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参考人(
太田利三郎君) 開発銀行の業務概況につきましては実は開設以来
ちよい
ちよい参
議院、衆
議院の大蔵、予算
委員会等で時々御
説明申上げたことがございますので、余り細かく申上げるのも如何かと思いますが、大体のことを御
説明申上げたいと思います。その後御
質問によりましてお答え申上げたいと思います。
主として二十七年度の貸付
状況について申上げますと、これは中小企業のほうを別にして申上げますが、
借入れの申込みは前年度からの繰越分が約百十六億ございましたのでございますが、これを除きまして二十七年度になりまして受付けたものが四百七十八件、千五十八億という大きな数字に
なつております。この内前年二十六年度に比べまして殖えましたものは、化学工業、機械工業等でございまして、前年に引続き金額の大きいものが石炭、鉄鋼、自家発電とい
つたようなものでございます。それから見返
資金特別会計の私企業融資を引継ぎましたので、電力、海運というものから非常に大きな申込があ
つた次第でございます。それから重要基礎産業、それから重化学工業、これらの申込みを見ますと全部の殆んど九割を占めておるわけでございます。このうち貸付承諾いたしましたものが累計で三百四十八件、四百五十四億四千五百万円と
なつております。この内貸付を実行いたしましたものが三百五十三件、四百二十七億千二百万円と
なつております。電力、海運、石炭、鉄鋼、この四大産業に対しまする貸付承諾は総体で開発銀行になりましてからの貸付の中で六六%を占めております。それからこの貸付承諾いたしましたものを分類別に大きなものを拾
つて申上げますると、実は開発銀行は直接貸付といいますものとそれから肩替り融資と申しまして、すでに市中銀行で出しておるものを肩替りして貸付けるという二種類がございますが、その直接貸付については先ず石炭でございますが、これは承諾いたしましたものが三十九件、三十四億七千二百万円でございます。このうち実は大部分が前年度からの継続事業と相成
つております。主な
内容は新らしい坑道を掘進いたしますとか、或いは選炭設備でございますとか、そうい
つたいろいろな設備の合理化というものが主な融資対象と
なつおります。それから金属工業でございますが、この貸付承諾が十九件、五十七億四千万円でございます。これも金額的には過半数のものが前年度からの継続工事と
なつております。この主な対象事業といたしましては、鉄鋼の合理化三カ年
計画に基きまする圧延部門近代化の
資金、それから特殊鋼の設備の近代化、それから新らしい方式によりまする銑鉄の製造設備、こうい
つたものが主なものでございます。それから石炭以外のマイニングのほうでございますが、これは貸付承諾十九件、十二億二千七百万円と
なつております。主なものは銅、亜鉛、硫黄、そうい
つたものの採掘、それから設備の合理化というのが主なものでございます。それから自家発電でございますが、これが貸付承諾二十一件、三十三億二千五百万円と
なつております。この内火力が九件、七億六千万円、水力が十二件、二十五億六千五百万円でございます。それから化学工業でございますが、これは貸付承諾が四十六件、四十五億六千六百万円でございまして、主なものは尿素とか或いは溶性燐肥、それから過燐酸石灰の製造設備、そうい
つたような肥料
関係の生産設備と、それから高オクタン価のガソリンの精製設備、それからセメントの精製設備の増強とい
つたようなものが、主な対象でございます。それから繊維工業、これが十一件、十億二千五百万円でございます。これは主として染色加工設備の合理化、それから合成繊維の製造設備、それから製糸業の自動式操糸機の設置、そうい
つたものが主なものでございます。機械工業が貸付承諾五十三件、三十五億八百万円と
なつております。これは強電無機、ボイラー、タービン、通信機等の製造設備、それから造船業の設備の合理化、
鉄道車両工業の老朽施設の更新というものが主な対象でございます。港湾施設といたしまして、貸付承諾十九件、四億二千六百万円、これは倉庫、荷役機械、その他港湾の合理化
資金でございます。なおこれには艀の建造
資金も含まれております。それから農林水産といたしまして貸付承諾三十五件、十四億六千八百万円ございます。これは冷蔵、冷凍工場、製氷の設備
資金、まぐろの遠洋漁業船の建造
資金というものがその
内容でございます。海運といたしまして貸付承諾二十五件、七十一億三千六百万円、これは御
承知のように外航船、
計画造船二十七年度藩主分を開発録行が引継ぎました結果、タンカーの建造費を出しましたもの、それから二十六年度第二次着工分のタンカー中進水したもの、それから二十八年度のカーゴの建造の操上げて着工いたしましたもの、そうい
つたものが主と
なつております。それから電力業でございますが、これは九電力会社に対しまして七十八億七千万円と
なつています。そのほか七件、七億二千万円ございます。大体こうい
つたものが業種別に見ますと主なものでございまして、なお新技術を工業化いたしますために、開発録行で融資いたしましたものが十一件二億八千万円ございます。
それから先ほど
ちよつと触れましたが、直接貸付に対しまして、返済
資金貸付をや
つておるのでございますが、これは事業の性質、それから金融機関に出しております事業
状況、そうい
つたものを勘案いたしまして、結局二十七年度におきましては、電力業に対しまして返済
資金の貸付承諾をしましたものが、二十六億三千五百万円、それから海運業に対しまして市中銀行から従来出しておるものの肩替り
資金を融資承諾いたしましたものが二十三億三千四百万円ございまして、結局返済
資金の融資といたじましては四十九億六千九百万円を実行いたしたのでございます。なお、このほかに中小企業融資を、見返
資金引継後開発銀行で取扱うことといたしたのでございますが、これは全国的に相手が散らば
つておりますのと、個々の
内容につきまして十分の審査をする点からいたしまして、全国の銀行、信託銀行或いは相互銀行でございますとか、信用金庫等にお願いしまして約八十の代理店を設けまして、これに開発銀行
資金を流しまして融資をや
つて頂いておるのでございます。これは従来の見返
資金時代に比べまして、資本金も従来五百万円未満の法人と個人ということでございましたのを、一千万円以下というところまで拡げまして、それから貸付の限度も従来五百万円というのを一千万円までにいたしました。主として市中銀行の責任でや
つて頂きます場合は、開発銀行で
資金を全額供給して、全額について市中金融機関で責任を持
つてもろうという方式とそれから
資金は全部やはり開発銀行で出しまするが、代理店で七割まで責任を持
つてもろうという方式と、従来の見返
資金時代と同じように七割まで開発銀行が出して、あとの三割を市中銀行からお出しを願うという
三つの方法で実施いたしております。これは見返
資金時代よりも遥かに融
資金額が伸びまして、二十七年の配分総
資金は三十六億円でございまして、二十八年度は極く内輪に見積りましても大体月五億円ぐらいの平均で融資をや
つている勘定であります。融資の概略につきまして御
説明申上げました。