○
政府委員(
渡辺喜久造君) 今の御
質問はこの
予算修正に伴いまして
税法の修正が行われるであろうと予想されております。その事項についての御
質問でございまして、実はまだその事項につきまして正式に我々お話を受けておりませんので、特に今御
指摘になりましたような割合に細部の点に亘る事項につきましては
ちよつと御答弁しにくい点が多いのでございますが、若しああした考え方で一応や
つたとした場合に、実際の姿も併せましてどういうふうにこれが考えられるであろうかとい
つたような、ものの考え方のそうした筋とい
つたもの、或いは現実の技術的にどういうふうにこなし得るだろうかとい
つたようなことについて、我々の一応の
意見を申上げるということならば、まだ事柄の内容を深く見ておりませんから、それが修正案についてのことになるかどうかこれは別としましてお答えできるのじやないかと思いますので、そういう
意味においてお答えすることをお許し願いたいと思います。
伺
つておりますところでは、輸出業者に対しましては千分の一、それから自分で以て製造した物を輸出する場合におきましては千分の三、それから輸出業者に対して供給するような場合におきまして、そのメーカーについては千分の三、それから外貨を
対象としまして、対価として運送をする、加工をする、修理をするとい
つたような場合には千分の三、こういうふうに一応案ができるやに伺
つております。それで今の加工業者に対する
関係でございますが、大体こういうふうなことならやれるじやないだろうかとい
つて、我々が技術的な面で話しておる点は、織物なら織物の粗布を輸出業者が買われまして、そうして輸出業者が加工に出す。染色なり、晒の加工に出す、その場合におきましては、輸出業者のために輸出品に対してする染色加工については、千分の三というのを適用することは、これはできるじやないだろうか。ところが輸出業者のほうへ粗布を、織物を供給するかたが加工に出す。この場合におきましては結局普通の建前で行きますと、加工賃も入りましたところの値段でも
つて輸出業者に販売されるわけでございますから、
従つてその販売した製造業者に千分の三が認められることになるだろうと思います。そうしますと、その上にプラスして製造業者のためにする加工業者に千分の三これを認めるということは重複して認めることになります。それならそれを避けようとしますと、今度は加工業者に対する分には認める代りに、その分を差引いたものを輸出業者に対して供給をした製造業者に認めなければならん。これはもう技術的に非常に困難にな
つて来るのではないだろうか。従いまして、全体を通じての考え方としましては、やはり技術的に或る
程度こなし得る限度にとどめて頂きませんと、実際の仕事に当りまして却
つていろいろ紛糾の種になる。従いまして、今
言つたような場合におきましては、輸出業者に供給する製造業者のほうで、いわば加工業者のほうに或いは行くべきとも思える千分の三のフェーバーが行くのですから、その両者の取引の場合において、何らかそれを色をつけるといいますか、考えてや
つて頂くとい
つたようなことにでもして頂きませんと、
ちよつと技術的にこなし切れないのではないだろうか。これがいろいろな問題が更に発展して参りまして、加工業者の場合もそうなんですが、例えば自転車なら自転車の輸出なんか考えてみますと、自転車につきましても、これはもういろいろ組立てをするといいますか。或る
程度まで部分品を作り組立てている。これが現在の自転車メーカーの姿だと思
つております。この人たちにつきましても相当の部分品は下請に出しておる場合があると思います。そういう下請業者に或る
程度のフエーバーを与えるべきではないか。これも今の議論と同じようなことにな
つて参ります。
それから或いは造船の場合が考えられます。造船の業者が自分で輸出船を契約されまして、そうしてその場合に今の修正案の条項が、その姿がはつきりしませんけれ
ども、まあ大体我々が聞かされておるところでみれば、その船についての千分の三という一応の率が適用されるとした場合に、いやエンジンはうちで作
つたから、エンジンの部分はエンジンのメーカーに、或いはこの中の或る部分はうちで作
つたからこれはこちらのほうに、これは結局、造船というのは、御
承知のように一種の建築のような組立てになりますから、非常な分解がされなければならんじやないかというふうに思うのですが、それを追
つて行くということは、技術的に殆んど私は不可能じやないか。まあ更にそれを一歩進めて参りますと、鉄屋なら鉄屋さんが鉄を作るとい
つた場合に、鉄について自分で輸出すれば千分の三、併し鉄の原料になる石炭とか鉄鉱石はどうなるか。これを分解して行くと、附加価値税式にあらゆる附加価値的なものだけが特にその業者に対するものであるということに、極論して行きますと、そこまで分解されて行くべきものじやないかと実は思うのです。併しそれはどうも我々の考え方としますと、やはり技術的に非常な困難もございますし、又出すとしましても一応の限度があるわけでございますから、そこはほどほどのところで、あとはいわば租税における転嫁の逆でございますが、こうい
つた考え方で処理願うのが、まあ適当じやなかろうか。従いまして、縷々申述べましたが、結論的に申上げますと、今我々が技術的に可能だと思
つておりますところは、輸出業者の委託を受けて、例えば粗布のようなもの、糸のようなものを織り、或いは加工するとい
つた意味の加工については、それは千分の三を適用することは、これは技術的に可能であり、いいじやなかろうか。併し、その前の段階である織物業者において委託加工とい
つたようなことになりますと、織物業者に千分の三のフェバーが行く代りに、加工のほうにまで分解するのは困難じやないか、
従つて両者の
関係は両者の
話合いにおいて何か
解決の道がないだろうか、かように考えております。