産分だけは増されましたが、現在はやはり配給のような状態が続いておるのであります。その他の中小メーカーは丸網その他の機械を改造いたしましたが、用紙の質は悪く、只今のような状態で大衆には誠に迷惑をかけており、読みにくい新聞が横行しているのであります。その紙は本年一月からずつと四月までは二十六円から二十七円、現在は二十九円に上つております。ずつと押されて二十九円になつておりますが、今度の輸入は一応三十ハドルということにいたしまして、約ポンド三十円、これで、この価格内地のメーカを圧迫すると思われますかどうか、この点一つ御回答を願いたいのであります。  それから戦前王子製紙が、樺太を持つてつた頃は、日本の新聞用紙というものは全部王子一社で独占しておつた。独占企業になつてつた。そしてその当時すら輸入新聞用紙は無税であつて、三万トン前後入つてつたということはお調べ願えればよくわかると思うのですが、三万トンか四万トン入つたからと言うて、内地メーカーを窮地に陥れるということは……、戦前のあの王子の大勢力で、新聞社たりとも王子に対しては頭を下げる以外はどうすることもできなかつたという時代でも、相当な無税で輸入されておつた。そのくらいのものは輸入されても我々のほうでは何ら国内メーカーを圧迫しない。それから現在の需要関係を見ましても圧迫しない。我々は内地のメーカーを非常に大切にしております。新聞用紙が十分生産できないために、金融の面も我々が面倒を見たり、これを育てるのには並大抵の努力ではないのであります。ただ社会に新聞用紙によつてインフレを持出してはいけないというので、又我々新聞経営をしている者も努力しまして、できるだけ安い価格で、大衆相手の仕事でありまするから、十分心掛けて我々はこれに当つておるのでありますが、紙がこう窮屈になり、それから一月から、先ほどから申しました通り二十六、七年度は二十九円、三十円につつかけて上つて来ておるような情勢でありますので、若しもこの輸入関税が引下げられないといたしますなれば、新聞社は大幅に新聞の価格の値上げをしなければならんということをお考えに入れて頂きたいのであります。そういたしましたら、他の物価がどうなつて行くかということも十分お考えがつくと思うのであります。こういう事態でありまするので、現在のままでは十二月まで行つても何がしかの手持用紙もない、又戦前から比較しましても、これの三倍や四倍の輸入をされても内地のメーカーに必ず影響を及ぼすようなことはないということを考えて頂きたい。それから新聞に従事いたしておりまする従事員は相当数が多いのでありまして、従事員だけでも五万六千人、これに販売いたします従事員は約十万、十五万人が従事いたして、この低物価、低物価と申しまするか、インフレに持つて行かないように非常に努力をいたしておるという点も、十分一つ今度の関税についてはこの問題に一つ考えを願つておきたいと思うのであります。そういうような情勢で、今関税引下げをいたしましても、内地のメーカーには影響を及ぼさないということを一つお認めになるかどうか。それから若しも内地の中小メーカーに影響があるというようなお考えでありまするならば、私はこれは通産当局の殊に繊維局の当局のお考えによつて、配慮によれば私は防げると思つております。現在は中小メーカーは三百五十か四百ぐらいしか出ない用紙の丸網を変更したり、古い機械を調整したりして、資金面で非常に苦労をして能率の悪いものでやつておるために、二十九円というような値段になつております。これは通産当局でも内地のメーカーに大きく影響をするというお考えがあるならば、一つ長期資金でもお世話をして、中小のいわゆる単位メーカーを保護する途があれば、まだ二円や三円はコストが下る。今日新らしい機械もあり、七十四インチを入れましても七百や八百ぐらいのスピードが出るぐらいのをどんどん入れておるのでありますから、相当コストを下げ得られる方法はあるということを見ておるのであります。そういう点国内の新聞用紙からインフレを引つぱり出したりしないように、又メーカーを十分保護できるという方法は他にも幾らでもあると私は考えておるのであります。これに対する一つ繊維局長のお考えを伺つておきたいと思うのです。
  139. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 只今新聞経営の立場からいろいろなお話ございましたのですが、私ども新聞経営の経済的な状況がどういうことに相成つておりますか、そういうようなことも実はよく存じないわけですが、ただ二、三の点を申上げますると、新聞用紙の生産につきまして、先ほどもちよつと申上げましたが、昨年の初め頃は月額四千一万ポンド見当であつたのが、逐次増産  いたしまして、最近では八千万近くになる、暮頃には八千万越すであろうというふうに見ておるわけであります。新聞の建ページも殖え、新聞紙の購読数が殖えて行くということ、これは日本の民主化のために非常に結構だと思うのですが、製紙業界はその新聞界の要望に応えまして僅か一年半の間に倍近くの増産をいたしておるということも御考慮頂いてよろしいのではなかろうかと考えるわけです。それから更に新聞の用紙の価格の点でございますが、昨年の初めにおきましては、主力を占めております王子、北越、十条あたりの新聞用紙の価格は、ポンド当三十六円或いは三十五円四十銭見当でありましたのが、昨年の秋からその後逐次値下げをいたしまして、これは増産に伴う点もございますが、三十円ということで今日に至つておるわけです。まあ先般のストの関係もあり、若干の窮屈な状況を呈しておりまして、輸入されるという問題も一応考慮されておりますが、輸入紙の値段というものが国内の供給価格に比べまして非常に高い。而も非常に高いが、併し新聞の販売数、ページ数を減すのは好ましくないから高くても輸入する。非常に高いにかかわらず輸入しなければならんという事情が大きく出て参りますと、関税の問題とかいうことも大きな研究課題になるかと思うのでありますが、輸入されまする価格というものが内地価格に比べましてそう大差ない、若干高いという資料もございますし、又買いようによりましては安くなるという資料もございますし、まあ概括して申上げましてそう大差ない。高いにしても僅かであろうというようなことから見ますと、すぐに関税の問題として考えるのはどうであろうかというような感じが私らするわけであります。  それからこれだけの数字のものを輸入することが国内のメーカーに不安を与えるかどうか。関税を下げることが不安を与えるかどうかということについて、どう考えるかというお尋ねの点でございますが、まあ私ども新聞社とされましても国内で供給できるものならばそれを買いたいというお気持でもございましようし、輸入はそう好んでなさるわけでもないかとも思うわけでありまして、その点からそう大きなものを今後幾らでもお入れになるということでもなかろうかと考えるわけでありますが、その点から客観的に見ますと、そう製紙業者としては心配しなくてもいいというようなこともその面からは言えるかと思いますが、ただ今回この国会におきまして、新聞用紙の輸入関税の引下の問題が論議されているということに関連いたしまして、製紙業者の一部のものから不安も我々は訴えられているのであります。その訴えられております趣旨というのは、まあいろいろ言つておりますけれども、かいつまんで言えば、この生産者というものは或る一定の国の定めた制度、関税は一つの制度になるわけでありますが、企業の採算ベースになる一つの前提条件になる関税というものがどの程度であつて、その下に保護されて生産の役割を果しているのだというつもりで仕事をし、又需要が殖えればそれに応じて設備を殖やすということでやつているのでありますが、ところが何かの都合でそれが若干不足するという際にこれを輸入する。輸入したら値段がちよつとでも高くなれば、そのときは関税がネックだからということで、五%なり零なりというふうにいじられるのだということになりますと、その業者のいろいろな事業の基本的な前提条件になる関税というものは、一般論としてそう簡単に動かされるものじやないというふうな認識の下に仕事をしているものが、随時ちよこちよこいじられるのだ、そういういわば不安も出て来るかと思いますし、又需要につきましても、一応新聞協会等の需要数字というものが出ておりまして、それと供給量と見ますと、そう楽でないという需給関係にはございますものの、なお新聞用紙の代替紙の生産関係もございますし、万一その需要が新聞協会の発表の数字の通りに伸びて行かないということになりますと、結局メーカーとして作つたものが売れなくなる。かたがたかてて加えて輸入ものを新聞社のほうでお入れになれば、それに代金をお払いになつて手持ちしておれば、差当り国産を買うのを手控えられるということになるので、生産したものは全部買つてやるという保証もあるわけでもありませんし、そこのところからどうなるであろうといういわばそういう意味の不安を表明している。かいつまんで言えばそういう事情だと思うわけであります。それを批評する仕方によりますれば、先ほどもちよつと申しましたように、輸入量というものは無制限に輸入するわけでもないのだし、だからそう心配せんでもいいのだというような見方もできようかと思いますけれども、当事者になりますと、関税というものはもう少し恒久的なものとして考えていいというふうに観念しているものが、そのときそのときのことで、これも非常に大きな値段の狂いでもあるならば別であるけれども、そうでないときにちよくちよくいじられるというのじや大体業者のほうの前提条件が立たんじやないかという、そういう不安も一面から見ますと尤もだと見ていい点があるのではないかというふうにも考えられるわけであります。先ほど来申しますように、需給はそう楽でもございませんけれども、まあどうにか間に合いそうであるということ、それから輸入されるものの価格も、国産のものは逐次低下しておりますし、その価格に比べまして輸入されるものは殆んど大差ないというような状況のようでもありまするし、今回新聞協会からも関税を下げることを考えたらどうかというふうなお話もございましたけれども、政府側としましては今回の場合には考えなかつた、こういうような事情でございまして、御承知のように昨年、一昨年までには輸入されるものが国内ものより高くございました。更に輸入ものがべらぼうに高いということもございまして、なお需給の関係からどうしても輸入しなければならないという事情もありましたので、新聞紙の公共に鑑みまして、余り御迷惑をかけることがないようにというようなことで、一時関税の適用を除外するような措置がとられたのでありますが、そのときと今日の事情とは相当事情を異にするというふうに考えているわけであります。
  140. 前田久吉

    ○前田久吉君 逐次値段が下りつつあるというお話でありましたが、どういう点から逐次下りつつあるという根拠がありますか。一つ出して頂きたいということと、二十六年の上半期に三十六円の紙が今三十円になつているということを昨日関税部長からもお話がありましたが、二十六年の上半期は日本の全産業をひつくるめまして利益率はこの紙、パルプは入つておりませんが、二百七十であります。こんな産業というものは一つもないです。五十から六十、多くて綿糸紡績あたりでも百十五、新聞の紙は二百七十の利益であつた。こうして二十六年の下半期で百八十四ですね。二十七年の上半期も紙はまだ王座を占めて百十七であります。現在一月から先ほど私が話したように二十六、七円の紙が二十九円に上りつつあるということはそれは否定なさいますか。お認めになりますか。  それから紙が下るということは、原木が下らないと私は紙は下らないと思うのであります。これから先の日本のあかまつ、えぞます、新聞用紙にする木材は下るというお見込みでおつしやるのかどうか、それを一つお伺いしたいのです。
  141. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 先ほど私値段で引用いたしましたのは申上げた通りでありますが、新聞用紙の供給の主力を占めております王子、北越、十条につきましての価格経過を申上げますと、その他の紙につきまして、王子、十条の紙が四十円ほどいたしておりました頃のものが、今年の初め頃になりますと、二十八円になり、或いはそれ以下というものもあつたのが、その後若干の値上りが来しているということも承知いたしておりますが、ただ主力をなすのは先ほど申上げましたように三十六円、三十五円、四十円、三十円というように低下いたしているということ、それからその他の紙の関係は王子その他のストの関係もありまして、その間の需給の逼迫というようなことの反映ということも十分想像されますかと思うのであります。この三十円が高いか低いかという問題、いろいろ見方もございましようけれども、現在輸入されますものが、輸入考えて見ました場合に、現在あります関税というものを前提として考えて見ました場合に、関税払込の値段でほぼその値段であるということでありますれば、いわばまあほどほどの値段に来ておるということも見方によれば言えるのではなかろうかと考えるわけであります。将来この価格がどう推移するかという点でございますが、これは私どもも何ともはつきりしたことを申上げかねるわけでありますが、今御指摘ございましたように、国内原木価格というものは、昨年の秋、暮頃から相当大幅に上昇はいたしております。が併し、この新聞用紙の価格はそのまま据置れて今日に至つておるというふうに承知いたしておるわけでございます。
  142. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  143. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を付けて。
  144. 前田久吉

    ○前田久吉君 昨日税関部長は、カナダ物であるからこういう値段だが、北欧物が入つたらもつと下るのだというお話でありましたが、現在調べたところによりますと、北欧のもので入るものは……、スエーデンが入つて参りません、これはお調べになつておるかどうか、入つておりません。それからフインランド物が二月にやはり余り変らない値段で入つておる。これも四千トンくらいしかないという情勢のようでありますが、何を根拠で北欧物が安く入るとお考えになるのでしようか。税関部長にこれをちよつと伺つておきたいのです。
  145. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 北欧物の新聞用紙の値段につきまして、私の調べたところをちよつと簡単に御紹介申上げます。最近のこれは向うの申入れの値段でありますが、只今スエーデン、ノールゥエーあたりの数字が手許にございますが、スエーデン物でありますと一トン当りCIF価格百三十五ドル。
  146. 前田久吉

    ○前田久吉君 ありますか、数字が。入つて来ないでしよう。
  147. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは向うの申入れ価格でございます。
  148. 前田久吉

    ○前田久吉君 実際取引はないでしよう。
  149. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) それは先にカナダ物が御契約なさつたので、そういうことになつておりますが、その後北欧側からこういう値段ではどうかという申入れがあつたと思いますが、今度御契約なさいましたものは、これはカナダ物でCIF値段トン当り百四十五ドル、今度の新聞協会の御契約なさつたものであります。その後北欧物でこういう値段があるということを申上げたのであります。スエーデン物がCIF価格トン当り百三十五ドル、ノールウエー物が同じくCIF価格で百三十ドル、こういう値段のように私ども承知いたしておるのであります。
  150. 前田久吉

    ○前田久吉君 時間も委員長から迫られておりますので、繊維局長一つだけ御考慮願つておきたい点は、戦前のあれだけ一時独占して新聞紙か握られておつても、安く相当量入つてつたということもお考え願いたい。これによつて而も値段は当時、私は忘れましたが、一連は四円、入つて参りますのは二円三十銭くらいのものが入つて参りましたが、ちつとも影響しない。影響しない理由は、新聞は不安定な輸入紙は使えないからです。新聞は御存じの通り滝が流れるように新聞を出さなければならない。そういう輸入紙に依存しては幾ら安くても使えなかつたというので、戦前何らメーカーにも影響しなかつた。まして今日の少量の輸入によつてメーカーに与える打撃というものは全然ないということ、それから今新聞にひしひしと迫つて来ておる価格の改訂、つまり値上げをこの今日のような情勢、先ほどから私が申しましたような一月、二月、三月、四月から比較しまして、今度で二円ほど上つて来ておるこの情勢下で価格を改訂しなければならん。こういう全国民に新聞を値上げをして提供することが小であるか、関税がちよつと入ることが大であるか、この点を国家の高所から一つ考えてもらつて、行政の上に一つ十分お願いをいたしたいと思うのであります。そういう見地から、無経験な人は輸入が入つてくれればとペこぺこしますが、新聞紙はその輸入に依存していないのであります。万一危険なことが起れば、毎日約束された多数の読者を持つてつて輸入紙に依存してはできないのであります。成るべく国内メーカーを育てたいというのが、これが新聞社の誰もの考えであります。中小メーカーは先ほどから申すように、古い機械、使えないような機械を手入れをして、よちよちと三百五十かせいぜい四百くらいのスピードしか出ないものを使つておりますから、今日二十九円、三十円の価格が出る。これを長期の金融さえ付けてやつて倍くらいのものを出しておれば、相当メーカーも発達し、又新聞協会も安い紙が買えて一般にも安い新聞が売れる。こういうふうに本当に通産省でも十分御存じになつていらつしやると思いますが、もう一度この点は十分新聞というものの特別な、紙に対する十分な一つ御研究と、一つそれに対する善処を私は希望いたしまして、これで打切ります。有難うございました。
  151. 小林政夫

    小林政夫君 昨日要求した資料は生産高と価格ですね。それに消費実績がわかれば出してもらいたい。それから今のお話の将来この年末までの需給の見通しですね。
  152. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 関税定率法等の一部を改正する等の法律案の質疑は本日はこれを以て打切ります。   —————————————
  153. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に相続税法の一部を改正する法法案を議題といたしまして質疑を願います。
  154. 森下政一

    森下政一君 死亡保険金の控除額を三十万円に引上げるということになつておりますが、全国の生命保険会社に大体三十万円以下の契約というものはどれくらいあるものか、パーセンテージはおわかりでしようか。
  155. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 契約金額三十万円という数字は実は今手許にございませんが、三十万円よりももつと小さい数字でございますが、二十四万円以下の契約の数字が九六%くらいを占めておるのではないかと、かように考えております。
  156. 森下政一

    森下政一君 そうすると、大体三十万円以下というものが殆んど九割くらいと了承して間違いないのでしようか。
  157. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 従いまして、少くとも三十万円以下というものが九割五分以下であるということは申上げていいと思つております。
  158. 森下政一

    森下政一君 この前所得税審議を始めたときに、土田委員から基礎控除というのは何ですかという質問があつて、いろいろの答弁があつたけれども、どうもはつきりしない。これは私はもう第一国会以来当時の平田局長といろいろ論争したのですが、それがつかめていないから、相続税の場合の基礎控除というのは何ですか一向わかりにくいのですが、相続税の基礎控除というのは今度は五十万円ということになるというのですが、これは一体何ですか、その観念がわからないのです。所得税の場合と関連して基礎控除というのは一体何ですか、どうもわからんです。例えば所得税の場合に、六万円にもせよ、これがいろいろ生活様式によつて段階があるだろうけれども、一応最低の生活費と見ておるのだというならこれはわかる。この相続税の場合はわからないのです。それだから減税減税と言われるけれども、考えようによつては大蔵省で税法を弄んでいるという感じがするのです。五十万円が六十万円でもない、四十万円でもない、ここらでよかろうじやないかというようなことで、一体これは何ですか、こうお尋ねしたいのですが、これはどういうことなんでしようか。
  159. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 基礎控除の観念でございますが、相続税につきまして、結局相続が開始した場合に相続税を課する。その場合にあらゆる相続が開始したら常に相続税を課税するということは、これは適当でない。従いまして少くともその相続財産、今度の相続税の建前といたしますと、結局相続財産を受けた人ですね、受けた人に課税するわけですが、その相続財産の受益者の中で、やはり一定の金額以上の受益があつた人に課税すべきじやないか、こういう観念が出て来るわけであります。それではその限度を一体どこに置くべきか、これはいろいろな考え方があり得ると思います。所得税の場合においでは最低生活費というものが一応の基準にはなると思いますが、併し最低生活費そのものであるべきかどうかということについても又いろいろ議論がある。同じように相続税の場合におきましても、それじやどの程度の人は相続税の課税外に置くべきか。結局その金額といたしましてはその時におけるやはり国民経済の状態、或いは一つは財政の需要の状態、こういうものから規制されるべきものじやないかと思つておりますが、今度の場合におきまして大体五十万円という見当を付けましたのは、一応農家などにおきまして或る程度標準的な田畑をお持ちになつている。それから家屋につきましても或る程度の家屋をお持ちになつているというかたについて相続があつた場合に、大体これも何人かに分割相続されるのが現在の民法では普通でございますが、一人で以てそれを相続した、こういう場合におきまして、その場合の財産価格といつたような考え方からしまして計算して参りますと、五十万円では最近多少田畑の値段の値上りなどもありまして、全然かからんというわけには参りませんけれども、かかつても大したことはあるまい。まあ大体かかるまいといつたような金額の目安において一応五十万円という数字をきめたというのが我々の考え方でございます。
  160. 森下政一

    森下政一君 そんなら、どうも或る一定の限度の者は控除して、受益が或る一定の限度をオーバーしたときにかけるということなんですが、基礎控除なんというものはやめてしまつて、相続財産に対しては相続の場合でも遺贈でも全部かかる税率をうんと下げたら同じことじやないですか、税率をうんと下げてしまつたら。
  161. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 税収が上がるという点では、同じ程度の税収を上げるということは、これは私はその基礎控除をやめてしまつて税率を下げる、下げ方にもよりますが、一応のそういう税のあり方といいますか、形を作ることはこれは可能であると思います。併しその場合に考えられなければならんことは相続の性格如何、これはいろいろ今更森下先生に相続税の性格を申上げるのも如何かと思いますが、或いはこれが相続という機会においていろいろ一応受益があつた。これが或る意味においては不労所得的な性格もあるだろうという意味で相続税の根拠付けをしておる学者もありますし、或いは又いろいろ学説があるわけでございますが、やはり相当の大きな相続財産である場合におきましては、その税率は累進税率的に高く上げなくちやならんではないか、同時にその額が小さければこれは課税外に置くべきじやないか、こういうのが相続税に対する一般的な観念だと思います。同時にそうした一応財政学の上で考えられている考え方と、もう一つは実務的な問題も一つ考えてみなければならないと思いますが、あらゆる相続について全部課税して行くということになりますれば、これは相続というのは日々相当件数が起きているわけでありまして、多かれ少かれそれがあるわけでございます。従いましてそうした場合におきまして、納税者の申告納税、或いは税務署の調査といつたようなことを考えてみますと、余りに税率が低い、そうした小さな額にまで相続税を課して行くということになりますれば、徴税費の上から申しまして徒らに高い徴税費がそこにかかるわけでありまして、そういう点もやはり考えてみなければならん。こういつたような財政学のほうも一応考えております。理論の問題とそれから税務を実際執行して参りました場合の手数、徴税費というような問題と、そういうような両方から考え合せまして、やはり一定限度以下の人には相続税は課税すべきじやない、同時にそれ以上の人に対しては相当の累進税率で課税すべきである、こういうふうに考えている次第であります。
  162. 森下政一

    森下政一君 そこでそれならば、仮に或る一定の限度以下の相続に対しては課税すべきじやない、仮にこの説をとるといたしますと、そのときに五十万円を百万円にしたら一体どういう不都合が起りますか。今日改正するときに現行三十万円という額は百万円までにしよう。仮に五十万円をその倍額の百万円にするということにされるとどういう不都合が起りますか。理窟の上でどういう不都合があるか。或いは財政需要から考えて、これは五十万円のやつを百万円まで基礎控除をやつたらそれでは税収が減つて来るというようなことになるのですか。
  163. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 相続税におきましては、税収という問題も一つございますが、所得税などと違いまして、すぐに何十億とか何百億とかいうような問題であるとは思つておりません。併しながらおのずからやはり所得税における一応の課税最低限、或いは相続税の課税を受ける場合、それから相続税の課税というものについては一応何かしらやはり関連は、観念的ではありましようが、やはり考えて行くべきじやないかということには考えております。そういうような見地からいたしまして、まあ百万円にしたらどうかというと、結局やはり観念的には大体この程度の相続の場合には課税にならんというところに何かしらん一つのよりどころを求めるのが一番具体的にわかりやすいのじやないかというような意味におきまして、実は先ほど申しましたように、通常の農家で一人の相続があつた場合におきまして、大体課税最低限、基礎控除でまあほぼ相続税は納付しなくて済むと、こういうところの見当をつけてみますと、五十万円見当になるのじやないか。決して我々税制を弄んでいるつもりはございませんのですが、そう一時に一足飛びにこうありたいと希望する姿に持つて行くのもなかなか財政の面から申しましても許されないと思いますので、今回の改正におきましては、大体今申しましたような基準の下に五十万円と金額をきめた次第でございます。
  164. 森下政一

    森下政一君 こういうことは算術的にきちつと出るとは私も思いませんが、何かしらこうちよつとよりどころを作つた今あなたのおつしやる何かしらということですね。そういう実に空漠たるものであつて、理窟の上においてごうあるべきとか何とかということは何もないと解釈していいんですか。
  165. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 算術的にぴちつと何十何万何千円というくらいの数字に先ず出まして、そして余り端数があるのはおかしいからぴちつと丸くしたといつたようなよりどころというものがちよつとなかなか求めにくいのじやないかというふうに思います。財政が許せばもつと高い基礎控除を作るということも一面では考えられますし、結局やはり現在における国民生活の状況、或いは国民経済の状況というものも片方の軸に置き、片方におきましては財政的な必要からどれくらい税として徴収しなければならんかという点を片方の軸に置きまして、両者の見合いの上に大体どれくらいを考えて行くべきだろうか。同時に又過去におきまして三十万円という数字がまあありますので、この数字がよかれ悪しかれ過去数年間つて来ておりますので、この数字も一応頭に置きまして、そうとび離れた水準を一遍に作るという、ほかのほうの税もそういうような建前になつて、減税できるようなことであればこれは勿論それで結構でございますが、必ずしもそうでない。現状におきましてはやはり三十万円という点も一応頭に置きまして、まあ五十万円くらいがこの際としては適当ではないだろうかと、かような結論を出したわけでありまして、森下先生言われますように、何かぴちつとした基準がありますと、我々も説明もしやすいし結論も得やすいのですが、事柄の性質からいたしまして、ちよつとそういうふうには行かんものではないだろうと考えております。
  166. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。相続税法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  169. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は慣例により委員長に御一任願いたいと思います。  それでは多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名    森下 政一  小林 政夫    土田國太郎  三木與吉郎    前田 久吉  岡崎 眞一    藤野 繁雄  西川甚五郎    山本 米治   —————————————
  170. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後六時二分散会