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参考人(
山際正道君) 御趣旨によりまして、
日本輸出入銀行の業務の状況の概要を先ず御
説明申上げます。
便宜上お
手許に差出しました
資料によ
つて御覧を頂きとうございます。その
資料の第一番目に、
日本輸出入銀行融資及び
保証状況というのがございます。その第一といたしまして、月別の貸出状況という表がございます。その一番上の欄の一番左に、
融資承諮という欄がございます。これのずつと一番右の端を御覧頂き」たいと思います。御
承知のように
日本輸出入銀行は昭和二十五年の暮に設立をされまして、二十六年の二月一日から業務を開始いたしました。今日まで約二カ年半に近い時日を経過いたしたのでございますが、この一番右にございます
数字は累計でございまして、その期間における業務の総量を示したものでございます。上の欄に件収というのがございますが、これは取扱いました件数が百二十件という意味でございます。それの次に金額とございますのは
融資承諮をいたしました金額が今日まで百九十八億四千二百五十二万七千円という収字にな
つておるのでございます。下に括弧書きがございますのは、その収字の内書でございまして、これは
貸付の方法のうち、手形再割引の方法において
融資をいたしました件数並びに金額にな
つております。その下の欄に月中貸出金額というのがございますが、これもやはり累計を御覧頂きますと、この表は五月三十日現在にな
つておりますが、すでに百八十六億六千二百八万円を
回収いたしたのでございます。差引きまして、
最後の一番下の欄を御覧頂きますと、月末
残高といたしまして五月末現在が件数において三十四件、金額が五十二億五千三十五万六千円ということにな
つておりまして、これが現在の
貸付残でございます。この
数字を更に次の表を御覧頂きますと、品目別仕向地別輸出契約に対する
協調融資、手形割引承諾額という表がございます。即ち今日まで取扱いました
融資を先ず大分けといたしまして、品目について分類をいたしてございまして、一番上の欄は電気機械
関係、その仕向地はここに掲げてございます
通りアジア諸国及び南米等でございますが、その
合計が件数において二十四件、輸出契約の金額において四十七億一千四百万円、これに対して
輸出入銀行は二十五億九千四百万円を融通いたしまして、市中の
協調融資と相待
つてこれに対して三十二億四千五百万円が融通された、こう表にな
つております。その次の種類は繊維機械でございます。これもそれぞれここに掲げました仕向地に対して輸出契約が行われたのでございまするが、それが三十一件で、輸出契約金額にいたしまして五十七億九千二百万円にな
つております。その次の種類は船舶でございます。これは件数において三十三件、輸出契約金額においては二百四十三億六千百万円、それに対しまして
輸出入銀行は九十九億一千六百万円を融通いたしたことにな
つております。その次の種類は車両でございます。これは十件で、輸出契約金額は四十一億五千百万円、それに対して本行は二十一億七千九百万円を融通いたしました。その次の種類は東南アジア開発でございましてこれに対しまして二件、契約金額は五億九千五百万円、本行は四億三千三百万円を融通いたしております。その他のグループといたしまして、件数において二十件、輸出契約金額において七十三億一千三戸万円、そのうち
輸出入銀行は十億五千五百万円を融通いたし、市中
銀行と協調して十三億七百万円の融通とな
つておりますが、なおこのほかに一番右の欄にございますように手形割引の承諾額がこのグループにおいては七億五千万円にな
つております。以上を
合計いたしまして、件数において百二十件、輸出契約金額において四百六十九億二千六百万円の契約が達成せられ、それに対して
輸出入銀行は百九十億三千四百万円の融通を承諾いたし、市中
銀行の承諾額四十八億二百万円と併せまして二百三十八億三千六百万円が承諾せられ、そのほかに更に手形割引として八億八百万円が承諾されたことにな
つております。この表で御覧の
通り金額の一瞬多いのはこの二枚目の船舶
関係でございます。その次は繊維機械、更に電気機械、それからその他の欄が金額が大きいのでございますが、これは沖繩
関係が特に多か
つた関係にな
つております。
それからその次の表を御覧頂ますと、
輸出入銀行は直接
資金の融通をいたしますほかに、債務の
保証をたし得ることとな
つております。これは南米のチリーに機関車を輸出するにつきまして
保証を求められて
保証書いたしました金額でございまして、その
保証額は
輸出入銀行が二億一千五百万円、市中
銀行が四千五百万円協調
保証をいたしまして二億六千万円の金額にな
つております。
それからその次の表は製品別の
融資残高推移表でございます。これは大体四半期別の区分にな
つておりますので、多少おわかりにくいかとも存じさするが、
最後の
合計の欄を御覧頂きますと、本行の
残高は昭和二十六
年度末、即ち二十七年の三月末項が一番
残高が殖えまして、それからむしろ下り坂にな
つて今日に及んでおります。五月末が五十二億五千万円とな
つておる、こういう
推移計にな
つておるのであります。
それからその次の表は仕向地別にその
残高の
推移を現わしました表でございまして、
最初のグループはアジア諸国、これの
最後の欄を御覧頂きますと、総計五十二億五千万円の
残高のうち二十五億六千九百万円はアジア諸国に関するものであります。その次が米州諸国、即ち北米、中米、南米を通じてでございますが、それが二十四億十千二百万円、
合計その他をいたしました結果五十二億五千万円とな
つているのでございます。
更にその次の表は連続
貸借対照表にな
つておるのでございますが、そのうちで特に申上げるべきこともございませんが、下の
貸方の欄を御覧頂きますと、
資本金が漸次目を追うて増加をいたしまして今日では二百十億円に相成
つております。
それからその次の表は損益計算書でございます。これも特に取立てて申上げるほどの特徴はないかと思います。
最後の表は先ず一番上に二十八
年度の本行の
資金計画が出ております。これによりますと二十八
年度中におきましては
貸付金といたしまして二百四十億円、そのうちプラント輸出
関係で百五十億、アジア開発
関係及び投資
関係、この投資
関係と申しますのは、投資
資金をも融通するということでございまして、これは別途
法律の改正をお願いしなければならん点でございますが、その引当てといたしまして七十億、そのほか輸出品原材料の輸入を中心とする輸入業務において二十億円、
合計いたしまして二百四十億円の
資金融通を
計画いたしております。これは大体において
政府のお立てにな
つておりまする貿易
計画、それに則りまして過去の経験上その
計画を達成するに必要な
資金量を推定いたしましてかような
計画をいたしたわけでございます。その財源といたしましては、只今申上げましたように二百十億円の
資本金をお預りいたしておりまするけれ
ども、なお貸出が伸びませんために前
年度来の繰越金において百五十八億、そのほか
借入金の予定にな
つておりますものが三十億、本行自体の
回収金が七十五億、その他の
利息収入等を挙げましてこれらの
貸付金の財源とすることにな
つております。この下にございます
貸借対照表損益計算書、これらはこれらの
計画がその
通り遂行せられました場合を予想いたしましての
貸借対照表並びに損益計算書の予想でございます。
全体を通じまして今日までの業績について申上げたいと思いますることは、当初この
銀行に関する
法律案が御審議に相成り、その後しばしば増資をお認めになり、又累次の改正によ
つて業務の範囲を拡大せられましたにかかわらず、なお業績が甚だ振わざる状況にあります点が当事者といたしましても誠に残念に思
つておるところでございます。これは何と申しましても御
承知の
通り貿易が伸びませんために遺憾ながらかような結果にな
つておりますので、昨年中の貿易
計画によりましてもプラントものの輸出は他の商品よりも一層伸びません。
計画に対して約三分の一の実績を挙げておるに過ぎない状況にな
つておりますためにかようなことにな
つております。併しながら御
承知のようにプラント輸出でございますとか、或いは経済後進国と俗に言われておる地方の経済開発に協力をするというような問題は、繊維製品とか、雑貨類の貿易とは違いまして、短期間にその成果を挙げるということは非常にむずかしいのでありまして、相当の資力を擁しながらも絶えざる努力を払
つてなお且つ場合によ
つては数年後初めて実を結ぶという場合もあるような仕事でございますので、むしろ
銀行といたしましてはその御期待に副うように発展は今後に努力を傾けることにいたしておるような次第でございます。
今
年度の
方針といたしましては、先ほど申上げました
数字に示されましたがごとく、
政府の貿易
計画に則りまして、先ずプラントものの輸出を増進することに努めたいと思います。これは御
承知のように世界の先進工業国のほうで工業力にやや余裕を生じて来つつある状況でありまするので、比較的立ち遅れておりまする
日本が海外の市場において競争いたしますためには非常な困難が出ると思います。思いますが、
政府におかれましても或いはアジア経済懇談会であるとか、或いは貿易振興懇談会であるとか、その他の点に大いに対策を立てておられることでありますので、官民一致してこの点に対する努力を続けて行かねばならん、かように思
つております。
その次に、アジア開発
関係に対する協力、殊にこの
法律改正が実現いたしました場合における投資の
関係でございますが、これはアジア諸国にいたしましても、或いは中南米諸国、或いは中近東諸国にいたしましても、いずれも経済的にはややその工業化が遅れておる地方でございまするが、自然資本に非常に乏しい地域であります。そこでこれらの地方に対しましては相当
長期年賦において
日本から開発用の資材を輸出するとか、或いは経営までもこれに対して技術協力等の
関係において協力をし、場合によりましては投資の形においてその共同の仕事の発展を期待するというような
関係まで入り込みませんと、なかなかこの重工業
関係の
設備類、或いは機械工業中の又大機械類の輸出品はむずかしい事態にあります。これらの点に重点を置きまして
政府の御
方針に副いつつ業務を進めて参りたいと思うのであります。特に考えておりますことは、御
承知のように最近アジア諸国のうちの或る国に対する賠償の問題がだんだん討議せられておるのであります。これが逐次解決をみるようになりますれば、その線に沿
つての経済発展に関する協力というものも又自然現われて参ると思いまするし、それに対する本行の活動分野も漸次開けて来るかと思うのでありまして、要は相当の忍耐を以て今後非常な努力を傾けなければならんことではありまするけれ
ども、今後の発展に対しこれだけの
計画を用意いたしまして本年は対処して行きたい、かように考えておるような次第であります。