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政府委員(
石田正君) 先ず第一に
証券市場におきますところの株価の変動でございますが、これに対しましては、
大蔵省がと
つておりますところの基本的態度は、これは前回も申述べたかと思うのでありますが、その市場において自由に公正に価格が形成されるということを先ず第一義として考えるわけであります。従いまして、それはその市場に売りなり買いなりに出て来る人のボリユームによ
つて値段がきま
つて来る、こういうことを先ず根本的に考えておるわけです。それに対して、少しこれは株価が上り過ぎたから何とかしてこれをチエツクしようとか、或いは少し下り過ぎておるから上げたほうがいいのじやないかというように、特殊の銘柄についてどうこうするとか何とかということは、それはやはり避けなければいけないのじやないか。なぜかと申しますならば、根本の趣旨がそういうことでございますし、それが高いとか安いとかということを
役所が専断的に考えて、そうしてこの市場に入
つて行くということは慎しまなければならない、かように根本的な問題として考えておるわけであります。併しながら普通の常識から見まして、全般的に言
つて少しこれは乱調子である、少し上り過ぎておる、こういうことはどうも危いのではないだろうかということ、それから又逆に申しますならば、非常にこれは沈滞しているというような一般の常識から申しまして、
大蔵省だけが判断するだけでなくて一般の常識から言いまして、そう判断する場合が現実の問題としてあり得ると思うのであります。そういう場合に、それじやもうそれつ放しにしておくか、こういう問題があるわけでございます。そこで信用供与率の問題でありますが、この信用供与率の問題につきましては、いわゆるすべてキヤツシユで以てやらなければいかんというのに対しまして、信用供与をして、そうして
取引が認められるということでありまするならば、それだけボリユームが多くな
つて来る、こういうことであります。それじやどのくらいの
程度でこれはやつたらいいのかという問題でございますが、その問題におきまして、株から申しますると、清算
取引というような工合に実物を伴わないところの
取引が主体をなしておつたのでありますが、現在の建前といたしましては、やはり実物
取引を主に変えて行かなければならない、それに対して或る
程度のゆとりのある信用
取引というようなものの余地を残して行こう、これが現状でございます。そこで現状から申しまして、現在のやつが一体いいかどうかという問題で、まあ少しゆとりを持つたらいいだろうというので、百分の三十ということをここに新らしく御審議を願
つておるわけでございますが、少くとも三〇%の証拠金を以てやるようなことでなければ困るというようなのが大体の考え方の基調であります。
それで、今度は今の一番の御心配にな
つておる点といたしまして、
行政官庁にこれを任せるのじやなくして、やはり一々
法律で
規定したらどうであろうかということになるのでございますが、この点につきましては、
法律で
規定するということになりますると、片一方の限度でなくして、上下限を合せてきめなければならんということになるわけであります。一本できめるということはなかなか
実情に即しないだろうと思います。そこで上下限をきめるということになれば、それはその範囲内で動くということになると思います。さりながら
証券界の
実情は、我々もすでに経験しているところでありますが、この短い間におきまして、去年の暮から今年の初めのような状況及びその後におけるところの状況というものは、我々は率直に申しまして心配をしておつたのでありますけれども、ああいうふうに急激に来るであろうとは思
つていなかつたわけであります。で、
証券界というのは、とかく短期的に大きな動きをするものでありまして、
実情から申しまして、一々国会の御議決を経ましてや
つておるのでは、もう議決が済む頃にははつきり違つた様相にな
つてしまう、こういうことが予想せられまするので、まあこういう形においてお願いをいたしておる次第でございます。
それからもう一つ、この信用供与の問題につきましては、
大蔵省といたしましてはこの
法律自体に書いてありますように、百分の三十、或いは逆に言えば百分の七十とかいうことを信用供与のほうで申しますが、そういうことにつきましても、これは問題はやはり金融
機関におきまして資金供給をいたさなければできないという面があるのです。そこに一つの拠りどころがあるわけです。現在におきましては十五億ぐらいもや
つておりますけれども、現行におきましてこれをどの
程度にやるのかということが又一つの大きな問題であります。その両者を併せまして適宜に大きな
意味で規制いたしておりますが、一々その価格が上り過ぎたとか、下り過ぎたとかいうことはいたしませんけれども、大体の枠といたしまして、少しこれは過ぎているのじやないかという場合には規制をする。それから今度規則をする方面はどちらかといいますと、信用供与率を引下げる、逆にいえば証拠金の率を上げるということが規制の効果が上ります。併し逆にそれを少し緩めたらそれと同じ
程度に逆の
意味においてうんと効果があるかということになると、これは率直に申しまして効果が上る場合もありますし、上らん場合もあるのじやないか、かように考えております。