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1953-07-21 第16回国会 参議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十一日(火曜日)    午前十時五十八分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            山本 米治君            前田 久吉君            三木與吉郎君            野溝  勝君            堀木 鎌三君            平林 太一君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君   政府委員    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    大蔵省理財局次    長       酒井 俊彦君    大蔵省管財局長 阪田 泰二君    文部省調査局長 久保田藤麿君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主税局税    制第二課長   塩崎  潤君    大蔵省理財局証    券第二課長   小林 鎮夫君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○揮発油税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○登録税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○通行税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○資産再評価法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○証券取引法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○証券投資信託法の一部を改正する法  律案内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第二十一回の大蔵委員会を開会いたします。揮発油税法の一部を改正する法律案議題といたしまして質疑を行います。
  3. 小林政夫

    小林政夫君 解散前の国会資料を要求しておつたのですが、そのまま解散なつたのですが、諸外国関税と、この揮発油税に相当するものと合せた税率及び我が国関税とこの揮発油税とを比較して、成るべく広い範囲において彼此対照一つ説明をしてもらいたい。
  4. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) これは後日直ちに資料といたしまして提供いたしたいと思いますが、現在私の持つております資料について簡単に御説明申上げます。  揮発油税税率が高いという非難が非常にあるようでございます。私どももその点考慮いたしまして、各国との税率比較をやつております。現在揮発油税につきましては、我が国におきましては関税がかかつておりませんので、私どもといたしましては消費税の面から現在調べておりますところの資料を持つております。これについて申上げますと、外国におきましても相当な税率になつているということが言えるわけでございます。日本におきましては現在一キロリッター税率一万一千円でございます。税引小売価格は二万二千円くらいになつておりまして、大体負担率税引小売価格に対しまして五〇%、こういうふうになつております。従前はこれは大体小売価格の一〇〇%くらい課税いたしておつたわけでありますが、現行におきましては五〇%の負担になつております。一番ガソリン消費すると思われるアメリカにおきまして、これがどうなつているかを見て参りますと、アメリカ税率は御承知のように連邦で取つておりますと同時に、州でやはり揮発油税を取つておりますが、その他モビル・オイルも課税いたしておりますが、アメリカにおきまして税率六千九百九十円、税引小売価格が一万九千七百五十三円で税負担が三五・四%こういうふうになつております。これは関税は勿論かかつておらないわけでございますが、三五・四%その次がイギリスでございます。イギリス税率が一キロリツター二万一千百七十円、税引小売価格が一万八千六百十八円で、税負担日本の倍以上の一一三・七%こういう負担でございます。欧州大陸に参りますと非常に税率が高くなつて参りまして、フランスが一キロリッター税率三万二千四十五円、税引小売価格が二方三千八十四円、税負担が一三八・八%次にドイツにおきましては一キロリッター税率が三万五千三百八十円、税引小売価格が二万三千七百八十円で税引小売価格に対しまするところの負担は一四八・八%、こういうふうな状況で、私どもの見ましたところ日本税負担が必ずしも高いということは言えないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  5. 森下政一

    森下政一君 今御説明なつ各国比較ですね、それは何か印刷したものですぐ……。
  6. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 資料といたしまして提供いたします。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 資料によつてもう少し検討して見たいと思いますが、日本の場合で言うと、税引小売価格が二万二千円というが、物品税との比較から行くと、この二万二千円というのはメーカーから出る値段ではなかろうと思う。最近は一万五千円くらいと聞いているわけですが、そうすると今の一万一千円ということは七割強になるのですね。物品税最高税率五割、これとの比較1においては、それの比較し得るベースにおいて比較した場合においては、相当ガソリン税が高いということが言えるのではないか、その点はどうですか。
  8. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 物品税最高税率五割と比較してどうかというお話でございますが、比較対象をどう考えていいか、なかなかむずかしい問題だと思います。物品税の五割の最高税率課税物品につきましては、大体箸移品ということになつているわでありまして、従前におきましてはその最高税率は一二〇%くらいな負担割合もあつたわけでございまするし、そういう税率が又いいか悪いか、戦後におきまして思想もだんだん変り、何と申しましても物品税零細企業対象といたしておりますところの税金でございます。非常に徴税上問題が多い。そんな関係からいたしまして、往々にいたしましてその税負担製造者のほうに逆転する、そういうふうな関係がありまして、若干下げている面が相当あるのではないか。その点揮発油税あたりに参りますと相当転嫁関係もはつきりいたしまして、消費者に転嫁させることも容易であるというようなことも考えられますので、この点は若干趣旨が違うのではなかろうか、こういうふうに私ども考えております。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 物品税小売価格最高は二割、それと今のあなたの言われた小売価格に対するガソリン税税率ということになると、あなたの言つた二万二千円という小売価格基礎にしても五割、性質は大企業中小企業物品税課税対象大概中小企業だという、それは大部分がそうでしようけれども、必ずしもそうでないものもある。だから比較云々という同じ消費税という面から行けば大体比較し得る性質の税ではない。多少そこに売手市場買手市場という需給バランス関係買手の強い業体売手の強い業体とがあり、あなたの今言つた主張から言うとガソリンについてはおおむね売手が強いのだというふうにも聞えるのですが、物品税の中でもいろいろ品種があるわけですから、その中にはおおむね買手のみが強いとは言えないものもあるわけでですね、これは諸外国の事例が、今の承わつたところによると米国以外ではすべて日本よりも高率のようですが、国内における税の権衡という点から言うと、少しガソリン税は高きに失するのではないか、こう思うのです。これは意見になりますが、それで次は税収の問題ですが、本年度二十八年度に百八十六億のガソリン税収を見ている。それが廃案になつた当初出された二十八年度予算解散前に出した二十八年度予算においては百五十八億、新らしく出した今国会審議中の予算では百八十六億、僅か三カ月間に二十八億という増収見込まれている。当初前国会において私の、この税収見込みについては二十八年度においては相当ガソリン消費が殖える、従つて百五十八億というのはかなり殖えるのではないかという質問に対して、今のところこれは相当確実に見て堅いところで、これよりは見込まれない、こういうような政府当局の答弁であつたが、出直した二十八年度予算においては二十八億の増を見積つているというようなことであると、ガソリン消費の現況から判断して二十八年度においても、一応今は政府は百八十六億と見積つているけれども、かなりの自然増収見込まれるのではないか、今の税率一万一千円でそのまま行くならば見込れるのではないかと思われるのですが、その点の見込は如何でしようか。
  10. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) ガソリン税収入見込につきましての御意見でありますが、前国会に提案いたしましたときには私どもは大体、ここにはつきりした資料を持つておりませんが、昨年の十月ぐらいからの収入実績基礎といたしまして、その提案いたします際にわかつております限りの新らしい資料を基といたしまして、或る程度消費の伸びを見込みまして、七%でございますが見込んだつもりでございます。そうなりますと私どもここに資料を持つておりますが、十月頃の収入実績は十一億、十一月は十二億十二月は十四億、この程度資料から大体年間平均を出したわけでございます。大体ガソリン税収入見込につきましては、そういう課税実績を基といたしまして、或いは経済審議庁或いは通産省の生産見込、或いは需給見込を基といたしまして算定いたすわけでございます。前国会に提案いたしましたときにはそういつたような事情におきまして、仰せ通り百五十六億になつたわけでありますが、今国会におきましては最近の資料を基にいたしまして、最も消費の妥当と思われます十一月からの収入実績を基といたしまして、年間平均を出したわけでありまして、これを仮に経済審議庁見込が最近もわかりましたので、これを対照いたしましても大体妥当であろう、この百八十六億八千四百万というものは大体十一月から二十八年の三月までの課税実績を基といたしまして、その月平均を出しまして年間を推算いたした、こういうふうになるわけであります。これを課税キロリッターに直しますと大体百七十六万三千八百キロリッターくらいになる予定でございます。一方経済審議庁需給見通しによりますと、二十八年度におきましては大体百七十五万キロリッターくらい消費されるのではなかろうか、こういうように言つておりますので、この程度収入見込が妥当ではなかろうか、こういうふうに考えております。前国会に提案いたしましたのは、先ほども申上げましたように、若干古い月のまだ収入の少い時期が入りましたのでこんなふうになつたわけでございます。今回は前の案に比べましてより妥当な線が出ているのではないか、こういうふうに考えております。各業界からはもう少し入るのではないか、こういうような声があるのであります。二十七年度についてもよく言われたのでありまして、二十七年度の揮発油税補正予算の際の見積りは百三十五億九千二百万円であつたわけでありますが、三月までの収入実績を見ますと百四十二億九千四百万円でございまして、大体七億程度しかオーバーしていない、こんなような状況でありまして、私どもまあこの程度収入見込が妥当ではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 その経済審議庁需給見込とあなたのほうの課税実績による推算とがあつたと、こういうことでありすが、どうも私は両方とも余り課税実績から類推したということなら、これは止むを得ないが、併し経済審議庁需給見込というものが、どうもその話を聞くと余り信用できないのじやないか。少くとも二十八年度の需給見込というものは、そう三カ月前と三カ月後でえらい狂いがある。二十八億ということは二十五万キロリッターですか、そのくらい需給に開きがある。百七十五万キロリッターで、百五十万キロリッターに対して二十五万キロリッター殖えたというようなことは、三カ月間にそれだけの見込違いをやるということでは、現在においても将来にこの年間を通じての見込においては相当狂いがある。一体そういう狂いはどうして出るのか、その点が知りたいと思うのですがね。
  12. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 非常にむずかしい質問で、私どもどう答えたらいいかわからないのでございますが、そこでこれは三月までの収入実績を基としておりますが、私ども仰せのような御意見が出ると思いまして、最近の月別の収入実績をとつておりまして、これから見ましても妥当ではなかろうか。一月が十四億三千二百万、二月が十四億二千六百万、三月が、これは繰上調停関係がございまして少し殖えるのでありますが、十六億九千三百万、ここまでは収入ベースに入つているわけであります。四月になりますと六億七千五百万、これは繰上調停で四月に入るべきもので徴収猶予なつたものが三月に繰上がる、こういう関係でこうなるわけであります。一番新らしい資料といたしまして十四億四千五百万円、この十四億四千五百万円が一番新らしい資料として出ておるのでございますが、これを年間平均しまして十二カ月にいたしますと大体十六億八千万円ぐらいにしかならないわけでございまして、大体こんなふうな関係から見ましても私どもの今度の見積はそう狂いはなかろう。或いは又外貨割当関係筆あたりで相当殖えれば又別でありますが、現在の経済状態の下では大体コンスタントの需要見込みが続いておりますので、この程度では大した狂いにならない、前の見積がなぜ狂つたかと申されるのでございますが、この点につきましては経済事情が相当変つて来ておるのではなかろうか、又最近の経済事情から見て、産業界の活動から見てこの程度が維持されるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 今の五月、十四億四千五百万円、おおむね一月から五月までは十四億として計算すると、あなたの言われたように百六十八億、年間を通じて十二月分だと、百六十八億であるにかかわらず、政府の二十八年度の税収見込みは百八十六億なんです。百八十六億八千四百万円、その税収見込説明によると、二十七年十一月から二十八年三月までの課税実績年換算額、五分の十二倍することによつて百六十八億八千四百万円、それでも今の最近の月割実績の十二倍とは多いのです。ということは、あなたのほうも最近の消費状況を勘案し、少し含みを持たしておる。その含みを持たすことがどの程度かどいうことの問題で、そう今年度は百八十六億八千四百万円がマキシマムだということは、ここでは言い切れないはずだつたね。あなたはどつちかと言えば、しようがないから私はこの程度質問を打切りまして更に審議を厳密にするためには、経済審議庁等を呼んで聞きたいと思うのですけれども、幾ら聞いても見込の問題ですから水掛論みたいなことになるから、私は一応打切つて少し懇談に移して頂ぎたい。他に質疑者があれば別ですけれども……。
  14. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御質疑もないようでありますから、では懇談に移ります。速記をとめて。    午前十一時十八分速記中止    ―――――・―――――    午前十一時三十四分速記開始
  15. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。  次に登録税法の一部を改正する法律案議題といたしまして質疑を行います。
  16. 小林政夫

    小林政夫君 登録税宗教法人法昭和二十六年法律第百二十六号、この法律が出て今まで勅令によつてできておつた宗教法人を、この宗教法人法による法人に切換えて行くという際に、大体多少法令的には扱いが違つて来たけれども、おおむね今までの旧宗教法人新法による宗教法人に切換える。その際に、法律変つて新らしい名義の宗教法人財産その他を切換えて行くという際に、これは文部当局のミスだと思うのですけれども、その宗教法人法附則で当然経過措置作つて、旧法の宗教法人から新法宗教法人に移行する際の不動産等に対する登録税免税措置をやるべきであつたと思う。それがそういうふうになつていなかつたために、今なお仏教関係、或いはキリスト関係もあるように聞いておりますが、又天理教だとかいうような面において、依然として財産を旧宗教法人関係に残しておつて、新宗教法人には移行しておらないという面がたくさんある。それに対して文部省としてはどういうふうにお考えになつておるのか。
  17. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 只今の点は御指摘通りだと私も考えておりますが、その当時財産関係の移転を考えますために、減税の問題以前に、むしろ登記をしないでそのまま登記の継承をやつてもらいたい。全然登記をしないのに登記をしたことに見なしてもらうような手続きをいたしたいというのが、当時の文部省主張でございまして、大蔵省なりその当時の民事局あたりの御意見とこれはなかなか食い違いがございましてまとまらずに、いずれ登録の時期なり又認証の時期の期間が一年半ということになつておりますが、そういうような関係から、その間にだんだん話合いをつけましようというようなことで、宗教法人法を通して頂く時分にはそういう話合いであつたように私は承知をいたしております。その後だんだん話合いをつけて行きまして、少くとも扱いとしては登記をするがよろしい、登記をすることの手数は新らしくでき上る宗教法人側が保証して一生懸命にやりましよう。併し免税のことだけは何とかこれは一つつてもらわなければならん、尤もな話でありまして、だんだんそういうことを話合つて来まして、扱い方としては千分の六と申しますか扱いにしながら、而もこの実質面が余り変らん。例えば名前を変えたというようなことがございましても、実質面が殆んど変らんというのが実態でございますから、できるだけ手続もしないで済まそうといつた精神を押出して来て、できるだけこの際宗教法人の側の面倒なり手数なり又負担なりを軽減したいという建前から是非この免税を、税金だけは免除するという点に落着けたいという話合い推進めて来ておるわけでございまして、現在のところはまだ税法そのものの直接の問題は、扱いとしてどうするかというような問題で問題がありますが、すでに収めた収めんということではまだ問題が起つておりません。一日も早くこの問題を解決したい、この前の国会あたりにも提案を頂くつもりでいろいろ手当をいたしておりましたが、解散などの事情で遅れて今日やつと本手続に乗りかかつたというわけでございます。
  18. 小林政夫

    小林政夫君 これはあなたのほうはそういう消極的な言い方をするから一向に進捗しないので、もうこの法律が施行になつて二年近くなるのに、実際に宗教法人は困つているのですよ。で、これはもう簡単なことなんでね、何も登録税法に引つかけてこの際問題にするというような問題ではない。むしろ宗教法人法附則ちよつとやれば解決がつく問題なんですね。で、まあ御承知のごとく我々緑風会には高橋道男氏ほかかなり宗教関係の人がおつて、あなたのほうに話をしてもどうしても解決しない、是非この登録税法審議の際に一つ大蔵委員会でやつてもらいたい、こういう強い要望でこの委員会にも出席して発言をするということであつたけれども、今日はよんどころない支障で高橋さんは出席しませんけれども、ただ近く何とかすると言うて、この国会で何とかするという気持ちがありますか。
  19. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 宗教法人法をいじるか、それともどの税法の種類のものをいじつて行くかというような関係からだんだん考えて行きまして、臨時措置法的な扱い方解決して頂くのが一番無難ではあるまいかというような意味合いで、そういう手当をしながら今国会是非解決の線を出して頂くように、今各方面にお世話を願つておる次第でございます。
  20. 小林政夫

    小林政夫君 それでは塩崎君に意見を聞きますが、大体経過的な措置、旧宗教法人から新宗教法人に移る、本当に一回限りのことについてわざわざ、勿論登録税法の本法でそういうことを規定することは適当でない。が、租税特別措置法においてそういう取扱いを、免税措置規定することを適当と思いますか、思いませんか。
  21. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 何分にも二年前の法律の後始末でありまして、税法プロパー規定といたしましては非常にむずかしい問題が出て来るだろうと思いますが、本来ならば単行法令を出すべきか、或いは措置法の条文を直すか、或いは登録税法のうちの非課税法律規定を直してその附則に入れるか、そういうふうな方式が考えられるわけでございますが、今小林先生のおつしやいましたように、今度の提案いたしました登録税法改正法律附則では適当ではなかろう、こんな感じがいたしております。種々な方式があると思いますが、まあ穏当のところは措置法改正法律ぐらいではなかろうかというふうに私ども考えられるわけでございます。
  22. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると文部省のほうでは租税特別措置法、まあ大蔵省譲つてまあまあ租税特別措置法なら何とか辛抱ができるという意向のようだが、租税特別措置法改正するべく、と言つて衆議院租税特別措置法審議中ですが、そのほうで問題にして改正見込みがありますか。
  23. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 一応関係者の案を得ておりますので、その案で一応通して頂ける私は見込みがあると確信いたしております。
  24. 小林政夫

    小林政夫君 それではこの登録税法審議の際に僕のほうでは何も触れませんが、それでよろしうございますね。
  25. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) いずれその法案もこの委員会へ又お世話になる関係だと思いますので、その意味合で十分お含み下すつた程度でありますれば誠に有難いと思つております。
  26. 森下政一

    森下政一君 この改正法の第十七条の二の、不正の印紙を使用した場合等における追徴規定ですね、こんなことは既往においてこういう事実があつて、こういう事実を発見したことがあるのでしよう、そういう場合の措置はどうなんでしようか。
  27. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) この法案を設けました理由は、今森下先生から御指摘通り公団或いは、登記所におきまして消印済証書を特殊なる薬品で消しまして再び使用する。殊に登記所のようなところの者あたりと結托してやつた例が多かつたわけでございますが、大体税金は取る規定はなかつたわけでありまして、税金を追徴することは現在のところまだやつておりません。で、本来ならば登記官吏がその登記所に貼つてありますところの印紙の正不正を見別けまして、でこれを登記官吏が消印する。従いまして、本来こういう不正印紙がそのまま使われるということは万々ないわけでございますが、一部不正官吏のためにこういうことがある。或いは又不正官吏でなくいたしましても、納税者側不正使用がしばしばあつたわけでございまして、今度は不正であることが発見されましたならば税金だけは取ろう、こういうふうに今後の措置として考えておるわけでございます。
  28. 森下政一

    森下政一君 そうすると、既往はこういうことが発見されても税金は取られなかつたわけでございますか。
  29. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) さようでございます。ちよつと附加えて……、登録税は何分印紙で収めるということになつておりますので、印紙が一応登記官吏によつて受付けられました以上は、現金で取るという規定がなかつたわけで取れなかつたわけでございます。
  30. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それでは次に通行税法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を行います。
  31. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この現行法の一部を改正せられる狙いというものは大してえらい狙いじやないように思うのですが、なぜこの改正案を出されたかということを聞きたい。
  32. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 仰せ通り通行税法の一部改正法律は極めて簡単でございまして、意味がないではないかと言われるかもわかりません。併し税法は何と申しましても全体の体系が一つになつていなければいかんという要請があるわけでございまして、今度通行税法改正になつておりますところの無申告加算税規定対象になりまして、これに合うこの率が納税者のために有利になる。以前でございますと、現行法でありますと、無申告加算税というものは、隠蔽仮装した事実があると、隠蔽仮装してない事実に基いて、税額についても百分の五十を取る、こういうことになつてつたのですが、今度の改正案につきまして隠蔽仮装した部分について百分の五十の無申告加算税を取る、こういう場合において所得税、法人税その他も直しましたので、通行税法納税者に有利になるのでございますが、今回改正いたしまして、税法全体としての体裁を一にしたい、こういうふうに考えまして改正案を提案いたした次第でございます。
  33. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは納税者にとつて相当有利になることは誠に結構でございますが、そのために脱税が多く生ずるという危険が、通行税に関する限りはございませんか。今まで通行税には恐らく起き得ないと思うのですが、実際はどうでございましようか。
  34. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 通行税は御承知通りに脱税は非常に少いわけでございまして、殊に体裁が直接消費税の体裁を取つておりまして、運輸業者は単に、或いは国鉄は単に消費者から取つた税金を納める、こういうことになつておりまして、おつしやる通り脱税はございません。ただ改正前は忘れま、たが、現行法では百円未満の利子税額を取らない、こういうことになつておりますが、今度は利子税額を三百円未満は取らないということになりますので、その点も納税者に有利になり、ただ脱税はございません。
  35. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。通行税法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  38. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて、本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお、諸般の手続は先例により委員長に御一任願いたいと存じます。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     菊川 孝夫  前田 久吉     森下 政一  小林 政夫     西川甚五郎  木内 四郎     藤野 繁雄  三木與吉郎     青柳 秀夫   ―――――――――――――
  39. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に登録税法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を行います。  別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。登録税法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  42. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致でございます。よつて、本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお、諸般の手続は先例により委員長に御一任願いたいと存じます。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     菊川 孝夫  前田 久吉     森下 政一  小林 政夫     西川甚五郎  木内 四郎     藤野 繁雄  三木與吉郎     青柳 秀夫   ―――――――――――――
  43. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  44. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて。暫時休憩いたします。午後は一時から続行いたします。    午後零時三分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十五分開会
  45. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引締き会議を聞きます。所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案及び資産再評価法の一部を改正する法律案、いずれも予備審査。右の四案を一括して議題として質疑を行います。
  46. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと時間的な関係租税特別措置法、この中で最近改進党と自由党との話合いで、輸出振興の意味政府提案の例の損失準備金の率を、政府提案の千分の五を貿易業社を千分の一にし、メーカーのほうを千分の三にするというような、いずれ議員立法か何かで出るのでしようが、前の千分の五の場合においてもそういうことが問題であつたわけですが、メーカーの中に、先だつての内容説明の際にはメーカーとは直接輸出をやるもの、こういうことであつたのでありますが、輸出についてはいろいろ加工業者というものがある。一例を挙げるならば織物等においては紡績で糸を作り、織布業者がやり、そうして又染色業者が加工をして輸出品として出す。勿論一貫で紡績において糸から染物までやる工場もあるが、おのおの織布、染色加工というふうに分れておる段階がある。その過程においてはそれぞれ国営検査等も行われておつて、輸出商品のための染色加工或いは織物加工ということがはつきりつかめるケースがあつたわけですが、そういうような場合において直接輸出したものということになると、第一次メーカーだけのように、下請加工をしたものはメーカーに包含されてしまつて、これは積立金等の場合において特典を受けない、併し日本の輸出を振興するという本来の目的から行つたならば、そういつた加工業者を助成しなければ輸出振興にならない。こういうことがあるわけですが、これはかなり技術的にむずかしい面があろうと思うのですが、そういう点について主税局において何かいい考えはありませんか。
  47. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今の御質問はこの予算修正に伴いまして税法の修正が行われるであろうと予想されております。その事項についての御質問でございまして、実はまだその事項につきまして正式に我々お話を受けておりませんので、特に今御指摘になりましたような割合に細部の点に亘る事項につきましてはちよつと御答弁しにくい点が多いのでございますが、若しああした考え方で一応やつたとした場合に、実際の姿も併せましてどういうふうにこれが考えられるであろうかといつたような、ものの考え方のそうした筋といつたもの、或いは現実の技術的にどういうふうにこなし得るだろうかといつたようなことについて、我々の一応の意見を申上げるということならば、まだ事柄の内容を深く見ておりませんから、それが修正案についてのことになるかどうかこれは別としましてお答えできるのじやないかと思いますので、そういう意味においてお答えすることをお許し願いたいと思います。  伺つておりますところでは、輸出業者に対しましては千分の一、それから自分で以て製造した物を輸出する場合におきましては千分の三、それから輸出業者に対して供給するような場合におきまして、そのメーカーについては千分の三、それから外貨を対象としまして、対価として運送をする、加工をする、修理をするといつたような場合には千分の三、こういうふうに一応案ができるやに伺つております。それで今の加工業者に対する関係でございますが、大体こういうふうなことならやれるじやないだろうかといつて、我々が技術的な面で話しておる点は、織物なら織物の粗布を輸出業者が買われまして、そうして輸出業者が加工に出す。染色なり、晒の加工に出す、その場合におきましては、輸出業者のために輸出品に対してする染色加工については、千分の三というのを適用することは、これはできるじやないだろうか。ところが輸出業者のほうへ粗布を、織物を供給するかたが加工に出す。この場合におきましては結局普通の建前で行きますと、加工賃も入りましたところの値段でもつて輸出業者に販売されるわけでございますから、従つてその販売した製造業者に千分の三が認められることになるだろうと思います。そうしますと、その上にプラスして製造業者のためにする加工業者に千分の三これを認めるということは重複して認めることになります。それならそれを避けようとしますと、今度は加工業者に対する分には認める代りに、その分を差引いたものを輸出業者に対して供給をした製造業者に認めなければならん。これはもう技術的に非常に困難になつて来るのではないだろうか。従いまして、全体を通じての考え方としましては、やはり技術的に或る程度こなし得る限度にとどめて頂きませんと、実際の仕事に当りまして却つていろいろ紛糾の種になる。従いまして、今言つたような場合におきましては、輸出業者に供給する製造業者のほうで、いわば加工業者のほうに或いは行くべきとも思える千分の三のフェーバーが行くのですから、その両者の取引の場合において、何らかそれを色をつけるといいますか、考えてやつて頂くといつたようなことにでもして頂きませんと、ちよつと技術的にこなし切れないのではないだろうか。これがいろいろな問題が更に発展して参りまして、加工業者の場合もそうなんですが、例えば自転車なら自転車の輸出なんか考えてみますと、自転車につきましても、これはもういろいろ組立てをするといいますか。或る程度まで部分品を作り組立てている。これが現在の自転車メーカーの姿だと思つております。この人たちにつきましても相当の部分品は下請に出しておる場合があると思います。そういう下請業者に或る程度のフエーバーを与えるべきではないか。これも今の議論と同じようなことになつて参ります。  それから或いは造船の場合が考えられます。造船の業者が自分で輸出船を契約されまして、そうしてその場合に今の修正案の条項が、その姿がはつきりしませんけれども、まあ大体我々が聞かされておるところでみれば、その船についての千分の三という一応の率が適用されるとした場合に、いやエンジンはうちで作つたから、エンジンの部分はエンジンのメーカーに、或いはこの中の或る部分はうちで作つたからこれはこちらのほうに、これは結局、造船というのは、御承知のように一種の建築のような組立てになりますから、非常な分解がされなければならんじやないかというふうに思うのですが、それを追つて行くということは、技術的に殆んど私は不可能じやないか。まあ更にそれを一歩進めて参りますと、鉄屋なら鉄屋さんが鉄を作るといつた場合に、鉄について自分で輸出すれば千分の三、併し鉄の原料になる石炭とか鉄鉱石はどうなるか。これを分解して行くと、附加価値税式にあらゆる附加価値的なものだけが特にその業者に対するものであるということに、極論して行きますと、そこまで分解されて行くべきものじやないかと実は思うのです。併しそれはどうも我々の考え方としますと、やはり技術的に非常な困難もございますし、又出すとしましても一応の限度があるわけでございますから、そこはほどほどのところで、あとはいわば租税における転嫁の逆でございますが、こういつた考え方で処理願うのが、まあ適当じやなかろうか。従いまして、縷々申述べましたが、結論的に申上げますと、今我々が技術的に可能だと思つておりますところは、輸出業者の委託を受けて、例えば粗布のようなもの、糸のようなものを織り、或いは加工するといつた意味の加工については、それは千分の三を適用することは、これは技術的に可能であり、いいじやなかろうか。併し、その前の段階である織物業者において委託加工といつたようなことになりますと、織物業者に千分の三のフェバーが行く代りに、加工のほうにまで分解するのは困難じやないか、従つて両者の関係は両者の話合いにおいて何か解決の道がないだろうか、かように考えております。
  48. 小林政夫

    小林政夫君 まだ、主税局長としては案を見ずに、類推的な答弁だということでありますから、少し細かく立入ることも無理かと思いますが、私は特に今お尋ねするゆえんは、案が余り固まらないうちに、一つ主税局長からも私の意見が尤もだと思えば取上げて案を作つてもらいたい、こういう趣旨でお尋ねかたがた意見を申上げるわけですが、細かく聞きますと、今のお話で大体わかつたような気がするのですが、これは輸出業者と、そうしてメーカーという場合においては、一%、三%という場合には、合せて四%、同じ製品について、勿論製造価格と輸出価格と比べるとできる。それを前提として行つた場合に、今の輸出業者から粗布の委託加工を受けて加工をして、その輸出業者に渡したという場合には、その加工業者というか、メーカーは加工料の三%になるのか、その粗布代を込めた製造業者販売価格としての三%になるのか、その点はどうなのでしようか。
  49. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その点は我々としては加工賃の三%であるべきだというふうに考えております。
  50. 小林政夫

    小林政夫君 そういうことで一%、三%の違いができて来るとも言えないですね。
  51. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今の例でちよつと申しますと、若し織物業者のかたが自分で加工に出されて、そうして輸出業者に売られるとすれば、粗布の値段に対して晒なり、染色の加工賃が入つたところのものは、輸出業者に対して供給される価格になる。その分に対して三%のフエーバーが与えられる、まあこういうことになろうかと思うのですが、そうすれば今度は粗布が輸出業者の手に渡るとすれば、製造業者のほうでは粗布の値段に対して三%のフエーバーが行く。それに人は違いますけれども、染色加工なら染色加工の別の人が、輸出業者の委託を受けて加工賃をもらうとすれば、その分について三%のフエーバーを与えるとすれば、前の製造業者自身が粗布に対して染色加工をし、でき上つたものについて輸出業者にこれを売つたという場合と両者の権衡は丁度いいのじやないだろうか、こういうふうに考えて行くのが筋じやないだろうかと我々は考えております。
  52. 小林政夫

    小林政夫君 よくその点は了承しました。そうして先ほどの造船、或いは自転車、いろいろ輸出メーカーの業態によつてそれぞれ下請を持つてつておるということは、日本の輸出産業の状態なんです。そのメーカーの協力工場であるいわゆる下請工場に対して、このフエーバーをどの程度与え得るかということは、相当調整というか技術上困難である。この点はよくわかるのですが、そこで全部の協力工場を対象とするということは、これはとてもできないのであります。そこで何とか一つ線を引いて、そこがつかみ得る状態にあるものならば、それにも恩典にあずからせたい、これが僕の気持なんです。と申すのは、この協力工場と親工場との関係において、親工場にはこういうフエーバーがあるのだから、少し加工料で色をつけるというような話合いはなかなかむずかしいので、色をつけたといつても、その実つけてないかも知れない。事実重要輸出品として、又規格が特にやかましくて、国営検査というものが行われておる業体が加工の段階においてもたくさんあるわけです。だから国営検査を受けるもの、国営検査の対象となるもので、その検査を受けたということになると、その協力の度合というものははつきりするわけです。そこで今の三%は揃わんとしても、その三%の按分を今の例で言うと、粗布、織布、染色、こういう総加工料の按分で分けるというような、それぞれの段階の粗布なら粗布の段階において国営検査を受ける。染色加工は染色加工の国営検査を受ける。その点でつかみ得るのじやないか。その点は如何ですか。
  53. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) まあ我々のほうで提案するわけでありませんものですから、余り立入つたことを申上げるのも如何かと思いますが、国営検査という段階は、それはやはりあることを知つておりますが、結局一つの段階を経る。国営検査の目的も結局余り粗悪品を輸出することによつて日本製品のメリットを落すことは適当でないといつた関係でなされておるわけでございまして、従つてそこの加工賃とか何とかというものが、それがどのくらい払われたとか、それも或いは妥当な金額であるとか何とかといつたような問題とは、全然国営検査自身は関係ないのでありますから、そういうことを考えて参りますと、どうも国営検査ということに一つの重点を置いて、これはそれがあるが故に云々という議論はなかなかうまく説明がつかんじやないだろうか。従いまして、そういうふうに分解して行きますと、結局私が言いましたような、極端な事例は、あらゆる附加価値といつたようなことまで判断せざるを得ないし、どこかそこに何とか一つの線が引けないかということに、小林委員も御苦労なさつて国営検査をお考えになつておるのじやないかと思いますが、どうも国営検査の性格というものから考えて参りますと、そこに線を引いた場合に、その線を引く議論を十分我々がこれはいいのだと言つて守り通すだけの自信は実は私にはありません。併しかようなわけで、いささかあのような修正案になりましたときに、下請加工といつたようなものは恩典はこうむらない。而もそれに何とかしなければならんじやないかという御議論は、私もわからんことはございませんが、どうも技術的に困難があるのじやないか。ただ少くとも、まあ輸出業者が依頼主になつた場合におきましては、これは一応まあ理窟も通りますし、区別もできる。この場合の委託加工については、一応認めていいのではないか。又そうしますれば、これはまあその先ほどうなるかわかりませんけれども、経済的に考えて参りますれば、輸出業者を相手にすれば百分の三の一定のフエーバーが入つて来る。製造業者が相手ならば、そこに何らかの色がつかない限りにおいては、輸出業者のほうの委託加工を喜ぶといつたような傾向はおのずから出て来るのだと思いますし、そこに又何か片方に一応のそういう途でも開けていれば、おのずから先ほどのお話のような点も何とか経済的の問題として少し変りた姿が出て来るのじやないだろうか。我々ももう少し簡易なやり方でそこが割切れ、同時に或る程度理論的に説明できるところがあればいいのじやないかと思いますけれども、どうも現在我々が研究しました間におきましては、そこの限界はちよつと引きにくいのじやないか。従つて結局押して参りますと、もう附加価値のような点で一番末梢まで行つてしまわなければ、切りがないというところまで、極端に考えるならばそこに行つてしまう。そこまで行かないまでも、非常に技術的な煩瑣な問題が出て来るのじやないか。それと同時に、やはりどうしても現実的の輸出になれば免除するのはおかしいわけでございますので、そうしますと、前の段階に行けば行くほどそこに時間のギヤツプもできますし、いろいろな問題も多かろうと思う。その辺でどういうことになりますか、なかなかむずかしい。結局はまあ先ほど私が申しましたような点に解決を求める以外には、ちよつと解く途がないのじやなかろうか。どうも輸出検査にそこの点を拠りどころを求めるというのは、輸出検査の目的から言いまして、ちよつと一つの目度にはなりますが、むずかしいじやないか、こう考えております。
  54. 小林政夫

    小林政夫君 私はまあこれは法律問題でなしに、やつぱり執行の問題だと思うのですよ。それでまあ特にあなたに工夫してもらいたいという意味でお尋ねするが、今の国営検査ということは一つの目度として私も考えたい。勿論国営検査をやつたからといつて、それでやつたものの加工料が幾らだというようなことは、国営検査においてやる当事者としては、大体のことはわかつても、そう正確にわからない。だから国営検査を受けておる加工業者というものは、加工業者としての相当一つの独立性が強くて、ただ単に造船或いは自転車とかいう、まあ何でもかんでもそのときそのときによつて仕事が変つて行くというようなものでなしに、かなり日本商品の品質向上という点について、国も相当監督をしなければならないというような意味で、国営検査が行われるわけですから、それを通過したものについては、それは国と輸出業者、輸出をやるメーカー及びその加工業者との間において、その按分の比例、これは団体協約でもいいのだけれども、三%をどういうふうに出そう、織布では三%については、何分だ、染色は何分だというようなこと、或いはそれは国税庁等においてはつきり基準を出してもらつてもいいし、そうしてはつきり輸出用のための染色加工をやつたものだ、織布をしたものだということが、何か客観的の或る証明というようなものから考えると、ただちよつと輸出したメーカーが、俺の所の輸出製品の中で、これこれの額のものはお前の所で加工をしてもらつたのだというような証明では、国税庁当局、徴税当局でもなかなか信用ができないじやないか。だからそれを客観的に国の機関として裏付けるものとして、国営検査をパスしたものというようなものを使えば、客観的な証憑性が一層増すのじやないか、こういう意味で、まあ国営検査を取り出したのです。何とかそこに工夫をしてもらう余地はないか、こういうわけです。
  55. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私はこの問題はやはり法律の上で、はつきり規定さるべきものだというふうに思つております。執行の問題としましては、例えばはつきり法律の上でしておきませんと、加工業者のほうは加工業者のほうでフェーバーをくれと言うこともならない。製造業者は製造業者で、加工賃までくるめたところにおていフエーバーを欲しい、こういうわけになつて来ると思います。従いまして片方が遠慮すれば片方にやつていいのだといつたようなことには、若しそうするなら、やはりそうするなりの法律がはつきり規定してありませんと、いたずらに紛糾を招く因になるのじやないか。そういう途が開けているということになつて、初めて執行の問題に移るわけですが、やはり法律的にはつきりしておくべき問題だと思います。だたそれじやそういう途を開いたらいいかということになると、これはどうも議員修正で出るものですから、どんな姿になるのか私たちもはつきり申上げられませんが、ただ非常にまあ困難があり、限界について疑問があり、紛糾の種がある。従いまして、我々が現在考えておりますところは、先ほども申上げましたように輸出業者、これも誤解がないようにはつきりしておきたいと思いますが、これは完全に普通にある貿易商社のように、買つて外へ輸出するといつたような、自分で作つたものを輸出するのでなくて、買つたものを輸出する商社が、その人が晒なり、染色なりに加工に出した場合、この場合には加工業者に千分の三のフエーバーを与えてよいのではないかと思います。併しその商社へ売るメーカーですね、そのメーカーが或いは委託に出した場合とか、或いはその商社自身が自分で作つて、自分で輸出する、この場合には、この人が染色加工に出す場合もありますが、この場合においてはメーカーが自分で作つたものについて輸出すれば千分の三、それからそれを貿易商社に売れば、売つた人が千分の三ということになつていますから、この人から委託を受けた加工業者にフエーバーを与えることはどうもむずかしい。それを更にフエーバーをいろいろ分配するということについては、考え方としてはわからんことはございませんが、技術的な非常な困難がありますし、それからどの範囲のものだけをそうするかということについての限界においても、なかなかむずかしい困難がありますので、そこにはやはりちよつとその点までは入つて行き得ないのではないかと、一応我々の考えていることだけを申上げておきます。
  56. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止
  57. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて。都合によりまして税法関係質疑は後廻わしにいたします。
  58. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これから証券投資信託法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を行います。
  59. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 証券投資信託法改正法律案、これは関連がありますのでお尋ねしますが、今度の証券取引法の百条の改正ですね。第百条、この前に申上げましたが、第百条の改正、この役員関係、これはよくわからないので御説明をお願いするわけですが、ほかの規約だとか、そういうものを見ると、選挙方法は直ぐ一遍にわかるのですが、理事長と理事、監事がある。これはもう当然のことですが、その次の第二項で、「理事及び監事は、第三項の規定により選任される理事を除き、定款の定めるところにより、会員が、これを選挙し」、こう書いてあるのですが、第三項の規定に定めるものは除くというのですが、第三項というのは一体どういうものを考えておられるのですか。実際問題として……。
  60. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) この理事は、私どもの考えといたしましては、会員外からも一般に公平な第三者と申しますか、公正な、株式に相当御経験もあり、公正な御意見をお持ちになつている方が、証券取引所においてそういう方も理事に加わつて頂くほうがいいじやないかというような場合に、現在のように会員だけしか理事にならないということでなしに、そういう方も理事になれる途を開いておいたほうがいいのじやないかという趣旨で入れたわけであります。
  61. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 一体法人の、これはまあ一つ法人になるわけですが、法人の理事が、そういうふうに会員外の者が理事になるというようなことが、むしろこれはいいことか悪いことかということになると、これはちよつと私は問題があると思うのですが、「定款に特別の定めのある場合」で、定款にそれを定めなかつた場合には、そうするとあなたのほうは承認しないということになるのですか。そこで抑えようとなさるのですか。
  62. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 定款にこの規定がなかつたら抑えるとかそういう気持は毛頭持つておりません。これはもつぱら取引所側の御意見によりまして、そういう定款を作りたいと言われる場合には承認いたしますし、そんなものは必要ないと言われますならば、それで勿論差支えないのであります。
  63. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 現在ではこの三項による理事というものは、定款がやはり各取引所とも今の日本の取引所というものは全部持つているのでが、三項に「定款の特別の定めがある」のは、それは果して取引所が自主的にやつたのか、あなたのほうの指導によつて、強制というか、これを入れるべきであるとしてやつたのかどうか。
  64. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 現在でも定款にこういう規定が入つております。そうして現在は会員の選挙によつております。会員外の方を選挙するということをいたしております。で、これについては大蔵省は特にこの人をということを一度も言つたことはございません。
  65. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 表面がそういうふうになつているが、実際にはこの人を入れよということに……。
  66. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) それは全然ございません。
  67. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に証券投資信託法に参りまして、この第二条の定義の三項の新設ですが、この定義の際に証券投資信託というものはどういうようなものであるかということは第一項に謳われているのでありまするけれども、非常にこの法律の定めるところの表現を見てみますると、誠にちよつとわかりにくい、二項、三項ははつきりわかるようにできているのでありますが、第一項が非常にわかりにくいような表現になつていると私は思うのでありますが、それはなぜかというと、第一条の「受益者の保護を図ることにより、一般投資者による証券投資を容易にすることを目的とする。」こういうふうに第一項の目的で一調つてつて、第二条になつて投資信託というのはこういうものだということを定義付けてあるわけでありますけれども、この定義の仕方は極めてわかりにくくできていると、こういうふうに私は思うのでありますが、これはもう少しわかりやすく表現する方法はないのですか、必要があるのじやないかと思うのですが、次長どうですか。
  68. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 大体法律的に正しくて、そうしてわかりやすい定義として考えましたらこのような文章になりましたので、余りくだいて書きましてその結果法律的に不正確になつても困りますし、そうかといつて、余り法律的にむずかしく書いてわかりにくくても困るということもありまして、いろいろ研究いたしました結果こういうことになつたのであります。
  69. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは第三条の「但し、信託の受益権を分割して不特定且つ多数の者に取得させることを目的としないものについては、この限りでない。」として、これは又逆のほうにきめてございますがね。その「不特定且つ多数の者に」、これの解釈になつて来ますと、これは法律上で不特定且つ多数の者と盛んにたくさん使われているのでありますが、この限度をあなたのほうでは法的解釈としてどのくらいを考えておられますか。これは十人でも不特定多数と言えるし、百人でも一万人でもそう言えるのであります。これはやはり限度を考えて置かなければいけないと思いますが、どうですか。
  70. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) この「不特定且つ多数」と申しますのは、この場合どの程度の多数かということになりますと、これは大体におきまして証券取引法におきましても、売出しとか募集の場合に不特定多数の者に対して募集なり売出しを行うということが入つておるのでございますが、それと同じように考えているのでありますが、具体的の場合になりますとどの程度の多数かということになりますと、証券取引法のほうの届出制度の運用に当りまして扱つております多数といいまする数字も、大体これは二十名前後ということを考えて運用されている現状でありまするので、そういつた程度と同じように考えていいのではないかと、かように考えているのであります。
  71. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは常に問題になる。法律用語として使われているときには一応いいのでありますが、破防法のときにも不特定多数のものを、というわけでしが、一体不特定多数というのはどこまでいいのだということにたつて来ると、非常に解釈上疑義が出たわけでありますが、これも同じようで、これは株主相互金融と同じような考えに行つてはいかんと思いますけれども、この三条の穴をついて、不特定多数というのは、この程度までだというので、信託財産を主として有価証券に対する投資として運用することを云云の投資契約を結ぶ、この条項をや必る、やつてはいけない、締結してはたらないとなつているのですけれども、これの溝をついてこれをやるような準者が生じて来るような虞れがあるのではないかということを私は考えて、今お聞きするわけですが……。
  72. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 恐らくそういう御心配はないのではないかと私どもは考えております。只今申しましたように、多数というのはその程度に考えておりますし、同時に不特定ということがごいまして、始めから契約といいますか、約束でそういうことをするのでなくて、こちらが募集なり売出しなりということで一般に公表いたしまして、それに不特定の人が申込んで来るという形態をとるのでありますから、まああまり少数のものはないと思いますし、おつしやるような御心配はないのではないかと私どもは考えております。
  73. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは次の第四条の第二項の資本の金額というのは現行法ですが、これを資本の額と改めたというのは何か理由があつてお改めになつたのですか、同じことじやないかと思いますが……。
  74. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 同じことでございます。改正いたしました商法の規定に資本の額という字が使つてございますので、それに合せたというのが改正の理由です。
  75. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは次の五条の七項を新たに設けられましたのでありますが、この新たに設けられたのは「元本の追加信託をすることができる証券投資信託の受益証券は、前項各号に掲げる事項の外、左に掲げる事項を記載したものでなければならない。」こいうふうになつておりますが、この新たに設けられたのは、こういう新たに投資信託の受益証券を一つ考えよう、こういう意味でやられたのですか。その点を私は技術的によくわからんのでお尋ねするのです。
  76. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) この規定…実は現在でも、いわゆるオープン型と言つておりますが、実際に大和でやつております。現行法でもできるのでもりますが、更にその今の投資信託は以ずしもオープン型をはつきり予想して作つておりませんでしたので、オープン型もできるのだということをはつきり法律にさせようというのが狙いでございます。
  77. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 現行法でそれができるというと、一つやはり現行法にそういう溝があつた、こういう意味ですか。そういう抜け道があつてできるなら、新たにこれを設ける必要はない。併しこのオープン型というのは最近始め出したのですな。
  78. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 今までもやつていましたが、そういう型の投資信託につきまして、はつきりこういう一号二号というような事項を書くことが現在の五条の規定ではつきりいたしておりませんので、従つてオープン型を認めて行くためには、やはりはつきりこれこれのことを規定を設けなければ困るいとうことを出したほうがよかろうというので、法律に書いたわけでございます。
  79. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それではこの一号の「追加信託をすることができる元本の限度額」、こういうのは受益証券にこのものを書かなければならない、こういう点が、受益証券にこれがあるということになると、どういう投資者保護の目的に合致することになるのですか。第一号と第二号を、これをどうしても書かなければならんというのは……。はつきり申しまして素人には余りこれはわからないことであつて、むしろ受益証券にそういうものを、これを必ず書けと言つてきめなければならんという理由はないと思うのに、如何にも法律の体裁を整えるためにお入れになつたように思うのでございますが……。
  80. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 受益証券はその投資信託の受益者が持つております権利の内容を、受益証券にはつきり表明するようにさせておりまして、受益者はその受益証券を持つて、自分の権利の、例えば元本の償還を受けるとか、或いは配当を受けるとか、或いはそれを他に譲渡するといつたような権利の行使をいたす性質のものでございまして、受益者が自分の持つている権利の内容を受益証券の面の上から、はつきり知れるようにしておこう、こういうことで受益証券の中にいろいろとその信託に関係いたしました重要事項を記載させるようにいたしておるわけでございます。そこで追加信託のでき方につきましても、自分の投資信託がどの程度あとで追加信託ができるのであるか、そうすると全部でどの程度の枠を持つてつて、全部がきまればたとえ五十億の投資信託にしても、或いは百億の投資信託、現在やつているのは百億でございますが、そういつた投資信託としての枠というものを知つておくようにするということが必要じやなかろうか、こういうことでできておるわけでございます。それから二号につきましても同様でございまして、その受益証券が発行されますことについてどれだけの追加信託がなされておつたか、その元本の数、受益証券の口数におきましてどれくらいになるかということを受益証券の面に調つて、その権利の内容をはつきりわかるようにしておきたいということでございます。
  81. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そのくらいにしておきます。  それでは、第五条の受益証券の中で今受益証券というのは大抵一口で五千円ということになつておりますね――の額面が、あれはどこできめてあるこですか。この欄にはないんですが、どこでも一口五千円ということになつておりますが、この一品五千円というような金額のきめ方というのは、大蔵省令できめるのであるか、それともこれも事態の推移によつて一万にもなる、二方にもなるというわけですか。
  82. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) それは約款できめるごとになつておりまして、受益証券の表面では信託元本の総額と受益証券の総品数、その総口数で元本を割りますと、大体そういう額が出て来るわけです。約款にきめてございます。
  83. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、現在の約款においてはその五千円に相当するものでなければあなたのほうで認めない、こういうことになつておるんですか。統制されておるようですが、統制されておる理由を……。
  84. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 別に統制はいたしておりません。先ほどからお話がありましたようなオープン型の受益証券などは千円でやつております。五千円でなければならんということはございません。一万円でもよろしいし、今申上げましたように千円でもよろしいということになつております。
  85. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、最初にはまあ登録した今の委託会社に対しましては、大体出発はこの申合せ等によつてつたものであつて法律的な根拠のあるものじやない、こういうふうに解釈してよろしうございますね。
  86. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) その通りでございます。
  87. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その次は第二章ですね、登録を免許に変えられたんですがね、これは盛んにどうもだんだんと登録は免許になり、今までは届出を承認というふうに逐次改められようという動きが、こうした証券の取引法にもそういう動きが現われて来ているわけですが、一貫して流れていると思うんですが、これは最初にアメリカの占領当時に成るべく免許であるとか或いは承認というようなものは、日本の古い官僚制度の残滓であるからやめてしまつたらよかろうというサジェスチヨンがあつてつたんじやないかと思うんであますがね。最近になると、これが又だんだん戻りつつあるように思うわけですが、あなたのほうの狙われるこの免許に変えられるという一番大きな理由を、今の登録制では将来こういう危険があるからやめることにしたという具体的な理由を一つ是非伺いたい。
  88. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 今までの規定登録制になつておりますが、これは極めて自由な、何と申しますか、自由競争の権利とでもいうのですか、そういう考えでやつていたと思うのでありますが、投資信託の場合の受益証券と申しますと、一般の株式投資の場合には、或る程度投資家が自分の知識を以て株式を選択すれば、それが投資信託の場合に委託者の総合的な知識判断によりまして、これを有利な取引に運用して、その結果だけを受益証券に返して行く、いわば多少投資或いは貯蓄の性質といたしましても、一般の株式投資の場合より、何という言葉で表現したらよろしいのか知りませんが、多少公共的なと申しますか、そういう面がございます。そこでこれをこの受益証券を買いますものの層は、大体において一般的な意味での投資者大衆ということになりますので、よほど委託者のほうがしつかりしたものでなければ、そこで非常にまずい結果が起るのじやないかということを心配いたしまして、ここに免許制をやろうということになつたわけでありまして、これは銀行その他が免許制になつておりますのと同じように、相当太い範囲に亘つて大衆にこの受益証券が流布されているという状況に鑑み、そのほうがいいのじやないかという考であります。然らば今までは具体的に登録制で工合が悪かつたところがあるかということになりますと、それは今まで別にございませんが、これを自由な競争にほつておくと、将来そういうことが生ずるかも知れない、生じたときに手当をするということでは遅過ぎますので、やはりこれは銀行に近い、或いは信託会社に近い性質のものとして、免許に持つてつたほうがいいのじやないかというのが改正の趣旨であります。
  89. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 で、この免許の基準のところへすぐ引つかかつて来とる思うのですがね、免許の申請を出して一号、二号についてあなたのほうで審査しなければならないということになつているのだが、この第七条の第一項の一号、二号というのは、これは先ず言葉で表わしたり文章で書いた場合には非常によくできているのです、「免許申請者の人的構成及び有価証券への投資の経験及び能力並びに証券市場の状況等に照らし、当該免許申請者が」云々と、こうなつて、誠にその通りでありまして異議の挾みようがないのでありますが、さてこの審査に当られるのは、どなたがお当りになるとしてもちよつとむずかしい問題だと思うのであります。で、最終的に申しまして、これは大蔵大臣が最後の決定をされることに、大蔵大臣だけが最後の決定をされることになるわけでありますが、大蔵大臣、それをこの一号に該当する、これは何か数字とかそういうもので現し得るものでございましたならば誠にやりいいのですが、一号、二号ともこれはなかなかどちらかと言いますと勘できめなければならん問題だと思います。いろいろの今まで議があつたつて損するところがあるので、特にこの委託会社になり得る、まあこれは証券会社でございますね、証券会社のごときは非常に浮沈の激しいものであると一応見なさなければならんと思います。で、この間までは非常によかつたけれども、一旦ずれ出して来るとなかなかうまくいかないものだと思うのでありますが、そういうのをこの第七条で如何にも大蔵大臣が責任を以て審査したということになると、これは大蔵大臣が投資者に対しまして非常に責任を負わなければならんと思うのでありますが、若しもこういうのでいいとして審査して、仮にまあ具体的な例はございませんけれども、仮に事故が起きたということになつたら一体、これで審査したのだけれども、あの審査は間違いだつたということで責任を負うことになるのですが、どうなんですか。この辺が非常にむずかしい点だと思うのですが……。
  90. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) なかなか現実に審査いたしますどきにはむずかしい問題が出て来るかと思います。併しさつき申上げましたように、だからといつてこれを放置して登録制のままにしておくということより、一応目を通して適格性を判断したほうがいいのではないか、ただそのあとでいろいろな証券市場の状況で損することがございますし、或いはその人が踏み誤つて損をしたということもあると思います。併しそれは止むを得ないことでございまして、今の登録制にしておくよりも、少くとも形式的にもこういうふうに免許の基準を、抽象的ではありますが作つて、その基準に照らして非常に工合の悪いものだけは振り落して行くということが必要ではないか、これによつて少くとも過去において非常に工合の悪いことをやつたような人は、ことに二号とも関係がございますが、落こつて行くというようなことで、一応目的を達するのではないかと考えます。
  91. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 免許をするということになつたら、免許をした人が一般大衆に対して或る程度の責任を持たなければならん、こういうふうに見るのが私は概念じやないかと思う。免許の、いわゆる昔から何々の免許皆伝になりましたら、その人はそれだけの腕前があるということを認めて免許皆伝と言える。だから戦前或いは戦争中でございますが、内務省免許ということで、産婆某と書いた内務省から免許をもらう、これは内務省で試験をやつて、これは産婆をやつても大丈夫だという免許をしたので、内務省は或る程度技術については責任を負う。これを免許制にしたならば或る程度、大蔵大臣が委託会社に対して免許をしたのでありますから、免許を与えるだけの責任を持たなければならんと思うのですが、その責任を持つということが、ちよつと余りないように思うのです、はつきり申しまして。これらについて、どういうふうに大蔵省はお考えになつておるかお尋ねしたいのですが、免許ということは、免許した者が委託会社の行為そのものについて、或る程度責任を持たなければならんと思うのですが、若しも事故が起きた場合、これにいろいろの報告を徴し、或いは立入り検査をすることができるとなつております。それらによつて事前に発見して、若しも事前に不測の事故でも起きたような場合には、例えば大蔵省はこれを指導をして、大衆には少くとも迷惑をかけさせないようないろいろ方法をお講じになるのか、そんなことは条項のなかにはないように思うのです。
  92. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) この免許を与えますに伴いまして、免許いたしました業者につきましては監督規定を相当強化と申しますか、相当監督ができるように、これに伴つて改正いたしまして、これに関して常時そういうことのないように注意をして行きたい、なるべく、信託会社とか銀行とまでは行きませんけれども、あれに近いようなところに持つて行きたいというふうなことを考えておるわけでありまして、二十三条におきまして、そういう役員その他に不当な行為があれば、大蔵省としては適当な処分を行うという規定もございます。要するにそれ以後の監督は十分に続けて行きたいと思つております。
  93. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると大蔵省の免許を持つた委託会社であつたならば、大衆としてはもうこれを信用して委してもいい、若しかの場合には大蔵省は或る程度これは責任を持つと解しても宜しいのでございますか。ところが責任を持つということが何もない、若しも事故があつたときに、そういうのは免許と責任ということは、そういうことは無理だと思いますけれども、一応信用して、大蔵省が免許したのだから大丈夫だという概念で、委託会社に接していいものかどうか、そこまであなたのほうで、責任といつたつて、あとの賠償責任まで持たれることは困難だと思いますが、今後の運用に対しまして、あなたのほうはそのまま強化して、監督権の発動をやつて行かれる決意で免許制に切換えたものかどうかということをお聞きしたいと思います。
  94. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) そこまではつきり考えているかということになりますと、実はこれは銀行なり信託なり、それらと同じ程度の免許に考えております。一旦免許したら最後まで大蔵省として責任を持つということでなくて、その間に免許に関連して、十分な監督検査をいたしまして、事前にそういうことが万々起らないようにやつて行きたいというふうに考えておるのであります。
  95. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それ以上お尋ねするのもどうかと思いますので、その次に第七条の二項の二号でございますが、「免許申請者がこの法律又は証券取引法規定により罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終つた後又は執行を受けることがないこととなつた日から五年を経過するまでの会社であるとき。」こうなつておりますが、この会社に対して罰金刑が科せられたという場合に、当該その会社が罰金を受けなければならんというような場合には、会社の取締役に相当する人が引責辞職いたしまして、新たに株主総会において取締役を選任して、新メンバーで発足するということになりましても、五年間は駄目だということになるわけですか。それらの点を、この会社の罰金という問題と、会社の運営に対する責任の所在という点を、明快にお答え願いたいと思います。
  96. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 第一点の、会社が罰金の刑に処せられて、そのときの責任者が引責辞職して、そうして新メンバーで再発足した場合にどうかという点につきましては、やはり第二項の第二号に該当いたしまして、そういう会社には認めない、それからなおその罰金を受けた当時の会社の役員等につきましては、次の第四号の「免許申請者がその取締役のうちにイからニまでの一に該当する者のある会社であるとき。」これと合せて両方解釈いたしております。
  97. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それで私申上げたいのは、会社が罰金の刑に処せられた、ところが取締役は全部すでに辞職になつて、新らしいメンバーで再発足した場合には、それはその会社は反省して、取締役も辞表を出されて、株主総会でも新らしいメンバーを出したにもかかわらず、五年を経過するまではいかんということになるわけですが、それは会社が罰金刑に処せられるような事犯を犯したということは、やはり会社の株主の責任じやないですね、法人自体の責任というよりも取締役会の業務運営の責任だと思うのです。それらの責任者は全部辞職してしまつたというような場合には、それでもうその会社に対しましては五年間が該当するということになるわけですか。そこらの点が追及できるのですか、法律的によく私もわからんのですが。
  98. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) お話のような場合におきまして、役員が全員辞職され入替りましたといたしましても、この規定によりまして、その会社自身が罰金の刑に処せられているわけでございますので、やはりその会社としては五年間この規定によつて委託会社になれない、こういう規定になつているわけでございます。それは役員といたしましては交代をいたしましたわけでございますけれども、会社としてその組織全体を見まして、一応そういう違反があつたということについて、責任を持つてもらうという意味におきまして、役員が入替りましても会社に対して責任を問うて、五年間いかんというふうにしているわけであります。
  99. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは僕は法人の刑罰、法人に対する刑罰の問題と、その法人に対する刑罰というものは一体誰に対する刑罰なのかということと、法人組織におけるところの取締役の責任と株主の責任権限というものとを、これは商法上からも勿論十分検討された上のこういう第二号の規定ですから、この点を更に、商法上や刑法上からそういうものが成り立つのかどうかを検討されておるのかどうか。私はどうも素人考えで、素人の法律論でありましてよくわかりませんのですけれどもちよつと読んで見ましてもおかしいように思うのですが……。
  100. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 只今のこの規定につきましては、証券取引法にも同様な規定があるのでございますが、この法人としての刑事責任を問いましたものにつきましては、その法人を、こういつた行政上にも重要な関係のある仕事をしますような地位につけるということは如何かというわけで、やはりこういう措置をとるようにいたしておるので、これは証券取引法の例と同じなのでございますが、勿論法人といたしまして処罰を受ける場合におきましては、法人の役員に対しまして、その処罰を受けるような行為をしたものにつきましては、別個に責任を問う規定はございます。でありますから、役員としての責任を負うということは別に、刑事上の責任を負うこともあるわけでございますが、この場合におきましては、その役員自身が交代いたしましても、法人としてそういう刑事責任を負うたようなものにつきましては、やはり不適当である、こういうふうに考えまして、こういう規定が置かれているのだと考えております。
  101. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まあ立案の、あなたの趣旨はわかりました。で更に重ねてお尋ねしたいのですが、まあこの刑罰というものは罰金、科料或いは禁錮、懲役と、こうなるのでありまして、法人に対する罰金ということは、これはもう株主が寄つて法人というものを、会社をこしらえておるので、大抵こういう場合にはそこの社長なり或いは取締役、業務執行者に対して罰金が科せられるのが常識だと思うのです。これは業務上その人が責任を十分に果さなかつた、よく昔言われた善良なる管理者の注意を怠つたというところから、証券取引法の違反になつて罰金を科せられると思うのですが、それがその法人に対して、何々証券株式会社に対して罰金を科するというような裁判が実際問題として起り得ることかどうか。
  102. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) お話のような場合に、やはりその行為をいたしましたものは法人でございますので、法人自身を処罰するという規定はいろいろの法律に相当ございまして、又事実そういつた処罰が行われておると思うのでございます。お話のように法人の役員自身が処罰され、同じ法人につきまして別に処罰されるということはございますのですけれども、やはり法人自身が刑事上の責任に問われるということはあるわけでございます。
  103. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それはあるとしたならば、併しこれはどうもちよつと理窟の上から考えるとこの第二号はおかしいと思うのだ、どうしたつて法人に対して罰金を科せられるということは、業務執行者が大体証券取引法違反、或いは投資信託法違反をやつたのであつて、別に株主やその他のものが違反をやつた、株主総会でそういうことをきめたというのなら別ですが、そうでない限りはこれは会社に対して罰金刑を科する、而もその会社が罰金刑を科せられた場合には、五年間その会社は駄目だということになつたら、こういうものはどちらかと申しますと信用によつて成り立つものでありまして、何か品物をこしらえて売るというような商売とは若干違います。これはもうわしらが申上げなくてもよく御存じの通りでありますが、それが五年間のそういう処分を受けました場合には、もうこれは致命傷であつて、恐らく再起することはできないことになるわけです。その会社、従つてその株主が全部その被害をこうむるということになることも考えなければならんと思うのですが、そこから考えてもこの二号は酷じやないか、こう考えるのですが、これは勿論四号に行きまして、取締役の条項へ行つて、これはもうわかります。これは個人、当然ですけれども、二号のほうはちよつと行き過ぎのような考えを持つのでありますが、あなたのほうはそういうふうに具体的にこういう例はめつたに起らないだろうというところから設けられたのだと思うけれども、ほかにもこういう例はございますか、何かほかの法律でも、どこから例を引かれたのか、新しい法律は……。
  104. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 証券取引法にはございますが、ほかの法律の例はちよつと今頭にございませんのでわかりませんのですが、ただ……。
  105. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 アメリカがこんなことを言い出したのじやないですか。
  106. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 大体証券会社のやつておりますことは、おつしやるように責任は業務執行の役員というものの良心にかかるということは御尤もでございますけれども、ただ株主といたしましてもそういう役員を選任したというようなところにも若干責任もあるかと思いますので、そういうことを一度やりました会社は、役員が変りましてもやはり何か将来そういうことをやりかねないような原因がほかにもあるかも知れないというようなこともございますので、まあ恐らくそういう法人が罰金刑を加えられるということは、数としては少いと思いますが、やはり一度罰金を受けましたものは除外したほうがいいんじやないか、同じような例は今探したましたが建設業法にございます。これは建設業者の登録制につきまして、こういう会社は登録しないという拒否原因の一つになつております。
  107. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは旧来の日本法律観念より、何ですかこれは占領中の一つアメリカの指導に基いたものですか、昔からやはりこういう思想で大蔵省のほうでは考えておられたですか。
  108. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) その当時のことは私どもも詳しくは存じませんが、今おつしやつたような事情はなかつたんじやないかと考えております。
  109. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ではまあ余りくどく言つても、実際問題としてなかなかこれは起らない問題だと思いますが、念のためにそういう議論が成り立つということを御検討願いたいと思いますが、あらゆる角度から……。  次に、同じく第四号の監査役、これは取締役は該当した場合はあるのですが、証券取引法、これを審議する際に、取締役或いはこれと同等以上の影響力を持ち云々というようなことはあつたわけですが、証券業者の中には、これには取締役だけだということになつているのですが、これは委託会社と証券業者との関係からして、これは取締役だけをこういうふうな条項に適格条項をきめられたのですか。ほかの重役その他についてはないのでございますか、その理由はこの前の証券取引法とはちよつと違うところがあるように思いますが、なぜそうなのか。
  110. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 証券取引法につきましては、取締役というものの中に、その他相談役等の名称を以ちまして、取締役に準ずるような地位にあるものを含めることにいたしたのでございます。そういつたこの取締役以外のかたにつきまして、そういう重い責任を負わせますということは、これはまあどちらかと言いますと、相当きついことだと思うのでございまするが、証券業を今までの監督をいたして参りましたことから見ますれば、証券業者のいろいろの過去におきまする事案の実例に鑑みまして、どうしてもそこまで参りませんと十分でないということで、それを特に挿入して頂くように提案をいたしたわけなんでございまするが、証券投資信託の委託会社につきましては、これは多少証券業者もこの性質が異つておる性質のものでございますので、それまでの必要があるかどうか、こういうことでこれを入れんようになつたのでございます。
  111. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私は証券業者の件について、証券取引法審議する場合にその点をお尋ねしました時には、そういうものはないと言つて、その時には如何にもあの取締役に相当する影響力を持つ云々を答えておられて、今度はそれは証券業者より以上にこれは範囲が広くなると思うが、証券委託会社というものは実際問題として証券業者ですが、証券業者より大きいもの、五千万以上の資本金で免許されたものですから証券業者の大どころであつて、成るほど今は山一だ、日興だとかは一流の証券会社でございまして隆々たる勢いの証券業者でございますが、そういつたつて山一なんか古い歴史を持つておりますけれども、社長がピストル自殺をしなきやならない時代もあつたのですが、今は如何にも山一さんは大したもんですが、太田収とかいうような、僕らの少年時代だつたが、山一でどんどんやつてしまつて、失敗してしまつて自殺した事件もあつたのです。だからそういうところから考えて、これはやはり証券業者より以上に広く範囲を一般と言いますか、投資者に対して影響を及ぼすわけです。従つてそれ以上に私は取締を厳重にしなきやならない、当然あなたがたのほうも免許した以上はそこまで行かなきやならない。この証券取引業者の免許制についてお尋ねしました時には、いや、これはもう登録でいいのだ、こういうお話で、これは文句は言う考えはないが、今度は委託会社になつたから、これは影響するところが多いと言つておきながら、取締役の条項になつて来ますと、ああいう影響力を持つ云々というのを除いて、これはちよつときつくなつておるように思うのです。これはどうも一貫しないように思うのですがね。
  112. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 委託会社の取締役につきまして、今申しましたような取締役に準ずる者を入れましたのは、先ほど申上げましたようなわけなんでございまするが、実際問題といたしまして現在委託会社をやつておりまするものは証券業者でございまして、証券業者が兼業いたしておるわけでございます。従いまして、証券業者といたしましての取締役でございまするから、当然証券取引法規定によりまして、それらの準ずる者につきまして責任を問いますような規定は当然証券業者に適用あるわけでございますから、委託会社と言いましても証券業者が本業でありまして、委託会社を兼業する関係になつておるものでありますから、現実の問題といたしましては証券取引法規定によりまして措置されると、こういうことになるわけでございます。委託会社だけを専業にいたしております会社は今ございませんわけであります。まあ併し、それが今後におきまして委託会社専業ということになりましたといたしましても、そういつたものにつきまして特に規定を入れる必要はないのじやないかと、こういうふうにまあ考えておるわけなんであります。
  113. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは小林さんちよつと理窟は、理論の飛躍じやないですか、そうすると破産復権だとか、イから全部要らんことになるのじやないか、第四号は要らんことになつてしまつて証券業者だけということになつたら、証券業者のほうで引つかかることになるので、これは要らんことになるのじやないですかね。
  114. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) お話のような点でありますが、実は証券業者の場合は登録制でございまして、従つて拒否原因というものをはつきり形式的にきめておかなくちやいかんということでございます。ところで投資信託法の場合は免許制でございますので、例えば今七条の一項で「免許申請者の人的構成及び有価証券への投資の経験及び能力」云々というような規定もございますし、勿論実質上の支配しておる者に不適当な者があるというふうな場合には、十分審査する必要がございます。なお、その後の監督につきましても相当監督規定がございますので、証券業者とは違つた立場から、そういう事実上の支配を及ぼしておつしやるようなことのないように、できるだけ別途の監督をしたいと思つております。
  115. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私まあ質問は意地悪という意味言つておるのじやなしに、現実に私は証券業者の不正行為のために、我々の曽つての職場におつた同僚がたくさんひどい目にあつておるのであつて、この際審議をする場合には十分あなたがたの見解をお聞きしておいて、そうして直す必要があるものなら直して行きたい、こういう考え方から御質問しておるのですから、まあ誤解のないようにお尋ねしたいのですが、そういう意味から参りますと、ちよつと今の次長の答弁は何だかどうも一貫しないように思うのでありますけれども、併しまあ現実の問題として今考えられることは、まあ直ちにそれが明日からどうこう、これを書いておいたつて、厳しくしておいて、それですつきりしておいたつて大したことはありません。一旦きめておきますると、一つは業者の人権上の問題と考えられます。一つは又投資者の保護という両方の角度から調整をとつて行かなけりやならんと思います。そこで今の証券業者であつたならば登録制であるということは、これは無免許になつてつて、一方においては監督も違つた角度からやる、こういうお話ですが、まあ監督につきまして証券業者の場合よりも数が少くなるのでございますからして、立入検査もできることになつております。こちらのほうは、ですからそういう方面でカバーをして行つて、将来において失敗を極力させないようにして頂くというのが、今の酒井さんの御答弁だと思いまするけれども、この第九条へ参りましてお尋ねしたいと思うのですが、第九条の二項の「当該変更を証する書面」というのがございますが、例えば「当該変更を証する書面」ということになりますると、これは取締役の更迭の場合、或いはいろいろの場合があるわけですが、変更の場合は、このときには「その他の大蔵省令で定める書類」と、こうなつておりますが、「当該変更を証する書面」というのは、誰かが証明をしなきやならんことになるわけでありますが、これはどういう証明をあなたのほうでお考えになつておられるか。登記所はこれを原則として考えておられるかどうか。
  116. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) さようでございまして、増資をいたしました場合とか、役員に変更のありました場合におきまして、登記簿の抄本を提出してやるというふうに考えておるわけであります。
  117. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この法律の条文だけで行きますと、誰か証明すればいいということになつておるが、これは一切は登記所を通じての登記簿の抄本、こういうふうな今後運用をおやりになるつもりございますか。
  118. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) さようでございます。
  119. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に第十二条の八号でございますが、「受託者及び委託者受ける信託報酬その他の手数料の計算方法並びにその支払の方法及び時期に関する事項」、こういう項目がございます。これは現在受託者と委託者の信託報酬の手数料の計算方法はどうなつておるか。それから支払の方法及び時期に関して、これらはすべてあなたのほうで準則というようなものを設けられて指導をしておられると思いますが、現行はどういうふうになつておりますか。これを一つ伺いたい。
  120. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 現在におきましては受託者と委託者の受けまする報酬、手数料でございますが、これは元本の千分の二十五、こういうことになつております。その千分の二十五を受託会社とそれから委託会社との間でどういうふうに分けるかということにつきましては、大体現在は受託会社が千分の十、それから委託会社のほうが千分の十五、こういうことを基準にいたしましてやつておるわけでございます。
  121. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 千分の二十五というのは何の千分の二十五ですか。
  122. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 当初の信託元本でございまして、各期末におきまして残存しておりまする信託元本、十億でございますならば十億の千分の二十五でございます。そのうち途中で解約等がありまして元本が減りますと、各決算期は六カ月毎に計算をすることになつておりますので、その決算の期末に残つておりますところの元本額でございます。十億申請がございましてその十億が続いておりますれば、その十億について千分の二十五、これがこの手数料でございます。
  123. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、これは証券の値上り値下げに関係なく、如何にその証券の値下りによつて投資者が損害を蒙つても、受託者と委託者は元本の千分の二十五というのはちやんと頭はとれる、こういう仕組になつておるのですか。
  124. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) さようでございます。
  125. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に「その他大蔵大臣が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて大蔵省令で定める事項」というのがあるわけでありますが、ここでいろいろの投資者保護のために項目を大蔵省令で定められることになつておりますが、現在どういうことを定められて投資者保護に当つておられるのですか。
  126. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 現在はこの省令におきまして定めておりまする事項はまだございませんが、これは立法途中におきまして一号から九号までに掲げました事項のほかに必要な事項があるという場合につきまして省令で定める、こういうふうになつてつたわけでありますが、まだこの規定によりまして省令を定めてございません。
  127. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 往々にしていつでもこれは役所の法律をきめる場合に、常識的に、省令として慣例的に何々その他必要なる事項というやつを必ず一番しまいに加えるようになつておるのでありますが、大体九号までの件がきまつておれば、大蔵省のほうで承認をする場合に、大抵まあこれ以上のことはいいと思うのだけれども、何か見落しているといかんからというて用意のためにしておる。法律改正しなくてもいいように用意のために一つつけてやろうという意図で常にこれをやるんです。常にお役所の仕事のこれはもう通例と考えて私は差支えないと思うのだが、これらは併しいいことじやないと思います。従つて、できる限りこういうのは今後はやめて行つて、これだけあつたらいいと、はつきりすべき問題だと思うのですが、小林さん今定めておるものがなければこれは削除したらどうですか。
  128. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) お話の点はよくわかるのであります、へ実は投資信託というのが日本に始まりましてからまだ時日も二年くらいしか経過しておりませんので、新らしい仕事でございますので、今後まだその成行きを十分に見て行く必要があると思いますので置いたので、この点はまだ投資信託についてこれで十分たというところまで年数がたつておりませんので、そういう意味で残してあるということで御了解願いたいと思います。
  129. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは先へ移ります。十五条の二項ですが、これも改める必要があるのじやないかと私は思うのですが、これはよくわかりませんので、小林さんにも聞きたいと思うのですが、信託契約を解約しようとしたけれども、公益又は投資者の保護のため適当でないと認めたら承認を拒否することがあるわけですね。解約しようとするときは何かどちらかというと、その委託者としては危険を逃れよう、こういう意図の下にやつて来るのじやないかと思うのでありますけれども、その状態になつた、そういう判断の下に解約しようとしたところが、大蔵省の見解は、それでは公益並びに投資者保護のために適当でないということによつて拒否した、それによつてつて投資者に損害を大きく与えるという結果になる虞れがございませんですか。私の質問の趣旨がわかりませんですか……。
  130. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) お話の通りに、委託会社のほうで解約をしたいという申請がありまする場合には、大体におきましてその投資信託を継続いたしますことが投資者に不利である、そこで解約することが投資者のためだということで申請をすると思うのでありまして、そういつた場合に、若し拒否するということになりますと、却つてその受益者に損失をかけますと申しますか、申訳ないということがあろうかと思うのでありますけれども、この規定が置かれましたのは、まあそういうふうによく注意いたしまして、信託会社のほうの判断におきまして申請があるという場合には勿論結構なんでありますけれども、まあそういう場合はないと思いますけれども、何と申しますか、委託会社がいろいろ運用上の、例えば極端な話で申しますと、自分の運用上の利益のために何か考えるといつた場合とか、或いはそういう極端な場合でなくても、何と申しますか、証券市場全般から見まして、どうもそういう措置が面白くないという場合が、極端な場合にしても場合によつてはあろうかと思うのでございます。そういつた場合につきましては、一応この承認ということを保留いたしまして、大蔵省として万全の措置を取りたいということでございまして、大体の場合におきましては、これは委託者側と意見が一致いたしまして、こういう拒否されるということは先ず普通の場合にはないのじやなかろうかと思うのでございます。
  131. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いや、今の普通の場合にはないとおつしやるのだが、今後の経済情勢の変化に応じて適切に臨機応変の手を打たなければならん、委託者としては……。ところが見解の相違で結果が出て見ない限りおいては、大蔵省のほうの主張が正しかつたか、委託会社の申請のほうが正しかつたかということは、結果においては判断できるとして、あなたが言われるように大蔵大臣が拒否することによつて、いい結果が出た場合はいいと思いますが、仮に拒否して悪い結果が出た場合には、これはやはり責任の所在というものがないのでありますから、この二項の規定はこの際改正されるとすれば、もう少しお考えになる必要があつたのじやないかと私は思うのですが、逆な場合にはこれはちよつと困るのじやないですか。
  132. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) お話のような、通常委託会社といたしまして注意を払つて管理をいたしておりまして、その際におきまして解約をしたほうがいいという判断に立ちます場合におきましては、或いはこれは承認せられていい。普通に承認されるということだろうかと思うのでございますが、この法律といたしましては委託会社の監督上、まあ解約と申しますと、何と申しましても信託契約で二年間なら二年間という約束を以て会社の資金を集めまして、そうして管理しておりましたものでありまするし、一方これは大量の証券というものの解約ということになりますると、処分するということでもございますので、投資者のために、或いは又証券市場の秩序にも役立つということの判断をよくいたしました上で措置を取つたほうが、慎重にやつたほうがいいんじやなかろうか、通常の場合におきますればこれは承認されるものでございます。何かそう特別に考慮しなければならん場合にこういう権限を保留してある、こういうふうに考えているのであります。
  133. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私申上げるのは、今後の国際情勢の変化、特にこの間のスターリンの死亡とか、朝鮮の動乱解決とかいうようなことが影響しまして、まあ、あの程度のものだつたら大したことはないと思いますが、昔は取引所を閉鎖しなければならないような事態が何回か起りましたね。そういうようなときにも早耳で委託会社が察知した。どうもこの情勢は危い。こう察知したときに大蔵省がそれをやられては混乱するというので抑えられて来たということが今まであつた。こういう場合には大蔵省としては大きな責任は負わなければならんと私は思います。具体的にそういうことはないのだからと言つても、今後どういう情勢が起るかわからない。今の国際情勢から考えて、日本の経済の俗に言われる底の浅さから考えまして、私はそういうこともやはり想定のうちに置いてこれらの取締りも或いは承認も考えなければならん。あとで結果になつたときに、あれはよかつた悪かつたという結果が出なければわからん場合に、その損害を大蔵省がこうむるというようなことをきめずにおいて業者を縛るということは如何かと私は考える。責任を負つてくれるなら私はこういうことをやられるのもいいと思う。結果について責任を負わずにおいて、このままに置いておくということはどうかと思いますが、一応それは……。
  134. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) お話のような情勢の場合には、信託財産の中身である株を早く、これはもう売り時だ、手放すというようなことは信託会社の運用でありまして、ここに言う解約とは違うのであります。それで先ほどから小林課長が縷々申上げましたように、普通の場合におきましては大蔵省がそういうことをやつたために、更に損失が大きくなるというような場合には、大蔵省としては非常に責任を負わなければなりません。そういうただ将来の見通しがどうだというような場合は、これは個々の判断でありますが、承認しない、拒否するというようなことはあり得ないと思います。むしろ何と申しますか委託会社が、こういうことは恐らくないのでありますが、委託会社が自分はここで責任を逃れてもうあとはどうなつても投資者のほうに行くからかまわん、この辺で自分は逃げておこうというようなことがある。或いはこれもあり得ないのでありますが、証券業を兼営いたしております場合に、証券業の利益とこちらの投資信託の利益が相反する、それで証券業の自分の業務が可愛いから、それで投資信託のほうはこの辺でやめてしまおうという、こういうような明らかに委託会社として適当でない行為をする。その場合にそれを暫く責任を持てということを言いたいのがこの規定の趣旨でございます。
  135. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の次長の答弁でも、どうも大蔵省はもう絶対いいのだという……、ところが業者のほうは余り信用ならんという思想が流れていると思うのです、答弁の中に……。これはやはりどうもまだ昔からの大蔵省の金融機関、或いは証券業に対する監督という観念が非常に強く動いておるように私は思うのですが、それは議論になりますから次に進みますが、あなたがたのお考えはそういうようなお考えのように思うのです。
  136. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 私どもそれほど自惚れてはおりませんので、私どもはむしろ素人でございまして、先きの見通しがどうというようなことには成るべく立入らんつもりでおります。やはりこれは証券会社、或いは委託会社のほうが専門家でありまして、そういうところまで私どもの見解が正しいのだというような口を入れるほど自惚れてはおらんつもりであります。ただこの規定にもございますように、そういう拒否する場合には飽くまで審問をしまして、お互いの話合いで、もう少しやつたほうがいいのじやないかというようなことで、審問いたしました結果を判断いたしまして、先ほど申上げましたように、明らかにこれはもう少し責任を持つてもらわないと困るという事実が出ました場合に、余り責任をとらないで逃げるようなことは抑えたいというつもりであります。
  137. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に十六条の第一項についてでございますが、ここに「金銭の貸付」と書いて括弧して、(コール・ローンを除く。)とございますが、日本法律に、一体このコールローンというのは日本語ですか、どうも外国語ですね。この日本法律にこのまま表現してあるというのは……、そうなつてきて、今後どしどしこういう例をとつて法律に盛んにいろいろ、日本語化されたものもございますけれどもちよつとおかしいように思うのですがね、余り見掛けませんので、その表掲をお変えになつたほうがむしろいいのじやないか、こういうふうに思うのですが……。
  138. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) コールローンというのは確かに語源は日本語ではございませんので、これはもう戦前長いこと日本の金融市場においてはコール・マネーということで表現されておりまして、例えば金利調整法の中にもコール・ローンという字がすでに使つてございます。これを日本語で表現しようといたしますると非常に長いことになります。而もぴつたりなかなか規定書ない。いろいろ私ども考えましたが、結局コールローンというのは一番わかり易いし、又前例もございますし、又金融市場においては十分日常使われております熟語になつておりますのでコール・ローンという字を入れたほうがいいじやないかということで、最後にこういう字に落着いたわけであります。
  139. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとこれは検討されたのですが、詳細検討された結果落着いたという御答弁ですから、実は了解しますが、今後も法律用語に用いる場合にこれは一つの慣例になると思うのですが、どしどしこれを法律の中  に、日本語になつたインフレだとかデフレというようなことももう常識化して来て、そういう常識化して来れば十分取入れていいということは、法制局のほうとも十分お打合せの結果入れられたと思うのですが、こういう立法措置というか技術をこれから取入れて行く、こういうのは法制局のほうの考え方ですか。
  140. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) そういうふうにどしどし取入れて行くというので  なくて、できるだけ日本の語源を持つた字を使いたいのでありますが、あらゆる角度からこれを検討しました結果、どうもコール・ローンというものを簡単に日本語で表現する適切な言葉がない、それで止むを得ずここに落着いたのでありまして、まあ金利調整法の前例もあり、この際はいたし方ないということで法制局のほうでもお認め願つたのであります。今後こういう字をどんどん最入れて行くというふうなほどの積極的な意味でここに挙げてあるのではございません。
  141. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に第十七条の行為でございますが、これはまあ有価証券市場を利用した場合にはこの限りでないけれども、一号と二号の行為を禁じておるわけでございます。これはこの十七条を裏から悪用しようと思えば、如何にもこの有価証券市場を通じたような、形だけを有価証券市場……、これは大証券会社ですから、先ほども小林さんがおつしやつたように、委託会社であると同時に委託会社というのは大きな証券業者です、だからしてやろうと思えばこの十七条の行為は実際問題として相当やり得ると思うのです。証券市場を通じた場合にはこの限りでないと言つて抑えてありますけれども、証券市場を通じたふうを装つて一号二号の行為をやろうと思つたら、私はやれると思うのです。
  142. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 証券市場を通じてでなければならんということにつきましては、これは各地の取引所におきまして、その取引所におきまして売買をいたしますわけでございますので、その取引所において売買したように装うと申しましても、取引所において売買いたしますのは全部記録が、いつ、誰を相手としてどういう株が幾らで売買されたかということは記録に残るわけでございまして、調べまするとすぐわかるようなふうになつてございますので、そういつたことは行われないような仕組になつておるわけでございます。
  143. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 大蔵大臣が見えましたので、この際証券取引法の一部を改正する法律案及び証券投資信託法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵大臣に対し質疑を願います。
  144. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今大蔵大臣に対する質問に入る前に、私も今まで続けて来ましたが、まだ少し事務的にお尋ねしなければならん点が残つておりますので、これをあとでお許し願うことにいたしまして……。
  145. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それはあとにして、この際両案に関する大蔵大臣に対する質疑を願います。
  146. 小林政夫

    小林政夫君 先ず証券取引法の一部を改正する法律案について大臣に質問をしますが、今回の改正によつて全体の調子が非常に大蔵省の直接権力と言いますか、証券業界に対する監督を強化したと言えばいいのですか、支配権を強化しておる。例えばこれは前にもあつたことですが、四十九条による信用供与の限度等についても、大蔵省が一方的にきめようと思えば専断的にきめる。或いは取引所の創設を許可制にする。そのすべての責任を大蔵省が引受けて、責任の上から言えばそういうことになるのです。監督を受けるほうから言えば大蔵省の要するに支配権というか、これが非常に強く出て来ているわけですが、これは或る意味においては自由党の自由経済を尊重するという政策から行くならば、少し逆行のような傾向が現われておると思いますが、その点は大臣として如何にお考えになりますか。
  147. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今小林さん仰せなつた点を極く常識的に申上げますと、証券業は相当監督を厳重にしませんと、弊害その他もございまするし、特に御承知のごとく最近、最近とも申されませんが、証券の不振な場合にいろいろと業界のうちにも或いは倒産その他のものが出て来るというようなことで、最初からまあ資格その他についても、又平素の営業についても、又許可を要するものについても、或いは認可をするものについても、やはり厳重にしておくことが、多数の顧客を保護するゆえんだという、まあそういう考え方で、今小林さんがおつしやつたように大体自由党の建前はものを自由にするという建前でありますが、保護するといつた考え方で、これは仰せなつたように――いわば監督の面が強化されておる次第でございます。
  148. 小林政夫

    小林政夫君 私はどうもこの改正案は、もともとこの法律案いうものはあちらからの引写しであつて、よく我我の消化した法律案ではない。従つて、書き方等においても将来これを書き替えなければならん点が多々あると思います。又今回の改正の面も恐らく自由党として相当練られた結果の改正ではなかろう。むしろ事務当局の案をそのまま採用されておるような節が相当あるわけです。勿論証券業というものが相当大衆に影響を及ぼすということにおいて、かなめの点は又監督をしなけばならん、抑えるところは抑えなければならんが、或る程度業界の自主性というものを尊重して、真に信用するに足る証券業者を育成して行く、或いは証券市場を育成して行くというので、それにはちよつと二、三の不始末が起つたからと言つて直ちに全部を取上げるというような方法でなしに、助成的な見地から自主的にやつて行けるような育成措置を講ずるのが建前じやないか、そういう点については大蔵大臣として、一応自由党の大蔵大臣であるという点においては、もう少し練つて行かれる必要があるのではないか。
  149. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) まあ丁度法令も御覧下さつたように、担保附社債券とか、或いは法令による優先弁済権ですか、こういつたような債券の募集をやることについてよほど緩和しておることは御承知通りでありますし、又証券投資信託についても、今までの届出を免除するような緩和のところもございまするし、又株券の募集或いは売出等についても緩和しておるところもございますので、大体から言いまして、私どもが弊害があると認めておるようなところは少し強めましたけれども、そういつた面については緩和しておるのでございます。ただ小林さん御指摘なつたように、この前の占領行政のものと余り変らない、大体そのままじやないかということは仰せ通りで、余り一遍に変えることはどうか、こういう点から改正は最小限度にとどめたというような点で、今のような御不満の点はあろうかと存じます。
  150. 小林政夫

    小林政夫君 それでは抽象的でなく具体的に申しますと、先ほど引用した四十九条の信用供与、今度は証拠金の預りパーセンテージというものは、一応大蔵省がこの法文によれば専断的にやることになつておる、こういうようなものは取引所の受託契約準則等によつてきめさしてそうしてどうしても公益上差支えがあるという場合においては、大蔵大臣の勧奨によつてそれを運行することができる、こういうようにやらないと、証券業界、特に業界中でも一番変動の激しいと思われるこの証券業界を、大蔵省の公務員の判断のみによつてやり得るかということは、なかなか我々としてはそう思えない。
  151. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 小林さん御指摘なつた点はそうですが、一方から言うと、百分の四十五というやつを今度百分の三十にした、百分の三十を下らない範囲で何と言いますか、伸縮自在にきめて行くほうがいいのじやないかという御意見もあるかと思いますが、これは実は法律は実情に応じて御相談申上げたい、こういう趣意から出ておるのでございます。
  152. 小林政夫

    小林政夫君 その点は理財局長の答弁によると、法文の上では大蔵大臣が専断的にきめ得ることになつておるけれども、実際は取引所及び証券金融会社の意見を十分尊重してやる、こういうことで、必ずしも大蔵省専断でやらない。取引所及び証券金融会社の意見が一致しないという場合に大蔵大臣がきめ得るのだという答弁がありましたが、事実運用の面において、そういうふうに可及的に業界の自主性を尊重するという運用で行かれるならば先ず先ず問題はないと思いますが、そういうことであつてもこの法文の書き方としては、やはりそういう気持が法文の上に現われるような行き方が望ましいのではないか。
  153. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) この法文の書き方について、実はこのほうがいいと必ずしも固執するわけではございませんけれども、大体の考え方につきましてはこういうふうに幅を広くしておいて、あとはいわゆる民主的にそういうかたがたと相談した上で参りたい、そうして実情に合うように持つて参りたいというのが主眼でございますから、この点については運用上は誤まりないように持つて行きたいと思つております。
  154. 小林政夫

    小林政夫君 大蔵大臣はどうも余りこの立案にはそう積極的に……、真に大蔵大臣の頭から出ていないと思われる節があるのですけれども、よく頭において、次回のときにはみずから監督して一つこの法案を練り直してもらいたい。  それから、取引所の今まで登録で足りておつたものを免許制にする、こういうことについて何も、登録要件については相当厳重になつておるわけであつて、これを更に一歩進んで免許制に持つて行く必要は必ずしもないのじやないか。登録資格要件というものを相当厳重にしたわけでありますから、その資格に合わないものは登録を受理しなければいい、これを一歩進んで免許というようなところまで持つて行く必要があるかどうか。
  155. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これも小林さんに私率直に申上げておきますが、実は私はこの法案は一応読みました、読みましたが、私の頭から出たものじやございませんが、証券審議会等に諮つて、それから業者等にも諮つて、実情に即するようにきめたということでございますので、実は私もよく株のことは知りません、そういうことであればよかろう、読んでみたら大体よくできておりましたから……。責任は全部私が負います。これは大蔵大臣の頭から出たものじやないと言えばその通りであります。これは率直に申上げたほうがいいと思いますが、だから責任は全部負います。今お話の点はこれは免許制の問題ですが、これはどうも免許にしたほうが、こういう一つの証券業者がだんだん公共的性質を帯びて来るのだから、そのほうが実際に合うのじやないですか、私はそう信じますがね。
  156. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それに関連して、大蔵大臣今責任をとりますと言つたことは、一体どういうことを意味しておるのですか。
  157. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) この法案についての提出者としての責任を負う、こういう意味です。
  158. 小林政夫

    小林政夫君 そうするとこの法律の運用によつて、いろいろの不測の事態が起きた場合にもあなた責任をとる、こういうのですか。
  159. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それはちよつとどうも将来のことで、そういうことが取り得るか取り得んか、そこはちよつと私全然わかりませんが、私はこの法案の提出者としての……小林さんが、あなたの自分の頭からできたのじやなかろうと言われたから、それはその通りであつて、これは証券審議会その他に諮つてできたものである。併し、それじや法案に対して責任をとらんかと言われちや、これはお言葉に違うことになるからと思つたから、法案の提出者として責任はとりますと、こう申上げておる次第です。先々いろいろ起つて来ることについて責任をとるかどうか、こういう問題になりますと、これは又別の問題になつて参ります。
  160. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まあ僕はあとでお聞きするからいいけれども、その責任ということをまあ軽く言う際に……まあお互いにその責任というのは、そのときに責任をとりますと言つたつて、提出者としての責任は勿論これはとるのが当り前のことであつて、今更申上げるまでもない。それだから私はあなたに言つたので、やはり将来の運用についてこれは責任をとつて行かなければ困る。この点をはつきりしてもらいたい。
  161. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) いや、まあそうすると、率直な話もできんことになつて来て、四角張つた話を申上げなけれもならんことになる。それは将来の運用というものは、私が絶えず運用するかどうかわからんし、又この法文について情勢が変つてくれば法文を修正しなければならんことになる。いろいろな事態が発生して来るであろうと思います。従いまして今の、本日これを責任を取り得るからと言つて、明後日責任がとれるかどうか、それはわかりません。世界には不測の事態も起つて来ますから……。
  162. 小林政夫

    小林政夫君 いや、私は大蔵大臣の率直な答弁で大いに満足をいたしますが、それでまあそういうことであれば、まあ今回はこれで仕方がないとしても、一つ是非次回には問題点を、そういう意味において私は大蔵大臣に勉強してもらうつもりで今問題点を指摘しておるわけなんです。是非みずからの頭で一つ練られた案に作り直して頂きたい。で、今の免許の問題は、免許したほうがいいのじやないかということは、必ずしもそうでないので、やはりその証券業界というものの自主性を尊重するという意味から行くならば、取引所を作りたいというものがたくさん地方に多く出て来る。而もその取引所を作るといつても、業界がただやたらに作るということじやなしに、業界人がそれを作るというからには、相当経済的に考えてその必要があつて作るということになるわでありますから、その登録要件は相当厳重にしなければならんが、その適法なものはこれは受理して然るべきである。一々許可とか何とかいうことでないほうがいいのじやないか。むしろ許可なんかをやると、却つてそういう要件は備えておらないけれども、その都市の何といいますか名誉心、証券取引所のある都会だというような、都会としての格式をつけるために、そう業界は必要ともしないにかかわらず、一部の政治的な勢力によつて大蔵大臣が強要することによつて取引所を作らせる、逆に天下り的な取引所ができる恐れもあるわけであります。だから自然発生的な取引所の発生が望ましいのであつて、そういうような点から行くと、免許制ということは必ずしも望ましくない。むしろ登録制で行つたほうがいいのじやないかという見解もあるわけでありますから、これはまあ直ちに大蔵大臣は答弁できないと思うので、私の意見だけを申上げておきます。  それから次は投資信託でありますが、このコール・ローンを認めるということは、これはもう重大な改正なんですよ。非常に日本のコール・ローン市場における影響が大きいのであります。だから大蔵大臣の品から一体このコール・ローンというものは、委託会社が投資信託として集めた金のどの程度までコール・ローンに認めるのか、無制限に認めるのか、一定のリミットを置いてやるということなのか。
  163. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) この十六条のコール・ローンの意味は、これは証券投資信託を受けた場合に、その金をそのまま寝させておくというのもどうかと思われるので、そこでコー林さん御承知だが、いわば一時的なマネーの時貸しですね、普通のコール・ローンなら一週間のもの、それからいわゆる無条件コール・ローンなら中品日置くといつた短期なものですから、こういうものは認めておくことが必要じやあるまいか、こういう点でこれだけを除いて金銭の貸付は差支えないということにやつてあるのですけれども、そういつた極くまあ普通のコール・ローンで一週間、無条件コールなら早くて三日になるのだ、まあこういう程度で認めて行つたらどうかという  のでやつたのであります。
  164. 小林政夫

    小林政夫君 そういう趣旨は事務当局の説明でよくわかつておりますが、問題は今のように証券業界が不振でありますと、証券投資信託という目的で金は集めたけれども、必らずしも証券投資が有利でないというような場合には、今五百億から金が集つておるものが、相当これはコール・ローンという各において、勿論コール・ローンばかりやつていたらその投資信託は受益者に約束した配当ができないわけですから、コール・ローンだけでやつて行くとは思いませんけれども、そのコールローンということでいわゆる金銭の貸付信託というものが許されるならば、その運用の仕方によつては相当日本のコール・ローン市場の擾乱になる。そこでこの法律を施行するに当つて、恐らくこれは銀行局と理財局とは相当問題があつたと思うし、又金融機関のほうの側においてもそういう点についてはかなり、どのくらいまで一体認めるんだというような、何といいますか危惧の念を持つておると思いますから、この際大蔵大臣からはつきり、こういうふうに認めても資金量としては大体この程度のものしか出さないということを、はつきり速記に残しておいて頂きたい。局長は一応言明しております。
  165. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) まあこれは金銭貸付、これはいけないことは申すまでもありませんので、これは禁じてありますが、今のコール・ローンというのはそういう一時的なものであるし、又小林さんがおつしやつたように、これはコール・ローンにしておいたんでは全然採算になりません。従つて、そういう一時的の資金の運用を極めて例外的に認めるということは、これは私どもはしていいんじやないか、こういうふうにだけ考えておるわけですが、なお併し、例えばそれにしても金額は或る程度抑える必要があれば、これは運用上この限度を越してしてはならないというようなことを話合つてもよかろうかと考えております。
  166. 小林政夫

    小林政夫君 その運用上の限度というものを、この法律が施行されると同時に理財局長はきめる、こう言つておるんです。それで前回の答弁においては約一割の範囲にとどめる、一割以上越えて運用さすことはない、こう答弁をいたしております。大蔵大臣もそれを裏書きされますか、どうか。
  167. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それも多分銀行局長と理財局長と話合つた結果そういうところできつと話合いが付いたんだろうと思います。それでありますれば私はその通りに了承いたします。
  168. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと心許ないんですがね、私が教えて上げてあなたがその通り言われると、(笑声)どうも甚だ心許ないんですが、次長どうですか、ちやんとあなた知つておるん、だろう、大蔵大臣に話してはつきりと自発的に答弁をしてもらわないと困る。
  169. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 大体銀行関係のかたぞれとも話合いをいたしまして、大体一割以内に抑える、抑えると申しますか、話合いで運用上そうして頂くということにしたいと思つております。
  170. 小林政夫

    小林政夫君 あなたがそう思つているなら大蔵大臣にそれを教えて、大蔵大臣の口からその通りの答弁をしてもらわんと、これはどうも速記に残す価値がない。
  171. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今答弁の通りでございます。
  172. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それに関連して、僕は別な角度からお尋ねするんだが、別にここに一割と書いてないのだし、今ここで答弁されても一割を別にそう守らなければならないというふうに固く解釈されなくてもいいんじやないかと思うんですが、その点どうでしようか。答弁して、この運用は今後は必らず一割だと、そういうものじやなくて、それで一割にちやんと責任を持つということは無理じやないでしようか、実際上は。
  173. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは今差当りはそういうふうに言つてございますけれども、やはり情勢が変つて参れば法の運用についても多少変つて来るということは、これは当然だと思います。
  174. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 全部出してしまうというとになれば、ここはれば、これは問題は別ですけれども、今ここで一割と限定して、銀行や信託会社からはいろいろ意見があるだろう。一旦この法律を通す以上、これはここで一割でなければどう、だということを国会で答弁した通りには僕は行かんと思います。
  175. 小林政夫

    小林政夫君 そうなるとちよつとあやしくなつて来るので、それはそういうことも、菊川氏の意見のような人もあるかも知んが、大体そもそも信託約款で一体どれとどれとの銘柄の株を持つと、こういうことにしておつて、株を持つことが建前であつて、金が遊んでいるというようなことは全く異例のことなんです。それをまあ買い替え等の間において、寝ている金を運用するということなんだけれども、常識的にはすでにだんだん株界が説になつて、株を持つよりは、損をするよりは、そのコール・ローンで多少でも稼いだほうがいい、こう、うようなことになつて来ると、相当これは本来の証券投資という線を逸脱して、或る一定の期間は、この信託約款に定められた受託契約期間全部をコール・ローンに使えというわけではないけれども、相当期間は殆んど株を持つていないというような事態が起り得るわけで、約款において、そういつたコール・ローンに運用し得る範囲というようなものは、約款に或る程度定めるべきである。
  176. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつと僕は意見が違うな。
  177. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) まあコールローンというものは、御承知のように市場においてその需要が、需給の状態が非常に違います。従いまして、そういう何といいますか、長い目で、相当長い期間ずつとコール・ローンを続けて行くというような状態は、これはあり得べからざることだと、私考えております。それから今申上げるのは、私は大体一割とか何とかいうところにこれはよりどころは作つておかないと、差当りのところは、情勢が非常に変つて来れば別でありますけれども、現在のところはそれが必要ではないかと考えております。更に今の約款にそういうことは謳つておいたらどうかということになりますと、約款は長い間のものでありますから、そういうことを謳うのは考えものじやないか、又私はそんなことは避けるべきであると、かように考えております。
  178. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それに関連してですが、私もあとでお尋ねしようと思つたんだが、実は今の資金状況から考えまして、場合によつては今買出動するよりも暫く待つたほうがいいということを考えた場合に、これをコール・ローンに放出するということを、必ずしもそう堅く考えなくてもいいのじやないか、そういうような考、それはなぜかというと、投資者保護ということは一番大事だと思うので、それを無理に一割ということに抑えてしまうということになると、時機を見る場合にできるだけ有利に廻すということは当然の措置と思うので、その意味において、その期間、出している期間というようなものをよく考えなければならん、併しコール・ローンということはそう長いはずのものじやないのでありますから、この意味から言つてそれは出て来るのが必ずしも僕は今の金融状態から、これは金が余つているという時期ならこれは別であります、そういう意味から言つて、これをここで一割にしますということを、今答弁で余り堅く言つておく必要はないのじやないか、私はそう思うのだがね、これはどうですか。
  179. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) まあ私はそこは大よそ一割ということで、一割を限度とするというふうに解してはおりませんが、やはり今差当りのところは大よそのなにがいるのじやないか、又実際問題として考えれば、コール・ローンにこれは限りませず、例えば預金を普通にすることもあるし、それから証券に投資する、株式ばかりじやなくして、証券を持つことも、持つことができるのですから、そう御心配になるようにコール・ローンがずつと続いて行くのだから、又余計行くのだからというような御心配になるのもどうかと思うのです。コール・ローンというのは余り利廻りのいいものじやありません、実例を見ればよくわかりますが、コール・ローンは最も利廻りの悪いものの一つです。止むを得ないから一時……。
  180. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 闇のものがありはしませんか。
  181. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 闇はよく知りませんがね。
  182. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今出てるんですよ。表面の利子だけじやないのですよ。だからこれは有利に廻るのです。僕はそう見ているんだがね。
  183. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) いや、その今の菊川さんのお話になつた闇でやられるのだということになるとよくわかりませんが、そう短期の数日のものに果してつくかどうか、又ついた場合に果してそういう短期のものよりか普通の割興を持つとか、証券を持つほうが有利じやないかと思いますが、その点はどうも私直接実は衝に当つておらんから、私の考えだけを申しておくわけです。
  184. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私のこれも勘です。私らもそういうことには縁の薄い方で、ございまして、だが今の金融情勢から考えて或る程度のまとまつたものであるならば、私は闇がかなりついているのじやないか、こういうふうに考えるのですがね。それはまああなたの方は玄人ですから、そうでもないと言う。ここで闇がついておるという答弁はできまいと思うけれども、闇と言つては語弊があるかも知れんけれども、大分有利な条件に廻せるのじやないかと思うのですがね。  この証券取引法の、私はちよつと直観的に考えたのに、やはり信用供与の率の五五%を七〇%にする、これが大臣陳情を受けて改正し、これで行こうというふうに呑んだ一番つぼだというふうに睨んだのですが、大臣どうですか。この証券取引法の一部改正法律案の一番つぼというのはやはり信用供与、四十九条ですか、これが一番つぼになつているのじやないですか。
  185. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これも私率直に申上げますが、実はこの問題については証券業者に会つたこともございません。一度も証券業者から話を聞いたこともございません。ただ私はこれについては証券審議会等でおきめになつたということであつたので、それで又私どもの方の大蔵当局のほうでいろいろ作りまして、これがよいというので、ずつと読んで見て成るほどこれがよかろうというふうに実は感じた次第で、証券業者に会つたり、又証券業者の意向は何ら私直接質したことはございません。
  186. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、これはあなた直接お会いにならないでも、これは与党である自由党の政調会と証券業者との間に申合せと言いますか、話合ができてこれができておる。この三〇%の証拠金を出せばいいということに大体できて、この法案の一番骨子をなしておる、こういうふうに私には見えるのですが、大臣がまあ御存じないという場合に、この大事な信用供与につきまして、なぜ私が申上げるかというと、去年の暮から春にかけまして、朝鮮休戦会談のああいう進み方をするまでは、一般識者はややもすると株式取引所の株の動きは健全なる投資というよりも投機に走り過ぎておる、こういう批判が大分起きたわけであります。で、その当時には証券取引所は日曜日でない日に休業をやつたり、或いは又平日に前場だけ、前場と言いますか、前場だけをやつて後場をやらなかつたりして、それでも熱狂した大衆はどんどん株式投資市場に、株式市場に集中した、こういう結果を来たして、而もその逆が今度出て参りまして非常に零細な投資者が今打撃を被つておると見るわけです。その当時の株の動きから見まして、常軌を逸した面が私は多々あつたと思うのであります。率直に言つて、例えば具体的に言いますと、川崎航空とかいうような会社ですがね、これなんか非常に戦争に痛めつけられて残骸が少し残つているだけであつて、今自動車のボデーを喧しておるだけだ。而も川崎航空というのは、戦争中に東条さんの弟がやつてつたというが、注文だけはたくさんもらつたが殆んど飛ばない飛行機で、基地に着いたのは半分ぐらいしか着かなかつた、途中で墜落して……。そんなに技術がよくないわけです。而も今時代のズレというものはジェット戦闘機、一方はジェット機でなければならんという時代に、とてもジェット機が作れるようなところまでは行かん、その会社の払込金が五十円のものが二千円にも孝円にもどんどん毎日騰つていくということは、これはちよつと常軌を逸していると思うのです。幾ら自由党の再軍備が進んで参られましても、余りにもこれは逸脱しておると思うのです。が、そういうのは方々に現われて来ておつた。これは投資によりも投機に走つておる。その一番原因が何といつても私はやはり信用取引が問題だと思うのでありますが、それでこの信用取引をだんだんと大幅に認めるということに、信用取引と言いますか、信用供与が大きくなされればなされるだけその傾向に走る余地があると思います。ところが証券業者からするならば何でもお客さんが来て大体手数料さえ稼げればいい。証券業には、どんどんと大衆の金が集つて来て、証券市場に集つて来さえすれば繁昌するのだからいい、だから最送の証券市場がさびれて来たから、これが挽回策として信用供与の率が引上げられたということになりましたならば、再び投機に走り過ぎるという傾向になるのじやないかということを一番恐れるわけでありますが、これらの点について大臣の御答弁をお願いしたいと思います。今後どういうふうにこれを指導して行くつもりか、従つて三〇%を下らないというのだから幾らでも大蔵大臣によつてこれはきめられることになつておるわけで、恐らくそうなつておりましても、これはもう業者のほうは承知しないので、三〇%になつたなら、三〇%限度ぎりぎりということになるのは、これはわかつておる。実際問題としてこれを引締めるだけのあなた確信を持つて、場合によつては引締めるだけの確信をお持ちになつて、この証券市場の指導監督と言うか、に当られる決意があるかどうか、これをお伺いしたい。
  187. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は、証券業というものがいろいろな使命を果しておりますが、お話になつたような証源業そのものは余り投機的な分子は最近においては働いておるとは思いません。たしか菊川さんが言われたのは私もあれは聞いておるのは、俗に言うヘタ株というので、上場株ではないのじやないですか、今の川崎についてはそうじやないかと思います。これはあとで調べて見て、そういうようなことを、或いはもつと高くなつたような株があつた、上場外のヘタ株と称するものにそういうものがあつたように覚えております。それは私が耳にしておることだけを申上げておきます。そういうふうなことがあつたと思つておりますが、これはただ今のこの問題については、これは非常に今度の改正の主な点じやないかとおつしやいますが、私は実はそういうふうにとらなかつたのですが、それでただこれによつていろいろその時の事情で、よく業者その他とも相談して持つてつているので、今菊川君が言われたのは三十ときめればどうしたつてそこになりますよというのは、これは大蔵当局がしつかりして行けば、実情に応じてやり得ると考えます。それはやはり私ども大蔵省のほうできちんとした一つの一定の方針を持つてこれに臨んで行きさえすれば、そういうことはないと思つております。なお私自身は証券業者というものがこういう今日の非常に重大な役割をしておる点に鑑みまして、これは非常に厳にむしろ監督する、さつき言われたのは余り監督し過ぎるじやないかと言つて少し実は叱られたくらいでありまして、その点は私は最初申した通りやはり厳密に監督する必要があろうとこういうふうに考えておるのです。或いはこの点は菊川さんのほうではもうそう監督せんでもいいという御意向であればちよつと意見が違つて来るのでありますが、私はそう思つております。それでなくても多少投機的な分子をどうしてもこれは含みがちなんです。従つてよほど公衆と言いますか、大衆のために厳重な監督をやりませんといかん。それから許可とか認可が多いじやないかということをさつき言われましたが、まあ私どもは濫立に陥つてしまつて、そうしてその結果が又弊害を起すようなことがあつてもいかん。これは私の極めて常識論を申上げておるのです。こういう点で免許制度をとりましたのもそんな関係からでありますが、併し一方或る資格を備えたものについては免許しなければならないというようなことになつて、これは私どもの自由裁量を許されないようなことと相成つておりますので、この辺で実は私はいいのではないかと、これは極めて率直に申してこう考えておる次第であります。
  188. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 投資者を保護するという見地から監督するということは必要だと思うのです。私はそういう角度からお尋ねしておるのであつて、株屋さんを大いに繁昌させるための監督というのではなしに、投資者を保護するという見地から私は監督するということは必要だと思う。ところが条文ではなかなかこれでは監督ができることになつておるのだけれども、現在殆んど監督はできていない。例えばあのへタ株事件のごときも、あれはこの現行法でも取締れることになつておると言つて置きながら、実際にはこのヘタ株事件が起きてしまつてから騒ぎ出すだけで、何らできていない。法律の上では如何にも取締ができておつても、法律を国民が読んだだけでは、大蔵大臣が監督してくれていろいろ指導してくれておるから、どの店に行つても会員であつたなら大丈夫だという考えで行くのだが、実際被害を蒙つた場合においては殆んど保護をされていないのが実情です。これらの点について大蔵大臣が今監督するといつたが、今後今より以上にこの法律の精神を活かしてやつて行くつもりか、或いはそのためには、証券取引所の中に監督官が行つておりますが、各取引所に一人ずつ駐在しておるはずです。それらのメンバーだけではあれだけの日々の厖大な取引を一々そうなかなかできないと私は思のでありますが、これも強化しておやりになるつもりがあるのですか、この点をお伺いしたい。
  189. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 監督者の問題は今の程度で若し足りませんでしたらやりますが、一つは会社にもう少し資本金を充実さして、もつと大きな会社にしたらいいじやないか。そうして証券業者の資本の額を引上げるというようなことも要望されておりますけれども、今までやつておりますけれども、急速にお前たちは相成らんというわけにも行きかねるので、漸次そういう方針の下に進んでいることは、だんだん資本額を上げているので御承知下さつておることと思うのであります。それでも確かにこれだけの一定の資本でなければいかんということにしまして、漸くこの頃それに達したようなのが多いのではないかと思うぐらいでまだ相当ある。そういう部分はございます。今後も投資の意味を重んずる意味で、資本額が少いことは直ちに信用がないということは申されませんが、資本の充実ということが必要でございますから、順次そういうふうに持つて行きたいと思つております。併し又会社の内容についていいますると、これはやはり日本の会計士というものがまだ少し不十分ではないか。やはりイギリスあたりのチヤータード・アカウンタントのような権威のある会計の監査をやつてくれることになれば、これはもう少し私どもが株式会社としての証券業者の実態がわかつて、投資者にも安心も与えることになるのではないかと思いますが、この点についてはまだ甚だ残念だと私は思つております。
  190. 小林政夫

    小林政夫君 今私が監督が厳重に過ぎるのではないかといつた趣旨は、投資者保護という点においては菊川委員と変らざるように保護をしなければならんという気持は持つております。その監督の方法なんですよ。一体監督するといいながら実際においてはそう監督能力がないのに、ただ条文だけで監督できるようなことをやつて実が伴わない。それよりは本来大蔵大臣の所属しておられる自由党というものは自由意思を尊重し、実質的に企業を伸ばして行くということなんだから、そういうような方法で、下手に大蔵省の官吏が、公務員のかたが突くようなことでなしに、そこの闊達なる企業の創意工夫を活かしつつ所期の目的を達しよう、こういう方法によるというのも、今のお話のような公認会計士制度の充実というような点で行くならば、それは相当実質的な成果が上るわけです。だからそういう点について重点を置くべきであつて、貸借対照表を幾ら厳重に規格をきめてやつたところで、簿外債務があるということもあるのですから、これはなかなか大蔵省の役人の手で一々個々の証券業者の内容まで精細に調べ上げるということは、事実問題としてできないのです。そういうようなできもしないことを幾ら重箱の隅を楊枝で突つくような、何でもちよつと不始末があると大蔵省で権限を以て監督しさえすれば、それで投資者保護になるのだというような自己満足だけで終らずに、それは実を挙げるようにやるかという趣旨なのです。
  191. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) あれは小林さんは知つているでしようが、検査官がありまして、営業停止を食つたのは検査の結果わかつたのでありまして、相当検査のことは実を挙げていると思いますが、今後とも検査のことは励行さしたいと思つております。ただ、これも私の率直な言葉で、少し言葉が過ぎるかも知れませんが、役所のやることは大体書類審査で、書類の上で完備していると、実質に触れてはやはり検査官の検査活動に待つ以外にありません。そこで書類が整備しておつても、一応併しよく見るとどこにかぼろが出ているものです。書類の上で見ましても悪いものは……、そうするとこれはちよつと調べてみようということから検査します。ですから検査制度の励行と、今ちよつとお話の中にも、書類ばかり無暗に取つておるという話がありましたが、難をいろいろ取つておくと、彼此突き合せているうちに、何と言いますか矛盾といいますか、ちよつと欠点が出て来るのです。実質悪いものは……、そこでいろいろ取調べる端緒にもなりますので、従つて、もう少し書類について簡素化をやつたらいいかも知れませんが、まあ当業者の自覚ということと、やはり大蔵省のほうがもう少し検査を励行する、こういうことでお話の投資者保護をやつて行かなければならないと考えております。
  192. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に大証券会社と中小証券との関係は、私たちは外から見ておりますと、殆んど大証券が投資信託の委託会社を兼業いたしまして、それがやはり資力を持ちますとどうしても資金を自己の責任において運用する、資金をたくさん集める者になりますからして、勢い証券取引所の大勢をこれらが支配する、こういう結果になりまして、今でも大証券が出動するといつたら、提灯がついたとかいつて新聞にもよくいわれておりますけれども、その結果中小証券業者は勢い大証券に押されがちになりまして、ただ単なる手数料だけでは立つて行かないということになりますると、どうしても思惑というほうへ走りがちなのです。この証券取引法を見ても、思惑をやる余地が全然なくなつております。ところが中小証券が殆んど自己の思惑ということによらなければ、その店の経営が成り立つて行かないというのが実情ではないかと私は思うのであります。従つて、そうするとこの証券取引法の第一条の精神とおのずから違つたようなことが出て来る。そうすると一方中小証券会社のほうではそういう走り方をするということになりますと、勢い大衆側でもそれではというので大きいほうへ皆行つてしまうということになると、ますます会員の開きというものが大きくなつて来るのじやないか、かように考えます。従つてここは或る程度会員が協同して、連帯して責任を負う。小林君が言われたところの実質的な調整といいますか、調整ということを相当指導しなければならんと私は思うのでありますが、これらの点について大臣はどうお考えになつておるか、ちよつとお伺いしたいと思います。これは大きな問題だと思う。
  193. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今仰せなつたのは大きな問題だと私も思います。ただいわゆる大証券会社が現在四大証券会社と申しますか、四大証券会社と言つておりますが、大証券会社が投資信託として非常に大きな勢力を占めておることは御指摘通りであります。併し一方考えて見ると、投資信託その他売買業務で随分新らしい投資者層を開拓したということも、これは御承知通りでありますし、又いろいろそこらにあつた遊体資金をああいう市場へ持つて来たと、こういうことについても私は相当功労があり、又何と言つても証券市場全体をこれで活機ならしめたことは争いがたいと思います。その意味から言うと、やはり私はよく経済は有機体の一つのものだというが、大証券会社が潤う時には中小の証券会社もそれで潤つておる面も相当あると私は思います。併しながら、若し大証券会社が自分の力を過信して、或いは今何と言いますか自分がいわば投資信託その他大衆の資金で、自分の力ができておらんのにそいつを不当に行使するということをやれば、あそこの取引市場においてもだんだんと評判を悪くするのでありましようし、又大衆もそういう自分の立場のみを考えておる証券業者には結局私はついて行かないのじやないか。まあこういうふうに考えます。やはりまああそこの人が、一体になつてつて行くという考え方を持つていない証券業者があれば、それは今は受けても長続きしないじやないか、こういう感じを持つが、併し現在のところ大証券会社が大きな力を持つてつていることは事実であります。又中小の人はそうしたやはり一つの自分のつかんでおる階層はあるが、それは大証券会社の活動に比べると遥かに及はないものがあります。その点について、もう少し私どもも資本金を殖やすことによつて、これらの人々が自分の力を養う、そして顧客に対する信用をつけて投資者に対する安心感を与えることで、活溌に業務をやつてもらうことになつたらということを考えておるのでありますが、さつき菊川さんの質問にもお答えしたと思うのだが、現在あるやつを資本金を殖やせと、それもなかなか実行困難なんで、漸次そういう方面に進むという方針で行くというふうに考えております。
  194. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の大証券会社が自己の力を過信してという点についてでありますが、過般大臣も御承知だと思いますが、一流会社の不渡手形の問題が出ましたね。そうすると一流証券が、この不渡手形が出たというその会社の株を売叩いたという事件があるが、これらにつきましても大証券会社としては、この証券市場において、取るべき態度ではないかと私は思うのですが、こういう場合にはやはり監督と言つてもなかなか出動する余地も……、大臣からとやかく言う余地がないわけでありますが、将来ああいうような行為もあなたのほうでは何らかの方法で一つ考えて処置して行く余地があるかないか、考えを持つているかどうか。もう一つこれと同じ、ちよつとケースは変りまして、藤綱一派というようなものが一時やかましく騒がれたが、あれは健全なる投資者保護によつて設けられたところの証券取引法を利用しまして、会社の乗つとり、而も経営能力があれば別ですけれども、これらの出動の余地を、今の目的とはおよそ変つた行き方も許せる。この間取引所の人たちとも、業者とも話合つたのだが、これは今はお客さんでへ何ら方法がないということであるが、これらは投資者保護ということを看板を掲げた証券取引法の悪用だと言われても過言でないと思いますが、これらの取締監督についても、これは放任しておくか、それとも今度の改正のときにはそういう点も考慮される余地があつたのではないか、それは困難であつてできないのか。研究を命ぜられたことがあるのかどうか。
  195. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それは実は菊川君のお言葉ですが、命じたことはありません。ありませんが、今最初にお話になつた分について見ると、どうも個々の取引について大蔵省は権限を持つということはどうかと考えております。  それからあとの場合について申しますと、それらのことは独占禁止法か何かで多少……、どれだけ以上株は持てないというようになつておりますし、又競争会社のようなものであれば株を持てぬことになつております。又空売買、空売りですなあ、そういうことは禁止しておりますけれども、併し買うというやつを差しとめるということは今の証券取引法の上ではございません。
  196. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは架空の名義で買つています。実際自分の名義にするのはないのじやありませんか。
  197. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) そうすると、法人の場合ははつきりしているが個人の場合はないとすれば、お話のようなことは一般のことになりましよう。併しこれは相当弊害のあることですから、今までは考えませんでしたが、一遍考えてみましよう。
  198. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 時間がありませんから急ぎますが、証券取引所はこの間休業をいたしましたですなあ、これは休業というか、例の取引高が殖えまして休業した。それからは非常にどうも面白くないことにずつとなつてしまつた。あれは別に休業したためとは思いませんが、将来もああいつた少し取引高が殖えるという実情については、休業、それから午前中の営業というような点については、これはどうか、今後もああいうことが予想されないこともないと思うのですが、これらも認めて行く、許して行くつもりであるか。これらについて警告を発して、その後再びこういう今のような取引所の状態でありますならばいいのですけれども、いつ又殖えて来んとも限りませんが、そういう時の処置はもう講じておられるかどうか、それを伺いたいと思います。
  199. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 市場の取引が大量であつたために、いわゆる帳簿整理のために、或いは午前休んだ、午後休んだというようなことがあることは聞いておりますが、これは非常にいわゆる取引所の機能を発揮するのに遺憾の点があつたことと存じます。併しながらこれは菊川さんも御承知だが、最近非常に機械化をやりまして、今後はあの機械化がもう進んで来ておりますから、相当大量にやつても取引所が休むその他のことがなくて大量に消化ができますから、今後はさようなことは私はないと考えております。
  200. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、せめてこの前のような取引数量の時ぐらいには、ああいう事態を起させないという準備はできたと、こういうことですか。
  201. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今機械化されておりますから、今後はああいう数量を……機械化されつつありますから、今後はそういう事態は起らずに必らず済む。かように信じております。
  202. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に証券審議会の構成方法についてでありますが、最近いろいろ審議会をたくさん設けられておるのですが、ほかの審議会につきましては……。法律上から申しましてもこの証券審議会というのはよその審議会と比べまして、大蔵大臣が簡単に任命できるようなやりかたになつておる。それで投資者保護を表面にかざした証券取引法の中におきまして、一般に今設けられておるたくさんの審議会であるとか協議会という委員の任命方式と対照いたしまして、これは大蔵大臣の単独任命のような簡単な任命方法になつておる。従つて力の強い若し大蔵大臣が出れば、自分に都合のいいのを集められるような余地が非常に多いのです。ところがそこできまつたものが、今度は一つ法律改正についても発言力を持つということになりますと、一般のこの種の審議会と比べまして、これは形式に流れる虞れがある。元来大蔵省の下にあるところの審議会は、酒の審議会にいたしましても何の審議会にいたしましても簡単に動かされる。大蔵大臣の権限において……。大蔵大臣の言われるままに動かせるような審議会の組織になつておる。ところがよその審議会の一部はそう簡単に動かないというふうな委員の任命になつておる。だからして委員がそれだけ自主性をたくさん持ち得る余地があるわけだ。大蔵省の下にある審議会はどうも大蔵官僚のお役人が昔から権限を強く持つために、審議会設置に当つても大蔵大臣の権限内におき過ぎているというような嫌いがあるのですが、これらについて再検討の余地があると思うが、大臣どう思いますか。
  203. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは大蔵省の附属機関として証券取引審議会を置く、こういうことが法文にもありまして、実は附属機関になつておりますけれども、今仰せなつたようにどうも今証券業者が五人入つておりまして、それで、それじや少しいろいろな利害を代表するという点からどうかというふうにも思われたので、今度私十三人に殖やします。それではどういうものを任命するかというと、今度は証券取引所、証券会社、証券投資信託の委託会社、それから中央銀行、市中銀行、事業会社、法人の投資者、一般の投資者、学識経験者等、こういうので今度組織するつもりであります。併しまあ大蔵大臣が任命するのだから都合のいいものを任命するということ、これは併し余り都合のいいものばかり任命しておつたら大蔵大臣評判が悪くなります。だから証券取引審議会としてふさわしい人を任命すると信じております。
  204. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 評判が悪くなると言つたつて、あなたは別として、この前の大臣なんか随分評判が悪くなつているのだから、そんなことはかまうような自由党じやないので、そういうことは抜きにいたしまして、審議会として或る程度の権限を持たそうとするならば、大低審議会は国会の同意を得て内閣が任命する。こういうような形式になつております。ところが大蔵省の設ける審議会は全部大蔵大臣の任命、大蔵省の附属機関になつておるのだが、これを権威を高めるためほうそれの意見を正しく聞いて行くということになりましたならば、そこまで審議会の権威を高めるということも考慮されなければならんと思うのですが、大蔵省の各種の審議会を御覧なさい。どれを見ても大蔵大臣の任命になつておる。だから申上げておくのだが、よその審議会、文化財保護委員会、建設に関する審議会なりいろいろ審議会がございますが、何回となくいつも同意を求められておるのですが、大蔵省に設置せられている審議会は、名目的には審議会ということになつておるけれども、大蔵大臣の個人的な任命が多い。その点から考えて、証券引取審議会のごときは、この際改正するのだつたら一応一つ大蔵省の古い殻を破るべきじやないか。私はこう考えるがどうですか。
  205. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 相当な権限を持つ審議会であれば、その委員の任命には国会の同意を必要とすることにすべきでしようが、現在の制度における証券取引審議会では、その性格から考えて、その委員の任命につき国会の同意を要しないで、大臣が単独で任命することでよいと思いますが、これをなお今後不都合が生じて来るようなことがございますれば、これは一つ考えましよう。
  206. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 不都合が生じて来るのじやない。不都合の生じてから考えたのじや遅いので、そうしないために審議会、そういうふうに審議会というのはそれだけ権威を持たしているのです。この点ただ簡単にあしらつて帰ろうと思つておられるけれども、若僧何を言つているというような気持でおられるけれども、そうは行かん。これはよそとの振合い、戦後たくさん設けられた審議会を見たならば、これは単なる御用機関になつてしまうんですよ。一般の審議会のなにを見て御覧なさい。こんなケースの審議会、大蔵省はみんなこれが多い。
  207. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 行政委員会その他の相当な権限を持つ委員会審議会の委員の任命には、国会の同意を要することとすべきですが、証券取引審議会等では、その性格、権限等から考えてその必要はないと思いますが、それはよく調べてみます。
  208. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に金融機関が日証金を通じて、日証金にはどうしても日銀の許可によつて金が廻る、こういう結果になりますが、この前の、この前と言つては語弊がありますが、去年の暮から正月にかけてたびたび日銀総裁が株式市場の動きに対しまして声明というか談話を発表になりましたね、これは日銀総裁としてああいう行為は、日銀総裁が声明を発表したというとすぐ翌日株式市場に影響をする。故意に個人的に一万田氏が自分の取引を仮に含んでおつて……一万田氏にあるかないか、そういうことをやつているかどうかは別といたしまして、自分が取引をやつてつて、あくる目に談話を発表するということになつたら、自分の利益を収め得る余地が生じることになりますね。大蔵大臣はああいう事態に対しまして、どうお考えになりますか。日銀総裁として談話を発表したというようなことは、証券取引所の理事連中を、理事長を喚んだというようなこと、而も熱狂している際に、それを意識して一万田氏がやつているかどうかは別として、彼が若し悪い考えを持つならば、自分の株を売つておいて、あくる日に喚ぶ、あくる日にそれが又新聞に載る、こういう操作の余地があると思うのですね。又事実生じると思う。一万田氏がやつているかどうか知りませんが、やつておられるかも知れませんけれども、これらについては大蔵大臣としては重大な責任があると思うのですが、あなたはどうお考えですか。今後もそういうことをやらせるのですか……
  209. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は日銀総裁がさようなことを、株式なんかをやつているということも存じませんし、又お話のうちにもやつているかどうか知らんとおつしやつているが、私の知つている限りでは、彼はかようなことをやる人ではありません。彼は極めて信頼すべき立派な人であります。併し財界安定のために何か聞かれたときに、話をしているときは財界を安定させる上において、或いはそういうことを言つたのではないかと思いますが、財界安定の埓を外れて、一部の業者に或いは利益を与えるというようなことを言うとすれば、これは日銀総裁として、中央銀行の当局者としてふさわしからん人でありますから考えます。
  210. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると将来さような行為があつた場合においては、大蔵大臣としては実情を調査し、場合によつては警告をするだけの決意を持つている、こういうことですか。あなたはそんなばかなことだというようなふうにおつしやつているが、我々から見るといろいろな情報が入つていて敬意を表していないのですね、実際どうも怪しからん考えを持つている。率直に言つて……。これは見方の違いですからなんですが、僕らのところに入つて来る情報は、必ずしも今あなたの言われるような面ばかりでなく、悪い方面の情報が入つているのです。証拠は握つておりませんから、今抽象的に申上げるのでありまして、その人がああいう場面にあつたときに、ああいつた行為に出られるということは行き過ぎではなかろうか。場合によつては疑われても仕方がないと思うわけであります。
  211. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は財界安定のために、中央銀行の当事者として必要な談話を発表することは差支ないと思いますが、併し今お話のごとく、それが行き過ぎとなり或いは一部の業者を潤わすというようなことになば、これに対する監督官庁でありますから、十分な監督をいたします。
  212. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 従いまして、ああいうときに仮に、それは今の日銀の持つている力からするならば、過大な力を持ち過ぎているのではないかと思うのでありますが、持つている力からすれば、証券取引所に対して面会を申込む恰好になるか、或いは喚び出す恰好になるか、新聞やラジオに現われたところでは招致したということになつておる。取引所の理事長はそういうふうに表現されている。そうして今度発表の形式も警告を与えたというふうに出ておりますわけです。そうすると、この微妙な時に、そういう行為に出るということは、あらかじめ証券取引所を監督せられている大蔵大臣と十分に打合せの上で、而も今監督の衝に当つておられる大蔵省と十分打合せの上でやつて行くのがいいのではございませんか。政治的な責任を負わない、そういう面においては何ら権限のない人がこういう行為に出るのは越権行為であると思う。これは実際問題としては支配されることが多いのです。
  213. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私はその事実を存じません。又存じませんから一遍取調らべてみまするが、私になりましてからは一度もそういうことについては話を受けたこともないし、又そういう行為に出られたこともありませんけれども、古いことでそういうことがあつても、又今後そういうことがあつてはいけませんから、これは十分注意をいたします。これはどうも或いは私の想像を申上げて菊川さんに相済まんが、従来新聞記者が、あのときは誰かがごういつたとか、そういうことが新聞種になつておることがあるので、果して日銀総裁が警告をしておるかどうかということは存じませんが、若しもそういうことでありとするならば、これはどうも甚だ行き過ぎであると考えます。中央銀行の当局者として、財界の安定のために自分の意見を述べられたことは、これはいいことなんですが、又必要な措置をとられることもいいと思いますけれども、併し今お述べになつたような、或いは取引所の者を招致して警告するというようなことが若しあつたとするならば、これはどうも大いに行き過ぎであろうと思いますので、今後ともさようなことのないように十分監督いたします。
  214. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その点について、私この間も証券取引所の理事者に、大蔵委員会として調査に参りました、調査といいますか、意見を聞きかたがた調査に行つた大蔵委員会として。委員長も行かれたのですが、その際に聞いたときには、理事者が、一万田のことでありますから、又あとの崇りがうるさいと考えていらつしやるか、私らの考えではこまかしだと思つたけれども、大した話もなくて帰つてきたのだということを言つておりましたけれども、あの当時の新聞の切り抜きも家に持つておりますけれども、大衆に与える影響というものは、そんな生やさしいものじやない、理事長の答弁は、余りこれに対する答弁は何もなかつたというふうにして、笑い話のように済んでしまつたから済ませておいた。それ以上私らは検察官でもないから調べる必要もないけれども、これはそういう外部の監督が、金融業者は金融業者として何も金を貸さんでおけばいい、廻さんでおけばいい、危険があつたら廻さんでおけばいい、期限がきたら返してもらえばいい、それだけの操作はしてやつてもいいと思います。それ以上の、理事長に対して出頭を求めるということは、深刻な場面になつておると思いますので、私は行き過ぎであろうと思います。そうやられるということは、あらゆる角度から見て来ると、この法律の条文を見て、そういうことが含まれていないと考えられても仕方がない、これについては相当粛正をして頂かなければならん、新らしい本当の民主化された証券取引所に粛正して行くように、今後は重大なる決意をお持ちにならなければならんと思うのでありますが、大蔵大臣、今後の証券取引所の育成につきましては、飽くまで投資者の保護、それから日本の経済の発展に寄与するという角度から、その法律の運営に当られることを特に希望いたしまして私の質問を打切ります。次のかたもおりますから。
  215. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 一つ大臣に伺いたいのですが、取引所と投資信託のことについて承わりたいのですが、実は両方に非常に関連があるのですが、証券取引業者、戦前と戦後と事情は違います。そこで、アメリカが来て、業者というものは飽くまでも窓口でやれというようなことをやかましく言つた。昔の観念による清算取引でなくなつておる、現物取引である、例えば窓口的な、ブロカー的な、仲買人的な性格というものになつたと思うのですが、そういう方針で今までずつと主務官庁として育成しておいでになつておると思いますので、それと投資信託というものがだんだんこういうふうになつて来ますと、投資信託そのものが戦争前に発生したときの事情と、それから戦後の事情と、又最近の事情というようなものの変遷というものと関連して睨み合して見ますと、そうでなしに自己を張る、会社の自己を張るといつたような傾向になつてきておると思うのですが、そこに矛盾があるように思うのです。やはり取引所の監督というものは、飽くまで今の金融会社的な監督をずつとやつて行かれるお考えであるかどうか、ちよつと技術的な問題になりましたから……。
  216. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 投資信託について岡崎さんからいろいろ御意見がありましたが、ちよつと私実は投資信託のことを、率直に申上げますが、あまり変遷について知りません。事務当局からお答えさせます。から。
  217. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 事務当局から承わるのであれば、大体お答えになることもわかつておりますから、むしろそれよりも大臣に承わりたいことは、そういうふうな経過を辿つて来た投資信託というものが今度出ますと、動産の問題とかいろいろな問題にまで、こういうふうな最初の投資信託の考え方と変つて来ているという過程から、これはいわゆる証券業者が、投資信託の受託者となるということについては、これは余ほど考えなければならん余地があるのじやないか、むしろ信託業者のようなものがやつて、そうしてこれの売買、それから株の出し入れの走り使いをするというような意味に、証券業者がなつて行くのが本筋じやないかと思うのでありますが、そういう点から考えまして投資信託というものの、そういう将来の育成について、大臣としては飽くまで今のような形をとつておいでになるのか、或いは今の信託会社が本当の業務をしないで、金銭信託のようなもので満足するような恰好で、信託会社という意味を逸脱しているというようなことについて、局長あたりは別な考え方で育成するとおつしやいますけれども、効果が上つていない。そういつたようなものと睨み合せて、投資信託というものの将来についての問題について、育成監督して行くというようなことについての、御方針がありましたら承わりたいと思います。
  218. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 投資信託についての岡崎さんの御意見は私も御尤もと思います。たまたま出たうちに、コール・ローンなどが出て来たから銀行業務に立ち入つて来ているのじやないかという御懸念等から来ているのじやないかと思いますが、これにつきましてはさつき申上げました通り相当の制限をやつてもらう考えでおりますし、又投資信託というものと今の証券業者の関係については、相当今後も規制して行くといいましようか、そういう信託会社がやるべき領域などには立ち入らないような考え方をして行く、一口に言えば両々相待つて行くような考えを持つているわけなんですが、併しなお十分、こういう点が不都合じやないかというお考えがありますれば、よく承わりまして考えて行きたいと思つております。
  219. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 今大臣のお答えは、私の申上げていることと見当が外れておるように感ずるのですが、そのように信託会社がローンをするということは銀行的な金融のほうへ入つて行くからいかんというようなお考えのようにお答えになつたのですが、私はそういう意味じやなしに、投資信託そのものが一体、証券業者と信託業者とのつまり一線ですね、一線が乱れつつあるのじやないかということを私は考えている、その点についてそういう線に入つていいものか、飽くまでそれは投資信託的な立場に終始するのですから、むしろいわば証券業者の片手間というと語弊がありますけれども一つの業務を違つた面で改革したとおつしやいますから、余計一緒になるということはむしろどうかと思うという意味で、なおそういう線をぐんぐん進めて行かれるか、或いはそれを分けて、やめて行くかということのお考えは……、
  220. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 岡崎さんの仰せの趣旨はよくわかります。私どもは今のように証券業者が、投資信託という新らしい部分を自分たちが開いて今日まで持つて来たことについては、これは私も認めておりますが、併しこれはおのずから限度があると私は思います。投資信託というものがその限度のあることは、過去において行われた投資信託よりも、最近において行われた投資信託が相当分量を減じつつあることは、これは岡崎さんよく御存じであろうと思います。従いまして、やはり証券業者が、今仰せの言葉で言えば、片手間にやつておる投資信託というものは、新らしい分野を拓いて相当伸びて来ましたけれども、今後においてはそう私どもは伸びるべきものでなくて、これはやはり信託会社が将来そういう面にだんだん活躍されて行くべきものだろうと、これはそういうふうに考えております。然らば今証券会社がやつておるのを、それを一つ規制して行く、取締つて行く考え方かといいますると、これは私ども法律的にこれを取締つて行く考えは持つておりませんが、事実問題として証券業者はおのずからその力に限度がありますから、まあむしろ育成するというのは信託会社のほうの、売方のほうに力を注ぐべきじやないかと、かように考えております。
  221. 森下政一

    森下政一君 戦後ですね、株式の民主化ということを盛んに提唱しまして、大衆が証券投資をするようになつた。過日も証券取引所に行つて、先方の意向をだんだん聞きますと、取引所ぐらい戦前戦後と様相の変つたものはない。戦前では投資の大部分は財閥であつたが、今はそうでなく、大部分、少からざるものが大衆である、こういう説明がありました。これは私非常にいい傾向と思うのです。証券が民主化されて、大衆が投資するということになるのはいいと思いますけれども、どうも併しその証券売買というものは、投機的な要素というものを含んでおる。そこに又妙味があるということを考え、又教えられて各証券業者が挙つて婦人の投資相談所というようなものを設けて、各家庭の主婦がへそくりを投じて、そうして相場の上り下りによつて利食いをして、ひよつとうまく行くとお小遣いを儲けることができるというようなことに興味を持つたのが、いわゆる大衆投資だということになつて来るのじや、これは私はどうも喜ぶべき傾向じやないと思うのです。本当に企業の採算というものを検討して、而も今日本のおかれておる実情に鑑みて、例えば輸出を大いに増強するに足るような会社の企業、そういうものに対して大衆が理解を持つて、それぞれの力を加える意味で投資して行こうというなら、これは一番いい投資で、政府の言ういわゆるそういうことによつて資本の蓄積ができるということになるならば、これは有難いと思うのですが、今の行われておる一般大衆の投資というものは、果してそうかということに私は非常に疑問を持つ。ところが先刻も申しましたように、証券売買というのは投機的な要素というものが当然に含んでおる。これを何とか、つまり正常な投資という観念を持つて、証券界に投資して行くことができるように、この点に一体私は大蔵省が何らかの方策を常に講じなければならんのじやないかと思うのです。現に一時に比較して見ると、現在は証券業者の数も減つたということを先般事務当局から説明を聞いたのでありますが、減つたということはやはり倒産したとか、何とかしてであろう、ということは投資家に対して、言い換えると今日大衆に思わん不覚の損失を与えて、こうなると折角大衆が投資に興味を持つたにしても、それを減殺してしまうことになる。これらに対して大臣どういうふうにお考えになるか。何とか大衆を本当に企業というものを土台にして考えるところの投資ということに誘導すべきじやないか、啓蒙すべきじやないか。ここに政府の務めがあるのではないかと思います。御所見どうでしようか。
  222. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 森下さんの仰せのことも御尤もであります。私ども資本蓄積としての株式の民主化は、これは非常に望ましいことであります。又これが大衆に行き渡ることは望ましいことであります。これが投機思惑に走つて、これを持たれるということになると、これは非常にむしろ恐るべきことである、かように考えておるのであります。それで、それならば大蔵省としてどういう処置をとるのだというお尋ねかと思いますが、大蔵省としましては、証券業者に対する各種のできました法律その他によつて監督をいたしますと共に、証券業者が自粛することによつて、或いは勧誘と言いますか、そこらを歩いておる外務員と言いますか、外務員というものが、うまいことを言つてつて参るということになると思いますが、仰せなつたような、最近でありませんが、この一両丹前にもございましたが、相当その店の倒産、営業停止等により、いわば大衆に迷惑をかけておるものがございますので、その点から私どもいつも考え方としては、そういつたいわゆる顧客の保護に重きを置く、こういうふうにしたいと思つておりますけれども大蔵省の権限としては今のところ監督をする、或いはその監督を強化するということになつておりまして、株を買つてはならんとか、売つてはならんということまでのことは立ち入りませんので、そこで業者に対するむしろ強化策を一つ立てて、なるべくそういつた資本の小さいことや、ちよつとした波動で倒産して、迷惑をかけないようにという処置をとる、こういうことに対してはやつております。従いまして、今後ともこれについては十分力を注ぐことにいたしたいと存じております。
  223. 森下政一

    森下政一君 業者を監督され、大衆に迷惑をかけないようにするため、これは能う限りやらなきやならんことで、これはよくわかる。これはなかなか言うべくして行われない、むずかしいと思います。思いますけれども、やはり政府が大衆に向つて一つの気魂を持つて、真剣さを持つて、一体投資というものはどうあるべきなんだと、こういうことの啓蒙が非常に必要なんじやないかと思うのですが、それを単に業者任せということでなしに、これごそ、先刻一万田さんのことが言われて大分問題になつたが、大蔵大臣が本当に大衆の投資を指導して行くという、あなたに一つ熱心と熱意と気魂を持つて国民に臨んでもらうということが一番必要じやないかと思うのですがね、そうでなければ、利食いに興味を持つということで、サラリーマンなんか日常それぞれの仕事をしておりながら、株の上げ下げに一生懸命になつておるなんて、どう見たつて能率が低下して話にならんじやないかという気がするのですがね。
  224. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 国会の中に証券民主議員連盟というのがあらせられて、誠に皆さんがたも多分お働き下さつたことと思います。私どもも必要に応じてやりますが、お働きいたしますけれども、実は余り熱意がないのじやないかとお叱りを受けても、実は私どもも証券の普及については相当貯蓄の奨励と同じように、これを努力することはやりますが、併しこういうときはすぐ損するぞ、こういうときは儲かるぞということまで、立ち入つてやることはなかなか困難なことで、又そうすべきではないと思います。ただ、仰せのことはそういうことではなく、恐らく証券を普及して行く、証券の普及を図るならば、みんなの証券に対する知識ができて来て、みずから守るようになつて来て、そういう不測の損害を免れることになるから、もつとそういう点に対しての民主化の精神を普及してくれという御意向であろうと拝察いたします。それならば一つできるだけ大蔵省といたしましても努力いたしたいと考えます。
  225. 森下政一

    森下政一君 全く今おつしやる通り、こうしたら儲るとか、こうしたら損する。そんなことを大蔵大臣がおつしやる必要は少しもないので、ただこの一体投機的な興味を持つて投資することではならんのだということ、これは大蔵大臣の熱意と気魂で国民を引ずることができるのだ。私はそうでなければならんと思うのですが、先刻来いろいろな質問が出て、業者の監督その他についてもいろいろなお考えを拝聴しましたが、なかなかむずかしいと思うのです。どれもこれも、而も業者は何と言つても自分の利益追求に急なんです。この間証券取引所へ行つていろいろな話を聞いても、今度のこの改正法の中の一番眼目は信用供与七〇%まで行ける、これが一番肝腎ですというのです。これだけはどうも一つ最後まで守つてこの通り通して下さいというのですから、これはやはりそうすることによつてお客がどんどん出て来て売買さえあれば彼らは儲かるので、それで一生懸命なんで、それが本当に日本の経済界の姿を考えて彼らがこういうふうに投資というものが行わるべきだということを言つて、輸出増強に資するようなふうに顧客を誘導しようという、国を思う熱意というものは彼らにないと私は思う。私は大蔵大臣の熱意と気魂だと思うのです。
  226. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) いや、有難うございました。
  227. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 両法案についての大蔵大臣に対する質問はこの程度にとどめます。   ―――――――――――――
  228. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に国有財産法等の一部を改正する法律案議題にしたいと思いますが、如何ですか。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  229. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。  本日はこれを以て散会いたします。    午後五時五十二分散会