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政府委員(
渡辺喜久造君) お答えいたします。歳入の見積りにつきましては現在本
予算の
編成と結びつきまして検討を加えておりますので、
只今申上げます数字とそう大きく違うとは思いませんが、多少の移動があることをお許し願いたいと思いますが、現在見積
つておりますところでは本年度の
物品税の収入見込額は約二百三十八億、租税収入全体の見積りでございますが、これも実は今検討を加えておりますので、多少まだ動くと思
つておりますが、この間お出ししました
税制改正案の時の見積りでございますと、
税制改正をしない場合が八千九十一億、
税制改正をした場合が七千八十一億、こういう数字が出ております。
税制改正案などにつきましても、まだ最終的な結論が出ておりませんので、どういうことになりますか。
それから歳入の見積りそのものにつきましても、この数字は昨年の暮当時の資料を基にして作
つてございまして、その後相当の期間が経過しておりまして、いろいろなデーターも変
つて来ておりますので今検討をしておりますが、ただ各税におきましては相当の入り繰りがあろうと思
つておりますが、総額におきましては若し税制が同じであればそう大きく違わないものじやないか、これくらいの見通しは持
つております。従いまして、はつきりした数字、固い数字をここで申上げることができないことを遺憾といたしますが、大体その辺で大勢は御了承願えるのじやないかと思いますので、御容赦を願いたいと思います。
なお、今回の
改正によりましては、今申しましたように、
法律の上で以て先ほど来申しているような
税率引下げその他を
考えておりますが、少し補足的に申上げさして頂きたいと思いますが、提出してございます参考資料の中に書いてございまするが、政令案の中で以て少し増収を図る要素を作りたい。その
一つは、前の
国会のときによく御
説明申上げたと思いますが、先ほど
塩崎君の
説明には落ちておりましたので、私から補足して申上げておきますが、その
一つは自動車の
課税、乗用自動車の
課税の問題でございます。現在乗用自動車に対する
課税は、大型の乗用自動車は三割、それから小型の乗用自動車は二割、こういう
税率で
課税しております。その場合の大型、小型の区分でございますが、現在の施行規則では輪距と申しまして、自動車の前の車輪と後の車輪の幅を輪距と申しておりますが、その輪距の百二十インチ以上のものを大型、それ未満のものを小型と分けておりますが、これは
物品税ができましたときは、たしか百十二インチだつたと思います。
現行の定義によりますと、結局どういうものが大型に入るかと言いますと、アメリカ製の高級車、これだけが大型に入りまして、シボレーとかフォードとかポンテイヤツクのシックスといつたような、我々が普通概念では少くとも小型というのにはちよつと当らんと思うようなものは全部大型の自動車に入
つております。そこでこれはどうも少し占領下における当時におきましての
関係からしまして、まあ無理に上げられたような感覚もございますので、これをまあ普通の常識で
考えられましたところとしまして、百十インチを境目にしまして、それ以上のものを大型、それ以下のものを小型、国産の自動車は大体今のところトヨタ、とかニッサンとか、ああいうものは九十九インチ、九十八インチとな
つております。それから欧洲物は普通ありますのは百十インチ、まあアメリカ物がフォード、シボレー級以上が大型に入ります。こういうような
改正をしたい。これで税収が平年度におきまして七億ほど、それから初年度において五億八千九百万円ほど実は増収を
考えております。
それからもう
一つ果実水、今よくありますオレンジ・ジュースのようなものでありますが、現在まあサイダーとかああいう清涼飲料が全部
課税にな
つておりますが、これに
課税ができていない、
従つて法律の上ではまあ政令さえきまれば
課税でき得る余地にな
つておりますが、ずつと
課税していないのでありますが、どうもサイダー、ラムネ等の均衡からしまして、やはりこれにも
課税したほうがいいだろう、で、差上げました政令案にも一応書いてございますが、こういうものも一応取りたい、これによりまして大体平年度におきまして十億
程度の増収が
考えられるわけであります。それで全体としましての減税になるのは大体三十億ということを
考えております。彼此相殺いたしまするので、本年度におきましては
法律による分及び政令による分、なお政令による分につきましては、これもお手許に差上げてございますが、相当のいわゆる
課税最低限と申しまして、金額の安いものについては、一応名前は載
つていましても
課税はしない、こういうものが相当ありますが、この
課税最低の限度額が、その後の物価の上昇、或いはいろいろ検討して見ますと、少し安きに失するものがあるのではないかという御批判をいろいろ受けておりまして、このほうをやはり相当今度引上げの方向において直して行こう、このほうの減収がございます。
税率引下げ及び
課税最低限度の引上げ、それから今申しました新らしく
課税になるもの、それから
税率の引上げられるもの、こういつたものを彼此相殺しまして、今年度のこの
改正による減収は十六億五千八百万円
程度、こういうふうに見込んでおります。前回
提案しました時におきましては、四月一日から施行するということを目途にいたしまして二十億円の減収を予想しておりましたが、六月となりますと二カ月ほど遅れますので、金額も多少減りまして、十六億五千八百万円、かように
考えております。
それから、その次に御質問になりました
小売課税、今度
小売課税に移そうと思
つておりますものの税収は一億三千二百万円
程度のものであります。現在製造過程において
課税しておる数字としましては一億三千二百万円
程度であります。
税率の点につきましてはいろいろ検討して見たのでございますが、
考え方といたしましては、どうもこれは先ほどちよつと御質問のときにも触れられましたように、施行の上においているくむずかしい点もございますし、性格からいいますと、御趣旨のように、もつと高い
税率であ
つてもいいじやないかという
意見も一応御尤もでございますが、余り
税率が高いと、とかく業者のかたにもいろいろな無理がかかりまして、まあ脱税のほうへの誘惑が大きくなるというようなところに、やはり相当慎重な考慮も必要じやないだろうか、二割の
税率を出しましたゆえんのものは、現在の製造段階におきましては、製造者価格に対して
税率が適用されるわけでございますが、今度小売で
課税するようになりますと、先ほ
ども御
説明申しましたように、卸、小売のマージンが入りました最終の小売価格のところで
課税になるわけでございます。適用される
税率は小売価格に対して適用される、従いまして製造者価格において五割の
税率を適用して見まして、そこで出る一応の税金の絶対額というものを一応出しまして、そうして小売価格で以てこれを割
つて見ますと、まあ二割或いはその前後の数字が出るわけでございまして、従いまして現在これら商品の
負担しております
物品税の税額をそう動さないということを目途にいたしまして、二割の
税率を一応
提案した次第でございます。
その次に、これによ
つて徴税費がどんなふうになるだろうかという御質問でございましたが、正直な話を申しますと、これらの品物につきましては
製造課税でや
つて参りましたが、非常にその実効を挙げることに困難を感じております。と申しますのは、その製造者と申しますのが、実は金属のものでございますと割合に飾り屋さん的な人が多くな
つてしまうわけでございまして、割合に裏店とかそういう所でや
つておりまして、非常にまあ捕えにくいような姿にな
つておるわけでありまして、これがまあいわゆる問屋さんのところで
課税できまずと、もつといいんですが、どうも問屋段階で捕えるということには非常に法制的にも困難があるようでございまして、結局製造の段階か小売の後階かで捕えなければならんというところに追込められますものですから、又その製造者の段階におきましても捕えるということに非常に困難を感じている。小売の段階に参りますと、確かに一応業者の数は殖えるように思いますが、ただ現在まあ各所におります
物品税の係、大きな所では相当人数もおりますが、田舎のほうでは一人、二人のものがありますが、家具とかいろいろなものがありまして、全然係員がいないわけでもありませんし、そういうものがほかのほうの仕事も手伝
つておりますので、この仕事が新らしくできたと申しましても、人員を増すとか、そういうことは勿論
考える必要はないと思
つております。現在の人数の
程度で以て、同時に徴税費におきましても、大体ほかのほうの仕事と併せ行うことによりまして、徴税費の増加もなしに一応この
程度の仕事ならや
つて行けるのじやないか、そのような意味におきまして、実は
小売課税につきましてもいろいろほかの品目につきまして、これも
小売課税にしたらどうか、あれも
小売課税にしたらどうかという御
意見もあつたのでございますが、できるだけ対象をまあ縮約いたしまして、そして徴税のほうの手数もまあそれほど大きく殖えない、同時に実効が相当期待できるというものだけを選びまして今度の
小売課税に持
つて行つた次第でございます。
それからなお諸外国の例という
お話でございましたが、イギリスにおきましても、やはり奢侈品を
中心といたしましてこうした種類の
課税をや
つております。
税率は三つに分けまして、この間までは一番高い
税率が百分の百、それからその次のものが百分の六十、それから百分の三十、こういう
税率で製造者
課税を
中心にや
つておりますが、今度の
予算におきましては、
大蔵大臣の
財政演説にも出ておりましたが、この
税率を七十五、五十、二十五に引下げるということを
提案しております。それからアメリカにおきましては、製造者
課税を二十五乃至十の
税率で以てやはり奢侈品
中心の
課税を行な
つております。それからアメリカでは
小売課税をや
つております分もありまして、それは化粧品その他でございますが、これらには二割の
税率で以て
小売課税を行な
つております。以上非常に概略でございますがお答え申上げます。