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1953-06-26 第16回国会 参議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十六日(金曜日)    午後二時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            菊川 孝夫君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            藤野 繁雄君            土田國太郎君            前田 久吉君            野溝  勝君            堀木 鎌三君   政府委員    経済審議庁調整    部長      岩武 照彦君    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主計局法    規課長     白石 正雄君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    大蔵省為替局長 東条 猛猪君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   参考人    日本開発銀行総    裁       小林  中君    日本開発銀行理    事       中山 素平君    日本輸出入銀行    副総裁     山際 正道君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○国際復興開発銀行等からの外資の受  入に関する特別措置に関する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第八回の大蔵委員会を開会いたします。最初理事補欠互選についてお諮りいたします。本日松永理事大蔵委員を辞任され、理事に欠員が生じましたので、この際その補欠を互選いたしたいと存じますが、御異議ありませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。なお補欠互選成規の手続きを省略し、委員長より指名することに御一任願いたいと存じますが御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それでは理事森下委員を御指名いたします。   —————————————
  5. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 去る六月二十四日の委員会における小林委員野溝委員の御要求により、本日小林日本開発銀行総裁中山同行理事及び山際日本輸出入銀行総裁出席を求めましたが、これら主君をいずれも参考人としてその発言を許可することに御異議ありませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。よつてさよう決定いたしました。  国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案予備審査)を議題といたしまして質疑をいたします。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 私は輸出入銀行のほうは強いて要求しなかつたわけでありますが、この法案を作る必要な事態が起つたということについては、開発銀行理事中山氏がアメリカへ行つていろいろ折衝されたようでありますので、その間の事情を成るべく詳細に御説明を願いたいと思います。
  8. 中山素平

    参考人中山素平君) 私昨年の十一月末からアメリカへ参りまして、今お話のございました日本の三電力会社、即ち関西電力九州電力中部電力、この三社が今回新たに計画いたしました高温高圧火力発電を主としました発電所設備、これに要する資金約四千万ドル、容量は関西電力が二塁で約十五万キロ、九州電力が七万五千キロ、中部電力が六万六千キロ、合計約三十万キロでございます。二の四千万ドルのうちには運賃保険料も含んでおります。この発電機は全部アメリカのウエスチングハウス、ゼネラルエレクトリック、この二社から買うわけでございまして、その資金アメリカ輸出入銀行から借りる。当初は三電力会社が借りるようになつておりまして、開発銀行保証するという建前に話が進んでおります。私向うへ参りまして最初日本側として出しました希望条件というものを申しますと、御承知のように日本火力料金の決定の仕方は原価式によつております。従つて今度向うから資金借入れまして、この償還の期限となるものは、一応減価償却として長期に織込まれる分が当面は対象になるわけでございます。従つて条件としては長期でなければならんという二とになるわけでございます。理窟としては二十五年という数字が出て来るのでありますが、これは火力設備に対して従来輸出入銀行等からそういつた長期のものは出ておりませんので、二十五年は無理としても、成るべくそれに近いような長期のものでございませんと、開発銀行保証の責任が果せない、こういうことを申出たわけでございます。  第二の問題は、向う輸出入銀行輸出金融建前は、大体輸出入銀行と、今度の場合でございますと、ウェスチング、ゼネラレルというメーカーとの協調融資になるわけでございます。銀行のほうは、二十五年は無理といたしましても、比較的長期融資ができますが、メーカーのほうは、その性質上私ども希望するような長期のものを期待することは無理でございます。そこで我々としては、初めの融資形式を変えまして、むしろ四千万ドルそつくり開発銀行に貸してもらいたい。そうなりますと、御承知のように開発銀行法では我々が向う金融機関から借りられるのでございますが、向うの商社とかメーカーから借りることはできません。先ほど申上げたような、銀行メーカーとの協調融資という建前が取れませんで、輸出入銀行開発銀行という銀行同士貸借になる。その結果は、先ほど申上げたような長期ということが達成されることになりますので、そうした融資形式を取つたわけでございます。併し向う銀行建前がございますので、今度はそういつた形式は無理だろう、併し日本側希望もよくわかるので、メーカー銀行との間で、成るべく希望に副うような条件にしようというようなことが相手銀行のほうから表明されました。最初そういつた大きな点を申上げますと二つについて希望を申出ました。  その後、アメリカのコンサルタントが調査いたしました報告書が出来上りまして、それに基いて本年の二月から非常に細かいいろいろな検討が始つたわけでございます。で、その結果大体四月の下旬には輸出入銀行のほうでもその諾否をきめるという段階に来たのでございますが、そこにアメリカ内部事情といたしまして、輸出入銀行を改組するという動きが出ました。これはまだ私ども推測だけでございまして、はつきりどういう意図があるかということは申上げかねますが、私個人として考えますのは、今後アメリカ輸出入銀行としては、成るべく短中館の融資はいたしますが、むしろ長期融資世界銀行へ任して行く、御承知のように世界銀行アメリカ銀行ではありませんが、現在国際金融機関として長期金融を主としてやつております。そちらへ任して行くというような意図があるんだと思います。その結果、最初に申込んでおりました輸出入銀行でこれを取上げることがよろしいか、或いは世界銀行でこれを取上げたほうがいいかという問題にぶつかつたわけでございます。で、アメリカ内部においても、非常に早急にこれを決定しようというようなことから大分問題がございましたが、結局世界銀行としてこれを取上げるというふうに方針がきまりました。世界銀行がこれを取上げますと、先ほど申述べましたような、開発銀行が単独で借入をする、或いは開発銀行保証で借りるということがむずかしくなりまして、あの銀行は従来やはり政府に貸すということが大体建前でございました。それ以外の場合におきましても政府保証がなければ金を貸さないという原則がございます。その結果、今後世界銀行と具体的ないろいろな条件折衝に入るわけでございますが、当然我々の銀行としては借入人にはなると思いますが、そこに政府保証がなければこの借款は成立しないという見通しが立つわけでございます。  この世界銀行との折衝は、現在大使館電力会社並びに開発銀行担当者現地でやつておりまして、まだはつきりその条件、成否についても見通しはございませんが、私の観測では、これは遠からず実現すると思います。条件につきましては、大体輸出入銀行が考えておりました条件に近いものだと思いますが、この輸出入銀行のほうも非常に口の固い銀行で、ございまして我々が折衝しておつた間におきましても、一度も銀行側から何年とか、利率が何分というようなことは出ませんでしたが、まあ長い間の折衝でございますから、その間の向うのほうの口から出ました一端を捉えて見ますと、大体輸出入銀行の場合には十五年ぐらいである。世界銀行の場合には多少これから伸びる可能性があると思います。それから金利については御承知のようにアメリカ金利はずつと上つて来ておりますから、当初我々が予想したよりは若干高くなると思います。これも私は大体五分ぐらいの見当で収まるのじやないかと思つております。極くかいつまんで経緯と今後の見通しを申上げました。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 そうするとあなたのほうではお借りになつたのは三会社分ということですね。その大体の筋はわかりましたが、とにかくいろいろ開銀世界銀行との折衝過程において、向うから要求した資料等が今後世界銀行から金を借りようという場合に参考となるというようなことはないですか。
  10. 中山素平

    参考人中山素平君) 実は私は向うで主として輸出入銀行折衝いたしておりまして、世界銀行のほうとはいろいろな基本的な問題については話をしておりましたが、今度の申込に関連して我々具体的な交渉は余り持つておりませんが、世界銀行のほうは輸出入銀行のほうへ提出いたしました資料、それから恐らくこれは推測でございますが、輸出入銀行意見でまとめました向う側の調書といつたようなものを参考にいたしまして今後私ども銀行からも今二人の部長が行つておりますから、先ほど申上げましたような現地にいる電力会社かたがた大使館のかたと細かい折衝に入ると思いますから、改めて世界銀行のほうへ提出したというような資料は今までのところは非常に少いわけであります。  これは御参考になるかどうか知りませんが、私が体験いたしましたところから申上げますと、輸出入銀行にいたしましても、世界銀行にいたしましても、およそ金融機関から資金を借りるという場合には、勿論形式その他に相違はございますが、大体私ども国内で各会社かたがたその他に御要求する資料とか或いは考え方というものがそのまま適用されるわけでございますから、今御質問のような今後世界銀行と新らしい借款折衝というような場合にも、今申上げたような心構えと態度、或いは準備というもので私は足りるのじやないかと思います。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、今に総裁が見えるそうですが、その場合に開発銀行の全体の融資の問題についてはお伺いするつもりですが、当面この問題を考えますと、政府が二十八年度一般会計予算において、予算総則第九条において政府保証し得る限度をきめておりますが、この点については今のお話だとまだ年限、利率等はきまつておらないので、前回大月総務課長から御説明がありましたが、もう一回銀行局長より詳しく御説明を願いたいと思います。
  12. 河野通一

    政府委員河野通一君) 先般の当委員会総務課長から説明申上げたと思うのでありますが、予算のほうでは大体二十年、金利は五分ということで一応の計算をいたしております。併しこれはまだ具体的にきまつていることではございませんので、私どもといたしましては、まあその範囲でできるだけいい条件を得たいという気持であります。大体五分というようなことを向うが言い出すのではないかというような公算も非常にあるのでございますが、私どもといたしましては、できるだけ金利を安くして、いろいろ電力会社のコストの低減を図りたいということで、今後もできるだけ低い金利できめるように努力をいたしたいと考えております。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 暫定予算のほう、即ち二十八年度一般会計暫定予算補正第六条による開発銀行借入れている保証金額、こういうものが只今中山理事からお話のあつた開銀として借りることになつて、そしてそれを本年度予算総額から引いた残りが電源開発株式会社分と考えていいわけですか。
  14. 河野通一

    政府委員河野通一君) 本予算に載つております数字電源開発会社の分と、その他今問題になつておりまする水力電力開発関係外資約一億二千万ドルを、私どもアメリカ及び世界銀行に対して要求いたしております。これを含めてそういう数字になるわけでございます。ただそれが、すべてが電源開発会社を通じて参りますか、或いはこの火力と同じような方式で以て開発銀行を通じて参りますか、その点はまだはつきり見通しはつきませんが、いずれにしても電源開発会社なり日本開発銀行なりを通じて入つて参りますことを期待いたしておりまする水力の一億二千万ドル相当額、これを本予算には今の火力以外に含んでおる、こういうふうに御了承願います。さつきちよつと私間違つて申上げましたが、二十年と申上げましたが、二十五年ということでございます。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、これは私は愛知政務次官には特に言わなきやならんことができて来るのでありますけれども、この前の電源開発促進法を審議する際に、まあ私の立場というのは御承知のごとく、強いて電源開発株式会社を作る必要はない、今までの九電力会社でいいじやないか。それが外資導入する場合に必要であれば、開発銀行を通ずればいいのだ、その際に政府保証が要るということならば、開発銀行法の改正をやればいいということの主張に対しては、当時池田大蔵大臣及び発案者の一人であつた愛知政務次官としては、まあ当時は務政次官じやないけれども、絶対に電源開発株式会社方式によらなければ外資は入らないというような強い御主張でありましたが、実際のところは開発会社も入りましたけれども、今の九電力会社開銀を通ずることによつて借入れられたということがここに実証されたことにたる。当時の我々の主張というものは、必ずしも間違いでないということは明らかになつた。これは一つ念を押しておきます。
  16. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 電源開発促進法が審議されました時に、いろいろの議論が討わせられましたことは今御指摘の通りでありますが、当時の私ども意見といたしましても、電源開発促進法外資導入の唯一の途で、それ以外は絶対にできない見込みだということを申上げたつもりはないのでございまして、これは当時の速記録においても明らかかと思うのでありますが、そのときの議論を蒸し返す必要もなかろうかと思いますが、電源開発会社を作る、その作る場合において、これが外資導入についても、相当円滑な外資導入に貢献するところはあることは期待いたしておつたわけでございますが、同時にあの当時電源開発資金計画等でも申上げましたように、外資導入ができない場合には相当程度国内資金でもできる、まあ和戦両様の構えというようなつもりでありましたことは、その当時に申上げたことがあるかと思うのでありまして、今日のように各電力会社に対しても、世界銀行等からの外資が受入れられるということは非常に結構なことだと思います。私ども説明いたしましたその当時の見通しから行けば、確かにお話のように情勢の違つて来た場合もあると思いますが、併しこれは決してそれだからといつて電源開発法が悪かつたのだというふうに私はならないと思います。大局的に見て、目的は十分に達せられつつあるように思うわけであります。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 いやそういうことであなたと今日当時の議論を蒸し返そうと思つておるわけではないのです。誤解のないように聞いて頂きたいのは、当時我々としては相当開発株式会社方式というものに対しては異存を唱えて、むしろ旧来の、折角当時再建後一年足らずの九電力会社を育成することによつて電源開発を促進したほうが早道である。それには外資導入の際には開銀法を改正することによつて開銀から借りる場合に政府保証が要るということについても、かなり議論があつたわけですが、この我々の議論が今日になつて見れば正しかつたわけでありまして、そういうことでまあ議論過程においていろいろ誤解もあつたが、我々の言うことも正しかつたということを了承しなさいと、こういうことです。(笑声)
  18. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 了承しないとは決して申上げません。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると次は総裁が見えてから、中山理事十分説明ができると思うのですけれども開銀の本年度における運営方針或いは最近の業態等についてお伺いしたいと思うのですが、総裁は間もなく見えるでしようか。
  20. 中山素平

    参考人中山素平君) いずれ総裁後刻参りますが、いろいろ細かい数字の点もございますので、私から代つて説明いたしまして、後総裁が見えましてから一応大きな方針的なものについての御質問を願います。  お手許に行つております日本開発銀行期連続貸借対照表というのがございますが、ここに挙がつております数字を基礎にして御説明いたします。    〔委員長退席理事西川甚五郎委員長席に着く〕  開発銀行が発足いたしましたのは御承知のように二十六年の五月でございますが、最初出資金資本金と申しますものは見返資金百億円というものからスタートしたものでありまして、ここに先ず資金関係のほうからその後の推移説明いたします。その後の二十六年、七年において開銀がどういう貸付けをいたしました、どういう回収をいたしました、その結果がどういう剰余金になつて来たかというような経緯を御説明いたします。  先ず資金の側でございますから、下の貸方資本金というところを御覧願いたい。開銀の決算は上下二期にやつております。併しながら剰余金の処分その他いわゆる総決算は三月末一回でございます。上半期末に百億という数字が挙つておりますのが、先ほど申しました開業当時の見返資金からの出資であります。その後年度中に一般会計から七十億の出資を受けまして、それから二十七年一月の十六日に復興金融金庫承継いたしました関係で、同年度中の復金回収分九十三億五千二百万というものが法定出資として資本金が殖えたわけであります。この三つを合計いたしますと、次の行にあります下半期資本金二百六十三億五千二百万になるわけであります。それから第二事業年度、つまり二十七年度におきましては、一般会計から百三十億の出資が出ました。これはこのうちで五十億と申しますのが電源開発会社出資に該当する分でございます。それから先ほど申上げました復金承継に伴います政府からの、当時法律では借入金になつておりました分が、出資金に振替えられまして、これが先ほどの九十三億と合計いたしまして八百五十二億二千万というものが出資金として殖えたわけでございます。この借入金出資金に振替わりましたのは、私どもといたしましては、先ほど御説明しましたような、今後開発銀行外資導入の窓口として働く場合に、やはり相手国或いは相手銀行といたしましては、開発銀行金融機関としてどういう形をとつているか。つまり開銀信用というものが非常に大きな要素になりますので、借入金よりは今申上げましたように、開銀信用、つまり金融機関としての開銀のあり方というものが、相手国或いは相手銀行から問題になりますので、むしろ借入金出資に振替えるという二とで先ほど申上げました復金関係政府からの借入金出資に振替わるわけであります。その結果第二事業年度の上期の末には出資金資本金合計が千百五十二億二千万という数字なつたわけでございます。下期におきましても資本金には変化ございません。それから資金のもう一つの大きな柱でございます、三行目政府借入金について御説明申上げます。この第一事業年度下半期政府借入金七百五十八億六千七百万というのは、先ほど御説明いたしました窮極において出資金に振替えられた八百五十二億二千万と、それから第一事業年度の上期末にすでに振替えになつております九十三億五千二百万を差引きましたものが七百五十八億六千七百万という数字であるわけであります。それから二十七年度におきましては、御承知のように見返資金承継いたしまして、この承継が二回に分れておりまして、九月の十四日に電力等一般産業の分を引継いだわけであります。それから第二回目、十月十八日に海運中小企業というものを引継いだわけであります。その関係で見返資金からの借入金というものが第一次分として七百三十六億二千万円、それから第一次二次を通じますと千五百六十五億三千八百万というものが開銀に引継がれたわけでございます。その結果ここにございますように、下半期末には政府借入金が千五百六十五億三千八百万円という数字が出ておりますが、これは見返資金関係でございます。この借入金は先ほど申上げましたような事情と同じことでございますが、四月になりましてから出資金に振替えられております。  それから今度は反対側の借方のほうの開銀融資活動について御説明いたします。二十六年度におきましては、開銀といたしましては、貸付の面で承諾いたしました総額は二百三十七億、これは主な業種を拾つて見ますと、一番大きなものは自家発電関係で四十三億、それから鉄鋼関係で三十九億、石炭関係で三十二億、それから海運資金肩代りで三十二億、そのほかに新規資金が約九十一億、合計二百三十七億というものを承諾いたしました。この数字はお手許にはないと思いますけれども、二百六億円承諾いたしました。これは二十六年度貸付です。さつき申上げました二百三十七億を承諮いたしまして、実際貸しましたのは二百六億、その年の貸出しのほうはそういつた数字でございまするが、それに対して開発銀行の新らしい貸付金、旧復金関係貸付金回収元本におきまして二十九億、利息収入が二十一億というような成績を挙げまして、その結果損益金として第一事業年度下半期末におきましては、最後のところに、貸方最後損益金というのがございますが、ここへ一億八千四百万という利益が出て来たわけでございます。これは全額積立準備金に繰入れました。それから二十七年度は、同じように貸付面におきましては、大きなものから申上げますと、電力が百四十五億、海運関係が八十一億、鉄鋼関係が五十五億、石炭関係が三十五億、自家発電が三十三億、それから電力海運肩代りが五十億、中小企業関係が三十六億、今の範疇に入りませんその他の新規資金が百五十六億、合計五百九十一億の承諾をいたしまして、これに対して貸付の実行が五百九十六億、回収面開発銀行関係貸付金について四十三億元本でございます。それから復金関係が百十一億、見返資金関係が三十七億、合計百九十一億、それから利息収入が百十八億、こういつた回収成績を挙げまして、その結果損益金がやはり貸借対照表の第二事業下半期の一番下のほうにございます。六十八億九千六百七十六万というような結果を得まして、このうち準備金貸付金残高の千分の七、十八億八千五百万を繰入れまして、残額の五十億一千百万円は政府に納付したというのが第二事業年度末の結末でございます。今申上げましたような貸付を実行した結果が、お手許にございます日本開発銀行業種別貸付残高推移表というものに、開発資金分、見返承継分復金承継分という数字で挙つておるわけでございます。  極くかいつまんで数字を御説明申上げますると以上のようでございます。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 これは政府当局に伺つたほうがいいのですが、開発銀行に対する今度の一般会計からの財政投資特別会計からの出資三百十五億ですか、これは当初の不成立予算との関係はどうなりますか。今度出された二十八年度予算開発銀行全体の資金繰りと、廃案になつた当初の開発銀行資金繰りと、これは数字的に調べますればすぐわかるのですが……。
  22. 河野通一

    政府委員河野通一君) 開発銀行に対する財政投資計画につきましては、不成立になりました予算と今般提出いたしております予算とは、総額においては同じ六百億、新らしい財政投資資金は六百億という点は同じであります。ただ問題は中身の内訳が若干変つてつております。例えば資金運用部のほうで持ちます分と、新らしくできます投資会計のほうで持ちます分と若干入り繰りいたしております。これは金繰りのほうで入り繰りいたしております。それから開発銀行自体の資金繰りといたしましては、回収利息収入が当初の不成立予算の当時考えておりましたところよりも多く出しましたので、その関係から約五十億程度のものが使える資金としては多くなる予定であります。新らしい財政投資は六百億でありまして、不成立予算と同額でございます。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 私もそういうふうに思つたのですが、そうすると、予算成立のズレによる四月から七月の間の四カ月というもの、要するに八カ月間でこれだけのものを使うのと、十二カ月で使うのとそこに開銀を運営して行く上において、又融資額の計算方法等の点と睨み合わして、十分確信があるのか。又インフレというような問題になれば全体の問題ですけれども、八カ月と十二カ月と同じ資金を運用して行こうとする開銀当局の心構えといいますか、方針を、初めと同じだというわけには行かんと思いますが、どういうふうな見解を持つておられるか。これは総裁から伺いたい。
  24. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問で、予算は八カ月であるが、お前のところは十二カ月、一年に運用して行くのではないかという御質問であります。御尤もだと思いまするが、御承知通り暫定予算におきまして政府から大体月に五十億ないし月によりましては四十五億くらいの借入金をいたしまして、その間の運営に当てておりまするので、そうして二十七年度の繰越金を使いましてその間を補つておる。そのほかには時々入りまするところの回収金とか利息収入というものでその期間を埋めて行きまして、大体年度を通じて考えましたときに、二十七年度の運営と大差のない行き方を今とつておるのであります。御承知通り銀行はどうしても年度初めには審査とかその他が繁忙いたしまするので、実際の資金の放出ということは割合に少いのでありまして、それが三月なり四月なりたちますると審査の結果が具体的に現れて参りまして、貸付実行というふうに移るのでありまして、資金の需要という上から行きますると、むしろ年度の初めは少いということが常例であります。かように御了承願いたいと思います。
  25. 小林政夫

    小林政夫君 大体そういうふうに説明なさるだろうと思つたのですが、中山さんから数字的に月別に二十七年度と対比して今度の予算で今言われた通りつておるのかどうか、一応説明してもらいたいと思います。
  26. 中山素平

    参考人中山素平君) 実は二十八年度開発銀行の具体的な資金の運用方針とか、或いは業種別の運用資金計画というものは、予算と睨み合いでございますので、まだ立つておりません。今総裁が御説明になりましたように、四月以降は、電力でございますとか、或いは二十七年度において決定いたしました事業の継続事業分とか、そういうものを融資しておりまして、今御質問のような二十八年度の月別の開銀資金運用計画とか、或いは業種別の資金の運用の枠というようなものは、いずれ本予算が立ちましてから私どものほうとしてはかためたいと思つております。一応の試案は持つておりますが、これはまだ予算との関係がございますので、ここでは申上げることを差控えたいと思います。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 従つて、そういうことになるので、相当まあ電力だとかいうようなはつきりしたものは或る程度開銀自体で繋いで行かれるかと思うのですが、一般のどういう一体業種開銀融資対象となるかということが今お話通りに未決定な状態で、相当開銀融資を待つておる方面から申しますと、非常な支障を来たしておる。それに対して開銀としては例えば市中銀行等に対して或る程度繋いで行くことを幹旋するというような措置を講ぜられたことがあるのかないのか。まあ大体対象となりそうな事業については心配ない措置をとられたと言われるのか。これは政府銀行局長、おりますけれども、腹蔵のないところを聞かして頂きたい。
  28. 中山素平

    参考人中山素平君) これも今総裁が御説明になりましたように、私どもとしては長期資金を貸すものでございますから、可なり審査に手をかけております。従つていつも年度初めはこの審査に重点を置きましてやつておりますので、資金の放出が時間的に多少ずれるわけでございます。我々のほうとしては先ほど申上げましたように、まだ最終的な計画は立つておりませんが、一応基礎産業その他少くとも昨年度において開銀が面倒を見た事業というものについては、当然我々としてはあと面倒を見なきやなりませんので、その審査を進める。只今いろいろお話があつたものについても一応政府資金の対象として我々が本年度も考えられるであろうというようなものは、仮りの申込を受付けて審査をするというようなことをしておりますので、今までのところ特に予算の成立が遅れた関係で我々の銀行関係だけから申しますと、資金の上で支障を来たしているというふうには考えておりません。
  29. 小林政夫

    小林政夫君 非常にいい御答弁ですが、併し相当経済面においてはその通りつていればいいと思うのですが、まあこれは押問答をしても仕方がないから……。  次は、そうすると経済審議庁の調整部長に、本年度開銀融資は一体どういう計画でおられるか、いつきまるか、その点について……。
  30. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 本年度の一応の計画といたしましては、今提案されております予算が成立いたしますることを前提といたしまして、大蔵省から配付になりました資料の昭和二十八年度日本開発銀行資金計画という欄の六枚目でございますが、左側のほうにございますが、大体その左のほうの上の支出という欄にございますように、貸付金合計目標を八百六十億というふうに一応考えまして、まあ電力、これは九つの電力会社電源開発その他でありますが、一応四百億、海運につきましては前年度の造船の計画の継続分並びに今年度着工いたすことに予定をされまするものを一応二百二十億、その他一般といたしましては石炭の方面に竪坑開発の一部或いは在来からの継続事業につきまして四十億、鉄の関係もこれも前年度の継続事業を含めまして六十億、それから自家発電、これも前年度の継続事業と若干新規もありますが三十億、合成繊維二十五億程度、その他産業といたしまして肥料でありますとかその他を含めまして四十五億、予備四十億、一応こういうような目安で考えております。具体的な中身につきましては目下関係各省と相談して検討中であります。
  31. 小林政夫

    小林政夫君 それはもう予算説明書にもあるし、その程度のことは聞かんでも資料でわかりますが、これで見ると、その他一般産業というのは四十五億、それで前年度は九十億あるわけです。これは半減しておるのですね。そうすると先ほど中山さんの言われたように、前年度よりも殖えておるし、資金繰りが予定されておる電力であるとか或いは海運だとかいうようなものはおおむねスムースに行つたかも知れませんが、減るかも知れない、減らされるかも知れない。特にその他一般産業の中では一体どういう業種にきまるかということは前年度は出ても今年度は出ない。こういうものについては相当支障を来たしておると思うのです。一体審議庁としてはいつまでにそれをきめるのか。
  32. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この金額につきましては御指摘の通りその他が四十五億でございますが、なおその下に予備というのがございまして、これは例の特別減税国債の関係もございまして、この売行き状況次第で一般産業に廻すことになるかと存じております。なお従来は合成繊維という業種もこの中に入つておりまして、これを含めて考えますと、一応百十億程度に相成るかと考えております。  なお、この決定の時期でございますが、これはやはり予算の成立もございまするので、大体成立と相前後いたしまして決定したいと考えております。
  33. 小林政夫

    小林政夫君 成るほど予備まで含め、又今までは合成繊維が一般産業に入つてつたのを抜き出した。総合計して見ると本年度は百十億で前年度は百十三億で余り変つておらない。そうすると大体前年度出たような業種については本年度もおおむね妥当な基準によつて出そうということですが、こういうものの正式にきまるのは予算の成立と同時にきめると言つても、相当各省間において話合いが進んでいると思いますが、その点についてどういうふうになつているか、お聞きしたい。
  34. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この開発銀行融資方針ですね、政府のほうで一応の方針をきめまして開発銀行のほうに出して参つたわけでございますが、まあ、その他の産業等につきましては目下検討中ではございまするが、この開発銀行の性格上国の経済力を養いまする根幹になる産業、或いは輸出産業、こういつたものが中心に相成ると存じておりまして、大きく申しますると現在各省と検討を進めておりまするラインは昨年度とひどく違わないと存じまするが、ただ性質上若干の出入りはこれはあると存じております。
  35. 小林政夫

    小林政夫君 業種別の融資状況を見ると、割合に多岐に亘り過ぎているのじやないか。いつかあなたとも議論したことがありますが、合成繊維を今度は特に取上げて一つのアイテムに盛る、こういうことであると、一体繊維メーカーだけに資金をつけてこの事業を確定するということになると、その関連産業である或いは染色加工業であるとか、二次製品メーカー関係もやはりある。これはまあ合成繊維について言つたことですが、或いは電力なら電力石炭にしても又、一つの企業系列というものを考えて、深く掘り下げて行つて完全なる経済効果を発揮する。こういう方針で行かないと、ばらばらばらばらあの品種もこの品種というように窓口を拡げた行き方では折角国家財政資金を投入してやるということが非常に経済効果が薄いのじやないか、二の点についてどういうふうに考えておられるのか。
  36. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 今の小林さんのお話御尤もと存じまして、我々といたしましてはできるだけ重点的に、而も何と言いますか、系列に副いまして元の投資の効果が十分な結果を得るようにいたしたいと考えております。特に名前を挙げられました合成繊維の問題につきましても、前回の国会でも申上げたのでございますが、ここに書いてありまするのは、合成繊維の原料、或いは繊維自体を作る業態のみならず、それを加工いたしまする漁網でありますとか、或いは染色といつたものを含めて考えたいと考えております。
  37. 小林政夫

    小林政夫君 二十五億のは第一次メーカーではなしに加工業者の分も入つておるというのですか、二十五億には。そうじやないのですか。
  38. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) そういう考え方で目下具体的に検討しております。
  39. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつともう一遍はつきりしておきたいと思います。この二十五億というものは合成繊維自体のメーカーに対する融資分である。勿論これが一貫産業として染色の設備を持つておるとか施設をするというような場合には、これは含まれるのでしようか。他の異なる企業体においてやる関連二次メーカーですね、こういうようなものはその他といべ四十五億、或いは予備の四十億の範疇になるのですか。
  40. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 只今申上げました趣旨は同一企業でありましようがそうでなかろうが、同じ例えばまあ染色或いは漁網という例を取りますれば、そういうものが合成繊維の繊維メーカーの企業内で行われる、或いは別の企業の形で行われているにかかわらず、同じ条件で考えたい、こう思うわけであります。
  41. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 開発銀行のかたに、小林君の質問に関連してお聞きしたいのは、大体開発銀行ができたこと自体がいろいろな政治的事情でもつて産業を混乱したくない。それで本来政府が考えて直接やるべき事柄を開発銀行に任しているわけです。そうすると予算が成立しなかつたとき、さつき小林君が非常に巧妙な答弁をされたという批判があつたのですが、大体事業というものは、金を貸される以上は一つ事業が効果をもつまでのことを考える。それでこれを貸すかどうかということをおきめになる。そこに政治的な事情でギヤツプができて来たら、これは活きないのです。そういう時にあなたのほうで具体的にどういう処置をとつておられるか。それで先ほどのお話は非常に巧妙ではあるが具体的ではないと私は思うのですが、具体的に一例を挙げれば、どうせこれは貸すときめた以上は中途でどうにもならないときに断続ができたような場合には、或いは市中金融機関にこれは開発銀行としては貸すべきものなんだ。だからその何と言いますか、繋ぎの資金は貸してやつてくれないかどうか。或いはそういうようなことで事実上支障のないようにおやりになつているのか。無論先ほどの御説明の中の或る程度時間的なズレなり、その他御自身の資金の運用の点からやり繰りされる、時期的にいろいろな問題から調整される場合もあるだろうということは考えられるのですが、具体的にどういうようなふうにおやりになるのか教えて頂けたら非常に結構だと思います。
  42. 中山素平

    参考人中山素平君) 私別に巧妙に申上げたつもりではないのでございましてありのままを申上げたので、ございまして、今お話のように具体的に御説明するといたしましても、結局開発銀行といたしましては、先ほど御指摘のように、先ず基礎産業を主にして政府資金をつけて、而もそのつけ方は銀行の性格上成るべく市中の金融機関或いは自己資金というものでやつて頂きまして、或いはそれでやれるものはそちらでやつて頂いて、どうしても政府資金に依存しなければならん分だけを見て行く。つまり補完ということが法律に謳われておりますが、それでやつております。従つて或る事業に対して仮に昨年度どもが承諾した、これが明年度の継続事業であつても、来年度資金までもその年度で承諾することは少い。来年度は是非努力をして、増資をする、或いは収益を上げて開発銀行資金に依存する率を少くして頂きたい。その努力の結果どうしても開銀に依存しなければならんということであれば、そのときに御相談に乗りましようというような形で承諾いたしております。でございますから、企業側も確かに私はその効果があつたと思いますが、頭から前のように、来年度も開発資金をというようなことは少くなつて来ております。そうした努力の結果やはり来年度も見てくれというようなお話がございますと、先ほども申上げましたように形式的には予算が成立しなければ我々は貸すことができないのでございますが、事業は活きものでございますから、その場合には会社の申し分を聞きまして、すでに審査を始めるということをやつておるのです。ただ、今御指摘のような、市中銀行で繋ぐというようなことは、現実の場合として極力避けておりまして、まだ当面の問題にはそういう事態は起きておりません。併しどうしてもそういうことをしなければならんという場合でしたら、つまり折魚金をあげましても、ここで金が入らなければ仕事が死んでしまう。或いは設備が死ぬ、或いは金が余計かかるというようなときには、私どもとしてはそこまでやるつもりでございます。併し成るべく避けますし、現在のところそういつた事態は殆んど起きておりません。
  43. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 それで大体わかりましたが、そうすると要するに今度の四月から七月までの間の問題は補正予算に計上した金額で大体計画は支障なく行つておる、こう認めていいわけですか。
  44. 中山素平

    参考人中山素平君) これは御指摘のように開銀の仕事の運び方から見ましても大体支障なく行つております。
  45. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 これはちよつと関連とは言いにくいのですが、序でだから一言小林さんに失礼するのですが、本年度の財政計画では、八百六十億の資金需要に対して二百六十億自己資金をお使いになる予定になつておりますが、今頂戴した点で、あなたのほうは二の二百六十億の連続損益計算書その他で見て、一体自己資金の二百六十億はどこから出て来るのだろうと見ているのですが、今頂戴したばかりで、よく見ればわかるのかも知れませんが、あなたのほうのお見込をちよつと聞かしてくれませんか。
  46. 中山素平

    参考人中山素平君) 先ほど御説明したこと、或いはお手許に行つておりますのは過去の実績であります。本年度計画は載つておらんと思いますが、先ほど御説明いたしましたように、二十七年度におきましても回収金としては元本で百九十一億、それから利息収入では百十八億、合計約三百億くらいの開銀に元利で回収がございます。このうちから勿論納付金その他を引きますから、実際貸付に廻りますものは減るわけでございますが、これが七年度の実績でございまして、八年度におきましてはお手許にある二十八年度日本開発銀行資金計画、ここに上つておりますように、元本において百九十億、利息において百七十五億という元利の回収があるわけです。これは二十七年度よりも増加しておりますが、開発銀行資金も開業以来すでに二年を経過しておりまして元本回収も昨年度よりは当然殖えて参ります。それから見返資金関係においても同様のことが言えますので、我々としてはこの程度の元利回収は確保できるというふうに考えております。
  47. 小林政夫

    小林政夫君 先ほど経済審議庁の調整部長と質疑応答をしたことを詳細伺つたのですが、私は開銀融資については、ああいう方式で企業系列を尊重してやらなければならんと思うのですが、今までの出し方は非常に多種に亘り過ぎている、こういう点について開銀が実際に融資業務を担当されている立場で、どういうふうにお考えになつているか。
  48. 小林中

    参考人小林中君) 只今の小林さんのお説は私どもも至極同感でありまして、二十七年度は大体余り間口が大き過ぎたという感じを私ども自体持つております。これは御承知のように開発銀行融資の基本計画は、国の基本計画に基きまして、その基本計画に入つた業種の個々について審査をいたじまして融資をする、こういう建前でありますので、国が基本計画を立てる場合に余り間口を拡げれば、どうしても開発銀行融資はそれに従つて間口が拡がらざるを得ないのでありまして、この点は二十八年度におきましては私ども希望といたしましてはできるだけ重点的に深く融資をいたして参りたいと、こう考えているのであります。
  49. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私はこういうことには余り縁の薄いほうでございまして、ちよつと素人めいた質問になるかも知れんが、一般国民がよくわからんから、開発銀行という看板がありますけれども、どこにも支店があるわけでなし、一般国民がなかなか利用するというわけには行かないので、そういう角度から一つ素人めいた御質問を申上げますが、お教えを願いたいと思います。  第一点が市中銀行並びに社債等ですね、開発銀行から融資を受けた場合と市中の利率の比較を一つ説明を願いたいと思います。どのくらいに見ておられるか。
  50. 中山素平

    参考人中山素平君) 私ども銀行金利は、現在電力海運といつた政府で非常に重点的に見ております事業に対しては年七分五厘でございます。その他の産業に対しては一割という、レートを適用しております。今御質問の市中の金利或いは社債の金利というものと対照して見ますと、私どももさつき申上げましたように、政府金融機関ではございますが、成るべく市中金利と或る均衡を持つてこれをやつて行くということを考えておりますので、現在貸出において対照となるのは日本興業銀行とか長期信用銀行という長期金融機関でございまして、このほうもだんだん金利は下つて来ておりまして、大体一割一分乃至二分といつたところが貸出レートだと思います。でございますから、若干開発銀行のほうが低いというふうにお考えおき願つていいのじやないかと思います。社債についても大体同様のことが言えるのじやないかと思つております。
  51. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 どうも今正面お聞きしますと、一割一分ぐらいで資金が得られるようなお話でございますが、我々巷間、まあ噂やらちよつとした雑誌あたりの記事でございますから、余り信も置けませんけれども、事実事業をやつたことはないのでございますから……、この頃はなかなか一割やそこらではとても金融がつかんというのが実情のように思つておるのですが、あなたのほうはそういう金融状態に行つていると、こういうふうに認めた上に立つての今の御答弁でございますか。
  52. 中山素平

    参考人中山素平君) 長期金融機関の場合には、今申上げたように、一割一分乃至一割二分ぐらいということが、日歩で申上げますと三銭一厘とか三銭二厘とか、そういつたものが基準になつておると思うのであります。三銭から三銭二厘ぐらいの間でございます。私どももさつき申上げましたように、市中の金融機関と協調してやつておりますので、その貸出レート等もよく見ておりますが、今までのところ我々が認めますのは大体その程度でございまして、御指摘のような、それ以上非常に不当に金利が高いというようなことはないと思います。それから社債のほうには、まあいろいろ発行の費用がございますので、これらを厳密に入れて行きますと、或いは若干高くなるかも知れませんが、そう大きな開きはないというように私どもは考えております。
  53. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、市中の長期金融と大体同じということになりましたならば、協調してやつておられる、同じということになりましたならば、開発銀行の一番どういう点が市中よりいいかという点が教えて頂きたいのですが、金利も一緒だと、長期のそういう金融がほかでつけられるということになつたら、わざわざ開発銀行という特別な銀行を設けてやつて行かなければならんという理由がどうもちよつとわからなくなつて来るのですが……。
  54. 中山素平

    参考人中山素平君) 私の説明が不十分で、或いは誤解をお持ちになつたかも知れませんが、私ども金利が不当に市中金利よりも低いというようなことになりますと、先ほど申上げましたように、政府資金でありますから、対象とする業蔵その他を非常に厳選しなければならんので、金利が安いということで非常に申込みが殖えるとか、勿論私どもはそういう不適格なる申込みには出しませんのでございますが、そういう面も一つございます。常に市中金利を睨みながら、結果的には若干低目にきまつておるわけでございます。今御質問のような、それでは開発銀行から資金を得ることが事業家としてどういう利便があるかと申しますと、先ほど御説明申上げました長期信用銀行と申しましても、現在資金が大体三年程度の債券で資金を受入れております。でございますから、貸出のほうも、開発銀行が出しておりますような十年とか十五年とか、そういつた長期資金はなかなか出ないのでございます。でございますから、事業家としましては、やはり長期の安定した而も金利が若干市中よりも安いという資金を使うことによりまして、事業の運営にかなり私は貢献しておるのではないか。殊に量的にはまだ事業界のかたがたの御満足の行くほどは出ておりませんが、資金長期であるという点が一番大きな利点ではないかと思います。
  55. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは第二点、開銀より融資を受けるには、これは皆国民の金ですから、一体どういう条件を備えたならば融資が受けられるのだということをここで御発表願いたいのです。こういう条件を備えて来たならば融資が受けられると、まああなたは審査される直接の責任において、実際持つてつてよく蹴られるというのですが、これはどなたの金でもない、国民の金であるから、皆融資を受ける権利があるわけです。併し、あなたのほうの条件があるのですから、こういう条件に当てはまつたらということを教えて頂きたい。
  56. 中山素平

    参考人中山素平君) 先ほどからも御説明いたしましたように、開発銀行といたしましては、やはり政府資金を付けるのでございますから、先ずどういう仕事をなさつておるかということが第一の問題になります。    〔理事西川甚五郎君退席、委員長着席〕  これが今も御説明がございましたような、大は基礎産業から中小企業におきましても、例えば生活必需品の製作をやつておられる、或いは輸出品の工業をやつておられるという、その業種が、今国として是非政府資金を付けなければならんような業種でなければならんということが先ず第一の条件だと思います。第二の条件は、私ども長期資金でございまから、いろいろな観点から調査はいたしますが、やはり経営者のかたがたが真面目にその仕事について責任を持たれて、特に政府資金をお使いになる以上、御計画なつ事業について全責任を持つて頂けるかたかどうかというようなことが実際問題としては大きな要素になる。そのほか、会社にいたしましても個人にいたしましても、財政状態が安定しておるとか、或いは将来の仕事の見通しとか、そういうような点については一般金融と同じ点だと思つておりますが、第一に一般金融と違いますのは、いくら経営者がよくても、いくら儲かつてつても、やる仕事が何であるかということが大きな違いになつて来るのではないかと思います。
  57. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますと、まあ事業の内容、種類ですな、それが一つと、それから経営者の適格であるかどうか、こういうことでございますから、それではその人の資力が何千万円以上の資力とか、そういう会社の資力、こういうようなものは条件にならないのでございますか。
  58. 中山素平

    参考人中山素平君) これも私説明を少し省略いたしましたのですが、先ほども説明いたしましたように、政府資金が非常に少いものでございますから、これを成るべく効率的に使うという意味におきまして、各企業の場合、個人の場合を問わず、成るべく自分で資金を努力して集めて頂くという意味においては、そこに当然或る資力が必要になつて参ります。併しながら、特に中小企業の場合のように、もともと資力のないかたが多いのでございますから、必ずしも資力がなくても、先ほど申上げたようなほかの条件が満されておれば、今後その資力をつけることを御努力願うということを条件にたしまして承諾する場合もございます。
  59. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますと、必ずしもこれは大きい資本でなくてもよいと、小さくても将来大きくなるという見込があるようであつたならば、而も事業の経営者が大体今の条件に合うようであつたら、今は多少小さくてもこれは融資の対象になるものである、中小企業であつても対象になるものであると、こういうふうに了解してよろしゆうございますか、今後そういうふうに運営されるものと……。
  60. 中山素平

    参考人中山素平君) 先ほど御説明いたしましたように、昨年の十月から見返資金を引継ぎまして、今まで政府資金としては見返資金から中小企業融資が出ておつたのであります。これが私のほうに引継がれましてから、銀行といたしましても中小金融を始めたわけでございます。勿論その前にも復金関係の中小融資を引継いでおりますから、この関係の御面倒は見ておりましたが、新規の資金としては昨年の十月からでございます。これは今御指摘のように、中小関係では一千万円までを個人会社には限度といたしまして、組合の場合に二千万円ということで、殆んど全国の銀行或いは相互銀行、そういつたものを代理店といたしまして、そこを窓口として今のような中小融資をやつている。従つて今後も私のほうでそういつた性格の融資を取扱うわけでございます。
  61. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に、それでは資金の需要といいますか、融資してもらいたいという申込みと、それからそれにあなたのほうで応じられる額とは相当開きがあると思います。何といつて長期でございますし、まあ金利も公定価格というようなものでございますし、まあ国の財政資金を使うのでありまするから、余りそう運動しなくてもいいだろうと思いますし、率直に申して金融のための費用を使わなくてもいいだろう、こういうふうに思いますから、非常に融資をしてもらいたいという申込みが多い、殺到するものと私は思うのですが、従いましてその申込みとこれに応じれる比率というものはどのくらいになつておるか、この辺を一つお聞かせを願いたいと思います。
  62. 中山素平

    参考人中山素平君) 御指摘の通り、私ども一昨年開業いたしましてから非常な御希望の案件が多いのでございます。併しながら先ほど申上げましたように、開発銀行としては取上げる一つの制限がございますので、申込みの中で、窓口で、例えば業種開銀として適当でないというようなことでお断りをするということで、数字的に申上げますと、我々が窓口に受付けたむのと、それから融資の承諾、実行というようなものとは非常な開きがある。まあ例として本年五月で、すでに申込みを受付けておりますものが、これは昨年度から繰越したものもございますが、約八百億ございます。案件にいたしまして百八十四件でございます。ですから申込みと承諾或いは貸出実行というようなものとは比率的にはかなり開きがございます。
  63. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今の申込みは金額にして八百億、件数にいたしまして百八十四件ぐらいなものですか。
  64. 中山素平

    参考人中山素平君) 今申上げましたのは大企業の関係でございまして、中小企業のほうは全国の、先ほど申上げましたような銀行或いは相互銀行、こういう所で申込みを受付けますので、この件数、金額というものは今申上げた件数より遥かに多いものがあると思うんですが、先ほど申上げたのは大企業だけでございます。中小企業関係は入つておりません。
  65. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これは中小企業関係を実はお聞きしたいと思うんですが、それが大事だと思うんです。
  66. 中山素平

    参考人中山素平君) 今手許資料が不十分でございまして、或いは御満足行かんかも知れませんが、四月だけについて申上げますと四舟中に申込みを受けました件数が六十四件、金額で二億二千七百八十万、それから先ほど申上げました昨年の十月から私どもが中小融資を開始してからの申込みの累計が一千七十五件、金額で三十九億六千三百万、これに対して貸付の承諾の状況を申上げますと、先ほどの四月中の申込み六十四件、これは四月だけの申込みでございます。承諾のほうは前から繰越したものもございますから、件数では殖えておりまして八十五件、金額で一億五千三百万、それから開業以来の承諾の累計が先ほどの千七十五件に対して、中小のほうは非常に歩留りがよくて申込が千七十五件、承諾が九百五十二件、金額が三十五億九千万円ですから、大企業よりはむしろ中小のほうが歩留りがいいということに結果的にはなつております。これは恐らく先ほど申上げましたように、開発銀行中小企業の申込受付の基準が、各代理店にもよく行つておりますので、大企業のように一応御相談にいらしたものを含んだ額ではなくて、一応基準に嵌るものを受付けている、その結果が今のようになつているのだと思います。
  67. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう一つ融資を受けた事業がうまくあなたがたのお見込通りに発展して行つた場合には、誠にこれは結構でございますが、これが事業でございますから、どうしてなかなかそう思い通りには行かないので、若しも悪化したような場合、これに対する担保というようなことは、一般市中銀行並にこれはおやりになつているのか、俗に言う、悪口を言う者に言わせると、元の、第二の復金だとか言つて、盛んに悪たれ口をきいている者もあるので、その点はつきりお伺いしておきたい。
  68. 中山素平

    参考人中山素平君) 現在開発銀行融資につきましては、業務方法書等で担保を取らないものは貸付ができないというような形になつておりますので、市中銀行の場合には短期の融資が主でございますが、先ほど申上げた長期信用金庫と同じように、或いはそれ以上に、担保については厳格な考え方を持つておりまして、全部十分の担保を取つて出しております。
  69. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 将来或る程度こういう同じような性質のものが幾つか長期銀行ができるというのですが、これを一つ統一したほうがいいのか、これをどんどんその時々に従つてこういうものを設けて行つたほうがいいのか、業務を運営される面におきまして、将来これは国会において法律を拵える場合に考慮すべき問題だと思うのですが、いろいろにこの同じ中小企業を対象にいたしましても、たくさんルートがあることになるわけでございますが、これらについての御見解はどうお考えですか。
  70. 中山素平

    参考人中山素平君) 私がお答えするのが適当かどうか存じませんが、まあ私の個人の意見としてお聞き願いたいと思います。
  71. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それで結構です。
  72. 中山素平

    参考人中山素平君) 政府資金につきましては、私どもこういつた長期金融機関が他にできて行くというようなことは、現在のところ聞いておりま正せん。ただ中小金融関係は或いは別個の機関ができるということになるかも知れませんと私ども聞いております。その場合には当然開銀がやつております中小金融の分野というものは、その新らしい機関に継承されるのじやないかと思うのであります。で、もともと中小金融については、非常に皆様と同じようにこれを大事にしなければならんというような考えを持つておりますが、開発銀行の場合には御承知のように、先はども御指摘のように、店舗の関係なんかも不十分でございます。これはやはり中小金融は本当に窓口でいろいろ相談に乗つて、親切にやつて行かなければいけませんので、今は各市中の銀行にその仕事をお願いいたして、それで開発銀行資金を供給するというような形をとつておりますので、若し新規に政府の中小金融機関ができれば、開銀関係はそちらに承継されるのじやないかというように私は想像いたしております。
  73. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 最後に、これは私この委員会でよく大蔵当局に向つても、又金融機関の代表的なかたに向つても、ちよつと憎まれ目的に叩いて来たのですが、社用族の跋扈についてどうも融資を受けるために銀行に対していろいろな接待供応等をしなければならん。どうもそういうのがあるように、我々は何も調べているわけではないのでずが、漠然たる感覚的に申し上げておつたのでございますが、やかましく最近なつて来たので、戦争中の右翼の紫雲荘という人の声明書をこの間橋本氏から送つて来たが、やはりその中に一千億ぐらいそういう金が使われておるだろうというのだが、自分たちが見ても、そういう見方をしておるので、必ずしも全然ないとは否定できない、そうするとあなたのほうで特に問題のある市中銀行、相互銀行へみな業務を委託しておるということになりますと、成るほど親元の開銀の本店では非常な開銀の使命を遺憾なく発揮するように御努力御配慮になつておりましても、末端の委託を受けたところが大体どうも怪しいのでございますから、今申上げたよう庁関係上、従つてそういう申込書を持つて参りましても、少し御招待でもしない限りは、その申込書も素気なくされるというような面がなきにしもあらずと私は心配するのでございますが、代理店その他に対する監査監督というものは十分行届いているものであるかどうか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  74. 中山素平

    参考人中山素平君) 私ども勿論御指摘のような面につきましては十分監視しております。ただ業務を各銀行或いは相互銀行等に委託をしております。今度の建前はその回収につきましては、委託しました各銀行が全責任を負う、今御指摘のようなことは私全然ないと思いますが、あつて不当な融資をした結果回収ができないという時には、その委託を受けた銀行が全責任を持つて開発銀行に返さなければならない、そういう建前になつておりますので、我々として勿論融資後十分代理店についてもいろいろ調査はいたしますが、御心配のような点はないものと思います。
  75. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ここであるとはおつしやれんと思うのですが、私はそれよりも、貸付けたものに対して代理店が責任を負うというのは、これは当然だと思いますが、それよりも、申込みをしましても、これは必ずしも今あなたのお説明なつたような資格要件を備えておりましても、運動費不足のために、或いはそういうことを開銀あたりにするものでないという考え方から、そんなことはしません。そういうものは窓口であなたのところまで届かん、こういう面があるのじやないかと思いますが、どうですか。どうも一般を廻つて見ますると、そういう意見を方々で聞くのですがね。
  76. 中山素平

    参考人中山素平君) 先ほども説明いたしましたように、開銀の場合には非常に業種としての制限とか、一つの大きしな枠がございますので、その関係で、仮に運動しても入り得ないということはございます。それからその枠に入りましても、若しそういうことが、私はないと思いますが、あつた結果、不当な融資が出れば、その機関として大きな損が出るわけでございますから、その機関の責任者が十分にやはり下のかたがたについても監督をされるということになると思いますので、単に政府資金を各銀行に渡して、若し損が出れば直ちにその銀行が損を被るという建前で、これが今度の中小金融融資が円滑に行く一つの原因じやないかと私は思つております。
  77. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 あなたの見方は一応成立つのであつて開銀としては非常に便利でありまして、一般の代理店に責任を持たすというのは非常に結構だと思いますが、又利用者の側からするならば代理店とのものが今申上げました、大分どうもむずかしいので、そういうむずかしい代理店を余計設けておいたのでは、これは一般の自分のところの自己資金融資する場合と同じように混同し易いと思うのです。  その場合に、異議があつた場合に、例えば代理店へ行つたがどうも供応その他のことをやらないためにこれははねられたというような場合には、本店へ直接持込み得る、再審査を求める余地を残しておるのかどうか、そういう手続はちやんとできておるだろうと思いますが、できておるのかどうか。そうして現在それはあつたかどうか、今の資格要件が本人はあると思つておる、併し代理店じや駄目だと言つて窓口でははねられてしまつた。それでこれを本店の総裁のところまで持つて来て一つ談判できるような余地が残してあるのかどうか、これを一つ伺いたい。
  78. 中山素平

    参考人中山素平君) 私ども中小企業の実態からみまして余りに形式的に厳格な枠にいたしますと、その金融が廻らんということがありますので、成るべく実質的に考えておりますので、先ほども質問がございましたように、仮に輸出産業という名目であつても、それに実質的に関連しておれば成るべくその御面倒を見るというような形をとつておりますので、いろいろ御質問はございます。こういう申込があつたのだが開銀融資基準に嵌まるかどうか自分のところでわからんがどうかという判断を求められることはございますが、あとに御質問になりましたような不純な理由からいろいろの疑いがあるというようなことは、今まで私どもにはございません。
  79. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますと、出先の代理店と申込者との間に意見が食違つたために、これは容れられなかつたが、併し申込みする本人から考えて融資の資格は十分ある。これは自信があるからこそ申込むのでございますから、六店のほうに直接申込んで来た場合には、更にあなたのほうで審査して、代理店のほうへ指示するこういうようなことはやり得ることかどうか、現に今までそれはやつたかどうか。
  80. 中山素平

    参考人中山素平君) 御指摘のようなやり方は今までもやつております。それは主として受付店舗のほうで非常に、例えば基準を厳格に考えまして、これは開銀の対象にならないのじやないか、併し御本人としては先ほど御説明のような十分資格があるということで我々のほうに御相談に見えるわけです。先ほど申上げましたような実質的な判断で、この基準に嵌まるということになりますれば、取扱い店舖のほうに、これは開銀として取上げていいものだから、一つ業種としては審査をしてくれ、或いは全然取引が各金融機関にない場合には例外といたしまして開銀で取扱うというような場合もございます。
  81. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次にこの二十八年度開発銀行資金計画の中に、一般の分で石炭、鉄鋼と自家発電、合成繊維とございますが、この石炭四十億の中には、これはもう三井鉱山であるとか、三菱工業であるとか、こういう代表的な石炭会社を大体目標に置いて考えておられるのか、或いは九州や北海道にある中小炭鉱なんかもこの中には含まれておるものかどうか、これは勿論合成繊維においても、鉄鋼においても、富士鉄とか、八幡あたり川崎あたりはかりを対象にしての金額であるか、それとも鉄鋼にしたつて小さい鉄鋼もあるだろうと思うのですが、これはどういうふうにお考えになつておりますか。
  82. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 只今の菊川委員の御質問でございますが、先ほども申上げましたように、この融資計画の中に載つておりまするものは資本の大小に拘わらずと考えております。但し中小企業のほうの枠で賄い得まする程度の規模のものは、これで賄いますが、これ以上のものはこちらのほうへ入ることができるということでございます。
  83. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう一遍確めておきますが、これは資本の大小に拘わらず、すべてそういう性格のものはみなここに含まれるものであると、こういうわけでございますね。
  84. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) さようでございます。
  85. 前田久吉

    ○前田久吉君 ちよつと政務次官にお伺いしたいのですが、最近この闇金融で不渡がうんと出て来て非常に騒々しいのですが、開発銀行の本年度貸付金をもつと大幅に殖やす計画はないのですか、開発銀行の本年度は八百六十四億、中小は百二十四億、これをうんと殖やすようなお考えはないのですか。
  86. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) それは現在御審議を願つております二十八年度予算案及びそれに関連した財政投融資需給計画以外には、これから更に延ばすということは考えておりません。但しこれを二十七年度に比べて見れば相当程度延びております。
  87. 前田久吉

    ○前田久吉君 併しこの計画の延び方で大体不渡手形、それだつて千億ぐらいあると思うのですが、中小企業に由々しい問題が起つておると思うのですが、もう少し殖やされる意思はありませんか。
  88. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) この不渡手形の問題につきましては、非常に我々としても困つたことでございまして、いろいろ考えておる存でございますが、必ずしも開発銀行資金計画と直接結びつけて考えるべき性質のものではない、こう考えております。
  89. 前田久吉

    ○前田久吉君 併し開発銀行のほうで相当資金を増すということも一つ又救済策になると思うのですが、どうなんです。
  90. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) これは開発銀行というよりは、何と申しますか、不渡手形が濫発されるような事態になつたということは、非常に私は大問題だと思うのでありますが、開発銀行に拘わらず、いわゆる財政投融資の枠をどれくらいに拡げるかという問題であろうと思うのです。これは御承知のように全体の計画で言えば、例えば今年の一月に編成した予算からみましても、当初の三千五十五億円という財政投融資計画が今岡の予算では三千九十一億円、こういうふうに可成り拡げてあります。それから中小企業金融公庫の創設については、当初の計画よりも金額は殖やしております。それから例えば中小金融機関等についての国庫余裕金の予託問題についても、更に円滑に当るようなことも考えておりますし、又中小金融関係では信用保障制度、信用保険利度というようなことの立法化も併せて考えておるわけでありまして、これは全体として総合的な金融政策、或いは更に広くい身ば経済政策全体の問題と思いますので、その総合的な立場からいろいろと現在対策を講じておるわけであります。
  91. 前田久吉

    ○前田久吉君 不渡問題は相当内容のしつかりした事業も、闇金融にかかつてしまえば倒れて行くのが多いのですから、この点を一つ考慮して政府の総体の資金計画をやつて頂きたいと思います。
  92. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 最後に関連質問でもう一つだけお伺いしたいのですが、一般に昔から金融機関銀行は、事業融資した場合にはいろいろ指導監督というか、やがては言葉を換えて言いますと支配になるということをよくいうのでありますが、開発銀行これだけの大きな金を、融資をされた場合に、その事業をやはり発展して行くように見守つて行かれるであろう、指導も監督もされるであろうと思うのですが、これは出先の代理書店においてされるのであるか、直接おやりになるのであるか、それを伺いたい。
  93. 中山素平

    参考人中山素平君) 代理店を使つておりますのは、先ほど申上げましたように、開発銀行資金のうちでは中小金融だけでございまして、大企業の関係開発銀行になりまして、全部直接やつております。従つて今御質問のような事業の経営者、つまり政府資金を使つた以上は、その計画を十分責任を持つて遂行してもらいますし、回収して行くということについても、契約通り返して頂くということについて、我々としては絶えず注意を払つております。必要な場合には貸付の時にいろいろ条件を付けおります。例えば幾らの増資をするか、或いは配当を幾ら付けているか、いろいろ条件を付けております。成るべく経営者の立場を尊重しながら、今申上げたような目的に副うように措置を講じております。
  94. 小林政夫

    小林政夫君 次は輸出入銀行について山際総裁が見えておりますからお尋ねしたいのですが、その前にちよつと開銀関係政府当局に伺いますが、予算説明書によると、本年度は見返資金承継の管理業務の増加のために、二十八年度において一二十人を増員する、こう書いてあるが、中小企業金融公庫に対して、中小企業金融公庫業務を引受けて、農林漁業金融公庫に対して業務を引継ぐ、それによる人員の減少というものがあるわけなんですね、どうですか。
  95. 河野通一

    政府委員河野通一君) 中小企業金融公庫ができました場合には、そのうちの開発銀行中小企業方面の仕事はそちらへ移すことに大体予定いたしております。そうした場合に、或いは人も一緒にそつちへ相当……経験のあるかたも一部行つて頂くということになるかと思います。その場合において、どの程度の人が向うへ行つたらいいか、その場合に開発銀行としてはそれをそのまま、人が少いままでいいか、或いは開発銀行自体としては業務量が殖えて参つております。そういつた点を、人を出しつぱなして減らしつぱなしでいいかどうか、業務量との比較を考えております。その点につきまして、人を出しつぽなしで、開発銀行のほうは減らしていいという事態でありますれば減らして……もう少しその後の情勢を見た上でないと、今何とも言えないのであります。
  96. 小林政夫

    小林政夫君 減らせということを青つているのじやないのです。この趣旨は、管理業務が殖えたから三十人増員するということになつているが、一方では中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫ができて事務が移るのだから、減員してもいい分もあるのです。減員を何ぼにして管理業務を殖やしたら何ぼ殖やす、そういうふうに差引三十名殖えるというならわかるけれども、殖えたことだけ取上げている説明のしかたはおかしい。
  97. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今私の説明少し十分でありませんでしたが、今のよう農林漁業金融公庫に対して引継いだりいろいろすることによつて減るものと、業務分量が殖えることによつて殖えるものを差引した計算が、そこに出ております。
  98. 小林政夫

    小林政夫君 それならそういうふうに書かなければいけない。この説明書では不十分です。  山際総裁から輸出入銀行の最近の業務の状態及び二十八年度方針計画をお聞きしたいと思います。
  99. 山際正道

    参考人山際正道君) 御趣旨によりまして、日本輸出入銀行の業務の状況の概要を先ず御説明申上げます。  便宜上お手許に差出しました資料によつて御覧を頂きとうございます。その資料の第一番目に、日本輸出入銀行融資及び保証状況というのがございます。その第一といたしまして、月別の貸出状況という表がございます。その一番上の欄の一番左に、融資承諮という欄がございます。これのずつと一番右の端を御覧頂き」たいと思います。御承知のように日本輸出入銀行は昭和二十五年の暮に設立をされまして、二十六年の二月一日から業務を開始いたしました。今日まで約二カ年半に近い時日を経過いたしたのでございますが、この一番右にございます数字は累計でございまして、その期間における業務の総量を示したものでございます。上の欄に件収というのがございますが、これは取扱いました件数が百二十件という意味でございます。それの次に金額とございますのは融資承諮をいたしました金額が今日まで百九十八億四千二百五十二万七千円という収字になつておるのでございます。下に括弧書きがございますのは、その収字の内書でございまして、これは貸付の方法のうち、手形再割引の方法において融資をいたしました件数並びに金額になつております。その下の欄に月中貸出金額というのがございますが、これもやはり累計を御覧頂きますと、この表は五月三十日現在になつておりますが、すでに百八十六億六千二百八万円を回収いたしたのでございます。差引きまして、最後の一番下の欄を御覧頂きますと、月末残高といたしまして五月末現在が件数において三十四件、金額が五十二億五千三十五万六千円ということになつておりまして、これが現在の貸付残でございます。この数字を更に次の表を御覧頂きますと、品目別仕向地別輸出契約に対する協調融資、手形割引承諾額という表がございます。即ち今日まで取扱いました融資を先ず大分けといたしまして、品目について分類をいたしてございまして、一番上の欄は電気機械関係、その仕向地はここに掲げてございます通りアジア諸国及び南米等でございますが、その合計が件数において二十四件、輸出契約の金額において四十七億一千四百万円、これに対して輸出入銀行は二十五億九千四百万円を融通いたしまして、市中の協調融資と相待つてこれに対して三十二億四千五百万円が融通された、こう表になつております。その次の種類は繊維機械でございます。これもそれぞれここに掲げました仕向地に対して輸出契約が行われたのでございまするが、それが三十一件で、輸出契約金額にいたしまして五十七億九千二百万円になつております。その次の種類は船舶でございます。これは件数において三十三件、輸出契約金額においては二百四十三億六千百万円、それに対しまして輸出入銀行は九十九億一千六百万円を融通いたしたことになつております。その次の種類は車両でございます。これは十件で、輸出契約金額は四十一億五千百万円、それに対して本行は二十一億七千九百万円を融通いたしました。その次の種類は東南アジア開発でございましてこれに対しまして二件、契約金額は五億九千五百万円、本行は四億三千三百万円を融通いたしております。その他のグループといたしまして、件数において二十件、輸出契約金額において七十三億一千三戸万円、そのうち輸出入銀行は十億五千五百万円を融通いたし、市中銀行と協調して十三億七百万円の融通となつておりますが、なおこのほかに一番右の欄にございますように手形割引の承諾額がこのグループにおいては七億五千万円になつております。以上を合計いたしまして、件数において百二十件、輸出契約金額において四百六十九億二千六百万円の契約が達成せられ、それに対して輸出入銀行は百九十億三千四百万円の融通を承諾いたし、市中銀行の承諾額四十八億二百万円と併せまして二百三十八億三千六百万円が承諾せられ、そのほかに更に手形割引として八億八百万円が承諾されたことになつております。この表で御覧の通り金額の一瞬多いのはこの二枚目の船舶関係でございます。その次は繊維機械、更に電気機械、それからその他の欄が金額が大きいのでございますが、これは沖繩関係が特に多かつた関係になつております。  それからその次の表を御覧頂ますと、輸出入銀行は直接資金の融通をいたしますほかに、債務の保証をたし得ることとなつております。これは南米のチリーに機関車を輸出するにつきまして保証を求められて保証書いたしました金額でございまして、その保証額は輸出入銀行が二億一千五百万円、市中銀行が四千五百万円協調保証をいたしまして二億六千万円の金額になつております。  それからその次の表は製品別の融資残高推移表でございます。これは大体四半期別の区分になつておりますので、多少おわかりにくいかとも存じさするが、最後合計の欄を御覧頂きますと、本行の残高は昭和二十六年度末、即ち二十七年の三月末項が一番残高が殖えまして、それからむしろ下り坂になつて今日に及んでおります。五月末が五十二億五千万円となつておる、こういう推移計になつておるのであります。  それからその次の表は仕向地別にその残高推移を現わしました表でございまして、最初のグループはアジア諸国、これの最後の欄を御覧頂きますと、総計五十二億五千万円の残高のうち二十五億六千九百万円はアジア諸国に関するものであります。その次が米州諸国、即ち北米、中米、南米を通じてでございますが、それが二十四億十千二百万円、合計その他をいたしました結果五十二億五千万円となつているのでございます。  更にその次の表は連続貸借対照表になつておるのでございますが、そのうちで特に申上げるべきこともございませんが、下の貸方の欄を御覧頂きますと、資本金が漸次目を追うて増加をいたしまして今日では二百十億円に相成つております。  それからその次の表は損益計算書でございます。これも特に取立てて申上げるほどの特徴はないかと思います。  最後の表は先ず一番上に二十八年度の本行の資金計画が出ております。これによりますと二十八年度中におきましては貸付金といたしまして二百四十億円、そのうちプラント輸出関係で百五十億、アジア開発関係及び投資関係、この投資関係と申しますのは、投資資金をも融通するということでございまして、これは別途法律の改正をお願いしなければならん点でございますが、その引当てといたしまして七十億、そのほか輸出品原材料の輸入を中心とする輸入業務において二十億円、合計いたしまして二百四十億円の資金融通を計画いたしております。これは大体において政府のお立てになつておりまする貿易計画、それに則りまして過去の経験上その計画を達成するに必要な資金量を推定いたしましてかような計画をいたしたわけでございます。その財源といたしましては、只今申上げましたように二百十億円の資本金をお預りいたしておりまするけれども、なお貸出が伸びませんために前年度来の繰越金において百五十八億、そのほか借入金の予定になつておりますものが三十億、本行自体の回収金が七十五億、その他の利息収入等を挙げましてこれらの貸付金の財源とすることになつております。この下にございます貸借対照表損益計算書、これらはこれらの計画がその通り遂行せられました場合を予想いたしましての貸借対照表並びに損益計算書の予想でございます。  全体を通じまして今日までの業績について申上げたいと思いますることは、当初この銀行に関する法律案が御審議に相成り、その後しばしば増資をお認めになり、又累次の改正によつて業務の範囲を拡大せられましたにかかわらず、なお業績が甚だ振わざる状況にあります点が当事者といたしましても誠に残念に思つておるところでございます。これは何と申しましても御承知通り貿易が伸びませんために遺憾ながらかような結果になつておりますので、昨年中の貿易計画によりましてもプラントものの輸出は他の商品よりも一層伸びません。計画に対して約三分の一の実績を挙げておるに過ぎない状況になつておりますためにかようなことになつております。併しながら御承知のようにプラント輸出でございますとか、或いは経済後進国と俗に言われておる地方の経済開発に協力をするというような問題は、繊維製品とか、雑貨類の貿易とは違いまして、短期間にその成果を挙げるということは非常にむずかしいのでありまして、相当の資力を擁しながらも絶えざる努力を払つてなお且つ場合によつては数年後初めて実を結ぶという場合もあるような仕事でございますので、むしろ銀行といたしましてはその御期待に副うように発展は今後に努力を傾けることにいたしておるような次第でございます。  今年度方針といたしましては、先ほど申上げました数字に示されましたがごとく、政府の貿易計画に則りまして、先ずプラントものの輸出を増進することに努めたいと思います。これは御承知のように世界の先進工業国のほうで工業力にやや余裕を生じて来つつある状況でありまするので、比較的立ち遅れておりまする日本が海外の市場において競争いたしますためには非常な困難が出ると思います。思いますが、政府におかれましても或いはアジア経済懇談会であるとか、或いは貿易振興懇談会であるとか、その他の点に大いに対策を立てておられることでありますので、官民一致してこの点に対する努力を続けて行かねばならん、かように思つております。  その次に、アジア開発関係に対する協力、殊にこの法律改正が実現いたしました場合における投資の関係でございますが、これはアジア諸国にいたしましても、或いは中南米諸国、或いは中近東諸国にいたしましても、いずれも経済的にはややその工業化が遅れておる地方でございまするが、自然資本に非常に乏しい地域であります。そこでこれらの地方に対しましては相当長期年賦において日本から開発用の資材を輸出するとか、或いは経営までもこれに対して技術協力等の関係において協力をし、場合によりましては投資の形においてその共同の仕事の発展を期待するというような関係まで入り込みませんと、なかなかこの重工業関係設備類、或いは機械工業中の又大機械類の輸出品はむずかしい事態にあります。これらの点に重点を置きまして政府の御方針に副いつつ業務を進めて参りたいと思うのであります。特に考えておりますことは、御承知のように最近アジア諸国のうちの或る国に対する賠償の問題がだんだん討議せられておるのであります。これが逐次解決をみるようになりますれば、その線に沿つての経済発展に関する協力というものも又自然現われて参ると思いまするし、それに対する本行の活動分野も漸次開けて来るかと思うのでありまして、要は相当の忍耐を以て今後非常な努力を傾けなければならんことではありまするけれども、今後の発展に対しこれだけの計画を用意いたしまして本年は対処して行きたい、かように考えておるような次第であります。
  100. 小林政夫

    小林政夫君 最近の融資残高は五十二億何がしでありますが、今までの月別のピーク時、一番残高が多かつた月の額、これは幾らですか。
  101. 山際正道

    参考人山際正道君) 先ほど御覧を頂きました計表のうちの製品別融資残高推移表というのがございますが、その一番下の欄が合計になつておりますが、これをずつと右のほうへ御覧を頂きますと、昭和二十六年度末におきまして六十九億七千九百万円という数字が出ております。これが過去におけるピークであつたのであります。これは御承知のようにその当時朝鮮事変勃発後世界的に造船のブーム、なかんずくタンカー建造のブームが参りまして、欧米の主要なる造船所がいつぱいになりました関係において、日本に対しても相当タンカーの発注があつたのでございます。それを本行の金融によつて賄いまして、その輸出を実行いたしました関係上、ここで非常に残高が殖えたんです。漸次そのほうの需要も減つて参りました関係において残高も自然逓減したような恰好になつております。
  102. 小林政夫

    小林政夫君 私は愛知政務次官にお尋ねしますが、今までこの輸出入銀行の増資の問題については、その都度山際総裁の真摯な説明によつて、我々としては少し金を廻し過ぎるというきらいはあつたけれども、まあ財界において相当の経験を持たれ、又見通しとしても間違いなかろう、今度こそは今度こそはというようなことで今まで特に山際総裁の人格に免じて、政府を信頼するよりも山際さんを信頼して増資計画を認めて来た、ところがどうも最近の情勢で見ると、甚だこれは輸出入銀行の努力が足らないということでなしに、日本の国際還境上の推移が然らしめた結果でありますけれども、非常にこの輸出入銀行業務が振わなくて、とにかく最近において五十二億なにがしの貸出残高は、遊んでおる金が百五十八億弱になるんです、こういうようなことで今実に先ほども前田委員から話があつたように相当資金に困つて不渡等も出ておる状態であります。又財政資金も窮乏しておる折柄、こういうような遊金を作つておくことは如何かと思います。でこの緊特会計においては今度の国会に提案されておる二十五億から十五億取上げる、併し万一必要がある場合は借入の途を開くというような措置を講ずる、輸出入銀行も必要であり、大いにそのような業務が発展することは望ましいのですが、差当つて金は要らない、又今までの経験からいつて、どうも遊んでいる期間が長いということであれば一応取上げて、必要のある場合は借入金の途を開く、そうして次年度においてそれを一般会計から投入することによつて肩替りする、こういう方法をとるのが然るべきだ、こういうことについてはどうですか。
  103. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今のお話は誠に御尤もなことと思うのであります。それから又只今も縷々山際さんからもお話がありましたような状況なので、実はこれも御承知と思いまするが、今回二十八年度予算と、それから財政資金の需給計画を立てまする場合にも、実は当初は一般会計からの輸出入銀行への出資であるとか、或いは見返資金から借入金でありますとか、こういうものを一応考えて見たのです。併しながら現実の状況から、いわゆる又輸出入銀行の現実の状況から見ましても、遺憾ながらそこまでの必要はないというので、当初不成立予算の時にもそういうふうに考えておりましたので、御承知のように二十八年度資金調達計画一般会計から出資もなければ、見返資金からの借入もなくなつているということで、それに引当てておりましたところの金は、例えば中小企業金融公庫の出資の増額であるとか、或いは一部は資金運用部資金関係で、これは直接のあれはございませんが、全体の計画の上で余裕ができたものは地方債に廻すとかいうことをやりましたので、この点は輸出入銀行資金計画に対して政府出資等を減らさなければならんような状態になつたことは非常に遺憾でありますが、現実に即してさような予算の編成方針も変えたくらいでございまして、只今御指摘のような御趣旨であれば、もつと削つてもいいのじやないかという御意図だと思いますが、これは併し只今もお話がございましたように、国全体としての政策としては、何とかしてこの輸出が伸びるように、輸出入銀行の金が必要であるようにほかの政策も併せて行きたいと思いますので、この程度にとどめたのでございます。
  104. 小林政夫

    小林政夫君 これ以上は議論になりますが、それはお気持はわかるし、その意気込で輸出を伸ばさなければならんわけだけれども、実際問題として百五十億というような金が現実に遊んでいる。一方中小企業金融公庫が本来望ましい姿においては五百億の金を導入したいという国会の決議まであつたわけですが、それに対しては百二十億、こういうような金を削つて、そうして中小企業金融公庫あたりに廻せば、これも勿論伸びれば結構なんだから、伸びたときに対処し得る臨機な措置がとり得るような途を開いておいて、実際には金を少くしておいてもいいのじやないか。日銀に預けておくというようなことは甚だもつたいない、財政資金として。この点については、これ以上は議論になりますから、一応そういう問題があるということを政務次官も認められたようであるし、私は私の考え方から見解を述べておきます。
  105. 野溝勝

    野溝勝君 二、三お尋ねします。私は開発銀行に関してお伺いいたします。小林総裁には鉄道審議会委員その他なかなか用務が多くて御多忙の際御出席願いまして有難とうございました。  御承知のように、この開発銀行は今回の法案によりますと、国際復興開発銀行等からの外資受入を促進するために、特に特例まで設けて、この要請に応えようという内容であります案で、日本の経済も私が申上げるまでもなく非常に脆弱なんであります。私は前年も本委員会におきまして池田大蔵大臣とこの問題について二、三質疑をしたのですが、大体この資金運営の対象は大企業を中心にするということなんでございましてかような考え方は私といたしましては反対なんです。併しそれはそれといたしまして、現実にこの開発銀行の本年度資金計画はとにかく八百六十億、この厖大な資金ですこれが運営するに当つて、更に今後国際復興開発銀行との関連におきましては政府保証をするという重大な条件を帯びているわけです。そこで諸君には甚だお気の毒とは思いましたが、とにかく今国家の財政経済が非常な難関にぶつかり、更には朝鮮休戦会談を契機として、将来の日本資本主義経済の方向というものさえも実際私は心配だと思うのであります。その点は資本主義の枠の中の中核分子として活躍をせられているあなたがた自身が、むしろ私よりは痛切に感じておられると思います。いずれにいたしても、こういう情勢の中にあつて一歩誤りますると、それこそ単なる部分の損失とかいうことじやなくて、日本の国民経済の上に大きな影響を与えますので、私は前年来すでに当局並びに銀行に対しましてもいろいろ意見を申上げましたごとく、更に慎重を期する意味において資料の提出を願つたのでございます。短時間の中にお忙しいところをすぐわかり易い資料を出して頂いたことに対して感謝いたします。  そこでこの資料に基いて私一、二お伺いするのでありますが、これは小林総裁でも中山理事でもよろしうございます。むしろ責任のある小林君からお聞きしたいと思います。この開発銀行業種貸付残高数字を見るというと、大まかなものでありますが、大体大企業中心です。ところが先ほど中山理事は、地方の代理店においては中小企業のものを扱われておりますが、この資料だけではその代理店の扱つているものがわからないのですが、この際一つその代理店で扱つている資料をお示し願いたいと思います。若しそこにお持ちにならんとしたならば、この資料を出してくれたと同じように、この次でも結構でございますから、資料を頂きたいと思います。今お持ちでございますか。
  106. 中山素平

    参考人中山素平君) 先ほどもちよつと御説明いたしましたのですが、開発銀行が昨年の十月に見返資金の中小関係融資を引継ぎましてから出しました中小関係融資の残が三十六億ございます。これが殆んどまあ都市もございますが、全国の代理店を通じて出た融資額とお考え願つて結構だと思います。
  107. 野溝勝

    野溝勝君 概要はわかつたのでございますが、各代理店がその扱つている中小企業の額並びに種目ですね。それについて後刻その資料を提出して頂きたいと思います。委員長それを了承願います。  次にお尋ねしておきたいのは、私も咄嗟の際でございますから数字が間違つておりましたならば取消しますが、日本開発銀行期連続貸借対照表、昭和二十六年九月から昭和二十八年三月、この表のうち、上から三つ目ですが、支払承諾見返とありますが、この支払承諾見返ということは、私は銀行事務はわからんのですが、なんか担保のことを意味するのですか。
  108. 中山素平

    参考人中山素平君) この借方の三番目に書いてございますのは支払承諾見返でございますけれども、それに見合いますものが貸方の四番目に支払承諾と書いてございます。これは開発銀行保証いたしまして、他の金融機関から出ました旧復金関係の基金の分で、ございまして貸方のほうが開発銀行のつまり保証債務でございます。借方のほうは若し保証を履行しました場合には、更に債務者に対して求償権があるわけでございますから、債権を示しております。
  109. 野溝勝

    野溝勝君 承諾見返、そこでこの一表の数字を見ますると、第二事業年度における数字が上半期と下半期とはぐつと開きがあるんでございますが、それで見返の問題は飛躍的に、こうなんでございますか、解決の方向に向つたことは結構なんですが、これは何か事情があるんでございましようか。これは一つ小林総裁から承わります。
  110. 小林中

    参考人小林中君) これは大体復金時代におきまして債権の保証をいたしましたものが、そのまま開発銀行に引継がれておるのでございます。そうして開発銀行が順次保証をしております金融機関と交渉をいたし、整理の段階を辿つておりまして、この金額は順次減つておるんだと私は考えておるのでございます。例えば甲の設備資金に対して乙の市中金融機関が金を貸す、この時に復金時代に、復金保証によつて金融機関は金を貸したのもあります。それは甲の事業会社は乙の金融機関に返済が滞つた場合には、復金が代り弁済をするということが内容であるのでありまして、そういうものが復金から開発銀行に債権、債務が移つてしまつて、それが順次減つておるという形だと思います。
  111. 野溝勝

    野溝勝君 御指摘の通り大体そういう方向だと思うのでございますが、その減り方のカーブが大きいので、まあ回収金の多いことは結構なことだと思うのですが、金融操作といいましようか、他の金融機関との間に何か無理にオペレーシヨン関係があつて、肩替りか、何かがあつたら、ざつくばらんにお示しを願いたい。
  112. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問でありますが、この整理に対して何か肩替りとか、そういうふうな措置は一向に講じておらんのでありまして、実は相手金融機関貸付先に対して順次回収が捗つてつたということに過ぎないのであります。但しどうしても相手事業会社金融機関に対して返済ができない、返済の見込みのないというものは、これは開発銀行がその返済の責任を負いまして、他の金融機関には金を返しているというふうな実情です。
  113. 野溝勝

    野溝勝君 次にお聞きしておきたいことは、二十八年度開発銀行の予定損益計算書ですが、損失の部ですが、この終りのほうに本年度の利益金二十三億七千二百万円があるんでございますが、先ほどの資金計画から見ると八百六十億、まあ前年度は相当なものであつたのですが、とにかくこの利益金が二十三億、そうすると例えば前年度資金計画は、眼鏡を持つて来なかつたので、表の字が小さくてはつきり今つかめませんけれども資金量年大体八百億といたしましても、そういたしましても、その一割はあなた銀行に入る、大体七八十億ぐらいは利益があつてもよさそうに思うのですが、ここには二十三億という数字が示されておりますが、この関係は、どうしたわけですか。その間の事情一つお話を願いたいと思います
  114. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問は大体数字でありまして、野溝さんの御指摘なさいます利益というものは、実は会社内部に積立金として保留されておる利益もあります。これは合計して中山理事から細かい数字を申上げたいと思うのでありますが、御承知のように二十七年度は十月以降電力並びに船舶の融資開発銀行が扱いましたので、二十八年度予算から見ますると、非常に二十七年度融資の全体量というものは少いものであります。従つて二十八年度を基準とし、或いは七百万円ぐらいというふうなお考えも、一応二十八年度をお考えになりますと、さようなお考えになることも尤もと思いますが、開発銀行の仕事自体が電力、船舶というものが去年の十月からいたしたという事情もあります。特に金融の量の内容から見ますと、電力、船舶というものが融資の量の殆んど昨年度におきましても五〇%以上を占めておるというふうな事情もありますので、詳しいことは中山理事から数字を以て御説明いたしたいと思います。
  115. 中山素平

    参考人中山素平君) 今御指摘のございました予定損益計算書でございますが、開発銀行としては二十八年度中に、この利益のほうにございます一番上の貸付金利息百七十五億八千万、これがまあ収入として入つて来るわけでございまして、これは今も御説明がございましたように、電力とか海運は七分五厘の利息でございます。そのほかが一割でございます。それを平均いたしましてこういつた利息になります。それに対して損失のほうで借入金利息、つまり三十三億四千二百万円とございます。これは出資金以外は政府に対して五分五厘、或いは六分五厘といつたような利息を払いまして、そのあとにいわゆる利益が残つて来るのでございますが、残つた利益の中で、損失の部の下から三番目にございます大きなものとしては貸倒準備金として三十三億八千万、これを差引きまして、その残りの利益の八割を政府に納めます。その政府に納めるのが七十六億、そうして最後開発銀行に残りますのが、今御指摘のございました二十三億七千万でございますが、ですから、この三つを寄せまして約百三十四億ぐらいが開発銀行の利益というふうにお考えになつていいんじやないかと思います。つまり貸倒準備金が三十三億八千万、国庫納付金が七十六億一千万、開銀に積立てられるのが二十三億七千万。
  116. 野溝勝

    野溝勝君 今御説明で大体わかつたのですが、この貸付ける上におきまして利率七分五厘と一割と違えるのは、何かそこに理由があつたのですか。又はそうしなければならなかつたという、その関連ですね、それを一つお聞かせ願いたいと思います。
  117. 中山素平

    参考人中山素平君) 開発銀行といたしましては、銀行の性格上、先ほど御説明いたしましたのですが、市中の長期金利と余り大きな開きはないように金利の基準をきめております。それが一割でございまして、電力海運について七分五厘という特殊の金利をきめておりますのは、御承知のように電力の開発、それから外航船の船腹の増強ということが、政府として今当面の一番大きな問題でございます。それと二つの仕事の性質上、他の金利よりは低い金利を適用することが適当と考えまして、七分五厘というような利率を決めているわけであります。
  118. 野溝勝

    野溝勝君 最後一つ私がお聞きしておきたいのですが、電力並びに船舶につきましては、政府及び開発銀行も同一の考えだと思うのですが、重点を置いておるということが今の利子の分布状況を見てもわかるのですが、その場合ですね、電力などは株式においても大体或る程度の安定性もあるように思う。然るに、それほど力を入れておる船舶におきましては、非常に変動性が多い、こういう不安定の相場は皆さんのほうでは貸金乃至は運営に対する見解を持つていられると思うが、如何ですか。併し今日さようなことはこれでよろしいのだと言うなら、これは別問題でございますが、さようなことに対して、当局である開発銀行自体が何か考え、且つ又対策なりを検討したことがありますか。これは小林さんに……。
  119. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問は御承知電力の開発は、特に水力を中心とした電力の開発は、仕事自体が非常に長期に亘るのであります。そして電力料金の基本に、非常な影響を与えるものでありますので、私どもは七分五厘という利率が適正な利率と考えて今日やつてつておるのであります。船舶につきましては、お説の通り今日の船舶界は非常な悲境に遭遇しておりまして、今日の状況として見ますると、融資の対象として必ずしも適当でるか否かという疑問は多少持たざるを得ないような状況になつておるのでありますが、併しながら国といたしまして、戦前の日本の船腹の保有量から比較いたしまして、今後一層日本としては舶腹の拡充を図つて行くことが貿易の上、将来外貨の獲得の上におきましても必要なことではないか。要するに現在の悲境に対しましては、政府もこれを打開する何らかの方策をお考えになるとは思つておりますが、我々といたしましても或いは税制措置によつて、或いは企業の合理化によりまして、或いは統合等によりまして、これを何とかより以上採算的に引上げて行かなければならんと考えております。従つて、そういうふうな問題に対しましては、私どもの考えも時に触れまして政府に申述べておるような次第であります。
  120. 野溝勝

    野溝勝君 法案につきましては後日又政府当局からお伺いいたすつもりでおります。私の質問はこの程度で終りたいと思います。
  121. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後五時二十五分散会