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1953-07-03 第16回国会 参議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三日(金曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            堀木 鎌三君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君   政府委員    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省理財局長 石田  正君    大蔵省管財局長 阪田 泰二君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局保    険課長     狩谷 亨一君   —————————————   本日の会議に付した事件国有財産法等の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○社寺等無償で貸し付けてある国有  財産処分に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出) ○保険業法等の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○証券取引法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○証券投資信託法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○本委員会運営に関する件   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第十二回大蔵委員会を開会いたします。社寺等無償で貸し付けてある国有財産処分に関する法律の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑をいたします。小笠原大蔵大臣阪田管財局長出席をしておられます。
  3. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、富士山の八合目以上の問題につきまして、浅間神社に対しまして約五万坪を譲与するということの決定をこの委員会がされて、それに対して不服だというので、こういう意味浅間神社では何と申しますか、訴えをしておるというのですが、審査会に対して再審査を要求しておるという恰好になつておるそうでありますが、この約五万坪を渡すことにつきまして、何か条件みたようなものが付されておるのかどうか。或いはそれに対して再審査と申しますか、そういうものを要求したことに対しまして、大蔵省のほうとしてはその後どんなふうにしておられるのか、そういうような点について若干御説明を願いたいと思います。
  4. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 細かい経過は管財局長から御説明申上げますが、最初の五万坪につきましては特に何らの条件は付してございません。ところがその後更に八合目以上の百二十二万五千坪というような土地についてもいろいろな問題がございまして、今の審議会がこれに対して答申をして、その審議会答申が出ておるのであります。それによりますると、奥宮社殿敷地金明水銀明水大内院その他儀式行事上必要と認められる土地計十七ヵ所四万九千九百五十二坪を譲与するのが適当であると、こういうふうなものが出て、これが最初のが出ておるのでありますが、それが不服だと言つて百十七万坪が出て来たわけであります。こういう答申が出ておる。富士山頂訴願については、公用又は公益上必要な土地を除き、これを訴願人譲与するのが相当である。それに対する(イ)の公用又は公益上必要のある土地範囲実地状況に即して決定すべきである云々という工合になつておるのであります。
  5. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それで大蔵大臣のほうとしてはその答申をそのまま棒呑みにして決定をされる予定なのか、その辺のところをもう少し御説明を願います。
  6. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今の委員会決定は、この答申はよく私ども答申の次第は了承しておりますが、この問題はなかなかいろいろな点を考慮しなければならん。特に国民感情に対する問題も十分に考慮しなければなりませんので、これについては慎重を期しておる次第でございます。これをそのまま決定するとか、決定しないとか、今慎重に考慮中でございます。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今大蔵大臣も言われたように、国民感情などがあつて慎重に考慮するということは、百十七万坪の答申或いは再審査要求が出ておるのに対しまして、原案の五万坪のものを大体やつて行くという、そういうことなんですか。
  8. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 只今お話ありましたが、五万坪、これは正確に言いますと、四万九千九百五十二坪でありますが、これは最初決定によりまして浅間神社譲与されることがすでにきまつておるのでありますので、話の分はそれ以外の百十七万坪でございます。そのものにつきましては今審査会答申がありましたが、大蔵省といたしましてはその処置を決定中であります。かようなことになつております。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も勉強しておらないので悪いのですが、若しこの法案を上げてしまつたとします。そうしてそういつた問題が残つたとします。そうすると大蔵省は今後そういう問題についての係争というものはどういう恰好になつて処置されるのですか。
  10. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは最初法案の御説明の時に申上げましたのでありますが、この審査会としては訴願に対する採決の諮問を大蔵大臣がいたしましたに対して答申をいたしておるわけであります。それで審査会としてはもう用を果して、昨年の十二月末に解消しておるわけであります。それで今後この問題につきましては訴願に対する大蔵大臣採決がありますれば、その次の段階としては訴訟という段階しかないわけでありまして、いずれにいたしましても、審査会としては現在の使命を終了して必要がないという状態に相成つておるわけであります。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この約五万坪が妥当であるかどうかというのは疑義があるわけですが、何にいたしましても国民感情が、富士山はと、こういうことになるのであります、私はいろいろなことがあると思います。相当な、こうした問題が宗教法人法等によつて条件が付せるというようなことはできないと思いますけれども、とにかく国民のシンボルの富士山であるから、このことについては慎重に処置して頂きたい、こう思うのであります。  次にお聞きしたいと思いますことは、曽つてアメリカ駐留軍演習場に使いたいというような意向があつたように聞いております。そういう問題に対しましてこれはその後どうなつておるか、解決済であるのか、蒸返して来るというのですか、大蔵大臣何か情報がありますか。
  12. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今の慎重に処理いたしますということは、これはかたくお約束いたします。今の富士山を進駐軍が使うかどうかという事柄については、まだ何も聞いておりません。私どもは、裾野についてはございましたが、上のほうにはそういう話は絶対に聞いておりません。
  13. 森下政一

    森下政一君 この法案は前国会でも提案されて大分論議されたらしい、私ども新らしく出て来たものを重複していろいろ聞くことは御迷惑と思います。成るべく差控えたいと思いますが、今の最初の五万坪ですね、これは大体浅間神社ですかに譲渡するというような決定をしておる。あとの百十七万坪これは何ですか、これまで神社無償貸付けてあつたものであるのですか。
  14. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) お尋ねの通りこれは百二十二万坪全体が富士宮浅間神社国有境内地として無償貸付けされておつた土地であります。
  15. 森下政一

    森下政一君 それで最初の五万坪というのは、無償で譲渡してもらいたいという申請が五万坪について出て来たわけですか。
  16. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは浅間神社から百二十二万坪全体に対する譲与申請が出て参りました。そのうち最初決定では約五万坪、これは富士山の頂上にいろいろ浅間神社奥宮社殿敷地とか、いろいろ宗教上の施設であります。金明水銀明水大内院、いろいろ儀式行事を行う用地、そういうものがありまして、そういう分だけを区切つて譲与決定をしたわけです、それで残りの百十七万坪は最初決定譲与しないということでありましたが、それに対して浅間神社残り譲与されないというものに対して訴願を出して来た、その訴願に対する審査会答申が昨年末よりかような状況になつております。
  17. 森下政一

    森下政一君 それで昨年末の審議会答申はどうですか。
  18. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 審議会答申は、只今も申上げた通り公用又は公益上必要な土地を除きこれを訴願人譲与するのが相当である。こういうことになつておるわけです。その百十七万坪について、然らば公用又は公益上の必要な土地範囲といいますと、それは実地状況に即して決定する、こういうことになつております。
  19. 森下政一

    森下政一君 そうすると審議会答申最初のものとあとのものとは変つて来たわけなんですね。
  20. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) そうです。訴願の結果、第二回目に百十七万坪のものについてこういう答申が出て来た、こういうことでございます。
  21. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大蔵委員会で、大蔵大臣に常にここへ御出席願つて我々の法案審議に御答弁を願わなければならんが、予算委員会とのかけもちで非常にお忙しいかと思いまして我々は手控えをして、成るべく御出席を願うのを遠慮して、政務次官局長連中の御出席によつて審議を進めておるのですが、今日おいでになつておりますので、今問題になつております国有財産法等の一部を改正する法律案、これに関連して若干質問したいと思いますが、と申しますのは、この国有財産法等の一部を改正する法律案提案理由説明を見ましても、「関係事務の適切な運営を期するため、ここにこの法律案提出することといたしたのであります。」こういつておるのでありますが、今国有財産処分につきましては各方面で問題を起しておるのですが、現に衆議院におきましても枚方火薬製造所払下げにつきまして衆議院のほうでは調べに行こうと言つておるんですが、坪二千円くらいのところを二百円くらい、十分の一くらいの価格払下げ決定をした。而もその中には、それをするためには与党の有力な幹部連中が中へ入つて、そうして斡旋に努めたというような新聞記事も載つております。又今決算委員会で問題になつております虎の門の緑地帯ですか、これは東京都の都民の休息所というか、安息所というような意味緑地帯として残したものが、外車の三万台の車の陳列所に使われておる。而もこの顧問が与党幹部の有力な幹部です。而も自動車を一台もらつたとかもらわんとかというようなことが新聞に伝えられておる。いずれもこの国有財産処分につきましては適切な運営どころか、今まで疑惑の種を一つ一つ残して来ておるわけでありますが、こういうようなときに小笠原さんが新たに大蔵大臣となられまして、こういう伏魔殿的な、国民疑惑を持つておるやつに対して、どういう一つ態度で臨もうとしておるか。又今直面しておりますのは、三重県の四日市海軍燃料廠の問題ですが、あれなんかは一体どういうふうに、もうそろそろ決定しなければ鉄の錆に、鉄はどんどんどんどん錆びて行く、而もそのまま放置しておつて、利権屋といいますか、あれが手に入れたら、国有財産払下げたらもうこれは儲かることはわかつておる。少し大きいものを払下げれば僕らでも儲かりそうだと思う。払下げ申請もしなければそういう運動もしませんが、どこへ目を付けましても、現在大蔵省管財局あたりで算盤にはじいておる払下げ価格でこれを払下げたら必ず儲かる自信があるのですが、まあやりませんけれども、そういうような実情なんですが、一体大蔵大臣はこれらの問題につきまして、或いは税金が高い、九州で災害が起つて困る、国会議員の、国会庁舎建築については新聞があれほどやかましく言つておるけれども、それどころの騒ぎじや私はないと思う。それを正しく処分されることによりまして、結論として第一点は大蔵大臣がこういう問題とどういうふうに取組もうとしておるか、あんたはどういう決意を持つておるか。これは相当な決意が要ると思う。大抵こういう問題は、政党の有力幹部斡旋をして引受けて運動をしておるから、これとの関係をどう対処して行くかということは相当決意がなければ、議会の形式的な答弁だけではできるものではないと私は思う。これに対するあなたはどういう考えを持つておるか。これが第一点。第二点は当面しておる四日市海軍燃料廠は一体どうするつもりであるか、この二つの点をここで質して置きます。これは国有財産法等の一部を改正する法律案とも密接な関係がありますので、一つ答弁を願いたいのであります。
  22. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今仰せの件につきましては、私どもは一切の請託にきかず、必ず皆様の御了解の行くような方法で処理するという、こういう堅い決意を持つておることをここで申上げて置きます。いろいろ運動、情実によつて事を左右することはございません。このことは堅く私がここで申上げて置きます。  それからちよつとお話になりました虎の門の問題は、これはこの委員会でもすでに御説明申上げたと思いますが、先般原状に戻すようにということを、大蔵省から省議決定いたしまして申出てございます。従いまして、それらの点についていろいろなまだ問題が出て来るかも知れませんが、大蔵省としてのことははつきりと省議できめまして先方へ申入れてございます。このことは当時新聞にも発表されております。この国会等でも御答弁申上げたので、それでそういうことが発表されております。更に今枚方の問題についてのことでございましたが、これは私どもも大きい土地、小さい土地、或いは直ぐ傍の所でも狭い土地は相当な価格で売れるのですから、ああいう広い纏つたものになるとそう行かないということも考えられますが、いずれにしてもそれも常識上考えてみて、それが相当であるということでなければならないと考えますので、お出でになりました大蔵省としては随分あらゆる手を尽しておると承知いたしておりますが、併し更に衆議院からも何か近く調査に行かれるようでございますので、その結果等も見まして善処いたしたいと考えております。  四日市の問題は、これは大体今お話通り一日も早くこれを利用することが必要だと思います。この点については私が通産省におりまする時もそういう考えを持つておりましたが、これを最も適当なる先に貸付をすると、払下等は今お話のようないろいろ問題もありまするし、将来の日本のことを考えてみますると、ああいう土地は二度とあれだけの土地を得ることは容易ならん問題でございますので、国が必要とする場合も考えられまするので、条件を付して貸付をする、こういうことに当時の関係閣僚申合せに相成つておるのであります。従いまして、それは前吉田内閣ではございませんけれども、その方針が一貫しておることは存じております。当時の大蔵大臣としては、向井大蔵大臣もこれに賛意を表しておるのでありまして、これは貸付をする、こういうことに相成つておるのであります。然らばどういう所へ貸付をするかという問題になりますと、これは最も適当なる先へと、こういう考えを申上げるよりほかはないと存ずるのであります。  それで、いずれにいたしましても私ども国有土地なり財産なりはすべてお互いの粒々辛苦の、いわゆる税金からできたものでありますから、この処理方に当つては努めて疑惑のないように、それから心から公明正大にこれを取扱つて参る、こういう所存でござ  います。
  23. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつとお諮りいたしますが、実は大蔵大臣今日も他の予算委員会等出席される予定でこちらへ出るのが非常に困難な模様でございましたけれども、前からこの社寺等無償貸付けてある国有財産処分に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、一遍ぜひ大蔵大臣の御出席を得て御質疑を申上げたいという考えがありましたので、むずかしい中を時間を割いて御出席頂いて……。先ほどからたびたび他の予算委員会等から大蔵大臣出席を要求せられて来ておる模様でありますから、成るべく簡潔にして早く大蔵大臣を他の委員会のほうへ出られるようにいたしたいと思います。
  24. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは理由はわかりますので、私どもこれは長くそういう向うの予算審議の妨害になるようなことはやりたくないと思いますから、今日はこれで打切りますが、この国有財産、これを今日採決するかどうかわかりませんが、するといたしましても、国有財産については、そういう今申上げましたように、ほうぼう問題を起しておりますので、これの資料提出等についてあとで一遍提出を願います。それからもう一遍ゆつくり大蔵大臣大蔵委員会一つ出て参つて、これらの個々の問題を私もいろいろ資料を整えておりますので、これらの角度からお伺いいたしまして、一つ疑念のある点を国会を通じて明らかにしておいてもらいたい。今も適当なところへ貸付けるとおつしやつたが、そうすると貸付ける値段について、その貸付価格についても問題が起つて来るだろうというような点からゆつくり一つ聞きたい。今日は二十分になるので、これで打切ることにいたしますが、そういう問題は非常に国民が大きな疑問を持つております。常識的に考えましても、私素人でございますが、現地を少し見てみましても、これはもう問題になりそうだとはつきりわかるのであります。当局の調べておる価格見積書等を見ましても、これならばこれは魚が飛びつきそうな餌だということがはつきりしているので、僕ら素人考えても一つ大ばくちを打つてやろうかなと思うくらいのところがたくさんあると思う。こういう点から、これは公正なる処分については特に考えなければ、これは先祖代々から税金を搾られたり、或いは農民土地を無理に取上げられたり、都会においてであつたならば強制立退きをさせられて、軍部の全盛時代無理やりに取上げられた土地であります。それがうやむやのうちに処分されたものが多いのであります。せめてこういうように落着きましたならば、納得の行く処分、それから国の経済の発展のために寄与する処分方法をとらなければ、一部の人たちが利益を得て、それによつて政治献金が多く集るというようなことに利用されることは絶対に慎んでもらわなければならんと思います。この点大きな問題であるのでお考え願つて、あなたのほうで早く時間を作つて、いつ出席するということを通告して下さい。
  25. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますので、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それではこれより採決に入ります。社寺等無償で貸し付けてある国有財産処分に関する法律の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  28. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     森下 政一  菊川 孝夫     三木與吉郎  土田國太郎     小林 政夫  西川甚五郎     青柳 秀夫  岡崎 真一     堀木 鎌三  成瀬 幡治   —————————————
  29. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に国有財産法等の一部を改正する法律案議題といたします。右について質疑を願います。
  30. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今ちよつと菊川君が触れましたのですけれども、例えば農民から土地を強制的に買上げてしまつて、そうしてそこに工場も若干あるのですけれども、もう再び、何と言うのですか、工場にしたがいいのか悪いのかわからないのですが、建物がなくて、これは工場を作るにしても新らしくそこに造らなければならないというような、そういう国有地があると思う。そういつた場合に、前に無理やりに取上げられたような農民或いは強制立退きをさせられたような、そういう人たちが集つて払い下げてくれというような運動と申しますか、そういうことをやつた場合に、そういう者を優先的に考慮しているのかどうか、そういうことを全然考慮していないのかどうか、その点をお答え願いたい。
  31. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 大体国有財産であつて、元の所有者払い下げ申請して来るというような場合には、やはりその土地特別縁故のある者でありますから、それがその者に払い下げをするという有力な一つ理由になると思います。ただ元所有者であるから如何なる場合にも優先するのだというふうには考えておりませんので、やはりその土地実情によりましていろいろ場合があると思いますが、併しその元の所有者がいろいろな事情で国に買い上げられた、そういうようないろいろの今までの事情というものは十分考慮いたすように取扱つております。
  32. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その元の所有者について考慮するということは、それがそういう方針でやつておられても、末端へ行くと、これは取られてしまつたのだから国のものだということで、そういうふうな趣旨が徹底しておらんのじやないですか。それは或いはあなたが今答弁されたことは、或いは文章にされたり、或いは公文書になつて末端へそういうことが届いているわけですか。
  33. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 只今お話の点ですが、これは大体はつきり規則等でそういうものを考慮するということを別段きめておるわけではないのです。やはりそういうような事情があることも十分斟酌して国有財産処分をやつて行くことが妥当なやり方だ、こういうようなことで各出先財務局においてかねがねそういう方針でやらしておるのですが、末端に徹底していない、或いは具体的の場合に、そういう元の地主の要望が容れられなかつたというような場合が或いはあるかとも思いますが、それはやはりその場合の個個の具体的の事情を伺つてみませんと、どういうことでそういうふうに元の所有者要望が容れられなかつたか、はつきりいたしませんが、全体的の方針としては、先ほど来申上げたように考えております。
  34. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私の聞くのはその方針がどういうふうに末端まで伝わつておるかということを聞いておるのです。
  35. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは先ほど申上げましたように、規則その他をきめて末端にまで通達するという、こういうようなことではやつておりません。ただ、これは多数の不動産等を処理いたしております各出先におきまして、こういう仕事は常時あるわけであります。特に元の所有者払い下げるという例は実例といたしまして非常に多いのであります。出先でそういう方針を知らないはずはないと思つております。殊に物納不動産等の問題につきましては、そういうことはかなり普遍的に行われておりまするし、末端財務局或いは出張所等でそういうようなことを全然知らんということは、これはちよつと私どもは想像できないわけでありますが、結局具体的の場合に、どういう手続をして、どういうふうな話になつておるかと、こういう問題だろうと思います。御了承願いたいと思います。
  36. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これにからんで汚職事件と申しますか、とにかく会計検査院が指摘している不正だけでもものすごいことは、政務次官もそれから局長もよく御存じだろうと思う。そういうものに対して、例えば所長が代つてまつた。或いは役人といいますか、役人人たちがずつと代つてつてしまつているということで取られて来た。今までの汚職の方向というものは全然変つていないのですよ。大体において新規まき直しして、新らしく出て来た者が善処したなんということは、全然そういうことはなくて、代々汚職して、二代くらい所長が代つている。やはりその払い下げ方法というものは同じことで、片一方の土地を取られた人たちのことについては大体無視してやつておるということが多いのです。これは私は全部のデーターを整えてそういう結論を出したのじやないからいけないけれども、大体そういう方向ではないかと思うのです。そういうものに対して、あなたのほうではどういう指導をしていられるのか。それはその時の状況状況だと言つておられるのか、もう少し突込んだ内面的状況を伺いたい。或いはそういうことにつきまして指導するようなあなたのほうに意思がないのか、或いはそういう機関があるとすれば、どうやつてそういうことをしておられるか承わりたい。
  37. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 国有財産処分関係におきましていろいろ不正といいますか、問題がございまして、検査院等にも指摘され、又国会決算委員会等でもいろいろその御指摘を受けているわけであります。こういうふうな問題については、私どもとしては誠に遺憾なことであります。できるだけこういうことがないよう、絶無を期するようにかねがね努力はいたしておるわけであります。併しやはりそういう問題が出て参りますのは遺憾に存じております。今のお示しのような、財務部等におきまして不正事件等があつて、そこの財務部出張所等におきましても今までの扱い方が適当でなかつたのじやないか、こういうような虞れがある場合におきましては、やはり特にそういうところには後任者としてしつかりしたものを任命いたします。そこの仕事のやり方につきまして全面的に一応調べてみて是正する、そういう措置はその都度取つているわけであります。そういう措置がやはり行き届きませんといいますか、不十分でありまして、そういう不適当な処置をした時代の方針がそのまま残つている、かようなことではいけないと思いますので、十分その辺のところもなお注意させまして、手落ちのないように、かように考えております。
  38. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 しつかりした後任者をやるというのですが、大蔵省の中には何かそういう不正と申しますか、そういうことのないような監察機関というようなものはないのですか。会計監察ですか、そういうようなものはないのですか。
  39. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは管財関係におきましては特別の専門の監察官でありますとか、監察機構というものは、只今のところございません。併しこれは常時本省の大蔵省といたしましては地方の財務局のほうを監督いたしております。地方の財務局でも常時財務部出張所の仕事を監督いたしております。かようなことになつておるわけであります。
  40. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 国有財産法等の一部を改正する法律案について、この改正の際にいつも問題になるのは、大きな国有財産払下げする際にどうも疑惑が残つている、国民の間に。先ほども、私も大蔵大臣に質問したような……。従つて、これにつきまして今国有財産として、例えば四日市の燃料廠であるとか、枚方火薬製造所ですか、そういつたものでまだ任意処分処分の懸案になつているものを、資料をお出しになつたことがございますかどうか。これは坪数にして一万坪以上の土地であるとか、払下げ価格にして五千万円以上の物件である、こういうようなものを、一つ今のあなたのほうの帳簿に載つているのを、一応大きなものだけを資料としてお出し願いたい。  それから今まで処分したものは一体どういうふうに処分をされているか、これを一つ大きなものだけは、練兵場をどういうふうに処理した。こういうようなのをお出し願いたいと思いますが、御提出願えますか。
  41. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは現在までに処分いたしました施設等かなりたくさんございますし、それから現在残つている施設も、只今申されましたような標準ですと、かなり多数のものに亘ると思います。なおその中には駐留軍に接収されたといいますか、行政協定で提供中のものもたくさんあります。全部網羅いたしますと相当の資料になるわけですが、どのような程度のもののデーターを御必要になりますか、あとで又伺いまして、できるだけの資料提出することにいたします。
  42. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これはいつでも国会のほうで我々知るのは、新聞で問題になつたり、或いは裁判沙汰になつてから、ああ、そういうものがあつたかというので、初めてわかるわけです。それまではわからん。どんな財産があつて、どういうふうに処分されているやらわからんのです。一体国有財産の大きなものを処分する際におきまして、処理委員会或いは処分委員会という各界から代表を網羅したような委員会的なものをお持ちになつているのかどうか、これを一つ伺いたい。
  43. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) この国有財産の管理とか、普通財産になつておりまする旧陸海軍工廠等の施設でありますが、この普通財産の管理処分、これは大蔵大臣の権限になるわけであります。先ほど来大蔵大臣からお話がありましたように、大蔵大臣の責任において厳正に公正にやつて行くということが、これがやはり一番本当の筋じやないかと考えております。ただ実際問題といたしまして、かような大きな財産処分いたしまするときには、いろいろ不正がないようにということもございますが、国の全体の産業行政からどういうふうにこれが影響するかというようなこともお考え願わなければならん、こういうようなこともございますので、そういうような大きなものにつきましては、関係のほかの省にも相談して意見を徴するといつたような手続きはとつております。御承知のように四日市の燃料廠の問題につきまして、通産省におきまして、これは法的にできるものではありませんが、一種の諮問機関のようなものを作りまして、いろいろと審議をいたして参つております。まああれなんかも通産省におきまして、通産省としての処分についての意見を定め、その参考にするためにああいうようなものを任意設置して審議した、こういうことであろうと思います。全般的に国有財産処分につきまして、そのような審議機関を設けるということは現在いたしておりませんし、只今のところそういうものを設置しようという考えはございません。
  44. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今までに処分をされて、それが殆ど問題もなくて……殆どと言つて、これは一部には反対があると覚悟しなければなりませんが、今起つております虎の門事件や、或いは枚方事件のような問題が少しもなくて、処分されておつたのだつたら、僕らも今までのやり方でいいと思うのですが、こういう改正する際に、どうも過去において若干問題があつた、或いは国民の中にも疑惑があつたとするならば、それを今後は起らないようにすることを先ず考えなければいかんと思いますが、大蔵大臣の権限において処分するのはいいのだというあなたのお考えだが、そうすると過去において何にもなかつたのならいいのだが、過去にどうもこれは臭いというのならば、よく一つそういう角度から多数の意見を公正に、ガラス張りの中で聞くと、こういう方法をおとりにならんと、関係官庁の高級幹部の間できめてしまうということになると、どうしても問題が起ると思うのですが、これらについて考究の余地がないか、又そういう意見が起つてないかどうか、その庁内において、政府部内において……その点。
  45. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 只今の虎の門事件その他につきましての御質問と思いますが、虎の門の問題は、これは決算委員会等におきましても審議されておりまして、経過は大体御承知のことと思いますが、あれは軍の財産の払下とか処分とかこういう関係ではございませんで、旧内務省時代から東京市に公園地として無償貸付をしておつたものでございます。その管理の状況が公園の実態を失うというような状態になつておりますことを大蔵省としても発見いたしまして、あれを元の状態に、従つて返還してもらつて筋の通つた処分をしようということで、今回のような措置になつたわけであります。これはちよつと問題がほかの問題と違うと思いますので、それから枚方問題につきましてもちよつと新聞等に記事が出ておつたようでありますが、これは大体昨年初めあたりからいろいろと検討しておつた問題でありまして、大体大蔵省としての方針がきまりまして、極く近い内に最後の形式的な払下げ手続が実行される、かような段階になつておるわけであります。まあ御指摘のありましたような土地の評価、その他の点につきましては只今衆議院大蔵委員会のほうでもいろいろ御調査になるというような話を伺つておりますから、まあ私どものほうでも、あの土地、建物、機械等の評価を決定いたしますにつきましては、余ほど慎重に大分時間もかけまして検討いたしてきめたわけでありまして、十分に御説明できるというふうに考えておるわけでございますが、まあ併しお話のような点もありますので、先ほど大臣からお答え申上げましたように、議員の調査等の結果等も十分に拝聴いたしまして善処したい、かように考えておるわけであります。それでまあ全体としての審議会のようなものを設置するかどうかという点でありますが、これはまあ絶対にそういうものは要らない、設置する必要はないというふうに私ども考えておるわけでありませんが、併しやはりこの国有財産処分というものは、御説の通りまあ非常に利害関係が多く起つて来る、運動も出て来る、或いは利権等を狙うというような者も多数出て来るというようなことでありまして、非常にむずかしい問題であります。やはりこれをやりまするには責任の所在というものがはつきりすることが必要じやないか。大蔵大臣が自分の責任を以て本当に厳正にしつかりした決定をやる、仕事をするということが、やはりこれは一番根本であろうと思いますので、審議会等を開くこと、設置するというようなこと、これはまあお話もございますので検討はしてみたいと思いますが、まあそういうものに責任を転嫁すると言いますか、そういうものにまあ下駄を預けてやるというような考えよりも、やはり本当にその仕事をやるべき衝に当つている者が本当にまじめに真剣に仕事をやる、これが第一段じやないかというふうに考えております。まあ併しお話のような点は十分にこれから一つ検討いたして考えてみたいと思つております。
  46. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今のあなたのお話で、責任ある者が一切の責任を負うということ、勿論それは必要でありますが、あとでそれが処分されてしまつてから、これは責任を持たんでも……、資料はある云々というお話ですが、大体評価に当りまして、現地へずつと私は行つて見ましても少し時代的にずれがあるのじやないかというように感じるのです。余りにも事務的に計算し過ぎて、今の経済情勢とちよつとマッチしない点があるのじやないか。事務的に非常に処理されて、成るほど事務的にはそうなつているということは一応わかるのでありますが、ちよつとその世間一般と遊離されたような評価方法をやつているように思つた場所が二、三あるわけですが、今年の正月にも休会中を利用しまして二、三の国有財産のある所を視察いたしまして、所管財務部の当局の説明を求めたし、その資料も一部もらつて参りましたが、どこへ参りましても一般世間で通用しておるところの経済常識とは遊離したようなそろばんを弾いておる。率直に言つて役人商売である。従つて役人のところへ利権屋どもが蝟集しておる、こういう結果を招来しておるように私は思うのです。従つてもう少し民間の人々とか、或いはその地方のこれに直接利害の関係のある人たちが加わつてこれが評価等に参画する、或いはその諮問に応ずるということになつたならば、その弊害は私は除去されるのじやないか、こういうふうに考えられる面が多多あつたのでありますが、これらについて管財局長は事務当局の最高責任者としてそういう考え方を認めないのか、そういうことがあるというふうなことを認めずに今やつておることがいいというふうな独善的な解釈でやつておるのかどうか、これを一遍伺つておきたいと思います。
  47. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 国有財産の評価は大変まあむずかしい問題でありまして、私ども決して今やつておることが絶対よろしいのだという、そういう独善的な意見は持つておりません。それで国有財産の評価につきましては、一応の基準と言いますか、いろいろなやり方がありまして、そういうふうなものに従つて出先で計算をいたしておるわけでありますが、その基準そのものがどうも実情に適しない点があるのじやないか、或いは御指摘のように少し時代遅れと言いますか、最近の実情に合わないというような点がありますれば、これはやはり常時うまく現在の実際に合うようにその基準そのものを改訂して行かなければならないというふうに考えます。いろいろ御指摘等もございますれば十分にそういうことも研究して考慮して参りたいと思います。それからもう一つ、基準等もきまつておりまして、その適用のやり方でありますが、基準がきまつてつて、その基準通り機械的に計算して出せばいいというようなことで、その基準がそういう点で実際に合つていないというようなこともありますので、この辺のところも確かに多数の評価の仕事を処理いたしますので、そういうような際には機械的に流れるという傾向も確かに起ると思います。その辺も一つ指導上十分注意いたしてやつて行くようにいたしたいと思います。  それから、そういうような評価につきましていろいろ審議会等を開くことはどうかというようなお話もありましたが、この点も非常に私どものほうにおきましてそういうふうなことをやつたらどうかというようなことで一時検討しておつたこともございましたのですが、まあいろいろ各方面の専門家の意見を聞くという点につきましては、これは現在でもいろいろの基準で計算いたしまするほか専門家、精通者の意見を聞く、それを参考に取入れるということは現在いたしておるわけであります。そういうような専門家或いは関係者等で組織される評価の審議会を作るということでありますが、これにつきましては確かに評価そのものの内容が公に出まして、いろいろな立場から検討されるというところで適当な点もあると思いますが、併し一方から言うと、どうしてもそういう場合にどうも適正な評価をすべきであるという意見もあると思いますが、どうもまけてほしいという意見も出がちでありまして、なかなかその辺のところは実際に当つてみますと運営がむずかしいのじやないかというようなふうに、まあいろいろ研究してみたのですが、考えてみた点もあるのであります。  なお、これは国有財産の評価は、一つ払下げ等に伴いまして評価が行われるのであります。現在国が持つたまま、そのままおる場合には評価の必要もありませんが、それを具体的に適用するというようなことはないわけで、処分される時にその必要が起るわけであります。そうなりますと、これは結局相手がある仕事でありまして、非常にまあ理想的な評価がなされましても、それで契約が成立しないとかいうようなこともあり得るわけであります。それは売れないから不当に安い値段で売るというようなことは、これは勿論考うべきではありませんけれども、やはり評価というようなことは相手にその値段で売れるというようなことがやはり最後の問題になつて来ます。いろいろその間におきまして評価審議会にかけると申しましても、いろいろむずかしい点があるのであります。殊に払下げを受けるものがきまつてから審議会にかけるということは、却つていろいろな弊害を招くのじやないか、まあいろいろ取越し苦労というような点もありますが、そういうような点を考えまして、前に一度研究してみたこともあるのでありますが、現在のところはそういうような審議会を作るというような考えは持つていないわけであります。
  48. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私考えまするに、まだまだ国有財産で今後処分して行かなければならんものはたくさんあると思います。従つて審議会或いは公聴会というようなものについても私は一応検討しておかなければならん問題だと思います。特に地元の人たち考えと中央で決定することと非常に大きなズレが出るというようなことになりますると、まあ第二の内灘までも発展しないといたしまして、これはまあちよつと性格が違いますが、同じような疑惑を残したままでこれがそれぞれの会社に払下げられたということになると、地方の、それから地方民の今後のその会社の運営に対する協力というような面にも、これは協力を受けないとやつて行けないので、これらについても常に疑惑を残しておいてはいかないと、私はそう思いますので、審議会或いは公聴会制度を一つ取入れて行くことを考えてみることが是非必要じやないか、こういうようにこの法案ちよつと見まして考えるのでありますが、提案理由を拝見いたしまして特にその感を深くする。で最近起つております諸問題をあの混乱のどさくさの際にやられたのではもう仕方がないというので、あの当時にはもう随分とどさくさにまぎれてうまいことをやつた人もあると思いますが、一々それが会計検査院のほうの決算報告で国会に出されておるわけですが、これをあとで取上げたところで、これはなかなかそう法律的にはうまく逃れられるようにちやんと整理ができていますので、容易にこれはつかむことができないので、やはりこれは処分をする前にやらなければならん。こういう考えから私はその二つの点を一遍検討願いたいと思う、それが第一点。  第二点は、今払下げをしなければならん、処分をしなければならん財産は一体どういう主立つたものがあるか。これに対して申請はどういうふうに出て来ているか、これを一つ是非とも資料として御提出を願いたいと思います。あとで起つてから我々追い廻しているのではなくて、起る前に転ばぬ先の杖ということが大事だと思う、起つてしまつてからはなかなかうまい汁を吸つた連中は吐き出せといつたつて吐き出しつこない。裁判なんかにかかつたら三年も五年もかかつてしまつて、その頃にはみんな忘れてしまうということになるので、転ばぬ先の杖が必要だと思いますので、現在起る前にこれだけは処分しなければならんとして持つておる大きな国有財産である、これに対してどういう方面から申請が出て、今その経過はどうなつているか。具体的に申しまして四日市の軍燃料廠を筆頭にこういうような資料を是非とも御提出を願いたいと思います。
  49. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 只今お話の諮問機関ですか、審議会を設置するというようなことは、これは一つお説もございますので、なお十分に研究してみたいと思います。それから今何か地元の意見を聞くというようなお話がございましたが、地元の意見は現在やはり徴しております。市町村長とか或いはその辺の精通者というような人の意見は現在でもそれぞれ意見を聞いてやつておるわけです。これは実際問題になるわけでありますが、地元の人の意見は私どもが実際聞いておりますと、もつと安くしてほしいという意見が多くて、余りこれでは安過ぎるという意見はめつたにないというのが実際の実情であります。これは私どものほうへ話をされる時だけそういうことが言われるのかも知れませんが、そういうような状態になつております。  それから現在問題になつておりまする大きな国有財産のことにつきましては、それは大体現在行政協定の一つとして提供中のものは差当り処分の問題がございませんで、現在処分の可能な状態にあります四日市とか豊川でありますとか、そういつたような大きな軍工廠の関係につきましては一括して資料を調製いたしまして提出することにいたします。
  50. 森下政一

    森下政一君 お尋ねいたしますが、土地なら土地の評価額の決定というものを、実際問題として省内でどういうふうにしてやつておられるのですか。具体的にそれを御説明になると現在やつておられるその手続がよくわかると思いますが、それを伺いたいのです。
  51. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) まあ土地の評価につきましては大体評価のやり方としていろいろの方法を併用しているわけでありますが、いろいろその土地状況から見まして近隣の土地等と比べて比準すべき土地をきめる。それによつて大体、国有財産の賃貸価格の等級もきまつていない土地も多いわけですが、どの程度の賃貸価格、何級ぐらいの土地であるかというようなことを一応きめてみるわけであります。そういうような手続によりまして、富裕税の課税に使つております場合の評価額、これをそのまま使うわけでありませんが、そういうものも出しております。それから或いは市町村精通者、固定資産を出す場合の評価額、かようなものも調べている。それから近隣の似たような条件土地の売買価格、これもなかなか適切なものがない場合もありますし、調べにくいのでありますが、かようなものをできるだけ調べてみる。いろいろそういうものも調べてみます。なおその附近の精通者、そういう土地の値段等についても精通者にいろいろ意見聞く、この場合におきましては銀行等の専門家に鑑定を依頼することがあります。いろいろそのような立場から評価を出してもらう、それを取りまとめて、総合的に幾らぐらいというような判断を下すわけであります。そういうような操作を大体出先財務局というようなところでやりまして、そういうようないろいろな調べを記載しました調書を作りまして、評価をきめるわけであります。それで財産の種類、大きさによりまして、財務局限りで評価して処分できるものもありますが、大きなものになりますれば所轄の財務局に参りまして財務局で更にそれを審査して決定する、更に今問題になつておりますような大きな財産になりますれば、大蔵省の管財局までその書類が参りまして、管財局で更にそれを審査して決定するということになります。管財局におきまして地方から参りました調書等を審査いたしました結果、これを訂正させるというようなことも実際において行われております。大体の手続はさような実情であります。
  52. 森下政一

    森下政一君 大体事務的にどうなさつているかということはそれで了承しました。さつき菊川君がお尋ねいたしました例の枚方造兵廠、あれはもう処分が近く行われるというように先ほど答弁伺いましたが、それは価格等の決定を見ているのであるか、その売先はどこであるか、それからどれくらいの面積の土地、そういつたことについて更に大要説明して頂けませんか。
  53. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 只今枚方の施設は、枚方のまあ元の海軍省の施設の内のいろいろ地区が分けてありまするが、現在大阪の大学で使つている地区なんかもあるわけでありますが、今回問題になつております地区は中の宮地区というところと甲斐田地区、山梨県の甲斐田地区でありますが、この二地区であります。それで払下げ価格は評価いたしましたところ、両地区を合せまして大体九億四千万円ぐらいかと思います。只今ちよつと数字を持つておりませんので、あとから詳しい数字を申上げますが、払下げの相手方は小松製作所、事務上の手続は昨年の初めの頃から話がありまして、だんだんと審査し或いは交渉いたしていると思いますが、昨年中に小松製作所に大体その程度の評価額、払下げ方針がきまりまして、現在のところは最後の払下げ契約を会社と締結するというその段階にまで行つているところであります。本省のほうの手続は中の宮の地区のほうについては済んでおりますが、甲斐田地区のほうについても大体すぐわかるような状態になつております。
  54. 森下政一

    森下政一君 それはひとり土地だけじやなしに、従来ありましたいろいろな建物、工作物、そういつたものも含んでいるわけですか。
  55. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 大体その土地とその土地の上にありまする建物、工作物、それから機械はその中で会社が使用しようというものだけ、一部はそのまま留保しているものもございます。大体そのようなことでございます。
  56. 森下政一

    森下政一君 それから土地の坪当りの単価が決定しておられるのか、どのくらいになつているのですか。
  57. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これも詳細の調書を只今手許に持つておりませんが、大体甲斐田地区というほうが坪当り平均しまして二百五十円くらい、それから中の宮のほうが三百円くらいになつておると思います。
  58. 森下政一

    森下政一君 それで小松製作所というものはそれを何に使おうとしておるのですか、それはおわかりですか。風説では火薬の製造所ということですが、そうですが。
  59. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 小松製作所のこの施設の使用計画といたしまして、大体砲弾の製造、その他重車両の組立、製造等を考えておるようであります。
  60. 森下政一

    森下政一君 今度の改正される法律案について少し伺いたいのですが、公共福祉用財産というものがなくなつて、公共用財産ですか、というものができるらしいのですが、現行法によると例えば公共福祉用財産というのにはかなり詳しい説明がありますですね。「公園若しくは広場又は公共のために保存する記念物若しくは国宝その他の重要文化財」そういつたものが今度の改正案ではなくなつてしまうわけですね。それが改正案では何ですか、公共用財産の中に包含されることになるわけですか。
  61. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 公共福祉用財産の中には、ここの条文にありますように、公園、広場というようなものと、そのほかに記念物、国宝、その他重要文化財と、ちよつと種類の違つた二つのものが現行法に入つておるのであります。それで公園、広場こういつたものは、それを現在では普通財産のほうの部分に入つております「道路、河川、水路、港湾、堤とう、みぞ又は溜池」といつたようなものは、現在普通財産の中の公共物という分類に入つておるわけであります。そういうものと性質が同じものでありまして、今回は公園、広場と現在国有財産になつておりますやはり公共の用に使用せられるもの両方が一緒に公共用財産ということになるわけであります。その他のほうは記念物、国宝、重要文化財でありますが、それは或る例えば国の公共福祉用財産でありますか、そのほかに分類される財産でありましても、国宝その他重要文化財に仮りに指定されますと、今度は公共用財産という分類に一応なると考えております。ちよつと分類の基準が財産のそういう性質、使用の状況から来る分類と、その他の国宝、その他重要文化財として指定するという規定は分類上少し齟齬しておりまして、今までのこういう分類の仕方でありますと、取扱上も工合が悪いというようなことで、今回はこの種の分類を廃止するわけでありまして、従いまして現在の財産で、国宝その他重要文化財については、それの性質によつて、国がこれを使用する状況によりまして、それぞれ他の公共用財産はいろいろあると思いますが、他の分類のどれかに入る、こういうことになると思うのであります。
  62. 森下政一

    森下政一君 それから頂いた説明の中にもあつたのですが、皇室用財産の使途、これはこの前までは国会の議決を経ることになつていたのを、当該財産価額の三百万円に満たない、年間三千万円に達するまでであれば、国会の議決を要しないということになるらしいのですが、何でそんなことをするのですか、邪魔臭いからではないですか。
  63. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは従来もこの法律の規定によりますると、皇室用財産にする場合には、他の如何なるものもすべて国会の議決を経なければならない、従いまして非常に極端な場合でありますると、ちよつと宮内庁等で物置を建てられたとか、便所を作るとかいうようなときでも国会の承認を、議決を経なければならない、こういうようなことになるわけであります。それでこの手続、面倒と申しては何ですが、こういうようなものまで入るということになりますと、実際問題としては申訳ないことでありますが、そういう小さなものについて便宜上手続を漏らした、漏らすというような事態もあつたわけです。それで最近会計検査院或いは国会のほうで、むしろこういう規定は、非常に事情に合うように直して行くように、やはり国会の議決を経て頂くくらいの価値のある或る程度のものだけをかけることにしたらどうか、そういうような意見もございまして、今回のような改正案を提案いたしたような次第であります。
  64. 森下政一

    森下政一君 実情としてはどうなのですか。国会の議決を経なければならんのを、漏らしたというのは、例があつたかも知れませんが、事実そういう小さいもので国会の議決を経たという事例はないのでしような。
  65. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) まあ余り非常に小さいものは、申訳ないことでありますが、かけていなかつたわけであります。そのためにやはり会計検査院等からもそういつたことは不適当ではないか、むしろこれは法律上出すこともいいが、やはりこの法律を或る程度実情に合うように改正したらいいじやないかという意見もかねがね承わつていたのであります。
  66. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 一つ私は資料要求をしたいのですが、具体的な例として、名古屋の熱田の支所長が二度ほど変つているわけです。これはどういう理由で変つているのか、具体的な資料が欲しいのですが、お示し願いたいと思うのです。どういう理由で……。
  67. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 只今のところ手許にございませんので、取調べまして提出いたしたいと思います。どういう理由と言いますと、更迭の理由でございますか。
  68. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうです。或いはやめているわけですね、退職の……。私もそれについて具体的な資料を持つていますから、あなたのほうの資料と、私の具体的な今持つている資料というのは幾らくらい違うのか、それを参考にしておきたいと思うから……。
  69. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 調査いたしまして……。
  70. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  71. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて。  午前はこの程度にいたしまして休憩いたします。午後は一時より再開いたします。    午後零時一分休憩    —————・—————    午後一時五十三分開会
  72. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引続きまして会議を開き国有財産法等の一部を改正する法律案について質疑を願います。
  73. 小林政夫

    小林政夫君 逐条的に……第三条の今度公共用財産という費目を行政財産の中に作つて、その中で国において直接公共の用に供し又は供するものと決定したもの、次に第三号の皇室用財産についても、又は供するものと決定したもの、この決定をしただけですぐ所属替をする、こういうことですね。
  74. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは大体公用財産関係におきましては、現実にその用に供しておるという場合に、それぞれその用途におきまして公共財産等に整理することは勿論でありますが、そういうふうに予定されてきまつておるものから、例えば土地につきまして言いますると、その土地の上に例えば官庁の建物を建てることにきまつておる敷地、こういうようなものはやはりそういう意味公用財産に整理する、こういうことにしておるわけでございます。それで従来の規定におきましては、皇室用財産につきましては、現実の用に供しておるのだけがその公用財産で整理されることになつておりまして、他の財産の区分と違いまして、いわゆる予定されておるもの、これが入つておりませんでしたが、これをそろえまして皇室用財産につきましてもこれを入れました。
  75. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると予定されたものは所管換をする必要が起つて来たときの経理はどうなるのですか。今まで例えば大蔵省所管であつたものが、今度は宮内庁のほうへ所管換をすると決定したものという段階において、有償において振替えをする、こういうふうにやるわけですか。
  76. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは関係官庁の間の話合いがきまりまして、そういうような、どういう官庁の公用に供するということが決定いたしましたら、その段階におきまして所管換の手続きをする。
  77. 小林政夫

    小林政夫君 所管換の手続をするということは、経理的にはつきり授受を了するということですね。
  78. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) さようでございます。それから有償というようなお話がありましたが、これは特別会計との間で所管換をいたしまする場合には有償の場合もございますが、普通には一般会計の官庁問で所管換をいたしておりまするような場合には、無償国有財産所管の上で帳簿を書換えて整理いたすだけでございます。
  79. 小林政夫

    小林政夫君 次の八条も「政令で定める特別会計に属するもの及び引き継ぐことを適当としないものとして政令で定めるもの」の内容はどうですか。
  80. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは国有財産法施行令に定まつておりまして、その第四条と第五条であります。内容をちよつと申上げましよう。そこに「政令で定める特別会計に属するもの」とありますが、これはこの特別会計といたしましては造幣局特別会計、印刷局特別会計、厚生保険、労働者災害補償保険、食糧管理、国有林野事業、国営競馬、アルコール専売事業、郵政事業、簡易生命保険及び郵便年金、船員保険、国立病院、こういうような企業的な計算をしているような特別会計は除外されております。それから引継ぐことを適当としないものとして政令で定めるものというものがございますが、これは政令の第五条のほうにきまつているわけでございますが、第一に「交換に供するため用途廃止をするもの」、それから第二が「使用に堪えない建物その他の工作物及び船舶で取こわしの目的をもつて用途廃止をするもの」、第三は「浮標、浮さん橋及び浮ドツク」、第四といたしましては「前各号の外当該財産の管理及び処分大蔵大臣においてすることが技術その他の関係から著しく不適当と認められるもの」、こういうようなものは用途を廃止して普通財産になりましても大蔵大臣に引継がないで処理するということになつております。
  81. 小林政夫

    小林政夫君 そういう引継がないものの経理はどうなるのですか。
  82. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これはそれぞれ大蔵省以外の各省の所管の普通財産として、その省で処理されるわけでございます。
  83. 小林政夫

    小林政夫君 それで普通財産として処分するという場合に、まあ価値がないものとしてゼロに評価した場合には、その帳簿から処分損ですからというようなことで経理……まあこれは官庁簿記と民間簿記と違うと思いますけれども、どういうふうにその予算との関係はなるのですか。予算との関係においてはどうなりますか。
  84. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これも国有財産としてそのまま保有しておる場合には、そのまま国有財産の所管の台帳に上つて財産として整理されております。まあこれをいろいろ処分する場合には処分したという整理をする。有償で処分すれば、それは当然処分代金の収入が、これがまあ現金の歳入に上つて参ります。
  85. 小林政夫

    小林政夫君 まあ有償で処分した場合は問題ないですよ、金が入つたときは……。使用に堪えず屑として破棄した場合、今ちよつと例示されたようなものの中にはそういうことがあり得るのですか。
  86. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これはまあ大抵の場合でありますると、まあ使用に堪えないと言いましても、屑その他の関係処分代金が出て来ますので、まあそういう代価で処分されたことになりまして、台帳から落されるのですが……。
  87. 小林政夫

    小林政夫君 その差額、台帳に載つておる価額と、それから処分価額が低い場合……。
  88. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは何といいますか、処分価額で台帳を減額すると、こういうことでありませんので、台帳に載つておりますのは一応の帳簿価額でありまして、処分するときには別途その処分するときの状態におきまして評価いたしまして、その値段で処分するわけであります。従いまして物件が全部処分されてしまえば、代金が帳簿価額よりも多い場合もありまするし、少い場合もありますが、そのものが帳簿から落されるということであります。
  89. 小林政夫

    小林政夫君 それで帳簿価額が高くて、実際に売つたものが低いという場合の差額は、この予算書に現われないというのですか。たとえ十万円の記帳価額のものを五万円で処分して、我々民間企業ならば五万円の雑損が出るのだが、それをあなたのほうだと五万円の現金収入、収入に五万円だけ上つて、財政支出のほうは伴わないことになるのですか。
  90. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) まあお話の点御尤もでありますが、要するにまあ国有財産の帳簿価格というものは一応のまあ国有財産の処理の系統だけの帳簿を整理する価額になつておりますので、その帳簿価額についておる財産処分しますれば、その帳簿価額の数量を落すという整理をいたすわけであります。それで処分代金のほうはその時の処分代金が歳入に上つて来る。それに現金関係の予算に現われまする歳入歳出の関係国有財産の帳簿価額及び数量整理の関係は、まあ簡単に申しますれば、別系統でやつておるわけであります。
  91. 小林政夫

    小林政夫君 これはまあ相当研究しないと、それは勝手に、何年か前の予算では物を買うということが財政支出に出ておつて、買つた品物はそういう財産目録に上つておる。ところが午前中の討議でも非常に問題になつて安く売つたとかいう場合の損はちつとも、まあ決算委員会或いは会計検査院で指摘すればわかるけれども、この予算書を見ただけではわからない、むしろ次年度、後年度の予算書においては財産処分収入として上つて来る、金が入つて来る、収入ということでいいじやないか、こう思つているが、その実は損をしておるかも知れない、大福帳だからこれはしようがないのかな。
  92. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 只今の御心配の点でありますが、これは実際問題としまして帳簿価額は常時時価で改訂する、こういう整理をしておりませんので、取得のときの帳簿価額その他そういうときにきめた帳簿価額のまま整理しておる。従いまして、実際問題といたしましてはお話のように帳簿価額以下で処分して損が出ると言いますか、一見安く処分したような感じを受けるというような場合は少いわけでありまして、大抵の場合は帳簿価額の数倍の価額で処分いたしておるというわけであります。ただ帳簿価額より多いからといつて、従いまして適正な値段である、時価相当である、こういうお話にはならない。実際問題としては帳簿価額より多い値段で、何倍かの値段で処分されるという状態であります。
  93. 小林政夫

    小林政夫君 それは貨幣価値だけで言つておる評価で、むしろ国有財産についても再評価すべきだ、ちやんと……。そうして実際の財産というものは今物価が幸いに上つておるから、そういうことが言えるのであつて、そういう金銭的にただ何倍かになつてつても、実際の価値というものはむしろ下つておるのじやないか、そういう点ははつきり国の財産として管理する上においてははつきりしなければいかん、これが問題点だが、現状がそうなつておるということがわかれば結構です。
  94. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) ちよつと御質問の点と違うかも知れませんが、御参考のために申上げます。先ほど取得の時の帳簿価額そのまま整理しておると申上げましたが、国有財産法の規定によりまして、これは五年目に一回ずつ全体で総合評価をいたしまして、その時の時価で評価をする、こういうような規定がございます。それで二十七年の三月三十一日現在ですか、最近の時期としましては……。その時の現在で総合評価をいたしております。それによりますと大体帳簿価額の全部平均しまして三倍くらいの価額になつておるのであります。そういうようなことを一応はいたしてはおるわけでありますが、ただ実際処分するときになりますると、勿論時期も違つて来ますし、それからやはり総合評価の場合には全体としてかなり全体の資産を再評価いたしますので、簡易な基準を設けて評価しております。先ほども申上げましたようにいろいろなまあ調査をいたしまして、その時の実情に適した値段をきめておる、こういうことになつておるわけであります。
  95. 小林政夫

    小林政夫君 これはもう国は日本国の金持なんですから、我々が一つのものを処分するというほど慎重に考えないことはもうたしかだと思います。そういう点で安く処分するとか何とか、それは競売の都合によつては高くなる場合もあるだろうけれども、相当この財産管理については一品々々おろそかにいたさないという配慮が望ましいと思う。この出された資料だけを見ても、財産の総合計額はこのもらつた資料で二千七百六十二億ですか、国有財産の算出額……。
  96. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) この二十七年三月三十一日現在の国会のほうに御報告申上げてあります数字は、二十七年三月末の台帳価額といたしましては二千七百六十二億六千二百七十二万円、こういう数字になつております。それから先ほど申上げました総合評価ということでまあ簡易な方法でありますが、一応評価いたしましたものが八千八百三十四億四千六百五十二万円、こういう数字になつております。
  97. 小林政夫

    小林政夫君 まあ次に行きます。今度は今まで皇室用財産と、それから公共福祉用財産を取得し或いは処分するというときには国会の議決を経なければならない。今度皇室用財産はそのまま国会の議決を経るについて多少緩和をしてやる、公共福祉用財産は全部国会の承認を経なくてもいいというような変更になりましたね。これは非常に大きい変更だと思う。この趣旨はどういうわけですか。十三条の改正でそうなるのじやないのですか。
  98. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 皇室用財産の取得の関係につきまして一定の限度を設けました点につきましては、先ほど御説明申上げた通りでありますが、公共福祉用財産につきましては、これは今回の第三条のほうの改正で、公共福祉用財産という分類がなくなりまして、それぞれ公用財産、公共用財産、皇室用財産、企業用財産、それぞれ種類に従つて整理されることになる。それらの財産として処理すればよいのであつて、特にここに挙つておりますものだけについてこういう特別な措置をする必要は、これはこれらの財産の性質から言いましてもないように考えまして、これを三条が改正になります際に廃止したわけであります。
  99. 小林政夫

    小林政夫君 それはこういうふうに改正すれば当然受けなくてもいいのですが、そもそも公共福祉用財産最初国会の議決を経なければならんとした当時の立法の趣旨はどうなんですか。当時から考えても、今のようにこういうふうな言い方だつたら、この法律制定の当時の公共福祉用財産でも国会の議決を経て取得したり、処分したりするようなことをしなくてもよさそうなものですね。
  100. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) この点は、公共福祉用財産と言いますのは、ここにありますように公園、広場或いは公共のために保存する記念物、国宝、その他の重要文化財、こういうようなものでありまして、それぞれ重要なものということは間違いないと思いますけれども、そういう意味におきまして当初この第十三条で国会の議決を経るというような規定もあつたのだというふうに考えておりますが、こういう規定が皇室用財産と一緒に公共福祉用財産にもございましたのは、やはりその当時の事情があつたかと思うのでありますが、現在になりまして、これを見てみますると、他の行政財産と特に区別して取扱うほどの、それほどの重要性もない。他の行政財産におきましてもここに掲げられましたような程度の重要性を有するものもございまするし、従来のこの公共福祉用財産に該当するものでも他の行政財産に比べてそれほどの重要性を持たない場合があるのに、特別にこういうようなものだけにこういう国会の議決を経るというような条項を存置する必要もない。今日まで当り前に考えていると思われますので、そういうような意味で排除いたしたのであります。
  101. 小林政夫

    小林政夫君 どうもその点よくわかりませんが、先ほどのお話の第十五条を読むと、所属を異にする場合において、有償として整理するものとする。「但し、国において直接公共の用に供する目的をもつてこれをする場合であつて、当該財産の価額が政令で定める金額に達しないときは、この限りでない。」、こうあるのです。だから原則として異なる会計間の所管換の場合は有償として整理するはずなんですね。ただ有償として整理をしなくてもいい場合は「直接公共の用に供する目的をもつて」こうなるのですが、これの意味と、それから経理の方法ですね。
  102. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 十五条の改正の関係でありますが、これは大体特別会計と一般会計相互間におきまして、所管換をする場合について、やはりそれぞれ特別会計の経理の関係がありますので、有償として整理しないとその特別会計の経理上支障を生ずるというようなことで、これはまあ有償として整理することになつておるわけでありますが、ただここにありますように国が公共用財産でする場合に、具体的にここにありますように道路、河川、水路、港湾、或いは公園とか広場とか、こういうものが入りますが、そういうようなものに使う場合はこれは無償でする、こういう規定に現在はなつておるわけでありますが、こういつたようなものは国が直接公共の用に供するものでありますので、その意味で現在までのところはどの会計に所属しておる財産でありましても無償で整理すべきであるということでやつておつたわけでありますが、現行法の規定によりますると、非常に財産価額の大きいものが或る特別会計から無償でこういう公共の用途に供せられて外されるというようなことがありますと、この特別会計の経理に相当影響を及ぼして来ますから、そういう場合にはやむを得ず適当と思われませんので、或る程度小さいものはいたし方ありませんけれども、大きなものはやはり有償制度といたしまして、特別会計の経理がうまく立つて行くようにいたしたいというのが今回の改正の趣旨であります。
  103. 小林政夫

    小林政夫君 大体わかりましたが、異なる会計間というのは、特別会計と一般会計との間、或いは特別会計相互ということですね。
  104. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) そうです。
  105. 小林政夫

    小林政夫君 今の金額は幾らですか。政令で定める金額は……。
  106. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは大体百万円以上というふうにきめるように予定いたしております。
  107. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 残余の質疑は後日に譲ります。   —————————————
  108. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に保険業法等の一部を改正する法律案議題といたしまして質疑をいたします。
  109. 小林政夫

    小林政夫君 航空保険事業の状況を知らせてもらいたい。火災保険資料を前にもらつておりますが、できればこういう資料が欲しい。
  110. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 航空保険につきましては、御案内の通り終戦後占領軍によりまして日本の民間航空は禁止をされたわけであります。その後昭和二十五年の十月に民間航空が再開せられ、更に昨年四月講和条約の発効と共にこれらの航空機の所有、運航等が全面的に自由といいますか、になつたのであります。定期空航初め通信、新聞、宣伝、遊覧等のおのおのについて航空機の利用が非常に盛んになつて参りました。これに伴いまして航空保険事業というものも随時国内において復活をして参つたのでありますこれは御承知のように戦前には十分活溌にやつておつたのでありますが、復活をいたしました現在では、これを取扱つておりますものは十三社が事業をやつております。大きな損害保険会社が大体やつておる、こういうことであります。航空保険事業の内容は、これはおわかりだと思いますが、大体第一は航空機の保険、これは海上保険でいいますと船舶の保険と同じで、航空機が墜落をいたしましたとかいうことで損害を受けた場合の保険、それから第二は航空運送保険でありまして、航空機によつて運送せられる貨物の損害を保険する。それから第三は航空責任保険と申しまして、航空機の所有者とか管理者、或いは所有者が航空機を管理することによつて、個人の生命とか財産そういつたものに損害を与えた、墜落をいたしまして人の家を壊した、或いは人を殺したとかいつたような場合におきます損害賠償の責任これを保険する保険、この三種が大体現在行われております。最近までの契約の数字を御参考までに申上げておきたいと思います。昭和二十七年四月から二十八年三月まで一年間、大体本格的に始めましたのが去年四月頃からでありますが、その間における契約の状況を申上げますと、新契約におきまして元受が百三十六億であります。それから再保険が九十三億、収入保険料がこの一年間に元受保険料として六千九百万円、再保険料といたしまして三千八百万円、合計一億七百万円、支払保険金は割合損害が少かつたのでありますが、元受における支払い保険金が六百万円、再保険の支払いが十万円ということになつております。
  111. 小林政夫

    小林政夫君 この法律によつて、独禁法の適用を排除しようとする航空保険事業の共同行為は、一体どういう共同行為を予定しておられるか。
  112. 河野通一

    政府委員(河野通一君) それはいろいろな問題があると思いますが、第一は料率の協定であります。保険料率の協定、第二は再保険のプール協定、これはもう御承知のように海上保険にいたしましても、航空事業保険にいたしましても、これはどうしても再保険ということに、危険がかたまりますからどうしても再保険を付さなければならない。そういつた場合の再保険のプールを作るわけであります。再保険プールの協定、又引受額が金額が非常に大きいものでありますから、元受におきましても共同引受ということを行うのであります。そういう元受の場合における共同引受けの協定と申しますか、そういつたふうなものを行うのが主たる共同行為であります。
  113. 小林政夫

    小林政夫君 外国保険事業者に関する法律の責任準備金の名称は、今まで未経過保険料準備金とあつたのを責任準備金に変える。これはただ国内の保険事業者の今の保険業法と、外国保険事業者に関する法律との用語の統一という説明があつた。ところが中をよく読んでみると、今までの外国保険事業者に関する法律にも責任準備金という言葉があり、責任準備金及び未経過保険料準備金という言葉がある。そうすると今までの外国保険事業者に関する法律においてはその区別はどうであるか。全然素人だから一つわかりやすく話をして頂きたい。
  114. 狩谷亨一

    説明員(狩谷亨一君) 外国保険事業者に関する法律におきまして保険準備金という用語を現在まで使つておりますね。生命保険についての場合、損害保険に関しましては未経過保険準備金という用語を使つております。ただ日本の保険業法から申しますと、生命保険についての準備金も損害保険の準備金とひとしく責任準備金という用語を使つております。その責任準備金という用語を使つたほうがやや内容的にも広いように思いますし、外国の保険会社についても同様の用語に統一しておいたほうがいろいろな面で便宜であると考えて、この際生命保険の場合と外国保険事業につきまして、生命保険と損害保険の場合の準備金の名称の区別を設けないことにいたしたのであります。
  115. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、責任準備金ということの中には、今までいろいろ言つて来た未経過保険準備金も同じ準備金だから、結局責任準備金に含まれている、こういうことですね。
  116. 狩谷亨一

    説明員(狩谷亨一君) そうです。
  117. 小林政夫

    小林政夫君 「責任準備金ノ計算二関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」とありますが、どういうことを定めようとするのか。
  118. 狩谷亨一

    説明員(狩谷亨一君) この内容につきましては、生命保険と損害保険で若干相違して参りますが、現在でも保険業法施行規則に責任準備金に関する計算方法につきまして生命保険、損害保険の内容を分けて書いてあります。大体その内容を踏襲してよかろうかと考えております。それにつきましては、保険業法が問題の法律でございまして、法律上の根拠がなしに、はつきりした根拠がなしに省令で書かれていたという形態でございますので、それについての他の戦後の法律に合わせるべく、はつきり法律上の根拠をおいておきたい。又そういうふうにしないで現在省令になつている分の改正を要する場合においても根拠なしの省令ですと、私ども改正できないというような事情考えていたしたのであります。
  119. 小林政夫

    小林政夫君 これはひとり責任準備金のみに関係したことではないのでありますが、企業会計と税法上の経理と、そうして例えば証券取引法による経理というものが勘定科目その他の経理、こういうものは準備金の経理のつけ方につきましてまちまちだ。今度はそれを配慮してきめようというのか、今の説明ではちよつとそういうふうに暗示されたように思うのだが……。
  120. 狩谷亨一

    説明員(狩谷亨一君) 業法上に積立てます方法と、税法上のものとは原則的には一致するのが好ましいと考えておりますが、必らずしも全部その建前で参ることには行かないだろうと思いますが、根本原則としては実際にはおのおの違つた角度でもつて、片一方は積立義務がある。片一方はその積立てる義務を否認するということも、場合によつては起り得ると思います。
  121. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、税法上は別として、商法関係の企業会計、オリジナルな経理の方法と、それからこつちの特別に業を規定するこの保険業の経理の基準とは合わせる。少くとも税法関係とは或る程度違つても、こつちとは合わせるということですか。  今大体三通りになるということですね、その点を何とか少くとも二つは平仄を合わせるとか、それからたまたまここで政令で定めようとしているならば、そういう点を考慮されるのかどうか。
  122. 狩谷亨一

    説明員(狩谷亨一君) 商法の原則とは可及的に一致するように考えております。ただ保険業法のような特別の業法につきましては、例えば商法で課されていない義務を更に課すという場合も、業法の特殊性として出て来ることはございます。一例を申上げれば、保険業法の八十六条の準備金と我々は通常言つておりますが、これが有価証券等の評価益とか、或いは売却益とかを準備金に積立てるという制度、これは今度は評価損或いは売却損を差引いた残額を積立てるという規定になつて、おります。これなどは商法にはそれに該当する規定は、先般の商法大改正の場合に、ややそれと似たようなものは出ましたが、それと全く同じものはない。新らしい義務を業法で課しておる。原則的には一致すべきものである。ただやはりそういう例外が若干は起つて来るということで御了解を願います。
  123. 小林政夫

    小林政夫君 三本建と言いましたが、四本建なんですけれども、この証券取引法関係で届出をする。今度はこれを相当法文には弾力性のある規定になるようですが、少くとも証券取引所へ届出をする書類と、この法文とは合わすんですか。
  124. 狩谷亨一

    説明員(狩谷亨一君) 証券取引法関係におきましては、特別法があります場合には特別法が優先することになつております。保険業法による提出書類作成は、財務諸表が優先的に適用されるということになつております。
  125. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この前の国会におきまして、当委員会を通過したのと同じ法律案でありますが、あの時にも御説明を承わつたんですが、どうもちよつと納得の行かん点が二、三点ございますのでお伺いいたしたいと思います。  第一は、航空保険事業についての私的独占適用除外ですがね、これは海上保険と同じく、これをしなければならんという理由は、どうもまだ納得できないのですが、どうしてもこれは適用を除外せんとやれないのですか。
  126. 狩谷亨一

    説明員(狩谷亨一君) 今回の改正を実施いたしませんと、保険料率についての共同行為はできませんし、それから更に再保険のプールを作成いたします関係につきましても、独占禁止法の適用を受けるとできないと、こういうことになると思います。そこで航空保険事業について今申上げたような料率の協定とか、或いは再保険プールということができないということになりますれば、或る一つの規定の保険を例にとりましても、かなり莫大な金額に上るだけに、保険の引受けが困難になつて来る。即ち現在航空保険を認可されております会社が十三社ばかりあつたかと記憶いたしますが、その十三社が共同引受けをして、共同して保険を引受ける。或いは共同して再保険を引受けるという体制にしまして、できるだけ国内で消化を図りまして、その残りを出再するという仕組みを考えたいのでございます。日本の会社が引受ける部分が、共同引受けが禁止されますと非常に小さくなる、ということは保険の引受けが困難になる。こういうことになろうかと思います。又料率の点につきましても、航空保険事業につきましては、これは国際的な性格がございまして、ロンドンのマーケツトのレートが基準になりまして決定されるのが自然でございまして、ほかの火災保険等の場合と違いまして、料率算定会で算定し、それを主務官庁で認可するというような形式になりますならば、実情に副わない場合が多いかと思います。ロンドン・マーケツトのレートを基準にいたしまして、各会社の協定によりまして、料率を決定するということのほうが自然でございますし、且つそれによりまして、契約者その他被保険者の利益を害するということが予想されない。即ち国際水準から予想されないというわけでございます。さように考えているものでございますので、この独占禁止法の適用排除の規定は是非必要だと考えております。
  127. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今度の、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案。これは別途提案されているんですが、そうすると、この私的独占のほうを改正いたしまして自然にこちらに及ぶ、こういうふうにならんのですか。この点はどうですか。そのほうの法律改正によつてできないのですか。
  128. 狩谷亨一

    説明員(狩谷亨一君) これは、いずれのほうを改正いたしましても、実施可能な問題でございますけれども、今までの独占禁止法の建前といたしまして、個別の、特定の事業に関する適用排除の問題は各業法のほうで書くというのが例になつていたように承知いたしております。例えばこのほかにも、海上運送法でございましたか、法律の名前をちよつと忘れましたが、船舶運送業者に関する問題について、独占禁止法の適用除外をいたしている事例がございます。保険事業特有の独占禁止法適用除外につきましては、従来保険業法に書いておりましたのでございます。
  129. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、この次に議題になりまする証券取引法の一部を改正する法律にも関連がありますので、銀行局長にお尋ねしたいのですが……。
  130. 小林政夫

    小林政夫君 今の問題でちよつと。十二条の三「保険料率二係ルモノヲ除ク」とあるが、先ほどの共同行為の、保険料率を共同するのだという、これはどういうことなんですか。
  131. 狩谷亨一

    説明員(狩谷亨一君) 現在、保険業法の十二条の三によつても、独占禁止法の適用を除外している形、二つの形がございまして、一つは、或る一部の海上保険に関する適用除外であり、第二は、海上保険業以外の一般の保険事業についての適用除外が、海上保険の部門につきましては、共同行為をいたしますについて、原則的に、すべて独占禁止法の適用除外を受ける。こういう形になつております。ところが海上保険以外の事業につきましては、この法律の中のイロハと列挙されましたこの項だけが適用の除外を受けるという趣旨でございます。従つて口のところに保険約款の内容の決定とありまして、保険料率に係るものを除くと、こう書いてございますと同時に、保険料率については口に属する場合においては共同行為ができないということになつて参るわけでございまして、先ほど私御説明いたしましたように、航空保険事業について、現在海上保険事業以外の保険事業に入つて参りますから、保険料率に係る共同行為はできない、こういうことになつて参ります。この点が非常に工合が悪い点の一つであります。
  132. 小林政夫

    小林政夫君 第二項は今度の改正による海上保険事業、航空保険事業以外の保険事業というわけですね。
  133. 狩谷亨一

    説明員(狩谷亨一君) そういう意味です。そこで第一項から第二項に移すわけです。
  134. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今保険事業法の改正の出て来る中で、この次の証券取引法の問題と関係あると思うのですが、今東一京海上のごときはどちらかというと株式取引市場におきましては、仕手戦というので弄ばれているということになつているのですが、元来が保険会社の性質上あのような仕手戦の花形になるというようなことは、僕はちよつと保険会社としては余りいい傾向ではないと思うのですが、銀行局長はああいうことは大いに結構だと思うのですか。というのはどの保険会社の株式の値段を見ましても、いずれも高い、額面を比べまして。こういうふうな状態にいつまでも放置しておくつもりか。これは指導に当る大蔵当局としてはどう考えているのか、この点一つ伺いたい。
  135. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 保険会社の、殊に損害保険会社の或る一部の株が仕手株として相当証券市場で取扱われていることは事実であります。保険会社というものが非常に公共的な性質を持つているのであつて、私はその株式が余り投機的に弄ばれるということは適当でないと思つております。ただ併しこれは適当でないからと言つて、それに対する措置方法はなかなかむずかしいと思いますので、そういつた点をできるだけ緩和するという意味におきましても、先般東京海上につきましては相当大幅な増資を実行いたしました。増資がまた逆に利用されるという点もあるのでございますけれども、そういうことによりまして、できるだけ、株が少いということがやはり仕手株になる原因の大きな理由になつていますので、相当大幅な増資もいたしましたし、それによつて市場に株も相当出て参りました。そういうことでできるだけそうした投機的な取引の対象からこれをはずして行くように私どもは希望いたしている次第であります。
  136. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つお尋ねしたいのは、今の株式市場におきまして保険会社と、その次には保全経済会が一番有力な手筋だということを言われているのですが、これは経済雑誌なんかでもそういうことを指摘しておりますが、この保険会社が余りに株式に手を出すことは、去年の暮から今年の正月にかけてのような好調な時にはまあ危険がないのですが、一旦これが逆になりますと非常に危険があると思うのです。これには勿論保険会社の公共性に鑑みて限度があることは、何条でしたかあると思うのです。見たことがあると思うのですが、ところがそれにもかかわらず、今や大手筋として兜町を席捲している、こう言われているのですが、一体動いているのは、どのくらい売り方に出されているのか、それの占める割合等についてはあなたのほうも御調査になつていると思いますが、これを一つ御発表願いたいと思います。
  137. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 数字の点はあとで保険課長から申上げます。保険会社の仕事の性質或いはその資金の性質から見まして、これが長期に安定した産業資金を供給するという使命は、保険会社として非常に大きいと私ども考えております。これは銀行といつたような短期資金を扱つているものと違いまして、生命保険と損害保険は若干実情は違いますが、生命保険等につきましては特に長期の資金を、安定した資金を扱つている。従つてできるだけ長期の安定した資金として産業界にこれを投入することが極めて必要な仕事だろうと思うのであります。戦前から御承知のように保険会社というものは、相当これらの株式資本、有価証券の形における産業資金というものの非常に大きな一つの担い手であつたことは御承知の通りであります。今後におきましても私どもはやはり長期の資金を受けているものは、やはり長期の安定した産業資金を供給する機関として、その重要性を認識してもらわなければならん、こういう基本方針については変つておりません。ただ問題は、ややともすればそれが投機的に流れるということがあつてはいけない、できるだけこれらの生命保険会社にしても、損害保険会社にしても、その有価証券投資というものは投資として飽くまでやるべきで、投機的な利潤を上げるといつたような考え方からはやるべきでないというふうに私ども考えております。これは保険会社の当事者としても恐らく基本的な考え方については変りはないと私は考えております。なお、ただ株式等につきましてはやはり市場の状況によつて非常に大きな騰落がありますので、保険会社の資産の非常に大きな分をこれに固定してしまうということになりますと、契約者の利益というものを保護して行かなければならんという公益的な使命を持つております保険会社として、非常に不安定なことになる虞れがありますので、総資産の中で一定の割合しかこれらの有価証券に対する投資はできないというふうに指導いたしております。  なお、現在の証券市場において保険会社はどの程度出ておつて、どの程度のウエイトを占めているかということは的確にはちよつと掴めませんけれども、保険会社が大体株式その他についてどのくらいの投資をしているか、残高くらいでありましたら今すぐわかりますが、証券市場において売買の中に占めておるウエイトはどの程度かということは、ちよつと今はつきり掴めないのであります。
  138. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 お話は原則論で、銀行局長の御答弁は非常にいい。その通りだと思うので、別に異議はないのでありますが、巷間伝えられるところによりますると、最近におきましては、この株式市場に出動することに非常に保険会社は熱心でありまして、而もややともすると損をした場合には存外会社の負担になつてつて、儲かつた時にはややともすると重役の儲けになるような経理操作がやられているという噂さがあるようですが、これは僕は調べたわけではないので、ただ単に噂に過ぎないのでありますけれども、そういうこともやり得る余地がこれは保険業法の中にあるとするならば、会社の管理上重要な問題だと思うのですが、今は一体にそういう危険な会社はございませんが、過去におきまして二、三の会社はそういうことで倒れた例がこれは確かにあるわけであります。倒れかけたために合併したというような事実があつたわけでありますが、これらの監査は一体どの程度まで大蔵省のほうでやつておられるのか、これを一つお聞きしたいと思います。
  139. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 一般の事業の中でも特に公共的色彩が強いという観点から、保険会社につきましては銀行等の金融機関と殆んど同じ程度の強い監督規定を設けております。検査等も常時これを綿密に行なつておるのでありまして、今お話のように個人と会社との関係を、まあ株の問題にしても利益があれば個人のものにし、損があれば会社のものにするというようなことは、これはもう保険会社に限らず、一般の事業会社だつてそういうことは許さるべきことじやない。いわんや保険会社等の公共的な性質を持つているものについては絶対に許さるべきものでないと私は信じておりますし、そういうことは或いは何と申しますか極めて例外的な場合にそういう不心得な人が絶対にないということも言えないかと思いますけれども、私はあつたにしても極く本当に稀な例ではないかと思います。言葉は非常に悪いのでありますけれども、そういうことは、やつて悪いことはもうこれは明らかにしておるのでありまして、ただ私どもも数多い保険会社の役職員の方々を一々個々の人まで私どもが紐をつけて監督するというわけにも勿論参りません。そういうことがないように常に経営者のかたがたにも御注意を願つておりまして、検査等を励行いたします。ことによつてそういつた不始末ができるだけないように注意はいたして参るつもりであります。
  140. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、簡易保険の限度の問題とこの保険業との間に常に、一方簡易保険の仕事をやつている人は限度を増額せい、こう言つて来るし、一方の保険会社のほうでは、そういう簡易保険が余り限度を増額するということになりますと、業界圧迫になるからしてこれは抑えておけと、こういう二つの争いがあるわけでありますが、併しどんどんベース改訂その他で以つて情勢が変つて来ているのだが、簡易保険の限度につきまして、銀行局の方針大蔵省方針としては今のままで当分これを据置くつもりであるか、成る程度ベース改訂その他から考えて少し増額を考えておられるか、これを一つお伺いしたい。
  141. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 一般の民間の生命保険と簡易生命保険との分野の問題につきましては、まあ長年の問いろいろ議論があつた問題であります。その一つの最も端的に現われた問題が契約限度の問題でありますが、お示しのように、結論を先に申上げて恐縮でありますが、現在の簡易生命保険の限度八万円というのをこの際上げるのは、私どもは適当でないと考えております。これにつきましてはまあいろいろな観点から理由が申上げられると思うのでありますが、全体の物価の状況或いは通貨価値の変動等に応じて、これらの限度が逐次引上げられて行くことにつきましては、これはもう私ども勿論異論はないのでございますが、簡易生命保険というものがやはり民間の保険会社においてカバーできないようなものを社会政策的にやつて行くというのが国営の生命保険の本質であろうと私ども考えておるのであります。従いまして、現在の民間の生命保険会社における保険金額の平均等をとつてみましても、新契約だけについて申上げても、現在平均が十数万円程度にしかなつておらん。八万円以下の契約というものが非常に多額を占めておるわけであります。私どもよく例を申上げておるのでありますが、郵便貯金がやはりこれも限度をどんどん上げて来ている。これは郵便貯金と一般の金融機関との間にやはり同じ問題があるわけでありますが、郵便貯金と簡易生命保険との、まあ基準年度と申しますと非常に語弊がありますが、昭和十年頃における限度と最近の限度とを比較してみますると、郵便貯金が大体五十倍くらいになつております。昭和十年頃に比べまして限度が。これに対して簡易生命保険は今八万円になりましたから、恐らく百七十七倍くらいになつておると思うのであります。郵便貯金の限度の引上げの状況と、今申上げました簡易保険の限度の引上げの率とを考えてみましても、仮に昭和十年頃がバランスがとれておつたといたしますならば、相当にこれは引上げられておるということも言えるのではないかと思います。まあその他いろいろな観点からこの問題については申上げたい点はあると思いますが、結論といたしましては私はこの際として現在の際度を引上げることは適当でないというふうに考えております。
  142. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 では最後に、保険事業は、あの終戦の当時にはこれはもう保険なんというようなことはちよつと皆考える余地がなかつたので、ずつと衰徴しておる。それからインフレによる貨幣価値の大変動で戦前に契約しておいたのと戦後のものとは、これは又問題にならなくなつてえらい混乱をした時期が経過したと思うのでありますが、あの混乱時代から脱した昭和何年頃、昭和二十四、五年頃から向上して行つておるか、全般の統計というものを保険課長に御説明願いたい、いわゆる趨勢を。どういう足取りを辿つているか。
  143. 狩谷亨一

    説明員(狩谷亨一君) 只今お話にございましたのは主として生命保険の問題かと存じます。生命保険につきましては、お話のごとく、戦後におきましてインフレが激しかつた時代には、貨幣価値の変動によりまして保険を希望する者は余りないというような事情もございましたし、又一般の所得水準も低くて保険に十分入るだけの余力がないという階層が殖えて来ておつたというような事情もありまして、生命保険事業の回復は非常に遅れていたわけでございます。大体生命保険事業がかなり顕著に上つて参りましたのは戦後の二十四年以降の貨幣価値が安定してから以後のことでございますが、特にこの一、二年の増加が顕著でございます。特に二十六年度と二十七年度を比較して申上げますと、二十六年度末におきます契約の総額は七千四百億でございまして、二十六年中の純増加高が約千九百億程度でございまして、それが二十七年度にはいりましては更に二千五百億余りの純増加がございまして、二十七年度末、即ち本年の三月におきまして生命保険契約額の総額は九千九百六十二億になつております。即ち約一兆ということになろうかと思います。ただこの水準につきまして特にこの中で目立つております点は、死亡保険即ち養老保険の伸びが二十七年度中に著しかつたというような点でございまして、これらの点を見ますと、生命保険の契約の内容が漸次戦前のような姿に戻りつつあるということを示すものだと考えております。併しながら戦前とどうかという問題になりますと、これは物価指数を比較するとかいろいろな方法がございますと思いますけれども、一応生命保険の契約額を、国民所得に対する比率をとつてみるというような方法をとつて眺めるといたしますと戦前におきましては、今手許にいろいろな数字を持つておりませんで恐縮でありますが、戦前の基準年次になります昭和九—十一年頃を基本にいたしますれば、大体国民所得の総額と生命保険の契約額とがほぼ一致しているというような姿であつたと思うのです。ところが最近の事態を見ますると、大体二十七年度あたりで国民所得の水準は五兆三千億でございましたか、五兆余だと思いますが、それに対して三月末のこれが一兆弱だということでございまして、大掴みの見当としましては二〇%弱という数字になると思います。即ち国民所得との比率との観点から申しますれば、生命保険が最近顕著に伸びていることは事実でございますが、戦前水準からいえば五分の一というような数字でございます。極く大ざつぱな御説明で恐縮でございますが、生命保険の現状はそのようになつております。
  144. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この私的独占の禁止適用除外と関連して、もう一つ考えなければならんのは、今も銀行局長から御説明のありましたように、生命保険の額なんかは平均しまして十万円相当だと、こういう話だが、そうすると、国民の零細な金を集めているという結果になるわけですから、これをあなたの言う長期安定投資ということになりますと、どうしても小さいところから吸い上げて来て大きいところへまとめて行く、こういう傾向に走りがちになるのじやないかと思うのでありますが、長期投資資金供給についての供給先と申しますか、還元する先を少し指導しなければいかんと思うのですが、この点については銀行局はやはり指導しているのか、それともこれは還元先というものは全然考えずに、安全一本でやらしているのか、これをお伺いしたい。
  145. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 保険会社等の資金は、今お話のように産業界に対する相当安定した資金を供給するということは大きな使命であると思いますが、ただ保険会社の場合におきまするその資金の性質は、銀行等が集めております預金とやや性質を異にしておる、長期か短期かという以外に……。と申しますのは、やはり銀行等におきましては、集められた預金を貸出すとか、融資をするとか、投資をするとかというふうに充てることを目的として金を集めております。保険等は、どちらかと申しますと契約者の支払に充てるための準備ということが非常に大きな意味を持つております。従いまして、責任準備金についてもいろいろ先ほどもお話がありましたように、非常に厳格な積立方を特別にほかの企業と違つてさしておるわけでございます。その運用につきましても、先ず何といつても確実である、つまり何と申しますか、非常に不安定性のないということを先ず第一に狙つて行く。而もその枠内においてできるだけ長期としての産業資金を供給して行く。こういうことにならなければならんと思うのであります。現在生命保険会社等におきましては、今申上げました観点から、確実なる有価証券或いは確実なる貸付、実は貸付等につきましても非常に厳格なる制限をつけておりまして、無担保で貸します場合には一々認可を受けるようにするとか、非常にやかましい制限をつけて貸付等はやらしておるのであります。今お話のように、これらの零細な資金が集まつて参つたのであるから、それをできるだけ中小の企業等に何か還元する方法はないかという御意見でありますが、その点も私どもは十分考えては参らなければならないと思いますけれども、一般の金融機関、銀行等の場合と違いまして、その資金の性質がやはり契約者の利益を保護する、勿論銀行等におきましても預金者の保護という観点を忘れてはいけないことは当然でありますけれども、特に保険会社の場合におきましては、契約者の利益を保護するという観点が第一義的に出て来る。従いまして、その投資先の確実性ということが先ず第一に出て来る。その範囲内において必ずしも中小企業の株式を持つてはいかんということは勿論ないわけでありますけれども、又中小企業に対する貸付をしてはいけないということもないわけであります。そういつた何と申しますか、保険会社の特殊の使命なり職責なりという観点に立つた範囲内においてこの問題を考えて行かなければならんと思います。なお損害保険会社につきましては、いろいろ例えば住宅の金融をやつたらどうかといつたような議論も出ております。これらの点も私は生命保険会社についても同様でありますが、それらの資金が安定した資金であるという観点から、これらの問題につきましてもできるだけそういう方面に資金の向うことを望んでおりますが、ただこれが保険会社というものは貸付行為を銀行等のようにやることが主たる目的でないのでありますから、その個々の相手に対して貸して行くという場合に、一々その貸付先の信用を調査したり、或いはいろいろ調べたりするだけの能力を余り持つておりません。従いまして、貸付をいたします場合は非常に安全な場合、殊に銀行等と協調融資をいたしたりするような場合等が大体主でありまして、自分がみずから貸付先を調査して、新らしい取引としてやつて行くというようなことは、現在の保険会社の能力から見て必ずしも十分でないという点も御留意頂きたいと考えます。
  146. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まあどうも抽象的なお話で、大体原則はそういうことになるだろうと思いますがね。今も保険課長からお話のありましたように、保険契約高がどんどん逐年増加して行きますから、従つてこれで保険会社に集まる金額も多くなる。あなたのほうでは株式投資については或る一定の限度までは許している。その限度というのは総金額の割合だと思います。そうなつて来ると、株式市場に対する威力というものはだんだん加わつて来ることになる。絶対額が殖えるのですからね。人間が一番面白いのはこれです。値の上り下り。これは人間の本能ですからね。そうするとどうしてもこれに興味を持ち出して来て、そうして威力を発揮する。これはうまく順調に進んでおる時には非常にいいのだけれども、一朝うまく行かないような場合には打撃も大きいわけです。そうすると被保険者の保護ということと少し外れて来る。今あなたの言われたような住宅、今の鉄筋アパートなんかに投資するというのだつたら、これは滅多に焼けないし、安全だと思うのだが、そこの観点からしてこの限度については今どのくらいの限度まで許しておるのか、そうしてこれはだんだんと絶対額が殖えるに従つては多少その限度も考えられるのか、パーセンテージ等を考えておるのか、これを一つ最後にお伺いしたい。
  147. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 現在は運用資産の三〇%までが有価証券投資に充てることができるということにしております。三%以下ということになつております。私どもは全体の有価証券の形における資本というものが更に日本の経済の現状から見て払充されて行かなきやならんという必要性は非常に強いと考えております。それが投機に著しく走るということは私共は好みませんけれども、自己資本の充実ということが現在の日本経済にとつては最も必要なことであると考えております。そのためには、やはり自己資本の大きな一つの要素であるところの有価証券市場というものが払充され、これの形によつて産業資金というものが供給されるということが、日本の経済にとつては非常に重要なことであると私は考えております。従いまして、今御指摘のような弊害が起りますことはこれはできるだけ注意をいたさなきやなりませんと思いますし、これは保険会社の経営者といたしましても、徒らに投機に走つて会社の基礎を危うくするようなことは勿論すべきではないし、又せられもせんと思いますけれども、又そういう点については十分監督をいたすつもりでありますが、さればといつて運用資産が殖えて行くからそれに応じて証券市場に対するウエイトを更に減らすというようなことをいたしたらどうかと言われまする点につきましては、更に自己資本は拡充しなきやならん運命にあるのでありまして、そういう資産が安定した資金として産業界に注入せられることは、私どもはそれが弊害の伴わない限りいいのではないかというふうに考えております。今のお言葉で百分の三十という制限を更に下げるということは、この際としては考えておりません。今後の実情におきまして、これが非常に弊害が伴うという場合におきましては、場合によつて考えるかも知れませんが、只今のところはその必要はないかと考えております。
  148. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これはあとで理財局長のほうからも聞きたいと思うのですが、この証券取引法の一部改正の法律案審議の際に質問したいと思うのですが、去年あたりの株式の騰貴に伴つて日本で一番誰が儲けたか、あの株の値上りによつて誰が一番儲けたかというと、保険会社が一番儲けたと俗に言われているわけですが、そういうように儲かる時には誠に結構だと思うのですが、それの逆の場合も考えておかなければならん。あの株式市場では素人だつたら儲けたと言つている頃には損をしている。保険会社あたりは厳密に調査しておるし、非常に安全にやつておられるから、その危険も素人よりは非常に少いだろうと思います。併し儲けたと言つている時には大体もう損している。損したという時には逆に儲つている。こういうのが実情だと思うのですが、この点から考えると、今あなたの三〇%くらいまでは許しておくということになつて来ると、大体もう株式市場に出動すると言いますか、一時は保険会社が動いたというとその市場でちよつと人気が出た。あの株に保険会社が動いたというと、人気が出てすぐ手配されたと思うのです。保険会社が動いたということが新聞にもよく書いてありましたが、事実これだけ威力を持ち得ると思うのですが、そうすると自然経営者としてはこれに興味を持つて来る。三〇%ときめたらその限度ぎりぎりまでは出動さすことになると思う。その点から考えてこれは御一考さるべきではないか。而もうまく儲つているときはこれは誠に結構だと思うのでございますが……。そこで最後にこの間のスターリン死亡による株式市場の恐慌、朝鮮休戦の恐慌による株式市場の変動によりまして、逆に痛手を蒙つておるような今の会社の状態、そういうような会社はあるかないか、この点についてあなたのほうで監査しておられまして危いような事実は全然ないか、あの暴落でも決して痛手を受けずに順調に進んでおるか、この点一つお尋ねします。
  149. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お尋ねの点は、結論的に申上げますが、そういうことはございません。先ほど来申上げておりますように、保険会社は非常に大きな資力を持つておりますから、市場に買いに出ることは非常に多いのでありますが、先ほど来申上げておりますように、投機的にやつているものが非常に少い。大体安定投資として持つておりますから、それで売り買いを、売つたり買つたりして利鞘を稼ぐとか、投機的な取引のために非常に華々しく投機市場を利用しているということはございません。大体安定した株を持つております。株の内容等を御覧になりましても、その売り買いの状況等を御覧になりましても、大体資金に余裕が出て来ればそれを買つて来るという程度でありまして、売つたり買つたり、場合によつては損することもございますけれども、大体安定した株を……、その会社の有価証券の内容を調べてみましても、そんなにしよつちゆう動いて、いろいろな投機業者がやつておるような、そんな意味の不安定な取引はやつておりません。従いまして今度の場合におきましても、そう大きな影響が保険会社について起つたということは全くございません。
  150. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それではこれより採決に入ります。  保険業法等の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたは挙手を願います。    〔賛成者挙手
  153. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続委員長に御一任を願いたいと存じます。それから本院規則七十二条により委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名    藤野 繁雄  堀木 鎌三    前田 久吉  小林 政夫    土田國太郎  三木與吉郎    青柳 秀夫  森下 政一    木内 四郎  岡崎 眞一    菊川 孝夫   —————————————
  154. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  155. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて下さい。お手許に来週の審議日程をお配りしてあるはずでありますから、これを御覧願います。  それからこの際お諮りいたします。日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案審査のために来る七月七日火曜日の本委員会に山際日本輸出入銀行副総裁、倉田日本機械工業会会長、千金良全国銀行協会会長、丹羽造船工業会会長を参考人として出席を求め、その意見を聞きたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと存じます。よつてさよう決定いたしました。   —————————————
  157. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に証券取引法の一部を改正する法律案及び証券投資信託法の一部を改正する法律案の二案を一括議題として質疑をいたします。
  158. 小林政夫

    小林政夫君 証券投資信託法のほうで質問いたします。今度コール・ローンを許されるようなことになるのですが、一体私よく実情がわからないのだが、投資信託であれば全部株を持つことが本来であつて、現金が遊んでおるなんていうことは例外の事例でなくてはいかん。それでときににコール・ローンを許す、まあコール・ローン、コール・ローンというけれども、相手の金融機関さえ変つて行けば、それをぐるぐるたらい廻しでいくらでも現金で持つておるということになる。どういう現実の事態ですか。この投資信託の、今まあこういうふうに株界が悪くなつて、これは現金で持つていたほうがいいという考えで、大分現金をプールしているのじやないかと思われる節もあるのですが、その点はどういうふうになつているのですか。
  159. 石田正

    政府委員(石田正君) この投資信託の今の法制の下におきましては、投資信託の運用方法といたしまして貸付はいけないということになつておるわけであります。で、これは貸付はいけないというのは、金融機関と同じような工合に貸付をやるということはこれは話にならないという意味でできておるわけなんです。で、コール・ローンがいいか悪いかということは、その当時としては余り問題になつていなかつたと私は思います。それから又この投資信託はこれまで約二年経過いたしましたが、その間におきましてどちらかと申しますると、株は上り気味である。それから割安、休戦等のこともございまして、上るということもあつて、大体もう成るべく早く株を買つたほうがよろしいと、こういう状況であります。その買つたことが又更に株が上ることに拍車をかけるという面もあつたかと思います。で、この証券界の情勢というものは去年の暮頃から本年初頭にかけまして非常に、何と申しますか上ついた状況が生じまして、その結果の思わしからざることが現在起つて来ているということは否めないと思います。そこで、それではこの投資信託というものは証券に投資することを以て本来とするのだから、そのほかの運用は全然認めていないかというと、そういうものではないわけであります。これは現在の状態から申しまして、金銭信託に運用するというようなこともやつております。それから又預金等もやつたりいろいろなことを短期的にはやつておるわけであります。で、特にこのコール・ローンを認めたらいいというのは、先ほど申しましたような状況で、これはまあ投資信託でありまして証券投資をすることが基でありますから、証券に投資することが本来であることは、これはもう勿論異存はないわけであります。併しながら始終証券に全額投資できるかということになりますと、これは又できないということも常識であろうと思います。そういう場合に証券投資できない分を、一時的なものでありましても確実ないい運用をするという途は開いておくのが私は筋ではないかと、こういうふうに思つているわけであります。そういう意味で最近の情勢を申しますると、特に新らしく信託を設定いたしました場合に、この証券界の実情から申しまして、非常にこの証券が上つて行くことがはつきりしている、早く買つたほうがいいというなら、全額すぐ設定した日に買つてしまうというのもいいかと思います。併しながらなかなかそういうのは、むしろ今までの状態が異常でありまして、これから先というものは、やはり株式市場の情勢を見ながら組み入れて行くというのがいいのではないか、勿論これは前にも投資信託が期限が切れて解約されるものがありますから、内部操作としてやるということはいいと思いますけれども、何と申しましても新らしく設定するほうが解約されるほうより多いと思いますけれども、又そうすべきものだと思います。従いまして、設定のときにすぐ全額を証券に投資するか、さもなければ遊ばせておくか、或いは銀行預金で、当座預金ぐらいにしておくかということになりまして、弊害のない範囲でそういう場合には運用の途を認めていいのじやないか、もう一つは投資信託をやりました場合に、株が落ちるということが考えられるという場合には、これは一般に処分をするということを認めて然るべきだと思う。処分してすぐ買うかという問題になるわけでありますが、これはやはり模様を見て、そうして適当な時に買うというのが筋であろう、そういうふうな場合におきましても、コールというものを認めるということは、これは異議があるであろうと思うわけであります。更にこれをやつたならば、全部これをコールにやつちやつて、証券投資の本旨を逸するようなことが起りはせんか、これは問題は、一つにおきましてはコール市場のレートがどういうふうになつておるかということが問題であろうかと思いますが、今のような二銭一厘というような金利におきまして、コールだけで投資信託の配当を維持するということは、これはできないことと思います。又私どもの監督する立場から申しますと、今申しましたような趣旨で途をあけようというのが筋でございますが、勿論我々はコール等もとつております。これをコールのほうにばかり出すというのでは、これは本旨を逸します。そういうふうなことのないような手続をとらなければならないと思う。又毎日のコール・ローンだけに関しますところの操作でありますが、これにつきましては大体日本銀行が相当目を光らしておるというのが実情でございます。そういたしますと、我々のほうといたしましては、これは日本銀行とよく相談をして、そのやり方等について当然規正を加えるべきであると、かように考えております。
  160. 小林政夫

    小林政夫君 銀行局長がいなくなつたのではちよつと困るのですが、一体コール市場にどのくらいの金が動いておつて、そうしてあなたが現在の設定額によつてどの程度その投資信託関係かちコールの資金量が出るか、こういう点はわかりますか。
  161. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体コール市場におきますところの残高でございますが、これは始終動いておりまして、どのくらいということを平均的に申上げるのはなかなか困難でございますが、東京におきまして無条件物でみますると、最近の状況は、去年の四月頃におきましては百三十億になつたり百六十億になつたりしておりますけれども、大体百四、五十億の間のところを動いておるのではないかと思います。今年の四月頃の状況では百六十億を上廻るような状況になつておると思います。二百億には行つておりませんけれども、百七、八十億のものが動くような状況になつておるのではないかと思います。而もそれにもかかわらず、中心のレートというものは去年の四月頃には二銭見当ではないかと思いますが、最近におきましては二銭をちよつと上廻つた二銭二厘五毛ぐらいのところで中心レートが動いておるのではないか、そこでこれから先どういうふうな一体影響が、投資信託につきましてコールを認めることに、よつて起るかという問題でありますが、これは投資信託の現在の残高というものは、全体からいたしまして五百億ぐらいのところになつているわけであります。まあその中で仮に一割行くということになりますれば、これは五十億というような数字でございますけれども、併しそう全部が全部残高の一割ぐらい急に出るというようなものでもないと、我々は考えておるのでありまして、これはまあコール市場に対しまして、大体二十億、三十億というものが月々新らしく設定されている、その設定されたものの残高というものと睨み合せて、どういう影響があろうかということになるのだと思いますけれども、我々のほうといたしましては、大体まあトータルの一割を超えるような行為に出るやつは抑えたいような気持でおります。その中で実情に即してやらなくちやならないのでありますけれども、私はそれによつて、これを認めたことによつてコール市場のレートに影響があるというようなことはないと、かように考えております。
  162. 小林政夫

    小林政夫君 これはまあ途を開こうという以上は、影響はないといわれるのは当然なんだが、この問題はこれはいずれ委員長にお願いして、金融界の意見もこの点については聞きたい。ただ、今の信託約款で、最近の信託約款内容ですが、どういうふうな場合に一体現金を運用していいという、原則として株に投資するのだが、これこれの場合には現金にしておくというような、何か除外規定的な約款を作つているのですか。
  163. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体約款のほうにどういう規定があるかというお尋ねでありますが、現在のところでは大体証券に投資することが原則であつて、而も証券に投資することができないような金があつた場合にはどうするか、こういう場合におきましては、現金信託ですね、これをやつてよろしいという規定がございます。
  164. 小林政夫

    小林政夫君 現金信託をやつていいというその現金信託も、あまり長期になれば貸付信託と同じようなことになつて来るし、現金信託の運用できる期間、量、今の約款で設定した総額の、今あなたの言われた一割なら一割程度のものは現金信託していい、こういうような何か制限があるのか、或いは都合によつて現金信託にする場合があるべしというふうな、非常に不確定な書き方であるとすれば、非常に株面の情勢が悪い、日々ダウンをしているというような時には、ちよつと株は買わずに現金を持つているほうが、証券投資をされた投資者のためには安全かも知れませんし、損をさせないということであるかも知れませんけれども、そもそも投資信託というものを作るという趣旨から行けば好ましくない。信託会社類似の業務を証券会社を通じてやるというようなことでは、投資信託を特に設定するという意味が薄らいで来るのじやないか。
  165. 石田正

    政府委員(石田正君) 御承知の通りに投資信託というのは、証券会社が募集いたしまして、そうして運用につきましては指図はいたしますけれども、実際の財産の保管というものは信託会社にお願いする、こういう建前でできておるわけであります。従いましてまあ実際問題といたしまして、信託会社のほうの立場から申しますれば、或いは証券に投資する分が少くて、そうして現金が始終余つておるという状況でありますれば、それだけ自分のほうも、預金が信託されてその金銭信託が殖えて行くということになるのでありまして、そういう点から申しますると、結局証券会社が信託会社の奉仕をすることになる危険がないか、これは当初から心配されれば心配される点だと思うのであります。併しながらこれは証券会社のほうといたしましても、又信託会社のほうから申しましても、そう何と言いますか制度の本旨を紊るようなことをするということを目途にしてやつたという形跡は、我々は今まではないと思つております。今後もそういうことはないだろうと思つております。  それから、この指定金銭信託をやる場合に、どのくらいの期間かということでございますが、これはまあ大体実積から申しましても三十日くらいのものをやつておるのでありまして、三月やるとか半年やるとかいうようなことはいたしておりません。それから金融界のこれに対する考え方はどうかというお話がございます。これは我々のほうといたしましても考えなければならん点でございまして、これについては率直に申しまして相当意見があると思います。と申しまするのは何と申しますか、今のコール市場というものが何と申しましてもどうも変な姿になつておる、コール市場と言いながらその金利が高い、二銭二厘もしておるということはおかしいではないか、そこへ持つて来てこの投資信託の金が又そこへ入つ乗るということは、ますます以ておかしなことになるのではないだろうかと、こういう意見は私も一応あり得ると思います。これに対しまして、私のほうであえてそういう点を承知の上でこれを出しますというゆえんのものは、コール市場をどうするとかこうするとかいうことは別に本格的に考えるべき問題である。で、証券会社で投資信託というものをやります上におきまして、証券投資ということを本旨とすべきことは、これは勿論でありますけれども、どうしてもキアツシユとして或る金が残るという場合において、これは指定信託もできないんだ、コール市場にも出ないんだ、こういうことを言うのはいささかおかしいではないだろうか、これは金銭を預りまして証券信託をやりますれば、これは証券にいたしましても、売買をいたしまして儲けるというものもございますし、又配当率の高い株を持つて配当を取るということもあり得るわけでございます。できるだけこれを有利に運用をして行こうということが本旨でありまするので、そういう割合に率のいい運用先があるときも、投資信託はお前は来てはいけないんだ、こういうことを言うのは我我は如何かと思つております。要するにそういうものがある限りは、これは非合法な存在でなく堂々として存在するものであつて、多少まずいものがありましても、そういうものは存在するのであつて、そういうものは投資信託として、投資信託の本旨を逸脱しない限りにおいて止むを得ないものにおいては、これを認めてもいいんじやないか、こういう考え方でこういう改正を提案しておる次第でございます。
  166. 小林政夫

    小林政夫君 私はこういうことを認める以上は、やはりその投資信託というものの特色を生かす、勿論そういう投資が有利に廻ればいいんだ、投資者を保護すればいいんだという考え方においては、大して問題にすることはないかも知れません。今のようなことは併し一つの業界の分野というようなものから考えて行つて、今のところは自制するだろう。それは本来の趣旨に合わないから自制するだろうというのですけれども状況が違えば殆んど金銭信託と選ぶところがない。むしろ証券投資信託ということに名を借りて大衆の金を集めて、信託会社の下廻りをやる、外交をやると同じような結果になり、みんなだんだん大衆が実情を知れば、今投資信託に金を出したところで別に株を買つているわけではない、面白味がないなら止めようということになれば、これは選択は自由なんだから買おうといえばそれまでですけれども、投資信託というものを設定した趣旨から言つて、或る程度それを拘束すると言いますか、そういう金銭信託に運用できる部面をただ監督上なにするということでなしに、約款さえなにすれば如何ようにでもできるということではなしに、合法の途を開くならば、或る程度それの制約規定というようなものも要るんじやないか、そういう趣旨で聞いているのです。
  167. 石田正

    政府委員(石田正君) これはまあ第一点といたしまして、この投資信託が、仮定の問題でございますが、大いにコール市場ばかりやつて行きました場合にどうかということでございますが、これはコール市場だけでやりましては投資信託のうま味を出すような意味の配当ということは、これはできないと思つております。  それから第二点といたしまして、これは信託会社との系統を乱すのじやないかという心配はございますが、これは御承知の通り証券会社は信託会社に委託いたしまして、それは両方に手数料を払つたりした関係もございまして、若しこれだけでやるならば信託会社に信託するということは結果においていいのでありますから、その点は私はない、仮に全部やりましても、一番最後の問題といたしまして、そういうことをやるについて濫に流れる虞れはないか、これが一番の問題だと思います。これは私たちも銀行局といろいろ相談いたしておるのでありまして、これにつきましては我々は銀行局と打合せましたところに従いまして、これの約款を認める場合におきまして通牒を出しまして、濫に流れないような取締り方法を講じたいと思います。例えて申しますると、まだこれはきまつておりませんけれども、例えば各銘柄の下に、これは一割を超えてはいけないというような字句に即しまして通牒でやつて参りたいと、かように思つて銀行局と打合せいたしております。
  168. 小林政夫

    小林政夫君 私は、今おつしやつた約款に記載されたこれこれこれの株に投資する、この銘柄ですがね、今のような一つの制約が要るのだ、設けるべきだという考えで聞いたわけなんで、そういうことが銀行局との間に話合いが進んでおるならば、この審議の採決をするまでの間にはつきり打合せて発表してもらいたい。
  169. 石田正

    政府委員(石田正君) これは実は私のほうは先ほど申上げましたように、大体の心組みとししましてはいろいろ検討はいたしましたけれども、大体一割を超えてはいけないということが妥当な線じやないかと思います。かように思いましてその点については意見が一致しておるのでございます。ただこの法案を御承知のように審議しております。従いまして前以てこういう通牒が出るという工合に言うのは如何かと思いまして、我々のほうは大体今申しました心組みで話合いをいたしまして、法案通りました場合にはそうやつて行きたい、かように考えております。
  170. 小林政夫

    小林政夫君 いや、だけれども通つたらこうするんだというのは、政令案と同じことなんだから一応通す、通すのにはあなたがたはどういうように執行するのかということを知つておいたら、併せて今のお話で大体それ以上は出ないでしようけれども、はつきりこうやるんだ、こういう打合せの点を知らしてもらいたいと思います。
  171. 石田正

    政府委員(石田正君) これは文章の書き方等はうまいますいの問題がございますが、只今のところは我々のほうで事務的に一致しておりますのは、元本額の一割を超えてはいけない、こういう通牒を出すつもりでおります。
  172. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今日この証券取引法の一部を改正する法律案についていろいろの点御質問申上げたいのでございますが、それより前にちよつと委員長に議事進行、委員会運営について申上げたいのでございますが、大体この委員会の議事、これは質問にいたしましても確かにこれは議事を開くということになつております。議事を開くには国会法の四十九条、我々もそう固く持出す意思は毛頭持つておりませんが、本日はこれはまあなるべく議案を促進するということは与党としてお考えになつておると思うのでありますが、与党の議員が殆んどおられない、お前ら勝手に聞くんならやつて置けという工合に、こういう運営方法を将来やられる上におきましては、我々は野党としてこのまま質問を続けるということは僕は不見識だと思います。はつきり申上げまして、我々が質問しようと思つてつても、与党の連中はぱあつと採決さえ終れば帰つてしまうということになりますれば、私たち当委員会運営に当りまして、一々四十九条を持出して追及せざるを得ないと思う。そういう固いこともお互いにそれはいろいろ常任委員会予算委員会等の兼任等もございますから、一々私は申上げることは差控えたいと思いまして、或る程度の幅のある運用をいたしたいとは勿論思つておりますが、本日のごとき場合に、こんな態度に与党が出られるのであつたならば、私たちも開き直らざるを得ないので、今日はまあ定足数不足でもございますので、これで以て散会願いたいと思います。与党のほうでも考えてもらいたい。自由党は一人もおらんじやないですか。こういう一番委員の数が多くて、こんなことをやつておる。僕らは議案を早く上げたいという委員長なんかのお計いは当然だと思うので、私もそれはできるだけの協力はしますが、こんな状態で質問を続けて、議案を早く上げるというのであつたならば、党へ帰りまして全く何のためにお前ら大蔵委員会に出ているのだということになつて、これは問題になると思いますので、今日はこれは定足数不足、而も委員長においてこれらの点について配慮せられまして、私の申上げるのは、言葉は下手ですが、言わんとする趣旨はおわかりだと思いますので、十分お考えを願いたいと思うのであります。
  173. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 菊川委員の申されたのも誠に御尤もと思います。私は委員長といたしまして、ひとり自由党ばかりでない。全体のことを考えておるのでありますが、特に本日は自由党の委員がまあ非常に出席が少いということは、誠に御指摘の通りであります。今後十分注意をいたしたいと思います。何分にも大蔵委員会法案がたくさんあります関係上、審議に非常に時間を要する。そのためにいろいろ御多忙の委員の方がときには出席しがたい点もあるだろうと思いますので、余り厳格に定足数のことは始終やかましく言うのはお互いに控えて頂きたいが、今の菊川委員のお説十分了承いたしました。今後自由党のほうにも十分注意いたしまして、成るべく今後そういうようにいたしたいと思います。  本日はこれで散会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。本日はこれを以て散会いたします。    午後三時五十三分散会